(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】エアロゾル供給デバイス
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20241017BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20241017BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20241017BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/465
A24F40/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023095356
(22)【出願日】2023-06-09
(62)【分割の表示】P 2021554586の分割
【原出願日】2020-03-09
【審査請求日】2023-07-06
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】アビ アウン, ワリド
(72)【発明者】
【氏名】ヘップワース, リチャード ジョン
(72)【発明者】
【氏名】サイエド, アシュレイ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】トールセン, ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン, ルーク ジェームズ
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/073376(WO,A1)
【文献】特表2016-534730(JP,A)
【文献】中国実用新案第208228311(CN,U)
【文献】特表2017-526381(JP,A)
【文献】中国実用新案第208016042(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0245682(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル供給デバイスのヒータ部品用の支持体であって、当該支持体は、軸線を定め、当該支持体は、前記ヒータ部品の端部と係合して、前記ヒータ部品を
管状部材から所定の距離において前記軸線と実質的に平行に保持するように構成されており、当該支持体は、温度センサのワイヤを受け取るためのチャネルを画定し、前記チャネルは、前記ヒータ部品と前記
管状部材との間の空間への開口を画定する、支持体。
【請求項2】
前記管状部材が絶縁部材である、請求項1に記載の支持体。
【請求項3】
前記ヒータ部品と前記管状部材との間の前記空間を封止するように構成されている請求項1又は2に記載の支持体。
【請求項4】
前記ヒータ部品と前記管状部材との間の前記空間を閉じるように構成されている請求項1~3のいずれか一項に記載の支持体。
【請求項5】
前記ヒータ部品と前記管状部材との間の前記空間への障壁として機能するように構成されている請求項1~4のいずれか一項に記載の支持体。
【請求項6】
栓として機能するように構成されている請求項1~5のいずれか一項に記載の支持体。
【請求項7】
前記チャネルが貫通穴である、請求項1~6のいずれか一項に記載の支持体。
【請求項8】
前記ヒータ部品と前記管状部材との間の前記空間を封止することを助けるために前記管状部材の内面と当接する弾性部材を備える請求項1~7のいずれか一項に記載の支持体。
【請求項9】
前記チャネルが前記軸線と実質的に平行に延在する、請求項1
~8のいずれか一項に記載の支持体。
【請求項10】
前記チャネルがその長さに沿って開口している、請求項1
~9のいずれか一項に記載の支持体。
【請求項11】
前記支持体が第1の部分を備え、前記チャネルが前記第1の部分を貫いて形成され、前記チャネルが前記第1の部分の外周における切欠きである、請求項1~
10のいずれか一項に記載の支持体。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれか一項に記載の支持体と、
一端で前記支持体と係合されたヒータ部品と、
前記ヒータ部品の温度を検知するための温度センサであって、前記
管状部材と前記ヒータ部品との間の空間に配置された温度センサと、
前記支持体の前記チャネルに配置され、前記温度センサに接続されたワイヤと、
を備えるエアロゾル供給デバイス。
【請求項13】
前記
管状部材が、前記ヒータ部品を取り囲み、前記支持体
の少なくとも一部と当接し、それにより、前記
管状部材を前記ヒータ部品から外側に所定の径方向距離に配置する、請求項
12に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項14】
前記温度センサが前記ヒータ部品と接触している、請求項
12又は13に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項15】
軸線を定める支持体と、
管状部材と、
ヒータ部品であって、
前記ヒータ部品が前記
管状部材によって加熱可能であり、
前記ヒータ部品の端部が、前記支持体と係合して、前記ヒータ部品を前記
管状部材から所定の距離において前記軸線と実質的に平行に保持し、
前記支持体が、前記ヒータ部品と前記
管状部材との間の空間への開口を画定するチャネルを画定する、ヒータ部品と、
前記ヒータ部品の温度を検知するための温度センサであって、前記ヒータ部品と前記
管状部材との間の前記空間に配置された温度センサと、
前記支持体の前記チャネルに配置され、前記温度センサに接続されたワイヤと、
を備えるエアロゾル供給デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル供給デバイスのヒータ部品用の支持体、及びこの支持体を含むエアロゾル供給デバイスに関する。本発明はまた、エアロゾル供給デバイスと、エアロゾル供給システムと、エアロゾル生成材料を備える物品とに関する。
【背景技術】
【0002】
シガレット、シガーなどの喫煙品は、使用中にタバコを燃焼させてタバコの煙を生じさせる。タバコを燃焼させるこれらの物品の代替品を、燃焼させずに化合物を放出する製品を作り出すことによって提供しようとする試みがなされてきた。このような製品の例には、材料を燃焼させるのではなく加熱することによって化合物を放出する加熱デバイスがある。この材料は、例えばタバコ又は他の非タバコ製品でもよく、これらはニコチンを含むことも含まないこともある。
【発明の概要】
【0003】
本開示の第1の態様によれば、エアロゾル供給デバイスのヒータ部品用の支持体が提供される。この支持体は、軸線を定め、また、ヒータ部品の端部と係合して、ヒータ部品をコイルから所定の距離において軸線と実質的に平行に保持するように構成されている。この支持体は、温度センサのワイヤを受け取るためのチャネルを画定し、このチャネルは、ヒータ部品とコイルとの間の空間への開口を画定する。
【0004】
本開示の第2の態様によれば、
第1の態様による支持体と、
一端で支持体と係合されたヒータ部品と、
ヒータ部品の周りに延在するコイルであって、ヒータ部品を加熱するように構成されたコイルと、
ヒータ部品の温度を検知するための温度センサであって、コイルとヒータ部品との間の空間に配置された温度センサと、
支持体のチャネルに配置され、温度センサに接続されたワイヤと、
を備えるエアロゾル供給デバイスが提供される。
【0005】
本開示の第3の態様によれば、
軸線を定める支持体と、
コイルと、
ヒータ部品であって、
ヒータ部品がコイルによって加熱可能であり、
ヒータ部品の端部が、支持体と係合して、ヒータ部品をコイルから所定の距離において軸線と実質的に平行に保持し、
支持体が、ヒータ部品とコイルとの間の空間への開口を画定するチャネルを画定する、ヒータ部品と、
ヒータ部品の温度を検知するための温度センサであって、ヒータ部品とコイルとの間の空間に配置された温度センサと、
支持体のチャネルに配置され、温度センサに接続されたワイヤと、
を備えるエアロゾル供給デバイスが提供される。
【0006】
本開示の第4の態様によれば、
エアロゾル生成材料を加熱するように構成されたヒータ部品と、
軸線を定め、ヒータ部品の第1の端部と係合するように構成された第1の支持体と、
ヒータ部品の第2の端部と係合するように構成された第2の支持体と、
ヒータ部品を加熱するように構成された少なくとも1つのコイルと、
を備え、
