(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】反転装置を備えるシートを処理する機械、シートを搬送する方法およびイオン除去装置を含むシートガイド要素の使用
(51)【国際特許分類】
B65H 5/00 20060101AFI20241017BHJP
B65H 5/36 20060101ALI20241017BHJP
B41F 11/00 20060101ALI20241017BHJP
B41F 23/04 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
B65H5/00 A
B65H5/36
B41F11/00 Z
B41F23/04 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023071856
(22)【出願日】2023-04-25
(62)【分割の表示】P 2021570840の分割
【原出願日】2020-06-02
【審査請求日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】102019118568.8
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390014188
【氏名又は名称】ケーニッヒ ウント バウアー アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Koenig & Bauer AG
【住所又は居所原語表記】Friedrich-Koenig-Str. 4, 97080 Wuerzburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ ミヒャエル コッホ
(72)【発明者】
【氏名】マリオ ヘアツォーク
(72)【発明者】
【氏名】ティロ ハンケ
(72)【発明者】
【氏名】ディトマー ランゲ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ガイスラー
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-188065(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10056018(DE,A1)
【文献】特開2013-200357(JP,A)
【文献】特開2006-123341(JP,A)
【文献】特開2002-160348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
B65H 5/36
B41F 11/00
B41F 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを処理する処理部を備える、シートを処理する機械(1)であって、
前記機械(1)は、シートを処理する
多数の印刷部(2)と、1つまたは複数のニス引き部と、を含んでおり、
前記印刷部(2)は、それぞれ1つのゴムシリンダ(6)とプレートシリンダとを含んでおり、
印刷部(2)のゴムシリンダ(6)は、それぞれ1つのシート案内シリンダ(5)と協働し、
2つのシート案内シリンダ(5)間には、シート搬送システム(7)が設けられており、
前記機械(1)の前記シート案内シリンダ(5)と前記シート搬送システム(7)とにより、前記シートは、シート搬送路に沿って搬送され、
すべての印刷部(2)内で、前記シート搬送路の下方にかつシート搬送路に沿って、前記シート案内シリンダ(5)の領域で始端するシートガイド要素が設けられており、
イオン除去装置(8)が、少なくとも前記機械(1)の前記印刷部(2)
と前記ニス引き部とに設けられており、
前記イオン除去装置(8)は、シート搬送方向(BFR)に関して前記機械(1)の第1の印刷部(2)の印刷ニップに後置されている、
シートを処理する機械(1)。
【請求項2】
1つのまたは各付加的な乾燥部、検査部または加工部内にも、それぞれ1つのこの種のイオン除去装置(8)が設けられている、請求項1に記載のシートを処理する機械。
【請求項3】
1つのまたは各付加的な処理
部にも、それぞれ1つのこの種のイオン除去装置(8)が設けられている、請求項1または2に記載のシートを処理する機械。
【請求項4】
前記機械(1)の見当
部にも、イオン除去装置(8)が割り当てられている、請求項1、2または3に記載のシートを処理する機械。
【請求項5】
各印刷部(2)および/または各ニス引き部内には、イオン除去装置(8)が1つずつ配置されている、請求項1、2、3または4に記載のシートを処理する機械。
【請求項6】
前記機械(1)の前記シートガイド要
素は、同一構造に構成されている、請求項1、2、3、4または5に記載のシートを処理する機械。
【請求項7】
デリバリ(4)内に設けられたシートガイドプレート(9)は、前記機械(1)の前記印刷部(2)または前記処理部内に設けられたシートガイドプレート(9)に対して少なくとも略同一構造に構成されている、請求項1、2、3、4、5または6に記載のシートを処理する機械。
【請求項8】
前記イオン除去装置(8)全体または放電カセット全体が、交換可能にシートガイドプレート(9)内に配置されている、請求項1、2、3、4、5、6または7に記載のシートを処理する機械。
【請求項9】
放電カセットは、前記機械(1)内で相互に交換可能に構成されている、またはモジュール式に構成されている、請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載のシートを処理する機械。
【請求項10】
このようなシートガイド要素は、シートガイドプレート(9)として構成されており、かつ、シート案内シリンダ(5)に向けられた領域にコームフィンガ(10)を有しており、前記シート搬送方向(BFR)に関して、前記コームフィンガ(10)には、それぞれ1つのイオン除去装置(8)が接続している、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9に記載のシートを処理する機械。
【請求項11】
前記コームフィンガ(10)のシート案内面には、正圧を加えることが可能なブロー空気開口が割り当てられている、請求項10に記載のシートを処理する機械。
【請求項12】
前記シートガイド要素(9)の第1の部分ピースは、前記シート案内シリンダ(5)の領域から、前記シート搬送システム(7)の回転軸線に連続的に接近していくシート案内面を有している、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11に記載のシートを処理する機械。
【請求項13】
シートガイドプレート(9)のコームフィンガ(10)は、部分的にまたは完全に金属材料からなっている、請求項10、11または12に記載のシートを処理する機械。
【請求項14】
前置された前記シート案内シリンダ(5)の領域で始端する前記シートガイド要素(9)の第1の領域は、コームフィンガ(10)を有し、かつ前記シートガイド要素(9)の後続の第2の領域よりも前記シート搬送システム(7)の回転軸線から離間している、請求項10、11、12または13に記載のシートを処理する機械。
【請求項15】
シートガイドプレート(9)のコームフィンガ(10)と前置された前記シート案内シリンダ(5)の領域で始端する前記シートガイド要素(9)の第1の領域とにより、前記シートのための概ね閉じたシート案内面が形成される、請求項10、11、12、13または14に記載のシートを処理する機械。
【請求項16】
シートガイドプレート(9)またはコームフィンガ(10)は、シート搬送システム(7)のグリッパ受けにより形成されるシート搬送路から、2mm~50m
mの間隔を置いて配置されている、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15に記載のシートを処理する機械。
【請求項17】
コームフィンガ(10)および/または前記イオン除去装置(8)により形成されるシートガイドプレート(9)のシート案内面は、シート搬送方向(BFR)で見て連続的に前記シート搬送システム(7)の回転軸線または前記シート搬送路に接近していく、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16に記載のシートを処理する機械。
【請求項18】
コームフィンガ(10)は、シート案内シリンダ(5)の外周面に対して1~10m
mの間隔を置いて配置されている、請求項10、11、12、13、14、15、16または17に記載のシートを処理する機械。
【請求項19】
フィルムシートを処理するための、シートを処理する機械(1)であって、デリバリ(4)を備え、前記機械(1)の最後の処理部には、デリバリチェーンサークルを有するデリバリ(4)が後置されており、前記デリバリチェーンサークルは、グリッパキャリッジにより前記シートを最後のシート案内シリンダ(5)から受け取り、デリバリパイルに向かって搬送し、デリバリパイルに至る前記シート搬送路において前記デリバリ(4)内では、前記シート搬送路の下方に少なくとも1つの機械式のシートガイド要素が配置されており、前記シートガイド要素は、前記最後のシート案内シリンダの後でデリバリパイルへの経路において前記シートを案内し、イオン除去装置(8)は、前記シートガイド要素の第1の部分に割り当てられている、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18に記載のシートを処理する機械。
【請求項20】
前記機械(1)は、特別
にPVC、PP、PS、PETからなるフィルム
材料に適合されたフィルムシート処理パッケージを備えている、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19に記載のシートを処理する機械。
【請求項21】
前記機械(1)は、少なくとも1つのプライマ部を含んでおり、かつ/または特別な二重シートチェック装置を含んでおり、かつ/または前記機械(1)のグリッパシステムは、フィルムシート材料の僅かな厚みに適合されており、かつ/または印刷インキおよび/もしくはニスまたは使用される乾燥機は、前記フィルムシート材料に適合されている、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20に記載のシートを処理する機械。
【請求項22】
前記機械(1)は、前記印刷部(2)に前置された少なくとも1つのプライマ部を含んでいる、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21に記載のシートを処理する機械。
【請求項23】
