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特許7572877車載端末装置、電子会議システム、電子会議方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】車載端末装置、電子会議システム、電子会議方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241017BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20241017BHJP
   G10L 21/0364 20130101ALI20241017BHJP
【FI】
G08G1/16 A
B60R11/02 S
B60R11/02 C
B60R11/02 M
G10L21/0364
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021028366
(22)【出願日】2021-02-25
(65)【公開番号】P2022129626
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 明男
(72)【発明者】
【氏名】奥原 誠
(72)【発明者】
【氏名】豊田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】掛江 庸平
(72)【発明者】
【氏名】荻島 葵
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-195121(JP,A)
【文献】特開平5-153260(JP,A)
【文献】特開2004-32589(JP,A)
【文献】特表2015-537479(JP,A)
【文献】特開2006-30282(JP,A)
【文献】特開2002-91488(JP,A)
【文献】特開2005-122042(JP,A)
【文献】特開2015-193365(JP,A)
【文献】特開2020-35262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
H04M 1/00
H04M 1/24 - 3/00
H04M 3/16 - 3/20
H04M 3/38 - 3/58
H04M 7/00 - 7/16
H04M 11/00 - 11/10
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
G10L 13/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
B60R 11/00 - 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子会議を行うための電子会議システムを構成する複数の端末装置に含まれ且つ車両に搭載される車載端末装置であって、制御部を有し、前記制御部は、
前記車両の乗員の発話内容に応じた車両側音声信号を取得し、
前記複数の端末装置の内、前記車載端末装置と異なる端末装置である相手側端末装置のユーザの発話内容に応じた相手側音声信号を取得し、
前記相手側音声信号を前記車両内のスピーカから出力させる処理及び前記車両側音声信号を前記相手側端末装置へ伝達させる処理を実行可能であって、
前記車両の状態に応じて前記相手側音声信号の前記車両内のスピーカからの出力又は非出力を切り替える切り替え処理を実行し、
前記切り替え処理において、前記車両の状態が所定の制限状態に該当するときに前記相手側音声信号の前記車両内のスピーカからの出力を停止し、
前記制限状態は、前記車両のドア又は窓が開放された状態、及び、前記車両に搭載されたバッテリの出力電圧値又は残容量が所定値以下となる状態の内、少なくとも1つを含む
、車載端末装置。
【請求項2】
電子会議を行うための電子会議システムを構成する複数の端末装置に含まれ且つ車両に搭載される車載端末装置であって、制御部を有し、前記制御部は、
前記車両の乗員の発話内容に応じた車両側音声信号を取得し、
前記複数の端末装置の内、前記車載端末装置と異なる端末装置である相手側端末装置のユーザの発話内容に応じた相手側音声信号を取得し、
前記相手側音声信号を前記車両内のスピーカから出力させる処理及び前記車両側音声信号を前記相手側端末装置へ伝達させる処理を実行可能であって、
前記車両の状態に応じて前記車両側音声信号の前記相手側端末装置への伝達又は非伝達を切り替える切り替え処理を実行し、
前記切り替え処理において、前記車両の状態が所定の制限状態に該当するときに前記車両側音声信号の前記相手側端末装置への伝達を停止し、
前記制限状態は、前記車両の進行方向が後退方向に設定されている状態、前記車両のドア又は窓が開放された状態、前記車両に搭載されたバッテリの出力電圧値又は残容量が所定値以下となる状態、及び、前記車両の速度が所定速度を超える状態の内、少なくとも1つを含む
、車載端末装置。
【請求項3】
電子会議を行うための電子会議システムを構成する複数の端末装置に含まれ且つ車両に搭載される車載端末装置であって、制御部を有し、前記制御部は、
前記車両の乗員の発話内容に応じた車両側音声信号を取得し、
前記複数の端末装置の内、前記車載端末装置と異なる端末装置である相手側端末装置のユーザの発話内容に応じた相手側音声信号を取得し、
前記相手側音声信号を前記車両内のスピーカから出力させる処理及び前記車両側音声信号を前記相手側端末装置へ伝達させる処理を実行可能であって、
前記車両の状態に応じて前記相手側音声信号の前記車両内のスピーカからの出力又は非出力を切り替える第1切り替え処理、及び、前記車両の状態に応じて前記車両側音声信号の前記相手側端末装置への伝達又は非伝達を切り替える第2切り替え処理を実行し、
前記第1切り替え処理において、前記車両の状態が所定の第1制限状態に該当するときに前記相手側音声信号の前記車両内のスピーカからの出力を停止し、
前記第1制限状態は、前記車両のドア又は窓が開放された状態、及び、前記車両に搭載されたバッテリの出力電圧値又は残容量が所定値以下となる状態の内、少なくとも1つを含み、
前記第2切り替え処理において、前記車両の状態が所定の第2制限状態に該当するときに前記車両側音声信号の前記相手側端末装置への伝達を停止し、
前記第2制限状態は、前記車両の進行方向が後退方向に設定されている状態、前記車両のドア又は窓が開放された状態、前記車両に搭載されたバッテリの出力電圧値又は残容量が所定値以下となる状態、及び、前記車両の速度が所定速度を超える状態の内、少なくとも1つを含む
、車載端末装置。
【請求項4】
電子会議を行うための電子会議システムを構成する複数の端末装置に含まれ且つ車両に搭載される車載端末装置であって、制御部及び操作部を有し、前記制御部は、
前記車両の乗員の発話内容に応じた車両側音声信号を取得し、
前記複数の端末装置の内、前記車載端末装置と異なる端末装置である相手側端末装置のユーザの発話内容に応じた相手側音声信号を取得し、
前記相手側音声信号を前記車両内のスピーカから出力させる処理及び前記車両側音声信号を前記相手側端末装置へ伝達させる処理を実行可能であって、
前記相手側端末装置が複数存在する場合、複数の相手側端末装置における複数のユーザの一部を交信相手に指定した交信を要求するための要求操作を前記操作部にて受け付け可能であり、
前記制御部は、前記車両の状態が所定の制限状態に該当するときに前記要求操作の受け付けを禁止し、
前記制限状態は、前記車両のドア又は窓が開放された状態、及び、前記車両に搭載されたバッテリの出力電圧値又は残容量が所定値以下となる状態の内、少なくとも1つを含む
、車載端末装置。
【請求項5】
電子会議を行うための電子会議システムを構成する複数の端末装置に含まれ且つ車両に搭載される車載端末装置であって、制御部を有し、前記制御部は、
前記車両の乗員の発話内容に応じた車両側音声信号を取得し、
前記複数の端末装置の内、前記車載端末装置と異なる端末装置である相手側端末装置のユーザの発話内容に応じた相手側音声信号を取得し、
前記相手側音声信号を前記車両内のスピーカから出力させる処理及び前記車両側音声信号を前記相手側端末装置へ伝達させる処理を実行可能であって、
前記電子会議システムにおける全端末装置にて共有される会議画像を前記車両内の表示画面に表示可能であり、前記車両の状態が所定の制限状態に該当するときに前記会議画像の前記車両内の表示画面への表示を停止させ、
前記制限状態は、前記車両のドア又は窓が開放された状態、及び、前記車両に搭載されたバッテリの出力電圧値又は残容量が所定値以下となる状態の内、少なくとも1つを含む
、車載端末装置。
【請求項6】
電子会議を行うための電子会議システムを構成する複数の端末装置に含まれ且つ車両に搭載される車載端末装置であって、制御部を有し、前記制御部は、
前記車両の乗員の発話内容に応じた車両側音声信号を取得し、
前記複数の端末装置の内、前記車載端末装置と異なる端末装置である相手側端末装置のユーザの発話内容に応じた相手側音声信号を取得し、
前記相手側音声信号を前記車両内のスピーカから出力させる処理及び前記車両側音声信号を前記相手側端末装置へ伝達させる処理を実行可能であって、
前記車両が走行しているとき、前記車両に設置されたマイクロホンを用いて前記車両側音声信号を生成する際の感度を前記車両の舵角に応じて制御する
、車載端末装置。
【請求項7】
ネットワークを通じて互いに接続された複数の端末装置を用いて複数の人物間で電子会議を行うための電子会議システムにおいて、請求項1~6の何れかに記載の車載端末装置が前記複数の端末装置に含まれる
、電子会議システム。
【請求項8】
電子会議を行うための電子会議システムを構成する複数の端末装置に含まれ且つ車両に搭載される車載端末装置にて用いられる電子会議方法であって、
前記車両の乗員の発話内容に応じた車両側音声信号を取得し、
前記複数の端末装置の内、前記車載端末装置と異なる端末装置である相手側端末装置のユーザの発話内容に応じた相手側音声信号を取得し、
前記相手側音声信号を前記車両内のスピーカから出力させる処理及び前記車両側音声信号を前記相手側端末装置へ伝達させる処理を実行可能であって、
前記車両の状態に応じて前記相手側音声信号の前記車両内のスピーカからの出力又は非出力を切り替える切り替え処理を実行し、
前記切り替え処理において、前記車両の状態が所定の制限状態に該当するときに前記相手側音声信号の前記車両内のスピーカからの出力を停止し、
前記制限状態は前記車両のドア又は窓が開放された状態、及び、前記車両に搭載されたバッテリの出力電圧値又は残容量が所定値以下となる状態の内、少なくとも1つを含む
、電子会議方法。
【請求項9】
電子会議を行うための電子会議システムを構成する複数の端末装置に含まれ且つ車両に搭載される車載端末装置にて用いられる電子会議方法であって、
前記車両の乗員の発話内容に応じた車両側音声信号を取得し、
前記複数の端末装置の内、前記車載端末装置と異なる端末装置である相手側端末装置のユーザの発話内容に応じた相手側音声信号を取得し、
前記相手側音声信号を前記車両内のスピーカから出力させる処理及び前記車両側音声信号を前記相手側端末装置へ伝達させる処理を実行可能であって、
前記車両の状態に応じて前記車両側音声信号の前記相手側端末装置への伝達又は非伝達を切り替える切り替え処理を実行し、
前記切り替え処理において、前記車両の状態が所定の制限状態に該当するときに前記車両側音声信号の前記相手側端末装置への伝達を停止し、
前記制限状態は、前記車両の進行方向が後退方向に設定されている状態、前記車両のドア又は窓が開放された状態、前記車両に搭載されたバッテリの出力電圧値又は残容量が所定値以下となる状態、及び、前記車両の速度が所定速度を超える状態の内、少なくとも1つを含む
、電子会議方法。
【請求項10】
電子会議を行うための電子会議システムを構成する複数の端末装置に含まれ且つ車両に搭載される車載端末装置にて用いられる電子会議方法であって、
前記車両の乗員の発話内容に応じた車両側音声信号を取得し、
前記複数の端末装置の内、前記車載端末装置と異なる端末装置である相手側端末装置のユーザの発話内容に応じた相手側音声信号を取得し、
前記相手側音声信号を前記車両内のスピーカから出力させる処理及び前記車両側音声信号を前記相手側端末装置へ伝達させる処理を実行可能であって、
前記車両の状態に応じて前記相手側音声信号の前記車両内のスピーカからの出力又は非出力を切り替える第1切り替え処理、及び、前記車両の状態に応じて前記車両側音声信号の前記相手側端末装置への伝達又は非伝達を切り替える第2切り替え処理を実行し、
