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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】パレットコンテナ
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/04 20060101AFI20241017BHJP
   B65D 90/04 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
B65D77/04
B65D90/04 G
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021515205
(86)(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2019000271
(87)【国際公開番号】W WO2020057772
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】202018004352.4
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591112326
【氏名又は名称】マウザー-ヴェルケ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Mauser-Werke GmbH
【住所又は居所原語表記】Schildgesstrasse 71-163, D-50321 Bruehl, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ ヴァイラオホ
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-190791(JP,A)
【文献】国際公開第2017/162258(WO,A1)
【文献】特開2005-239267(JP,A)
【文献】特表2018-503566(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0053617(US,A1)
【文献】特表平7-507258(JP,A)
【文献】特表平4-504837(JP,A)
【文献】米国特許第3377766(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/112012(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/04
B65D 88/00-90/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状のまたは流動性の充填物の保管および搬送のためのパレットコンテナ(10)であって、前記パレットコンテナは、熱可塑性プラスチックから成る、薄壁で剛性のプラスチック内側容器(12)、支持カバーとして前記プラスチック内側容器(12)を密に取り囲み、互いに溶接された水平方向の管ロッド(18)と鉛直方向の管ロッド(20)とから成る管格子フレーム(14)、および前記プラスチック内側容器(12)が載置されていて、前記管格子フレーム(14)が堅固に接続されている方形の底部パレット(16)を有しており、立方体状の前記プラスチック内側容器(12)は、ねじ込み蓋(26)によって閉鎖可能な上方の充填管片と、閉鎖可能な排出バルブ(24)を備えた底面側の排出管片とを有しており、前記剛性のプラスチック内側容器(12)内には、プラスチックフィルムから成る柔軟なインライナ(28)が装着されていて、前記インライナは、下方でインライナ管片(30)を介して、前記剛性のプラスチック内側容器(12)の前記排出管片とかつ/または前記排出バルブ(24)と、気密かつ液密に接続されている、パレットコンテナにおいて、
前記インライナ(28)の前記インライナ管片(30)は、前記排出バルブ(24)の排出バルブケーシング(32)の、前記プラスチック内側容器(12)の内面に向けられた円筒状の管片(34)に、直接、材料接続的に接続されており、
前記排出バルブ(24)に直接溶接される前記インライナ(28)は、単純な長方形のクッションライナとして形成されていて、インライナフィルムの、前記排出バルブ(24)に面したコーナー部分は、中央に向かって折り畳まれていて、両側から中央に向かって巻かれて棒状のフィルムロールを形成し、チューブ状のパッキングカバー(56)が被せられていることを特徴とする、パレットコンテナ。
【請求項2】
前記インライナ管片(30)は、円筒状の溶接領域(44)を介して、直接、半径方向内側から、前記排出バルブケーシング(32)の前記円筒状の管片(34)の内表面に材料接続的に接続されている、請求項1記載のパレットコンテナ。
【請求項3】
前記インライナ(28)の前記インライナ管片(30)は、前記排出バルブ(24)の前記排出バルブケーシング(32)の、前記プラスチック内側容器(12)の内面に向けられた前記円筒状の管片(34)に、直接、溶接されている、請求項1または2記載のパレットコンテナ。
【請求項4】
前記インライナ管片(30)は、前記排出バルブ(24)の外側から前記排出バルブケーシング(32)内に導入されるピン状の溶接装置によって、前記排出バルブケーシング(32)の前記円筒状の管片(34)の内表面に溶接されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のパレットコンテナ。
【請求項5】
