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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20241017BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
F25D23/00 302M
F25D11/00 101B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021037761
(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公開番号】P2022138002
(43)【公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪井田 佳信
(72)【発明者】
【氏名】小林 亮
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-118333(JP,A)
【文献】特開2020-122607(JP,A)
【文献】特開2006-012511(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0272024(US,A1)
【文献】特開2010-126180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00 ~ 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に貯蔵空間及び冷却器室が設けられた冷蔵庫本体と、
圧縮機から吐出される冷媒が供給されることで前記冷却器室内の空気を冷却する冷却器と、
前記冷却器室内の空気を前記貯蔵空間へ送風する送風機と、
前記貯蔵空間に紫外線を照射する発光装置と、
前記送風機及び前記発光装置を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、1サイクル中に前記発光装置を点灯する点灯時間と、前記発光装置を消灯する消灯時間とを設定し、設定した前記点灯時間及び前記消灯時間ずつ点灯と消灯を繰り返すように前記発光装置を動作させ、
前記制御部は、前記冷却器への冷媒の供給が制限されている場合に、前記送風機の送風強度の低下時に比べて送風強度が高い時に1サイクルに占める点灯時間の割合を高くして前記発光装置の出力を高く設定する冷蔵庫。
【請求項2】
内部に貯蔵空間及び冷却器室が設けられた冷蔵庫本体と、
前記冷却器室内の空気を冷却する冷却器と、
前記冷却器の温度を検出する冷却器温度センサと、
前記冷却器室内の空気を前記貯蔵空間へ送風する送風機と、
前記貯蔵空間に紫外線を照射する発光装置と、
前記送風機及び前記発光装置を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記冷却器への冷媒の供給が制限され、前記冷却器温度センサの検出温度が所定温度より高い場合に、前記送風機の送風強度の低下時に比べて送風強度が高い時に前記発光装置の出力を高く設定する冷蔵庫。
【請求項3】
内部に貯蔵空間及び冷却器室が設けられた冷蔵庫本体と、
圧縮機から吐出される冷媒が供給されることで前記冷却器室内の空気を冷却する冷却器と、
前記冷却器室内の空気を前記貯蔵空間へ送風する送風機と、
前記貯蔵空間に紫外線を照射する発光装置と、
前記送風機及び前記発光装置を制御する制御部と
冷蔵庫の周囲の外気温を検出する外気温センサを備え、
前記制御部は、前記冷却器への冷媒の供給が制限されている場合に、前記送風機の送風強度の低下時に比べて送風強度が高い時に前記発光装置の出力を高く設定し、
前記制御部は、前記外気温センサの検出温度が所定温度より高い時の前記発光装置の出力が、前記外気温センサの検出温度が前記所定温度以下の時の前記発光装置の出力より高くなるように前記発光装置を制御する冷蔵庫。
【請求項4】
前記制御部は、前記発光装置の出力を変更すると、変更後の前記発光装置の出力による前記発光装置の制御を開始する請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記制御部は、前記送風機の送風強度を上昇させた後に前記発光装置の出力を変更する請求項1~4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記貯蔵空間は、前記発光装置が紫外線を照射する第1貯蔵空間と、第2貯蔵空間とを備え、
前記冷却器室は、前記第1貯蔵空間と連通する第1冷却器室と、前記第2貯蔵空間に連通する第2冷却器室とを備え、
前記冷却器は、前記第1冷却器室内の空気を冷却する第1冷却器と、前記第2冷却器室内の空気を冷却する第2冷却器とを備え、圧縮機から吐出された冷媒が切替弁によって前記第1冷却器と前記第2冷却器へ切り替えて供給されることで、前記第1冷却器室及び前記第2冷却器室内の空気を冷却し、
前記送風機は、前記第1冷却器室内の空気を前記第1貯蔵空間へ送風する第1送風機と、前記第2冷却器室内の空気を前記第2貯蔵空間へ送風する第2送風機とを備え、
前記制御部は、前記第1冷却器へ冷媒を供給しながら前記第1送風機を回転させて前記第1冷却器室の空気を前記第1貯蔵空間へ供給して前記第1貯蔵空間を冷却する第1冷却運転を行い、前記第2冷却器へ冷媒を供給しながら前記第2送風機を回転させて前記第2冷却器室の空気を前記第2貯蔵空間へ供給して前記第2貯蔵空間を冷却する第2冷却運転を行い、
