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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】脚、構造物
(51)【国際特許分類】
   F16M 7/00 20060101AFI20241017BHJP
   A47B 91/02 20060101ALI20241017BHJP
   F16M 13/00 20060101ALI20241017BHJP
   F16M 13/02 20060101ALI20241017BHJP
   F16M 11/24 20060101ALI20241017BHJP
   F25D 23/00 20060101ALN20241017BHJP
【FI】
F16M7/00 B
A47B91/02
F16M7/00 D
F16M13/00 P
F16M13/02 W
F16M11/24 J
F25D23/00 303
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021210245
(22)【出願日】2021-12-24
(65)【公開番号】P2023094751
(43)【公開日】2023-07-06
【審査請求日】2023-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤木 義明
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩俊
(72)【発明者】
【氏名】安藤 弘晃
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-036458(JP,A)
【文献】特開平04-320783(JP,A)
【文献】実開平05-039354(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0405054(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102008021374(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 91/00-97/08
F16M 7/00
F16M 11/24
F16M 13/00-13/02
F25D 23/00
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の接地面側に配される脚本体と、
該脚本体とともに回動することにより前記脚本体と前記構造物との距離を調整可能な回動軸と、を備え、
前記脚本体は、前記回動軸を中心軸と見た場合に、前記脚本体の外周面に開放端を有し、かつ、前記脚本体の前記構造物側が開放されている溝を有し、
該溝と前記脚本体の前記接地面との間は、前記脚本体の底部壁により閉じられ
前記溝は、外周部と、内周部と、を含み、
前記構造物側から見た場合に、前記外周部は長方形状であり、前記内周部は円弧形状であり、
前記内周部の円弧の直径は、前記外周部の長方形の幅よりも大きい、脚。
【請求項2】
前記溝における前記底部壁は、前記脚本体の前記外周部に位置する部分が前記脚本体の前記内周部に位置する部分よりも厚い、請求項1記載の脚。
【請求項3】
前記溝は、前記脚本体の前記内周部に位置する部分が前記脚本体の前記外周部に位置する部分よりも深い、請求項1記載の脚。
【請求項4】
前記溝は、前記脚本体の前記内周部に位置する部分が前記脚本体の前記外周部に位置する部分よりも幅広である、請求項1記載の脚。
【請求項5】
前記脚本体の前記外周部における前記溝の幅は、前記溝の深さよりも小さい、請求項1記載の脚。
【請求項6】
前記溝と前記回動軸との間には、前記脚本体の内周壁が設けられている、請求項1記載の脚。
【請求項7】
前記溝に工具を入れて前記脚本体を回動させる際に、前記工具の中心軸が力点から前記回動軸に向かう方向のベクトルである工具ベクトルと作用点に働く力のベクトルである作用ベクトルとがなす角θo、及び前記工具ベクトルと支点に働く力のベクトルである反作用ベクトルとがなす角θiについて、次の関係式(1)が成り立つ、請求項1記載の脚。
θo<θi …(1)
【請求項8】
構造物本体と、
請求項1~7のいずれか一項に記載の脚と、を備え、
前記構造物本体は、前記脚により支持される構成を有する、構造物。
【請求項9】