前記インライナ管片(30)は、前記インライナの内側から前記排出バルブケーシング(32)内に導入されるピン状の溶接装置によって、前記排出バルブケーシング(32)の前記円筒状の管片(34)の内表面に溶接されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のパレットコンテナ。
【請求項6】
前記排出バルブ(24)の前記排出バルブケーシング(32)の前記円筒状の管片(34)内に、ドレイン管(46)が堅固に装着されていて、溶接された前記インライナ管片(30)を通過して該ドレイン管(46)が一定の距離だけ前記インライナ(28)内に突入している、請求項1から5までのいずれか1項記載のパレットコンテナ。
【請求項7】
前記排出バルブ(24)は3インチ排出バルブとして形成されていて、前記ドレイン管(46)の装着のために、ベースディスク(48)が前記排出バルブ(24)の前記排出バルブケーシング(32)の前記円筒状の管片(34)内に装着されている、請求項6記載のパレットコンテナ。
【請求項8】
前記ドレイン管(46)と前記ベースディスク(48)とは、一体の構成部品として射出成形法により製造されている、請求項記載のパレットコンテナ。
【請求項9】
前記ベースディスク(48)は、前記排出バルブケーシング(32)の前記円筒状の管片(34)にねじ込まれる金属性のアースねじ(52)によって、回動不能に前記排出バルブ(24)に固定されている、請求項7または8記載のパレットコンテナ。
【請求項10】
前記チューブ状のパッキングカバー(56)は、薄いプラスチックフィルムから成っており、長手方向に延在する、容易に裂断開封可能な分離線を有している、請求項1からまでのいずれか1項記載のパレットコンテナ。
【請求項11】
溶接されたインライナ(28)を有する前記排出バルブ(24)と、前記排出バルブ内に差し込まれた、ベースディスク(48)を含むドレイン管(46)と、それらの上に被せられたパッキングカバー(56)とが、容易に交換可能な、充填の際に自動的に展開するモジュールユニット(58)として構成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載のパレットコンテナ。
【請求項12】
底面側の柔軟な前記インライナ管片(30)は、小さい直径のチューブ状フィルムとして、柔軟な前記インライナ(28)は、大きい直径のチューブ状フィルムとして、同じバリア特性を備えた同じ多層の複合フィルム材料から製作されている、請求項1から11までのいずれか1項記載のパレットコンテナ。
【請求項13】
前記プラスチック内側容器(12)の上面に設けられた閉鎖可能な容器開口上の前記ねじ込み蓋(26)内に、2インチまたは3/4インチの栓プラグによって閉鎖可能な、圧縮空気ポンプを接続するための小さな栓開口が配設されている、請求項1から12までのいずれか1項記載のパレットコンテナ。
【請求項14】
前記剛性のプラスチック内側容器の下方の前記排出管片に、雄ねじ山の代わりに溶接フランジが設けられていて、かつ前記排出バルブの容器側に、ねじ山の代わりに対応する溶接フランジが設けられている実施形態において、前記インライナ(28)の柔軟な前記インライナ管片(30)は、適合されたリング状の溶接装置によって外側から、円筒状の溶接領域を介して、前記排出バルブケーシング(32)の前記円筒状の管片(34)の外表面に溶接されており、インライナが設けられた前記排出バルブは、前記プラスチック内側容器内への前記インライナの装着後に初めて、その前記溶接フランジで、前記プラスチック内側容器の下方の剛性の前記排出管片における対応する前記溶接フランジに溶接されている、請求項記載のパレットコンテナ。
【請求項15】
請求項1から13までの少なくとも1項記載のパレットコンテナで使用するための、溶接されたインライナを有する排出バルブと、前記排出バルブ内に差し込まれた、ベースディスクを含むドレイン管と、それらの上に被せられたパッキングカバーとから成るモジュールユニットを製造するための方法であって、以下の方法ステップ、すなわち、
-前記排出バルブの排出バルブケーシングの円筒状の管片の、前記プラスチック内側容器に向けられた部分にインライナ管片を導入するステップ、
-前記インライナの内側から前記インライナ管片内にピン状の溶接装置を導入するステップ、
-前記ピン状の溶接装置によって、前記インライナ管片を、半径方向内側から、前記排出バルブケーシングの前記円筒状の管片の内表面に溶接するステップ、
-前記ピン状の溶接装置を取り出し、前記インライナのまだ開いている底面シームを溶接するステップ、
-前記インライナを折り畳み、巻き付けて棒状のフィルムロールにするステップ、および
-管状の薄壁のパッキングカバーを、巻き付けられた前記インライナ上に被せるステップ、
を有していることを特徴とする、方法。
【請求項16】
請求項1から13までの少なくとも1項記載のパレットコンテナで使用するための、溶接されたインライナを有する排出バルブと、前記排出バルブ内に差し込まれた、ベースディスクを含むドレイン管と、それらの上に被せられたパッキングカバーとから成るモジュールユニットを製造するための方法であって、以下の方法ステップ、すなわち、
-回転弁板を取り外した状態で、排出バルブケーシングを通して、インライナ管片を導入し、前記排出バルブの外側の前記排出バルブケーシング上に前記インライナ管片を外側から折り返すステップ、
-外側から、前記排出バルブケーシングと前記インライナ管片とを通して、ピン状の溶接装置を導入するステップ、
