(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】給湯システム及び給湯方法
(51)【国際特許分類】
F24H 1/00 20220101AFI20241017BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20241017BHJP
F24H 15/196 20220101ALI20241017BHJP
F24H 15/212 20220101ALI20241017BHJP
F24H 15/335 20220101ALI20241017BHJP
【FI】
F24H1/00 Z
A47K3/00 F
A47K3/00 E
F24H15/196 301G
F24H15/212
F24H15/335
(21)【出願番号】P 2021163662
(22)【出願日】2021-10-04
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】古河 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】小沼 智史
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-106189(JP,A)
【文献】特開2020-040021(JP,A)
【文献】特許第6717991(JP,B2)
【文献】特開2003-265938(JP,A)
【文献】特開2009-005828(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2012-0020775(KR,A)
【文献】特開2007-278597(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0176221(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 15/196
A47K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯中への空気の取り込みにより湯中にウルトラファインバブルを生成させるとともに、生成したウルトラファインバブルを吐出する吐出口を備えるウルトラファインバブル生成機構と、前記吐出口に取り付けられ、前記ウルトラファインバブルを含む湯との接触により、給湯対象設備での湯中にマイクロバブルを生成する多孔質体と、を備えるマイクロバブル生成機構
と、
少なくとも湯を加熱する加熱機構と、
前記加熱機構をバイパスさせるバイパス流路と、
前記加熱機構への湯の供給量と前記バイパス流路への湯の供給量との比を制御する流量制御機構と、を備える
ことを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
前記給湯対象設備の水温を測定する温度センサと、
温度センサの測定値に基づいて前記流量制御機構を制御する制御装置と、を備える
ことを特徴とする請求項
1に記載の給湯システム。
【請求項3】
湯中への空気の取り込みにより湯中にウルトラファインバブルを生成させるとともに、生成したウルトラファインバブルを吐出する吐出口を備えるウルトラファインバブル生成機構と、前記吐出口に取り付けられ、前記ウルトラファインバブルを含む湯との接触により、給湯対象設備での湯中にマイクロバブルを生成する多孔質体と、を備えるマイクロバブル生成機構と、
前記給湯対象設備に3L/分以上10L/分以下の流量で給湯するポンプ
と、を備える
ことを特徴とす
る給湯システム。
【請求項4】
所望とする前記マイクロバブルの生成量に応じた流量になるように前記ポンプを制御する制御装置を備える
ことを特徴とする請求項
3に記載の給湯システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記マイクロバブルの生成量を多くさせるときほど、前記流量を増やすように前記ポンプを制御する
ことを特徴とする請求項
4に記載の給湯システム。
【請求項6】
前記ポンプは、並列に接続された複数の単位ポンプを備え、
前記給湯対象設備への流量に応じて前記単位ポンプの駆動台数を変更する制御装置を備える
ことを特徴とする請求項
3に記載の給湯システム。
【請求項7】
湯中への空気の取り込みにより湯中にウルトラファインバブルを生成させるとともに、生成したウルトラファインバブルを吐出する吐出口を備えるウルトラファインバブル生成機構と、前記吐出口に取り付けられ、前記ウルトラファインバブルを含む湯との接触により、給湯対象設備での湯中にマイクロバブルを生成する多孔質体と、を備えるマイクロバブル生成機構を備え、