第1の支持体及び第2の支持体が、ヒータ部品を少なくとも1つのコイルから所定の距離において軸線と実質的に平行に保持する、エアロゾル供給デバイスが提供される。
【0007】
本開示の第5の態様によれば、
エアロゾル生成材料を加熱するように構成されたヒータ部品と、
軸線を定める支持体であって、ヒータ部品の第1の端部と係合するように構成された支持体と、
ヒータ部品を加熱するように構成された少なくとも1つのコイルと、
を備え、
支持体が、ヒータ部品を少なくとも1つのコイルから所定の距離において軸線と実質的に平行に保持する、エアロゾル供給デバイスが提供される。
【0008】
本発明のさらなる特徴及び利点は、本発明の好適な実施形態の以下の説明から明らかになる。ここで、この説明は、例示のためにのみ提供され、添付図面を参照しながら行われる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】エアロゾル供給デバイスの一例の正面図である。
【
図2】外側カバーが取り外された状態の
図1のエアロゾル供給デバイスの正面図である。
【
図3】
図1のエアロゾル供給デバイスの断面図である。
【
図4】
図2のエアロゾル供給デバイスの分解図である。
【
図5】
図5Aは、エアロゾル供給デバイス内の加熱アセンブリの断面図であり、
図5Bは、
図5Aの加熱アセンブリの一部分の拡大図である。
【
図6】
図3のエアロゾル供給デバイス内の支持体の拡大図である。
【
図7】
図6の支持体に形成されたチャネルの拡大斜視図である。
【
図11】エアロゾル供給デバイス内に配置されたサセプタの図である。
【
図12】第1及び第2の支持体によって係合されたサセプタの図である。
【
図13】絶縁部材によって取り囲まれたサセプタの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、「エアロゾル生成材料」という用語は、加熱時に通常はエアロゾルの形態で揮発成分を提供する材料を含む。エアロゾル生成材料は、何らかのタバコ含有材料を含んでおり、例えば、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ以上を含んでもよい。エアロゾル生成材料は、他の非タバコ製品も含んでもよく、これらの非タバコ製品は、個々の製品に応じて、ニコチンを含んでもよいし、含まなくてもよい。エアロゾル生成材料は、例えば、固体、液体、ゲル、ワックスなどの形態であってもよい。エアロゾル生成材料は、例えば、複数の材料の組合せ又は混合物であってもよい。エアロゾル生成材料は、「喫煙材」と呼ばれることもある。
【0011】
典型的には吸入可能なエアロゾルを形成するために、エアロゾル生成材料を加熱して、エアロゾル生成材料を焼いたり燃焼させたりせずに、エアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させる装置が知られている。このような装置は、場合によって「エアロゾル生成デバイス」、「エアロゾル供給デバイス」、「非燃焼加熱式デバイス」、「タバコ加熱製品デバイス」又は「タバコ加熱デバイス」などと記述される。同様に、いわゆるeシガレットデバイスもあり、これは通常、液体の形態のエアロゾル生成材料(ニコチンを含んでもよいし、含まなくてもよい)を気化させる。エアロゾル生成材料は、装置に挿入することの可能なロッド、カートリッジ、又はカセット等の形態であってもよいし、これらの一部として提供されてもよい。エアロゾル生成材料を加熱して揮発させるためのヒータは、装置の「恒久的」部分として設けられてもよい。
【0012】
エアロゾル供給デバイスは、エアロゾル生成材料を備える物品を加熱のために受け取ることができる。この文脈における「物品」とは、使用時にエアロゾル生成材料を含み又は収容し、任意で他の成分を使用時に含み又は収容する部品であり、ここで、エアロゾル生成材料は、これを揮発させるために加熱される。ユーザが吸入するエアロゾルを生成するためにこの物品が加熱される前に、ユーザは、この物品をエアロゾル供給デバイスに挿入してもよい。この物品は、例えば、物品を受け取るように寸法を定められたデバイスの加熱チャンバ内に配置されるように設定された所定の又は特定の寸法のものであってもよい。
【0013】
本開示の第1の態様は、エアロゾル供給デバイスのヒータ部品(例えばサセプタ)用の支持体を定める。本明細書でより詳細に論じるように、サセプタは、電磁誘導によって加熱される導電性物体である。エアロゾル生成材料を備える物品をヒータ部品内に受け取ることができる。ヒータ部品は、加熱されると、熱をエアロゾル生成材料に伝え、エアロゾル生成材料はエアロゾルを放出する。いくつかの例では、デバイスは、ヒータ部品が加熱されているときに、1つ以上の場所にあるヒータ部品の温度を監視することができる。エアロゾル生成材料を特定の温度に加熱する必要のある場合があるので、これは有用なことがある。例えば、ヒータ部品の温度が高すぎる場合、エアロゾル生成材料は過熱することがあり、それはエアロゾルの味/香味に影響を与え得る。ヒータ部品の温度が低すぎる場合、生成されるエアロゾルの量が少なすぎることがある。したがって、加熱中、ヒータ部品の温度を制御し、監視することは有用になり得る。
【0014】
ヒータ部品の温度を監視するために、1つ以上の温度センサが、ヒータ部品と接触していてもよいし、その近くに配置されてもよい。温度センサは、例えば、熱電対であってもよい。1本以上のワイヤが、温度センサをエアロゾル供給デバイス内の他の電子回路に接続してもよく、したがって、このワイヤをヒータ部品からデバイス内の別の場所へ配さなければならない。
【0015】
上述のように、ヒータ部品はサセプタであってもよく、ヒータ部品はコイル(インダクタコイルなど)によって加熱されてもよい。インダクタコイルは変動磁場を生成するように構成される。サセプタは、変動磁場の侵入によって加熱可能である。
【0016】
例示的なエアロゾル供給デバイスでは、ヒータ部品は、ヒータ部品と同軸に配置することができる絶縁部材など、1つ以上の構成要素によって取り囲まれてもよい。絶縁部材は、デバイスの他の構成要素をヒータ部品によって生成された熱から絶縁する助けになることができる。絶縁部材はまた、ヒータ部品の周りに配置されヒータ部品から離隔した1つ以上のコイルを支持してもよい。
【0017】
いくつかの従来のエアロゾル供給デバイスでは、温度センサからのワイヤは、絶縁部材の表面を貫通して配される。例えば、1つ以上の貫通穴が絶縁部材を貫いて形成されることがあり、ワイヤは貫通穴を通り抜ける。しかしながら、貫通穴が絶縁部材の構造的完全性を弱くし得ることが見出された。したがって、絶縁部材はより損傷しやすい。加えて、貫通穴の大きさ及び位置に応じて、この穴はまた、絶縁部材によって与えられる絶縁効果を低減させ得る。したがって、ヒータ部品と絶縁部材との間の空間から熱が逃げることができる。
【0018】
本発明は、温度センサのワイヤが通過することの可能なチャネルを画定する支持体に関する。支持体は、ヒータ部品をデバイス内の所定位置に保持する要素である。支持体に形成されるチャネルは、ヒータ部品とコイル/絶縁部材との間の空間への開口を画定する。これは、絶縁部材を貫通してワイヤを配する必要がなく、その結果、絶縁部材の構造的完全性を損なうことのないことを意味する。1本以上のワイヤを、このチャネルを通して配してもよい。
【0019】
「清掃管(cleanout tube)」としても知られる支持体は、軸線を定め、また、ヒータ部品の端部と係合して、ヒータ部品をコイルから所定の距離において軸線と実質的に平行に保持するように構成される。したがって、支持体は、コイルに対してヒータ部品をデバイス内の所定位置に保持する。したがって、ワイヤは、ヒータ部品とコイルとの間の空間から出て延在することができるように、ヒータ部品に沿って(概ね軸線方向に)、チャネルを通して配することができる。
【0020】
チャネルは、軸線と実質的に平行に延在してもよい。言い換えれば、チャネルは、軸線と実質的に平行な方向に支持体の一部分を貫いて形成される。したがって、ワイヤは、チャネルに受け取られると、軸線と実質的に平行な方向に延在する。この構造は製造がより容易であり、また、ヒータ部品とコイル/絶縁部材との間の空間内への最短の経路を定めるので、使用されるワイヤの長さを最短にすることができる。他の例では、チャネルは軸線と平行でなくてもよい。
【0021】
