(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】中空空間内の危険なガスの含有量を検知するための装置、及びそのような装置を備えたトンネル掘進機
(51)【国際特許分類】
E21D 9/06 20060101AFI20241017BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
E21D9/06 301Z
G01N1/00 101T
(21)【出願番号】P 2022539430
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 EP2021054714
(87)【国際公開番号】W WO2021170733
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】102020105345.2
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516300597
【氏名又は名称】ヘーレンクネヒト アクツィエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HERRENKNECHT AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ブラント、イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ミュンヒバッハ、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ファイスト、アルベルト
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-300721(JP,A)
【文献】特開平9-166525(JP,A)
【文献】特開2003-97187(JP,A)
【文献】特開平11-281605(JP,A)
【文献】国際公開第2019/143362(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第110125129(CN,A)
【文献】特開昭50-148913(JP,A)
【文献】特許第2678563(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/06
G01N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削ホイール(106)の背面側に位置する中空空間(118)内の危険なガスの含有量を検知するための装置
を備えたトンネル掘進機であって、
中空空間としての掘削チャンバ(118)と、前記装置との間に延在する抽出管(124)と、流体から検知すべきガスを分離するためのセパレーションモジュール(224)と、前記セパレーションモジュール(224)の下流に設けられ
たガス分析ユニット(133)
とを備える構成であり、
前記セパレーションモジュール(224)の下流には、分離されたガスを前記ガス分析ユニット(133)に制御して印加するための調量モジュール(240)が設けられていること、
前記調量モジュール(240)は、減圧器(239)と、前記減圧器(239)の下流に設けられた通流調整弁(251)とを有すること、
及び
ダブルダイヤフラムポンプ(245)が設けられており、前記ダブルダイヤフラムポンプ(245)は、前記減圧器(239)の下流に接続されていること、
を特徴とする
トンネル掘進機。
【請求項2】
前記ダブルダイヤフラムポンプ(245)の2つのダイヤフラムは、互いに強制的に連結されていること、及びこれらのダイヤフラムは、制御空気管(244)を介し、磁気制御スイッチ(243)により、圧力下にある制御空気を用いて交互に駆動制御可能であること、
を特徴とする、請求項
1に記載の
トンネル掘進機。
【請求項3】
前記ダブルダイヤフラムポンプ(245)は、第1絞り弁(241)及び第2絞り弁(242)と接続されており、それらの開度は、負荷解除のために逃がされるダイヤフラムの使用空気が極めて遅れてのみ周囲に逃がされるように、比較的小さい値に設定可能であること、
を特徴とする、請求項
2に記載の
トンネル掘進機。
【請求項4】
圧力スタビライザ(248)が設けられており、前記圧力スタビライザ(248)は、前記ダブルダイヤフラムポンプ(245)と前記通流調整弁(251)の間に配設されていること、
を特徴とする、請求項
1~
3のいずれか一項に記載の
トンネル掘進機。
【請求項5】
前記通流調整弁(251)は、ニードル弁であること、
を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のトンネル掘進機。
【請求項6】
