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  • 特許-バキューム搭載構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】バキューム搭載構造
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/00 20060101AFI20241017BHJP
   B60T 13/52 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
B60T17/00 C
B60T13/52
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021043797
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2022143336
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2024-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】酒井 康裕
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 伸一
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-115064(JP,U)
【文献】特開昭63-112255(JP,A)
【文献】特開平08-011708(JP,A)
【文献】実開昭59-85767(JP,U)
【文献】特開2012-166700(JP,A)
【文献】中国実用新案第205202995(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 17/00
B60T 13/46-13/577
B60T 8/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧と比べて低圧である負圧の気体を蓄積するバキュームタンクと、
前記バキュームタンク内の気体を排出し、前記バキュームタンクの負圧を利用してブレーキブースタを作動させるバキュームポンプと、
前記ブレーキブースタで発生したアシスト力に応じた制御弁として機能するアクチュエータと、を備え、
前記バキュームタンクと、前記バキュームポンプと、前記アクチュエータとが、一体的にモジュール化されている、バキューム搭載構造。
【請求項2】
前記バキュームタンクを下方から支持するブラケットを更に備える、請求項1記載のバキューム搭載構造。
【請求項3】
前記ブラケットは、前記バキュームタンクの外周面の一部にのみ接しており、前記外周面に溶接されている、請求項2記載のバキューム搭載構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、バキューム搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バキュームポンプを制御することによってバキュームタンク内に蓄えられた負圧を利用しブレーキブースタを作動させる技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-177678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述した構成を有する車両においては、例えば、ブレーキブースタで発生したアシスト力に応じた制御弁として機能するブレーキアクチュエータ(油圧アクチュエータ)等も搭載される場合がある。このように、バキュームポンプ、バキュームタンク、及びブレーキアクチュエータ等の構成が搭載されることにより、配管及び配線等が煩雑となり、車両内のスペースの有効活用が困難となる場合がある。
【0005】
本発明の一態様は上記実情に鑑みてなされたものであり、車両内の省スペース化を実現することができるバキューム搭載構造に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るバキューム搭載構造は、大気圧と比べて低圧である負圧の気体を蓄積するバキュームタンクと、バキュームタンク内の気体を排出し、バキュームタンクの負圧を利用してブレーキブースタを作動させるバキュームポンプと、ブレーキブースタで発生したアシスト力に応じた制御弁として機能するアクチュエータと、を備え、バキュームタンクと、バキュームポンプと、アクチュエータとが、一体的にモジュール化されている。
【0007】
本発明の一態様に係るバキューム搭載構造では、バキュームタンクとバキュームポンプとアクチュエータ(ブレーキアクチュエータ)とが一体化されている。このような構成によれば、これらの構造が互いに接近してコンパクトにまとめられるため、例えばこれらの構造間を接続する配管及び配線等の長さを短くすることができる。これにより、配管及び配線等が煩雑となることを回避し、車両内の省スペースかを実現することができる。また、配管及び配線等の長さを短くすることができることにより、車両重量の軽量化及び原価低減を実現すると共に、配管等の信頼性を向上させることができる。
【0008】
上記バキューム搭載構造は、バキュームタンクを下方から支持するブラケットを更に備えていてもよい。このような構成によれば、バキュームタンクへの振動入力の主成分である上下方向の振動入力に対する耐久性を向上させることができる。
【0009】
