(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】ビル情報管理システム及びビル情報管理方法
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20241017BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
H04Q9/00 301C
H04M11/00 301
(21)【出願番号】P 2022545218
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(86)【国際出願番号】 JP2020032706
(87)【国際公開番号】W WO2022044282
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉内 英也
(72)【発明者】
【氏名】宮本 啓生
(72)【発明者】
【氏名】竹島 由晃
(72)【発明者】
【氏名】赤津 昌幸
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-129873(JP,A)
【文献】国際公開第2017/203799(WO,A1)
【文献】特開2020-039106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビルに関する情報を管理するビル情報管理サーバを含むビル情報管理システムであって、
前記ビル情報管理サーバは、
前記ビルのエリアを特定する識別子と、前記識別子に対応する範囲を指定する内部構造範囲データを含む前記ビルの内部構造情報を管理する内部構造情報データベースと、
前記エリアを占有するテナントに関する情報を管理するテナント情報データベースと、
前記ビル内に設置されたビル関連機器の機器識別子と設置場所に関する情報
と前記ビル関連機器の稼働情報とを管理するビル機器情報データベースと、を含む記憶装置を備え、
前記テナントに対応する前記ビル関連機器についての稼働状態の情報の検索を行う制御部を備え、
前記制御部は、前記ビル関連機器の
稼働情報を含む情報を前記ビル機器情報データベースから取得する
ビル情報管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記内部構造情報データベースが管理する前記ビルの内部構造情報の種別を切り替えて、前記ビル関連機器に関する情報の検索を行う
請求項1に記載のビル情報管理システム。
【請求項3】
前記ビルの内部構造情報の種別は、少なくとも部屋の名称又は番号と、区画名を含む
請求項2に記載のビル情報管理システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記テナント情報データベースが管理するテナントの名称により、前記ビル関連機器に関する情報の検索を行う
請求項1に記載のビル情報管理システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記内部構造情報データベースが管理する前記ビルの内部構造情報と、前記テナント情報データベースが管理するテナントに関する情報とについて編集が可能であり、
前記内部構造情報データベースが管理する内部構造情報と、前記テナント情報データベースが管理するテナントに関する情報は、情報の生成時期と廃止時期を付加するようにした
請求項1に記載のビル情報管理システム。
【請求項6】
前記制御部が前記ビル内に設置されたビル関連機器を検索する際には、内部構造情報又はテナントに関する情報の生成時期と廃止時期を参照して、時期に対応した前記ビル関連機器の履歴を検索する
請求項5に記載のビル情報管理システム。
【請求項7】
前記ビル情報管理サーバは、複数のビルの内部構造情報を管理する
請求項1に記載のビル情報管理システム。
【請求項8】
ビルに関する情報を管理するビル情報管理方法であって、
前記ビルのエリアを特定する識別子と、前記識別子に対応する範囲を指定する内部構造範囲データを含む前記ビルの内部構造情報を管理する内部構造情報の管理処理と、
前記エリアを占有するテナントに関する情報を管理するテナント情報の管理処理と、
前記ビル内に設置されたビル関連機器の機器識別子と設置場所に関する情報
と前記ビル関連機器の稼働情報とを管理するビル機器情報の管理処理と、
前記テナントに対応する前記ビル関連機器についての稼働状態の情報の検索を行う制御処理と、を含み、
前記制御処理では、前記ビル関連機器の
稼働情報を含む情報を前記ビル機器情報の管理処理により取得する
ビル情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル情報管理システム及びビル情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビルを管理する際には、そのビルに設置された各種設備に関する情報を収集して、設備が適切に運用されていること等を管理するのが望ましい。例えば、ビルに設置された空調設備が、各階の各部屋で適切に作動しているか、ビル内の各トイレの利用状況が適正か等の稼働状態の管理を行うことが望まれている。
【0003】
特許文献1には、ビル内に設置された温度センサなどの設備に関する情報を、中央監視装置で取得して管理する手法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるように、ビル内の情報を集中して管理することは従来から行われている。特許文献1には、情報の種類として温度などを指定することで、ビル内の会議室などの各部屋の温度や湿度のセンサ値を取得して、各部屋の不快指数を算出する例が示されている。
【0006】
このように、ビル内の設備機器に関する情報を一覧として表示することは従来から知られているが、単に一覧として表示するだけでは、管理者にとって使い勝手がいい表示とは言えない。例えば、非常に多数の部屋を有する大規模なビルの場合には、一覧表として多数の温度データなどを表示したとしても、ビル内のどの箇所がどのような温度であるのか、容易には判別することができない。
【0007】
このような問題を解決する一つの手法として、例えばビルの構造情報を取得して、そのビルの構造内のそれぞれの位置に、どの設備機器があるのかを示すことが提案されている。ビルの構造情報としては、例えばBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)と称されるビルの構造情報を使うことが考えられる。
【0008】
BIM情報等の構造情報は、基本的にビルを設計する際の構造から生成される情報である。また、BIM情報に用いられるビル内の各区画は、ビルに存在する柱などの構造物で区切られる区画である。