前記制御部は、前記第2冷却運転時に前記第1冷却器への冷媒の供給が制限されている場合に、前記第1送風機の送風強度の低下時に比べて送風強度が高い時に前記発光装置の出力を高く設定する請求項1又は3に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記貯蔵空間は、前記発光装置が紫外線を照射する第1貯蔵空間と、第2貯蔵空間とを備え、
前記冷却器室は、前記第1貯蔵空間と連通する第1冷却器室と、前記第2貯蔵空間に連通する第2冷却器室とを備え、
前記冷却器は、前記第1冷却器室内の空気を冷却する第1冷却器と、前記第2冷却器室内の空気を冷却する第2冷却器とを備え、圧縮機から吐出された冷媒が切替弁によって前記第1冷却器と前記第2冷却器へ切り替えて供給されることで、前記第1冷却器室及び前記第2冷却器室内の空気を冷却し、
前記送風機は、前記第1冷却器室内の空気を前記第1貯蔵空間へ送風する第1送風機と、前記第2冷却器室内の空気を前記第2貯蔵空間へ送風する第2送風機とを備え、
前記冷却器温度センサは、前記第1冷却器の温度を検出し、
前記制御部は、前記第1冷却器へ冷媒を供給しながら前記第1送風機を回転させて前記第1冷却器室の空気を前記第1貯蔵空間へ供給して前記第1貯蔵空間を冷却する第1冷却運転を行い、前記第2冷却器へ冷媒を供給しながら前記第2送風機を回転させて前記第2冷却器室の空気を前記第2貯蔵空間へ供給して前記第2貯蔵空間を冷却する第2冷却運転を行い、
前記制御部は、前記第2冷却運転時に前記冷却器温度センサの検出温度が所定温度より高い場合に、前記第1送風機の送風強度の低下時に比べて送風強度が高い時に前記発光装置の出力を高く設定する請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記貯蔵空間の前面に設けられた扉を備え、
前記制御部は、前記扉が開閉されると所定時間、前記発光装置の出力を上昇させる請求項1~7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫では、庫内に設けた紫外線LED等の発光装置から紫外線を照射することで庫内の除菌や脱臭等を行うものが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
このような冷蔵庫では、発光装置が経年劣化することによって除菌や脱臭等の効果が低下するため、発光装置の駆動を効率的に制御する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-329614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、上記事情を考慮してなされたものであり、紫外線を発生する発光装置の劣化を抑制し、十分な寿命を確保することができる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の冷蔵庫は、内部に貯蔵空間及び冷却器室が設けられた冷蔵庫本体と、圧縮機から吐出される冷媒が供給されることで前記冷却器室内の空気を冷却する冷却器と、前記冷却器室内の空気を前記貯蔵空間へ送風する送風機と、前記貯蔵空間に紫外線を照射する発光装置と、前記送風機及び前記発光装置を制御する制御部とを備え、前記制御部は、1サイクル中に前記発光装置を点灯する点灯時間と、前記発光装置を消灯する消灯時間とを設定し、設定した前記点灯時間及び前記消灯時間ずつ点灯と消灯を繰り返すように前記発光装置を動作させ、前記制御部は、前記冷却器への冷媒の供給が制限されている場合に、前記送風機の送風強度の低下時に比べて送風強度が高い時に1サイクルに占める点灯時間の割合を高くして前記発光装置の出力を高く設定するものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態の冷蔵庫の断面図
図2図1の冷蔵庫の制御構成を示すブロック図
図3】本発明の第1実施形態の冷蔵庫におけるタイミングチャート
図4】本発明の第2実施形態の冷蔵庫におけるタイミングチャート
図5】本発明の変更例1において通電率の上昇量を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態の冷蔵庫1について図面に基づき説明する。
【0009】
(1)冷蔵庫1の構成
図1に示すように、冷蔵庫1は、前面に開口する断熱箱体からなる冷蔵庫本体2を備える。冷蔵庫本体2は鋼板製の外箱と真空成形により設けられる合成樹脂製の内箱との間隙に真空断熱パネルやウレタンフォームなどの断熱材を配置し、前面を開口し内部を貯蔵空間とした縦長の断熱箱体からなる。冷蔵庫本体2の内部に形成された貯蔵空間は、断熱仕切壁2aによって上方の冷蔵空間(第1貯蔵空間)と下方の冷凍空間(第2貯蔵空間)に断熱区画されている。
【0010】
冷蔵空間は、内部がさらに仕切板2bによって上下に区画され、仕切板2bの上方に複数段の棚板3bを設けた冷蔵室3が設けられ、仕切板2bの下方に引出式の収納容器を配置する野菜室4が設けられている。冷蔵室3及び野菜室4は、仕切板2bの後方に設けられた導入口2cによって連通している。
【0011】
冷蔵室3及び野菜室4は、冷蔵温度帯(例えば、0~4℃)に冷却される貯蔵室である。冷蔵室3の前面開口部は、該開口部を幅方向に区分する観音開き式の左右一対の断熱性の冷蔵室扉3aにより閉塞される。この冷蔵室扉3aは、冷蔵庫本体の左右両側に設けたヒンジにより回動自在に枢支されている。冷蔵室扉3aの前面には、使用者から冷蔵庫1の設定等を受け付けたり、冷蔵庫1の設定状況等を表示する操作表示部7と、冷蔵庫1の周囲の外気温を検出する外気温センサ8が設けられている。
