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特許7573016コンテインメント内に防護されて介入するグローブ装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】コンテインメント内に防護されて介入するグローブ装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20241017BHJP
   B25J 21/02 20060101ALI20241017BHJP
   B01L 1/00 20060101ALI20241017BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20241017BHJP
   G21F 7/04 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
B25J19/06
B25J21/02
B01L1/00 D
C12M1/00 K
G21F7/04
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022505430
(86)(22)【出願日】2020-07-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-30
(86)【国際出願番号】 CH2020000009
(87)【国際公開番号】W WO2021016726
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】19405012.6
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512049513
【氏名又は名称】スカン・アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Skan AG
【住所又は居所原語表記】Kreuzstrasse 5,4123 Allschwil,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ガイザー・クリストフ・ヨシ
(72)【発明者】
【氏名】レーマン・フランク・マルティン
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-345285(JP,A)
【文献】特開平08-229880(JP,A)
【文献】特表2005-525940(JP,A)
【文献】特表2015-505280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 1/00
B25J 19/06、21/02
C12M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポートフランジ(2)に存在する進入部(24)を通ってコンテインメント(1)の作業室(11)内へ防護されて介入するグローブ(3)を備えるグローブ装置(4)であって、
a)ポートフランジ(2)は、設置室(19)内に位置決めされたコンテインメント(1)の前側シールド(12)又はハウジング(10)の壁部に組み付けられていて、
b)作業室(11)内に、被処理物を加工する機械類(13)が存在してよい、
グローブ装置(4)において、
c)グローブ装置(4)は、インサートの形態で、ポートフランジ(2)に気密に嵌着可能な構成群として構成されていて、
da)一方では取外し可能に又は開放可能に配置された封止部材(41)と、
db)他方では構成群から着脱自在なカバー(7)又は遮断部材(5)と、
dc)封止部材(41)とカバー(7)又は遮断部材(5)との間に真空包装されたグローブ(3)であって、内側面(43)と表面(44)とを有する、グローブ(3)と
を備えることを特徴とする、グローブ装置(4)。
【請求項2】
グローブ装置(4)は、ポートフランジ(2)に気密に取り付けるように設定された固定部(40)をさらに備えることを特徴とする、請求項1記載のグローブ装置(4)。
【請求項3】
a)固定部(40)は、環状に又は長円形に形成されていて、プラスチックからなり、
b)カバー部材(7)又は遮断部材(5)は、シェル状に構成されていて、プラスチックからなる
ことを特徴とする、請求項1及び2のいずれか一項に記載のグローブ装置(4)。
【請求項4】
カバー部材(7)又は遮断部材(5)がグローブ装置(4)に被着されているとき、封止部材(41)が損傷していない状態で、
a)封止部材(41)とグローブ(3)の表面(44)との間に前側空間(45)が位置し、前側空間(45)内に負圧が作用し、
b)前側空間(45)と、封止部材(41)の、前側空間(45)に面する内側面と、グローブ(3)の表面(44)とが、無菌である
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のグローブ装置(4)。
【請求項5】
カバー部材(7)又は遮断部材(5)がグローブ装置(4)に被着されているとき、封止部材(41)が損傷していない状態で、
a)グローブ(3)の内側面(43)とカバー部材(7)又は遮断部材(5)との間に、内側空間(42)が位置し、内側空間(42)内に負圧が作用し、
b)内側空間(42)と、カバー部材(7)又は遮断部材(5)の、内側空間(42)に面する内側面と、グローブ(3)の内側面(43)とが、無菌である
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のグローブ装置(4)。
【請求項6】
a)グローブ(3)の、それ自体自由な端部が、固定部(40)に及び/又は固定部(40)の付近で封止部材(41)に取り付けられていて、封止部材(41)は、固定部(40)の内法に少なくとも実質的に張設されていて、
b)カバー部材(7)又は遮断部材(5)がグローブ装置(4)に被着されているとき、封止部材(41)が損傷していない状態で、封止部材(41)は、グローブ装置(4)内に作用する負圧に基づいて、グローブ装置(4)の方へ凹状に視認可能に湾曲していることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のグローブ装置(4)。
【請求項7】
固定部(40)に、RFIDチップ(46)が配置されていて、RFIDチップ(46)は、個別のシリアル番号とグローブ装置(4)の製造データとを記憶していることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のグローブ装置(4)。
【請求項8】
RFIDチップ(46)は、書込み可能であり、グローブ(3)を含む、グローブ装置(4)における全ての新たな行動が、把握され、RFIDチップ(46)に又は制御ユニット(8)において、グローブ装置(4)の個々の履歴データに加えられることを特徴とする、請求項7に記載のグローブ装置(4)。
【請求項9】
a)グローブ装置(4)の組み込まれた構成部材として、グローブ装置(4)から着脱自在に構成された遮断部材(5)が、ポートフランジ(2)に存在する進入部(24)を通るコンテインメント(1)の作業室(11)内へのグローブ(3)による権限のない介入に対して防護するために使用可能である、又は
b)そのような権限のない介入に対する防護のために、遮断部材(5)が設けられていて、遮断部材(5)は、
ba)直接にポートフランジ(2)に組み込まれた、旋回可能な、張設可能な、シャッタ式の又は伸長可能な閉鎖体として構成されている、又は
bb)ポートフランジ(2)に連結可能な又はポートフランジ(2)から取外し可能な別個の閉鎖体として構成されている
ことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のグローブ装置(4)。
【請求項10】
グローブ装置(4)の組み込まれた構成部材として、グローブ装置(4)から着脱自在に構成された遮断部材(5)が、延長部(58)を有し、延長部(58)は、遮断部材(5)を付加的にポートフランジ(2)に一時的に確保するために、ポートフランジ(2)から延在する切替可能な保持要素(28)と相互作用するように設定されていることを特徴とする、請求項9に記載のグローブ装置(4)。
【請求項11】
a)カバー部材(7)又は遮断部材(5)は、磁気域(77、57)を有し、磁気域(77、57)は、カバー部材(7)又は遮断部材(5)を一時的に付加的に確保するために、固定部(40)と相互作用するように設定されていて、
b)磁気域(77、57)は、さらに、カバー部材(7)又は遮断部材(5)がグローブ装置(4)から離脱されているときに、カバー部材(7)又は遮断部材(5)を収容ステーション(15)に保管するのに使用可能である
ことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のグローブ装置(4)。
【請求項12】
a)コンテインメント(1)に複数のポートフランジ(2)が組み込まれているとき、グローブ装置(4)が、各々のポートフランジ(2)にそれぞれ取り付けられていて、
b)オペレータ(9)の個人データをピックアップするために、取得ユニット(62)が設けられていて、取得ユニット(62)は、マイクロコントローラ(64)への接続を有し、これにより、取得された個人データとマイクロコントローラ(64)内のデータとが一致すると、アクチュエータ(69)に切替コマンドを付与し、これにより、遮断部材(5)がブロック位置にもたらされる又はブロック位置から開位置へ可動であり、これにより、進入部(24)が遮断されている又は進入可能であり、