したがって、ビルの構造を熟知した者には、BIM情報内のX番の区画に設置された空調設備と言ったとき、ビル内のどの箇所の空調設備を示すのかが容易に分かる。
【0009】
しかしながら、一般の利用者にとっては、BIM情報内の区画番号よりも、ビル内の各部屋に入居しているテナント名称や部屋番号などの実際の利用状況に則した情報の方が、どの区画を示しているのか分かりやすい。
このため、BIM情報を使って設備機器を管理するようにすると、ビル構造に熟知した専門家には管理しやすいが、ビル構造に熟知していない利用者には管理し難いという問題があった。
【0010】
また、多数のテナントが入居するビルでは、ビル内の各部屋のサイズの変更等の改修が行われることが多々あり、改修に伴って部屋番号などが変更されることがある。この場合、例えばデータベース上に101号室の空調設備の情報があったとしても、改修によって101号室のサイズや位置に変更があると、改修前と改修後とで、データベース上の101号室の空調設備の情報を連続した情報として扱えるのか否かが不明になり、設備情報を適切には管理できない状態になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、例えば請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、ビル情報管理システムとして、ビルに関する情報を管理するビル情報管理サーバを含む場合に、そのビル情報管理サーバは、ビルのエリアを特定する識別子と、識別子に対応する範囲を指定する内部構造範囲データを含むビルの内部構造情報を管理する内部構造情報データベースと、エリアを占有するテナントに関する情報を管理するテナント情報データベースと、ビル内に設置されたビル関連機器の機器識別子と設置場所に関する情報とビル関連機器の稼働情報とを管理するビル機器情報データベースと、を含む記憶装置を備える。
そして、ビル情報管理システムは、制御部を備える。この制御部は、テナントに対応するビル関連機器についての稼働状態の情報の検索を行う。制御部は、ビル関連機器の稼働情報を含む情報をビル機器情報データベースから取得する。
【発明の効果】
【0012】
テナント情報とビル関連機器の情報を対応付けることが可能になる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施の形態例によるビル情報管理システムの全体構成の例を示す構成図である。
【
図2】本発明の一実施の形態例によるビル情報管理システムのビル情報サーバの構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施の形態例によるビル情報サーバが管理する情報の例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施の形態例によるビル情報管理システムのビル情報編集・表示端末の構成例を示すブロック図である。
【
図5】本発明の一実施の形態例によるビル情報編集・表示端末が管理する情報の例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施の形態例によるビル情報管理システムのビル情報収集端末の構成例を示すブロック図である。
【
図7】本発明の一実施の形態例によるビル情報収集端末が管理する情報の例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施の形態例によるBIMモデルによるビル構造の例を示す図である。
【
図9】
図8のビル構造の1階の構造の例を示す図である。
【
図10】
図9の1階の構造の各区画の情報を示すビル内部構造情報の例を示す図である。
【
図11】
図9の1階の構造を、部屋の構成から見た例を示す図である。
【
図12】本発明の一実施の形態例によるビル構造情報の例を示す図である。
【
図13】本発明の一実施の形態例による部屋内のビル機器の配置例を示す図である。
【
図14】本発明の一実施の形態例によるテナント情報の例を示す図である。
【
図15】本発明の一実施の形態例によるビル機器情報の例を示す図である。
【
図16】
図9の1階の構造の変更後の部屋の構成から見た例を示す図である。
【
図17】
図16に示す変更があった場合のビル内部構造情報の例を示す図である。
【
図19】
図18に示すテナントの場合のテナント情報の例を示す図である。
【
図21】
図16の例の部屋のビル機器情報の例を示す図である。
【
図22】本発明の一実施の形態例によるビル情報編集・表示端末とビル情報管理サーバとの間の情報伝送例を示すシーケンス図である。
【
図23】本発明の一実施の形態例によるビル機器情報の検索画面の例を示す図である。
【
図24】本発明の一実施の形態例によるビル機器の稼働データの表示画面の例を示す図である。
【
図25】本発明の一実施の形態例によるビル機器の検索から稼働データの表示までの流れの例を示すフローチャートである。
【
図26】本発明の一実施の形態例によるビル機器情報の検索画面の別の例(機器を指定した例)を示す図である。
【
図27】本発明の一実施の形態例によるビル機器情報の検索画面の別の例(エリアを指定した例)を示す図である。
【
図28】本発明の一実施の形態例によるビル機器情報の検索画面の別の例(テナントを指定した例)を示す図である。
【
図29】本発明の一実施の形態例によるビル機器の検索から稼働データの表示までの流れの別の例を示すフローチャートである。
【
図30】本発明の一実施の形態例によるビル機器情報の編集画面の例を示す図である。
【
図31】本発明の一実施の形態例によるビル内部構造情報の編集画面の例を示す図である。
【
図32】本発明の一実施の形態例によるテナント情報の編集画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[ビル情報管理システムの全体構成]
以下、本発明の一実施の形態例について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態例のビル情報管理システムの構成を示す。
ビル情報管理システムは、運用管理センタ100とビル情報編集・表示端末200と、複数のビル300a,300bとを、ネットワーク400で接続して構成される。
【0015】
運用管理センタ100は、ビル情報管理サーバ10を備える。ビル情報管理サーバ10は、それぞれのビル300a,300bの構造情報やビルの内部構造などの情報を管理する。また、ビル情報管理サーバ10は、それぞれのビル300a,300bに設置されたビル情報収集端末30a,30bから、各ビルに設置されたビル関連機器41a,41b,42a,42bの稼働状態などの情報を収集して、関連機器の情報を管理する。
