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特許7573047たばこ組成物、たばこ含有セグメント、非燃焼加熱型香味吸引器具、及び非燃焼加熱型香味吸引システム
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  • 特許-たばこ組成物、たばこ含有セグメント、非燃焼加熱型香味吸引器具、及び非燃焼加熱型香味吸引システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】たばこ組成物、たばこ含有セグメント、非燃焼加熱型香味吸引器具、及び非燃焼加熱型香味吸引システム
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/16 20200101AFI20241017BHJP
   A24B 15/32 20060101ALI20241017BHJP
   A24B 15/34 20060101ALI20241017BHJP
   A24B 15/36 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
A24B15/16
A24B15/32
A24B15/34
A24B15/36
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022572156
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(86)【国際出願番号】 JP2021045735
(87)【国際公開番号】W WO2022138261
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2020215381
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】打井 公隆
(72)【発明者】
【氏名】小出 明弘
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/148902(WO,A1)
【文献】特表2015-517817(JP,A)
【文献】特表2020-513742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 1/00-15/42
A24D 1/00-3/18
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
たばこ成分を含む第一の材料と、
エアロゾル発生剤を25~40質量%含む第二の材料と、
を含むたばこ組成物であって、
前記第一の材料に含まれるエアロゾル発生剤の含有率が10質量%以下であり、
前記第一の材料と前記第二の材料の合計質量に対する、前記第二の材料の質量の割合が15質量%以上である、たばこ組成物。
【請求項2】
前記第一の材料と前記第二の材料との質量割合が、第一の材料:第二の材料=40~80:20~60である、請求項1に記載のたばこ組成物。
【請求項3】
前記第一の材料に含まれるエアロゾル発生剤の含有率が22質量%以下である、請求項1又は2に記載のたばこ組成物。
【請求項4】
前記第一の材料が、たばこシート及び葉たばこからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1~3のいずれか一項に記載のたばこ組成物。
【請求項5】
前記たばこシートが、前記たばこ成分及び補強材料を含む、請求項4に記載のたばこ組成物。
【請求項6】
前記たばこシートに含まれるエアロゾル発生剤の含有率が15質量%以下である、請求項4又は5に記載のたばこ組成物。
【請求項7】
前記葉たばこに含まれるエアロゾル発生剤の含有率が10質量%以下である、請求項4~6のいずれか一項に記載のたばこ組成物。
【請求項8】
前記第二の材料がたばこ成分を含まない、請求項1~7のいずれか一項に記載のたばこ組成物。
【請求項9】
前記第二の材料が、前記エアロゾル発生剤と補強材料とを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のたばこ組成物。
【請求項10】
前記たばこ組成物に含まれる前記エアロゾル発生剤の含有率が10~40質量%である、請求項1~9のいずれか一項に記載のたばこ組成物。
【請求項11】
前記エアロゾル発生剤が、グリセリン、プロピレングリコール、及び1,3-ブタンジオールからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1~10のいずれか一項に記載のたばこ組成物。
【請求項12】
前記たばこ成分が、ニコチン、センブラトリエンジオール(CBT)、3-オキソイオノール、及びメガスティグマトリエノンからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1~11のいずれか一項に記載のたばこ組成物。
【請求項13】
前記第一の材料が前記たばこ成分としてCBTを含み、前記第一の材料に含まれるCBTの含有率が0.01質量%以上である、請求項12に記載のたばこ組成物。
【請求項14】
非燃焼加熱型香味吸引器具用のたばこ組成物である、請求項1~13のいずれか一項に記載のたばこ組成物。
【請求項15】
筒状のラッパーと、該ラッパー内に請求項1~14のいずれか一項に記載のたばこ組成物が充填されたたばこ充填物と、を含むたばこ含有セグメント。
【請求項16】
請求項15に記載のたばこ含有セグメントを備える非燃焼加熱型香味吸引器具。
【請求項17】
請求項16に記載の非燃焼加熱型香味吸引器具と、
前記たばこ含有セグメントを加熱する加熱装置と、
を備える非燃焼加熱型香味吸引システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たばこ組成物、たばこ含有セグメント、非燃焼加熱型香味吸引器具、及び非燃焼加熱型香味吸引システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼型香味吸引器具(シガレット)では、葉たばこを含むたばこ充填物を備えるたばこ含有セグメントを燃焼して香味を味わう。該燃焼型香味吸引器具の代替として、たばこ含有セグメントを燃焼する代わりに加熱して香味を味わう非燃焼加熱型香味吸引器具が提案されている。非燃焼加熱型香味吸引器具の加熱温度は、燃焼型香味吸引器具の燃焼温度より低く、例えば約400℃以下である。このように、非燃焼加熱型香味吸引器具の加熱温度は低いため、煙量を増加させる観点から、非燃焼加熱型香味吸引器具ではたばこ充填物にグリセリン等のエアロゾル発生剤が添加される。エアロゾル発生剤は加熱により気化し、エアロゾルを発生する。該エアロゾルはたばこ成分を伴い使用者に供給されるため、使用者は十分な香味を味わうことができる。
【0003】
非燃焼加熱型香味吸引器具のたばこ含有セグメントでは、たばこ充填物が十分な量のエアロゾル発生剤を含有できるようにするために、たばこ充填物として、葉たばこの代わりにたばこシートを充填したたばこ充填物が通常用いられている(例えば特許文献1)。たばこシートは、たばこを含む組成物をシート形状に成形して得られるものであり、成形のためにフィラーとしてパルプなどの繊維を含む。該繊維はエアロゾル発生剤を吸収できるため、たばこシートは葉たばこよりも多くのエアロゾル発生剤を保持することができる。
【0004】
一方、特許文献2~6には、主に燃焼型香味吸引器具用として、葉たばことたばこシートとを含むたばこ組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2014-515274号公報
【文献】特表2019-503659号公報
【文献】特表2013-502232号公報
【文献】特開平7-184624号公報
【文献】特表2018-516075号公報
【文献】国際公開第2011/013478号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、非燃焼加熱型香味吸引器具のたばこ含有セグメントにおけるたばこ充填物は、通常、たばこ成分とエアロゾル発生剤の両方共を含むたばこシートのみで構成されている。ここで、たばこの香味発現に関しては、香味成分の飽和蒸気圧を考慮した温度に到達するための加熱量の制御が求められる。一方、エアロゾル生成に関しては、エアロゾル発生剤の比熱(熱容量)を考慮した蒸発温度に到達するための加熱量の制御が求められる。前記たばこの香味発現及び前記エアロゾル生成の双方の現象に必要な熱量並びに温度は異なると考えられる。そのため、一種の材料中にたばこ成分とエアロゾル発生剤の両方共が存在する場合、前記双方の現象を同時に改善することは困難である。
【0007】
本発明は、たばこの香味が十分に発現し、かつ、エアロゾルが十分に生成可能なたばこ組成物、該たばこ組成物を含むたばこ含有セグメント、非燃焼加熱型香味吸引器具、及び非燃焼加熱型香味吸引システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の実施態様を含む。
【0009】
本発明の実施形態に係るたばこ組成物は、
たばこ成分を含む第一の材料と、
エアロゾル発生剤を25質量%以上含む第二の材料と、
を含むたばこ組成物であって、
前記第一の材料に含まれるエアロゾル発生剤の含有率が25質量%未満であり、
前記第一の材料と前記第二の材料の合計質量に対する、前記第二の材料の質量の割合が15質量%以上である。
【0010】
本発明の実施形態に係るたばこ含有セグメントは、
筒状のラッパーと、該ラッパー内に本発明の実施形態に係るたばこ組成物が充填されたたばこ充填物と、を含む。
【0011】
本発明の実施形態に係る非燃焼加熱型香味吸引器具は、
本発明の実施形態に係るたばこ含有セグメントを備える。
【0012】
本発明の実施形態に係る非燃焼加熱型香味吸引システムは、
本発明の実施形態に係る非燃焼加熱型香味吸引器具と、
