(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】チャイルドシート、およびチャイルドシート付き自転車
(51)【国際特許分類】
B62J 1/16 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
B62J1/16 Z
(21)【出願番号】P 2021085047
(22)【出願日】2021-05-20
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000112978
【氏名又は名称】ブリヂストンサイクル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】小熊 聡
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00583013(EP,A1)
【文献】特開2021-030827(JP,A)
【文献】特開2011-084210(JP,A)
【文献】特開2006-017300(JP,A)
【文献】特開2002-276625(JP,A)
【文献】特表2012-521524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/00 - 1/16
F16B 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と、
前記座部の後端部から上方に向けて延びる背もたれ部と、
前記座部の前端部から下方に向けて延びる左右一対の足部と、
前記足部に着脱可能に取付けられたステップ台と、を備え、
前記ステップ台には、第1係止片が形成され、
前記足部には、前記第1係止片が離脱可能に挿入された第1係止孔が形成され、
前記第1係止片は、前記第1係止孔が開口する開口方向に交差する交差方向のうちの第1方向に移動したときに、前記第1係止孔から離脱する向きに前記開口方向に移動可能となり、
前記第1係止孔には、前記第1係止片の前記第1方向に向かう移動を規制する規制部材が着脱可能に挿入され
、
同一の前記第1係止孔に、前記第1係止片および前記規制部材の双方が着脱可能に挿入されている、チャイルドシート。
【請求項2】
前記ステップ台は、前記足部の表面側に設けられるとともに、前記第1係止片は、前記足部の裏面から突出し、
前記第1係止片には、前記第1方向の反対側に向けて突出し、前記足部の裏面に係合した第1係止突起が形成されている、請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項3】
前記ステップ台には、前記交差方向のうち、前記第1方向に交差する第2方向に、前記第1係止片から離れた第2係止片が設けられ、
前記足部には、前記第2係止片が離脱可能に挿入された第2係止孔が形成され、
前記第2係止片には、前記第2方向に沿う前記第1係止片の反対側に向けて突出し、前記足部の裏面に係合した第2係止突起が形成されている、請求項2に記載のチャイルドシート。
【請求項4】
前記第1係止片において、前記開口方向の先端部における前記第2方向に沿う前記第2係止片の反対側の端面には、前記開口方向に対して傾斜した面取り部が形成されている、請求項3に記載のチャイルドシート。
【請求項5】
前記規制部材には、前記第1係止片における前記第2方向に沿う前記第2係止片の反対側の端面に当接する支持片が形成されている、請求項3または4に記載のチャイルドシート。
【請求項6】
前記規制部材は、前記ステップ台に対して離脱不能に前記開口方向に移動可能に設けられている、請求項1から5のいずれか1項に記載のチャイルドシート。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のチャイルドシートが、自転車に固定されている、チャイルドシート付き自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャイルドシート、およびチャイルドシート付き自転車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、座部と、座部の後端部から上方に向けて延びる背もたれ部と、座部の前端部から下方に向けて延びる左右一対の足部と、を備えたチャイルドシートが知られている。