【0016】
ビル情報編集・表示端末200は、各ビル300a,300bに設置されたビル関連機器41a,41b,42a,42bの稼働状態などの情報を表示する。また、ビル情報編集・表示端末200は、各ビル300a,300bに関する情報や、各ビル300a,300bに設置されたビル関連機器41a,41b,42a,42bに関する情報を編集することができる。
【0017】
[ビル情報管理サーバの構成]
図2は、ビル情報管理サーバ10の構成を示す。
ビル情報管理サーバ10は、ネットワークインターフェース11、制御部12、外部記憶装置13、及び内部記憶装置14を備え、これらが相互にデータ転送可能にバス15で接続されている。
ネットワークインターフェース11は、ネットワーク400へのデータの送信処理と、ネットワーク400を経由したデータの受信処理を行う。
【0018】
制御部12は、ビル情報管理サーバ10内での情報の記憶及び記憶情報の管理を制御する。
外部記憶装置13と内部記憶装置14には、ビル情報管理サーバ10が実行する処理の指示を行うプログラムや各種データが記憶されるデータベースを有する。図面ではデータベースはDBと表記する。
【0019】
内部記憶装置14は、ビル情報管理プログラム141、ビル機器情報データベース142、ビル機器稼働情報データベース143、ビル構造情報データベース144、ビル内部構造情報データベース145、テナント情報データベース146、及び機器関連情報データベース147を有する。
制御部12が、ビル情報管理プログラム141を実行することで、各データベース142~147に情報が格納されると共に、各データベース142~147の情報が読み出される。各データベース142~147の情報の読み出しは、ビル情報編集・表示端末200の指示に基づいて行われる。
なお、
図2では、内部記憶装置14がプログラムや各種データベースを記憶する構成を示すが、プログラムやデータの一部又は全てを外部記憶装置13に記憶してもよい。
【0020】
図3は、内部記憶装置14の各データベース142~147に格納される情報のデータ構造を示す。
ビル機器情報データベース142は、各ビルに設置された機器に関する情報を記憶する。すなわち、ビル機器情報データベース142は、機器が設置されたビルの識別子と、機器の識別子と、機器名と、設置場所と、その機器から収集されるデータの種別と、データの単位とを記憶する。例えば、機器が温度センサであるとき、データの種別として温度データが示され、データの単位として摂氏又は華氏の単位の種類が示される。
【0021】
ビル機器稼働情報データベース143は、ビルに設置された機器の稼働情報を記憶する。すなわち、ビル機器稼働情報データベース143は、機器が設置されたビルの識別子と、機器の識別子と、稼働データを記録した日時と、データ種別と、稼働データを記憶する。
ビル構造情報データベース144は、各ビルの構造情報を記憶する。すなわち、ビル構造情報データベース144は、ビルの識別子と、ビルの構造データのファイル名と、ビルの構造データの格納場所を記憶する。
【0022】
ビル内部構造情報データベース145は、ビルの内部構造情報を記憶する。すなわち、ビル内部構造情報データベース145は、ビル内のエリアごとの識別子であるエリア識別子と、エリア名と、構造データファイル名と、内部構造範囲データと、内部構造情報作成日と、内部構造情報廃止日とを記憶する。
【0023】
テナント情報データベース146は、ビルに入居しているテナントに関する情報を記憶する。すなわち、テナント情報データベース146は、テナントごとの識別子であるテナント識別子と、テナント名と、テナント利用場所と、利用開始日時と、利用終了日時とを記憶する。
【0024】
機器関連情報データベース147は、ビル内に設置された機器に関する情報を記憶する。すなわち、機器関連情報データベース147は、機器ごとの識別子である機器識別子と、その機器に関する情報を示す複数の関連機器識別子とを記憶する。
これらの各データベース142~147の記憶データは、ビル情報管理プログラム141を実行することにより、各ビル300a,300bのビル情報収集端末30a,30bなどから情報を収集する管理処理が行われて、取得される。
【0025】
[ビル情報編集・表示端末の構成]
図4は、ビル情報編集・表示端末200の構成を示す。
ビル情報編集・表示端末200は、ネットワークインターフェース21、入出力装置22、制御部23、外部記憶装置24、及び内部記憶装置25を備え、これらが相互にデータ転送可能にバス26で接続されている。
【0026】
ネットワークインターフェース21は、ネットワーク400へのデータの送信処理と、ネットワーク400を経由したデータの受信処理を行う。
入出力装置22は、情報の入力処理及び出力処理を行う。入出力装置22は、表示処理を行う表示部221を有する。また、入出力装置22は、ビル情報編集・表示端末200を利用する作業者が操作するキーボードやマウスなどの入力部(不図示)を有する。
【0027】
制御部23は、ビル情報編集・表示端末200内での情報の処理や、ビル情報管理サーバ10などへの指示などを制御する。
外部記憶装置23と内部記憶装置25は、ビル情報編集・表示端末200が実行する処理の指示を行うプログラムや各種データが記憶されるデータベースを有する。
内部記憶装置25は、ビル情報編集プログラム251と、ビル内部構造情報データベース252と、テナント情報データベース253を有する。
【0028】
内部記憶装置25は、ビル情報編集プログラム251と、ビル内部構造情報データベース252と、テナント情報データベース253を有する。
なお、
図4では、内部記憶装置25がプログラムや各種データベースを記憶する構成を示すが、プログラムやデータの一部又は全てを外部記憶装置24に記憶してもよい。
【0029】
図5は、内部記憶装置25の各データベース252~253に格納される情報のデータ構造を示す。
ビル内部構造情報データベース252は、ビル情報管理サーバ10のビル内部構造情報データベース145が記憶するデータを読み出したものであり、ビル情報管理サーバ10が備えるビル内部構造情報データベース145と同じデータ構造を有する。
【0030】
テナント情報データベース253も、ビル情報管理サーバ10のテナント情報データベース146に記憶されたデータを読み出したものであり、ビル情報管理サーバ10が備えるテナント情報データベース146と同じデータ構造を有する。
【0031】
ビル情報編集・表示端末200は、ビル情報編集プログラム251を実行することで、ビル情報管理サーバ10のビル内部構造情報データベース145及びテナント情報データベース146に記憶されているデータを読み出し、ビル内部構造情報データベース252及びテナント情報データベース253を構築する。