前記多孔質体は、金属メッシュフィルタである
ことを特徴とす
る給湯システム。
【請求項8】
湯中への空気の取り込みにより湯中にウルトラファインバブルを生成させるとともに、生成したウルトラファインバブルを吐出する吐出口を備えるウルトラファインバブル生成機構と、前記吐出口に取り付けられ、前記ウルトラファインバブルを含む湯との接触により、給湯対象設備での湯中にマイクロバブルを生成する多孔質体と、を備えるマイクロバブル生成機構を備え、
前記多孔質体は、孔に予め空気が保持された空気保持体である
ことを特徴とす
る給湯システム。
【請求項9】
湯中への空気の取り込みにより湯中にウルトラファインバブルを生成させるウルトラファインバブル生成ステップと、
生成したウルトラファインバブルを含む湯と多孔質体との接触により、給湯対象設備での湯中にマイクロバブルを生成するマイクロバブル生成ステップとを含
み、
前記多孔質体は、金属メッシュフィルタである
ことを特徴とする給湯方法。
【請求項10】
湯中への空気の取り込みにより湯中にウルトラファインバブルを生成させるウルトラファインバブル生成ステップと、
生成したウルトラファインバブルを含む湯と多孔質体との接触により、給湯対象設備での湯中にマイクロバブルを生成するマイクロバブル生成ステップとを含み、
前記多孔質体は、孔に予め空気が保持された空気保持体である
ことを特徴とする給湯方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は給湯システム及び給湯方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の請求項1には、「有蓋有底円筒状の旋回流発生筒の底部近傍に加圧液体を旋回流発生筒中心軸線に対して偏倚して導入する加圧液体導入孔と前記旋回流発生筒の底部を貫通して中心軸線と同軸に設けられた乱流防止筒を備えた気柱生成部と前記気柱生成部の旋回流発生筒の頂部中心軸を貫通して設けられ気体導入量を調整する調整弁を設けた気体導入管と前記気柱生成空間の下部に接続され、排出される気柱を形成する加圧液体を導入する加圧気液導入孔と、この加圧気液導入孔の吐出側において加圧気液導入孔の総面積よりも断面積を大きくしたキャビテーション発生空間を有するキャビテーションノズルを備えたマイクロバブル発生装置。」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクロバブルの生成は、湯中への外部からの空気の取り込みによって行われる。このため、取り込まれる空気の量が多いと、水温が変動する可能性がある。
本開示が解決しようとする課題は、マイクロバブル生成に起因する水温変動を抑制可能な給湯システム及び給湯方法の提供である
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の給湯システムは、湯中への空気の取り込みにより湯中にウルトラファインバブルを生成させるとともに、生成したウルトラファインバブルを吐出する吐出口を備えるウルトラファインバブル生成機構と、前記吐出口に取り付けられ、前記ウルトラファインバブルを含む湯との接触により、給湯対象設備での湯中にマイクロバブルを生成する多孔質体と、を備えるマイクロバブル生成機構と、少なくとも湯を加熱する加熱機構と、前記加熱機構をバイパスさせるバイパス流路と、前記加熱機構への湯の供給量と前記バイパス流路への湯の供給量との比を制御する流量制御機構と、を備える。その他の解決手段は、発明を実施するための形態において後記する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態に係る給湯システムの系統図である。
【
図3】マイクロバブルの生成機構を説明する図である。
【
図4】別の実施形態に係る多孔質体の模式図である。
【
図5】別の実施形態に係る給湯システムの系統図である。
【
図6】本開示の給湯方法を示すフローチャートである。
【
図8】
図5に示した給湯システムにおける給湯時のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための形態(実施形態と称する)を説明する。以下の一の実施形態の説明の中で、適宜、一の実施形態に適用可能な別の実施形態の説明も行う。本開示は以下の一の実施形態に限られず、異なる実施形態同士を組み合わせたり、本開示の効果を著しく損なわない範囲で任意に変形したりできる。また、同じ部材については同じ符号を付すものとし、重複する説明は省略する。更に、同じ機能を有するものは同じ名称を付すものとする。図示の内容は、あくまで模式的なものであり、図示の都合上、本開示の効果を著しく損なわない範囲で実際の構成から変更したり、図面間で一部の部材の図示を省略したり変形したりすることがある。
