(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】電池用パッケージおよび電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/11 20210101AFI20241017BHJP
H01G 11/10 20130101ALI20241017BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20241017BHJP
H01G 11/80 20130101ALI20241017BHJP
H01M 50/148 20210101ALI20241017BHJP
H01M 50/159 20210101ALI20241017BHJP
H01M 50/169 20210101ALI20241017BHJP
H01M 50/202 20210101ALI20241017BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20241017BHJP
H01M 50/276 20210101ALI20241017BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20241017BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20241017BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20241017BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20241017BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20241017BHJP
H01M 50/547 20210101ALI20241017BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20241017BHJP
H01M 50/566 20210101ALI20241017BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20241017BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20241017BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20241017BHJP
【FI】
H01M50/11
H01G11/10
H01G11/78
H01G11/80
H01M50/148 201
H01M50/159
H01M50/169
H01M50/202 301
H01M50/202 501B
H01M50/271 B
H01M50/271 S
H01M50/276
H01M50/284
H01M50/289 101
H01M50/296
H01M50/50 101
H01M50/536
H01M50/547 201
H01M50/55 101
H01M50/566
H01M50/586
H01M50/588
H01M50/593
(21)【出願番号】P 2022541520
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 JP2021028545
(87)【国際公開番号】W WO2022030424
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】P 2020134896
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中本 孝太郎
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-069508(JP,A)
【文献】特開2008-147391(JP,A)
【文献】特開2015-103474(JP,A)
【文献】特開2006-012792(JP,A)
【文献】国際公開第2020/022022(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/00
H01M
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面、該第1面とは反対側の第2面、および前記第1面に開口しかつ電池を収容するための凹部を有する絶縁基板と、
前記第1面において前記凹部を囲む枠部と、
前記凹部の底面に位置する第1電極、
前記枠部の内側に位置する第2電極、前記第2面に位置しかつ前記第1電極に電気的に接続された第1外部電極、および前記第2面に位置しかつ前記第2電極に電気的に接続された第2外部電極を含む配線導体と、
前記第2電極に電気的に接続され、
前記第2電極から前記凹部の開口にかけて延在している導電性シートと、
前記枠部を塞ぐ蓋体と、を備え
、
前記導電性シートと前記蓋体とは電気的に絶縁されている、電池用パッケージ。
【請求項2】
前記導電性シートと前記第2電極とは複数箇所で接続されている、請求項1記載の電池用パッケージ。
【請求項3】
前記導電性シートは、平面視で前記凹部を挟む位置で前記第1面に固定されている、請求項1または2に記載の電池用パッケージ。
【請求項4】
前記枠部は、前記第1面に位置する絶縁枠体を有し、前記導電性シートは、前記絶縁枠体の内側に位置している、請求項1から3のいずれか1項に記載の電池用パッケージ。
【請求項5】
前記蓋体は、金属製であり、前記枠部に溶接されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の電池用パッケージ。
【請求項6】
前記蓋体と前記導電性シートとの間に位置し、前記蓋体および前記導電性シートに接しているスペーサを備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の電池用パッケージ。
【請求項7】
前記蓋体は、前記導電性シートに接する凸部を有している、請求項1から5のいずれか1項に記載の電池用パッケージ。
【請求項8】
前記凸部は、上下の反転によって前記導電性シートを上方向から押圧する、請求項7に記載の電池用パッケージ。
【請求項9】
第1面、該第1面とは反対側の第2面、および前記第1面に開口しかつ電池を収容するための凹部を有する絶縁基板と、
前記第1面において前記凹部を囲む枠部と、
前記凹部の底面に位置する第1電極、前記枠部の内側に位置する第2電極、前記第2面に位置しかつ前記第1電極に電気的に接続された第1外部電極、および前記第2面に位置しかつ前記第2電極に電気的に接続された第2外部電極を含む配線導体と、
前記第2電極に電気的に接続され、前記第2電極から前記凹部の開口にかけて延在している導電性シートと、
前記枠部を塞ぐ蓋体と、を備え、
前記蓋体は、前記導電性シートに接する凸部を有し、
前記凸部は、上下の反転によって前記導電性シートを上方向から押圧する、電池用パッケージ。
【請求項10】
前記第2面に位置し、はんだ付け可能な導電性材料により構成され、前記第1外部電極および前記第2外部電極の周囲を囲むシールパターンを備える、請求項1から
9のいずれか1項に記載の電池用パッケージ。
【請求項11】
前記絶縁基板は、前記第2面に開口しかつ電子部品を収容するための第2凹部を有している、請求項1から
10のいずれか1項に記載の電池用パッケージ。
【請求項12】
請求項1から
10のいずれか1項に記載の電池用パッケージと、
前記電池用パッケージの前記凹部に収容され、下面電極が前記第1電極に電気的に接続され、上面電極が前記導電性シートに電気的に接続された電池と、を備える電池モジュール。
【請求項13】
請求項
11に記載の電池用パッケージと、
前記電池用パッケージの前記凹部に収容され、下面電極が前記第1電極に電気的に接続され、上面電極が前記導電性シートに電気的に接続された電池と、
前記第2凹部に収容された電子部品と、を備える電池モジュール。
【請求項14】
前記電子部品は、前記電池を制御するための電源ICである、請求項
13に記載の電池モジュール。
【請求項15】
前記電池の前記下面電極と前記第1電極が導電性接合材で接合され、前記電池の前記上面電極と前記導電性シートが導電性接合材で接合されている、請求項
12から
14のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項16】
前記導電性シートの全領域のうち、前記電池の上側に位置する第1領域の高さは、前記第1面に位置する第2領域の高さよりも高い、請求項
12から
15のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項17】
前記電池の側面と前記凹部の内側面との間に位置している絶縁部材を備えた、請求項
12から
16のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項18】
前記電池は、金属板に負極層と電解質層と正極層が積層された薄膜型の全固体電池である、請求項
12から
17のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項19】
前記電池は、コイン電池である、請求項
12から
17のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池用パッケージおよび電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
小型電子機器用の電源または補助電源として、電子回路部品と共に実装基板に表面実装可能な様々な形態のものが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、電池積層体が基板に実装可能な密閉ケースに収容された固体電池が記載されている。密閉ケースの電極と電池積層体は、ワイヤボンディングで接続されている。