【0032】
そして、入出力装置22による操作などに基づいて、ビル内部構造情報データベース252及びテナント情報データベース253の編集を行うことができる。なお、編集後のビル内部構造情報データベース252及びテナント情報データベース253のデータは、ビル情報管理サーバ10に転送される。
【0033】
[ビル情報収集端末の構成]
図6は、ビル情報収集端末30aの構成を示す。
ビル情報収集端末30aは、ネットワークインターフェース31、制御部32、外部記憶装置33、及び内部記憶装置34を備え、これらが相互にデータ転送可能にバス35で接続されている。
ネットワークインターフェース31は、ネットワーク400へのデータの送信処理と、ネットワーク400を経由したデータの受信処理を行う。
【0034】
制御部32は、ビル情報収集端末30a内での情報の処理や、ビル情報管理サーバ10などへのデータの送信などを制御する。
外部記憶装置33と内部記憶装置34は、ビル情報収集端末30aが実行する処理の指示を行うプログラムや各種データが記憶されるデータベースを有する。
【0035】
内部記憶装置34は、ビル機器稼働情報管理プログラム341と、ビル機器稼働情報データベース342を有する。
なお、
図6では、内部記憶装置34のデータベースにプログラムやデータが記憶される構成を示すが、プログラムやデータの一部又は全てを外部記憶装置33に記憶してもよい。
【0036】
図7は、内部記憶装置34のビル機器稼働情報データベース342に格納される情報のデータ構造を示す。
ビル機器稼働情報データベース342は、ビル内の機器の稼働状態を示す情報を記憶する。すなわち、ビル機器稼働情報データベース342は、機器が設置されたビルの識別子であるビル識別子と、ビルに設置された機器の識別子である機器識別子と、データ記録日時と、データ種別と、稼働データとを記憶する。
【0037】
[ビル構造情報と内部構造情報の例]
図8及び
図9は、ビル構造情報データベース144が記憶するビル構造情報の例を示す。
ビル構造情報は、例えば
図8に示すように、ビルの形状データ144Mで構成される。形状データ144Mは、各階の形状データ144M-1、144M-2、144M-3を有し、それら各階の形状データ144M-1、144M-2、144M-3が積み上げられた三次元のデータ(直交する3軸であるx方向、y方向、z方向のデータ)として構成される。
【0038】
図9は、1階の形状データ144M-1の例を示す。各階の形状データ144M-1、144M-2、144M-3は、二次元のデータ(直交する2軸であるx方向、y方向のデータ)として構成される。
1階の形状データ144M-1は、複数の区画A11~A14、A21~A24を有する。この複数の区画A11~A14、A21~A24は、柱などのビルの建築上の構造などから区切られる区画(エリア)であり、ビルに設置される部屋の区画を示すものではない。
【0039】
図10は、ビル内部構造情報データベース145が記憶するビル内部構造情報の例を示す。
ビル内部構造情報では、
図9に示す各区画A11~A14、A21~A24の詳細が示される。
すなわち、ビル内部構造情報は、
図10に示すように、各区画の識別子である内部構造情報識別子、区画の場所名(エリア名)、構造データファイル名、内部構造範囲データ、内部構造情報作成日、及び内部構造情報廃止部を有する。なお、該当する区画が廃止されていない場合には、内部構造情報廃止部の欄は、空欄になる。
そして、内部構造範囲データの欄には、各区画A11~A14、A21~A24のそれぞれの平面上の範囲(x方向及びy方向の範囲)が示される。
【0040】
また、ビル内部構造情報データベース145が記憶するビル内部構造情報は、ビル内の部屋に関する情報を持つ。
すなわち、
図11に示すように、1階の部屋R101、R102の情報と、エレベーターEV1の情報を持つ。
【0041】
図12は、
図8のビル内部構造情報に示される1階のデータ144M-1の部屋の情報の例を示す。
1階のビル内部構造情報は、複数の部屋R101、R102の情報と、1台のエレベーターEV1とを有する。
そして、内部構造範囲データの欄には、各部屋R101、R102とエレベーターEV1のそれぞれの平面上の範囲(x方向及びy方向の範囲)が示される。なお、該当する部屋やエレベーターが廃止されていない場合には、内部構造情報廃止部の欄は、空欄になる。
【0042】
[テナント情報とビル機器情報の例]
図13及び
図14は、テナント情報データベース146に記憶されるテナント情報の例を示す。
ここでは、
図13に示すように、1階の部屋R101のテナントが、「○○ショップ」であり、部屋R102のテナントが、「□□医院」である。
そして、部屋R101の「○○ショップ」には、2つのビル設備機器FS-001,002が設置され、部屋R102の「□□医院」には、2つのビル設備機器FS-003,004が設置されている。ビル設備機器FS-001,003は、自動ドアであり、ビル設備機器FS-002,004は、温度センサである。
【0043】
図14は、各部屋を利用するテナント情報の具体例を示す。
テナント識別子の欄には、各テナントに付与された識別子が記憶される。
テナント名の欄には、各部屋に入居したテナント名「○○ショップ」、「□□医院」が記憶される。
テナント利用場所の欄には、入居した部屋の番号(部屋の識別子)が記憶される。
利用開始日時の欄には、各テナントが部屋の利用を開始した日付が記憶される。
利用終了日時の欄には、各テナントが部屋の利用を終了した日付が記憶される。テナントが部屋を利用中である場合、利用終了日時は空欄になる。
【0044】
図15は、各部屋に設置されたビル機器の情報の具体例を示す。
ビル識別子の欄には、ビル名の識別子が記憶される。
機器識別子の欄には、ビル機器に付与された識別子が記憶される。
設置場所にの欄には、ビル機器の設置位置が、ビル構造のx方向、y方向の座標位置で示されると共に、部屋番号及び区画名が記憶される。
例えば、機器識別子FS-001の自動ドアは、x方向800、y方向1700の位置で、部屋R101、区画A21に設置されることが示される。
【0045】
データ種別の欄には、ビル機器についての稼働状態を示すデータがどのような種別のデータであるかが記憶される。例えば、自動ドアの場合には、開閉状態のデータ、温度センサの場合には温度データであることが示される。
データ単位の欄には、データの単位が記憶される。例えば、自動ドアの場合には、開閉回数、温度センサの場合には、摂氏又は華氏の単位が示される。
【0046】
[部屋が変更された場合の例]
図16は、
図11に示したビル内の1階の部屋の構成が変更された場合の例を示す。
この
