(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】熱可塑性ポリマー用の難燃剤-安定剤組合せ物
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20241017BHJP
C08K 5/5313 20060101ALI20241017BHJP
C08K 5/5333 20060101ALI20241017BHJP
C08K 5/09 20060101ALI20241017BHJP
C08K 5/10 20060101ALI20241017BHJP
C09K 21/12 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K5/5313
C08K5/5333
C08K5/09
C08K5/10
C09K21/12
(21)【出願番号】P 2022576428
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2021065802
(87)【国際公開番号】W WO2021254907
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-12-12
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】596081005
【氏名又は名称】クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ヘーロルト・ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】バウアー・ハーラルト
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-532140(JP,A)
【文献】国際公開第2019/011789(WO,A1)
【文献】特開2004-204194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分Aとして、20重量%~
97.6重量%の式(I)のホスフィン酸塩、
【化1】
[式中、
R
1およびR
2は、それぞれエチルであり、MはAlであり、そして
mは3である];
成分Bとして、0.2重量%~16重量%の、エチルブチルホスフィン酸の、ジブチルホスフィン酸の、エチルヘキシルホスフィン酸の、ブチルヘキシルホスフィン酸のおよび/またはジヘキシルホスフィン酸のアルミニウム塩;
成分Cとして、1重量%~
50重量%の、一般式(II)を有する亜リン酸の塩
[HP(=O)O
2]
2- M
m+ (II)
[式中、
MはZnであり、そして
mは2である];
成分Dとして、1重量%~
50重量%の、一般式(III)を有する亜リン酸の塩
[HP(=O)O
2]
2-
3 M
m+
2 (III)
[式中、
MはAlであり、そして
mは3である];
成分Eとして、0重量%~30重量%の、窒素含有相乗剤、および/またはリン含有および/または窒素含有難燃剤;
成分Fとして、0重量%~10重量%の、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ベーマイトおよび/またはハイドロタルサイトから選択される無機相乗剤;
成分Gとして、
0.1重量%~
2重量%の、有機ホスホナイト類、および/または有機ホスホナイト類と有機ホスファイト類との混合物、および
成分Hとして、
0.1重量%~
2重量%の、
C
14
~C
40
の鎖長を有する長鎖脂肪族カルボン酸(脂肪酸)のエステルおよび/または塩
を含み、
前記成分の合計は常に100重量%である、熱可塑性ポリマー用難燃剤-安定剤組み合わせ物。
【請求項2】
以下:
20重量%~96.6重量%の成分A、
0.2重量%~16重量%の成分B、
1重量%~50重量%の成分C、
1重量%~50重量%の成分D、
1重量%~10重量%の成分E、
0重量%~10重量%の成分F、
0.1重量%~2重量%の成分G、および
0.1重量%~2重量%の成分H
を含み、前記成分の合計は常に100重量%であることを特徴とする、請求項
1に記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物。
【請求項3】
以下:
20重量%~96.6重量%の成分A、
0.2重量%~16重量%の成分B、
1重量%~50重量%の成分C、
1重量%~50重量%の成分D、
0重量%~10重量%の成分E、
1重量%~10重量%の成分F、
0.1重量%~2重量%の成分G、および
0.1重量%~2重量%の成分H
を含み、前記成分の合計は常に100重量%であることを特徴とする、請求項1
または2に記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物。
【請求項4】
成分Bが、エチルブチルホスフィン酸の、ジブチルホスフィン酸のおよび/またはエチルヘキシルホスフィン酸のAl塩を含むことを特徴とする、請求項1~
3のいずれか1つに記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物。
【請求項5】
成分Eが、メラミンの縮合生成物、および/またはメラミンとポリリン酸との反応生成物、および/またはメラミンの縮合生成物とポリリン酸との反応生成物、またはそれらの混合物;および/またはメラミンシアヌレートを含むことを特徴とする、請求項1~
4のいずれか1つに記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物。
【請求項6】
成分Eが、メレム、メラム、メロン、ジメラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、メレムポリホスフェート、メラムポリホスフェート、メロンポリホスフェート、および/またはそれらの混合ポリ塩、および/または式(NH
4)
yH
3-yPO
4または(NH
4PO
3)
z(式中、yは1~3であり、zは1~10000である)の窒素含有ホスフェート類を含むことを特徴とする、請求項
5に記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物。
【請求項7】
クリアコートおよび発泡性防炎コーティングにおける難燃剤としてのまたはそれらのための難燃剤としての、木材および他のセルロース製品のための難燃剤におけるまたは当該難燃剤としての、ポリマーのための反応性および/または非反応性難燃剤におけるまたは当該難燃剤としての、難燃性ポリマー成形コンパウンドの製造のための、難燃性ポリマー成形体の製造のための、および/または含浸によってポリエステルおよび純セルロース布帛および混紡セルロース布帛に難燃性を付与するための、および/または相乗剤としての、および/またはさらに別の難燃剤混合物における相乗剤としての、請求項1~
6のいずれか1つに記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物の使用。
【請求項8】
7重量%~30重量%の請求項1~
6のいずれか1つに記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物、30重量%~91重量%の熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはそれらの混合物、1重量%~30重量%の添加剤および1重量%~40重量%のフィラーまたは強化材料を含み、前記成分の合計は100重量%である、難燃性熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマー成形コンパウンドもしくはポリマー成形体、フィルム、フィラメントおよび/または繊維。
【請求項9】
請求項1~
6のいずれか1つに記載の難燃剤混合物を含む難燃性熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマー成形コンパウンドもしくはポリマー成形体、フィルム、フィラメントおよび/または繊維であって、前記ポリマーが、HI(耐衝撃性)ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステルまたはポリカーボネートタイプの熱可塑性ポリマー、ならびにABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)またはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)またはPPE/HIPS(ポリフェニレンエーテル/HIポリスチレン)ポリマータイプのブレンドまたはポリマーブレンドを含むことを特徴とする、前記の難燃性熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマー成形コンパウンドもしくはポリマー成形体、フィルム、フィラメントおよび/または繊維。
【請求項10】
添加剤が、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、金属不活性化剤、過酸化物破壊化合物、ポリアミド安定剤、塩基性共安定剤、核形成剤、さらに別の難燃剤および/または他の添加剤であることを特徴とする、請求項
8または
9に記載の難燃性熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマー成形コンパウンドもしくはポリマー成形体、フィルム、フィラメントおよび/または繊維。