【0004】
また、特許文献2には、電気二重層キャパシタが外装ケースの収容空間に搭載されたチップ型電気二重層キャパシタが記載されている。電気二重層キャパシタの上側の電極と外装ケースの外部端子は、導電性シートで電気的に接続されている。導電性シートは、電気二重層キャパシタの上側の電極に接続されている。導電性シートは、屈曲して電気二重層キャパシタの側方を通り、収容空間に露出する端子に接続されている。
【0005】
特許文献3には、絶縁基材と蓋部材とを含む収容部材に電池素材が収容された固体電池が記載されている。絶縁基材は、電池素材を収容するための収容凹部を有しており、電池素体の負極層は、蓋部材を介して負極端子に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本国特開2010-118159号公報
【文献】日本国特開2011-14864号公報
【文献】国際公開第2012/141231号
【発明の概要】
【0007】
本開示の1つの態様による電池用パッケージは、第1面、該第1面とは反対側の第2面、および前記第1面に開口しかつ電池を収容するための凹部を有する絶縁基板と、前記第1面において前記凹部を囲む枠部と、前記凹部の底面に位置する第1電極、前記第1面における前記枠部と前記凹部との間に位置する第2電極、前記第2面に位置しかつ前記第1電極に電気的に接続された第1外部電極、および前記第2面に位置しかつ前記第2電極に電気的に接続された第2外部電極を含む配線導体と、前記第2電極に電気的に接続され、前記第1面上から前記凹部の開口にかけて延在している導電性シートと、前記枠部を塞ぐ蓋体と、を備える。
【0008】
本開示の1つの態様による電池モジュールは、前記構成の電池用パッケージと、前記電池用パッケージの前記凹部に収容され、下面電極が前記第1電極に電気的に接続され、上面電極が前記導電性シートに電気的に接続された電池と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】電池モジュールの一例の外観を示す斜視図である。
【
図3】蓋体を外した状態における
図1の電池モジュールの一例を示す平面図である。
【
図4】蓋体および導電性シートを外した状態における
図1の電池モジュールの一例を示す平面図である。
【
図5】
図3におけるV-V線に沿った断面図である。
【
図6】
図3におけるVI-VI線に沿った断面図である。
【
図7】蓋体、導電性シート、および電池等を外した状態における
図1の電池モジュールの一例を示す平面図である。
【
図8】
図1の電池モジュールの一例を示す下面図である。
【
図9】絶縁基板の第2面にシールパターンが形成された様子を示す
図1の電池モジュールの下面図である。
【
図10】絶縁基板の第2面にシールパターンが形成された様子を示す
図1の電池モジュールの下面図である。
【
図11】電池として薄膜型の全固体電池を用いた電池モジュールの部分拡大断面図である。
【
図12】電池として複数の薄膜型の全固体電池を用いた電池モジュールの部分拡大断面図である。
【
図13】蓋体を外した状態における電池モジュールの他の一例を示す平面図である。
【
図14】蓋体および導電性シートを外した状態における電池モジュールの他の一例を示す平面図である。
【
図16】
図13におけるXVI-XVI線に沿った断面図である。
【
図17】蓋体を外した状態における電池モジュールの他の一例を示す平面図である。
【
図18】蓋体および導電性シートを外した状態における電池モジュールの他の一例を示す平面である。
【
図19】
図17におけるXIX-XIX線に沿った断面図である。
【
図21】電池モジュールの他の一例を示す断面図である。
【
図22】電池モジュールの他の一例を示す断面図である。
【
図23】蓋体および導電性シートを外した状態における電池モジュールの他の一例を示す平面である。
【
図24】
図23におけるXXIV-XXIV線に沿った断面図である。
【
図25】電池モジュールの他の一例を示す断面図である。
【
図26】電池モジュールの他の一例を示す断面図である。
【
図27】蓋体および導電性シートを外した状態における電池モジュールの他の一例を示す平面図である。
【
図28】
図27におけるXXVIII-XXVIII線に沿った断面図である。
【
図29】
図30におけるXXIX-XXIX線に沿った断面図である。
【
図30】電池モジュールの他の一例の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態の電池用パッケージおよび電池モジュールについて、添付の図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、電池用パッケージにおける蓋体側、絶縁基板の第1面側を上側として、電池用パッケージにおける絶縁基板側、絶縁基板の第2面側を下側として説明する場合がある。また、上下方向を高さ方向(厚み方向)として説明する場合がある。この上下の区別は便宜的なものであり、実際に電池モジュール等が使用されるときの上下を限定するものではない。
【0011】
図1は、電池モジュールの一例の外観を示す斜視図である。
図2は、
図1の電池モジュールの分解斜視図である。
図2において、端部がドットの長破線は電気的接続があることを示している。
図3は、蓋体を外した状態における
図1の電池モジュールの一例を示す平面図である。
図4は、蓋体および導電性シートを外した状態における
図1の電池モジュールの一例を示す平面図である。
図5は、
図3におけるV-V線に沿った断面図である。
図6は、
図3におけるVI-VI線に沿った断面図である。
図7は、蓋体、導電性シート、および電池等を外した状態における
図1の電池モジュールの一例を示す平面図である。
図8は、
図1の電池モジュールの一例を示す下面図である。
図9および10は、絶縁基板の第2面にシールパターンが形成された様子を示す
図1の電池モジュールの下面図である。
図11は、電池として薄膜型の全固体電池を用いた電池モジュールの部分拡大断面図である。
図12は、電池として複数の薄膜型の全固体電池を用いた電池モジュールの部分拡大断面図である。なお、斜視図、各平面図、および下面図においては、第1電極等の一部には他と区別しやすいようにドット状の網掛けが施されている。
【0012】
図1から6に示すように、電池用パッケージ100(100A)は、絶縁基板110を備えており、絶縁基板110は、第1面111、第1面111とは反対側の第2面112、および第1面111に開口する凹部113を有する。電池用パッケージ100(100A)は、第1面111において凹部113を囲む枠部(枠体)120と、配線導体130とを備える。配線導体130は、凹部113の底面に位置する第1電極131、第1面111における枠部120と凹部113との間に位置する第2電極132、第2面112に位置する第1外部電極134A、および第2面112に位置する第2外部電極134Bを含む。電池用パッケージ100(100A)は、第2電極132に電気的に接続された導電性シート140を備えており、導電性シート140は、第1面111上から凹部113の開口にかけて延在している。電池用パッケージ100(100A)は、枠部120を塞ぐ蓋体160を備えている。
【0013】
図2、5、および6に示すように、絶縁基板110の凹部113は、電池200を収容するためのものである。凹部113の平面視の大きさは、電池200の平面視の大きさより一回り大きくなっており、凹部113の深さは、電池200の厚みと同程度としてもよい。
【0014】
図5から8に示すように、絶縁基板110の凹部113の底面には、第1電極131が設けられている。第1電極131は、凹部113の底面から絶縁基板110の内部まで延在していてもよい。第1電極131は、凹部113の底面の全面を覆ってもよい。第1電極131の延在した部分と第1外部電極134Aは、第1接続配線133Aによって電気的に接続されている。第1電極131は、凹部113に収容される電池200の下面電極201に電気的に接続可能である。電池200の下面電極201は、負極または正極である。
【0015】
第1電極131が絶縁基板110の内部まで延在する場合には、第1接続配線133Aが絶縁基板110の厚みの厚い部分に位置するので強度の点で優れている。また、第1電極131が絶縁基板110の内部まで延在せず、第1接続配線が、凹部113の底面から第2面112にかけて貫通して第1外部電極134Aに接続してもよい。この場合には、電池200から第1外部電極134Aまでの経路が短く、より低抵抗になるため、凹部113に収容される電池200からの電力の取り出し効率が良くなる。
【0016】
第1外部電極134Aおよび第2外部電極134Bは、絶縁基板110の第2面112から側面(側面間の角も含む)に延在していてもよい。
【0017】
絶縁基板110の第1面111における凹部113の外側には、第2電極132が設けられている。第2電極132と第2外部電極134Bは、第2接続配線133Bによって電気的に接続されている。第1外部電極134Aおよび第2外部電極134Bはいずれも絶縁基板110の第2面112に位置しているため、電池用パッケージ100(100A)、換言すれば、電池モジュール500(500A)は、実装基板上に表面実装可能である。
【0018】
図5から7に示すように、絶縁基板110の第1面111には、凹部113を囲む枠部120が設けられている。枠部120は、第1面111の外縁部に設けられており、第2電極132は、枠部120の内側に位置している。すなわち、第2電極132は、第1面111における枠部120と凹部113との間に位置している。
【0019】
