(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】包装具
(51)【国際特許分類】
B65D 73/00 20060101AFI20241017BHJP
B65D 77/26 20060101ALI20241017BHJP
B65D 81/02 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
B65D73/00 K
B65D77/26 E
B65D81/02
(21)【出願番号】P 2021052969
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2024-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】深澤 輝隆
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 貴史
(72)【発明者】
【氏名】岡野 啓人
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0210591(US,A1)
【文献】特表平09-501128(JP,A)
【文献】特開2002-255157(JP,A)
【文献】特開平09-029864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/26
B65D 81/02
B65D 73/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装対象物が載置される板状部材と、少なくとも前記板状部材に載置された前記包装対象物を覆うことができる包装紙とを備える包装具であって、
前記板状部材は、表面に前記包装対象物が載置される載置部と、前記載置部の左右両側に上下方向に延びる第1の折目線を介して連設される起立部と、左右の前記起立部の両先端を繋いで左右方向に延びる第2の折目線と、を備え、
前記包装紙は、
左右が開口して前記板状部材が挿入される筒状であって、
左右方向に沿って延びる皴が上下方向に複数設けられることで上下方向に伸縮性を有することを特徴とする包装具。
【請求項2】
包装対象物が載置される板状部材と、少なくとも前記板状部材に載置された前記包装対象物を覆うことができる包装紙とを備える包装具であって、
前記板状部材は、表面に前記包装対象物が載置される載置部と、前記載置部の左右両側に上下方向に延びる第1の折目線を介して連設される起立部と、左右の前記起立部の両先端を繋いで左右方向に延びる第2の折目線と、を備え、
前記包装紙は、
板状部材の表面を覆ったうえで、その上下端部が前記板状部材の裏側にそれぞれ固定され、
左右方向に沿って延びる皴が上下方向に複数設けられることで上下方向に伸縮性を有することを特徴とする包装具。
【請求項3】
包装対象物が載置される板状部材と、少なくとも前記板状部材に載置された前記包装対象物を覆うことができる包装紙とを備える包装具であって、
前記板状部材は、表面に前記包装対象物が載置される載置部と、前記載置部の左右両側に上下方向に延びる第1の折目線を介して連設される起立部と、左右の前記起立部の両先端を繋いで左右方向に延びる第2の折目線と、を備え、
前記包装紙は、
その上下端部が板状部材の表面であって前記第2の折目線を挟んだ上下両側にそれぞれ固定され、
左右方向に沿って延びる皴が上下方向に複数設けられることで上下方向に伸縮性を有することを特徴とする包装具。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載された包装具であって、
前記包装紙の皴は、前記包装対象物に接触する位置に設けられることを特徴とする包装具。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載された包装具であって、
前記包装紙には、その一部が切り取られることで形成された窓部が設けられていることを特徴とする包装具。
【請求項6】
請求項5に記載された包装具であって、
前記窓部は、前記板状部材の表面側であって、前記包装対象物に接触する位置から所定間隔離れた位置に設けられることを特徴とする包装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装対象物を包装する包装具に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットショッピングなどの通信販売の普及により、宅配便を利用した商品の搬送が多用されている。これらの商品の搬送においては、形状や大きさの異なる様々な包装対象物を安定した状態で搬送できる包装具が求められている。
