(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】釣竿用のリールシート
(51)【国際特許分類】
A01K 87/06 20060101AFI20241017BHJP
A01K 87/08 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
A01K87/06 B
A01K87/08 B
(21)【出願番号】P 2020207378
(22)【出願日】2020-12-15
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼山 晃
(72)【発明者】
【氏名】山本 憲吾
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-094819(JP,A)
【文献】特開2016-154568(JP,A)
【文献】特開2011-135815(JP,A)
【文献】特開2011-067119(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0101702(US,A1)
【文献】意匠登録第1325318(JP,S)
【文献】富士工業製品カタログ2018年度版,富士工業株式会社,2018年,82頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/06
A01K 87/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣竿に釣用リールを装着するためのリールシートであって、
前記リールの脚の竿先側端部が載置される第1載置面、及び、前記リールの脚の竿元側端部が載置される第2載置面を有する脚載置部と、
前記リールの脚の竿元側端部を覆うフード部と、
前記第1載置面と周方向反対側の第1周面部から前記フード部の第1側面にかけて延びる窪み部と、
を備えている、釣竿用のリールシート。
【請求項2】
前記窪み部は、前記第1側面から、前記第1周面部を経て、前記フード部における前記第1側面と反対側の第2側面に延びている、請求項1記載の釣竿用のリールシート。
【請求項3】
前記第2載置面と周方向反対側の第2周面部に延設されたグリップ部を、更に備える、請求項1又は2記載の釣竿用のリールシート。
【請求項4】
前記窪み部の少なくとも一部に隣接し、稜線を有する凸条を更に備える、請求項1乃至3の何れかに記載の釣竿用のリールシート。
【請求項5】
前記第1周面部における前記窪み部の竿元側に、凸部を更に備える、請求項1乃至4の何れかに記載の釣竿用のリールシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿に釣用のリールを装着するためのリールシートに関する。
【背景技術】
【0002】
リールシートは釣竿に取り付けられ、リールシートには、リールが取り付けられる。例えば、下記特許文献1に記載されたリールシートでは、下面に指掛け部が設けられている。その指掛け部の根本付近の前側には、中指を当てる窪みが設けられている。しかしながら、窪みがリールよりもかなり後方に位置するため、手でリールシートの前部から後部にかけて略全体を把持するような使用形態には適しておらず、釣竿が安定しにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、リールシートの略全体を把持する使用形態に適したリールシートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るリールシートは、釣竿に釣用リールを装着するためのリールシートであって、前記リールの脚の竿先側端部が載置される第1載置面、及び、前記リールの脚の竿元側端部が載置される第2載置面を有する脚載置部と、前記リールの脚の竿元側端部を覆うフード部と、前記第1載置面と周方向反対側の第1周面部から前記フード部の第1側面にかけて延びる窪み部と、を備えている。
【0006】
この構成によれば、窪み部が第1周面部からフード部の第1側面にかけて延びるので、リールシートの略全体を把持しやすい。そのため、釣竿が安定しやすい。
【0007】
好ましくは、前記窪み部は、前記第1側面から、前記第1周面部を経て、前記フード部における前記第1側面と反対側の第2側面に延びている。この構成によれば、右手でも左手でも、リールシートの略全体を容易に把持することができる。
【0008】
好ましくは、前記第2載置面と周方向反対側の第2周面部に延設されたグリップ部を、更に備える。この構成によれば、窪み部に指を沿わせながらグリップ部の竿先側を把持することができる。