前記たばこ含有セグメントを加熱する加熱装置と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、たばこの香味が十分に発現し、かつ、エアロゾルが十分に生成可能なたばこ組成物、該たばこ組成物を含むたばこ含有セグメント、非燃焼加熱型香味吸引器具、及び非燃焼加熱型香味吸引システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る非燃焼加熱型香味吸引器具の一例を示す断面図である。
図2】本実施形態に係る非燃焼加熱型香味吸引システムの一例であって、(a)非燃焼加熱型香味吸引器具を加熱装置に挿入する前の状態、(b)非燃焼加熱型香味吸引器具を加熱装置に挿入して加熱する状態、を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[たばこ組成物]
本実施形態に係るたばこ組成物は、たばこ成分を含む第一の材料と、エアロゾル発生剤を25質量%以上含む第二の材料と、を含む。ここで、前記第一の材料に含まれるエアロゾル発生剤の含有率は25質量%未満である。また、前記第一の材料と前記第二の材料の合計質量に対する、前記第二の材料の質量の割合(以下、第二の材料の質量割合ともいう。)は15質量%以上である。本実施形態に係るたばこ組成物は、第一の材料と、第二の材料と、からなってもよい。
【0016】
本発明者等は、前述したたばこの香味発現と、エアロゾル生成のそれぞれの現象の発現に特化した二種の材料をブレンドして使用することにより、それぞれの材料が所要量だけ加熱時の熱量を使用するため、前記双方の現象を同時に起こすことが可能となることを見出した。すなわち、たばこ成分を含み、エアロゾル発生剤の含有率が25質量%未満である第一の材料は、たばこの香味発現に特化した材料であり、比熱(熱容量)が低いため加熱により香味成分の蒸発温度に容易に到達できる。一方、エアロゾル発生剤を25質量%以上含む第二の材料は、エアロゾル生成に特化した材料であり、比熱(熱容量)は高いが加熱により第一の材料の香味成分の気化を阻害することなくエアロゾル発生剤を気化させることができる。したがって、前記第一の材料と前記第二の材料とを含む本実施形態に係るたばこ組成物は、加熱によりたばこの香味を十分に発現しつつ、エアロゾルを十分に生成することができる。また、第二の材料の質量割合が15質量%以上であることにより、十分なエアロゾル生成量が確保される。本実施形態に係るたばこ組成物は、特に非燃焼加熱型香味吸引器具用のたばこ組成物として有用である。
【0017】
本実施形態に係るたばこ組成物に含まれるエアロゾル発生剤の含有率は、10~40質量%であることが好ましい。該含有率が10質量%以上であることにより、エアロゾルをより生成することができる。また、該含有率が40質量%以下であることにより、たばこの香味をより発現することができる。該含有率は10~30質量%であることがより好ましく、10~20質量%であることがさらに好ましい。エアロゾル発生剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール等が挙げられる。これらのエアロゾル発生剤は一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0018】
〔第一の材料〕
第一の材料は、たばこ成分を含む。たばこ成分としては、ニコチン、センブラトリエンジオール(CBT)、3-オキソイオノール、メガスティグマトリエノン等が挙げられる。これらの成分は揮発性の香味成分であり、たばこの香味発現に寄与する。第一の材料は、これらのたばこ成分を一種含んでもよく、二種以上含んでもよい。第一の材料のたばこ成分の含有率について、第一の材料がたばこ成分としてCBTを含む場合、第一の材料に含まれるCBTの含有率は0.01質量%以上であることが好ましい。該含有率が0.01質量%以上であることにより、たばこの香味がより発現される。該含有率は、0.01~0.80質量%がより好ましく、0.01~0.50質量%がさらに好ましい。なお、第一の材料に含まれるCBTの含有率は、以下の手法で測定する。100ml容量のスクリュー管に第一の材料5gを量り取り、酢酸エチル50mlを加えよく混合した後、常温下で一昼夜静置する。混合液をろ紙を用いてろ過し、ろ液(抽出液)に無水硫酸ナトリウムを少量添加して脱水後、再度ろ紙を用いたろ過を行い、脱水後液中の酢酸エチルを減圧除去する。得られた乾固物に、酢酸エチルを加えて溶解し、当該溶液についてGC/MS分析を行う。
【0019】
第一の材料はエアロゾル発生剤を含むことができるが、第一の材料に含まれるエアロゾル発生剤の含有率は25質量%未満である。該含有率が25質量%未満であることにより、香味成分の気化が阻害されず、たばこの香味が発現される。該含有率は22質量%以下であることが好ましく、該含有率は15質量%以下であることが好ましく、該含有率は10質量%以下であることが好ましく、該含有率は5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%、すなわち第一の材料はエアロゾル発生剤を含まないことが特に好ましい。
【0020】
第一の材料は、たばこシート及び葉たばこからなる群から選択される少なくとも一種であることができる。すなわち、第一の材料はたばこシートからなってもよく、葉たばこからなってもよく、たばこシート及び葉たばこからなってもよい。第一の材料がたばこシート及び葉たばこからなる場合、たばこシートと葉たばことの質量割合は、たばこシート:葉たばこ=0~70:30~100であることが好ましい。たばこシートの質量割合が70質量%以下(葉たばこの質量割合が30質量%以上)であることにより、たばこ香味がより強く発現する。前記質量割合は、0~50:50~100であることがより好ましく、0~30:70~100であることがさらに好ましい。なお、葉たばこにエアロゾル発生剤等の成分が付与されている場合、葉たばこの質量は前記成分を含む質量である。
【0021】
たばこシートは、たばこ成分及び補強材料を含むことができる。補強材料としては、例えばパルプ等の繊維、バインダー等が挙げられる。たばこシートはエアロゾル発生剤を含むことができるが、たばこシートに含まれるエアロゾル発生剤の含有率は15質量%以下であることが好ましい。該含有率が15質量%以下であることにより、香味成分の気化が阻害されず、たばこの香味がより発現される。該含有率は10質量%以下であることがより好ましく、該含有率は5質量%以下であることがさらに好ましく、3質量%以下であることが特に好ましい。
【0022】
葉たばこはエアロゾル発生剤を含むことができるが、葉たばこに含まれるエアロゾル発生剤の含有率は10質量%以下であることが好ましい。該含有率が10質量%以下であることにより、香味成分の気化が阻害されず、たばこの香味がより発現される。該含有率は5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。なお、第一の材料(たばこシート、葉たばこ)、第二の材料、たばこ組成物中のエアロゾル発生剤の含有率は、以下の手法で測定する。30ml容量のスクリュー管に測定試料0.2gを量り取り、イソプロパノール20mlを加え常温下で一昼夜振とう混合する。混合液をろ紙を用いてろ過し、ろ液を得たのち、当該溶液についてGC分析を行う。
【0023】
(葉たばこの構成)
<定義>
本明細書において、「葉たばこ」とは、収穫されたたばこの葉、収穫されたたばこの葉が除骨及び分離され、ラミナ及び中骨等となったもの、熟成(キュアリングを含む)を経た熟成済葉たばこ、熟成済葉たばこ等が所定の大きさに刻まれたたばこ刻を含む。また、別の様態として、収穫直後の未乾燥葉、たばこの幹、根なども原料として加えられ、好適に使用できる。
【0024】
<たばこの品種>
たばこの品種は、様々なものを用いることができる。例えば、黄色種、バーレー種、オリエント種、在来種、その他のニコチアナ-タバカム系品種、ニコチアナ-ルスチカ系品種を代表として挙げることができる。これらのニコチアナ属の品種は、単独で用いることもできるが、目的とする香味を得るために、葉たばこの収穫から、熟成済葉たばこをたばこ刻とするまでの過程でブレンドして用いることもできる。前記たばこの品種の詳細は、「たばこの事典、たばこ総合研究センター、2009.3.31」に開示されている。
【0025】
<たばこ品種のブレンド>
上述のとおり、たばこ品種のブレンドは、葉たばこの収穫から、熟成済葉たばこをたばこ刻とするまでの過程で行うことができる。一般的に「ブレンド」とは、同一の品種または異なる品種に属するたばこの混合物を意味するが、本明細書においては、異なる熟成済葉たばこや異なるたばこ刻を組み合わせることを「ブレンド」と称することもある。また、同一品種で異なるグレードを有するたばこをブレンドすることを特に「クロスブレンド」と称することもある。
【0026】
たばこの各品種において、葉たばこは、例えば、原産地、植物内での配置、色、表面の状態、大きさ、および形状といった各特徴により等級分けされる。また、葉たばこには300を超える化学成分が含まれていると考えられており、品種が異なるたばこ間の化学的特性は異なるものとなる。また、同一の品種のたばこであっても、等級が異なると、その化学的特性が異なる場合もある。そこで、所望の特徴、及び所望の化学的特性を有するたばこ原料を得るために、上記のブレンドやクロスブレンドが行われる。
【0027】
<葉たばこの処理>
収穫された葉たばこが、初期の段階で受ける処理としては、例えば、キュアリングや原料工場における処理及び熟成などを挙げることができる。
【0028】
<キュアリング>
葉たばこは、一般的に、収穫された後の初期の段階でキュアリングという処理を受ける。キュアリングは、葉たばこを熟成させるための処理の一つであり、通常、乾燥や調湿などの工程が含まれ、葉たばこに含まれる各種酵素の働きを活性化させたりすることも含まれる。キュアリングを受けた葉たばこはケースに梱包され、一定期間、倉庫で保管された後、原料工場へ輸送される。なお、ベンゾ[a]ピレン及び低分子カルボン酸の含有量が少なく、特定の香味成分が多く含まれる葉たばこを得るために、上述のキュアリングに代えて、収穫された葉たばこに国際公開第2018/139068号に記載の処理を行ってもよい。