前記第1切り替え処理において、前記車両の状態が所定の第1制限状態に該当するときに前記相手側音声信号の前記車両内のスピーカからの出力を停止し、
前記第1制限状態は、前記車両のドア又は窓が開放された状態、及び、前記車両に搭載されたバッテリの出力電圧値又は残容量が所定値以下となる状態の内、少なくとも1つを含み、
前記第2切り替え処理において、前記車両の状態が所定の第2制限状態に該当するときに前記車両側音声信号の前記相手側端末装置への伝達を停止し、
前記第2制限状態は、前記車両の進行方向が後退方向に設定されている状態、前記車両のドア又は窓が開放された状態、前記車両に搭載されたバッテリの出力電圧値又は残容量が所定値以下となる状態、及び、前記車両の速度が所定速度を超える状態の内、少なくとも1つを含む
、電子会議方法。
【請求項11】
電子会議を行うための電子会議システムを構成する複数の端末装置に含まれ且つ車両に搭載される車載端末装置にて用いられる電子会議方法であって、
前記車両の乗員の発話内容に応じた車両側音声信号を取得し、
前記複数の端末装置の内、前記車載端末装置と異なる端末装置である相手側端末装置のユーザの発話内容に応じた相手側音声信号を取得し、
前記相手側音声信号を前記車両内のスピーカから出力させる処理及び前記車両側音声信号を前記相手側端末装置へ伝達させる処理を実行可能であって、
前記相手側端末装置が複数存在する場合、複数の相手側端末装置における複数のユーザの一部を交信相手に指定した交信を要求するための要求操作を前記車載端末装置に設けられた操作部にて受け付け可能であり、
前記制御部は、前記車両の状態が所定の制限状態に該当するときに前記要求操作の受け付けを禁止し、
前記制限状態は、前記車両のドア又は窓が開放された状態、及び、前記車両に搭載されたバッテリの出力電圧値又は残容量が所定値以下となる状態の内、少なくとも1つを含む
、電子会議方法。
【請求項12】
電子会議を行うための電子会議システムを構成する複数の端末装置に含まれ且つ車両に搭載される車載端末装置にて用いられる電子会議方法であって、
前記車両の乗員の発話内容に応じた車両側音声信号を取得し、
前記複数の端末装置の内、前記車載端末装置と異なる端末装置である相手側端末装置のユーザの発話内容に応じた相手側音声信号を取得し、
前記相手側音声信号を前記車両内のスピーカから出力させる処理及び前記車両側音声信号を前記相手側端末装置へ伝達させる処理を実行可能であって、
前記電子会議システムにおける全端末装置にて共有される会議画像を前記車両内の表示画面に表示可能であり、前記車両の状態が所定の制限状態に該当するときに前記会議画像の前記車両内の表示画面への表示を停止させ、
前記制限状態は、前記車両のドア又は窓が開放された状態、及び、前記車両に搭載されたバッテリの出力電圧値又は残容量が所定値以下となる状態の内、少なくとも1つを含む
、電子会議方法。
【請求項13】
電子会議を行うための電子会議システムを構成する複数の端末装置に含まれ且つ車両に搭載される車載端末装置にて用いられる電子会議方法であって、
前記車両の乗員の発話内容に応じた車両側音声信号を取得し、
前記複数の端末装置の内、前記車載端末装置と異なる端末装置である相手側端末装置のユーザの発話内容に応じた相手側音声信号を取得し、
前記相手側音声信号を前記車両内のスピーカから出力させる処理及び前記車両側音声信号を前記相手側端末装置へ伝達させる処理を実行可能であって、
前記車両が走行しているとき、前記車両に設置されたマイクロホンを用いて前記車両側音声信号を生成する際の感度を前記車両の舵角に応じて制御する
、電子会議方法。
【請求項14】
請求項8~13の何れかに記載の電子会議方法を演算処理装置に実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載端末装置、電子会議システム、電子会議方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の人物が一同に会することなく、複数の端末装置を用いて複数の人物間で会議を行う電子会議(Web会議)が広く実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-35262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載端末装置を用いれば、自動車等の車両の乗員も電子会議に参加することができる。但し、会議室又は自宅等から電子会議に参加する場合と異なり、車両の乗員が電子会議に参加する際には安全性等に配慮した適正な会議運用が行われるべきである。
【0005】
本発明は、車両の乗員が電子会議に参加する場合において適正な会議運用に寄与する車載端末装置、電子会議システム、電子会議方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車載端末装置は、電子会議を行うための電子会議システムを構成する複数の端末装置に含まれ且つ車両に搭載される車載端末装置であって、前記車両の乗員の発話内容に応じた車両側音声信号を取得する車両側音声信号取得部と、前記複数の端末装置の内、前記車載端末装置と異なる端末装置である相手側端末装置のユーザの発話内容に応じた相手側音声信号を取得する相手側音声信号取得部と、前記車両の状態に応じて前記相手側音声信号の前記車両内のスピーカからの出力又は非出力を切り替える第1切り替え処理、及び、前記車両の状態に応じて前記車両側音声信号の前記相手側端末装置への伝達又は非伝達を切り替える第2切り替え処理の内、少なくとも一方を実行する会議参加状態制御部と、を備えた構成(第1の構成)である。
【0007】
上記第1の構成に係る車載端末装置において、前記会議参加状態制御部は、前記第1切り替え処理において、前記車両の状態が所定の第1制限状態に該当するときに前記相手側音声信号の前記車両内のスピーカからの出力を停止し、前記第1制限状態は、前記車両の進行方向が後退方向に設定されている状態、前記車両のドア又は窓が開放された状態、及び、前記車両に搭載されたバッテリの出力電圧値又は残容量が所定値以下となる状態の内、少なくとも1つを含む構成(第2の構成)であっても良い。
【0008】
上記第1又は第2の構成に係る車載端末装置において、前記会議参加状態制御部は、前記第2切り替え処理において、前記車両の状態が所定の第2制限状態に該当するときに前記車両側音声信号の前記相手側端末装置への伝達を停止し、前記第2制限状態は、前記車両の進行方向が後退方向に設定されている状態、前記車両のドア又は窓が開放された状態、前記車両に搭載されたバッテリの出力電圧値又は残容量が所定値以下となる状態、及び、前記車両の速度が所定速度を超える状態の内、少なくとも1つを含む構成(第3の構成)であっても良い。
【0009】
上記第1~第3の構成の何れかに係る車載端末装置において、操作部を更に備え、前記相手側端末装置が複数存在する場合、複数の相手側端末装置における複数のユーザの一部を交信相手に指定した交信を要求するための要求操作を前記操作部にて受け付け可能であり、前記会議参加状態制御部は、前記車両の状態に応じて、前記操作部による前記要求操作の受け付けを許可又は禁止する構成(第4の構成)であっても良い。
【0010】
上記第4の構成に係る車載端末装置において、前記会議参加状態制御部は、前記車両の状態が所定の第3制限状態に該当するときに前記要求操作の受け付けを禁止し、前記第3制限状態は、前記車両の進行方向が後退方向に設定されている状態、前記車両のドア又は窓が開放された状態、前記車両に搭載されたバッテリの出力電圧値又は残容量が所定値以下となる状態、前記車両の速度が所定速度を超える状態、及び、前記車両のパーキングブレーキが非作動とされる状態の内、少なくとも1つを含む構成(第5の構成)であっても良い。
【0011】
上記第1~第5の構成の何れかに係る車載端末装置において、前記会議参加状態制御部は、前記電子会議システムにおける全端末装置にて共有される会議画像の前記車両内の表示画面への表示又は非表示を、前記車両の状態に応じて切り替える構成(第6の構成)であっても良い。
【0012】
上記第6の構成に係る車載端末装置において、前記会議参加状態制御部は、前記車両の状態が所定の第4制限状態に該当するときに前記会議画像の前記車両内の表示画面への表示を停止させ、前記第4制限状態は、前記車両の進行方向が後退方向に設定されている状態、前記車両のドア又は窓が開放された状態、前記車両に搭載されたバッテリの出力電圧値又は残容量が所定値以下となる状態、及び、前記車両の速度が所定速度を超える状態の内、少なくとも1つを含む構成(第7の構成)であっても良い。
【0013】
上記第1~第7の構成の何れかに係る車載端末装置において、前記会議参加状態制御部は、前記車両に設置されたマイクロホンを用いて前記車両側音声信号を生成する際の感度を前記車両の速度に応じて制御する構成(第8の構成)であっても良い。
【0014】
上記第8の構成に係る車載端末装置において、前記会議参加状態制御部は、前記車両が走行しているとき、前記車両の舵角に応じて前記感度を制御する構成(第9の構成)であっても良い。
【0015】
上記第1~第9の構成の何れかに係る車載端末装置において、前記会議参加状態制御部は、前記相手側音声信号を前記車両内のスピーカから出力させる際の出力音量レベルを前記車両の速度に応じて制御する構成(第10の構成)であっても良い。
【0016】
上記第1~第9の構成の何れかに係る車載端末装置において、前記会議参加状態制御部は、前記相手側音声信号を前記車両内のスピーカから出力させる際の出力音量レベルを前記車両のエンジンの作動の有無に応じて制御する構成(第11の構成)であっても良い。
【0017】
上記第1~第9の構成の何れかに係る車載端末装置において、前記会議参加状態制御部は、前記相手側音声信号を前記車両内のスピーカから出力させる際の出力音量レベルを前記車両の位置情報及び地図情報に応じて制御する構成(第12の構成)であっても良い。
【0018】
上記第1~第12の構成の何れかに係る車載端末装置において、前記車両の状態に応じた状態通知信号を前記相手側端末装置に向けて送信する状態通知部を更に備える構成(第13の構成)であっても良い。
【0019】
本発明に係る電子会議システムは、ネットワークを通じて互いに接続された複数の端末装置を用いて複数の人物間で電子会議を行うための電子会議システムにおいて、上記第1~第13の構成の何れかに係る車載端末装置が前記複数の端末装置に含まれる構成(第14の構成)である。
【0020】
本発明に係る電子会議方法は、電子会議を行うための電子会議システムを構成する複数の端末装置に含まれ且つ車両に搭載される車載端末装置にて用いられる電子会議方法であって、前記車両の乗員の発話内容に応じた車両側音声信号を取得する車両側音声信号取得ステップと、前記複数の端末装置の内、前記車載端末装置と異なる端末装置である相手側端末装置のユーザの発話内容に応じた相手側音声信号を取得する相手側音声信号取得ステップと、前記車両の状態に応じて前記相手側音声信号の前記車両内のスピーカからの出力又は非出力を切り替える第1切り替え処理、及び、前記車両の状態に応じて前記車両側音声信号の前記相手側端末装置への伝達又は非伝達を切り替える第2切り替え処理の内、少なくとも一方を実行する会議参加状態制御ステップと、を備えた構成(第15の構成)である。
【0021】
本発明に係るプログラムは、上記第15の構成に係る電子会議方法を演算処理装置に実現させる構成(第16の構成)である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、車両の乗員が電子会議に参加する場合において適正な会議運用に寄与する車載端末装置、電子会議システム、電子会議方法及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る会議システム(電子会議システム)の全体構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る端末装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係るサーバ装置の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る車両を上方から観測したときの車両の平面図である。