この種のチャイルドシートとして、例えば下記特許文献1に示されるように、足部が、着座した幼児が足を載せるステップ面を有し、かつ座部にボルトおよびナットを介して着脱可能に取付けられ、幼児の成長に合わせて、座部に対する足部の上下位置を変更することで、ステップ面の上下位置を調整可能な構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のチャイルドシートでは、ステップ面の上下位置を調整する際、ボルトおよびナットを緩めたり、締結したりする必要があるなど、ステップ面の上下位置を容易に調整することができないという問題があった。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、ステップ面の上下位置を容易に調整することができるチャイルドシート、およびチャイルドシート付き自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のチャイルドシートは、座部と、前記座部の後端部から上方に向けて延びる背もたれ部と、前記座部の前端部から下方に向けて延びる左右一対の足部と、前記足部に着脱可能に取付けられたステップ台と、を備え、前記ステップ台には、第1係止片が形成され、前記足部には、前記第1係止片が離脱可能に挿入された第1係止孔が形成され、前記第1係止片は、前記第1係止孔が開口する開口方向に交差する交差方向のうちの第1方向に移動したときに、前記第1係止孔から離脱する向きに前記開口方向に移動可能となり、前記第1係止孔には、前記第1係止片の前記第1方向に向かう移動を規制する規制部材が着脱可能に挿入されている。
本発明のチャイルドシート付き自転車は、本発明のチャイルドシートが、自転車に固定されている。
【0007】
この発明によれば、足部に着脱可能に取付けられたステップ台を備えているので、幼児の成長に合わせて、ステップ台を足部に着脱することで、着座した幼児が足を載せるステップ面の上下位置を調整することができる。
ステップ台を足部から外す際、規制部材を第1係止孔から離脱し、第1係止片を第1方向に移動させた状態で、第1係止片を第1係止孔から離脱する。
ステップ台を足部に取付ける際、第1係止片を第1係止孔に挿入した状態で、規制部材を第1係止孔に挿入することにより、第1係止片の第1方向に向かう移動を規制する。
以上より、着座した幼児が足を載せるステップ面の上下位置を調整する際、例えばボルトおよびナット等を操作する工具を用いる必要がないので、この調整を容易に行うことができる。
【0008】
前記ステップ台は、前記足部の表面側に設けられるとともに、前記第1係止片は、前記足部の裏面から突出し、前記第1係止片には、前記第1方向の反対側に向けて突出し、前記足部の裏面に係合した第1係止突起が形成されてもよい。
【0009】
この場合、第1係止片に、第1方向の反対側に向けて突出し、足部の裏面に係合した第1係止突起が形成されているので、第1係止片が、第1係止孔から離脱するのを確実に抑制することができるとともに、第1係止片を第1方向に移動させたときに、第1係止突起を第1係止孔と前記開口方向で対向させることで、第1係止片を第1係止孔から容易に離脱することができる。
【0010】
前記ステップ台には、前記交差方向のうち、前記第1方向に交差する第2方向に、前記第1係止片から離れた第2係止片が設けられ、前記足部には、前記第2係止片が離脱可能に挿入された第2係止孔が形成され、前記第2係止片には、前記第2方向に沿う前記第1係止片の反対側に向けて突出し、前記足部の裏面に係合した第2係止突起が形成されてもよい。
【0011】
この場合、ステップ台に第1係止片のみならず第2係止片も設けられ、足部に第1係止孔のみならず第2係止孔も形成されているので、ステップ台を足部に安定して取り付けることができる。
ステップ台を足部から外す際、規制部材を第1係止孔から離脱し、第1係止片を第1方向に移動させた状態で、第2係止突起を足部の裏面に係合したまま、ステップ台を、第2係止突起回りに回転させ、第1係止片を第1係止孔から離脱した後に、第2係止片を第2係止孔から離脱する。
ステップ台を足部に取付ける際、ステップ台を足部の表面に対して傾けつつ、第2係止片を第2係止孔に挿入した状態で、第2係止突起が足部の裏面に係合し、かつ第1係止片が足部の表面に向けて接近するように、ステップ台を、第2係止突起回りに回転させ、第1係止片を第1係止孔に挿入した後に、規制部材を第1係止孔に挿入することにより、第1係止片の第1方向に向かう移動を規制する。
以上より、第2係止片に第2係止突起が形成されていることから、ステップ台を足部に着脱する際、第2係止突起を足部の裏面に係合した状態で、ステップ台を、第2係止突起回りに回転させることが可能になり、この着脱を容易に行うことができる。