【0012】
冷蔵室3の内部は、複数の棚板3bによって上下に複数段に区画されている。最下段の棚板3bの下方空間は、上下に重ねて設けられた上容器40及び下容器41を収納するチルド室3cが設けられている。
【0013】
冷蔵室3の背面には、冷蔵空間の温度を測定するための冷蔵温度センサ23が設けられている。また、冷蔵室3の前面開口部の周縁部には、右側の冷蔵室扉3aの開閉を検知する扉センサ9aと、左側の冷蔵室扉3aの開閉を検知する扉センサ9bとが設けられている(図2参照)。
【0014】
野菜室4の前面開口部は、引出し式の野菜室扉4aにより閉塞されている。野菜室4の前面開口部の周縁部には、野菜室扉4aの開閉を検知する扉センサ9cが設けられている。野菜室扉4aの庫内側には、貯蔵容器42を保持する左右一対の支持枠が固着されている。野菜室4内に設けられた貯蔵容器42は、野菜室4のほぼ全幅にわたって設けられた下段容器43と、下段容器43の上方に設けられた上段容器44とを備えた上下2段に重なり合う構造をなしている。
【0015】
下段容器43は、前方壁、後方壁、左右側壁によって囲まれた有底の箱状の容器であり、上方に開口する上部開口部から内部に貯蔵品を出し入れするようになっている。下段容器43は、野菜室扉4aの裏面側に固着された左右一対の支持枠に保持され、野菜室扉4aの開扉動作とともに庫外へ引き出されるように構成されている。下段容器43の上部開口部の少なくとも一部は、野菜室扉4aが閉扉された状態(野菜室4内に貯蔵容器42を収納した状態)で上段容器44によって覆われる。
【0016】
上段容器44は、紫外線を透過する合成樹脂材から形成された有底の箱状の容器であり、上方に開口する上部開口部から内部に貯蔵品を出し入れするようになっている。上段容器44は、野菜室4の左右の内側壁面に設けられた内箱レールと下段容器43の左右側壁の上端を前後方向に摺動することで、下段容器43と独立して庫外へ引き出し可能に設けられている。
【0017】
チルド室3c及び野菜室4の後部には、エバカバー12で前後に仕切られた第1冷却器室(以下、冷蔵冷却器室ということもある)13及びリターンダクト31が設けられている。冷蔵冷却器室13には、冷蔵冷却器10及びファンなどの第1送風機(冷蔵送風機)11等が収納されている。
【0018】
エバカバー12には、チルド室3cの背面上部に開口する吹出口12aが設けられており、吹出口12aを介して冷蔵冷却器室13がチルド室3cと接続されている。また、エバカバー12には、チルド室3cの底面後端部に開口する吸込口12bと、野菜室4の背面に開口する吸込口12cが設けられており、吸込口12b、12cを介してチルド室3cや野菜室4がリターンダクト31と接続されている。
【0019】
冷蔵冷却器室13には、冷蔵室3の背面に設けられた背面ダクト14が接続されている。背面ダクト14には冷蔵室3の背面に開口する吹出口14aが上下方向に間隔をあけて設けられている。
【0020】
また、エバカバー12には、野菜室4に設けられた貯蔵容器42の内部に紫外線を照射する発光装置50が設けられている。
【0021】
冷蔵冷却器10は、冷蔵冷却器室13の空気を冷却して、例えば、-10~-20℃の冷気を生成する。冷蔵冷却器室13で生成された冷気は、冷蔵送風機11が回転することで、背面ダクト14を介して吹出口14aから冷蔵室3に供給されるとともに、エバカバー12に設けられた吹出口12aからチルド室3cに供給される。
【0022】
吹出口14aから冷蔵室3に供給された冷気は、冷蔵室3内を流れた後、一部が吸込口12bからリターンダクト31を通って冷蔵冷却器室13に戻り、他の一部が仕切板2bに設けられた導入口2cを通って野菜室4へ流れ込む。野菜室4に流れ込んだ冷気は、野菜室4内を冷却した後、野菜室4の背面に設けられた吸込口12cからリターンダクト31に流れ込み冷蔵冷却器室13に戻る。
【0023】
また、吹出口12aからチルド室3cへ供給された冷気は、チルド室3c内を流れた後、吸込口12bからリターンダクト31に流れ込み冷蔵冷却器室13に戻る。
【0024】
断熱仕切壁2aの下方の冷凍空間は、冷凍温度帯(例えば、-18℃~-20℃)に冷却保持される空間であり、製氷室、第1冷凍室5と、第2冷凍室6とを備える。製氷室及び第1冷凍室5は、断熱仕切壁2aを介して野菜室4の下方に左右に並べて設けられている。製氷室及び第1冷凍室5の下方には、下部ケースと上部ケースを備えた第2冷凍室6が配置されている。製氷室、第1冷凍室5及び第2冷凍室6の開口部は、野菜室4と同様、引き出し式の扉5a、6aにより閉塞されている。第2冷凍室6の背面には、第2冷凍室6の庫内温度を測定するための冷凍温度センサ25が設けられている。
【0025】
冷凍空間に設けられた貯蔵室(製氷室、第1冷凍室5、第2冷凍室6)の背部には、ダクト18を形成するカバー体17が設けられている。カバー体17は冷凍温度帯の貯蔵室の後方に冷凍冷却器室19を区画する。
【0026】
冷凍冷却器室19の内部には、冷蔵冷却器10より低い温度に冷却される冷凍冷却器15とファンなどの第2送風機(冷凍送風機16)等が設けられている。冷凍冷却器室19に設けられた冷凍送風機16は、冷凍冷却器15で冷却した冷凍冷却器室19内の空気をダクト18を介して製氷室、第1冷凍室5及び第2冷凍室6に供給することで、製氷室、第1冷凍室5及び第2冷凍室6を冷却する。
【0027】
また、冷凍冷却器室19には、冷凍冷却器15の下方に除霜ヒータ24と除霜水を受ける排水樋32が配設される。冷凍冷却器15の除霜は、除霜ヒータ24による輻射熱で冷凍冷却器15を加熱することで行う。この時、融解した除霜水は排水樋32により、外部に排出される。