デリバリ(4)内で、前記シートガイド要素(9)には、作動停止可能な平滑化装置が割り当てられている、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22に記載のシートを処理する機械。
【請求項24】
放電を発生させる要素のカバーは、非導電性の材
料からなるカバーにより設けられており、前記カバーは、放電電極(12)の電荷担体に影響を及ぼさないように配置されてい
る開口または切抜きを有している、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22または23に記載のシートを処理する機械。
【請求項25】
測定技術により、前記イオン除去装置(8)の強度は、放電を、シー
トに存在する静力学的状態に適合させて開ループまたは閉ループ制御することが可能であるように、開ループまたは閉ループ制御される、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24に記載のシートを処理する機械。
【請求項26】
反転装置(3)を備え、前記反転装置(3)内で、シートは、シート搬送システム(17)によりシート案内シリンダ(16)から受け取り可能であり、かつシート搬送方向(BFR)でシート搬送路上を搬送可能であり、前記シート搬送路の下方にかつ/または前記シート搬送路に沿ってシートガイド要素(9)が設けられており、前記シートガイド要素(9)にイオン除去装置(8)が割り当てられている、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25に記載のシートを処理する機械。
【請求項27】
フィルムシート材料は、PVC、PP、PS、PETからなるフィルムである、フィルムシートを処理するための、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25または26に記載のシートを処理する機械の使用。
【請求項28】
シートを処理する機械(1)内でシートを搬送する方法であって、
前記機械(1)
の複数の印刷部(2)および1つのデリバリ(4)内で前記シートを搬送し、
前記印刷部(2)において印刷ニップ内で前記シートに印刷し、
前記印刷部(2)および前記デリバリ(4)内でそれぞれシート搬送システム(7,18)によりシート案内シリンダ(5)から前記シートを受け取り、かつシート搬送方向(BFR)でシート搬送路上をシートガイド要素(9)に沿って前記シートを搬送し、
前記印刷部(2)および前記デリバリ(4)内でそれぞれ、前記シート搬送路の下方にかつ前記シート搬送路に沿って前記シート案内シリンダ(5)の領域で始端するシートガイド要素(9)により前記シートを案内し、
前記シートガイド要素(9)に割り当てられたイオン除去装置(8)に沿って前記シートを通過させ、
シート表面上において変化する電荷状態を補償することができるように、前記イオン除去装置(8)により、シート表面上で陽イオンと陰イオンとの提供を実施し、
前記シートを各印刷ニップの後で
、前記印刷部(2)および前記デリバリ(4)内でイオン除去装置(8)に沿って通過させ、
前記機械(1)の前記デリバリ(4)内でシート搬送システム(18)によりシート案内シリンダ(5)から前記シートを受け取り、かつシート搬送方向(BFR)でシート搬送路上において前記シートを搬送し、
前記シート搬送路の下方にかつ前記シート搬送路に沿って配置されるシートガイド要素(9)により前記シートを案内し、
イオン除去装置(8)を有する前記シートガイド要素(9)のシート案内面に沿ってまず前記シートを案内し、前記シート案内面は、割り当てられた前記シート搬送システム(18)の回転軸線からシート搬送方向(BFR)で続く前記シートガイド要素(9)のシート案内面よりも離間している、
方法。
【請求項29】
前記機械(1)の少なくとも1つの処理部(2
)内でシート搬送システム(
7)によりシート案内シリンダ(5)から前記シートを受け取り、かつシート搬送方向(BFR)でシート搬送路上において前記シートを搬送し、
前記シート搬送路の下方にかつ前記シート搬送路に沿って配置されるシートガイド要素(9)により前記シートを案内し、
イオン除去装置(8)を有する前記シートガイド要素(9)のシート案内面に沿ってまず前記シートを案内し、前記シート案内面は、割り当てられた前記シート搬送システム(
7)の回転軸線からシート搬送方向(BFR)で続く前記シートガイド要素(9)のシート案内面よりも離間している、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記シート案内シリンダ(5)の領域で始端する前記シートガイド要素(9)
の空気圧式に作用するかつ/または金属製のコームフィンガ(10)により、前記シート案内シリンダ(5)の外周面から前記シートを剥離し、任意のまたは前記のイオン除去装置(8)へ前記シートを案内する、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
任意のまたは前記のイオン除去装置(8)の後で、前記シート搬送システム(7,18)の回転軸線に対して同心的に、後置されたシート案内シリンダ(5)まで前記シートを案内する、請求項28、29または30に記載の方法。
【請求項32】
開ループまたは閉ループ制御装置により、各シートのまたは複数のシートの静電気に対して、1つまたは複数のイオン除去装置(8)による放電を適合させる、請求項28または29に記載の方法。
【請求項33】
目下のジョブに応じて、開口ありまたはなしのカバー(13)を、シート案内面を形成すべく前記イオン除去装置(8)において使用する、請求項28、29または32に記載の方法。
【請求項34】
前記機械(1)により、150g/m
2未
満の低い坪量の被印刷物および/またはフィルムシートを処理または印刷する、請求項28、29、32または33に記載の方法。
【請求項35】
ユニット型および直列型のシートオフセット印刷機械のすべての印刷部(2)およびデリバリ(4)内またはすべての印刷部(2)、反転装置(3)およびデリバリ(4)内での、イオン除去装置(8)を含むシートガイド要素(9)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反転装置を備えるシートを処理する機械、シートを搬送する方法、特にシートを処理する機械の反転装置内でシートを搬送する方法、およびシートを処理する機械、特にシートを処理する機械の反転装置内での、イオン除去装置を含むシートガイド要素の使用に関する。
【0002】
例えばシート印刷機械において、とりわけ速度が速いとき、特に印刷部内でシートの静電帯電が強められてしまうことがある。このことは、印刷部内で、印刷されるシートが帯電によって、続くシートガイドプレートに、エアクッションが提供されていたとしても、引き付けられて、下面の未乾燥のインキがシートガイドプレートにおいて裏汚れしてしまうことに至らしめる。
【0003】
反転空間内でも、特に速度が速いとき、印刷シートの静電帯電が強められてしまうことがある。このことは、シートが波打った状態で反転ドラム/インプレッションシリンダ間のシリンダ三角空間内あるいはその後の印刷ゾーン内に進入してしまうことに至らしめる。シートは、平滑化工程の際、インプレッションシリンダ表面上でもはや押しのばされず、しわとなってしまう。
【0004】
欧州特許出願公開第0306682号明細書において、シート輪転印刷機械のゴムシリンダとインプレッションシリンダとの印刷ゾーンを通してシートを搬送する装置が公知であり、シートを中和させるために、異種の電荷を発生させる両イオン化棒に、シートに対して下あるいは上から向けられたイオン除去棒が前置されており、両者には、例えば好適な交流電圧が供給される。この電荷の中和は、シートの以後の正の帯電のための一義的な初期状態を提供する。シートとカバーとの間の力結合を解消するために、別のイオン除去棒が、シート取り出しドラムのグリッパシステムへの、印刷されたシートの引き渡し箇所の直前に配置されている。この配置は、非常に手間あるいはコストを要し、かつシリンダへのシートの付着を強めてしまう。
【0005】
欧州特許出願公開第1155834号明細書において、フラットな材料から電荷を除去する装置が公知であり、金属プレート上に位置する印刷担体の正の電荷は、第1のイオナイザ先端により打ち消される。印刷担体の下面に残った負の電荷に基づき、印刷担体は、放電された表面でもって別の金属プレートにあてがわれ、負の電荷は、後に接続されたイオン化棒により打ち消される。この複雑な配置は、シートを処理する機械内、特にシートを処理する機械の反転装置内に設けられるシートガイド要素には不適である。
【0006】
欧州特許第1679187号明細書もしくは米国特許出願公開第2006/150841号明細書において、電気的に絶縁された櫛形の縁部を有するシートガイド装置が公知であり、縁部の領域には、被印刷物シートを放電させる放電装置が配置されている。この場合、縁部におけるインプレッションシリンダに密な配置は、作用を弱めてしまう。非導電性の材料からなる縁部は、シート受け取りゾーンのまさにクリティカルな領域において、強められた損耗に曝され、クラッシュ時の安定性を弱めてしまう。さらに、放電装置を同心のガイド軌道内に配置することは、最適な電極間隔の遵守を難しくし、このことは、作用を弱めてしまう。
【0007】
独国特許出願公開第19755745号明細書において、折り丁に静電的に影響を及ぼす装置が公知であり、面状の帯電電極がシートガイドプレートのガイド面上に適用されている。この装置により、シートは、引き付け作用によりシートガイドプレート上に引き寄せられ、かつブロー空気流動により浮動状態に保持されるはずである。現実には、シートの安定した浮上高さは、このような装置によっては一定に維持され得ない。さらに、面状の載置電極は、シート支持のために必要に応じて形成されていなければならないノズル分布を妨げてしまう。
【0008】
独国特許出願公開第10038774号明細書において、印刷機械内に設けられる送風機ユニットが公知であり、送風機ユニットは、制御可能なイオン送風機を有している。シート反転装置内でも、この場合、発生された負圧により被印刷物シートが反転ドラムに付着されて案内され、反転され得る。加えて、イオン送風機を含む送風機ユニットは、シリンダ内部、またはシリンダの表面内に内蔵されて配置されてもよい。このことは、手間あるいはコストを要し、作用も十分ではない。
【0009】
独国特許出願公開第102007049643号明細書において、印刷機械を通した搬送中にシートを反転させる装置が公知であり、シート用のブレーキアッセンブリが、架構固定に配置されている。ブレーキアッセンブリは、交番磁界用のジェネレータと、シート用の空気圧式のガイド装置とからなっている。シートがジェネレータの傍らを通り過ぎるとき、シートの強磁性の材料あるいはシート上の印刷インキ中には、電流が誘導されるはずである。渦電流から出る磁界は、ジェネレータの磁界に対抗するように作用するはずであり、その結果、シートは制動される。この原理の作用には、その際、疑問符が付く。イオンがジェネレータから送出されないので、シートは放電もされない。