図5】本発明の実施形態に係る車両の車室内の一部を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る車載システムの全体構成図である。
図7図6の車載センサ部の内部構成図である。
図8図6の制御部の機能ブロック図である。
図9】本発明の実施形態で注目される音声信号の通信内容を説明するための図である。
図10】本発明の実施形態に属する第1実施例に係り、車載端末装置の動作モードと車両の状態等との関係を示す図である。
図11】本発明の実施形態に属する第1実施例に係り、他社呼出機能の説明図である。
図12】本発明の実施形態に属する第1実施例に係り、電子会議開催期間と秘匿交信期間との関係を示す図である。
図13】本発明の実施形態に属する第2実施例に係り、車載端末装置の動作モードと車両の状態等との関係を示す図である。
図14】本発明の実施形態に属する第3実施例に係り、車載端末装置の動作モードと車両の状態等との関係を示す図である。
図15】本発明の実施形態に属する第5実施例に係り、電子会議開催期間における相手側端末装置の表示画面例を示す図である。
図16】本発明の実施形態に属する第5実施例に係り、電子会議開催期間において相手側端末装置にて表示される画像の例を示す図である。
図17】本発明の実施形態に属する第5実施例に係り、電子会議開催期間において相手側端末装置にて表示される画像の例を示す図である。
図18】本発明の実施形態に属する第9実施例に係り、会議データの記録及び再生に関わる構成図である。
図19】本発明の実施形態に属する第9実施例に係り、会議データの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“273”によって参照される会議参加状態制御部は(図8参照)、会議参加状態制御部273と表記されることもあるし、制御部273と略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0025】
図1に本実施形態に係るシステム1の全体構成を示す。システム1を様々な用途に利用することができるが、本実施形態では、複数の人物PS間で会議(会話)を行う用途にシステム1が利用されることを想定する。この場合、システム1は会議システム(電子会議システム)として機能し、以下、システム1を会議システム1と称する。本実施形態における会議は電子会議であって、本実施形態において会議と電子会議は互いに同じものを指す。電子会議では、複数の人物PSが一同に会することなく、複数の端末装置間における信号(少なくとも音声信号を含む)の送受信を通じて複数の人物PS間の会話を実現する。電子会議は一般にWeb会議とも称される。各人物PSは電子会議の参加者に相当する。
【0026】
会議システム1は複数の端末装置10とサーバ装置30とを備えて構成される。各端末装置10が上記複数の人物PSの内の一人に割り当てられる。各端末装置10及びサーバ装置30はインターネットを含むネットワーク50に接続される。換言すれば、複数の端末装置10及びサーバ装置30は、ネットワーク50を通じて互いに接続される。複数の端末装置10及びサーバ装置30は、夫々に、ネットワーク50に接続された任意の装置との間で双方向通信が可能である。
【0027】
本実施形態において、複数の端末装置10の内の少なくとも一部の端末装置10は車両に搭載された車載端末装置であって、端末装置10の具体的な内部構成は複数の端末装置10間で異なり得るが、まず、複数の端末装置10に対して共通する構成を説明する。
【0028】
図2に1つの端末装置10の内部構成を示す。端末装置10は、通信処理部11、記憶部12、端末制御部13、表示画面14、操作部15、カメラ16、マイクロホン17及びスピーカ18を備える。端末装置10の内部構成を説明するにあたり、必要に応じて、注目された1つの端末装置10を注目端末装置10と称する。また、注目端末装置10のユーザである人物PSを注目人物PSと称することがある。注目端末装置10は、会議システム1において注目人物PSに割り当てられた(注目人物PSに対応付けられた)端末装置10である。会議システム1に組み込まれる各々の端末装置10が注目端末装置10になり得る。
【0029】
通信処理部11は、ネットワーク50を通じて相手側装置と双方向通信を行う。注目端末装置10において、双方向通信は、ネットワーク50に対して任意の情報を出力することで当該情報を相手側装置に送信する送信動作と、相手側装置がネットワーク50に出力した任意の情報を受信する受信動作と、を含む。注目端末装置10にとっての相手側装置は、サーバ装置30、又は、注目端末装置10以外の端末装置10である。注目端末装置10における通信処理部11は、ネットワーク50及びサーバ装置30を介し、注目端末装置10以外の各端末装置10と双方向通信できる。注目端末装置10における通信処理部11は、サーバ装置30を経由することなく、注目端末装置10以外の各端末装置10との間の双方向通信を実現可能であっても良い。このように、注目端末装置10及び相手側装置との通信は通信処理部11を利用して行われるが、以下の説明では通信処理部11の記載を省略することがある。
【0030】
記憶部12は、磁気ディスク又は半導体メモリ等から成り、或いは、それらの組み合わせから成り、各種プログラム及びデータを格納及び記憶する。少なくともプログラムは記憶部12内の不揮発性メモリに記憶されて良い。
【0031】
端末制御部13は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read only memory)及びRAM(Random access memory)等から成り、端末装置10内の各部位の動作を統括的に制御すると共に、記憶部12に格納されたプログラムを端末制御部13内の演算処理装置にて実行することで各種機能を実現する。
【0032】
表示画面14は、液晶ディスプレイパネル又は有機エレクトロルミネッセンスパネル等から成り、端末制御部13の制御の下で任意の画像(換言すれば映像)を表示する。注目人物PSは注目端末装置10の表示画面14の表示内容を視認可能である。尚、以下の説明において、或る端末装置10での表示とは、当該端末装置10に設けられた表示画面14での表示を意味する。
【0033】
操作部15は、操作者からの各種操作を受ける。注目端末装置10における操作者は注目人物PSである。端末装置10にタッチパネルが設けられる場合、当該タッチパネルにて表示画面14及び操作部15が構成されても良い。
【0034】
カメラ16は、自身の視野内の撮影を行って撮影結果を表す画像信号(画像データ)を出力する。注目端末装置10のカメラ16の視野には注目人物PSの全身又は一部が含まれ得る。
【0035】
マイクロホン17は、自身の周辺音を音声信号に変換して出力する。会議システム1において、注目端末装置10におけるマイクロホン17の主目的は、注目人物PSの発話内容の収音である。故に、注目端末装置10におけるマイクロホン17は、注目人物PSの発話内容を収音し、収音した音を音声信号に変換して出力する。
【0036】
スピーカ18は、端末制御部13の制御の下、自身へ入力された音声信号を音として(音波として)出力する。注目人物PSは、注目端末装置10のスピーカ18の出力音を聞くことができる。尚、以下の説明において、或る端末装置10での音の出力又は音声の出力とは、当該端末装置10に設けられたスピーカ18による音の出力又は音声の出力を意味する。
【0037】
図3にサーバ装置30の内部構成を示す。サーバ装置30は、通信処理部31、記憶部32及びサーバ制御部33を備える。尚、サーバ装置SVは1以上のコンピュータ装置にて構成されていて良い。所謂クラウドコンピューティングを利用して会議システム1が構成されても良い。
【0038】
通信処理部31は、ネットワーク50を通じて相手側装置と双方向通信を行う。サーバ装置30において、双方向通信は、ネットワーク50に対して任意の情報を出力することで当該情報を相手側装置に送信する送信動作と、相手側装置がネットワーク50に出力した任意の情報を受信する受信動作と、を含む。サーバ装置30にとっての相手側装置は、ネットワーク50に接続された任意の装置である。ここでは、複数の端末装置10の夫々がサーバ装置30にとっての相手側装置に相当する。このように、サーバ装置30及び相手側装置との通信は通信処理部31を利用して行われるが、以下の説明では通信処理部31の記載を省略することがある。
【0039】
記憶部32は、磁気ディスク又は半導体メモリ等から成り、或いは、それらの組み合わせから成り、各種プログラム及びデータを格納及び記憶する。少なくともプログラムは記憶部32内の不揮発性メモリに記憶されて良い。
【0040】
サーバ制御部33は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read only memory)及びRAM(Random access memory)等から成り、サーバ装置30内の各部位の動作を統括的に制御すると共に、記憶部32に格納されたプログラムをサーバ制御部33内の演算処理装置にて実行することで各種機能を実現する。
【0041】
会議システム1は電子会議において音声伝達処理を実行可能である。音声伝達処理では、任意の人物PSの発話内容を他の人物PSに割り当てられた端末装置10から音声出力する。注目人物PSが発話する際の音声伝達処理では、注目人物PSの発話内容が注目端末装置10のマイクロホン17にて収音されて音声信号に変換され、注目人物PSの発話内容を表す音声信号がネットワーク50及びサーバ装置30を通じて、注目端末装置10から他の各端末装置10に伝達される。そして、注目端末装置10以外の各端末装置10において、注目人物PSの発話内容を表す音声信号がスピーカ18から音声出力される。
【0042】
会議システム1は電子会議において会議画像表示処理を実行可能である。ここにおける会議画像とは、会議システム1を構成する全ての端末装置10間で共有される画像であり、会議画像表示処理では、各端末装置10の表示画面14にて会議画像が表示される。例えば、会議画像は、プレゼンテーション資料(説明概要、グラフ、表、静止画、動画)と言われるような資料である。但し、詳細は後述されるが、車載端末装置では会議画像が表示されないこともある。サーバ制御部33は、注目端末装置10の操作部15への操作内容等に応じて注目端末装置10の表示画面14に表示されている任意の画像を会議画像に設定することができる(注目人物PSに制御権限が付与されている状況を想定)。この場合、サーバ装置30から注目端末装置10以外の各端末装置10に対して会議画像の画像信号が送信される。注目端末装置10以外の各端末装置10において端末制御部13は受信した画像信号に基づき会議画像を表示画面14に表示する。或いは、サーバ制御部33は、予め登録された画像を会議画像に設定する場合もある。この場合、サーバ装置30から各端末装置10に対して会議画像の画像信号が送信され、各端末装置10において端末制御部13は受信した画像信号に基づき会議画像を表示画面14に表示する。会議画像に、何れかの端末装置10のカメラ16の撮影画像が含まれることもある。
【0043】
図4は本実施形態に係る車両CRの概略的な上面図である。図5に車両CRの車室内の一部を示す。図6に本実施形態に係る車載システム2の構成を示す。車載システム2が車両CRに搭載される。ここでは、車両CRが路面上を走行可能な自動車であることを想定するが、車両CRは任意の種類の車両であって良い。車両CRの車室内において、運転席近傍には、運転手が操作する部品としてステアリングホイール71、シフトレバー72及びイグニッションスイッチ73が設けられると共に、車両CRの運転手(以下単に運転手と称する)が視認可能な表示画面140が設けられる。
【0044】
ステアリングホイール71は、運転手による回転操作を受け当該回転操作に応じて車両CRの進行方向を調整するための輪状の部品である。シフトレバー72は、運転手の操作に基づき、車両CRの進行可否及び車両CRの進行方向を設定したり、車両CRの変速を行ったりする。イグニッションスイッチ73は、運転手の操作に基づき、車両CRの各電装機器に対する電源の供給又は非供給を指定すると共に、車両CRのエンジンの始動又は停止を指定する。車両CRにおいて、運転手が着席すべき運転席からステアリングホイール71に向かう向きを「前方」と定義し、ステアリングホイール71から運転席に向かう向きを「後方」と定義する。前後方向に直交し且つ路面に平行な方向を左右方向と定義する。左右方向における左、右は、車両CRの運転席に座り且つ前方を向いている、車両CRの運転手から見た左、右であるとする。