チャネルは、その長さに沿って開口していてもよい。言い換えれば、チャネルは、その外周に沿って開口していてもよい。対照的に、その外周に沿って閉じているチャネルは、支持体の一部分を貫いて形成された貫通穴である。その長さに沿って開口しているチャネルは、容易に製造することができ、デバイスの迅速な組立を可能にする。例えば、穴の中にワイヤを通すことを必要とする代わりに、チャネルの溝にワイヤを入れることができる。
【0022】
チャネルは、軸線に垂直な方向で測定される奥行を有することができる。したがって、チャネルは、支持体の一部分に形成された切欠きを画定してもよい。チャネルは、約5mmより浅い、又は約3mmより浅い奥行を有してもよい。チャネルは、約1.7mmなど、約2mmより浅い奥行を有することが好ましい。チャネルが深すぎる場合、ヒータ部品とコイルとの間の空間から熱がより容易に逃げることができる。チャネルが浅すぎる場合、ワイヤは軸線及びヒータ部品に対して角度をつける必要のある場合があり、それはワイヤを曲げる又は折ることがある。上の寸法は、これらの考察間で良好なバランスを与える。
【0023】
チャネルは、軸線及び奥行に垂直な方向で測定される幅を有することができる。チャネルは、約2mmより狭い、又は約1mmより狭い幅を有してもよい。チャネルは約0.9mmの幅を有することが好ましい。チャネルの幅が広すぎる場合、ヒータ部品とコイルとの間の空間から熱がより容易に逃げることができる。
【0024】
支持体は第1の部分を備えてもよく、チャネルは第1の部分を貫いて形成されてもよい。第1の部分は第1の横断面を有してもよく、軸線に略垂直に配置されてもよい。第1の部分は、実質的に円形の横断面であってもよいが、他の横断面形状も可能である。第1の部分は、軸線の周りに延在する外周を有してもよい。第1の部分は、軸線と平行な方向で測定される第1の深さを有してもよい。したがって、チャネルが軸線と平行に形成される場合、チャネルは第1の深さに等しい長さを有し、又は、チャネルが軸線と平行でない場合、第1の深さより長い長さを有する。
【0025】
いくつかの例では、チャネルは、第1の部分の外周における切欠きである。しかしながら、他の例では、貫通穴が第1の部分を貫いて形成されるように、チャネルはその周囲で閉じている。貫通穴の内径は、ワイヤの外径と実質的に同じにすることができ、それにより、ヒータ部品からの熱損失を低減する。
【0026】
絶縁部材は、ヒータ部品を取り囲んで、支持体の第1の部分の少なくとも一部と当接してもよく、その結果、絶縁部材は、ヒータ部品から外側の/離れた所定の径方向距離に配置される。したがって、第1の部分は絶縁部材の内側に配置されてもよい。したがって、第1の部分は、絶縁部材とヒータ部品との間の空間を少なくとも部分的に封止する/閉じるために「栓」として機能することができる。したがって、第1の部分は熱損失を低減することができる。
【0027】
支持体は、軸線と平行な方向に第1の部分から離隔した第2の部分を備えてもよく、第2のチャネルは、ワイヤを受け取るように第2の部分を貫いて形成されてもよい。したがって、第1の部分に形成された「チャネル」は「第1のチャネル」として知られることがある。第2の部分は、第1の部分と実質的に同じ形状及び/又は寸法を有してもよい。したがって、ワイヤは、第1の部分に形成された第1のチャネルを通り抜け、第2の部分に形成された第2のチャネルを通り抜ける。第2の部分は第2の「障壁」を提供して、ヒータ部品と誘導コイル/絶縁部材との間の空間を閉じる/封止する/絶縁する助けになる。
【0028】
いくつかの例では、第2の部分はチャネルを備えなくてもよい。その代わりに、ワイヤが第2の部分の周りに配されてもよい。
【0029】
支持体(又は、エアロゾル供給デバイス)は、第1の部分と第2の部分との間に配置された弾性部材をさらに備えてもよい。したがって、弾性部材は、第1及び第2の部分によって軸線に沿って所定位置に保持することができる。言い換えれば、弾性部材は、軸線に沿って第1及び第2の部分を越えて動くことはできない。弾性部材は、例えば、Oリングであってもよい。したがって、弾性部材は、支持体を取り囲み、ヒータ部品と誘導コイル/絶縁部材との間の空間を閉じる/封止する/絶縁する助けになる。絶縁部材が存在する例では、弾性部材は絶縁部材の内面と当接してもよい。
【0030】
いくつかの例では、弾性部材はワイヤを取り囲む/包囲する。言い換えれば、弾性部材はワイヤの周りに延在する。したがって、弾性部材がOリングである例では、ワイヤは「O」の内側を通る。この構成は、ワイヤが損傷する可能性を下げるように、及び/又は、ワイヤをチャネル内に保持することができるように教示された状態にワイヤを保つ助けになることができる。ワイヤをチャネル内に保持することは、温度センサがヒータ部品の表面から引き離されることを止める助けになることができる。
【0031】
別の例では、ワイヤは弾性部材に形成された開口/穴を通り抜ける。この構成は、(Oリングなどの)弾性部材がシールを生成するためによりよく機能することができることを意味する。例えば、Oリングの内面は、ワイヤがOリングと支持体との間を通らずに支持体によりよく適合することができる。弾性部材はOリングであってもよく、ワイヤは、ワイヤの(全)外周がOリングと当接するように、Oリングに形成された開口を通って延在する。
【0032】
いくつかの例では、第2の部分は省略されてもよい。そのような例では、弾性部材は、チャネルから長手方向に間隔をあけて配置される。言い換えれば、第2の部分は、弾性部材を所定位置に保持するために必ずしも必要とされない。Oリングは、摩擦によって所定位置に保持されてもよく、例えば、Oリングは、支持体を包囲するとき支持体を締めてもよい。
【0033】
支持体は端部を備えてもよく、端部は、ヒータ部品を取り囲む絶縁部材の端部と当接するように構成される。したがって、端部は絶縁部材を所定位置に保持し、ヒータ部品と誘導コイル/絶縁部材との間の空間を閉じる/封止する助けになることができる。
【0034】
支持体は、少なくとも2つのチャネル(それぞれ、第1の部分に形成される)を備えてもよい。各チャネルは単一のワイヤを受け取ってもよい。他の例では、2本以上のワイヤを1つのチャネル又は各チャネルに導入してもよい。特定の例では、4つのチャネルがあり、各チャネルは単一のワイヤを受け取るように構成される。一例では、デバイスは2つの温度センサを備え、各温度センサは2本のワイヤを備え、各ワイヤは別々のチャネルに受け取られる。
【0035】
各ワイヤに対して別々のチャネルを有することは、各ワイヤを隣り合うワイヤから電気的に絶縁する助けになる。各ワイヤに対する別々のチャネルはまた、ヒータ部品からの熱損失を低減することができる。
【0036】
上述のように、本開示の第2の態様は、上記のような支持体を備えるエアロゾル供給デバイスを定める。本デバイスは、一端で支持体と係合されたヒータ部品と、ヒータ部品の周りに延在するコイルであって、ヒータ部品を(例えば、磁場によって)加熱するように構成されたコイルとをさらに備える。本デバイスは、ヒータ部品の温度を検知するための温度センサであって、コイルとヒータ部品との間の空間に配置された温度センサをさらに備える。本デバイスは、支持体のチャネルに配置され、温度センサに接続されたワイヤをさらに備える。
【0037】
本デバイスは、支持体の軸線と実質的に平行な長手方向軸線を定めることができる。本デバイスは近位端部と遠位端部とを定めることができる。使用時、デバイスの近位端部は、遠位端部よりも使用者の口の近くに保持することができる。使用時、デバイスの近位端部の方へエアロゾルを引くことができる。一例では、支持体はヒータ部品の遠位端部と係合する。
【0038】
本デバイスは絶縁部材をさらに備えてもよい。支持体は第1の部分を備えてもよく、チャネルは第1の部分を貫いて形成される。絶縁部材は、ヒータ部品を取り囲み、支持体の第1の部分の少なくとも一部と当接してもよく、それにより、絶縁部材をヒータ部品から外側に所定の径方向距離に配置する。したがって、絶縁部材は支持体の第1の部分を取り囲む。言い換えれば、絶縁部材は、ヒータ部品とコイルとの間に配置され、軸線から第1の距離だけ間隔をあけて配置される。第1の部分の周囲は、軸線から第2の距離だけ間隔をあけて配置される。第1の距離は、第2の距離に実質的に等しくてもよい。したがって、第1の距離は第2の距離よりわずかに大きくてもよく、その結果、第1の部分は中空の絶縁部材の内部に嵌ることができる。第1の部分の周囲は絶縁部材の内面と当接してもよい。弾性部材が存在する例では、弾性部材の外縁は、軸線から第3の距離だけ間隔をあけて配置されてもよく、第3の距離は第1の距離に実質的に等しい。したがって、弾性部材は絶縁部材の内面と当接してもよい。
【0039】