【0029】
<原料工場での処理・熟成>
原料工場に輸送されたキュアリングを受けた葉たばこは、解包された後、通常、調湿や除骨、分離などの処理を受け、ラミナ及び中骨等となる。その後、再乾燥されたラミナ及び中骨等はケース詰めされ、倉庫にて長期保管される。この倉庫で長期保管する工程は、熟成と称されることもある。熟成の期間は、使用されるたばこの品種や、たばこ製品が目的とする香味、熟成における温度により異なるが、一般的には、1年以上、2年以下である。熟成の一態様である、キュアリング又は上述したキュアリングに代わる処理を受け、さらに、熟成を経た葉たばこを「熟成済葉たばこ」と称する。
【0030】
なお、葉たばこをラミナ及び中骨等に処理した後にケース詰めして熟成させることを除骨後熟成と称することがある。一方で、原料工場に輸送された葉たばこに対し、除骨、分離処理を行わずに、ケース詰めして熟成させ、熟成後に除骨、分離処理を行うことを熟成後除骨と称することもある。
【0031】
<香味料>
葉たばこには香味料を付与してもよい。香味料の種類は、特に限定されず、良好な香味の付与の観点から、例えば、香料、呈味料が挙げられる。その他、任意で、着色剤、湿潤剤、保存料を含み得る。香味料や任意材料はその性状を問わず、例えば液体、固体が挙げられる。また、単独成分でも複数成分の組み合わせでもよい。
【0032】
当該香料の好適なフレーバーとしては、たばこエキスおよびたばこ成分、糖質および糖系のフレーバー、リコリス(甘草)、ココア、チョコレート、果汁およびフルーツ、スパイス、洋酒、ハーブ、バニラ、およびフラワー系フレーバーなどから選ばれる香料、さらに植物原末等を単独、あるいは組み合わせてなるものが挙げられる。
【0033】
当該香料は、例えば、「周知・慣用技術集(香料)」(2007年3月14日、特許庁発行)、「最新 香料の事典(普及版)」(2012年2月25日、荒井綜一 ・小林彰夫 ・矢島泉 ・川崎通昭 編、朝倉書店)、および「Tobacco Flavoring for Smoking Products」(1972年6月、R. J. REYNOLDS TOBACCO COMPANY)に記載されているような広範な種類の香料成分を使用することができる。
【0034】
当該香料は、例えば、イソチオシアネート類、インドールおよびその誘導体、エーテル類、エステル類、ケトン類、脂肪酸類、脂肪族高級アルコール類、脂肪族高級アルデヒド類、脂肪族高級炭化水素類、チオエーテル類、チオール類、テルペン系炭化水素類、フェノールエーテル類、フェノール類、フルフラールおよびその誘導体、芳香族アルコール類、芳香族アルデヒド類、ラクトン類などから選ばれる香料を単独、あるいは組み合わせてなるものが挙げられる。冷感/温感刺激をもたらす素材であっても良い。
【0035】
当該香料は、より具体的には、アセトアニソール、アセトフェノン、アセチルピラジン、2-アセチルチアゾール、アルファルファエキストラクト、アミルアルコール、酪酸アミル、トランス-アネトール、スターアニス油、リンゴ果汁、ペルーバルサム油、ミツロウアブソリュート、ベンズアルデヒド、ベンゾインレジノイド、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、2,3-ブタンジオン、2-ブタノール、酪酸ブチル、酪酸、カラメル、カルダモン油、キャロブアブソリュート、β-カロテン、ニンジンジュース、L-カルボン、β-カリオフィレン、カシア樹皮油、シダーウッド油、セロリーシード油、カモミール油、シンナムアルデヒド、ケイ皮酸、シンナミルアルコール、ケイ皮酸シンナミル、シトロネラ油、DL-シトロネロール、クラリセージエキストラクト、コーヒー、コニャック油、コリアンダー油、クミンアルデヒド、ダバナ油、δ-デカラクトン、γ-デカラクトン、デカン酸、ディルハーブ油、3,4-ジメチル-1,2-シクロペンタンジオン、4,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジヒドロフラン-2-オン、3,7-ジメチル-6-オクテン酸、2,3-ジメチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、2,6-ジメチルピラジン、2-メチル酪酸エチル、酢酸エチル、酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、イソ吉草酸エチル、乳酸エチル、ラウリン酸エチル、レブリン酸エチル、エチルマルトール、オクタン酸エチル、オレイン酸エチル、パルミチン酸エチル、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ステアリン酸エチル、吉草酸エチル、エチルバニリン、エチルバニリングルコシド、2-エチル-3,(5または6)-ジメチルピラジン、5-エチル-3-ヒドロキシ-4-メチル-2(5H)-フラノン、2-エチル-3-メチルピラジン、ユーカリプトール、フェネグリークアブソリュート、ジェネアブソリュート、リンドウ根インフュージョン、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ブドウ果汁、グアヤコール、グァバエキストラクト、γ-ヘプタラクトン、γ-ヘキサラクトン、ヘキサン酸、シス-3-ヘキセン-1-オール、酢酸ヘキシル、ヘキシルアルコール、フェニル酢酸ヘキシル、ハチミツ、4-ヒドロキシ-3-ペンテン酸ラクトン、4-ヒドロキシ-4-(3-ヒドロキシ-1-ブテニル)-3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、4-(パラ-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、4-ヒドロキシウンデカン酸ナトリウム、インモルテルアブソリュート、β-イオノン、酢酸イソアミル、酪酸イソアミル、フェニル酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、フェニル酢酸イソブチル、ジャスミンアブソリュート、コーラナッツティンクチャー、ラブダナム油、レモンテルペンレス油、カンゾウエキストラクト、リナロール、酢酸リナリル、ロベージ根油、メープルシロップ、メンソール、メントン、酢酸L-メンチル、パラメトキシベンズアルデヒド、メチル-2-ピロリルケトン、アントラニル酸メチル、フェニル酢酸メチル、サリチル酸メチル、4’-メチルアセトフェノン、メチルシクロペンテノロン、3-メチル吉草酸、ミモザアブソリュート、トウミツ、ミリスチン酸、ネロール、ネロリドール、γ-ノナラクトン、ナツメグ油、δ-オクタラクトン、オクタナール、オクタン酸、オレンジフラワー油、オレンジ油、オリス根油、パルミチン酸、ω-ペンタデカラクトン、ペパーミント油、プチグレインパラグアイ油、フェネチルアルコール、フェニル酢酸フェネチル、フェニル酢酸、ピペロナール、プラムエキストラクト、プロペニルグアエトール、酢酸プロピル、3-プロピリデンフタリド、プルーン果汁、ピルビン酸、レーズンエキストラクト、ローズ油、ラム酒、セージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スチラックスアブソリュート、マリーゴールド油、ティーディスティレート、α-テルピネオール、酢酸テルピニル、5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン、1,5,5,9-テトラメチル-13-オキサシクロ(8.3.0.0(4.9))トリデカン、2,3,5,6-テトラメチルピラジン、タイム油、トマトエキストラクト、2-トリデカノン、クエン酸トリエチル、4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)2-ブテン-4-オン、2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1,4-ジオン、4-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)2-ブテン-4-オン、2,3,5-トリメチルピラジン、γ-ウンデカラクトン、γ-バレロラクトン、バニラエキストラクト、バニリン、ベラトルアルデヒド、バイオレットリーフアブソリュート、シトラール、マンダリン油、4-(アセトキシメチル)トルエン、2-メチル-1-ブタノール、10-ウンデセン酸エチル、ヘキサン酸イソアミル、1-フェニルエチル酢酸、ラウリン酸、8-メルカプトメントン、シネンサール、酪酸ヘキシル、植物粉末(ハーブ粉末、フラワー粉末、スパイス粉末、茶粉末:ココア粉末、キャロブ粉末、コリアンダー粉末、リコリス粉末、オレンジピール粉末、ローズピップ粉末、カモミールフラワ粉末、レモンバーベナ粉末、ペパーミント粉末、リーフ粉末、スペアミント粉末、紅茶粉末など)、カンファー、イソプレゴール、シネオール、ハッカオイル、ユーカリプタスオイル、2-l-メントキシエタノール(COOLACT(登録商標)5)、3-l-メントキシプロパン-1,2-ジオール(COOLACT(登録商標)10)、l-メンチル-3-ヒドロキシブチレート(COOLACT(登録商標)20)、p-メンタン-3,8-ジオール(COOLACT(登録商標)38D)、N-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(COOLACT(登録商標)370)、N-(4-(シアノメチル)フェニル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサンカルボキサミド(COOLACT(登録商標)400)、N-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサンカルボキサミド、N-エチル-p-メンタン-3-カルボアミド(WS-3)、エチル-2-(p-メンタン-3-カルボキサミド)アセテート(WS-5)、N-(4-メトキシフェニル)-p-メンタンカルボキサミド(WS-12)、2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチラミド(WS-23)、3-l-メントキシ-2-メチルプロパン-1,2-ジオール、2-l-メントキシエタン-1-オール、3-l-メントキシプロパン-1-オール、4-l-メントキシブタン-1-オール、メンチルラクテート(FEMA3748)、メントングリセリンアセタール(Frescolat MGA、FEMA3807、FEMA3808)、2-(2-l-メンチルオキシエチル) エタノール、グリオキシル酸メンチル、2-ピロリドン-5-カルボン酸メンチル、コハク酸メンチル(FEMA3810)、N-(2-(ピリジン-2-イル)-エチル)-3-p-メンタンカルボキサミド(FEMA4549)、N-(エトキシカルボニルメチル)-p-メンタン-3-カルボキサミド、N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、およびN-(4-アミノカルボニルフェニル)-p-メンタンなどが挙げられる。
