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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】測量装置および測量プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
G01C15/00 103E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020160224
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022053397
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 剛
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 薫
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-066571(JP,A)
【文献】特開2019-164109(JP,A)
【文献】特開2017-009616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 15/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測距光を測定対象物に向かって射出し、前記測定対象物からの反射測距光を受光して測距を行う測定ユニットと、
前記測距光の射出光軸と平行な撮像光軸を有し、前記測定対象物を含む画像を撮像する撮像ユニットと、
前記撮像ユニットと一体的に設けられた姿勢検出ユニットと、
演算処理ユニットと、
を備え、
前記姿勢検出ユニットは、水平を検出する傾斜センサと、前記傾斜センサが水平を検出する様に、前記傾斜センサを傾動させると共に前記傾斜センサが水平を検出する状態での前記測定ユニットの水平に対する傾斜角を検出する相対傾斜角検出部と、を有し、
前記演算処理ユニットは、前記撮像ユニットにより撮像された前記測定対象物を含む前記画像の主成分分析を行うことにより、軸上に投影されたデータの分散が最大となる軸である第一主成分を検出し、前記第一主成分に直交する軸のうち前記分散が最大となる軸である第二主成分を抽出し、前記第二主成分に対する前記第一主成分の比率が所定比率未満である場合、前記測定対象物の形状が四角か円に近いものであるとして前記測定対象物の大まかな形状を把握し、前記比率が前記所定比率以上である場合、前記測定対象物の前記形状が長方形に近いものであるとして前記測定対象物の大まかな形状を把握し、前記大まかな形状に基づいて前記測定ユニットにより射出される前記測距光のスキャンパターンを生成する制御を実行することを特徴とする測量装置。
【請求項2】
前記演算処理ユニットは、前記測定対象物の前記形状が円に近いものであるとして前記測定対象物の大まかな形状を把握した場合には、円形状の前記測距光の前記スキャンパターンを生成し、前記スキャンパターンを前記測定対象物の重心を中心に円スキャンを行うことを特徴とする請求項1に記載の測量装置。
【請求項3】
前記演算処理ユニットは、前記測定対象物の前記形状が四角に近いものであるとして前記測定対象物の大まかな形状を把握した場合には、円形状の前記測距光の前記スキャンパターンを生成し、前記スキャンパターンの直径を変更しつつ前記スキャンパターンを前記測定対象物の重心を中心に円スキャンを行うことを特徴とする請求項1に記載の測量装置。
【請求項4】
前記演算処理ユニットは、前記測定対象物の前記形状が四角に近いものであるとして前記測定対象物の大まかな形状を把握した場合には、円形状の前記測距光の前記スキャンパターンを生成し、前記スキャンパターンを前記測定対象物の縁に沿って移動させてスキャンを行うことを特徴とする請求項1に記載の測量装置。
【請求項5】
前記演算処理ユニットは、前記測定対象物の前記形状が長方形に近いものであるとして前記測定対象物の大まかな形状を把握した場合には、前記第一主成分および前記第二主成分に沿った楕円形状の前記測距光の前記スキャンパターンを生成し、前記スキャンパターンを前記測定対象物の重心を中心に回転させてスキャンを行うことを特徴とする請求項1に記載の測量装置。
【請求項6】
前記演算処理ユニットは、前記測定対象物の前記形状が長方形に近いものであるとして前記測定対象物の大まかな形状を把握した場合には、直線状の前記測距光の前記スキャンパターンを生成し、前記スキャンパターンを前記第一主成分に沿ってジグザグに移動させてスキャンを行うことを特徴とする請求項1に記載の測量装置。
【請求項7】
測距光を測定対象物に向かって射出し、前記測定対象物からの反射測距光を受光して測距を行う測定ユニットと、
前記測距光の射出光軸と平行な撮像光軸を有し、前記測定対象物を含む画像を撮像する撮像ユニットと、
前記撮像ユニットと一体的に設けられ、水平を検出する傾斜センサと、前記傾斜センサが水平を検出する様に、前記傾斜センサを傾動させると共に前記傾斜センサが水平を検出する状態での前記測定ユニットの水平に対する傾斜角を検出する相対傾斜角検出部と、を有する姿勢検出ユニットと、
演算処理ユニットと、
を備えた測量装置のコンピュータによって実行される測量プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記撮像ユニットにより撮像された前記測定対象物を含む前記画像の主成分分析を行うことにより、軸上に投影されたデータの分散が最大となる軸を有する第一主成分を検出し、前記第一主成分と直交し前記分散が最大となる軸を有する第二主成分を抽出し、前記第二主成分に対する前記第一主成分の比率が所定比率未満である場合、前記測定対象物の形状が四角か円に近いものであるとして前記測定対象物の大まかな形状を把握し、前記比率が前記所定比率以上である場合、前記測定対象物の前記形状が長方形に近いものであるとして前記測定対象物の大まかな形状を把握し、前記大まかな形状に基づいて前記測定ユニットにより射出される前記測距光のスキャンパターンを生成するステップを実行させることを特徴とする測量プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の3次元情報を取得する測量装置および測量プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レーザスキャナユニットを備えた測量システムが開示されている。レーザスキャナユニットは、測距光としてパルスレーザ光を回転照射し、パルスレーザ光毎に測距を行い、点群データを取得する。より具体的には、レーザスキャナユニットは、測距光としてパルスレーザ光を測定対象物に照射し、測定対象物で反射したパルスレーザ光毎の反射光を受光して、測定対象物までの距離を測定するとともに測距光の照射方向(水平角および鉛直角)を検出することにより、測定対象物の多数点の3次元情報を取得する。3次元情報は、3次元データおよび3次元点群データなどとも呼ばれる。
【0003】
レーザスキャナユニットは、1秒間に数十万点の点群測定を実行可能であり、非常に高速で高効率な測量を実現することができる。また、レーザスキャナユニットは、所定の角度(例えば360度)の方向にパルスレーザ光を回転照射してパルスレーザ光毎に測距を行い、点群データを取得する。そのため、レーザスキャナユニットにより取得された点群データは、グリッド構造を有する。
【0004】
ここで、例えば特許文献1に記載されたレーザスキャナユニットを備える測量装置は、前述したように、例えば360度の方向に測距光を回転照射して測距を行い、測定対象物の3次元データを取得する。そのため、測量装置により取得された3次元データは、3次元データを取得したい測定対象物だけではなく、その測定対象物の周囲に存在する物の多数点の3次元データを含んでいる。そのため、測量に要する時間および測量後の画像処理に要する時間の短縮化を図り、測量の効率を向上させるという点においては、改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-223540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、測量の効率を向上させることができる測量装置および測量プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、測距光を測定対象物に向かって射出し、前記測定対象物からの反射測距光を受光して測距を行う測定ユニットと、前記測距光の射出光軸と平行な撮像光軸を有し、前記測定対象物を含む画像を撮像する撮像ユニットと、前記撮像ユニットと一体的に設けられた姿勢検出ユニットと、演算処理ユニットと、を備え、前記姿勢検出ユニットは、水平を検出する傾斜センサと、前記傾斜センサが水平を検出する様に、前記傾斜センサを傾動させると共に前記傾斜センサが水平を検出する状態での前記測定ユニットの水平に対する傾斜角を検出する相対傾斜角検出部と、を有し、前記演算処理ユニットは、前記撮像ユニットにより撮像された前記測定対象物を含む前記画像に基づいて前記測定対象物の大まかな形状を把握し、前記大まかな形状に基づいて前記測定ユニットにより射出される前記測距光のスキャンパターンを生成する制御を実行することを特徴とする本発明に係る測量装置により解決される。
【0008】
本発明に係る測量装置によれば、演算処理ユニットは、まず、撮像ユニットにより撮像された測定対象物を含む画像に基づいて測定対象物の大まかな形状を把握する。そして、演算処理ユニットは、把握した測定対象物の大まかな形状に基づいて測定ユニットにより射出される測距光のスキャンパターンを生成する制御を実行する。そのため、測定ユニットは、3次元データを取得したい測定対象物を含む特徴的なエリアだけをスキャンして測距を行う。言い換えれば、測定ユニットは、3次元データを取得したい測定対象物を含まない余分なエリアをスキャンせず、余分なエリアの測距を行わない。これにより、本発明に係る測量装置は、測量に要する時間および測量後の画像処理に要する時間の短縮化を図り、測量の効率を向上させることができる。
【0009】
また、測定ユニットは、360度の方向に測距光を回転照射して測距を行う場合と比較して、3次元データを取得したい測定対象物を含む特徴的なエリアを早い周期で複数回に亘ってスキャンして測距を行うことができる。そのため、撮像ユニットにより撮像された測定対象物を含む画像が例えば奥行きを有する深度画像である場合であっても、本発明に係る測量装置は、測量に要する時間の短縮化を図りつつ、測定対象物に対して比較的細かいグリッド構造を定義し、3次元データを取得したい測定対象物を含む特徴的なエリアにおいて均一な測量を行うことができる。これにより、本発明に係る測量装置は、測量の精度を向上させることができる。
【0010】
本発明に係る測量装置において、好ましくは、前記演算処理ユニットは、前記撮像ユニットにより撮像された前記測定対象物を含む前記画像の主成分分析を行うことにより前記大まかな形状を把握することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る測量装置によれば、演算処理ユニットは、撮像ユニットにより撮像された測定対象物を含む画像の主成分分析を行うことにより測定対象物の大まかな形状を把握する。そのため、演算処理ユニットは、測定対象物に関する情報の損失を抑えつつ測定対象物に関する情報の縮約を図り、測定対象物の大まかな形状を効率的に把握することができる。
【0012】
本発明に係る測量装置において、好ましくは、前記演算処理ユニットは、前記測定ユニットが前記スキャンパターンに基づいて前記測距を行い取得した前記測定対象物の3次元情報に基づいて、前記スキャンパターンを更新する制御を実行することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る測量装置によれば、演算処理ユニットは、測定ユニットが取得した測定対象物の3次元情報に基づいてスキャンパターンを更新する。そのため、測定ユニットは、演算処理ユニットにより更新されたスキャンパターンに基づいて測距光を射出し、3次元データを取得したい測定対象物を含む特徴的なエリアだけをより効率的にスキャンして測距を行うことができる。これにより、本発明に係る測量装置は、測量に要する時間および測量後の画像処理に要する時間の短縮化をさらに図り、測量の効率をさらに向上させることができる。
【0014】
前記課題は、測距光を測定対象物に向かって射出し、前記測定対象物からの反射測距光を受光して測距を行う測定ユニットと、前記測距光の射出光軸と平行な撮像光軸を有し、前記測定対象物を含む画像を撮像する撮像ユニットと、前記撮像ユニットと一体的に設けられ、水平を検出する傾斜センサと、前記傾斜センサが水平を検出する様に、前記傾斜センサを傾動させると共に前記傾斜センサが水平を検出する状態での前記測定ユニットの水平に対する傾斜角を検出する相対傾斜角検出部と、を有する姿勢検出ユニットと、演算処理ユニットと、を備えた測量装置のコンピュータによって実行される測量プログラムであって、前記コンピュータに、前記撮像ユニットにより撮像された前記測定対象物を含む前記画像に基づいて前記測定対象物の大まかな形状を把握し、前記大まかな形状に基づいて前記測定ユニットにより射出される前記測距光のスキャンパターンを生成するステップを実行させることを特徴とする本発明に係る測量プログラムにより解決される。
【0015】
本発明に係る測量プログラムによれば、測量装置のコンピュータに、測量装置の撮像ユニットにより撮像された測定対象物を含む画像に基づいて測定対象物の大まかな形状を把握し、把握した大まかな形状に基づいて測量装置の測定ユニットにより射出される測距光のスキャンパターンを生成するステップを実行させる。そのため、測定ユニットは、3次元データを取得したい測定対象物を含む特徴的なエリアだけをスキャンして測距を行う。言い換えれば、測定ユニットは、3次元データを取得したい測定対象物を含まない余分なエリアをスキャンせず、余分なエリアの測距を行わない。これにより、本発明に係る測量プログラムは、測量に要する時間および測量後の画像処理に要する時間の短縮化を図り、測量の効率を向上させることができる。
【0016】
また、測定ユニットは、360度の方向に測距光を回転照射して測距を行う場合と比較して、3次元データを取得したい測定対象物を含む特徴的なエリアを早い周期で複数回に亘ってスキャンして測距を行うことができる。そのため、撮像ユニットにより撮像された測定対象物を含む画像が例えば奥行きを有する深度画像である場合であっても、本発明に係る測量プログラムは、測量に要する時間の短縮化を図りつつ、測定対象物に対して比較的細かいグリッド構造を定義し、3次元データを取得したい測定対象物を含む特徴的なエリアにおいて均一な測量を実行させることができる。これにより、本発明に係る測量プログラムは、測量の精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、測量の効率を向上させることができる測量装置および測量プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る測量装置の概略斜視図である。
