(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】航空機のブリードエア供給システムを監視するための方法およびコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
B64D 45/00 20060101AFI20241017BHJP
F02C 6/08 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
B64D45/00 Z
F02C6/08
(21)【出願番号】P 2022540774
(86)(22)【出願日】2020-12-28
(86)【国際出願番号】 EP2020087899
(87)【国際公開番号】W WO2021136750
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2023-10-20
(32)【優先日】2020-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503371373
【氏名又は名称】ルフトハンザ・テッヒニク・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】LUFTHANSA TECHNIK AG
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】デメシュキン,アレクセイ
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0183085(US,A1)
【文献】特開2014-223904(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0314278(US,A1)
【文献】特表2009-511338(JP,A)
【文献】特表2014-526993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 45/00
F02C 6/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサデータに基づいてブリードエア供給システム(10)の状態を監視するための少なくとも1つのセンサ(20~22)と、
少なくとも1つの動作状態値を介して前記ブリードエア供給システム(10)以外の航空機(1)の動作状態を検出するための少なくとも1つの動作状態モニタ(5)と、
前記ブリードエア供給システム(10)の少なくとも一部の状態を評価するための少なくとも2つの独立した監視モジュール(30)であって、少なくとも1つのセンサのセンサデータおよび少なくとも1つの動作状態値に基づく個別の監視機能および個別の起動パラメータと停止パラメータが前記監視モジュール(30)のそれぞれに対して提供される前記監視モジュール(30)と
を備える前記航空機(1)の前記ブリードエア供給システム(10)を監視するための方法であって、
前記センサデータを介して前記ブリードエア供給システム(10)の状態を検出し、前記少なくとも1つの動作状態値を介して前記航空機(1)の動作状態を検出し、
前記監視モジュール(30)を起動し、その起動パラメータは前記センサデータおよび前記少なくとも1つの動作状態値によって満たされ、
起動した前記監視モジュール(30)を介して監視機能によって前記ブリードエア供給システム(10)の状態を監視し、
起動された前記監視モジュール(30)を停止し、その停止パラメータは前記センサデータと前記少なくとも1つの動作状態値によって満たされる
ことを含
み、
前記監視モジュール(30)がそれぞれ予測方法を実行するように設計され、前記予測方法のそれぞれにおいて、前記監視モジュール(30)によって監視される前記ブリードエア供給システム(10)の一部の前記センサデータの変化が経時的に観察される、
方法。
【請求項2】
前記監視モジュール(30)の1つが前記ブリードエア供給システム(10)の一部の状態を評価するように設計され、前記状態は他の前記監視モジュール(30)によって評価されないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも3つの前記監視モジュール(30)が設けられ、前記監視モジュール(30)の2つが前記ブリードエア供給システム(10)の少なくとも部分的に重なり合う部分の状態を監視するように設計され、異なる起動パラメータおよび停止パラメータを有することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記監視モジュール(30)の前記停止パラメータは、前記監視モジュール(30)の起動パラメータに対応することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記監視モジュール(30)の前記起動パラメータは、前記起動パラメータが満たされてから所定の時間後にのみ前記監視モジュール(30)を起動するための時間遅延パラメータを含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記監視モジュール(30)の前記停止パラメータは、前記監視モジュール(30)を起動してから所定の持続時間の経過後に停止するための持続時間パラメータを含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記監視モジュール(30)は、検出されたセンサデータを、前記監視モジュール(30)の過去の起動の間に記録された履歴センサデータと比較するように設計されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記監視モジュール(30)は、起動から停止までの間の起動時間にわたって、前記少なくとも1つのセンサ(20-22)のセンサデータの最小値、最大値、平均値、および/または変化値を決定するように設計されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記監視モジュール(30)は、前記少なくとも1つのセンサ(20~22)の一部を監視するように設計されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記監視モジュール(30)は
、警告を出力するように設計されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの動作状態値は、ブリードエア消費装置の動作状態、着陸装置の状態、エンジンの高圧コンプレッサの出力圧力、および/または周囲温度に関する情報の項目を含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
コンピュータまたは互いにネットワーク接続されたコンピュータにロードされたとき、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法を実行するように設計されたプログラム部分を含むコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラム製品のセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機のブリードエア供給システムを監視するための方法およびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機、特に民間航空機では、加圧キャビンや航空機の空気圧システムで所望の圧力を生成または維持するために、エンジンのターボコンプレッサから圧縮空気が排出されている。エンジンは、ジェットエンジン、プロペラタービン、または補助動力装置(APUs)などであり得る。航空機の各エンジンは、特に冗長性を確保するために個別のブリードエア供給システムを備えているのが一般的である。
【0003】
ブリードエアは、ブリードエア供給システムによってエンジンから取り出され、様々な消費装置に供給される。このとき、圧縮量が大きく高温のブリードエアのほかに、圧縮量が小さく相対的に低温の空気も別の場所でエンジンから取り出され、圧縮されて高温となったブリードエアが熱交換器で所望の温度まで冷却されることが一般的である。
【0004】
ブリードエア供給システムは、基本的に様々なアクチュエータを有し、特に制御可能または自己調整可能な弁と、圧力および温度センサまたは変換器と、場合によっては制御ユニットとを有し、決められた圧力および温度値ならびに場合によっては外部制御信号の関数としてアクチュエータが起動され得る。また、制御ユニットを使用しなくてもよく、その場合は個々のアクチュエータの空圧制御のみを実施してもよい。いずれの場合も、所望の動作圧力を維持することに加えて、様々な消費装置に供給される圧縮空気の温度も原則として調整することができる。
【0005】
ブリードエア供給システムは、特に空圧制御のみの場合、多くの機械部品があるため信頼性が低下する。故障が頻発すると、航空機、特に民間航空機の運航に大きな支障をきたすことがあるが、故障が発生した場合、安全のためにブリードエア供給システムは原則的に停止させなければならない。
【0006】
飛行中のブリードエア供給システムの故障を認識するために、ブリードエア供給システムの圧力センサおよび温度センサによって決定された値が監視されることがあるが、先行技術では一般に予め定められた閾値に関するチェックのみが行われる。このようなシステムにおいて、測定値が閾値を超えた場合、予防措置としてブリードエア供給システム全体が停止される。
【0007】
このブリードエア供給システムの監視によって、ブリードエア供給システムに起こり得る故障を認識し、必要に応じてシステムを停止できるが、先行技術から知られている監視装置は故障メッセージにおいてブリードエア供給システムの故障の起こり得る原因に関する情報の詳細項目を提供するものではないため、故障が起こると複雑なトラブルシューティングおよび修理手段を通常必要とする。
【0008】
故障の際のブリードエア供給システムの停止にはさらなる欠点があり、即ち1つのシステムの停止時に、航空機の他のブリードエア供給システムが、停止したブリードエア供給システムのブリードエアを供給しなければならず、これは他のブリードエア供給システムの損耗と故障のリスクを増大させる。
【0009】
ブリードエア供給システムの故障を診断するための方法は米国特許第9555903号公報に記載されており、これはブリードエア供給システムに配置された多様なセンサを読み出してそれぞれのセンサデータの比較値からの偏差をチェックするものである。比較値は、固定的に予め設定された値、エンジンおよび関連するブリードエア供給システムの動作パラメータから決定されるパラメータ、当該ブリードエア供給システムに対して過去に決定された(平均)値、または、一連構造の全てのブリードエア供給システムに対して過去に決定された平均値であり得る。
【0010】
