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特許7572843作業従事者管理支援システムおよび作業従事者管理支援処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】作業従事者管理支援システムおよび作業従事者管理支援処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0639 20230101AFI20241017BHJP
【FI】
G06Q10/0639
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020193788
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2022082304
(43)【公開日】2022-06-01
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】597132849
【氏名又は名称】株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】左近允 晃
(72)【発明者】
【氏名】樋口 正己
(72)【発明者】
【氏名】若林 洋輔
【審査官】谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-527878(JP,A)
【文献】国際公開第2020/013060(WO,A1)
【文献】特開2020-027324(JP,A)
【文献】特開平11-154231(JP,A)
【文献】特開2000-354943(JP,A)
【文献】特開2020-149150(JP,A)
【文献】特開2020-052758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業に従事する作業従事者の動画を撮影する撮影装置と、
前記撮影された動画から得られる前記作業従事者のバイタル情報と前記作業従事者の複数の関節の位置により表される動作情報とに基づいて前記作業従事者に関する所定事象の発生を予測する処理装置と、
前記所定事象の発生が予測された旨を提示する管理装置と、を有し、
前記処理装置は、学習データを学習することにより、作業従事者のバイタル情報と動作情報とを入力とし作業従事者に関する心身の異常の発生の予測結果を出力とする心身異常予測モデルを生成し、該心身異常予測モデルを用いて前記作業従事者に関する心身の異常の発生を予測し、
前記管理装置は、前記予測された心身の異常が発生したか否かを表す実績情報を前記作業従事者から取得し、該実績情報を前記学習データに加えるデータとして前記処理装置に提供する、ものであり、
前記処理装置は、
前記心身異常予測モデルを用いずに、前記バイタル情報の指標値を所定のしきい値と比較した結果と、前記動作情報とに基づいて、前記作業従事者の心身の異常の発生を予測する第1心身異常予測部と、
前記バイタル情報および前記動作情報を前記心身異常予測モデルに入力し、前記心身異常予測モデルの出力から、前記作業従事者の心身の異常の発生の予測の結果を取得する第2心身異常予測部と、
前記実績情報を第2心身異常予測部による予測の結果と照合して前記心身異常予測モデルによる予測精度の良否を定め、前記予測精度が良であれば前記第2心身異常予測部による予測結果を前記管理装置に提供し、前記予測精度が良でなければ前記第1心身異常予測部による予測結果を前記管理装置に提供する予測制御部と、
を有し、
前記予測精度が良でない間にも前記第2心身異常予測部が前記心身異常予測モデルの出力から前記作業従事者の心身の異常の予測の結果を取得し、前記第1心身異常予測部にて心身の異常が予測されたときに得られる実績情報を、前記第2心身異常予測部による予測の結果と照合して前記予測精度の良否を定め、前記実績情報を、前記バイタル情報および前記動作情報と組み合わせて前記学習データとする、
作業従事者管理支援システム。
【請求項2】
前記処理装置は、作業従事者のバイタル情報および動作情報を入力とし作業従事者による作業の不良の発生の予測結果を出力とする作業不良予測モデルに、前記バイタル情報および前記動作情報を入力し、前記作業不良予測モデルの出力から、前記作業従事者による作業の不良の発生の予測の結果を取得する作業不良予測部を更に有する、
請求項に記載の作業従事者管理支援システム。
【請求項3】
前記処理装置がクラウド上に実現される、
請求項1に記載の作業従事者管理支援システム。
【請求項4】
撮影装置で撮影された作業に従事する作業従事者の動画から得られる前記作業従事者のバイタル情報と前記作業従事者の複数の関節の位置により表される動作情報とに基づいて前記作業従事者に関する所定事象の発生を予測し、前記所定事象の発生が予測された旨を提示するコンピュータシステムが、
学習データを学習することにより、作業従事者のバイタル情報と動作情報とを入力とし作業従事者に関する心身の異常の発生の予測結果を出力とする心身異常予測モデルを生成し、該心身異常予測モデルを用いて前記作業従事者に関する心身の異常の発生を予測し、
前記予測された心身の異常が発生したか否かを表す実績情報を前記作業従事者から取得し、該実績情報を前記学習データに加えるデータとして提供する、方法であり、
前記心身異常予測モデルを用いずに、前記バイタル情報の指標値を所定のしきい値と比較した結果と、前記動作情報とに基づいて、前記作業従事者の心身の異常の発生を予測する第1予測処理と、
前記バイタル情報および前記動作情報を前記心身異常予測モデルに入力し、前記心身異常予測モデルの出力から、前記作業従事者の心身の異常の発生の予測の結果を取得する第2予測処理とが可能であり、
前記実績情報を第2予測処理による予測の結果と照合して前記心身異常予測モデルによる予測精度の良否を定め、前記予測精度が良であれば前記第2予測処理による予測結果を提供し、前記予測精度が良でなければ前記第1予測処理による予測結果を提供し、
