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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】光学システムの洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
B60S1/62 120A
B60S1/62 110A
B60S1/62 110B
B60S1/62 110C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022551815
(86)(22)【出願日】2021-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2021051629
(87)【国際公開番号】W WO2021170324
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】2002050
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック、ジロー
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第02026853(DE,A1)
【文献】特開昭63-258243(JP,A)
【文献】実開平05-013868(JP,U)
【文献】国際公開第2019/097876(WO,A1)
【文献】特開2019-077213(JP,A)
【文献】国際公開第2008/126406(WO,A1)
【文献】特開2017-217946(JP,A)
【文献】欧州特許第03580099(EP,B1)
【文献】特開2016-000599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00 - 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の少なくとも1つの光学面(7)を洗浄するための洗浄装置(2)であって、
長手方向延在軸(100)を有する1つのロッド(4)であって、洗浄流体(14)を噴霧するための噴霧要素(41)を備えるロッド(4)と、
前記光学面(7)を払拭するように構成されたワイパーブレード(6)と
記ロッド(4)を前記長手方向延在軸(100)に対して平行な第1長手移動方向(101)と、前記第1長手移動方向(101)とは反対の第2長手移動方向(102)とにおいて移動させるように制御される少なくとも1つの作動手段
前記ワイパーブレード(6)を前記光学面(7)に対して押し付けた状態にすることにより発生する、前記光学面(7)から前記ロッド(4)を離間させようとする、前記ロッド(4)に及ぼされる少なくとも1つの復元力(200)を制限し且つ補償する、又は制限する、又は補償するための少なくとも1つの手段(8、9)
を備え、
前記ワイパーブレード(6)は、前記ロッド(4)の前記長手方向延在軸(100)の方向における前記ワイパーブレード(6)の一側から突出して延びる片側ストッパユニット(63)を備え、前記長手方向延在軸(100)の方向における前記ワイパーブレード(6)の他側から突出する部分を備えないことにより、前記ロッド(4)に及ぼされる少なくとも1つの復元力(200)を制限し且つ補償する、又は制限する、又は補償するための前記手段(8,9)としての第1手段(8)を構成し、前記片側ストッパユニット(63)は、前記ロッド(4)の起動のための前記作動手段を向くように、前記長手方向延在軸(100)に平行な方向に延びるか、
又は、
前記ロッド(4)の起動のための前記作動手段は、ジャッキ(3)の形態にあり、前記ジャッキ(3)は、チャンバ(32)を形成するジャッキ本体(31)と、前記ジャッキ本体(31)の内部で移動可能であるピストン(5)と、を備え、前記ピストン(5)は、前記ロッド(4)の端部に接続し、前記ロッド(4)は、前記ジャッキ本体(31)の内部での前記ピストン(5)の移動方向に応じて、前記ジャッキ本体(31)の外側に少なくとも部分的に出現可能であるとともに、前記ジャッキ本体(31)の内部に少なくとも部分的に復帰可能であり、前記ジャッキ本体(31)は、管状部分(33)を備え、前記管状部分(33)の長手方向端部は、前記ロッド(4)の通過を許容する開口(38)を設けられた第1終端壁(34)を備え、前記ピストン(5)は、接続面(51)と、前記チャンバ(32)に存在する流体から及ぼされる推力(300)に抵抗するように構成された支持面(52)と、を備え、前記ロッド(4)は、前記接続面(51)から延び、前記支持面(52)は、前記ロッド(4)の前記長手方向延在軸(100)に垂直な平面に対して傾斜を有するか、
又は、
前記ワイパーブレード(6)は、前記ロッド(4)の前記長手方向延在軸(100)の方向における前記ワイパーブレード(6)の一側から突出して延びる片側ストッパユニット(63)を備え、前記長手方向延在軸(100)の方向における前記ワイパーブレード(6)の他側から突出する部分を備えないことにより、前記ロッド(4)に及ぼされる少なくとも1つの復元力(200)を制限し且つ補償する、又は制限する、又は補償するための前記手段(8,9)としての第1手段(8)を構成し、前記片側ストッパユニット(63)は、前記ロッド(4)の起動のための前記作動手段を向くように、前記長手方向延在軸(100)に平行な方向に延び、且つ前記ロッド(4)の起動のための前記作動手段は、ジャッキ(3)の形態にあり、前記ジャッキ(3)は、チャンバ(32)を形成するジャッキ本体(31)と、前記ジャッキ本体(31)の内部で移動可能であるピストン(5)と、を備え、前記ピストン(5)は、前記ロッド(4)の端部に接続し、前記ロッド(4)は、前記ジャッキ本体(31)の内部での前記ピストン(5)の移動方向に応じて、前記ジャッキ本体(31)の外側に少なくとも部分的に出現可能であるとともに、前記ジャッキ本体(31)の内部に少なくとも部分的に復帰可能であり、前記ジャッキ本体(31)は、管状部分(33)を備え、前記管状部分(33)の長手方向端部は、前記ロッド(4)の通過を許容する開口(38)を設けられた第1終端壁(34)を備え、前記ピストン(5)は、接続面(51)と、前記チャンバ(32)に存在する流体から及ぼされる推力(300)に抵抗するように構成された支持面(52)と、を備え、前記ロッド(4)は、前記接続面(51)から延び、前記支持面(52)は、前記ロッド(4)の前記長手方向延在軸(100)に垂直な平面に対して傾斜を有すること
を特徴とする、
洗浄装置(2)。
【請求項2】
前記ワイパーブレード(6)は、前記ロッドと一体のヒール部(61)と、前記光学面を払拭するように構成された摩擦要素(62)と、を備え、