【請求項11】
フィラーおよび強化材が、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、ガラス繊維、アスベスト、タルク、カオリン、雲母、硫酸バリウム、金属酸化物および水酸化物、カーボンブラック、グラファイトおよび/または他の適切な物質であることを特徴とする、請求項
8~
10のいずれか1つに記載の難燃性熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマー成形コンパウンドもしくはポリマー成形体、フィルム、フィラメントおよび/または繊維。
【請求項12】
プラグコネクタ、電力分配装置における電流接触部品(残留電流保護)、回路基板、ポッティングコンパウンド、電源コネクタ、回路遮断器、ランプハウジング、LEDランプハウジング、コンデンサハウジング、印刷回路基板中もしくは上のコイル部品、ベンチレータ、接地接触子、プラグ;プラグ用、ケーブル用、フレキシブル回路基板用、充電用ケーブル用のハウジング、エンジンカバー、テクスタイルコーティング及び他の製品中におけるまたはこれらのための、請求項
8~
11のいずれか1つに記載の難燃性熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマー成形コンパウンドまたはポリマー成形体、フィルム、フィラメントおよび/または繊維の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン不含の熱可塑性ポリマーのための難燃剤-安定剤組み合わせ物、および、そのような難燃剤-安定剤組み合わせ物を含むポリマー性成形コンパウンドおよび成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
可燃性プラスチックは、通常、プラスチック加工業者および一部の場合には立法者から求められる高い難燃性要件を達成できるためには、難燃剤を備えていなければならない。好ましくは、-環境的な理由からも-少量の煙ガスしか生じない(生じるとしても)、非ハロゲン化難燃剤系が使用される。
【0003】
これらの難燃剤では、アルキルホスフィン酸の塩(ホスフィネート)が特に熱可塑性ポリマーに対して有効であることが見出されている(DE-2252258A(特許文献1)およびDE-2447727A(特許文献2))。しかし、それらの気相活性、および分子中のリン原子に結合したアルキル基は一般に、煙形成の増強をもたらす。
【0004】
US-7420007B2(特許文献3)およびDE-A-102017212096(特許文献4)は、少量の選択されたテロマーを含有するジアルキルホスフィネートがポリマー用の難燃剤として好適であることを開示している。しかしながら、当業者は、これらのテロマーはそれらのアルキル基のために増強された煙形成を有すると予期するであろう。
【0005】
エポキシ樹脂中のジエチルホスフィン酸アルミニウムおよびメラミンポリホスフェートおよびアルミニウム酸化物は、低い煙形成を有することが知られている。しかしながら、エポキシ樹脂は比較的容易に難燃性を付与することができ;難燃性を付与するのがより困難である本願のポリアミドおよびポリエステルにおけるよりも顕著に少量の難燃剤が必要とされる。従って、本願の難燃剤-安定剤組み合わせ物が、ポリアミドおよびポリエステルにおいて優れた値を達成することは特に驚くべきことである。
【0006】
ジアルキルホスフィン酸塩と亜リン酸アルミニウムとの混合物、またはジアルキルホスフィン酸塩および亜リン酸亜鉛および/またはリン/窒素難燃剤の混合物(DE-A-20101048025)(特許文献5)によってこれまで取り組まれてきた課題は、難燃性を除くと、単に、溶融物中における加工におけるプラスチックの安定性を改善する、良好な機械的特性(より良好な破断伸び)をもたらす、および金型堆積物またはプラスチックからの滲出(exudation)を引き起こさない、というものであった。
【0007】
エチレン-酢酸ビニルコポリマーにおいてジエチルホスフィン酸アルミニウムおよびメラミンポリホスフェートおよびアルミニウム水酸化物から構成される系は、ポリマーの安定性に悪影響を及ぼす非常に多量の難燃剤を必要とする。
【0008】
ポリマー樹脂中に難燃剤を使用すると、燃焼性を大幅に低下させることができる一方で、これはポリマー樹脂が熱または炎に曝されたときに、煙の高い発生をもたらし得る。このような煙の発生は重大な損傷をもたらし、また、死に至る中毒をもたし得るので避けられるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】DE-2252258A
【文献】DE-2447727A
【文献】US-7420007B2
【文献】DE-A-102017212096
【文献】DE-A-20101048025
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、難燃剤-安定剤組み合わせ物、ならびにそのような難燃剤-安定剤組み合わせ物を含有し、原則として、ポリマー性成形コンパウンドおよび成形体等が熱または炎に曝露された場合に、ゼロまたは非常に低い可燃性およびゼロまたは非常に低い煙形成の両方を示す、ポリマー性成形コンパウンドおよび成形体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、成分Aとして、20重量%~99重量%の式(I)のホスフィン酸塩、
【0012】
【化1】
[式中、
R
1およびR
2は、それぞれエチルであり、MはAlであり、そして
mは3である];
成分Bとして、0.2重量%~16重量%の、エチルブチルホスフィン酸の、ジブチルホスフィン酸の、エチルヘキシルホスフィン酸の、ブチルヘキシルホスフィン酸のおよび/またはジヘキシルホスフィン酸のアルミニウム塩;
成分Cとして、1~80重量%の、一般式(II)を有する亜リン酸の塩
[HP(=O)O
2]
2-M
m+ (II)
[式中、
MはZnであり、そして
mは2である];
成分Dとして、0~80重量%の、一般式(III)を有する亜リン酸の塩
[HP(=O)O
2]
2-
3 M
m+
2 (III)
[式中、
MはAlであり、そして
mは3である];
成分Eとして、0重量%~30重量%の、窒素含有相乗剤、および/またはリン含有および/または窒素含有難燃剤;
成分Fとして、0重量%~10重量%の、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ベーマイトおよび/またはハイドロタルサイトから選択される無機相乗剤;
成分Gとして、0重量%~3重量%の、有機ホスホナイト類、および/または有機ホスホナイト類と有機ホスファイト類との混合物、および
成分Hとして、0重量%~3重量%の、典型的にはC
14~C
40の鎖長を有する、長鎖脂肪族カルボン酸(脂肪酸)のエステルおよび/または塩
を含み、
前記成分の合計は常に100重量%である、難燃剤-安定剤組み合わせ物によって達成される。
【0013】
本発明の難燃剤-安定剤の組み合わせ物は、好ましくは、
20重量%~97.8重量%の成分A、
0.2重量%~16重量%の成分B、
1重量%~80重量%の成分C、および
1重量%~80重量%の成分D、
を含み、前記成分の合計は常に100重量%である。
【0014】
本発明の難燃剤-安定剤の組み合わせ物は、より好ましくは、
20重量%~97.6重量%の成分A、
0.2重量%~16重量%の成分B、
1重量%~50重量%の成分C、
1重量%~50重量%の成分D、
0重量%~30重量%の成分E、および
0重量%~10重量%の成分F、
0.1重量%~2重量%の成分G、および
0.1重量%~2重量%の成分H
を含み、
前記成分の合計は常に100重量%である。
【0015】
特定の実施態様において、本発明の難燃剤-安定剤組み合わせ物は
20重量%~97.6重量%の成分A、
0.2重量%~16重量%の成分B、
1重量%~30重量%の成分C、
0重量%~80重量%の成分D、
1重量%~10重量%の成分E、
0重量%~10重量%の成分F、
0.1重量%~2重量%の成分G、および
0.1重量%~2重量%の成分H
を含み、
前記成分の合計は常に100重量%である。
【0016】
さらなる実施態様において、本発明の難燃剤-安定剤組み合わせ物は
20重量%~96.6重量%の成分A、
0.2重量%~16重量%の成分B、
1重量%~50重量%の成分C、
1重量%~50重量%の成分D、
1重量%~10重量%の成分E、
0重量%~10重量%の成分F、
0.1重量%~2重量%の成分G、および
0.1重量%~2重量%の成分H
を含み、
前記成分の合計は常に100重量%である。
【0017】
さらに別の実施態様において、本発明の難燃剤-安定剤組み合わせ物は
20重量%~96.6重量%の成分A、
0.2重量%~16重量%の成分B、
0.1重量%~50重量%の成分C、
1重量%~50重量%の成分D、
0重量%~10重量%の成分E、
1重量%~10重量%の成分F、
0.1重量%~2重量%の成分G、および
0.1重量%~2重量%の成分H
を含み、
前記成分の合計は常に100重量%である。
【0018】
成分Bは、好ましくは、エチルブチルホスフィン酸の、ジブチルホスフィン酸のおよび/またはエチルヘキシルホスフィン酸のAl塩を含む。
【0019】
