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特許7572906オゾン発生モジュール、オゾン発生装置、オゾン処理装置およびオゾン発生モジュールの交換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】オゾン発生モジュール、オゾン発生装置、オゾン処理装置およびオゾン発生モジュールの交換方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 13/10 20060101AFI20241017BHJP
   H01J 65/00 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
C01B13/10 Z
H01J65/00 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021075803
(22)【出願日】2021-04-28
(65)【公開番号】P2022170000
(43)【公開日】2022-11-10
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】金児 裕美
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 裕騎
【審査官】廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-084060(JP,A)
【文献】特開2002-037608(JP,A)
【文献】特開2018-024546(JP,A)
【文献】特開2016-139462(JP,A)
【文献】特開2017-171540(JP,A)
【文献】特開2005-073846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 13/00-13/36
H01J 65/00
A61L 9/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エキシマランプと、
前記エキシマランプに電力供給するランプ電源部と、
前記エキシマランプおよび前記ランプ電源部を支持し、装置に対して取り外し可能に装着される支持部材とを備え、
前記エキシマランプと前記ランプ電源部とが、前記支持部材を間に介して相対するように、前記支持部材によって支持され、前記支持部材と一体的に装置から取り外されることを特徴とするオゾン発生装置。
【請求項2】
前記支持部材が、酸素を含むガスの流れる流路管に装着されることを特徴とする請求項1に記載のオゾン発生装置。
【請求項3】
前記エキシマランプと前記流路管の管壁の距離間隔が、前記エキシマランプと前記支持部材との距離間隔よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載のオゾン発生装置。
【請求項4】
前記エキシマランプと前記流路管の管壁の距離間隔が、前記エキシマランプから放射された紫外線の到達限界距離以上であることを特徴とする請求項2または3に記載のオゾン発生装置。
【請求項5】
前記支持部材が、前記エキシマランプと前記流路管の管壁の距離間隔が、前記エキシマランプのみを取り外し可能な距離間隔よりも短い距離間隔となるように、前記流路管に対して装着されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のオゾン発生装置。
【請求項6】
前記支持部材が、酸素を含むガスの流路を形成する隔壁の少なくとも一部として、または装置内部空間を区画する隔壁の少なくとも一部として構成されるように、装着されることを特徴とする請求項1に記載のオゾン発生装置。
【請求項7】
前記支持部材が、板状部材を有し、
前記エキシマランプおよび前記ランプ電源部のうち少なくともエキシマランプが、前記板状部材に沿って所定距離離れて支持されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のオゾン発生装置。
【請求項8】
前記エキシマランプと前記板状部材との距離間隔が、前記エキシマランプから放射された紫外線強度比が80%に減衰する減衰距離以上であることを特徴とする請求項7に記載のオゾン発生装置。
【請求項9】
前記板状部材の少なくとも一部が、前記エキシマランプから放射された紫外線の照射される空間領域内に配置されていることを特徴とする請求項7または8に記載のオゾン発生装置。
【請求項10】
前記エキシマランプと前記板状部材との距離間隔および前記ランプ電源部と前記板状部材との距離間隔のうち少なくとも前記エキシマランプと前記板状部材との距離間隔が、ランプ点灯中における前記板状部材の表面の温度が60℃以下となるように、定められていることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載のオゾン発生装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載されたオゾン発生装置と、オゾン除去装置とを備えたことを特徴とするオゾン処理装置。
【請求項12】
エキシマランプと、
前記エキシマランプに電源供給するランプ電源部と、
前記エキシマランプおよび前記ランプ電源部を支持し、オゾン発生装置に対して取り外し可能に装着される支持部材とを備えたオゾン発生モジュールであって、
前記支持部材が、前記エキシマランプと前記ランプ電源部との間に介在して互いを遮蔽する板状部材で構成されることを特徴とするオゾン発生モジュール。
【請求項13】
請求項12に記載されたオゾン発生モジュールをオゾン発生装置から取り外し、
取り外したオゾン発生モジュールのエキシマランプおよびランプ電源部の少なくとも一方を交換し、
交換後のオゾン発生モジュールを、オゾン発生装置に装着するオゾン発生モジュールの交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキシマランプを用いたオゾン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