いくつかの例では、本デバイスは、第1のコイル及び第2のコイルを備える。第1のコイルは、ヒータ部品の第1の部分を加熱するために使用することができ、第2のコイルは、ヒータ部品の第2の部分を加熱するために使用することができる。一例では、本デバイスは、ヒータ部品の第1の部分の温度を検知するように配置された第1の温度センサと、ヒータ部品の第2の部分の温度を検知するように配置された第2の温度センサとを備える。各温度センサは2本のワイヤを伴ってもよく、支持体は4つのチャネルを画定してもよく、各チャネルがワイヤを受け取る。
【0040】
したがって、本デバイスは、ヒータ部品の温度を検知するために第2の温度センサを備えてもよく、第2の温度センサは、コイルとヒータ部品との間の空間に配置され、第2のワイヤは第2の温度センサに接続され、支持体は第2のワイヤを受け取るように第2のチャネルを画定する。
【0041】
いくつかの例では、温度センサはヒータ部品と接触している。これによって、ヒータ部品の温度のより正確な表示が可能となる。
【0042】
本開示の第4の態様は、第1及び第2の支持体に対するヒータ部品の配置に関する。第1の支持体と第2の支持体は、ヒータ部品の反対側の端部と係合し、ヒータ部品をエアロゾル供給デバイス内の所定位置に保持する。1つ以上のコイルは、ヒータ部品から所定の距離だけ離して配置される。いくつかの構成では、1つ以上のコイルがヒータ部品の周りに延在する。ヒータ部品は、いくつかの例では、サセプタとして知られることがある。
【0043】
第1及び第2の支持体(ヒータ部品台又はサセプタ台としても知られている)は、ヒータ部品が1つ以上のコイルに対して適切に配置されることを確実にする。ヒータ部品とコイルとの間の距離を常に一定に保つことによって、デバイスを使用するときはいつでも、ヒータ部品を効果的に加熱することができる。さらに、第1及び第2の支持体がヒータ部品と一体化していないため、熱はよりゆっくりと第1及び第2の支持体に伝わる。これは、加熱されたヒータ部品からデバイスの他の構成要素を絶縁する助けになり得る。しかしながら、他の例では、第1及び第2の支持体はヒータ部品と一体化している。例えば、それらは一緒に成形されてもよい。これは、ヒータ部品から伝導する熱の流量を増大することがあるが、ヒータ部品を所定位置により強く保持することができる。
【0044】
第1及び第2の支持体は熱絶縁性であってもよい。上記のように、これは、第1及び第2の支持体を通ってデバイスの他の構成要素へ流れる熱の流量を減らす。1つの特定の例では、第1及び第2の支持体は、約0.5W/mKより小さい熱伝導率を有する。第1及び第2の支持体がこの値より小さな熱伝導率を有するとき、適切な絶縁効果を達成することができることが見出された。第1の支持体と第2の支持体は同じ熱伝導率を有してもよいし、異なる熱伝導率を有してもよい。さらなる例では、第1及び第2の支持体は、約0.32W/mKなど、約0.35W/mKより小さい熱伝導率を有する。
【0045】
第1及び第2の支持体はプラスチック材料を含んでもよい。例えば、これらは、完全に又は部分的に、1つ以上のプラスチック材料から作られてもよい。ヒータ部品と係合する支持体の部分はプラスチック材料を含むことが好ましい。プラスチックは良好な断熱材であり、比較的安価で軽量であり、ヒータ部品と係合するのに必要な形状に容易に成形することができる。一例では、プラスチック材料はポリエーテルエーテルケトン(PEEK:polyether ether ketone)を含む。PEEKは、約0.32W/mKの熱伝導率、約343℃の融点を有し、導電性ではなく、したがって、コイルによって熱を生成しないので、第1及び第2の支持体に特に適した材料である。一例では、PEEKはビクトレックス(Victrex)(登録商標)PEEK 450Gである。
【0046】
いくつかの例では、第1及び第2の支持体は約300℃より高い融点を有する。第1及び第2の支持体は約340℃より高い融点を有することが好ましい。いくつかの例では、使用時、1つ以上のコイルは、ヒータ部品を約240℃~約280℃の温度に加熱するように構成される。したがって、加熱されたヒータ部品の温度よりも高い融点の温度を有する第1及び第2の支持体を有することによって、第1及び第2の支持体は、溶けることによって軟化して構造的完全性を失う可能性がより低くなる。
【0047】
使用時、少なくとも1つのコイルは、ヒータ部品を第1の温度に加熱するように構成されてもよく、第1及び第2の支持体は第2の温度の融点を有し、第2の温度が第1の温度より少なくとも約60℃高い。これは、第1及び第2の支持体が構造的な安定を保ち、ヒータ部品の温度が上昇したときに弱くなり始めることがないことを確実にする。例えば、いくつかの構成では、第1の温度は250℃であり、第2の温度は343℃である。別の例では、第1の温度は280℃であり、第2の温度は343℃である。いくつかのデバイスでは、コイルは2つのモードで動作してもよい。第1のモードでは、ヒータは、第2のモードより低い温度に加熱される。
【0048】
いくつかの例では、エアロゾル供給デバイスは、ヒータ部品の周りに延在する絶縁部材をさらに備え、絶縁部材は、ヒータ部品の周りに空隙を提供するように、ヒータ部品から離して配置される。少なくとも1つのコイルが絶縁部材の周りに延在するように、絶縁部材は少なくとも1つのコイルとヒータ部品との間に配置されてもよい。特定の構成では、コイルは絶縁部材と接触していてもよい。しかしながら、他の例では、絶縁部材とコイルとの間にさらなる空隙が設けられてもよい。このような構成によって、改善された絶縁のデバイスが提供される。空隙と絶縁部材の特定の配列によって、加熱されたヒータ部品からの絶縁が改善される。空隙は、絶縁部材を熱から絶縁する助けになる。加えて、第1及び第2の支持体、空隙、並びに絶縁部材は、デバイスの他の構成要素を熱から絶縁する助けになる。例えば、支持体、空隙、及び絶縁部材は、ヒータ部品によるコイル、電子機器、及び/又はバッテリーのいかなる加熱をも減らす。
【0049】
上記のように、絶縁部材は、空隙を提供するように受入部/ヒータ部品から離して配置される。例えば、絶縁部材の内面は、ヒータ部品の外面から間隔をあけて配置される。これは、空隙がヒータ部品の外面を取り囲み、ヒータ部品がこの領域で絶縁部材と接触していないことを意味する。いかなる接触も、熱が流れることができる熱橋を与え得る。
【0050】
特定の構成では、ヒータ部品は細長く、長手方向軸線などの軸線を定める。絶縁部材は、ヒータ部品及び軸線の周りを方位角方向に延在する。したがって、絶縁部材はヒータ部品から径方向外側に配置され、例えば、絶縁部材はヒータ部品と同軸であってもよい。この径方向は、ヒータ部品の軸線に垂直であるように定められる。同様に、コイルは絶縁部材の周りに延在し、ヒータ部品及び絶縁部材の両方から径方向外側に配置される。コイルは、絶縁部材及びヒータ部品と同軸であってもよい。
【0051】
絶縁部材は熱絶縁性である。例えば、絶縁部材はプラスチック材料を含んでもよく、約0.5W/mKより小さい熱伝導率など、低い熱伝導率を有してもよい。一例では、プラスチック材料はPEEKであり、したがって、第1及び第2の支持体と同じ材料から作られてもよい。
【0052】
絶縁部材は軸線と実質的に平行に保持されるように、絶縁部材は第1の支持体及び第2の支持体のうちの少なくとも1つと当接してもよい。例えば、絶縁部材は、第1の支持体と第2の支持体との間に延在してもよく、その結果、絶縁部材の第1の端部は第1の支持体と当接し、絶縁部材の第2の端部は第2の支持体と当接する。したがって、第1及び第2の支持体はまた、絶縁部材及びヒータ部品を支持し、それによって、デバイスの構成要素の数が減らされる。
【0053】
第1の支持体は第1の弾性部材を備えてもよく、弾性部材は絶縁部材の内面と当接してもよい。したがって、絶縁部材は、第1の弾性部材を備える第1の支持体の一部分の周りに延在してもよい。弾性部材は、例えば、Oリングであってもよい。弾性部材は、第1の支持体の外面の周りに延在してもよい。弾性部材が絶縁部材の内面と当接するとき、弾性部材は、ヒータ部品と絶縁部材との間の空間を封止する助けになって、ヒータ部品をデバイスの他の構成要素からよりよく絶縁することができる。いくつかの例では、弾性部材は絶縁部材の内面と当接しなくてもよいが、それにもかかわらず、弾性部材のない構成と比べて絶縁が改善されることがある。
【0054】
第1の支持体は、第1の部分と、軸線と平行な方向に第1の部分から離隔した第2の部分とを備えてもよく、弾性部材は、第1の部分と第2の部分との間に配置される。したがって、弾性部材は、第1及び第2の部分によって軸線に沿って所定位置に保持することができる。言い換えれば、弾性部材は、軸線に沿って第1及び第2の部分を越えて動くことはできない。
