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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20241017BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
H01F27/29 123
H01F17/00 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021046031
(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公開番号】P2022144846
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】川口 裕一
(72)【発明者】
【氏名】藤井 直明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 将典
(72)【発明者】
【氏名】竹内 拓也
(72)【発明者】
【氏名】西川 朋永
(72)【発明者】
【氏名】柴 大輝
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-55132(JP,A)
【文献】特開2019-36589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/29
H01F 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性部材と、
前記磁性部材に埋め込まれ、複数の導体層と複数の層間絶縁層が第1の方向に交互に積層されたコイル部と、
導電性ペーストからなる端子電極と、を備え、
前記複数の導体層のそれぞれは、前記磁性部材に埋め込まれたコイル導体パターンと、前記第1の方向と平行な実装面から露出する電極パターンとを有し、
前記端子電極は、前記実装面上において前記電極パターンを覆う位置に設けられた第1の領域と、前記実装面上において前記電極パターンを覆わない領域に設けられた第2及び第3の領域とを有し、
前記第1の領域は、前記第1の方向から前記第2及び第3の領域に挟まれ、
前記第1の領域は、前記第1の方向と直交する第2の方向における幅が前記第2及び第3の領域よりも広く、これにより、前記第1の領域の一部は、前記第2の方向に突出した第1の突出部を構成することを特徴とするコイル部品。
【請求項2】
前記第1の突出部は、前記第2の方向に対して垂直な前記磁性部材の側面に向かって突出していることを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第1の突出部は、前記側面に近づくに連れて厚みが薄くなることを特徴とする請求項2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第1の領域の別の一部は、前記第1の突出部とは逆方向に突出した第2の突出部を構成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第1の領域の中央部は前記第2及び第3の領域よりも局所的に厚みが薄く、これにより端子電極の一部が窪んでいることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル部品に関し、特に、複数の導体層と複数の層間絶縁層が交互に積層されてなるコイル部が磁性部材に埋め込まれた構造を有するコイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の導体層と複数の層間絶縁層が交互に積層されてなるコイル部が磁性部材に埋め込まれた構造を有するコイル部品としては、特許文献1に記載されたコイル部品が知られている。特許文献1に記載されたコイル部品は、磁性部材から露出する電極パターンが端子電極で覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-140202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的に端子電極は電解メッキによって形成されることから、端子電極の平面形状は磁性部材から露出する電極パターンの平面形状によって決まり、任意の平面形状とすることができなかった。
【0005】