前記予測精度が良でない間にも前記第2予測処理として前記心身異常予測モデルの出力から前記作業従事者の心身の異常の予測の結果を取得し、前記第1予測処理にて心身の異常が予測されたときに得られる実績情報を、前記第2予測処理による予測の結果と照合して前記予測精度の良否を定め、前記実績情報を、前記バイタル情報および前記動作情報と組み合わせて前記学習データとする、
作業従事者管理支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、企業等で作業に従事する従業員の画像に基づいて従業員の状態を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人物を撮影した動画からその人物の心身状態を表すバイタルサインの情報(以下、バイタル情報という)を取得する技術が研究されている(非特許文献1参照)。バイタル情報は、例えば、心拍、血圧、体温、血中酸素濃度、ストレスレベル、血中アルロール濃度などである。この技術により、人物の心拍や体表温度を測定するために着用するセンシングウェアや、指を挟んで人物の血中酸素濃度を測定するパルスオキシメーターといった専用デバイスを用いることなく、カメラで撮影した画像から精度の高いバイタル情報を取得することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】東北大学サイバーサイエンスセンター 吉沢 誠,東北大学 大学院工学研究科 杉田 典大、「血行状態モニタリング装置“魔法の鏡”の開発」、光技術コンタクト誌 2017年10月号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製造現場や倉庫などで作業を行う従業員、鉄道、バス、タクシーなどの運転士(運転手)、飛行機や船舶の操縦士など、何らかの作業に従事する人物(作業従事者)は、業務を安全に遂行するためにも、心身の健康が求められる。非特許文献1には、そこに開示された技術を職場の鏡と一体化したコンピュータに適用した鏡型ディスプレイが開示されている。これは、職場での従業員の健康状態のチェックを可能にするものである。しかし、非特許文献1に開示された技術では、鏡型ディスプレイの前に立たなければ、作業従事者の健康状態をチェックできず、製造現場や倉庫などで作業に従事している従業員の作業をリアルタイムでチェックすることはできない。
【0005】
本開示のひとつの目的は、作業に従事する従業員の作業の維持管理を支援する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のひとつの態様による作業従事者管理支援システムは、作業に従事する作業従事者の動画を撮影する撮影装置と、前記撮影された動画から得られる前記作業従事者のバイタル情報に基づいて前記作業従事者に関する所定事象の発生を予測する処理装置と、前記所定事象の発生が予測された旨を提示する管理装置と、を有し、前記処理装置は、学習データを学習することにより、作業従事者のバイタル情報を入力とし作業従事者に関する所定事象の発生の予測結果を出力とする事象予測モデルを生成し、該事象予測モデルを用いて前記作業従事者に関する所定事象の発生を予測し、前記管理装置は、前記予測された所定事象が発生したか否かを表す実績情報を前記作業従事者から取得し、該実績情報を前記学習データとして前記処理装置に提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示のひとつの態様によれば、作業従事者の心身状態の維持管理を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る作業従事者管理システムのブロック図である。
図2図1に示した動画撮影装置のデータ保存領域の一構成例を示す図である。
図3図1に示したクラウドシステムのAIサーバの一構成例示す図である。
図4図1に示したクラウドシステムのデータ保存領域の一構成例を示す図である。
図5図1に示したクラウドシステムのデータ保存領域の一構成例を示す図である。
図6図1に示したクラウドシステムの作業従事者の属性情報データ保存領域の一例を示す図である。
図7図1に示した作業従事者管理システムの動画撮影装置における処理を説明するためのフローチャートである。
図8図1に示した作業従事者管理システムの事業者システムにおいて管理される情報をクラウドシステムが取得する際の処理を説明するためのフローチャートである。
図9図1に示した作業従事者管理システムのクラウドシステムにおける作業従事者の行動解析処理を説明するためのフローチャートである。
図10図1に示した作業従事者管理システムにおいてAIを用いずに作業従事者の不調を予測する処理を説明するためのフローチャートである。
図11図1に示した作業従事者管理システムのクラウドシステムから事業者システムに不調予測が通知された際の処理を説明するためのフローチャートである。
図12図1に示した作業従事者管理システムにおいて心身異常予測モデルを作成する際の処理を説明するためのフローチャートである。
図13図1に示した作業従事者管理システムにおいて作業不良予測モデルを作成する際の処理を説明するためのフローチャートである。
図14図1に示した作業従事者管理システムにおいて作業従事者のバイタル情報および動作情報に応じたアドバイスを生成する際の処理を説明するためのフローチャートである。
図15図1に示した作業従事者管理システムにおいてAIを用いて作業従事者の心身の異常を検知する処理を説明するためのフローチャートである。
図16図1に示した作業従事者管理システムにおいてAIを用いて作業不良やミスを予測する処理を説明するためのフローチャートである。
図17図1に示した作業従事者管理システムの事業者システムにて作業従事者のバイタル情報などを確認する処理を説明するためのフローチャートである。
図18図1に示した作業従事者管理システムにおいて作業従事者に対して作業に関する注意点などをプッシュ配信する処理を説明するためのフローチャートである。