【0003】
この種の包装具として、従来、段ボール製の板状部材及び該板状部材が収容された筒状の伸縮可能な可撓性フィルム部材とからなる包装具と、該包装具を収容する段ボール箱とからなる包装箱が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
この包装具では、板状部材は、包装対象物が載置される載置部と、該載置部の両側に配された起立部とを有し、該載置部と起立部との境界に該起立部を該載置部の上方に谷折り可能な第1の折目線が設けられるとともに、該第1の折目線と直交し該載置部及び該折返部を谷折り可能な第2の折目線を有している。
【0005】
かかる包装具によって包装対象物を包装するときには、板状部材を第2の折目線で谷折りすることで、板状部材と可撓性フィルム部材との間に隙間を作って包装対象物を挿入する。そして、第1の折目線から各起立部を上方に折り曲げると、先に折り曲げられていた第2の折目線は、折り曲げられていない元の状態に復元され、これにより可撓性フィルム部材が緊張する。
【0006】
この結果、包装対象物は、可撓性フィルム部材によって載置部に圧着して支持される。この包装具は、包装対象物を包んだ状態で段ボールなどの外箱に収容されて包装箱として搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、この種の包装具は、可撓性フィルム部材を用いるため、廃棄する際に段ボール紙と分別する必要が生じるという不都合がある。
【0009】
上記の点に鑑み、本発明は、廃棄が容易な包装具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、第1の本発明にかかる包装具は、包装対象物が載置される板状部材と、少なくとも前記板状部材に載置された前記包装対象物を覆うことができる包装紙とを備える包装具であって、前記板状部材は、表面に前記包装対象物が載置される載置部と、前記載置部の左右両側に上下方向に延びる第1の折目線を介して連設される起立部と、左右の前記起立部の両先端を繋いで左右方向に延びる第2の折目線と、を備え、前記包装紙は、左右が開口して前記板状部材が挿入される筒状であって、左右方向に沿って延びる皴が上下方向に複数設けられることで上下方向に伸縮性を有することを特徴とする。
【0011】
第1の本発明の包装具では、筒状の包装紙に対して板状部材が挿入されているので、この板状部材を第2の折目線により谷折りすることで、板状部材の載置部と包装紙との隙間が大きくすることができ、容易に包装対象物を挿入できる。
【0012】
また、載置部の両側には、第1の折目線を介して起立部が連設されているところ、第1の折目線と第2の折目線とは交差しているため、両起立部を第1の折目線で折り曲げると、先に折り曲げられていた第2の折目線は、強制的に折り曲げられていない状態に復元され、板状部材の上下端部により包装紙が上下方向にけん引される。
【0013】
このとき、第1の本発明の包装紙は、左右方向に沿って延びる皴が上下方向に複数設けられることで上下方向に伸縮性を有するため、板状部材の上下端部によってけん引されることで伸びながら、包装対象物を載置部に押し付けて支持することができる。
【0014】
そして、第1の本発明の包装具を構成する板状部材及び包装紙はいずれも紙製であるため、廃棄する際に分別の必要がないので廃棄が容易である。
【0015】
また、第2の本発明にかかる包装具は、包装対象物が載置される板状部材と、少なくとも前記板状部材に載置された前記包装対象物を覆うことができる包装紙とを備える包装具であって、前記板状部材は、表面に前記包装対象物が載置される載置部と、前記載置部の左右両側に上下方向に延びる第1の折目線を介して連設される起立部と、左右の前記起立部の両先端を繋いで左右方向に延びる第2の折目線と、を備え、前記包装紙は、板状部材の表面を覆ったうえで、その上下端部が前記板状部材の裏側にそれぞれ固定され、左右方向に沿って延びる皴が上下方向に複数設けられることで上下方向に伸縮性を有することを特徴とする。
【0016】