体積流量測定モジュール(266)が設けられており、前記体積流量測定モジュール(266)は、前記通流調整弁(251)の下流に設けられていること、
を特徴とする、請求項1~
5のいずれか一項に記載の
トンネル掘進機。
【請求項7】
前記減圧器(239)の下流には、分割された体積流量に関して非対称のY字形分岐部(254)が設けられており、前記Y字形分岐部(254)は、その下流に設けられたメインアーム部(257)並びにその下流に設けられたサブアーム部(260)を備えていること、及び体積流量測定モジュール(266)は、Y字形分岐部(254)の下流で前記メインアーム部(257)に配設されていること、
を特徴とする、請求項1~
6のいずれか一項に記載の
トンネル掘進機。
【請求項8】
前記サブアーム部(260)には、サブアーム部フィルタモジュール(269)が配設されていること、
を特徴とする、請求項
7に記載の
トンネル掘進機。
【請求項9】
前記通流調整弁(251)は、前記減圧器(239)と前記Y字形分岐部(254)の間に配設されていること、
を特徴とする、請求項
7又は請求項
8に記載の
トンネル掘進機。
【請求項10】
前記通流調整弁(251)は、前記Y字形分岐部(254)の下流で前記メインアーム部(257)に配設されていること、
を特徴とする、請求項
7又は請求項
8に記載の
トンネル掘進機。
【請求項11】
前記
メインアーム部(
257)には、前記Y字形分岐部(254)と前記通流調整弁(251)の間に、メインフローフィルタモジュール(403)が設けられていること、
を特徴とする、請求項
10に記載の
トンネル掘進機。
【請求項12】
ガス分析ユニット(133)が設けられており、前記ガス分析ユニット(133)は、前記サブアーム部(260)の下流に設けられ、爆発性のガスを検知するように構成されていること、
を特徴とする、請求項
7~
11のいずれか一項に記載の
トンネル掘進機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空空間内の危険なガスの含有量を検知するための装置に関する。
【0002】
更に本発明は、そのような装置が装備されているトンネル掘進機(トンネルボーリングマシン)に関する。
【背景技術】
【0003】
そのような装置は、対応のトンネル掘進機と共に下記特許文献1(JP2004-300721A)から知られている。この既知の装置は、排出搬送ユニットにおいて抽出された流体から検知すべきガスを分離するためのセパレーションモジュールと、このセパレーションモジュールの下流に設けられ且つ分離されたガスをガス分析ユニットに制御して印加するための調量モジュールとを有する。この既知の装置において、検知すべきガスの分離は、固体成分を有する気液混合物内の圧力状態を変更することにより行われる。例えばメタンのような特に爆発性の危険なガスの含有量を検知するために、その混合物から出されたガスの部分をガス分析ユニットに送ることが考慮されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-300721号
【文献】特許第2678563号
【文献】米国特許出願公開第2018/0171786号
【文献】国際公開第2019/143362号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の基礎を成す課題は、少なくとも危険報告のために十分な精度をもって、比較的高圧下にあるが場合により圧力変動にもさらされている中空空間内の危険なガスの含有量を検知することにより傑出する、冒頭に記載した形式の装置、及びそのような装置を装備したトンネル掘進機を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の第1の視点に従い、以下の装置により解決される。
即ち、中空空間内の危険なガスの含有量を検知するための装置であって、
流体から検知すべきガスを分離するためのセパレーションモジュールと、前記セパレーションモジュールの下流に設けられ且つ分離されたガスをガス分析ユニットに制御して印加するための調量モジュールとを備える構成であり、
前記調量モジュールは、減圧器と、前記減圧器の下流に設けられた通流調整弁とを有すること、
を特徴とする装置が提供される。
【0007】
前記課題は、本発明の第2の視点に従い、以下のトンネル掘進機により解決される。
即ち、上記第1の視点に記載の装置を備えたトンネル掘進機であって、
前記トンネル掘進機は、抽出管を有し、前記抽出管は、中空空間としての掘削チャンバと、前記装置との間に延在すること、
を特徴とするトンネル掘進機が提供される。
より詳しくは、切削ホイールの背面側に位置する中空空間内の危険なガスの含有量を検知するための装置を備えたトンネル掘進機であって、