【0036】
当該呈味料は、例えば、甘味、酸味、塩味、旨味、苦味、渋味、こく味、辛味、えぐ味、収れん味などを呈する素材が挙げられる。甘味を呈する素材は、例えば、糖類、糖アルコール、甘味料などが挙げられる。糖類は、例えば、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類などが挙げられる。甘味料は、例えば、天然甘味料、合成甘味料などが挙げられる。酸味を呈する素材は、例えば、有機酸(およびそのナトリウム塩)などが挙げられる。有機酸は、例えば、酢酸、アジピン酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸などが挙げられる。苦味を呈する素材は、例えば、カフェイン(抽出物)、ナリンジン、ニガヨモギ抽出物などが挙げられる。塩味を呈する素材は、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどが挙げられる。旨味を呈する素材は、例えば、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムなどが挙げられる。渋味を呈する素材は、例えば、タンニン、シブオールなどが挙げられる。
【0037】
当該着色剤は、例えば、天然色素、合成色素などが挙げられる。天然色素は、例えば、カラメル、ウコン、ベニコウジ、クチナシ、ベニバナ、カロテン、マリーゴールド、アナトーなどが挙げられる。合成色素は、例えば、タール色素、酸化チタンなどが挙げられる。
【0038】
当該湿潤剤は、例えば、脂質(ワックス、ろう、グリセリン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸(短鎖、中鎖、長鎖脂肪酸))、ポリオール(グリセロール、ポリエチレングリコール、1,3‐ブタンジオールなど)、糖アルコール(エリスリトール、ソルビトール、キシリトールなど)などが挙げられる。
【0039】
当該保存料は、例えば、酢酸、安息香酸、プロポオン酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、ソルビン酸、酒石酸(およびこれらの塩)、ナイシンや食品で使われる一般的な保存料などが挙げられる。
【0040】
葉たばこに香味料を付与する場合、葉たばこの香味料の含有量は、特に限定されないが、良好な香味の付与の観点から、例えば、通常10ppm以上であり、好ましくは10000ppm以上であり、より好ましくは50000ppm以上であり、また、通常250000ppm以下であり、好ましくは200000ppmであり、より好ましくは150000ppm以下であり、さらに好ましくは100000ppm以下である。
【0041】
<葉たばこのたばこ刻>
葉たばこは、葉たばこのたばこ刻(以下、葉たばこ刻ともいう。)であってもよい。葉たばこ刻は、熟成済葉たばこなどが、所定の大きさに刻まれたものである。葉たばこ刻に使用される熟成済葉たばこは、特に限定されないが、除骨され、ラミナ及び中骨に分離されたものを挙げることができる。
【0042】
<葉たばこ刻の調製方法>
葉たばこ刻の大きさや調製法については特段の制限はない。一例として、熟成済葉たばこを、幅を0.5mm以上、2.0mm以下、長さを3mm以上、10mm以下となるように刻んだものが挙げられる。このような大きさの葉たばこ刻は、後述するラッパーに充填するうえで好ましい。
【0043】
(たばこシートの構成)
たばこシートは、熟成済葉たばこなどを含む組成物を、シート形状に成形して得られるものである。たばこシートに使用される熟成済葉たばこは、特に限定されないが、例えば、除骨され、ラミナと中骨に分離されたものを挙げることができる。また、本明細書において「シート」とは、略平行な1対の主面、及び側面を有する形状をいう。たばこシートはパルプなどの繊維を含むことができる。
【0044】
<たばこシートの成形方法>
たばこシートは、抄造法、キャスト法、圧延法等の公知の方法で成形することができる。このような方法で成形された各種たばこシートについては、「たばこの事典、たばこ総合研究センター、2009.3.31」に詳細が開示されている。本明細書では、抄造法により成形されたたばこシートを「抄造たばこシート」、キャスト法(スラリー法)により成形されたたばこシートを「スラリーたばこシート」という、圧延法により成形されたたばこシートを「圧延たばこシート」という。
【0045】
<たばこシートの成形方法(抄造法)>
抄造法によりたばこシートを成形する方法としては、例えば、以下の工程を含む方法を挙げることができる。
(1)熟成済葉たばこを粗砕し、これを水等の溶媒と混合・攪拌することで、熟成済葉たばこから水溶性成分を抽出する工程。
(2)水溶性成分を含む水抽出物と残渣に分離する工程。
(3)水抽出物を減圧乾燥して濃縮する工程。
(4)残渣にパルプを加え、これをリファイナで繊維化して混合物を得る工程(均質化工程)。
(5)繊維化された残渣とパルプの混合物を抄紙する工程。
(6)抄紙したシートに水抽出物の濃縮液を添加して乾燥し、たばこシートとする工程。
この方法でたばこシートを成形する場合、ニトロソアミン等の一部の成分を除去する工程を加えてもよい(特表2004-510422号公報参照)。
【0046】
<たばこシートの成形方法(キャスト法)>
キャスト法(スラリー法)によりたばこシートを成形する方法としては、例えば、以下の工程を含む方法を挙げることができる。
(1)水、パルプ及びバインダーと、熟成済葉たばこの粉砕物を混合して混合物を得る工程(均質化工程)。
(2)当該混合物を薄く延ばして(キャストして)乾燥し、たばこシートとする工程。
この方法でたばこシートを成形する場合、水、パルプ及びバインダーと、砕いた葉たばこを混合したスラリーに対して紫外線照射もしくはX線照射することでニトロソアミン等の一部の成分を除去する工程を加えてもよい。
【0047】
<たばこシートの成形方法(圧延法)>
圧延法によりたばこシートを成形する方法としては、例えば、以下の工程を含む方法を挙げることができる。
(1)水、パルプ及びバインダーと、熟成済葉たばこの粉砕物を混合して混合物を得る工程(均質化工程)。
(2)当該混合物を複数の圧延ローラーに投入して圧延する工程。
(3)圧延ローラー上の圧延成形品をドクターナイフで剥離し、ネットコンベアーに移送し、乾燥機で乾燥する工程。
この方法でたばこシートを成形する場合、目的に応じて、各圧延ローラーの表面を加温又は冷却してもよく、各圧延ローラーの回転数を調整してもよい。また、各圧延ローラーの間隔を調整することで、所望の坪量のたばこシートを得ることができる。
【0048】
<均質化工程における、たばこ繊維の平均繊維長、混合物の濾水度>
上記の各方法に記載の均質化工程において、一定の強度を有するたばこシートを得る観点から、各混合物に含まれるたばこ繊維の平均繊維長が、200μm以上、1000μm以下であり、各混合物の濾水度が、20°SR以上、50°SR以下であることが好ましい。たばこ繊維の平均繊維長は、ファイバーカウント2万以上で非偏光を使用し光学的自動分析(JISP8226-2)によって測定されるものである。濾水度は、ショッパー・リーグラ法(JIS P8121)により測定されるものである。
【0049】
<たばこシートの寸法>
たばこシートの長さ及び幅は、特段制限されることはなく、後述するラッパーに充填する態様に合わせて適宜調整できる。たばこシートの厚さは、特に限定されないが、伝熱効率と強度の兼ね合いから、100μm以上、1000μm以下が好ましく、200μm以上、600μm以下がより好ましい。
【0050】
<たばこシートの組成>
たばこシートの組成は特に限定されないが、例えばたばこシートは、熟成済たばこ葉、バインダー、パルプ等の繊維、エアロゾル発生剤、香味料等を含むことができる。熟成済たばこ葉の含有量は、たばこシート全質量に対して50質量%以上、95質量%以下であることが好ましい。バインダーとしては、例えば、多糖類、タンパク、合成ポリマーが挙げられる。多糖類としては、セルロース誘導体、天然由来の多糖類が挙げられる。
【0051】
セルロース誘導体としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ベンジルセルロース、トリチルセルロース、シアノエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、アミノエチルセルロース等のセルロースエーテル類;酢酸セルロース、ギ酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、安息香酸セルロース、フタル酸セルロース、トシルセルロース等の有機酸エステル;硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロース、セルロースキサントゲン酸塩等の無機酸エステル等が挙げられる。