図1から12に示す例の電池用パッケージ100(100A)においては、枠部120は、絶縁枠体121と、絶縁枠体121上の枠状金属膜122と、枠状金属膜122上にろう材で接合された金属枠体123とで構成されている。絶縁枠体121は、絶縁基板110の第1面111上に位置しており、絶縁基板110と一体となっている。絶縁基板110は、大きい開口の凹部の底面に小さい開口の凹部113を有するとみなすこともできる。換言すれば、絶縁基板110が2段の凹部を有しているとみなすこともできる。
【0020】
枠状金属膜122は、例えばセラミックスからなる絶縁枠体121の上面にメタライズで形成されてもよい。金属枠体123は、例えば、枠状金属膜122にろう材で接合されてもよい。金属枠体123および枠状金属膜122の表面には、ろう材での接合性を向上させるために、ニッケル膜がめっき法で形成されてもよい。金属枠体123としては、セラミックスとの熱膨張差の小さいものを用いるとよく、例えば、鉄-ニッケル(Fe-Ni)合金や鉄-ニッケル-コバルト(Fe-Ni-Co)合金を用いもよい。
【0021】
そして、
図3および4に示すように、導電性シート140は、第1面111上から凹部113の開口の上に延在して設けられている。導電性シート140は、第2電極132に電気的に接続されている。導電性シート140は、凹部113の上に延在しているため、凹部113に収容される電池200の上面電極202に電気的に接続可能である。電池200の上面電極202は、正極または負極である。
【0022】
前述のように、枠部120は、第1面111に位置する絶縁枠体121を有しており、絶縁枠体121の上面に金属枠体123が位置している。そして、導電性シート140は、第1面111上における絶縁枠体121の内側に位置している。導電性シート140が位置する面(第1面111)と金属枠体123が位置する面(絶縁枠体121の上面)は高さ方向に異なる位置にある。これにより、絶縁基板110に対する導電性シート140の位置ずれを抑えつつ、導電性シート140と金属枠体123との間の短絡を防止することができる。また、導電性シート140と金属枠体123との間の短絡がないので、平面視における導電性シート140と金属枠体123との距離を小さくすることができる。そのため、より小型の電池用パッケージ100(100A)および電池モジュール500(500A)を得ることができる。
【0023】
図1から12に示す例の電池用パッケージ100(100A)においては、第1面111上には、2つの第2電極132が設けられている。導電性シート140は、2つの第2電極132に接続されている。すなわち、導電性シート140は、2箇所で配線導体130に接続されている。導電性シート140は、少なくとも1箇所で第2電極132に接続されていればよい。
【0024】
導電性シート140は、凹部113の開口部を略覆うような大きさにしてもよい。換言すれば、導電性シート140は、凹部113に収容される電池200の上面電極202を覆う大きさにしてもよい。導電性シート140は、凹部113の開口面積の50%以上を覆った状態で第2電極132に接続されてもよい。これにより、導電性シート40は、電池200の上面電極202の面積の少なくとも50%以上と電気的に接続することができる。導電性シート40と電池200の上面電極202の面積の50%以上とを電気的に接続することにより、導電性シート40と電池200の上面電極202との接続抵抗を小さくして、電気の取り出し効率が高くなる。また、蓋体160の接合時または電池モジュール500(500A)の実装時に、蓋体160からの輻射熱から電池200を保護することができる。
【0025】
図5および6に示すように、枠部120の絶縁基板110とは反対側(上側)の開口は、蓋体160で塞がれている。蓋体160は、枠部120の金属枠体123に接合されている。枠部120の開口が蓋体160で塞がれることで、蓋体160、枠部120および絶縁基板110で囲まれた空間Sが気密封止される。電池モジュール500に対する空間Sの比率は、例えば5%~30%に設定されてもよい。蓋体160と導電性シート140とのギャップ量は、例えば0.1mm~0.8mmに設定されてもよい。空間Sまたは前記ギャップ量がこのように設定されることにより、電池200が高温になって膨張した場合またはガスが発生した場合等において、電池200の内部応力や内部圧力の上昇を緩和して、電池200の耐久性が向上する。また、蓋体160に外部から応力が加わった場合でも、蓋体160と電池200との間の空間Sにより電池200に加わる応力が低減される。
【0026】
窒素雰囲気中、アルゴンガス雰囲気中、または真空中等の雰囲気中にて、例えば露点-20度以下で、空間Sを封止してもよい。この場合には、環境温度および湿度が上昇しても、水分または酸素と電池素材による化学反応を抑えて、電池200の耐熱性および寿命が向上する。
【0027】
図2、5、および6に示すように、電池用パッケージ100の凹部113に電池200が収容され、電池200の下面電極201が第1電極131に電気的に接続されかつ電池200の上面電極202が導電性シート140に電気的に接続されることで、電池モジュール500が構成される。換言すれば、電池モジュール500は、電池用パッケージ100と、電池用パッケージ100の凹部113に収容されかつ第1電極131および導電性シート140に電気的に接続された電池200と、を備える。
【0028】
電池200は、前述のように、上面および下面に電極(上面電極202、下面電極201)を有するものである。本開示の電池用パッケージ100に上下に電極を有する電池200を収容することにより、実装基板に電池200が表面実装される。電池200としては、上面および下面に電極を有するものであれば、電池200の内部の構成や材料は、特に限られるものではない。例えば、電池200としては、固体電解質を正極と負極とで挟んだ構造の全固体電池が挙げられる。電池200は、正極および負極の外側に集電体を有するものでもよい。
【0029】
図9に示すように、
図1から12に示す例の電池用パッケージ100(100A)において、絶縁基板110の第2面112には、第1外部電極134Aおよび第2外部電極134Bの周囲を囲むシールパターン136が位置してもよい。シールパターン136は、はんだ付け可能な金属等の導電性材料により構成されている。
図10に示すように、シールパターン136は、第1外部電極134Aの周囲および第2外部電極134Bの周囲をそれぞれ囲んでもよい。
【0030】
シールパターン136がはんだ付け可能な導電性材料により構成されるため、はんだでシールパターン136と実装基板のパターンとを接合することで、シールパターン136の内側に位置する第1外部電極134A及び第2外部電極134Bを封止することができる。そして、はんだ接合による封止は、はんだによる第1外部電極134Aおよび第2外部電極134Bと実装基板の電極との接合と同時に行なうことができるため、効率がよく生産性が高く、また樹脂等の他の封止材が不要である。また、第1外部電極134A及び第2外部電極134Bが封止されることで、電池モジュール500(500A)の実装後の洗浄の際の水分等による、漏電あるいは隣接して実装されている電子部品との間の短絡等を防止することができる。
【0031】
なお、絶縁基板110の第2面112にシールパターン136が位置していない場合には、電池モジュール500(500A)を実装基板に表面実装する際に、電池モジュール500(500A)の周縁部を樹脂材料等の封止材で封止することができる。
【0032】
本開示の電池用パッケージ100(100A)によれば、導電性シート140は、第1面111上の第2電極132に接続されており、電池200を収容する凹部113の開口にかけて延在している。第2電極132は、絶縁基板110内の第2接続配線133Bに接続されて、絶縁基板110の第2面112の第2外部電極134Bに接続されている。そのため、電池200を収容する凹部113と、凹部113の側方に位置する配線導体130(第2接続配線133B)との間には、絶縁基板110の絶縁体が位置する。よって、凹部113に収容される電池200の上面電極202と下面電極201との間で短絡する可能性が低減された電池用パッケージ100(100A)となる。
【0033】
また、本開示の電池用パッケージ100(100A)によれば、電池200の上面電極202と配線導体130(第2電極132)とを接続する導電性シート140を、凹部113に収容される電池200を覆うような幅広にできる。そのため、凹部113に収容される電池200と配線導体130(第2電極132)とを接続する接続材が、細いワイヤに比較して電気抵抗の小さいものとなる。よって、本開示の電池用パッケージ100は、凹部113に収容される電池200からの電力の取り出し効率に優れる。
【0034】
また、本開示の電池用パッケージ100(100A)によれば、電池200の下面電極201と第1外部電極134Aとの間は、主として、凹部113の底面に位置する第1電極131および第1接続配線133Aで電気的に接続されている。第1電極131は、第1外部電極134Aが位置する絶縁基板110の第2面112に近い凹部113の底面に位置している。そのため、凹部113の底面と第2面112との間に位置する第1接続導体133Aの配線長(電流経路)は短い。また、この電流経路には、ワイヤ等の接続部のような電気抵抗が大きくなる部分がない。よって、電池200の下面電極201と第1外部電極134Aとの間の電気抵抗が比較的小さく、電池200からの電力の取り出し効率に優れる。
【0035】
また、本開示の電池用パッケージ100(100A)によれば、蓋体160は、導電性シート140と接続された第2電極132より外側に位置する枠部120の開口を塞いでいる。枠部120の開口が導電性シート140より上方に位置するため、蓋体160と導電性シート140との間を短絡させずに、電池200を気密封止することができる。
【0036】
このように、本開示の電池用パッケージ100(100A)によれば、電池200の上面電極202と下面電極201との間で短絡させることなく、また蓋体160を介して外部へ放電させることなく、電池200を気密封止することができる。よって、本開示の電池用パッケージ100(100A)によれば、電池200からの電力を第1外部電極134Aおよび第2外部電極134Bを介して外部へ効率よく取り出すことが可能となる。