【0045】
図6を参照し、車載システム2は車載端末装置100を備える。車載端末装置100は会議システム1を構成する複数の端末装置10の何れかである。会議システム1を構成する複数の端末装置10に2以上の車載端末装置100が含まれていても良いが、本実施形態では、特に記述なき限り、複数の端末装置10に含まれた1つの車載端末装置100にのみ注目する。車載端末装置100のユーザ(即ち、車載端末装置100に対応付けられた人物PS)は運転手である。車載端末装置100における通信処理部11、記憶部12、端末制御部13、表示画面14、操作部15、カメラ16、マイクロホン17及びスピーカ18を、夫々、特に、通信処理部110、記憶部120、端末制御部130、表示画面140、操作部150、カメラ160、マイクロホン170及びスピーカ180と称することがある。記憶部120には電子会議用のプログラムPGが格納されている。端末制御部130における演算処理装置は、プログラムPGを実行することで、電子会議において車載端末装置100が実行すべき各種の処理を実行する。尚、通信処理部110、表示画面140、操作部150、カメラ160、マイクロホン170及びスピーカ180の内、任意の1以上の要素は、車載端末装置100の外部に設けられて車載端末装置100に対して外部接続されるものであっても良い(但し、何れせよそれらは車両CRに設置される)。
【0046】
車載端末装置100に対して複数の接続機器が接続される。車載端末装置100に接続される複数の接続機器は、GPS処理部210、車載センサ部220及び車載カメラ部230を含み、各接続機器は車両CRの適所に設置される。車載端末装置100と任意の接続機器とは、車両CRに形成された車内ネットワークを介し、互いに双方向通信(但し必要でなければ一方向通信でも良い)が可能な態様で接続される。車内ネットワークとしてCAN(Controller Area Network)を利用できる。但し、GPS処理部210、車載センサ部220及び車載カメラ部230の内、任意の1以上の要素は、車載端末装置100に内蔵されるものであっても良い。
【0047】
GPS処理部210は、GPS(Global Positioning System)を形成する複数のGPS衛星からの信号を受信することで車両CRの位置を検出し、検出位置を示す車両位置情報を生成する。検出される位置は車両CRの現在地である。車両位置情報では、車両CRの位置(現在地)が、地球上における経度及び緯度によって表現される。車両位置情報は所定周期で順次生成され、生成された車両位置情報は順次車載端末装置100に出力される。
【0048】
車載センサ部220は、車両CRに設置された複数の車載センサから成り、各車載センサを用いて車載センサ情報を検出及び取得する。車載センサ情報は所定周期で順次取得され、取得された車載センサ情報は順次車載端末装置100に出力される。
【0049】
車載カメラ部230は、車両CRに設置された1以上のカメラから成る。車載カメラ部230におけるカメラは、車載端末装置100のカメラ160とは別のカメラであって、車両CRの周辺を撮影するためのカメラを含む。車両CRの周辺とは車両CRの外部空間を指す。車載カメラ部230にはリアカメラ231が含まれる(図4も参照)。リアカメラ231は、車両CRの外部であって且つ車両CRの後方側領域に視野を持ち、車両CRの車体の適所に設置される。図4からは明らかではないが、車両CRの外部であって且つ車両CRの後方側における所定領域内の路面がカメラ231の視野に含まれるよう、カメラ231の俯角が適切に設定される。尚、ドライブレコーダのカメラなど、車載端末装置100とは別の車載装置(車両CRに搭載された車載装置)に設けられた又は接続されたカメラが、車載カメラ部230におけるカメラ(リアカメラ231等)として兼用(利用)されても良い。同様に、車載端末装置100とは別の車載装置(車両CRに搭載された車載装置;ドライブレコーダ等)に設けられた又は接続されたカメラ及びマイクロホンが、カメラ160及びマイクロホン170として兼用(利用)されても良い。
【0050】
図7に車載センサ部220の内部構成を示す。車載センサ部220は、複数の車載センサとして、車速センサ221、舵角センサ222、シフトレバーセンサ223、パーキングブレーキセンサ224、ドアセンサ225、窓センサ226及びバッテリセンサ227を備える。
【0051】
車速センサ221は車両CRの速度を検出し、検出した速度を表す車速情報(車速パルス)を出力する。舵角センサ222は車両CRの舵角(操舵角)を検出し、検出した舵角を表す舵角情報を出力する。
【0052】
シフトレバーセンサ223は、車両CRのシフトレバー72の状態を検出し、検出したシフトレバー72の状態を表すシフト情報を出力する。シフトレバー72の状態は、運転手の操作に基づきドライブ状態、パーキング状態及びリバース状態を含む複数の状態の何れかに設定される。シフトレバー72がドライブ状態にあるとき車両CRのアクセルペダルの踏み込みに応じて車両CRが前進し(前方に向けて走行し)、シフトレバー72がリバース状態にあるとき車両CRのアクセルペダルの踏み込みに応じて車両CRが後退する(後方に向けて走行する)。シフトレバー72がパーキング状態にあるとき、車両CRのアクセルペダルに応答した車両CRの走行は発生しない。
【0053】
パーキングブレーキセンサ224は、車両CRに設けられたハーキングブレーキ(不図示)が作動しているか否かを検出し、その検出結果を示すパーキングブレーキ情報を出力する。パーキングブレーキの作動により、車両CRのトランスミッションのギアが固定される措置などにより、車両CRは安定的に停止する。運転手は、車両CRに設けられたパーキングブレーキレバー又はパーキングスイッチ等の操作部材を操作することで、パーキングブレーキを作動させる又は非作動とすることができる。
【0054】
ドアセンサ225は、車両CRに設置されるドアの開閉状態を検出し、ドアの開閉状態の検出結果を表すドア開閉情報を出力する。窓センサ226は、車両CRに設置される窓の開閉状態を検出し、窓の開閉状態の検出結果を表す窓開閉情報を出力する。上記ドア及び窓は、車両CRの車室内と車両CRの外部空間との境界に位置する開閉自在な車両部品である。バッテリセンサ227は、車両CRに搭載されたバッテリ(不図示)の出力電圧を検出し、その検出結果に基づくバッテリ情報を出力する。バッテリ情報は検出されたバッテリの出力電圧値VBATを表す。或いは、バッテリ情報は出力電圧値VBATに基づき算出されたバッテリの残容量であっても良い。車両CR内の各電装機器はバッテリの出力電力を駆動源として用いて駆動する。車載端末装置100は車両CR内の電装機器の1つである。
【0055】
上述の車速情報、舵角情報、シフト情報、バーキングブレーキ情報、ドア開閉情報、窓開閉情報及びバッテリ情報を含む車載センサ情報が、車載端末装置100に出力される。この他、車両CRの所定軸方向の加速度を表す加速度情報、車両CRに設けられたアクセルペダルの踏み込み量を表すアクセル情報、及び、車両CRに設けられたブレーキペダルの踏み込み量を表すブレーキ情報なども、車載センサ情報に含まれ得る。
尚、車両CRが電気自動車等である場合、車両CRの種別に依存して車載センサ部220の形態が上述したものと相違する場合もあり得る。例えば、車両CRが電気自動車である場合、シフトレバーセンサ223が無い場合があり、モータの回転方向の切り替えで車両CRの進行方向を切り替えることができる。このような場合には、シフトレバーセンサ223が、モータの回転方向を検出するセンサなどに置き換わる。
【0056】
図8に端末制御部130の機能ブロック図を示す。端末制御部130はナビゲーション処理部260及び電子会議処理部270を備える。端末制御部130内の演算処理装置が記憶部120内のプログラムを実行することでナビゲーション処理部260及び電子会議処理部270の各処理が実行されて良い。
【0057】
ナビゲーション処理部260によりナビゲーション処理が実行される。ナビゲーション処理部260は、ナビゲーション部261及び地図情報取得部262を備える。ナビゲーション処理において、ナビゲーション部261は、車両CRの現在地から目的地までの走行予定ルートを設定し、地図画像上に走行予定ルートを重畳した画像を表示画面140に表示する。走行予定ルートは、目的地に至るまでに車両CRが走行する予定のルートを表しており、車両CRの運転者は走行予定ルートに沿って車両CRが走行するよう運転操作を行うことが支援される。運転手は例えば操作部150の操作を通じて目的地を設定することができる。地図情報取得部262は、車道、歩道、建築物、信号機、踏切、道路標識等の、地図上における位置を示す地図情報を取得する。地図情報は地図画像の情報を含むため、地図情報を元に表示画面140上の地図画像が構成される。地図情報取得部262は、通信処理部110を利用した無線通信を介して車両CRの外部装置(不図示)から地図情報を取得して良い。記憶部120に地図情報が格納されていても良い。
【0058】
会議システム1にて電子会議が行われている期間中において、電子会議処理部270により電子会議処理が実行される。電子会議処理にて電子会議方法が実施される。電子会議が行われている期間を、以下、電子会議開催期間と称する。本実施形態において、以下に示される任意の処理及び動作は、特に記述なき切り、電子会議開催期間中の処理及び動作である。電子会議処理部270は、車両側音声信号取得部271、相手側音声信号取得部272、会議参加状態制御部273及び状態通知部274を備え、取得部271、取得部272、制御部273及び通知部274の各処理にて電子会議処理が構成される。
【0059】
電子会議処理部270の各部位の動作の説明に先立ち、説明の具体化及び明確化のため、図9を参照して幾つかの用語を定義する。車載端末装置100のユーザである人物PSを特に人物PS1と称する。車載端末装置100とは異なる端末装置10を特に相手側端末装置10と称し、相手側端末装置10のユーザである人物PSを特に人物PS2と称する。人物PS1及びPS2は共に電子会議の参加者であるため、人物PS1及びPS2は参加者PS1及びPS2と称され得る。人物PS1は車両CRの乗員であって、人物PS1は車両CRの運転手であるとする。図9では、相手側端末装置10及び人物PS2の組が1組分しか示されていないが、相手側端末装置10及び人物PS2の組は2組以上存在して良い。相手側端末装置10及び人物PS2の組が2組以上存在する場合、相手側端末装置10及び人物PS2について述べる以下の説明は、各相手側端末装置10に対して且つ各人物PS2に対して適用されると解される。
【0060】
車載端末装置100において、人物PS1の発話内容がマイクロホン170にて収音されて音声信号に変換されることで車両側音声信号が生成される。車両側音声信号は人物PS1の発話内容を示す音声信号を含む。相手側端末装置10において、人物PS2の発話内容がマイクロホン17にて収音されて音声信号に変換されることで相手側音声信号が生成される。相手側音声信号は人物PS2の発話内容を示す音声信号を含む。
【0061】
車両側音声信号と相手側音声信号に注目した場合、会議システム1で実行される上述の音声伝達処理は、車両側音声伝達処理と、相手側音声伝達処理と、に大別される。
【0062】
車両側音声伝達処理において、車載端末装置100は車両側音声信号をネットワーク50に出力することにより、車両側音声信号をサーバ装置30を通じて相手側端末装置10に伝達する。より詳細には、車両側音声伝達処理において、車載端末装置100は車両側音声信号をネットワーク50を通じてサーバ装置30に送信し、サーバ装置30は受信した車両側音声信号をネットワーク50を通じて相手側端末装置10に送信する。これらの送信により車載端末装置100から相手側端末装置10に対し車両側音声信号が伝達される。但し、車両側音声伝達処理において、サーバ装置30を介することなく、車載端末装置100から相手側端末装置10に車両側音声信号が伝達されるようにしても良い。
【0063】