-前記ピン状の溶接装置によって、前記インライナ管片を、半径方向内側から、前記排出バルブケーシングの円筒状の管片の内表面に溶接するステップ、
-前記ピン状の溶接装置を取り出し、前記インライナ管片の余剰長さを裁断するステップ、
-前記インライナを折り畳み、巻き付けて棒状のフィルムロールにするステップ、および
-管状の薄壁のパッキングカバーを、巻き付けられた前記インライナ上に被せるステップ、
を有していることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状のまたは流動性の充填物の保管および搬送のためのパレットコンテナであって、熱可塑性プラスチックから成る、薄壁で剛性の内側容器、支持カバーとしてプラスチック内側容器を密に取り囲み、互いに溶接された水平方向の管ロッドと鉛直方向の管ロッドとから成る管格子フレーム、およびプラスチック内側容器が載置されていて、管格子フレームが堅固に接続されている方形の底部パレットを有しており、長方形状のプラスチック内側容器は、閉鎖可能な排出バルブを備えた底面側の排出管片を有しており、剛性のプラスチック内側容器内には、プラスチックフィルムから成る柔軟なインライナが装着されていて、インライナは、下方でインライナ管片を介して、剛性のプラスチック内側容器の排出管片もしくは排出バルブと、気密かつ液密に接続されている、パレットコンテナに関する。
【0002】
問題点
化学工業では、主に液状の化学物質を搬送するために、パレットコンテナ(以下、「IBC」とも言う)が広範囲で使用されている。このような化学製品は、濃縮された形態で、人間および動物の健康に有害であり、環境に有害であるので、殆どの場合、危険な液状の充填物として分類されている。化学物質は、IBCで保管および搬送する場合、プラスチック内側容器のHDPE材料に、例えば変色、汚染、または損傷のような負荷を与えるので、使用済みのプラスチック内側容器を、簡単に洗浄することはできず、再利用することはできない。使用済みのパレットコンテナを通常、複数回利用する場合、損傷したプラスチック内側容器を、新しい内側容器と交換することしか残っていない。しかしながら、1つのプラスチック内側容器が、要件プロファイルにしたがって約14kg~18kgの重量であり得ることを考えると、これは、プラスチック材料の少なくない浪費を伴うコストのかかる解決手段である。別のより安価な解決手段は、各充填物により汚染される前に装着された薄いインライナもしくはフィルムバッグによって、プラスチック内側容器を保護し、これによりプラスチック内側容器の複数回の再利用を可能にすることにある。この場合、汚染されたインライナを廃棄し、パレットコンテナの再利用のために新しいインライナを装着するだけでよい。
【0003】
薄壁のフィルムバッグもしくはインライナを、例えば大きくて剛性の段ボールボックスまたはボール箱のような、剛性の直方体状の外側容器内に装着すること(いわゆる、バッグインボックス)は、数年来慣用の手段である。このために、直方体状または長方形状の外側容器のために、単純な円筒状、直方体状、またはクッション型のインライナがある。これらのインライナは、外側に装着される排出システムを有した開放型の容器のためには問題なく使用することができる。しかしながら、上方のアクセス開口および下方の排出開口を備えた剛性のプラスチック内側容器を備えたパレットコンテナに使用するためには、様々な問題が生じる。一方では、フィルムインライナの装着および接続の際に問題が生じ、さらには、排出工程の終了時にしばしば、収縮したインライナが内側で排出開口を閉鎖し、パレットコンテナ内に大量の残留量が残るので、液状の充填物の排出の際に問題が生じる。
【0004】
背景技術
欧州特許出願公開第2090528号明細書により、通常のパレットコンテナの剛性のプラスチック内側容器内で薄いフィルム状のインライナを使用することが公知である。これはとりわけ、ねじ固定された排出バルブを用いて、薄壁のインライナ排出管片を、プラスチック内側容器の剛性の排出管片に確実に固定するというものである。薄いフィルムチューブの前縁は、この場合、排出バルブのケーシングナットによって、端面側で、剛性の排出管片に堅固に挟持される。インライナ排出管片の位置固定および回動固定は、この場合、ケーシングナットを完全に締め付けた後に挟持によってのみ行われる。
【0005】
国際公開第2016/124267号には、アダプタと、このアダプタに接続される、底部側の充填および排出のためのパレットコンテナ用の排出バルブとを備えたインライナが記載されており、その周りの領域は、周囲に対して気密に閉じられている。この場合、インライナは内側で、ディスク状またはポット状のアダプタに接続されていて、このアダプタは、ねじ込み蓋によって、外側から、プラスチック内側容器の排出管片に取り付けられる。排出バルブも外側から、アダプタポットに取り付けられている。この場合の欠点は、一方ではアダプタポットが、プラスチック内側容器の排出管片上に、他方では排出バルブがアダプタポットの外面上に気密かつ液密に、密閉されて固定されなければならないことである。公知のパレットコンテナでは、インライナは、片側で開かれたフィルムチューブとして形成されている。プラスチック内側容器の下方の排出管片を通して不安定なフィルムチューブインライナを取り付けることによりいくつかの問題が生じるおそれがある。さらに、排出工程の終了時には、フィルムチューブが、プラスチック内側容器の排出管片の開口部を必然的に塞ぐので、充填物の大量の残留量がパレットコンテナ内に残される。アダプタディスクを介在させることによるシールシステムの変更を伴う、このようなインライナを備えたパレットコンテナを、危険物搬送の使用のために設ける場合には、このパレットコンテナは、新たな承認番号を含む新たな承認試験が必要である。