成分Cは、好ましくは、亜鉛ホスファイト、2級亜鉛ホスファイト(ZnHPO3)、Zn(H2PO3)2、Zn2/3HPO3、亜鉛ホスファイト水和物、亜鉛ピロホスファイト(ZnH2P2O5)、次式の塩基性亜鉛ホスファイト
Zn1+xHPO3(OH)2x
(x=0~0.25)
および/または次式のナトリウム亜鉛ホスファイト
Zn1-xNa2xHPO4
(x=0.001~0.5)
である。
【0020】
化合物Dは、好ましくは、アルミニウムホスファイト[Al(H2PO3)3]、2級アルミニウムホスファイト[Al2(HPO3)3]、塩基性アルミニウムホスファイト[Al(OH)(H2PO3)2*2aq]、アルミニウムホスファイト四水和物[Al2(HPO3)3*4aq]、アルミニウムホスホネート、Al7(HPO3)9(OH)6(1,6-ヘキサンジアミン)1.5*12H2O、Al2(HPO3)3*xAl2O3*nH2O(x=2.27~1)および/またはAl4H6P16O18、および式(IV)、(V)および/または(VI)のアルミニウムホスファイト類を含み
Al2(HPO3)3 x (H2O)q (IV)
(式中、
qは、0~4である)
Al2.00Mz(HPO3)y(OH)v x (H2O)w (V)
(式中、
Mは、アルカリ金属イオンを表し、
zは、0.01~1.5であり、
yは、2.63~3.5であり、
vは、0~2であり、そして
wは、0~4である)
Al2.00(HPO3)u(H2PO3)t x (H2O)s (VI)
(式中、
uは、2~2.99であり、
tは、2~0.01であり、そして
sは、0~4である)
および/または、式(IV)のアルミニウムホスファイトと難溶性アルミニウム塩および窒素不含の外来イオンとの混合物、式(VI)のアルミニウムホスファイトとアルミニウム塩、アルミニウムホスファイト[Al(H2PO3)3]、2級アルミニウムホスファイト[Al2(HPO3)3]、塩基性アルミニウムホスファイト[Al(OH)(H2PO3)2 *2aq]、アルミニウムホスファイト四水和物[Al2(HPO3)3*4aq]、アルミニウムホスホネート、Al7(HPO3)9(OH)6(1,6-ヘキサンジアミン)1.5*12H2O、Al2(HPO3)3*xAl2O3*nH2O(x=2.27~1)および/またはAl4H6P16O18との混合物を含む。
【0021】
成分Eは、好ましくは、メラミンの縮合生成物、および/またはメラミンとポリリン酸との反応生成物、および/またはメラミンの縮合生成物とポリリン酸との反応生成物、またはそれらの混合物;および/またはメラミンシアヌレートを含む。
【0022】
成分Eは、より好ましくは、メレム、メラム、メロン、ジメラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、メレムポリホスフェート、メラムポリホスフェート、メロンポリホスフェート、および/またはそれらの混合ポリ塩、および/または式(NH4)yH3-yPO4または(NH4PO3)z(式中、yは1~3であり、zは1~10000である)の窒素含有ホスフェート類である。
【0023】
本発明はまた、クリアコートおよび発泡性防炎コーティングにおける難燃剤としてのまたはそれらのための難燃剤としての、木材および他のセルロース製品のための難燃剤におけるまたは当該難燃剤としての、ポリマーのための反応性および/または非反応性難燃剤におけるまたは当該難燃剤としての、難燃性ポリマー成形コンパウンドの製造のための、難燃性ポリマー成形体の製造のための、および/または含浸によってポリエステルおよび純セルロース布帛および混紡セルロース布帛に難燃性を付与するための、および/または相乗剤としての、および/またはさらに別の難燃剤混合物における相乗剤としての、請求項1~11の1つ以上に記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物の使用に関する。
【0024】
本発明は同様に、2重量%~50重量%の請求項1~11の1つ以上に記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物、50重量%~98重量%の熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはそれらの混合物、0重量%~50重量%の添加剤および0重量%~60重量%のフィラーまたは強化材料を含む、難燃性熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマー成形コンパウンドもしくはポリマー成形体、フィルム、フィラメントおよび/または繊維に関し、ここで、成分の合計は100重量%である。
【0025】
難燃性熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマー成形コンパウンドもしくはポリマー成形体、フィルム、フィラメントおよび/または繊維は、好ましくは、7重量%~30重量%の請求項1~11の1つ以上に記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物、30重量%~91重量%の熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはそれらの混合物、1重量%~30重量%の添加剤および1重量%~40重量%のフィラーまたは強化材料を含み、ここで、成分の合計は100重量%である。
【0026】
熱可塑性ポリマーは、好ましくは、HI(耐衝撃性)ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル類、ポリアミド類、ポリエステル類またはポリカーボネート類、ならびにABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)またはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)またはPPE/HIPS(ポリフェニレンエーテル/HIポリスチレン)ポリマータイプのブレンドまたはポリマーブレンドを含む。
【0027】
添加剤は、好ましくは、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、金属不活性化剤、過酸化物破壊化合物、ポリアミド安定剤、塩基性共安定剤、核形成剤、さらに別の難燃剤および/または他の添加剤である。
【0028】
フィラーおよび強化材は、好ましくは、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、ガラス繊維、アスベスト、タルク、カオリン、雲母、硫酸バリウム、金属酸化物および水酸化物、カーボンブラック、グラファイトおよび/または他の適切な物質である。
【0029】
最後に本発明はまた、プラグコネクタ、電力分配装置における電流接触部品(残留電流保護)、回路基板、ポッティングコンパウンド、電源コネクタ、回路遮断器、ランプハウジング、LEDランプハウジング、コンデンサハウジング、印刷回路基板中もしくは上のコイル部品、ベンチレータ、接地接触子、プラグ;プラグ用、ケーブル用、フレキシブル回路基板用、充電用ケーブル用のハウジング、エンジンカバー、テクスタイルコーティング及び他の製品中におけるまたはこれらのための、本発明の難燃性熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマー成形コンパウンドまたはポリマー成形体、フィルム、フィラメントおよび/または繊維の使用に関する。
【0030】
好適な成分Cは、好ましくは、CAS番号14332-59-3、114332-59-3、1431544-62-5、14902-88-6、52385-12-3および51728-08-6を有する以下の亜リン酸の亜鉛塩(本明細書では亜鉛ホスファイト類とも呼ぶ)を含む。
【0031】
亜鉛ホスファイト類は、好ましくは0.1~100μm、より好ましくは0.1~30μmの粒度を有する。
【0032】
好ましくは、好適な成分Dは、CAS番号15099-32-8、119103-85-4、220689-59-8、56287-23-1、156024-71-4および71449-76-8を有するアルミニウムホスファイト類である。
【0033】
好ましくは、好適な成分Dはまた、5~95重量%のAl2(HPO3)3*nH2Oおよび95~5重量%のAl(OH)3、より好ましくは、10~90重量%のAl2(HPO3)3*nH2Oおよび90~10重量%のAl(OH)3、最も好ましくは35~65重量%のAl2(HPO3)3*nH2Oおよび65~35重量%のAl(OH)3の組成を有する(各々の場合にn=0~4)、亜リン酸アルミニウムと水酸化アルミニウムの混合物である。
【0034】
上記アルミニウムホスファイト類は、好ましくは、0.2~100μmの粒度を有する。
【0035】
好ましい亜リン酸のアルミニウム塩(成分D)はまた、それらの水不溶性または難水溶性の塩である。
【0036】
使用される成分Eは、好ましくは、メラミンポリホスフェート(MPPと呼ぶ)、Melapur(登録商標)200(Ciba SC(スイス)から)、メラミンシアヌレート(MCと呼ぶ)、Melapur(登録商標)MC50(Ciba SC(スイス)から)、メレム、Delacal(登録商標)420、Delacal(登録商標)360(Delamin Ltd(英国)から)および他の製品である。
【0037】
成分Eはまた、好ましくは、リン酸水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウムおよび/またはポリリン酸アンモニウムを含む。