【0055】
第2の支持体は第2の弾性部材を備えてもよく、第2の弾性部材は絶縁部材の内面と当接してもよく、その結果、第1及び第2の弾性部材は空隙を封止する。したがって、絶縁部材は、第2の弾性部材を備える第2の支持体の一部分の周りに延在してもよい。第2の弾性部材は、例えば、Oリングであってもよい。第2の弾性部材は、第2の支持体の外面の周りに延在してもよい。第2の弾性部材が絶縁部材の内面と当接するとき、第2の弾性部材は、ヒータ部品と絶縁部材との間の空間を封止する助けになって、ヒータ部品をデバイスの他の構成要素からよりよく絶縁することができる。いくつかの例では、第2の弾性部材は絶縁部材の内面と当接しなくてもよいが、それにもかかわらず、第2の弾性部材のない構成と比べて絶縁が改善されることがある。
【0056】
いくつかの例では、第2の支持体は、第2の弾性部材が受け取られる/配置される凹所を備える。第1の支持体のような第1及び第2の部分ではなく、凹所を有することによって、第2の支持体の本体は、より幅を広く作ることができ、それにより、第2の支持体が膨張チャンバとして機能することができる。膨張チャンバの幅がより広いことによって、高温のエアロゾルは体積を膨張し、それにより、より快適な温度に冷却することができる。いくつかの例では、少なくとも同じ目的で、第2の弾性部材は、第1の弾性部材の幅よりも狭い幅を有してもよい。
【0057】
これに代えて、第2の支持体は、第3の部分と、軸線と平行な方向に第3の部分から離隔した第4の部分とを備えてもよく、第2の弾性部材は、第3の部分と第4の部分との間に配置される。
【0058】
弾性部材は、シリコーンゴムなどのシリコーンを含んでもよい。シリコーンゴムは耐熱性があり、広い温度範囲で変化しないという良好な機械的特性を有する。シリコーンゴムはまた、エアロゾル供給デバイスでの使用に対して安全である。一例では、シリコーンゴムは、Wacker Chemie AGのElastosil(商標)である。
【0059】
弾性部材は熱絶縁性であってもよい。例えば、弾性部材は約0.5W/mKより小さい熱伝導率を有してもよい。これは、支持体とデバイスの他の構成要素との間の熱伝達を遅くする。
【0060】
第1及び第2の弾性部材は第1の熱伝導率を有してもよく、第1及び第2の支持体は第2の熱伝導率を有してもよく、第1の熱伝導率は第2の熱伝導率よりも小さい。したがって、第1及び第2の弾性部材のそれぞれは、第1及び第2の支持体の熱伝導率より小さい熱伝導率を有してもよい。この特定の構成はヒータ部品から第1及び第2の支持体を通り、第1及び第2の弾性部材を通って絶縁部材へ流れる熱の速度を下げる。これは、絶縁部材を絶縁する助けになる。特定の例では、第1の熱伝導率は約0.3W/mKより小さく、第2の熱伝導率は約0.5W/mKより小さい。例えば、シリコーンゴムは約0.2W/mK~約0.25W/mKの熱伝導率を有することができ、PEEKは約0.32W/mKの熱伝導率を有することができる。第1及び第2の弾性部材は、第1及び第2の支持体の熱伝導率より小さい熱伝導率を有してもよいが、それらはそれぞれ、異なる熱伝導率を有してもよい。同様に、第1及び第2の支持体はそれぞれ、異なる熱伝導率を有してもよい。
【0061】
熱の流れを少なくする/遅くするために、第1及び第2の弾性部材と接触している絶縁部材の表面積を小さくすることは望ましい。同様に、熱の流れを少なくする/遅くするために、第1及び第2の支持体と接触しているヒータ部品の表面積を小さくすることは望ましい。一例では、ヒータ部品の表面積の5%より小さい表面積が各支持体と接触している。ヒータ部品の表面積の3%より小さい表面積が各支持体と接触していることが好ましい。ヒータ部品の表面積の2%より小さい表面積が各支持体と接触していることがより好ましい。いくつかの例では、ヒータ部品の表面積の1%より大きい表面積が各支持体と接触している。これは、ヒータ部品を所定位置に保持するための十分な係合を与えることができる。
【0062】
いくつかの例では、ヒータ部品と絶縁部材との間の空間を封止する助けにするために、弾性部材のどちらか又は両方を有する代わりに、第1及び/又は第2の支持体に絶縁部材を成形することができる。これは熱の流れを増大させ得るが、よりよいシールを提供することができる。
【0063】
第1の支持体は、ヒータ部品に沿って軸線と平行な方向に延在する2つ以上の突出部を備える係合領域を備えてもよい。突出部のそれぞれは、ヒータ部品の外面の周りに間隔をあけて配置され、隙間によって隔てられてもよい。ヒータ部品が係合領域に挿入され、係合領域と係合すると、突出部は、第1の支持体が外向きに曲がることを可能にする。これは、デバイスの組立をより容易にし、ヒータ部品を損傷する可能性を低くする。
【0064】
第2の支持体もまた、ヒータ部品に沿って軸線と平行な方向に延在する2つ以上の突出部を備える第2の係合領域を備えてもよい。
【0065】
よりしっかりと支持するために、係合領域(複数可)は3つ又は4つの突出部を備えることが好ましい。
【0066】
いくつかの例では、ヒータ部品は、誘導加熱可能な部分と誘導加熱されない部分とを備える。誘導加熱可能な部分は物品を加熱する。誘導加熱されない1つ以上の部分はヒータ部品をデバイスに接続することができ、したがって、良好な断熱材であることが好ましい。誘導加熱されない部分はまた、物品を受け取るための剛性を与えることができる。誘導加熱されない1つ以上の部分はヒータ部品の端部に配置されてもよい。
【0067】
特定の例では、ヒータ部品は、誘導加熱可能な部分と、ヒータ部品の第1の端部に配置された第1の誘導加熱されない部分と、ヒータ部品の第2の端部に配置された第2の誘導加熱されない部分とを備える。第1の支持体は第1の誘導加熱されない部分と係合することができ、第2の支持体は第2の誘導加熱されない部分と係合することができる。誘導加熱されない部分と係合することによって、ヒータ部品をよりよく支持することができ、第1及び第2の支持体を誘導加熱可能な部分からよりよく絶縁することができる。
【0068】
別の態様では、エアロゾル供給デバイスのヒータ部品を支持するための第1の支持体が提供され、第1の支持体は、軸線を定め、また、ヒータ部品の第1の端部と係合して、ヒータ部品を少なくとも1つのコイルから所定の距離において軸線と実質的に平行に保持するように構成される。第1の支持体は、エアロゾル供給デバイスに関連して上で説明した特徴のいずれか又はすべてを有してもよい。
【0069】
別の態様では、エアロゾル供給デバイスのヒータ部品を支持するための第2の支持体が提供され、第2の支持体は、ヒータ部品の第2の端部と係合して、ヒータ部品を少なくとも1つのコイルから所定の距離において軸線と実質的に平行に保持するように構成される。第2の支持体は、エアロゾル供給デバイスに関連して上で説明した特徴のいずれか又はすべてを有してもよい。
【0070】
いくつかの例では、本デバイスは、第1及び第2の支持体のうちの1つだけを備えてもよい。例えば、1つの態様では、エアロゾル生成材料を加熱するように構成されたヒータ部品と、軸線を定め、ヒータ部品の第1の端部と係合するように構成された支持体と、ヒータ部品を加熱するように構成された少なくとも1つのコイルとを備えたエアロゾル供給デバイスが提供される。支持体は、ヒータ部品を少なくとも1つのコイルから所定の距離において軸線と実質的に平行に保持する。このような例では、ヒータ部品の表面積の5%より小さい表面積が支持体と接触していてもよい。ヒータ部品の表面積の3%より小さい表面積が支持体と接触していることが好ましい。ヒータ部品の表面積の2%より小さい表面積が支持体と接触していることがより好ましい。いくつかの例では、ヒータ部品の表面積の1%より大きい表面積が支持体と接触している。これは、ヒータ部品を所定位置に保持するための十分な係合を与えることができる。
【0071】
ヒータ部品は中空及び/又は実質的に管状であってもよく、ヒータ部品がエアロゾル生成材料を取り囲むようにヒータ部品内にエアロゾル生成材料を受け取ることができる。絶縁部材は、ヒータ部品を絶縁部材内に配置することができるように中空及び/又は実質的に管状であってもよい。
【0072】
コイルは実質的に螺旋状であってもよい。例えば、コイルは、リッツ線などのワイヤから形成されてもよく、絶縁部材の周りに螺旋状に巻かれる。別の例では、コイルはヒータ部品の周りに延在しなくてもよいが、その代わりに、ヒータ部品を加熱する異なる配置であってもよい。
【0073】