図2】本実施形態に係る測量装置の概略構成図である。
図3図2に表した矢印Aの方向に眺めたときの平面図である。
図4】本実施形態の姿勢検出ユニットを表す平面図である。
図5】本実施形態の姿勢検出ユニットの概略構成図である。
図6】本実施形態の光軸偏向ユニットの作用を示す説明図である。
図7】本実施形態の演算処理ユニットが測距光のスキャンパターンを生成する制御の概略を示すフローチャートである。
図8】本実施形態の演算処理ユニットが測距光のスキャンパターンを生成する制御の具体例を示すフローチャートである。
図9】本実施形態の演算処理ユニットによって生成されたスキャンパターンを例示する模式図である。
図10】本実施形態の演算処理ユニットによって生成されたスキャンパターンを例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る測量装置の概略斜視図である。
本実施形態に係る測量装置1は、三脚2に基台ユニット3を介して設けられている。測距光軸4および撮像光軸5は、互いに平行である。また、測距光軸4と撮像光軸5との間は、既知の距離となっている。
【0021】
測量装置1は、測定対象物をプリズムとするプリズム測定モードによる測定、測定対象物が構造物である場合等でプリズムを使用しないノンプリズム測定モードによる測定が可能である。
【0022】
基台ユニット3は、水平方向に回転し、回転角度が検出可能な分度盤8と、鉛直方向に回転可能で、所望の角度で固定可能な鉛直回転部9と、を有する。測量装置1は、鉛直回転部9に取付けられている。
【0023】
測量装置1は、機械基準点を有する。測量装置1の機械基準点に対して、測距光軸4、撮像光軸5等が既知の関係となっている。機械基準点は、例えば、鉛直回転部9の回転中心に設定される。
【0024】
測距光軸4が水平の状態で、機械基準点は、設置基準点Rを通過する鉛直線6上に位置する様に設定される。設置基準点Rと測量装置1の機械基準点との距離は、メジャー等で測定され、既知となっている。
【0025】
測量装置1は、機械基準点を中心に鉛直方向に回転し、また機械基準点を中心に水平方向に回転する。また、鉛直回転角は姿勢検出ユニット26(図2参照)により検出され、水平回転角は分度盤8によって検出される。
【0026】
図2は、本実施形態に係る測量装置の概略構成図である。
図3は、図2に表した矢印Aの方向に眺めたときの平面図である。
測量装置1は、筐体7の背面に表示部11と操作部12とを有し、筐体7の内部に、測距光軸4を有する測定ユニット20と、演算処理ユニット24と、測距光の射出方向を検出する射出方向検出部25と、測量装置1の水平2方向の傾斜を検出する姿勢検出ユニット26と、撮像光軸5を有する撮像ユニット27と、測距光軸4を偏向する光軸偏向ユニット36等と、を主に有している。従って、測定ユニット20、姿勢検出ユニット26、撮像ユニット27、および光軸偏向ユニット36は、一体化されている。なお、表示部11はタッチパネルとし、操作部12と兼用させてもよい。
【0027】
測定ユニット20は、測距光射出部21と、受光部22と、測距部23と、により構成されている。
【0028】
測距光射出部21は、測距光を射出する。測距光射出部21は、射出光軸31を有する。射出光軸31上に発光素子32、例えばレーザダイオード(LD)が設けられる。更に、射出光軸31上に投光レンズ33が設けられる。
【0029】
また、射出光軸31上には、偏向光学部材としての第1反射鏡34が設けられる。更に、第1反射鏡34に対峙させ、且つ受光光軸37上に偏向光学部材としての第2反射鏡35が設けられる。
【0030】
第1反射鏡34および第2反射鏡35によって、射出光軸31は、測距光軸4と合致される。測距光軸4上に、光軸偏向ユニット36が配設される。
【0031】
受光部22は、測定対象物からの反射測距光を受光する。受光部22は、射出光軸31と平行な受光光軸37を有する。受光光軸37は、測距光軸4と共通となっている。
【0032】
受光光軸37上に受光素子38、例えばフォトダイオード(PD)が設けられる。また、結像レンズ39が配設されている。結像レンズ39は、反射測距光を受光素子38に結像する。受光素子38は反射測距光を受光し、受光信号を発生する。受光信号は、測距部23に入力される。
【0033】
更に、受光光軸37上で、結像レンズ39の対物側には、光軸偏向ユニット36が配置されている。
【0034】
測距部23は、発光素子32を制御し、測距光としてレーザ光線を発光させる。光軸偏向ユニット36(測距光偏向部36a)により、測定点に向う様、測距光軸4が偏向される。
【0035】
測定対象物から反射された反射測距光は、光軸偏向ユニット36(反射測距光偏向部36b)および結像レンズ39を介して受光部22に入射する。反射測距光偏向部36bは、測距光偏向部36aで偏向された測距光軸4を基の状態に復帰させる様再偏向し、反射測距光を受光素子38に受光させる。
【0036】
受光素子38は、受光信号を測距部23に送出する。測距部23は、受光素子38からの受光信号に基づき測定点(測距光が照射された点)の測距を行う。
【0037】
演算処理ユニット24は、入出力制御部、演算器(CPU)、記憶部等から構成される。記憶部には、測距作動を制御する測距プログラム、モータ47a,47bの駆動を制御する制御プログラム、画像マッチング等の画像処理を行う画像プログラム、入出力制御プログラム、射出方向検出部25からの射出方向の演算結果に基づき測距光軸4の方向角(水平角、鉛直角)を演算する方向角演算プログラム等のプログラムが格納される。更に、記憶部には測距データ、画像データ等の測定結果が格納される。
【0038】
記憶部としては、例えば、測量装置1に内蔵された半導体メモリなどが挙げられる。あるいは、記憶部としては、測量装置1に接続可能なCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、RAM(Random access memory)、ROM(Read only memory)、ハードディスク、メモリカードなどの種々の記憶媒体が挙げられる。
【0039】
測距部23は、記憶部に格納(記憶)されているプログラムを演算器が実行することにより実現されてもよい。なお、測距部23は、ハードウェアによって実現されてもよく、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0040】
演算処理ユニット24を含むコンピュータによって実行されるプログラムは、本発明の「測量プログラム」に相当する。ここでいう「コンピュータ」とは、パソコンには限定されず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0041】
次に、光軸偏向ユニット36について説明する。
光軸偏向ユニット36には、一対の光学プリズム41a,41bが配設される。光学プリズム41a,41bは、それぞれ円板状であり、受光光軸37に直交して配置され、重なり合い、平行に配置されている。光学プリズム41a,41bとしては、それぞれフレネルプリズムが用いられることが、装置を小型化する為に好ましい。
【0042】
光軸偏向ユニット36の中央部は、測距光が透過する測距光偏向部36aとなっている。光軸偏向ユニット36の中央部を除く部分は、反射測距光偏向部36bとなっている。
【0043】