前記ヒール部と前記摩擦要素とは、中間部分(65)により互いに接続し、
前記片側ストッパユニット(63)は、前記ワイパーブレード(6)の一側のみから、前記中間部分(65)を起点として突出して延びる、
請求項1に記載の洗浄装置(2)。
【請求項3】
前記ジャッキ本体(31)は、前記洗浄流体(14)の吸入のためのオリフィス(37)を備える第2終端壁(35)を備える、
請求項1に記載の洗浄装置(2)。
【請求項4】
前記ロッド(4)は、前記洗浄流体(14)の通流のための少なくとも1つのチャネル(42)を備え、
前記チャネル(42)は、前記洗浄流体(14)の吸入のための前記オリフィス(37)を前記噴霧要素(41)に接続する、
請求項3に記載の洗浄装置(2)。
【請求項5】
前記ピストン(5)は、ガイド面(53)を備え、
前記ガイド面(53)は、前記ピストン(5)の長手方向寸法よりも大きい長手方向寸法を有し、
前記ガイド面(53)は、前記ジャッキ本体(31)の前記状部分(33)のエリアであって、前記ロッド(4)の前記長手方向延在軸(100)および前記ワイパーブレード(6)の主延在寸法を備える平面に対して前記ワイパーブレード(6)の反対側にあるエリアに対面し、
前記ピストン(5)は、前記ロッド(4)に及ぼされる少なくとも1つの復元力(200)を制限し且つ補償する、又は制限する、又は補償するための第2手段(9)を構成する、
請求項1に記載の洗浄装置(2)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの洗浄装置(2)と、
洗浄流体(14)のリザーバー(11)と、
前記洗浄流体(14)を前記リザーバー(11)から前記噴霧要素(41)に移送するポンプ(12)と、
を備える車両の少なくとも1つの光学システムを洗浄するためのシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の内部に配置される光学システムの分野に関し、より具体的には、このような光学システムの洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車市場の技術革新の進展に伴い、車両に存在するセンサ等の光学システムの個数が、近年顕著に増加している。このタイプの光学システムは、特に運転支援システムや運転の自動化を目的として使用されている。この点に関して、これらの光学システムは、悪天候に曝され得る一方で、取得したデータの信頼性が要求されるため、これらのシステムを洗浄する必要が急速に感じられている。
【0003】
光学システムの近傍に、ロッドを備えたジャッキを有する洗浄装置を設置することが知られている。ロッドは、ジャッキ本体から出現するとともに、ロッドの出現する端部に配置された噴霧要素によって洗浄流体を光学システムに噴霧する。この装置は、例えば、ドライバーが制御ボタンをオンにすることによって作動する、または、光学システムのガラス面に存在する汚れが検出された場合に自動的に作動する。そして、ロッドは、光学システムの検出領域から外れた格納位置から、噴霧要素が洗浄すべき光学システムの表面に対面する作動位置に向かう。ロッドがジャッキ本体から出現する際、ロッドの端部に配置された噴霧要素すなわちノズルのレベルにおいて、洗浄流体が光学システムにロッドの移動中ずっと噴霧され得ることを理解されたい。
【0004】
本発明は、上述のような伸縮式ノズル洗浄装置の文脈にある。伸縮式ノズル洗浄装置において、ワイパーブレードは装置に組み込まれており、洗浄流体の噴霧後に光学システムのガラス面を払拭し得るように、前記ブレードはロッドと一体化され、したがって、ブレードは、ノズルに続いてロッドにより駆動される。
【0005】
しかしながら、伸縮式洗浄装置にワイパーブレードを追加することで、機械的応力に関する問題が発生する虞がある。実際に、光学システムの表面を効率良く払拭し得るように、ワイパーブレードを洗浄すべき表面に押し付けるため、この応力により装置のロッドに大きな力が及ぼされる。こうしてロッドは、変形したり位置ずれしたりしやすくなり、ロッドの出現動作に支障が生じ得る。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、特に洗浄すべき表面上でワイパーブレードが変形することによりロッドに及ぼされる機械的応力を、車両の少なくとも1つの光学面を洗浄するための装置を提案することにより、制限することを可能とする。前記装置は、主として長手方向延在軸に沿って延びる少なくとも1つのロッドであって、洗浄流体を噴霧するための要素を備えるロッドと、前記光学面を払拭するように構成されたワイパーブレードと、を備え、前記洗浄装置は、前記ロッドを前記長手方向延在軸に対して平行な第1長手移動方向と、前記第1長手移動方向とは反対の第2長手移動方向とにおいて移動させるように制御される少なくとも1つの作動手段を備え、前記洗浄装置は、前記ロッドに及ぼされる少なくとも1つの復元力を制限および/または補償するための少なくとも1つの手段を備えることを特徴とする。
【0007】
光学システムは、例えば、カメラ等の画像取込用光学センサの形態を取り得る。光学システムは、CCD(charge-coupled device(電荷結合素子))センサ、または小型フォトダイオードのマトリクスを備えるCMOSセンサであり得る。他の例によれば、光学システムは、例えば、赤外線カメラ等の赤外線放射センサの形態を取り得る。また、光学システムは、例えば、ヘッドランプ等の発光体、またはLED等の光電子デバイスの形態も取り得る。
【0008】
あるいは、光学システムは、例えば、電波の発信と受信のためのRADAR(Radio Detection and Ranging(レーダー))、または遠隔レーザー検出のためのLIDAR(Light Detection and Rangingの頭文字(ライダー))、または赤外線の発信と受信のための赤外線センサ/エミッタ等の電磁放射エミッタ-レシーバの形態を取り得る。
【0009】
ロッドは、2つの長手移動方向において移動可能である。これらの方向は、ロッドの長手方向延在軸に対して平行である。作動手段は、例えば、洗浄装置が割り当てられた光学システムの光学面を洗浄する必要があるとき、例えば、光学面に光学システムの良好な動作を妨げる汚れが付いていることが検出された場合に、ロッドを制御することができる。次いで、ロッドは、光学システムの全表面を洗浄できるように移動する。ロッドは、第1洗浄フェーズにおいて、第1長手移動方向に移動し、その後の第2洗浄フェーズにおいて、第2長手移動方向に移動する。
【0010】