第2の本発明の包装具では、包装紙が板状部材の表面を覆ったうえで、その上下端部が板状部材の裏側にそれぞれ固定されているので、この板状部材を第2の折目線により谷折りすることで、板状部材の載置部と包装紙との隙間が大きくすることができ、容易に包装対象物を挿入できる。
【0017】
また、載置部の両側には、第1の折目線を介して起立部が連設されているところ、第1の折目線と第2の折目線とは交差しているため、両起立部を第1の折目線で折り曲げると、先に折り曲げられていた第2の折目線は、強制的に折り曲げられていない状態に復元され、板状部材の上下端部により包装紙が上下方向にけん引される。
【0018】
このとき、第2の本発明の包装紙は、左右方向に沿って延びる皴が上下方向に複数設けられることで上下方向に伸縮性を有するため、板状部材の上下端部によってけん引されることで伸びながら、包装対象物を載置部に押し付けて支持することができる。
【0019】
そして、第2の本発明の包装具を構成する板状部材及び包装紙はいずれも紙製であるため、廃棄する際に分別の必要がないので廃棄が容易である。
【0020】
また、第3の本発明にかかる包装具は、包装対象物が載置される板状部材と、少なくとも前記板状部材に載置された前記包装対象物を覆うことができる包装紙とを備える包装具であって、前記板状部材は、表面に前記包装対象物が載置される載置部と、前記載置部の左右両側に上下方向に延びる第1の折目線を介して連設される起立部と、左右の前記起立部の両先端を繋いで左右方向に延びる第2の折目線と、を備え、前記包装紙は、その上下端部が板状部材の表面であって前記第2の折目線を挟んだ上下両側にそれぞれ固定され、左右方向に沿って延びる皴が上下方向に複数設けられることで上下方向に伸縮性を有することを特徴とする。
【0021】
第3の本発明の包装具では、包装紙の上下端部が板状部材の表面であって第2の折目線を挟んだ上下両側にそれぞれ固定されているので、この板状部材を第1の折目線により谷折りすることで、板状部材の載置部と包装紙との隙間が大きくすることができ、容易に包装対象物を挿入できる。
【0022】
また、載置部の両側には、第1の折目線を介して起立部が連設されているところ、第1の折目線と第2の折目線とは交差しているため、両起立部を第1の折目線で折り曲げると、先に折り曲げられていた第2の折目線は、強制的に折り曲げられていない状態に復元される。すると、包装紙は、その上下端部が板状部材の第2の折目線を挟んだ上下両側にそれぞれ固定されているので、上下方向にけん引される。
【0023】
このとき、第3の本発明の包装紙は、左右方向に沿って延びる皴が上下方向に複数設けられることで上下方向に伸縮性を有するため、板状部材の上下端部によってけん引されることで伸びながら、包装対象物を載置部に押し付けて支持することができる。
【0024】
そして、第3の本発明の包装具を構成する板状部材及び包装紙はいずれも紙製であるため、廃棄する際に分別の必要がないので廃棄が容易である。
【0025】
また、本発明にかかる包装具において、前記包装紙の皴は、前記包装対象物に接触する位置に設けられることが好ましい。
【0026】
本来、包装紙の皴は、どこに設けられていても包装紙に伸縮性を付与できるが、包装対象物に接触する位置に設けると、同時に包装対象物を載置部上でずれにくくすることができる。
【0027】
また、本発明にかかる包装具において、前記包装紙には、その一部が切り取られることで形成された窓部が設けられていることが好ましい。
【0028】
従来の包装具では、主に透明な可撓性フィルム部材が使用されていたため、包装対象物を透過して見ることができていた。しかしながら、本発明の包装具では、包装紙が使用されるため、包装対象物の全体を覆った場合、包装具の中になにが入っているかわからないという新たな問題がある。
【0029】
そこで、この構成を備える包装具によれば、窓部が設けられているため、包装具のなかに入っている包装対象物がどのようなものか開封前に把握することができる。
【0030】
さらにこの構成を備える包装具において、前記窓部は、前記板状部材の表面側であって、前記包装対象物に接触する位置から所定間隔離れた位置に設けられることが好ましい。
【0031】
この構成をさらに備える包装具によれば、窓部により内部確認ができるとともに、包装対象物が窓部を通じて脱落して包装具から外れてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の包装具の第1実施形態を示す平面図。
【
図3】第1実施形態の包装紙の伸縮性を説明するための側面図であって、