したがって、本発明は、複数の導体層と複数の層間絶縁層が交互に積層されてなるコイル部が磁性部材に埋め込まれた構造を有するコイル部品において、端子電極の平面形状を任意とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるコイル部品は、磁性部材と、磁性部材に埋め込まれ、複数の導体層と複数の層間絶縁層が第1の方向に交互に積層されたコイル部と、導電性ペーストからなる端子電極とを備え、複数の導体層のそれぞれは、磁性部材に埋め込まれたコイル導体パターンと、第1の方向と平行な実装面から露出する電極パターンとを有し、端子電極は、実装面上において電極パターンを覆う位置に設けられた第1の領域と、実装面上において電極パターンを覆わない領域に設けられた第2及び第3の領域とを有し、第1の領域は、第1の方向から第2及び第3の領域に挟まれ、第1の領域は、第1の方向と直交する第2の方向における幅が第2及び第3の領域よりも広く、これにより、第1の領域の一部は、第2の方向に突出した第1の突出部を構成することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、端子電極の材料として導電性ペーストを用いていることから、端子電極の平面形状を任意とすることができる。しかも、本発明においては、端子電極が平面視で第1の突出部を有していることから、これによって実装時に第1の方向における搭載位置ずれが生じにくくなる。
【0008】
本発明において、第1の突出部は、第2の方向に対して垂直な磁性部材の側面に向かって突出していても構わない。これによれば、実装時に磁性部材の側面に形成されるハンダフィレットの広がりを抑えることが可能となる。この場合、第1の突出部は、側面に近づくに連れて厚みが薄くなっても構わない。これによれば、ハンダフィレットの広がりをより抑えることが可能となる。
【0009】
本発明において、第1の領域の別の一部は、第1の突出部とは逆方向に突出した第2の突出部を構成しても構わない。これによれば、実装時に第1の方向における搭載位置ずれがより生じにくくなる。
【0010】
本発明において、第1の領域の中央部は第2及び第3の領域よりも局所的に厚みが薄く、これにより端子電極の一部が窪んでいても構わない。これによれば、過剰なハンダが端子電極の窪みに収容されることから、ハンダフィレットの広がりをより抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明によれば、複数の導体層と複数の層間絶縁層が交互に積層されてなるコイル部が磁性部材に埋め込まれた構造を有するコイル部品において、端子電極の平面形状を任意とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1の実施形態によるコイル部品10Aの外観を示す斜視図である。
図2図2は、コイル部品10Aの断面図である。
図3図3は、コイル部品10Aのyz側面図である。
図4図4は、コイル部品10Aのyz側面図である。
図5図5は、コイル部品10Aのxy平面図である。
図6図6は、コイル部品10Aの実装面S1上における端子電極71の平面形状を説明するための模式図である。
図7図7は、コイル部品10A,10Bの前駆体10の外観を示す斜視図である。
図8図8は、導電性ペーストを塗布する範囲W1,W2を説明するための上面図である。
図9図9は、導電性ペーストを塗布した直後の状態を示す模式的な上面図である。
図10図10は、本発明の第2の実施形態によるコイル部品10Bの外観を示す斜視図である。
図11図11は、コイル部品10Bの実装面S1上における端子電極71の平面形状を説明するための模式図である。
図12図12は、コイル部品10Bのxy平面図である。
図13図13は、導電性ペーストを塗布した直後の状態を示す模式的な上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態によるコイル部品10Aの外観を示す斜視図である。
【0015】
第1の実施形態によるコイル部品10Aは表面実装型のチップ部品であり、図1に示すように、磁性部材11,12と、磁性部材11,12に埋め込まれたコイル部20とを備える。コイル部20の構成については後述するが、本実施形態においてはコイル導体パターンを有する導体層が4層積層され、これによって1つのコイルが直列に形成される。そして、コイルの一端が端子電極71に接続され、コイルの他端が端子電極72に接続される。端子電極71,72は、ナノ銀ペーストやナノ銅ペーストなどの導電性ペーストからなり、その表面はハンダに対する濡れ性を確保すべく、ニッケル(Ni)とスズ(Sn)の積層膜で覆われている。
【0016】
磁性部材11,12は、フェライト粉や金属磁性粉などの磁性粉を含有する樹脂からなる複合部材であり、コイル部20に電流を流すことによって生じる磁束の磁路を構成する。磁性粉として金属磁性粉を用いる場合、パーマロイ系材料を用いることが好適である。また、樹脂としては、液状又は粉体のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。但し、本発明において磁性部材11,12を複合部材によって構成することは必須でなく、例えば、磁性部材11として焼結フェライトなどの磁性材料からなる基板を用いても構わない。
【0017】
