(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】紫外線照射装置およびオゾン発生装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/20 20060101AFI20241017BHJP
C01B 13/10 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
A61L9/20
C01B13/10 Z
(21)【出願番号】P 2021022281
(22)【出願日】2021-02-16
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英治
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-171540(JP,A)
【文献】特開2014-103028(JP,A)
【文献】特開2019-064842(JP,A)
【文献】特開2019-043786(JP,A)
【文献】特開2009-195825(JP,A)
【文献】特開2007-190213(JP,A)
【文献】特表2006-525105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00- 9/22
A61L 2/00- 2/28
A61L 11/00-12/14
C01B 13/00-13/36
H01J 61/30-61/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を放射し、流入口から流出口に向けて流体が流れる流路に配置されるエキシマランプと、
前記エキシマランプと所定間隔をもって配置され、前記エキシマランプに電力供給するランプ電源を収容する電源収容部とを備え、
前記電源収容部が、前記流入口側に設けられた流体供給部と向かい合うように配置され
、
前記電源収容部が、下流側端部において前記流出口側から保持され、
前記流出口が、前記下流側端部の周囲に形成された開口部によって構成されていることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
前記電源収容部が、前記エキシマランプよりも装置中央側および/または前記流出口側で、前記流体供給部と向かい合うように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記開口部が、スリット状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記エキシマランプまたは前記流体供給部の少なくとも一方を操作する操作部が、前記流出口に囲まれるように、前記装置下流側端部の中央部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
紫外線を放射し、流入口から流出口に向けて流体が流れる流路に配置されるエキシマランプと、
前記エキシマランプと所定間隔をもって配置され、前記エキシマランプに電力供給するランプ電源を収容する電源収容部とを備え、
前記電源収容部が、前記流入口側に設けられた流体供給部と向かい合うように配置され、
前記流路を形成する管状部材または装置筐体をさらに備え、
前記電源収容部が、前記管状部材または装置筐体の横断面中心付近を中心にして配置した風防を備えることを特徴とす
る紫外線照射装置。
【請求項6】
前記風防において、前記エキシマランプを前記流路内に支持する支持部と、前記エキシマランプの陽極と電気的に接続するコネクタとが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
前記コネクタが、前記風防の上流側端部に設けられ、
前記電源収容部、前記コネクタ、前記流体供給部が、前記流入口側に向けて、順に並んで配置されていることを特徴とする請求項6に記載の紫外線照射装置。
【請求項8】
前記コネクタが、前記風防の上流側端部に設けられ、
前記エキシマランプが、前記コネクタと前記流体供給部との間に設けられ、
前記電源収容部、前記コネクタ、前記エキシマランプ、前記流体供給部が、前記流入口側に向けて、順に並んで配置されていることを特徴とする請求項6に記載の紫外線照射装置。
【請求項9】
前記風防が、前記流路の下流側から上流側に向けて先細くなるテーパー形状であることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の紫外線照射装置。
【請求項10】