c)アクチュエータ(69)は、ポートフランジ(2)に又は遮断部材(5)に配置されていて、
d)マイクロコントローラ(64)のデータは、直接にマイクロコントローラ(64)内に格納されている又は外部の制御ユニット(8)から来る
ことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のグローブ装置(4)。
【請求項13】
a)オペレータ(9)の個人データをピックアップする取得ユニット(62)が、各々のポートフランジ(2)に又は各々の遮断部材(5)に対応して配置されていて、
b)取得された個人データとマイクロコントローラ(64)内のデータとが一致すると、オペレータ(9)は、切替コマンドごとに、マイクロコントローラ(64)から、特定の遮断部材(5)を、特定のポートフランジ(2)に被着し、ブロック位置にもたらす又は解除し、特定のポートフランジ(2)から取り外す権限を受け取り、これにより、進入部(24)が遮断されている又は進入可能である
ことを特徴とする、請求項12に記載のグローブ装置(4)。
【請求項14】
オペレータ(9)の個人データをピックアップする取得ユニット(62)が、
a)各々のポートフランジ(2)に、又は
b)各々の遮断部材(5)に、又は
c)コンテインメント(1)の、該当する全てのポートフランジ(2)及び遮断部材(5)については、携帯通信機器、例えばタブレットコンピュータに
設けられていることを特徴とする、請求項12及び13のいずれか一項に記載のグローブ装置(4)。
【請求項15】
aa)ポートフランジ(2)に組み込まれた閉鎖体として構成された遮断部材(5)と、ポートフランジ(2)とに、安全センサ(21、66;66、21′)がそれぞれ設けられていて、
ab)両対の安全センサ(21、66;66、21′)が、外部の安全リレー(81)と相互作用して、ポートフランジ(2)における遮断部材(5)の位置を検出するとともに、遮断部材(5)が開いているときには自動的に機械類(13)をブロックするように切り替えるのに用いられる、又は
ba)別個にポートフランジ(2)に連結可能である又はポートフランジ(2)から取外し可能である閉鎖体として構成された遮断部材(5)と、ポートフランジ(2)とに、安全センサ(21、66;66、21′)がそれぞれ設けられていて、
bb)両方の安全センサ(21、66;66、21′)が、外部の安全リレー(81)と相互作用して、ポートフランジ(2)に対して相対的な遮断部材(5)の位置を検出するとともに、ポートフランジ(2)から遮断部材(5)が離間しているときには自動的に機械類(13)をブロックするように切り替えるのに用いられる、又は
ca)グローブ装置(4)に着脱自在に結合された、ポートフランジ(2)にロック可能である又はポートフランジ(2)から取外し可能である閉鎖体として構成された遮断部材(5)と、ポートフランジ(2)とに、安全センサ(21、66;66、21′)がそれぞれ設けられていて、
cb)両対の安全センサ(21、66;66、21′)が、外部の安全リレー(81)と相互作用して、ポートフランジ(2)に対して相対的な遮断部材(5)の位置を検出するとともに、ポートフランジ(2)から遮断部材(5)が離間しているときには自動的に機械類(13)をブロックするように切り替えるのに用いられる
ことを特徴とする、請求項12から14のいずれか一項に記載のグローブ装置(4)。
【請求項16】
a)制御ユニット(8)と、ポートフランジ(2)ごとにそれぞれ制御ユニット(8)と相互作用する制御リレー(81)とに、送受信機(80)がそれぞれ対応して配置されていて、
b)ポートフランジ(2)に又は遮断部材(5)に設けられた能動型安全センサ(21′)は、相補的な受動型安全センサ(66)が存在するか検出するのに用いられ、その際、送受信素子(65)が、受動型安全センサ(66)の不在を無線で送受信機(80)に信号通知し、送受信機(80)は、これに基づき、受動型安全センサ(66)の不在を安全リレー(81)に通知するとともに、機械類(13)を自動的にブロックする
ことを特徴とする、請求項15に記載のグローブ装置(4)。
【請求項17】
ポートフランジ(2)に連結可能である又はポートフランジ(2)から取外し可能である別個の閉鎖体として構成された遮断部材(5)に、又はポートフランジ(2)に、
a)取得ユニット(62)、
b)マイクロコントローラ(64)、及び
c)アクチュエータ(69)であって、手動で又は被駆動式に作動可能であるとともに遮断部材(5)をブロック位置に又は開位置に位置調節するのに用いられるアクチュエータ(69)
が設けられていて、
d)ディスプレイ(61)及び蓄電池(60)が設けられている
ことを特徴とする、請求項12から16のいずれか一項に記載のグローブ装置(4)。
【請求項18】
a)ポートフランジ(2)は、RFIDチップ(22)を有し、
b)ポートフランジ(2)に連結可能である又はポートフランジ(2)から取外し可能である別個の閉鎖体として構成された遮断部材(5)に、送受信素子(65)が設けられていて、
c)送受信素子(65)は、遮断部材(5)がポートフランジ(2)に装着されているときには遮断部材(5)とポートフランジ(2)との対を検出するとともに、制御ユニット(8)に又はマイクロコントローラ(64)に格納されたデータに応じて、遮断部材(5)のロックを許可する又は拒否するのに用いられる
ことを特徴とする、請求項16に記載のグローブ装置(4)。
【請求項19】
a)固定部(40)に配置されたRFIDチップ(46)に記憶されたデータが、送受信素子(65)によって読取り可能であるとともに、制御ユニット(8)に及び/又はマイクロコントローラ(64)に格納されていて、
b)ポートフランジ(2)及びグローブ装置(4)における各々の新しい行動は、制御ユニット(8)によって把握され、制御ユニット(8)に、該当するグローブ装置(4)について記憶され、つまり個々の履歴データに追加される
ことを特徴とする、請求項16から18のいずれか一項に記載のグローブ装置(4)。
【請求項20】
a)各グローブ装置(4)の製造データには、
aa)個々のシリアル製造、
ab)製造日、
ac)グローブサイズ、
ad)材料の種類、
ae)使用された滅菌法、及び
af)使用期限、
が含まれてよく、
b)各グローブ装置(4)の履歴データには、
ba)ポートフランジ(2)への設置日、
bb)設置実行者の個人データ、
bc)識別子、どのポートフランジ(2)に設置が行われたか、
bd)いつ、どの頻度で、どのオペレータ(9)によって、該当するグローブ装置(4)における遮断部材(5)がブロック位置にもたらされた又はブロック位置から開位置へ動かされたか、
be)コンテインメント(1)の作業室(11)における除染サイクルの時期及び回数、並びに除染サイクルの最大許容回数、
bf)該当するグローブ装置(4)で実行される漏れ試験の時期及び回数、
bg)コンテインメント(1)の作業室(11)内で扱われるとともに、該当するグローブ装置(4)が使用される製品単位及び製品、
bh)オペレータ(9)が手動で入力するべき特別なイベント、及び
bi)該当するグローブ装置(4)の取外し及び廃棄を行う設置実行者の個人データ、
が含まれてよい
ことを特徴とする、請求項7から19のいずれか一項に記載のグローブ装置(4)。
【請求項21】
a)取得ユニット(62)が、オペレータ(9)の生体特徴、オペレータ(9)が入力すべきコード又はオペレータ(9)が提示すべきデータキャリアの電子データをピックアップするように設定されていて、
b)取得ユニット(62)によってオペレータ(9)からピックアップされた識別子が、マイクロコントローラ(64)と相互作用して、そのときに作業しようとしているオペレータ(9)に、マイクロコントローラ(64)に格納されたデータ又は制御ユニット(8)を介して取得したデータに応じた、遮断部材(5)を該当するポートフランジ(2)におけるブロック位置に又は開位置に位置調節する権限が付与される、又はそうでないときには拒否される
ことを特徴とする、請求項12から20のいずれか一項に記載のグローブ装置(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポートフランジに存在する進入部を通じてコンテインメントの作業室内へ防護されて介入する、グローブを備えるグローブ装置に関する。ポートフランジは、設置室内に位置決めされたコンテインメントの前面シールドに又はハウジングの壁部に組み付けられている。多くの場合、作業室内に、被処理物、例えば医薬品又は生物工学的物質を加工する機械類が存在する。グローブ装置に関連して、進入部を一時的にブロックする遮断部材を用いて、グローブ装置から作業室内へのグローブによる権限のない介入に対して防護する装置が提案される。
【背景技術】
【0002】
例えばJung Gummitechnik GmbH、D-64683 Einhausen/ドイツは、ウェブサイト(https://jugitec.de/、インターネット抜粋、2019年7月25日、参照)で、Glovebox-Handchuhenのプログラム、特にJugitec(R) Pharma、エチレンプロピレンゴム(EPDM)製のグローブを提供している。それ自体従来慣用のこのグローブは、良好な触感を有し、製薬、医療及び食品市場の基準に対して有効で、FDAポジティブリストの成分への適合性を有し、防爆用途に適していて、良好な蒸気滅菌性を有すると宣伝されている。
【0003】