確認され得る偏差は、ここでは特に飛行段階ごとに解釈できる。従って、例えば、離陸、上昇、下降、および巡航の飛行段階ごとに別々に解釈できる。個々の場合では、事前に定められた飛行段階において比較値からのセンサ値の決定偏差を、ブリードエア供給システムの特定の故障に割り当てることができる。対照的に、例えば、上昇または巡航飛行段階での過度に低い圧力は、実際には1つの構成要素に一意に割り当てることはできないか、または、少なくとも構成要素の小さなグループに一意に割り当てることができる。故障メッセージの少なくとも一部に関し、米国特許第9555903号に記載の方法でも、ブリードエア供給システムの故障の可能性のある構成要素を実際限定しないため、このような故障の場合のトラブルシューティングは非常に複雑になる。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、航空機のブリードエア供給システムを監視するための方法およびコンピュータプログラム製品を提供することであり、この方法は、例えばエラーが発生する時点および/またはエラーが発生する構成要素の特定に関して、より正確なエラー診断を可能にするという点で先行技術から改善されている。
【0012】
この目的は、主請求項に係る方法と、請求項12に係るコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラム製品のセットとによって達成される。有利な改良は、従属請求項の主題である。
【0013】
従って、本発明は、センサデータに基づいてブリードエア供給システムの状態を監視するための少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つの動作状態値を介して前記ブリードエア供給システム以外の航空機の動作状態を検出するための少なくとも1つの動作状態モニタと、前記ブリードエア供給システムの少なくとも一部の状態を評価するための少なくとも2つの独立した監視モジュールであって、少なくとも1つのセンサのセンサデータおよび少なくとも1つの動作状態値に基づく個別の監視機能および個別の起動パラメータと停止パラメータが前記監視モジュールのそれぞれに対して提供される前記監視モジュールとを備える前記航空機の前記ブリードエア供給システムを監視するための方法であって、前記センサデータを介して前記ブリードエア供給システムの状態を検出し、前記少なくとも1つの動作状態値を介して前記航空機の動作状態を検出し、前記監視モジュールを起動し、その起動パラメータは前記センサデータおよび前記少なくとも1つの動作状態値によって満たされ、起動した前記監視モジュールを介して監視機能によって前記ブリードエア供給システムの状態を監視し、起動された前記監視モジュールを停止し、その停止パラメータは前記センサデータと前記少なくとも1つの動作状態値によって満たされることを含む、方法に関する。
【0014】
さらに、本発明は、コンピュータまたは互いにネットワーク接続されたコンピュータにロードされたとき、本発明に係る前記方法を実行するように設計されたプログラム部分を含むコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラム製品のセットに関する。
【0015】
一方では、本発明に係る方法は、少なくとも1つのセンサによって提供されるとともに少なくとも各センサの領域におけるブリードエア供給システムの状態監視に適しているセンサデータに基づくものである。通常、複数のセンサ(例えば圧力センサおよび温度センサ)が、ブリードエアシステム上に分散して設けられ、システムの異なる箇所におけるそれぞれの変化を検出する。また、ブリードエア供給システムのアクチュエータの現在位置を検出するための変換器を設けてもよい。
【0016】
他方では、少なくとも1つの動作状態値が考慮され、ブリードエア供給システムではなく航空機の動作状態に関する情報の項目が提供される。動作状態値は、例えば着陸装置の位置やスラストレバーの位置といった航空機の技術装置の状態、例えばエンジン内部の圧力といった技術装置の動作値、または、例えば航空機キャビンの内部圧力や外部温度といった航空機または航空機周辺の状態値を反映する技術変数である。少なくとも1つの動作状態値、通常多数の動作状態値は動作状態モニタによって提供されるが、これは例えばオンボードコンピュータまたは航空機の電子監視システムであり得る。
【0017】
当然ながら、動作状態値およびブリードエア供給システムの状態監視のためのセンサデータは、単一の航空機システムによって検出および/または決定され、本発明に係る方法への入力変数の均一なセットとして提供されてもよい。しかし、この場合でも、入力変数は、ブリードエア供給システムの状態監視のためのセンサデータと、ブリードエア供給システムを除く航空機の動作状態値とに論理的に分割されてもよい。
【0018】
本発明に係る方法は、ブリードエア供給システムの少なくとも一部の状態を評価するために、少なくとも2つの独立した監視モジュールが設けられ、少なくとも1つのセンサのセンサデータおよび少なくとも1つの動作状態値に基づく個別の監視機能および個別の起動と停止パラメータが各監視モジュールに対して提供される点で特徴的である。従って、監視モジュールは、互いに完全に独立して起動および停止され、ブリードエア供給システムまたはその一部の状態を互いに独立して監視することもできる。後者は、特に均質な冗長性とは対照的にいかなる場合でも同一ではない個々の監視機能によって保証される。
【0019】