光学プリズム41a,41bとして用いられるフレネルプリズムは、それぞれ平行に配置されたプリズム要素42a,42bと、多数のプリズム要素43a,43bと、によって構成され、板形状を有する。光学プリズム41a,41b及び各プリズム要素42a,42b及びプリズム要素43a,43bは、同一の光学特性を有する。
【0044】
プリズム要素42a,42bは、測距光偏向部36aを構成する。プリズム要素43a,43bは、反射測距光偏向部36bを構成する。
【0045】
フレネルプリズムは、光学ガラスから製作してもよいが、光学プラスチック材料でモールド成形したものでもよい。光学プラスチック材料でモールド成形することで、安価なフレネルプリズムを製作できる。
【0046】
光学プリズム41a,41bは、それぞれ受光光軸37を中心に個別に回転可能に配設されている。光学プリズム41a,41bは、回転方向、回転量、回転速度を独立して制御されることで、射出される測距光の測距光軸4を任意の偏向方向に偏向し、受光される反射測距光の受光光軸37を測距光軸4と平行に偏向する。
【0047】
光学プリズム41a,41bの外形形状は、それぞれ受光光軸37を中心とする円板状である。反射測距光の広がりを考慮し、光学プリズム41a,41bが充分な光量を取得できる様、光学プリズム41a,41bの直径が設定されている。
【0048】
光学プリズム41aの外周にはリングギア44aが嵌設されている。また、光学プリズム41bの外周にはリングギア44bが嵌設されている。
【0049】
リングギア44aには、駆動ギア46aが噛合している。駆動ギア46aは、モータ47aの出力軸に固着されている。リングギア44bには、駆動ギア46bが噛合している。駆動ギア46bは、モータ47bの出力軸に固着されている。モータ47a,47bは、演算処理ユニット24に電気的に接続されている。
【0050】
モータ47a,47bとしては、回転角を検出することができるもの、或は駆動入力値に対応した回転をするもの、例えばパルスモータが用いられる。或は、モータの回転量(回転角)を検出する回転検出器、例えばエンコーダ(図示せず)等を用いて、モータの回転量を検出してもよい。射出方向検出部25によりモータ47a,47bの回転量がそれぞれ検出される。射出方向検出部25の検出結果に基づき、演算処理ユニット24によりモータ47a,47bが個別に制御される。
【0051】
駆動ギア46a,46bおよびモータ47a,47bは、測距光射出部21と干渉しない位置、例えばリングギア44a,44bの下側に設けられている。
【0052】
投光レンズ33および測距光偏向部36a等は、投光光学系を構成する。反射測距光偏向部36bおよび結像レンズ39等は、受光光学系を構成する。
【0053】
射出方向検出部25は、モータ47a,47bに入力する駆動パルスをカウントすることでモータ47a,47bの回転角を検出し、或はエンコーダからの信号に基づきモータ47a,47bの回転角を検出する。
【0054】
更に、射出方向検出部25は、モータ47a,47bの回転角に基づき、光学プリズム41a,41bの回転位置を演算し、測距光偏向部36a(即ち、プリズム要素42a,42b)の屈折率と回転位置に基づき測距光の偏角(偏向方向)、射出方向を演算する。演算結果は、演算処理ユニット24に入力される。
【0055】
測量装置1において、姿勢検出ユニット26は、測距部23の射出光軸31に対する姿勢(傾斜角、傾斜方向)を検出する。検出結果は、演算処理ユニット24に入力される。
【0056】
演算処理ユニット24は、射出方向検出部25から入力された演算結果、および姿勢検出ユニット26から入力された検出結果などに基づいて、モータ47a,47bを個別に制御し、測定ユニット20により射出される測距光の走査軌跡の形状(すなわちスキャンパターン)を生成する制御を実行する。演算処理ユニット24がスキャンパターンを生成する制御の詳細については、後述する。
【0057】
図4は、本実施形態の姿勢検出ユニットを表す平面図である。
図5は、本実施形態の姿勢検出ユニットの概略構成図である。
以下の説明において、上下は図4中での上下に対応し、左右は図4中での左右に対応する。
【0058】
矩形枠形状の外フレーム51の内部に、矩形枠形状の内フレーム53が設けられる。内フレーム53の内部に、傾斜検出ユニット56が設けられる。
【0059】
内フレーム53の上面、下面から縦軸54,54が突設されている。縦軸54,54は、外フレーム51に設けられた軸受52,52と回転自在に嵌合する。縦軸54,54は、縦軸心14を有する。内フレーム53は、縦軸54,54を中心に左右方向に360゜回転自在となっている。縦軸54,54の縦軸心14が、測距光軸4と合致するか、或は平行、或は測距光軸4に直交する水平基準線(図示せず)と平行となっている。
【0060】
傾斜検出ユニット56は、横軸55に支持されている。横軸55の両端部は、内フレーム53に設けられた軸受57,57に回転自在に嵌合する。横軸55は、縦軸心14と直交する横軸心15を有する。傾斜検出ユニット56は、横軸55を中心に上下方向に360゜回転自在となっている。横軸55の横軸心15が、測距光軸4と合致するか、或は平行、或は測距光軸4に直交する水平基準線と平行となっている。
【0061】
つまり、傾斜検出ユニット56は、外フレーム51に対して2軸方向に360°回転自在のジンバル機構を介して支持された構成になっている。
【0062】
縦軸54,54の一方、例えば下側の縦軸54には、第1ギア58が取付けられている。第1ギア58には、第1駆動ギア59が噛合している。また、外フレーム51の下面には、第1モータ61が設けられている。第1駆動ギア59は、第1モータ61の出力軸に取付けられている。
【0063】
縦軸54,54の他方には、第1エンコーダ62が取付けられている。第1エンコーダ62は、内フレーム53の外フレーム51に対する左右方向の回転角を検出する様に構成されている。即ち、図1を参照すれば、第1エンコーダ62は煽り角ωを検出する。
【0064】
横軸55の一端部には、第2ギア63が取付けられている。第2ギア63には、第2駆動ギア64が噛合している。また、内フレーム53の側面(図示では左側面)には、第2モータ65が取付けられている。第2駆動ギア64は、第2モータ65の出力軸に取付けられている。
【0065】
横軸55の他端部には、第2エンコーダ66が取付けられている。第2エンコーダ66は、内フレーム53に対する傾斜検出ユニット56の上下方向の回転角を検出する様に構成されている。
【0066】
第1エンコーダ62および第2エンコーダ66は、演算部68に電気的に接続されている。第1エンコーダ62および第2エンコーダ66の検出結果は、演算部68に入力される。
【0067】
傾斜検出ユニット56は、第1傾斜センサ71および第2傾斜センサ72を有している。第1傾斜センサ71および第2傾斜センサ72は、演算部68に電気的に接続されている。第1傾斜センサ71および前記第2傾斜センサ72の検出結果は、演算部68に入力される。
【0068】
姿勢検出ユニット26について、図5を参照して更に説明する。
姿勢検出ユニット26は、第1エンコーダ62、第2エンコーダ66、第1傾斜センサ71、第2傾斜センサ72、演算部68、第1モータ61、および第2モータ65の他に、更に記憶部73、および入出力制御部74を具備している。
【0069】
記憶部73には、姿勢検出の為の演算プログラム等のプログラム、及び演算データ等のデータ類を格納している。
【0070】