【0012】
前記第1係止片において、前記開口方向の先端部における前記第2方向に沿う前記第2係止片の反対側の端面には、前記開口方向に対して傾斜した面取り部が形成されてもよい。
【0013】
この場合、第1係止片において、前記開口方向の先端部における第2方向に沿う第2係止片の反対側の端面に、前記開口方向に対して傾斜した面取り部が形成されているので、ステップ台を足部に取付ける際、第1係止片を第1係止孔に容易に挿入することができる。
【0014】
前記規制部材には、前記第1係止片における前記第2方向に沿う前記第2係止片の反対側の端面に当接する支持片が形成されてもよい。
【0015】
この場合、規制部材に、第1係止片における第2方向に沿う第2係止片の反対側の端面に当接する支持片が形成されているので、ステップ台を足部に取付ける過程において、規制部材を第1係止孔に挿入したときに、支持片が、第1係止片を第2方向に沿う第2係止片側に押し込むこととなり、ステップ台および足部の第2方向の相対位置を容易に決めることができる。
【0016】
前記規制部材は、前記ステップ台に対して離脱不能に前記開口方向に移動可能に設けられてもよい。
【0017】
この場合、規制部材が、ステップ台に対して離脱不能に前記開口方向に移動可能に設けられているので、規制部材を第1係止孔から離脱したときに、規制部材が、ステップ台から分離されるのを防ぐことなどが可能になり、着座した幼児が足を載せるステップ面の上下位置を容易に調整することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、ステップ面の上下位置を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態として示したチャイルドシート付き自転車の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、一実施形態に係るチャイルドシート1、およびチャイルドシート付き自転車10を、
図1から
図4を参照しながら説明する。
チャイルドシート1は、座部11と、座部11の後端部から上方に向けて延びる背もたれ部12と、座部11の前端部から下方に向けて延びる左右一対の足部13と、足部13に着脱可能に取付けられたステップ台14と、を備えている。チャイルドシート1が、自転車の荷台20に固定されることにより、チャイルドシート付き自転車10が構成されている。
なお、チャイルドシート1は、例えば自転車のハンドル等に固定されてもよい。
【0021】
座部11の前部には、左右方向に延び、チャイルドシート1に座った幼児によって把持されるハンドルバー15が設けられている。ハンドルバー15は、座部11の前部における左右方向の全長にわたって設けられている。座部11が、不図示の締結部材を介して荷台20に固定されることによって、チャイルドシート1が荷台20に固定されている。
足部13は、有底筒状に形成され、筒板22およびステップ板23を備えている。
【0022】
ステップ板23は、表裏面が上下方向を向く板状に形成されている。ステップ板23のうち、上方を向く表面が、着座した幼児が足を載せる第1ステップ面23aとなっている。
筒板22は、上下方向に延び、前方に向けて開放された半割の筒状に形成されている。筒板22は、座部11の前端部から下方に向けて延び、第1ステップ面23aにおける外周縁部に連結されている。筒板22の前端部は、第1ステップ面23aの前端部より後方に位置している。
【0023】
ステップ台14は、ステップ板23に取付けられている。
なお、ステップ台14は、第1ステップ面23aを覆うように、筒板22に取付けられてもよい。この場合、ステップ板23を設けなくてもよい。
ステップ台14は、有頂筒状に形成され、頂壁24および周壁25を備えている。
【0024】
ステップ台14の周壁25における下端開口縁の後端部25aは、
図3に示されるように、後方に向かうに従い上方に向けて延びている。
ステップ台14の頂壁24は、足部13の第1ステップ面23aと上下方向で対向している。ステップ台14の頂壁24のうち、上方を向く表面が、着座した幼児が足を載せる第2ステップ面24aとなっている。
【0025】
図2から
図4に示されるように、ステップ台14には、第1係止片26が形成されている。第1係止片26は、ステップ台14の頂壁24側から下方に向けて突出している。第1係止片26は、表裏面が左右方向を向く板状に形成されている。第1係止片26は、左右方向に弾性変形可能に形成されている。なお、第1係止片26は、左右方向にスライド移動可能に設けられてもよい。