図19図1に示した作業従事者管理システムにおいて、作業従事者が自身のモバイル端末を用いてバイタル傾向などを確認する処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る作業従事者管理システムのブロック図である。
【0011】
図1に示すように、作業従事者管理システムは、動画撮影装置10と、クラウドシステム20と、モバイル端末50と、事業者管理システム60とを有している。動画撮影装置10、モバイル端末50および事業者管理システム60はそれぞれ、クラウドシステム20と通信可能に構成されている。
【0012】
動画撮影装置10は、本願発明にて撮影装置となるものであって、作業従事者が作業を行う作業場所などに、いわゆる定点カメラとして設置されている。動画撮影装置10は、作業に従事する作業従事者の動画を撮影するものであって、カメラ11とCPU12とメモリ13とを有している。CPU12は、顔認証制御部14と動画バイタル制御部15と行動解析制御部16とクラウド通信制御部17とカメラ画像制御部18とを実現する。メモリ13には、カメラ画像制御部18によってデータが保存されるデータ保存領域19が設けられている。
【0013】
カメラ11は、設置された作業場所の作業従事者を含めた動画を撮影する。
【0014】
顔認証制御部14は、カメラ11にて撮影された動画の中から、作業従事者の顔を認識し、顔認証を行う。動画バイタル制御部15は、カメラ11にて撮影された動画に基づいて、作業従事者のバイタル情報を取得する。行動解析制御部16は、カメラ11にて撮影された動画に基づいて、モーションキャプチャにより、作業従事者の行動を示す動作情報を取得する。なお、行動解析制御部は、動画撮影装置10ではなくクラウドシステム20が有していてもよし、双方が有してもよい。カメラ画像制御部18は、カメラ11にて撮影された動画を、動画バイタル制御部15にて取得した作業従事者のバイタル情報とともにデータ保存領域19に保存する。なお、行動解析制御部16にて取得した作業従事者の動作情報も、データ保存領域19に保存してもよい。クラウド通信制御部17は、顔認証制御部14にて認証した顔情報と動画バイタル制御部15にて取得したバイタル情報とを、通信回線(不図示)を介してクラウドシステム20に送信する。なお、行動解析制御部16にて取得した作業従事者の動作情報も、クラウドシステム20に送信してもよい。
【0015】
図2は、図1に示した動画撮影装置10のデータ保存領域19の一構成例を示す図である。
【0016】
図2に示すように、図1に示した動画撮影装置10のデータ保存領域19には、カメラ11にて撮影された画像が、その撮影日時とともに、動画ファイルおよび静止画ファイルとして登録されている。また、動画ファイルおよび静止画ファイルは、撮影日時の情報とともに、クラウドシステム20に送られる。
【0017】
クラウドシステム20は、処理装置となるものであって、クラウド上に実現されている。クラウドシステム20は、CPU22とメモリ23と含むコンピューティングシステムによりAIサーバ40を構成し、動画撮影装置10にて撮影された動画から得られる作業従事者のバイタル情報に基づいて、AIサーバ40により作業従事者に関する所定事象の発生を予測する。具体的には、学習データを学習することにより、作業従事者のバイタル情報を入力とし作業従事者に関する所定事象の発生の予測結果を出力とする事象予測モデルを生成し、生成した事象予測モデルを用いて作業従事者に関する所定事象の発生を予測する。CPU22は、動画撮影装置通信制御部21と行動解析制御部25と労務管理制御部28と情報提供制御部29と作業従事者通信制御部30と事業者通信制御部32とを実現する。AIサーバ40の詳細は後述する。メモリ23には、動画撮影装置10から受信したデータや行動解析制御部25にて取得されたデータが保存されるデータ保存領域26と、作業従事者の属性情報27と、事業者システム生産管理情報32とが設けられている。
【0018】
動画撮影装置通信制御部21は、動画撮影装置10から送信されてきたデータを通信回線(不図示)を介して受信する。顔認証制御部24は、動画撮影装置10から送信されてきたデータの中から、作業従事者の顔を認識し、顔認証を行う。行動解析制御部25は、動画撮影装置10から送信されてきたデータに基づいて、モーションキャプチャにより、作業従事者の行動を示す動作情報を取得する。労務管理制御部28は、動画撮影装置10から送信されてきたバイタル情報による数値を予め決められたしきい値と比較することで、作業従事者のバイタル情報のチェックを行う。情報提供制御部29は、モバイル端末50や事業者システム60からの要求に応じて、あるいは自律的に、AIサーバ40における予測結果に応じて、作業従事者の心身状態に関する事象を事業者システム60に提供する。作業従事者通信制御部30は、モバイル端末50からの要求に応じて、あるいは自律的に、情報提供制御部29にて提供される情報を、通信回線(不図示)を介してモバイル端末50に送信する。事業者通信制御部32は、事業者システム60からの要求に応じて、あるいは自律的に、情報提供制御部29にて提供される情報や、事業者システム管理情報31を、通信回線(不図示)を介して事業者システム60に送信する。
【0019】
図3は、図1に示したクラウドシステム20のAIサーバ40の一構成例示す図である。
【0020】
図3に示すように、図1に示したクラウドシステム20のAIサーバ40は、第1心身異常予測部41aと、第2心身異常予測部41bと、作業不良予測部42と、予測制御部44と、学習部45,46と、アドバイス部47とを有している。また、第2心身異常予測部41bは心身異常予測モデル41cを有しており、作業不良予測部42は作業不良予測モデル42aを有しており、アドバイス部47はデータベース48を有している。
【0021】