【0006】
パレットコンテナ内で薄壁のインライナを再利用する場合、排出バルブの内部接続を詰まらせるインライナの折り目形成に基づき、残留充填物の排出の際にしばしば煩雑となるならば、顧客はこのような再利用を望まず、放棄することが実際に示されている。
【0007】
課題
本発明の根底にある課題は、液状の充填物のための、好適には無菌状態での、底面側の充填および排出のためにもっぱら設けられているパレットコンテナに、通常のシールシステムに対して例えば付加的なシール装置のような変更を加える必要がないように、したがって、危険な液状の充填物の使用のための承認試験を改めて行う必要がないように、インライナを装備することである。さらに、再利用可能なパレットコンテナの、既に使用され、場合によっては変色したプラスチック内側容器を、拡散バリア特性を持つ単層または多層のインライナによって、高価な充填物のための再度の利用のために、価値を高めることができると望ましい。インライナの装着は、誰でもそのプロセスを原則的には実施可能であるように簡単にされるのが望ましい。さらに、排出工程後にインライナ内に残っている充填物の残留量を最小限まで減じるのが望ましい。
【0008】
解決手段
この課題は、請求項1の特別な特徴により解決される。従属請求項の特徴は、本発明によるパレットコンテナのさらに有利な構成の可能性を記載している。本発明により提案された技術的教示は、インライナのインライナ管片が、排出バルブの排出バルブケーシングの、プラスチック内側容器の内面に面した円筒状の管片に、直接、材料接続的に接続されていること、すなわちそこに溶接されていることにある。したがって、インライナと排出バルブとは、好適には無菌の底面側充填のために設けられている閉じられたユニットを成している。排出バルブケーシングに直接、インライナ管片が溶接されていることにより、従来の通常のシールシステムに対する変更は行われないので、危険な液状の充填物の使用のために新たな承認試験は必要ない。
【0009】
好適な構成では、インライナ管片は、円筒状の溶接領域を介して、直接、半径方向内側から、排出バルブケーシングの円筒状の管片の内表面に溶接されている。これにより、アダプタディスク等のような中間配置される接続エレメントが省かれる。
【0010】
このような実施形態を実現するために、極めて珍しい形式で、インライナ管片は、排出バルブの外側から排出バルブケーシング内に導入されるピン状の溶接装置によって、排出バルブケーシングの円筒状の管片の内表面に溶接されている。
【0011】
別の態様では、インライナ管片は、インライナの内側から排出バルブケーシング内に導入されるピン状の溶接装置によって、排出バルブケーシングの円筒状の管片の内表面に溶接されている。
【0012】
これにより、何らかの付加的なアダプタ構成部品(例えばフランジスリーブ等)は省かれ、シールチェーンの変更もしくは拡張は行われず、すなわちプラスチック内側容器の外側領域および内側のインライナシステムは変更されない。インライナと排出バルブのケーシングとの間の内側の直接的な材料接続により、BAMの承認に関わる外側カバーは変更されず、したがって、本発明によるインライナの使用によっても、多数のパレットコンテナ実施形態について既存の危険物承認を、新たな承認試験をせずに利用することができる。
【0013】
本発明の好適な構成では、ドレイン管が、排出バルブの排出バルブケーシング内に内側で堅固に装着されていて、インライナ管片を通過して一定の距離だけインライナ内に突入している。これにより、残留充填物排出の際に、収縮したインライナが、排出バルブの内側の開口の前に容易く配置されてしまうことが阻止される。
【0014】
本発明の特に好適な実施形態では、排出バルブが3’’排出バルブ(3インチ排出バルブ)として形成されていて、ドレイン管の装着のために、もしくは固定のために、ベースディスクが、排出バルブの排出バルブケーシング内に堅固に装着されている。ドレイン管は、小さな、すなわち3インチ排出バルブの排出バルブケーシングの約半分の大きさの直径しか有していないので、ドレイン管の固定のためには、破断されたベースディスクが使用される。ベースディスクは、その外縁の近くに、偏心的な孔を有しており、この孔にドレイン管が差し込まれ、固定されている。ベースディスクの破断部は、プラスチック内側容器の充填および排出の際に、妨げられない液体の大きな流量のために役立つ。
【0015】
好適には、ドレイン管は直接、ベースディスクに組み込まれていて、これらは一体の構成部品として射出成形法により製造されている。これにより、ベースディスクからのドレイン管の望ましくない分離は不可能となり、排除される。
【0016】
本発明によるパレットコンテナの好適な実施形態では、排出バルブに直接溶接されるインライナは、単純な長方形のクッションライナとして形成されており、インライナフィルムの、排出バルブに面したコーナーは、中央に向かって折り畳まれていて、インライナフィルムは、両側から中央に向かって巻かれて、比較的剛性の棒状のフィルムロールを形成し、これにはチューブ状のパッキングカバーが被せられている。これにより、棒状に巻き付けられたインライナは、剛性のプラスチック内側容器の底面側の排出管片を通して容易にプラスチック内側容器内部に導入され得る。
【0017】