【0037】
本開示の電池モジュール500(500A)によれば、上記のような電池用パッケージ100(100A)に電池200が収容されたものであるため、電池モジュール500(500A)を実装基板上に表面実装することができ、電池モジュール500(500A)の内部に収容された電池200の電力を効率よく取り出すことができる。
【0038】
図13は、蓋体を外した状態における電池モジュールの他の一例を示す平面図である。
図14は、蓋体および導電性シートを外した状態における電池モジュールの他の一例を示す平面図である。
図15は、
図13におけるXV-XV線に沿った断面図である。
図16は、
図13におけるXVI-XVI線に沿った断面図である。
図17は、蓋体を外した状態における電池モジュールの他の一例を示す平面図である。
図18は、蓋体および導電性シートを外した状態における電池モジュールの他の一例を示す平面である。
図19は、
図17におけるXIX-XIX線に沿った断面図である。
図20は、
図17におけるXX-XX線に沿った断面図である。
【0039】
図13から20に示す例の電池モジュール500(500B,500C)の電池用パッケージ100(100B、100C)は、
図1から12に示す例の電池モジュール500(500A)の電池用パッケージ100(100A)と異なり、絶縁枠体121を備えていない。
図13から20に示すように、枠部120は、絶縁基板110の第1面111上に設けられた枠状金属膜122と、その上に接合された金属枠体123とで構成されている。これにより、電池用パッケージ100(100B、100C)および電池モジュール500(500B,500C)の薄型化が促進される。なお、枠状金属膜122および金属枠体123の構成は、
図1から12に示す例の電池モジュール500(500A)の電池用パッケージ100(100B、100C)と同様にしてもよい。
【0040】
図1から12に示す例の電池用パッケージ100(100A)は、2つの第2電極132を有し、導電性シート140と配線導体130(第2電極132)が2箇所で接続されている。これに対して、
図13から20に示す例の電池用パッケージ100(100B,100C)は、凹部113の開口に沿った枠状の第2電極132を1つ備えている。
図13から16に示す例の電池用パッケージ100(100B)においては、導電性シート140と配線導体130(第2電極132)が4箇所で接続されている。換言すれば、導電性シート140の4つのコーナ部と配線導体130(第2電極132)が接続されている。
【0041】
このように、電池用パッケージ100(100A,100B)においては、導電性シート140と第2電極132とが複数箇所で接続されている。そのため、導電性シート140と第2電極132との間の接続面積が増えて、導電性シート140と第2電極132との接続がより低抵抗の接続となり、電池200の電力をより効率よく取り出すことができる。また、
図13から16に示す例の電池用パッケージ100(100B)においては、導電性シート140のコーナ部が電池200と凹部113との間に入り込んでショートすることを回避できる。
【0042】
図17から20に示す例の電池用パッケージ100(100C)においては、第2電極132は、凹部113を取り囲む枠状である。導電性シート140と第2電極132が凹部113を取り囲む全周で接続される場合には、導電性シート140と第2電極132との接続面積がさらに増える。よって、導電性シート140と第2電極132との接続がさらに低抵抗の接続となり、電池200の電力をさらに効率よく取り出すことができる。また、
図17から20に示す例の電池用パッケージ100(100C)においては、導電性シート140のコーナ部が電池200と凹部113との間に入り込んでショートすることを回避できる。
【0043】
上述したように、導電性シート140と第2電極132との接続は、電気的な接続だけでなく機械的な接続でもある。つまり、導電性シート140は、複数箇所で第2電極132に固定されている。複数の電気的な接続箇所は、複数の機械的な固定箇所(複数の機械的な接続箇所)でもある。そのため、導電性シート140と第2電極132との機械的接続強度及び接続信頼性が向上する。なお、導電性シート140は、導電性接合材150および第2電極132を介して絶縁基板110の第1面111に固定されている。
【0044】
図1から12に示す例の電池用パッケージ100(100A)では、導電性シート140は、平面視で凹部113を挟む2箇所で絶縁基板110に固定されている。
図13から16に示す例の電池用パッケージ100(100B)では、導電性シート140は、平面視で凹部113を取り囲む4箇所で絶縁基板110に固定されている。4つの接続箇所を結ぶ形状は、四角形状であり、導電性シート140は、平面視で凹部113を挟む4箇所で絶縁基板110に固定されている。また、
図17から20に示す例の電池用パッケージ100(100C)の第2電極132は凹部113を取り囲む枠状であり、導電性シート140は、凹部113を取り囲む全周で絶縁基板110に固定されている。導電性シート140は、凹部113を平面視の全方向から挟む位置で固定されているということもできる。
【0045】
このように、電池用パッケージ100(100A等)においては、導電性シート140が平面視で凹部113を挟む位置で第1面111に固定されていることから、導電性シート140の接続箇所、および導電性シート140の一部であって接続箇所に挟まれた凹部113の上に位置する部分が上下方向に動かなくなる。そのため、電池200が第1電極131と導電性シート140とに挟まれて固定される。絶縁基板110に対する電池200の位置ずれによって電池200の電極と第1電極131および導電性シート140との電気的接続が損なわれることを抑えることができる。よって、電池200の電極と第1電極131および導電性シート140との接続部における抵抗の増加を抑えることができる。
【0046】
ここで、
図1から12に示す例の電池用パッケージ100(100A)のように、導電性シート140と配線導体130が2箇所で接続され、2つの接続箇所を結ぶ線が凹部113の端部を通る場合でも、導電性シート140によって電池200を押さえることができる。また、
図13から
図16に示す例の電池用パッケージ100(100B)のように、導電性シート140と配線導体130が2箇所で接続され、2つの接続箇所が凹部113の中央部を通る場合には、導電性シート140によって電池200を押さえる効果がより高くなる。さらに、
図17から20に示す例の電池用パッケージ100(100C)のように、導電性シート140と配線導体130が全方位(枠状)で接続される場合には、凹部113の中央部を通りかつ2つの接続箇所を結ぶ線が無数に存在することになり、導電性シート140によって電池200を押さえる効果がさらに高くなる。
【0047】
図13から16に示す例の電池用パッケージ100(100B)では、導電性シート140と第2電極132との接続を低抵抗にするために、導電性シート140は、絶縁基板110への固定箇所は4箇所とも電気的に接続されている。電池200の固定が主目的である場合には、導電性シート140は、複数の固定箇所全てが電気的に接続されていなくてもよい。例えば、
図1から12に示す例の電池用パッケージ100(100A)では、四角形状の導電性シート140の4つの角部のうち2つの角部が第2電極132に接続されている。導電性シート140の残りの2つの角部が絶縁基板110の第1面111に接合されることで、
図13から16に示す例の電池用パッケージ100(100B)と同様に、導電性シート140が導電性シート140の対角方向に凹部113を挟む位置で第1面111に固定されてもよい。この場合、第1面111における第2電極132を有していない部分には、導電性シート140が電気的に接続されずに固定される。導電性シート140における電気的に接続されない部分は、非導電性の接合材で第1面111に接合されてもよい。
【0048】
図21および22は、いずれも電池モジュールの他の一例を示す断面図である。
【0049】
図21に示す例の電池モジュール500(500D)は、
図1から12に示す例の電池モジュール500(500A)と同様の構成であり、枠部120の金属枠体123を省き、導電性シート140と第2電極132との接続箇所が増えている例である。
図21に示す例の電池モジュール500(500D)においては、電池200の上面が凹部113の開口部より上方に突出している。電池200の上面電極202に接続されている導電性シート140の中央部は、上方に向かって凸状に湾曲している。
【0050】
図22に示す例の電池モジュール500(500E)は、
図13から16に示す例の電池モジュール500(400B)と同様の構成であり、
図21に示す例の電池モジュール500(500D)における枠部120の構成を変えた例である。
図22に示す例の電池用パッケージ100Eは、
図13から20に示す例の電池用パッケージ100(100B,100C)と同様の構成である。
図22に示す例の電池モジュール500(500E)においては、電池200の上面が凹部113の開口部より下方に位置している。電池200の上面電極202に接続されている導電性シート140の中央部は、下方に向かって凸状に湾曲している。
【0051】
電池200の上面電極202に接続される導電性シート140は、薄いシート状である。そのため、
図21および22に示すように、収容される電池200の厚みと凹部113の深さとが合っていない場合でも、導電性シート140が電池200の上面の位置に追従して変形して、導電性シート140と電池200の上面電極202が確実に接続される。よって、本開示の電池用パッケージ100はサイズの異なる電池200を搭載することができ、電池用パッケージ100の汎用性が高くなる。