図3Aは通常の状態を示す説明図であって、
図3Bは上下方向に伸びた状態を示す説明図である。
【
図4】第1実施形態の包装具の包装工程を示す斜視図であって、
図4Aは第2折目線を折り曲げた工程を示す説明図であって、
図4Bは第2折目線を伸展させた工程を示す説明図であって、
図4Cは包装完了を示す説明図である。
【
図5】本発明の他の実施形態を示す平面図であって、
図5Aは第2実施形態を示す平面図であり、
図5Bは第3実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0034】
第1実施形態の物品運送用包装具1(以下、包装具1という)は、
図1に示すように、板状部材2と、包装紙3とを有する。包装具1は、板状部材2と、包装紙3と間に包装対象物Kを保持して、段ボール製の外箱(図示せず)内に収容されるものである。
【0035】
板状部材2は、略矩形状の段ボール製の板紙である。板状部材2は、
図2に示すように、載置部21と、載置部21の両側に配された起立部22,22とに区画されている。
【0036】
載置部21は、板状部材2の中央領域に確保された包装対象物Kを載置する横長矩形状の部分である。起立部22は、載置部21の左右端縁に第1折目線a(本発明の「第1の折目線」に相当する。)を介して連設されて、上向きに折り曲げられる縦長矩形状の部分である。
【0037】
第1折目線aは、板状部材2の左右端縁と平行な谷折り可能な折目線である。また、第1折目線aは、表面に罫線を設けることにより形成される。
【0038】
これによって起立部22は、載置部21に対して概ね垂直上方に向く位置まで折り曲げ可能とされる。
【0039】
板状部材2には、載置部21及び起立部22,22を通過し、第1折目線a,aと交差する第2折目線b(本発明の「第2の折目線」に相当する)が形成されている。第2折目線bは、板状部材2の上下端縁と平行な谷折り可能な折目線である。
【0040】
図1に示した包装紙3は、上下端部を重ね合わせて接着剤で固定することで筒状に形成され、一方の開口から、板状部材2が第2折目線bに沿った方向に挿入される。包装紙3は、軸線方向において、少なくとも、包装対象物Kを覆うように形成される必要があり、第1実施形態では載置部21が概ね覆われるように形成されている。
【0041】
包装紙3の周方向の長さは、板状部材2を収納できるように、板状部材2の短手方向の外周と同程度か、それより若干大きく設計されている。
【0042】
包装紙3には、多数の円形状の窓部32が点在して形成されている。
【0043】
図1(一部拡大)及び
図3に示すように、包装紙3には、その全面に、左右方向に延びる皴31が、上下左右にそれぞれ多数形成されている。皴31は、紙を製造する段階から入れてもよく、製紙された紙に後からシワ加工してもよい。
【0044】
これにより、
図3に示すとおり、包装紙3は、通常の状態から(
図3A)、上下方向に伸びた状態(
図3B)との間で伸縮可能である。
【0045】
次に、
図4A乃至
図4Cを参照して、包装具1を用いて包装対象物Kを包装する手順について説明する。
【0046】
まず、
図4Aに示すように、板状部材2を第2折目線bに沿って谷折りに折り曲げる。次いで、包装対象物Kを、板状部材2の載置部21と包装紙3との間に挿入する。このとき、上記のとおり、予め板状部材2を折り曲げておくことで包装紙3が弛むため、包装対象物Kを挿入しやすくなる。
【0047】
次に、
図4Bに示すように、第2折目線bに沿って折り曲げられた板状部材2を、包装紙3の伸縮性による張力に抗して平板状に復元させる。これにより、包装紙3は、載置部21の両端縁側に引っ張られて緊張し、包装対象物Kを載置部21に押し付ける。これによって、包装対象物Kは所定の位置に固定される。
【0048】
さらに、
図4Bに示すように、起立部22,22を第1折目線a,aで載置部21の表面側に折り曲げる(
図4Bの矢印方向)。
【0049】
これにより、起立部22が徐々に起立していき、
図4Cに示すように載置部の上方に起立する。
【0050】
以上により、包装具1を用いた包装対象物Kの包装が完了する。
【0051】
なお、上記説明では、