入出力制御部74は、演算部68から出力される制御指令に基づき第1モータ61および第2モータ65を駆動し、演算部68で演算した傾斜検出結果を検出信号として出力する。
【0071】
第1傾斜センサ71は、水平を高精度に検出するものであり、例えば水平液面に検出光を入射させ反射光の反射角度の変化で水平を検出する傾斜検出器、或は封入した気泡の位置変化で傾斜を検出する気泡管である。また、第2傾斜センサ72は、傾斜変化を高応答性で検出するものであり、例えば加速度センサである。
【0072】
なお、第1傾斜センサ71および第2傾斜センサ72のいずれも、第1エンコーダ62が検出する回転方向(傾斜方向)、および第2エンコーダ66が検出する回転方向(傾斜方向)の2軸方向の傾斜を個別に検出可能となっている。
【0073】
演算部68は、第1傾斜センサ71および第2傾斜センサ72からの検出結果に基づき、傾斜角および傾斜方向を演算し、更に傾斜角および傾斜方向に相当する第1エンコーダ62の回転角、および第2エンコーダ66の回転角により測量装置1の鉛直に対する傾斜角を演算する。
【0074】
演算された第1エンコーダ62の回転角、および第2エンコーダ66の回転角を合成することで傾斜角および傾斜方向が演算される。傾斜角および傾斜方向は、水平に対する筐体7、即ち測定ユニット20の傾斜角および傾斜方向(相対傾斜角)に対応する。
【0075】
そうして、第1モータ61、第2モータ65、第1エンコーダ62、第2エンコーダ66、および演算部68は、相対傾斜角検出部を構成する。
【0076】
なお、姿勢検出ユニット26は、外フレーム51が水平に設置された場合に、第1傾斜センサ71が水平を検出する様に設定され、更に第1エンコーダ62の出力、および第2エンコーダ66の出力が共に基準位置(回転角0゜)を示す様に設定される。
【0077】
以下、姿勢検出ユニット26の作用について説明する。
先ず、高精度に傾斜を検出する場合について説明する。
【0078】
姿勢検出ユニット26が傾斜すると、第1傾斜センサ71が傾斜に応じた信号を出力する。
【0079】
演算部68は、第1傾斜センサ71からの信号に基づき、傾斜角および傾斜方向を演算し、更に演算結果に基づき傾斜角および傾斜方向を0にする為の、第1モータ61および第2モータ65の回転量を演算し、入出力制御部74を介して第1モータ61および第2モータ65を回転量駆動する駆動指令を発する。
【0080】
第1モータ61および第2モータ65の駆動により、演算された傾斜角および傾斜方向の逆に傾斜する様、第1モータ61および第2モータ65が駆動される。モータの回転量(回転角)は、第1エンコーダ62および第2エンコーダ66によって検出される。回転角が演算結果となったところで、第1モータ61、前記第2モータ65の駆動が停止される。
【0081】
この状態では、外フレーム51および内フレーム53が傾斜した状態で、傾斜検出ユニット56が水平に制御される。
【0082】
従って、傾斜検出ユニット56を水平とする為に、第1モータ61および第2モータ65により、内フレーム53および傾斜検出ユニット56を傾斜させた傾斜角は、第1エンコーダ62および第2エンコーダ66で検出した回転角に基づき求められる。
【0083】
演算部68は、第1傾斜センサ71が水平を検出した時の、第1エンコーダ62および第2エンコーダ66の検出結果に基づき姿勢検出ユニット26の水平に対する傾斜角および傾斜方向を演算する。この演算結果が、姿勢検出ユニット26の傾斜後の姿勢を示す。
【0084】
従って、演算部68が演算する傾斜角および傾斜方向は、測量装置1の水平に対する傾斜角および傾斜方向となる。
【0085】
演算部68は、演算された傾斜角および傾斜方向を姿勢検出ユニット26の検出信号として入出力制御部74を介して外部に出力する。
【0086】
姿勢検出ユニット26では、図4に示される構造の通り、傾斜検出ユニット56および内フレーム53の回転を制約するものがなく、傾斜検出ユニット56および内フレーム53は、共に360゜以上の回転が可能である。即ち、姿勢検出ユニット26がどの様な姿勢となろうとも(例えば、姿勢検出ユニット26の天地が逆になった場合でも)、全方向での姿勢検出が可能である。
【0087】
高応答性を要求する場合には、第2傾斜センサ72の検出結果に基づき姿勢検出および姿勢制御が行われる。ここで、第2傾斜センサ72の検出精度は、第1傾斜センサ71の検出精度に比べて悪いのが一般的である。
【0088】
本実施形態に係る測量装置1では、高精度の第1傾斜センサ71と高応答性の第2傾斜センサ72とを具備することで、第2傾斜センサ72の検出結果に基づき姿勢制御を行い、第1傾斜センサ71により高精度の姿勢検出を可能とする。
【0089】
つまり、第2傾斜センサ72が検出した傾斜角に基づき、傾斜角が0°になる様に第1モータ61および第2モータ65を駆動する。更に、第1傾斜センサ71が水平を検出するまで、第1モータ61および第2モータ65の駆動を継続することにより、高精度に姿勢を検出することが可能となる。第1傾斜センサ71が水平を検出した時の第1エンコーダ62および第2エンコーダ66の値(即ち実際の傾斜角)と、第2傾斜センサ72が検出した傾斜角と、の間で偏差を生じれば、偏差に基づき第2傾斜センサ72の傾斜角を較正することができる。
【0090】
従って、予め、第2傾斜センサ72の検出傾斜角と、第1傾斜センサ71による水平検出と、第1エンコーダ62および第2エンコーダ66の検出結果と、に基づき、求めた傾斜角との関係を取得しておけば、第2傾斜センサ72に検出された傾斜角の較正(キャリブレーション)をすることができ、第2傾斜センサ72による高応答性での姿勢検出の精度を向上させることができる。
【0091】
上述した様に、姿勢検出ユニット26により、測量装置1の設置状態での傾斜角および傾斜方向を高精度で検出でき、検出結果に基づき測定結果を補正できるので、測量装置1を水平に整準する必要がない。即ち、どの様な設置状態でも高精度の測定が可能であり、測量装置1が整準装置を具備する必要がない。
【0092】
次に、撮像ユニット27は、撮像光軸5を有している。撮像光軸5は、光軸偏向ユニット36が測距光軸4を偏向していない状態で、測距光軸4と平行となる様に設定されている。撮像光軸5上に、結像レンズ48および撮像素子49が設けられている。
【0093】
撮像ユニット27の画角は、光軸偏向ユニット36により光軸を偏向可能な範囲と同等、または若干大きく設定されている。撮像ユニット27の画角は、例えば5゜となっている。
【0094】
また、撮像素子49は、画素の集合体であり、例えばCCD或はCMOSセンサである。撮像素子49の各画素は、画像素子上での位置を特定可能とされている。例えば、撮像素子49の各画素は、各カメラの光軸を原点とした座標系で位置を特定される。
【0095】
先ず、測量装置1による測定作動について、図6(A)、図6(B)、図6(C)を参照して説明する。
図6(A)~(C)は、本実施形態の光軸偏向ユニットの作用を示す説明図である。
なお、図6(A)では説明を簡略化する為、光学プリズム41a,41bについて、プリズム要素42a,42bおよびプリズム要素43a,43bを分離して示している。また、図6(A)で示されるプリズム要素42a,42bおよびプリズム要素43a,43bは、最大の偏角が得られる状態となっている。また、最小の偏角は、光学プリズム41a,41bのいずれか一方が180゜回転した位置である。偏角は、0゜となる。射出されるレーザ光線の光軸(測距光軸4)は、射出光軸31と平行となる。
【0096】