【0008】
図1は、一実施形態に係る給湯システム1の系統図である。給湯システム1は、給湯対象設備40への給湯を行うものである。給湯対象設備40は、図示の例では浴槽であり、給湯対象設備40に供給される湯の温度は、例えば30~70℃である。ただし、給湯対象設備40の具体的な種類及び供給される湯の温度はこれらの例に限定されない。
【0009】
図2は、MB生成機構10(マイクロバブル生成機構)の模式図である。給湯システム1(
図1)は、給湯対象設備40での湯W中にMB50(マイクロバブル)を生成させるMB生成機構10を備える。MB50の物性は、例えばISO 20480-1:2017において定義され、MB50は例えば1μm以上100μm未満の気泡径を有するバブルのことである。なお、詳細は後記するが、MB50は、UFB51(ウルトラファインバブル)の合体により生成する。UFB51の物性は、同ISOにおいて定義され、UFB51は、例えば1μm未満の気泡径を有するバブルのことである。
【0010】
MB生成機構10は、UFB生成機構5(ウルトラファインバブル生成機構)と、多孔質体6とを備える。UFB生成機構5は、湯W中への空気Aの取り込みにより湯W中にUFB51を生成させる。UFB生成機構5は、更に、生成したUFB51を吐出する吐出口5aを備える。流路24を通じてUFB生成機構5に供給された湯Wは、空気Aを取り込むことでUFB51を生成させ、吐出口5aから給湯対象設備40の湯W中にUFB51を吐出する。吐出は、流路24を通じて供給された水にUFB51が含まれる状態で行われる。UFB生成機構5の具体的な構成は、UFB51を生成可能な機構であれば特に制限されない。
【0011】
多孔質体6は、UFB51を含む湯Wとの接触により、給湯対象設備40での湯W中にMB50を生成する。多孔質体6は、吐出口5aに取り付けられ、吐出口5aから吐出されたUFB51は、吹出圧によって多孔質体6と接触する。多孔質体6との接触により、UFB51からMB50が生成し、MB50が湯W中に生成する。
【0012】
図3は、MB50の生成機構を説明する図である。紙面奥側は吐出口5a(
図2)の側、手前側は、給湯対象設備40(
図1)としての浴槽内に存在する使用者(不図示)の側である。多孔質体6は、例えば金属メッシュフィルタである。金属メッシュフィルタは高い強度を有するため、耐久性を向上できる。中でも、例えばステンレス鋼等の耐腐食性を有する金属を使用することで、給湯対象設備40の例えば洗浄時に使用する薬剤(洗剤)への耐腐食性を向上でき、この点でも耐久性を向上できる。
【0013】
多孔質体6は、湯Wを通す孔61と、孔61を区画する線材62とを備える。線材62は例えば格子状に編み込まれ、交差する線材62同士によって区画された領域に、孔61が形成する。孔61の大きさは特に制限されないが、最も長い部分の長さとして例えば1μm以上1mm以下にできる。
【0014】
吐出口5aから噴き出された湯Wは、UFB51とともに多孔質体6に接触する。そして、湯Wは、孔61を通り、使用者の側に至る。湯Wが孔61を通るとき、湯W中のUFB51は線材62に接触する。これにより、UFB51は、線材62との接触に起因して挙動が変化し、複数のUFB51が合体する。この結果、UFB51(例えば1μm未満の気泡)よりも大きな径のMB50(例えば1μm以上100μm未満の気泡)が生成する。生成したMB50は、湯Wとともに、使用者の側に放出される。
【0015】
図4は、別の実施形態に係る多孔質体6の模式図である。別の実施形態では、多孔質体6は、孔61に予め空気(不図示)が保持された空気保持体63である。空気保持体63を使用することで、UFB51からMB50が生成する際、UFB51とともに予め保持された空気を使用して、MB50を生成できる。これにより、MB50の生成量を増加できる。また、予め保持された空気を併用してMB50が生成するため、給湯開始後すぐにMB50を生成できる。
【0016】
空気保持体63は、例えば、軽石、沸騰石等の多孔質体である。空気保持体63への空気の保持は、例えば空気中での放置により自然と行われてもよく、注入装置(不図示)を用いた孔61への注入等の人工的に行われてもよい。
【0017】
更に別の実施形態に係る多孔質体6は、例えば、何れも不図示の不織布、織布、樹脂繊維の集合体(エアコンフィルタ等)である。これらを用いても、MB50を生成できる。
【0018】