監視モジュールは、起動されると、監視機能の助けを借りて、モジュールまたは監視機能が監視するように設計されているブリードエア供給システムの一部に関連する全てのセンサデータまたは少なくとも一部のセンサデータに基づいて、ブリードエア供給システム全体またはその一部の状態を監視できる。
【0020】
この理由として、本発明が認めることには、一方ではブリードエア供給システムは非常に複雑なシステムであり、その全体的な監視はしばしば困難であるが、他方ではブリードエア供給システムは通常サブシステムに分割でき、それぞれの状態やその結果生じるサブシステムの個々の機能を互いに独立して十分に監視できる。従って、ブリードエア供給システムは、圧力調整弁(PRV)、高圧弁(HPV)、温度調整システム(場合によっては空気供給弁を含む)などのサブシステムまたは部品に概して分割されてもよい。弁サブシステムは例えば適切に配置された圧力センサおよび弁位置変換器によって一般に監視できる一方、温度センサおよびあり得る空気供給弁の弁位置変換器は冷却システムに対して設けられ得る。
【0021】
従って、設けられた監視モジュールがブリードエア供給システムの一部の状態を評価するように設計されており、その状態が他に設けられた監視モジュールによって評価されないと有利であり得る。従って、第1の監視モジュールの監視機能は特に他の監視モジュールによっても監視されないブリードエア供給システムの部分だけに合わせることができる。従って、ブリードエア供給システムの特定の部分に合わせた複数の監視モジュールを設けてもよく、これらは原則として互いに並行して動作させることができ、その結果、ブリードエア供給システム全体を確実に監視にできる。個々の監視モジュールによって監視される部分は、ここでは部分的に重複してもよい。
【0022】
個々の監視モジュールは、ブリードエア供給システムの全体を監視するのではなく、各場合にブリードエア供給システムの一部のみを監視するので、それぞれの監視機能の複雑さも一般に低減する。これにより、ブリードエア供給システム全体の監視の信頼性に肯定的な効果をもたらし、特に故障したサブシステムまたは損耗や故障したシステムの構成要素に対する故障可能性の割り当てを正確に実行できる。ブリードエア供給システムの一部のみを監視する監視モジュールによってのみ故障が確認される場合、故障はブリードエア供給システムの対応する監視部分に発生したと通常推定され、その後の故障修理が容易になる。
【0023】
少なくとも2つ(一般的にはそれ以上)の監視モジュールが設けられ、それぞれがセンサデータだけでなく動作状態値に関する適切な仕様に基づいて個別に起動および停止できるようにするとさらに利点がある。
【0024】
監視モジュールの起動および停止においてセンサデータに加えて航空機の運転状態値も考慮される点で、航空機の実際の動作状態またはセンサデータから読み取れるブリードエア供給システムの状態に対して監視モジュールの監視機能が適切に設計されている場合にのみ監視モジュールが起動されることが保証される。各監視モジュールの起動および停止は個別に定められてもよく、例えば複数の監視モジュールがブリードエア供給システムの特定の部分に対する監視のために設けられるが、複数の監視モジュールは異なる動作状態における異なる起動および停止パラメータにより起動される。ここで留意する必要があることには、少なくとも1つのセンサのセンサデータと少なくとも1つの動作状態値の組み合わせにより、個々の監視モジュールの状態に応じた起動が可能であり、その詳細度は前述のように既に先行技術から知られている飛行段階の分割を越えるものとなる。当然ながら、これは起動および/または停止においてより多くのセンサおよび/または動作状態値が考慮されればされるほどより顕著になる。
【0025】
複数の監視モジュールの提供による上記2つの有利な利点を組み合わせることは、明確に可能であるとともに通常好ましいものである。その結果、好ましくは、少なくとも3つの監視モジュールが設けられた場合に、監視モジュールの1つがブリードエア供給システムの一部の状態を評価するように設計され、その状態は他の監視モジュールによって評価されず、監視モジュールの2つはブリードエア供給システムの少なくとも部分的に重なり合う部分の状態監視用に設計され、ただし異なる起動および停止パラメータを有している。ブリードエア供給システムおよび/または航空機の任意の状態でのブリードエア供給システムまたはその任意の部分に対して所望の監視機能を実行するために、監視モジュールの数は任意に増やしてもよい。
【0026】
再び留意することには、ブリードエア供給システムの特定の部分および/またはブリードエア供給システムを含む航空機のシステム全体の特定の動作状態に対する監視モジュールまたはその監視機能の本発明に記載の可能性の焦点化によって、理解可能な程度の複雑さでの監視機能が実現され、その結果、先行技術で試みられたようなブリードエア供給システム全体および全ての動作状態に対する単一の複雑な監視機能よりも通常大幅に信頼性が向上する。
【0027】
監視モジュールの停止パラメータは原則としてその起動パラメータに対応(correspond)してもよく、それによって監視モジュールは起動パラメータによって定められた特定の条件に達したときに起動され、この条件のみを離れるときに再び停止される。従って、監視機能がそのために設計されている航空機およびブリードエア供給システムの動作モードにおいてのみ監視モジュールが実際に起動することを保証できる。
【0028】