紫外線を放射し、流入口から流出口に向けて流体が流れる流路に配置されるエキシマランプと、
前記エキシマランプと所定間隔をもって配置され、前記エキシマランプに電力供給するランプ電源を収容する電源収容部とを備え、
前記電源収容部が、前記流入口側に設けられた流体供給部と向かい合うように配置され、
前記ランプ電源が、昇圧トランスを含み、
前記ランプ電源の高電圧側の回路構成が、装置中央側および/または前記流入口側に配置され、
前記ランプ電源の低電圧側の回路構成が、装置外側および/または前記流出口側に配置されることを特徴とす
る紫外線照射装置。
【請求項11】
筐体の底部に設けられる送風機と、
前記筐体内において、前記送風機よりも下流側に配置されるエキシマランプと、
前記エキシマランプに電力供給するランプ電源を収容し、前記筐体内において、前記エキシマランプと所定の距離間隔をもって配置される電源収容部とを備え、
前記電源収容部が、前記送風機よりも下流側で、前記送風機と向かい合うように配置され
、
前記ランプ電源が、昇圧トランスを含み、
前記ランプ電源の高電圧側の回路構成が、装置中央側および/または前記筐体の底部側に配置され、
前記ランプ電源の低電圧側の回路構成が、装置外側および/または前記ランプ電源の高電圧側の回路構成よりも下流側に配置されることを特徴とするオゾン発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキシマランプによって紫外線を照射する紫外線照射装置および紫外線照射装置を備えたオゾン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
消臭や除菌などのため紫外線を放射する紫外線照射装置、あるいは、酸素を含む原料ガスに対して紫外線(例えば波長172nm)を照射するオゾン発生装置では、光源としてエキシマランプを使用することが可能である。
【0003】
例えば、装置底部や側面付近にファンを設けて外気を吸入し、エキシマランプ周囲を流れるガスに対して紫外線を照射することによって、オゾンを含むガスを装置外部へ放出する(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6564663号公報
【文献】特開平7-187611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エキシマランプでは、高周波高電圧の印加によって絶縁破壊することで放電を発生させるため、昇圧トランスを備えたランプ電源が装備される。このようなランプ電源に対しては、装置内部において筐体壁面などの距離間隔を十分確保し、絶縁破壊を防ぐ必要がある。
【0006】
しかしながら、様々な環境下で使用可能な紫外線照射装置、オゾン発生装置を提供するためには、持ち運びおよび設置を容易にするため、よりコンパクトなサイズの装置が要求される。装置のコンパクト化を図ろうとすると、筐体内において、ランプ電源と筐体壁面や仕切り壁などの距離間隔を十分確保することが難しい。
【0007】
したがって、コンパクトなサイズの紫外線照射装置やオゾン発生装置において、ランプ電源から印加される高周波高電圧に対する絶縁距離を十分確保することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の紫外線照射装置は、オゾン発生装置などに適用可能であり、紫外線を放射し、流入口から流出口に向けて流体が流れる流路に配置されるエキシマランプと、エキシマランプと所定間隔をもって配置され、エキシマランプに電力供給するランプ電源を収容する電源収容部とを備える。
【0009】
ここでの流路は、紫外線照射装置の構成や紫外線照射装置が組み入れられるオゾン発生装置の構成などによって定められる。例えば、オゾン発生装置の場合、その筐体内において流路形成可能である。また、紫外線照射装置の場合、管やジャケットなどによって流路を形成可能である。オゾン発生装置や紫外線照射装置の筐体、管内などの空間では、全体的あるいは部分的に流路を形成可能である。また、筐体や管内などの空間に対する電源収容部のサイズなどにより、流路に電源収容部を配置する構成とすること、あるいは、電源収容部の設置に従った流路の形成もあり得る。
【0010】
本発明では、電源収容部は、流入口側に設けられた流体供給部と向かい合うように配置されている。ここでの「向かい合う配置」は、電源収容部と流体供給部とが部分的あるいは全面的に向かい合う場合を含む。流体供給部は、例えば軸流ファンなどによって構成可能である。
【0011】