洗浄流体は、第1洗浄フェーズにおいて、ロッドの移動と平行に噴霧される。したがって、洗浄流体は、光学面の全長に亘って噴霧され得るため、当該面は全体的に洗浄され得る。洗浄流体が光学面に噴霧された後、ワイパーブレードが、洗浄流体を除去するように当該面を払拭する。ワイパーブレードは、ロッドの長手方向延在軸に対して実質的に垂直な主延在寸法を有している。洗浄流体は、噴霧要素により噴霧され、その後ワイパーブレードにより払拭されなければならないため、ブレードは、ロッドのレベル(高さ)において、洗浄フェーズ中にロッドが実施する長手移動の第1方向に対して噴霧要素から下流に配置されなければならない。
【0011】
ワイパーブレードは、光学面がこのワイパーブレードにより払拭される際に、当該面に押し付けられる。このタイプの押し付けにより、光学面を最適に払拭することができ、光学面は正しく洗浄される。ワイパーブレードが光学面に接触してこれに押し付けられることを保証するために、ワイパーブレードは、ロッドの長手方向延在軸と光学面との間の距離よりも大きい寸法を、対応する軸に沿って有していなければならない。このような押し付けは、良好な洗浄を実施するために必要であるが、ロッドにこれを位置ずれさせようとする復元力を発生させる。
【0012】
より詳細には、復元力は、光学面からワイパーブレードに及ぼされる応力に由来する。ワイパーブレードはこの応力をロッドに伝達する。洗浄すべき表面に対して垂直な復元力、ひいてはロッドの長手方向延在軸に対して垂直な復元力の方向の結果、復元力は、特に噴霧要素を備えたロッドの端部を遠ざけることにより、ロッドをオフセットしようとする。換言すれば、ロッドに及ぼされる復元力は、ロッドの変形、変位、詰まり、または破損等のロッドの劣化を生じさせる力に相当する。復元力は、ロッドの長手移動方向、およびワイパーブレードの主寸法の両方に対して垂直な方向を有している。上述のように、ワイパーブレードの主寸法は、ロッドの長手方向延在軸に対して垂直である。
【0013】
本発明による洗浄装置により、このタイプの復元力を制限および/または補償することができるとともに、ロッドを機能的に維持することができる、すなわち、その長手方向延在軸を長手移動方向に対して平行に、かつ洗浄すべき面、すなわち光学面により形成される平面に対して実質的に平行に維持することができる。
【0014】
本発明の特徴によれば、前記ワイパーブレードは、前記ワイパーブレードの一側のみから突出して延びる片側ストッパユニットを備え、前記片側ストッパユニットは、前記ロッドに及ぼされる少なくとも1つの復元力を制限および/または補償するための第1手段を構成する。
【0015】
本発明の別の特徴によれば、前記ワイパーブレードは、前記ロッドと一体のヒール部と、前記光学面を払拭するように構成された摩擦要素と、を備え得る。前記ヒール部と前記摩擦要素とは、中間部分により互いに接続する。前記片側ストッパユニットは、前記ワイパーブレードの一側から、前記中間部分を起点として突出して延び得る。ヒール部により、ワイパーブレードをロッドに接続することが可能とされる。接続は、例えば、ワイパーブレードのヒール部を、ロッドに固定されたブレード支持体に固定することにより実施され得る。ただし、機械的な緩衝なくワイパー装置の良好な動作を維持することが本質であり、任意の接続手段が想定可能である。
【0016】
摩擦要素は、ロッドの反対側に配置される。光学システムの光学面を払拭するのは、この摩擦要素である。ワイパーブレードは、例えばゴムや可撓性の合成材料等の変形可能な材料から構成されているため、摩擦要素は、光学面との接触、ならびにロッドの移動の影響を受けて変形し得る。ヒール部と摩擦要素とは、例えば、中間部分を構成する可撓性材料片により接続され得る。
【0017】
摩擦要素は、ロッドが行う長手移動の方向と反対の方向に変形する。片側ストッパユニットは、ワイパーブレードの中間部分の一側から突出することにより、摩擦要素が単一の移動方向のみに変形する場合に摩擦要素に接触するストッパを形成する。片側ストッパユニットは、摩擦要素の変形を、これを光学面に押し付けることにより制限する。したがって、片側ストッパユニットは、ロッドが任意の移動方向に移動する際に、ワイパーブレードの払拭の効率を最適化することができる。
【0018】
ワイパーブレードの片側ストッパユニットが配置される側面は、ロッドが第1長手移動方向に移動するとき、摩擦要素がその変形にも関わらず光学面に押し付けられた状態が確実に維持されるように選択される。
【0019】
ロッドが第2長手移動方向に移動するとき、すなわち、洗浄装置による洗浄フェーズの後は、摩擦要素を光学面に押し付ける必要はもうない。ストッパユニットは、片側という特性を有するため、ロッドが第2長手移動方向に移動する際に摩擦要素を光学面に押し付ける第2ストッパユニットは存在しない。したがって、摩擦要素は、光学面に押し付けられることなく、これに沿って摺動することになり、ロッドに及ぼされる復元力が減衰される。
【0020】
本発明の特徴によれば、前記片側ストッパユニットは、前記ロッドの作動のための前記手段を向くように配向される。換言すれば、片側ストッパユニットは、ワイパーブレードの中間部分から、ロッドの作動のための手段の方向に突出して延びる。上述のように、片側ストッパユニットの配向により、摩擦要素を光学面に長手移動方向においてのみ押し付けることができる。
【0021】
本発明の特徴によれば、前記ロッドの起動のための前記手段は、ジャッキの形態にあり、前記ジャッキは、チャンバを画定するジャッキ本体と、前記ジャッキ本体の内部で移動可能であるピストンと、を備え、前記ピストンは、前記ロッドの端部に接続し、前記ロッドは、前記ジャッキ本体の内部での前記ピストンの移動方向に応じて、前記ジャッキ本体の外側に少なくとも部分的に出現可能であるとともに、前記ジャッキ本体の内部に少なくとも部分的に復帰可能であり、前記ジャッキ本体は、管状部分を備え、前記管状部分の長手方向端部は、前記ロッドの通過を許容する開口を設けられた第1終端壁を備える。
【0022】
ジャッキは、例えば、空気圧、液圧、または電気により制御され得る。ジャッキ本体は、ジャッキ本体からロッドを出現させることを可能とするように構成される。ピストンは、ロッドの端部に配置される。したがって、ロッドをジャッキ本体から出現させるのはピストンの移動であるが、光学システムの第1洗浄フェーズが実施された後にロッドをジャッキ本体の内部に復帰させるのもピストンの移動である。これにより、ロッドの両長手移動方向における移動は、ピストンのジャッキ本体の外部における並進移動の自由度により許容されることが理解される。ジャッキ本体およびピストンは、例えば円筒形状を有し得る。ピストンは、ジャッキ本体の中で移動可能であるように、ジャッキ本体の直径よりも実質的に小さい直径を有している。ピストンの移動は、流体がチャンバ内に流入することにより開始される。前記流体は、ピストンに推力を及ぼしてこれを移動させる。ピストンは、電気によっても制御され得る。
