(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】リードレスペースメーカーにおけるレート適応アルゴリズムの省電力のためのデュアルモジュールモーション検出システム
(51)【国際特許分類】
A61N 1/362 20060101AFI20241017BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
A61N1/362
A61B5/11 200
(21)【出願番号】P 2021547884
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(86)【国際出願番号】 EP2019074151
(87)【国際公開番号】W WO2020088825
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-07-12
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512158181
【氏名又は名称】バイオトロニック エスエー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】BIOTRONIK SE & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Woermannkehre 1 12359 Berlin Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ク、ミン
(72)【発明者】
【氏名】キブラー、アンドリュー ビー.
(72)【発明者】
【氏名】デ ヴォワール、クリストファー エス.
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-063161(JP,A)
【文献】特表2008-539894(JP,A)
【文献】特開2001-004653(JP,A)
【文献】特開2003-254991(JP,A)
【文献】特開平11-242049(JP,A)
【文献】特表2009-511214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/362
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み可能心臓ペースメーカー(1)であって、前記埋め込み可能心臓ペースメーカー(1)の動作中に人の心臓にペーシングパルスを印加するように構成され、前記埋め込み可能心臓ペースメーカー(1)は、第1のモジュール(10)および第2のモジュール(20)を含むモーション検出システムを含み、
前記第1のモジュール(10)は、前記埋め込み可能心臓ペースメーカー(1)の動作中に連続的に動作して前記人の身体活動を検出するように構成され、前記第1のモジュール(10)が、トリガ信号(S)またはさらなるトリガ信号(S’)を送信するように構成されている、または、
前記モーション検出システムが中間プロセッサ(30)をさらに備え、前記第1のモジュール(10)が、前記埋め込み可能心臓ペースメーカ(1)の動作中に連続的に動作して前記人の身体活動を検出し、前記中間プロセッサ(30)を介して前記第2のモジュール(20)と通信するように構成され、前記第1のモジュール(10)が、トリガ信号(S)または更なるトリガ信号(S’)を送信するように構成され、および/または前記中間プロセッサ(30)が、トリガ信号(S)またはさらなるトリガ信号(S’)を送信するように構成されており、
前記第2のモジュール(20)は、前記第2のモジュール(20)をアイドル状態からアクティブ状態に変更するための前記トリガ信号(S)を受信するか、または前記第2のモジュール(20)をアクティブ状態からアイドル状態に変更するための前記さらなるトリガ信号(S’)を受信するように構成され、前記アクティブ状態における前記第2のモジュール(20)の時間単位あたりのエネルギー消費は、前記アイドル状態における時間単位あたりのエネルギー消費よりも大きく、前記第2のモジュール(20)がそのアクティブ状態にあるときに、前記第2のモジュール(20)は、前記人の代謝要求を満たすように前記ペーシングパルスのレートを適応させるレート適応アルゴリズムを実行するように構成され
、
前記第2のモジュール(20)は、第1のタイムスパンの前記アクティブ状態と第2のタイムスパンの前記アイドル状態とを交互に切り替えるように構成され、前記第2のモジュールは、前記第1のモジュール(10)で予め設定されプログラム可能なタイミング制御に基づいて、前記アイドル状態と前記アクティブ状態との間で変更する、埋め込み可能心臓ペースメーカー(1)。
【請求項2】
前記第1のモジュール(10)は、前記第2のモジュール(20)を前記アイドル状態から前記アクティブ状態に変更するために前記トリガ信号(S)を前記第2のモジュール(20)に送信するか、または前記第2のモジュール(20)を前記アクティブ状態から前記アイドル状態に変更するために前記さらなるトリガ信号(S’)を前記第2のモジュール(20)に送信するように構成される、請求項1に記載の埋め込み可能心臓ペースメーカー。
【請求項3】
前記モーション検出システムは、前記中間プロセッサ(30)を含み、前記中間プロセッサ(30)は、前記第2のモジュール(20)を前記アイドル状態から前記アクティブ状態に変更するために前記トリガ信号(S)を前記第2のモジュール(20)に送信するか、または前記第2のモジュール(20)を前記アクティブ状態から前記アイドル状態に変更するために前記さらなるトリガ信号(S’)を前記第2のモジュール(20)に送信するように構成される、請求項1に記載の埋め込み可能心臓ペースメーカー。