例えば、装置筐体や管内に流路が全体的に形成されている場合、内電源収容部は、エキシマランプよりも装置中央側に配置することが可能である。あるいは、中央側配置でなくても、その流路の流出口側で、流体供給部と向かい合うように配置してもよい。また、流体供給部が例えば軸流ファンで構成され、管や筐体に対して同軸的に配置される場合、装置中央側あるいは装置流出口側において、電源収容部は、流体供給部に対して同軸的に配置することができる。
【0012】
昇圧トランスを含むランプ電源のような場合、絶縁性の確保を考慮して、ランプ電源収容部において、ランプ電源の高電圧側の回路構成が、装置中央側および/または流入口側に配置し、ランプ電源の低電圧側の回路構成が、装置外側および/または流出口側に配置することが可能である。
【0013】
装置において、電源収容部の保持する構成は様々な構成が可能である。エキシマランプに対する流路への配置などを考慮すると、電源収容部は、装置下流側端部において、流出口側から保持されるように構成することができる。この場合、流出口は、装置下流側端部の周囲に形成された開口部によって構成することができる。開口部は、例えば複数の開口部(スリット形状など)にすることができる。
【0014】
紫外線照射装置あるいはオゾン発生装置に対しては、エキシマランプまたは流体供給部の少なくとも一方を操作する操作部を設けることが可能である。電源収容部が装置流出口側で保持される場合、例えば、操作部は、流出口に囲まれるように、装置下流側端部の中央部に配置することができる。
【0015】
電源収容部の構成は、様々な構成を採用することが可能である。例えば、流路を形成する管状部材または装置筐体に対し、管状部材または装置筐体の横断面中心付近を中心にして配置した風防を備えた構成にすることができる。ここでの「風防」は、ランプ電源がオゾンに直接的に暴露されるのを抑制すればよく、単なる「風よけ」として機能する形状であってもよく、また、部分的あるいは完全にランプ電源を覆うケーシングのような形状も含まれる。風防に対して採用可能な形状、材質などは様々である。
【0016】
風防の形状は、様々な構成を採用することが可能である。軸に対して回転対称や線対称的な形状にすることが可能であり、断面円状、矩形状などに形成することも可能である。また、一部開口部を形成した形状にすることも可能であり、流入口側と流出口側で形状を異なるようにすることも可能である。また、管や装置筐体に対するサイズも様々に構成することが可能である。
【0017】
例えば、流路の下流側から上流側に向けて先細くなるテーパー形状にすることができる。この場合、流出口側端部あるいは、その途中部分において、流体供給部が軸流ファンである場合、軸流ファンのファンモータ部の径よりも大きくし、流入口側に向けて軸流ファンのファンモータ部の径より小さくなるように先細くしてもよい。
【0018】
例えば、風防に対し、エキシマランプを流路内に支持する支持部と、エキシマランプの陽極と電気的に接続するコネクタとが設けることが可能である。この場合、電源収容部、コネクタ、流体供給部が、流入口側に向けて、順に並んで配置することが可能である。あるいは、エキシマランプが、コネクタと流体供給部との間に配置し、電源収容部、コネクタ、エキシマランプ、流体供給部が、流入口側に向けて、順に並んで配置することも可能である。
【0019】
本発明の他の一態様であるオゾン発生装置は、例えば直上および/あるいは横置きに設置可能であり、筐体の底部に設けられる送風機と、筐体内において、送風機よりも下流側に配置されるエキシマランプと、エキシマランプに電力供給するランプ電源を収容し、筐体内において、エキシマランプと所定の距離間隔をもって配置される電源収容部とを備え、電源収容部が、送風機よりも下流側で、送風機と向かい合うように配置されている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コンパクトなサイズの紫外線照射装置やオゾン発生装置において、ランプ電源から印加される高周波高電圧に対する絶縁距離を十分確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1の実施形態であるオゾン発生装置の概略的構成図である。
【
図2】第2の実施形態であるオゾン発生装置の概略的構成図である。
【
図3】第3の実施形態であるオゾン発生装置の概略的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0023】
図1は、第1の実施形態であるオゾン発生装置の概略的構成図である。