背景技術(図1参照)によれば、設置室19内に位置するコンテインメント1のポートフランジ2内に、そのような従来慣用のグローブ3が組み付けられる。その際、グローブ3の折返し部30は、大抵は取外し可能なリングを越えて引っ張られ、通常の場合にはOリングによって、前面シールド12に又はコンテインメントハウジング10の壁部に設置されたポートフランジ2に対して封止される。これにより、コンテインメント1の作動室11内へのアクセス24が生じる。オペレータ9によって作業室11内に押し伸ばされたグローブ3において、グローブ3の内側面33、外側面34及びグローブ3により形成された内側空間32が示されている。
【0004】
コンテインメント1における生産モードの開始に備えるために、予め試験装置を用いてグローブ3の漏れを管理することが義務付けられていて、これにより、現場で、例えば医薬品製造者において、付加的な装備及び時間が必要となる。さらに、グローブ3の、作業室11に面する外側面34の全体を、コンテインメント1と一緒に除染しなければならない。そのために、通常、いわゆるグローブストレッチャ(例えば出願人を起源とするスイス国特許出願公開第707655号明細書参照)がグローブ3に導入され、これにより、例えばHガス処理の使用による緊張によって、全ての面領域が十分な強さで処理される。外側面34が大きくて厚く成形されていることに基づいて、相応して長い除染時間が必要である。特に、無菌で又は有毒状態で運転されるコンテインメント1では、頻繁な除染又は洗浄が必要であり、したがってこのとき、多くの場合、完全に新しいグローブ3を組み付ける必要があるので、前述の手間のかかる作業が繰返し行われる。図示の例では、多くの場合と同様に、作業室11内には、非処理物を加工する機械類13が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】スイス国特許出願公開第707655号明細書
【非特許文献】
【0006】
【文献】インターネット URL:https://jugitec.de/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以前から知られた背景技術から出発して、本発明の基礎を成す課題は、グローブが備え付けられたコンテインメントの現場で、例えば医薬品製造者におけるグローブの使用前の手間のかかる作業を大幅に低減する手段を提案することである。さらに、例えばHガス処理による表面除染の代わりに、より高品質の熱滅菌又はガンマ線滅菌を受けたグローブを提供することを目指すべきである。
【0008】
付加的な課題は、遮断部品によって、ポートフランジに存在する進入部を通る作業室へのグローブによる権限のない介入を排除するために、完成すると防護手段となる解決手段を提供することにある。その際、コンテインメントは、大抵、複数のポートフランジを有し、ポートフランジの全てにそれぞれ1つのグローブが設けられることが前提となっている。これにより、オペレータによる権限のない介入を「uncontolled human interventions」として阻止すること、そうして特に医薬品の生産を比較的損失なくそして確実にすること、及びポートフランジにおける全ての行動の包括的な記録を保証することが達成されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
グローブを備えるグローブ装置は、ポートフランジに存在する進入部を通ってコンテインメントの作業室内へ防護されて介入するように設けられている。ポートフランジは、設置室内に位置決めされたコンテインメントの前側シールドに又はハウジングの壁部に組み付けられている。作業室内に、被処理物を加工する機械類が存在してよい。グローブ装置は、インサートの形態で、ポートフランジに気密に嵌着可能な構成群として構成されている。一方では、取外し可能に又は開放可能に封止部材が配置されていて、他方では、構成群から着脱自在なカバー又は遮断部材が配置されている。封止部材とカバー又は遮断部材との間に真空包装された、内側面と表面とを有するグローブが位置する。
【0010】
以下、本発明の特別な実施形態を定義する。グローブ装置は、ポートフランジに気密に取り付けるように設定された固定部をさらに備える。固定部又は、環状に又は長円形に形成されていて、好適にはプラスチックからなる。カバー部材又は遮断部材は、好適にはシェル状に構成されていて、好適には同様にプラスチックからなる。
【0011】
カバー部材又は遮断部材がグローブ装置に被着されているとき、封止部材が損傷していない状態で、封止部材と表面との間に前側空間が位置し、前側空間内に負圧が作用する。前側空間と、封止部材の、前側空間に面する内側面と、グローブの表面とが、無菌である。
【0012】
カバー部材又は遮断部材がグローブ装置に被着されているとき、封止部材が損傷していない状態で、グローブの内側面とカバー部材又は遮断部材との間に、内側空間が位置し、内側空間内に負圧が作用する。内側空間と、カバー部材又は遮断部材の、内側空間に面する内側面と、グローブの内側面とが、無菌である。
【0013】
グローブの、それ自体自由な端部が、固定部に及び/又は固定部の付近で封止部材に取り付けられていて、封止部材は、固定部の内法に少なくとも実質的に張設されている。カバー部材又は遮断部材がグローブ装置に被着されているとき、封止部材が損傷していない状態で、封止部材は、グローブ装置内に作用する負圧に基づいて、グローブ装置の方へ凹状に視認可能に湾曲している。
【0014】
固定部にRFIDチップが配置されていて、RFIDチップは、個別のシリアル番号と好適には付加的にグローブ装置の製造データとを記憶している。好適には、RFIDチップは、書込み可能であり、グローブを含む、グローブ装置における全ての新たな行動が把握され、RFIDチップに又は制御ユニットに、グローブ装置の個別の履歴データに加えられる。
【0015】
グローブ装置の組み込まれた構成部材として、グローブ装置から着脱自在に構成された遮断部材が、ポートフランジに存在する進入部を通るコンテインメントの作業室内へのグローブによる権限のない介入に対する防護するために使用可能である。又は、そのような権限のない介入に対する防護のために、遮断部材が設けられていて、遮断部材は、直接にポートフランジに組み込まれた、旋回可能な、張設可能な、シャッタ式の又は伸長可能な閉鎖体として構成されている、又はポートフランジに連結可能な又はポートフランジから取外し可能な別個の閉鎖体として構成されている。グローブ装置の組み込まれた構成部材として、グローブ装置から着脱自在に構成された遮断部材が、延長部を有し、延長部は、遮断部材を付加的にポートフランジに一時的に確保するために、ポートフランジから延在する切替可能な保持要素と相互作用するように設定されている。
【0016】
カバー部材又は遮断部材は、磁気域を有し、磁気域は、カバー部材又は遮断部材を一時的に付加的に確保するために、固定部と相互作用するように設定されている。磁気域は、さらに、カバー部材又は遮断部材がグローブ装置から離脱されているときに、カバー部材又は遮断部材を収容ステーションに保管するために使用可能である。
【0017】
コンテインメントに複数のポートフランジが組み込まれているとき、グローブ装置が、各々のポートフランジにそれぞれ取り付けられている。
【0018】
オペレータの個人データをピックアップするために、取得ユニットが設けられていて、取得ユニットは、マイクロコントローラへの接続を有し、これにより、取得された個人データとマイクロコントローラ内のデータとが一致すると、アクチュエータに切替コマンドを付与し、これにより、遮断部材がブロック位置にもたらされる又はブロック位置から開位置へ可動であり、これにより、進入部が遮断されている又は進入可能である。アクチュエータは、ポートフランジに又は遮断部材に配置されている。マイクロコントローラのデータは、直接にマイクロコントローラ内に格納されている又は外部の制御ユニットから来る。
【0019】
オペレータの個人データをピックアップする取得ユニットが、各々のポートフランジに又は各々の遮断部材に対応して配置されている。取得された個人データとマイクロコントローラ内のデータとが一致すると、オペレータは、切替コマンドごとに、マイクロコントローラから、特定の遮断部材を、特定のポートフランジに被着し、ブロック位置にもたらす又は解除し、特定のポートフランジから取り外す権限を受け取りこれにより、取外しにより、進入部が遮断されている又は進入可能である。
【0020】
オペレータの個人データをピックアップする取得ユニットが、直接に各々のポートフランジに、又は各々の遮断部材に設けられてよい。代替的に、取得ユニットは、コンテインメントの、該当する全てのポートフランジ及び遮断部材については、携帯機器、例えばタブレットコンピュータに設けられている。
【0021】
ポートフランジに組み込まれた閉鎖体として構成された遮断部材と、ポートフランジとに、安全センサがそれぞれ設けられている。両対の安全センサが、外部の安全リレーと相互作用して、ポートフランジにおける遮断部材の位置を検出するとともに、遮断部材が開いているときには自動的に機械類をブロックするように切り替えるのに用いられる。
【0022】
又は、別個にポートフランジに連結可能である又はポートフランジから取外し可能である閉鎖体として構成された遮断部材と、ポートフランジとに、安全センサがそれぞれ設けられている。両方安全センサが、外部の安全リレーと相互作用して、ポートフランジに対して相対的な遮断部材の位置を検出するとともに、ポートフランジから遮断部材が離間しているときには自動的に機械類をブロックするように切り替えるのに用いられる。
【0023】