発光素子32から測距光が発せられる。測距光は、投光レンズ33で平行光束とされ、測距光偏向部36a(プリズム要素42a,42b)を透過して測定対象物あるいは測定対象エリアに向けて射出される。ここで、測距光は、測距光偏向部36aを透過することで、プリズム要素42a,42bによって所要の方向に偏向されて射出される。
【0097】
測定対象物あるいは測定対象エリアで反射された反射測距光は、反射測距光偏向部36b(プリズム要素43a,43b)を透過して入射され、結像レンズ39により受光素子38に集光される。
【0098】
反射測距光が反射測距光偏向部36bを透過することで、反射測距光の光軸は、受光光軸37と合致する様にプリズム要素43a,43bによって偏向される(図6(A))。
【0099】
プリズム要素42aとプリズム要素42bとの回転位置の組合わせにより、射出する測距光の偏向方向および偏角を任意に変更することができる。
【0100】
また、プリズム要素42aとプリズム要素42bとの位置関係を固定した状態で(プリズム要素42aとプリズム要素42bとで得られる偏角を固定した状態で)、モータ47a,47bにより、プリズム要素42aとプリズム要素42bとを一体に回転することで、測距光偏向部36aを透過した測距光が描く軌跡は、測距光軸4を中心とした円となる。
【0101】
従って、発光素子32よりレーザ光線を発光させつつ、光軸偏向ユニット36を回転させれば、測距光を円の軌跡で走査させることができる。
【0102】
なお、反射測距光偏向部36bは、測距光偏向部36aと一体に回転していることは言う迄もない。
【0103】
次に、図6(B)は、プリズム要素42aと前記プリズム要素42bとを相対回転させた場合を示している。プリズム要素42aにより偏向された光軸の偏向方向を偏向Aとし、プリズム要素42bにより偏向された光軸の偏向方向を偏向Bとすると、プリズム要素42a,42bによる光軸の偏向は、プリズム要素42a,42b間の角度差θとして、合成偏向Cとなる。
【0104】
従って、角度差θを変化させる度に、光軸偏向ユニット36を1回転させれば、直線状に測距光を走査させることができる。
【0105】
更に、図6(C)に示される様に、プリズム要素42aの回転速度に対して遅い回転速度でプリズム要素42bを回転させれば、角度差θは漸次増大しつつ測距光が回転される。そのため、測距光の走査軌跡は、スパイラル状となる。
【0106】
更にまた、プリズム要素42aおよびプリズム要素42bの回転方向および回転速度を個々に制御することで、測距光の走査軌跡を射出光軸31を中心とした照射方向(半径方向の走査)とし、或は水平方向および垂直方向とする等、種々の走査状態が得られる。
【0107】
測定の態様としては、光軸偏向ユニット36(プリズム要素42a,42b)を所要偏角毎に固定して測距を行うことで、特定の測定点についての測距を行うことができる。更に、光軸偏向ユニット36の偏角を変更しつつ、測距を実行することで、即ち測距光を走査しつつ測距を実行することで走査軌跡上の測定点についての測距データを取得することができる。
【0108】
また、各測距光の射出方向角は、モータ47a,47bの回転角により検出できる。射出方向角と測距データとを関連付けることで、測定対象物の3次元の測距データを取得することができる。3次元の測距データは、3次元情報、3次元データおよび3次元点群データなどとも呼ばれる。
【0109】
更に、射出光軸31の水平に対する傾きは、姿勢検出ユニット26によって検出することができる。姿勢検出ユニット26が検出した傾きに基づき測距データを補正し、高精度の測距データとすることができる。
【0110】
次に、本実施形態に係る測量装置1では、3次元の測距データを取得すると共に画像データを取得することもできる。
【0111】
測定対象物が選択されると、測定対象物が撮像ユニット27によって捕捉される様、測量装置1を測定対象物へ向ける。撮像ユニット27で取得された画像は、表示部11に表示される。
【0112】
撮像ユニット27で取得された画像は、測量装置1の測定範囲と一致、又は略一致しているので、測定者は視覚によって容易に測定範囲を特定できる。
【0113】
また、測距光軸4と撮像光軸5とは、互いに平行であり、且つ、既知の関係である。そのため、演算処理ユニット24は、撮像ユニット27による画像上で画像中心と測距光軸4とを一致させることができる。更に、演算処理ユニット24は、測距光の射出方向角を検出することで、射出方向角に基づき画像上に測定点を特定できる。従って、測定点の3次元データと画像の関連付けを容易に行え、撮像ユニット27で取得した画像を3次元データ付の画像とすることができる。
【0114】
次に、本実施形態の演算処理ユニット24が測距光の走査軌跡の形状(スキャンパターン)を生成する制御を、図面を参照して説明する。
図7は、本実施形態の演算処理ユニットが測距光のスキャンパターンを生成する制御の概略を示すフローチャートである。
【0115】
演算処理ユニット24は、まず、撮像ユニット27により撮像された測定対象物を含む画像に基づいて測定対象物の大まかな形状を把握する。そして、演算処理ユニット24は、把握した測定対象物の大まかな形状に基づいて、測定ユニット20により射出される測距光のスキャンパターンを生成する制御を実行する。
【0116】
図7を参照して演算処理ユニット24が実行する制御を説明すると、まず、ステップS11において、測定者は、器械すなわち測量装置1を設置する。続いて、ステップS12において、測定者は、撮像ユニット27により撮像された画像により測定対象物を認識する。あるいは、撮像ユニット27により撮像された画像は、奥行きを有する深度画像であってもよい。この場合には、ステップS13において、測定者は、撮像ユニット27により撮像された深度画像により測定対象物を認識する。
【0117】
続いて、ステップS14において、測定者は、指定したオブジェクト(すなわち3次元データを取得したい測定対象物)を、撮像ユニット27により撮像された画像から抽出する。例えば、表示部11がタッチパネルであり操作部12と兼用されている場合において、測定者は、表示部11に表示された画像の中から測定対象物あるいは測定対象エリアを選択し指定する。
【0118】
続いて、3次元データを取得したい測定対象物が抽出されると、ステップS16において、演算処理ユニット24は、公知のセマンティック・セグメンテーション(Semantic Segmentation)を実行する。測定対象物としては、例えば、人、車、電柱、I-Beam(I型鋼)、配管などが挙げられる。ステップS16に続くステップS18において、演算処理ユニット24は、撮像ユニット27により撮像された画像のピクセル単位で測定対象物の形状を識別する。
【0119】
あるいは、ステップS14に続くステップS17において、演算処理ユニット24は、測定対象物のエッジ検出を行い、スキャンエリアを分離してもよい。
【0120】
またあるいは、ステップS12およびステップS13に続くステップS15において、測定者は、撮像ユニット27により撮像された画像(深度画像を含む。)により測定対象物として移動物体を認識してもよい。つまり、3次元データを取得したい測定対象物は、電柱や配管などの静止物体だけではなく移動物体であってもよい。ステップS15に続くステップS19において、演算処理ユニット24は、撮像ユニット27により撮像された画像の中において移動物体のトラッキングを行う。
【0121】