図4Bにおいて、第2折目線bに沿って折り曲げた板状部材2を折り曲げられていない元の状態に戻してから、起立部22,22を第1折目線a,aで載置部21の表面側に折り曲げると説明した。しかしながら、該第2折目線bと該第1折目線aとは交差していることから、両折目線を同時に折り曲げることはできないので、先に折り曲げられていた第2折目線bは、第1折目線aを強制的に折り曲げることで元の状態(折り曲げられていない状態)に自動的に復元される。
【0052】
最後に、この包装具1を段ボール製の外箱(図示せず)に収納し、宅配便などで商品を搬送する。
【0053】
以上説明した第1実施形態の包装具1によれば、従来の可撓性フィルム部材を用いることなく、包装紙3によって包装対象物Kを載置部に支持することができる。
【0054】
また、包装具1は、包装紙3の全面に皴31が設けられているため、包装対象物Kも当該皴31に接触することとなる。よって、包装対象物Kが複数の皴31による凹凸により摩擦係合され、載置部21上でずれにくい。
【0055】
また、包装具1は、窓部32が形成されているため、包装紙3に包まれた中身を開封前に把握することができる。なお、この窓部32は、包装対象物Kの大きさに対して十分に小さいため、包装対象物Kが窓部32を通じて脱落して包装具1から外れてしまうことはない。
【0056】
また、包装具1は、これを構成する板状部材及び包装紙がいずれも紙製であるため、廃棄する際に分別の必要がないため、廃棄が容易である。
【0057】
次に、
図5A及び
図5Bを用いて、第1実施形態の変形例について説明する。
【0058】
上記第1実施形態では、包装紙3は、上下端部を重ね合わせて接着剤で固定することで筒状に形成されたものを例に説明したが、本発明はこれに限られない。
【0059】
すなわち、
図5Aに示すように、包装紙3は、載置部21の表面を覆ったうえで、その上下端部が載置部21の裏側にそれぞれ接着剤Gによって固定されるものであってもよい(第2実施形態)。
【0060】
この第2実施形態によれば、筒状の包装紙3と異なり、包装紙3が板状部材2に固定されているため、使用前に意図せず板状部材2から包装紙3が抜け落ちることがない。
【0061】
また、包装紙3は、
図5Bに示すように、その上下端部が載置部21の上下端部にそれぞれ接着剤Gによって固定されるものであってもよい(第3実施形態)。
【0062】
この第3実施形態によれば、筒状の包装紙3と異なり、包装紙3は板状部材2の裏側を覆う必要がなく、包装紙3の使用量を削減できる。
【0063】
なお、第3実施形態では、包装紙3の上下端部が載置部21の上下端部に固定されたものを例に説明したが、接着位置は、第2折目線を挟んだ上下両側にそれぞれ固定されるものであれば、上下端部に限定されない。
【0064】
次に、
図6を用いて、板状部材2の変形例を説明する。
【0065】
変形例に係る板状部材20は、略矩形状の段ボール製の板紙である。板状部材2に加重して、左右方向中央の上端部及び下端部に、挟持部23を備える。
【0066】
図6に示すように、下端部側の挟持部23を例に説明すると、挟持部23は、下端縁から上方に沿って延びる一対の切込み24,24と、切込み24と連結され中央に向かって左右方向に沿って延びる一対の回動折目線c,cと、一対の回動折目線c,cを繋ぐ凸凹切目線25とを有する。
【0067】
挟持部23は、回動折目線cによって、板状部材20の表面側(または裏面側)に揺動させて起立可能であり、このとき、凸凹切目線25に沿って、挟持部23が抜け出るため、板状部材20の下端側及び挟持部23の上端側にそれぞれ対応する凹凸及び凸凹が形成される。
【0068】
また、凸凹切目線25は、板状部材20において回動折目線cから下端側に離れてから凸凹に形成されているため、挟持部23は、起立させたときに上端縁と板状部材の表面との間にスペースが生じる。
【0069】
そして、このスペースに包装紙3を板状部材の20の表面中央側から挿入した後、起立させた挟持部23を元の状態に戻すと、包装紙3は、凸凹切目線25によって形成された板状部材20の下端側の凸凹と挟持部23の上端側の凹凸によって挟持される。
【0070】
よって、上下の挟持部23によって包装紙3を挟持することで、接着剤により包装紙3を筒状にする、または、包装紙3を板状部材2に接着することなく、包装紙3を板状部材20に取り付けることができる。
【0071】
よって、板状部材20を備える包装具1によれば、接着剤を使用する必要がないため、より環境に対して配慮することができる。
【0072】
次に、その他の変形例について説明する。
【0073】