又は、遮断部材が、グローブ装置に着脱自在に結合された、ポートフランジにロック可能である又はポートフランジから取外し可能である閉鎖体として構成された遮断部材と、ポートフランジとに、安全センサがそれぞれ設けられている。この場合でも、両対の安全センサが、外部の安全リレーと相互作用して、ポートフランジに対して相対的な遮断部材の位置を検出するとともに、ポートフランジから遮断部材が離間しているときには自動的に機械類をブロックするように切り替えるのに用いられる。
【0024】
制御ユニットと、ポートフランジごとにそれぞれ制御ユニットと相互作用する制御リレーとに、送受信機がそれぞれ対応して配置されている。ポートフランジに又は遮断部材に設けられた能動型安全センサは、相補的な受動型安全センサが存在するか検出するのに用いられ、その際、送受信素子が、受動型安全センサの不在を無線で送受信機に信号通知し、送受信機は、これに基づき、受動型安全センサの不在を安全リレーに通知するとともに、機械類を自動的にブロックする。
【0025】
ポートフランジに連結可能である又はポートフランジから取外し可能である別個の閉鎖体として構成された遮断部材に、又はポートフランジに、取得ユニット、マイクロコントローラ、及びアクチュエータであって、手動で又は被駆動式に作動可能であるとともに遮断部材をブロック位置に又は開位置に位置調節するのに用いられるアクチュエータが設けられている。付加的に、遮断部材又はポートフランジに、ディスプレイ及び蓄電池が設けられてよい。
【0026】
ポートフランジは、RFIDチップを有する。ポートフランジに連結可能である又はポートフランジから取外し可能である別個の閉鎖体として構成された遮断部材に、送受信素子が設けられている。送受信素子は、遮断部材ポートフランジに装着されているときには遮断部材とポートフランジとの対を検出するとともに、制御ユニットに又はマイクロコントローラに格納されたデータに応じて、遮断部材のロックを許可する又は拒否するのに用いられる。
【0027】
固定部に配置されたRFIDチップに記憶されたデータが、送受信素子によって読取り可能であるとともに、制御ユニットに及び/又はマイクロコントローラに格納されている。ポートフランジ及びグローブ装置における各々の新しい行動は、制御ユニットによって把握され、制御ユニットに、該当するグローブ装置について記憶され、つまり個々の履歴データに追加される。
【0028】
各グローブ装置の製造データには、
個々のシリアル製造、
製造日、
グローブサイズ、
材料の種類、
使用された滅菌法、及び
使用期限、
が含まれてよい。
【0029】
各グローブ装置の履歴データには、
ポートフランジへの設置日、
設置実行者の個人データ、
識別子、どのポートフランジに設置が行われたか、
いつ、どの頻度で、どのオペレータによって、該当するグローブ装置における遮断部材がブロック位置にもたらされた又はブロック位置から開位置へ動かされたか、
コンテインメントの作業室における除染サイクルの時期及び回数、並びに除染サイクルの最大許容回数、
該当するグローブ装置で実行される漏れ試験の時期及び回数、
コンテインメントの作業室内で扱われるとともに、該当するグローブ装置が使用される製品単位及び製品、
オペレータが手動で入力するべき特別なイベント、及び
該当するグローブ装置の取外し及び廃棄を行う設置実行者の個人データ、
が含まれてよい。
【0030】
取得ユニットが、オペレータの生体特徴、オペレータが入力すべきコード又はオペレータが提示すべきデータキャリアの電子データをピックアップするように設定されている。取得ユニットによってオペレータからピックアップされた識別子が、マイクロコントローラと相互作用して、そのときに作業しようとしているオペレータに、マイクロコントローラに格納されたデータ又は制御ユニットを介して取得したデータに応じた、遮断部材を該当するポートフランジにおけるブロック位置に又は開位置に位置調節する権限が付与される、又はそうでないときには拒否される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】設置室内に位置決めされたコンテインメントと、コンテインメントの前面シールドに嵌着されたポートフランジと、ポートフランジに固定された従来慣用のグローブと、コンテインメントの作業室内に従来技術によるグローブでもって介入するオペレータとを示す。
図2A】原理図として、第1の実施形態で、コンテインメント内への介入を防護する、本発明に係るグローブ装置を示し、グローブ上に閉じたカバー部材を示す。
図2B図2Aに相応する描画を示し、グローブから取り外されたカバー部材を示す。
図3A図3Aから図6は、原理図として、ポートフランジへの組付けからオペレータによる使用までの段階で、第1の実施形態の本発明に係るグローブ装置を示し、図3Aは、図1によるコンテインメントを示し、図2Aに相応する、コンテインメントに提供されるグローブ装置を示す。
図3B図3Aから拡大された詳細X1を示す。
図4A図3Aに相応する装置を示し、ポートフランジに設置されたグローブ装置を示す。
図4B図4Aから拡大された詳細X2を示す。
図5A図4Aに相応する装置を示し、グローブ装置から取り外されたカバー部材を示す。
図5B図5Aから拡大された詳細X3を示す。
図6図1に相応する装置を示し、コンテインメントの作業室内に図2Aに相応するグローブ装置でもって介入するオペレータを示す。
図7図7から図9Eは、原理図として、図2Aに相応する第1の実施形態のグローブ装置を示し、これと共に、グローブ装置からコンテインメント内へのグローブによる権限のない介入に対する防護装置の様々な態様を示し、図7は、図2Aに相応する第1の実施形態のグローブ装置を示し、ポートフランジに設置された閉じたカバー部材と、これと共に、第1の態様の防護装置と、現時点では開位置にある、ポートフランジに設置された遮断部材と、ポートフランジに配置された電子コンポーネントと、無線の態様で、付属する制御ユニットとを示す。
図8A図2Aに相応する第1の実施形態のグローブ装置を示し、ポートフランジに設置された閉じたカバー部材と、これと共に、第2の態様の防護装置と、現時点では開位置にある、ポートフランジに連結可能なハーフシェル状の遮断部材と、ポートフランジに配置された電子コンポーネントと、無線の態様で、付属する制御ユニットとを示す。
図8B図8Aから拡大された詳細X4を示す。
図9A図2Aに相応する第1の実施形態のグローブ装置を示し、ポートフランジに設置された閉じたカバー部材と、これと共に、第3の態様の、接近された防護装置と、現時点では開位置にある、ポートフランジに連結可能なフード状の遮断部材と、遮断部材に配置された電子コンポーネントと、有線の態様で、付属する制御ユニットとを示す。
図9B図9Aから拡大された詳細X5を示す。
図9C図9Aに相応する装置を示し、第3の態様の、現時点ではブロック位置にある、ポートフランジにロックされた遮断部材と、遮断部材に配置された電子コンポーネントと、有線の態様で、付属する制御ユニットとを示す。
図9D図9Cに相応する装置を鉛直方向断面図で示す。
図9E図9Cに相応する装置を示し、現時点では開位置にある遮断部材と、取り外されたカバー部材と、作業室内へ押し伸ばされたグローブとを示す。
図10A】原理図として、第2の実施形態の、コンテインメント内へ防護されて介入する、本発明に係るグローブ装置を示し、グローブ上で閉じられた遮断部材を示す。
図10B図10Aに相応する描画を示し、グローブから取り外された遮断部材を示す。
図11A図11Aから図14は、原理図として、図10Aに相応する第2の実施形態のグローブ装置を示し、これと共に、第2の態様の防護装置と、ポートフランジに連結可能なハーフシェル状の遮断部材と、ポートフランジに配置された電子コンポーネントとを、ポートフランジへの組付けからオペレータによる使用までの段階で示し、図11Aは、図1によるコンテインメントを、図10Aに相応する、コンテインメントに提供されたグローブ装置と、有線の形態で、付属する制御ユニットとを示す。
図11B図11Aから拡大された詳細X6を示す。
図12A図11Aに相応する装置を示し、ポートフランジに設置されたグローブ装置と、無線の態様で、付属する制御ユニットとを示す。
図12B図12Aから拡大された詳細X7を示す。
図13A図12Aに相応する装置を示し、グローブ装置から取り外された遮断部材と、無線の態様で、付属する制御ユニットとを示す。
図13B図13Aから拡大された詳細X8を示す。
図14図13Aによるグローブ装置を有する装置を示し、コンテインメントの作業室内に到達するオペレータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付の図面を参照して、以下、2つの実施形態で本発明に係るグローブ装置の詳細な説明を行う。グローブ装置から作業室内へのグローブによる権限のない介入に対する、グローブ装置の両方の実施形態に対する補完体として形成される様々な防護用装置がさらに記載される。
【0033】
以下の設定事項は、他の全ての記述に適用される。描画を分かりやすくするために図面には符号が含まれていて、その際、図面から、符号が「繰返しの」構成部材であることが明確に認められるが、直接に対応する説明文に述べられていないとき、説明を短縮することが有利であるので、先行する図面の説明を参照されたい。
【0034】
図2A及び図2B
これらの一対の図は、ポートフランジ2に気密に嵌着可能な構成群として構成されたグローブ装置4に関する。一方では、グローブ装置4は、取外し可能に又は開放可能な封止部材41と、他方では、環状の固定部40に気密に装着された、しかし着脱自在なシェル状のカバー部材7とを有する。固定部40は、長円の幾何学形状であってもよい。
【0035】