【0028】
冷蔵冷却器10及び冷凍冷却器15は、冷蔵庫本体2の背面下部に設けられた機械室20内に収納された圧縮機21や不図示の凝縮器とともに冷凍サイクルを構成する。冷凍サイクルは、圧縮機21から吐出された冷媒が切替弁22(図2参照)によって冷蔵冷却器10及び冷凍冷却器15の一方に供給されることで、冷蔵冷却器10及び冷凍冷却器15をそれぞれ交互に所定温度に冷却する。冷蔵冷却器10には、冷蔵冷却器10の温度を検出する冷蔵冷却器温度センサ26が設けられ、冷凍冷却器15には、冷凍冷却器15の温度を検出する冷凍冷却器温度センサ27が設けられている。
【0029】
また、冷蔵庫本体2の外側、例えば、冷蔵庫本体2の天井壁の上面後部には、冷蔵庫1を制御するマイコン等を実装した制御基板からなる制御部28が設けられている。
【0030】
(2)発光装置50の構成
発光装置50は、扁平な箱状の固定具の内部に設けられ200nm~320nmの紫外線を放出するLED等の光源を備え、光源が野菜室4に収納された上段容器44の上面開口部の上方に位置するようにエバカバー12に固定されている。
【0031】
発光装置50は、上段容器44の上面開口部の上方から上段容器44の底面へ向けて紫外線を照射することで、上段容器44や上段容器44に収納された貯蔵品の殺菌や野菜室4内の脱臭を行う。また、上段容器44の底面を透過した紫外線によって下段容器43や下段容器43に収納された貯蔵品の殺菌や下段容器43内の脱臭を行う。
【0032】
(3)冷蔵庫1の電気的構成
冷蔵庫本体2の上部に設けられた制御部28には、図2に示すように、操作表示部7、外気温センサ8、扉センサ9a、9b、9c、冷蔵送風機11、冷凍送風機16、圧縮機21、切替弁22、冷蔵温度センサ23、冷凍温度センサ25、冷蔵冷却器温度センサ26、冷凍冷却器温度センサ27、発光装置50等の冷蔵庫本体2の内側又は外側に設けられた電気部品が電気接続されている。そして、制御部28は、各種センサから入力される信号や、使用者の操作によって操作表示部7から入力される信号などが入力されると、予めメモリに記憶された制御プログラムに基づいて、操作表示部7の表示、冷蔵送風機11及び冷凍送風機16の運転強度の設定、圧縮機21の運転周波数の設定、切替弁22による冷蔵冷却器10と冷凍冷却器15への切り替え設定、及び発光装置50の出力などを制御することで冷蔵庫1の動作全般を制御する。
【0033】
(4)冷蔵庫1の冷却運転
冷蔵庫1では、冷蔵温度センサ23及び冷凍温度センサ25によって検出された冷蔵空間の庫内温度及び冷凍空間の庫内温度に基づいて、図3に示すように、冷蔵温度帯の冷蔵室3及び野菜室4を冷却する冷蔵冷却運転(図3のt1、t3、t5)と、冷凍温度帯の製氷室、第1冷凍室5及び第2冷凍室6を冷却する冷凍冷却運転(図3のt2、t4)とを切り替えて実行する。
【0034】
なお、本実施形態の冷蔵庫1では、圧縮機21を常時駆動して、冷蔵冷却運転及び冷凍冷却運転のいずれかの運転を常時実行することが原則であるが、冷蔵空間及び冷凍空間の温度が双方ともOFF温度以下でありPID計算がある一定値以下になる等、所定の条件を満たした場合に、圧縮機21、冷蔵送風機11及び冷凍送風機16を停止し、冷蔵冷却運転及び冷凍冷却運転を停止してもよい。
【0035】
(4-1)冷蔵冷却運転
制御部28は、冷蔵冷却開始条件を満たすと、圧縮機21を所定周波数で駆動しつつ切替弁22の冷蔵冷媒流路側の出口を開放して冷蔵冷却器10に冷媒を流し、更に、冷蔵送風機11を回転させて冷蔵冷却運転を開始する。冷蔵冷却開始条件の一例を挙げると、例えば、冷蔵温度センサ23の検出温度が冷蔵空間に対して設定されているON温度(例えば、5℃)以上になる場合がある。
【0036】
冷蔵冷却運転では、冷蔵冷却器10に流れ込んだ低圧、低温の冷媒が気化することで冷蔵冷却器室13において冷気を生成する。生成した冷気は、冷蔵送風機11の送風作用により、背面ダクト14を介して吹出口14aから冷蔵室3に供給されるとともに、エバカバー12に設けられた吹出口12aからチルド室3cに供給される。
【0037】
吹出口14aから冷蔵室3に供給された冷気は、冷蔵室3内を流れた後、一部が吸込口12bからリターンダクト31を通って冷蔵冷却器室13に戻り、他の一部が仕切板2bに穿設された導入口2cを通って野菜室4へ流れ込む。野菜室4に流れ込んだ冷気は、野菜室4内を冷却した後、野菜室4の背面に設けられた吸込口12cからリターンダクト31に流れ込み冷蔵冷却器室13に戻る。
【0038】
また、吹出口12aからチルド室3cへ供給された冷気は、上容器40の上面開口部の後方から導入され、上容器40及び下容器41内を冷却した後、吸込口12bからリターンダクト31に流れ込み冷蔵冷却器室13に戻る。
【0039】
冷蔵冷却器室13に戻った冷気は、冷蔵冷却器10によって冷却された後、再び冷蔵室3、チルド室3c及び野菜室4へ送風される。
【0040】
そして、冷蔵冷却運転の実行中に冷蔵冷却終了条件が満たされると、制御部28は、冷蔵冷却運転を終了する。冷蔵冷却終了条件の一例を挙げると、例えば、(1)冷蔵温度センサ23の検出温度が冷蔵空間に対して設定されているOFF温度(例えば、2℃)に達した時、(2)冷蔵冷却運転を開始してから最長冷却時間(例えば、40分間)以上が経過した時、(3)冷凍温度センサ25の検出温度が冷凍空間に対して設定されているON温度(例えば、-18℃)以上になった時、のいずれかの場合がある。