【0009】
好ましくは、前記窪み部の少なくとも一部に隣接し、稜線を有する凸条を更に備える。この構成によれば、窪み部に指を沿わせやすく、また、窪み部に沿わせた指の位置ずれが防止される。凸条によって窪み部の位置を容易に手で把握することができる。
【0010】
好ましくは、前記第1周面部における前記窪み部の竿元側に、凸部を更に備える。この構成によれば、凸部によってその竿先側の窪み部の位置を容易に手で把握することができる。また、窪み部に指を沿わせやすい。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、第1周面部からフード部の第1側面にかけて延びる窪み部によって、リールシートの略全体を容易に把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態におけるリールシートを示す斜視図。
【
図2】同リールシートのリールシート本体を示す正面図。
【
図7】同リールシートを備えた釣竿の要部を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一の実施形態に係るリールシートについて
図1~
図8を参酌しつつ説明する。本実施形態におけるリールシート2を
図1に示している。また、リールシート2が装着された釣竿を
図7に示し、その釣竿にリール100が取り付けられた使用状態を
図8に示している。尚、竿先側を前側と、竿元側を後側と称する。また、釣竿の軸線方向を前後方向とする。本実施形態におけるリールシート2は、両軸受けのリール100に適している。両軸受けのリール100は、
図8のように、使用状態において釣竿の上側に位置する。リール100は、脚101を備えている。脚101がリールシート2に取り付けられる。脚101の前端部101a(竿先側端部)と後端部101b(竿元側端部)がそれぞれリールシート2に固定される。釣竿に対してリール100が位置する方向を上側とし、それとは周方向反対側を下側とする。
【0014】
リールシート2は、釣竿の竿本体1に外装されて接着固定される筒状のリールシート本体10と、リールシート本体10に外装されてリールシート本体10に対して前後に移動可能な筒状のフード11及びナット12を備えている。リールシート本体10の前部外周面には雄ネジ部20が形成されており、その雄ネジ部20にナット12が螺合している。ナット12は、フード11を前後に移動させる。ナット12の後側にフード11が設けられている。フード11はナット12と共に前後に移動するが回転はしない。フード11は後側に開口している。フード11は、脚100の前端部101aを覆って固定する。
【0015】
図2~
図6にリールシート本体10を単体の状態で示している。リールシート本体10は筒状であって、その内側に竿本体1が挿通する。リールシート本体10は、竿本体1が挿通する竿挿通孔21を有している。竿挿通孔21はリールシート本体10を前後方向に貫通している。
【0016】
リールシート本体10は、上面と、下面と、上面と下面の間に位置する左右両側面とを有している。リールシート本体10の上面は、リール100が載置される側の面である。リールシート本体10の上面には、脚100が載置される脚載置部22が設けられている。脚載置部22は、脚100の前端部101aが載置される第1載置面22aと、脚100の後端部101bが載置される第2載置面22bとを有している。第1載置面22aと第2載置面22bは前後に離間している。第1載置面22aは雄ネジ部20の直後に設けられている。第2載置面22bは、第1載置面22aから後側に離れて設けられている。
【0017】
リールシート本体10は、フード部23を有している。フード部23は、リールシート本体10の上面に設けられている。フード部23は、脚載置部22の後側に設けられていて前側に開口している。フード部23は、脚100の後端部101bを覆って固定する。フード11とリールシート本体10のフード部23とによって脚100が前後に狭持されて固定される。フード部23は、第2載置面22bの上側に設けられて、上側に向けてトンネル状に膨出している。フード部23は、上面と、左右両側面23a,23b(第1側面、第2側面)とを有している。
【0018】
リールシート本体10の下面は、第1載置面22aの周方向反対側に位置する第1周面部24と、第2載置面22bの周方向反対側に位置する第2周面部25とを有している。リールシート本体10は、グリップ部26を有している。グリップ部26は、リールシート本体10の下面に設けられている。グリップ部26は、リールシート本体10の下面における第2周面部25に設けられている。グリップ部26は、径方向外側且つ下側に膨出している。グリップ部26の前側には指を掛けることができる。