監視モジュールの起動パラメータは、起動パラメータが満たされてから所定時間後にのみ監視モジュールを起動するための時間遅延パラメータを含み得る。この場合、センサデータおよび少なくとも1つの動作状態値に基づく起動パラメータが満たされても、監視モジュールは、直ちに起動されず、時間遅延パラメータによって予め定められた時間の経過後にのみ起動される。航空機および/またはブリードエア供給システムの動作モードが変更された場合の過渡的影響によって原則として監視モジュールは起動されるが、起動における当該時間遅延によってこの監視モジュールのみによる監視を除外でき、例えば誤検出の故障メッセージを回避できる。過渡的影響が監視モジュールによる監視から除外され得るという点で、当該監視モジュールの監視機能は過渡的影響を考慮する必要はなく、それによって監視機能の複雑さを低減することがしばしば可能である。
【0029】
また、監視モジュールの停止パラメータは、監視モジュールを起動してから所定の持続時間の経過後に監視モジュールを停止するための持続時間パラメータを含み得る。当該停止は、センサデータおよび少なくとも1つの動作状態値に基づく停止とは独立して行われてもよい。持続時間パラメータを介した監視モジュールの停止によって、監視モジュールは航空機および/またはブリードエア供給システムの動作モードの予め定められた変化の経時的に限定された監視のために設けられることができ、センサデータおよび/または少なくとも1つの動作状態値の過渡的変化の終了はセンサデータまたは少なくとも1つの動作状態値自体から読み取られなくてもよい。
【0030】
好ましくは、監視モジュールまたはその監視機能が、検出されたセンサデータを、監視モジュールの過去の起動の間に記録された履歴センサデータと比較するように設計されている。対応する履歴データとの比較によって、ブリードエア供給システムの監視される部分の変化が決定され、ブリードエア供給システムの監視される部分における故障の可能性を示すことができる。監視モジュールがそのために設計されている航空機および空気供給システムの状態で記録された履歴センサデータに対してのみセンサデータの比較が行われることが監視モジュールの起動および停止パラメータに基づいて保証される。
【0031】
好ましくは、監視モジュールまたはその監視機能が、起動から停止までの間の起動時間にわたって、少なくとも1つのセンサのセンサデータの最小値、最大値、平均値、および/または変化値、あるいは他の集計値を決定するように設計されている。対応する値は、故障の可能性を特定するために、監視モジュールによるその後の監視動作の間に考慮されることができる。従って、例えば、履歴値に対して大きく増加したセンサデータの変化は、監視モジュールによって監視されるブリードエア供給システムの一部またはブリードエア供給システム全体の(差し迫った)故障を示すことができる。
【0032】
好ましくは、少なくとも1つの監視モジュールが、センサの少なくとも一部を監視するように、即ちセンサの機能性を監視するように設計されている。誤ったセンサデータは、対応する監視モジュールによって認識でき、そうでなければ他の監視モジュールによって監視されるブリードエア供給システムの一部の故障の兆候として他の監視モジュールによって解釈される可能性がある。
【0033】
監視モジュールは、航空機内に直接配置できる。しかし、監視モジュールを航空機外に配置することが好ましく、センサデータおよび少なくとも1つの動作状態値は航空機外の監視モジュールに伝送される。監視モジュールによるリアルタイムの監視のために、当該データの連続的な伝送を行うことも可能である。しかし、当該データを航空機内で記録し、時間的な遅れをもって監視モジュールに送信することも可能である。例えば、各着陸後に、直前の飛行で記録されたデータを監視モジュールに送信してもよい。また、機内に記録されたデータは、サービスの一環として有線で読み出されたり、取り外し可能な記憶媒体の形態で取り出されたりすることも可能である。
【0034】
監視モジュールが航空機内に配置されているか、機外に配置されているかに関係なく、リアルタイム監視用に設けられる監視モジュールは、監視モジュールの監視機能が故障を認識した場合に警告を出力するように設計されることが好ましい。対応する監視モジュールは、監視機能によって重大と分類された故障が発生した場合に、ブリードエア供給が別の冗長ブリードエアシステムによって確保されるならばブリードエア供給システムを停止するように設計することもできる。
【0035】
代替的または追加的に、監視モジュールは、予測方法を実行し、必要に応じて警告を出力するように設計されている。予測方法では、監視モジュールによって監視されるブリードエア供給システムの一部のセンサデータの変化が経時的に観察され、それ自体はおそらく即時の故障を示すものではないが、故障がすぐに差し迫っていることを示す可能性がある。これが適切に確認された場合、警告を出力できる。ブリードエア供給システムの不具合によってブリードエア供給システムの実際の障害が発生する前に、ブリードエア供給システムの影響を受けた部分を予防措置として整備できる。特に、予測方法は、記録されたセンサデータの時間遅延評価に適している。
【0036】
好ましくは、少なくとも1つの動作状態値は、ブリードエア消費装置、例えば空調制御システムおよびキャビン圧力調整システムの動作状態に関する情報の項目を含み得る。空気圧システムを個々の領域に分割するための空気圧システム内の遮断弁の位置も、1つまたは複数の動作状態値によって示すことができる。代替的または追加的に、動作状態値は、着陸装置の状態、エンジンの高圧コンプレッサの出力圧力、または周囲温度に関する情報の項目を含み得る。