【0024】
オゾン発生装置10は、持ち運び容易なコンパクトサイズのオゾン発生装置であり、断面略矩形状の筐体15内に、エキシマランプ20、軸流ファン(流体供給部)30とを備える。筐体15の底部15Dに設けられた軸流ファン30は、ファンモータ部32とファン羽34とを備え、ファン軸Cが筐体15の横断面(上から見て)中心を上下方向に沿って通るラインX付近を通るように配置されている。
【0025】
エキシマランプ20は、発光部の放電空間で生じた放電から紫外線(例えば波長172nm)を放射し、ランプ軸が筐体15の側壁15Cに沿った方向、すなわち装置上下方向に沿うように配置されている。軸流ファン30が回転すると、軸流ファン30の流入部分が筐体15の流入口15Aとなって、周囲のガス(ここでは空気)が筐体15内に流れ込む。
【0026】
軸流ファン30が回転することによって、筐体15の内部空間Sには、流入口15Aから筐体15の上面15Uに形成された流出口15Bへ向けてガスが流れる流路Fが形成される。エキシマランプ20の周囲を流れるガスに含まれる酸素に紫外線を照射することによってオゾンが発生し、オゾンを含むガスを装置外部へ放出して消臭、除菌などを行う。
【0027】
筐体15の上面15Uには、装置ON/OFFなどを実行するための方形状の操作部18が中央部に設けられ、その周囲で周方向に沿って断続的に開口した複数のスリット状の開口部から構成される流出口15Bが形成されている。開口が途切れた部分によって保持される操作部18の下方には、操作部18からの操作信号を受けて装置動作を制御する制御部(図示せず)が設けられている。
【0028】
エキシマランプ20に電力供給するランプ電源40は、商用電源周波数をもつ交流電圧から直流電圧へ変換する電圧変換回路と、直流電圧から高周波電圧に変換するスイッチング回路と、昇圧トランス(トランス基板)とを備え、筐体15の上面15U側(流出口15B側)または側壁15C側に低電圧側の回路構成を配置し、筐体15の内部空間Sの中央側または横断面中心ラインX側に高電圧側の回路構成(例えば、昇圧トランスの高電圧側)を配置するように、電源収容部50に収容されている。なお、スイッチング回路を設ける代わりに周波数コンバータなどを設けた他の電源構成も可能である。
【0029】
電源収容部50は、ランプ電源40がエキシマランプ20から放射される紫外線および生成したオゾンに直接暴露されることを防ぐように、筐体15内の内部空間Sからランプ電源40を覆う風防52を備える。エキシマランプ20、ランプ電源40、電源収容部50は、紫外線照射装置12を構成し、電源収容部50は、ランプ電源40とともに制御部60を収容する。
【0030】
電源収容部50の風防52は、ここでは横断面矩形状であって、流入口15A側に向けて先細くなるテーパー部53を形成し、筐体15の上面15U側(流出口15B側)の下流側端部で保持されて下方に向けて延びる構造になっている。ただし、横断面円状にしてもよい。また、風防52は、風防52の横断面中心が筐体15の横断面中心付近に位置するように形成され、筐体15の側壁15Cから離れている。
【0031】
筐体15の内部空間Sの中央側に電源収容部50を配置することで、電源収容部50は、筐体15内の内部空間Sで軸流ファン30と対向している。すなわち、電源収容部50は、軸流ファン30が形成するガスの流れの中に配置される。特に、風防52の底部(上流側の端部)52Fは、軸流ファン30の中心部となるファンモータ部32と同軸的に向かい合う位置に設けている。
【0032】
更に、最も重量のあるランプ電源40(特に、昇圧トランス)が、筐体15内の横断面中心ラインXを跨ぐ位置であって、筐体15の内部空間Sの中央側(上流側)に配置されることによって、装置の重心バランスが安定化する。一方、エキシマランプ20は、軸流ファン30のファン羽根34と対向するように配置され、風防52のテーパー部53と所定間隔をもって向かい合い、筐体15の横断面中心ラインXに対して風防52よりも筐体15の側壁15C側に位置する。
【0033】
風防52のテーパー部53には、エキシマランプ20と始動補助光源(LED)57を支持する支持機構54が設けられている。支持機構54は、エキシマランプ20の発光部の外表面に設けた陰極(外側電極)の両端部付近を保持して電気的に接続する一対の保持部55を備え、上側の端部が電源収容部50の風防52に設けた開口部の外側から内側に差し入れられて、給電線(図示せず)を介して、ランプ電源40の低電圧(アース)側と電気的に接続されている。
【0034】