【0010】
独国特許出願公開第102010028702号明細書において、シート印刷機械の反転装置が公知であり、シート運搬路には、貯えドラムに接してまたは貯えドラムに結び付けられてイオン化装置が割り当てられており、貯えドラム上を案内されるまたは貯えドラムに供給されるシートに対し、電荷が送給可能である。
独国特許出願公開第10056018号明細書は、シート案内およびシート積み下ろしを支援する装置を示し、ブロー空気を吹き出すシート案内要素が、内部にイオン除去装置を囲繞している。
独国特許出願公開第102008001165号明細書は、処理機械の、シートを案内するシリンダを示し、シリンダは基体を有し、基体には、この基体に対して電気的に絶縁されたシリンダジャケットが配置されている。
【0011】
本発明の根底にある課題は、代替的な、シートを処理する機械、あるいは代替的な、シートを処理する機械内でシートを搬送する方法を提供すること、あるいは広くシートを処理する機械内、特にシートを処理する機械の反転装置内でのシート案内を改善することである。特に確実なシート案内は、まさに反転装置の領域で、特に坪量が低い場合あるいはフィルムシートの場合、改善されることが望ましい。
【0012】
本発明において、上記課題は、独立請求項の特徴により解決される。有利な構成は、従属請求項、明細書および図面に看取可能である。ここに、出願当初の書類の特許請求の範囲に開示する本発明のすべての構成は、明細書に取り込まれたものとすることを明示しておく。
【0013】
本発明は、代替的な、シートを処理する機械、あるいは代替的な、シートを処理する機械内でシートを搬送する方法が提供されるという利点を有している。特に、まさに反転装置の領域におけるシート案内は、さらに改善され、このことは、有利には、シートを処理する機械、例えばシート印刷機械、特にシートオフセット印刷機械の大幅な性能向上をもたらすことができる。
【0014】
特に好ましくは、反転装置内のシート案内シリンダ、特に貯えドラムからのシートの剥ぎ取り後のシートのイオン除去が達成され得る。機械は、低い坪量のシートの処理および/またはフィルムシートの処理のために好適であるあるいは準備されていることができる。機械により、250g/m2を超える、しかし、好ましくは250g/m2未満、特に好ましくは150g/m2未満、殊に特に好ましくは80g/m2未満の坪量を有するシート材料が処理、特に印刷および/またはニス引きされ得る。
【0015】
好ましくは、1つ、2つまたはそれよりも多くの放電電極の配置が、反転装置のシートガイド要素、特にシートガイドプレートの領域で実施され得る。配置は、この場合、カセットとして実施されてもよい。例えば1つまたは複数の放電電極が、シートガイドプレート上に載置されてもよいし、または1つまたは複数の放電電極が、シートガイドプレート内に埋め込まれてもよい。この場合、埋め込まれた電極は、好ましくはそれぞれ絶縁体間にポジショニングされ、絶縁体の面は、特に接線方向でシートガイドプレートのところで終端している。
【0016】
好ましくは、シートガイド要素、特にシートガイドプレートは、反転装置の反転空間の長辺を下方において画定している。この場合、シートガイド要素、特にシートガイドプレートは、好ましくは、貯えドラムと反転ドラムとの間のシリンダ接線に対して、シートに対する離隔が最適な電極間隔に相当するように離間している。さらに、付加的に貯えドラムと反転ドラムとの間のシリンダ接線の近傍においてシートを張着あるいは緊張させる装置、特にテンションサッカが、貯えドラム上に設けられていてもよく、その結果、最適な電極間隔がシート長さ全体にわたって保たれ続けるだけでなく、シートが上面および下面で質量のある機械部分とのイオン結合性の接触からフリーになったところで、シートに対して影響を及ぼすことができ、その結果、イオンがほとんど妨げられずに、活性化されたイオン除去周囲空気内に移行でき、このことは、最終的にシートの最大で可能な放電に至らしめる。
【0017】
好ましくは、シートの放電のために反転部の下でシートガイド要素内、特にシートガイドプレート内への放電カセットの収容が実施される。放電されたシートは、これにより、静電力作用から解放されていて、平滑にされることができ、その結果、波打ちおよびしわなしに、続く加工ステーションあるいは印刷ゾーンを通り抜けることができる。
【0018】
反転装置を含む機械の場合、まさに、低い坪量を有するあるいはフィルム材料からなる被印刷物の処理時、反転部に設けられたイオン除去装置の他に、さらなるまたは好ましくはすべての印刷部および場合によってはさらなる処理部および/またはデリバリ内に、イオン除去装置を設けることが有意義である。それというのも、被印刷物は、印刷ゾーン内で絶えず再帯電されるからである。好ましくは、このために、シートガイドプレートとして形成され、イオン除去装置を含むシートガイド要素が使用され、シートガイド要素は、シート搬送路に対して好適な間隔を置いて、特に有利には同時に被印刷物の最適な放電と案内とを保証する。
【0019】
以下に本発明について例示的に説明する。添付の図面は、その際、概略図である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】印刷部のシート搬送システムに割り当てられたシートガイド要素を備えるシートを処理する機械の抜粋図である。
【
図2】コームフィンガとイオン除去装置とを有するシートガイドプレートの拡大図である。
【
図3】コームフィンガとイオン除去装置とを有するシートガイドプレートの斜視図である。
【
図4】カバーを有するシートガイドプレートの拡大図である。
【
図6】カバーを有するシートガイドプレートの斜視図である。
【
図7】イオン除去装置を有するシートガイド要素を有する反転装置を備えるシートを処理する機械の抜粋図である。
【
図8a】載置された放電電極を有する反転装置のシートガイドプレートの実施の形態を示す図である。
【
図8b】内蔵された放電電極を有する反転装置のシートガイドプレートの実施の形態を示す図である。
【
図9】最後のシート案内シリンダとデリバリとを備えるシートを処理する機械の抜粋図である。
【
図10】シート案内シリンダを、後置されたチェーンスプロケット軸と、チェーンスプロケット軸の下方に配置されたシートガイドプレートとともに示す図である。
【
図11】シート案内シリンダを、後置されたチェーンスプロケット軸と、チェーンスプロケット軸の下方に配置され、カバーを有するシートガイドプレートとともに示す図である。
【0021】
図1は、例えばシート、特にフィルムシートを処理する機械1、特にシート印刷機械、ここでは特にシートオフセット輪転印刷機械、好ましくはユニット型および直列型のシートオフセット輪転印刷機械の一部抜粋を示している。好ましい構成において、機械1は、特に相応の構成を備えるフィルムシートを処理する機械である。オフセット印刷機械1は、相応にオフセット法で運転され得るが、その他の印刷法、例えばスクリーン印刷、インクジェット等が、この機械1内で使用されていてもよい。機械1は、シートを処理する処理部を多数任意に含んでおり、処理部は、例えば見当部、プライマ部、印刷部、ニス引き部、乾燥部、検査部および/または加工部として、例えばインライン処理部として構成されていてもよい。ユニット型および直列型の場合、機械1の、相前後して配置される複数の処理部は、好ましくは、概ね同一構造に構成されており、例えば同一構造の下位構造モジュールが使用されてもよい。さらに機械1は、シート供給用のフィーダ、あるいは処理されたシートの排出用の排出装置を含んでいてもよい。さらに機械1は、インライン処理装置および/または1つもしくは複数のインライン処理部を有していてもよく、インライン処理装置および/またはインライン処理部は、例えばフィルム加工部、冷間フィルム部、カレンダ部、パンチング部、ナンバリング部、スクリーン印刷部、パーフォレーション部、エンボシング部等として構成されていてもよい。機械1の2つの処理部間には、特に反転装置3が配置されており、反転装置3によりシートは、両面刷り(表刷りおよび裏刷り)の運転モードにおいて反転される。機械1は、この場合、好ましくは、片面刷りの運転モードと、両面刷りの運転モードとの間で切り換え可能に構成されている。
【0022】
機械1は、シートを処理する特に少なくとも2つもしくは多数の印刷部2および/または1つもしくは複数のニス引き部を含んでいる。好ましくは、機械1の印刷部2は、それぞれ1つの転移シリンダあるいはゴムシリンダ6と、特段図示はしない版シリンダあるいはプレートシリンダとを含んでいる。印刷部2のゴムシリンダ6は、それぞれ1つのシート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5と協働する。2つのシート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5間には、シート搬送システム、好ましくはシート搬送ドラム7あるいは引き渡しドラムあるいはトランスファシリンダが設けられている。インプレッションシリンダ5およびシート搬送ドラム7は、ここでは2倍胴に構成され、ゴムシリンダ6およびプレートシリンダは、1倍胴に構成されている。1倍胴のシリンダは、おおよそ、最大判型のシートを1つ、2倍胴のシリンダは、おおよそ、最大判型のシートを2つ同時に周面に収容することができる。代替的な構成において、シート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5あるいは引き渡しドラムあるいはトランスファドラムは、1倍胴、3倍胴またはそれ以上に構成されていてもよい。
【0023】
ここでは2倍胴のインプレッションシリンダ5あるいはシート搬送ドラム7は、好ましくは、搬送したいシート、特にフィルムシートを固定するそれぞれ2つのグリッパシステムを有している。径方向で互いに正反対の位置で例えばグリッパチャネル内に配置されるこれらのグリッパシステムは、処理したいシートを搬送のために保持する。グリッパシステムは、この場合、好ましくは、固定のグリッパ受けを有しており、固定のグリッパ受けは、例えば制御カムおよびカムローラによりローラレバーを介して可動のグリッパフィンガと、シートをくわえるために協働する。インプレッションシリンダ5およびシート搬送ドラム7のグリッパ受けは、その際、インプレッションシリンダ5およびシート搬送ドラム7のそれぞれの回転中、概ねシート搬送路に相当するグリッパ受け軌道を描く。搬送中、シートは、それぞれのシリンダ上に、あるいはシート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5のシリンダ外周面上に載置されている。シートは、シート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5と、機械1の印刷部2のシート搬送システム、特にシート搬送ドラム7との間で、好ましくはくわえ替えされて引き渡される。機械1の最後の処理部には、好ましくは、デリバリチェーンサークルを有するデリバリ4が後置されており、デリバリチェーンサークルは、グリッパキャリッジによりシートを最後のシート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5から受け取り、デリバリパイルに向かって搬送する。例えばデリバリ4の前の機械1の最後の処理部は、印刷部、ニス引き部、乾燥部、検査部または加工部として、例えばインライン処理部として構成されていてもよい。