【0041】
冷蔵冷却運転を終了すると、制御部28は、圧縮機21を所定周波数で駆動しつつ切替弁22の冷凍冷媒流路側の出口を開放して冷凍冷却器15に冷媒を流し、さらに冷凍送風機16を回転させて冷凍冷却運転を開始する。
【0042】
(4-2)冷凍冷却運転
冷凍冷却運転では、冷凍冷却器15に流れ込んだ低圧、低温の冷媒が気化することで冷凍冷却器室19において冷気を生成する。生成された冷気は、冷凍送風機16の送風作用により製氷室、第1冷凍室5及び第2冷凍室6内を循環し、所定の冷凍温度帯になるように製氷室、第1冷凍室5及び第2冷凍室6を冷却する。
【0043】
製氷室、第1冷凍室5及び第2冷凍室6内を循環した冷気は、第2冷凍室6の背面に設けられた吸込口から冷凍冷却器室19に戻り、冷凍冷却器15により冷却され、その後、再び製氷室、第1冷凍室5及び第2冷凍室6へ送風される。
【0044】
そして、冷凍冷却運転の実行中に冷凍冷却終了条件が満たされると、制御部28は、冷凍冷却運転を終了する。冷凍冷却終了条件の一例を挙げると、例えば、(1)冷凍温度センサ25の検出温度が所定温度(例えば、-21℃)に達した時、(2)冷凍運転を開始してから最長冷却時間(例えば、90分間)以上が経過した時、(3)冷蔵温度センサ23の検出温度が冷蔵空間に対して設定されているON温度(例えば、5℃)以上になった時、のいずれかの場合がある。
【0045】
(5)除霜運転
冷蔵庫1では、冷蔵冷却運転及び冷凍冷却運転を切り替えて順次実行する中で、所定の除霜開始条件を満たすと第1除霜運転と第2除霜運転を実行する。
【0046】
(5-1)第1除霜運転
第1除霜運転は、冷蔵冷却器10に付着した霜を融解により除去するとともに、融解した霜の水分を冷蔵空間へ供給することで、冷蔵空間を加湿する運転である。
【0047】
具体的には、制御部28が、切替弁22の冷蔵冷媒流路側の出口を閉塞したり、圧縮機21を停止又は運転周波数を低減したりすることで、冷蔵冷却器10への冷媒の供給を停止又は低減しつつ、冷蔵送風機11を駆動する(図3のt6)。
【0048】
なお、第1除霜運転は、図3に例示するように冷凍冷却運転時に実行してもよく、また、冷蔵冷却運転及び冷凍冷却運転のいずれの運転も停止している時に実行してもよい。
【0049】
これらの制御の結果、冷蔵冷却器10への冷媒の供給が制限された状態で、0℃より高温の冷蔵空間の空気が冷蔵冷却器室13内に導入され、霜の付着した冷蔵冷却器10と熱交換した後、再び冷蔵空間に戻される。
【0050】
これにより、冷蔵冷却器10の温度を上昇させて冷蔵冷却器10に付着した霜を融解するとともに、融解した霜の水分を気化して加湿空気を生成する。生成した加湿空気は、冷蔵送風機11の送風作用によって冷蔵室3及びチルド室3cへ送風され、冷蔵室3及びチルド室3cや、冷蔵室3と連通する野菜室4を加湿する。
【0051】
第1除霜運転を開始する条件の一例を挙げると、例えば、(1)冷蔵冷却器温度センサ26の検出温度が所定温度(例えば、ー10℃)以下である時間の積算時間が所定時間(例えば、180分間)以上に達した時、(2)扉センサ9a、9a、9bが検出した冷蔵室扉3aの開閉回数が所定回数(例えば、50回)以上に達した時、(3)扉センサ9a、9a、9bが検出した冷蔵室扉3aの開放時間の積算時間が所定時間(例えば、2分間)以上に達した時、のいずれかの場合がある。
【0052】
第1除霜運転を終了する条件の一例を挙げると、例えば、冷蔵冷却器温度センサ26で検出される冷蔵冷却器10の温度が所定温度(例えば、3℃)に達した時などがある(図3のt7)。
【0053】
(5-2)第2除霜運転
第2除霜運転は、冷凍冷却器15に付着した霜を融解により除去する運転である。具体的には、制御部28が、切替弁22の冷凍冷媒流路側の出口を閉塞したり、圧縮機21を停止又は運転周波数を低減したりすることで、冷凍冷却器15への冷媒供給を停止又は低減しつつ、冷凍送風機16を停止し、除霜ヒータ24を通電状態とする。これらの制御により、冷凍冷却器15への冷媒の供給が制限された状態で、除霜ヒータ24による熱で冷凍冷却器15が加熱され、冷凍冷却器15に付着した霜を融解する。
【0054】
第2除霜運転を開始する条件の一例を挙げると、例えば、(1)冷蔵冷却運転及び冷凍冷却運転を実行した時間の積算値が所定時間(例えば、8時間)に達した時、(2)前回の第2除霜運転を実行してからの経過時間が所定時間(例えば、24時間)に達した時、のいずれかの場合がある。
【0055】
第2除霜運転を終了する条件の一例を挙げると、例えば、冷凍冷却器温度センサ27で検出される冷凍冷却器15の温度が所定温度(例えば、10℃)に達した時などが挙げられる。
【0056】
(6)発光装置50の制御
制御部28は、発光装置50によって紫外線が照射される貯蔵室に設けられた扉(本実施形態では、野菜室扉)4aが開扉している間、発光装置50による紫外線の照射を停止する。
【0057】
一方、扉4aが閉扉している場合に、制御部28は、所定時間(例えば、20分間)を1サイクルとして、1サイクル中に発光装置50を点灯する時間(以下、この時間を点灯時間ということもある)と発光装置50を消灯する時間(以下、この時間を消灯時間ということもある)とを設定し、設定した点灯時間及び消灯時間ずつ点灯と消灯を繰り返すように発光装置50を動作させる。
【0058】