【0023】
ジャッキ本体の管状部分は、例えば円筒形であり得るとともに、部分的に第1終端壁により画定されている。第1終端壁を介して、ロッドがジャッキ本体から出現しその内部に復帰する。第1終端壁の開口は、有利には、ロッドの形状に遊びを持つ範囲で適合する。第1終端壁の開口の寸法、例えば直径は、ロッドの厚さと実質的に等しくてもよい。したがって、このタイプの構成において、ロッドは、第1終端壁を介して流体が漏れることを防止しつつ、開口を長手方向に摺動して通過することができる。光学面からロッドに及ぼされる復元力の影響を受けて、前記復元力により生じる力のモーメントにより、第1終端壁の開口は、レバーを形成し得るとともに、開口の周囲でロッドが傾き得る。そして、本発明によるロッドに及ぼされる少なくとも1つの復元力を制限および/または補償するための単数または複数の手段は、復元力の強度を減少させることにより、および/または復元力により生じたモーメントに対して逆方向の補償モーメントを生成するため、この力のモーメントを減衰させるように構成されている。
【0024】
ロッドおよび開口が円形の形状を有する場合、洗浄装置は、ロッドがその延在軸を中心として回転すること、および並進移動することを防止し得る回転防止装置を備え得る。非限定的な例として、このタイプの回転防止装置は、ロッドに沿って延びる溝と、開口に配置され、ロッドの溝に相補的な形状を有する凸部とから構成され得る。溝における凸部の受容部は、ロッドの開口に沿った摺動は許容するが、開口の内部でのロッドの回転は防止する。
【0025】
本発明の特徴によれば、前記ジャッキ本体は、前記洗浄流体の吸入のためのオリフィスを備える第2終端壁を備える。第2終端壁は、長手方向において第1終端壁の反対側にあり、管状部分を画定する。したがって、終端壁の各々が、一方の終端壁から他方まで長手方向に移動可能なピストンの行程を決定する。液圧ジャッキの場合、第2終端壁により、ピストンの移動に伴って可変の体積を有する緩衝エリアも画定され得る。このエリアは、ピストンから第2終端壁まで延びる。
【0026】
本発明の特徴によれば、前記ロッドは、前記洗浄流体の通流のための少なくとも1つのチャネルを備え、前記チャネルは、前記洗浄流体の吸入のための前記オリフィスを前記噴霧要素に接続する。通流チャネルは、ピストンおよびロッドを通過して噴霧要素に達するまで延びる。したがって、洗浄流体は、この通流チャネルの内部を通流して、光学システムの光学面に、噴霧要素により噴霧され得る。有利には、通流チャネルの直径は、洗浄流体が高圧でそこに流入し得ることにより、光学面に効率的に噴霧され得るようなものとされる。
【0027】
洗浄流体を一方から他方へ通流可能とする洗浄流体吸入オリフィスと通流チャネルとの接続は、種々の態様で確立され得る。液圧ジャッキの一例の場合、洗浄流体は、洗浄流体吸入オリフィスを介して流れ緩衝エリアを満たし得る。このタイプの構成において、洗浄流体は、通流チャネルに導入され噴霧要素に到達して光学システムの光学面に噴霧されつつ、ピストンの移動をもたらす推進流体としても作用し得る。液圧ジャッキの別の例によれば、または空気圧ジャッキの例において、流体吸入オリフィスおよび通流チャネルは、例えば管により接続され得る。ピストンは管に沿って摺動するように構成される。したがって、洗浄流体は、吸入オリフィスから管を介して通流チャネルを直接的に通過し、そして、ピストンの推進を確保すべく緩衝エリアに注入されるのは、二次流体である。二次流体は、例えば、液圧ジャッキの場合には水、または空気圧ジャッキの場合には圧縮空気であり得る。
【0028】
本発明の特徴によれば、前記ピストンは、接続面と、前記チャンバに存在する流体から及ぼされる推力に抵抗するように構成された支持面と、を備え、前記ロッドは、前記接続面から延び、前記支持面は、前記ロッドの前記長手方向延在軸に垂直な平面に対して傾斜を有する。換言すれば、接続面および支持面は、ピストンの移動方向において互いに対向する面であり、接続面はジャッキ本体の第1終端壁を向くように配向され、支持面はジャッキ本体の第2終端壁を向くように配向される。ピストンは、ロッドの延在軸と同軸とされ得る。ピストンが回転体の形状を有する場合、ロッドの延在軸は、ジャッキ本体、ピストン、およびロッドの回転軸に対応する。
【0029】
ピストンの接続面は、ロッドの延在軸に対して垂直である。支持面は、その一部で、ロッドの延在軸に垂直な平面に対して傾斜している。したがって、接続面と支持面とは、互いに対して平行ではない。ピストンの支持面の傾斜を変更することにより、流体からピストンに及ぼされる推力の全体的な方向に変更が生じる。したがって、推力は、ピストンの長手方向移動を許容する長手方向成分と、光学面からロッドに及ぼされる復元力と同じ方向の鉛直方向成分と、を有する。このため、鉛直方向成分により、復元力に由来するモーメントであってロッドに及ぼされるモーメントを確保することができるため、とりわけ詰まりによる影響が防止される。前記モーメントは、上述のように、第1終端壁の開口により形成されたレバーを中心としてロッドを枢動させ得る。推力の鉛直方向成分により、この力のモーメントに対する補償モーメント、すなわち、復元力により生じるモーメントの方向とは反対の方向におけるレバーの周囲のモーメントが生成され得るため、第1洗浄フェーズにおいてロッドが第1移動方向に移動する際に、ロッドが位置ずれすることが防止される。ジャッキの種類に応じて、推力は洗浄流体から、または二次流体から及ぼされる。
【0030】
本発明の特徴によれば、前記ピストンは、ガイド面を備え、前記ガイド面は、前記ピストンの前記平均長手方向寸法よりも大きい長手方向寸法を有し、前記ガイド面は、前記ジャッキ本体の前記環状部分のエリアであって、前記ロッドの前記長手方向延在軸および前記ワイパーブレードの主延在寸法を備える平面に対して前記ワイパーブレードの反対側にあるエリアに対面し、前記ピストンは、前記ロッドに及ぼされる少なくとも1つの復元力を制限および/または補償するための第2手段を構成する。ピストンの長手方向寸法は、接続面に対して垂直な寸法であって、ピストンの接続面と支持面との間で延びる寸法に対応する。換言すれば、ピストンの長手方向寸法は、接続面と支持面との間で測定したピストンの厚さに対応する。支持面がロッドの長手方向延在軸に垂直な平面に対して傾斜を有し、ピストンの面同士が互いに平行でない上述の文脈において、ピストンの長手方向寸法は、ピストンの一方の縁部からピストンの平均長手方向軸の他方の側の反対側の縁部まで規則的に大きくなる。傾斜は、本例においてガイド面として理解される、最大の長手方向寸法を有するピストンの長手方向部分が、ロッドの長手方向延在軸及びワイパーブレードの主寸法を備える平面に対してワイパーブレードの反対側に位置するように構成される。
【0031】