【0024】
機械1の印刷部2内で、ゴムシリンダ6は、プレートシリンダと相互作用関係にあり、かつ公知のインキ装置が、または公知のインキ装置と湿し装置とが配置されており、インキ装置は、またはインキ装置と湿し装置とは、相応の印刷インキを、それぞれのプレートシリンダ上に張られた印刷プレート上に着ける。プレートシリンダは、割り当てられたインキ装置またはインキ装置と湿し装置との少なくとも1つのローラ、好ましくはしかし複数のローラにより、プレートシリンダの回転中に着肉される。プレートシリンダがゴムシリンダ6上で転動する際、印刷インキは、モチーフ通り、ゴムブランケットが張られたゴムシリンダ6上に転移される。ゴムシリンダ6とインプレッションシリンダ5との間には、印刷ニップあるいは印刷ゾーンが形成され、印刷ニップあるいは印刷ゾーンを通して、印刷したいシートは、インプレッションシリンダ5により、グリッパシステムを用いて搬送される。印刷ニップ内で、印刷インキは、ゴムシリンダ6からモチーフ通りシート上に転移される。インプレッションシリンダ5は、搬送したいシートを担持すべく、特に全面的な外周面を有しており、インプレッションシリンダ5の外周面は、ゴムシリンダ6のゴムブランケットとともに印刷ニップを形成している。
【0025】
機械1のそれぞれの印刷部2のプレートシリンダおよびゴムシリンダ6は、好ましくは、両側に各1つのシリンダジャーナルを有しており、シリンダジャーナルを介してシリンダは、それぞれの印刷部2の架構内で回転可動に軸承されている。プレートシリンダも、ゴムシリンダ6も、好ましくは、それぞれ両側に配置される図示しない胴まくらを有している。プレートシリンダの胴まくらは、印刷プロセス中、ゴムシリンダの胴まくらと互いに接触し、加圧下で互いに転動する。胴まくらは、この場合、好ましくは、印刷運転中、言及に値するほどのトルク伝達がシリンダ間で行われないように、つまり、所定のトルクが胴まくらを介して伝達されないように寸法設定される。
【0026】
好ましくは、機械1は、駆動車列を備えており、駆動車列は、特に好ましくは、連続する駆動歯車列として、印刷部2のシート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5を駆動する。好ましくは、シート搬送システム、特にシート搬送ドラム7あるいは引き渡しドラムあるいはトランスファシリンダも、この駆動車列により駆動される。インプレッションシリンダ5およびシート搬送ドラム7は、このためにそれぞれ、互いに噛み合う歯車を有し、これらの歯車は、駆動車列を形成している。駆動車列は、機械1の中央または好ましくは手前の処理部の領域で入力する少なくとも1つの主駆動モータにより駆動される。例えば主駆動モータの入力は、シート搬送方向BFRで見当部に直接続く最初の印刷部2内で、特に第1のインプレッションシリンダ5の軸に割り当てられた歯車に対して実施され得る。連続する駆動車列により、シリンダあるいはドラムは、そのそれぞれの回転軸線回りに駆動される。好ましくは、印刷部2のゴムシリンダ6も、駆動車列から駆動される。機械1あるいは印刷部2のさらなる回転体またはローラも、同じく少なくとも一時的に駆動車列により駆動されていてもよく、この場合、駆動車列に対して断接自在に形成されていてもよい。
【0027】
例えば印刷部2の1つのまたは各プレートシリンダに、個別駆動部、特にプレートシリンダ直接駆動部が割り当てられていてもよい。直接駆動部は、この場合、特に、割り当てられたシリンダに対して好ましくは直接、一直線に並んでかつ同心に取り付けられたロータを有する個別駆動部である。印刷中、該当するプレートシリンダは、この場合、好ましくは駆動車列を介して主駆動モータにより駆動されるゴムシリンダ6に、電子式に同期させて追従させることが可能である。このためにプレートシリンダおよび/またはゴムシリンダ6には、ロータリエンコーダが割り当てられていてもよく、ロータリエンコーダは、品質チェック装置、印刷部2の制御ユニットおよび/または機械制御部に接続されていることができる。代替的には、1つまたは複数のプレートシリンダの駆動は、しかし、駆動車列を介して主駆動モータから例えばクラッチを介して実施されてもよい。
【0028】
フィルムシートを処理する機械1では、フィルム材料を含むシート基材またはフィルム材料からなるシート基材が処理、特に印刷および/またはニス引きされる。フィルムシートを処理すべく、シートを処理する機械1は、特に好適な構成を備えている。フィルムシート処理機械は、この場合、好ましくはフィルムシート印刷機械として、少なくともフィルムシートに印刷すべく形成されている。特に機械1は、特別にフィルム材料に適合されたフィルムシート処理パッケージを備えていてもよい。例えば機械1は、例えば印刷部2に前置された少なくとも1つのプライマ部を含んでいてもよく、かつ/または特別な二重シートチェック装置を含んでいてもよく、かつ/または機械1のグリッパシステムは、フィルムシート材料の僅かな厚みに適合されていてもよく、かつ/または印刷インキおよび/もしくはニスまたは使用される乾燥機は、フィルム材料に適合されていてもよい。フィルム材料は、例えばPVC、PP、PS、PETからなるフィルムであってもよい。さらに機械1により、しかし、特殊紙、貼り合わせ紙あるいは合わせ板紙が処理されてもよい。
【0029】
特にフィルム印刷の場合、フィルムシートは、機械1の各作動中の印刷部2内で帯電される。その際、フィルムシートは、特に印刷プロセスの度に再三強く静帯電される。特にそれゆえ、イオン除去装置8が、少なくとも機械1の印刷部2および/またはニス引き部内に設けられており、イオン除去装置8は、シート搬送方向BFRに関して機械1の第1の印刷部2の印刷ニップに後置されている。好ましくは、イオン除去装置8は、機械1の、第1の印刷部2に後置されたすべての処理部内に設けられている。しかし、機械1の見当部および/または第1の印刷部2にも、一発展形として、イオン除去装置8が割り当てられていてもよい。イオン除去装置8は、特に機械1の各印刷部2および/またはニス引き部内に設けられており、この場合、特に各印刷部2および/またはニス引き部内には、イオン除去装置8が1つずつ配置されている。さらに好ましくは、1つのまたは各付加的な処理部、例えばニス引き部、乾燥部、検査部あるいは加工部内にも、それぞれ1つのこの種のイオン除去装置8が設けられている。シリンダあるいはシートを適当に帯電させる帯電装置は、特に設けられていない。
【0030】
機械1のシート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5と、シート搬送システム、特にシート搬送ドラム7とにより、シート、特にフィルムシートは、シート搬送路に沿って搬送あるいは運搬される。その際、1つのまたはすべての印刷部2内で、特にシート搬送路の下方にかつシート搬送路に沿って、シート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5の領域で始端するシートガイド要素が設けられている。このようなシートガイド要素は、この場合、好ましくは、特に金属製のシートガイドプレート9として構成されており、シートガイドプレート9は、特に機械幅にわたって延在している。特にこのようなシートガイドプレート9は、シート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5に向けられた領域にコームフィンガ10を有している。シート搬送方向BFRに関して、コームフィンガ10には、特にそれぞれ1つのイオン除去装置8が接続しており、この場合、シートガイドプレート9のコームフィンガ10は、特に部分的にまたは完全に金属材料からなっている。さらに、シートガイド要素の櫛形の領域には、ブロー空気開口が設けられ、特にブロー空気が切り換え可能となっていてもよく、その結果、これらの領域には、空気圧式にシートに作用する力を発生させることができる。特に、シート、特にフィルムシートは、それゆえ、空気圧式に作用するコームフィンガ10により、前置されたシート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5の外周面から剥離され得る。コームフィンガ10のシート案内面には、それゆえ正圧を加えることが可能なブロー空気開口が割り当てられている。特に、周囲圧を超える正圧により、ブロー空気作用が、シート搬送路に沿って搬送されるシートに対して及ぼされる。
【0031】
シート搬送システム、特にシート搬送ドラム7の下方のシートガイド要素、特にシートガイドプレート9は、この場合、一体のプレートからなっていてもよいし、または複数の部分ピースから構成されていてもよい。例えば、後者の場合、前置されたガイドピースが、シートを案内する第1の領域を形成し、後置されたガイドピースが、シートを案内する第2の領域を形成してもよい。この場合、例えば第1の部分ピースあるいは部分プレートは、シート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5の外周から、シート搬送ドラム7の回転軸線の垂下まで延在している。第2の部分ピースあるいは部分プレートは、この場合、シート搬送方向BFRで接続し、後置されたシート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5の外周面まで達していてもよい。イオン除去装置8は、この場合、特にシートガイド要素の第1の部分ピースに割り当てられている。特にイオン除去装置8は、シートガイド要素に、あるいはシートガイド要素のシート案内面に、前置されたシート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5の領域において割り当てられている。特に好ましくは、この場合、イオン除去装置8は、その配置領域においてシート案内面を形成している。
【0032】