【0038】
適切な成分Eはまた、式(VII)~(XII)の化合物またはそれらの混合物である
【0039】
【化2】
[式中、
R
5~R
7は、水素;場合によりヒドロキシ官能基またはC
1-C
4-ヒドロキシアルキル官能基により置換された、C
1-C
8-アルキル、C
5-C
16-シクロアルキルまたは-アルキルシクロアルキル;C
2-C
8-アルケニル;C
1-C
8-アルコキシ、-アシル、-アシルオキシ;C
6-C
12-アリールもしくは-アリールアルキル;-OR
8;および-N(R
8)R
9、およびN-脂環式基またはN-芳香族基であり、
R
8は、水素;場合によりヒドロキシ官能基またはC
1-C
4-ヒドロキシアルキル官能基により置換された、C
1-C
8-アルキル、C
5-C
16-シクロアルキルまたは-アルキルシクロアルキル;C
2-C
8-アルケニル;C
1-C
8-アルコキシ、-アシル、-アシルオキシ;またはC
6-C
12-アリールもしくは-アリールアルキルであり、
R
9~R
13は、R
8と同一の基であり、また-O-R
8であり、
mおよびnは、各々独立して、1、2、3または4であり、
Xは、トリアジン化合物(VII)と付加物を形成できる酸;またはトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートと芳香族ポリカルボン酸とのオリゴマーエステルを表す。]
【0040】
特に好適な成分Eは、ベンゾグアナミン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、アラントイン、グリコールウリル、メラミン、メラミンシアヌレート、ジシアンジアミドおよび/またはグアニジンである。
【0041】
好適な成分Gは、例えば、ナイロン-6,6についてはIrgafos(登録商標)168/Irganox(登録商標)1098の1:1、およびPBTについてはUltranox(登録商標)626/Irganox(登録商標)1076の1:1の混合物である。
【0042】
好適な成分Hは、例えば、Clariant Produkte (Deutschland) GmbHからのLicomont(登録商標)CaV 102(モンタンワックス酸のCa塩)である。
【0043】
適切な酸化防止剤の例は、アルキル化モノフェノール類、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール;1,2-アルキルチオメチルフェノール類、例えば2,4-ジオクチルチオメチル-6-tert-ブチルフェノール;ヒドロキノン類およびアルキル化ヒドロキノン類、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール;トコフェロール類、例えばα-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロールおよびそれらの混合物(ビタミンE);ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル類、例えば2,2’-チオビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-チオビス(4-オクチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(3,6-ジ-sec-アミルフェノール)、4,4’-ビス-(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ジスルフィド;アルキリデンビスフェノール類、例えば2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール);O-、N-およびS-ベンジル化合物、例えば3,5,3’,5’-テトラ-tert-ブチル-4,4’-ジヒドロキシジベンジルエーテル;ヒドロキシベンジル化マロネート類、例えばジオクタデシル-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシベンジル)マロネート;ヒドロキシベンジル芳香族類、例えば1,3,5-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル)-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,4-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン、2,4,6-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール;トリアジン化合物、例えば2,4-ビスオクチルメルカプト-6-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン;ベンジルホスホネート類、例えばジメチル-2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート;アシルアミノフェノール類、4-ヒドロキシラウラミド(4-hydroxylauramide)、4-ヒドロキシステアラニリド(4-hydroxystearanilide)、N-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)カルバミン酸オクチルエステル;β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価または多価アルコールのエステル;β-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロピオン酸と一価または多価アルコールのエステル;β-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価または多価アルコールのエステル;3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル酢酸と一価または多価アルコールのエステル;β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド類、例えばN,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン、N,N’-ビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジンである。
【0044】
好適なUV吸収剤および光安定剤の例は、2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類、例えば2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)-ベンゾトリアゾール;2-ヒドロキシベンゾフェノン類、例えば4-ヒドロキシ、4-メトキシ、4-オクトキシ、4-デシルオキシ、4-ドデシルオキシ、4-ベンジルオキシ、4,2’,4-トリヒドロキシ、2’-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ誘導体;任意選択的に置換された安息香酸のエステル、例えば4-tert-ブチルフェニルサリチレート、フェニルサリチレート、オクチルフェニルサリチレート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4-tert-ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2-メチル-4,6-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート;アクリレート類、例えばエチルまたはイソプロピルα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、メチルα-カルボメトキシシンナメート、メチルまたはブチルα-シアノ-β-メチル-p-メトキシシンナメート、メチルα-カルボメトキシ-p-メトキシシンナメート、N-(β-カルボメトキシ-β-シアノビニル)-2-メチルインドリンである。
【0045】
適切なポリアミド安定剤の例は、ヨウ化物および/またはリン化合物と組み合わせた銅塩、および2価のマンガンの塩である。
【0046】
適切な塩基性共安定剤は、メラミン、ポリビニルピロリドン、ジシアンジアミド、トリアリルシアヌレート、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、アミン類、ポリアミド類、ポリウレタン類、高級脂肪酸のアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、リシノール酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、カテコール酸アンチモンまたはカテコール酸スズである。
【0047】
好適な核形成剤の例は、4-tert-ブチル安息香酸、アジピン酸、およびジフェニル酢酸である。
【0048】
フィラーおよび強化材の例には、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、ガラス繊維、アスベスト、タルク、カオリン、雲母、硫酸バリウム、金属酸化物および水酸化物、カーボンブラック、グラファイト等が含まれる。