このタイプの構成は、洗浄装置が第2洗浄フェーズにある際、すなわちロッドが第2長手移動方向において移動してジャッキ本体内に復帰する際に有用である。ワイパーブレードと光学面との接触により、ロッドに及ぼされる復元力が常に生じる。この移動中に、ガイド面は、流体摺動運動を確保するのに移動方向において十分に大きい管状部分との接触面を確保して、ロッドの位置ずれの虞を制限する。
【0032】
したがって、ピストン、より詳細には支持面の傾斜に起因するその形状は、ロッドに及ぼされる復元力を制限および/または補償するための第2手段を構成する。この復元力を制限する態様は、制限および/または補償するための第1手段と以下の点において異なる。すなわち、制限および/または補償するための第1手段は、ロッドに及ぼされる復元力を減衰させるのに対し、制限および/または補償するための第2手段は、ワイパーブレードを介して光学面からロッドに及ぼされる復元力により生じる力のモーメントの方向とは反対方向の力のモーメントを生成することにより、ロッドに及ぼされる復元力を補償する。同一の洗浄装置において制限および/または補償するための2つの手段を組み合わせることで、ロッドがその当初位置に対して平行または実質的に平行な位置に保持されることを最大限に保証することが、完全に想定可能である。
【0033】
制限および/または補償するための第2手段は、ロッドが第1長手移動方向および第2長手移動方向に移動する際に機能する。したがって、これは、ロッドが第2長手移動方向に移動するときのみ機能する制限および/または補償するための第1手段から区別される。
【0034】
また、本発明は、上述の少なくとも1つの洗浄装置と、洗浄流体のリザーバーと、前記洗浄流体を前記リザーバーから前記噴霧要素に移送するポンプと、を備える車両の少なくとも1つの光学システムを洗浄するためのシステムを対象とする。
【0035】
洗浄流体のリザーバーは、使用のために待機する洗浄流体を貯蔵する。ポンプは、例えば、車両のユーザによりなされる手動コマンドに続いて起動する、または、光学システムの光学面の視界が妨害されていることを検出した後に自動的に起動する。したがって洗浄流体は、ポンプにより吸引され、ダクト内をダクトがジャッキ本体の第2終端壁の流入オリフィスに開口するまで通流して通流チャネルを流れ、そして、噴霧要素を介して光学面に噴霧される。
【0036】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の説明と添付の概略図面を参照して非限定的に示される多数の実施形態との両方から、より明瞭に明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、第1実施形態による洗浄装置を備えた洗浄システムの概略図である。
図2図2は、図1における洗浄システムの概略図であって、洗浄装置のロッドを第1長手移動方向において移動させる場合の図である。
図3図3は、図1における洗浄システムの概略図であって、洗浄装置のロッドを第2長手移動方向において移動させる場合の図である。
図4図4は、第2実施形態による洗浄装置を備えた洗浄システムの概略図であって、前記装置のロッドを第1長手移動方向に移動させる場合の図である。
図5図5は、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせた洗浄装置を備えた洗浄システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、ここでは全体として図示しない光学システムの透明な光学面用の洗浄システム1を示す。以下において光学システムの光学面について言及がなされるが、本発明による洗浄システムに関連付けられ得る光学システムおよび洗浄すべき面のタイプは限定されないものとする。
【0039】
洗浄システム1は、光学面7を洗浄する機能を有する洗浄装置2を備えている。洗浄装置2は、洗浄システム1が作動しているときにロッド4の移動を生じさせ得るジャッキ3の形態にあり、ロッドは、光学面7の洗浄のための手段を支持している。したがって、ジャッキ3は、これらの洗浄手段を作動させるための手段として機能する。
【0040】
ジャッキ3は、チャンバ32を画定するジャッキ本体31を備えている。前記チャンバ32は、ジャッキ本体31の内部容積に相当する。ジャッキ本体31は、例えば、管状部分33により規定される円筒形状を有し得る。管状部分33は、第1終端壁34および第2終端壁35により両端部において閉鎖されている。
【0041】
ロッド4は、本例において洗浄すべき光学面7に対して平行なジャッキ本体の回転軸に対して平行な方向に延びる長手方向延在軸100を有している。ロッド4は、ジャッキ本体31のチャンバ32に部分的に収容されており、第1終端壁34を介してそこから出現する。第1終端壁34には、ロッド4をジャッキ本体31から出現させ得る開口38が設けられている。ジャッキ本体31から出現するロッド4の端部は、噴霧要素41を設けられた接合ピース43を備えている。噴霧要素41は、洗浄流体14を光学面7に、当該面の洗浄が必要となった際に、噴霧する目的を果たす。この結果、噴霧要素14は、洗浄流体14を光学面7に噴霧することができるように、光学面7に対面するように配向されている。
【0042】
また、洗浄装置2は、ワイパーブレード6を備えている。ワイパーブレード6は、ロッド4に対して垂直に延びる主延在方向を有している。ワイパーブレード6は、ワイパーブレード6とロッド4との接続を可能にするヒール部61を備えている。このタイプの接続は、洗浄装置2内で機械的な干渉が生じない限り、種々の態様で形成され得る。ワイパーブレード6は、ヒール部61の反対側の端部に配置された摩擦要素62を備えている。例えばゴムや可撓性の合成材料から作製され得る摩擦要素62は、光学面7を払拭してその洗浄に資するという目的を果たす。噴霧要素41と同様に、ワイパーブレード6は、光学面7に対面するように配向されている。ヒール部61と摩擦要素62とは、中間部分65により互いに接続している。この部分により、摩擦要素62が光学面7に接触し得るようにワイパーブレード6を伸ばすことができる。
【0043】
ワイパーブレードは、ブレードの一側のみから、より詳細には中間部分65から突出する片側ストッパユニット63を備えている。片側ストッパユニット63は、ワイパーブレード6の主寸法全体に亘って延び、ジャッキ本体31を向くように配向されることにより、接合ピース43の反対側にある。ストッパユニットは、このブレード側においてのみ延びて、ブレードの反対側には同様のストッパユニットがないという点において、片側と称される。
【0044】