【請求項4】
前記第1のモジュール(10)は、前記人の身体活動を検出するように構成されたモーションセンサ(11)または3軸トランスデューサ(11)を含み、前記モーションセンサ(11)または3軸トランスデューサ(11)は、前記身体活動を示すモーション信号を生成するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の埋め込み可能心臓ペースメーカー。
【請求項5】
前記第1のモジュール(10)は、前記モーションセンサ(11)の電流信号を電圧信号に変換するように構成された電流-電圧変換器(12)を含む、請求項4に記載の埋め込み可能心臓ペースメーカー。
【請求項6】
前記第1のモジュール(10)は、前記電圧信号をフィルタリングするように構成されたフィルタ(13)を含む、請求項5に記載の埋め込み可能心臓ペースメーカー。
【請求項7】
前記第1のモジュール(10)は、前記電圧信号に基づいて前記トリガ信号(S)を生成するように構成されたトリガ起動コンポーネント(14)を含む、請求項5または6に記載の埋め込み可能心臓ペースメーカー。
【請求項8】
前記第1のモジュール(10)は、前記モーションセンサ(11)によって生成された前記モーション信号の振幅が予め定められたしきい値を超えた場合に、前記第2のモジュール(20)を前記アイドル状態から前記アクティブ状態に変更するために、前記トリガ信号(S)を前記第2のモジュール(20)に送信するように構成される、請求項4から7のいずれか一項に記載の埋め込み可能心臓ペースメーカー。
【請求項9】
前記第1のモジュール(10)は、前記モーションセンサ(11)によって生成された前記モーション信号のスペクトル密度が、所定の周波数範囲において所定のしきい値を超えた場合に、前記第2のモジュール(20)を前記アイドル状態から前記アクティブ状態に変更するために、前記トリガ信号(S)を前記第2のモジュール(20)に送信するように構成される、請求項4から7のいずれか一項に記載の埋め込み可能心臓ペースメーカー。
【請求項10】
前記第1のモジュール(10)は、前記モーション信号と前記モーション信号の参照レベルとの差が所定のしきい値を超えた場合に、前記第2のモジュール(20)を前記アイドル状態から前記アクティブ状態に変更するために、前記トリガ信号(S)を前記第2のモジュール(20)に送信するように構成される、請求項4から7のいずれか一項に記載の埋め込み可能心臓ペースメーカー。
【請求項11】
前記第1のモジュール(10)は、前記モーション信号に基づいて前記人の姿勢を決定するように構成され、前記第1のモジュール(10)は、前記人の前記決定された姿勢が、所定のタイムスパンに前記人がいたところの前記人の水平位置に対応する場合に、前記第2のモジュール(20)を前記アクティブ状態から前記アイドル状態に変更するために、前記さらなるトリガ信号(S’)を前記第2のモジュール(20)に送信するように構成される、請求項4から7のいずれか一項に記載の埋め込み可能心臓ペースメーカー。
【請求項12】
前記第1のモジュール(10)は、前記人の所定の睡眠時間または低活動期間が開始された場合に、前記第2のモジュール(20)を前記アクティブ状態から前記アイドル状態に変更するために、前記さらなるトリガ信号(S’)を前記第2のモジュール(20)に送信するように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の埋め込み可能心臓ペースメーカー。
【請求項13】
前記モーションセンサ(11)が所定のタイムスパン中に前記人の身体活動を検出しない場合に、前記第2のタイムスパンが増加され、かつ/または前記モーションセンサ(11)が前記人の身体活動を検出した場合に、前記第2のタイムスパンが短縮される、請求項4を引用する請求項
12に記載の埋め込み可能心臓ペースメーカー。
【請求項14】
前記モーション信号の振幅が所定のしきい値を下回る場合に、前記第2のモジュール(20)はそのアイドル状態にあり、前記モーション信号の前記振幅が前記しきい値を上回る場合に、前記第1のモジュール(10)は、前記第2のモジュール(20)を第1のタイムスパンでは前記アクティブ状態に、第2のタイムスパンでは前記アイドル状態に交互に維持するために、前記第2のモジュール(20)に前記トリガ信号(S)と前記さらなるトリガ信号(S’)とを交互に送信するように構成される、請求項4から7のいずれか一項に記載の埋め込み可能心臓ペースメーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーション検出システムを含む埋め込み可能心臓ペースメーカー、特に埋め込み可能なリードレスペースメーカーの形態の心臓ペースメーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の通常の心拍数は、その活動に応じて24時間の間に変動する。睡眠中、心拍数は通常遅くなる。しかし、活動やストレスの時間帯には、心拍数は通常、関連するより高い代謝要件を満たすためにスピードアップする。心臓の刺激伝導系に異常がある人は、活動中やストレス中に心拍数を適切に上げることができない場合がある。これは、倦怠感、息切れ、および/または活動不耐性をもたらす可能性がある。
【0003】
レート適応を備えたペースメーカーは、増加する活動を検知できるパルス発生器に組み込まれた1つまたは複数のセンサを備えている。センサは、身体のニーズに応じて心拍数を自動的に増減する。
【0004】