除菌、消臭などに使用されるオゾン発生装置では、大気など酸素を含む原料ガスに対して紫外線(例えば波長172nm)を照射してオゾンを発生させる紫外線照射方式が知られており、光源としてエキシマランプを使用することが可能である。
【0003】
エキシマランプおよびエキシマランプに電源供給するランプ電源の構成は、装置サイズ、使用環境などに応じて様々であり、例えば、ランプ室に配置させたエキシマランプに対し、ランプ電源を収納する電源室を隣接配置し、隔壁を介してエキシマランプに電源供給するオゾン発生装置が知られている(特許文献1参照)。また、エキシマランプの両端付近に電極を配置し、電極部分をカバーしてランプ中央部を露出させた小型のオゾン発生装置も知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-281423号公報
【文献】特開2019-182669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エキシマランプの消耗時期、ランプ電源部の消耗時期は、使用環境などに影響され、互いの消耗時期は必ずしも一致しない。その一方で、エキシマランプとランプ電源部との単独交換は、オゾン濃度などを含むオゾン発生条件に影響を与える場合がある。
【0006】
したがって、オゾン発生装置において、オゾン発生条件を変更しない、あるいは変更を抑えるように、エキシマランプおよびランプ電源部が交換可能であることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様であるオゾン発生装置は、エキシマランプと、エキシマランプに電力供給するランプ電源部と、エキシマランプおよびランプ電源部を支持し、装置に対して取り外し可能に装着される支持部材とを備える。そして、エキシマランプとランプ電源部とは、支持部材を間に介して相対するように、支持部材によって支持され、また、支持部材と一体的に装置から取り外されるように構成されている。また、本発明の一態様として、オゾン発生装置と、オゾン除去装置とを備えたオゾン処理装置を構成することができる。
【0008】
支持部材が、装置に対して取り外し可能に装着される構成としては、作業者が工具を用いることなく、あるいは工具使用などによって装着可能であり、あくまでも装置から取り外し、再度取り付けることを前提とした装着構成にすればよい。
【0009】
一方、エキシマランプとランプ電源部が、支持部材と一体的に装置から取り外される構成としては、メーカーあるいはメンテナンス業者などがランプ単独あるいはランプ電源部を取り外して交換することを前提とした構成であり、いわゆる電池交換や電球などのランプ交換といった、ユーザなどによる交換を前提としてランプ、電源部交換は事実上行われないように、支持部材に対して支持されている構成となっている。
【0010】
また、本発明の一態様として、オゾン発生モジュールとして構成することが可能であり、エキシマランプと、エキシマランプに電源供給するランプ電源部と、エキシマランプおよびランプ電源部を支持し、オゾン発生装置に対して取り外し可能に装着される支持部材とを備え、支持部材が、エキシマランプとランプ電源部との間に介在して互いを遮蔽する板状部材で構成されるオゾン発生モジュールを構成することができる。
【0011】
そして、本発明の一態様として、オゾン発生モジュールをオゾン発生装置から取り外し、取り外したオゾン発生モジュールのエキシマランプおよびランプ電源部の少なくとも一方を交換し、交換後のオゾン発生モジュールを、オゾン発生装置に装着するオゾン発生モジュールの交換方法を提供することができる。
【0012】
支持部材は、オゾン発生装置などに対して様々な箇所に取り外し可能に装着させるようにすることができる。例えば、酸素を含むガスの流れる流路管に装着可能である。また、酸素を含むガスの流路を形成する隔壁の少なくとも一部として、または装置内部空間を区画する隔壁の少なくとも一部として構成されるように、装着させることもできる。流路管に装着させる場合、例えば、支持部材が、エキシマランプと流路管の管壁の距離間隔が、エキシマランプのみを取り外し可能な距離間隔よりも短い距離間隔となるように、流路管に対して装着させることも可能である。
【0013】
支持部材、エキシマランプ、ランプ電源部との相対的な位置関係や距離関係は、紫外線、オゾン、支持部材の昇温や電界強度分布への影響を考慮して、定めることが可能である。例えば、エキシマランプと流路管の管壁の距離間隔が、エキシマランプと支持部材との距離間隔よりも大きくなるように、構成することができる。また、エキシマランプと流路管の管壁の距離間隔が、エキシマランプから放射された紫外線の到達限界距離以上となるように、構成することも可能である。
【0014】
支持部材の形状、材質などは様々な構成を採用することが可能である。例えば、板状部材で構成することができる。この場合、エキシマランプおよびランプ電源部のうち少なくともエキシマランプが、板状部材に沿って所定距離離れて、すなわち板表面の上方で支持するように構成することができる。所定距離は、紫外線、熱、電界強度分布の影響などを考慮して定めればよい。
【0015】
例えば、エキシマランプと板状部材との距離間隔が、エキシマランプから放射された紫外線強度比が80%に減衰する減衰距離以上となるように、構成することもできる。あるいは、エキシマランプと板状部材との距離間隔およびランプ電源部と板状部材との距離間隔のうち少なくともエキシマランプと板状部材との距離間隔が、ランプ点灯中における板状部材の表面の温度が60℃以下となるように、定めることもできる。一方、コンパクトなモジュール構成等を考慮すると、板状部材の少なくとも一部は、エキシマランプから放射された紫外線の照射される空間領域内に配置されるように、構成することも可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、オゾン発生条件を変更しない、あるいは変更を抑えるように、エキシマランプおよびランプ電源部の交換可能なオゾン発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態であるオゾン発生装置の構成図である。