コイルは、ヒータ部品の外面から約3mm~約4mmの距離だけ離して配置されてもよい。したがって、コイルの内面とヒータ部品の外面は、この距離だけ間隔をあけて配置されてもよい。この距離は径方向距離であってもよい。この範囲内の距離は、ヒータ部品を効率的に加熱することができるようにヒータ部品をコイルに径方向に接近させることと、コイル(及び絶縁部材(あれば))の絶縁を改善するために径方向に離すこととの間で良いバランスを示すことが見出された。
【0074】
別の例では、コイルは、ヒータ部品の外面から約2.5mmより長い距離だけ離して配置されてもよい。
【0075】
別の例では、コイルは、ヒータ部品の外面から約3mm~約3.5mmの距離だけ離して配置されてもよい。さらなる例では、コイルは、ヒータ部品の外面から約3mm~約3.25mmの距離、好ましくは、例えば、約3.25mm離して配置されてもよい。別の例では、コイルは、ヒータ部品の外面から約3.2mmより長い距離だけ離して配置されてもよい。さらなる例では、コイルは、ヒータ部品の外面から約3.5mmより短い、又は約3.3mmより短い距離だけ離して配置されてもよい。この範囲内の距離は、ヒータ部品を効率的に加熱することができるようにヒータ部品をコイルに径方向に接近させることと、コイル及び絶縁部材の絶縁を改善するために径方向に離すこととの間でバランスを提供することが見出された。
【0076】
実在物の「外面」への言及は、軸線に垂直な方向にヒータ部品の軸線から最も遠くに配置された表面を意味する。実在物の「内面」への言及は、軸線に垂直な方向にヒータ部品の軸線に最も近くに配置された表面を意味する。
【0077】
絶縁部材は、約0.25mm~約1mmの厚さを有してもよい。例えば、絶縁部材は、約0.7mmより薄い、又は約0.6mmより薄い厚さを有してもよく、又は約0.25mm~約0.75mmの厚さを有してもよく、又は約0.5mmなど、約0.4mm~約0.6mmの厚さを有することが好ましい。これらの厚さは、(絶縁部材をより薄くして空隙の大きさを増大させることによって)絶縁部材及びコイルの加熱を低減することと、(絶縁部材をより厚くすることによる)絶縁部材の頑強さを高めることとの間で良いバランスを示すことが見出された。
【0078】
ヒータ部品は、約0.025mm~約0.5mm、又は約0.025mm~約0.25mm、又は約0.03mm~約0.1mm、又は約0.04mm~約0.06mmの厚さを有してもよい。例えば、ヒータ部品は、約0.025mmより厚い、又は約0.03mmより厚い、又は約0.04mmより厚い、又は約0.5mmより薄い、又は約0.25mmより薄い、又は約0.1mmより薄い、又は約0.06mmより薄い厚さを有してもよい。これらの厚さは、(薄く作られると)ヒータ部品を急速に加熱することと、(厚く作られると)ヒータ部品が確実に頑強になることとの間で良いバランスを提供することが見出された。
【0079】
一例では、ヒータ部品は約0.05mmの厚さを有する。これによって、急速で効果的な加熱と頑強さとの間のバランスがとれる。このようなヒータ部品は、より薄い寸法の他のヒータ部品よりも、エアロゾル供給デバイスの一部として製造し組み立てるのに容易な場合がある。
【0080】
実在物の「厚さ」への言及は、実在物の内面と実在物の外面との間の平均距離を意味する。厚さは、ヒータ部品の軸線に垂直な方向で測定されてもよい。
【0081】
エアロゾル供給デバイスの特定の構成では、コイルは、ヒータ部品の外面から約3mm~約4mmの距離だけ離して配置され、絶縁部材は、約0.25mm~約1mmの厚さを有し、ヒータ部品は、約0.025mm~約0.5mmの厚さを有する。このようなエアロゾル供給デバイスは、ヒータ部品の素早い加熱及び効果的な絶縁特性を可能にする。
【0082】
別の特定の構成では、コイルは、ヒータ部品の外面から約3mm~約3.5mmの距離だけ離して配置されてもよく、絶縁部材は、約0.25mm~約0.75mmの厚さを有し、ヒータ部品は、約0.04mm~約0.06mmの厚さを有する。このようなエアロゾル供給デバイスは、ヒータ部品の改善された加熱及び改善された絶縁特性を可能にする。
【0083】
さらなる特定の構成では、コイルは、ヒータ部品の外面から約3.25mmの距離だけ離して配置され、絶縁部材は、約0.5mmの厚さを有し、ヒータ部品は、約0.05mmの厚さを有する。このようなエアロゾル供給デバイスは、ヒータ部品の効率的な加熱及び良好な絶縁特性を可能にする。
【0084】
コイル、ヒータ部品、及び絶縁部材は同軸であってもよい。この構成は、ヒータ部品が効果的に加熱されることを確実にし、空隙及び絶縁部材が効果的な絶縁を提供することを確実にする。
【0085】
コイルの内面は、絶縁部材の外面と接触していてもよい。したがって、絶縁部材は、他の構成要素の必要なく、コイルを支持することができる。しかしながら、他の例では、コイルの内面と絶縁部材の外面との間にさらなる空隙が存在してもよい。コイルの内面と絶縁部材の外面との間の距離は約0.1mmより短くてもよく、例えば、約0.05mmであってもよい。
【0086】
絶縁部材は、約300℃より高い、又は約340℃より高いなど、約280℃より高い融点を有してもよい。PEEKは343℃の融点を有する。このような融点を有する絶縁部材は、ヒータ部品が加熱されたときに絶縁部材が剛性/堅さを保つことを確実にする。
【0087】
デバイスは、非燃焼加熱式デバイスとしても知られているタバコ加熱デバイスであることが好ましい。
【0088】
上で簡単に述べたように、いくつかの例では、コイル(複数可)は、使用時に、少なくとも1つの導電性加熱部品/要素(ヒータ部品/要素とも呼ばれる)の加熱を生じるように構成されており、熱エネルギーが少なくとも1つの導電性加熱部品からエアロゾル生成材料へ伝導可能であって、それによりエアロゾル生成材料の加熱を生じるようになっている。
【0089】
いくつかの例では、コイル(複数可)は、使用時に、少なくとも1つの加熱部品/要素に侵入するための変動磁場を生成し、それにより、少なくとも1つの加熱部品が誘導加熱及び/又は磁気ヒステリシス加熱されるように構成される。このような構成では、各加熱部品が「サセプタ」と呼ばれることがある。使用時に、少なくとも1つの導電性加熱部品に侵入するための変動磁場を生成し、それにより、少なくとも1つの導電性加熱部品が誘導加熱されるように構成されているコイルは、「誘導コイル」又は「インダクタコイル」と呼ばれることがある。
【0090】
デバイスは、加熱部品(複数可)、例えば導電性加熱部品(複数可)を含んでもよく、この加熱部品(複数可)は、加熱部品(複数可)のそのような加熱を可能にするためにコイル(複数可)に対して適切に配置されるか、又は配置可能であってもよい。この加熱部品(複数可)は、コイル(複数可)に対して固定位置にあってもよい。或いは、デバイスと物品/消耗品の両方が、少なくとも1つのそれぞれの加熱部品、例えば少なくとも1つの導電性加熱部品を備え、コイル(複数可)は、物品が加熱ゾーンにあるときに、デバイス及び物品のそれぞれの加熱部品(複数可)が加熱されるようにしてもよい。
【0091】
いくつかの例では、コイル(複数可)は螺旋状である。いくつかの例では、コイル(複数可)は、エアロゾル生成材料を受け取るように構成されたデバイスの加熱ゾーンの少なくとも一部を取り巻く。いくつかの例では、コイル(複数可)は、加熱ゾーンの少なくとも一部を取り巻く螺旋コイル(複数可)である。加熱ゾーンは、エアロゾル生成材料を受け取るように形成されたレセプタクルとすることができる。
【0092】
いくつかの例では、デバイスは、加熱ゾーンを少なくとも部分的に取り囲む導電性加熱部品を備え、コイル(複数可)は、導電性加熱部品の少なくとも一部を取り巻く螺旋コイル(複数可)である。いくつかの例では、導電性加熱部品は管状である。いくつかの例では、コイルはインダクタコイルである。
【0093】
図1は、エアロゾル生成媒体/材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給デバイス100の一例を示す。大まかには、デバイス100は、エアロゾル生成媒体を含む交換可能物品110を加熱して、デバイス100の使用者が吸入するエアロゾル又は他の吸入可能な媒体を生成するために使用することができる。
【0094】
デバイス100は、デバイス100の様々な構成要素を取り囲み収容するハウジング102(外側カバーの形態のもの)を備える。デバイス100は、一端部に開口104を有しており、加熱アセンブリによる加熱のために、この開口104を通して物品110を挿入してもよい。使用時は、物品110を加熱アセンブリに完全に又は部分的に挿入して、加熱アセンブリ内でヒータアセンブリの1つ以上の構成要素によって物品110を加熱してもよい。