第1心身異常予測部41aは、バイタル情報の指標値を所定のしきい値と比較した結果と、動作情報とに基づいて、作業従事者の心身の異常の発生を予測する。第2心身異常予測部41bは、バイタル情報および動作情報を、心身異常予測モデル41cに入力し、心身異常予測モデル41cの出力から、作業従事者の心身の異常の発生の予測の結果を取得する。予測制御部44は、実績情報に基づき心身異常予測モデル41cによる予測精度の良否を設定し、予測精度が良に設定されていれば第2心身異常予測部41bによる予測結果を事業者システム60に提供し、予測精度が不良に設定されていれば第1心身異常予測部41aによる予測結果を事業者システム60に提供する。
【0022】
なお、心身異常予測モデル41cは、作業従事者のバイタル情報および動作情報を入力とし作業従事者の心身の異常の発生の予測結果を出力とするものであって、事象予測モデルに含まれる。
【0023】
作業不良予測部42は、バイタル情報を作業不良予測モデル42aに入力し、作業不良予測モデル42aの出力から、作業従事者による作業の不良の発生の予測の結果を取得する。なお、作業不良予測モデル42aは、作業従事者のバイタル情報および動作情報を入力とし作業従事者による作業の不良の発生の予測結果を出力とするものであって、事象予測モデルに含まれる。
【0024】
学習部45,46はそれぞれ、予測された事象が実際に起こったか否かを表す実績情報を学習データとして学習することにより、心身異常予測モデル41cおよび作業不良予測モデル42aを生成する。
【0025】
アドバイス部47は、バイタル情報および動作情報と作業品質とを対応づけて蓄積したアドバイスデータベース48を生成し、アドバイスデータベース48から所定の作業品質に対応するバイタル情報および動作情報を取得し、取得したバイタル情報および動作情報と、作業従事者の現在のバイタル情報および動作情報との差分に基づいて、作業従事者への作業に関するアドバイスを生成する。
【0026】
図4および図5は、図1に示したクラウドシステム20のデータ保存領域26の一構成例を示す図である。
【0027】
図4に示すように、図1に示したクラウドシステム20のデータ保存領域26には、動画、バイタル情報、および静止画を送信した動画撮影装置の動作撮影装置IDおよびそれらが受信された受信日時に紐づけて、動画撮影装置10から送信されてきた作業従事者のバイタル情報と、静止画の画像ファイルとが付与されて保存されている。ここに保存されるバイタル情報には、動画に写っていた全ての作業従事者のバイタル情報が含まれている。バイタル情報として、各作業従事者の作業従事者IDに紐づけて、心拍、血中酸素濃度、血圧、体温、ストレスレベル、血中アルコール濃度の情報が保存される。
【0028】
また、図5に示すように、データ保存領域26には、行動解析制御部16あるいは行動解析制御部25における解析結果である、作業従事者の動作情報が保存されている。動画、バイタル情報、および静止画を送信した動画撮影装置の動作撮影装置IDおよびそれらが受信された受信日時に紐づけて、動作情報および動画ファイルが保存されている。動作情報には、作業従事者の各関節や身体の部位を示す計測ポイント毎にその位置を示すX、Y、Z座標が時系列に保存されている。
【0029】
図6は、図1に示したクラウドシステム20の作業従事者の属性情報データ保存領域26の一例を示す図である。
【0030】
図6に示すように、図1に示したクラウドシステム20の作業従事者の属性情報データ保存領域26には、本システムにて管理される作業従事者の従業員ID、氏名、性別、生年月日、病歴が保存されている。
【0031】
モバイル端末50は、クラウド通信制御部51と情報表示部52とを有している。クラウド通信制御部51は、作業従事者の操作によって、クラウドシステム20に対して作業従事者の傾向を要求する。また、クラウド通信制御部51は、作業従事者の要求によりクラウドシステム20から送信されてくる、あるいはクラウドシステム20から自律的に送信されてくる作業従事者の傾向やバイタル情報を受信する。情報表示部52は、クラウド通信制御部51にて受信した作業従事者の傾向をディスプレイに表示する。
【0032】
事業者システム60は、管理装置となるものであって、所定事象の発生が予測された旨を提示する。事業者システム60は、クラウド通信制御部61とデータ保存領域62と労務状況管理部63と業務管理システム64とを有し、クラウドシステム20にて予測された所定事象が発生したか否かを表す実績情報を作業従事者から取得し、取得した実績情報を学習データとしてクラウドシステム20に提供する。
【0033】
クラウド通信制御部61は、クラウドシステム20に対して、バイタル情報や画像の送信の要求、またはこれらを受信したり、作業従事者の心身状態の不調発生予測を受信したり、予測された事象が実際に起こったか否かを示す実績情報を送信したりする。データ保存領域62には、クラウド通信制御部61にて受信した情報や労務状況管理部63にて管理される情報が保存されている。労務状況管理部63は、クラウドシステム20に対して、バイタル情報や画像の送信を要求したり、クラウドシステム20から送信されてきてデータ保存領域42に保存されたバイタル情報を表示したり、予測された事象が実際に起こったか否かを示す実績情報を収集したりする。業務管理システム64は、作業従事者の業務を管理する。
【0034】
以下に、上記のように構成された作業従事者管理システムにおける処理について説明する。
【0035】
まず、動画撮影装置10における処理について説明する。
【0036】
図7は、図1に示した作業従事者管理システムの動画撮影装置10における処理を説明するためのフローチャートである。
【0037】
動画撮影装置10のカメラ11にて作業従事者の動画が撮影されると(ステップS101)、まず、顔認証制御部14にて、カメラ11にて撮影された動画の中から作業従事者の顔認証が行われる(ステップS102)。また、動画バイタル制御部15において、カメラ11にて撮影された動画に基づいて作業従事者のバイタル情報となるバイタル数値が取得される(ステップS103)。
【0038】