図2】オゾン発生モジュールの正面図である。
図3】オゾン発生モジュールの側面図である。
図4】オゾン発生モジュールをオゾン発生装置に装着させたときの流路管を上側から見た断面図である。
図5】オゾン発生モジュールをオゾン発生装置に装着させたときの流路管の側面側から見た断面図である。
図6】第2の実施形態における流路管を上側から見た断面図である。
図7】第2の実施形態における流路管の側面側から見た断面図である。
図8】第3の実施形態におけるオゾン発生モジュールの正面図である。
図9】第3の実施形態におけるオゾン発生モジュールの側面図である。
図10】第3の実施形態における流路管を上側から見た断面図である。
図11】第3の実施形態における流路管の側面側から見た断面図である。
図12】第4の実施形態であるオゾン発生装置の水平方向に沿った概略的断面図である。
図13】第4の実施形態であるオゾン発生装置の鉛直方向に沿った概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0019】
図1は、第1の実施形態であるオゾン発生装置の構成図である。
【0020】
オゾン発生装置100は、ここでは図示しない吸気ファンを備え、オゾンを含むガスを装置外部へ流出させ、病院施設、娯楽施設、などの室内空間を除菌、消臭することが可能である。オゾン発生装置100は、ここでは持ち運び、設置可能なポータブル型オゾン発生装置として構成され、直上に設置し、あるいは横置きに設置することができる。
【0021】
オゾン発生装置100は、モジュール型ランプユニット(紫外線照射装置)であるオゾン発生モジュール10を備えている。オゾン発生モジュール10は、オゾン発生装置100内の取付部分110に対し、取り外し可能に装着される。後述するように、ここではオゾン発生装置100内の流路管に装着される。
【0022】
図2は、オゾン発生モジュール10の正面図である。図3は、オゾン発生モジュール10の側面図である。図1図3を用いて、オゾン発生モジュール10の構成について説明する。
【0023】
オゾン発生モジュール10は、エキシマランプ20と、エキシマランプ20へ電力供給する電源部(以下、ランプ電源部という)30と、エキシマランプ20およびランプ電源部30を支持する支持部材40とを備える。支持部材40は、ここでは、エキシマランプ20から放射される紫外線の照度分布(配光分布)に応じて、その面積の大きさを定めた矩形状の板材(プレート状部材)として構成されている。また、エキシマランプ20やランプ電源部30から放射される熱や、エキシマランプ20から放射される紫外線とその紫外線により生成されたオゾンに耐性がある(劣化しない)導電性部材として構成されている。
【0024】
図1、3に示すように、支持部材40は、エキシマランプ20側からランプ電源部30(ランプ電源部30からエキシマランプ20)を視認できない板状部材(プレート状部材)の大きさを有し、支持部材40によって、エキシマランプ20側とランプ電源部30側とに空間領域が遮られ、それぞれの空間領域に含まれるガスの成分や流れや温度等の状態が異なる二つの区画に空間を仕切る隔壁としての機能を有する支持構造を採用している。
【0025】
エキシマランプ20は、ランプ軸Xが支持部材40のランプ側表面40Aに沿うように、所定の距離間隔D0だけ離れて位置決めされている。また、ランプ電源部30も、電源部側表面40Bから所定の距離間隔D5だけ離れ、電源部側表面40Bに沿うように位置決めされている。
【0026】
エキシマランプ20およびランプ電源部30は、支持部材40を間に挟んだ表裏で相対する位置関係にあり、支持部材40がランプ側表面40Aでエキシマランプ20と隣接し、電源部側表面40Bでランプ電源部30と隣接している。そのため、支持部材40は、ランプ電源部30からエキシマランプ20に供給される電力の大きさに応じた加熱(熱伝導、熱対流、熱放射)によって、昇温しやすい位置関係にある。本実施形態のオゾン発生モジュール10では、エキシマランプ20、ランプ電源部30が、ともに露出状態にあり、支持部材40は、エキシマランプ20の外側電極(陰極)と、ランプ電源部30の低電圧側端子と電気的に接続され、アースと電気的に接続された装置本体の筺体と同電位となる。
【0027】
ランプ電源部30は基板回路に電源回路を搭載させた回路構成にすることが可能であり、ここでは、オゾン発生装置100に設けられる商用周波数交流電源、あるいは低電圧の直流電源といった装置本体の電源部(図示せず)と接続可能な給電コネクタ(図示せず)が設けられ、オゾン発生装置100に設けられた制御部(図示せず)からの制御信号によってエキシマランプ20の点灯消灯などの動作が制御される。
【0028】
エキシマランプ20は、内側管内に配設(埋設)された箔状の内側電極(図示せず)と外側管外表面上に巻き付けられた螺旋状の外側電極(図示せず)とを石英ガラス製の二重管構造の放電容器22に設けたランプとして構成され、希ガスを封入した放電空間が放電容器22に形成される。
【0029】
外側管は、放電容器22の先端側で加熱縮径により封止された先端部21を形成し、その先端にはエキシマランプの製造過程における放電容器内の排気経路の残部であるチップ部(図示せず)が形成されている。内側管は、放電容器22の後端側から外部に露出した封止部23を形成し、その内部には給電線(給電棒)32が配設されている。
【0030】
陽極となる内側電極は、封止部23に囲まれた給電線32と支持部材40を貫通する碍子(以下、貫通碍子という)50を介して、ランプ電源部30の高電圧側端子と電気的に接続されている。一方、陰極となる外側電極は、図示しない給電線により、支持部材40を介してランプ電源部30の低電圧側端子(アース)と電気的に接続されている。ここで、支持部材40を介さずに、外側電極と低電圧側端子との間を1本の給電線により接続しても良い。
【0031】