図16の例では、部屋R102が、2つの部屋に分割され、新たに部屋R102、R103が設けられた状態を示す。部屋R102は、変更前(
図11)と変更後(
図16)とで部屋番号(部屋名)は同じであるが、広さや位置が異なる。
【0047】
図17は、
図16に示すように部屋構造が変更された場合の、ビル内部構造情報データベース145に記憶されるビル内部構造情報の例を示す。
この場合、変更前の部屋R102(
図11に示す部屋R102)の情報には、内部構造廃止日の情報が付加される。
そして、変更後に設置された部屋R102、R103に関する情報として、新たな識別子と場所名と内部構造範囲データと内部構造情報作成日(変更日)が付加される。
【0048】
図18は、
図17に示す変更後の部屋のテナント情報の例を示す。
ここでは、
図18に示すように、部屋R101のテナントが、「○○ショップ」であり、部屋R102のテナントが、「●●歯科」であり、部屋R103のテナントが、「△△カフェ」である。
【0049】
図19は、
図18に示すテナント構成に変更された場合の、テナント情報の変更例を示す。
図19の例では、テナント識別子TN-002の「□□医院」に、利用終了日時が付加される。そして、新たにテナント識別子TN-003として、部屋R102の「●●歯科」の情報が入力され、テナント識別子TN-004として、部屋R103の「△△カフェ」の情報が入力される。
【0050】
図20は、変更後の各部屋に設置されたビル機器の配置を示す。
この
図20の例では、部屋R101の機器FS-001,002の設置位置は、
図13に示す変更前と同じである。
そして、変更後の部屋R102には、4台のビル機器FS-005,006,007,008が設置され、部屋R103には、2台のビル機器FS-009,010が設置される。
【0051】
部屋R102のビル機器FS-005は自動ドアであり、ビル機器FS-006は温度センサであり、ビル機器FS-007は空調機器(いわゆるエアコン)であり、ビル機器FS-008は電子ロックである。部屋R103のビル機器FS-009は自動ドアであり、ビル機器FS-010は温度センサである。
【0052】
図21は、
図20に示すビル機器配置に変更された場合における、ビル機器情報データベース142に記憶される情報の変更例を示す。
図21に示すビル機器情報データベース142には、
図15に示すビル機器情報データベース142と比較して、ビル機器FS-005~010の情報が追加されている。そして、各ビル機器についての機器識別子、機種名、設置場所、データ種別、データ単位が記憶される。
なお、
図21では、ビル機器の設置場所の位置の情報(x方向、y方向の位置)は省略されているが、実際には
図15に示す例と同様にそれぞれの設置場所の座標位置が記憶される。
ここまで
図16~
図21で説明したビルの部屋構成の変更と、それに伴ったテナントやビル機器の変更の処理は、ビル情報編集・表示端末200で行われる。
【0053】
[ビル情報編集・表示端末でのビル機器の情報の表示処理]
図22は、ビル情報編集・表示端末200が、ビル機器の稼働データを表示する場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
まず、ビル情報編集・表示端末200は、ビル情報管理サーバ10に対して、データ検索画面を要求する(ステップS11)。このデータ検索画面の要求を受信したビル情報管理サーバ10は、データ検索画面のデータをビル情報編集・表示端末200に伝送する(ステップS12)。
【0054】
データ検索画面のデータを受信したビル情報編集・表示端末200は、表示部221にデータ検索画面を表示し、その画面内での利用者の操作に基づいて、データ検索条件を取得し、取得したデータ検索条件をビル情報管理サーバ10に送信する(ステップS13)。
データ検索条件を取得したビル情報管理サーバ10は、データ検索条件で各データベースの記憶データを検索し、検索結果のデータをビル情報編集・表示端末200に送信する(ステップS14)。
【0055】
検索結果のデータを取得したビル情報編集・表示端末200は、表示部221が検索結果の一覧を表示する。ビル情報編集・表示端末200の利用者は、表示された検索結果の一覧から、稼働データを表示したいビル機器を選択する。利用者によってビル機器が選択されることで、ビル情報編集・表示端末200は、選択されたビル機器についての稼働データ取得要求をビル情報管理サーバ10に対して行う(ステップS15)。
【0056】
稼働データ取得要求を受信したビル情報管理サーバ10は、指定されたビル機器についての稼働データをビル情報編集・表示端末200に送信する(ステップS16)。稼働データを受信したビル情報編集・表示端末200は、表示部221に指定されたビル機器の稼働データを表示する。
【0057】
図23は、ステップS13でビル情報編集・表示端末200の表示部221に表示されるビル機器情報検索画面1000の例を示す。
ビル機器情報検索画面1000には、検索画面1100として、「ビル機器情報検索」が表示され、検索条件の入力項目1110として、機器名、エリア名、テナント名の3つが表示される。ここでは、エリア名を選択した例を示す。
【0058】
エリア名を選択したとき、ビル機器情報検索画面1000には、エリア種別1111とエリア名称1112の入力箇所が表示され、利用者はそれぞれの入力で検索するビル機器が設置されたエリアを指定する。
図23の例では、エリア種別1111として、間取りが指定され、エリア名称1112として、部屋番号(部屋R102)が指定された状態を示す。
なお、エリア種別として、ビル構造が指定された場合には、エリア名称では、ビル構造の区画(
図9に示す区画)を指定することができ、ビル構造の区画からビル機器を検索することもできる。
【0059】
ビル機器情報検索画面1000の対象期間1113の欄には、検索する際に有効な期間(日付)を入力することができる。この対象期間1113は指定しなくてもよい。
これらの各項目が入力された状態で、検索ボタン1120が押されることで、ビル情報編集・表示端末200からビル情報管理サーバ10に、検索条件の情報が伝送される。
【0060】
図23に示すように、ビル機器情報検索画面1000の機器情報1200には、検索結果の一覧が表示される。
図23の例では、部屋R102に設置されたビル機器の一覧を表示した状態を示す。但し、ここでの部屋R102は、
図20に示すように変更後のものである。変更前の部屋R102のビル機器の一覧を表示するためには、対象期間1113の欄に、変更前の日付を入力する必要がある。
【0061】
図23に示す機器情報1200の一覧では、機器名1201、設置場所1202、及び稼働データの取得の可否1203が表示される。ここでは、温度センサとエアコンについて、稼働データの取得が可であることが示されている。