現在、ペースメーカーでは、温度ベースのレート適応、pHベースのレート適応、および従来のモーションセンサベースのレート適応スキームが使用されている。
【0005】
特に、温度ベースのレート適応は比較的遅い応答を有し、速い変化を検出する必要がある場合に不利になる可能性がある。また、インフルエンザなどの健康上の問題により、体温が上昇し、偽陽性のレート応答を引き起こす可能性がある。
【0006】
さらに、pHベースのレート適応には、電極の電気化学的特性に関する特別な要件がある。多くの場合、要件を満たす材料は生体適合性がないか、長期間の移植に適していない。さらに、電極の炎症とカプセル化により、予期しないパフォーマンスが発生する可能性がある。また、薬を服用することで血液のpHが微妙に変化する可能性がある。
【0007】
さらに、従来のペースメーカーは、ペースメーカーの缶にある加速度計を使用して身体活動を検出し、それを使用してペーシングレートを調整する。現在、従来のペースメーカーの活動ベースのレート適応アルゴリズムのモーション検出システムは連続的に実行されている。検出されたモーション信号は、目標ペーシングレートを計算するために使用される。ペースメーカーに依存する患者が活動している場合、モーションがシステムによって検出され、より高い目標心拍数が生成される。次に、ペースメーカーは、患者の代謝要求を満たすために、ペーシングレートを目標心拍数に合わせて調整する。モーション検出システムは連続的に実行されるため、身体活動信号が失われることはなく、活動による患者の代謝要求の増加に対応する。しかし、活動ベースのレート適応モジュールの高い消費電流と、加速度計の連続的な使用と電力供給により、ペースメーカー、特にリードレスペースメーカーの耐用年数が短くなる。
【0008】
しかし、ほとんどの場合、患者はあまり活動的ではないため、基本的なペーシングレートでは要求をサポートすることができない。そのため、この間のモーション検出システムの動作電流は無駄になる。特に、バッテリー容量に関しては、不必要な消費電流を避ける必要がある。
【0009】
米国特許出願公開第2004/0116819(A1)号は、患者のうっ血性心不全を検出および監視する埋め込み型装置の実装方法を開示しており、それは、埋め込み型デバイスの外側にある少なくとも2つの電極の間で、患者の身体の一部の局所インピーダンスの変化を連続的に測定することを含み、その変化は患者の換気を表し、患者の呼吸数と呼吸振幅を測定することを含む。身体埋め込み可能装置は、患者のうっ血性心不全を検出および監視するように適合されており、装置が埋め込まれたときに、患者の身体の一般的に肺によって占められる部分の組織に接触し、前記身体部分の局所インピーダンスの変化を監視し、患者の心電図を検出するように配置および適合された装置の複数の表面電極に結合された回路モジュールを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許出願公開第2004/0116819(A1)号
【発明の概要】
【0011】
ペースメーカーにエネルギー効率の高いレート適応技術を提供することが目的である。機能のサブユニットに分割された活動ベースのレート適応ユニットの動作状態を効率的に制御することによってエネルギーを節約するペースメーカー内のモーション検出システムを有することが望ましい。
【0012】
請求項1に記載の埋め込み可能心臓ペースメーカーが開示されている。さらなる実施形態は、従属請求項の主題である。
【0013】
一態様では、埋め込み可能心臓ペースメーカーが提供される。ペースメーカーは、ペースメーカーの動作中に人の心臓にペーシングパルスを印加するように構成される。ペースメーカーは、第1のモジュールおよび第2のモジュールを含むモーション検出システムを含む。第1のモジュールは、ペースメーカーの動作中に連続的に動作するように構成される。第2のモジュールは、第2のモジュールをアイドル状態からアクティブ状態に変更するためのトリガ信号を受信するか、または第2のモジュールをアクティブ状態からアイドル状態に変更するためのさらなるトリガ信号を受信するように構成される。アクティブ状態における第2のモジュールの時間単位あたりのエネルギー消費は、アイドル状態におけるよりも大きい。第2のモジュールがそのアクティブ状態にあるときに、第2のモジュールは、人の代謝要求を満たすようにペーシングパルスのレートを適応させるレート適応アルゴリズムを実行するように構成される。
【0014】
モーション検出システムは、中間プロセッサをさらに含んでもよい。第1のモジュールは、中間プロセッサを介して第2のモジュールと通信するように構成されてもよい。
【0015】
一実施形態では、ペースメーカーの動作中に人の心臓にペーシングパルスを印加するように構成された埋め込み可能心臓ペースメーカーが提供される。ペースメーカーは、第1のモジュールおよび第2のモジュールを含むモーション検出システムを含み、第1のモジュールは、心臓ペースメーカーの動作中に連続的に動作するように構成され、第1のモジュールは、第2のモジュールをアイドル状態からアクティブ状態に変更するためにトリガ信号を第2のモジュールに送信するか、または第2のモジュールをアクティブ状態からアイドル状態に変更するためにさらなるトリガ信号を第2のモジュールに送信するように構成される。アクティブ状態における第2のモジュールの時間単位あたりのエネルギー消費は、アイドル状態におけるよりも大きい。第2のモジュールがそのアクティブ状態にあるときに、第2のモジュールは、人の代謝要求を満たすようにペーシングパルスのレートを適応させるレート適応アルゴリズムを実行するように構成される。
【0016】