ステップS18およびステップS19に続くステップS20において、演算処理ユニット24は、検出されたピクセルに対応した位置をスキャンする制御を実行する。すなわち、演算処理ユニット24は、ステップS18において撮像ユニット27により撮像された画像のピクセル単位で測定対象物の形状を識別したり、ステップS19において撮像ユニット27により撮像された画像の中において移動物体のトラッキングを行ったりすることで、測定対象物の大まかな形状を把握する。そして、演算処理ユニット24は、把握した測定対象物の大まかな形状に基づいて、測定ユニット20により射出される測距光のスキャンパターンを生成する。演算処理ユニット24は、生成したスキャンパターンに基づいて、モータ47a,47bを個別に制御することにより、検出されたピクセルに対応した位置をスキャンする制御を実行することができる。
【0122】
続いて、ステップS21において、演算処理ユニット24は、スキャンを行った測定対象物の奥行きに対応して測定密度(すなわち点群データの密度)を変更する。例えば、演算処理ユニット24は、測量装置1から相対的に遠い位置に存在する測定対象エリアにおける3次元データが相対的に粗とならず均一となるように、測定対象物の奥行きに対応して測定密度を変更する。
【0123】
続いて、ステップS22において、演算処理ユニット24は、演算処理ユニット24が生成したスキャンパターンにより測定ユニット20が測距を行い取得した測定対象物の3次元データに基づいて、スキャンパターンを更新する。
【0124】
続いて、ステップS23において、演算処理ユニット24は、撮像ユニット27により撮像された画像上で測定対象物の移動を追尾してトラッキングを行う。
【0125】
次に、本実施形態の演算処理ユニット24が測距光の走査軌跡の形状(スキャンパターン)を生成する制御を、図8図10を参照してさらに説明する。
図8は、本実施形態の演算処理ユニットが測距光のスキャンパターンを生成する制御の具体例を示すフローチャートである。
図9および図10は、本実施形態の演算処理ユニットによって生成されたスキャンパターンを例示する模式図である。
【0126】
まず、図8に表したステップS31において、測定者は、撮像ユニット27により撮像された画像内で認識した測定対象エリアのピクセルをピックアップする。例えば、表示部11がタッチパネルであり操作部12と兼用されている場合において、測定者は、表示部11に表示された画像の中から測定対象物あるいは測定対象エリアを選択し指定する。図8に表したステップS31は、例えば、図7に関して前述したステップS14に相当する。
【0127】
続いて、ステップS32において、演算処理ユニット24は、ピックアップした測定対象エリアに対して公知の主成分分析を行う。本実施形態の主成分分析は、測定対象物および測定対象エリアに関する情報の損失を抑えつつ測定対象物および測定対象エリアに関する情報の縮約を図ることができる公知の方法あるいは手法である。
【0128】
続いて、ステップS33において、演算処理ユニット24は、主成分分析を行った結果、第一主成分101(図9(A)~図10(C)参照)を検出する。第一主成分101の軸は、軸上に投影されたデータの分散が最大となる軸である。続いて、ステップS34において、演算処理ユニット24は、第一主成分101と直交する成分(すなわち第二主成分102)(図9(A)~図10(C)参照)を抽出する。第二主成分102は、第一主成分101に直交する軸のうち、軸上に投影されたデータの分散が最大となる軸である。
【0129】
続いて、ステップS35において、演算処理ユニット24は、第一主成分101と直交成分(すなわち第二主成分102)との比を比較する。すなわち、測定対象物あるいは測定対象エリアにおいて、第一主成分101の軸の長さと第二主成分102の軸の長さとの比を比較する。
【0130】
第二主成分102に対する第一主成分101の比率が所定比率未満である場合、すなわち第一主成分101と第二主成分102との比率が比較的近い場合には、ステップS36において、演算処理ユニット24は、測定対象物の形状が四角か円に近いものであるとして測定対象物の大まかな形状を把握する。そして、演算処理ユニット24は、測定対象物について主成分を中心に12方向の長さを調べ、測定対象物の形状が四角に近いものであるか、あるいは円に近いものであるかを判断する。そして、演算処理ユニット24は、把握した測定対象物の大まかな形状に基づいて、測定ユニット20により射出される測距光のスキャンパターンを生成し、生成したスキャンパターンに基づいてモータ47a,47bを個別に制御することにより、測定対象物の重心を中心に円スキャンを行う。
【0131】
例えば、図9(A)に表したように、演算処理ユニット24は、測定対象物81Aの形状が円に近いものであるとして測定対象物の大まかな形状を把握した場合には、円形状の測距光の走査軌跡91A(スキャンパターン)を生成する。そして、図9(A)に表した矢印A1のように、演算処理ユニット24は、モータ47a,47bを個別に制御することにより、円形状の測距光の走査軌跡91Aを測定対象物81Aの重心を中心に円スキャンを行う。
【0132】
また例えば、図9(B)に表したように、演算処理ユニット24は、測定対象物81Bの形状が四角に近いものであるとして測定対象物の大まかな形状を把握した場合には、円形状の測距光の走査軌跡91B(スキャンパターン)を生成する。そして、図9(B)に表した矢印A2のように、演算処理ユニット24は、モータ47a,47bを個別に制御することにより、円形状の測距光の走査軌跡91Bを測定対象物81Bの重心を中心に円スキャンを行う。このとき、演算処理ユニット24は、ステップS36で調べた「12方向の長さ」に応じて測距光の走査軌跡91Bの直径を変更する。あるいは、図9(C)に表した矢印A3のように、演算処理ユニット24は、モータ47a,47bを個別に制御することにより、円形状の測距光の走査軌跡91Bを測定対象物81Bの縁に沿って移動させてスキャンを行う。
【0133】
また例えば、図10(A)に表したように、演算処理ユニット24は、測定対象物81Cの形状が四角にやや近いものであるとして測定対象物の大まかな形状を把握した場合には、円形状の測距光の走査軌跡91C(スキャンパターン)を生成する。そして、図10(A)に表した矢印A4ように、演算処理ユニット24は、モータ47a,47bを個別に制御することにより、円形状の測距光の走査軌跡91Cを測定対象物81Cの重心を中心に円スキャンを行う。このとき、演算処理ユニット24は、ステップS36で調べた「12方向の長さ」に応じて測距光の走査軌跡91Bの直径を変更する。あるいは、図9(C)に関して前述した場合と同様に、演算処理ユニット24は、モータ47a,47bを個別に制御することにより、円形状の測距光の走査軌跡91Cを測定対象物81Cの縁に沿って移動させてスキャンを行ってもよい。
【0134】
一方で、第二主成分102に対する第一主成分101の比率が所定比率以上である場合、すなわち第一主成分101と第二主成分102との比率が比較的遠い場合には、ステップS37において、演算処理ユニット24は、測定対象物の形状が長方形に近いものであるとして測定対象物の大まかな形状を把握する。そして、演算処理ユニット24は、把握した測定対象物の大まかな形状に基づいて、測定ユニット20により射出される測距光のスキャンパターンを生成し、生成したスキャンパターンに基づいてモータ47a,47bを個別に制御することにより、測定対象物のスキャンを行う。
【0135】