動画バイタル制御部15においては、バイタル数値が取得されると、取得されたバイタル数値が、予め決められたしきい値と比較され、取得したバイタル数値がしきい値を超えているかどうかが判断される(ステップS104)。
【0039】
取得したバイタル数値がしきい値を超えていない場合、動画、または行動解析制御部16にて解析された動作情報に基づき、作業従事者の行動が異常であるかどうかが判断される(ステップS105)。
【0040】
そして、動画バイタル制御部15において取得したバイタル数値がしきい値を超えていると判断された場合や、作業従事者の行動が異常であると判断された場合、カメラ画像制御部18により動画の保存が指示され(ステップS106)、カメラ11で撮影された作業従事者の周囲の動画がデータ保存領域19に保存される(ステップS107)。同時に撮影された静止画もデータ保存領域19に保存される。
【0041】
さらに、クラウド通信制御部17の制御によって、動画バイタル制御部15において取得したバイタル情報が、カメラ11にて撮影された動画および静止画とともにクラウドシステム20に送信される(ステップS108)。行動解析制御部16により作業従事者の動作情報を取得する場合にはその動作情報もクラウドシステム20に送信される。
【0042】
次に、事業者システム60において管理される情報をクラウドシステム20が取得する際の処理について説明する。
【0043】
図8は、図1に示した作業従事者管理システムの事業者システム60において管理される情報をクラウドシステム20が取得する際の処理を説明するためのフローチャートである。
【0044】
事業者システム60においては、業務管理システム64において、作業従事者に係る作業の工程情報や作業不良情報が保存される(ステップS201)。また、労務状況管理部64において、各作業従事者について、過去の心身の異常の発生実績が保存される(ステップS202)。
【0045】
これら工程情報、作業不良情報および過去の心身の異常の発生実績は、クラウド通信制御部61の制御によってクラウドシステム20に送信される(ステップS203)。
【0046】
事業者システム60から送信された、工程情報、作業不良情報および過去の心身の異常の発生実績は、クラウドシステム20の事業者通信制御部32にて受信される(ステップS204)。
【0047】
すると、受信された工程情報、作業不良情報および過去の心身の異常の発生実績は、事業者システム生産管理情報31として保存され(ステップS205)、その後、AIサーバ40において、心身異常予測モデルや作業不良モデルの生成に学習データとして利用される(ステップS206)。
【0048】
次に、クラウドシステム20における作業従事者の行動解析処理について説明する。
【0049】
図9は、図1に示した作業従事者管理システムのクラウドシステム20における作業従事者の行動解析処理を説明するためのフローチャートである。
【0050】
動画撮影装置10から送信されたバイタル情報および動画がクラウドシステム20の動画撮影装置通信制御部21にて受信されると(ステップS301)、クラウドシステム20においてはまず、顔認証制御部24において、受信した動画を用いて作業従事者の顔認証が行われる(ステップS302)。この顔認識においては、作業従事者の属性情報27に保存されている作業従事者の顔データとの照合を行うことで作業従事者を特定する。
【0051】
次に、受信したバイタル情報と動画をデータ保存領域26に保存する(ステップS303)。
【0052】
次に、行動解析制御部25において、モーションキャプチャを用いて、受信した動画による作業従事者の動作をデータに変換し(ステップS304)、作業従事者の属性情報27を参照して作業従事者を特定し、データ保存領域26に動作情報を作業従事者と対応づけて保存し(ステップS305)、ステップS301の処理に戻る。
【0053】
次に、AIを用いずに作業従事者の不調を予測する処理について説明する。
【0054】
図10は、図1に示した作業従事者管理システムにおいてAIを用いずに作業従事者の不調を予測する処理を説明するためのフローチャートである。
【0055】
まず、クラウドシステム20の労務管理制御部28において、図9のステップS305にてデータ保存領域26に保存されたバイタル情報がチェックされる(ステップS401)。この際、作業従事者の属性情報27が参照されて作業従事者が特定される。
【0056】
データ保存領域26に保存されたバイタル情報によるバイタル数値が、予め決められたしきい値を超えている場合(ステップS402)、その作業従事者についての不調フラグが“ON”に設定される(ステップS403)。このバイタル数値としては、心拍や、血中酸素濃度、血圧、体温、ストレスレベル、血中アルコール濃度が考えられ、これら複数の数値のしきい値との判定を組み合わせてもよい。
【0057】
また、データ保存領域26に保存されたバイタル情報によるバイタル数値が、予め決められたしきい値を超えていない場合や、不調フラグが“ON”に設定された後、労務管理制御部28において、作業従事者の行動が異常であるかどうかがチェックされる(ステップS404,S405)。
【0058】
そして、作業従事者の行動が異常であると判断された場合は、その作業従事者についての行動異常フラグが“ON”に設定される(ステップS406)。
【0059】
その後、2つのフラグが確認され(ステップS407)、少なくともいずれかが“ON”である場合は、事業者通信制御部32の制御によって、作業従事者の心身の異常が事業者システム60に通知される(ステップS408)。
【0060】
また、2つのフラグがいずれも“ON”に設定されていない場合や、ステップS408における処理後、動画に写っている作業従事者の分だけ上述した一連の処理が完了したら、図9のステップS301の処理に戻る。
【0061】
次に、クラウドシステム20から事業者システム60に不調予測が通知された際の処理について説明する。
【0062】