図2に戻って、MB生成機構10は、更に、給湯対象設備40の湯Wを吸い込む機能を有する。図示の例では、UFB生成機構5は、吸込口5bを通じて湯Wを吸込む。吸込みは、流路21を通じて接続されたポンプ2(
図1)により行われる。
【0019】
図1に戻って、給湯システム1は、ポンプ2と、三方弁3と、タンク4とを備える。ポンプ2と、三方弁3と、タンク4とは、流路21,22,23,24により接続される。具体的には、MB生成機構10とポンプ2とは、流路21により接続される。流路21には、給湯対象設備40の湯Wの温度を測定する温度センサ12が接続される。ポンプ2と三方弁3とは、流路23により接続される。三方弁3とタンク4とは、流路22により接続される。
【0020】
タンク4(加熱機構。給湯タンク)は、給湯対象設備40への給湯運転中に少なくとも湯W(図示の例では、水R及び湯W)を加熱する。タンク4には、流路26を通じて外部からの水R(例えば水道水)が供給され、水Rはタンク4において加熱され、湯が生成する。一方で、膨張弁7と、熱交換器8(空気用)と、圧縮機11と、熱交換器9(水加熱用)とを備えるヒートポンプ(冷凍サイクル)も備えられる。熱交換器9には、ポンプ13の駆動により、タンク4の下部に接続された流路14を介し、タンク4内の水R(又は湯)が供給される。熱交換器9では、水R(又は湯)は、圧縮機11から吐出した高温冷媒により加熱される。加熱により生じた湯(加熱された水R、又は昇温した湯)は、流路14を介してタンク4の頂部からタンク4に戻される。タンク4の湯は、タンク4の頂部に形成された排出口4bを通じ、流路24に供給される。
【0021】
また、タンク4は、流路22,24に接続される熱交換器41(例えば伝熱管により構成される)を内部に備え、内部に貯留された湯を介して、熱交換器41を流れる湯Wも加熱する。
【0022】
タンク4とMB生成機構10とは流路24により接続される。三方弁3と流路24とは、タンク4及び流路22をバイパスさせるように、流路25により接続される。流路21,22,23,24,25により、給湯対象設備40の湯Wは給湯対象設備40の内外を循環する。
【0023】
ポンプ2は、給湯対象設備40に例えば3L/分以上、好ましくは5L/分以上、上限として例えば10L/分以下、好ましくは7L/分以下の流量で給湯するものである。この流量での給湯により、給湯対象設備40での湯W中にMB50(
図2)を生成できる。
【0024】
給湯システム1は、所望とするMB50の生成量に応じた流量になるようにポンプ2を制御する制御装置30を備える。制御装置30を備えることで、使用者が所望するMB50の生成量を、給湯対象設備40の湯W中に生成できる。制御装置30とポンプ2とは、
図1において破線で示す電気信号線により、接続される。
【0025】
制御装置30は、何れも図示はしないが、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えて構成される。制御装置30は、ROMに格納されている所定のプログラム(制御プログラム)がRAMに展開され、CPUによって実行されることにより具現化される。ここでいうプログラムは、コンピュータに本開示の給湯方法(後記)を実行させるためのものである。
【0026】
制御装置30は、MB50の生成量を多くさせるときほど、給湯対象設備40への流量を増やすようにポンプ2を制御する。流量が多いほどUFB51(
図3)の生成量が増え、これにより、MB50の生成量も増える。従って、この制御により、使用者の要求に応じた量のMB50を給湯対象設備40での湯W中に生成できる。
【0027】
なお、使用者が入力装置(不図示。ボタン等)を通じてMB50の生成量を入力すると、その生成量は、電気信号線(不図示)を通じて制御装置30に入力される。制御装置30は、入力された生成量に基づき、例えばインバータ制御されるポンプ2の例えばインバータの回転速度を制御する。制御装置30は、生成量と回転速度の関係(例えば表等のデータベース)を保持しており、入力された生成量に対応する回転速度を選択する。
【0028】
流路25(バイパス流路)は、タンク4をバイパスさせる流路(例えば配管)である。三方弁3(流量制御機構)は、タンク4への湯Wの供給量と流路25への湯Wの供給量との比を制御する。三方弁3は、
図1において破線で示す電気信号線により、制御装置30に接続される。三方弁3は開度調整可能で、開度に応じて、当該比が制御される。三方弁3は、
図1において破線で示す電気信号線により、制御装置30に接続される。制御装置30は、三方弁3の開度を制御する。上記のタンク4、流路25及び三方弁3を備えることで、タンク4による湯Wの加熱不要時、流路25を介してタンク4をバイパスでき、不要なエネルギ消費を抑制できる。