第1のモジュールは、例えば中間プロセッサを介して、トリガ信号および/またはさらなるトリガ信号を第2のモジュールに送信するように構成されてもよい。あるいは、またはさらに、中間プロセッサは、トリガ信号および/またはさらなるトリガ信号を第2のモジュールに送信するように構成されてもよい。
【0017】
調査/臨床研究(成人の身体活動に関する米国心臓協会の推奨事項、(https://www.heart.org/en/healthy-living/fitness/fitness-basics/aha-recs-for-physical-activity-in-adults))によれば、臨床集団の毎日の運動時間は1時間未満である。言い換えれば、ペースメーカーは、身体活動によるより高い代謝要件をサポートするために、24時間のうち1時間でのみ心臓の速度を上げる必要がある。しかしながら、現在のペースメーカーでは、レート適応アルゴリズムをサポートするために使用されるモーション検出システムは、常に完全に機能している。モーション検出システムのエネルギー消費は、ほとんどの場合不要である。
【0018】
特に、埋め込み可能なリードレスペースメーカー(ILP)には非常に厳しい電力消費要件があり、連続的に実行されるモーション情報処理を使用した従来の活動ベースのレート適応実装の実現に課題がある。したがって、本発明は、心臓ペースメーカー、特にリードレスペースメーカーにおけるレート応答ペーシングの厳しい電力要件を満たすためのデュアルモジュール戦略を特に示唆している。
【0019】
従来のモーションセンサとは異なり、提案されたモーション検出システムは、好ましくは2つの別個のモジュールを有する。すなわち、特にほとんどがアナログコンポーネントを含む可能性があり、低電流を消費する、連続的に実行される第1のモジュールと、特にプロセッサとサポートロジックを含み、システム電力の大部分を消費する、オンデマンドで実行される第2のモジュールである。モジュールは、回路および/またはプログラム可能な命令ユニットの集合である。
【0020】
特に、第1のモジュールは、バックグラウンドでアナログモーション信号を検出するために連続的に実行されている。他方、第2のモジュールは、好ましくは、ペースメーカーが埋め込まれている人の身体活動のイベントからのトリガおよび/または所定のタイマーの満了によってのみアクティブである。次に、トリガが処理されて再発しない場合、第2のモジュールはアイドル状態に戻る。日常生活動作の実際の時間を考えると、第2のモジュールは平均的なペースメーカー患者のほとんどの時間でオフになる。
【0021】
ハードウェアアクセラレータ(アナログモーションデータを処理し、目標心拍数を計算するための専用デジタルブロック)などのモーション検出システムで第2のモジュールのプロセッサをオフにすると、消費電力は1/10か、またはさらに低くなり得る。したがって、提案されたデュアルモジュール戦略では、連続的に動作するモーションセンサを使用した従来の活動ベースのレート適応実装と比較して、消費電流を30%~90%削減することができる。
【0022】
特に、一実施形態によれば、埋め込み可能なリードレスペースメーカー(ILP)は、前記ペーシングパルスを生成するためのパルス発生器と、パルス発生器にエネルギーを供給するためのバッテリーと、を封入する密閉ハウジングを含んでもよい。リードレスペースメーカーは、リードレスペースメーカーを人の心臓(例えば、心室または心房)に固定するために、ハウジングの遠位端に設けられた固定手段をさらに含んでもよい。リードレスペースメーカーは、ペーシングパルスの形で電気刺激を人の心臓に印加し、検知を可能にするために、一対の電極(例えば、カソードおよびアノード)をさらに含んでもよく、ペーシング電極は、リードレスペースメーカーのハウジングの遠位端に配置されて、心内膜組織と接触することができ、戻り電極は、ハウジングの近位端に配置することができる。このようなペースメーカーに関して、リードレスとは、埋め込み可能リードレスペースメーカーの電極が、ハウジングに封入されたパルス発生器に直接接続され、リードレスペースメーカーのハウジングに機械的に取り付けられていることを意味し、したがって、外部リードは必要ない。
【0023】
さらに、埋め込み可能心臓ペースメーカーの一実施形態によれば、第1のモジュールは、第1のモジュールによって人の身体活動が検出された場合に、かつ/または、所定のタイムスパンが経過するたびに、第2のモジュールをアイドル状態からアクティブ状態にするために、第2のモジュールに前記トリガ信号を送信するように構成される。第1のモジュールおよび第2のモジュールは、モーション信号、電圧信号、加速度信号、および/またはタイミング信号を含むいくつかの信号を交換することができる。
【0024】
さらに、埋め込み可能心臓ペースメーカーの一実施形態によれば、第2のモジュールは、デフォルトでアイドル状態にあり、第1のモジュールおよび/または中間プロセッサから送信された前記トリガ信号によってのみ起動され、第1のモジュールおよび/または中間プロセッサによって第2のモジュールに起動トリガ信号が送信されていない所定のタイムスパンの満了後にアクティブ状態からアイドル状態に戻るように構成される。
【0025】
さらに、埋め込み可能心臓ペースメーカーの一実施形態によれば、第1のモジュールは、人の身体活動を検出するように構成されたモーションセンサ、特に3軸トランスデューサを含み、モーションセンサは、人の前記身体活動または姿勢を示すモーション信号を生成するように構成される。
【0026】
さらに、一実施形態では、第1のモジュールは、モーションセンサの電流信号を電圧信号に変換するように構成された電流-電圧変換器を含む。特に、第1のモジュールは、電圧信号をフィルタリングするように構成されたフィルタを含むことができる。