接合ピース43を備えた端部と反対側のロッド4の端部には、ピストン5が接続している。換言すれば、ロッド4は、ピストン本体内に配置されてピストン5に接続する第1端部と、接合ピース43に接続する長手方向に反対側の第2端部と、を備えている。ピストン5は、ジャッキ本体31の内部で移動可能であり、ロッド4を同一の移動により駆動する。ピストン5およびロッド4の移動は、長手方向延在軸100と同軸とされる。図示例において、ピストン5およびロッド4は円形断面を持つ円筒形状を有しているため、ロッドの当初状態において、長手方向延在軸100は、ジャッキ本体の対応する回転軸に一致または実質的に一致するピストン5およびロッド4の回転軸にも相当する。
【0045】
ピストン5は、接続面51と支持面52とにより長手方向に画定される円筒形状を有している。ジャッキ本体31の延在軸に対して垂直な平面において、ピストン5の寸法は、ジャッキ本体31の管状部分33の対応する寸法よりもわずかに小さい。これにより、ジャッキ本体31の内部におけるピストン5の摺動が可能とされている。特に、ジャッキ本体31およびピストン5が円形断面を持つ円筒形状を有している場合、ピストン5は、ジャッキ本体31の管状部分33の直径よりも実質的に小さい直径を有している。ピストン5は、ジャッキ本体31およびロッド4と同様に、長手方向延在軸100を中心としている。
【0046】
接続面51は、第1終端壁34を向くように配向されている。ロッド4は、ピストンに接続面51により直接的に接続している。支持面52は、第2終端壁35に向くように配向されている。
【0047】
ピストン5およびロッド4の両方に、通流チャネル42が貫通している。このチャネルは、主として長手方向延在軸100と同軸とされているとともに、ピストン5およびロッド4に沿って、チャネルが開口するピストンの支持面52から噴霧要素41まで延びている。通流チャネル42は、洗浄流体14が噴霧要素41により光学面7に噴霧される前に、効率的な洗浄に必要な所定の圧力でジャッキ本体31から通流するような寸法、特にその直径を有している。
【0048】
チャンバ32は、バネ36を収容している。バネ36は、第1終端壁34から、ピストン5の接続面51に支持されるまで延びている。ロッド4と干渉しないように、バネ36は、ロッドの周囲で延びている。バネ36は、その初期状態において、すなわち洗浄システム1が作動していないとき、完全に弛緩している。したがって、洗浄システム1が作動していないとき、ピストン5は、バネ36によって、第2終端壁35に接触または実質的に接触して保持されている。洗浄システム1の作動時には、バネ36は、ピストン5の移動の影響を受けて圧縮され得る。
【0049】
洗浄システム1は、洗浄流体14用のリザーバー11を備えている。洗浄システム1が作動していないとき、洗浄流体14はこのリザーバー11内に貯蔵されている。リザーバー11には、車両のユーザにより洗浄流体14が再び供給され得る。洗浄流体14が洗浄装置2まで通流できるように、洗浄システム1は、リザーバー11を第2終端壁35に配置された吸入オリフィス37に接続するダクト13を備えている。これにより、洗浄流体14は、チャンバ32内に出現し得る。ポンプ12がダクト13に配置されており、リザーバー11に貯蔵された洗浄流体14が吸引され得るとともに、洗浄流体14が洗浄装置2まで通流することが可能とされている。ポンプ12を稼働させると、洗浄システム1による洗浄フェーズが開始される。このタイプのポンプ12の稼働は、車両のユーザにより実行される手動コマンドから導かれ得る、または、光学システムが光学面7が妨害されて洗浄の必要があることを示す検出器を設けられている場合には、自動的にも導かれ得る。
【0050】
図2は、第1洗浄フェーズにおける図1に示す洗浄システム1を示す。したがって、ポンプ12が稼働して洗浄流体14が槽11から吸引されている。洗浄流体14は、ダクト13内を吸入オリフィス37まで通流して、ジャッキ本体31のチャンバ32に、より具体的には、ピストン5と第2終端壁35との間に形成された緩衝エリア39に流入する。チャンバ32を満たす洗浄流体14の圧力は、支持面52に対して垂直または実質的に垂直な方向において、バネ36から及ぼされる力に対抗しつつ、ピストン5に推力300が及ぼされるようなものとされる。このタイプの推力300は、洗浄流体14から及ぼされる圧力がバネ36からピストン5に及ぼされる圧力よりも大きくなると、すぐにピストン5の移動を長手延在軸100に対して平行な方向において生じさせる。換言すれば、ピストン5は、第2終端壁35から第1終端壁34に移動する。ピストンの第1終端壁34の方向における移動は、ピストン5が移動するに連れてバネ36を圧縮させようとする。ロッド4はピストン5に接続面51において接続しているため、ロッド4は、長手方向延在軸100に対して平行な第1長手移動方向101において移動する。
【0051】
洗浄流体14は、推力300をピストン5に及ぼしつつ、その一部が通流チャネル42に流入する。チャネルの直径はチャンバ32の直径よりも顕著に小さいため、洗浄流体14は、通流チャネル42内を高圧で噴霧要素41まで通流する。この結果、洗浄流体14が光学面7に高圧で噴霧されて当該面が洗浄される。ピストン5およびロッド4の移動は、洗浄流体14の光学面7に対する噴霧と同時に実施される。したがって、ロッドは、洗浄流体14を連続的に噴霧させつつ光学面7に沿って移動する。このように、洗浄流体は光学面7全体に沿って噴霧されるため、その洗浄が最適化される。
【0052】
ピストン5およびロッド4の移動により、ワイパーブレード6が長手方向延在軸100に対して平行な方向に移動することに留意されたい。ロッド4の出現する方向において、ワイパーブレード6は、洗浄すべき光学面7の一部に、当該面に洗浄流体14が噴霧された後に接触している。換言すれば、洗浄流体14が光学面7に噴霧された後、ワイパーブレード6が光学面7を払拭する。摩擦要素62は、光学面7に接触して、これを払拭して洗浄流体14を排出する、または、例えば悪天候の場合には雨滴を払拭する。
【0053】
光学面7とワイパーブレード6とが接触している間、ヒール部61は固定されたままである。一方、ワイパーブレード6の自由端部を形成する摩擦要素62は、光学面7により摩擦によって保持される。この結果、摩擦要素62は、中間部分65において、ワイパーブレード6の延在寸法に対して平行な軸を中心として旋回する。
【0054】
この文脈において、図2に示すように、ジャッキ本体31に対面する摩擦要素62の部分は、上向きになって光学面7から離れようとする。ロッド4の第1長手移動方向101において、この旋回は、中間部分65においてジャッキ本体31に対面する側に配置された片側ストッパユニット63の存在により阻止される。このように、片側ストッパユニット63は中間部分65に配置されているため、摩擦要素62が片側ストッパユニット63に当接すると、摩擦要素62と光学面7との接触が維持されるようになっている。したがって、片側ストッパユニット63により、摩擦要素62は光学面7に対して押し付けられた状態に維持され得るため、ワイパーブレード6による光学面7の払拭が最適化される。