【0052】
ここで、
図21に示す例の電池用パッケージ100(100D)においては、電池200の上面(上面電極202)が凹部113の開口部より上方に位置している。より厳密には、電池200の上面が第2電極132よりも上方に位置している。導電性シート140の中央部が上方に向かって凸状に湾曲している。電池200に接続されている導電性シート140の中央部は、第2電極132の接続されている導電性シート140の外縁部よりも高い位置に位置している。換言すれば、導電性シート140全領域のうち、電池200の上に位置する第1領域140Bは、絶縁基板110の第1面111の上に位置する第2領域140Aよりも高い位置に位置している。この場合の高さの基準位置は、凹部113の底面に位置する第1電極131の表面(上面)である。この基準位置は、絶縁基板110の第2面112または凹部113の底面でもよい。
【0053】
図21に示す例の電池モジュール500(500D)においては、導電性シート140の全領域のうち、電池200の上に位置する第1領域140Bの高さHbの方が、第1面111上に位置する第2領域140Aの高さHaよりも高くなっている。上述したように、電池200は、第1電極131と導電性シート140とに挟まれて固定される。
図21に示す例の電池用パッケージ100(100D)においては、導電性シート140は、第1領域140Bの外縁で下方に湾曲し、第2領域140Aが絶縁基板110の第1面111に第2電極132等を介して固定されている。換言すれば、導電性シート140は、電池200の、第2電極132より上方に突出した部分を覆って第2電極132に固定されている。そのため、導電性シート140によって凹部113の底面に沿った平面方向(電池用パッケージ100の厚み方向に直交する方向)における電池200の位置ずれの可能性が低減する。
【0054】
導電性シート140が弾性体である場合には、導電性シート140を電池200の上面に接触させて、導電性シート140をわずかに引き延ばして第2電極132に接続することで、電池200を導電性シート140の弾性力によって第1電極131に押さえ付けることができる。これにより、電池200が正極層240と電解質層230と負極層220とが積層された構造である場合には、導電性シート140で電池200を押さえ付けることで、これらの間の密着性を高めることができる。そのため、電池200を構成する部材間の剥離またはズレを防止することができる。また、電池200を押さえつける圧力によって、正極層240(負極層220)と電解質層230との間の電気抵抗を低減できるため、電気の取り出し効率を高めることができる。
【0055】
図21に示す例の電池モジュール500(500D)においては、導電性シート140が電池200の上面電極202を押さえ付ける構成であるが、電池200の上面電極202と導電性シート140との間には、導電性接合材150が設けられている。また、電池200の下面電極201と第1電極131との間にも、導電性接合材150が設けられている。
図1から18、20に示す例の電池モジュール500(500A等)においても、電池200の上面電極202と導電性シート140との間、および電池200の下面電極201と第1電極131との間には、導電性接合材150がそれぞれ設けられている。
【0056】
このように、
図1から22に示す例の電池モジュール500(500A等)においては、電池200の上面電極202と導電性シート140が導電性接合材150で接合され、電池200の下面電極201と第1電極131が導電性接合材150で接合される。電池200の上面電極202と導電性シート140との間、および電池200の下面電極201と第1電極131との間の電気的接続は、直接的な接触によるものでもよいが、導電性接合材150を介することで、それらの接続部の電気抵抗がより小さくなる。また、それらの間の機械的な接続強度が高くなるため、絶縁基板110に対する電池200の位置ずれの可能性が低減して、電池モジュール500(500A等)の電気的な接続信頼性が向上する。
【0057】
図5、6、15、16、19から22に示すように、蓋体160は、枠部120の開口部を塞いで枠部120の上面に接合されている。蓋体160は、枠部120の開口を塞いで封止できるものであればよい。蓋体160がセラミックスまたは金属からなるものであると、電池用パッケージ100(100A等)が外部からの衝撃に対して堅牢で気密封止性に優れたものとなり、電池200の接続信頼性が向上する。蓋体160の構成材料としては、セラミックス製の絶縁基板110との熱膨張差の小さいもの、例えば、鉄-ニッケル(Fe-Ni)合金や鉄-ニッケル-コバルト(Fe-Ni-Co)合金を用いてもよい。
【0058】
蓋体160の枠部120への接合は、例えば、樹脂接着剤、ガラス、はんだを含むろう材等の接合材を用いた接合が挙げられる。気密性の点では、接合材としてガラスまたはろう材を用いた接合が好ましい。ろう材で蓋体160と枠部120とを接合する場合は、枠部120の上面には、枠状金属膜122または金属枠体123が位置している。また、セラミックスからなる蓋体160の下面の外縁部にも、枠状金属膜122と同様のものが設けられる。
【0059】
蓋体160が金属である場合には、蓋体160は、枠部120に溶接で接合することができる。電池用パッケージ100において、蓋体160が金属製であり、枠部120に溶接されている。電池用パッケージ100の気密封止性が高くなる。蓋体160は、
図5、6、15、16、19、20、および22に示す例のように、枠部120の金属枠体123に接合されてもよいし、
図21に示す例のように、枠部120の枠状金属膜122に接合されてもよい。
【0060】
蓋体160を枠部120の金属枠体123に接合(溶接)する場合には、例えば、シーム溶接が用いられる。蓋体160を枠部120の枠状金属膜122に接合する場合には、ダイレクトシーム溶接、レーザ溶接、または電子ビーム溶接が用いられる。蓋体160の枠部120への接合は、ろう材等の接合材を用いた場合には、リフロー加熱による全体加熱によって行われる。それに対して、シーム溶接、ダイレクトシーム溶接、レーザ溶接、または電子ビーム溶接の場合には、接合部だけの局所加熱によって行われるため、電池200に対する熱の影響が小さくなる。特に、シーム溶接は、金属枠体123を介した抵抗溶接であり、接合部の局所的な加熱において有利である。
【0061】
枠部120は、絶縁枠体121の上に枠状金属膜122を有する。または、枠部120は、絶縁枠体121の上に枠状金属膜122および金属枠体123を有する。これらの場合には、蓋体160と枠状金属膜122または金属枠体123との接合部が、電池200と導電性シート140との接合部、および導電性シート140と第2電極132との接続部から離れることになる。これにより、蓋体160の接合部から電池200等への熱伝導経路が長く、その熱伝導経路に比較的熱伝導率の低い絶縁枠体121が含まれることになる。そのため、蓋体160の枠部120への接合時の熱による電池200への影響がより小さくなる。
【0062】
また、シーム溶接時には蓋体160に電流が印加されるが、蓋体160は電池200に電気的に接続されていないので、シーム溶接時の電流によって電池200が損傷することがない。さらに、蓋体160と電池200との間には導電性シート140が位置しているため、溶接時に発生する蓋体160からの輻射熱による電池200への影響も低減する。
【0063】
図23は、蓋体および導電性シートを外した状態における電池モジュールの他の一例を示す平面図である。
図24は、
図23におけるXXIV-XXIV線に沿った断面図である。
【0064】
図23および24に示す例の電池モジュール500(500F)は、
図1から22に示す例の電池モジュール500(500A等)と異なり、蓋体160と導電性シート140との間にスペーサ170が介在されている。
図23および24に示す例の電池用パッケージ100(100F)においては、スペーサ170が蓋体160と導電性シート140との間に位置し、蓋体160および導電性シート140に接してもよい。スペーサ170として、ゴムまたはバネ等の弾性体を用いてもよい。
【0065】
例えば、ゴム質の樹脂(弾性体)からなるスペーサ170を用いた場合には、蓋体160と導電性シート140との間の間隔よりもスペーサ170の厚みを厚くすることで、スペーサ170の弾性力によって導電性シート140が電池200の上面電極202に押し付けられる。より硬質で変形し難いスペーサ170を用いた場合であっても、枠部120(金属枠体123)の上面と導電性シート140の上面との間の間隔よりもスペーサ170の厚みを厚くすることで、薄板状の蓋体160の弾性によってスペーサ170が導電性シート140に押し付けられ、導電性シート140を電池200の上面電極202に押し付けることができる。
【0066】
また、スペーサ170として、蓋体160の封止後に熱膨張可能なブチルゴム等を用いてもよい。この場合に、ブチルゴム等は、蓋体160の封止時に蓋体160と導電性シート140とのいずれか一方に接している。ブチルゴム等は、蓋体160の封止後に熱膨張することによって蓋体160と導電性シート140との両方に接する。そのため、蓋体160の接合時の熱がスペーサ170を介して電池200に伝達されることがなく、電池160の破損の可能性が低減する。
【0067】
スペーサ170によって導電性シート140が電池200に押し付けられることで、導電性シート140と電池200との間の電気抵抗が小さくなり、また、絶縁基板110に対する電池200の位置ずれの可能性が低減する。
図23および24に示す例の電池モジュール500(500F)によれば、導電性シート140と電池200の上面電極202との間の導電性接合材150の有無によらず、このような効果を奏することができる。
【0068】