【0027】
さらに、一実施形態によれば、第1のモジュールは、前記(例えば、フィルタリングされた)電圧信号に基づいてトリガ信号を生成するように構成されたトリガ起動コンポーネントを含む。
【0028】
特に、埋め込み可能心臓ペースメーカーの一実施形態によれば、第2のコンポーネントは、前記レート適応アルゴリズムを実行するためのホストプロセッサを含み、第2のモジュールをアイドル状態からアクティブ状態に変更するための前記トリガ信号は、第1のモジュールによって、特にトリガ起動コンポーネントによってホストプロセッサに送信される割り込みであってもよい。
【0029】
さらに、埋め込み可能心臓ペースメーカーの一実施形態によれば、第1のモジュール(特に、トリガ起動コンポーネント)は、モーションセンサによって生成されたモーション信号の振幅が所定のしきい値を超えた場合に、第2のモジュールをアイドル状態からアクティブ状態に変更するために、前記トリガ信号を第2のモジュールに送信するように構成される。
【0030】
埋め込み可能心臓ペースメーカーのさらなる実施形態によれば、第1のモジュールは、モーションセンサによって生成されたモーション信号のスペクトル特性が、周波数範囲において所定のしきい値と交差した(例えば、超えた)場合に、第2のモジュールをアイドル状態からアクティブ状態に変更するために、前記トリガ信号を第2のモジュールに送信するように構成される。
【0031】
さらに、埋め込み可能心臓ペースメーカーの一実施形態によれば、第1のモジュールは、モーション信号とモーション信号の参照レベルとの差がしきい値を超えた場合に、第2のモジュールをアイドル状態からアクティブ状態に変更するために、前記トリガ信号を第2のモジュールに送信するように構成される。特に、参照レベルは、経時的に(例えば、毎日)追跡されるモーション信号の平均振幅の一部であってもよく、これは、患者が増加した代謝要求の状態(例えば、運動中)にないときのベースライン運動を表すことができる。
【0032】
さらに、埋め込み可能心臓ペースメーカーの一実施形態によれば、第1のモジュールは、モーション信号(特に、人の現在の姿勢を決定することを可能にする3つの直交軸に沿った人の加速度を表す)に基づいて人の姿勢を決定するように構成され、第1のモジュールは、人の決定された姿勢が、所定のタイムスパンに人がいたところの人の水平位置に対応する場合に、第2のモジュールをアクティブ状態からアイドル状態に変更するために、前記さらなるトリガ信号を第2のモジュールに送信するように構成される。
【0033】
さらに、埋め込み可能心臓ペースメーカーの一実施形態によれば、第1のモジュールは、所定の睡眠時間が開始するか、または人の低活動期間が特定の期間続いた場合に、第2のモジュールをアクティブ状態からアイドル状態に変更するために、前記さらなるトリガ信号を第2のモジュールに送信するように構成される。
【0034】
さらに、埋め込み可能心臓ペースメーカーの一実施形態によれば、第1のモジュールおよび/または中間プロセッサは、前記トリガ信号および前記さらなるトリガ信号を第2のモジュールに交互に送信して、第2のモジュールを第1のタイムスパンではアクティブ状態に、第2のタイムスパンではアイドル状態に交互に置くように構成される。
【0035】
さらに、埋め込み可能心臓ペースメーカーの一実施形態によれば、第1のモジュールは、第2のモジュールが、所定のタイムスパン中に人の身体活動を示す前記トリガ信号を受信しない場合に、第2のタイムスパンを増加させるように構成され、かつ/または第1のモジュールは、第2のモジュールが人の身体活動を示す前記トリガ信号を受信した場合に第2のタイムスパンを短縮するように構成される。
【0036】
さらに、埋め込み可能心臓ペースメーカーの一実施形態によれば、モーション信号の振幅が所定のしきい値を下回る場合に、第2のモジュールはそのアイドル状態にあるように構成され、モーション信号の振幅がしきい値を上回る場合に、第1のモジュールは、第2のモジュールを第1のタイムスパンではアクティブ状態に、第2のタイムスパンではアイドル状態に交互に維持するために、第2のモジュールに前記トリガ信号と前記さらなるトリガ信号とを交互に送信するように構成される。
【0037】
以下の実施形態では、本発明のさらなる特徴および利点が、図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】モジュール化されたモーション検出システムを含む埋め込み可能心臓ペースメーカーの一実施形態の概略図である。
【
図2】モジュール化されたモーション検出システムが2つのモジュールを含む直接制御および/または非同期システムとして実装される、埋め込み可能心臓ペースメーカーの一実施形態の概略図である。
【
図3】モジュール化されたモーション検出システムが2つのモジュールを含む同期システムとして実装される、埋め込み可能心臓ペースメーカーの一実施形態の概略図である。
【
図4(A)】モーション検出システムが、連続的にオンである場合の、心臓ペースメーカーによって実行されるレート適応アルゴリズムからのペーシングレートを示す図である。
【
図4(B)】モーション検出システムが、1/5のデューティサイクルでのみオンである場合の、心臓ペースメーカーによって実行されるレート適応アルゴリズムからのペーシングレートを示す図である。
【0039】
図1は、本発明による埋め込み可能心臓ペースメーカーの一実施形態の概略図を示している。特に、ペースメーカーは埋め込み可能リードレスペースメーカーである。特に、ペースメーカー1は、