【0037】
しかし、特定のブリードエア供給システムを監視するための監視モジュールの本発明による起動および停止に組み込まれる動作状態値は、航空機の別のブリードエア供給システムの動作状態を含み得る。従って、例えば、主エンジンのブリードエア供給システムのために設けられた監視モジュールにおいて、補助動力装置(APU)または別のエンジンのブリードエア供給システムの動作状態に関する情報の項目は、起動および停止パラメータにおいて考慮されてもよい。
【0038】
本発明に係るコンピュータプログラム製品の説明は、上記記載を参照するものとする。
【0039】
以下では、添付図面を参照して有利な実施形態に基づき本発明を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明に係る方法を実行するように設計された航空機を示す図。
【
図2】
図1の航空機のブリードエア供給装置の詳細図。
【
図3】
図1の本発明に係る方法を実行するように設計された航空機の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は航空機1を概略的に示しており、この航空機1はそのブリードエア供給システム10に対して本発明に記載の監視を行うように設計されたものである。
【0042】
航空機1は2つのエンジン2を有し、各エンジン2には多様なセンサ20~22を含むブリードエア供給システム10が搭載されている。以下、
図2および
図3に基づいて、ブリードエア供給システム10およびセンサ20~22をより詳細に説明する。
【0043】
センサ20~22は航空機内部のデータバス3を介して通信ユニット4に接続されており、このデータバスを使用してセンサ20~22のセンサデータが地上局6に送信される。地上局6に送信される動作状態値を提供する動作状態モニタ5もまた、航空機内部のデータバス3、ひいては通信ユニット4に接続されている。
【0044】
複数の監視モジュール30は地上局6に配置されており、その機能については
図3に関連して以下でより詳細に説明する。故障メッセージまたは他の情報の項目は、地上局6を介して、航空機1の動作状態モニタ5としてのオンボードコンピュータに送信することもでき、オンボードコンピュータはこれらの情報の項目をコックピット内のパイロットに表示する。
【0045】
図2はエンジン2のブリードエア供給装置10をより詳細に構造的に示しており、
図3はブリードエア供給装置10の概略機能図を含んでいる。
【0046】
ブリードエア供給システム10はエンジン2のコンプレッサステージの領域に2つのブリードポイント11,12を有し、一方のブリードポイント11はエンジン2の高圧コンプレッサの出力領域に配置され、他方のブリードポイント12はエンジン2の低圧領域に配置されている。また、エンジンファン2’の領域には別のブリードポイント13が配置されており、このブリードポイント13を介して、圧縮されていない、または、ほとんど圧縮されていないエンジン2内に流入する周囲空気を引き出すことができる。
図2では、明瞭にするためにブリードポイント13は示されておらず、このブリードポイント13への供給ライン13’用の継手のみが示されている。
【0047】
エンジン2の高圧コンプレッサの出力領域におけるブリードポイント11には、高圧弁である第1制御弁14が割り当てられ、その出力はブリードポイント12に接続される。出力点12と第1制御弁14の出力は、圧力調整弁である他の制御弁15に接続されている。そこから、ブリードエアは、熱交換器16を通過して消費装置に、または圧縮空気供給ネットワーク(図示せず)に送られる。
【0048】
熱交換器16は、圧縮により加熱されたブリードエアを冷却するために、供給ライン13’を介してより冷たい周囲空気を供給され得る。制御弁17は、冷却空気の流量を調節して冷却するように供給ライン13’に設けられている。
【0049】
制御弁14,15,17は、自己調節弁または制御ユニット(図示せず)によって能動的に制御される弁であり得る。
【0050】
ブリードエア供給システム10は、ブリードエア供給システム10の状態の測定値を読み取ることができるセンサ20~22を備えている。従って、ブリードエアの流れ方向から見て、圧力センサ20,21が圧力調整弁15の直前と直後に配置され、温度センサ22が熱交換器16の後に設けられている。
【0051】
センサ20~22によって検出されたセンサデータは、データバス3を介して通信ユニット4に送信され、そこから、動作状態モニタ5からの動作状態値とともに、無線で地上局6に送信される。
【0052】
地上局6には互いに独立した複数の監視モジュール30が配置され、各監視モジュール30には受信したセンサデータおよび動作状態値が供給される。
図3では、例として4つの監視モジュール30が示されているが、任意の数の監視モジュール30であってもよい。
【0053】
各監視モジュール30は起動および停止パラメータを有し、受信したセンサデータおよび動作状態値による起動および停止パラメータが充足されると、影響を受ける監視モジュール30の起動または停止が行われることとなる。さらに、各監視モジュール30は監視機能を有し、その助けによって、受け取ったセンサデータでブリードエア供給システム10において生じ得る不具合即ち故障を監視できる。故障が発生した場合、監視モジュール30は、対応する故障メッセージを発信できる。
【0054】