封止部材41とカバー部材7との間に、縮んだ状態で真空包装されたグローブ3が位置する。固定部40は、ポートフランジ2にグローブ装置4を取り付けるのに用いられる。
【0036】
グローブ3の自由端は、固定部40に及び/又は固定部40の近傍で封止部材41に取り付けられていて、この場合、封止部材41は、固定部41の内法に少なくとも実質的に張設されている。固定部40に、RFIDチップ46が配置されている。グローブ3において、内側面43及び表面44が示されている。固定部40に付着しているカバー部材7と内側面43との間に内側空間42が位置する一方、封止部材41と表面44との間には、前側空間45が画定される。
【0037】
カバー部材7は、好ましくはプラスチック製であり、その縁部71に磁気域77を有し、磁気域77は、ポートフランジ2に組み付けられたグローブ装置4から取り出されたカバー部材7を、近くの位置で適当な収容ステーション15に懸架するために利用可能であり得る(図6参照)。固定部40における、カバー部材7の着脱自在な形状接続式の及び/又は力接続式の結合は、例えばカバー部材7の縁部71における造形と、固定部40における補完的な造形と、固定部40とカバー部材7との間の付着剤又は目標破断部から確立される。
【0038】
カバー部材7が緊密に固定部40に装着されているとき、封止部材41が損傷していない状態で(図2A参照)、内側空間42及び前側空間45に負圧が作用する。少なくとも前側空間45は、この前側空間45に面する面で、つまり表面44及び封止部材41の内側面が無菌である。好適には、初期状態では、内側空間42も、この内側空間42に面する面で、つまり内側面43及びカバー部材7の内側も無菌である。初期状態では、前側空間45に存在する負圧は、封止部材41の凹状の湾曲を生じさせ、封止部材41は、グローブ装置4の適正な状態についての有利な視覚的なインジケータを形成する。
【0039】
カバー部材7が固定部40から取り外されたが、しかし封止部材41が引き続き無傷のままであるとき(図2B参照)、内側空間42は、雰囲気へ向けて開放されている。グローブ装置4の前側空間45に以前から作用している負圧も、グローブ3及び封止部材41の弾性によって雰囲気圧と等しくなるので、封止部材41の以前の凹状の湾曲が、生じる圧力補償によって解消される。
【0040】
工場で事前に滅菌され、包装され、事前に十分に組み付け準備されたグローブ装置4によって、コンテインメント1の設置場所で、例えば医薬品製造者にとって、時間及び機器コストの大幅な節約が得られると同時に製品の安全性が高まる。従来慣用のグローブ3では、ポートフランジ2に組み付けるときに必要とされていた、そのために設けられるリング上への引張りが不要となる。グローブ装置4は、固定部40でもって、極めて実用的な形で、例えば気密のねじ込み可能な又はロック可能な係止機構、バヨネット機構又は傾動機構によって、構成群として、ポートフランジ2に嵌着でき、これにより、同時に設置エラーのリスクが低下する。グローブ装置4は、工場での製造時に漏れ試験され、続いて真空包装され、その際、機械荷重を受けている封止部材41の凹状の湾曲が保持され続けることによって、緊密性が継続し、つまり適切な状態を示す。その他では、従来慣用のグローブ3では組付け後に必然的に行われる漏れ試験が、グローブ装置4では省略可能である。事前に工場で実施されるガンマ線照射又は熱処理によるグローブ装置4の滅菌は、コンテインメント1内に組み付けられた状態の間の除染よりも高い清浄度をもたらす。さらに、従来慣用のグローブ3に対して、組み付けられ、事前に滅菌されたグローブ装置4の除染時間が短縮される。というのも、もはやグローブ3の、複雑に構造化された外側面34の全体ではなく、今やグローブ装置4のうち、封止部材41の、作業室11に面する外側面だけを除染すればよいからである。
【0041】
図3Aから図6
これらの一連の図は、ポートフランジ2への組付けからオペレータ9による使用までの段階で、第1の実施形態の本発明によるグローブ装置4を描画する。
【0042】
第1の段階では、グローブ装置4は、封止部材41が無傷で損傷しておらず、カバー部材7が気密に固定部40に被着されていて、封止部材41とカバー部材7との間にグローブ3が無菌に封入された状態で提供され、封止部材41を前にして、開いた進入部24に接近される(図3A及び3B参照)。
【0043】
これに続いて、ポートフランジ2内への、構造ユニットとして構成されたグローブ装置4の嵌着が行われ、その際、固定部40は、ポートフランジ2に対して気密であり、封止部材41の外側面が、作業室11に面し、カバー部材7の外側面が、設置空間19に面する(図4A及び4B参照)。そこで、作業室11の除染が行われるべきであり、これにより、封止部材41のこれまで滅菌されていない外側面と、固定部40の、作動室11に面する環状面とが処理される。
【0044】
作動室11内へのグローブ3による介入を準備するには、カバー部材7を固定部40から取り外さなければならず、これにより、以前から前側空間45内に作用している負圧が、雰囲気圧と等しくなり、封止部材41は、その凹状の湾曲を失う(図5A及び図5B参照)。
【0045】
作業室11内へのグローブ3による介入の最後の段階として、オペレータ9は、外側からグローブ3内に手を入れ、先ず封止部材41を突き破り、次いでさらに作業室11内へ押し込む(図6参照)。封止部材41の性質に応じて、封止部材41を剥がすことによって封止部材41を突き破る又は開放するために工具を使用してもよく、しかも工具によってグローブ3の損傷が排除されている。場合によっては、例えば機械類13に付属するロボットを用いた、作業室11の内側からの封止部材41の開放が有利であり得る。
【0046】
図7から図9E
これらの一連の図は、グローブ装置4からコンテインメント1内へのグローブ3による権限のない介入に対する保護用装置の様々な形態と共に、図2A及び図2Bに相応する第1の実施形態のグローブ装置4を描画する。
【0047】
図7
装置の構成
この保護用装置は、先ずはポートフランジ2に設置されたグローブ装置4において、被着されたカバー部材7と、直接ポートフランジ2に組み込まれた遮断部材5との組合わせを有し、遮断部材5は、例えばアイリス絞りとして構成される、又は旋回可能に、張設可能に、シャッタ状に若しくは拡張可能に構成されている。ポートフランジ2は、固定に位置決めされた電子コンポーネントとして、能動型安全センサ21′と、バッテリ60と、ディスプレイ61と、取得ユニット62と、マイクロコントローラ64と、送受信機要素65と、アクチュエータ69とを有し、アクチュエータ69は、遮断部材5を位置調節する。可動の遮断部材5には、受動型安全センサ66が装着されている。固定部40に、RFIDチップ46が収容されている。無線の態様として、外部の制御ユニット8と安全リレー81とからなる複合体に、送受信機80が作動接続されている。ここでは該当する電子コンポーネントの信号伝送及び電流供給のためのケーブル67、68がないので、無線の態様が通常運転時に設けられている。専らポートフランジ2に設けられたバッテリ60が、ポートフランジ2に収容された電子コンポーネント61、62、64、65、21′、69の電流供給に役立つ。これとは異なり、図9A及び図9Bに初めて、有線の態様が示されている。
【0048】
装置の機能
防護用装置を設置した後で、コンテインメント1の始動を行えた。そのために、先ずはグローブ装置4が、ポートフランジ2におけるアクセス24に嵌着された。送受信要素65は、グローブ装置4におけるRFIDチップ46からシリアル番号を読み取り、シリアル番号を、そのために設けられた、制御ユニット8におけるデータバンクに格納する。グローブ装置4が許容されないとき、これは、制御ユニット8によって確定される。オペレータ9は、別のグローブ装置4を設置するように指示される。しかし全てに問題がなかったら、遮断部材5は、アクチュエータ69によって駆動され、ブロック位置に移される。コンテインメント1は、運転モードを開始し、作動室11内に設けられた機械類13は、例えば医薬品を装填するために始動した。
【0049】
遮断部材5の図示の開位置に基づいて、オペレータ9は、グローブ3による作業室11内への進入部24が既に十分に進行していることが分かる。そのために、オペレータ9は、取得ユニット62での識別が成功したら、アイリス絞りとして構成された遮断部材5を開位置に移す権限を受け取る。取得ユニット62によって、オペレータ9の生体特徴、オペレータ9が入力するべきコード又はオペレータ9が提示するべきデータキャリアの電子データのピックアップを行える。
【0050】
マイクロコントローラ64は、制御ユニット8に格納された、アクセス権限のためのデータバンクから、取得ユニット62によってピックアップされた、設定されたユーザデータを有する個人データを評価する。これらのデータは、個別に各マイクロコントローラ64に格納されてもよい。マイクロコントローラ64は、無線で、例えばWLANを介して、送受信素子65を介して、制御ユニット8と通信し、対応するデータを伝送する。
【0051】
オペレータ9が、階層構造、機械モード、現時点のプロセスステップ又はグローブ装置4の状態(例えば確認された損傷)に基づいて、アクセス権限を得ていないと、これは、ディスプレイ61に表示され、さらなる動作は行われない。オペレータ9が権限を与えられていると、先ず機械類13は、コントロール下で停止される。その後で、開放が、マイクロコントローラ64を介して、ポートフランジ2に装着されたアクチュエータ69に伝達され、アクチュエータ69は、機械的な遮断部材5を、その構成に応じて、例えば離反旋回又は上方回動によって、以前のブロック位置から開位置に動く。これにより、進入部24は、第1のステップで開かれる。