中空空間としての掘削チャンバと、前記装置との間に延在する抽出管と、流体から検知すべきガスを分離するためのセパレーションモジュールと、前記セパレーションモジュールの下流に設けられたガス分析ユニットとを備える構成であり、
前記セパレーションモジュールの下流には、分離されたガスを前記ガス分析ユニットに制御して印加するための調量モジュールが設けられていること、
前記調量モジュールは、減圧器と、前記減圧器の下流に設けられた通流調整弁とを有すること、及び
ダブルダイヤフラムポンプが設けられており、前記ダブルダイヤフラムポンプは、前記減圧器の下流に接続されていること、
を特徴とするトンネル掘進機が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)
中空空間内の危険なガスの含有量を検知するための装置であって、
流体から検知すべきガスを分離するためのセパレーションモジュールと、前記セパレーションモジュールの下流に設けられ且つ分離されたガスをガス分析ユニットに制御して印加するための調量モジュールとを備える構成であり、
前記調量モジュールは、減圧器と、前記減圧器の下流に設けられた通流調整弁とを有すること。
(形態2)
前記通流調整弁は、ニードル弁であること、が好ましい。
(形態3)
ダブルダイヤフラムポンプが設けられており、前記ダブルダイヤフラムポンプは、前記減圧器の下流に接続されていること、が好ましい。
(形態4)
前記ダブルダイヤフラムポンプの2つのダイヤフラムは、互いに強制的に連結されていること、及びこれらのダイヤフラムは、制御空気管を介し、磁気制御スイッチにより、圧力下にある制御空気を用いて交互に駆動制御可能であること、が好ましい。
(形態5)
前記ダブルダイヤフラムポンプは、第1絞り弁及び第2絞り弁と接続されており、それらの開度は、負荷解除のために逃がされるダイヤフラムの使用空気が極めて遅れてのみ周囲に逃がされるように、比較的小さい値に設定可能であること、が好ましい。
(形態6)
圧力スタビライザが設けられており、前記圧力スタビライザは、前記ダブルダイヤフラムポンプと前記通流調整弁の間に配設されていること、が好ましい。
(形態7)
体積流量測定モジュールが設けられており、前記体積流量測定モジュールは、前記通流調整弁の下流に設けられていること、が好ましい。
(形態8)
前記減圧器の下流には、分割された体積流量に関して非対称のY字形分岐部が設けられており、前記Y字形分岐部は、その下流に設けられたメインアーム部並びにその下流に設けられたサブアーム部を備えていること、及び体積流量測定モジュールは、Y字形分岐部の下流で前記メインアーム部に配設されていること、が好ましい。
(形態9)
前記サブアーム部には、サブアーム部フィルタモジュールが配設されていること、が好ましい。
(形態10)
前記通流調整弁は、前記減圧器と前記Y字形分岐部の間に配設されていること、が好ましい。
(形態11)
前記通流調整弁は、前記Y字形分岐部の下流で前記メインアーム部に配設されていること、が好ましい。
(形態12)
前記サブアーム部には、前記Y字形分岐部と前記通流調整弁の間に、メインフローフィルタモジュールが設けられていること、が好ましい。
(形態13)
ガス分析ユニットが設けられており、前記ガス分析ユニットは、前記サブアーム部の下流に設けられ、爆発性のガスを検知するように構成されていること、が好ましい。
(形態14)
形態1~13のいずれか1つに記載の装置を備えたトンネル掘進機であって、
前記トンネル掘進機は、抽出管を有し、前記抽出管は、中空空間としての掘削チャンバと、前記装置との間に延在すること。
尚、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【0009】
本発明による装置において及びトンネル掘進機において、調量モジュールが、減圧器と、該減圧器の下流に設けられた通流調整弁とを有することにより、高い圧力が制御されて低下され、また十分に信頼性をもって危険なガスの含有量を検知するために重要な流量として、分離されたガスをガス分析ユニットに印加するための流量が十分に正確に設定(調整)される。
【0010】
本発明の目的に適う更なる構成は、従属請求項の対象である。
【0011】
本発明の目的に適う更なる構成と利点は、図面の各図に関する本発明の実施例の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による一装置の一実施例を備えた本発明による一トンネル掘進機の一実施例を、極めて模式的な側面図として示す図である。
【
図2】
図1の本発明による一装置の実施例を、運転中にオペレータに対してアクセス可能な前面部と、ガス分析ユニットとが見える斜視図として示す図である。
【
図3】
図2の実施例を、前面部とは反対側の背面部が見える斜視図として示す図である。
【
図4】本発明による一装置の更なる一実施例を、