このような発光装置50の制御において、制御部28は、1サイクルに占める点灯時間の割合である通電率を変更することで発光装置50の出力を冷蔵庫1の状態に応じて設定する。なお、本明細書において、通電率とは、発光装置50の光源を連続駆動する場合、1サイクル中に占める連続駆動によって発光装置50を点灯させる時間の割合によって規定され、発光装置50の光源をパルス駆動する場合、1サイクル中に占めるパルス駆動によって発光装置50を点灯させる時間の割合によって規定される値である。
【0059】
具体的には、制御部28は、冷蔵冷却運転の実行中(図3のt1、t3、t5)や、冷凍冷却運転の実行中であって第1除霜運転を実行していない時(図3のt7)や、冷蔵冷却運転及び冷凍冷却運転のいずれの運転も停止し、かつ、第1除霜運転を実行していない時など、冷蔵冷却器10への冷媒の供給が制限されていない場合や、冷蔵冷却器10への冷媒の供給が制限された状態で冷蔵送風機11の送風強度を低下している場合(つまり、冷蔵送風機11が停止している場合、あるいは、第1除霜運転時より低い回転数で冷蔵送風機11を駆動している場合)に、発光装置50の通電率を第1通電率P1に設定する。例えば、制御部28は、第1通電率P1を35%(点灯時間:7分間、消灯時間:13分間)に設定し、発光装置50を7分間点灯させた後に13分間消灯させる制御を1サイクルとして、このような点灯と消灯を繰り返し行う。
【0060】
また、制御部28は、第1除霜運転を実行している時(図3のt6)など、冷蔵冷却器10への冷媒の供給が制限された状態で、冷蔵送風機11が所定回転数以上で回転している場合に、発光装置50の通電率を、第1通電率P1より高い第2通電率P2に設定する。例えば、制御部28は、第2通電率P2を40%(点灯時間:8分間、消灯時間:12分間)に設定し、発光装置50を8分間点灯させた後に12分間消灯させる制御を1サイクルとして、このような点灯と消灯を繰り返し行う。
【0061】
制御部28は、冷蔵冷却運転(図3のt3)から第1除霜運転(図3のt6)に切り替えると、発光装置50の通電率を第1通電率P1から第2通電率P2へ変更する。また、制御部28は、第1除霜運転を終了すると、発光装置50の通電率を第2通電率P2から第1通電率P1へ変更する。
【0062】
制御部28は、通電率の変更時に発光装置50が点灯している場合、点灯状態を維持し、通電率の変更時に発光装置50が消灯している場合、発光装置50を点灯する。そして、制御部28は、通電率を変更した時点からの経過時間を計測し、当該経過時間が変更後の通電率に対応する点灯時間に達するまで発光装置50を点灯させた後、変更後の通電率に対応する消灯時間だけ発光装置50を消灯する。
【0063】
つまり、制御部28は、通電率の変更時に発光装置50を点灯しているか否かに関わらず、変更前の通電率による発光装置50の制御を終了し、発光装置50を点灯させてから変更後の通電率による発光装置50の制御を開始する。
【0064】
そして、制御部28は、設定した通電率に対応する点灯時間及び消灯時間ずつ点灯と消灯を繰り返すように発光装置50を動作させることで、野菜室4に設けられた貯蔵容器42へ紫外線を照射する。
【0065】
なお、冷蔵冷却器10への冷媒の供給が制限されている状態で、制御部28が停止中の冷蔵送風機11を回転させる場合、冷蔵送風機11を起動した後に発光装置50の通電率を第1通電率P1から第2通電率P2へ変更してもよい。
【0066】
(7)効果
本実施形態の冷蔵庫1では、冷蔵冷却器10への冷媒の供給が制限された状態で冷蔵送風機11が回転することで加湿された空気が冷蔵空間に戻されても、発光装置50の通電率を高く設定するため、カビや細菌の発生を抑えることができる。また、冷蔵冷却器10への冷媒の供給が制限されていない場合や、冷蔵冷却器10への冷媒の供給が制限された状態で冷蔵送風機11の送風強度を低下している場合のように、冷蔵空間が加湿されにくい場合に、発光装置50の通電率を低く設定して発光装置50の動作時間を抑えることができる。これにより、冷蔵空間におけるカビや細菌の発生を抑えつつ、発光装置50の劣化を抑制して十分な寿命を確保することができる。
【0067】
本実施形態では、通電率の変更時に発光装置50を点灯しているか否かに関わらず、変更前の通電率による発光装置50の制御を終了し、発光装置50を点灯させてから変更後の通電率による発光装置50の制御を開始するため、発光装置50の点灯時間が不所望に減少することがなく、冷蔵空間におけるカビや細菌の発生を抑えることができる。
【0068】
2.第2実施形態
第2実施形態について、主に図4に基づいて第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一の構成のものについては、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0069】
上記の第1実施形態では、冷蔵冷却器10への冷媒の供給が制限されている場合に、冷蔵送風機11の送風強度を低下している時に比べて送風強度が高い時に通電率を高く設定する場合について説明した。本実施形態では、冷蔵冷却器温度センサ26の検出温度が所定温度より高い場合に、冷蔵送風機11の送風強度を低下している時に比べて送風強度が高い時に通電率を高く設定する。
【0070】
具体的には、制御部28は、冷蔵冷却器温度センサ26の検出温度が所定温度(例えば、0℃)より小さい場合(図4のt1、t4、t5、t8、t10)、冷蔵送風機11が回転しているか否かに関わらず発光装置50の通電率を第3通電率P3に設定する。また、制御部28は、冷蔵冷却器温度センサ26の検出温度が所定温度(例えば、0℃)より高く、かつ、冷蔵送風機11の送風強度を低下している場合(図4のt7、t9)、発光装置50の通電率を第3通電率P3に設定する。例えば、制御部28は、第3通電率P3を35%(点灯時間:7分間、消灯時間:13分間)に設定し、発光装置50を7分間点灯させた後に13分間消灯させる制御を1サイクルとして、このような点灯と消灯を繰り返し行う。