相手側音声伝達処理において、相手側端末装置10は相手側音声信号をネットワーク50に出力することにより、相手側音声信号をサーバ装置30を通じて車載端末装置100に伝達する。より詳細には、相手側音声伝達処理において、相手側端末装置10は相手側音声信号をネットワーク50を通じてサーバ装置30に送信し、サーバ装置30は受信した相手側音声信号をネットワーク50を通じて車載端末装置100に送信する。これらの送信により相手側端末装置10から車載端末装置100に対し相手側音声信号が伝達される。但し、相手側音声伝達処理において、サーバ装置30を介することなく、相手側端末装置10から車載端末装置100に相手側音声信号が伝達されるようにしても良い。
【0064】
図8に示される電子会議処理部270の各部の動作を説明する。車両側音声信号取得部271は、車載端末装置100のマイクロホン170の出力音声信号に基づき車両側音声信号を取得する。相手側音声信号取得部272は、相手側音声伝達処理にて相手側音声信号を受信することにより相手側音声信号を取得する。会議参加状態制御部273は、車両CRの状態に応じて人物PS1の電子会議への参加状態等を制御する。この制御に関与する部位として会議参加状態制御部273に動作モード設定部273aが設けられる。制御部273及び設定部273aの動作の詳細は後述される。状態通知部274は車両CRの状態等に応じた通知が相手側端末装置10で行われるよう(換言すれば車両CRの状態等に応じた通知が人物PS2に対して行われるよう)、必要な信号をネットワーク50に対して出力する。
【0065】
以下、複数の実施例の中で、会議システム1又は車載システム2に関する幾つかの具体的な動作例、応用技術、変形技術等を説明する。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用される。各実施例において、上述の事項と矛盾する事項がある場合には、各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0066】
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。図10に、第1実施例に係る車載端末装置100の動作モードと車両CRの状態等との関係を示す。会議参加状態制御部273は、車載センサ情報に基づき車両CRの状態を状態ST1~ST7の何れかに分類する。動作モード設定部273aにおいて当該分類が行われると解しても良い。尚、車両CRの状態が状態ST1に分類されるとは車両CRの状態が状態ST1に属することと等価であり、車両CRの状態が状態ST2に分類されるとは、車両CRの状態が状態ST2に属することと等価である。状態ST3等についても同様である。
【0067】
バッテリ情報にて示されるバッテリの出力電圧値VBATが所定電圧値VTH以下であるときには、車載センサ情報に含まれるバッテリ情報以外の情報に依らず、常に、車両CRの状態は状態ST7に分類される。上述したように、バッテリ情報にてバッテリの残容量が示されていても良い。この場合、バッテリの残容量が所定容量値CTH以下であるときには、車載センサ情報に含まれるバッテリ情報以外の情報に依らず、常に、車両CRの状態は状態ST7に分類される。
【0068】
車両CRの状態が状態ST7に分類されない状況において、車両CRの何れかのドアが開状態にあることがドア開閉情報にて示されているとき、又は、車両CRの窓が開状態にあることが窓開閉情報にて示されているときには、車載センサ情報に含まれるドア開閉情報及び窓開閉情報以外の情報に依らず、常に、車両CRの状態は状態ST6に分類される。尚、車両CRのドアは開状態及び閉状態の何れかの状態をとる。ドアの開状態とはドアが開放された状態を指し、ドアが開状態にあるときにのみ、当該ドアを通じた物体(人物PS1を含む)又は流体(空気を含む)の通過が可能となる。車両CRに複数のドアが設けられている場合にあっては、1以上のドアが開状態にあるとき車両CRの状態は状態ST6に分類される。車両CRの窓は開状態及び閉状態の何れかの状態をとる。窓の開状態とは窓が開放された状態を指し、窓が開状態にあるときにのみ、当該窓を通じた物体又は流体(空気を含む)の通過が可能となる。車両CRに複数の窓が設けられている場合にあっては、1以上の窓が開状態にあるとき車両CRの状態は状態ST6に分類される。
【0069】
車両CRの状態が状態ST6及びST7の何れにも分類されない状況において、シフトレバー72の状態がリバース状態に設定されているときには、常に、車両CRの状態は状態ST5に分類される。状態ST5は車両CRの進行方向が後退方向に設定されている状態に相当する。
【0070】
車両CRの状態が状態ST5~ST7の何れにも分類されない場合に限り、車両CRの状態は状態ST1~ST4の何れかに分類される。
【0071】
車両CRの状態が状態ST5~ST7の何れにも分類されない状況において、車両CRの速度が所定速度SPDTHを超えるときには車両CRの状態は状態ST3又はST4に分類され、車両CRの速度が所定速度SPDTHを超えないときには車両CRの状態は状態ST1又はST2に分類される。所定速度SPDTHは、ここではゼロである。従って、車両CRの状態が状態ST5~ST7の何れにも分類されない状況において、車両CRが走行状態にあるときには車両CRの状態は状態ST3又はST4に分類され、車両CRが駐車又は停車状態にあるときには車両CRの状態は状態ST1又はST2に分類される。但し、ゼロより大きな速度度(例えば時速5km(歩行速度程度))を所定速度SPDTHに設定することも可能である。
【0072】
車両CRの状態が状態ST1又はST2に分類される状況において、車両CRのパーキングブレーキが作動しているときには車両CRの状態は状態ST1に分類され、車両CRのパーキングブレーキが非作動であるときには車両CRの状態は状態ST2に分類される。即ち、状態ST1は車両CRが駐車している状態に相当し、状態ST2は車両CRが停車している状態に相当する。
【0073】
車両CRの状態が状態ST3又はST4に分類される状況において、車両CRの舵角θが所定角度θTH以上であるときには車両CRの状態は状態ST4に分類され、車両CRの舵角θが所定角度θTH未満であるときには車両CRの状態は状態ST3に分類される。所定角度θTHはゼロ又はゼロより大きな角度値(例えば3度)を持つ。尚、車両CRの舵角θはゼロ又は正の角度値を持つ量であるとする。従って、車両CRの状態が状態ST5~ST7の何れにも分類されない状況において、車両CRが前方に向けて直進しているとき、車両CRの状態は状態ST3に分類され、車両CRが前進しつつ右又は左側に旋回しているとき、車両CRの状態は状態ST4に分類される。当然ながら、状態ST3及びST4では、パーキングブレーキは非作動であり、シフトレバー72の状態はドライブ状態である。
【0074】
動作モード設定部273a(図8参照)は、車両CRの状態が状態ST1~ST7の何れに分類されたかに基づいて、電子会議に関わる車載端末装置100の動作モード(以下単に動作モードと称する)を設定する。ここで設定される動作モードは電子会議処理部270の動作モードであると解しても良い。動作モード設定部273aはモードMD1~MD4の何れかを動作モードに設定する。
【0075】
動作モード設定部273aは、車両CRの状態が状態ST1に分類されるときにはモードMD1を動作モードに設定し、車両CRの状態が状態ST2に分類されるときにはモードMD2を動作モードに設定し、車両CRの状態が状態ST3又はST4に分類されるときにはモードMD3を動作モードに設定し、車両CRの状態が状態ST5、ST6又はST7に分類されるときにはモードMD4を動作モードに設定する。
【0076】
会議参加状態制御部273は、車両CRの状態に応じて相手側音声信号のスピーカ180からの出力又は非出力を切り替える切り替え処理PR1を実行する。切り替え処理PR1において、制御部273は、車両CRの状態が所定の制限状態RS1に該当するか否かに応じて、相手側音声信号のスピーカ180からの出力又は非出力を切り替える。制御部273は、車両CRの状態が制限状態RS1に該当するときには相手側音声信号のスピーカ180からの出力を停止させる。車両CRの状態が制限状態RS1に該当しないとき、制御部273は相手側音声信号のスピーカ180からの出力を許可し、結果、相手側音声信号がスピーカ180から出力される。相手側音声信号のスピーカ180から出力とは、相手側音声信号を音(音波)としてスピーカ180から出力させることを意味する。
【0077】
状態ST5~ST7は制限状態RS1に該当し、状態ST1~ST4は制限状態RS1に該当しない。故に、制御部273は、車両CRの状態が状態ST5~ST7の何れかに分類されるとき、即ち動作モードにモードMD4が設定されるとき、スピーカ180からの相手側音声信号の出力を停止させる。一方、制御部273は、車両CRの状態が状態ST1~ST4の何れかに分類されるとき、即ち動作モードにモードMD1、MD2又はMD3が設定されるとき、相手側音声信号をスピーカ180から出力させる。尚、状態ST5、ST6及びST7の内、任意の1以上の状態のみを制御状態RS1に該当させる変形も可能である。
【0078】
会議参加状態制御部273は、車両CRの状態に応じて車両側音声信号の相手側端末装置10への伝達又は非伝達を切り替える切り替え処理PR2を実行する。切り替え処理PR2において、制御部273は、車両CRの状態が所定の制限状態RS2に該当するか否かに応じて、車両側音声信号の相手側端末装置10への伝達又は非伝達を切り替える。制御部273は、車両CRの状態が制限状態RS2に該当するときには車両側音声信号の相手側端末装置10への伝達を停止する。車両CRの状態が制限状態RS2に該当しないとき、制御部273は車両側音声信号の相手側端末装置10への伝達を許可し、結果、車両側音声信号が相手側端末装置10に伝達される。車両側音声信号が相手側端末装置10に伝達されている期間では相手側端末装置10のスピーカ18から車両側音声信号が音声出力されるが、車両側音声信号が相手側端末装置10に伝達されていない期間では相手側端末装置10のスピーカ18から車両側音声信号は音声出力されない。
【0079】
制御部273は、車両CRの状態が制限状態RS2に該当しないとき、通信処理部110を用いて車両側音声信号をネットワーク50に出力し、これによって車両側音声信号を相手側端末装置10に伝達する。制御部273は、車両CRの状態が制限状態RS2に該当するとき、通信処理部110による車両側音声信号のネットワーク50への出力を停止させることで、車両側音声信号の相手側端末装置10への伝達を停止する。或いは、制御部273は、車両側音声信号のネットワーク50への出力を常時行いつつ、車両CRの状態が制限状態RS2に該当するときには所定の伝達遮断要求信号をサーバ装置30に送信するようにしても良く、この場合、サーバ制御部33と協働して、車両側音声信号の相手側端末装置10への伝達が遮断される。
【0080】
状態ST3~ST7は制限状態RS2に該当し、状態ST1及びST2は制限状態RS2に該当しない。故に、制御部273は、車両CRの状態が状態ST3~ST7の何れかに分類されるとき、即ち動作モードにモードMD3又はMD4が設定されるとき、車両側音声信号の相手側端末装置10への伝達を停止する。一方、制御部273は、車両CRの状態が状態ST1又はST2に分類されるとき、即ち動作モードにモードMD1又はMD2が設定されるとき、車両側音声信号を相手側端末装置10に伝達する。尚、状態ST3~ST7の内、任意の1以上の状態のみを制御状態RS2に該当させる変形も可能である。
【0081】
ところで、会議システム1における電子会議では、交信相手を指定した秘匿交信が可能である。人物PS1に注目した秘匿交信を説明する。人物PS2として第1~第mの人物PS2が電子会議に参加していると考える(mは任意の2以上の整数)。第1~第mの人物PS2に対応する相手側端末装置10は第1~第mの相手側端末装置10である。車載端末装置100における操作部150は、電子会議開催期間中において、他者呼出要求操作(秘匿交信要求操作)を受け付けることができる。他者呼出要求操作は、第1~第mの人物PS2の一部を交信相手に指定して交信相手との交信(秘匿交信)を要求するための操作である。
【0082】