特に、シートガイド要素、特にシートガイドプレート9の、シート搬送方向BFRに関して後置された部分ピースあるいは第2の領域は、シート搬送システム、特にシート搬送ドラム7の回転軸線に対して同心に形成されている。特に、シートガイド要素、特にシートガイドプレート9の第2の部分ピースのシート案内面は、シート搬送ドラム7の回転軸線あるいはグリッパ受け軌道回りに同心に構成されている。この場合、シートガイド要素、特にシートガイドプレート9の第1の部分ピースは、シート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5の領域に、あるいはこの領域から、シート搬送システム、特にシート搬送ドラム7の回転軸線に連続的に接近していくシート案内面を有していてもよい。シートガイド要素は、これにより渦巻き線状に構成されている。第1の部分ピースは、シート搬送ドラム7の回転軸線から離間した一軸線回りに同心に構成されていてもよい。
【0033】
特にシートガイド要素、特にシートガイドプレート9には、少なくとも1つの送風機14が割り当てられていてもよく、送風機14は、特にブロー空気および/またはサクション空気を発生させるべく、動作制御可能である。好ましくは、送風機14は、ブロー空気および/またはサクション空気をシートガイド要素、特にシートガイドプレート9のシート案内面の領域に発生させるように、シートガイド要素、特にシートガイドプレート9に配置されている。シートガイド要素、特にシートガイドプレート9には、この場合、特に相応の開口、例えばベンチュリノズルが、シート搬送路に対面するように割り当てられている。場合によっては設けられている開口の外は、シートガイド要素、特にシートガイドプレート9は、しかし、好ましくは閉じたシート案内面を有している。
【0034】
特に、シートガイド要素、特にシートガイドプレート9は、シート案内面が、シート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5の外周面の領域で始端して、後置されたシート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5まで、シート搬送システム、特にシート搬送ドラム7の下方を延在するように形成されていてもよい。この場合、シートガイド要素、特にシートガイドプレート9の、前置されたシート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5の領域で始端する第1の領域は、コームフィンガ10を有し、かつシートガイド要素、特にシートガイドプレート9の後続の第2の領域よりも遠く、シート搬送システム、特にシート搬送ドラム7の回転軸線から離間していてもよい。シートガイドプレート9のコームフィンガ10と第1の領域とにより、この場合、好ましくは、シートのための概ね閉じたシート案内面が形成される。
【0035】
この場合、シートガイドプレート9の第1の領域は、前置されたインプレッションシリンダ5とシート搬送ドラム7との間のくわえ替えにより形成される引き渡し中心から15°~25°、特に略20°離間した、シート搬送ドラム7の回転角度範囲で始端していてもよい。この場合、シートガイドプレート9あるいはコームフィンガ10は、シート搬送ドラム7のグリッパ受けにより形成されるシート搬送路から、例えば2mm~50mm、特に25mm~30mmの間隔を置いて配置されていてもよい。シートガイドプレート9の第1の領域は、この場合、好ましくは連続的にシート搬送ドラム7の回転軸線あるいはシート搬送路に接近していく。
【0036】
シート搬送方向BFRでシートガイドプレート9の第1の領域に接続するシートガイドプレート9の第2の領域内では、好ましくは、シート搬送ドラム7の回転軸線に対して同心のシートの案内、あるいはシート搬送ドラム7のグリッパ受け軌道に対して平行あるいはシート搬送路に対して平行な案内が実施される。シートガイドプレート9の第2の領域は、シート搬送路から例えば5mm~10mm離間して形成されていてもよい。シートガイドプレート9の第2の領域は、例えばインプレッションシリンダ5とシート搬送ドラム7との間の引き渡し中心から60°~90°の回転角度範囲で離間して始端していてもよい。シートガイド要素、特にシートガイドプレート9は、これにより、シートガイド要素、特にシートガイドプレート9の、シート搬送方向BFRに関して上手の第1の領域が、グリッパ受け軌道あるいはシート搬送路に対して、下手の第2の領域と比較し、複数倍、例えば2倍または3倍の間隔を有しているように形成されていてもよい。
【0037】
好ましくは、イオン除去装置8は、シートガイドプレート9の第1の領域に配置され、この場合、イオン除去装置8は、コームフィンガ10が設けられている場合、シート搬送方向BFRでコームフィンガ10に後置される。コームフィンガ10は、例えば略5°のシート搬送ドラム7の回転角度範囲にわたって延在していてもよい。イオン除去装置8は、この場合、コームフィンガ10に直接接続していてもよく、あるいは少なくとも略10°のシート搬送ドラム7の回転角度範囲にわたって延在していてもよい。シートガイドプレート9の、コームフィンガ10および/またはイオン除去装置8により形成されるシート案内面は、この場合、シート搬送方向BFRで見て特に連続的にシート搬送ドラム7の回転軸線あるいはそのグリッパ受け軌道あるいはシート搬送路に接近していく。例えばシートガイドプレート9の第1の領域は、例えば略60°のシート搬送ドラム7の回転角度範囲内で第2の領域に移行してもよく、第2の領域は、シート搬送路に対して概ね同心に形成されている。機械1は、さらなる処理部あるいは印刷部2を備えていてもよく、幾つかのまたは好ましくはすべての処理部あるいは印刷部2は、シートを案内するシートガイド要素、特にシートガイドプレート9を有しているあるいは含んでいる。機械1のシートガイド要素、特にシートガイドプレート9は、この場合、特に同一構造に構成される。
【0038】
図2は、イオン除去装置8を有する、シートガイドプレート9として形成されるシートガイド要素の拡大図を示している。イオン除去装置8は、ここでは、少なくとも1つの放電電極12を有する、シートガイドプレート9内に配置されるカセットを有している。好ましくは、カセットは、シート搬送システム、特にシート搬送ドラム7の下方のシートガイドプレート9内に埋め込まれていてもよく、複数の好ましくは同種の放電電極12を有していてもよい。好ましくは、カセットは、ここでは2つの放電電極12を有している。カセットは、特に金属から形成されるコームフィンガ10に好ましくは後置されており、コームフィンガ10とカセットとの間には、上手の案内面区間9.1が形成されていてもよい。シート搬送方向BFRでイオン除去装置8のカセットには、シートガイドプレート9の下手の案内面区間9.2が好ましくは直接接続している。この配置では、上手の案内面区間9.1と、下手の案内面区間9.2とは、シートガイド要素9の1つの共通の案内面の部分である。特に好ましくは、上手の案内面区間9.1および/または下手の案内面区間9.2は、同じく金属から形成されている。
【0039】
好ましくは、シートガイド要素、特にシートガイドプレート9は、シート搬送システム、特にシート搬送ドラム7、例えば外周面なしのトランスファドラムを渦巻き線状に囲繞している。すなわち、シートガイド要素、特にシートガイドプレート9の手前側の部分は、シートガイド要素、特にシートガイドプレート9の後続の部分よりも遠く、シート搬送システム、特にシート搬送ドラム7の回転軸線から離間して保持されている。続いてシートガイド要素、特にシートガイドプレート9は、好ましくは、接線方向でシート搬送システム、特にシート搬送ドラム7に対して同心の半径に移行し、これにより、コームフィンガ10を除いて、ガイドプレート渦巻き線が最大で離隔した領域に、最適な電極間隔を実現することができる。すなわち、シートガイド要素9の案内面は、シート搬送方向BFRでシート搬送ドラム7の半径に近付き、続いてシート搬送ドラム7の半径に関して同心にシート搬送ドラム7を取り囲む。
【0040】
図3は、コームフィンガ10とイオン除去装置8とを有するシートガイド要素、特にシートガイドプレート9の斜視図を示している。シート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5に対面したコームフィンガ10は、互いに離間した複数の特に金属製のフィンガエレメントを含んでおり、フィンガエレメントの間を、シート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5のグリッパシステムの可動のグリッパフィンガが、通過することができる。コームフィンガ10は、例えばインプレッションシリンダ5の外周面に対して数ミリメートル、例えば1~10mm、好ましくは2mm~3mmの間隔を置いて配置されていてもよい。シート搬送方向BFRに関して、コームフィンガ10には、イオン除去装置8が後置されている。イオン除去装置8は、この場合、好ましくは、絶縁体11も、電気的な接続部が設けられた1つまたは複数の放電電極12も含んでいる。放電電極12は、この場合、動作制御可能なジェネレータ、特に高電圧ジェネレータに接続されている。
【0041】
イオン除去装置8の絶縁体11は、それぞれ、シート搬送方向BFRに対して横方向に好ましくはシートガイドプレート9の全幅にわたって配置されており、シート搬送路に対してあるいはシートガイドプレート9のシート案内面に対して垂直に配置される面を有している。各放電電極12は、ここでは、特に2つの絶縁体11間に配置されている。シート搬送方向BFRに関して手前側の絶縁体11は、その垂直なあるいは接線方向の面でもって特に金属製のコームフィンガ10に接続している。イオン除去装置8の後、シートガイドプレート9は、後側のあるいはシート搬送方向BFRに関して最後の絶縁体11の垂直なあるいは接線方向の面に好ましくは直接接続している。
【0042】
図4は、カバーを有するシートガイド要素、特にシートガイドプレート9の拡大図を示している。この場合、イオン除去装置8全体あるいは放電カセット全体が、交換可能にシートガイドプレート9内に配置されていてもよい。代替的には、イオン除去装置8は、例えば不動に、または変位によってシートガイド要素内に存置されてもよく、この場合も同じく、カバー、例えばカバー部分13が開口を閉鎖してもよい。例えば放電を発生させる要素のカバーは、非導電性の材料、特にプラスチックからなるカバーにより設けられ、カバーは、特に開口あるいは切抜きを有している。切抜きは、この場合、好ましくは、放電電極12の電荷担体に影響を及ぼさないように配置されている。放電カセット上における配置は、この場合、好ましくは、イオンが好ましくは細いスリットを通って流出して、シート下面に到達し得るように実施される。
【0043】