【0049】
好適なさらに別の難燃剤は、例えば、アリールホスフェート類、有機ホスホネート類、次亜リン酸の塩および赤燐である。
【0050】
他の添加物質の例には、可塑剤、膨張性グラファイト、潤滑剤、乳化剤、顔料、蛍光増白剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤が含まれる。
【0051】
前記ポリマーは、より好ましくは、ポリアミド類および/またはポリエステル類を含む。
【0052】
前記ポリマーは、より好ましくは、ポリアミド類、ポリエステル類およびPPE/HIPSブレンドを含む。
【0053】
上記添加剤は、種々の異なるプロセスステップにおいてポリマーに導入し得る。例えば、ポリアミド類またはポリエステル類の場合、重合/重縮合の開始または終了時に、または後続のコンパウンディング操作において、上記添加剤をポリマー溶融物中に混合することが可能である。さらに、さらに後の段階まで添加剤を添加しない加工操作がある。これは、特に顔料又は添加剤マスターバッチを使用する場合に実践される。また、添加剤(特に粉末形態の)を、乾燥操作の結果として温かくてもよいポリマーペレットに、ドラム施用(drum application)により施与することも可能である。
【0054】
前記の難燃剤-安定剤組み合わせ物は、好ましくは、ペレット、フレーク、細粒、粉末および/または微粉化物の形態である。
【0055】
前記の難燃剤-安定剤組み合わせ物は、好ましくは、固体の物理的混合物の、溶融混合物の、圧密化物の、押出物の形態に、またはマスターバッチの形態にある。
【0056】
難燃剤-安定剤組み合わせ物は、好ましくは、0.1~200μm、より好ましくは1~50μmの平均粒度を有する。
【0057】
適切なポリエステル類は、ジカルボン酸およびそれらのエステルおよびジオールに、および/またはヒドロキシカルボン酸又は対応するラクトン類に由来する。テレフタル酸およびエチレングリコール、プロパン-1,3-ジオールおよびブタン-1,3-ジオールを使用することが特に好ましい。
【0058】
適切なポリエステル類には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(Celanex(登録商標)2500、Celanex(登録商標)2002、Celaneseから;Ultradur(登録商標)、BASFから)、ポリ-1,4-ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロキシベンゾエート類、およびヒドロキシル末端基を有するポリエーテルに由来するブロックポリエーテルエステル;ならびにポリカーボネートまたはMBSで変性されたポリエステルが含まれる。
【0059】
本発明に従って製造された難燃性ポリエステル成形コンパウンドは、好ましくは、ポリエステル成形体において使用される。
【0060】
好ましいポリエステル成形体は、ジカルボン酸成分として主にテレフタル酸を含み、ジオール成分として主にエチレングリコールを含む、フィラメント、繊維、フィルムおよび成形体である。
【0061】
好ましくは、難燃性ポリエステルから製造されるフィラメントおよび繊維中の得られるリン含有量は、0.1重量%~18重量%、好ましくは0.5重量%~15重量%であり、フィルムの場合、0.2重量%~15重量%、好ましくは0.9重量%~12重量%である。
【0062】
好適なポリスチレン類は、ポリスチレン、ポリ(p-メチルスチレン)および/またはポリ(アルファ-メチルスチレン)である。
【0063】
好適なポリスチレン類は、好ましくは、スチレンまたはアルファ-メチルスチレンとジエンまたはアクリル誘導体とのコポリマー、例えば、スチレン-ブタジエン、スチレン-アクリロニトリル、スチレン-アルキルメタクリレート、スチレン-ブタジエン-アルキルアクリレートおよびメタクリレート、スチレン-無水マレイン酸、スチレン-アクリロニトリル-メチルアクリレート;スチレンコポリマーおよび別のポリマー、例えばポリアクリレート、ジエンポリマーまたはエチレン-プロピレン-ジエンターポリマーの耐衝撃性混合物;ならびにスチレンのブロックコポリマー、例えばスチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンまたはスチレン-エチレン/プロピレン-スチレンである。
【0064】
好適なポリスチレン類はまた、好ましくは、スチレンまたはアルファ-メチルスチレンのグラフト共重合体(例えば、ポリブタジエン上にスチレン、ポリブタジエン-スチレンまたはポリブタジエン-アクリロニトリル共重合体上にスチレン、ポリブタジエン上にスチレンおよびアクリロニトリル(またはメタクリロニトリル);ポリブタジエン上にスチレン、アクリロニトリルおよびメチルメタクリレート;ポリブタジエン上にスチレンおよび無水マレイン酸;ポリブタジエン上にスチレン、アクリロニトリルおよび無水マレイン酸またはマレイミド;ポリブタジエン上にスチレンおよびマレイミド、ポリブタジエン上にスチレンおよびアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート、エチレン-プロピレン-ジエン三元重合体上にスチレンおよびアクリロニトリル、ポリアルキルアクリレートまたはポリアルキルメタクリレート上にスチレンおよびアクリロニトリル、アクリレート-ブタジエン共重合体上にスチレンおよびアクリロニトリル、ならびにそれらの混合物であり、例えばABS、MBS、ASAまたはAESポリマーと呼ばれるものとして知られる。
【0065】
ポリマーは、好ましくは、ジアミンおよびジカルボン酸に、および/またはアミノカルボン酸または対応のラクタムに由来するポリアミドおよびコポリアミド、例えばナイロン-2,12、ナイロン-4、ナイロン-4,6、ナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-6,9、ナイロン-6,10、ナイロン-6,12、ナイロン-6,66、ナイロン-7,7、ナイロン-8,8、ナイロン-9,9、ナイロン-10,9、ナイロン-10,10、ナイロン-11、ナイロン-12などである。これらは、例えば、DuPontからのNylon(登録商標)、BASFからのUltramid(登録商標)、DSMからのAkulon(登録商標)K122、DuPontからのZytel(登録商標)7301、BayerからのDurethan(登録商標)B29、Ems ChemieからのGrillamid(登録商標)の商品名で知られている。
【0066】
m-キシレン、ジアミンおよびアジピン酸に由来する芳香族ポリアミド類;ヘキサメチレンジアミンおよびイソ-および/またはテレフタル酸および任意選択的に改質剤としてのエラストマーから製造されるポリアミド類、例えば、ポリ-2,4,4-トリメチルヘキサメチレン-テレフタルアミドまたはポリ-m-フェニレンイソフタルアミド、上記ポリアミドとポリオレフィン、オレフィン-コポリマー、イオノマーまたは化学的に結合またはグラフトしたエラストマーとの、またはポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマーもまた適切である。更に、EPDMもしくはABSで変性されたポリアミド類またはコポリアミド類;並びに加工中に縮合されたポリアミド類(「RIM-ポリアミド系」)もある。
【0067】
最後に、本発明はまた、本発明の難燃性ポリマー成形コンパウンドを、上昇させた温度での、射出成形(例えばAarburg Allrounderタイプの射出成形機)および圧縮、射出発泡成形、内部ガス圧射出成形、ブロー成形、フィルムキャスティング、カレンダー成形、ラミネート加工またはコーティングにより加工して、難燃性ポリマー成形体を得ることを特徴とする、難燃性ポリマー成形体の製造方法にも関する。
【0068】
ポリマーは、好ましくは、熱可塑性エラストマーである。
【0069】
熱可塑性エラストマー(略語:TPE)は、熱可塑的に加工可能であり、ゴム様の使用特性を有する材料である。
【0070】
熱可塑性エラストマーは、加工の過程でプラスチック状態を通過するので、非常に容易に成形することができる。それらは、5ショアAから70ショアD超まで全ての硬度で製造することができる。
【0071】
熱可塑性エラストマーは、部分的な領域において物理架橋点を有し、これらは加熱によって、高分子の分解なしに、崩壊する。従って、それらは通常のエラストマーよりもはるかに良好な加工性を有する。従って、ポリマー廃棄物を、再び溶融して、さらに処理することもできる。内部構造に従って、ブロックコポリマーとエラストマーアロイとは区別される。
【0072】
ブロックコポリマーは、1つの分子内にハードおよびソフトセグメントを有する。従って、前記ポリマーは、両方の特性が分布している1つのタイプの分子からなる。エラストマーアロイは、ポリブレンド、すなわち、最終ポリマーの混合物(ブレンド)であり、すなわち、ポリマーは2つ以上の分子タイプからなる。種々の混合比および添加剤によって、調整された材料が得られる(例えば、ポリプロピレン(PP)および天然ゴム(NR)から形成されるポリオレフィンエラストマー-混合比に従って、それらは広い硬度範囲をカバーする)。
【0073】
以下の群間で区別される:
・TPE-OまたはTPO=オレフィン系熱可塑性エラストマー、主にPP/EPDM、例えばSantoprene(登録商標)(AES/Monsanto)