図11は、図1に示した作業従事者管理システムのクラウドシステム20から事業者システム60に不調予測が通知された際の処理を説明するためのフローチャートである。
【0063】
作業従事者の心身の異常がクラウドシステム20の事業者通信制御部32から通知され(ステップS501)、事業者システム60のクラウド通信制御部61にて受信されると(ステップS502)、事業者システム60において、受信した作業従事者の心身の異常がデータ保存領域62に保存される(ステップS503)。
【0064】
また、労務状況管理部63において、心身の異常が受信された作業従事者に対して、電話や対面などで状況の確認が行われる(ステップS504)。
【0065】
そして、作業従事者の状況確認結果が、労務状況管理部63にて登録されるとともに、クラウド通信制御部32の制御によってクラウドシステム20に対して送信される(ステップS505)。
【0066】
事業者システム60から送信された作業従事者の状況確認結果が、クラウドシステム20の事業者通信制御部32にて受信されると(ステップS506)、受信された作業従事者の状況確認結果が事業者システム生産管理情報31として保存される(ステップS507)。
【0067】
そして、受信された作業従事者の状況確認結果において、作業従事者の心身に異常がない場合は(ステップS508)、予測精度が不良であることになるため、予測精度が「不良」に設定される(ステップS509)。
【0068】
一方、受信された作業従事者の状況確認結果において、作業従事者の心身に異常がある場合は予測精度が良であることになるため、予測精度が「良」に設定される(ステップS510)。
【0069】
ここで、クラウドシステム20における作業従事者の心身の不調の判断は、第2心身異常予測部41bにおける心身異常モデル41cを用いたものと、第1心身異常予測部41aにおけるしきい値判定によるものとがある。ここで、作業従事者の心身の異常の予測を対象としており、その作業従事者の心身の異常が日常的に発生するようなものでないため、必ずしも十分な学習データが早期に得られるとは言えない。本態様では、そのような事情を考慮し、心身異常予測モデルの予測精度の良否を管理し、その予測精度が良ければ心身異常予測モデルによる予測結果を利用し、予測精度が良くなければバイタル情報の指標値を閾値と比較することによる予測結果を利用する。
【0070】
すなわち、予測制御部44において、実績情報に基づき心身異常予測モデル41cによる予測精度の良否を設定し、予測精度が良に設定されていれば第2心身異常予測部41bによる予測結果を事業者システム60に提供し、予測精度が不良に設定されていれば第1心身異常予測部41aによる予測結果を事業者システム60に提供するというように、予測精度の良否に基づいて予測部を切り替える。これにより、十分な学習データが得られているときとそうでないときのいずれにおいても、適切な予測を可能にする。
【0071】
また、本態様では、作業従事者の心身の異常を画像から直接予測するのではなく、一旦バイタル情報を算出し、そのバイタル情報に基づいて心身の異常を予測するので、バイタル情報の指標値を閾値と比較する比較的単純な予測手法の方も、バイタル情報と作業従事者の心身の状態との関係に関する既存の知見を利用して実用に十分な精度の予測が可能である。
【0072】
また、クラウドシステム20において、予測精度が不良に設定されている間にも第2心身異常予測部41bが心身異常予測モデル41cの出力から作業従事者の心身の異常の予測の結果を取得し、第1心身異常予測部41aにて心身の異常が予測されたときに得られる実績情報を、第2心身異常予測部41bによる予測の結果と照合して予測精度の良否を設定する。これにより、第1心身異常予測部41aによる予測結果を用いている間に第2心身異常予測部41bによる予測精度を判定し、設定することが可能となる。
【0073】
また、クラウドシステム20において、予測精度が不良に設定されている間にも第2心身異常予測部41bが心身異常予測モデル41cの出力から作業従事者の心身の異常の予測の結果を取得し、第1心身異常予測部41aにて不調が予測されたときに得られる実績情報を、第2心身異常予測部41bによる予測の結果と組み合わせて学習データとする。これにより、第1心身異常予測部41aによる予測結果を用いている間に心身異常予測モデル41cの学習を行うことができる。
【0074】
次に、心身異常予測モデル41cを作成する際の処理について説明する。
【0075】
図12は、図1に示した作業従事者管理システムにおいて心身異常予測モデル41cを作成する際の処理を説明するためのフローチャートである。
【0076】
クラウドシステム20のAIサーバ40においては、図9のステップS305にて保存された、バイタル情報および動作情報、並びに心身の異常発生実績および予測精度に基づいて、機械学習によって心身異常予測モデル41cが作成される(ステップS601,S602)。バイタル情報および動作情報は、作業従事者の属性情報27として保存された情報が参照され、心身の異常発生実績は、事業者システム生産管理情報31に保存された過去の心身の異常発生実績が参照され、予測精度は、図11にて設定された予測精度が参照される。
【0077】
その後、心身異常予測モデル41cが作成されると、図9のステップS301における処理に移行する。
【0078】
次に、作業不良予測モデル42aを作成する際の処理について説明する。
【0079】
図13は、図1に示した作業従事者管理システムにおいて作業不良予測モデル42aを作成する際の処理を説明するためのフローチャートである。
【0080】
クラウドシステム20のAIサーバ40においては、図9のステップS305にて保存された、バイタル情報および動作情報、並びに不良発生実績、予測精度および不良発生時の周辺の動画に基づいて、機械学習によって作業不良予測モデル42aが作成される(ステップS701,S702)。
【0081】