【0052】
天然由来の多糖類としては、例えば、グアーガム、タラガム、ローストビーンガム、タマリンド種子ガム、ペクチン、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、ガッティガム、アラビノガラクタン、アマシードガム、カッシャガム、サイリウムシードガム、サバクヨモギシードガム等の植物由来の多糖類;カラギーナン、寒天、アルギン酸、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ファーセレラン、フクロノリ抽出物等の藻類由来の多糖類;キサンタンガム、ジェランガム、カードラン、プルラン、アグロバクテリウムスクシノグリカン、ウェランガム、マクロホモプシスガム、ラムザンガム等の微生物由来の多糖類;キチン、キトサン、グルコサミン等の甲殻類由来の多糖類;デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、α化デンプン、デキストリン等のデンプン等が挙げられる。
【0053】
タンパクとしては、例えば、小麦グルテン、ライ麦グルテン等の穀物タンパクが挙げられる。合成ポリマーとしては、例えば、ポリリン酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらのバインダーは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0054】
一つ以上のバインダーの総含有量としては、たばこシートの全質量に対して1質量%以上、30質量%以下であることが好ましく、2質量%以上、10質量%以下であることがより好ましい。パルプ等の繊維の含有量は特に限定されないが、一つ以上のパルプ等の繊維の総含有量としては、たばこシートの全質量に対して0.5質量%以上、30質量%以下であることが好ましく、1質量%以上、15質量%以下であることがより好ましい。香味料としては、上述した香味料が挙げられる。たばこシートに香味料が含まれる場合、香味料の含有量は特に限定されないが、良好な香味の付与の観点から、例えば、通常10ppm以上であり、好ましくは10000ppm以上であり、より好ましくは50000ppm以上であり、また、通常250000ppm以下であり、好ましくは200000ppmであり、より好ましくは150000ppm以下であり、さらに好ましくは100000ppm以下である。
【0055】
<たばこシートのたばこ刻>
たばこシートは、たばこシートのたばこ刻(以下、たばこシート刻ともいう。)であってもよい。たばこシート刻は、たばこシートが所定の大きさに刻まれたものである。たばこシート刻の大きさや調製法については特段の制限はない。一例として、たばこシートを、幅を0.5mm以上、2.0mm以下、長さを3mm以上、30mm以下となるように刻んだものが挙げられる。このような大きさのたばこシート刻は、後述するラッパーに充填するうえで好ましい。
【0056】
〔第二の材料〕
第二の材料は、エアロゾル発生剤を25質量%以上含む。第二の材料がエアロゾル発生剤を25質量%以上含むことにより、エアロゾルを十分に生成することができる。第二の材料に含まれるエアロゾル発生剤の含有率は30質量%以上であることが好ましい。該含有率の範囲の上限は特に限定されないが、例えば60質量%以下であることができる。
【0057】
第二の材料は上述の葉たばこを極力含まないことが好ましい。第二の材料が上述の葉たばこを極力含まないことにより、上述の葉たばこに含まれる成分によりエアロゾル発生剤の気化が妨げられることを防止することができる。第二の材料はたばこ成分を含まないことができる。また、第二の材料は、エアロゾル発生剤と補強材料とを含むことができる。補強材料としては、前述した補強材料が挙げられる。例えば、第二の材料は、前述したたばこシートにおいて、熟成済葉たばこ等を添加せずに成形したシートであることができる。該シートはエアロゾル発生剤と補強材料とを含み、熟成済葉たばこ等を含まないことができる。
【0058】
〔第一の材料と第二の材料の配合割合〕
本実施形態に係るたばこ組成物において、前記第一の材料と前記第二の材料との質量割合は、第一の材料:第二の材料=40~80:20~60であることが好ましい。前記第一の材料の質量割合が40質量%以上(前記第二の材料の質量割合が60質量%以下)であることにより、たばこの香味がより発現される。また、前記第一の材料の質量割合が80質量%以下(前記第二の材料の質量割合が20質量%以上)であることにより、エアロゾルがより生成する。前記質量割合は、第一の材料:第二の材料=45~75:25~55であることがより好ましく、第一の材料:第二の材料=50~70:30~50であることがさらに好ましく、第一の材料:第二の材料=55~65:35~45であることが特に好ましい。
【0059】
〔たばこ組成物の水分含有量〕
本実施形態に係るたばこ組成物の水分含有量は、たばこ組成物の全質量に対して、10質量%以上、15質量%以下を挙げることができ、11質量%以上、13質量%以下であることが好ましい。このような水分含有量であると、たばこ組成物をラッパーに充填した後の巻染みの発生を抑制できる。
【0060】
〔たばこ組成物の製造方法〕
本実施形態に係るたばこ組成物の製造方法は特に限定されず、前記第一の材料、前記第二の材料、及び任意で前記他の成分を所定の配合割合で混合することにより製造することができる。一例として、当業者では既知の回転型シリンダーで全材料を混合することが出来る。
【0061】
[たばこ含有セグメント]
本実施形態に係るたばこ含有セグメントは、筒状のラッパーと、該ラッパー内に本実施形態に係るたばこ組成物が充填されたたばこ充填物と、を含む。本実施形態に係るたばこ含有セグメントは、本実施形態に係るたばこ組成物を備えるため、たばこの香味を十分に発現でき、かつ、エアロゾルを十分に生成できる。
【0062】
たばこ充填物は、本実施形態に係るたばこ組成物が筒状のラッパー内に所定の態様で充填されたものを指す。ラッパーとしては、巻紙を筒状にしたものが挙げられるが、これに限定されない。たばこ含有セグメントは、例えばたばこ組成物が内側になるように巻紙等のラッパーによって巻装することで形成される。
【0063】
たばこ含有セグメントは、柱状の形状を有していることが好ましい。この場合には、たばこ含有セグメントの底面の幅に対するたばこ含有セグメントの長軸方向の高さで表されるアスペクト比が1以上であることが好ましいが、これに限定されない。底面の形状は限定されず、多角、角丸多角、円、楕円等であってよく、幅は当該底面が円形の場合は直径、楕円形である場合は長径、多角形または角丸多角である場合は外接円の直径または外接楕円の長径である。例えば、底面が円である場合、その直径を認定でき、当該直径が幅、これに直交する長さが高さとなる。たばこ含有セグメントの寸法は、特に限定されないが、例えば、長さが10mm以上、70mm以下、幅が4mm以上、9mm以下である態様が挙げられる。また、たばこ含有セグメントにおけるたばこ充填物は、該たばこ充填物を加熱するヒーターとの嵌合部を有していてもよい。
【0064】
たばこ充填物におけるたばこ組成物の充填密度は、0.026~0.041g/cmであることが好ましい。前記充填密度が0.026g/cm以上であることにより、十分なたばこ香味、後述するVapor volume(Vapor感)、持続性(Lasting)を担保することが出来る。また、前記充填密度が0.041g/cm以下であることにより、たばこ組成物の充填量を低減できるため、製造コストを削減することができる。前記充填密度は0.028~0.039g/cmがより好ましく、0.031~0.036g/cmがさらに好ましい。
【0065】
[非燃焼加熱型香味吸引器具]
本実施形態に係る非燃焼加熱型香味吸引器具は、本実施形態に係るたばこ含有セグメントを備える。本実施形態に係る非燃焼加熱型香味吸引器具は、本実施形態に係るたばこ含有セグメントを備えるため、たばこの香味を十分に発現でき、かつ、エアロゾルを十分に生成できる。
【0066】
本実施形態に係る非燃焼加熱型香味吸引器具の一例を図1に示す。図1に示される非燃焼加熱型香味吸引器具1は、本実施形態に係るたばこ含有セグメント2と、周上に穿孔8を有する筒状の冷却セグメント3と、センターホールセグメント4と、フィルターセグメント5と、を備える。本実施形態に係る非燃焼加熱型香味吸引器具は、たばこ含有セグメント、冷却セグメント、センターホールセグメント及びフィルターセグメント以外にも、他のセグメントを有していてもよい。
【0067】
本実施形態に係る非燃焼加熱型香味吸引器具の軸方向の長さは特に限定されないが、40mm以上、90mm以下であることが好ましく、50mm以上、75mm以下であることがより好ましく、50mm以上、60mm以下であることがさらに好ましい。また、非燃焼加熱型香味吸引器具の周の長さは16mm以上、25mm以下であることが好ましく、20mm以上、24mm以下であることがより好ましく、21mm以上、23mm以下であることがさらに好ましい。例えば、たばこ含有セグメントの長さは20mm、冷却セグメントの長さは20mm、センターホールセグメントの長さは8mm、フィルターセグメントの長さは7mmである態様を挙げることができる。なお、フィルターセグメントの長さは4mm以上、10mm以下の範囲内で選択可能である。また、その際のフィルターセグメントの通気抵抗は、セグメント当たり15mmHO/seg以上、60mmHO/seg以下であるように選択される。これら個々のセグメント長さは、製造適性、要求品質等に応じて、適宜変更できる。さらには、センターホールセグメントを用いずに、冷却セグメントの下流側にフィルターセグメントのみを配置しても、非燃焼加熱型香味吸引器具として機能させることができる。
【0068】
〔たばこ含有セグメント〕