【0052】
アクチュエータ69によって駆動される遮断部5が開位置へ向けて動いたら、つまり受動型安全センサ66が能動型センサ21′から離れたら直ちに、能動型センサ21が信号を失う。能動型安全センサ21′は、持続的に、信号を、無線で送受信素子65を介して送受信機80へ伝送し、送受信機80は、データを、しかここでは有線で、安全リレー81へ伝送する。信号の中断によって、安全リレー81が、作業室13内に設けられた機械類13をブロックし、機械類13の再始動はそのときもはや不可能である。
【0053】
遮断部5の開放と同時に、マイクロコントローラ64を介して、送受信素子65が起動され、送受信素子65は、付属のグローブ装置4に設けられたRFIDチップ46を読み取り、そのシリアル番号を、制御ユニット8内に格納されている識別子と照合する。続いて、現時点の介入が、該当するポートフランジ2について、制御ユニット8内でデータベースに記録される。
【0054】
新たな使用によって、グローブ3又はグローブ装置4について、問題となる又は許容されない状態が生じると、このことが、オペレータ9に、ポートフランジ2に設けられたディスプレイ61を介して通知される。制御ユニット8のデータバンクに、それ以上使用できない又は制限された条件下でしかそれ以上の使用ができないように、この情報が格納される。これらは、システム管理者により個別に設定されるべきである。したがって、グローブ装置4は、例えば機械類13の不都合な取扱いに基づいて損傷を有するとき、「不良品であり、製造単位において遮断された」と分類できる。
【0055】
遮断部材5は現時点で既に開位置にあるが、しかし進入部24は、まだ完全には開放されておらず、完全なグローブ装置4では、封止部材41が無傷であり、カバー部材が固定部40に被着されていて、封止部材41とカバー部材との間にグローブ3が圧縮されていて、グローブ装置4は、依然として進入部24を遮断している。グローブ装置4内で依然として圧縮された状態の事前に滅菌されたグローブ3でもって作業チャンバ11内に介入するには、先ず初めに気密に固定部40に装着されたカバー部材7を取り外し、次いで、前方へ押し入れられたグローブ3でもって、事前に外側面が除染された封止部材41を突き破る又は他の手段で、例えば作業室11の内側から好適には機械類13に属するロボットを用いて開く必要がある。
【0056】
図8A及び図8B
これらの一対の図は、図2Aに相応する第1の実施形態の、ポートフランジ2に設置されたグローブ装置4を、カバー部材7を閉じた状態で示す。これと共に、現時点ではブロック位置にある、ハーフシェル状の遮断部材5がポートフランジ2に連結された、第2の態様の防護用装置が示されている。先行する図面と同様に、無線の態様であり、ここでも全ての電子部品21′、60、61、62、64、65、69が、ポートフランジ2に配置されている。ここでの独自性は、直接にポートフランジ2に設置された遮断部材5の代わりに、ここでは付加部58を有する別個のハーフシェル状の遮断部材5が設けられていることにある。この遮断部材5は、着脱自在に固定部40に被着されていて、その際、延長部58は、ポートフランジ2から延在する切替可能な保持要素28によってロック可能である。保持要素28は、アクチュエータ69によって、切替位置「開」又は「閉」の間で駆動される、又は手動で位置調節するために解放される。受動型安全センサ66は、ここでは別個の遮断部材5に位置決めされている(図10A及び図10B参照)。コンテインメント1の運転、信号処理及び防護用装置による操作は、図7と同様であるが、ポートフランジ2に設置された遮断部材5に代えて、別個のハーフシェル状の遮断部材5をブロック位置から開位置へと動かさなければならず、これにより、ポートフランジ2にカバー7が装着されているグローブ装置4では、進入部24は、第1のステップで開かれる。
【0057】
図9Aから図9D
この構成は、図2A及び図2Bに相応する第1の実施形態の、ポートフランジ2に設置されたグローブ装置に基づき、カバー7を有し、これと共に、第3の態様の防護用装置、つまりポートフランジ2に連結可能なフード状の遮断部材5を有する。ここでは、大抵の電子コンポーネント60、61、62、64、65、66、69は、ハウジング50と共に遮断部材5に収容されている。グリップ59は、ユーザが操作し易くするのに用いられる。ポートフランジ2には、能動型センサ21及びRFIDチップ22が存在し、ポートフランジ2に電流供給及び信号伝送用のケーブル67、68が通じる。したがって、この構成は、有線の態様と認められる。通常運転時、該当する電子コンポーネントの電流供給は、第2のケーブル68を介して行われる。組み付けられたバッテリ60は、停電時の非常用機器として用いられ、これにより、限られた期間の間に、コンテインメント1において場合によっては依然として関連する行動が実行される。さらに、ポートフランジ2は、第1の連結要素25を有し、第1の連結要素25は、遮断部材5のブロック位置で、遮断部材5における相補的な第2の連結要素55とのロックに用いられる。第2の連結要素55は、アクチュエータ69によって、切替位置「開」又は「閉」の間で駆動される、又は手動で位置調節するために解放される。
【0058】
遮断部材5内に存在する送受信素子65は、通常のとおり、ポートフランジ2に接近すると、グローブ装置4の固定部40に装着されているRFIDチップ46に記憶されているシリアル番号を読み取り、処理する。同時に、送受信素子65は、各々のポートフランジ2に割り当てられた位置識別子をも読み取る。位置識別子は、ポートフランジ2に位置決めされたRFIDチップ22内に含まれている。コンテインメント1に、複数のポートフランジ2及びそこにそれぞれ嵌着された複数のグローブ装置4が存在するとき、位置識別子及びシリアル番号は、そのために設けられた、制御ユニット8内のデータベースに格納される。これにより、付属のポートフランジ2に各々の遮断部5を対応して配置できる。例えば遮断部5が付属しないポートフランジ2に被着され、そのポートフランジ2の遮断部5が、他のポートフランジ2に被着されると、この取り違えは、制御ユニット8に記録される。実施に応じて、次いで、被着エラーが、ディスプレイ62を介して通知される、又は遮断部5の新たな位置が、古い位置に上書きされる。遮断部材5が正しく所定のポートフランジ2に装着されていて、第1の連結要素25と第2の連結要素55とが相互に整列されると、アクチュエータ69の作動によりこれらの連結要素のロックが行われる。
【0059】
図10A及び図10B
これらの一対の図は、同様にポートフランジ2に気密に嵌着可能な構成群として形成された、第2の実施形態のグローブ装置4に関する。第1の実施形態による図2A及び図2Bに対する変化形では、ここでは、カバー部材7の代わりに、グローブ装置4について2つの機能を有する、つまり先ずは封止部材41と共に、グローブ3の、固定部40から離脱可能で気密の被覆部として、そしてさらにポートフランジ2に組み付けられた状態で、ポートフランジ2とロック可能な遮断部材5としての、ハーフシェル状の遮断部材5が付属する。
【0060】
第1の実施形態のグローブ装置4と第2の実施形態のグローブ装置4との間の違いに関する、図8A及び図8Bの説明に対して補足的に更に付記すると、例えば縁部51に隣接して磁気域57が設けられていて、磁気域57は、ポートフランジ2に組み付けられたグローブ装置4から取り外された遮断部材5を適切な収容ステーション15の傍に懸架するために利用され得る(図14参照)。そうでないとき、構造及び作業形式の類似性に関しては、図2A及び図2Bにおける第1の実施形態によるグローブ装置4が参照される。
【0061】
図11Aから図14
これらの一連の図は、第2の態様の防護用装置と共に、つまりポートフランジ2内への組付けからオペレータ9による使用までの段階における、ハーフシェル状の2つの機能を有する遮断部材5と共に、図10A及び図10Bによる第2の実施形態のグローブ装置に基づく。
【0062】
図11A及び図11B
ポートフランジ2に組み付けるために用意されたグローブ装置4を有する構成としての有線接続された態様が描画されている。作業室11内への進入部24は、開いている。グローブ装置4がこれまで未使用であった、つまり内側の事前に滅菌された状態が維持されていて、遮断部材5が、着脱可能な構成部材として気密に固定部40に装着されていることは、封止部材41の凹状の湾曲で看取される。ポートフランジ2は、全ての電子コンポーネント21、60、61、62、64、65、69を有し、2本のケーブル67、68が接続されている。遮断部材5に、受動型センサ66が装着されていて、グローブ装置4の固定部40にRFIDチップ46が配置されている。被着されている遮断部材5から延在する延長部58にグローブ装置4を連結するには、ポートフランジ2に設けられた保持要素28が、「開」位置に位置しなければならない。オペレータ9が、保持要素28において、既に「開」位置を、アクチュエータ69への切替パルスを惹起することを認める又は許可していると推測される。コンテインメント1の外側に、安全リレー81に接続された制御ユニット8が存在する。
【0063】
図12A及び図12B
これらの一対の図は、ポートフランジ2内へのグローブ装置4の進行した組付けを示し、その際、引き続き遮断部材5が気密に固定部40に装着されていて、封止部材41は、その凹状の湾曲によれば損傷していない。防護用装置の構成で実現可能な態様の範囲を具体的に示すために、ここでは、無線の態様が図示されている。したがって、外部の制御ユニット8と安全リレー81とからなる複合体に、ここでも送受信機80が作動接続されている。