スペーサ170は、蓋体160と電池200の上面電極との間の短絡によって蓋体160から放電しないように、絶縁性材料からなるものを用いてもよい。スペーサ170が絶縁性でなくても、スペーサ170の電気抵抗が導電性シート140の電気抵抗に対して十分大きい場合には、電池200からの電流の大部分が導電性シート140へ流れるため、蓋体160からの放電を抑えることができる。換言すれば、スペーサ170の電気伝導率が導電性シート140の電気伝導率に比較して十分に小さい場合には、蓋体160からの放電を抑えることができる。
【0069】
なお、スペーサ170が導電性材料からなるものである場合には、スペーサ170の下面に、絶縁性の皮膜が設けられてもよい。あるいは、スペーサ170と導電性シート160との間に、電池200を保護する絶縁性の保護シートが設けられてもよい。
【0070】
図25および26は、いずれも電池モジュールの他の一例を示す断面図である。
【0071】
図25に示す例の電池用パッケージ100(100G)においては、蓋体160は、導電性シート140に接する凸部161を有している。凸部161は、蓋体160の中央部の厚みを厚くして、下方に向かって突出させて形成されている。凸部161を有する蓋体160は、平板に凸部161を接合して作製してもよいし、金型プレス等で作製してもよい。
【0072】
このような、蓋体160が凸部161を有する場合には、スペーサ170を用いることなく、導電性シート140が電池200の上面電極202に押し付けられる。すなわち、蓋体160の下面に位置する凸部161が導電性シート140を電池200の上面電極202に押し付けることができる。凸部161によって導電性シート140が電池200の上面電極202に押し付けられることで、導電性シート140と電池200との間の電気抵抗が小さくなり、電池200の電力の取り出し効率が高くなる。特に、凸部161が平坦な押圧面を有していれば、導電性シート140において均一に押圧される面積が置きくなり、電池200の電力の取り出し効率がより高くなる。また、絶縁基板110に対する電池200の位置ずれの可能性が低減する。
【0073】
図26に示す例の電池用パッケージ100(100H)においては、蓋体160は、板状であり、蓋体160の全域の厚みは、同程度である。蓋体160は、導電性シート140に接する凸部162を有している。凸部162は、蓋体160の中央部が下方に向かって突出して形成されている。凸部162は、導電性シート140を電池200側に押圧するための平坦な押圧面162fを有している。凸部162の押圧面162fの面積は、凹部113の開口面積の50%以上であるとよい。
【0074】
凸部162は、上下の反転によって導電性シート140を上方向から電池200側に押圧してもよい。
図26においては、反転する前の状態の凸部162が二点鎖線で示されている。凸部162が上下に容易に反転できるように、空間Sを大気圧よりも減圧した状態で封止することが望ましい。凸部162を有する蓋体160は、金属板を打ち抜き加工することにより作製してもよい。凸部162を有する蓋体160は、金属板を打ち抜くと共にプレス加工することで作製してもよい。凸部162が平坦な押圧面162fの代わりに湾曲した押圧面を有してもよい。
【0075】
このような、蓋体160が凸部162を有する場合には、スペーサ170を用いることなく、導電性シート140が電池200の上面電極202に押し付けられる。すなわち、蓋体160の下面に位置する凸部162が導電性シート140を電池200の上面電極202に押し付けることができる。凸部162によって導電性シート140が電池200の上面電極202に押し付けられることで、導電性シート140と電池200との間の電気抵抗が小さくなり、電池200の電力の取り出し効率が高くなる。特に、凸部162が平坦な押圧面162fを有していれば、導電性シート140において均一に押圧される面積が大きくなり、電池200の電力の取り出し効率がより高くなる。また、絶縁基板110に対する電池200の位置ずれの可能性が低減する。
【0076】
凸部162が蓋体160の接合後の反転によって導電性シート140を押圧する場合は、凸部162が蓋体160の接合時には反転しておらず、導電性シート140に接していないため、蓋体160の接合時の熱が導電性シート140および電池200に伝導し難い。また、蓋体160の接合が例えばシーム溶接(抵抗溶接)の場合は、蓋体160の接合時に印加される電流も電池200等に伝導しない。そのため、電池200が劣化、破損する可能性が低減する。さらに、電池200が高温になって膨張した場合またはガスが発生した場合には、凸部162が外側に凸状に反転して内部空間Sが大きくなることで、内部圧力の上昇を緩和することができる。
【0077】
図25および26に示す例の電池モジュール500(500G,500H)において、導電性シート140は、導体シート141と絶縁体シート142とで構成されている。導体シート141は、電池200と配線導体130(第2電極132)とを電気的に接続する。絶縁体シート142は、導体シート141と金属製の蓋体160との間の絶縁性を確保する。
【0078】
電池モジュール500(500G,500H)における導電性シート140は、例えば、フレキシブル基板のように、銅箔とポリイミド樹脂等の絶縁性樹脂を積層した構造を有してもよい。また、蓋体160が金属等の導電性材料からなり、導電性シート140が絶縁体シート142を有さない場合には、蓋体160の下面(導電性シート140側の面)における、少なくとも導電性シート140と接触する部分(押圧面)に、絶縁性の皮膜が設けられてもよい。
【0079】
蓋体160の電気抵抗が導電性シート140の電気抵抗に対して十分大きい場合には、電池200からの電流の大部分が導電性シート140へ流れるため、蓋体160からの放電を抑えることができる。換言すれば、蓋体160の電気伝導率が導電性シート140の電気伝導率に比較して十分に小さい場合には、蓋体160からの放電を抑えることができる。例えば、蓋体160が上述した鉄-ニッケル(Fe-Ni)合金や鉄-ニッケル-コバルト(Fe-Ni-Co)合金からなるものである場合には、導電性シート140の構成材料として銅やアルミニウム等の低抵抗の金属を用いてもよい。
【0080】
図27は、蓋体および導電性シートを外した状態における電池モジュールの他の一例を示す平面図である。
図28は、
図27におけるXXVIII-XXVIII線に沿った断面図である。
【0081】
これまで絶縁基板110の凹部113については、平面視形状が円形で、深さが一定の円筒状である例を示したが、凹部113の形状は、これに限られるものではなく、電池200の形状に応じた形状にすることができる。例えば、
図27および28に示す例の電池用パッケージ100(100I)の凹部113の平面視の形状は、長方形状である。長方形状とは、角が直角な厳密な長方形だけではなく、角部を丸めた長方形を含むことを意味する。凹部113の平面視の形状は、四角形状以外の多角形状、または楕円形状であってもよい。また、凹部113の深さは一定ではなく、凹部113の中央部がより深い形状であり、凹部113は2段の凹部である。絶縁基板110と一体となっている絶縁枠体121まで含めると、凹部113は3段の凹部ということもできる。
【0082】
図27および28に示す例の電池モジュール500(500I)の電池200は、上面電極202と、下面電極201と、上面電極202と下面電極201で挟まれた固体電解質203と、を有している。下面電極201は、固体電解質203および上面電極202よりも一回り小さい形状であり、
図27および28に示す例の電池200の断面形状は、下方に向かって凸型(T字型)である。凹部113の断面形状は、
図27および28に示す例の電池200の断面形状に合わせた形状となっている。
【0083】
図27および28に示す例の電池モジュール500(500I)においては、凹部113の平面視の大きさは、電池200の平面視の大きさよりも大きく、電池200と凹部113の内壁との間には、隙間がある。そして、この隙間に絶縁部材300が挿入されている。このように、
図27および28に示す例の電池モジュール500(500I)においては、電池200の側面と凹部113の内側面との間に絶縁部材300が位置している。このような絶縁部材300によって絶縁基板110に対する電池200の位置ずれの可能性がより低減する。また、絶縁部材300が接着性を有する場合には、電池200が凹部113に対してより強固に固定される。さらに、絶縁部材300が絶縁性であることから、電池200の側面と第2電極132との間の絶縁性がより高められる。また、電池200の側面と凹部113の内側面との間の隙間が絶縁部材300で塞がれるため、導電性シート140を介して上面電極202と下面電極201との間で短絡してしまう可能性が低減される。
【0084】
図29は、
図30におけるXXIX-XXIX線に沿った断面図である。
図30は、電池モジュールの他の一例の底面図である。
【0085】
これまで、電池200のみを収容する電池用パッケージ100の例だけを説明したが、
図29および30に示す例の電池用パッケージ100(100J)には、電池200以外の電子部品400等が収容されてもよい。このとき、電子部品400を収容するスペースを設けることで電池用パッケージ100(100J)および電池モジュール500(500J)が大型化しないように、電池200と電子部品400が平面透視で重なるように配置してもよい。そのために、
図29および30の例に示す電池用パッケージ100(100J)の絶縁基板110は、電子部品400を収容するための第2凹部114を有しており、第2凹部114は、第2面112に開口している。これにより、電池200と電子部品400との間を接続する配線の配線長を短くすることができ、配線が低抵抗になる。
【0086】