【0026】
足部13には、第1係止片26が離脱可能に挿入された第1係止孔27が形成されている。第1係止孔27は、ステップ板23を上下方向に貫き、上下方向に開口している。
図3および
図4に示されるように、第1係止孔27の内周面のうち、前端面および後端面は、上方に向かうに従い前方に向けて延び、左右方向の両端面は、上下方向に真直ぐ延びている。なお、第1係止孔27の開口方向は、上下方向に交差する方向であってもよい。第1係止孔27は、筒板22に設けられてもよい。
【0027】
第1係止片26の下端部(先端部)は、ステップ板23のうち、下方を向く裏面から下方に向けて突出している。第1係止片26の下端部における前端面には、上下方向に対して傾斜した面取り部26aが形成されている。面取り部26aは、上方に向かうに従い前方に向けて延びている。面取り部26aの全体は、第1係止孔27より下方に位置している。
なお、第1係止片26に面取り部26aを形成しなくてもよい。
【0028】
第1係止片26のうち、第1ステップ面23aより上方に位置する部分は、第1ステップ面23aより下方に位置する部分と比べて、後方に向けて張り出している。第1係止片26のうち、第1ステップ面23aより上方に位置する部分の後端部26bは、第1ステップ面23aに上下方向に突き当たっている。
【0029】
第1係止片26は、上下方向に交差する交差方向のうちの第1方向Xに移動したときに、第1係止孔27から離脱する向きに上下方向に移動可能となる。
図示の例では、第1係止片26および第1係止孔27は、左右方向に間隔をあけて2つ設けられている。第1方向Xは、それぞれの第1係止片26において、もう一方の第1係止片26に対して左右方向に近付く側となっている。
【0030】
ここで、第1係止片26には、第1方向Xの反対側に向けて突出し、ステップ板23の裏面に係合した第1係止突起28が形成されている。第1係止片26を第1方向Xに移動させ、第1係止突起28を、第1係止孔27に上下方向で対向させて進入させることにより、第1係止片26が第1係止孔27から上方に離脱される。
なお、第1係止片26に、第1係止突起28を形成せず、第1係止片26を、例えば、第1係止孔27の内周面に第1方向Xの反対側に密接させるだけでもよい。
【0031】
ステップ台14に、前記交差方向のうち、第1方向Xに交差する第2方向Yに、第1係止片26から離れた第2係止片31が設けられている。なお、ステップ台14に第2係止片31を設けなくてもよい。
図示の例では、第2係止片31は、ステップ台14の頂壁24のうち、下方を向く裏面から下方に向けて突出している。第2係止片31は、表裏面が左右方向を向く板状に形成されている。
【0032】
足部13には、第2係止片31が離脱可能に挿入された第2係止孔32が形成されている。第2係止孔32は、ステップ板23を上下方向に貫き、上下方向に開口している。第2係止孔32の内周面は、全周にわたって上下方向に真直ぐ延びている。なお、足部13に第2係止孔32を形成しなくてもよい。
【0033】
図示の例では、第2係止孔32および第2係止片31は、左右方向に間隔をあけて2つ設けられている。第2係止孔32および第2係止片31は、第1係止孔27および第1係止片26から後方に離れている。つまり、第2方向Yは後方となっている。なお、第2方向Yは、前記交差方向のうち、第1方向Xに交差する方向であれば、後方に限らず適宜変更してもよい。一組の第2係止孔32および第2係止片31と、一組の第1係止孔27および第1係止片26と、の左右方向の位置は互いに同じになっている。
【0034】
第2係止片31は、ステップ板23の裏面から下方に向けて突出している。第2係止片31のうち、ステップ板23の裏面から下方に突出した部分の前端部は、前方に向けて突の曲面状に形成されている。第2係止片31は、第2係止孔32の内周面のうちの前端面から後方に離れている。
第2係止片31には、後方に向けて突出し、ステップ板23の裏面に係合した第2係止突起33が形成されている。第2係止突起33は、第2係止片31の下端部に設けられている。第2係止突起33の上端部に、上方を向く平面が形成されている。第2係止突起33の上端部が、ステップ板23の裏面に当接、若しくは近接している。
【0035】
ここで、第1係止孔27には、
図4に示されるように、第1係止片26の第1方向Xに向かう移動を規制する規制部材35が着脱可能に挿入されている。