【0095】
本例のデバイス100は、第1の端部部材106を備え、この端部部材は、物品110が所定の場所にないときに開口104を閉じるために、第1の端部部材106に対して移動可能な蓋108を備える。
図1では、蓋108は、開いた配置で示されているが、キャップ108は、閉じた配置になるように動いてもよい。例えば、ユーザは、蓋108を矢印「A」の方向に摺動させてもよい。
【0096】
デバイス100は、ボタンやスイッチなど、押されたときにデバイス100を作動させる、ユーザ操作可能な制御要素112を含んでもよい。例えば、ユーザは、スイッチ112を操作することによってデバイス100をオンにしてもよい。
【0097】
デバイス100は、ソケット/ポート114などの電気部品を備えてもよく、この部品は、デバイス100のバッテリーを充電するためのケーブルを受け取ることができる。例えば、ソケット114は、USB充電ポートなどの充電ポートであってもよい。
【0098】
図2は、外側カバー102が取り外され物品110が存在していない
図1のデバイス100を描いている。デバイス100は、長手方向軸線134を画定している。
【0099】
図2に示すように、第1の端部部材106は、デバイス100の一端部に配置され、第2の端部部材116は、デバイス100の反対側の端部に配置されている。第1の端部部材106及び第2の端部部材116は共に、デバイス100の端面を少なくとも部分的に画定する。例えば、第2の端部部材116の底面は、デバイス100の底面を少なくとも部分的に画定する。外側カバー102の縁部も、端面の一部を画定してもよい。この例では、蓋108もデバイス100の上面の一部を画定する。
【0100】
開口104に最も近いデバイスの端部は、使用時にユーザの口に最も近いので、デバイス100の近位端部(又は口端部)と呼ばれることもある。使用時、ユーザは、物品110を開口104に挿入し、ユーザ制御部112を操作してエアロゾル生成材料の加熱を開始し、デバイスで生成されたエアロゾルを吸い込む。これによりエアロゾルは、デバイス100の中を流路に沿ってデバイス100の近位端部に向かって流れる。
【0101】
開口104から最も遠いデバイスの他方の端部は、使用時にユーザの口から最も遠い端部であるので、デバイス100の遠位端部と呼ばれることもある。デバイスで生成されたエアロゾルをユーザが吸い込むにつれて、エアロゾルはデバイス100の遠位端部から流れ出る。
【0102】
デバイス100は、電源118をさらに備える。電源118は、例えば、再充電可能バッテリー又は非再充電可能バッテリーなどのバッテリーであってもよい。適切なバッテリーの例としては、例えば、リチウムバッテリー、(リチウムイオンバッテリーなど)、ニッケルバッテリー(ニッケルカドミウムバッテリーなど)、及びアルカリバッテリーが挙げられる。バッテリーは、必要なときにコントローラ(図示せず)の制御の下で電力を供給してエアロゾル生成材料を加熱するために、加熱アセンブリに電気的に連結されている。この例では、バッテリーは、バッテリー118を所定の場所に保持する中央支持体120に接続されている。
【0103】
デバイスは、少なくとも1つの電子モジュール122をさらに備える。電子モジュール122は、例えば、プリント回路基板(PCB)を備えてもよい。PCB122は、プロセッサなどの少なくとも1つのコントローラ、及びメモリを支持してもよい。PCB122は、デバイス100の様々な電子部品を電気的に接続するための1つ以上の電気線路を備えてもよい。例えば、バッテリー端子は、電力をデバイス100全体に分配できるようにPCB122に電気的に接続されてもよい。ソケット114も、電気線路を介してバッテリーに電気的に結合されてもよい。
【0104】
例示的なデバイス100では、加熱アセンブリは誘導加熱アセンブリであり、誘導加熱プロセスよって物品110のエアロゾル生成材料を加熱するための様々な構成要素を備える。誘導加熱とは、電磁誘導によって導電性物体(サセプタなど)を加熱するプロセスのことである。誘導加熱アセンブリは、誘導要素、例えば1つ以上の誘導コイルと、交流電流などの変動電流を誘導要素に流すためのデバイスとを含んでもよい。誘導要素の変動電流は、変動磁場を発生させる。この変動磁場は、誘導要素に対して適切に配置されたサセプタに侵入し、サセプタ内部に渦電流を発生させる。サセプタには渦電流に対する電気抵抗があり、それゆえに、この抵抗に抗して渦電流が流れることにより、サセプタがジュール加熱によって加熱される。サセプタが鉄、ニッケル、又はコバルトなどの強磁性材料を含む場合には、サセプタの磁気ヒステリシス損失によって、すなわち、磁性材料の磁気双極子の向きが、変動する磁場と揃う結果として変動することによっても熱が発生しうる。例えば熱伝導による加熱と比較すると、誘導加熱では、熱がサセプタの内部で発生するので、急速な加熱が可能になる。さらに、誘導ヒータとサセプタとの間には何ら物理的接触の必要がないので、製造及び応用の自由度を高めることができる。
【0105】
例示的なデバイス100の誘導加熱アセンブリは、サセプタ装置132(本明細書では「サセプタ」と呼ばれる)、第1のインダクタコイル124、及び第2のインダクタコイル126を備える。第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、導電性材料から作られる。この例では、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、螺旋状に巻かれて螺旋インダクタコイル124、126を形成するリッツ線/ケーブルから作られる。リッツ線は、複数の個別の線から構成され、これらの線は個別に絶縁されており、撚り合わされて単一のワイヤを形成している。リッツ線は、導体の表皮効果損失を低減するように設計されている。例示的なデバイス100では、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、方形の横断面を持つ銅リッツ線で作られる。他の例では、リッツ線は、円形などの他の形状の横断面を有してもよい。
【0106】
第1のインダクタコイル124は、サセプタ132の第1の部位を加熱するための第1の変動磁場を生成するように構成され、第2のインダクタコイル126は、サセプタ132の第2の部位を加熱するための第2の変動磁場を生成するように構成される。この例では、第1のインダクタコイル124は、デバイス100の長手方向軸線134に沿った方向に第2のインダクタコイル126と隣り合っている(すなわち、第1のインダクタコイル124と第2のインダクタコイル126は重なり合わない)。サセプタ装置132は、単一のサセプタを備えてもよいし、2つ以上の別個のサセプタを備えてもよい。第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の各端部130は、PCB122に接続することができる。
【0107】
第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、いくつかの例では、少なくとも1つの互いに異なる特性を有してもよいことを理解されたい。例えば、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なる少なくとも1つの特性を有してもよい。より具体的には、一例において、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なる値のインダクタンスを有してもよい。
図2では、第1のインダクタコイル124と第2のインダクタコイル126は長さが異なっており、第1のインダクタコイル124が、第2のインダクタコイル126と比べて、サセプタ132のより小さい部位の上に巻かれるようになっている。したがって、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なる巻数を有していてもよい(個々の巻線の間隔が実質的に同じであることを想定)。さらに別の例では、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なる材料から作られていてもよい。いくつかの例では、第1及び第2のインダクタコイル124、126が実質的に同一であってもよい。
【0108】