第2凹部114には、電子部品400として、例えば、電池200を制御するための電源ICが搭載されてもよい。電源ICは、電池制御用の半導体素子である。電源ICには、一定の電源電圧を供給するDC/DCコンバータ、電源を監視するリセットIC、および電源をオン/オフするスイッチICが含まれる。第1面111に開口する凹部113と、第2面112に開口する第2凹部114は、平面透視で重なる位置にある。電池200と電子部品400(電源IC)は、平面透視で重なって搭載される。そのため、電池200の動作の制御が可能で、電池モジュール500(500J)の小型化が図られる。
【0087】
図29および30に示す例の電池モジュール500(500J)においては、電子部品400は、不図示の接合材で第2凹部114の底面に固定されている。また、電子部品400の電極(不図示)と第2凹部114の底面に設けられた内部電極135は、ボンディングワイヤ(導電性接続材410)で電気的に接続されている。電子部品400の電極と内部電極135がフリップチップ接続で電気的および機械的に接続されてもよい。
【0088】
第2凹部114には、電源ICに加えて、例えばコイル、コンデンサ等の電子部品400が搭載されてもよい。
図29および30に示す例の電池モジュール500(500J)においては、第2凹部114の開口が蓋体(不図示)で塞がれてもよく、または封止樹脂で電子部品400を覆うことで封止されてもよい。
【0089】
図1から30に示す例の電池用パッケージ100(100A等)において、絶縁基板110の寸法は、例えば、四角形の一辺の長さが1mm~20mmであり、絶縁基板110の厚みは、0.5mm~5mmである。絶縁基板110の凹部113の寸法は、電池200の大きさに応じて設定することができる。
【0090】
図1から30に示す例の電池用パッケージ100(100A等)において、絶縁基板110は、複数の絶縁層が積層されて形成されている。絶縁層は、例えば酸化アルミニウム質焼結体、ガラスセラミック焼結体、ムライト質焼結体または窒化アルミニウム質焼結体等の絶縁材料からなる。
【0091】
絶縁層が例えば酸化アルミニウム質焼結体からなる場合であれば、絶縁基板110は、次のようにして作製される。すなわち、まず、絶縁層となるセラミックグリーンシートが作製される。酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素等の原料粉末を、適当な有機バインダおよび有機溶剤と共にシート状に成形することによって、四角シート状の複数のセラミックグリーンシートが作製される。次に、これらのセラミックグリーンシートを積層することによって、積層体が作製される。凹部113は、セラミックグリーンシートに金型等を用いて貫通孔を設けることによって形成される。その後、積層体を1300~1600℃の温度で焼成することによって、絶縁基板110が作製される。枠部120が絶縁枠体121を含む場合は、絶縁枠体121は絶縁基板110と同時に形成される。金型等で貫通孔を設けた枠状のグリーンシートを含む積層体を作製すればよい。
【0092】
図1から30に示す例の電池用パッケージ100(100A等)において、絶縁基板110の表面および内部には、配線導体130(第1電極131、第2電極132、第1接続配線133A、第2接続配線133B、第1外部電極134A、第2外部電極134B)が設けられている。また、絶縁基板110の第1面111または枠部120の絶縁枠体121の上には、枠状金属膜122が設けられている。
【0093】
図1から30に示す例の電池用パッケージ100(100A等)において、第1電極131と第1外部電極134Aとを接続する第1接続配線133A、および第2電極132と第2外部電極134Bとを接続する第2接続配線133Bが、絶縁基板110を貫通する貫通導体である例が示されている。第1接続配線133Aおよび第2接続配線133Bは、これに限られず、絶縁基板110の内部で第1面111および第2面112の面方向に延在する導体層を含んでもよい。また、第1接続配線133Aまたは第2接続配線133Bは、絶縁基板110の内部から側面を通って第1外部電極134Aまたは第2外部電極134Bに接続されるものであってもよい。第1接続配線133Aおよび第2接続配線133Bの一部を構成する側面導体は、絶縁基板110の側面に設けた凹部(溝部)内に導体を充填したものであってもよい。
【0094】
図1から30に示す例の電池用パッケージ100(100A等)において、第1電極131と第1外部電極134Aが平面透視において重なるようにしてもよい。第2電極132と第2外部電極134Bが平面透視において重なるようにしてもよい。このようにした場合は、貫通導体としての第1接続配線133Aおよび第2接続配線133Bを短くして、配線による電力ロスを抑えることができる。
【0095】
図1から30に示す例の電池用パッケージ100(100A等)において、第1外部電極134Aおよび第2外部電極134Bは、絶縁基板110の第2面112から側面に延在するものであってもよい。また、配線導体130の電気抵抗を小さくして、電池200からの電力の取り出し効率を向上させるために、例えば、第1接続配線133A(貫通導体)および第2接続配線133B(貫通導体)をそれぞれ複数にしてもよい。
図1から12に示す例の電池用パッケージ100(100A)においては、第1接続配線133A(貫通導体)および第2接続配線133B(貫通導体)はそれぞれ1つ又は2つであるが、さらに多数にしてもよい。
【0096】
配線導体130および枠状金属膜122は、例えば、タングステン、モリブデン、マンガン、銅、銀、パラジウム、金、白金、ニッケル、コバルト等の金属、またはこれらの金属を含む合金の金属材料を導体材料として主に含む。このような金属材料は、メタライズ層またはめっき層等の金属層として絶縁基板110の表面に設けられている。前記金属層は、1層でもよく、複数層でもよい。また、前記金属層は、メタライズで絶縁基板110の内部に設けられてもよい。
【0097】
第1面111および第2面112の面方向に延在する導体層、並びに枠状金属膜122は、例えばタングステンのメタライズ層である場合には、次のように形成することができる。前記導体層および枠状金属膜122は、タングステンの粉末を有機溶剤および有機バインダと混合して作製した金属ペーストを、絶縁基板110となるセラミックグリーンシートの所定位置にスクリーン印刷法等の方法で印刷して焼成する方法で形成することができる。前記導体層には、配線導体130の第1電極131、第2電極132、第1外部電極134A、および第2外部電極134B等が含まれる。なお、シールパターン136も配線導体130等と同様の材料および製法で形成することができ、第1外部電極134Aおよび第2外部電極134Bと同時に印刷することができる。そのため、シールパターン136の形成が容易である。
【0098】
第1電極131、第2電極132、第1外部電極134A、第2外部電極134B、シールパターン136、および枠状金属膜122等の外部に露出するメタライズ層の露出表面には、電解めっき法または無電解めっき法等のめっき法でニッケルおよび金等のめっき層が被着されていてもよい。また、第1接続配線133Aおよび第2接続配線133Bの貫通導体は、上記の金属ペーストの印刷に先駆けてセラミックグリーンシートの所定の位置に貫通孔を設け、上記の金属ペーストをこの貫通孔に充填しておくことで形成することができる。
【0099】
絶縁基板110および配線導体130等を含む配線基板は、母基板に配列された複数の基板領域から多数個取りして製作されてもよい。母基板を基板領域毎に分割することによって、複数の配線基板がより効率よく製作される。この場合には、母基板のうち基板領域の境界に沿って分割用の溝が設けられていてもよい。
【0100】
図1から30に示す例の電池用パッケージ100(100A等)において、導電性シート140は、導電性材料からなるシート状のものであり、電池200の上面電極202の面積の50%以上を覆って接続できる程度の大きさである。導電性材料としては、銅、アルミニウム等の金属、ステンレス等の合金等を含むものを用いてもよい。導電性シート140は、導電材料のみからなるものでもよいし、導電材料と絶縁材料との複合材料からなるものでもよい。導電性シート140は、上述したフレキシブル基板のように、銅箔とポリイミド樹脂等の絶縁性樹脂を積層した構造を有してもよい。
【0101】
電池パッケージ100の凹部113に収容される電池200の数は、1つに限定するものでなく、複数であってもよい。1つの凹部113にその底面の面方向(厚み方向に直交する方向)に複数の電池200を並べて収容し、複数の電池200を1つの導電性シート140に接続してもよい。あるいは、絶縁基板110の第1面111に面方向に複数の凹部113を設け、複数の凹部113に電池200をそれぞれ収容し、複数の電池200を複数の凹部113の上に重なる1つの導電性シート140に接続してよい。この場合、複数の凹部113の底面にそれぞれ位置する複数の第1電極131が、1つの第1外部電極134Aに接続してもよい。あるいは、第1外部電極134Aに接続された1つの大きな第1電極131が、複数の凹部113の底面に露出されていてもよい。さらに、1つの凹部113に厚み方向(凹部の深さ方向)に複数の電池200を直列接続になるように重ねて収容してもよい。この場合、上下の電池200間は、接触接続または導電性接合材で接続(接合)する。
【0102】
上述のように、1つの電池用パッケージ100(100A等)内に複数の電池200を搭載することで、1つの電池200だけ搭載する場合に比べ、電池モジュール500(500A等)の体積エネルギー密度を向上させることができる。更に、1つの電池200を搭載した電池用パッケージ100(100A等)を並べるより、複数の電池200を1つの電池用パッケージ100(100A等)内に搭載することで、電池用パッケージ100(100A等)の材料コストの低減、電池搭載エリア全体の小型化、実装の効率化が図れる。
【0103】