図1に示されていないパルス発生器および電極を使用して、ペースメーカー1の動作中に人の心臓にペーシングパルスを印加するように構成される。さらに、ペースメーカー1は、第1のモジュール10および第2のモジュール20を含むモーション検出システムを含み、第1のモジュール10は、ペースメーカー1の動作中に連続的に動作するように構成され、第1のモジュール10は、第2のモジュール20をアイドル状態からアクティブ状態に変更するために、第2のモジュール20にトリガ信号Sを送信するか、または、第2のモジュール20をアクティブ状態からアイドル状態に変更するために、第2のモジュール20にさらなるトリガ信号S’を送信するように構成され、ここで、アクティブ状態の第2のモジュール20の時間単位あたりのエネルギー消費は、アイドル状態の場合よりもかなり大きく、第2のモジュール20がそのアクティブ状態にあるときに、第2のモジュール20は、人の代謝要求を満たすようにペーシングパルスのレートを適応させるレート適応アルゴリズムを実行するように構成される。
【0040】
連続的に動作する第1のモジュール10は、特に大部分がアナログコンポーネントを含み、ペースメーカー1の電力の小さい部分(例えば、10%以下)を消費する。他方、オンデマンドで実行される第2のモジュール20は、レート適応アルゴリズムを実行し、ロジックをサポートするためのプロセッサ21を含み、これは、アクティブであるときにかなりの量の電力を消費する。
【0041】
特に、第2のモジュール20は、内部発振器22、アナログ-デジタル変換器(ADC)23、データストレージ(例えば、FIFO)24、シリアルI/O25、およびデジタルフィルタ26をさらに含む。身体活動のモーション信号が検出されると、第2のモジュール20は、前記トリガ信号を受信し、アクティブ状態に切り替わる。第1のモジュール10のモーションセンサトランスデューサからのモーション信号は、患者の代謝要件を満たすようにペーシングレートを適合させるために使用される。最初に、アナログモーション信号は、ADC23を介してデジタルデータに変換される。次に、デジタル信号は、その帯域幅が活動信号の周波数スペクトルに対応するデジタルフィルタ26によってフィルタリングされる。次に、フィルタリングされた信号のエネルギーが計算され、リードレスペースメーカーの他のモジュールに出力されて、シリアルI/O25を介した活動ベースのレート適応をサポートする。各ステップの信号は、必要に応じてFIFO24に格納され得る。
【0042】
デフォルトで第2のモジュール20をオフ(例えば、アイドル状態)に保ち、ペースメーカー1でレート適応アルゴリズムをサポートする必要がある場合にのみそれをオン(例えば、アクティブ状態)にすることが特に提案される。
【0043】
特に、第1のモジュール10は、モーションセンサ(例えば、3軸トランスデューサ)11、電流-電圧変換器12、フィルタ13、およびトリガ起動コンポーネント14を含むことができ、連続的に動作している。トリガ起動コンポーネント14は、第2のモジュール20がいつ動作するかを決定するために特に使用される。トリガ信号のタイプに応じて、トリガ起動コンポーネント14は、いくつかの代替設計のものであってもよい。様々なタイプのトリガに関する詳細な情報を以下に説明する。一例として、トリガ起動コンポーネント14がモーション振幅を検出するように設計されている場合には、大きなモーション信号が検出されたときは、患者(すなわちペースメーカー1が埋め込まれた人)の代謝要求の増加を経験し始めており(例えば運動中)、増加した代謝要求を満たすためにより高いペーシングレートが必要であることを示しており、トリガ起動コンポーネント14は、トリガ信号S(すなわち、割り込みS)をホストプロセッサ21に送信し、第2のモジュール20をウェイクアップする。次に、第2のモジュール20の構成要素は、レート適応の手段をサポートするために動作する。特に、第2のモジュール20は、トリガ信号Sがアクティブである場合にのみ動作し、次に、アイドル、スタンバイ、一時停止、スリープ、オフモードなどのエネルギー変換状態に戻る。
【0044】
以下では、いくつかのタイプのトリガについて説明する。以下の段落で説明するトリガタイプには、S(第2のモジュール20をアイドル状態からアクティブ状態に変更するためのトリガ信号)およびS’(第2のモジュール20をアクティブ状態からアイドル状態に戻すためのさらなるトリガ信号)の両方が含まれる。タイミング関連のトリガ信号(デューティサイクル、予め設定されたタイムスパンなど)は、中間プロセッサによって提供され、中間プロセッサは、第1のモジュールの検出からのサポートを必要としてもしなくてもよい。さらなるトリガ信号S’(第2のモジュールをアイドル状態に戻す)は、1)トリガ信号S(振幅しきい値、スペクトルしきい値、デルタ)が第1のモジュールによって送信されない、所定のタイムスパンの満了、2)デューティサイクルの予め設定された時間の満了、3)姿勢の変化(例えば一定時間の水平姿勢、および4)ユーザによる所定のタイムウィンドウを含んでもよい。
【0045】
モーション振幅しきい値:患者が代謝要求の増加を経験し始めるとき(例えば、運動を開始するとき)、はるかに大きなモーション信号が第1のモジュール10によって検出される。したがって、トリガ起動モジュール14は、振幅比較器を使用して実装することができる。静止モーション振幅より上で、かつ運動モーション振幅より下であるモーション信号が、しきい値に対して評価される。モーション振幅がしきい値を下回ると、第2のモジュール20はデフォルトとしてアイドル状態に保たれる。モーション振幅がしきい値を超えると、トリガSは第2のモジュール20を起動させる。他方、検出されたモーション信号が一定時間しきい値を下回った場合、消費電力を節約するために、第2のモジュール20は再びオフ(例えば、アイドル状態)にされる。オフは、該当する場合、一時停止またはスリープなどの代替状態を表すと理解され、本明細書ではアイドル状態としても示される。