たばこ含有セグメント2は、本実施形態に係るたばこ含有セグメントである。図1に示されるように、たばこ含有セグメント2が加熱されることにより、たばこ充填物に含まれるたばこ成分(香味成分)、エアロゾル発生剤及び水が気化し、吸引によりこれらはマウスピースセグメント6へ移行する。
【0069】
〔冷却セグメント〕
図1に示されるように、冷却セグメント3は筒状部材7で構成される態様を挙げることができる。筒状部材7は例えば厚紙を円筒状に加工した紙管であってもよい。
【0070】
冷却セグメントの全表面積は、300mm/mm以上、1000mm/mm以下を挙げることができる。この表面積は、冷却セグメント通気方向の長さ(mm)当たりの表面積である。冷却セグメントの全表面積は、400mm/mm以上であることが好ましく、450mm/mm以上であることがより好ましく、一方、600mm/mm以下であることが好ましく、550mm/mm以下であることがより好ましい。
【0071】
冷却セグメントは、その内部構造が大きい全表面積を有することが望ましい。従って、好ましい実施形態において、冷却セグメントは、チャネルを形成するためにしわ付けされて、次に、ひだ付け、ギャザー付け、及び折り畳まれた薄い材料のシートによって形成されてもよい。要素の与えられた体積内の折り畳み又はひだが多いと、冷却セグメントの合計表面積が大きくなる。
【0072】
一部の実施形態において、冷却セグメントの構成材料の厚みは、5μm以上、500μm以下、例えば、10μm以上、250μm以下を挙げることができる。
【0073】
エアロゾル冷却要素は、比表面積が10mm/mg以上、100mm/mg以下である材料から形成することができる。一実施形態において、構成材料の比表面積は、約35mm/mgとすることができる。比表面積は、既知の幅及び厚みを有する材料を考慮して決定することができる。例えば、材料は、平均厚みが50μmであって変動が±2μmであるポリ乳酸とすることができる。材料が、同じく例えば200mm以上、250mm以下の間の既知の幅を有する場合は、比表面積及び密度は、計算することができる。
【0074】
筒状部材7及び後述するマウスピースライニングペーパー12には、両者を貫通する穿孔8が設けられている。穿孔8の存在により、吸引時に外気が冷却セグメント3内に導入される。これにより、たばこ含有セグメント2が加熱されることで生成したエアロゾル気化成分が外気と接触し、その温度が低下するため液化し、エアロゾルが形成される。穿孔8の径(差し渡し長さ)は特に限定されないが、例えば0.5mm以上、1.5mm以下であってもよい。穿孔8の数は特に限定されず、1つでも2つ以上でもよい。例えば穿孔8は冷却セグメント3の周上に複数設けられていてもよい。
【0075】
穿孔8から導入される外気量は、使用者により吸引される気体全体の体積に対して85体積%以下が好ましく、80体積%以下がより好ましい。前記外気量の割合が85体積%以下であることにより、外気によって希釈されることによる香味の低減を十分に抑制することができる。なお、これを別の言い方ではベンチレーション割合ともいう。ベンチレーション割合の範囲の下限は、冷却性の観点から、55体積%以上が好ましく、60体積%以上がより好ましい。
【0076】
冷却セグメントがたばこ含有セグメントを通過する空気に与える抵抗は小さいことが好ましい。好ましくは、冷却セグメントは、非燃焼加熱型香味吸引器具の吸引抵抗に実質的に影響しない。吸込に対する抵抗(RTD)は、22℃及び101kPa(760トル)での17.5ml/秒の流量の試験の下で物体の全長に空気を押し通すのに必要な圧力である。RTDは、一般的にmmHOの単位で表され、ISO 6565:2011に従って測定される。従って、冷却セグメントの上流端から冷却セグメントの下流端までの圧力低下量は小さいことが好ましい。これを達成するために、縦方向の多孔率は50%よりも大きく、かつ冷却セグメントを通る空気流経路は、相対的に制約されないことが好ましい。冷却セグメントの縦方向多孔率は、冷却セグメントを形成する材料の断面積と冷却セグメントの内部断面積との比によって定めることができる。
【0077】
一部の実施形態において、生成したエアロゾルは、それが冷却セグメントを通って使用者に吸引される際に、温度が10℃以上低下することがある。別の一態様では温度が15℃以上、さらに別の一態様では20℃以上低下することがある。
【0078】
冷却セグメントは、金属箔、ポリマーシート、及び実質的に孔なしの紙又は厚紙を含む群から選択されたシート材料から構成されてもよい。一実施形態において、冷却セグメントは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、酢酸セルロース、及びアルミニウム箔から構成される群から選択されたシート材料を含むことができる。冷却セグメントの構成材料は、生物分解性材料、例えば、孔なし紙、又はポリ乳酸のような生物分解性ポリマー、又はでんぷん系の共重合体などから作製されていてもよい。
【0079】
冷却セグメント内を通る空気流は、隣接するセグメント間で実質的に偏位しないことが好ましい。換言すれば、冷却セグメント内を通る空気流は、実質的な半径方向の偏位がなく、縦方向のセグメントに沿った流れであることが好ましい。一部の実施形態において、冷却セグメントは、縦方向延在チャネルを除いて、多孔率が低く又は実質的に孔を持たない材料から形成される。縦方向延在チャネルを定めるか又は形成するのに使用する材料、例えば、しわ付き又はギャザー付きシートは、多孔率が低く又は実質的に孔を持たない。
【0080】
上述したように、冷却セグメントは、しわ付けされた、ひだ付けされた、ギャザー加工された、又は折り畳まれた適切な構成材料のシートを含んでもよい。そのような要素の断面プロフィールは、ランダムに向いたチャネルを示す場合がある。冷却セグメントは、他の手段によって形成することができる。例えば、冷却セグメントは、縦方向延在チューブの束から形成することができる。冷却セグメントは、適切な材料の押出し、成形、積層化、射出、又は細断によって形成することができる。
【0081】
冷却セグメントは、例えば、ひだ付け、ギャザー付け、又は折り畳まれたシート材料を巻紙で巻装して形成することができる。一部の実施形態において、冷却セグメントは、ロッド形状にギャザー付けされ、かつラッパー、例えば、濾紙の巻紙によって結び付けられたしわ付き材料のシートを含むことができる。
【0082】
冷却セグメントは、その軸方向の長さが例えば7mm以上、28mm以下のロッド形状に形成することができる。例えば、冷却セグメントの軸方向の長さは18mmとすることができる。
【0083】
一部の実施形態において、冷却セグメントは、その軸方向断面形状として実質的に円形であり、直径が5mm以上、10mm以下とすることができる。例えば、冷却セグメントの直径は、約7mmとすることができる。
【0084】
〔センターホールセグメント〕
センターホールセグメントは1つまたは複数の中空部を有する充填層と、該充填層を覆うインナープラグラッパー(内側巻紙)とで構成される。例えば、図1に示されるように、センターホールセグメント4は、中空部を有する第二の充填層9と、第二の充填層9を覆う第二のインナープラグラッパー10とで構成される。センターホールセグメント4は、マウスピースセグメント6の強度を高める機能を有する。第二の充填層9は、例えば酢酸セルロース繊維が高密度で充填されトリアセチンを含む可塑剤が酢酸セルロース質量に対して、6質量%以上、20質量%以下添加されて硬化された内径φ5.0mm以上、φ1.0mm以下のロッドとすることができる。第二の充填層9は繊維の充填密度が高いため、吸引時は、空気やエアロゾルは中空部のみを流れることになり、第二の充填層9内はほとんど流れない。センターホールセグメント4内部の第二の充填層9が繊維充填層であることから、使用時の外側からの触り心地は、使用者に違和感を生じさせることが少ない。なお、センターホールセグメント4が第二のインナープラグラッパー10を持たず、熱成型によってその形が保たれていてもよい。
【0085】
〔フィルターセグメント〕
フィルターセグメントの構成は特に限定されないが、単数または複数の充填層から構成されてよい。充填層の外側は一枚または複数枚の巻紙で巻装されてよい。フィルターセグメントのセグメント当たりの通気抵抗は、フィルターセグメントに充填される充填物の量、材料等により適宜変更することができる。例えば、充填物が酢酸セルロース繊維である場合、フィルターセグメントに充填される酢酸セルロース繊維の量を増加させれば、通気抵抗を増加させることができる。充填物が酢酸セルロース繊維である場合、酢酸セルロース繊維の充填密度は0.13~0.18g/cmであることができる。なお、通気抵抗は通気抵抗測定器(商品名:SODIMAX、SODIM製)により測定される値である。
【0086】
フィルターセグメントの周の長さは特に限定されないが、16~25mmであることが好ましく、20~24mmであることがより好ましく、21~23mmであることがさらに好ましい。フィルターセグメントの軸方向の長さは4~10mmを選択可能であり、その通気抵抗が15~60mmHO/segとなるように選択される。フィルターセグメントの軸方向の長さは5~9mmが好ましく、6~8mmがより好ましい。フィルターセグメントの断面の形状は特に限定されないが、例えば円形、楕円形、多角形等であることができる。また、フィルターセグメントには香料を含んだ破壊性カプセル、香料ビーズ、香料を直接添加していてもよい。
【0087】
図1に示されるように、センターホールセグメント4と、フィルターセグメント5とはアウタープラグラッパー(外側巻紙)11で接続できる。アウタープラグラッパー11は、例えば円筒状の紙であることができる。また、たばこ含有セグメント2と、冷却セグメント3と、接続済みのセンターホールセグメント4及びフィルターセグメント5とは、マウスピースライニングペーパー12により接続できる。これらの接続は、例えばマウスピースライニングペーパー12の内側面に酢酸ビニル系糊等の糊を塗り、前記3つのセグメントを入れて巻くことで接続することができる。なお、これらのセグメントは複数のライニングペーパーで複数回に分けて接続されていてもよい。