好適には、チューブ状のパッキングカバーは、薄いプラスチックフィルムから成っており、長手方向で延在する、容易に裂断開封可能な分離線を有している。これにより、底面側の排出管片からプラスチック内側容器を充填する際には、流入する液状の充填物の充填圧に基づき、チューブ状のパッキングカバーの容易に裂断開封可能な分離線が裂断されて、巻き付けられていたインライナフィルムは、側方へと繰り出され、妨げられることなく展開される。
【0018】
このような構造的に革新的な実施形態に応じて、溶接されたインライナを有する排出バルブと、排出バルブ内に差し込まれた、ベースディスクを含むドレイン管と、それらの上に被せられたパッキングカバーとが、容易に交換可能な、充填の際に自動的に展開するモジュールユニットとして形成されていて、このモジュールユニットは、原則的には誰でも極めて簡単に、適切に使用できるように、パレットコンテナの清潔なプラスチック内側容器内へと取り付けることができる。
【0019】
パレットコンテナで使用するための、溶接されたインライナを有する排出バルブと、排出バルブ内に差し込まれた、ベースディスクを含むドレイン管と、それらの上に被せられたパッキングカバーとから成るモジュールユニットを製造するための方法は、以下の方法ステップ、すなわち、
-排出バルブの排出バルブケーシングの円筒状の管片の、プラスチック内側容器に面した部分にインライナ管片を導入するステップ、
-インライナの内側からまたは排出バルブケーシングの外側から、インライナ管片内にピン状の溶接装置を導入するステップ、
-ピン状の溶接装置によって、インライナ管片を、半径方向内側から、排出バルブケーシングの円筒状の管片の内表面に溶接するステップ、
-ピン状の溶接装置を取り出し、場合によっては、インライナのまだ開いている底面シームを溶接するステップ、
-インライナを折り畳み、巻き付けて棒状のフィルムロールを形成するステップ、および
-チューブ状の薄壁のパッキングカバーを、巻き付けられたインライナ上に被せるステップ、
を有していることを特徴とする。
【0020】
このように製造技術的に簡単な形式で、上述したモジュールユニットを容易に製造することができ、通常のシールシステムに何らかの変更を加えることなく、新しいまたは使用済みのパレットコンテナのプラスチック内側容器内に装着するために準備することができる。これにより、危険な充填物のための使用時に、新規の承認試験は不要である。
【0021】
以下に、本発明を概略的に図示した実施例につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】装着されたインライナを備えた本発明によるIBCの正面図である。
図2】柔軟なインライナ管片の溶接のために装着された溶接装置を備えた3インチ排出バルブを示す断面図である。
図3】溶接が完了したインライナ管片を備えた完全に組み付けられた3インチ排出バルブを示す断面図である。
図4】長方形のクッションライナの形態のインライナを示す平面図である。
図5】ベースディスクを備えたドレイン管を示す側面図である。
図6】ベースディスクを備えたドレイン管の正面図である。
図7】ベースディスクを備えたドレイン管の斜視図である。
図8】排出バルブを備えた半分に折り畳まれたクッションライナを示す平面図である。
図9】巻き付けられたクッションライナを、その上に被せられたパッキングカバーと共に概略的に示す断面図である。
図10】完成してまとめられたインライナ・排出バルブ・モジュールユニットを示す図である。
図11】プラスチック内側容器内に挿入された状態のインライナ・排出バルブ・モジュールユニットを、その上に被せられたパッキングカバーと共に示す図である。
図12】パッキングカバーが開放された、装着されたインライナ・排出バルブ・モジュールユニットを、完全に展開される前の部分的に繰り出された状態で示す図である。
【0023】
図1には、符号10で、特に危険な液状のまたは流動性の充填物の保管および搬送のための本発明によるパレットコンテナが示されている。危険な充填物の装入もしくは使用のために、パレットコンテナ10は、特定の試験基準を満たしていて、相応の公式の承認が与えられている。パレットコンテナ10の主要な構成部分は、ブロー成形法により熱可塑性プラスチックから製造された、薄壁で剛性のプラスチック内側容器12と、支持カバーとしてこのプラスチック内側容器12を密に取り囲む管格子フレーム14と、プラスチック内側容器12が載置されていて、管格子フレーム14が堅固に接続されている底部パレット16とから成っている。外側の管格子フレーム14は、互いに溶接された水平方向の管ロッド18と垂直方向の管ロッド20とから成っている。
【0024】
底部パレット16は、図示した態様では、上方の鋼板支持プレートと、その下に配置された鋼管支持フレームと、プラスチックのコーナー脚および中央脚とを備えた複合パレットとして形成されている。しかしながら、木製、鋼製、またはプラスチック製のその他任意の通常の底部パレットが形成されてもよい。
【0025】