図8のように、グリップ部26には複数の指を掛けることができ、グリップ部26には、小指205まで掛けることができる。グリップ部26は、後側ほど、下側への膨出量が大きくなっている。グリップ部26の前面26aに指が当接する。グリップ部26の前面26aは、後側に向けて上側凸に湾曲しながら下側に延びている。グリップ部26の前面26aは、第1周面部24の直後まで延びている。
【0019】
リールシート本体10の左右両側面には窪み部27が設けられている。図中、窪み部27には、多数のドットを付して示している。窪み部27は、リールシート本体10の一方の側面から下面を経由して他方の側面まで延びている。窪み部27は左右対称に形成されることが好ましいが、左右非対称であってもよいし、左右一方の側面のみに形成されていてもよい。本実施形態では窪み部27は左右対称に設けられている。
【0020】
窪み部27は、リールシート本体10の下面の第1周面部24を起点として、左右両側面にそれぞれ後側且つ上側に向けて傾斜しつつ溝状に延びている。窪み部27は、第1周面部24からフード部23の左側面23a(第1側面)まで延びると共に右側面23b(第2側面)まで延びている。換言すれば、窪み部27は、フード部23の左側面23aからリールシート本体10の下面の第1周面部24を経由してフード部23の右側面23bまで延びている。窪み部27は、フード部23の左側面23a及び右側面23bよりも更に後側まで延びていることが好ましい。
【0021】
リールシート本体10の左右両側面にはそれぞれ稜線を有する凸条28が設けられている。凸条28は、左右方向の外側に突出している。凸条28は後側ほど上側となるように傾斜している。凸条28は、前後方向において第2載置面22bに対応した位置に設けられ、また前後方向においてフード部23に対応した位置に設けられている。凸条28は、窪み部27の下側に隣接して設けられている。凸条28は窪み部27に沿って延びている。
【0022】
リールシート本体10の下面には下方に突出する凸部29が設けられている。凸部29は、リールシート本体10の下面における窪み部27に対してその後側に隣接して設けられている。
【0023】
図8のように、リールシート2にリール100が装着される。
図8においては、左ハンドル仕様のリール100が装着されている。そのため、釣り人は、右手でリールシート2及びリール100を包み込むように把持し、左手でリール100のハンドル102を回転させる。把持の仕方は種々であってよいが、例えば、親指201をリール100の上に載せ、人差し指202から小指205までの四本の指をリールシート2に下側から当接させる。その際、中指203を窪み部27に沿わせることができる。そのため、リール100と共にリールシート2の略全体を容易に把持することができ、釣竿が安定しやすい。特に、釣竿の周方向の回転を容易に抑制することができる。
【0024】
また、リールシート本体10の下面において窪み部27の後側に凸部29が設けられているので、リールシート本体10の下面における窪み部27の位置を指で容易に把握することができる。そのため、中指203をリールシート本体10の下面から左側面へと、窪み部27に沿って折り曲げることができ、窪み部27に中指203を容易に沿わせることができる。また、左側面における窪み部27の下側に凸条28が設けられているので、窪み部27に沿わせた中指203が下側にずれにくい。凸条28の下側には薬指204を沿わせることができる。中指203と薬指204の間に凸条28を位置させることができる。
【0025】
図8においては左ハンドル仕様のリール100がリールシート2に装着されているが、右ハンドル仕様のリール100をリールシート2に装着することもできる。右ハンドル仕様の場合には、左手でリールシート2を把持する。リールシート2は左右対称であると、左ハンドル仕様、右ハンドル仕様、何れのリール100も装着することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 竿本体
2 リールシート
10 リールシート本体
11 フード
12 ナット
20 雄ネジ部
21 竿挿通孔
22 脚載置部
22a 第1載置面
22b 第2載置面
23 フード部
23a 左側面(第1側面)
23b 右側面(第2側面)
24 第1周面部
25 第2周面部
26 グリップ部
26a 前面
27 窪み部
28 凸条
29 凸部
100 リール
101 脚
101a 前端部(竿先側端部、前脚)
101b 後端部(竿元側端部、後脚)
102 ハンドル
201 親指
202 人差し指
203 中指
204 薬指
205 小指