【0055】
片側ストッパユニット63によって摩擦要素62を光学面7に対して押し付けた状態にすることにより、ワイパーブレード6およびこれを支持するロッド4を光学面7から離間させようとする復元力200が発生する。この復元力200は、ロッド4の長手移動方向101に対しても、ワイパーブレード6の主寸法に対しても垂直である。
【0056】
この復元力200は、ロッド4をその当初位置に対して位置ずれさせようとするため、洗浄装置2が破損する虞があり得るとともに、少なくともロッド4のジャッキ本体31からの出現およびジャッキ本体31の内部への復帰を妨げ得る。第1長手移動方向101に対応する出現方向において、洗浄流体14からピストン5に及ぼされる推力300は、復元力200を原因としてロッドが位置ずれしようとする傾向を補償するよう十分に大きい。換言すれば、ロッド4が第1長手移動方向101に移動する際、例えば、洗浄流体14が10バールの圧力でチャンバ32内に搬送される際、推力300が十分であれば、復元力200は無視することができる。
【0057】
ロッド4は、ピストン5が第1終端壁34に接触または実質的に接触してそれ以上第1長手移動方向101において移動できなくなるまで、第1長手移動方向101において移動される。このとき、洗浄装置2は、ロッド4がその行程の終点にあるとともに噴霧要素41がジャッキ本体31から可能な限り遠ざかる出現位置を有する。
【0058】
図1および図2に示す洗浄装置2の例によれば、ピストン5の移動を保証するのは、光学面7にさらに噴霧される洗浄流体14である。しかしながら、この機能を二次流体により保証することも可能である。この場合、洗浄流体14は、ダクト13から通流チャネル42に直接的に搬送される。
【0059】
図3は、第2洗浄フェーズにおける、図1および図2に示す洗浄装置1に対応する。このフェーズは、ポンプ12の遮断により開始される。これにより、洗浄流体14はそれ以上リザーバー11からチャンバ32に通流しなくなる結果、ピストン5にそれ以上推力を及ぼさなくなる。これまでピストン5と第1終端壁34との間で圧縮されていたバネ36の弾性的な復元力が、洗浄流体14からピストン5に及ぼされる力よりも大きい力となり、バネ36はピストンを押しつつ徐々に弛緩して図1に示すその初期形状に復帰する。バネ36の弛緩により、ピストン5の第1終端壁34から第2終端壁35に向かう移動が生じる。ロッド4は、ピストン5の移動による駆動により、長手方向延在軸100に対して平行な方向であって、図2に示す第1長手移動方向とは反対の第2長手移動方向102において移動する。
【0060】
ピストン5は、その移動の際に、チャンバ32に残存する洗浄流体14を吸入オリフィス37に向けて押し出す。このため、洗浄流体14は、図2で説明した経路とは逆の経路を辿って、ダクト13内に送られリザーバー11に戻る。ダクト13は、通流チャネル42の直径よりも大きい直径を有しているため、洗浄流体14は、通流チャネル42よりもダクト13に高度に優先的に流入する。
【0061】
この第2洗浄フェーズにおいて、ロッド4は、第2長手移動方向102において移動する。洗浄流体14は、もう噴霧要素41から噴霧されない。しかしながら、ワイパーブレード6は、摩擦要素62により光学面7に接触し続ける。したがって、この要素は、変形して、第2長手移動方向102とは反対の方向に旋回する。この文脈において、図3に示すように、摩擦要素62の接合ピース43に対面する部分は、上向きになって光学面7か離れようとする。
【0062】
片側ストッパユニット63は、ジャッキ本体31に向かって配向されているため、摩擦要素62は、ストッパユニットに何ら接触しないため、光学面7から解放され得る。換言すれば、ロッド4が第2長手移動方向102において移動する場合、摩擦要素62は、いずれかのストッパユニットにより光学面7に押し付けられることがない。しかしながら、摩擦要素62は、依然として光学面7に接触しつつこれに沿って摺動する。光学面7に対する払拭は、ロッド4を第1長手移動方向101において移動させた時点で既に実施されているため、ロッド4を第2長手移動方向102において移動させる際には最適な払拭を保証する必要はない。
【0063】
図2での説明とは逆に、ポンプ12が停止した状態において、復元力200は、洗浄流体14からピストン5に及ぼされる推力によりもはや保証されることはない。しかしながら、このタイプの構成におけるストッパユニットが存在しないことにより、摩擦要素62は光学面7に対して押し付けられないため、ワイパーブレード6からロッドに及ぼされる復元力200は、これに応じて減衰する。したがって、ロッド4に及ぼされる復元力200は、無視できる程度、さらにはゼロであるため、ロッド4に及ぼされる過度の機械的応力を原因として洗浄装置2が破損しにくくなる。
【0064】
以上の結果、上述の片側ストッパユニット63を有するワイパーブレード6、すなわち、ワイパーブレード6の片側に、すなわちジャッキ本体31に対面する側にのみ配置されるストッパユニットを有するワイパーブレード6の構成は、ロッド4に及ぼされる復元力200を制限および/または補償するための第1手段8を構成している。
【0065】
図4は、洗浄装置2の第2実施形態の概略図である。ピストン5とワイパーブレード6のみが第1実施形態と異なっている。2つの実施形態に共通する要素に関しては、図1および図2の説明を参照されたい。
【0066】
図4は、第1実施形態についての図2に示した説明図に準拠した、光学面7の洗浄の第1フェーズ中の洗浄装置を示す。すなわち、チャンバ32は洗浄流体14で満たされて緩衝エリア39が形成されることにより、ピストン5およびロッド4の第1長手移動方向101における移動が生じている。噴霧要素41は、洗浄流体14を光学面7に噴霧し、次いでワイパーブレード6が光学面7を払拭する。
【0067】
この第2実施形態において、ワイパーブレード6は、両側ストッパユニット64を備えている。これにより、摩擦要素62は、ロッド4の両長手移動方向において、光学面7に押し付けられる。両側ストッパユニット64は、中間部分65の両側から突出して延びる。すなわち、両側ストッパユニット64は、第1実施形態の片側ストッパユニットのようにジャッキ本体31の方向において延びる部分と、ロッド4の端部に配置された接合ピース43の方向において反対側に延びる部分と、を有している。したがって、摩擦要素62は、ロッド4の移動の方向とは無関係に、光学ユニット7に押し付けられたまま保持される。
【0068】