ブラケットは、バキュームタンクの外周面の一部にのみ接しており、外周面に溶接されていてもよい。ブラケットがバキュームタンクの外周面に溶接されていることにより、ブラケットとバキュームタンクの外周面との接触面積を小さくすることができる。これにより、バキュームタンク表面における隙間腐食を抑制し防錆性能を向上させて、発錆を抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係るバキューム搭載構造によれば、車両内の省スペース化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るバキューム搭載構造の斜視図である。
図2】本実施形態に係るバキューム搭載構造の斜視図である。
図3】本実施形態に係るバキューム搭載構造の斜視図である。
図4】本実施形態に係るバキューム搭載構造の斜視図である。
図5】本実施形態に係るバキューム搭載構造の側面図である。
図6】バキューム搭載構造に含まれるバキュームタンクの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係るバキューム搭載構造について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1図4は、本実施形態に係るバキューム搭載構造1の斜視図である。図5は、本実施形態に係るバキューム搭載構造1の側面図である。図6は、バキューム搭載構造1に含まれるバキュームタンク10,20の斜視図である。バキューム搭載構造1とは、例えば電動車両等に含まれるバキュームタンク10,20を含む構成の搭載構造である。図1図5に示されるように、バキューム搭載構造1は、バキュームタンク10,20と、バキュームポンプ30と、油圧アクチュエータ40と、を備えている。本実施形態に係るバキューム搭載構造1では、バキュームタンク10,20と、バキュームポンプ30と、油圧アクチュエータ40とが、モジュール化されている(詳細は後述)。
【0014】
バキュームタンク10,20は、有底円筒状のタンクであり、大気圧と比べて低圧である負圧の気体を蓄積している。バキュームタンク10,20は、互いに軸方向が一致しており、上下方向において互いに重なるように配置されている。バキュームタンク10,20の容量は、例えばそれぞれ2l程度であってもよい。
【0015】
バキュームタンク10は、図6に示されるように、バキュームタンク20よりも上方に配置されている。バキュームタンク10は、円筒状のバキュームリザーバ11と、バキュームリザーバ11の両端部(底面)を塞ぐプレート上のリザーバエンド12,13とを有している。バキュームタンク10は、2つのブラケット61,62を介してバキュームタンク20に支持されている。すなわち、ブラケット61,62は、バキュームタンク10,20間に配置されている。ブラケット61は、バキュームタンク10における軸方向の一端側(リザーバエンド12側)においてバキュームタンク10を支持している。ブラケット62は、バキュームタンク10における軸方向の他端側(リザーバエンド13側)においてバキュームタンク10を支持している。ブラケット61,62は、いずれも、バキュームタンク10の外周面に沿って該外周面に接する辺を2辺有すると共に、バキュームタンク20の外周面に沿って該外周面に接する辺を2辺有している。ブラケット61,62は、バキュームタンク10,20の外周面に接する辺において、該外周面に溶接されている。
【0016】
バキュームタンク20は、図6に示されるように、バキュームタンク10よりも下方に配置されている。バキュームタンク20は、円筒状のバキュームリザーバ21と、バキュームリザーバ21の両端部(底面)を塞ぐプレート上のリザーバエンド22,23とを有している。バキュームタンク20は、2つのブラケット63,64に支持されている。ブラケット63,64は、バキュームタンク20を下方から支持するブラケットである。ブラケット63は、バキュームタンク20における軸方向の一端側(リザーバエンド22側)においてバキュームタンク20を支持している。ブラケット64は、バキュームタンク20における軸方向の他端側(リザーバエンド23側)においてバキュームタンク20を支持している。ブラケット63,64は、いずれも、バキュームタンク20の外周面に沿って該外周面に接する辺を1辺有している。すなわち、ブラケット63,64は、バキュームタンク20の外周面の一部のみに接している。ブラケット63,64は、バキュームタンク20の外周面に接する辺において、該外周面に溶接されている。
【0017】
ブラケット63,64は、モジュール支持ブラケット50に固定されている。モジュール支持ブラケット50とは、モジュール化されるバキュームタンク10,20、バキュームポンプ30、及び油圧アクチュエータ40を全て支持するブラケットである。ブラケット63は、図1に示されるように、モジュール支持ブラケット50に、ボルト67,68により固定されている。詳細には、ブラケット63における、リザーバエンド22のプレート面と平行な取り付け面63xと、モジュール支持ブラケット50における上記取り付け面63xと平行な取り付け面50xとが重なり合うように配置された状態で、取り付け面63x及び取り付け面50xの貫通孔にボルト67,68が挿入されることにより、ブラケット63がモジュール支持ブラケット50に固定される。同様に、ブラケット64についてもモジュール支持ブラケット50に固定される。これにより、ブラケット63,64を介して、バキュームタンク10,20がモジュール支持ブラケット50に支持(固定)される。
【0018】
なお、図1及び図2に示されるように、バキュームタンク10のリザーバエンド12には貫通口が形成されており、該貫通口に接続されたチューブ65がブレーキブースタ(不図示)に接続されている。また、バキュームタンク20のリザーバエンド22には貫通口が形成されており、該貫通口に接続されたチューブ66がバキュームタンク10のバキュームリザーバ11に接続されている。
【0019】