・TPE-VまたはTPV=架橋オレフィン系熱可塑性エラストマー、主にPP/EPDM、例えばSarlink(登録商標)(DSM)
・TPE-UまたはTPU=ウレタン系熱可塑性エラストマー、例えばDesmopan(登録商標)(Bayer)
・TPE-EまたはTPC=熱可塑性コポリエステル、例えばHytrel(登録商標)(DuPont)
・TPE-SまたはTPS=スチレンブロックコポリマー(SBS、SEBS、SEPS、SEEPSおよびMBS)、例えばSepton(登録商標)(Kuraray)またはThermolast(登録商標)(Kraiburg TPE)
・TPE-AまたはTPA=熱可塑性コポリアミド、例えばPEBAX(登録商標)(Arkema)
【0074】
特に好ましい熱可塑性エラストマーは、熱可塑性コポリエステル、熱可塑性コポリアミドおよび熱可塑性ポリウレタンである。
【0075】
本発明の組成物のために適しているコポリエーテルエステルは、C2-C6ジオールを芳香族の二酸単位およびポリ(アルキレンオキシド)ジオールと反応させることによって調製されるポリマーである。
【0076】
特に好ましいコポリエーテルエステルは以下から選択される:
1.ブチレンジオール、テレフタレートおよびPTMEGのコポリエーテルエステル;
2.ブチレンジオール、テレフタレートとイソフタレートの混合物およびPTMEGのコポリエーテルエステル;
3.ブチレンジオール、テレフタレートおよびポリ(プロピレンオキシド)ジオールのコポリエーテルエステル;
4.プロピレンジオール、テレフタレートおよびPTMEGのコポリエーテルエステル;および
5.プロピレンジオール、テレフタレートおよびポリ(プロピレンオキシド)ジオールのコポリエーテルエステル。
【0077】
ブチレンジオール、テレフタレートおよびPTMEGのコポリエーテルエステルが特に好ましい。
【0078】
ポリアミドのまたはポリエステルの成形コンパウンド中に難燃剤-安定剤組み合わせ物を使用することが好ましい。好適なポリアミド類は、例えばDE-A-19920276に記載されている。
【0079】
ポリアミド類は、好ましくは、アミノ酸タイプの、および/またはジアミン-ジカルボン酸タイプのものである。
【0080】
好ましいポリアミド類は、ナイロン-6および/またはナイロン-6,6である。
【0081】
ポリアミド類は、好ましくは、未変性、着色、充填(filled)、未充填(unfilled)、強化、未強化であり、または別の方法で変性されている。
【0082】
ポリエステル類は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートである。
【0083】
ポリエステル類は、好ましくは、未変性、着色、充填(filled)、未充填(unfilled)、強化、未強化であり、または別の方法で変性されている。
【0084】
亜リン酸亜鉛の製造
例1
8763.6gの硫酸亜鉛七水和物および736.2gの脱塩水の初期装入物に、5235.8gの亜リン酸二ナトリウム溶液(39.3%)を2時間以内に加え、次いで370gの脱塩水を加えた。得られた亜リン酸亜鉛を150℃で5時間結晶化させた。その後、スラリーを排出し、脱塩水の質量の5倍を用いて吸引フィルターで3回濾過し、フィルターケーキを乾燥キャビネット内で130℃で乾燥させた。これにより、2096gの生成物が得られる(収率97%)。x線粉末ディフラクトグラムは、2θ角18.2°/d値4.86オングストローム、および20.5°/4.33Å、23.8°/3.75Å、30.3°/2.95Å、31.0°/2.88Å、32.5°/2.76Å、33.0°/2.72Åでの反射を示す。
【0085】
例2
例1と同じ化学的用量を使用する。亜リン酸亜鉛を150℃で0.5時間結晶化させ、例1におけるように洗浄し、乾燥させた。これにより、2090 gの生成物が得られる(収率97%)。粉末x線ディフラクトグラムは、例1におけるのと同一の反射を示す。
【0086】
例3
例1と同じ化学的用量を使用する。亜リン酸亜鉛を115°Cで5時間結晶化させ、例1におけるように洗浄し、乾燥させた。これにより、組成Na2Zn3(HPO3)4の生成物2098gが得られる(収率97%)。
【0087】
x線粉末ディフラクトグラムは、2θ角10.0°/d値8.82オングストローム、および.0°/4.67Å、20.15°/4.41Å、21.3°/4.17Å、22.8°/3.89Å、27.8°/3.21Å、28.1°/3.17Åでの反射を示す。
【0088】
例4
例1と同じ化学的用量を使用する。亜リン酸亜鉛を100°Cで1時間結晶化させ、例1におけるように洗浄し、乾燥させた。これは、組成ZnHPO3 * 1.5H2Oの生成物2095gをもたらす(97%収率)。
【0089】
x線粉末ディフラクトグラムは、2θ角12.1°/d値7.33オングストローム、および19.3°/4.60Å、22.8°/3.89Å、23.6°/3.77Åでの反射を示す。
【0090】
ポリマーとの例
1.使用した成分
市販のポリマー(ペレット):
ナイロン-6,6(PA 6,6-GR):Ultramid(登録商標) A27 (BASF AG(ドイツ)から)
ナイロン-6T/6,6:Zytel(登録商標) HTN FE 8200 (DuPont(USA)から)
ポリブチレンテレフタレート(PBT):Ultradur(登録商標) B4500 (BASF AG(ドイツ)から)
PPG HP 3610EC 10 4.5mmガラス繊維(Nippon Electric Glass(オランダ)から)
PPG HP 3786EC 10 4.5mmガラス繊維(Nippon Electric Glass(オランダ)から)
【0091】
難燃剤(成分A):
ジエチルホスフィン酸アルミニウム, DE19607635A1の例1と同様に製造したジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩。
【0092】
難燃剤(成分B1):
US7,420,007B2に従う方法によって製造された、以下を含むジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩:
1.7モル%のエチルブチルホスフィン酸アルミニウム(例B7、B11、B15、B16、B18、B20、B22、B23、B25、B27、B28、B29)または
1.3モル%(B5、B13、B21、B26)
5.3モル%(B12)
7.3モル%(B6、B17)
0.7モル%(B8、B10、B14、B19、B24)。
【0093】
難燃剤(成分B2):
US7,420,007B2に従う方法によって製造された、以下を含むジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩:
0.7モル%のジブチルホスフィン酸アルミニウム(B9)
1.7モル%のジブチルホスフィン酸アルミニウム(B22)
【0094】
難燃剤(成分B3):
US7,420,007B2に従う方法によって製造された、以下を含むジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩:
1.7モル%のエチルヘキシルホスフィン酸アルミニウム(B23)
【0095】
難燃剤(成分C):
亜リン酸の亜鉛塩(以下、PHOPZNと呼ぶ)
【0096】
難燃剤(成分D):
亜リン酸のアルミニウム塩(以下、PHOPALと呼ぶ)
【0097】
相乗剤(成分E):
メラミンポリホスフェート(MPPと呼ぶ),Melapur(登録商標)200(Ciba SC(スイス)から)
メラミンシアヌレート(MCと呼ぶ),Melapur(登録商標)MC50(Ciba SC(スイス)から)
メレム,Delacal(登録商標)420,Delacal(登録商標)360(Delamin Ltd(英国)から)
【0098】
成分F:
ホウ酸亜鉛,Firebrake(登録商標)ZBおよびFirebrake(登録商標)500(Borax(USA)から)
ベーマイト:Apyral AOH 180(Nabaltec(ドイツ)から)
【0099】
安定剤(成分G):
ナイロン-6,6に関してIrgafos168/Irganox1098 1:1、PBTに関してUltranox626/Irganox1076 1:1;PEP-Q
【0100】
ワックス成分(成分H):
Licomont(登録商標)CaV 102,Clariant Produkte (Deutschland) GmbH,(ドイツ)(モンタンワックス酸のCa塩)
Licowax(登録商標)E, Clariant Produkte (Deutschland) GmbH(ドイツ)から,(モンタンワックス酸のエステル)
【0101】
2.難燃性ポリマー成形コンパウンドの製造、加工および試験
難燃剤成分を表に記載される比でホスホナイト、潤滑剤および安定剤と混合し、二軸スクリュー押出機(Leistritz ZSE 27/44D)のサイドフィーダーを介して、260~310℃の温度でPA6,6に、および250~275℃でPBTに練り込んだ。ガラス繊維は、第2のサイドフィーダーを介して添加した。均質化したポリマーストランドを抜き取り、水浴で冷却し、引き続きペレット化した。
【0102】
十分に乾燥した後に、成形コンパウンドを射出成形機(Arburg 320 C Allrounder)において250~300℃の溶融温度で試験片に加工し、UL94試験(Underwriter Laboratories)を用いて難燃性を試験し、クラス付けした。
【0103】