冷蔵庫である、請求項8記載の構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、脚、構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫や洗濯乾燥機等の家電製品の接地部分には、高さ調節可能な脚が設けられている。
【0003】
特許文献1には、冷蔵庫筐体の底面に取り付けられる調節足であって、調節足本体と、ねじ部と、を備え、調節足本体は、上部溝及びこれと連通した底部孔からなる工具係合部を有するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6238875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている調節足は、工具係合部が底部孔を有するため、高さ調節作業において工具を工具係合部に挿入する際、工具の先端が床面に達し、床面を傷つける場合があると考えられる。
【0006】
本開示は、構造物の脚の回動作業をする際に、工具の先端で床面を傷つけないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る脚は、構造物の接地面側に配される脚本体と、脚本体とともに回動することにより脚本体と構造物との距離を調整可能な回動軸と、を備え、脚本体は、回動軸を中心軸と見た場合に、脚本体の外周面に開放端を有し、かつ、脚本体の構造物側が開放されている溝を有し、溝と脚本体の接地面との間は、脚本体の底部壁により閉じられている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、構造物の脚の回動作業をする際に、工具の先端で床面を傷つけないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例の脚を示す斜視図である。
図2図1の脚を示す上面図である。
図3】実施例の脚に工具を挿入した状態を示す写真である。
図4】実施例の冷蔵庫の脚及び運搬用取っ手の配置を示す部分平面図である。
図5】実施例の脚が工具から受ける力の方向を示す写真である。
図6】実施例の脚の溝の寸法を示す写真である。
図7】実施例の冷蔵庫及び脚カバーを示す写真である。
図8】実施例の冷蔵庫を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施例について図面を用いて説明する。
【実施例
【0011】
本実施例の脚は、構造物の底部に取り付けられ、床面等と接触し、構造物を支持するものである。構造物としては、冷蔵庫、洗濯乾燥機、各種の棚等が挙げられる。ただし、構造物は、これらの例に限定されるものではない。
【0012】
図1は、実施例の脚を示す斜視図である。
【0013】
本図においては、脚100は、概略形状が円板形状又は円柱形状の脚本体と、脚本体の中心に固定された回動軸150と、を備えている。脚本体は、上面部120に溝110を有する。言い換えると、溝110は、脚本体の構造物側(上面部120)が開放された形状を有する。上面部120は、構造物に対向する部分である。溝110は、脚本体の外周面に開放端を有する。脚本体の底部130は、全面が閉じられている。ゆえに、溝110は、脚本体の底部130に開放部(貫通孔)等を有していない。言い換えると、溝110と脚本体の接地面との間は、脚本体の底部130(底部壁)により閉じられている。
【0014】
回動軸150は、脚本体の上面部120の上方に突出している。回動軸150は、脚本体とともに回動する脚100の回転中心となる。回動軸150は、螺旋状の溝を有するねじであり、脚本体と構造物との距離を調整することができる。なお、図示していないが、回動軸150は、脚本体の底部130を貫通することなく、底部130の下面部よりも上方にその下端部が位置するように配置されている。よって、脚本体は、回動軸150よりも構造物の接地面側に配される。すなわち、脚本体は、床面等と直接接触する。
【0015】
回動軸150を中心軸と見た場合には、溝110は、脚本体の外周面に開放端を有する。
【0016】
なお、後述のとおり、溝110には、棒状の工具を挿入して、脚100が回動軸150を軸として回転するように力を加える。そのため、溝110は、工具が適切に挿入され工具から適切な力を受けるような形状を有する。後述のとおり、支点116及び作用点118に工具が接触するようになっている。
【0017】
また、溝110における底部壁は、脚本体の外周部112に位置する部分が脚本体の内周部114に位置する部分よりも厚くしてある。この構成は、底部130の下面部がほぼ平坦である場合である。この場合、溝110は、脚本体の内周部114に位置する部分が脚本体の外周部112に位置する部分よりも深い。このような構成により、工具を挿入する際に、斜め上から挿入することができ、工具が安定しやすい、という利点がある。また、外周部112が肉厚であるため、脚本体の強度を確保することができる。