なお、電源収容部50の風防52に開口部を設け、風防52の内側から保持部55のみが外側(流路F内)に差し出されて、エキシマランプ20を支持するように構成してもよい。また、支持機構54を介することなく、給電線を介して外側電極をランプ電源40の低電圧(アース)側と電気的に接続してもよい。
【0035】
さらに、支持機構54には、一対の保持部55の上下方向の間であって、エキシマランプ20の表面から所定距離間隔となる位置に、エキシマランプの点灯始動を補助する始動補助光源57の光放出部がエキシマランプ20に向けて露出するように支持する開口部が設けられている。なお、風防52のテーパー部53に開口部を設けてもよい。
【0036】
風防52の底部52Fには、エキシマランプ20と電気的に接続するコネクタ56が設けられ、風防52の底部52Fと軸流ファン30のファンモータ部32とは、コネクタ56を挟んで向かい合う位置に設けられている。ランプ電源40の高電圧側(下側)はコネクタ56と接続し、コネクタ56は、給電線59を介してエキシマランプ20の発光部内に設けた陽極(内側電極)と電気的に接続している。エキシマランプ20は、陰極側は保持部55によって、陽極側はコネクタ56によって、取り外して交換可能である。
【0037】
本実施形態では、筐体15の底部15Dに軸流ファン30を同軸的に配置し、上下方向長さを抑えたコンパクト型オゾン発生装置10を構成している。電源収容部50は、エキシマランプ20の配置される内部空間Sと同じ空間に配置され、流出口15Bのスリット状の開口部が周方向に沿って途切れた部分を介して、筐体15の上面15U側で筐体15に対して所定位置となるように保持されている。
【0038】
一方、エキシマランプ20は、電源収容部50を介して、流路Fに対して、電源収容部50外の所定位置となるように支持されている。筐体15を隔壁などによって区画し、エキシマランプ20と電源収容部50とを別々のスペースに配置する構成を採用していない。そして、電源収容部50は、筐体15の内部空間Sの中央側に配置され、軸流ファン30と対向するように配置される。
【0039】
電源収容部50を、筐体15の横断面中心ラインXを跨ぐ位置付近が中心となるように配置し、筐体15の上面15U側(流出口15B側)から保持する構造にすることで、ランプ電源40の高電圧側を筐体15の上面15U、側壁15Cから離して配置することが可能となり、コンパクト化に伴うランプ電源40の配置構成に関わらず、絶縁距離を容易に確保することができる。
【0040】
特に、コネクタ56が、筐体15の側壁15Cから最も離れた風防52の底部52Fに設けられているため、筐体15の上下方向および横断面方向の長さにコンパクト化による制限があっても、筐体15の上面15Uおよび側壁15Cとコネクタ56との距離間隔を保つことで、絶縁破壊を確実に防止することができる。なお、ランプ電源40の高電圧側部分(昇圧トランスなど)を、筐体15の流入口側、低電圧側(制御回路など)を側壁側(装置外側)に配置する構成にすることでも、絶縁破壊の防止に役立つことができる。
【0041】
一方、筐体15の横断面中心ラインX側よりも側壁15Cに近い場所へエキシマランプ20を配置することにより、軸流ファン30から流出するガスの流量が多くなり、十分な量のオゾンを含むガスが発生する。これは、軸流ファン30の排出口付近では、軸流ファン30のファンモータ部32の外径の大きさに影響される領域で逆流現象が生じ、ファン羽根34の近くに配置されたエキシマランプ20に向けてガスの流量が多くなり、オゾン生成の効率が高まるためである。このような逆流現象が生じる領域と対向するように、風防52の底部52Fを配置する。
【0042】
一般的に、特定のピーク波長の真空紫外線は、大気中で吸収されやすく、エキシマランプ20から放射される紫外線はすぐに減衰し、紫外線強度が低下する。この減衰の程度は、紫外線の大気中に対する吸収係数の大きさに従う。理想的な測定環境では波長172nmの紫外線の場合、約3mmの進行で紫外線強度比が50%以下まで減衰し、約6mmで20%以下、そして約30mmで紫外線がすべて吸収されてしまう。
【0043】
そこで、電源収容部50が風防52に設けられた支持機構54によってエキシマランプ20を支持することにより、エキシマランプ20から筐体15の側壁15Cまたは風防52までの距離間隔がオゾン生成効率の観点で最適な状態となるように、エキシマランプ20を安定して支持することができる。そのため、エキシマランプ20から放射された紫外線は、筐体15の側壁15Cや風防52によって遮られるのを防ぎ、流路Fにおいてオゾン生成効率の良い領域にエキシマランプ20を安定して配置することができる。