管格子フレーム14の正面には、各充填物を記載するための薄い鋼板から成るラベルパネル22が取り付けられている。プラスチック内側容器12は上面に、ねじ込み蓋26によって閉鎖可能な、直径150mmまたは225mmの比較的大きな容器開口を有している。プラスチック内側容器12の前壁の下縁部中央には、液状の充填物を取り出すための相応の排出バルブ24が、セットバックされた壁凹部内の保護された位置で接続されている。剛性のプラスチック内側容器12を、装入された充填物との直接の接触および解離不能な付着から保護するために、そして高価なプラスチック内側容器12を複数回再利用することを可能とするために、パレットコンテナ10を新たに充填する前にその都度、薄壁の柔軟なインライナ28または前述したようにフィルムバッグが剛性のプラスチック内側容器12内に装着され、これには、剛性のプラスチック内側容器12の排出管片もしくは排出バルブ24が接続されている。敏感な充填物はしばしば、容器内への酸素侵入を遮断して空気排除のもと、拡散バリア(芳香保護)を使用して、または無菌条件下で、閉じたシステムにおいて搬送および保管される。この場合、充填および排出は、もっぱら底面側の充填および排出バルブを介して行われる。大容量のパレットコンテナの、HD-PE(高密度ポリエチレン)から成るブロー成形されたプラスチック内側容器12は、通常、拡散バリア特性がごく僅かであるかまたは完全に欠如しているので、高価で敏感な充填物のためには通常、高度な拡散バリア特性を備えた多層のインライナ28が使用され、ブロー成形された剛性のプラスチック内側容器12内に装着される。
【0026】
この実施例では、パレットコンテナ10のプラスチック内側容器12は、底面側の排出領域において、雄ねじ山(並目ねじ DN80)を備えた3’’(3インチ)排出管片を備えている。この排出管片には、一体のねじ山付きフランジ36(並目ねじ DN80)を備えた3’’ (3インチ)排出バルブ24が堅固にねじ込まれている。
【0027】
図2に詳しく示された3’’排出バルブ24は、フラップ栓と並目ねじDN100/DN80を備えたDN80排出バルブとして形成されていて、ポリエチレン(PE)から製造されており、多種の液体に対して高い耐性を有している。3’’排出バルブ24は、前側で、汚染および損傷に対して保護するために、円筒状の排出バルブケーシング32にねじ込まれる、タイプDN80並目ねじのスクリューキャップによって閉鎖されている。円筒状の排出バルブケーシング32のほぼ中央には、ディスク状の回転弁板(見えていない)が、上側のハンドグリップ40を備えた回転軸38に配置されている。
【0028】
柔軟なインライナ管片30を溶接するための方法技術的な製作工程を説明するために、デモンストレーションとして、円筒状の溶接領域44を備えたピン状の溶接装置42が、円筒状の排出バルブケーシング32内に挿入されており、このためにディスク状の回転弁板と、ハンドグリップ40を備えた回転軸38とは取り外されている。
【0029】
図2によれば、本発明によるインライナ28のインライナ管片30は、排出バルブ24の排出バルブケーシング32の円筒状の管片34に直接溶接されていることが明らかである。この場合、インライナ管片30は、円筒状の溶接領域44を介して、半径方向内側から直接、排出バルブケーシング32の円筒状の管片34の、プラスチック内側容器12の内面に面した側の内表面に溶接されている。製造技術的な特別な点として、インライナ管片30は、排出バルブ24の外側から排出バルブケーシング32内に導入されるピン状の溶接装置42によって、排出バルブケーシング32の円筒状の管片34の内表面に溶接される。
【0030】
溶接装置42は、前側に、膨張可能な溶接ヘッドを備えていて、この溶接ヘッドは、インライナ管片30のプラスチックフィルムを、所定の溶接領域44で、予め規定可能な圧力および予め規定可能な熱負荷でもって所定の時間にわたって、排出バルブケーシング32の円筒状の管片34の内表面に押し付け、材料接続的にこの管片34に溶接する。溶接工程後、インライナ管片30の余剰のフィルム材料は、溶接領域44のすぐ後方で裁断される。
【0031】
インライナ管片30を排出バルブケーシング32に溶接する別の可能性は、製造技術的に、インライナ管片30が、インライナ28の内側から導入されるピン状の溶接装置42によって、排出バルブケーシング32の円筒状の管片34の内表面上に溶接されることにある。この場合、クッションライナ28は、出荷時に、その背面側でまだ開いている。なぜならば、溶接工具42が、この背面側でまだ開いているフィルムバッグを通して内側から、インライナ管片30内にもしくは排出バルブケーシング32の円筒状の管片34内に導入されるからである。インライナ管片溶接のこのプロセスステップ後に初めて、クッションライナ28の底面シームは溶接され、密に閉鎖される。
【0032】
3インチ排出バルブ24へのインライナ管片30の溶接プロセス終了後は、さらにドレイン管46が、ベースディスク48を介してインライナ28内にもしくは排出バルブケーシング32内に装着される。その後、アース線が、アースねじ52によって、排出バルブケーシング32にねじ固定され、ディスク状の回転弁板とハンドグリップ40とを備えた回転軸38が再び組み込まれる。最後に、排出バルブケーシング32は、外側からねじ込まれるスクリューキャップによって、ガス密および液密に閉鎖される。図3には最終的に組み立てられた、溶接されたインライナ管片30を備えた、充填および排出バルブ24が示されている。
【0033】
図4により明らかであるように、薄壁の柔軟なインライナ28は好適な実施形態では、単純な長方形のクッションライナ28として形成されていて、大きな直径のチューブ状フィルムから製造されており、一方で、底面側の柔軟なインライナ管片30は、小さな直径のチューブ状フィルムから製造されており、両者は常に、同じバリア特性を有する同じ多層の複合フィルム材料から成っている;これにより、欠点であったプラスチック材料を通過する拡散プロセスは阻止されている。インライナ28とインライナ管片30とはこの場合、フィルム厚100μmの透明なLDPEフィルムから成っている。フィルム厚は、拡散バリア性の多層フィルムの場合は特に、100μm~250μmであってもよく、好適には約150μmであってよい。寸法は、例えば1000lのパレットコンテナのためには、約2140×2200mmである。インライナ管片30は、縁部から約490mmの間隔を置いて、インライナ28の真ん中に溶接されている。この場合、インライナ管片30の裁断長さは約250mmであり、直径は約90mmであるのが望ましい。