UL94の耐火分類は以下のとおりである:
【0104】
V-0 残炎時間が10秒を超えない、10回接炎した場合の全残炎時間が50秒以下、燃焼滴下物無し、試験片の完全な消費無し、接炎終了後の試験片の残燼時間が30秒を超えない。
【0105】
V-1 接炎終了後の残炎時間が30秒を超えない、10回接炎した際の全残炎時間が250秒以下、接炎終了後の試験片の残燼時間が60秒を超えない、他の基準はV-0に関するとおり。
【0106】
V-2 綿指示材が燃焼滴下物によって着火する。他の基準はV-1に関するとおり。
【0107】
分類不能(ncl):火災分類V-2に適合しない。
【0108】
D 煙密度(Smoke Density)
煙ガスの光学密度を、Fire Testing Technologies(英国)からのNBS煙チャンバーにおいて、規格ISO5659に従って決定した。75mm×75mmの寸法及び2mmの厚さを有する射出成形によって製造された試験片。当該試験片を、水平に固定し、パイロットフレームの存在下、25kW/m2で40分間照射した。煙による光ビームの減衰を光検出器で測定する。煙ガス密度は、光の減衰に反比例する。
【0109】
成形コンパウンドの流動性は、275℃/2.16kgでメルトボリュームフローレート(MVR)を定めることにより決定した。MVR値の急激な上昇は、ポリマーの分解を示す。
【0110】
比較可能性のために、各シリーズの全ての試験は、別段の記載がない限り、同一条件(温度プログラム、スクリュー形状、射出成形パラメーター等)下で行った。
【0111】
以下の表に記載される量は重量部である。
【0112】
表1は、亜リン酸亜鉛および亜リン酸アルミニウムの添加が、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ブチルエチルホスフィン酸アルミニウムおよびジブチルホスフィン酸アルミニウムを用いたナイロン-6,6の煙ガス密度をどのように低減するかを示す。PHOPZNは、より低い煙ガス密度をもたらす。ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ブチルエチルホスフィン酸アルミニウムおよびジブチルホスフィン酸アルミニウム、PHOPZNおよびPHOPALを一緒に使用した場合のみ、低い煙ガス密度と共にUL 94 V-0の燃焼性クラスを達成する。
【0113】
【0114】
表2は、ジエチルホスフィン酸アルミニウムおよびブチルエチルホスフィン酸アルミニウム、MPP、PHOPZNまたはPHOPALをベースとする難燃剤-安定剤組み合わせ物を使用した比較例V4およびV5を示す。
【0115】
本発明に従った難燃剤-安定剤混合物を使用した結果を例B12~B15に示す。全ての量は重量%として表し、難燃剤-安定剤組み合わせ物および添加剤を含めたポリマー成形コンパウンドを基準とする。
【0116】
【0117】
例B12~15から、ジエチルホスフィン酸アルミニウムおよびブチルエチルホスフィン酸アルミニウム、PHOPZN、PHOPALおよび任意選択的にMPP成分の本発明による混合物が、UL 94 V-0燃焼性クラス、低いMVR(わずかなポリマー分解)および低い煙ガス光学密度を達成することが明らかである。
【0118】
【0119】
ジエチルホスフィン酸アルミニウムおよびMCの組み入れは、高い煙ガス密度をもたらし、そしてUL 94 V-1燃焼性クラスのみをもたらす。ジエチルホスフィン酸アルミニウム、PHOPALおよびMCの組み合わせは、UL 94 V-0および高い煙ガス密度をもたらす。ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ブチルエチルホスフィン酸アルミニウム、ジブチルホスフィン酸アルミニウム、エチルヘキシルホスフィン酸アルミニウム、PHOPZNまたはPHOPALおよびPHOPZN、およびMCまたはMPPの本発明の組み入れによってのみ、V-1/V-0の燃焼性クラスが達成され、煙ガス密度が減少する。
【0120】
ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ブチルエチルホスフィン酸アルミニウム、ジブチルホスフィン酸アルミニウム、エチルヘキシルホスフィン酸アルミニウムと、PHOPZNおよびPHOPALおよび任意選択的にさらに別の添加剤との本発明による組合せはさらに、低いSV数から認識されるように、ポリマー分解を実質的に完全に抑制する。
【0121】
【0122】
表4は、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ブチルエチルホスフィン酸アルミニウム、PHOPZNおよびPHOPALの本発明の組合せが、PHOPZNなし、あるいはPHOPZNおよびPHOPALの組合せなしよりも、低減された煙ガス密度とともに、V-1/V-0分類を達成することを示す。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.成分Aとして、20重量%~99.7重量%の式(I)のホスフィン酸塩、
【化3】
[式中、
R
1
およびR
2
は、それぞれエチルであり、MはAlであり、そして
mは3である];
成分Bとして、0.2重量%~16重量%の、エチルブチルホスフィン酸の、ジブチルホスフィン酸の、エチルヘキシルホスフィン酸の、ブチルヘキシルホスフィン酸のおよび/またはジヘキシルホスフィン酸のアルミニウム塩;
成分Cとして、0.1重量%~80重量%の、一般式(II)を有する亜リン酸の塩
[HP(=O)O
2
]
2-
M
m+
(II)
[式中、
MはZnであり、そして
mは2である];
成分Dとして、0重量%~80重量%の、一般式(III)を有する亜リン酸の塩
[HP(=O)O
2
]
2-
3
M
m+
2
(III)
[式中、
MはAlであり、そして
mは3である];
成分Eとして、0重量%~30重量%の、窒素含有相乗剤、および/またはリン含有および/または窒素含有難燃剤;
成分Fとして、0重量%~10重量%の、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ベーマイトおよび/またはハイドロタルサイトから選択される無機相乗剤;
成分Gとして、0重量%~3重量%の、有機ホスホナイト類、および/または有機ホスホナイト類と有機ホスファイト類との混合物、および
成分Hとして、0重量%~3重量%の、典型的にはC
14
~C
40
の鎖長を有する、長鎖脂肪族カルボン酸(脂肪酸)のエステルおよび/または塩
を含み、
前記成分の合計は常に100重量%である、熱可塑性ポリマー用難燃剤-安定剤組み合わせ物。
2.以下:
20重量%~97.8重量%の成分A、
0.2重量%~16重量%の成分B、
1重量%~80重量%の成分C、および
1重量%~80重量%の成分D
を含み、前記成分の合計は常に100重量%であることを特徴とする、上記1に記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物。
3.以下:
20重量%~97.6重量%の成分A、
0.2重量%~16重量%の成分B、
1重量%~50重量%の成分C、
1重量%~50重量%の成分D、
0重量%~30重量%の成分E、
0重量%~10重量%の成分F、
0.1重量%~2重量%の成分G、および
0.1重量%~2重量%の成分H
を含み、前記成分の合計は常に100重量%であることを特徴とする、上記1または2に記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物。
4.以下:
20重量%~97.6重量%の成分A、
0.2重量%~16重量%の成分B、
1重量%~30重量%の成分C、
0重量%~80重量%の成分D、
1重量%~10重量%の成分E、
0重量%~10重量%の成分F、
0.1重量%~2重量%の成分G、および
0.1重量%~2重量%の成分H
を含み、前記成分の合計は常に100重量%であることを特徴とする、上記1~3のいずれか1つに記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物。
5.以下:
20重量%~96.6重量%の成分A、
0.2重量%~16重量%の成分B、
1重量%~50重量%の成分C、
1重量%~50重量%の成分D、
1重量%~10重量%の成分E、
0重量%~10重量%の成分F、
0.1重量%~2重量%の成分G、および
0.1重量%~2重量%の成分H
を含み、前記成分の合計は常に100重量%であることを特徴とする、上記1~3のいずれか1つに記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物。
6.以下:
20重量%~96.6重量%の成分A、
0.2重量%~16重量%の成分B、
1重量%~50重量%の成分C、
1重量%~50重量%の成分D、
0重量%~10重量%の成分E、
1重量%~10重量%の成分F、
0.1重量%~2重量%の成分G、および
0.1重量%~2重量%の成分H
を含み、前記成分の合計は常に100重量%であることを特徴とする、上記1~3のいずれか1つに記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物。
7.成分Bが、エチルブチルホスフィン酸の、ジブチルホスフィン酸のおよび/またはエチルヘキシルホスフィン酸のAl塩を含むことを特徴とする、上記1~6のいずれか1つに記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物。