バイタル情報および動作情報は、作業従事者の属性情報27として保存された情報が参照され、不良発生実績は、事業者システム生産管理情報31に保存された過去の不良発生実績が参照され、予測精度は、図11にて設定された予測精度が参照され、不良発生時の周辺の動画は、データ保存領域26に保存された動画が参照される。この際、動作情報として、作業従事者の属性情報27として保存された情報が参照されるが、この動作情報は、例えば、モーションキャプチャを用いて取得された作業従事者の各関節を含むポイントの位置により動作を表す情報である。
【0082】
このように、事象予測モデルが、バイタル情報と、作業従事者の複数の関節の位置により表される動作情報とを入力として含むことで、作業従事者による良好な作業の維持管理をすることが可能となる。また、事象予測モデルは、更に、作業従事者の周辺の画像を入力として含んでいてもよい。例えば、作業従事者の周辺に邪魔な物が置かれていれば、画像にその物が写り込む。その場合、事象予測モデルの予測には、作業従事者の周辺に置かれた物と事象の発生との相関が反映される。
【0083】
その後、作業不良予測モデル42aが作成されると、図9のステップS301における処理に移行する。
【0084】
次に、作業従事者のバイタル情報および動作情報に応じたアドバイスを生成する際の処理について説明する。
【0085】
図14は、図1に示した作業従事者管理システムにおいて作業従事者のバイタル情報および動作情報に応じたアドバイスを生成する際の処理を説明するためのフローチャートである。
【0086】
クラウドシステム20のAIサーバ40においては、図9のステップS305にて保存された、バイタル情報および動作情報、並びに不良発生実績、予測精度および不良発生時の周辺の動画に基づいて、機械学習によって、これらバイタル情報などと作業品質とを対応づけたアドバイスデータベース48が作成される(ステップS801,S802)。バイタル情報および動作情報は、作業従事者の属性情報27として保存された情報が参照され、不良発生実績は、事業者システム生産管理情報31に保存された過去の不良発生実績が参照され、予測精度は、図11にて設定された予測精度が参照され、不良発生時の周辺の動画は、データ保存領域26に保存された動画が参照される。
【0087】
その後、アドバイスデータベース48が作成されると、図9のステップS301における処理に移行する。
【0088】
このように、作業従事者のバイタル情報および動作情報に応じたアドバイスを生成するので、作業従事者の作業のより効果的な維持管理を支援することができる。例えば、作業従事者の作業にてヒヤリハットが予測されるときにヒヤリハットあるいはそれによる事故を未然に防止するためのアドバイスを作業従事者に通知できる。ヒヤリハットは、重大な事故が起こる前の事象である。また、上記ステップS801にて、過去の不良発生実績の代わりに、あるいは過去の不良発生実績に加えて、過去の作業が良好に行われた実績の情報(不図示)を加えて機械学習することにより、バイタル情報と作業品質とを対応づけることにしてもよい。これにより、より良い作業(ベストプラクティス)を行うためのアドバイスを作業従事者に通知できるようになる。
【0089】
次に、AIを用いて作業従事者の心身の異常を検知する処理について説明する。
【0090】
図15は、図1に示した作業従事者管理システムにおいてAIを用いて作業従事者の心身の異常を検知する処理を説明するためのフローチャートである。
【0091】
クラウドシステム20の労務管理制御部28においては、図9のステップS305にて保存されたバイタル情報と動作情報とから、既存のシステムに連携した作業工程情報と心身異常予測モデル41cとを用いて、作業従事者の心身の異常の発生の予測が行われる(ステップS901)。
【0092】
そして、作業従事者の心身の異常の発生が予測される場合(ステップS902)、作業従事者の心身の異常が予測された旨が事業者通信制御部32の制御によって事業者システム60に通知される(ステップS903)。
【0093】
そして、作業従事者の心身の異常が予測された旨が事業者通信制御部32の制御によって事業者システム60に通知された後、または作業従事者の心身の異常の発生が予測されない場合、図9のステップS301における処理に移行する。
【0094】
次に、AIを用いて作業不良やミスを予測する処理について説明する。
【0095】
図16は、図1に示した作業従事者管理システムにおいてAIを用いて作業不良やミスを予測する処理を説明するためのフローチャートである。
【0096】
クラウドシステム20の労務管理制御部28においては、図9のステップS305にて保存されたバイタル情報と動画とから、既存のシステムに連携した作業工程情報と作業不良モデル42aとを用いて、作業不良の発生の予測が行われる(ステップS1001)。
【0097】
そして、作業不良の発生が予測される場合(ステップS1002)、作業従事者の作業不良の発生が予測された旨が事業者通信制御部32の制御によって事業者システム60に通知される(ステップS1003)。
【0098】
そして、作業従事者の作業不良の発生が予測された旨が事業者通信制御部32の制御によって事業者システム60に通知された後、または作業従事者の作業不良の発生が予測されない場合、図9のステップS301における処理に移行する。
【0099】
このように、作業従事者の心身の異常に加え、作業従事者の作業の不良も予測するので、作業従事者の作業のより効果的な維持管理を支援することができる。
【0100】
次に、事業者システム60にて作業従事者のバイタル情報などを確認する処理について説明する。
【0101】
図17は、図1に示した作業従事者管理システムの事業者システム60にて作業従事者のバイタル情報などを確認する処理を説明するためのフローチャートである。
【0102】