規制部材35は、表裏面が左右方向を向く板状に形成された規制板36を備えている。規制板36が、第1係止孔27に着脱可能に挿入されている。規制板36は、第1係止片26の、第1方向Xを向く表面を全域にわたって覆っている。規制板36の下端部における第1方向X側を向く表面に、面取り部36aが形成されている。面取り部36aは、上方に向かうに従い第1方向Xに向けて延びている。
【0036】
規制部材35は、左右方向に間隔をあけて設けられた2つの規制板36と、2つの規制板36の上端部同士を連結した連結板38と、を備えている。連結板38は、表裏面が上下方向を向く板状に形成されている。
ここで、ステップ台14の第2ステップ面24aには、連結板38が収容されたザグリ穴24cが形成されている。連結板38の表面は、第2ステップ面24aに対して、上下方向の位置が同じか下方に位置している。ザグリ穴24cの底面に、規制板36が上下動可能に挿入された貫通孔24bが形成されている。
【0037】
規制板36には、第1方向Xに突出した乗越え突起36bが、上下方向に間隔をあけて2つ形成されている。乗越え突起36bは、ステップ台14の頂壁24における貫通孔24bの開口周縁部を、上下方向に乗り越え可能に形成されている。
【0038】
2つの乗越え突起36bのうち、上方に位置する乗越え突起36bは、頂壁24の裏面における貫通孔24bの開口周縁部に当接している。これにより、ステップ台14に対する規制部材35のがたつきを抑制することができる。
2つの乗越え突起36bのうち、下方に位置する乗越え突起36bは、規制部材35を引き上げたときに、頂壁24の表面における貫通孔24bの開口周縁部に当接することで、規制部材35を手放したときに、規制部材35が自重で落下するのを抑制することができる。この乗越え突起36bが、頂壁24の表面における貫通孔24bの開口周縁部に当接した状態では、規制板36が第1係止孔27から上方に離脱され、第1係止片26の第1方向Xに向かう移動が許容される。
【0039】
各乗越え突起36bは、表裏面が左右方向を向き、かつ上下方向の中央部が、第1方向Xに突出するように屈曲した板状に形成されている。各乗越え突起36bは、上下方向に沿って中央部に向かうに従い第1方向Xに向けて延びている。
ここで、規制板36には、左右方向に貫く窓孔36dが、上下方向に間隔をあけて2つ形成されており、上方に位置する窓孔36dの内面における下端部に、2つの乗越え突起36bのうち、上方に位置する乗越え突起36bの下端部が連結され、下方に位置する窓孔36dの内面における上端部に、2つの乗越え突起36bのうち、下方に位置する乗越え突起36bの上端部が連結されている。
【0040】
規制板36において、乗越え突起36bより下方に位置する部分に、第1方向Xに突出した抜け止め突起36cが形成されている。抜け止め突起36cの、規制板36からの第1方向Xの突出量は、乗越え突起36bの前記突出量と同等になっている。抜け止め突起36cの上端部に、上方を向く平面が形成されている。抜け止め突起36cの上端部が、ステップ台14の頂壁24の裏面における貫通孔24bの開口周縁部に突き当たることによって、規制部材35は、ステップ台14に対して離脱不能となっている。
【0041】
規制部材35には、
図2および
図3に示されるように、第1係止片26の前端面に当接する支持片37が形成されている。支持片37は、規制板36から第1方向Xの反対側に向けて突出している。支持片37は、連結板38の裏面から下方に向けて延びている。支持片37の下端部は、ステップ板23の裏面から下方に向けて突出している。支持片37は、第1係止片26の前端面に、上下方向の全長にわたって当接している。支持片37の後面は、全域にわたって上下方向に真直ぐ延びている。支持片37の前面の下端部に、下方に向かうに従い後方に向けて延びる面取り部37aが形成されている。面取り部37aの全体は、第1係止孔27より下方に位置している。なお、支持片37に面取り部37aを形成しなくてもよい。
【0042】
次に、チャイルドシート1の作用について説明する。
【0043】
ステップ台14を足部13から外す際、連結板38を引上げて規制板36を第1係止孔27から離脱した後に、第1係止片26の下端部を第1方向Xに押圧し、第1係止突起28を第1係止孔27と上下方向で対向させる。この状態で、第2係止突起33を、ステップ板23の裏面に係合したまま、ステップ台14を、第2係止突起33回りに上方に向けて回転させ、第1係止片26を第1係止孔27から離脱した後に、第2係止片31を第2係止孔32から離脱する。
【0044】
ステップ台14を足部13に取付ける際、