図3の図面に対応して背面部が見える斜視図として示す図である。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明による一トンネル掘進機103の一実施例を、極めて模式的な側面図として示している。トンネル掘進機103は、掘進方向で前方の端面部(図示左側)において切削ホイール106を有し、切削ホイール106は、駆動ユニット109を用いて回転可能であり、切削ホイール106には、切羽(掘削面)112における物質を掘削するために、露出する地質に適合された掘削工具(複数)115が装備されている。
【0014】
切削ホイール106の切羽112とは反対側には、中空空間としての掘削チャンバ118が設けられており、掘削チャンバ118は、特に圧力サポート機能を用いて作動する掘削法の場合には数1000ヘクトパスカル(hPa)の圧力下となることがある。切羽112から掘削されて掘削チャンバ118内に取り込まれた物質は、例えばスクリュコンベヤが装備されている排出搬送ユニット121を介して排出搬送可能である。
【0015】
本発明による実施例において、抽出管(抽出パイプ)124は、一端部を用い、掘削チャンバ118の上側の主に液体を含まず且つ固形物を含まない領域において、抽出管124のための通過部に対して密封された掘削チャンバ118内に通じている。抽出管124は、掘削チャンバ118とは反対側の端部をもって、流体調製ユニット127に接続されている。従って抽出管124を用い、掘削チャンバ118内の抽出領域にあり且つ過酷な掘削条件が原因でガス状の成分に加えて液状の成分と固体状の成分も有する流体が、流体調製ユニット127に供給可能である。流体調製ユニット127は、測定ガス移送管130を介してガス分析ユニット133と接続状態にある。流体調製ユニット127とガス分析ユニット133の双方は、排出管136に接続されており、排出管136を用い、掘削チャンバ118から抽出管124を介して抽出された流体が、その個々の構成成分(コンポーネント)として、切羽112の背面側に位置するトンネル空間139から排出可能である。
【0016】
図2は、通常運転時にオペレータに対してアクセス可能な前面部が見える斜視図として、本発明による一装置の一実施例の流体調製ユニット127の構造を示しており、当該装置は、典型的には、例として
図1に基づいて説明したトンネル掘進機103において使用される。
図2の流体調製ユニット127は、入口側で抽出管接続部203を有するように構成されており、抽出管接続部203には、
図1では記載されたが
図2では一目瞭然性のために非図示の抽出管124が圧密的に接続可能である。抽出管接続部203は、流体混合物管装置(配管系)206の入口部分と接続状態にあり、流体混合物管装置206には、更に空気接続部209、テストガス接続部212、(保守)整備接続部215、及び水接続部218が取り付けられている。水接続部218には、水管装置221が接続されており、水管装置221を用い、必要に応じて流体混合物管装置206に水が供給可能である。
【0017】
流体混合物管装置206内には、抽出管接続部203を介して提供される流体の流れ方向において抽出管接続部203並びに更なる接続部209、212、215、218の下流に設けられ、この実施例では直列に接続された2つのセパレータ227、230が組み込まれている。目的に適うように連続的な粗い分離とそれに続く細かい分離のために取り付けられて重力の作用で作動するセパレータ227、230を用い、掘削チャンバ118から来る流体から、それと共に運ばれてきた、比較的小さい石、砂、及び/又は汚泥物質のような固体状の成分、並びに液体状の成分が除去可能であり、それにより流体の流れ方向においてセパレーションモジュール224の出口側では、実質的にガス状の成分だけが含まれている。セパレータ227、230は、底部領域において排出管装置233に接続されており、排出管装置233を用い、
図2に図示されているように、目的に適うように閉鎖栓を介し、必要に応じて被制御式で、セパレータ227、230内で生じた液状の物質と固体状の物質が排出可能である。
【0018】
固体状の成分と液体状の成分を実質的に完全に分離させるセパレーションモジュール224を通過した後に、それにより実質的にガス状の成分だけから成る流体は、調量(流量制御)モジュール240の減圧器239が組み込まれているガス管装置236内に流入する。減圧器239を用い、ガス管装置236内の入口圧力は、体積流量の対応の減少を伴い、典型的にはほぼ1.000hPaからほぼ2.000hPaに至るまでの出口圧力に低下可能である。更にガス管装置236内には、砂粒のような流体中の研磨成分に対して抵抗力があり、第1絞り弁241並びに第2絞り弁242と接続され、磁気制御スイッチ243を用いて制御空気管244から圧力下にある制御空気を印加可能なダブルダイヤフラムポンプ245が組み込まれており、ダブルダイヤフラムポンプ245を用い、必要な場合には、流れ方向においてダブルダイヤフラムポンプ245の下流の流体の圧力が所定の圧力(超過圧力;Ueberdruck)に増加可能である。