図2を参照して第1実施形態について説明したように、ロッド4が長手移動方向101において移動する場合、ワイパーブレードの光学面7に対する接触により、復元力200がロッド4に及ぼされる。ロッドを位置ずれさせようとするこの復元力200により生じるモーメントは、洗浄流体14が例えば10バールの高圧でチャンバ32内に搬送されている状態をもって、洗浄流体14からピストン5に及ぼされる推力300により保証され得る。しかしながら、洗浄システム1は、推力300によってピストン5の移動を生じさせるのに十分な圧力で洗浄流体14を通流させることができるが、この力は、復元力200によりレバーの周囲に生じるモーメントを補償するには不十分な場合がある。このタイプの圧力は、例えば2バールである。以下で詳述するように、洗浄装置2の第2実施形態により、より低い圧力であっても、第1長手移動方向101において復元力200により生じる軸に対する応力を制限することができる。
【0069】
第2実施形態によるピストン5は、支持面52がロッドの長手方向延在軸100に垂直な平面に対して傾斜を有している点で、上述のものとは異なる。したがって、支持面52は、もはや長手方向延在軸100に対して垂直ではなく、もはや接続面51に対して平行でもない。したがって、洗浄流体14からピストン5に支持面52に対して垂直に及ぼされる推力300は、もはや長手方向延在軸100に対して平行ではない。したがって、図4に示す推力300は、ピストン5の長手方向移動を許容する長手方向成分と、復元力200に対して平行であって光学面7の反対方向に向く鉛直方向成分と、を有している。推力300の鉛直方向成分は、図4において対向力400により示されている。この力は、開口38に形成されたレバーの周囲に補償のモーメントの生成をもたらす。このモーメントは、復元力200により生じるモーメントの回転方向と反対の回転方向において循環する。この推力の鉛直方向成分、すなわち対向力400、および復元力200は、レバーが形成された端部壁のいずれかの側に発生するため、長手方向延在軸100を有するロッドをその当初位置にあるようにするためのモーメントの補償は、復元力の方向と同一方向の対向力の配向により、したがって、推力が発生する支持面52の特定の配向により得られる。
【0070】
また、洗浄装置2の第2実施形態により、ロッド4が第2長手移動方向に移動する際に、復元力200を補償することが可能となる。上述のように、支持面52は傾斜しているため、接続面51は長手方向延在軸100に対して垂直なままである。このため、ピストン5は、支持面52の傾斜に応じて可変の長手方向寸法を有している。特に、ピストン5は、ガイド面53を備えている。ガイド面53の長手方向寸法は、ピストン5において最大である。ガイド面53は、ロッドの長手方向延在軸100、及びワイパーブレード6の主延在寸法に対して平行な軸を含む平面に対して、ワイパーブレード6の反対側に位置している。ガイド面53は、第1実施形態において説明および図示したものよりも大きい管状部分33に対面する面を有するように構成されている。このガイド面のサイズにより、復元力200の影響があっても、ロッド4をその当初位置に対して平行な位置に維持することができる。したがって、ロッド4は復元力200の影響を受けにくくなる。こうして、ロッド4に対する復元力200の過剰な圧力によって洗浄装置2が破損する虞が制限される。したがって、第2実施形態において、ピストン5は、特に支持面52の傾斜の結果、ロッド4に及ぼされる復元力200を制限および/または補償するための第2手段を構成する。
【0071】
復元力200を直接的に減衰させる制限および/または補償するための第1手段に対して、復元力200を制限および/または補償するための第2手段9は、対向力400を生成することにより復元力200を補償する。また、制限および/または補償するための第2手段9は、ロッド4が第1長手移動方向101において移動する際にも、第2長手移動方向において移動する際にも、復元力200を原因とするロッドの軸方向オフセットの影響を減衰させ得る。第2長手移動方向における移動は、ロッド4が第2長手移動方向に移動する場合のみ機能する制限および/または補償するための第1手段によっては許容されない。
【0072】
図5は、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせた洗浄装置2を示す図である。換言すれば、図5において、洗浄装置2は、ロッド4に及ぼされる復元力を制限および/または補償するための第1手段8、すなわち、片側ストッパユニット63を設けられたワイパーブレード6を備えるとともに、洗浄装置2は、ロッド4に及ぼされる復元力を制限および/または補償するための第2手段9、すなわち、長手方向延在軸100に垂直な平面に対して傾斜した支持面52をも備えるピストン5を備えている。
【0073】
洗浄システム1の動作において、ロッド4は、最初に第1長手移動方向において、次いで第2長手移動方向において移動する。こうして、ロッド4への復元力の影響は、最初に洗浄流体14の推力の鉛直方向成分に対応する対向力の効果により、ロッド4の第1長手移動方向における移動の間中、制限される。この移動において、摩擦要素62は、片側ストッパユニット63に当接することにより光学面7に押し付けられる。第2段階において、ロッド4は、第2長手移動方向において移動し、復元力は、摩擦要素62を光学面7に接触させるストッパユニットが存在しないことにより減衰される。また、ピストン5のガイド面53も、第2長手移動方向における移動において、ロッド4の長手方向延在軸100をロッドの当初位置の位置に対して実質的に平行に保持することに寄与する。したがって、復元力は、ロッド4の両長手移動方向において制限され、洗浄装置2の良好な動作が維持される。制限および/または補償のための手段の動作に関する詳細は、制限および/または補償ための第1手段については図3の説明において、制限および/または補償ための第2手段については図4の説明において示されている。
【0074】
本発明は、上述の例に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく、これらの例に多くの変更を加えることができることを理解されたい。
【0075】
上述の本発明は、記載の目的を良好に達成するとともに、ワイパーブレードが配置されたロッド、並びに前記ロッドに及ぼされる力を制限および/または補償するための少なくとも1つの手段を備える洗浄装置を提案することを可能にする。本明細書に記載されない変形例は、本発明による払拭装置を備える限り、本発明の文脈から逸脱することなく実施され得る。例えば、本発明は、音響センサ/エミッタまたは電磁センサ/エミッタのような任意のタイプのセンサ/エミッタに拡張され得る。
図1
図2
図3
図4
図5