【0018】
底部130の下面部の形状が下に凸の曲面形状である場合には、溝110における底部壁において、脚本体の外周部112に位置する部分よりも脚本体の内周部114に位置する部分の方が厚くなる場合もあり得る。
【0019】
また、溝110は、脚本体の内周部114に位置する部分が脚本体の外周部112に位置する部分よりも幅広であることが望ましい。
【0020】
また、溝110と回動軸150との間には、脚本体の内周壁が設けられていることが望ましい。溝110に工具を入れて脚本体を回動させる際に、脚本体が回動軸150と接する部分の面積が小さいと、この部分に強いせん断応力がかかり、脚本体が回動軸150から分離してしまうおそれがあるからである。
【0021】
脚100は、例えば、回動軸150を金型に設置した状態で、樹脂の射出成形をすることにより脚本体を形成して、作製することができる。なお、回動軸150は、ステンレス鋼製であることが望ましく、脚本体を構成する樹脂は、ポリプロピレン(PP)製であることが望ましい。
【0022】
図2は、図1の脚を示す上面図である。
【0023】
図2に示すように、溝110は、回動軸150を中心として放射状に6本形成されている。溝110は、脚本体の外周部112及び内周部114を含む。上方から見ると、外周部112は長方形状であり、内周部114は円弧形状となっている。内周部114の円弧の直径は、外周部112の長方形の幅よりも大きくなっている。
【0024】
このように、外周部112と内周部114とが結合して溝110を形成しているため、溝110にドライバー等の尖った部分を有する工具を挿入した場合であっても、先端の尖った部分が溝110の内壁面に接触することなく脚100を回動させるための力を加えることができる。また、工具が接触する部位を設計どおりの位置である支点116及び作用点118とすることができる。
【0025】
このように、溝110に工具などを差し込んで脚本体を回す場合、工具を斜めに差し込んで作業することがあり得るが、溝110の底部130により閉じられているため、工具の先端が床面に接触することはなく、床面を傷つけないように脚の回動作業をすることができる。
【0026】
図3は、実施例の脚に工具を挿入した状態を示す写真である。
【0027】
本図においては、工具300としてプラスドライバーを挿入している。そして、工具300の曲面が溝110の内壁面の支点116及び作用点118に接触している。このように、脚100は、家電品のユーザーが通常所有する汎用のドライバー等の工具を用いて回動することができる。なお、工具としては、ドライバーのほか、六角レンチ等を用いることができる。
【0028】
図4は、実施例の冷蔵庫の脚及び運搬用取っ手の配置を示す部分平面図である。
【0029】
本図に示す冷蔵庫400の底部には、脚401及び運搬用取っ手404が設けられている。冷蔵庫400は、側壁部410及び正面ドア420を有する。脚401は、冷蔵庫400の正面から見て、右側の側壁部410の位置に設けられている。運搬用取っ手404は、冷蔵庫400の正面から見て、脚401よりも中央寄りに配置されている。図示していないが、冷蔵庫400の正面から見て、左側にも対称の位置に脚及び運搬用取っ手が設けられている。すなわち、左右の二つの脚401の間に二つの運搬用取っ手404が設けられている。
【0030】
図5は、実施例の脚が工具から受ける力の方向を示す写真である。
【0031】
本図においては、支点116及び作用点118に工具300(ドライバー)からの力がかかっている。この力は、脚100を時計回りに回動する方向に作用する。
【0032】
溝に工具300を入れて脚本体を回動させる際に、工具300の中心軸が力点から回動軸150に向かう方向のベクトルである工具ベクトル502と作用点118に働く力のベクトルである作用ベクトル506とがなす角θ、及び工具ベクトル502と支点116に働く力のベクトルである反作用ベクトル504とがなす角θについて、次の関係式(1)が成り立つ。
【0033】
θ<θ …(1)
図6は、実施例の脚の溝の寸法を示す写真である。
【0034】
本図においては、脚本体の外周部における溝の幅Wは、溝の深さHよりも小さい。
【0035】
すなわち、次の関係式(2)が成り立つ。
【0036】
W<H …(2)