【0019】
ダブルダイヤフラムポンプ245は、互いに強制的に連結された2つのダイヤフラムを有し、これらのダイヤフラムは、制御空気管244を介し、例えば3/2制御弁として構成された磁気制御スイッチ243により、また所定の電圧信号レベルの上側で磁気制御スイッチ243の作動を伴う、
図2では非図示の電圧パルス発生器により提供されるパルス状の電圧を介し、並びにその電圧信号レベルを下回る電圧降下の後には戻しばねを介し、圧力下にある制御空気を用いて被制御式で次のように交互に駆動制御可能である。即ちこれらのダイヤフラムは、クロック周波数が十分に高く、制御空気管244内の圧力が適合されていることで、十分に高いストローク出力が提供されるように、交互に駆動制御可能である。それにより平均して僅かな時間部分が、ストローク終端位置に達した後に、並びに戻り(リセット)のために、ダイヤフラムの低圧領域ないし低体積流量領域に割り当てられる。
【0020】
特に掘削チャンバ118内の大気条件において、即ち流体の自己吐出(Selbstfoerderung)を伴うことのない状態で、残りの圧力変動を平滑化するために、絞り弁241、242の開度は、比較的小さい値に設定され、それにより負荷解除のために逃がされるダイヤフラムの使用空気は、極めて遅れてのみ周囲に逃がされる。それにより各ダイヤフラムは、戻り(ストローク)の際には出発位置に達する前に再び次のストロークに移行し、そして反対側のダイヤフラムは、その間にストローク動作を実質的に切れ目なく行う(引き継ぐ)。
【0021】
流体の流れ方向においてダブルダイヤフラムポンプ245の下流で、ガス管装置236には、先ず、ガス管装置236内の圧力を安定化するためにダイヤフラムを備えた調整容器の形態の圧力スタビライザ248、そしてそれに続き、流量を細かく設定するために目的に適うようにニードル弁として構成されている調量モジュール240の通流調整弁251が組み込まれている。流体の流れ方向において通流調整弁251の下流には、Y字形分岐部254が位置し、Y字形分岐部254は、ガス管装置236を、比較的大きい流量を有するメインアーム部257と、メインアーム部257内の流量と比べて少ない流量を有するサブアーム部260とに分割している。
【0022】
ガス状の流体の流れ方向においてY字形分岐部254の上流に通流調整弁251を配設することは、流体の流れ方向において後に続くコンポーネントの流体力学的な特性を考慮のもと、ガス管装置236内の全体積流量に対して目標を定めて作用可能であるという利点を有する。例えば運転上の理由から排出管136が比較的長くなる場合には、その結果として、体積流量の減少を対応して伴う更なる圧力損失が発生する。この場合、通流調整弁251を用いることで、全体積流量は、ガス分析ユニット133による比較的正確な測定のために適した値に予め調量される。
【0023】
メインアーム部257には、流体の流れ方向において安全上の理由から設けられている受動的な逆止弁263の下流で体積流量測定モジュール266が組み込まれており、体積流量測定モジュール266を用い、ガス状の流体について、サブアーム部260内を流れる体積流量に対して固定比率にある、メインアーム部257を流れる体積流量が測定可能である。体積流量測定モジュール266の出口側には、
図1で説明した排出管136が接続されている。
【0024】
サブアーム部260には、冗長性の理由から並列に接続されている2つのサブアーム部フィルタ272、275を備えたサブアーム部フィルタモジュール269が組み込まれており、その目的は、ガス管装置236のサブアーム部260内を通流する流体を、測定ガス移送管130内への流入前に、残留汚染物による通常では比較的敏感なガス分析ユニット133の損傷を回避するために洗浄することである。
【0025】
従ってガス分析ユニット133を用い、比較的一定の体積流量を有し、ガス状で、洗浄されており、受ける圧力変動は比較的僅かだけである流体が提供可能である。またガス分析ユニット133を用い、そのガス状の流体の組成が、そのガス状の成分について、メタンのような、危険で特に爆発性のガスに関して検知可能である。そのためにガス分析ユニット133は、目的に適うように極めて正確な体積流量測定器を有し、この体積流量測定器には、ガス分析ユニット133のガスセンサに供給されるガス状の流体の非常に精密な調量のために量設定ホイールが連結されている。
【0026】