【0071】
また、制御部28は、冷蔵冷却器温度センサ26の検出温度が所定温度(例えば、0℃)以上、かつ、冷蔵送風機11が所定回転数以上で回転し送風強度が低下していない場合(図4のt11)、発光装置50の通電率を第3通電率P3より高い第4通電率P4に設定する。つまり、冷蔵冷却器温度センサ26の検出温度が所定温度(例えば、0℃)以上の場合、冷蔵送風機11の送風強度が低下している時に比べて送風強度が高い時に発光装置50の通電率を高く設定する。言い換えれば、所定回転数以上で冷蔵送風機11が回転している時における冷蔵冷却器温度センサ26の検出温度が所定温度以上の場合、所定温度より小さい場合に比べて通電率が高くなるように、検出温度に応じて通電率を変更する。例えば、制御部28は、第4通電率P4を40%(点灯時間:8分間、消灯時間:12分間)に設定し、発光装置50を8分間点灯させた後に12分間消灯させる制御を1サイクルとして、このような点灯と消灯を繰り返し行う。
【0072】
本実施形態の冷蔵庫1では、冷蔵冷却器温度センサ26の検出温度が所定温度(例えば、0℃)以上の状態で冷蔵送風機11が所定回転数以上で回転すると、冷蔵冷却器10に付着する霜の融解によって加湿された空気が冷蔵空間に供給され冷蔵空間が加湿されるが、制御部28が発光装置50の通電率を高く設定するため、カビや細菌の発生を抑えることができる。また、冷蔵冷却器温度センサ26の検出温度が所定温度以上の場合であっても、冷蔵送風機11の送風強度が低下しており加湿された空気が冷蔵空間に戻されることがない場合、制御部28が発光装置50の通電率を低く設定するため、発光装置50の動作時間を抑えることができる。これにより、冷蔵空間におけるカビや細菌の発生を抑えつつ、発光装置50の劣化を抑制して十分な寿命を確保することができる。
【0073】
また、本実施形態では、冷蔵冷却器温度センサ26が検出する冷蔵冷却器10の温度に基づいて発光装置50の通電率を変更するため、冷蔵温度センサ23が検出する冷蔵空間の庫内温度に基づいて通電率を変更する場合に比べて、冷蔵送風機11の回転によって冷蔵空間に加湿された空気が供給されるか否かを正確に検出することができ、冷蔵空間の湿度環境に応じた適切な通電率に設定することができる。
【0074】
なお、上記した本実施形態では、冷蔵送風機11が所定回転数以上で回転する時における冷蔵冷却器温度センサ26の検出温度に応じて通電率を2段階に変更する場合について説明したが、冷蔵冷却器温度センサ26の検出温度に応じて通電率を多段階で変更してもよい。例えば、冷蔵送風機11の送風強度が低下している時は冷蔵冷却器温度センサ26の検出温度によって通電率を変化せず一定値(35%)に設定し、冷蔵送風機11が所定回転数以上で回転する時は冷蔵冷却器温度センサ26の検出温度が、-15℃未満、-15℃以上-10℃未満、-10℃以上-5℃未満、-5℃以上0℃未満、0℃以上5℃未満、5℃以上10℃未満の場合に、通電率をそれぞれ20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%に設定してもよい。
【0075】
また、冷蔵冷却器10への冷媒の供給が制限されている状態で、制御部28の送風強度が低下している状態から所定回転数以上に冷蔵送風機11を回転させる場合(図4のt11)、冷蔵送風機11の回転数を上昇した後に発光装置50の通電率を第1通電率P1から第2通電率P2へ変更してもよい。
【0076】
3.変更例
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0077】
上記の第1実施形態及び第2実施形態に対して、以下に説明する複数の変更例のうちいずれか1つを適用しても良いし、以下に説明する変更例のうちいずれか2つ以上を組み合わせて適用しても良い。また、以下の変更例の他にも様々な変更が可能である。
【0078】
(変更例1)
制御部28は、扉センサ9a、9b、9cによって冷蔵空間の前面を閉塞する左右の冷蔵室扉3a、3aや野菜室扉4aの開閉を検出すると、開閉を検出した時から所定時間が経過するまで、開閉を検出した時に設定している通電率を上昇させてもよい。
【0079】
例えば、図5に示すように、左右の冷蔵室扉3a、3aや野菜室扉4aのいずれかの扉が時刻Q1に開閉すると、制御部28は、時刻Q1から所定時間Δq1(例えば、Δq1=30分間)が経過するまで、時刻Q1に設定されている通電率Pを所定量Δp(例えば、Δp=5%)だけ上昇した通電率P+Δpに設定する。
【0080】
その後、時刻Q2に左右の冷蔵室扉3a、3aや野菜室扉4aのいずれか扉が開閉すると、上記同様、所定時間Δq2が経過するまで通電率を所定量Δpだけ上昇させる。
【0081】
その際、時刻Q1に行った扉開閉によって通電率を上昇して発光装置50を制御している時(つまり、時刻Q2<時刻Q1+Δq1の時)に、左右の冷蔵室扉3a、3aや野菜室扉4aのいずれか扉が開閉すると、時刻Q2から時刻Q1+Δq1まで先に上昇させた所定量Δpに重畳して所定量Δpだけ通電率を上昇した通電率P+2Δpに設定し、時刻Q1+Δq1が経過してから時刻Q2+Δq2まで通電率をP+Δpに設定してもよい。
【0082】
このような場合、冷蔵室扉3a、3aや野菜室扉4aの開閉によって庫外から冷蔵空間内に水分やカビ菌が進入したり、庫外の暖かい空気が進入したりしても、発光装置50の通電率を上昇させるため冷蔵空間におけるカビや細菌の発生を抑えることができる。