そして、機器情報1200の箇所に表示された稼働データ表示ボタン1210が押されることで、ビル情報編集・表示端末200からビル情報管理サーバ10に対して、稼働データの取得要求(ステップS15)が行われる。
【0062】
図24は、ビル情報編集・表示端末200の表示部221に表示される機器稼働データ一覧2000の例を示す。
機器稼働データ一覧2000には、機器名2001、設置場所2002、データ記録日時2003、稼働データ2004、及び出力履歴2005が示される。
図24の例では、部屋R102に設置された温度センサが計測した温度と、空調機器(エアコン)の運転状態の一覧が、各データを記録した日時と共に示されている。
【0063】
また、機器稼働データ一覧2000には、ダウンロードボタン2010が表示され、ダウンロードボタン2010が押されると、それぞれの機器稼働データの詳細がビル情報管理サーバ10からビル情報編集・表示端末200に転送される。
ビル情報編集・表示端末200における機器稼働データの詳細は、表示部221に表示される。例えば、表示部221は、温度センサの計測温度をグラフで表示したり、空調機器の運転状態の時系列での変化状態を表示したりすることができる。
【0064】
図25は、ビル情報編集・表示端末200で、ビル機器を検索して表示する流れを示すフローチャートである。
まず、ビル情報編集・表示端末200では、データ検索画面(
図23)でデータ検索条件が入力される(ステップS21)。ここで、ビル情報編集・表示端末200は、入力されたデータ検索条件がテナント名か否かを判断する(ステップS22)。ステップS22でデータ検索がテナント名の場合には(ステップS22のYES)、ビル情報編集・表示端末200は、テナント情報データベース146の情報を読み出し、テナントが利用していた場所(部屋)のエリア名(部屋名)を特定する(ステップS23)。
【0065】
また、ステップS22でデータ検索がテナント名でない場合(ステップS22のNO)、及びステップS23でエリア名を特定した後は、ビル情報編集・表示端末200は、さらに検索条件にエリア名が指定されているか否かを判断する(ステップS24)。
ステップS24でデータ検索がエリア名を指定した場合には(ステップS24のYES)、ビル情報編集・表示端末200は、検索条件のエリア種別を特定する(ステップS25)。ここでのエリア種別には、例えば部屋名と区画名とがある。
【0066】
ステップS24でデータ検索がエリア名の指定でない場合(ステップS24のNO)、及びステップS25でエリア種別を特定した後、ビル情報編集・表示端末200は、指定されたエリアに設置されたビル関連機器を特定する(ステップS26)。
また、データ検索画面上での期間指定に基づいて、ビル情報編集・表示端末200は、エリアが有効な期間を特定する(ステップS27)。なお、期間が指定されていない場合には、例えば現時点を有効な期間とする。あるいは、期間が指定されていない場合には、データベースに蓄積されている全期間を有効期間としてもよい。
【0067】
そして、ビル情報編集・表示端末200は、ステップS26で特定したエリアと、ステップS27で特定した有効期間に対応したビル関連機器のリストを取得し、取得したリストを表示する(ステップS28)。また、取得したビル関連機器のリストに関連した機器が存在する場合、ビル情報編集・表示端末200は、その関連した機器を、ビル関連機器のリストに追加して表示する(ステップS29)。例えば、ビル関連機器として空調機器が指定されたとき、その空調機器の稼働状態を知るための関連機器として、同じ部屋の温度センサをリストに追加する処理を行う。
その後、リスト内の機器の情報のダウンロード操作で、ビル情報編集・表示端末200は、選択された機器の稼働データを取得し、表示する(ステップS30)。
【0068】
[ビル機器の情報の表示の別の例]
図26は、ビル情報編集・表示端末200が表示する別の例(例1)のビル機器情報の検索画面3000を示す。
図26に示す検索画面3000では、選択画面3100として、内部構造情報の対象日3101の欄と、選択表示3102と未選択表示3103とを示した上で、指定された階の平面のビル構造図面3110の表示が行われる。
ビル構造図面3110は、ビルの構造データと内部構造データとを使って作成され、ビル構造図面3110には、各部屋の配置が表示される。ここで、各部屋の内部には、設備機器の位置が、選択表示3102と未選択表示3103のいずれかで示される。
【0069】
また、選択画面3100には、機器情報表示ボタン3120が表示される。この機器情報表示ボタン3120が押されたとき、ビル構造図面3110内の選択表示3102となった設備機器の情報が、ビル情報管理サーバ10からビル情報編集・表示端末200に転送される。
ビル情報編集・表示端末200が取得した設備機器の情報は、検索画面3000の機器情報3200の一覧として表示される。
【0070】
図26に示す機器情報3200の一覧では、機器名3201と、設置場所3202と、稼働データの取得の可否3203が表示される。
そして、機器情報3200の箇所に表示された稼働データ表示ボタン3210が押されることで、ビル情報編集・表示端末200からビル情報管理サーバ10に、稼働データの取得要求が行われ、稼働データが表示される。
【0071】
図27は、ビル情報編集・表示端末200が表示するさらに別の例(例2)のビル機器情報の検索画面4000を示す。
図27に示す検索画面4000は、選択画面4100として、対象の場所又はテナントを図面上から直接指定する画面である。すなわち、対象選択表示4101として、エリア名とテナント名のいずれかを選択するようにされており、内部構造情報の対象日4102の欄で対象日が指定される。
ビル構造図面4110の表示は、指定されたエリア名又はテナント名を含むビルの対象階の平面図を表示するものである。
図27の例では、部屋R101を指定した例を示し、ビル構造図面4110内の部屋R101の箇所を、他の部屋R102,R103と区別して選択中であることが分かる表示を行う。
【0072】
そして、選択画面4100には、機器情報表示ボタン4111が表示される。この機器情報表示ボタン4111が押されたとき、ビル構造図面4110の内の選択されたエリア(部屋R101)内の設備機器の情報が、ビル情報管理サーバ10からビル情報編集・表示端末200に転送される。
ビル情報編集・表示端末200が取得した設備機器の情報は、検索画面3000の機器情報4200の一覧として表示される。
【0073】
図27に示す機器情報4200の一覧では、部屋R101に設置された機器の一覧として、機器名4201と、設置場所4202と、稼働データの取得の可否4203が表示される。