図2は、本実施形態によるコイル部品10Aの断面図である。
【0018】
図2に示すように、コイル部品10Aに含まれるコイル部20は、2つの磁性部材11,12に挟まれており、層間絶縁層40~44と導体層31~34がz方向に交互に積層された構成を有している。導体層31~34は、層間絶縁層41~43に形成されたスルーホールを介して互いに接続されることにより、1つの直列コイルを構成している。コイルの内径部分には、磁性部材12と同じ材料からなる磁性部材13が埋め込まれている。層間絶縁層40~44は、例えば樹脂からなり、少なくとも層間絶縁層41~43については非磁性材料が用いられる。最下層に位置する層間絶縁層40及び最上層に位置する層間絶縁層44については、磁性材料を用いても構わない。
【0019】
導体層31は、磁性部材11の上面に層間絶縁層40を介して形成された1層目の導体層である。導体層31には、スパイラル状に2ターン巻回されたコイル導体パターンC1と、2つの電極パターン51,61が設けられている。電極パターン51はコイル導体パターンC1の一端に接続されている一方、電極パターン61はコイル導体パターンC1とは独立して設けられている。コイル導体パターンC1はコイル部20に埋め込まれ、電極パターン51,61の一部はコイル部20から露出している。
【0020】
導体層32は、導体層31の上面に層間絶縁層41を介して形成された2層目の導体層である。導体層32には、スパイラル状に2ターン巻回されたコイル導体パターンC2と、2つの電極パターン52,62が設けられている。電極パターン52,62は、いずれもコイル導体パターンC2とは独立して設けられている。コイル導体パターンC2はコイル部20に埋め込まれ、電極パターン52,62の一部はコイル部20から露出している。
【0021】
導体層33は、導体層32の上面に層間絶縁層42を介して形成された3層目の導体層である。導体層33には、スパイラル状に2ターン巻回されたコイル導体パターンC3と、2つの電極パターン53,63が設けられている。電極パターン53,63は、いずれもコイル導体パターンC3とは独立して設けられている。コイル導体パターンC3はコイル部20に埋め込まれ、電極パターン53,63の一部はコイル部20から露出している。
【0022】
導体層34は、導体層33の上面に層間絶縁層43を介して形成された4層目の導体層である。導体層34には、スパイラル状に2ターン巻回されたコイル導体パターンC4と、2つの電極パターン54,64が設けられている。電極パターン64はコイル導体パターンC4の一端に接続されている一方、電極パターン54はコイル導体パターンC4とは独立して設けられている。コイル導体パターンC4はコイル部20に埋め込まれ、電極パターン54,64の一部はコイル部20から露出している。
【0023】
そして、コイル導体パターンC1とコイル導体パターンC2は、層間絶縁層41を貫通して設けられたビア導体を介して接続され、コイル導体パターンC2とコイル導体パターンC3は、層間絶縁層42を貫通して設けられたビア導体を介して接続され、コイル導体パターンC3とコイル導体パターンC4は、層間絶縁層43を貫通して設けられたビア導体を介して接続される。これにより、コイル導体パターンC1~C4によって8ターンのコイルが形成され、その一端が端子電極71に接続され、他端が端子電極72に接続された構成となる。
【0024】
さらに、電極パターン51~54は、層間絶縁層41~43を貫通して設けられたビア導体V1~V3を介して互いに接続される。同様に、電極パターン61~64は、層間絶縁層41~43を貫通して設けられたビア導体V4~V6を介して互いに接続される。ここで、積層方向から見たビア導体V1~V3の形成位置は互いに異なっており、積層方向から見たビア導体V4~V6の形成位置も互いに異なっている。
【0025】
本実施形態によるコイル部品10Aは、一般的な積層コイル部品とは異なり、積層方向であるz方向が回路基板と平行となるよう立てて実装される。具体的には、xz面を構成する表面が実装面S1として用いられる。そして、実装面S1には、端子電極71,72が設けられる。
【0026】
図3及び図4はコイル部品10Aのyz側面図であり、図5はコイル部品10Aのxy平面図である。
【0027】
図3に示すように、一方のyz平面を構成する側面S2には、電極パターン51~54の一部と層間絶縁層40~44の一部が露出している。また、図4に示すように、他方のyz平面を構成する側面S3には、電極パターン61~64の一部と層間絶縁層40~44の一部が露出している。図5に示すように、一方のxy平面を構成する側面S4には、電極パターン51~54,61~64は露出しない。図示しないが、他方のxy平面を構成する側面S5についても同様である。側面S4,S5には、端子電極71,72の一部が形成されている。端子電極71は実装面S1に露出する電極パターン51~54と接し、端子電極72は実装面S1に露出する電極パターン61~64と接する。