例えば、図10(B)に表したように、演算処理ユニット24は、測定対象物81Dの形状が長方形に近いものであるとして測定対象物の大まかな形状を把握した場合には、主成分に沿った楕円形状の測距光の走査軌跡91D(スキャンパターン)を生成する。そして、図10(B)に表した矢印A5のように、演算処理ユニット24は、モータ47a,47bを個別に制御することにより、楕円形状の測距光の走査軌跡91Dを測定対象物81Dの重心を中心に回転させてスキャンを行う。
【0136】
あるいは、図10(C)に表したように、演算処理ユニット24は、測定対象物81Dの形状が長方形に近いものであるとして測定対象物の大まかな形状を把握した場合には、直線状の測距光の走査軌跡91E(スキャンパターン)を生成する。そして、図10(C)に表した矢印A6のように、演算処理ユニット24は、モータ47a,47bを個別に制御することにより、直線状の測距光の走査軌跡91Eを主成分(図10(C)では第一主成分101)に沿ってジグザグに移動させてスキャンを行う。
【0137】
あるいは、演算処理ユニット24は、測定対象物の形状が長方形に近いものであるとして測定対象物の大まかな形状を把握した場合において、円形状の測距光の走査軌跡(図示せず)を生成してもよい。そして、演算処理ユニット24は、モータ47a,47bを個別に制御することにより、円形状の測距光の走査軌跡を主成分に沿って移動させてスキャンを行ってもよい。あるいは、演算処理ユニット24は、測定対象物の形状が長方形に近いものであるとして測定対象物の大まかな形状を把握した場合において、螺旋状の測距光の走査軌跡(図示せず)を生成してもよい。そして、演算処理ユニット24は、モータ47a,47bを個別に制御することにより、螺旋形状の測距光の走査軌跡を主成分に沿って移動させてスキャンを行ってもよい。
【0138】
続いて、ステップS36およびステップS37に続くステップS38において、演算処理ユニット24は、認識された測定対象物の色および種類の少なくともいずれかに応じてEDM絞りを変更する。なお、演算処理ユニット24は、ステップS38を必ずしも実行しなくともよい。
【0139】
続いて、ステップS39において、演算処理ユニット24は、モータ47a,47bを個別に制御することにより、撮像ユニット27により撮像された画像に対応する測定対象エリアをスキャンする。そして、演算処理ユニット24は、測定対象エリアの3次元情報(3次元データ)を取得する。
【0140】
続いて、ステップS40において、演算処理ユニット24は、取得した測定対象エリアの3次元情報(3次元データ)に基づいてスキャンパターンを修正(更新)する。すなわち、演算処理ユニット24は、演算処理ユニット24が生成したスキャンパターンにより測定ユニット20が測距を行い取得した測定対象物の3次元情報(3次元データ)に基づいて、スキャンパターンを修正(更新)する。例えば、演算処理ユニット24は、スキャン密度を修正する。
【0141】
続いて、ステップS41において、演算処理ユニット24は、スキャンデータにより測定対象エリアのうちで最も大きな面を抽出し、抽出した面に正対した状態で測定対象物の形状を判断し、スキャンパターンの作成(生成)を行う。
【0142】
続いて、ステップS42において、演算処理ユニット24は、判断した測定対象物の形状を画像上に投影し、スキャンのパラメータを計算する。
【0143】
以上説明したように、本実施形態に係る測量装置1によれば、演算処理ユニット24は、まず、撮像ユニット27により撮像された測定対象物を含む画像に基づいて測定対象物の大まかな形状を把握する。そして、演算処理ユニット24は、把握した測定対象物の大まかな形状に基づいて測定ユニット20により射出される測距光のスキャンパターンを生成する制御を実行する。そのため、測定ユニット20は、3次元データを取得したい測定対象物を含む特徴的なエリアだけをスキャンして測距を行う。言い換えれば、測定ユニット20は、3次元データを取得したい測定対象物を含まない余分なエリアをスキャンせず、余分なエリアの測距を行わない。これにより、本実施形態に係る測量装置1は、測量に要する時間および測量後の画像処理に要する時間の短縮化を図り、測量の効率を向上させることができる。
【0144】
また、測定ユニット20は、360度の方向に測距光を回転照射して測距を行う場合と比較して、3次元データを取得したい測定対象物を含む特徴的なエリアを早い周期で複数回に亘ってスキャンして測距を行うことができる。そのため、撮像ユニット27により撮像された測定対象物を含む画像が例えば奥行きを有する深度画像である場合であっても、本実施形態に係る測量装置1は、測量に要する時間の短縮化を図りつつ、測定対象物に対して比較的細かいグリッド構造を定義し、3次元データを取得したい測定対象物を含む特徴的なエリアにおいて均一な測量を行うことができる。これにより、本実施形態に係る測量装置1は、測量の精度を向上させることができる。
【0145】
また、演算処理ユニット24は、撮像ユニット27により撮像された測定対象物を含む画像の主成分分析を行うことにより測定対象物の大まかな形状を把握する。そのため、演算処理ユニット24は、測定対象物に関する情報の損失を抑えつつ測定対象物に関する情報の縮約を図り、測定対象物の大まかな形状を効率的に把握することができる。
【0146】
さらに、演算処理ユニット24は、測定ユニット20が取得した測定対象物の3次元情報に基づいてスキャンパターンを更新する。そのため、測定ユニット20は、演算処理ユニット24により更新されたスキャンパターンに基づいて測距光を射出し、3次元データを取得したい測定対象物を含む特徴的なエリアだけをより効率的にスキャンして測距を行うことができる。これにより、本実施形態に係る測量装置1は、測量に要する時間および測量後の画像処理に要する時間の短縮化をさらに図り、測量の効率をさらに向上させることができる。
【0147】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0148】
1:測量装置、 2:三脚、 3:基台ユニット、 4:測距光軸、 5:撮像光軸、 6:鉛直線、 7:筐体、 8:分度盤、 9:鉛直回転部、 11:表示部、 12:操作部、 14:縦軸心、 15:横軸心、 20:測定ユニット、 21:測距光射出部、 22:受光部、 23:測距部、 24:演算処理ユニット、 25:射出方向検出部、 26:姿勢検出ユニット、 27:撮像ユニット、 31:射出光軸、 32:発光素子、 33:投光レンズ、 34:第1反射鏡、 35:第2反射鏡、 36:光軸偏向ユニット、 36a:測距光偏向部、 36b:反射測距光偏向部、 37:受光光軸、 38:受光素子、 39:結像レンズ、 41a、41b:光学プリズム、 42a、42b、43a、43b:プリズム要素、 44a、44b:リングギア、 46a、46b:駆動ギア、 47a、47b:モータ、 48:結像レンズ、 49:撮像素子、 51:外フレーム、 52:軸受、 53:内フレーム、 54:縦軸、 55:横軸、 56:傾斜検出ユニット、 57:軸受、 58:第1ギア、 59:第1駆動ギア、 61:第1モータ、 62:第1エンコーダ、 63:第2ギア、 64:第2駆動ギア、 65:第2モータ、 66:第2エンコーダ、 68:演算部、 71:第1傾斜センサ、 72:第2傾斜センサ、 73:記憶部、 74:入出力制御部、 81A、81B、81C、81D、81E:測定対象物、 91A、91B、91C、91D、91E:走査軌跡、 101:第一主成分、 102:第二主成分、 R:設置基準点、 θ:角度差、 ω:角

図1
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図10