一部の監視モジュール30は、予測方法を実行するように設計することもでき、その場合、差し迫った故障に関してセンサデータの時間的な変化が評価される。故障が差し迫っていると認識された場合、対応する通信が行われ、故障が実際に発生する前にブリードエア供給システム10を可能な限り修理できる。
【0055】
ブリードエア供給システム10は部分的に重複する様々な部分31~33に論理的に分割されており、監視モジュール30は概ね各場合におけるブリードエア供給システム10の対応する1つの部分のみを監視するように設計されている。ただし、ブリードエア供給システム10および/または航空機1の異なる動作状態における異なる起動および停止パラメータにより起動されるブリードエア供給システム10の異なる部分に対して、複数の監視モジュール30が確実に設けられてもよい。当然ながらここでは、2つの異なる監視モジュール30による監視の重複も可能である。
【0056】
以下では、互いに独立した個別の監視モジュールによる最終的な監視について、可能な監視モジュールの例に基づいて説明する。
【0057】
圧力調整弁15による圧力調整は、飛行中に異なる要件を経るため、それぞれ異なる監視動作が必要となる。
【0058】
航空機1の離陸時の加速中、一般に全ての圧縮空気消費装置がオフにされるため、この段階では原則として、推力生成のための最大出力を提供するために、ブリードエア供給システム10によってエンジン2からブリードエアを取り込む必要はない。その結果、圧縮空気消費装置とブリードエア供給システム10の停止時に圧縮空気供給ネットワークにかかる圧力は、当該動作状態では一定のままであり、通常圧縮空気供給ネットワークの設定圧力に対応するものとされている。
【0059】
航空機1の上記特別な動作状態のみのための監視モジュール30の監視機能は、原則として圧縮空気供給ネットワーク内の圧力を示す圧力調整弁20の後の圧力センサ21のセンサデータでサポートできる。この動作状態を超えて測定圧力の増加が見られる場合、圧力調整弁20の故障が示される。また、問題の動作状態における圧力曲線を決定する代わりに、動作状態の平均圧力と最大圧力を決定し、過去に同じ動作状態で決定された履歴値、または固定値として事前に定められた履歴値と比較することもできる。過度の偏差は故障を示し、対応する故障メッセージが表示される。経時的に見た平均圧力値の増加は、故障の可能性を予測するために使用できる。
【0060】
各種センサデータと動作状態値から問題の動作状態を決定し、関連する監視モジュールを起動する。監視モジュールを起動するためには、圧力センサ21を介して検出された圧力が圧縮空気供給ネットワークの設定圧力付近の許容範囲内になければならず、そのために対応するセンサデータが使用される。全ての圧縮空気消費装置が停止していること、ブリードエア供給システム10が起動していること、およびエンジン2の高圧コンプレッサ出力圧力が予め定められた閾値より大きいことという情報項目が動作パラメータとして使用される。前述の専ら技術的な動作パラメータが集合的に発生すると、当該離陸加速段階または航空機1の対応する動作状態であることが示される。
【0061】
上記起動パラメータの1つが満たされなくなった場合、当該監視モジュール30は停止される。従って、停止パラメータは、起動パラメータに対応(correspond)する。
【0062】
上記説明の結果として、上記監視モジュール30は、航空機の離陸加速段階中にのみ圧力調節するために設けられたブリードエア供給システム10の一部を監視するように設計されている。監視モジュール30の監視機能は極めて単純であり、従って極めて堅牢で高い信頼性を有する。この監視モジュール30の故障メッセージは、圧力調整弁15の問題を示す。
【0063】
他の監視モジュール30は、ブリードエア供給システム10の圧力調節を担う部分を監視するためのものでもあるが、以下の場合に起動される。即ち、航空機1の着陸装置が圧縮されなくなり(従って地面と接触しなくなり)、圧縮空気消費装置の少なくとも一部が起動し、エンジン2の高圧コンプレッサ出力圧力が予め定められた閾値より大きいことを示す場合に起動される。センサ21のデータはセンサデータとみなされ、このセンサデータは予め定められた閾値よりも大きくなければならず、それによってブリードエア供給システム10が起動していること、または圧縮空気供給ネットワークに基本的に接続されていることが示される。
【0064】
起動パラメータは、60秒の時間遅延パラメータをさらに含んでいる。起動パラメータは技術的な起動パラメータを満たした後の圧縮空気消費装置の起動状態を含むので、消費装置の通常突然の起動によって原則として圧縮空気供給ネットワークに過渡的な圧力変動が発生するが、これは監視モジュール30によって考慮されるべきものではない。時間遅延パラメータを設けることで、監視モジュール30は問題の過渡的な圧力変動が収まった後にのみ実際に監視を行う。
【0065】
上記起動パラメータの1つが満たされなくなった場合、当該監視モジュール30は停止される。従って、停止パラメータは、最初は起動パラメータに対応する。さらに、停止パラメータとしても持続時間パラメータが設けられ、これによると全ての起動パラメータがこの時点でまだ満たされている場合でも、監視モジュール30は起動から600秒後に停止される。
【0066】
監視モジュール30の監視機能は、センサデータの変化に基づくことができる。圧力の過度に急激な変化および/または圧力の大きな変化は、ブリードエア供給システム10の圧力調節の故障を示す。また、変化は予測方法の過程で評価でき、変化の増大は、例えば圧力調整弁15の差し迫った故障を示す。
【0067】