【0028】
図6は、実装面S1上における端子電極71の平面形状を説明するための模式図である。図示しないが、実装面S1上における端子電極72の平面形状についても同様である。
【0029】
図6においてハッチングが付された領域は、電極パターン51~54が露出する領域である。そして、端子電極71は、実装面S1上において電極パターン51~54を覆う位置に設けられた第1の領域A1と、実装面S1上において電極パターン51~54を覆わない領域に設けられた第2及び第3の領域A2,A3とを有している。領域A1は、領域A2,A3によってz方向に挟まれている。
【0030】
領域A1の位置及び平面形状は、電極パターン51~54が露出する領域の位置及び平面形状とほぼ一致しており、したがって、領域A1のx方向における幅及びz方向における幅は、電極パターン51~54が露出する領域のx方向における幅及びz方向における幅とほぼ一致している。一方、領域A2,A3のx方向における幅は、領域A1のx方向における幅よりも狭く、これにより領域A1の一部は、x方向に突出した突出部A11を構成する。つまり、領域A1のうち、x方向における位置が領域A2,A3と一致する部分を本体部A10とした場合、領域A1は、本体部A10と突出部A11によって構成される。
【0031】
このように端子電極71は、x方向に突出する突出部A11を有していることから、実装面S1には、端子電極71が設けられない領域A4,A5が形成される。領域A4,A5のx方向における幅は突出部A11のx方向における幅とほぼ同じであり、領域A4,A5のz方向における幅は領域A2,A3のz方向における幅とほぼ同じである。また、実装面S1と側面S4の境界でありx方向に延在するエッジ81と、実装面S1と側面S5の境界でありx方向に延在するエッジ82と、実装面S1と側面S2の境界でありz方向に延在するエッジ83を定義した場合、領域A4はエッジ81,83、領域A2及び突出部A11に囲まれ、領域A5はエッジ82,83、領域A3及び突出部A11に囲まれる。
【0032】
このように、端子電極71,72が実装面S1上において上記の平面形状を有しており、突出部A11のz方向における両側に端子電極71が設けられない領域A4,A5が存在することから、これによって実装時にz方向における搭載位置ずれが生じにくくなる。これは、領域A4,A5が絶縁領域であり、ハンダに対する濡れ性を持たないため、突出部A11がランドパターンのz方向における中央に位置決めされ、z方向へのズレが領域A4,A5によって阻害されるからである。
【0033】
しかも、本実施形態においては、図5に示すように、突出部A11のy方向における厚みが側面S2に近づくに連れて厚みが薄くなっている。これにより、側面S2に形成されるハンダフィレットの広がりが抑えられることから、高密度実装を実現することが可能となる。さらに、本実施形態においては、領域A1の領域の中央部が領域A2,A3よりも局所的に厚みが薄く、これにより端子電極71,72の一部に窪み71a,72aが形成されている。これにより、実装時において過剰なハンダが窪み71a,72aに収容されることから、ハンダフィレットの広がりをより抑えることが可能となる。
【0034】
次に、上記の形状を有する端子電極71,72の形成方法について説明する。
【0035】
まず、層間絶縁層40~44と導体層31~34をz方向に交互に積層することによってコイル部20を形成した後、コイル部20を磁性部材11~13に埋め込むことによって、図7に示すコイル部品10Aの前駆体10を作製する。次に、図7及び図8に示す範囲W1に導電性ペーストを塗布する。導電性ペーストの塗布方法としては、範囲W1に相当する幅を持つ溝に導電性ペーストが充填されたローラーを輪転させ、これによって実装面S1に導電性ペーストを転写する方法が挙げられる。
【0036】
ここで、範囲W1とは、実装面S1に露出する電極パターン51~54,61~64のうち、側面S2,S3に近い部分を除く範囲である。これにより、初期状態においては、模式的な平面図である図9に示すように、実装面S1上には、端子電極71,72の本体部A10及び領域A2,A3が形成される。この時点では、電極パターン51~54,61~64のうち側面S2,S3に近い部分は露出した状態であるが、導電性ペーストの組成、粘度、温度などの諸条件を調節することによって導電性ペーストを流動させると、電極パターン51~54,61~64の露出部分へと導電性ペーストが流動し、図6に示した突出部A11が形成される。
【0037】
このように、突出部A11を導電性ペーストの流動によって形成すれば、図5を用いて説明したように、側面S2,S3に近づくに連れて厚みが薄くなる形状を得ることが可能となる。また、本体部A10に塗布された導電性ペーストのボリュームは、流動によって減少するため、本体部A10には窪み71a,72aが形成される。