図11を参照して秘匿交信の具体例を挙げる。電子会議開催期間の一部期間において、人物PS1が第iの人物PS2のみを交信相手に設定した秘匿交信を望む場合を想定する。この場合、人物PS1は、第iの人物PS2を交信相手に指定して交信相手との交信(秘匿交信)を要求するための他者呼出要求操作620を操作部150に入力する(ここでiは1以上m以下の任意の整数)。他者呼出要求操作620が入力されると、電子会議処理部270は、第iの人物PS2に対応する第iの相手側端末装置10を特定する情報を含んだ要求信号622をサーバ装置30に送信する。サーバ装置30にて要求信号622を受信されると、サーバ制御部33は、人物PS1から秘匿交信の申し込みがあった旨を示す問い合わせ信号624を第iの相手側端末装置10に対して送信する。第iの相手側端末装置10では、問い合わせ信号624の受信に応答して、人物PS1から秘匿交信の申し込みがあった旨を示す画像が表示画面14に表示される。第iの人物PS2は当該申し込みを受諾又は拒否することができるが、ここでは当該申し込みが受諾されるケースのみを考える。
【0083】
秘匿交信の申し込みを受諾する旨を示す受諾操作626が第iの人物PS2から操作部15に入力されると、その入力に応答して、第iの相手側端末装置10からサーバ装置30に対して受諾信号628が送信される。受諾信号628の受信に応答してサーバ制御部33は車載端末装置100に対して、秘匿交信の申し込みが受諾された旨を示す受諾通知信号630を送信する。車載端末装置100では、受諾通知信号630の受信に応答して、秘匿交信の申し込みが受諾された旨を示す画像が表示画面140に表示される。
【0084】
サーバ制御部33は受諾通知信号630の送信の時点から秘匿交信期間を開始する。秘匿交信期間は、サーバ制御部33の制御の下で、電子会議開催期間内に設定される期間である(図12参照)。秘匿交信期間の開始後、車載端末装置100の操作部150に所定の終了操作が入力されると、所定の終了要求信号が車載端末装置100からサーバ装置30に送信される。秘匿交信期間の開始後、第iの相手側端末装置10の操作部15に所定の終了操作が入力されると、所定の終了要求信号が第iの相手側端末装置10からサーバ装置30に送信される。サーバ制御部33は終了要求信号の受信に応答して秘匿交信期間を終了させる。
【0085】
秘匿交信期間では、人物PS1と第iの人物PS2との間の秘匿交信が行われ、人物PS1と第iの人物PS2との間の秘匿交信の内容は、他の人物PS2に対して秘匿される。秘匿交信は、サーバ制御部33の制御の下で実現される。秘匿交信は少なくとも音声通話を含む。即ち、秘匿交信期間では、車両側音声信号が、第1~第mの相手側端末装置10の内、第iの相手側端末装置10のみに伝達されて第iの相手側端末装置10のスピーカ18のみから出力される。故に、秘匿交信期間における人物PS1の発話内容は、第1~第mの人物PS2の内、第iの人物PS2のみに聞き取られる。同様に、秘匿交信期間において、第iの相手側端末装置10からの相手側音声信号は、車載端末装置100に伝達されるが、他の相手側端末装置10には一切伝達されない。故に、秘匿交信期間における第iの人物PS2の発話内容は、他の人物PS2には聞き取られず、人物PS1のみに聞き取られる。秘匿交信は画像信号の交信を含んでいても良く、この場合、秘匿交信期間において、車載端末装置100の表示画面140と第iの相手側端末装置10の表示画面14にのみ、秘匿交信に係る画像信号による画像が表示される。
【0086】
尚、ここでは、人物PS1の交信相手として第iの人物PS2のみに注目したが、交信相手として複数の人物PS2を指定することも可能であって良い。他者呼出要求操作の入力そのもの、又は、他者呼出要求操作の入力から始まって秘匿交信が開始されるまでの一連の処理を、以下、他者呼出と称することがある。
【0087】
会議参加状態制御部273は、車両CRの状態に応じて操作部150による他者呼出要求操作の受け付けを許可又は禁止する。即ち、制御部273は、車両CRの状態に応じて操作部150による他者呼出要求操作の受け付けを許可及び禁止間で切り替える切り替え処理PR3を実行する。切り替え処理PR3において、制御部273は、車両CRの状態が所定の制限状態RS3に該当するか否かに応じて、他者呼出要求操作の受け付けを許可及び禁止間で切り替える。制御部273は、車両CRの状態が制限状態RS3に該当するときには操作部150による他者呼出要求操作の受け付けを禁止する。車両CRの状態が制限状態RS3に該当しないとき、制御部273は操作部150による他者呼出要求操作の受け付けを許可する。他者呼出要求操作の受け付けが許可されている期間においてのみ、人物PS1は操作部150への他者呼出要求操作の入力が可能である。
【0088】
状態ST2~ST7は制限状態RS3に該当し、状態ST1は制限状態RS3に該当しない。故に、制御部273は、車両CRの状態が状態ST2~ST7の何れかに分類されるとき、即ち動作モードにモードMD2、MD3又はMD4が設定されるとき、操作部150による他者呼出要求操作の受け付けを禁止する。一方、制御部273は、車両CRの状態が状態ST1に分類されるとき、即ち動作モードにモードMD1が設定されるとき、操作部150による他者呼出要求操作の受け付けを許可する。尚、状態ST2~ST7の内、任意の1以上の状態のみを制御状態RS3に該当させる変形も可能である。
【0089】
会議参加状態制御部273は、車両CRの状態に応じて会議画像の表示画面140での表示又は非表示を切り替える切り替え処理PR4を実行する。上述したように、会議画像とは会議システム1を構成する全ての端末装置10間で共有される画像であり、電子会議開催期間では、原則として、車載端末装置100及び相手側端末装置10を含む全端末装置10にて会議画像が表示される。切り替え処理PR4において、制御部273は、車両CRの状態が所定の制限状態RS4に該当するか否かに応じて、会議画像の表示画面140での表示又は非表示を切り替える。制御部273は、車両CRの状態が制限状態RS4に該当するときには会議画像の表示画面140での表示を停止させ(即ち会議画像を表示画面140に表示させず)、車両CRの状態が制限状態RS4に該当しないとき、会議画像を表示画面140に表示させる。
【0090】
状態ST3~ST7は制限状態RS4に該当し、状態ST1及びST2は制限状態RS4に該当しない。故に、制御部273は、車両CRの状態が状態ST3~ST7の何れかに分類されるとき、即ち動作モードにモードMD3又はMD4が設定されるとき、会議画像の表示画面140での表示を停止させる。一方、制御部273は、車両CRの状態が状態ST1又はST2に分類されるとき、即ち動作モードにモードMD1又はMD2が設定されるとき、会議画像を表示画面140に表示させる。尚、状態ST3~ST7の内、任意の1以上の状態のみを制御状態RS4に該当させる変形も可能である。
【0091】
制御部273は、車両CRの状態が状態ST3又はST4に分類されるときには、会議画像の代わりに、ナビゲーション処理に基づく画像(例えば、地図画像上に走行予定ルートを重畳した画像)を表示画面140に表示させて良い。制御部273は、車両CRの状態が状態ST5に分類されるときには、会議画像の代わりに、リアカメラ231の撮影画像を表示画面140に表示させて良い。
【0092】
人物PS1としての運転手が電子会議の参加者に含まれる場合、まず安全運転が優先されるべきである。車両CRを後退させる際には特に運転に注意が必要であり、状態ST5において、他の参加者の発話内容を聞く、自身が発言する、他者呼出を行う、会議画像を見るといった行動は控えられるべきである。上述の切り替え処理PR1~PR4により、このような行動が控えられ、以って安全運転が促進される。
【0093】
但し、車両CRを前方に向けて走行させているときであれば、後退時によりも運転手の運転負荷は小さく、他の参加者の発話内容を聴く程度であれば安全運転は阻害されないと考えられる。このため、切り替え処理PR1により状態ST3又はST4では相手側音声信号のスピーカ180からの出力を許容する。一方で、電子会議で発言を行うためには、発言のための検討が必要であることから、運転手の意識が当該検討に多少なりとも削がれる。これを考慮し、第1実施例では、切り替え処理PR2により、状態ST3又はST4における車両側音声信号の相手側端末装置10への伝達を制限する。これは、電子会議中の運転手の発言が状態ST3又はST4では禁止されることに相当し、安全運転が優先される。また、車両CRの走行中に他者呼出を行ったり会議画像を見たりすることは、安全運転上、好ましくない。このため、状態ST3又はST4では、切り替え処理PR3及びPR4により他者呼出及び会議画像の表示を制限する。
【0094】
車両CRの停止時であれば、他の参加者の発話内容を聞く、自身が発言する、会議画像を見るといった行動をとったとしても、安全運転に支障は無い。一方で、他者呼出を行う操作は、それらの行動よりも複雑な行動となるので、安全運転を優先した方が好ましい。これらを考慮して、状態ST2に関し、上述の如く切り替え処理PR1~PR4を構成する(図10参照)。
【0095】
車両CRの駐車時には電子会議に全面的に参加しても、安全上、支障は無いので、上述の如く切り替え処理PR1~PR4を構成する(図10参照)。
【0096】
他方、車両CRのドア又は窓が開放されているときに電子会議での発話内容が車両CRの外部に漏れたり、会議画像が車両CRの外側にいる人間に見られたりすると、会議のセキュリティ上の問題が生じ得る。上述の切り替え処理PR1~PR4により、このような問題の発生が抑制される。
【0097】
またバッテリの残容量が小さいときにおいては、電力消費を抑えて各電装機器の駆動可能時間の延長を図った方が車載端末装置100のユーザにとってメリットが大きいと考えれれる。状態ST7に関わる上述の切り替え処理PR1~PR4は、各電装機器の駆動可能時間の延長に寄与する。特にガソリン車等のような発電機能を持たない電気自動車の場合は効果が大きくなる。
【0098】
尚、図10に示される、動作モード、車両状態(車両CRの状態)、車載センサ情報及び人物PS1の電子会議への参加状態等の関係を示すデータがテーブルデータとして記憶部120に記憶されている。端末制御部130(主として電子会議処理部270)は、記憶部120内のテーブルデータに基づいて、切り替え処理PR1~PR4を含む上述の各処理及び各動作を実行する。これは、後述の他の各実施例についても同様であって良く、例えば、後述の第2実施例では図13に示されるデータがデーブルデータとして、後述の第3実施例では図14に示されるデータがデーブルデータとして記憶部120に記憶され、対応するデーブルデータに基づいて第2又は第3実施例の各処理及び各動作が実行される。
【0099】
また、第1実施例では切り替え処理PR1~PR4が全て実行されることを想定しているが、車載端末装置100において、切り替え処理PR1~PR4の内、任意の1以上の切り替え処理を実行しつつ、残りの切り替え処理を非実行としても良い。
【0100】
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。図13に、第2実施例に係る車載端末装置100の動作モードと車両CRの状態等との関係を示す。第2実施例では、第1実施例を基準に状態ST3及びST4が制限状態RS2から除外される変形が施され、この変形を除き第2実施例は第1実施例と同様である。故に、第2実施例に係る制御部273は、車両CRの状態が状態ST5~ST7の何れかに分類されるとき、即ち動作モードにモードMD4が設定されるとき、車両側音声信号の相手側端末装置10への伝達を停止する一方、車両CRの状態が状態ST1~ST4の何れかに分類されるとき、即ち動作モードにモードMD1~MD3の何れかが設定されるとき、車両側音声信号を相手側端末装置10に伝達する。
【0101】
第2実施例では、状態ST3及びST4を制限状態RS2から除外することに伴って、マイク感度を以下のように制御する。ここで述べるマイク感度とは、車載端末装置100のマイクロホン170の感度であって、マイクロホン170を用いて車両側音声信号を生成する際の感度を指す。マイクロホン170に一定且つ所定の音を収音させたとき、マイク感度が高いほど、車両側音声信号の強度は大きくなる(即ち、車両側音声信号にて表される音の強さが大きくなる)。例えば、マイクロホン170の出力音声信号を増幅することで車両側音声信号を生成する収音用アンプ(不図示)を車載端末装置100に設けておくことができ、当該収音用アンプの増幅度を増減させることでマイク感度を増減させることができる。
【0102】