そして、機器情報4200の箇所に表示された稼働データ表示ボタン4210が押されることで、ビル情報編集・表示端末200からビル情報管理サーバ10に、稼働データの取得要求が行われ、稼働データが表示される。
【0074】
図28は、ビル情報編集・表示端末200が表示するさらに別の例(例3)のビル機器情報の検索画面5000を示す。
図28に示す検索画面5000は、選択画面5100として、対象の場所又はテナントを図面上から直接指定する画面であり、
図27に示す検索画面4000と同様の構成である。
図28の例では、対象選択表示5101として、テナント名を選択した場合の表示例を示す。この場合にも、内部構造情報の対象日5102の欄で対象日を指定することができる。
ビル構造図面5110の表示は、指定されたテナント名を含むビルの対象階の平面図を表示するものである。
図28の例では、テナント名「○○ショップ」を指定した例を示し、ビル構造図面5110内の「○○ショップ」の部屋R101の箇所を、他の部屋R102,R103と区別して選択中であることが分かる表示を行う。
【0075】
そして、機器情報表示ボタン5111が押されたとき、ビル構造図面5110の内の選択されたテナント(部屋R101)内の設備機器の情報が、ビル情報管理サーバ10からビル情報編集・表示端末200に転送される。
ビル情報編集・表示端末200が取得した設備機器の情報は、検索画面3000の機器情報5200の一覧として表示される。
【0076】
図28に示す機器情報5200の一覧では、テナント名「○○ショップ」の部屋R101に設置された機器の一覧として、機器名5201と、設置テナント5202と、稼働データの取得の可否5203が表示される。
そして、機器情報5200の箇所に表示された稼働データ表示ボタン5210が押されることで、ビル情報編集・表示端末200からビル情報管理サーバ10に、稼働データの取得要求が行われ、稼働データが表示される。
【0077】
図29は、ビル情報編集・表示端末200が、
図25~
図28の検索画面でビル機器を検索して表示する流れを示すフローチャートである。
まず、ビル情報編集・表示端末200では、内部構造情報の対象日が入力される(ステップS31)。対象日が入力されると、ビル情報編集・表示端末200は、入力された対象日のビル内部構造情報による平面図を画面に表示する(ステップS32)。
【0078】
次に、検索対象が画面上で選択されると(ステップS33)、ビル情報編集・表示端末200は、選択された検索対象がビル設備機器を直接指定するものか否かを判断する(ステップS34)。検索対象がビル設備機器を直接指定する例は、
図26の表示例に相当する。
ステップS34で、検索対象がビル設備機器と判断したとき(ステップS34のYES)、ビル設備機器の実績データを表示する機器を必要数選択する処理が画面上で行われる(ステップS41)。
【0079】
また、ステップS34で、検索対象がビル設備機器でないと判断したとき(ステップS34のNO)、ビル情報編集・表示端末200は、検索対象の内部構造情報の座標を図面の中で指定する処理を実行する(ステップS35)。そして、選択された検索対象がテナント名か否かを判断する(ステップS36)。検索対象がテナント名の例は、
図28の表示例に相当する。
【0080】
ステップS36で、検索対象がテナント名と判断したとき(ステップS36のYES)、ビル情報編集・表示端末200は、選択したテナントが有効な期間を特定し(ステップS42)、特定したテナントの利用場所と期間に対応した機器リストを取得する(ステップS43)。そして、ビル情報編集・表示端末200は、取得した機器リストを表示する(ステップS44)。
【0081】
また、ステップS36で、検索対象がテナント名でないと判断したとき(ステップS36のNO)、ビル情報編集・表示端末200は、エリアの選択であると判断し、選択したエリアが有効な期間を特定する(ステップS37)。なお、検索対象がエリアの例は、
図27の表示例に相当する。
その後、ビル情報編集・表示端末200は、特定したエリアと期間に対応した機器リストを取得し、表示する(ステップS38)。
【0082】
ステップS38で表示した機器リストからの機器の選択又はステップS41で機器の選択が行われた後、ビル情報編集・表示端末200は、機器情報表示ボタンが押されることで(ステップS39)、抽出した機器リストを画面に表示する(ステップS40)。
ステップS40又はS44で機器リストを表示したとき、その後に稼働データ表示ボタンが押されることで、ビル情報編集・表示端末200は、該当する機器の稼働データを表示する。
【0083】
[ビル機器情報の編集処理]
ビル情報編集・表示端末200は、ビル情報管理サーバ10が持つ各データベースの情報を編集することができる。
図30は、ビル情報編集・表示端末200の表示部221が表示するビル機器情報の編集画面6000を示す。
ビル機器情報の編集画面6000は、操作種別選択画面6101と、内部構造情報表示画面6102とを有する。
操作種別選択画面6101では、新規追加、移動、編集、削除の4つの操作種別の選択を行うことができる。
内部構造情報表示画面6102では、選択されたビルの階の平面図が表示される。
図30では、指定されたビルの1階の間取りを表示した例を示す。1階の間取りには、部屋名と、各部屋のビル設備機器の位置とが表示される。
【0084】
そして、編集画面6000の下段には、機器名入力欄6111、設置場所入力欄6112、設置座標入力欄6113、データ種別入力欄6114、及びデータ単位入力欄6115が表示され、編集したい機器の設置場所、設置座標、稼働データのデータ種類、及びデータ単位を登録できる。
さらに、編集画面6000には、追加ボタン6121、更新ボタン6122、及び削除ボタン6123が表示され、これらのボタンを押下することで、各欄6111~6115に入力された機器についてのデータの編集(追加、更新、又は削除)が行われる。
【0085】
図31は、ビル情報編集・表示端末200の表示部221が表示するビル内部構造情報の編集画面7000を示す。
ビル内部構造情報の編集画面7000は、操作種別選択画面7101と、内部構造情報表示画面7102とを有する。
操作種別選択画面7101では、新規追加、移動、編集、削除の4つの操作種別の選択を行うことができる。
内部構造情報表示画面7102では、選択されたビルの階の平面図が表示される。
図31では、指定されたビルの1階の間取りを表示した例を示す。1階の間取りには、部屋名が表示される。
【0086】
そして、編集画面7000の下段には、場所名入力欄7103、座標入力欄7104が表示され、編集したい内部構造の場所や座標を登録できる。