ランプ電源部30は、給電線および貫通碍子を介してエキシマランプ20(内側電極と外側電極の間)へ高周波高電圧を印加する。例えば、周波数(数kHz~数十MHz)、電圧(数kV~十数kV)の範囲で高周波高電圧を印加することが可能である。これによって、放電容器22内部で発生させた放電からエキシマ光(紫外線)が放電容器22外部へ放射される。例えば、波長200nm以下の紫外線(例えば、172nm)を放射するように、希ガスを放電容器22に封入することが可能である。
【0032】
放電容器22内部で発生させた放電は、電極(陽極と陰極)の位置関係によって定まる放電容器内の電界強度分布に影響を受けるが、支持部材40をランプ電源部30の低電圧側端子(アース)と電気的に接続した場合、外側電極の構成などによっては支持部材40が電界強度分布に影響を与える恐れがある。
【0033】
そのため、放電容器22と支持部材40と距離間隔D0は、支持部材40によって放電容器内の電界強度分布に影響を与えて放電位置が変化する距離間隔よりも大きくなるように、定められている。ただし、エキシマランプ20の点灯始動性や放電安定性を高めるために、支持部材40によって放電容器の電界強度分布に影響を与える距離間隔D0として定めることも可能である。
【0034】
なお、エキシマランプ20は、二重管構造ランプ以外の構成を適用することも可能であり、内側管を設けずに、内側電極を放電空間に露出させる構成にしてもよい。外側電極は、板状、膜状として設けてもよく、放電容器22と一体として外側電極を設けずに、放電容器を保持するランプホルダが外側電極を兼ねる構成にしてもよい。内側電極を設けずに、管状放電容器の外表面に対し、管軸方向に沿って対向する一対の電極を容器両端付近に設け、高周波高電圧を一対の電極に印加させる構成にしてもよい。放電容器の内表面に蛍光体を塗布した構成にすることも可能である。
【0035】
エキシマランプ20は、支持部材40との間で絶縁性を維持するように、貫通碍子50によって支持される。ランプ電源部30は、支持部材40との間で絶縁性を維持するように、筒状の電源支持部57A(57D)、57B(57C)によって支持される。図2に示すように、貫通碍子50は、支持部材40に形成された開口部41に嵌め込まれた筒状の絶縁部52を有し、その絶縁部52の内部には、導電性部材56が支持部材40を跨いで延びている。
【0036】
導電性部材56のランプ側端部54は、エキシマランプ20の内側電極と接続する給電線(給電棒)32と電気的に接続する。また、ランプ側端部54と反対側に位置する電源側端部55は、給電線34を介してランプ電源部30と接続する。
【0037】
このように、エキシマランプ20は、貫通碍子50を介して所定の距離間隔D0だけ離れて支持部材40に対して位置決めされ、ランプ電源部30は、電源支持部57A、57B、57C、57Dを介して、所定の距離間隔D5だけ離れて支持部材40に対して位置決めされる。そして、エキシマランプ20とランプ電源部30は、支持部材40と一体的な構造体として、オゾン発生装置100に装着される。エキシマランプ20およびランプ電源部30が、それぞれ貫通碍子50および電源支持部57A、57B、57C、57Dを介して支持部材40に支持されるため、オゾン熱分解や絶縁破壊が発生するのを抑えることができる。
【0038】
一般的に、紫外線照射によって生じたオゾンは、温度、相対湿度、流速が高くなると分解が促進され半減期は短くなる。例えば、温度によるオゾン分解は約40℃に達すると始まり、約60℃になるとオゾン分解が活発になる。そのため、支持部材40は、エキシマランプ20やランプ電源部30からの熱により昇温したときでも、ランプ側表面40Aがオゾン分解する温度の60℃(好ましくは40℃)よりも低くなるように、それぞれの距離間隔D0、D5を定めるようにすればよい。一方で、ランプ電源部30からエキシマランプ20に高周波高電圧を印加(給電)することを考慮すると、給電線の長さが短くなるように、距離間隔D0、D5を定めることも可能である。
【0039】
図4は、オゾン発生モジュール10をオゾン発生装置100に装着させたときの流路管を上側から見た断面図である。図5は、オゾン発生モジュール10をオゾン発生装置100に装着させたときの流路管の側面側から見た断面図である。
【0040】
オゾン発生装置100には、吸気ファン130を端部に配置した流路管120が設けられている。吸気ファン130は軸流ファンとして構成され、流路管120に対して同軸的に配置されている。流路管120は、ここでは断面矩形状の管として構成され、吸気ファン130も流路管120に合わせた形状を有する。吸気ファン130は、オゾン発生装置100に設けられた制御部(図示せず)によって動作制御される。
【0041】
本実施形態では、流路管120の管壁120Aにおいて、矩形状開口部(図5参照)120Tが、図1に示した取付部110として形成されている。矩形状開口部120Tは、支持部材40相当の開口面積を有し、支持部材40を矩形状開口部120Tに嵌め込むことによって、オゾン発生モジュール10が流路管120に装着される。このとき、エキシマランプ20が流路管120の内部、ランプ電源部30が流路管120の外部に配置されるように、支持部材40が装着される。
【0042】
オゾン発生モジュール10が流路管120に装着されると、図5に示すように、エキシマランプ20は、そのランプ軸Xが流路管120の軸Cに沿うように位置決めされる。また、図4に示すように、エキシマランプ20のランプ軸Xは、流路管120の幅方向(横方向)に関する中央ラインL上に位置し、流路管120の両側壁120Cまでの距離間隔D3が等しい対称的配置となる。
【0043】
一方、エキシマランプ20は、流路管120の中心軸Cに対して同軸的な配置ではなく、流路管120の管壁(以下、上壁という)120B(図5参照)までの距離間隔D4は、流路管120の中心軸Cから上壁120Bまでの距離間隔Rよりも長い。
【0044】
エキシマランプ20と支持部材40との距離間隔D0、すなわち、放電容器22と支持部材40との間の最も短い距離間隔D0は、上述した熱や電界強度分布の影響だけでなく、支持部材40により遮られる紫外線や、周囲の原料ガスの流れ易さを考慮して定めることも可能である。