【0046】
スペクトルパワーしきい値:ほとんどの活動信号は、2Hz~6Hzの周波数範囲にある。したがって、スペクトルパワーしきい値を使用することは、第2のモジュール20を起動するための別のタイプのトリガである。他の非活動モーション信号は通常、異なるスペクトルを有する。例えば、運転には10Hzを超えるほとんどの周波数成分があるが、呼吸モーションは通常1Hzよりも低くなる。パワーが対象の周波数範囲(例えば、2Hz~6Hz)にあるか、またはしきい値を超えると、第2のモジュール20が起動されて、レート適応をサポートする。
【0047】
加速度信号のデルタ(ジャーク):加速度の絶対振幅または信号スペクトルを検出する代わりに、信号が突然変化したときにトリガを起動することができる。例えば、加速度のデルタ(ジャーク)をトリガとして使用できるが、他の導関数、積分、または加速度の統計的特性を使用することができる。信号の傾向は、参照に関して時間の経過と共に追跡される(他の参照も使用できる)。参照からの信号の大きな変化は、患者が身体活動を開始していることを示し、第2のモジュール20は、レート適応アルゴリズムをサポートするためにオンにされる。
【0048】
姿勢トリガ:第1のモジュール10によって検出された加速度信号は、患者の姿勢を示すことができる。患者が十分な時間立位にあるときに、第2のモジュール20をオンにして(例えば、アクティブ状態)、患者のレート応答サポートの準備をすることができる。患者が比較的長い時間(例えば1時間以上)水平位置にある場合、患者は睡眠中である可能性が最も高く、座位または立位の姿勢に変わる前に、患者が代謝要求が増加した状態(例えば運動状態)になる可能性はわずかである。したがって、第2のモジュール20は、患者が比較的長い間横になった位置にあった後に、オフ(例えば、アイドル状態)にすることができる。
【0049】
日周期タイミングトリガ:患者の定まったルーチンの理解に基づいて、第2のモジュール20は、ほとんど活動的な期間中にオン(例えば、アクティブ状態)になり、睡眠時間および他の低活動期間中にオフ(例えば、アイドル状態)にすることができる。
【0050】
デューティサイクルプリセットタイマートリガ:従来の活動ベースのレート適応アルゴリズムでは、提案されたペーシングレートは、平均モーション信号に基づいて毎秒更新される。デューティサイクル戦略が適用されると、第2のモジュール20は、特定の(第1の)タイムスパンでオンになり、次に別の(第2の)タイムスパンでオフ(例えば、アイドル状態)になる。このシナリオでは、第2のモジュール20を起動するためのトリガは、中間プロセッサによる単安定タイミング制御であり得る。オフ(例えば、アイドル状態)期間の終わりに、タイマーは、トリガを起動して、第2のモジュール20をオンにする。省電力レートは、オン期間とオフ期間の選択によって異なる。デューティサイクル戦略では、レート適応手段の応答時間が1秒から数秒に延長されるが、それでも臨床的に受け入れられており、レート適応の性能に大きな影響を与えることはない。
【0051】
動的デューティサイクルプリセットタイマートリガ:デューティサイクルプリセット時間トリガと同様に、プリセットタイマーが第2のモジュール20を起動させるためのトリガとして使用される。しかし、ほとんどの場合、患者は代謝要求が増加している状態ではないため、より多くのエネルギーを節約するために、デューティサイクルのオフ期間が長く設定される。一方、患者の身体のモーションが検出されると、オフ期間が短縮され、レート適応アルゴリズムの応答時間が短縮される。臨床集団の平均運動時間が1日1時間しかないことを考えると、動的なデューティサイクルにより電力使用量が大幅に減少する。この手法の利点は、患者の状態、つまり安静時または代謝要求が増加した状態(例えば身体運動)の区別に基づいて異なるデューティサイクルを可能にし、電力の節約を最大化できることである。
【0052】
しきい値とデューティサイクルトリガの組み合わせ:モーション信号がしきい値を下回ると、システムの第2のモジュール20が完全にオフ(例えばアイドル状態)になる。患者が代謝要求の増加(例えば、運動)の状態にあり、モーション信号がしきい値を超えると、第2のモジュール20は、予め設定されたデューティサイクルタイミングに基づいてオンになる。この場合のトリガ信号は、モジュール10からのしきい値を超えるトリガと、中間プロセッサからのタイミング制御と、の組み合わせである。このようにして、省エネルギーはさらに効果的になる。
【0053】
ユーザにより定義/プログラムされたトリガ:第2のモジュール20はまた、ユーザにより定義またはプログラムされたトリガ信号、例えば、姿勢変化の特定のパターンによって、アイドル状態とアクティブ状態との間で切り替えることができる。
【0054】
異なるトリガ信号を組み合わせて、第2のモジュール20の状態を制御することができる。例えば、第2のモジュール20は、加速度信号のデルタのSによってオン(例えば、アクティブ状態)になることができ、振幅しきい値、姿勢、または予め設定されたタイムスパンのS’によってアイドル状態に戻ることができる。
【0055】
モーションセンサのデュアルモードは、イネーブルまたはディスエーブルにプログラム可能である。この機能をディスエーブルにすると、モーションセンサは従来のモーションセンサと同じように機能し、レート応答を連続的にサポートするためにオンになる。
【0056】