図25および26に示す例の導電性シート140は、導体シート141の蓋体160側の上面だけが絶縁体シート142で覆われている。導体シート141の電池200側の下面における電池200および第2電極132に接続される部分以外の部分も絶縁体シート142で覆われてもよい。また、複合材料としては、例えば、導電性材料を樹脂中に分散した導電性樹脂、または導電性材料を樹脂で結合した導電性樹脂を用いてもよい。なお、導電性シート140は、上述したように、導電性接合材150を介して第2電極132に接続されるが、導電性シート140が金属箔からなる場合には、抵抗溶接で第2電極132に接合してもよい。
【0104】
導電性接合材150としては、はんだや導電性接着剤を用いてもよい。導電性接合材150としては、低温での接合可能な導電性接着剤を用いてもよい。導電性接合材150としては、より低温での電気的接続をするために、銀ナノペーストを用いてもよい。
【0105】
図23および24に示す例の電池用パッケージ100(100F)において、スペーサ170は、上述した樹脂からなるものに限られず、例えば、セラミックスや金属からなるものであってもよい。スペーサ170が金属等の導電性材料からなる場合には、スペーサ170の表面が絶縁材料で覆われてもよい。
【0106】
電池モジュール500は、水分を吸収する乾燥剤(不図示)を備えてもよい。乾燥剤は、蓋体160の下面に位置してもよく、電池200の下面電極201の下側に位置してもよい。乾燥剤が電池200の下面電極201の下側に位置する場合は、凹部113の底面に小さい別の凹部をさらに設け、この別の凹部内に乾燥剤を配置してもよい。乾燥剤は、電池200の側面と凹部113の内側面との間に位置してもよい。電池モジュール500が乾燥剤を備えることにより、電池200の電池素材の水分との化学変化による劣化を抑えることができる。なお、乾燥剤として、例えばシリカゲルや塩化カルシウムなどを用いてもよい。
【0107】
電池200は、電解質材料、正極、負極、およびセパレータ等の電池素材を金属容器内に配置して封止したコイン電池であってもよい。コイン電池は、ボタン電池と呼ばれることもある。電池200は、一次電池や二次電池であってもよい。また、電池200は、化学電池だけでなく、電気二重層コンデンサ、電気二重層キャパシタのような電源素子も含む。
【0108】
電池200が単独では実装基板に表面実装できないコイン電池である場合であっても、電池用パッケージ100(100A等)によって実装基板に表面実装することができる。例えば、電池200の電池素材が硫化物系の電池材料であっても、すでに封止されたコイン電池を用いることで、ドライ雰囲気下等の特別な作業環境でなくても、容易に封止して、表面実装型の電池200とすることができる。また、ドライ雰囲気下等の特別な作業環境でなくても、電池(コイン電池)200を実装基板に表面実装することができ、回路基板装置の生産性を高めることができる。さらに、電池(コイン電池)200を電池用パッケージ100(100A等)によって一般的なコイン電池よりも高いレベルで気密封止することができ、電池(コイン電池)200の寿命が向上する。電池200の電池素材を金属容器と電池用パッケージ100(100A等)とで二重で封止するため、電池(コイン電池)200からの硫化物材料の漏出を大幅に低減することができる。
【0109】
図11に示すように、電池モジュール500は、電池200として薄膜型の全固体電池を用いてもよい。薄膜型の全固体電池は、金属板210に負極層220と電解質層230と正極層240が積層された電池200であり、金属板210は、集電体としての機能を有する。金属板210は、例えば銅、アルミニウム、ステンレス鋼等の板であって、金属板210の板厚は、例えば0.1mm~0.5mmである。金負極層220、電解質層230、および正極層240は、例えば蒸着法またはスパッタ法等によって形成される。薄膜型の全固体電池200は、負極層220の端面、電解質層230の端面、および正極層240の端面を覆う樹脂カバー250を備えてもよく、樹脂カバー250は、絶縁樹脂からなる。
【0110】
図11に示す例の電池用パッケージ100(100A)の場合は、金属板210が下面電極201に相当し、正極層240が上面電極202に相当する。下の金属板210から負極層220、電解質層230、および正極層240が順次積層されているが、負極層220と正極層240を逆に積層してもよい。この場合は、負極層220が上面電極202に相当する。
【0111】
負極層220の端面の位置、電解質層230の端面の位置、および正極層240の端面の位置がずれるようにしてもよい。例えば、負極層220、電解質層230、正極層240と積み重ねる順にそれらを小さくしたり、大きくしたりしてもよい。また、電解質層230を正極層240および負極層220より大きくしてよい。このようにした場合には、側面方向における正極層240と負極層220との短絡を予防することができる。
【0112】
正極層240と導電性シート140(導電性接合材150)との間に別の金属板210を介在させてもよい。このとき、別の金属板210と正極層240との間に導電性接合材150を介在させてもよい。この場合、正極層240の上(正極層240と導電性シート140との間)の金属板210が上面電極202に相当する。そして、上面電極202に相当する金属板210と導電性シート140との間には、導電性接合材150を介在させてもよい。
【0113】
複数の正極層240の一端同士を接続して、複数の負極層220の他端同士を接続してもよい。この場合に、複数の正極層240および複数の負極層200は、縦断面視の形状が櫛歯状になる。そして、2つの櫛歯が噛み合うように、複数の正極層240と複数の負極層220が配置され、各正極層240と各負極層220との間に電解質層230が配置される。
【0114】
また、
図12に示すように、電池モジュール500は、電池200として複数の薄膜型の全固体電池を用いてもよい。複数の薄膜型の全固体電池200が電池パッケージ100の凹部113に直列的に搭載されてもよい。複数の薄膜型の全固体電池200間に、導電性接合材150が介在するようにしてもよい。電解質層230の端部が負極層220の端部を覆うようにしてもよい。大きな金属板の上に薄膜電池を形成して、所定のサイズに個片化することによって、複数の薄膜型の全固体電池200が効率よく製造される。複数の薄膜型の全固体電池200は、接合材を介さないで、接触による接続でもよい。導電性シート140、蓋体160の凸部161、またはスペーサ170で複数の薄膜型の全固体電池200押圧することで、複数の薄膜型の全固体電池200間の接触抵抗を小さくすることができる。
【0115】
一般に、薄膜の全個体電池は、エネルギー密度、安全性が高く、リサイクル寿命に優れているが、電池パッケージ100の凹部113内に薄膜の全固体電池を形成することは困難であり、また薄膜だけで構成された全固体電池のハンドリングも困難である。そのため、薄膜の全個体電池を有した電池モジュール500の生産性(生産効率)が低下する。
【0116】
これに対して、前述のように、電池モジュール500が金属板210を有した薄膜型の全固体電池200を電池200として用いることにより、電池200の大量生産が可能になり、電池モジュール500の生産性が向上する。具体的には、金属板210の上に負極層220、電解質層230、正極層240を形成した後、ダイシング等により絶縁基板110の凹部113にマッチングしたサイズの電池200を切り出して、絶縁基板110の凹部113内に設置することで、電池モジュール500の生産性が向上する。
【0117】
また、電池モジュール500が金属板210を有した薄膜型の全固体電池200を電池200として用いることにより、金属板210と負極層220との間の密着性、負極層220と電解質層230との間の密着性、および正極層240と電解質層230との間の密着性が高くなる。そのため、電池200の電力の取り出し効率が高くなる。
【0118】
図27および28に示す例の電池モジュール500(500I)では、電池200の外側面と凹部113の内側面との間に配置される絶縁部材300の構成材料として、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の樹脂材料が挙げられる。絶縁部材300の構成材料は、セラミック粒子と樹脂材料との複合材料でもよい。絶縁部材300は、電池200と凹部113の内側面との間の隙間に注入した液状の樹脂を固化してなるものであってもよい。固形の絶縁部材300が電池200と凹部113の内側面との間の隙間に挿入して配置されてもよい。
図13に示す例の電池モジュール500(500I)では、平面視形状が四角枠状の隙間の各辺部に、周方向に間隔を置いて4つの絶縁部材300が配置されているが、このような配置に限られるものではない。凹部113および電池200の平面視形状が円形である場合には、周方向に間隔を置いて3つの絶縁部材300が配置されることで、絶縁基板110に対する電池200の位置ずれが抑えられる。また、絶縁部材300が電池200の外側の全周に亘って配置されてもよい。
【0119】
以上、本開示の各実施形態について説明した。しかし、本開示は上記実施形態に限られない。
【符号の説明】
【0120】
100(100A~100J) 電池用パッケージ
110 絶縁基板
111 第1面
112 第2面
113 凹部
114 第2凹部
120 枠部
121 絶縁枠体
122 枠状金属膜
123 金属枠体
130 配線導体
131 第1電極
132 第2電極
133A 第1接続配線
133B 第2接続配線
134A 第1外部電極
134B 第2外部電極
135 内部電極
136 シールパターン
140 導電性シート
141 導体シート
142 絶縁体シート
150 導電性接合材
160 蓋体
161 凸部
162 凸部
162f 押圧面
170 スペーサ
200 電池(薄膜型の全固体電池、コイン電池)
201 下面電極
202 上面電極
203 固体電解質
210 金属板
220 負極層
230 電解質層
240 正極層
250 樹脂カバー
300 絶縁部材
400 電子部品(電源IC)
410 導電性接続材
500(500A~500J) 電池モジュール