バキュームポンプ30は、バキュームタンク10,20内の気体を排出し、バキュームタンク10,20の負圧を利用してブレーキブースタ(不図示)を作動させる。バキュームポンプ30は、バキュームタンク10の軸方向における他端側(リザーバエンド13側)においてバキュームタンク10と同等の高さに配置されている。
【0020】
バキュームポンプ30は、図4に示されるように水平に配置されたプレート69に載置されて支持(固定)されている。そして、プレート69は、モジュール支持ブラケット50にボルト70,71,72により固定されている。詳細には、プレート69の下方に、モジュール支持ブラケット50におけるプレート69と平行な取り付け面50yが配置された状態で、プレート69及び取り付け面50yの貫通孔にボルト70,71,72が挿入されることにより、プレート69がモジュール支持ブラケット50に固定される。これにより、プレート69を介して、バキュームポンプ30がモジュール支持ブラケット50に支持(固定)される。
【0021】
油圧アクチュエータ40は、ブレーキの油圧制御用のアクチュエータであり、例えばABS(Anti-lockBraking System)アクチュエータである。油圧アクチュエータ40は、ブレーキブースタ(不図示)で発生したアシスト力に応じた制御弁として機能する。すなわち、ブレーキブースタ(不図示)で発生したアシスト力は、マスタシリンダ(不図示)を介して油圧アクチュエータ40に供給され、車輪の回転を停止させる制動力となる。油圧アクチュエータ40は、バキュームタンク10の軸方向における一端側(リザーバエンド12側)においてバキュームタンク10と同等の高さに配置されている。すなわち、油圧アクチュエータ40及びバキュームポンプ30は、バキュームタンク10の軸方向において互いに隣り合って配置されている。
【0022】
油圧アクチュエータ40は、図1に示されるように、モジュール支持ブラケット50にボルト73,74により固定されている。詳細には、油圧アクチュエータ40とモジュール支持ブラケット50における鉛直に伸びる取り付け面50zとが対向した状態で、油圧アクチュエータ40及び取り付け面50zの貫通孔にボルト73,74が挿入されることにより、油圧アクチュエータ40がモジュール支持ブラケット50に支持(固定)される。以上のように、バキュームタンク10,20がモジュール支持ブラケット50に支持(固定)され、バキュームポンプ30がモジュール支持ブラケット50に支持(固定)され、油圧アクチュエータ40がモジュール支持ブラケット50に支持(固定)されることにより、バキューム搭載構造1の各構成が全てモジュール支持ブラケット50に支持(固定)されることとなる。これにより、バキュームタンク10,20と、バキュームポンプ30と、油圧アクチュエータ40とが、一体的にモジュール化される。
【0023】
図5に示されるように、バキュームタンク10,20と、バキュームポンプ30と、油圧アクチュエータ40とを支持するモジュール支持ブラケット50は、ボルト75,76によりアンカーアーム80に固定される。アンカーアーム80は、フレーム90に連結されている。このような構成によれば、モジュール支持ブラケット50に支持されたバキューム搭載構造1の各構成、特に、バキュームポンプ30及び油圧アクチュエータ40をフレーム90の近傍に配置することができる。これにより、バキュームポンプ30及び油圧アクチュエータ40への入力を低減し、これらの構成の振動を抑制することができる。
【0024】
次に、本実施形態に係るバキューム搭載構造1の作用効果について説明する。
【0025】
本実施形態に係るバキューム搭載構造1は、大気圧と比べて低圧である負圧の気体を蓄積するバキュームタンク10,20と、バキュームタンク10,20内の気体を排出し、バキュームタンク10,20の負圧を利用してブレーキブースタ(不図示)を作動させるバキュームポンプ30と、ブレーキブースタ(不図示)で発生したアシスト力に応じた制御弁として機能する油圧アクチュエータ40と、を備え、バキュームタンク10,20と、バキュームポンプ30と、油圧アクチュエータ40とが、一体的にモジュール化されている。
【0026】
本実施形態に係るバキューム搭載構造1では、バキュームタンク10,20とバキュームポンプ30と油圧アクチュエータ40(ブレーキアクチュエータ)とが一体化されている。このような構成によれば、これらの構造が互いに接近してコンパクトにまとめられるため、例えばこれらの構造間を接続する配管及び配線等の長さを短くすることができる。これにより、配管及び配線等が煩雑となることを回避し、車両内の省スペースかを実現することができる。また、配管及び配線等の長さを短くすることができることにより、車両重量の軽量化及び原価低減を実現すると共に、配管等の信頼性を向上させることができる。
【0027】
上記バキューム搭載構造1は、バキュームタンク20を下方から支持するブラケット63,64を更に備えていてもよい。このような構成によれば、バキュームタンク10,20への振動入力の主成分である上下方向の振動入力に対する耐久性を向上させることができる。
【0028】
ブラケット63,64は、バキュームタンク20の外周面の一部にのみ接しており、外周面に溶接されていてもよい。ブラケット63,64がバキュームタンク20の外周面に溶接されていることにより、ブラケット63,64とバキュームタンク20の外周面との接触面積を小さくすることができる。これにより、バキュームタンク20表面の発錆を抑制することができる。
【符号の説明】
【0029】
1…バキューム搭載構造、10,20…バキュームタンク、30…バキュームポンプ、40…油圧アクチュエータ、63,64…ブラケット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6