【0045】
例えば、エキシマランプ20の放電容器22から放射された紫外線の紫外線強度比が80%まで減衰する距離間隔(以下、減衰距離という)以上の長さを有するように定めることができる。紫外線強度比が50%まで減衰する距離間隔よりも大きくなるように定めてもよい。例えば、172nmのピーク波長を有する紫外線の場合、距離間隔離D0が1mm以上、より好ましくは3mm以上となるように、エキシマランプ20の放電容器のサイズ(外径)および支持部材40の位置(貫通碍子50がランプ側表面40Aから突出する高さ)を定めることができる。
【0046】
一方、支持部材40のランプ側表面40Aが、エキシマランプ20から放射された紫外線の波長範囲に対する反射性を有する場合、距離間隔D0は小さくする(近づける)ことができる。この場合でも、吸気ファン130からの原料ガスの流れによる冷却とエキシマランプ20からの加熱を鑑み、支持部材40のランプ側表面40Aがオゾン分解する温度(オゾン生成の観点で過熱状態となる温度)まで上昇せず、実質的に断熱状態となる距離(以下、断熱距離という)以上の長さとなるように距離間隔D0を定め、支持部材40とエキシマランプ20が効果的に空間を隔てようにすることができる。
【0047】
また、エキシマランプ20に供給する電力に応じたランプ電源部30から支持部材40への加熱を考慮すると、ランプ電源部30と支持部材40との距離間隔D5は、支持部材40のランプ側表面40Aがオゾン分解する温度まで上昇する距離間隔(断熱距離)以上の長さとなるように定め、ランプ電源部30と支持部材40とを効果的に隔てるようにすればよい。なお、断熱材(遮熱材)を設けることによって、距離間隔D5をより小策することも可能である。
【0048】
エキシマランプ20とランプ電源部30それぞれの断熱距離は、エキシマランプ20をランプ電源部30で定格点灯させて、給気ファンで原料ガスを支持部材40に沿って(向けて)流したときの、エキシマランプ20からの加熱と、ランプ電源部30からの加熱に応じて定められている。よって、エキシマランプ20に対する断熱距離と、ランプ電源部30に対する断熱距離は一致しなくてよい。
【0049】
エキシマランプ20と支持部材40の側面40Cとの距離間隔D1(図3参照)は、エキシマランプ20から放射された紫外線が大気中を透過して到達することで紫外線照射による影響(劣化など)のある空間領域(以下、紫外線照射影響範囲Uという)を超える、すなわち、紫外線が大気中で減衰して実質的に到達しない距離(以下、到達限界距離Qという)以上となるように、定められている。また、エキシマランプ20と支持部材40の端面40Dとの距離間隔D2(図2参照)も、紫外線照射影響範囲Uを超える(到達限界距離Q以上の)距離間隔に定められている。
【0050】
例えば、波長172nmの紫外線の場合、紫外線強度比が20%以下まで減衰する6mm以上、好ましくは紫外線がすべて吸収されてしまう30mm以上となるように、到達限界距離Q(紫外線照射影響範囲U)として定め、これに合わせて距離間隔D1、D2を定めることができる。
【0051】
なお、実際の紫外線照射影響範囲Uは、放電容器22の形状や、その内部で発生させた放電の位置によって、放電容器の外周面に沿った照度分布(配光分布)が異なる。そのため、紫外線照射影響範囲Uおよび到達限界距離Qは、図3のような放電容器の外表面に対して必ずしも一様ではない。例えば、径方向よりも軸方向への放射照度が低く(到達限界距離Qが小さく)、さらに軸方向の先端側よりも後端側への放射照度が低い(到達限界距離Qが小さい)傾向になることもある。そのため、軸方向の先端側の距離間隔D2を、径方向の距離間隔D1よりも短くしてもよい。
【0052】
また、これら距離間隔D1、D2は、上述したエキシマランプ20と流路管120の側壁120Cとの距離間隔D3、および上壁120Bとの距離間隔D4よりも短い。すなわち、流路管120が紫外線照射影響範囲Uの空間領域外となるように、エキシマランプ20を配置し、エキシマランプ20の紫外線の到達限界距離Q未満となる紫外線照射影響範囲Uの空間領域内に、支持部材40のみを配置する。これにより、エキシマランプ20から放射される紫外線は、流路管120の上壁120B、側壁120Cに対して影響(劣化など)を与えず、また、エキシマランプ20に印加される高周波高電圧による絶縁破壊の発生が抑えられる。
【0053】
支持部材40を流路管120へ装着後、オゾン発生装置100の装置電源部とランプ電源部30とを、給電コネクタを介して電気的に接続することによって、ランプ電源部30は、エキシマランプ20の内側電極、外側電極に対し、高周波高電圧を印加する。また、吸気ファン130が動作すると、流路管120に対し酸素を含む原料ガス(空気など)が流入する。
【0054】
流入した酸素を含む原料ガスがエキシマランプ20の周囲を流れる間、エキシマランプ20から放射された紫外線が酸素に照射されることによってオゾンが発生し、オゾンを含むガスが流路管120の流出口120Eから流出する。流出するオゾンを含むガスは、オゾン発生装置100に設けられた開口部から装置外部へ流出する。
【0055】
ランプ電源部30は、流路管120の外部に配置されているため、発生するオゾンに暴露されず、ランプ電源部30がオゾンの影響を受けることを防ぐことができる。また、エキシマランプ20と、支持部材40の側面40C、端面40Dとの距離間隔D1、D2が上述した到達限界距離Q以上であるため、エキシマランプ20から放射される紫外線が流路管120の管壁120Aに対して影響を与えない。
【0056】
このように本実施形態によれば、エキシマランプ20とランプ電源部30とを備え、そして、相対するエキシマランプ20とランプ電源部30との間で、放射された紫外線や熱、生成されたオゾンを遮蔽して一体的に支持する支持部材40を設けたオゾン発生モジュール10を、オゾン発生装置100に対して着脱自在に装着可能としている。
【0057】