【0034】
開かれた格子構造のドレイン管46とベースディスク48とが、図5に示されている。ドレイン管46は、残留液の良好な流出を可能とする多数の貫通孔を備えた、安定的な曲げ剛性の格子管である。ドレイン管46の長さは、直径約45mmの場合、少なくとも250mmであるべきである。図6に示されたように、ベースディスク48は、ドレイン管のための1つの大きな孔と、妨げられない液体貫流のための少なくとも2つの別の大きな貫通孔54とを有している。図7は、ベースディスク48とドレイン管46とを再度、斜視図で示している。ベースディスク48は外側に、(内側の直径段部よりも大きい)直径段部50を有しており、ドレイン管46と共に、排出バルブ24の出口側から、内側の管片34の内側端部における対応する直径段部に当接するまで、排出バルブケーシング32内に挿入される。
【0035】
ベースディスク48がドレイン管46と共に、最も奥の位置に配置された後、外側からねじ込まれたアースねじ52によって、ベースディスク48は回動不能に固定される。すなわち、ベースディスク48の位置はアースねじ52によって、回動または滑脱しないように排出バルブケーシング32内に固定されている。
【0036】
図示した標準的な3インチ(CCS 100×8)の排出バルブ24には、EX帯電防止構造のために設けられたアース線接続部が設けられており、ねじ込まれるアースねじ52によって、液状の充填物に対する電気的な接続部が形成されている。全ての構成要素が互いに接続された後で、密閉弁板とハンドグリップ40とを備えた回転軸38が再び排出バルブ24内に装着されて、排出バルブケーシング32は、外側からねじ込まれるスクリューキャップによって閉鎖される。
【0037】
その後、クッションライナ28は、まずは折り畳まれ、次いで巻き付けられ、最後にまとめられる(カバー内に包まれる)。図8には、半完成品の折り畳まれた状態でクッションライナ28が示されている。クッションライナ28の折り畳みのために、インライナから空気が押し出される。完全な空気抜きのために、吸引ホースが排出バルブ24に接続され真空引きされてもよい。これにより、折り畳み、巻き付け、およびまとめの作業は著しく簡単になる。排出バルブ24を備えたクッションライナ28を、取り扱いを簡単にするためのモジュールユニット58となるように完成させるプロセスは、以下のステップを含む。すなわち、
ステップ1:完成したクッションライナを広げて置いて、排出バルブを横切るところまで、その上方領域を下方に折り畳む。
ステップ2:排出バルブのところの上側のコーナー部分を、クッションライナの中央に向かって折り込む。
ステップ3:下方領域を、クッションライナの水平方向中央のところまで折り込む。
ステップ4:外側の羽根部分を垂直方向中央に向かって折り込む。
ステップ5:外側の羽根部分を垂直方向中央に向かってもう一度折り込む。
ステップ6:外側の縁部分を中央に向かって巻き付ける。
ステップ7:チューブ状のパッキングカバーを、巻き付けられたインライナ上に被せる。
【0038】
図9は、巻き付けられたインライナ28とこれを収容するチューブ状のパッキングカバー56を概略的な断面図で示している。パッキングカバー56は、上部に示されているように、容易に裂断開封可能な分離シームもしくは穿孔された裂断シームを有している。直接溶接され、巻き付けられたインライナ28と、被せられたチューブ状のパッキングカバー56とを備えた排出バルブ24は、交換可能な1つのモジュールユニット58を成しており、パレットコンテナの任意のプラスチック内側容器内への装着のために準備されている。このように完成してまとめられたインライナ・排出バルブ・モジュールユニット58は、図10に示されている。容易に裂断開封可能なパッキングカバー56を保管し保護するために、準備されたモジュールユニット58をそれぞれ、薄壁の保護スリーブ内に、例えば金属スリーブまたはボール紙スリーブ内に差し込むことができ、このような保護スリーブは、排出バルブケーシングのねじ山付きフランジにねじ込むことができる。パレットコンテナ10にモジュールユニット58を備え付けるために、チューブ状のパッキングカバー56は、底面側の排出管片を通してプラスチック内側容器12内へと挿入される。3インチの排出管片の内径は、83.2mmである。巻き付けられたクッションライナ28のチューブ状のパッキングカバー56は、75mmの直径を有している。したがって、チューブ状のパッケージの導入と、3インチの排出管片への排出バルブケーシングのねじ込みとは簡単に実施可能である。このようにしてプラスチック内側容器12内に装着されたモジュールユニット58は図11に示されている。
【0039】
さらに、プラスチック内側容器の底面側の排出管片が、雄ねじ山を備えたねじ管片としてではなく、溶接フランジを備えた短い管片として形成されているパレットコンテナの構成もあり得る。したがって、所属の排出バルブにも容器側に面して溶接フランジが設けられていて、必要に応じて、突き合わせ溶接法(butt-welding)により、プラスチック内側容器の排出管片に溶接される。このような形式の容器の構成のために本発明を実現する場合には、インライナ管片30が、簡単に、適合されたリング状の溶接装置によって外側から、円筒状の溶接領域を介して、排出バルブケーシング32の円筒状の管片34の外表面に溶接されていて、プラスチック内側容器内へのインライナの装着後に初めて、インライナが設けられた排出バルブがその溶接フランジで、プラスチック内側容器の下方の剛性の排出管片における対応する溶接フランジに溶接される。