【0044】
また、電源収容部50の風防52に設けられた支持機構54によって始動補助光源57を支持することにより、始動補助光源57とエキシマランプ20とが空間的に連通した状態で対向する距離間隔を、エキシマランプ20から放射される紫外線が始動補助光源57には実質的に照射されず、始動補助光源57から放射される光がエキシマランプ20に照射されるように、安定して支持しやすくなる。
【0045】
エキシマランプ20から放射される紫外線の波長よりも、長い波長の光を放射する始動補助光源57を用いて、空気中の透過率の波長による違いを利用することで、始動補助光源57がエキシマランプ20から放射される紫外線により急速に劣化することがない。このように、支持機構54は、エキシマランプ20を流路Fの所望な位置となるように支持するとともに、始動補助光源57をエキシマランプ20に対する所望な位置となるように支持する機能を併せ持ち、それぞれの位置がランプ交換の前後で変更されることを防ぐ。
【0046】
風防52には、軸流ファン30側(上流側)に向けて先細くなるテーパー部53が形成されている。これによって、軸流ファン30のファンモータ部32の外径に対して電源収容部50が大きいときであっても、軸流ファン30から流出するガスが風防52の表面に沿って流れ、風防52自体が大きな流れ抵抗となるのを防ぐことができる。
【0047】
さらに、電源収容部50の風防52を筐体15の上面15U側まで形成し、電源収容部50の周囲に流出口15Bを形成することによって、操作部18の面積を広く設定することを可能にするとともに、操作部18の下方に設けられる制御部を電源収容部50に収容することを可能にしている。
【0048】
次に、
図2を用いて、第2の実施形態であるオゾン発生装置について説明する。第2の実施形態では、電源収容部が直方体形状となっている。それ以外の構成については、実質的に第1の実施形態と同じである。
【0049】
図2は、第2の実施形態であるオゾン発生装置の概略的構成図である。電源収容部50’は、横断面サイズ一定の風防52’を備え、テーパー部分を形成していない。また、操作部18’が筐体15の外側面に設けられている。風防52’が筐体15の上面15U側でスペースをとらないため、開口部15Bのサイズが拡大し、軸流ファン30から供給されるガスが流路Fにおいて流れやすく、流量を多くすることができる。
【0050】
次に、
図3を用いて、第3の実施形態であるオゾン発生装置について説明する。第3の実施形態では、風防52”の底部52F”と軸流ファン30のファンモータ部32とは、コネクタ56”とエキシマランプ20を挟んで向かい合う位置に設けられている。それ以外の構成については、実質的に第2の実施形態と同じである。
【0051】
図3は、第3の実施形態であるオゾン発生装置の概略的構成図である。風防52”、コネクタ56”、エキシマランプ20、軸流ファン30を同軸上に配置することで、横断面方向の長さにコンパクト化による制限があっても、筐体15の上面15Uおよび側壁15Cに対して、コネクタ56”およびエキシマランプ20特に、外側電極との距離間隔を保つことで、絶縁破壊を確実に防止することができる。
【0052】
エキシマランプに関しては、ランプ軸が筐体の上下方向、すなわち流路とは異なる方向に沿うように配置してもよい。筐体の側壁との距離間隔がある程度確保できる場合、コネクタを風防の底部以外の箇所に設ける構成も可能である。
【0053】
第1、第2、第3の実施形態に示したオゾン発生装置は、軸流ファンと紫外線照射装置を筐体内に装備し、酸素を含むガスが筐体内で流れる構成であるが、様々なガスに対して紫外線を照射する紫外線照射装置として構成することも可能である。
【0054】
例えば、流路管の上流側に送風機などの流体供給部を配置し、流路管内にエキシマランプと電源収容部を配置した紫外線照射装置を設置することが可能である。また、管状部材(流路管)に軸流ファンを設置し、その下流側にエキシマランプおよび電源収容部を備えた紫外線照射装置を設置することも可能である。ガスだけでなく、液体も含めた流体に対して紫外線を照射することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 オゾン発生装置
12 紫外線照射装置
15 筐体
20 エキシマランプ
30 軸流ファン(流体供給部)
40 ランプ電源
50 電源収容部
52 風防
56 コネクタ
57 始動補助光源(LED)
F 流路