例えば、エキシマランプ20の取付部(貫通碍子50の導電性部材56のランプ側端部54)が、流出口120Eから奥に入り込んで吸気ファン130と向かい合う位置にあり、上壁120Bまでの距離間隔D4が小さい(例えば、65mm以下)と、メンテナンス業者の手や工具を流路管内に入れた状態での作業が困難となり、エキシマランプ20のみを装着、取り外すことが実質的に不可能な状態となる。また、装着、取り外すことが可能であったとしても、内側電極または外側電極と接続する給電線(給電棒)を装着、取り外すことでエキシマランプ20を破損させるおそれがある。
【0058】
このような場合でも、支持部材40を流路管120へ装着し、取り外すことによって、エキシマランプ20とランプ電源部30の両方を、オゾン発生装置100へ同時に装着、取り外すことが可能となり、エキシマランプ20およびランプ電源部30を容易に同時交換することができる。
【0059】
一般に、エキシマランプ20から放射される紫外線は、装置内の他のデバイス、部材などに影響を与えることがあるため、オゾン濃度を含めたオゾン発生条件を、装置の仕様や装置の使用環境に従って定める必要がある。また、紫外線のピーク波長によって紫外線到達距離も異なり、周波数、電圧、電界強度分布の違いによって放電状態が変化し、紫外線強度(照度分布、配光分布)や放電容器22の温度分布も変わる。
【0060】
また、石英ガラスを加熱成形した放電容器22には形状の製造誤差があり、放電容器22の外表面に沿って配置した外側電極の状態(放電容器に対する密着状態や内側電極との位置関係など)にも製造誤差があるので、放電開始電圧や放電維持電圧などのランプ特性やそれに適した電源特性がランプ毎に異なる場合がある。そのため、オゾン発生条件に合わせたエキシマランプ20とランプ電源部30との組み合わせが必要となる。
【0061】
一方、エキシマランプ20の消耗時期、ランプ電源部30の消耗時期は、それぞれランプ特性、電源特性などに従うため、必ずしも交換の必要となる時期は一致しない。しかしながら、例えばランプ電源部30のみ交換すると、エキシマランプ20へ高周波高電圧を印加させる給電系統の変更を結果的に伴い、紫外線強度の変化などが生じることで、オゾン生成条件が変わる恐れがある。
【0062】
また、エキシマランプ20のみ交換する場合でも、エキシマランプ20のサイズ、ピーク波長などランプ特性が相違する交換や、エキシマランプ20と支持部材40との距離間隔が相違する交換を行うと、オゾン発生条件が変更されてしまう。このようなエキシマランプ20とランプ電源部30の組み合わせは、不適切なオゾン発生条件での装置運転を導くことになり、不完全な除菌、消臭処理、あるいは人体に影響を与えるようなオゾン発生を招く恐れがある。このように不適切なエキシマランプ20の装着が行われると、エキシマランプ20に印加される高周波高電圧による絶縁破壊の発生や、大気中での異常放電によるNOxが含まれるガスが放出する恐れがある。
【0063】
本実施形態では、エキシマランプ20とランプ電源部30とを個別に装置から取り外すのではなく、同時交換を可能にするオゾン発生モジュール10を構成し、オゾン発生装置100に対して自在に装着可能にしている。そのため、エキシマランプ20の消耗、ランプ電源部30の消耗によっても、オゾン生成条件を変更せず、所望するオゾン濃度で除菌、消臭などを行うことができる。
【0064】
特に、オゾン発生装置の仕様、動作特性に合わせたエキシマランプ20とランプ電源部30との組み合わせによって、様々なオゾン発生モジュールを用意して選択的に装着させることが可能であり、例えば、エキシマランプ20、ランプ電源部30の製造業者、あるいはそこから指導を受けているメンテナンス業者による交換作業であれば、エキシマランプ20、ランプ電源部30の交換を伴っても、適切なオゾン生成条件によってオゾン発生装置100を運転させることができる。
【0065】
また、エキシマランプ20と流路管120の側壁120C、上壁120Bとの距離間隔D3、D4が、エキシマランプ20と支持部材40との距離間隔D0および側面40C、端面40Dまでの距離間隔D1、D2よりも長くなるように、エキシマランプ20が流路管120内に配置される。これによって、エキシマランプ20が流路管120の管壁との位置関係によってオゾン生成条件が変化するのを、抑えることができる。
【0066】
さらに、エキシマランプ20の内側電極と接続する給電線(給電棒)32を吸気ファン130側(上流側)、放電容器22を流出口120E側(下流側)とした向きで、オゾン発生モジュール10を流路管120の流出口120E付近に装着することにより、流路管120に流入したガスが、エキシマランプ20の周囲を適切な流量で流れていくことになり、効果的にオゾンを発生させることが可能となる。
【0067】
特に、効果的にオゾンを発生させるために、メンテナンス業者の手や工具を流路管内に入れた状態での作業が困難となる程度に、流路管120の中心軸Cから上壁120Bまでの距離間隔Rを小さく(例えば、離間距離D4を65mm以下)したときにも、エキシマランプ20とランプ電源部30との同時交換が可能となるだけでなく、流路管120の管壁との距離間隔が小さいときでも、エキシマランプ20のみの交換も容易となる。
【0068】
次に、図6、7を用いて、第2の実施形態であるオゾン発生装置について説明する。第2の実施形態では、エキシマランプとランプ電源部の両方が、流路管内に配置されるように構成される。
【0069】
図6は、第2の実施形態における流路管を上側から見た断面図である。図7は、第2の実施形態における流路管の側面側から見た断面図である。
【0070】
オゾン発生モジュール10は、エキシマランプ20と、ランプ電源部30とを備え、また、第1の実施形態と同様、エキシマランプ20は貫通碍子50およびを介して、ランプ電源部30は電源支持部57A、57B、57C、57Dを介して、それぞれ支持する支持部材40’を備えている。支持部材40’は、第1の実施形態とは異なる大きさをもつ矩形状の板材(プレート状部材)として構成されている。
【0071】