【0038】
<第2の実施形態>
図10は、本発明の第2の実施形態によるコイル部品10Bの外観を示す斜視図である。
【0039】
第2の実施形態によるコイル部品10Bは、実装面S1上における端子電極71,72の平面形状が第1の実施形態によるコイル部品10Aと相違している。その他の基本的な構成は第1の実施形態によるコイル部品10Aと同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
図11は、第2の実施形態によるコイル部品10Bの実装面S1上における端子電極71の平面形状を説明するための模式図である。図示しないが、実装面S1上における端子電極72の平面形状についても同様である。
【0041】
図11においてハッチングが付された領域は電極パターン51~54が露出する領域であり、端子電極71は、実装面S1上において電極パターン51~54を覆う位置に設けられた第1の領域A1と、実装面S1上において電極パターン51~54を覆わない領域に設けられた第2及び第3の領域A2,A3とを有している。領域A1は、領域A2,A3によってz方向に挟まれている。
【0042】
領域A1の位置及び平面形状は、電極パターン51~54が露出する領域の位置及び平面形状とほぼ一致しており、したがって、領域A1のx方向における幅及びz方向における幅は、電極パターン51~54が露出する領域のx方向における幅及びz方向における幅とほぼ一致している。一方、領域A2,A3のx方向における幅は、領域A1のx方向における幅よりも狭く、これにより領域A1の一部は、x方向に突出した突出部A11,A12を構成する。突出部A11,A12の突出方向は互いに逆方向であり、本体部A10は突出部A11,A12によってx方向から挟まれる。
【0043】
このように端子電極71,72は、x方向に突出する突出部A12をさらに有していることから、突出部A11,A12のz方向におけるエッジが実装時におけるコイル部品10Bのz方向へのズレを防止するストッパーとして機能する。
【0044】
しかも、コイル部品10Bのxy平面図である図12に示すように、突出部A11,A12のy方向における厚みは、本体部A10から離れるに連れて厚みが薄くなっている。これにより、実装時においてアンダーフィルを端子電極71,72間に供給しやすくなる。
【0045】
次に、上記の形状を有する端子電極71,72の形成方法について説明する。
【0046】
まず、図7に示すコイル部品10Bの前駆体10を作製した後、図7及び図8に示す範囲W2に導電性ペーストを塗布する。ここで、範囲W2とは、実装面S1に露出する電極パターン51~54,61~64のうち、x方向における両端部を除く領域である。これにより、初期状態においては、模式的な平面図である図13に示すように、実装面S1上には、端子電極71,72の本体部A10及び領域A2,A3が形成される。この時点では、電極パターン51~54,61~64のうちx方向における両端部は露出した状態であるが、導電性ペーストの組成、粘度、温度などの諸条件を調節することによって導電性ペーストを流動させると、電極パターン51~54,61~64の露出部分へと導電性ペーストが流動し、図11に示した突出部A11,A12が形成される。
【0047】
このように、突出部A11,A12を導電性ペーストの流動によって形成すれば、図12を用いて説明したように、本体部A10から離れるに連れて突出部A11,A12の厚みが薄くなる形状を得ることが可能となる。また、本体部A10に塗布された導電性ペーストのボリュームは、流動によって減少するため、本体部A10には窪み71a,72aが形成される。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0049】
例えば、上記の実施形態では、コイル部20が4層の導体層31~34を含む場合を例に説明したが、本発明において導体層の層数がこれに限定されるものではない。また、各導体層に形成されるコイル導体パターンのターン数についても特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0050】
10 前駆体
10A,10B コイル部品
11~13 磁性部材
20 コイル部
31~34 導体層
40~44 層間絶縁層
51~54,61~64 電極パターン
71,72 端子電極
71a,72a 窪み
81~83 エッジ
A1 第1の領域
A10 本体部
A11,A12 突出部
A2 第2の領域
A3 第3の領域
A4 第4の領域
A5 第5の領域
C1~C4 コイル導体パターン
S1 実装面
S2~S5 側面
V1~V6 ビア導体
W1,W2 導電性ペーストの塗布範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13