【0029】
給湯システム1は、上記のように、温度センサ12を備える。測定された温度は、電気信号線を介し、制御装置30に入力される。制御装置30は、温度センサ12の測定値に基づいて三方弁3を制御する。この制御により、使用者により使用される給湯対象設備40での水温に基づいて加熱の有無を判断でき、無駄な加熱を抑制できる。制御は、例えば、水温が所定値(例えば使用者により設定された設定値+1℃)以上のとき流路25に流し、当該所定値未満のとき流路22に流すように、実行できる。
【0030】
図5は、別の実施形態に係る給湯システム1の系統図である。ポンプ2は、並列に接続された複数の単位ポンプ2a,2bを備え、
図5の給湯システム1は、更に、流路21への単位ポンプ2bの接続及び解除を切り替える弁31と、流路23への単位ポンプ2bの接続及び解除を切り替える弁32と、を備える。制御装置30は、給湯対象設備40への流量に応じて単位ポンプ2a,2b(2台ではなく3台以上でもよい)の駆動台数を変更する。このような制御により、単位ポンプ2aに過度の負担をかけることなく大流量で湯Wを給湯でき、使用者の要求に応じることが可能なMB50の生成量の上限を大きくできる。
【0031】
上記のように、MB50の生成量を多くさせるときほど、給湯対象設備40への流量が増える。そこで、制御装置30により要求される流量が単位ポンプ2aの駆動のみで賄えるときには、制御装置30による弁31,32の閉弁により、単位ポンプ2aのみが駆動される。これにより、ポンプ2の駆動による消費電力を抑制できる。一方で、制御装置30により要求される流量が単位ポンプ2aの駆動のみでは賄えないときには、制御装置30による弁31,32の開弁により、単位ポンプ2a,2bが駆動される。これにより、所望量のMB50(
図2)を生成できる。
【0032】
図6は、本開示の給湯方法を示すフローチャートである。本開示の給湯方法は、UFB生成ステップS101と、MB生成ステップS102とを含む。UFB生成ステップS101は、湯W中への空気の取り込みにより湯W中にUFB51(
図2)を生成させるステップである。MB生成ステップS102は、生成したUFB51を含む湯Wと多孔質体6(
図2)との接触により、給湯対象設備40での湯W中にMB50を生成するステップである。
【0033】
本開示の給湯方法は、給湯対象設備40への給湯、即ちMB生成機構10への通水時に実行できる。ここでいう通水は、上記
図1を参照して説明した湯Wの循環を含む。そこで、以下、給湯対象設備40がふろである場合に、MB生成機構10への通水が浴槽への給湯、及び、循環による浴槽の保温時を例示して、本開示の給湯方法を説明する。
【0034】
図7は、給湯時のフローチャートである。
図7及び後記の
図8,
図9に示すフローは、
図1に示す給湯システム1により、制御装置30(
図1)によって実行される。以下、
図7及び後記の
図8,
図9の説明を、
図1を適宜参照しながら行う。
【0035】
制御装置30は、給湯運転を開始するか否かを判断する(ステップS1)。例えば、制御装置30は、使用者により運転開始ボタン(不図示)が押下され、かつ、所定の運転禁止条件(例えば外気温が低い等)を満たさない場合に、運転開始と判断する。運転を開始しないとの判断の場合(No)、制御装置30は、報知装置(不図示)を介して、その旨の音声アナウンスにより使用者に報知する(ステップS2)。一方で、運転開始との判断の場合(Yes)、制御装置30は、前回運転時の追い炊きカウント(追い炊きの間隔)をクリアする(ステップS3)。
【0036】
制御装置30は、三方弁3を制御し、流路23と流路25とを接続させる(ステップS4)。これとともに、流路22の接続が解除される。これにより、給湯対象設備40の湯Wの循環準備が整う。
【0037】
制御装置30は、水位センサ(不図示)により、給湯対象設備40での湯Wの残水を確認する(ステップS5)。例えば栓(不図示)が抜けていた等の理由で残水が無ければ(ステップS6のNo)、制御装置30は以降の運転を中止する。一方で、残水が有れば((ステップS6のYes)、制御装置30は、ポンプ2を最大出力で運転する(ステップS7)。これにより、MB生成機構10を介して、MB50を含む湯Wが給湯対象設備40に給湯される。このとき、給湯対象設備40の湯Wは、給湯対象設備40の内外を循環し、適宜タンク4で加熱される。
【0038】
制御装置30は、ポンプ2の運転開始から時間を測定し、設定時間が経過する迄(ステップS8のNo)、運転を継続する。一方で、設計時間経過後(ステップS8のYes)、制御装置30は報知部(不図示)を介して終了アナウンスを行う(ステップS9)。以上により、MB50の生成が終了する。