支持部材40’の側面長さD6は、断面矩形状の流路管120’の幅方向管壁長さR1に相当する。支持部材40’を側面40’C側から流路管120’の流出口120’Eに嵌め込む(押し入れる)ことによって、オゾン発生モジュール10が流路管120’に装着される。このとき、エキシマランプ20およびランプ電源部30は、流路管120’内部に配置され、支持部材40’の側面40’Cは、吸気ファン130と対向するように配置する。また、エキシマランプ20は、ランプ軸Xがガスの流れる方向に垂直な方向に沿うように配置される。
【0072】
吸気ファン130が動作することによって流路管120’に流入した原料ガスは、支持部材40’の側面40’Cによってエキシマランプ20側とランプ電源部30側とに分流され、合流せずに流出口120’Eから流出する。
【0073】
エキシマランプ20から放射される紫外線を原料ガスに照射することによって生じたオゾンは、支持部材40のランプ側表面40’Aに沿って流れ出ていく。一方、支持部材40の電源部側表面40’B側へ流れ込むガスは、ランプ電源部30を冷却する。支持部材40’が流路管120’の内部空間を上下に区分けし、流出口120’E付近まで延びるように配置することにより、生成されたオゾンがランプ電源部30側へ流れ込むのを防ぐことができる。
【0074】
一方、エキシマランプ20と流路管120’の側壁120’Cとの距離間隔D3、エキシマランプ20と流路管120’の側壁120’Bとの距離間隔D4は、エキシマランプ20と支持部材40’との距離間隔D0より大きい。そして、距離間隔D0は、第1の実施形態と同様、減衰距離以上、好ましくは断熱距離以上に定められている。より好ましくは、距離間隔D5はランプ電源部の冷却を考慮した断熱距離以上に定められている。また、距離間隔D1、D2は、紫外線照射影響範囲Uを超える(到達限界距離Q以上の)距離間隔に定められている。
【0075】
そのため、流路管120’とエキシマランプ20との位置関係によってオゾン発生条件が変わるのを抑制することができる。また、流路管120’の流出口120’Eから支持部材40’を引き出すことで、エキシマランプ20およびランプ電源部30の同時交換が容易になるだけでなく、流路管120’の管壁との距離間隔が小さいときでも、エキシマランプ20のみ、またはランプ電源部30のみの交換も容易となる。なお、上記距離間隔D3、D4を、第1の実施形態と同様、エキシマランプ20と支持部材40’の側面、端面までの距離間隔D1、D2よりも大きくなるように構成してもよい。
【0076】
次に、図8図11を用いて、第3の実施形態であるオゾン発生装置について説明する。第3の実施形態では、エキシマランプおよびランプ電源部が、それぞれ専用の部材によって保持、支持されている。
【0077】
図8は、第3の実施形態におけるオゾン発生モジュールの正面図である。図9は、第3の実施形態におけるオゾン発生モジュール10の側面図である。
【0078】
オゾン発生モジュール10は、エキシマランプ20、ランプ電源部30とを備え、また、エキシマランプ20およびランプ電源部30を支持する支持部材40”を備える。支持部材40”のランプ側表面40”Aには、エキシマランプ20を保持するクリップ型のランプホルダ対65A、65Bが設置されている。
【0079】
ランプホルダ対65A、65Bは、支持部材40”から(減衰距離以上、好ましくは断熱距離以上の)距離間隔D0の位置でエキシマランプ20を保持する。また、第1、2の実施形態と同様、エキシマランプ20と支持部材40”の側面40”Cまでの距離間隔D1、エキシマランプ20と支持部材40”の端面40”Dまでの距離間隔D2が紫外線照射影響範囲Uを超える(到達限界距離Q以上となる)ように定められている。電源部側表面40”Bには、ランプ電源部30を断熱距離以上に定めた距離間隔D5だけ離れて支持する筒状の電源支持部67A(67D)、67B(67C)が設置されている。昇温したランプ側表面40Aでのオゾン分解による影響が抑えるように、距離間隔D0とD5とを定めればよい。
【0080】
支持部材40”は一方の端面40”D付近の開口部41”埋め込み設置されたコネクタ50”を有し、給電線65、給電線67の端子がそれぞれ差し込まれてエキシマランプ20とランプ電源部30とを電気的に接続する。コネクタ50”は紫外線照射影響範囲Uの空間領域外に配置すればよい。給電線65、給電線67は、支持部材40”との間で絶縁性を維持するように設けられている。
【0081】
図10は、第3の実施形態における流路管を上側から見た断面図である。図11は、第3の実施形態における流路管の側面側から見た断面図である。
【0082】
オゾン発生モジュール10の支持部材40”の幅(側面間長さ)D7は、流路管120”の管壁長さR1に相当する。支持部材40”を流路管120”の流出口120”Eに嵌め込むことによって、オゾン発生モジュール10が装着される。このとき、エキシマランプ20は、ランプ軸Xが管軸Cの方向に沿うように配置される。
【0083】
第2の実施形態と同様、吸気ファン130によって流路管120”へ流入したガスは、支持部材40”によってエキシマランプ20側とランプ電源部30側へ分流し、合流せずにそのまま流出口120”Eから別々に流出する。また、エキシマランプ20と支持部材40”との距離間隔D0は減衰距離以上であり、好ましくは断熱距離以上であり、流路管120”の管壁までの距離間隔D3、D4よりも短い。より好ましくは、距離間隔D5はランプ電源部の冷却を考慮した断熱距離以上に定められている。また、距離間隔D1、D2は、紫外線照射影響範囲Uを超える(到達限界距離Q以上の)距離間隔に定められている。そのため、流路管120”とエキシマランプ20との位置関係によってオゾン発生条件が変更するのが抑制される。
【0084】
第1~第3の実施形態では、支持部材を流路管の流出口側から嵌めることによってオゾン発生モジュールを装着させる構成であるが、流路管に溝などを形成してスライド移動させる構成、流路管の管壁にクリップ板などを設けて保持する構成など、他の支持構造によってオゾン発生モジュールを装着させるようにすることも可能である。
【0085】