【0088】
[非燃焼加熱型香味吸引システム]
本実施形態に係る非燃焼加熱型香味吸引システムは、本実施形態に係る非燃焼加熱型香味吸引器具と、該非燃焼加熱型香味吸引器具のたばこ含有セグメントを加熱する加熱装置と、を備えることができる。本実施形態に係る非燃焼加熱型香味吸引システムは、本実施形態に係る非燃焼加熱型香味吸引器具及び前記加熱装置以外に、他の構成を有していてもよい。
【0089】
本実施形態に係る非燃焼加熱型香味吸引システムの一例を図2に示す。図2に示される非燃焼加熱型香味吸引システムは、本実施形態に係る非燃焼加熱型香味吸引器具1と、非燃焼加熱型香味吸引器具1のたばこ含有セグメントを外側から加熱する加熱装置13とを備える。
【0090】
図2(a)は非燃焼加熱型香味吸引器具1を加熱装置13に挿入する前の状態を示し、図2(b)は非燃焼加熱型香味吸引器具1を加熱装置13に挿入して加熱する状態を示す。図2に示される加熱装置13は、ボディ14と、ヒーター15と、金属管16と、電池ユニット17と、制御ユニット18とを備える。ボディ14は筒状の凹部19を有し、凹部19の内側側面であって、凹部19に挿入される非燃焼加熱型香味吸引器具1のたばこ含有セグメントと対応する位置に、ヒーター15及び金属管16が配置されている。ヒーター15は電気抵抗によるヒーターであることができ、温度制御を行う制御ユニット18からの指示により電池ユニット17より電力が供給され、ヒーター15の加熱が行われる。ヒーター15から発せられた熱は、熱伝導度の高い金属管16を通じて非燃焼加熱型香味吸引器具1のたばこ含有セグメントへ伝えられる。
【0091】
図2(b)においては、模式的に図示しているため、非燃焼加熱型香味吸引器具1の外周と金属管16の内周との間に隙間があるが、実際は、熱を効率的に伝達する目的で非燃焼加熱型香味吸引器具1の外周と金属管16の内周との間に隙間は無い方が望ましい。なお、加熱装置13は非燃焼加熱型香味吸引器具1のたばこ含有セグメントを外側から加熱するが、内側から加熱するものであってもよい。
【0092】
加熱装置による加熱温度は特に限定されないが、400℃以下であることが好ましく、150℃以上400℃以下であることがより好ましく、200℃以上350℃以下であることがさらに好ましい。なお、加熱温度とは加熱装置のヒーターの温度を示す。
【実施例
【0093】
以下、本実施形態の具体例について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0094】
[実施例1]
(1)第一の材料の調製
第一の材料として、葉たばこ(黄色種)を幅1.0mmに裁刻した葉たばこ刻を準備した。なお、該葉たばこ刻にはエアロゾル発生剤は付与されていない。該第一の材料のCBTの含有率は0.08質量%であった。
【0095】
(2)第二の材料の調製
第二の材料として、エアロゾル発生剤としてのグリセリンを33質量%含み、たばこ成分を含まないシートを作製した。具体的には、シトラスファイバー(DSP五協フード&ケミカル製、商品名:ヘルバセルAQプラス)とグリセリンを、ミキサーをもちいてブレンドして、混合物を得た。一方で、バインダーとしてのカルボキシメチルセルロース(日本製紙株式会社製、商品名:サンローズ F30MC)と水を、ミキサーを用いて混合し膨潤させ、バインダー液を調製した。次いで、前記混合物と前記バインダー液とをミキサーで混合して湿粉を調製した。前記湿粉中の各成分の配合量は表1に示すとおりである。
【0096】
【表1】
【0097】
混練機(ダルトン社製、DG-1)を用いて、室温にて前記湿粉を6回混練した。スクリュー回転数は38.5rpmとした。混錬後の前記湿粉を2枚のテフロン(登録商標)フィルム(日東電工株式会社製、NITOFLON No.900UL)に挟み、カレンダー装置(由利ロール機械社製)を用いて、所定の厚さ(100μm超)になるまで4段階で圧延した。これにより、フィルム/ウェットシート/フィルムの層構造を有する厚さ105μmのラミネートを調製した。1~4段目のロールギャップは、それぞれ650μm、330μm、180μm、5μmとした。4段目のロールギャップは最終的に得られたシートの厚さよりも厚いが、これはローラ間の圧力から解放されたシートが最終厚さ付近まで膨張したためである。ラミネートから1枚のテフロン(登録商標)フィルムを剥離し、通風乾燥機を用いて80℃で1~2分乾燥した。次いで、もう1枚のフィルムを剥離し、同条件でウェットシートを乾燥した。乾燥したシートを幅0.8mm、長さ9.5mmに裁刻した。以上の工程により、第二の材料を作製した。
【0098】
(3)たばこ組成物の調製
前記第一の材料と前記第二の材料を、前記第一の材料と前記第二の材料の質量割合が、第一の材料:第二の材料=60:40となるように混合し、たばこ組成物を調製した。該たばこ組成物中のグリセリン含有率は13.2質量%であった。たばこ組成物の各配合割合とエアロゾル発生剤(グリセリン)含有率を表2に示す。
【0099】
(4)非燃焼加熱型香味吸引器具の作製
市販の非燃焼加熱型香味吸引器具(商品名:Ploom Sメビウス、日本たばこ(株)製)のたばこ含有セグメントに充填されたたばこシートを取り出し、代わりに前記たばこ組成物を充填することで、評価用の非燃焼加熱型香味吸引器具を作製した。前記たばこ組成物の充填密度は0.033g/cmであった。
【0100】
(5)評価
前記非燃焼加熱型香味吸引器具を、PloomS(商品名、日本たばこ(株)製)を用いて加熱し、7名のパネラー(a~g)により、たばこ香味、Vapor volume(Vapor感)及び持続性(Lasting)について評価を行った。「たばこ香味」は、たばこの味及び香りの程度を示す。「Vapor volume」は、エアロゾルに基づくVaporの感覚を示す。「持続性」は、前記Vaporの感覚が使用後半まで続くことを示す。評価は、1種類の刻からなる市販の非燃焼型シガレット(商品名:Ploom Sメビウス、日本たばこ(株)製)を基準とし、前記3項目について、1:大いに少ない、2:少ない、3:普通、4:多い、5:大いに多い、の1~5の評点に基づいて行った。評点における平均値の差の検定は両側検定で行った。なお、前記7名のパネラー(a~g)は、濃度の異なる数種類のサンプルを用いて訓練が十分に行われており、「たばこ香味」、「Vapor volume」、及び「持続性」の評点の閾値が等しく、パネラー間で統一化されていることが確認されている。評価結果を表3に示す。
【0101】
なお、表3において、「平均」は、各パネラーの評点の平均値を示す。「分散」は各パネラーの評点の分散を示す。比較例も含め全評価項目において分散の値が十分に小さい事から被験者間の評価の違いは小さく充分に特徴が発現していると考えられる。「p値(両側)」は、実際に観測された値よりも極端に差がある値が観測される確率のことであり、一般的に統計学では2つの結果間で有意差があるかどうかの判定に用いられる。今回の結果において比較例1の結果と比較例2、実施例1、2の同評価項目の結果について計算したところ、全てにおいて5%有意差がある結果となった。表3中では5%有意差がある結果となった事を「*」と記載する事によって表した。本「p値」計算結果から、今回の官能評価結果において全実施例の各評価項目の結果は、比較例に対し統計的に有意差があることを示す。
【0102】
[実施例2]
(1)第一の材料の調製
第一の材料として、たばこシート42質量部と、葉たばこ18質量部とを混合した組成物を調製した。該たばこシートは、前記たばこシートの成形方法(抄造法)により作製した。該たばこシート中のグリセリン含有率は3質量%であった。葉たばことしては、葉たばこ(黄色種)を幅1.0mmに裁刻した、エアロゾル発生剤が付与されていない葉たばこ刻を用いた。該第一の材料のCBTの含有率は0.074質量%であった。
【0103】
(2)第二の材料の調製
実施例1と同様に第二の材料を調製した。
【0104】
(3)たばこ組成物の調製
前記第一の材料と前記第二の材料を、前記第一の材料と前記第二の材料の質量割合が、第一の材料:第二の材料=60:40となるように混合し、たばこ組成物を調製した。該たばこ組成物中のグリセリン含有率は14.5質量%であった。たばこ組成物の各配合割合とエアロゾル発生剤(グリセリン)含有率を表2に示す。
【0105】
(4)非燃焼加熱型香味吸引器具の作製及び評価
前記たばこ組成物を用いて、実施例1と同様に非燃焼加熱型香味吸引器具を作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0106】
[比較例1]
(1)たばこ組成物(第一の材料)の調製
第一の材料として、エアロゾル発生剤としてのグリセリンを15.0質量%含むたばこシートを作製した。具体的には、前記たばこシートの成形方法(抄造法)を適用した。該第一の材料のCBTの含有率は0.044質量%であった。該第一の材料をたばこ組成物とした。たばこ組成物の各配合割合とエアロゾル発生剤(グリセリン)含有率を表2に示す。
【0107】
(2)非燃焼加熱型香味吸引器具の作製及び評価
前記たばこ組成物を用いて、実施例1と同様に非燃焼加熱型香味吸引器具を作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0108】
[比較例2]
(1)第一の材料及び第二の材料の調製
実施例1と同様に、第一の材料及び第二の材料を調製した。
【0109】
(2)たばこ組成物の調製
前記第一の材料と前記第二の材料を、前記第一の材料と前記第二の材料の質量割合が、第一の材料:第二の材料=90:10となるように混合し、たばこ組成物を調製した。該たばこ組成物中のグリセリン含有率は3.3質量%であった。たばこ組成物の各配合割合とエアロゾル発生剤(グリセリン)含有率を表2に示す。
【0110】
(3)非燃焼加熱型香味吸引器具の作製及び評価