【0039】
図8は、
図5に示した給湯システム1における給湯時のフローチャートである。まず、制御装置30は、入力装置(不図示。ボタン等)を通じて使用者が入力したMB50の生成量を受け付ける(ステップS21)。制御装置30は、受け付けた生成量に対応する流量を、予め保持された例えばデータベース(不図示)に基づき決定する(ステップS22)。制御装置30は、決定した流量に基づき、ポンプ2の駆動台数を決定する(ステップS23)。具体的には、制御装置30は、決定した流量が単位ポンプ2aの運転可能最大流量より大きいか否かを判断し、大きい場合には単位ポンプ2a,2bの2台に決定する。一方で、小さい場合には、制御装置30は、単位ポンプ2aの1台に決定する。
【0040】
制御装置30は、決定した台数に基づき弁31,32の開閉制御を行うとともに、ポンプ2の駆動を開始する。これにより、MB生成機構10を介し、MB50を含む湯Wを給湯対象設備40に給湯できる。
【0041】
図9は、保温時のフローチャートである。制御装置30は、保温運転を行うか否かを判断する(ステップS12)。保温運転は、例えば、使用者による入力装置(不図示。設定ボタン等)の操作により行われる。例えば設定ボタンの押下が行われるまで(No)、ステップS12が行われる。
【0042】
保温運転開始後(Yes)、更に所定時間経過したら(例えば60秒)、制御装置30は、運転開始時のふろ温度(開始時ふろ温度)を確定する(ステップS13)。確定は以下のようにして行われる。例えば、設定温度が、運転開始時の実際のふろ温度以下の場合、設定温度が開始時ふろ温度として確定される。一方で、設定温度が、運転開始時の実際のふろ温度を超える場合、開始時ふろ温度として確定される。
【0043】
制御装置30は、ふろ温度が開始時風呂温度+1℃になるように、三方弁3の開度をフィードバック制御(FB制御)する(ステップS14)。循環中に湯Wの温度が低下するため、+1℃を目標にFB制御することで、給湯対象設備40での湯Wの温度を設定温度にできる。三方弁3の、タンク4に至る側の開度(%)は、例えば、100-100*{(開始時ふろ温度+1)-実際のふろ温度)/(タンク4の頂部温度-実際のふろ温度)}等の数式に基づいて決定できる。なお、タンク4の頂部4aに配置された温度センサ(不図示)が故障の場合には、タンク4の頂部温度は例えば90℃に設定できる。
【0044】
制御装置30は、三方弁3を用いた保温運転終了条件を満たすか否かを判断する(ステップS16)。終了条件は、例えば、タンク4の頂部4aの温度が、設定温度+5℃未満の場合、又は、開始時ふろ温度が実際のふろ温度未満(現在のふろ温度の方が高い)の場合、の少なくとも一方である。満たさない場合(No)、ステップS14以降が再度行われる。満たす場合(Yes)、制御装置30は、流路25を流路23,24に接続し流路22の接続を解除するように三方弁3を制御する(ステップS16)。これにより、タンク4がバイパスされ、タンク4を介さずに給湯対象設備40の湯Wが循環し、保温運転が終了する。
【0045】
本開示の給湯システム1及び本開示の給湯方法によれば、MB生成機構10を介してMB50を給湯対象設備40の湯Wに生成できる。MB生成機構10は、UFB生成機構5により生成したUFB51を用いてMB50を生成させるため、湯Wへの空気取り込み量はMB50よりも小さなUFB51に対応する量である。従って、取り込まれる空気量を少なくでき、MB50の生成に起因する水温変動を抑制できる。
【0046】
MB50を含む湯Wは白濁しているため、白濁した湯Wを見た使用者にMB50の存在を印象付けることができる。また、給湯対象設備40が浴槽である場合、MB50を含む湯W(即ち湯)は保温効果を有し、使用者に対し、保温効果を与えることができる。更には、湯Wに浸かる使用者が肌触りの良さを感じることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 給湯システム
10 MB生成機構
11 圧縮機
12 温度センサ
13 ポンプ
14 流路
2 ポンプ
21 流路
22 流路
23 流路
24 流路
25 流路
26 流路
2a 単位ポンプ
2b 単位ポンプ
3 三方弁
30 制御装置
31 弁
32 弁
4 タンク
40 給湯対象設備
4a 頂部
4b 排出口
41 熱交換器
5 UFB生成機構
50 MB
51 UFB
5a 吐出口
5b 吸込口
6 多孔質体
61 孔
62 線材
63 空気保持体
7 膨張弁
8 熱交換器
9 熱交換器
A 空気
R 水
W 水