【0040】
パレットコンテナ10の充填および排出は、もっぱら、プラスチック内側容器12の底面側の3インチ排出バルブ24を介して行われる。充填物は、充填の際に通常、圧力をかけて容器内に導入されるので、クッションライナ28は、例えば穿孔された開封シームに沿ってパッキングカバー56が裂断開封された後は、まずは完全に広げられ、折り目が展開され、最後にその全ての容積が得られるまで膨らまされる。これに関しては、図12に、充填開始の際の、パッキングカバー56が開放されて、インライナ28が両側に向かって展開されている状態が示されている。
【0041】
空にする際には、クッションライナ28は縮められ、約5リットルの残留体積を留めている。この場合、ドレイン管46は、インライナフィルムが、出口を塞ぐのを阻止し、比較的大量の充填物がプラスチック内側容器12に残るのを防ぐ。
【0042】
相応の接続部(別個のまたは上部の充填カバーにおける)を介して、プラスチック内側容器12には、さらに充填物をクッションライナ28から押し出すために、圧力をかけることができる。この場合、0.1barの圧力で既に十分である。正圧により、約0.5リットル(約0.05%)の少量の残留物が残されるまで、さらに残留液がインライナ28から押し出される。インライナ28からの圧送、および残留物排出の改善を行うために、接続部には、プラスチック内側容器12の上面の適切な個所に圧縮空気ポンプを接続するための、相応の容器開口が配置されている。好適には、この容器開口は、プラスチック内側容器12の充填開口の上方のねじ込み蓋26における真ん中に2インチの栓開口として形成されていて、この開口は2インチの栓プラグによって、ガス密および液密に閉鎖可能である。
【0043】
使用済みクッションライナ28の交換
充填物を完全に排出した後、クッションライナ28をプラスチック内側容器12から取り外すことができる。このために、好適には、パレットコンテナ10は「背後」へと傾けられ、これにより排出バルブ24は上方に向けられる。密に閉鎖された排出バルブ24は、剛性の排出管片からねじって外されて、溶接されたインライナ管片30とクッションライナ28と共に、プラスチック内側容器12の排出管片からドレイン管46のすぐ後の位置まで引き出される。ドレイン管46のすぐ後方で、クッションライナ28は、例えばケーブルバインダまたは結束ワイヤによって締め付けられ、液滴密に閉鎖される。排出バルブ24とクッションライナ28とは、次いで互いに分離される。クッションライナ28は、グリッパによって、プラスチック内側容器12の上面に位置する大きな充填管片から取り出され、すなわちこの場合、側方へ引き出される。クッションライナ28と排出バルブ24とは、次いでリサイクルプロセスへと供給され、場合によっては必要な、パレットコンテナ10の外側のクリーニング後に、新しい、インライナ・排出バルブ・モジュールユニット58をプラスチック内側容器12内に装着することができ、パレットコンテナ10は再び、液体の充填物の新たな充填のための安価な再利用のために準備される。
【0044】
結論
互いに直接溶接により結合された排出バルブ24とインライナ28とを備えた本発明によるモジュールユニット58を使用することにより、複数回利用可能な高価なプラスチック内側容器12の価値を維持することができる。
【0045】
モジュールユニット58もしくはインライナ28の装着は、誰でもその工程を実施することができるほど簡単である。
【0046】
本発明によるモジュールユニット58では、既存のシールシステムに変更が加えられないので、危険な液状の充填物において使用するために新たな承認試験は必要ない。再利用可能なパレットコンテナの、既に使用され、場合によっては変色したプラスチック内側容器を、高価な充填物のために再利用することで、その価値を高めることができる。さらに、パレットコンテナ10を空にする工程で、プラスチック内側容器12内に僅かな正圧をかけることにより、ドレイン管46によって、インライナ28内に留まっている充填物の残留量を最小に減じることができる。
【0047】
したがって、本発明は、新たなパレットコンテナのもとで、および使用済みのIBCを複数回再利用する場合に、プラスチック内側容器内における残留充填物の付着から保護するために、問題なく機能する手段を顧客に提供する。
【符号の説明】
【0048】
10 パレットコンテナ
12 プラスチック内側容器
14 管格子フレーム
16 底部パレット
18 水平方向の管ロッド(14)
20 鉛直方向の管ロッド(14)
22 ラベルパネル(14)
24 排出バルブ(3インチ)(12)
26 ねじ込み蓋(12)
28 インライナ(フィルムバッグ)(12)
30 インライナ管片(28)
32 排出バルブケーシング(24)
34 内側の管片(32)
36 ねじ山付きフランジ(24,32)
38 回転軸(32)
40 ハンドグリップ(38)
42 溶接装置
44 円筒状の溶接領域(32)
46 ドレイン管(48)
48 ベースディスク(32,46)
50 段部(48,34)
52 アースねじ(34,48)
54 貫通孔
56 チューブ状のパッキングカバー(28)
58 モジュールユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12