また、第1~第3の実施形態では、オゾン発生装置100に設けられた流路管に対してオゾン発生モジュール10を装着するように構成されている。しかしながら、流路管を設けないオゾン発生装置に対しても、オゾン発生モジュールを装着する構成にすることが可能である。
【0086】
以下では、図12、13を用いて、第4の実施形態であるオゾン処理装置について説明する。第4の実施形態では、装置筐体内に流路を形成するように、オゾン発生モジュールが装着される。
【0087】
図12は、第4の実施形態であるオゾン処理装置の水平方向に沿った概略的断面図である。図13は、第4の実施形態であるオゾン発生装置の鉛直方向に沿った概略的断面図である。
【0088】
オゾン処理装置100’は、除菌、消臭対象物をオゾン処理空間領域(ボックス)400内に配置する大型のオゾン処理装置として構成されている。隔壁350は、筺体300を水平方向に沿って区画し、その下方にはオゾン処理空間領域400が形成されている。また、隔壁350の上方と装置天井面320Cとの間には、天井空間領域が形成されている。
【0089】
隔壁360は、天井空間領域の一部を鉛直方向に沿って区画する隔壁であり、天井空間領域において隔壁360と筐体背面320Aとの間に設けられたオゾン生成空間領域425には、ファン410が設けられ、オゾン処理空間領域400へオゾンが含まれるガスを供給可能である。また、天井空間領域の他の一部を鉛直方向に沿って区画する隔壁によって形成された流路には、オゾン除去部(図示せず)が設けられ、オゾン処理空間領域400から吸引したガスに含まれるオゾンを除去(分解)可能な構成になっている。
【0090】
オゾン発生モジュール10は、第3の実施形態と同様の構成であり、ランプホルダ対65A,65Bによってエキシマランプ20を支持部材40”との距離間隔D0が減衰距離以上であり、好ましくは断熱距離以上となるように保持し、筒状の電源支持部67A(67D)、67B(67C)によってランプ電源部30を支持部材40”との距離間隔D5が断熱距離以上となるように支持する。オゾン発生モジュール10は、図13に示すように、一方の側面40”Cを隔壁350に接して直上に設置させ、空間領域425に流路を形成するように装着している。また、放電容器22と筐体側面320Bと間の最も短い距離間隔D4は、紫外線照射影響範囲Uを超える(到達限界距離Q以上の)距離間隔に定められている。
【0091】
オゾン発生モジュール10を装着させた状態では、ランプ電源部30がエキシマランプ20よりもファン410側(上流側)に位置し、支持部材40”のコネクタ50”が筐体背面320A側に近い。また、エキシマランプ20のランプ軸Xは、装置横方向を向いている。オゾン発生モジュール10は、例えば、ネジ止めなどによって隔壁350、360、筐体背面320Aのいずれかに装着させることが可能である。
【0092】
ファン410は、オゾン発生に合わせて回転する。このとき、支持部材40”の配置に従ってガスが流れていく。具体的には、オゾンを発生させるようにファン410が運転する間、ファン410から原料ガスが送り出される。ファン410から送り出されたガスは、ランプ電源部30を冷却し、その一方で、ガスの一部は支持部材40”を跨いで、エキシマランプ20の配置された空間側へ流れていく。
【0093】
エキシマランプ20側へ流れ込んだガスは、エキシマランプ20周囲を通過し、装置下方へ流れていく。ファン410を搭載する隔壁350には、支持部材40”の設置位置から筐体側面320B側に、スリット状の開口部420が形成されている(図12では省略)。エキシマランプ20から放射された紫外線によってオゾンが発生し、オゾンを含むガスが、開口部420を通じて下方のオゾン処理空間領域400側へ流れていく。
【0094】
オゾン発生動作の間、支持部材40”は隔壁として機能し、流路を形成する。ランプ電源部30は上流側に位置し、支持部材40”によって遮蔽されるため、エキシマランプ20から放射された紫外線により発生するオゾンに暴露されない。また、支持部材40”のコネクタ50”が開口部420に隣接して筐体側面320B側に位置するため、エキシマランプ20のみを装着、取り外すことが実質的に不可能な状態においても、支持部材40”を筐体(筐体背面320A、筺体側面320B、装置天井面320C)と内部筐体(隔壁350、360)により構成された流路管へ装着し、取り外すことによって、エキシマランプ20およびランプ電源部30を容易に同時交換可能にする。また、流路管の管壁との距離間隔が小さい場合でも、エキシマランプ20のみの交換が容易となる。一方、オゾン除去動作の間、ボックス400からファン410へ向けてガスが流れるように、ファンが回転動作する。
【0095】
このように第4の実施形態によれば、支持部材40”を隔壁として機能するようにオゾン発生モジュール10を設置することによって、装置内部に流路を形成し、エキシマランプ20周囲へのガスの流れ、ランプ電源部30の冷却などを適切に行うことができる。なお、箱状の内部筐体により構成された流路管に囲まれたオゾン生成空間領域を形成したオゾン発生装置を、オゾン処理空間領域(ボックス)400内に配置した構成を採用したオゾン処理装置とすることも可能である。また、支持部材40”の隔壁などへの設置は、ネジ止め、嵌め込みなど様々な構成を採用することが可能である。
【0096】
エキシマランプおよびランプ電源部は、第1~3の実施形態に示した支持構造以外によって支持される構成にすることも可能である。また、支持部材についても、板(プレート)状に限定されず、様々な形状や材質を適用することが可能である。
【0097】
オゾン発生モジュールは、エキシマランプおよびランプ電源部を露出状態で構成することに限定されず、筐体、ケーシングなどによってエキシマランプの一部、ランプ電源部を取り囲むような構成にすることも可能であり、装着後に取り外す構成にすればよい。
【符号の説明】
【0098】
10 オゾン発生モジュール
20 エキシマランプ
30 ランプ電源部
40 支持部材
50 貫通碍子
100 オゾン発生装置
120 流路管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13