会議参加状態制御部273は、車両CRの状態に応じてマイク感度を調整し、この際、車両CRの速度に注目する。具体的には、制御部273は、車両CRの状態が状態ST1又はST2に分類されるとき、即ち動作モードにモードMD1又はMD2が設定されるとき、所定の感度MSをマイク感度に設定する。一方、制御部273は、車両CRの状態が状態ST3に分類されるときには所定の感度MSをマイク感度に設定し、車両CRの状態が状態ST4に分類されるときには所定の感度MSをマイク感度に設定する。車両CRの状態が状態ST5~ST7の何れかに分類されるときには車両側音声信号の相手側端末装置10への伝達が停止されるので、マイク感度は意味をなさない。
【0103】
ここで、感度MS及びMSは感度MSよりも高い。即ち、車両CRの速度が所定速度SPDTHを超えるときには、そうでないときと比べて、マイク感度が高く設定される。上述したように、典型的には所定速度SPDTHはゼロであって良い。この場合、車両CRの速度がゼロを超えるときには、そうでないときと比べて(換言すれば、車両CRが走行しているときには車両CRが停止しているときと比べて)、マイク感度が高く設定されることになる。
【0104】
車両CRの速度に応じて騒音の程度が変化し、人物PS1の発話内容がマイクロホン170に拾われにくくなったり拾われやすくなったりする。車両CRの速度に応じて上述の如くマイク感度を調整することにより、人物PS1の発話内容を他の参加者に適切に伝達することが可能となる。
【0105】
また、ここでは、マイクロホン170の指向軸はマイクロホン170から人物PS1の顔に向かう向きに伸びていることを想定している。故に、人物PS1が自身の顔を車両CRの前方から右側又は左側に向けたとき、人物PS1の顔が車両CRの前方正面を向いているときと比べて、人物PS1の発話音声はマイクロホン170に拾われにくい。つまり、マイク感度が一定であって且つ人物PS1が一定の発話を行ったと仮定した場合、状態ST3と比べて状態ST4の方が、人物PS1の発話音声に基づくマイクロホン170の振動板の振動強度が小さく、結果、マイクロホン170の出力音声信号の強度及び車両側音声信号の強度が小さくなる。これを考慮し、車両CRが走行している場合において(車両CRの速度がゼロを超える場合において)、車両CRの舵角θに応じマイク感度を可変させる。より具体的には、感度MSと比べて感度MSを高く設定する。
【0106】
これにより、車両CRの舵角θをも考慮して、人物PS1の発話内容を他の参加者に適切に伝達することが可能となる。
【0107】
尚、状態ST3又はST4において、車両CRの速度が増加するにつれてマイク感度を段階的に又は無段階で増加させるようにしても良い。
【0108】
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。図14に、第3実施例に係る車載端末装置100の動作モードと車両CRの状態等との関係を示す。第3実施例では、第1実施例を基準に出力音量レベルの制御を追加する。この追加を除き、第3実施例は第1実施例と同様である。但し、第2実施例と第3実施例を組み合わせることもできる。
【0109】
ここにおける出力音量レベルとは、車載端末装置100のスピーカ180の出力音の大きさを指す。相手側音声信号が一定であると仮定した場合、出力音量レベルが高いほど、相手側音声信号がスピーカ180から出力される際のスピーカ180の出力音の大きさが大きくなる。例えば、ネットワーク50を通じて受信した相手側音声信号を増幅する再生用アンプ(不図示)を車載端末装置100に設けておくことができ、当該再生用アンプの増幅度を増減させることで出力音量レベルを増減させることができる。
【0110】
会議参加状態制御部273は、車両CRの状態に応じて出力音量レベルを調整し、この際、車両CRの速度に注目する。具体的には、制御部273は、車両CRの状態が状態ST1又はST2に分類されるとき、即ち動作モードにモードMD1又はMD2が設定されるときには所定の音量レベルVOLを出力音量レベルに設定する一方、車両CRの状態が状態ST3又はST4に分類されるとき、即ち動作モードにモードMD3が設定されるときには所定の音量レベルVOLを出力音量レベルに設定する。車両CRの状態が状態ST5~ST7の何れかに分類されるときには相手側音声信号のスピーカ180からの出力が停止されるので、出力音量レベルは意味をなさない。
【0111】
ここで、音量レベルVOLは音量レベルVOLよりも高い。即ち、車両CRの速度が所定速度SPDTHを超えるときには、そうでないときと比べて、出力音量レベルが高く設定される。上述したように、典型的には所定速度SPDTHはゼロであって良い。この場合、車両CRの速度がゼロを超えるときには、そうでないときと比べて(換言すれば、車両CRが走行しているときには車両CRが停止しているときと比べて)、出力音量レベルが高く設定されることになる。
【0112】
車両CRの速度に応じ、スピーカ180の出力音が人物PS1に聞こえにくくなることがある。車両CRの速度に応じて上述の如く出力音量レベルを調整することにより、人物PS1にとって人物PS2の発話内容をききとりやすくなると考えられる。
【0113】
尚、状態ST3又はST4において、車両CRの速度が増加するにつれて出力音量レベルを段階的に又は無段階で増加させるようにしても良い。速度増大に伴う風切り音の増大等に抗して、スピーカ180の出力音を人物PS1に聞き取りやすくさせるためである。
【0114】
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。第4実施例では、上述の出力音量レベルの他の制御方法を説明する。第4実施例は第1又は第2実施例と組み合わせて実施される。
【0115】
会議参加状態制御部273は、相手側音声信号がスピーカ180から出力される状況において、出力音量レベルを車両CRのエンジンの作動の有無に応じて制御するようにしても良い。具体的には、相手側音声信号がスピーカ180から出力される状況において、車両CRのエンジンが作動しているときには出力音量レベルに対して音量レベルVOLを設定し、車両CRのエンジンが作動していないときには出力音量レベルに対して音量レベルVOLを設定する。上述の如く、音量レベルVOLは音量レベルVOLよりも高い。相手側音声信号がスピーカ180から出力される状況において、車両CRのエンジンが作動しているとき、車両CRの速度が増加するにつれて出力音量レベルを段階的に又は無段階で増加させても良い。
【0116】
エンジンの作動中には、エンジンが作動していないときと比べて、エンジンの作動音分だけ騒音が大きくなる(但し、ここではエンジンの作動音が無視できない程度に存在することを想定)。このため、上述の如くエンジンの作動有無に応じて出力音量レベルを制御すれば人物PS1にとって人物PS2の発話内容をききとりやすくなると考えられる。
【0117】
或いは、会議参加状態制御部273は、相手側音声信号がスピーカ180から出力される状況において、出力音量レベルを車両位置情報及び地図情報に応じて制御するようにしても良い。例えば、制御部273は、車両位置情報及び地図情報に基づいて車両CRの走行に伴う騒音の程度を推定し、騒音が相対的に大きいと推定される第1推定ケースには出力音量レベルに対して音量レベルVOLを設定し、騒音が相対的に小さいと推定される第2推定ケースには出力音量レベルに対して音量レベルVOLを設定する。より具体的には例えば、地図上の第1道路が砂利道であることを示す情報及び地図上の第2道路が舗装道路であること示す情報が地図情報に含まれている場合において、車両CRが第1道路上を走行中であることが車速情報、車両位置情報及び地図情報にて示されているとき、制御部273は、騒音が相対的に大きいと推定して出力音量レベルに音量レベルVOLを設定する一方、車両CRが第2道路上を走行中であることが車速情報、車両位置情報及び地図情報にて示されているとき、制御部273は、騒音が相対的に小さいと推定して出力音量レベルに音量レベルVOLを設定する、といったことが可能である。
【0118】
車両位置情報及び地図情報に基づく上述のような出力音量レベルの制御により、人物PS1にとって人物PS2の発話内容をききとりやすくなると考えられる。
【0119】
<<第5実施例>>
第5実施例を説明する。第5実施例では図8の状態通知部274の機能について説明する。第5実施例に示す技術を上述又は後述の任意の実施例に組み合わせて実施できる。
【0120】
図15に、電子会議開催期間における相手側端末装置10の表示画面14の例を示す。相手側端末装置10において、端末制御部13は、表示画面14の全表示領域内に会議画像表示領域660及び参加者領域670を設定し、会議画像表示領域660内に会議画像を表示させ、参加者領域670に電子会議の各参加者の状態を示す画像を表示させる。参加者領域670に各参加者の撮影画像等が表示され得る。ここで、参加者領域670には人物PS1に対応付けられた状態通知領域680が設けられる。状態通知領域680は、人物PS1又は車両CRに関わる状態を人物PS2に知らせるための領域である。
【0121】
図8の状態通知部274は、車載端末装置100が会議システム1に組み込まれて人物PS1が電子会議に参加した時点で、所定の初期通知信号をサーバ装置30に送信する。初期通知信号の受信に応答してサーバ制御部33は相手側端末装置10に対して車両搭乗示唆信号を送信する。車両搭乗示唆信号の受信に応答して相手側端末装置10の端末制御部13は、図16に示すような、人物PS1が車両CRを運転中であることを示す画像681(テキスト画像又はアイコン画像等)を状態通知領域680に表示する。人物PS2は画像681を見ることで、人物PS1の運転状況に応じ電子会議への人物PS1の参加状態(参加態様)が刻々と変化し得ることを認識できる。
【0122】
その後、電子会議開催期間において、状態通知部274は車両CRの状態に応じた状態通知信号をネットワーク50に出力する(即ち送信する)。状態通知信号のネットワーク50への出力は周期的に行われていても良いし、車両CRの状態が変化するたびに行われても良い。状態通知信号はサーバ装置30を介して相手側端末装置10にて受信される。このため、状態通知部274はサーバ装置30を介して状態通知信号を相手側端末装置10に送信する、とも言える。状態通知部274はサーバ装置30を介することなく状態通知信号を相手側端末装置10に送信できても良い。何れにせよ、状態通知部274は状態通知信号を相手側端末装置10に向けて送信する。状態通知信号が受信されると、相手側端末装置10の端末制御部13は、状態通知信号に応じた状態通知画像を状態通知領域680に表示し、これよって人物PS2に対し車両CRの状態に応じた通知を行う。
【0123】
人物PS2は状態通知画像を見ることで、車両CRの状態、人物PS1の運転負荷の状態又は人物PS1の電子会議への参加状態を認識することができる。即ち、人物PS2は、自分の発話内容が人物PS1に届いているのか、人物PS2が発話可能な状態にあるのか等を状態通知画像から知ることができ、車両CRの安全運転等を確保しつつ適正に電子会議を進めることができる。
【0124】
状態通知部274は、車両CRの状態が状態ST1~ST7に分類されるとき、夫々、第1~第7の状態通知信号をネットワーク50に出力する。このため、車両CRの状態が状態ST1~ST7に分類されるときには、夫々、第1~第7の状態通知信号が相手側端末装置10にて受信される。第1~第7の状態通知信号は互いに異なる状態通知信号であって良い。但し、第3及び第4の状態通知信号は共にモードMD3に対応するので、第3及び第4の状態通知信号は互いに同じ状態通知信号であっても良い。同様に、第5~第7の状態通知信号は全てモードMD4に対応するので、第5~第7の状態通知信号は互いに同じ状態通知信号であっても良い。
【0125】
図17(a)~(d)に状態通知画像の例を示す。図17(a)の状態通知画像682は、第1の状態通知信号が相手側端末装置10にて受信されたときに状態通知領域680に表示される画像である。図17(b)の状態通知画像683は、第2の状態通知信号が相手側端末装置10にて受信されたときに状態通知領域680に表示される画像である。
図17(d)の状態通知画像685は、第5、第6又は第7の状態通知信号が相手側端末装置10にて受信されたときに状態通知領域680に表示される画像である。図17(c)の状態通知画像684は、第1実施例(図10)及び第5実施例の組み合わせにおいて、第3又は第4の状態通知信号が相手側端末装置10にて受信されたときに状態通知領域680に表示される画像である。第2実施例(図13)及び第5実施例の組み合わせにおいては、第3又は第4の状態通知信号が相手側端末装置10にて受信されたとき、状態通知画像683が状態通知領域680に表示される。