前記たばこ組成物を用いて、実施例1と同様に非燃焼加熱型香味吸引器具を作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0111】
【表2】
【0112】
【表3】
【0113】
[実施例3]
(1)第一の材料の調製
第一の材料として、たばこシート36質量部と、葉たばこ24質量部とを混合した組成物を調製した。該たばこシートは、前記たばこシートの成形方法(抄造法)により作製した。該たばこシート中のグリセリン含有率は15質量%であった。葉たばことしては、葉たばこ(黄色種)を幅1.0mmに裁刻し、グリセリンを7質量%付与した葉たばこ刻を用いた。
【0114】
(2)第二の材料の調製
実施例1と同様の方法により、グリセリンを25質量%含み、たばこ成分を含まないシートを作製し、第二の材料とした。
【0115】
(3)たばこ組成物の調製
前記第一の材料と前記第二の材料を、前記第一の材料と前記第二の材料の質量割合が、第一の材料:第二の材料=60:40となるように混合し、たばこ組成物を調製した。該たばこ組成物中のグリセリン含有率は17.1質量%であった。たばこ組成物の各配合割合とエアロゾル発生剤(グリセリン)含有率を表4に示す。
【0116】
(4)非燃焼加熱型香味吸引器具の作製及び評価
前記たばこ組成物を用いて、実施例1と同様に非燃焼加熱型香味吸引器具を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0117】
[実施例4]
(1)第一の材料の調製
実施例3と同様に第一の材料を調製した。
【0118】
(2)第二の材料の調製
実施例1と同様の方法により、グリセリンを33質量%含み、たばこ成分を含まないシートを作製し、第二の材料とした。
【0119】
(3)たばこ組成物の調製
前記第一の材料と前記第二の材料を、前記第一の材料と前記第二の材料の質量割合が、第一の材料:第二の材料=60:40となるように混合し、たばこ組成物を調製した。該たばこ組成物中のグリセリン含有率は20.3質量%であった。たばこ組成物の各配合割合とエアロゾル発生剤(グリセリン)含有率を表4に示す。
【0120】
(4)非燃焼加熱型香味吸引器具の作製及び評価
前記たばこ組成物を用いて、実施例1と同様に非燃焼加熱型香味吸引器具を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0121】
[実施例5]
(1)第一の材料の調製
実施例3と同様に第一の材料を調製した。
【0122】
(2)第二の材料の調製
実施例1と同様の方法により、グリセリンを40質量%含み、たばこ成分を含まないシートを作製し、第二の材料とした。
【0123】
(3)たばこ組成物の調製
前記第一の材料と前記第二の材料を、前記第一の材料と前記第二の材料の質量割合が、第一の材料:第二の材料=60:40となるように混合し、たばこ組成物を調製した。該たばこ組成物中のグリセリン含有率は23.1質量%であった。たばこ組成物の各配合割合とエアロゾル発生剤(グリセリン)含有率を表4に示す。
【0124】
(4)非燃焼加熱型香味吸引器具の作製及び評価
前記たばこ組成物を用いて、実施例1と同様に非燃焼加熱型香味吸引器具を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0125】
[実施例6]
(1)第一の材料の調製
第一の材料として、たばこシート18質量部と、葉たばこ42質量部とを混合した組成物を調製した。該たばこシートは、前記たばこシートの成形方法(抄造法)により作製した。該たばこシート中のグリセリン含有率は15質量%であった。葉たばことしては、葉たばこ(黄色種)を幅1.0mmに裁刻し、グリセリンを7質量%付与した葉たばこ刻を用いた。
【0126】
(2)第二の材料の調製
実施例1と同様の方法により、グリセリンを33質量%含み、たばこ成分を含まないシートを作製し、第二の材料とした。
【0127】
(3)たばこ組成物の調製
前記第一の材料と前記第二の材料を、前記第一の材料と前記第二の材料の質量割合が、第一の材料:第二の材料=60:40となるように混合し、たばこ組成物を調製した。該たばこ組成物中のグリセリン含有率は18.8質量%であった。たばこ組成物の各配合割合とエアロゾル発生剤(グリセリン)含有率を表4に示す。
【0128】
(4)非燃焼加熱型香味吸引器具の作製及び評価
前記たばこ組成物を用いて、実施例1と同様に非燃焼加熱型香味吸引器具を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0129】
【表4】
【0130】
【表5】
【0131】
[実施例7]
(1)第一の材料の調製
第一の材料として、たばこシート48質量部と、葉たばこ32質量部とを混合した組成物を調製した。該たばこシートは、前記たばこシートの成形方法(抄造法)により作製した。該たばこシート中のグリセリン含有率は15質量%であった。葉たばことしては、葉たばこ(黄色種)を幅1.0mmに裁刻し、グリセリンを7質量%付与した葉たばこ刻を用いた。
【0132】
(2)第二の材料の調製
実施例1と同様の方法により、グリセリンを33質量%含み、たばこ成分を含まないシートを作製し、第二の材料とした。
【0133】
(3)たばこ組成物の調製
前記第一の材料と前記第二の材料を、前記第一の材料と前記第二の材料の質量割合が、第一の材料:第二の材料=80:20となるように混合し、たばこ組成物を調製した。該たばこ組成物中のグリセリン含有率は16.0質量%であった。たばこ組成物の各配合割合とエアロゾル発生剤(グリセリン)含有率を表6に示す。
【0134】
(4)非燃焼加熱型香味吸引器具の作製及び評価
前記たばこ組成物を用いて、実施例1と同様に非燃焼加熱型香味吸引器具を作製し、評価した。結果を表7に示す。
【0135】
[実施例8]
(1)第一の材料の調製
実施例7と同様に第一の材料を調製した。
【0136】
(2)第二の材料の調製
実施例1と同様の方法により、グリセリンを16.5質量%、プロピレングリコールを16.5質量%含み、たばこ成分を含まないシートを作製し、第二の材料とした。
【0137】
(3)たばこ組成物の調製
前記第一の材料と前記第二の材料を、前記第一の材料と前記第二の材料の質量割合が、第一の材料:第二の材料=80:20となるように混合し、たばこ組成物を調製した。該たばこ組成物中のグリセリン含有率は16.0質量%であった。たばこ組成物の各配合割合とエアロゾル発生剤(グリセリン、プロピレングリコール)含有率を表6に示す。
【0138】
(4)非燃焼加熱型香味吸引器具の作製及び評価
前記たばこ組成物を用いて、実施例1と同様に非燃焼加熱型香味吸引器具を作製し、評価した。結果を表7に示す。
【0139】
【表6】
【0140】
【表7】
本発明は以下の実施態様を含む。
[1]たばこ成分を含む第一の材料と、
エアロゾル発生剤を25質量%以上含む第二の材料と、
を含むたばこ組成物であって、
前記第一の材料に含まれるエアロゾル発生剤の含有率が25質量%未満であり、
前記第一の材料と前記第二の材料の合計質量に対する、前記第二の材料の質量の割合が15質量%以上である、たばこ組成物。
[2]前記第一の材料と前記第二の材料との質量割合が、第一の材料:第二の材料=40~80:20~60である、[1]に記載のたばこ組成物。
[3]前記第一の材料に含まれるエアロゾル発生剤の含有率が22質量%以下である、[1]又は[2]に記載のたばこ組成物。
[4]前記第一の材料が、たばこシート及び葉たばこからなる群から選択される少なくとも一種である、[1]~[3]のいずれかに記載のたばこ組成物。
[5]前記たばこシートが、前記たばこ成分及び補強材料を含む、[4]に記載のたばこ組成物。
[6]前記たばこシートに含まれるエアロゾル発生剤の含有率が15質量%以下である、[4]又は[5]に記載のたばこ組成物。
[7]前記葉たばこに含まれるエアロゾル発生剤の含有率が10質量%以下である、[4]~[6]のいずれかに記載のたばこ組成物。
[8]前記第二の材料がたばこ成分を含まない、[1]~[7]のいずれかに記載のたばこ組成物。
[9]前記第二の材料が、前記エアロゾル発生剤と補強材料とを含む、[1]~[8]のいずれかに記載のたばこ組成物。
[10]前記たばこ組成物に含まれる前記エアロゾル発生剤の含有率が10~40質量%である、[1]~[9]のいずれかに記載のたばこ組成物。
[11]前記エアロゾル発生剤が、グリセリン、プロピレングリコール、及び1,3-ブタンジオールからなる群から選択される少なくとも一種である、[1]~[10]のいずれかに記載のたばこ組成物。
[12]前記たばこ成分が、ニコチン、センブラトリエンジオール(CBT)、3-オキソイオノール、及びメガスティグマトリエノンからなる群から選択される少なくとも一種である、[1]~[11]のいずれかに記載のたばこ組成物。
[13]前記第一の材料が前記たばこ成分としてCBTを含み、前記第一の材料に含まれるCBTの含有率が0.01質量%以上である、[12]に記載のたばこ組成物。
[14]非燃焼加熱型香味吸引器具用のたばこ組成物である、[1]~[13]のいずれかに記載のたばこ組成物。
[15]筒状のラッパーと、該ラッパー内に[1]~[14]のいずれかに記載のたばこ組成物が充填されたたばこ充填物と、を含むたばこ含有セグメント。
[16][15]に記載のたばこ含有セグメントを備える非燃焼加熱型香味吸引器具。
[17][16]に記載の非燃焼加熱型香味吸引器具と、
前記たばこ含有セグメントを加熱する加熱装置と、
を備える非燃焼加熱型香味吸引システム。
【符号の説明】
【0141】
1 非燃焼加熱型香味吸引器具
2 たばこ含有セグメント
3 冷却セグメント
4 センターホールセグメント
5 フィルターセグメント
6 マウスピースセグメント
7 筒状部材
8 穿孔
9 第二の充填層
10 第二のインナープラグラッパー
11 アウタープラグラッパー
12 マウスピースライニングペーパー
13 加熱装置
14 ボディ
15 ヒーター
16 金属管
17 電池ユニット
18 制御ユニット
19 凹部
図1
図2