図5は、例えば上述のような、シートを処理する機械のイオン除去装置8用のカバーを示している。カバーは、カバー部分13として、シート搬送方向BFRに対して横方向に、図示しないイオン除去装置8、特に放電電極12にわたって配置されており、特に完全に、非導電性の材料、特にプラスチックから製造されている。カバー部分13は、好ましくは均等に配置されていてシート搬送方向BFRに対して横方向に配向された複数の長穴を有しており、長穴は、ここでは、例えばシート搬送方向BFRに対して横方向に25mm、シート搬送方向BFRに8mmの寸法を有している。この場合、特に各長穴には、イオン除去装置8、特に放電電極12の、陽イオンを送出する電極先端と、陰イオンを送出する電極先端とが割り当てられている。ここで略示した電極先端は、この場合、長穴を通して作用するが、特にカバーのシート案内面までは突入していない。それゆえ電極先端は、好ましくは、カバー部分13の表面より下にあるいはカバー部分13のシート案内面から離間して配置されている。1つの放電電極12は、ここでは、交互に特に互いに等間隔に配置される、陽イオンおよび陰イオンを送出する電極先端を有しており、これらの電極先端は、ブロー空気による補助ありまたはなしで作業することが可能である。
【0044】
図6は、カバー部分13を有するシートガイド要素、特にシートガイドプレート9の斜視図を示している。カバー部分13は、できる限り乱れのない好ましくは連続したシート案内面が形成されるように、シートガイドプレート9内に装入される。シートガイド要素、特にシートガイドプレート9内のブロー空気開口は、図示はしていないが、設けられていてもよい。好ましくは、しかし、シートガイド要素、特にシートガイドプレート9のシート案内面内には、ベンチュリノズルが、好ましくは、側方に向かってブローするように設けられている。ベンチュリノズルは、特に好ましくは、入口側および/または出口側においてシート案内面の縁部に向かうブロー方向成分を有するように配置されている。このことは、エアクッション上のシートの、結果として平衡のとれた、おおよそグリッパ受け軌道内に位置する浮上高さを可能ならしめる。すなわち、シートにかかる流動の押圧力は、例えば100g/m
2のシートであれば1Paにすぎず、例えば28g/m
2のシートであればほぼ0Paという、シートの面荷重に対する補完にすぎない。ベンチュリノズルによりシートに対して作用する力は、つまり、シート案内面とシートとの間の流動間隙に依存している。平衡のとれた浮上高さから偏差したとき、力作用は、これにより常に、この平衡のとれた浮上高さに復帰する方向で実施される。その際、シートがシート案内面に接近したときの浮上高さより下での押圧力の増加は、シート案内面から浮上高さを超えて離隔したときのサクション力の増加より比較的高い。
【0045】
この場合の作用メカニズムは、シート、特にフィルムシートと、シート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5との間に、印圧から生じる極端な接着力による乱れが引き起こされることである。シート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5からシート搬送システム、特にシート搬送ドラム7へのシートの引き渡し時、引き離し力は接線方向でのみ作用するので、シートは剥ぎ取り難い。さらに運動が進展するにつれ、シートは、シート内の引き離し力により割線としてシート搬送ドラム半径と交わり、繰り出されたシート長さの、こうして生じた「過剰分」は、インプレッションシリンダ表面に付着したシートが引き続きインプレッションシリンダ5に従動することを許容する。これにより、確かに、これまで接線方向でしか作用していなかった引き離し力の、ひとえに真に剥ぎ取る半径方向の成分は、増大するものの、まだ低く、シートは、シートの剥ぎ取りループ状部が、コームプレートの空気圧式に作用する力によって、特に機械的な接触なしに剥離されるまで、引き続きインプレッションシリンダ表面に従動する。ベンチュリノズルにより発生されるエアクッションは、インプレッションシリンダ5からのシートの引き離しには関与し得ない。それというのも、エアクッションのサクション能力は、正規のシート軌道あるいは平衡のとれた浮上高さ上では作用しないからである。
【0046】
さらにシートは、シート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5からのこのような引き離しの際の静電帯電によって、シートガイド要素、特にシートガイドプレート9により引き付けられ、シートガイド要素、特にシートガイドプレート9上に着地しようとする。シートガイドプレート9の、存在するエアクッションでは、面荷重として、静電帯電の、不等に分配された電界力に抗して均衡、ひいては浮上状態を提供することはできない可能性がある。シートガイドプレート9との集中的な接触の領域が生じてしまうこともある。シートガイドプレート9とのあらゆる集中的な接触は、しかし、シート、特にフィルムシートの表面における可視の掻き傷、あるいはとりわけ紙シートにおける裏汚れ現象に至らしめる。シートガイド要素、特にシートガイドプレート9の上述の特別な形成によって、しかし、シート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5からのシートの剥ぎ取り後、シート搬送システム、特にシート搬送ドラム7の下のシート案内面に沿って、シート、特にフィルムシートを掻き傷なしあるいは裏汚れなしに案内する、距離を保った有効な対策が講じられている。提供された解決手段により、シートガイド要素、特にシートガイドプレート9、とりわけコームとそれに続くガイド面部分との、シート、特にフィルムシートの接触、ひいては掻き傷あるいは裏汚れは、防止される。
【0047】
機械1内には、さらに、機械1の1つの、複数のまたはすべてのイオン除去装置8の1つの、複数のまたはすべての放電電極12の開ループ制御部、またはセンサ制御される自動の閉ループ制御部が設けられていてもよい。例えば、機械の1つのイオン除去装置8の、または複数のもしくはすべてのイオン除去装置8の個々の放電電極12または複数の放電電極12は、ジェネレータ、特に高電圧ジェネレータに接続されていてもよい。ジェネレータの動作制御を介して、この場合、放電作用の調整が行われ得る。この場合、例えば測定技術により、イオン除去装置8の強度は、放電を、シート、特にフィルムシートに存在する静力学的状態に適合させて開ループあるいは閉ループ制御することが可能であるように、開ループあるいは閉ループ制御され得る。さらに、特に交換可能な放電カセットの場合、放電カセットの配置は、機械1の別の箇所に設けられていてもよい。特にこのようなカセットあるいはイオン除去装置8は、反転空間内で使用され得る。放電カセットは、これにより機械1内で相互に交換可能に構成されていることができ、あるいはモジュール式に構成されていることができる。
【0048】
図7は、特に上述のような、反転装置3とシートガイド要素とを備える、例えばフィルムシート処理用に構成されたシートを処理する機械1の一部抜粋を示している。反転装置3は、ここでは3本ドラム型反転部として構成されており、引き渡しドラム15と、貯えドラム16と、反転ドラム17とを含んでいる。反転装置3は、好ましくは機械1の印刷部2間に配置されており、引き渡しドラム15には、一方の印刷部2のシート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5が直接前置されており、あるいは反転ドラム17には、これに続く印刷部2のシート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5が後置されている。上述のように印刷部2内で、インプレッションシリンダ5は、他方、ゴムシリンダ6と相互作用関係にあり、さらにゴムシリンダ6は、図示しないプレートシリンダと相互作用関係にある。機械1は、片面刷りの運転モードと、両面刷りの運転モードとの間で切り換え可能であり、片面刷りの運転モードでは、シート搬送は、ドラム間でのシート前縁の引き渡しにより反転なしに実施される。
【0049】
反転装置3の引き渡しドラム15および反転ドラム17は、例えば1倍胴に構成され、貯えドラム16は、例えば2倍胴に構成されている。シート搬送のために、引き渡しドラム15は、グリッパチャネル内に配置されていてシートを前縁においてくわえる図示しないグリッパシステムを有している。シートは、くわえ替えされて、貯えドラム16の、グリッパチャネル内に配置される同じく図示しないグリッパシステムに引き渡される。貯えドラム16により、シートは、前縁においてくわえられて、貯えドラム16の回転中、反転ドラム17に供給される。反転ドラム17は、シート搬送のために、同じく図示しないグリッパシステム、特にグリッパおよび/またはサッカを含んでおり、このグリッパシステムは、旋回可能に反転ドラム17内に軸承されている。代替的には、反転ドラム17は、シートの受け取りあるいは搬送用のピンサグリッパシステムを含んでいてもよい。別のシリンダ配置あるいは別のシリンダサイズも使用可能である。例えば引き渡しドラム15は、2倍胴に構成されていてもよい。
【0050】
片面刷りの運転モードでは、シートは、反転ドラム17のグリッパシステムにより引き渡し中心において前縁において貯えドラム16のグリッパシステムから受け取られる。両面刷り中のシート反転時、このシートは、貯えドラム16によって引き渡し中心を通過させられ、反転ドラム17のグリッパシステムにより後縁においてつかまれる。つかまれたこのシートは、続いて、反転ドラム17の回転が進展している間、後縁反転の原理にしたがって反転され、その結果、シートのかつての後縁は、シートの運動反転以降、新たな前縁となり、貯えドラム16上に位置するかつての前縁は、新たな後縁となる。反転装置3には、特に両面刷りの運転モードで、シート案内を補助すべく、シートガイド要素が割り当てられている。例えば貯えドラム16および反転ドラム17の下方に、特にシートガイドプレート9として形成されるシートガイド要素が、シート案内を補助すべく配置されていてもよい。シートガイド要素、特にシートガイドプレート9は、この場合、例えば運転モードに応じて変位可能なシートガイド要素、特にシートガイドプレート9として構成されていてもよい。このように変位可能なシートガイド要素、特にシートガイドプレート9は、この場合、少なくとも両面刷りの運転モードで、シート案内のためにシート搬送路へ近付けられ得る。
【0051】