他の監視モジュール30は、ブリードエア供給システム10のうち、高圧ブリードエア供給を調整する部分、従って特に高圧弁31を監視するように設計されている。この監視モジュール30は、専ら離陸加速段階または航空機1の対応する動作状態において起動するようになっており、そのため、この監視モジュール30の起動および停止パラメータは、ちょうどこの離陸加速段階における圧力調整弁15を監視するための監視モジュール30のものに対応している。圧力センサ20を介して検出された圧力は、圧縮空気供給ネットワークの設定圧力付近の許容範囲内になければならず、全ての圧縮空気消費装置は停止されなければならず、ブリードエア供給システム10は起動されなければならず、エンジン2の高圧コンプレッサ出力圧力は予め定められた閾値より大きくなければならない。停止は対応する停止パラメータによって行われ、これは起動パラメータの1つが満たされなくなったときに行われる。
【0068】
圧力センサ20によって記録された圧力が閾値よりも大きいか、または当該動作段階においてこの圧力センサ20の履歴平均値から予め定められた差よりも上方に逸脱していることが監視機能によって確認された場合、故障が報告される。この場合、高圧弁14の故障となる。予測方法の範囲内では、定期的に繰り返される離陸加速の動作状態における平均値の曲線を求めることができ、これによって高圧弁14の不具合が差し迫っていることを示すことができる。
【0069】
他の監視モジュール30は、ブリードエア供給システム10のうち、高圧ブリードエア供給と、最終的に圧力供給ネットワークに供給される圧力とを調整する部分を監視するように設計されている。監視モジュール30は以下の場合に起動される。即ち、航空機1の着陸装置が圧縮されていること(従って接地していること)、圧縮空気消費装置が停止されていること、およびエンジン2の高圧コンプレッサ出力圧力が予め定められた範囲にあることを動作状態値が示す場合に起動される。センサ21のデータは、センサデータとして考慮され、予め定められた閾値よりも大きくなければならず、それによってブリードエア供給システム10が起動していること、または基本的に圧縮空気供給ネットワークに接続されていることが示される。
【0070】
監視モジュール30は、起動パラメータとして10秒の時間遅延パラメータをさらに有し、停止パラメータの一部として600秒の持続時間パラメータをさらに有する。これらの時間依存パラメータの説明については、上記の記載を参照するものとする。
【0071】
監視モジュール30の監視機能は、圧力センサ20,21のセンサデータに基づき、それらの値の変化と基本的な同期をチェックするものである。圧力値の曲線における過度の変化または過度の偏差は、2つの制御弁14,15の少なくとも1つまたはその起動に問題があることを示す。
【0072】
他の監視モジュール30は、センサ20~22を監視するために使用される。監視モジュール30は、動作状態値が6000mを超える高度を示し、エンジン2の高圧コンプレッサ出力圧力が予め定められた範囲にあり、少なくともいくつかの圧縮空気消費装置が起動し、2つのセンサ20または21からの測定値の差が一定である場合に起動される。監視モジュール30は、上記起動パラメータの1つが満たされなくなったとき、または、圧縮空気消費装置の起動条件もしくは2つのセンサ20あるいは21の測定値の差が変化したときに停止される。
【0073】
起動パラメータは基本的に一定のシステム状態を示すので、この段階では一定として起動に使用されなかったそれらのセンサ20~22は可能なドリフトについてチェックされ得る。圧縮空気システムの基本的な動作状態が変化しない限り(これは停止パラメータによって保証される)、問題のセンサ20~22のセンサデータの差もまた変化しないはずである。測定値の変化がセンサデータで確認される場合、これは影響を受けるセンサ20~22の問題を示している。
【0074】
個々の監視機能と起動および停止パラメータとを有する任意の他の監視モジュール30が設けられてもよい。しかし、いくつかの可能な監視モジュール30に関する上記の例による説明が既に示しているのは、異なる監視モジュール30がブリードエア供給システム10の(部分的に重複しているかもしれないが)異なる部分の状態監視のために設計され得ることである。ブリードエア供給システム10の同じ部分を監視するように設計された監視モジュール30は、航空機1の異なる動作状態において基本的に起動するように、異なる起動および停止パラメータを有し得る。
【0075】
ここで、ブリードエア供給システム10の一部が複数の監視モジュール30によって同時に監視されるという重複も問題なく可能である。
【0076】
監視モジュール30の結果は、監視されたブリードエア供給システム10の動作に直接組み込むことができ、例えば、警告がパイロットに出力され、および/または、ブリードエア供給システム10(ブリードエア供給が別の方法で確保される場合)が直ちに停止されるか、あるいは、当該結果がブリードエア供給システム10のサービスのために用いられて目標のサービスを実行できる。
【符号の説明】
【0077】
1 航空機
2 エンジン
2’ エンジンファン
3 データバス
4 通信ユニット
5 動作状態モニタ
6 地上局
10 ブリードエア供給装置(ブリードエア供給システム)
11,12,13 ブリードポイント(出力点)
13’ 供給ライン
14 高圧弁(第1制御弁)
15 圧力調整弁
16 熱交換器
17 制御弁
20 センサ
20~22 センサ
30 監視モジュール
31~33部分