さらに、編集画面7000には、追加ボタン7111、更新ボタン7112、及び削除ボタン7113が表示され、これらのボタンを押下することで、各入力欄7111~7112に入力された内部構造についてのデータの編集(追加、更新、又は削除)が行われる。
内部構造の編集を行うことで、例えば、
図11に示す2つの部屋を有するビル内部構造から、
図16に示す3つの部屋を有するビル内部構造への変更などの編集が可能になる。
【0087】
図32は、ビル情報編集・表示端末200の表示部221が表示するビルテナント情報の編集画面8000を示す。
ビルテナント情報の編集画面8000は、操作種別選択画面8101と、内部構造情報表示画面8102とを有する。
操作種別選択画面8101では、新規追加、編集、削除の3つの操作種別の選択を行うことができる。
内部構造情報表示画面8102では、選択されたビルの階の平面図が表示される。
図32では、指定されたビルの1階の間取りを表示した例を示す。1階の間取りには、各部屋のテナント名が表示される。
【0088】
そして、編集画面8000の下段には、テナント名入力欄8103、利用場所名入力欄8104、利用期間入力欄8105が表示され、編集したいテナント名の場所や登録日又は削除日を登録できる。
さらに、編集画面8000には、追加ボタン8111、更新ボタン8112、及び削除ボタン8113が表示され、これらのボタンを押下することで、各入力欄8103~8105に入力されたテナント名についてのデータの編集(追加、更新、又は削除)が行われる。
テナント名の編集が行えることで、例えば、
図13に示すテナントから、
図18に示すテナントへの変更などの編集が可能になる。
【0089】
以上説明したように、本発明のビル情報管理システムによると、ビルに設置された設備機器を、様々な形態で検索して、その設備機器の稼働データを表示できるようになる。すなわち、ビルの区画などの内部構造から検索できるだけでなく、ビルの部屋名や、テナント名からも検索できるようになる。したがって、ビル情報編集・表示端末200を操作する利用者が使いやすい形態で検索できるようになる。
【0090】
例えば、ビルの設計データを熟知した利用者の場合には、ビルの区画から検索を行うことができる。また、部屋名やテナント名を知っている利用者の場合には、部屋名又はテナント名から、ビルに設置された機器の情報を検索でき、データベース化されたビルに設置された機器の情報を適切に検索できるようになる。
【0091】
この場合、検索時には、検索する期間などの範囲を指定することで、現在のデータの検索だけでなく、過去のデータの検索も可能になる。
また、検索する期間が指定できることで、同じ部屋名であっても特定の時点で変更されたような場合に、変更前のデータと変更後のデータが混在することがなく、特定の機器だけを適切に選ぶことが可能になる。
また、ビルの内部構造やテナント名、機器の情報を、ビル情報編集・表示端末200で編集できるようにしたことで、実際の利用形態に合わせて、ビルに設置された機器などの情報を簡単且つ容易に編集できるようになる。
【0092】
[変形例]
本発明は、上述した実施の形態例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、各図に示した表示画面は、検索画面などの一例を示すものであり、図示したものに限定されるものではない。
【0093】
また、上述した実施の形態例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、
図1、
図2などの構成図では、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものだけを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
また、
図25、
図29に示すフローチャートにおいて、実施の形態例の処理結果に影響がない範囲で、一部の処理ステップの実行順序を入れ替えたり、一部の処理ステップを同時に実行したりするようにしてもよい。
【0094】
また、上述した実施の形態例では、ビル情報管理サーバ10が各ビルについてのデータを記憶し、ビル情報編集・表示端末200がビル情報管理サーバ10に記憶された情報の検索、表示、編集を行うようにした。これに対して、1つの端末内で、データベースの構築と、そのデータベースの情報の検索、表示、編集を行うようにしてもよい。逆に、ビル情報管理サーバ10を設けて、1箇所で各ビルの情報を集中管理する代わりに、各ビル側の端末内にデータを記憶させて、ビル情報編集・表示端末200が必要な情報を各ビル内の端末から随時読み出して、同様の処理を行うようにしてもよい。
【0095】
また、上述した実施の形態例では、ビル関連機器(ビル設備機器)として、温度センサ、自動ドア、空調機器などを示した。これに対して、ビルに設置されて稼働データを取得可能な機器であれば、その他の機器の稼働データを取得してもよい。例えば、ビルに設置されたトイレの利用回数、人感センサの感知回数、換気用のファンの作動状態、照明機器の点灯状態、エレベーターなどの昇降機の稼働状態など、様々なビルに設置された機器の稼働状態を取得してもよい。
【0096】
また、上述した実施の形態例で説明した構成は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラムなどの情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又はICカード、SDカード、光ディスク等の記録媒体に置くことができる。
【符号の説明】
【0097】
10…ビル情報管理サーバ、11…ネットワークインターフェース、12…制御部、13…外部記憶装置、14…内部記憶装置、15…バス、21…ネットワークインターフェース、22…入出力装置、23…制御部、24…外部記憶装置、25…内部記憶装置、26…バス、30a,30b…ビル情報収集端末、31…ネットワークインターフェース、32…制御部、33…外部記憶装置、34…内部記憶装置、35…バス、41a,41b,42a,42b…ビル関連機器、141…ビル情報管理プログラム、142…ビル機器情報データベース、143…ビル機器稼働情報データベース、144…ビル構造情報データベース、145…ビル内部構造情報データベース、146…テナント情報データベース、147…機器関連情報データベース、200…ビル情報編集・表示端末、221…表示部、251…ビル情報編集プログラム、252…ビル内部構造情報データベース、253…テナント情報データベース、341…ビル機器稼働情報管理プログラム、342…ビル機器稼働情報データベース、3000,4000,5000…検索画面、6000,7000,8000…編集画面、A11~A14,A21~A24…区画、EV1…エレベーター、R101~R103…部屋