8.成分Cが、亜鉛ホスファイト、2級亜鉛ホスファイト(ZnHPO
3
)、Zn(H
2
PO
3
)
2
、Zn
2/3
HPO
3
、亜鉛ホスファイト水和物、亜鉛ピロホスファイト(ZnH
2
P
2
O
5
)、次式の塩基性亜鉛ホスファイト
Zn
1+x
HPO
3
(OH)
2x
(x=0~0.25)
および/または次式のナトリウム亜鉛ホスファイト類
Zn
1-x
Na
2x
HPO
4
(x=0.001~0.5)
であることを特徴とする、上記1~7のいずれか1つに記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物。
9.化合物Dが、アルミニウムホスファイト[Al(H
2
PO
3
)
3
]、2級アルミニウムホスファイト[Al
2
(HPO
3
)
3
]、塩基性アルミニウムホスファイト[Al(OH)(H
2
PO
3
)
2
*2aq]、アルミニウムホスファイト四水和物[Al
2
(HPO
3
)
3
*4aq]、アルミニウムホスホネート、Al
7
(HPO
3
)
9
(OH)
6
(1,6-ヘキサンジアミン)
1.5
*12H
2
O、Al
2
(HPO
3
)
3
*xAl
2
O
3
*nH
2
O(x=2.27~1)および/またはAl
4
H
6
P
16
O
18
を含み、および式(IV)、(V)および/または(VI)のアルミニウムホスファイト類を含み
Al
2
(HPO
3
)
3
x (H
2
O)
q
(IV)
(式中、
qは、0~4である)
Al
2.00
M
z
(HPO
3
)
y
(OH)
v
x (H
2
O)
w
(V)
(式中、
Mは、アルカリ金属イオンを表し、
zは、0.01~1.5であり、
yは、2.63~3.5であり、
vは、0~2であり、そして
wは、0~4である)
Al
2.00
(HPO
3
)
u
(H
2
PO
3
)
t
x (H
2
O)
s
(VI)
(式中、
uは、2~2.99であり、
tは、2~0.01であり、そして
sは、0~4である)
および/または、式(IV)のアルミニウムホスファイトと難溶性アルミニウム塩および窒素不含の外来イオンとの混合物、式(VI)のアルミニウムホスファイトとアルミニウム塩、アルミニウムホスファイト[Al(H
2
PO
3
)
3
]、2級アルミニウムホスファイト[Al
2
(HPO
3
)
3
]、塩基性アルミニウムホスファイト[Al(OH)(H
2
PO
3
)
2
*2aq]、アルミニウムホスファイト四水和物[Al
2
(HPO
3
)
3
*4aq]、アルミニウムホスホネート、Al
7
(HPO
3
)
9
(OH)
6
(1,6-ヘキサンジアミン)
1.5
*12H
2
O、Al
2
(HPO
3
)
3
*xAl
2
O
3
*nH
2
O(x=2.27~1)および/またはAl
4
H
6
P
16
O
18
との混合物を含む
ことを特徴とする、上記1~8のいずれか1つに記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物。
10.成分Eが、メラミンの縮合生成物、および/またはメラミンとポリリン酸との反応生成物、および/またはメラミンの縮合生成物とポリリン酸との反応生成物、またはそれらの混合物;および/またはメラミンシアヌレートを含むことを特徴とする、上記1~9のいずれか1つに記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物。
11.成分Eが、メレム、メラム、メロン、ジメラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、メレムポリホスフェート、メラムポリホスフェート、メロンポリホスフェート、および/またはそれらの混合ポリ塩、および/または式(NH
4
)
y
H
3-y
PO
4
または(NH
4
PO
3
)
z
(式中、yは1~3であり、zは1~10000である)の窒素含有ホスフェート類を含むことを特徴とする、上記10に記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物。
12.クリアコートおよび発泡性防炎コーティングにおける難燃剤としてのまたはそれらのための難燃剤としての、木材および他のセルロース製品のための難燃剤におけるまたは当該難燃剤としての、ポリマーのための反応性および/または非反応性難燃剤におけるまたは当該難燃剤としての、難燃性ポリマー成形コンパウンドの製造のための、難燃性ポリマー成形体の製造のための、および/または含浸によってポリエステルおよび純セルロース布帛および混紡セルロース布帛に難燃性を付与するための、および/または相乗剤としての、および/またはさらに別の難燃剤混合物における相乗剤としての、上記1~11のいずれか1つに記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物の使用。
13.2重量%~50重量%の上記1~11のいずれか1つに記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物、50重量%~98重量%の熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはそれらの混合物、0重量%~50重量%の添加剤および0重量%~60重量%のフィラーまたは強化材料を含み、前記成分の合計は100重量%である、難燃性熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマー成形コンパウンドもしくはポリマー成形体、フィルム、フィラメントおよび/または繊維。
14.7重量%~30重量%の上記1~11のいずれか1つに記載の難燃剤-安定剤組み合わせ物、30重量%~91重量%の熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはそれらの混合物、1重量%~30重量%の添加剤および1重量%~40重量%のフィラーまたは強化材料を含み、前記成分の合計は100重量%である、難燃性熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマー成形コンパウンドもしくはポリマー成形体、フィルム、フィラメントおよび/または繊維。
15.上記1~11のいずれか1つに記載の難燃剤混合物を含む難燃性熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマー成形コンパウンドもしくはポリマー成形体、フィルム、フィラメントおよび/または繊維であって、前記ポリマーが、HI(耐衝撃性)ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステルまたはポリカーボネートタイプの熱可塑性ポリマー、ならびにABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)またはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)またはPPE/HIPS(ポリフェニレンエーテル/HIポリスチレン)ポリマータイプのブレンドまたはポリマーブレンドを含むことを特徴とする、前記の難燃性熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマー成形コンパウンドもしくはポリマー成形体、フィルム、フィラメントおよび/または繊維。
16.添加剤が、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、金属不活性化剤、過酸化物破壊化合物、ポリアミド安定剤、塩基性共安定剤、核形成剤、さらに別の難燃剤および/または他の添加剤であることを特徴とする、上記13~15のいずれか1つに記載の難燃性熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマー成形コンパウンドもしくはポリマー成形体、フィルム、フィラメントおよび/または繊維。
17.フィラーおよび強化材が、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、ガラス繊維、アスベスト、タルク、カオリン、雲母、硫酸バリウム、金属酸化物および水酸化物、カーボンブラック、グラファイトおよび/または他の適切な物質であることを特徴とする、上記13~16のいずれか1つに記載の難燃性熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマー成形コンパウンドもしくはポリマー成形体、フィルム、フィラメントおよび/または繊維。
18.プラグコネクタ、電力分配装置における電流接触部品(残留電流保護)、回路基板、ポッティングコンパウンド、電源コネクタ、回路遮断器、ランプハウジング、LEDランプハウジング、コンデンサハウジング、印刷回路基板中もしくは上のコイル部品、ベンチレータ、接地接触子、プラグ;プラグ用、ケーブル用、フレキシブル回路基板用、充電用ケーブル用のハウジング、エンジンカバー、テクスタイルコーティング及び他の製品中におけるまたはこれらのための、上記13~17のいずれか1つに記載の難燃性熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマー成形コンパウンドまたはポリマー成形体、フィルム、フィラメントおよび/または繊維の使用。