【0064】
ポートフランジ2に組み付けるためにグローブ装置4が接近するとき、固定部40に収容されたRFIDチップ46とポートフランジ2に配置された送受信素子65との間に十分な接近が達成されると、グローブ装置4のシリアル番号が読み取られ、制御ユニット8内のデータベースと比較され、その後で、オペレータ9にディスプレイ61でポートフランジ2と接近されたグローブ装置4との間の正しい又はエラーを含む対応関係が示される。対応関係にエラーが含まれると、延長部58と保持要素28との間のロックが拒否され、これは、オペレータ9の行動を必要とし、つまり適切なグローブ装置4の提供又は可能であれば、継続するために、データベース内の記録の上書きを必要とする。
【0065】
組付け自体が終了すると、オペレータ9は、取得ユニット62を介して、自身の識別子を入力しなければならず、これにより組付けのための権限がチェックされる。対応関係が正しく、オペレータ9に権限が付与されているとき、アクチュエータ69は、制御ユニット8とマイクロコントローラ64とを介して、保持要素28を「開」位置へ切り替える切替コマンドを受け取り、これにより、延長部58と保持要素28とが相互にロックされるので、遮断部材5は、ブロック位置に到来し、権限なく取り外すことができない。真空にあるグローブ3へのアクセス及び作動室11内への介入は、遮断されている。ポートフランジ2におけるグローブ装置4の正しく行われた嵌着は、ディスプレイ61を介して確認される。制御ユニット8のデータベースにおいて、特に、どのグローブ装置4がどのポートフランジ2にどのオペレータ9によって、そしていつ組み付けられたのか把握される。
【0066】
ブロック位置では、能動型安全センサ21が、受動型安全センサ66の所定の接近を認識し、信号をピックアップし、連続的にその信号を無線で送受信素子65を介して送受信機80へ伝送し、送受信機80は、そのデータを、しかしここでは有線で、安全リレー81へ伝送する。連続的な信号フローでは、安全リレー81は、作業室11内での機械類13のブロックをもたらさず、コンテインメント1及び機械類13の運転モードを開始できる。次のステップでは、作業室11の除染が行われ、これにより、封止部材41の無菌でない外側面が処理される。
【0067】
図13Aから図14
これらの一連の図は、引き続き無線の態様で、装置の構成及び機能形式について、先行する一対の図面12A及び12Bに続いている。ここでは、開位置を形成するために、グローブ装置4から遮断部材5を権限をもって取り外す処理がなされ、これにより、オペレータ9は、グローブ装置4から押し出されたグローブ3でもって、アクセス24を通って作業室11内に介入できる。
【0068】
図7及び8A、8Bについての説明を参照すると、機器側の切替え及び信号処理の経過を再度説明する必要はなく、したがって、以下の説明は、グローブ装置4の使用による独自性に限定される。したがって、オペレータ9は、グローブ装置4から遮断部材5を取り外すための権限を受け取っていて、これに基づいて、保持要素28は、アクチュエータ69によって、既に「開」位置に切り替わっている、つまり保持要素28と延長部58との間のロックが解消されていることが前提である。遅くとも、固定部40からの遮断部材5の取り外しが始まると、受動型安全センサ66と能動型安全センサ21′との間に信号の中断が生じ、これは、既に幾度も述べたように、作動室11内での機械13のブロックをもたらす。
【0069】
遮断部材5は、例えば磁気域57によって収容ステーション15に保管でき、遮断部材5が取り外されると、グローブ3へのアクセスが開放され、内側空間42は、設置室19へ向けて開放している。これにより、グローブ3の内側面43で無菌状態が失われるが、隣接する面を有する前側空間45では失われない。雰囲気圧の作用によって凹状の湾曲からここでは平面状に張設している損傷していない封止部材41は、ガス又は粒子の通流による、作業室11から前側空間45に進入する汚染を阻止する。
【0070】
ここでオペレータ9は、外側から、当初は依然として縮んだ状態のグローブ3に介入し、グローブ3を、作業室11の方へ押し伸ばすことができ、その際、ここでは両側で無菌の封止部材41が突き破られる。介入するごとに、まだ再びロックされていない遮断部材5にグローブ3を収容することが適切である。その後で、遮断部材5は、再び固定部40に被着され、保持要素28と延長部58とによってロックされるので、遮断部材5は、再びブロック位置にあり、現時点で権限があるときにようやく再び取外し可能であり、これにより、開いた封止部材41とポートフランジ2における進入部24とを通るグローブ3による作業室11内への次の介入が許可される。
【0071】
制御ユニット8のデータベースにおいて、特に、どのグローブ3が備え付けられたどのグローブ装置4によって、どのポートフランジ2に、どのオペレータ9によって、いつ及びどの期間にわたって、どの遮断部材5がブロック位置と開放位置との間を動いたか把握される。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下を含む。
1.
ポートフランジ(2)に存在する進入部(24)を通ってコンテインメント(1)の作業室(11)内へ防護されて介入するグローブ(3)を備えるグローブ装置(4)であって、
a)ポートフランジ(2)は、設置室(19)内に位置決めされたコンテインメント(1)の前側シールド(12)又はハウジング(10)の壁部に組み付けられていて、
b)作業室(11)内に、被処理物を加工する機械類(13)が存在してよい、
グローブ装置(4)において、
c)グローブ装置(4)は、インサートの形態で、ポートフランジ(2)に気密に嵌着可能な構成群として構成されていて、
da)一方では取外し可能に又は開放可能に配置された封止部材(41)と、
db)他方では構成群から着脱自在なカバー(7)又は遮断部材(5)と、
dc)封止部材(41)とカバー(7)又は遮断部材(5)との間に真空包装されたグローブ(3)であって、内側面(43)と表面(44)とを有する、グローブ(3)と
を備えることを特徴とする、グローブ装置(4)。
2.
グローブ装置(4)は、ポートフランジ(2)に気密に取り付けるように設定された固定部(40)をさらに備えることを特徴とする、上記1記載のグローブ装置(4)。
3.
a)固定部(40)は、環状に又は長円形に形成されていて、好適にはプラスチックからなり、
b)カバー部材(7)又は遮断部材(5)は、好適にはシェル状に構成されていて、好適にはプラスチックからなる
ことを特徴とする、上記1及び2のいずれか一つのグローブ装置(4)。
4.
カバー部材(7)又は遮断部材(5)がグローブ装置(4)に被着されているとき、封止部材(41)が損傷していない状態で、
a)封止部材(41)とグローブ(3)の表面(44)との間に前側空間(45)が位置し、前側空間(45)内に負圧が作用し、
b)前側空間(45)と、封止部材(41)の、前側空間(45)に面する内側面と、グローブ(3)の表面(44)とが、無菌である
ことを特徴とする、上記1から3のいずれか一つのグローブ装置(4)。
5.
カバー部材(7)又は遮断部材(5)がグローブ装置(4)に被着されているとき、封止部材(41)が損傷していない状態で、
a)グローブ(3)の内側面(43)とカバー部材(7)又は遮断部材(5)との間に、内側空間(42)が位置し、内側空間(42)内に負圧が作用し、
b)内側空間(42)と、カバー部材(7)又は遮断部材(5)の、内側空間(42)に面する内側面と、グローブ(3)の内側面(43)とが、無菌である
ことを特徴とする、上記1から4のいずれか一つのグローブ装置(4)。
6.
a)グローブ(3)の、それ自体自由な端部が、固定部(40)に及び/又は固定部(40)の付近で封止部材(41)に取り付けられていて、封止部材(41)は、固定部(40)の内法に少なくとも実質的に張設されていて、
b)カバー部材(7)又は遮断部材(5)がグローブ装置(4)に被着されているとき、封止部材(41)が損傷していない状態で、封止部材(41)は、グローブ装置(4)内に作用する負圧に基づいて、グローブ装置(4)の方へ凹状に視認可能に湾曲していることを特徴とする、上記1から5のいずれか一つのグローブ装置(4)。
7.
固定部(40)に、RFIDチップ(46)が配置されていて、RFIDチップ(46)は、個別のシリアル番号と好適には付加的にグローブ装置(4)の製造データとを記憶していることを特徴とする、上記1から6のいずれか一つのグローブ装置(4)。
8.
RFIDチップ(46)は、書込み可能であり、グローブ(3)を含む、グローブ装置(4)における全ての新たな行動が、把握され、RFIDチップ(46)に又は制御ユニット(8)において、グローブ装置(4)の個々の履歴データに加えられることを特徴とする、上記7のグローブ装置(4)。
9.
a)グローブ装置(4)の組み込まれた構成部材として、グローブ装置(4)から着脱自在に構成された遮断部材(5)が、ポートフランジ(2)に存在する進入部(24)を通るコンテインメント(1)の作業室(11)内へのグローブ(3)による権限のない介入に対して防護するために使用可能である、又は
b)そのような権限のない介入に対する防護のために、遮断部材(5)が設けられていて、遮断部材(5)は、
ba)直接にポートフランジ(2)に組み込まれた、旋回可能な、張設可能な、シャッタ式の又は伸長可能な閉鎖体として構成されている、又は
bb)ポートフランジ(2)に連結可能な又はポートフランジ(2)から取外し可能な別個の閉鎖体として構成されている
ことを特徴とする、上記1から8のいずれか一つのグローブ装置(4)。
10.