オペレータのために通常運転時に前面部からアクセス可能な接続部203、209、212、215、218は、それぞれ閉鎖栓(コック弁)を介して開閉可能である。それにより特に抽出管接続部203の閉鎖時には、空気接続部209を介しては、圧力下にある空気が案内され、また水管装置221が接続された水接続部218を介しては、特に両方向の通流により流体混合物管装置206を洗浄するために水が案内される。テストガス接続部212を介しては、対応の閉鎖栓が開かれ且つ他の閉鎖栓が閉じられている場合に、流体調製ユニット127の機能性と、特にガス分析ユニット133の機能性とを検査するためにテストガスが通される。
【0027】
図3は、
図2の流体調製ユニット127の実施例を、前面部とは反対側の背面部が見える斜視図として示している。
図3では、
図2の図面では見ることのできないガス管装置236の部分がそれに組み込まれたコンポーネントと共に見ることができる。特に
図3の図面から、ガス管装置236には、遮断弁303が装備されていることが見てとれ、遮断弁303を用い、ガス管装置236内を流れるガス状の流体の流れ方向において前面側の領域に対し、例えばセパレーションモジュール224内の危険な充填レベルのような場合には、流れ方向において背面側の領域を遮断することができる。更に
図3の図面から、サブアーム部260の入口側でT字形の頸部を備えたT字形部材の形態のY字形分岐部254の構成が明らかに分かる。それに加え、
図3から、セパレータ227、230には、それぞれ、充填レベルセンサ306が装備されており、これらの充填レベルセンサ306を用いることで、最大充填レベルの場合にはオペレータの介入でセパレータ227、230の内容物が排出管装置233を介して排出可能であることについて警告信号が生成可能である。
【0028】
図4は、流体調製ユニット127の更なる一実施例を、
図2の図面に対応し、オペレータが運転時にアクセス可能な前面部が見える斜視図として示し、この際、
図2と
図3に基づいて説明された流体調製ユニット127の実施例と、
図4に基づいて説明される流体調製ユニット127の実施例において、互いに対応するコンポーネントには、同じ参照符号が付けられ、説明の繰り返しを避けるために、以下では、詳細には説明されていない。
【0029】
図4の実施例は、
図2と
図3の実施例とは、実質的に、通流調整弁251がメインアーム部257で流体の流れ方向において体積流量測定モジュール266の上流に組み込まれており、体積流量測定モジュール266には、流体調製ユニット127の下側領域の深い配置構成で保護のためにメインフローフィルタモジュール403が前置されていることにより異なっている。逆止弁263は、
図4の実施例では設けられていない。
図4の流体調製ユニット127の実施例は、メインアーム部257内の流量の設定を介し、サブアーム部260内の流量が比較的正確に設定可能であることにより傑出し、このことは、ガス分析ユニット133の測定精度にとって有益である。
【0030】
図2と
図3の実施例と、
図4の実施例とは、ガス分析ユニット133の規定どおりの機能方式のための圧力適合と、圧力安定化と、流量適合とが、減圧器239、ダブルダイヤフラムポンプ245、圧力スタビライザ248、及び通流調整弁251(より大きい流量を有するメインアーム部257とより少ない流量を有するサブアーム部260とにY字形分岐部254において分割する部分が接続している)という流体の流れ方向における順序を介し、ガス分析ユニット133の方向に行われることにより共通している。それによりガス状の流体中の危険なガスの含有量が、掘削チャンバ118内の激しく変化する周囲条件下でも、ほとんど遅延なく、少なくとも、例えば安全上重要な濃度にある爆発性のメタンの存在が信頼性をもって比較的迅速に検出可能であるように、正確に決定される。
【符号の説明】
【0031】
103 トンネル掘進機
106 切削ホイール
109 駆動ユニット
112 切羽
115 掘削工具
118 掘削チャンバ(中空空間)
121 排出搬送ユニット
124 抽出管
127 流体調製ユニット
130 測定ガス移送管
133 ガス分析ユニット
136 排出管
139 トンネル空間
203 抽出管接続部
206 流体混合物管装置
209 空気接続部
212 テストガス接続部
215 整備接続部
218 水接続部
221 水管装置
224 セパレーションモジュール
227 セパレータ
230 セパレータ
233 排出管装置
236 ガス管装置
239 減圧器
240 調量モジュール
241 第1絞り弁
242 第2絞り弁
243 磁気制御スイッチ
244 制御空気管
245 ダブルダイヤフラムポンプ
248 圧力スタビライザ
251 通流調整弁
254 Y字形分岐部
257 メインアーム部
260 サブアーム部
263 逆止弁
266 体積流量測定モジュール
269 サブアーム部フィルタモジュール
272 サブアーム部フィルタ
275 サブアーム部フィルタ
303 遮断弁
306 充填レベルセンサ
403 メインフローフィルタモジュール