詳細は図示しない貯えドラム16は、例えば判型調整可能な外周セグメントを有していてもよく、外周セグメントは、判型調節時、櫛状に互いに噛み合い、シートを担持する外周面を形成する。2倍胴の貯えドラム16の、径方向で互いに正反対の位置で配置されるシート前縁用の両グリッパシステムは、好ましくは固定の前側の外周セグメントに配置されている。前側の外周セグメントに対して調節可能な後側の外周セグメントには、それぞれ、シート後縁を受け取り、案内するための固定システム、特にサクションシステム、例えばロータリサッカおよび/またはテンションサッカが設けられていてもよい。ロータリサッカにより、シートは、引き渡しドラム15から反転ドラム17へのシート搬送中、貯えドラム16上に位置するとき、特に縦方向および/または横方向に緊張され得る。反転されるシートを反転ドラム17により貯えドラム16から引き離す際も、シートは、貯えドラム16の調節可能な後側の外周セグメントの歯内に設けられた固定システム、特にサクションシステム、例えばロータリサッカまたはテンションサッカにより、好ましくは緊張され得る。
【0052】
両面刷り中のシート案内を補助すべく、貯えドラム16および反転ドラム17の下方に配置されるシートガイド要素は、作動可能に構成されていてもよく、その結果、シートガイド要素のシート案内面は、シート搬送路に対して少なくとも略平行に方向付けられている。シート搬送路は、この場合、貯えドラム16の外周面にも、反転ドラム17の外周面にも接線方向であてがわれた面に少なくとも略相当する。シートガイド要素、特にシートガイドプレート9のシート案内面は、この場合、容易に反転ドラム17に接近可能でもある。シートガイド要素、特にシートガイドプレート9は、この場合、少なくとも一部領域に平坦な案内面9.3を有しており、案内面9.3は、特に好ましくは、反転ドラム17の下方、特に反転ドラム17の回転軸線の下方に存在している。この場合、シートガイド要素に、特にシートガイドプレート9の平坦な案内面9.3に、イオン除去装置8が割り当てられている。イオン除去装置8は、この場合、シートの放電用の少なくとも1つの放電電極12を有している。イオン除去装置8、特に少なくとも1つの放電電極12は、この場合、放電されたシートを静電力作用から解放させ、その結果、シートは、波打ちおよびしわなしに後続の印刷ニップあるいは印刷ゾーンを通り抜けることができるように、平滑にされ得る。
【0053】
図8aは、載置された放電電極12を有する反転装置3のシートガイドプレート9の一実施の形態を示している。放電電極12は、この場合、シート搬送方向BFRに対して横方向に好ましくは機械幅にわたって配置されており、相応の電気的な接続部が設けられている。放電電極12は、この場合、好ましくはシートガイドプレート9の平坦な案内面9.3に割り当てられ、平坦な案内面9.3には、シート搬送方向BFRで、反転ドラム17に接近していく領域が接続可能である。好ましくは、シートガイド要素、特にシートガイドプレート9には、少なくとも1つの送風機14が割り当てられていてもよく、送風機14は、特にブロー空気および/またはサクション空気を発生させるために動作制御可能である。シートガイド要素、特にシートガイドプレート9には、この場合、相応の開口、例えばベンチュリノズルが、シート搬送路に対面するように割り当てられている。特に送風機14により、サクション空気および/またはブロー空気が、少なくともシートガイドプレート9の平坦な案内面9.3の領域に発生され得る。送風機14は、この場合、放電電極12の領域において、シートガイドプレート9の背離した側に設けられていてもよい。シートガイド要素、特にシートガイドプレート9は、この場合、同じく一体に構成されていても、または複数の部分ピースからなっていてもよく、後者の場合、前置され、概ね貯えドラム16の下方に配置されている部分ピースにも、送風機14が割り当てられていてもよい。
【0054】
図8bは、内蔵されたイオン除去装置8を有する反転装置3のシートガイドプレート9の一実施の形態を示している。イオン除去装置8は、この場合、特に交換可能に構成されていてシートガイドプレート9内に埋め込まれるカセットを有していてもよい。好ましくは、イオン除去装置8は、複数の放電電極12を有しており、放電電極12は、互いに離間してシート搬送方向BFRに対して横方向に好ましくは機械幅にわたって配置されている。ここでは好ましくは埋め込まれた放電電極12間に、好ましくは、それぞれ絶縁体11がポジショニングされ、絶縁体11の面は、接線方向でシートガイドプレート9のところで、特に上で既に説明したように終端している。シートガイド要素、特にシートガイドプレート9には、この場合、好ましくは、少なくとも1つの送風機14が、ブロー空気および/またはサクション空気を特に少なくとも平坦な案内面9.3の領域において発生させるべく、上述のように割り当てられていてもよい。さらに、少なくとも1つの放電電極12が埋め込まれている場合、カバーが、概ね閉じたシート案内面を放電電極12の領域に形成すべく設けられていてもよい。この場合、1つまたは複数の放電電極12に適合された開口を有する図示しないカバー部分が、特に1つまたは複数の放電電極12の直上においてシートガイドプレート9に、特に上述のように割り当てられてもよい。図示しないカバー部分は、上述のように構成あるいは配置されていることができる。
【0055】
説明したシートガイド要素の1つ、特にこのようなシートガイドプレート9は、この場合、機械1内において貯えドラム16と反転ドラム17との間の引き渡し領域に割り当てられている。シートガイドプレート9は、この場合、特に反転空間の長辺を下方において画定し、この場合、貯えドラム16と反転ドラム17との間のシリンダ接線に対して離間して、シートに対する離隔が最適な電極間隔に相当するように配置されている。さらに、貯えドラム16の固定システム、特にサクションシステム、例えばロータリサッカおよび/またはテンションサッカにより、貯えドラム16上に位置するシートの固定が予定されていてもよく、その結果、シートは、付加的に貯えドラム16と反転ドラム17との間のシリンダ接線の近傍において張着あるいは緊張される。これにより、特に、最適な電極間隔がシート長さ全体にわたって保たれ続けるだけでなく、シートが上面および下面で質量のある機械部分とのイオン結合性の接触からフリーになったところで、シートに対して影響を及ぼし得ることが達成され得る。このことは、有利には、イオンがほとんど妨げられずに、活性化されたイオン除去周囲空気内に移行できるようにする。
【0056】
図9は、デリバリ4を備える例えば上述のようなシートを処理する機械1、特にフィルムシートを処理する機械1の一部抜粋を例えば示している。機械1は、相応に好ましくはフィルムシート処理のために構成されており、特にフィルムシート処理機械として、上で既に説明したように構成されている。デリバリ4は、特段詳細は図示しない、シートを搬送するシート搬送システムを含んでおり、シート搬送システムは、機械1内で処理、例えば印刷および/またはニス引きされたシートを、最後のシート案内シリンダから受け取り、特段図示しないデリバリパイルへ搬送あるいは運搬する。このシート搬送システムは、好ましくはチェーン搬送システムとして、それぞれ側方でデリバリ4の架構において案内される2つのデリバリチェーンを有して形成されており、デリバリチェーン間には、グリッパキャリッジが等間隔にかつ互いに平行に配置されている。グリッパキャリッジは、シート固定システムを有しており、シート固定システムにより、搬送したいシートは、前縁において把持される。グリッパキャリッジは、シート前縁を相応に機械1の最後のシート案内シリンダからくわえ替えして受け取る。無端循環するように駆動され、かつ案内されるグリッパキャリッジは、特に、固定のグリッパ受けに対して可動のグリッパフィンガを、シートを好ましくは前縁において機械1の最後のシート案内シリンダから受け取るために有している。
【0057】
デリバリ4内で、グリッパキャリッジは、デリバリチェーンによりグリッパキャリッジ軌道上をシート搬送方向BFRでデリバリパイルの上方まで案内され、そこでグリッパキャリッジは、シートを積み下ろしのために解放する。シート解放のために、くわえられたシート前縁は、グリッパフィンガが、グリッパキャリッジに固定に配置されるグリッパ受けから持ち上げられることによって放される。グリッパフィンガの運動は、制御カムと、グリッパ軸上にある制御レバーとを介して実施されることができ、グリッパ軸には、グリッパフィンガが固定に配置されている。シート搬送方向BFRに関して、デリバリパイルには、好ましくはシートブレーキが前置されており、シートブレーキは、積み下ろしたいシートを、シートの解放後、機械速度から積み下ろし速度に減速させる。シートブレーキによる減速後、シートは、例えば前縁ストッパ、後縁ストッパおよび/または側縁ストッパにおいて方向付けられ、揃えられてデリバリパイル上に積み下ろされる。デリバリパイルは、この場合、パイル昇降駆動部によりシート積み下ろしプロセス中、デリバリパイル表面が少なくとも略一定の積み下ろしレベルを、到来するシートのために形成するように、下降される。
【0058】
デリバリパイルに至るシート搬送路上には、デリバリ4内に、シート搬送路の下方に少なくとも1つの機械式のシートガイド要素が配置されており、シートガイド要素は、シートを、最後のシート案内シリンダの後、デリバリパイルへの途中で案内する。無端循環するチェーン搬送システムのグリッパキャリッジにより、機械1内で例えば両面を印刷し終えたシートは、最後のシート案内シリンダからデリバリパイルへ搬送される。グリッパキャリッジともに循環するグリッパ受けは、このとき、グリッパ受け軌道を描き、グリッパ受け軌道は、概ねシート搬送路に相当するあるいはシート搬送路の片側を画定、ひいては規定する。機械1の最後のシート案内シリンダは、特に最後の印刷部、ニス引き部、乾燥部、検査部または加工部のインプレッションシリンダ5であって、インプレッションシリンダ5は、特に少なくとも略閉じた外周面を有している。インプレッションシリンダ5は、好ましくは2倍胴に構成されており、径方向で互いに正反対の位置でグリッパチャネル内に配置される2つのグリッパシステムを、既に上で説明したように含んでいる。これらのグリッパシステムは、特に同じく、シート搬送路を画定あるいは規定するグリッパ受けに対応する可動のグリッパフィンガを有している。これらのグリッパシステムから、シート前縁は、チェーン搬送システムのグリッパキャリッジによりくわえ替えされて受け取られる。シート前縁の受け取りのために、インプレッションシリンダ5のグリッパフィンガは、グリッパキャリッジのグリッパフィンガに対して隙間が空けられている。シート前縁のこの受け取りは、シート前縁の固定が短時間両方のグリッパによってなされている引き渡し中心において実施される。
【0059】