グローブ装置(4)の組み込まれた構成部材として、グローブ装置(4)から着脱自在に構成された遮断部材(5)が、延長部(58)を有し、延長部(58)は、遮断部材(5)を付加的にポートフランジ(2)に一時的に確保するために、ポートフランジ(2)から延在する切替可能な保持要素(28)と相互作用するように設定されていることを特徴とする、上記9のグローブ装置(4)。
11.
a)カバー部材(7)又は遮断部材(5)は、磁気域(77、57)を有し、磁気域(77、57)は、カバー部材(7)又は遮断部材(5)を一時的に付加的に確保するために、固定部(40)と相互作用するように設定されていて、
b)磁気域(77、57)は、さらに、カバー部材(7)又は遮断部材(5)がグローブ装置(4)から離脱されているときに、カバー部材(7)又は遮断部材(5)を収容ステーション(15)に保管するのに使用可能である
ことを特徴とする、上記1から10のいずれか一つのグローブ装置(4)。
12.
a)コンテインメント(1)に複数のポートフランジ(2)が組み込まれているとき、グローブ装置(4)が、各々のポートフランジ(2)にそれぞれ取り付けられていて、
b)オペレータ(9)の個人データをピックアップするために、取得ユニット(62)が設けられていて、取得ユニット(62)は、マイクロコントローラ(64)への接続を有し、これにより、取得された個人データとマイクロコントローラ(64)内のデータとが一致すると、アクチュエータ(69)に切替コマンドを付与し、これにより、遮断部材(5)がブロック位置にもたらされる又はブロック位置から開位置へ可動であり、これにより、進入部(24)が遮断されている又は進入可能であり、
c)アクチュエータ(69)は、ポートフランジ(2)に又は遮断部材(5)に配置されていて、
d)マイクロコントローラ(64)のデータは、直接にマイクロコントローラ(64)内に格納されている又は外部の制御ユニット(8)から来る
ことを特徴とする、上記1から11のいずれか一つのグローブ装置(4)。
13.
a)オペレータ(9)の個人データをピックアップする取得ユニット(62)が、各々のポートフランジ(2)に又は各々の遮断部材(5)に対応して配置されていて、
b)取得された個人データとマイクロコントローラ(64)内のデータとが一致すると、オペレータ(9)は、切替コマンドごとに、マイクロコントローラ(64)から、特定の遮断部材(5)を、特定のポートフランジ(2)に被着し、ブロック位置にもたらす又は解除し、特定のポートフランジ(2)から取り外す権限を受け取り、これにより、進入部(24)が遮断されている又は進入可能である
ことを特徴とする、上記12のグローブ装置(4)。
14.
オペレータ(9)の個人データをピックアップする取得ユニット(62)が、
a)各々のポートフランジ(2)に、又は
b)各々の遮断部材(5)に、又は
c)コンテインメント(1)の、該当する全てのポートフランジ(2)及び遮断部材(5)については、携帯機器、例えばタブレットコンピュータに
設けられていることを特徴とする、上記12及び13のいずれか一つのグローブ装置(4)。
15.
aa)ポートフランジ(2)に組み込まれた閉鎖体として構成された遮断部材(5)と、ポートフランジ(2)とに、安全センサ(21、66;66、21′)がそれぞれ設けられていて、
ab)両対の安全センサ(21、66;66、21′)が、外部の安全リレー(81)と相互作用して、ポートフランジ(2)における遮断部材(5)の位置を検出するとともに、遮断部材(5)が開いているときには自動的に機械類(13)をブロックするように切り替えるのに用いられる、又は
ba)別個にポートフランジ(2)に連結可能である又はポートフランジ(2)から取外し可能である閉鎖体として構成された遮断部材(5)と、ポートフランジ(2)とに、安全センサ(21、66;66、21′)がそれぞれ設けられていて、
bb)両方の安全センサ(21、66;66、21′)が、外部の安全リレー(81)と相互作用して、ポートフランジ(2)に対して相対的な遮断部材(5)の位置を検出するとともに、ポートフランジ(2)から遮断部材(5)が離間しているときには自動的に機械類(13)をブロックするように切り替えるのに用いられる、又は
ca)グローブ装置(4)に着脱自在に結合された、ポートフランジ(2)にロック可能である又はポートフランジ(2)から取外し可能である閉鎖体として構成された遮断部材(5)と、ポートフランジ(2)とに、安全センサ(21、66;66、21′)がそれぞれ設けられていて、
cb)両対の安全センサ(21、66;66、21′)が、外部の安全リレー(81)と相互作用して、ポートフランジ(2)に対して相対的な遮断部材(5)の位置を検出するとともに、ポートフランジ(2)から遮断部材(5)が離間しているときには自動的に機械類(13)をブロックするように切り替えるのに用いられる
ことを特徴とする、上記12から14のいずれか一つのグローブ装置(4)。
16.
a)制御ユニット(8)と、ポートフランジ(2)ごとにそれぞれ制御ユニット(8)と相互作用する制御リレー(81)とに、送受信機(80)がそれぞれ対応して配置されていて、
b)ポートフランジ(2)に又は遮断部材(5)に設けられた能動型安全センサ(21′)は、相補的な受動型安全センサ(66)が存在するか検出するのに用いられ、その際、送受信素子(65)が、受動型安全センサ(66)の不在を無線で送受信機(80)に信号通知し、送受信機(80)は、これに基づき、受動型安全センサ(66)の不在を安全リレー(81)に通知するとともに、機械類(13)を自動的にブロックする
ことを特徴とする、上記15のグローブ装置(4)。
17.
ポートフランジ(2)に連結可能である又はポートフランジ(2)から取外し可能である別個の閉鎖体として構成された遮断部材(5)に、又はポートフランジ(2)に、
a)取得ユニット(62)、
b)マイクロコントローラ(64)、及び
c)アクチュエータ(69)であって、手動で又は被駆動式に作動可能であるとともに遮断部材(5)をブロック位置に又は開位置に位置調節するのに用いられるアクチュエータ(69)
が設けられていて、任意選択的に、
d)ディスプレイ(61)及び蓄電池(60)が設けられている
ことを特徴とする、上記12から16のいずれか一つのグローブ装置(4)。
18.
a)ポートフランジ(2)は、RFIDチップ(22)を有し、
b)ポートフランジ(2)に連結可能である又はポートフランジ(2)から取外し可能である別個の閉鎖体として構成された遮断部材(5)に、送受信素子(65)が設けられていて、
c)送受信素子(65)は、遮断部材(5)がポートフランジ(2)に装着されているときには遮断部材(5)とポートフランジ(2)との対を検出するとともに、制御ユニット(8)に又はマイクロコントローラ(64)に格納されたデータに応じて、遮断部材(5)のロックを許可する又は拒否するのに用いられる
ことを特徴とする、上記16のグローブ装置(4)。
19.
a)固定部(40)に配置されたRFIDチップ(46)に記憶されたデータが、送受信素子(65)によって読取り可能であるとともに、制御ユニット(8)に及び/又はマイクロコントローラ(64)に格納されていて、
b)ポートフランジ(2)及びグローブ装置(4)における各々の新しい行動は、制御ユニット(8)によって把握され、制御ユニット(8)に、該当するグローブ装置(4)について記憶され、つまり個々の履歴データに追加される
ことを特徴とする、上記16から18のいずれか一つのグローブ装置(4)。
20.
a)各グローブ装置(4)の製造データには、
aa)個々のシリアル製造、
ab)製造日、
ac)グローブサイズ、
ad)材料の種類、
ae)使用された滅菌法、及び
af)使用期限、
が含まれてよく、
b)各グローブ装置(4)の履歴データには、
ba)ポートフランジ(2)への設置日、
bb)設置実行者の個人データ、
bc)識別子、どのポートフランジ(2)に設置が行われたか、
bd)いつ、どの頻度で、どのオペレータ(9)によって、該当するグローブ装置(4)における遮断部材(5)がブロック位置にもたらされた又はブロック位置から開位置へ動かされたか、
be)コンテインメント(1)の作業室(11)における除染サイクルの時期及び回数、並びに除染サイクルの最大許容回数、
bf)該当するグローブ装置(4)で実行される漏れ試験の時期及び回数、
bg)コンテインメント(1)の作業室(11)内で扱われるとともに、該当するグローブ装置(4)が使用される製品単位及び製品、
bh)オペレータ(9)が手動で入力するべき特別なイベント、及び
bi)該当するグローブ装置(4)の取外し及び廃棄を行う設置実行者の個人データ、
が含まれてよい
ことを特徴とする、上記7から19のいずれか一つのグローブ装置(4)。
21.
a)取得ユニット(62)が、オペレータ(9)の生体特徴、オペレータ(9)が入力すべきコード又はオペレータ(9)が提示すべきデータキャリアの電子データをピックアップするように設定されていて、
b)取得ユニット(62)によってオペレータ(9)からピックアップされた識別子が、マイクロコントローラ(64)と相互作用して、そのときに作業しようとしているオペレータ(9)に、マイクロコントローラ(64)に格納されたデータ又は制御ユニット(8)を介して取得したデータに応じた、遮断部材(5)を該当するポートフランジ(2)におけるブロック位置に又は開位置に位置調節する権限が付与される、又はそうでないときには拒否される
ことを特徴とする、上記12から20のいずれか一つのグローブ装置(4)。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14