これは、一般に、工具の形状が断面円形状又は正多角形状であるため、工具が収まる溝の幅Wに対して溝の深さHが大きければ、工具が抜けにくくなり、脚を回動するために力を加える際に、工具が安定するからである。
【0037】
図7は、実施例の冷蔵庫及び脚カバーを示す写真である。
【0038】
本図においては、冷蔵庫700の正面下部の野菜室の引き出しを除去した状態を示している。
【0039】
冷蔵庫700の底部730を構成する断熱壁には、二つの脚702及び二つの運搬用取っ手704が設けられている。その手前側には、脚カバー710が取り外した状態で置かれている。脚カバー710は、冷蔵庫700の脚702を覆うものである。脚カバー710には、二つの突起部712が設けられている。二つの運搬用取っ手704は、二つの脚702の間に設けられている。脚702と運搬用取っ手704との間には、脚カバー710の固定部722が設けられている。突起部712は、固定部722に挿入されるように配置されている。
【0040】
固定部722が運搬用取っ手704の外側(冷蔵庫700の側面側)に設けられているため、脚カバー710を冷蔵庫700に取り付ける際に、冷蔵庫700の側面側から固定部722を目視しやすい、という利点がある。また、脚702が固定部722の外側に設けられているため、脚702を回動する際に、工具を差し込みやすく、作業がしやすい、という利点がある。さらに、脚カバー710の側面部が開放された構造、すなわち、脚カバー710の側壁の少なくとも一部が開放された構造とすれば、脚カバー710を取り外すことなく、脚702の回動作業をすることができる。
【0041】
また、運搬用取っ手704と固定部722とは、一体として形成されている。さらに、本図に示す運搬用取っ手704は、左右対称形であり、その両側に固定部722、723を設けている。このため、運搬用取っ手704は、冷蔵庫700の左右どちらの位置にも取り付けることができ、共用可能である。
【0042】
また、脚702についても、冷蔵庫700の左右どちらの位置にも取り付けることができ、共用可能である。
【0043】
本図においては、固定部722は、冷蔵庫の幅方向の外側に設けられ、固定部723は、固定部722とは反対側(冷蔵庫の幅方向の内側)に設けられている。
【0044】
脚カバー710の固定部723と対向する位置には、固定部723に挿入される突起部(図示せず)を設けてもよい。これにより、2つの固定部722、723に2つの突起部が挿入されることになり、脚カバー710をより強固に固定することができる。
【0045】
なお、本図に示す脚カバー710は、本開示に係る脚の特徴を有しない脚を用いる場合であっても、脚の回動作業を行う際に、工具を差し込みやすく、作業がしやすい、という利点がある。
【0046】
図8は、実施例の冷蔵庫を示す正面図である。
【0047】
本図に示すように、冷蔵庫1は、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6の貯蔵室を有している。冷蔵室2は、左右に分割された回転式の冷蔵室ドア2a、2bを備えている。製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6は、引き出し式となっている。
【0048】
冷蔵室2の上部及び下部には、冷蔵室ドア2a、2bを冷蔵庫1に固定するためのドアヒンジ(図示していない。)が設けられている。このうち、上部のドアヒンジは、ドアヒンジカバー16で覆われている。
【0049】
冷蔵庫1の底部には、脚(図示していない。)が設けられている。脚は、脚カバー10で覆われている。すなわち、本開示に係る構造物の一例である冷蔵庫1のうち、脚及び脚カバー10以外の部分は、「構造物本体」と呼ぶことができる。そして、構造物本体は、脚により支持される構成を有する。
【0050】
貯蔵室内の温度に関しては、冷蔵室2及び野菜室6は、基本的に冷蔵温度帯(0℃以上)に制御される冷蔵貯蔵室であり、例えば冷蔵室2は約2℃、野菜室6は約6℃に制御される。製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5は、冷凍温度帯(0℃未満)に制御される冷凍貯蔵室であり、例えば平均的に-20℃程度に制御される。
【符号の説明】
【0051】
1、700:冷蔵庫、2:冷蔵室、2a、2b:冷蔵室ドア、3:製氷室、4:上段冷凍室、5:下段冷凍室、6:野菜室、10:脚カバー、16:ドアヒンジカバー、100:脚、110:溝、112:外周部、114:内周部、120:上面部、130:底部、150:回動軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8