デリバリ4内に設けられたチェーン搬送システムは、最後のシート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5に隣接して配置されるチェーンスプロケット軸を有しており、チェーンスプロケット軸は、同軸に互いに間隔を置いて配置される2つのチェーンスプロケット18を有しており、チェーンスプロケット18は、堅固にチェーンスプロケット軸に結合されている。デリバリチェーンは、チェーンスプロケット18に掛かって走行し、チェーンスプロケット18により循環するように駆動されていることができる。チェーンスプロケット軸は、例えば連続する駆動車列を介して、機械1の処理部あるいは印刷部2内に設けられたシート搬送システムおよびシート案内シリンダとともに駆動されていてもよい。チェーンスプロケット18間のチェーンスプロケット軸の下方には、シートガイド要素が配置されており、シートガイド要素は、好ましくは、機械幅に及んでいて、側壁間に配置されるシートガイドプレート9として形成されている。このシートガイドプレート9は、好ましくは、シートを滑動および/または浮動させて案内する少なくとも略閉じた表面を有している。シートガイドプレート9には、撥インキ性のコーティングが施されていてもよい。さらにノズル開口、特にベンチュリノズルが、シートを空気圧式に案内すべく、シートガイドプレート9に割り当てられていてもよい。
【0060】
例えば、組み合わされる複数の部分ガイドプレートから形成されていてもよいシートガイドプレート9の下方に、1つまたは複数のブローボックスあるいは送風機14が配置されていてもよく、ブローボックスあるいは送風機14を介してシートガイドプレート9のブロー空気ノズルにブロー空気および/またはサクション空気が供給されることができ、その結果、シートガイドプレート9と、グリッパキャリッジにより搬送あるいは運搬されるシートとの間に、特に両面刷りのために、担持エアクッションが形成され得る。シートガイド要素、特にシートガイドプレート9には、好ましくは、作動停止可能な平滑化装置が割り当てられていてもよい。このような平滑化装置は、例えば両面刷りのときにインキが未乾燥の状態のシートが、またはフィルムシートが運搬あるいは案内されるときは、作動停止されることができ、あるいは使用されない。機械1のシートガイド要素、特にシートガイドプレート9は、この場合、特に同一構造に構成される。シートがデリバリパイル上で貼り付いてしまうことを回避すべく、デリバリ4内には、特段図示しない乾燥機および/またはパウダ装置が設けられていてもよい。シートガイド要素の加熱を開ループまたは閉ループ制御することができるように、冷却剤回路をシートガイド要素に内蔵させることも可能である。
【0061】
デリバリ4内に設けられたチェーンスプロケット軸は、特にシートを担持する外周面を有しない。一発展形として、チェーンスプロケット軸は、循環するデリバリチェーン用のチェーンスプロケット18の他に、2つ以上の支持ディスクもしくはサクションディスクまたは個々のサッカ、例えばコーナサッカを含んでいてもよい。例えばコーナサッカありまたはなしの支持ディスク、あるいはサクションディスクは、軸方向で摺動可能にそれぞれのシート側縁部に向かって調節可能に構成されていてもよい。この場合、この種のディスクは、自動でかつ/または互いに独立して軸方向で調節されてもよい。この種のディスクは、特に周面に支持面を含んでおり、支持面は、最小の軸方向の延在を有している。支持ディスクの、軸方向で存在するこの延在によって、それぞれのシートは、シート受け取り時、シート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5の外周面上に固定可能である。これにより、シートが、ディスクと、最後のシート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5との間に存在する間、シート落下は回避される。好ましくは、シートは、ブラケット上に配置される支持要素により、小さなプレスニップ内でインプレッションシリンダ5の外周面に対してプレスされる。支持要素は、この場合、弾性的な表面を有していてもよい。この種のディスクは、好ましくは、同じく2倍胴に構成されており、好ましくは、チェーン搬送システムの循環するグリッパキャリッジのための切欠きを有していてもよい。
【0062】
図10は、機械1の最後のシート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5を、チェーンスプロケット軸の後置されたチェーンスプロケット18と、チェーンスプロケット軸の下方に配置されたシートガイド要素、特に上述のシートガイドプレート9とともに示している。チェーンスプロケット18の回転軸線と、インプレッションシリンダ5の回転軸線との間に結合線が記入されており、この結合線上には、引き渡し領域において引き渡し中心が位置している。チェーンスプロケット軸の下方には、シートガイドプレート9が配置されており、シートガイドプレート9は、インプレッションシリンダ5に向けられた領域に、特に金属で構成されたコームフィンガ10を、特に印刷部2に関して既に説明したように有している。シート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5の領域において、シートガイドプレート9は、好ましくは、シートガイドプレート9の、シート搬送方向BFRで接続する領域よりも遠く、チェーンスプロケット軸あるいはチェーンスプロケット18の回転軸線から離間している。コームフィンガ10は、例えばインプレッションシリンダ5の外周面に対して数ミリメートル、例えば1~10mm、好ましくは2mm~3mmの間隔を置いて配置されていてもよい。特にデリバリ4内に設けられたシートガイドプレート9は、機械1の印刷部2あるいは処理部内に設けられたシートガイドプレート9に対して少なくとも略同一構造に構成される。これにより、機械1全体において、好ましくは、同じ好都合なシート案内条件が保証されている。
【0063】
図11は、例えば上述のようなシート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5を、上述のような、後置されたチェーンスプロケット軸と、チェーンスプロケット軸の下方に配置され、カバーを有するシートガイド要素、特にシートガイドプレート9とともに示している。側面図で示したシートガイドプレート9は、カバー、特に上述の非導電性のあるいは非金属の材料を含むか、または非導電性のあるいは非金属の材料からなるカバー部分13を有している。イオン除去装置8は、例えばシートガイド要素、特にシートガイドプレート9から取り外し可能であってもよい。イオン除去装置8は、例えばチェーンスプロケット軸のチェーンスプロケット18の下方にあるいはチェーンスプロケット18の間で取り外され得る。イオン除去装置8は、例えば側方にかつ/またはシートガイドプレート9の少なくとも一部分を変位させて取り外されてもよい。カバー、特にカバー部分13は、イオン除去装置8により必要とされる開口を閉鎖する。カバーは、この場合、好ましくは、シートガイドプレート9の連続的なあるいは略全面的なシート案内面が生じるように寸法設定されており、あるいは取り付け可能である。カバー部分13は、この場合、既に上で説明したように構成あるいは配置されていてもよい。
【0064】
作用形式について:反転装置3および/または処理部もしくは印刷部2内に設けられたシート搬送システム、特に反転ドラム17またはシート搬送ドラム7、あるいはデリバリ4内に設けられたグリッパキャリッジにより、シートは、シート案内シリンダ、特に貯えドラム16またはインプレッションシリンダ5から受け取られ、シートガイド要素、特にシートガイドプレート9に沿ってシート搬送路上をイオン除去装置8に沿面し通過させられる。引き渡しドラムあるいはチェーンスプロケット軸の領域には、一発展形として、付加的にシートをグリッパ受け軌道の近傍において規定して縁部においてのみ保持して通過させる装置が設けられていてもよく、その結果、最適な電極間隔がシート長さ全体にわたって保たれ続け、シートは、早期にはシートガイドプレート9に触れず、上述の最適な電極間隔を下回らない。
【0065】
シート案内シリンダ、特にインプレッションシリンダ5の外周面からのシート、特にフィルムシートの剥ぎ取りは、好ましくは渦巻き線の形状を有するシートガイド要素、特にシートガイドプレート9により実施される。この場合、特にコームフィンガ10は、シートの剥ぎ取りループ状部を、外周面からの引き離し時、好適な間隔を置いてかわす。最小の引き離しループ状部の許容は、有利には、引き離し力の、剥ぎ取る半径方向の成分を増大させる。ベンチュリノズルをシートガイド要素のガイド輪郭に沿って、グリッパ受け軌道下におけるシートの対応する平衡のとれた浮上高さと関連付けて配置することによって、エアクッションのサクション力は、正規のシート軌道上に存在するシートに作用し得る。而してシートは、外でグリッパ受け軌道の半径上に保持され、剥ぎ取りループ状部は、小さく維持される。
【0066】
特にガイドプレート始端に埋め込まれた少なくとも1つの放電電極12により、シートにおける電荷補償が、十分な電荷中立性に至るまで引き起こされ、その結果、シートは、それゆえ、電気的な導体としてのシートガイド要素、特にシートガイドプレート9により引き付けられない。シート表面上の交番する電荷状態を補償することができるように、イオン除去装置8により特に陽イオンと陰イオンとの提供が実施される。イオン除去装置8の使用は、印刷プロセスの度にシート、特にフィルムシートが強く再帯電されるので、特に機械1の各印刷部2あるいは処理部内で実施される。
【0067】
シートは、特に反転装置3の前記あるいは各印刷部2、好ましくは各処理部のイオン除去装置8および/またはデリバリ4のイオン除去装置8により最適に放電される。放電により、シートを絶えず浮動させて次の搬送システム、例えばインプレッションシリンダ5またはグリッパキャリッジに、シートガイド要素、特にシートガイドプレート9との接触によってシートに掻き傷を付けることなく、供給することが達成される。それぞれのイオン除去装置8の1つまたは複数の放電電極12により、特に能動的な放電のために、陽イオンも陰イオンも供給される。設けられたジェネレータは、この場合、好ましくは3~6kVの範囲内で、最適には少なくとも略4.5kVの高電圧で作業する。高電圧は、この場合、求められた静電帯電次第で調整されてもよい。イオン除去装置8により、それぞれのシートは放電され、その結果、イオン除去されたシートは、静電力フリーに平滑にされてシートガイドプレート9上あるいはシートガイドプレート9により発生されたエアクッション上に寝かされる。シートは、機械1全体にわたって変形および裏汚れなしである。
【符号の説明】
【0068】
1 機械
2 印刷部
3 反転装置
4 デリバリ
5 インプレッションシリンダ
6 ゴムシリンダ
7 シート搬送ドラム
8 イオン除去装置
9 シートガイドプレート
9.1 上手の案内面区間
9.2 下手の案内面区間
9.3 平坦な案内面
10 コームフィンガ
11 絶縁体
12 放電電極
13 カバー部分
14 送風機
15 引き渡しドラム
16 貯えドラム
17 反転ドラム
18 チェーンスプロケット
BFR シート搬送方向