デジタル化された加速度の調査に基づいて、センサ内の主プロセッサ21の電源がオフにされると、電力消費は90%またはそれ以上減少することができる。したがって、患者が代謝要求が増加した状態にないときに、プロセッサ21、発振器22、ADC23、インターフェース25、および/またはデータストレージバッファ24を含む第2のモジュール20をオフにすることにより、電力使用量を60%~90%節約することができる。
【0057】
上記のモーション振幅しきい値、スペクトル密度しきい値、または加速度信号のデルタを使用して、第2のモジュール20は、増加した代謝要求(例えば、運動)の状態からの身体モーション信号が検出された場合にのみ動作する。文献および調査に基づくと、平均運動時間は1日1時間である。したがって、ほとんどの場合、モーション検出システム10、11は、最大90%の電力を節約することができる。他方、トリガ起動モジュール14は、モーション信号が検出されると、レート適応アルゴリズムをサポートするために第2のモジュール20をウェイクアップする。したがって、レート適応アルゴリズムの性能は、この戦略の影響を受けない。
【0058】
上記の姿勢トリガまたは日周期タイミングトリガを使用して、第2のモジュール20は、患者が睡眠しているときにオフにされる。上記の他のトリガと比較すると、姿勢トリガまたは日周期タイミングトリガは、同じ大きさの省電力率を提供しないが、姿勢および日周期タイミングトリガの検出は単純で安定している。普通の人間の睡眠時間は毎日約1/3であることを考えると、電力を30%も節約することができる。
【0059】
上記のデューティサイクルプリセットタイマートリガおよび動的デューティサイクルプリセットタイマートリガは、ユーザプリセットタイマーに基づいており、実装が簡単である。第2のモジュール20が時間t1の間オンになり、4*t1の間オフになる、1/5のデューティサイクルを考慮すると、電力使用量を80%減らすことができる。従来のペースメーカーでは、目標ペーシングレートは1秒ごとに更新される。1/5デューティサイクルが適用されると、応答時間は1秒から5秒に増加するが、これはまだ臨床的に許容される。さらに、活動信号の[2Hz-6Hz]の周波数スペクトルを考慮すると、オン期間t1を0.5秒(2Hz)に短縮しても、モーション信号サイクルをカバーすることができる。この場合、1/5のデューティサイクルを使用した全体的なレート適応応答時間は2.5秒と短く、省電力レートは80%と高くなる。動的デューティサイクルが適用されると、患者が1日のほとんど運動をしていないときに、より短い「オンタイム」デューティサイクルが適用され、省電力がさらに重要になる可能性がある。
【0060】
最後に、しきい値とデューティサイクルの組み合わせトリガは、デューティサイクル戦略とモーションしきい値ベースのトリガの組み合わせを使用する。ここで、第2のモジュール20は、モーション信号が検出されないときに完全にオフになり、モーション信号が存在する時間の1/5でオンになる。患者が1日3時間運動すると仮定すると、これは平均運動時間より200%長く、(h)を使用した全体的な消費電力は従来のモーション検出システムのわずか11%になる。
【0061】
図2は、モジュール化されたモーション検出システムが、直接制御および/または非同期システムにおいて2つのモジュールとして実装される、埋め込み可能心臓ペースメーカーの一実施形態を示している。第1のモジュール10は、第2のモジュール20と直接通信する。直接システムは、第1のモジュール10と第2のモジュール20との間の直接インターフェースを備えた単純なシステム設計を有する。
【0062】
図3は、モジュール化されたモーション検出システムが同期システムとして実装されている、埋め込み可能心臓ペースメーカーの別の実施形態を示している。第1のモジュール10は、中間プロセッサ30を介して第2のモジュール20と通信する。第1のモジュール10と中間プロセッサ30との間の通信、ならびに中間プロセッサ30と第2のモジュール20との間の通信は、制御/データインターフェースまたはバス31を介して実行される。同期されたシステムは、第2のモジュール20をオン/オフに切り替えるためのより複雑なトリガ信号を生成する機能を提供することができる。
【0063】
要約すると、本発明は、ペースメーカー、特にリードレスペースメーカーにおける活動ベースおよび/または心臓モーションベースのレート適応をサポートする。
【0064】
有利なことに、レート適応アルゴリズムの現在のモーション検出システムと比較して、消費電力を30%~90%削減することができ、これは、リードレスペースメーカーなどの特定のペースメーカーの厳しい電流消費要件を満たすのに役立つ。
【0065】
さらに、レート適応アルゴリズムの性能は影響を受けない。この特徴の一例を
図4に示す。ここで、第2のモジュール20は、デューティサイクルでオンにされ、レート適応の性能は影響を受けない。
図4に示すように、レート適応アルゴリズムからの出力ペーシングレートは、モーション検出システムが(A)連続的にオンである場合、および(B)1/5のデューティサイクルでのみオンである場合に非常に似ている。
【0066】
さらに、本発明は、ペーシングレートを増加させる要求があるときに第2のモジュール20をオンにするために使用されるトリガ起動コンポーネント14の設計における複数のオプションをサポートする。最後に、本発明は、異なるタイプの活動の識別をサポートする。
【0067】
第1のモジュール10および第2のモジュール20の指定は、主にそれぞれアナログおよびデジタルであるが、本発明の他の実施形態は、連続動作およびアイドルモジュールにおける電力節約を最適化するために、混合アナログ/デジタルまたは交換機能のモジュールを含んでもよいことを理解されたい。