【0083】
なお、本変形例において、扉3a、3a、4aが短時間に多数回開閉した場合、扉3a、3a、4aが開閉する毎に所定量Δpずつ通電率を上昇させてもよく、また、扉3a、3a、4aの開閉によって上昇可能の通電率の上限値(例えば、15%)を設定し、通電率の上限値を設定してもよい。
【0084】
また、上記のように扉3a、3a、4aの開閉によって通電率を上昇させる際に、扉3a、3a、4aの開扉時間が長くなるにつれて、通電率を上昇させる時間Δq1、Δq2を長く設定してもよい。例えば、扉3a、3a、4aの1回の開扉時間が、40秒間未満、40秒間以上1分間未満、1分間以上2分間未満、2分間以上の場合に、通電率を上昇させる時間Δq1、Δq2をそれぞれ、10分間、20分間、30分間、60分間に設定してもよい。
【0085】
(変更例2)
制御部28は、外気温センサ8が検出する冷蔵庫1の周囲の温度が、所定温度(例えば、22℃)より高い場合に、通電率を所定量上昇させてもよい。
【0086】
冷蔵庫1の周囲の温度が高い場合、扉3a、3a、4aの閉扉時に生じる熱リークによって冷蔵空間の温度が上昇しやすくなったり、扉3a、3a、4aの開閉によって庫外から高温の空気が冷蔵空間内に進入したりしても、発光装置50の通電率を上昇させるため冷蔵空間におけるカビや細菌の発生を抑えることができる。
【0087】
なお、本変形例において、外気温センサ8の検出温度によって通電率を上昇させる際に、検出温度が高くなるにつれて、通電率の上昇量を増加してもよい。
【0088】
(変更例3)
冷蔵庫1の周囲の湿度を検出する外湿度センサが冷蔵庫1に設けられている場合、制御部28は、外湿度センサが検出する冷蔵庫1の周囲の湿度が、所定湿度(例えば、65%)より高い場合に、通電率を所定量上昇させてもよい。
【0089】
冷蔵庫1の周囲の湿度が高い場合、扉3a、3a、4aの閉扉時に生じるリークによって冷蔵空間の湿度が上昇しやすくなったり、扉3a、3a、4aの開閉によって庫外から高湿度の空気が冷蔵空間内に進入したりしても、発光装置50の通電率を上昇させるため冷蔵空間におけるカビや細菌の発生を抑えることができる。
【0090】
なお、本変形例において、外湿度センサの検出湿度によって通電率を上昇させる際に、検出湿度が高くなるにつれて、通電率の上昇量を増加してもよい。
【0091】
(変更例4)
冷蔵空間の湿度を検出する庫内湿度センサが冷蔵庫1に設けられている場合、制御部28は、庫内湿度センサが検出する冷蔵空間の湿度が、所定湿度(例えば、60%)より高い場合に、通電率を所定量上昇させてもよい。
【0092】
冷蔵空間の湿度が高い場合であっても、発光装置50の通電率を上昇させるため冷蔵空間におけるカビや細菌の発生を抑えることができる。
【0093】
なお、本変形例において、庫内湿度センサの検出湿度によって通電率を上昇させる際に、検出湿度が高くなるにつれて、通電率の上昇量を増加してもよい。
【0094】
(変更例5)
上記の第1実施形態及び第2実施形態では、2つの冷却器10、15を備える場合について説明したが、1つの冷却器によって冷却された冷却器室の空気を送風機によって冷蔵空間と冷凍空間に供給することで、冷蔵空間と冷凍空間とを冷却する冷蔵庫に本発明を適用してもよい。
【0095】
例えば、冷却器への冷媒の供給が制限されている場合、あるいは、冷却器の温度を検出する冷却器温度センサの検出温度が所定温度より高い場合に、冷却器室の空気を冷蔵空間へ供給する送風機が回転すると、制御部28が当該送風機の送風強度が低下している時に比べて通電率を高く設定してもよい。
【0096】
(変更例6)
上記の第1実施形態及び第2実施形態では、発光装置50が野菜室4に設けられた貯蔵容器42の内部に紫外線を照射する場合について説明したが、冷蔵室3に冷蔵空間に設けられたチルド室3cや製氷用水を貯水する貯水タンク等に紫外線を照射する発光装置や、また、冷蔵空間の空気を除菌及び脱臭する除菌脱臭装置に設けられた光触媒に紫外線を照射する発光装置の制御において本発明を適用してもよい。
【0097】
(変更例7)
制御部28は、圧縮機21、冷蔵送風機11及び冷凍送風機16を停止し、冷蔵冷却運転及び冷凍冷却運転を停止している場合に、冷蔵冷却運転及び冷凍冷却運転を行っている場合に比べて通電率を低く設定してもよい。
【0098】
冷蔵空間が十分に冷却され圧縮機が停止している場合に、発光装置50の通電率を低く設定することで、発光装置50の劣化を抑制して十分な寿命を確保することができる。
【0099】
(変更例8)
上記の第1実施形態及び第2実施形態では、通電率を変化させることで発光装置50の出力を変更する場合について説明したが、発光装置50の電流値や、発光装置50の光源をパルス駆動する際のパルス幅や周期等を変化させることで、発光装置50の出力を変化させてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1…冷蔵庫、2…冷蔵庫本体、3…冷蔵室、3a…冷蔵室扉、4…野菜室、4a…野菜室扉、8…外気温センサ、9a…扉センサ、9b…扉センサ、9c…扉センサ、10…冷蔵冷却器、11…冷蔵送風機、13…冷蔵冷却器室、15…冷凍冷却器、16…冷凍送風機、19…冷凍冷却器室、20…機械室、21…圧縮機、26…冷蔵冷却器温度センサ、27…冷凍冷却器温度センサ、28…制御部、31…リターンダクト、42…貯蔵容器、43…下段容器、44…上段容器、50…発光装置
図1
図2
図3
図4
図5