上記実施形態の板状部材2は、段ボール板紙で形成されたが、厚紙であってもよい。また、上記実施形態では、板状部材2として、略矩形状のものを例に説明したが、板状部材2はこれに限られず、第1折目線a,aと第2折目線bを有するものであれば、多角形状、円形状、楕円形状であってもよい。
【0074】
上記実施形態では、第1折目線aは谷折りであって、起立部22は上向きに折り曲げられるものとして説明したが、本発明はこれに限られず、第1折目線aは山折りであって、起立部22は下向きに折り曲げられるものであってもよい。
【0075】
上記実施形態では、第1折目線aは、板状部材2の左右端縁と平行な折目線として説明したが、若干Rのついた曲線であってもよい。
【0076】
上記実施形態では、第1折目線aは、表面に罫線を設けることにより形成されたものを例に説明したが、裏面に罫線を設けたものであってもよく、半切りやミシン目などで形成してもよい。
【0077】
上記実施形態では、第1折目線a,aと第2折目線bとは直交するものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、単に交差するものであってもよく、第2折目線bは、板状部材2の左右端縁を斜めに結ぶものであってもよい。
【0078】
上記実施形態では、包装紙3は、上下端部を重ね合わせて接着剤で固定することで筒状に形成されたものを例に説明したが、粘着テープや両面テープにより固定することもできる。
【0079】
上記実施形態では、筒状の包装紙3の一方の開口から、板状部材2が第2折目線bに沿った方向に挿入したのみであるが、包装紙3と板状部材2とを裏面で互いに接着剤Gにより固定することもできる。
【0080】
上記実施形態では、包装紙3は、載置部21の全体が概ね覆われるように形成されたものを例に説明したが、包装対象物Kを支持できれば足りるため、軸線方向において、少なくとも、包装対象物Kの一部を覆うものであればよい。
【0081】
上記実施形態では、包装紙3の周方向の長さは、板状部材2を収納できるように、板状部材2の短手方向の外周と同程度か、それより若干大きく設計したが、包装対象物Kの高さが大きいものの場合には、包装紙3の周方向の長さを長くする必要がある。つまり、包装紙3の周方向の長さは、収納する包装対象物Kの大きさによって、適宜選択することができる。
【0082】
上記実施形態では、包装紙3に円形状の窓部32を形成したものを例に説明したが、窓部32は多角形状であってよい。ただし、上記実施形態のように円形状のほうが、角部が発生しないので包装対象物Kにより引っ張られた際に、誤って破断する可能性が低いという利点がある。
【0083】
また、上記実施形態では、包装紙3の全面に、小さな円形状の窓部32を点在して形成したものを例に説明したが、包装対象物Kに接触しない位置に大きめの窓部を設けてもよい。窓部は、包装紙3の一部を切り取ることで形成されるため、この構成によれば、窓部を形成した周縁によって、包装対象物Kが傷つく可能性をより低減することができる。ただし、窓部32は、板状部材2の上下端縁によって包装紙3が破けることを回避するため、板状部材2の上下端縁に対応する折返部分を外して設けることが好ましい。
【0084】
なお、本発明では、窓部32を省略することもできる。
【0085】
上記実施形態では、包装紙3の全面に、皴31が形成されたものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、包装対象物Kの表面が皴31で擦れることを避けたい場合には、包装対象物Kと接する領域には皴31を設けず、包装対象物Kと接する領域以外の領域のみに皴31を設けることもできる。
【0086】
また、包装紙の左右方向中間部のみに皴31を形成することもできる。この構成によれば、中間部に収まる包装対象物Kを支持すると、左右の皴が形成されていない領域は伸縮せず載置部21から離れないので、包装対象物Kを包み込み、左右方向から抜け落ちることがさらに防止される。
【0087】
上記実施形態では、包装紙3に左右方向に延びる皴31のみが形成されたものを例に説明したが、皴は上下方向に延びるものを含んでもよい。この場合も、包装対象物Kを包み込むことができるので、左右方向に抜け落ちることをより防止することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 包装具
2 板状部材
21 載置部
22 起立部
3 包装紙
31 皴
32 窓部
a 第1折目線
b 第2折目線
K 包装対象物