【0126】
状態通知画像682~685は互いに異なる内容を示す画像である。状態通知画像682は、車両CRが駐車中であること、及び、人物PS1の電子会議への参加に何ら制限が加わっていないことを示す。故に、状態通知画像682は、人物PS1及びPS2間で双方向の対話が可能であること及び他者呼出が可能であることを示す。状態通知画像683は、車両CRが停車中であること、及び、人物PS1及びPS2間で双方向の対話が可能であるが他者呼出は不能であることを示す。状態通知画像684は、車両CRが走行中であること、及び、人物PS1は人物PS2の発話内容を聞くことができるものの車両側音声信号は相手側端末装置10に伝達されていないことを示す。状態通知画像685は、人物PS1から人物PS2への通話も人物PS2から人物PS1への通話も不能であることを示す。
【0127】
<<第6実施例>>
第6実施例を説明する。車両CRの状態が状態ST3又はST4に分類されているとき、車両位置情報及び地図情報に基づいて運転負荷の大小を推定し、人物PS1の電子会議への参加状態を制御することもできる。例えば、第1実施例(図10参照)において以下の変形を施すようにしても良い。
【0128】
会議参加状態制御部273は、車両CRの状態が状態ST3又はST4に分類されているとき、車両位置情報及び地図情報に基づいて運転負荷の大小を推定する。そして、会議参加状態制御部273は、運転負荷が相対的に大きいと推定される場合には車両CRの状態が制限状態RS2に該当すると判定して車両側音声信号の相手側端末装置10への伝達を停止する一方、運転負荷が相対的に小さいと推定される場合には車両CRの状態は制限状態RS2に該当しないと判定して車両側音声信号の相手側端末装置10への伝達を行う。具体的には例えば、車両位置情報及び地図情報に基づき、車両CRが現在、市街地等を走行中であることが分かる場合には運転負荷が相対的に大きいと推定し、車両CRが現在、高速道路を走行中であることが分かる場合には運転負荷が相対的に小さいと推定する。
【0129】
車両CRが現在、険しい山道等を走行中であることが分かる場合にあっては、運転負荷が非常に大きいと推定されるので、車両CRの状態が制限状態RS1及びRS2の双方に該当すると判定し、車両側音声信号の相手側端末装置10への伝達を停止することに加えて、相手側音声信号のスピーカ180からの出力も停止するにようにしても良い。
【0130】
<<第7実施例>>
第7実施例を説明する。自動運転制御装置(不図示)が車両CRに搭載されていても良い。自動運転制御装置は車載端末装置100に内蔵される装置であっても良いし、車載端末装置100とは別に設けられる装置であっても良い。自動運転制御装置は自動運転処理を実行し、自動運転処理において、運転手の運転操作に依らず、車両CRの運行制御を行う。車両CRの運行制御は、車両CRの発進、停止、加速、減速、変速及び舵角θの制御を含む。そして、自動運転処理が実行されているときには、上述の各実施例に述べた動作及び処理を以下のように変形しても良い。
【0131】
例えば、自動運転処理が実行されているとき、会議参加状態制御部273は、上述の切り替え処理PR1~PR4において、車両CRの状態が状態ST5、ST6又はST7に分類されない限り、車両CRの状態が制限状態RS1~RS4の何れにも該当しないと判断して良い(換言すれば、状態ST1~ST4は制限状態RS1~RS4の何れにも該当しないと判断しても良い)。即ち例えば、自動運転処理が実行されている場合には、車両CRの状態が状態ST2~ST4の何れかに分類されたときでも、車両CRの状態が状態ST1に分類されたときと同じ動作が電子会議処理部270にて行われるようにして良い。仮に、自動運転処理にて、車両CRが後方に移動する場合においても車両CRの運行制御が行われるのであれば、状態ST5も制限状態RS1~RS4に該当しないと扱われる。そうすると、車両CRの状態が状態ST5に分類されたときでも、車両CRの状態が状態ST1に分類されたときと同じ動作が電子会議処理部270にて行われることになる。
【0132】
<<第8実施例>>
第8実施例を説明する。人物PS1が車両CRの運転手であることを想定して上述の各実施例を説明したが、人物PS1が車両CRの運転手以外の乗員(以下、同乗者と称する)である場合には、上述の各実施例に述べた動作及び処理を以下のように変形しても良い。
【0133】
例えば、人物PS1が同乗者である場合において、車両CRの状態が状態ST1~ST5の何れかに分類されるとき、会議参加状態制御部273は、上述の切り替え処理PR1~PR4において、常に車両CRの状態が制限状態RS1~RS4の何れにも該当しないと判断すると良い。即ち、人物PS1が同乗者である場合には、車両CRの状態が状態ST2~ST5の何れかに分類されたときでも、車両CRの状態が状態ST1に分類されたときと同じ動作が電子会議処理部270にて行われるようにして良い。同乗者には運転負荷がかからないからである。但し、人物PS1が同乗者である場合であっても、状態ST5においては、車両CRの状態が制限状態RS4に該当すると判断して、会議画像の表示画面140での表示を停止し、代わりにリアカメラ231の撮影画像を表示画面140に表示することが好ましい。車両CRの状態が状態ST6又はST7に分類されるときの動作は、人物PS1が運転手であるときと同乗者であるときとで同じである。
【0134】
人物PS1が運転手であるのか同乗車であるのかを示す乗員情報が操作部150への操作入力等により電子会議が開催される前に予め車載端末装置100に与えられているものとし、会議参加状態制御部273は、乗員情報に基づいて、人物PS1が運転手である場合には人物PS1が運転手である場合に適した動作(例えば上述の第1~第7実施例に示した動作)を実行し、人物PS1が同乗者である場合には人物PS1が同乗者である場合に適した動作(本実施例で上述した動作)を実行すれば良い。
【0135】
尚、車両CRにおいて、運転手用のマイクロホン及びスピーカと、同乗者用のマイクロホン及びスピーカとが別々に設けられていても良い。これらのマイクロホン及びスピーカとして、運転手又は同乗者が所持する端末装置(スマートホン等)のマイクロホン及びスピーカを使用するようにしても良い。
【0136】
<<第9実施例>>
第9実施例を説明する。図18を参照し、サーバ制御部33は記録管理部34及び再生管理部35を備えていて良い。記録管理部34は電子会議に関わる会議データを記録媒体DBに記録させる記録処理を行う。再生管理部35は、車載端末装置100又は相手側端末装置10からの再生要求に応答して、記録媒体DBより会議データの全部又は一部を読み出し、読み出したデータを再生要求の発信元(車載端末装置100又は相手側端末装置10)に送信する。記録媒体DBはサーバ装置30に内蔵される又はサーバ装置30とは別に設けられる。記録媒体DBも会議システム1の構成要素に含まれると解して良い。
【0137】
図19に会議データの構造を示す。会議データは会議主データを含む。会議主データは会議音声データ及び会議画像データを含む。会議音声データは、電子会議開催期間中に車載端末装置100からネットワーク50に出力された車両側音声信号及び電子会議開催期間中に相手側端末装置10からネットワーク50に出力された相手側音声信号を含む。会議画像データは、電子会議開催期間中に車載端末装置100の表示画面140又は相手側端末装置10の表示画面14に表示されていた会議画像の画像データを含む。会議データは更に付加データを含む。付加データについては後述される。
【0138】
電子会議開催期間の終了後、任意の人物PS(人物PS1又はPS2)が任意の端末装置(車載端末装置100又は相手側端末装置10)の操作部15に所定の再生要求操作を入力すれば、所定の認証を経て、再生管理部35の制御の下で会議データが記録媒体DBから読み出されて当該端末装置10にて受信される。各端末装置10は、受信した会議データを再生する機能を備え、この再生により、会議音声データに基づく音がスピーカ18から出力されると共に会議画像データに基づく画像が表示画面14に表示される。任意の端末装置10(車載端末装置100又は相手側端末装置10)における会議データの再生は、過去に行われた電子会議の内容を当該端末装置10にて再現するものである。即ち、電子会議開催期間の終了後、任意の端末装置10での会議データの再生により、会議の中で端末装置10にて表示されていた会議画像が時系列に沿って再度表示されると共に会議の中での各人物の発話内容が時系列に沿って再度音声出力される。
【0139】
付加データは電子会議開催期間中の各時刻における車両位置情報を含む。このため、付加データを読み出すことで、電子会議中のどの時点で車両CRがどこに位置していたかを、後から自由に確認することができる。任意の端末装置10において、電子会議開催期間にて車両CRが走行していた地域の名称をユーザがキーワードとして指定することで、車両CRが当該地域を走行していた期間中の会議音声データ及び会議画像データを当該端末装置10にて選択的に再生させるといったことも可能である。
【0140】
また、付加データは電子会議開催期間中の各時刻における車載センサ情報及び車両状態情報を含んでいて良い。車両状態情報は車両CRの状態が状態ST1~ST7の何れに分類されていたのかを示す情報である。上記付加データが記録媒体DBに記録可能となるよう、電子会議開催期間中において、電子会議処理部270は、車両位置情報、車載センサ情報及び車両状態情報をサーバ装置30に送信する。
【0141】
任意の端末装置10(車載端末装置100又は相手側端末装置10)において、電子会議開催期間中の或る時刻の会議音声データ及び会議画像データが再生される際、当該時刻の車両位置情報、車載センサ情報及び車両状態情報が、当該端末装置10の表示画面14に表示されるようにしても良い。付加データは、上述したものの他、電子会議で使用された資料データなど、任意のデータを含み得る。
【0142】
<<第10実施例>>
第10実施例を説明する。第10実施例では、上述の各実施例に適用可能な変形技術又は補足事項等を説明する。
【0143】
電子会議開催期間において、複数の相手側端末装置10は様々な場所に分散配置されていて良い。例えば、複数の相手側端末装置10の一部は人物PS2が所属する職場に配置され、複数の相手側端末装置10の他の一部は他の人物PS2の自宅に配置される。
【0144】
車載端末装置100、相手側端末装置10又はサーバ装置30において実現される任意の特定の処理及び特定の動作を定義した特定のプログラムを作成し、当該特定のプログラムを車載端末装置100、相手側端末装置10又はサーバ装置30に設けられた演算処理装置にて実行させることで、上記特定の処理及び特定の動作を実現しても良い。図6の記憶部120に記憶されたプログラムPG又は図3の記憶部32に記憶されたプログラム(不図示)は、上記特定のプログラムの例である。既に述べたように、図6の端末制御部130及び図3のサーバ制御部33の夫々に演算処理装置が設けられる。
【0145】
車両CR自体の動作又は車載端末装置100の動作を実現する方法として、サーバ装置30に依ることなく車載端末装置100が必要な処理及び制御を実行する方法と、サーバ装置30が必要な処理及び制御を実行する方法とがあって良く、後者の方法では、車載端末装置100及びサーバ装置30間での必要なコマンド又はデータの送受信が必要となる。
【0146】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【符号の説明】
【0147】
1 会議システム(電子会議システム)
2 車載システム
10 端末装置
30 サーバ装置
50 ネットワーク
260 ナビゲーション処理部
261 ナビゲーション部
262 地図情報取得部
270 電子会議処理部
271 車両側音声信号取得部
272 相手側音声信号取得部
273 会議参加状態制御部
273a 動作モード設定部
274 状態通知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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