図3に二点鎖線で示されるように、ステップ台14を第1ステップ面23aに対して傾け、周壁25における下端開口縁の後端部25aを第1ステップ面23aに沿わせた状態で、ステップ台14の後端部を、足部13の筒板22の内周面に前後方向に突き当てながら、第2係止片31を第2係止孔32に挿入する。
次に、第2係止突起33がステップ板23の裏面に係合し、かつ第1係止片26が第1ステップ面23aに向けて接近するように、ステップ台14を、第2係止突起33回りに下方に向けて回転させ、第1係止片26を第1係止孔27に挿入する。
そして、連結板38を押し下げて規制板36を第1係止孔27に挿入することにより、第1係止片26の第1方向Xに向かう移動を規制する。規制板36を第1係止孔27に挿入する際、支持片37の面取り部37aが、第1係止孔27の内周面の前端面を摺動することにより、規制部材35がステップ台14を後方に押し込む。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によるチャイルドシート1、およびチャイルドシート付き自転車10によれば、足部13に着脱可能に取付けられたステップ台14を備えているので、幼児の成長に合わせて、ステップ台14を足部13に着脱することで、着座した幼児が足を載せるステップ面を、ステップ台14および足部13のうちのいずれかに選択することによって、ステップ面の上下位置を調整することができる。
着座した幼児が足を載せるステップ面の上下位置を調整する際、前述の通り、例えばボルトおよびナット等を操作する工具を用いる必要がないので、この調整を容易に行うことができる。
【0046】
第1係止片26に、第1方向Xの反対側に向けて突出し、ステップ板23の裏面に係合した第1係止突起28が形成されているので、第1係止片26が、第1係止孔27から離脱するのを確実に抑制することができるとともに、第1係止片26を第1方向Xに移動させたときに、第1係止突起28を第1係止孔27と上下方向で対向させることで、第1係止片26を第1係止孔27から容易に離脱することができる。
【0047】
ステップ台14に第1係止片26のみならず第2係止片31も設けられ、足部13に第1係止孔27のみならず第2係止孔32も形成されているので、ステップ台14を足部13に安定して取り付けることができる。
第2係止片31に第2係止突起33が形成されていることから、ステップ台14を足部13に着脱する際、第2係止突起33をステップ板23の裏面に係合した状態で、ステップ台14を、第2係止突起33回りに回転させることが可能になり、この着脱を容易に行うことができる。
【0048】
第1係止片26の下端部における前端面に、上下方向に対して傾斜した面取り部26aが形成されているので、ステップ台14を足部13に取付ける際、第1係止片26を第1係止孔27に容易に挿入することができる。
【0049】
規制部材35に、第1係止片26の前端面に当接する支持片37が形成されているので、ステップ台14を足部13に取付ける過程において、規制部材35を第1係止孔27に挿入したときに、支持片37が、第1係止片26を後方に押し込むこととなり、ステップ台14および足部13の第2方向Yの相対位置を容易に決めることができる。
【0050】
規制部材35が、ステップ台14に対して離脱不能に上下方向に移動可能に設けられているので、規制部材35を第1係止孔27から離脱したときに、規制部材35が、ステップ台14から分離されるのを防ぐことなどが可能になり、着座した幼児が足を載せるステップ面の上下位置を容易に調整することができる。
【0051】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0052】
例えば、規制部材35に支持片37を形成しなくてもよい。
規制板36に、面取り部36a、乗越え突起36bおよび抜け止め突起36cを形成しなくてもよい。
足部13に、上下方向の位置を異ならせて複数の第1係止孔27を形成し、足部13に対するステップ台14の上下方向の取付位置が調整可能な構成を採用してもよい。
【0053】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 チャイルドシート
10 チャイルドシート付き自転車
11 座部
12 背もたれ部
13 足部
14 ステップ台
26 第1係止片
26a 面取り部
27 第1係止孔
28 第1係止突起
31 第2係止片
32 第2係止孔
33 第2係止突起
35 規制部材
37 支持片
X 第1方向
Y 第2方向