図1に示した作業従事者管理システムの事業者システム60にて作業従事者のバイタル情報などを確認する場合は、事業者システム60のクラウド通信制御部61の制御によってクラウドシステム20に対するアクセスが行われ、労務状況管理部63からバイタル情報および画像の収集が要求され(ステップS1101)、この要求がクラウドシステム20の事業者通信制御部32にて受信されると(ステップS1102)、クラウドシステム20の労務管理制御部28において、バイタル情報および画像、ならびにアドバイスデータがある場合はアドバイスデータが取得され(ステップ1103)、事業者通信制御部32の制御によって、これらのデータが事業者システム60に送信される(ステップS1104)。
【0103】
クラウドシステム20から送信されたバイタル情報および画像が事業者システム60のクラウド通信制御部61にて受信されると(ステップS1105)、これらのデータがデータ保存領域62に保存される(ステップS1106)。
【0104】
また、労務状況管理部63において、クラウドシステム20から送信されたバイタル情報および画像が表示される(ステップS1107)。
【0105】
次に、作業従事者に対して作業に関する注意点などをプッシュ配信する処理について説明する。
【0106】
図18は、図1に示した作業従事者管理システムにおいて作業従事者に対して作業に関する注意点などをプッシュ配信する処理を説明するためのフローチャートである。
【0107】
クラウドシステム20の労務管理制御部28においては、図9のステップS305にて保存されたバイタル情報と動画とから、該当する工程での心がけや行動となるアドバイスとベストプラクティス動画が抽出される(ステップS1201)。これは、作業従事者の属性情報27と、既存システムと連携した作業工程情報と、作業不良予測モデル42aと、アドバイスデータベース48が参照される。
【0108】
アドバイスとベストプラクティス動画が抽出されると、これらの情報が作業従事者通信制御部30の制御によってモバイル端末50に送信される(ステップS1202)。
【0109】
クラウドシステム20から送信されたアドバイスとベストプラクティス動画がモバイル端末50のクラウド通信制御部51にて受信された後(ステップS1203)、受信されたアドバイスとベストプラクティス動画が情報表示部52にて表示される(ステップS1204)。
【0110】
次に、作業従事者が自身のモバイル端末50を用いてバイタル傾向などを確認する処理について説明する。
【0111】
図19は、図1に示した作業従事者管理システムにおいて、作業従事者が自身のモバイル端末50を用いてバイタル傾向などを確認する処理を説明するためのフローチャートである。
【0112】
図1に示した作業従事者管理システムにおいて作業従事者が自身のバイタル情報などを確認する場合は、モバイル端末50を用いてモバイル端末50のクラウド通信制御部51の制御によってクラウドシステム20に対するアクセスが行われ、バイタル情報などの傾向確認が要求され(ステップS1301)、この要求がクラウドシステム20の作業従事者通信制御部30にて受信されると(ステップS1302)、クラウドシステム20の情報提供制御部29において、バイタル情報および画像、ならびにアドバイスデータがある場合はアドバイスデータが取得され(ステップ1303)、作業従事者通信制御部30の制御によって、これらのデータによって示される、作業従事者の傾向を示す傾向情報がモバイル端末5に送信される(ステップS1304)。
【0113】
クラウドシステム20から送信された作業従事者の傾向を示す傾向情報がモバイル端末50のクラウド通信制御部51にて受信された後(ステップS1305)、受信された傾向情報が情報表示部52にて表示される(ステップS1306)。
【0114】
このように、本実施形態では、クラウドシステム20が、モバイル端末50からの要求を受け、作業従事者の過去のバイタル情報と作業品質との相関に基づく作業従事者の作業における傾向情報を生成し、該傾向を示す傾向情報をモバイル端末50に送信する。これにより、より効果的な作業従事者による作業の維持管理を支援することができる。
【0115】
作業従事者の作業における傾向は、例えば、作業従事者のバイタル情報が特定の条件を満たすとき、ベストプラクティスを発揮できる可能性が高いといった情報である。あるいは、例えば、作業従事者のバイタル情報が特定の条件を満たすとき、ヒヤリハットが起こる可能性があるといった情報である。
【0116】
上述したように本実施形態においては、事象予測モデルにより作業従事者に関する所定事象の発生を予測し、作業従事者へ確認し、確認の結果を事象予測モデルの学習データとして反映するので、作業従事者による良好な作業の維持管理をすることが可能となる。
【0117】
以上、本発明の実施形態について述べてきたが、本発明は、これらの実施形態だけに限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内において、これらの実施形態を組み合わせて使用したり、一部の構成を変更したりしてもよい。
【符号の説明】
【0118】
10…動画撮影装置、11…カメラ、12,22…CPU、13,23…メモリ、14,24…顔認証制御部、15…動画バイタル制御部、16,25…行動解析制御部、17,51,61…クラウド通信制御部、18…カメラ画像制御部、19,26,62…データ保存領域、20…クラウドシステム、21…動画撮影装置通信制御部、27…作業従事者の属性情報、28…労務管理制御部、29…情報提供制御部、30…作業従事者通信制御部、31…事業者システム生産管理情報、32…事業者通信制御部、40…AIサーバ、41…心身異常予測部、41a…第1心身異常予測部、42a…第2心身異常予測部、41c…心身異常予測モデル、42…作業不良予測部、42a…作業不良予測モデル、43…作業状態予測部、44…予測制御部、45,46…学習部、47…アドバイス部、48…データベース、50…モバイル端末、52…情報表示部、60…事業者システム、63…労務状況管理部、64…業務管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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