この例では、第1のインダクタコイル124と第2のインダクタコイル126は、反対の方向に巻かれている。こうすることは、各インダクタコイルが別々の時間に通電される場合に有用となりうる。例えば、最初に、第1のインダクタコイル124が、物品110の第1の部位を加熱するために動作し、後の時点に、第2のインダクタコイル126が、物品110の第2の部位を加熱するために動作してもよい。各コイルを反対方向に巻くことが、特定の種類の制御回路と組み合わせて使用されたときに、非通電コイルに誘導される電流を低減する助けになる。
図2で、第1のインダクタコイル124は右巻きの螺旋であり、第2のインダクタコイル126は左巻きの螺旋である。しかし、別の実施形態では、インダクタコイル124、126が同じ方向に巻かれていてもよいし、或いは、第1のインダクタコイル124が左巻きの螺旋であり、第2のインダクタコイル126が右巻きの螺旋であってもよい。
【0109】
この例のサセプタ132は中空であり、したがって、エアロゾル生成材料が受け取られるレセプタクルを画定する。例えば、物品110は、サセプタ132に挿入することができる。この例では、サセプタ132は、円形の横断面を有する管状である。
【0110】
図2のデバイス100は、絶縁部材128をさらに備え、この絶縁部材は、略管状であってもよく、また、サセプタ132を少なくとも部分的に取り囲んでもよい。絶縁部材128は、例えば、プラスチックなどの任意の絶縁材料から作られてもよい。この特定の例では、絶縁部材は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から作られている。絶縁部材128は、サセプタ132で発生した熱からデバイス100の様々な構成要素を絶縁する助けとなりうる。
【0111】
絶縁部材128は、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126を完全に、又は部分的に支持することもできる。例えば、
図2に示されるように、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、絶縁部材128の周囲に配置され、絶縁部材128の径方向外向きの面に接触している。いくつかの例では、絶縁部材128は、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126に当接しない。例えば、絶縁部材128の外面と、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の内面との間に、小さな隙間が存在してもよい。
【0112】
特定の例では、サセプタ132と、絶縁部材128と、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126とは、サセプタ132の中心長手方向軸線の周りに同軸である。
【0113】
図3は、デバイス100の側面を示す部分断面図である。この例では、外側カバー102が存在する。第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の方形の横断面形状がより明確に見える。
【0114】
デバイス100は、サセプタ132の一端部と係合してサセプタ132を所定の場所に保持する支持体136をさらに備える。支持体136は、第2の端部部材116に接続されている。
【0115】
デバイスは、制御要素112の中に付随する第2のプリント回路基板138も備えてよい。
【0116】
デバイス100は、デバイス100の遠位端部の方に配置された第2の蓋/キャップ140及びばね142をさらに備える。ばね142は、サセプタ132にアクセスするために第2の蓋140を開けられるようにする。ユーザは、第2の蓋140を開けて、サセプタ132及び/又は支持体136を清掃してもよい。
【0117】
デバイス100は、サセプタ132の近位端部から離れて、デバイスの開口104に向かって延びる拡張チャンバ144をさらに備える。拡張チャンバ144の中に少なくとも部分的に保持クリップ146が、物品110がデバイス100内に受け取られたときに物品110に当接し、これを保持するように配置されている。拡張チャンバ144は、端部部材106に接続されている。
【0118】
図4は、
図1のデバイス100の、外側カバー102を省略した分解図である。
【0119】
図5Aは、
図1のデバイス100の一部分の横断面を描いている。
図5Bは、
図5Aの一領域のクローズアップを描いている。
図5A及び
図5Bは、サセプタ132の中に受け取られた物品110を示しており、物品110は、物品110の外面がサセプタ132の内面に当接するように寸法設定されている。これにより、加熱が最も効率的になることが保証される。この例の物品110は、エアロゾル生成材料110aを含む。エアロゾル生成材料110aは、サセプタ132の中に配置される。物品110は、フィルター、包装材料及び/又は冷却構造などの他の構成要素も含んでよい。
【0120】
図5Bは、中空で管状のサセプタ132の長手方向軸線158を示す。サセプタ132の内面及び外面は、軸線158の周りに方位角方向に延在する。サセプタ132を取り囲んでいるのは、中空で管状の絶縁部材128であってもよい。絶縁部材128の内面は、絶縁部材128とサセプタ132との間に空隙を設けるためにサセプタ132の外面から離して配置される。この空隙によって、サセプタ132に生成される熱から絶縁することができる。絶縁部材128を取り囲んでいるのはインダクタコイル124、126である。いくつかの例では、1つのインダクタコイルだけが絶縁部材128を取り囲んでもよいことが理解されるであろう。インダクタコイル124、126は、絶縁部材の周りに螺旋状に巻かれ、軸線158に沿って延在する。
【0121】
図5Bは、サセプタ132の外面が、サセプタ132の長手方向軸線158に垂直な方向で測定される距離150だけ、インダクタコイル124、126の内面から離れていることを示す。特定の例では、距離150は、約3mm~4mm、約3~3.5mm、又は約3.25mmである。サセプタ132の外面は、軸線158から最も遠くに離れた表面である。サセプタ132の内面は、軸線158に最も近い表面である。インダクタコイル124、126の内面は、軸線158に最も近い表面である。絶縁部材128の外面は、軸線158から最も遠くに離れた表面である。
【0122】
サセプタ132とインダクタコイル124、126との間に相対間隔150を空けるために、サセプタ132をデバイス100の1つ以上の構成要素によって所定位置に保持することができる。
図5Aの例では、サセプタ132は、一端で第1の支持体136によって、他端で第2の支持体144(これはまた、拡張チャンバとして機能することができる)によって所定位置に保持される。絶縁部材128もまた、第1及び第2の支持体136、144によって所定位置に保持されてもよい。
【0123】
図5Bは、絶縁部材128の外面が、サセプタ132の長手方向軸線158に垂直な方向で測定される距離152だけ、インダクタコイル124、126の内面から離れていることをさらに示している。1つの特定の例では、距離152は約0.05mmである。別の例では、距離152は、インダクタコイル124、126が絶縁部材128に当たって接触するように実質的に0mmになっている。
【0124】
一例では、サセプタ132は約0.025mm~1mmの壁厚154を有する。この例では、サセプタ132は約0.05mmの厚さ154を有する。サセプタ132の厚さは、軸線158に垂直な方向で測定される、サセプタ132の内面とサセプタ132の外面との間の平均距離である。
【0125】
一例では、サセプタ132は、約40mm~60mm、約40mm~50mm、約40mm~45mm、又は約44.5mmの長さを有する。この特定の例では、サセプタ132は約44.5mmの長さを有し、約42mmの長さを有するエアロゾル生成材料110aを備える物品110を受け取ることができる。エアロゾル生成材料及びサセプタ132の長さは軸線158と平行な方向で測定される。
【0126】
一例では、絶縁部材128は、約0.25mm~約2mm、又は約0.25mm~約1mmの厚さ156を有する。この特定の例では、絶縁部材は約0.5mmの厚さ156を有する。絶縁部材128の厚さ156は、軸線158に垂直な方向で測定される、絶縁部材128の内面と絶縁部材128の外面との間の平均距離である。
【0127】
図6は、
図3に関連して簡単に上述した支持体136の拡大図である。支持体136は、デバイス100の長手方向軸線134と平行に配置された軸線204を定める。軸線204は、例えば、支持体136の長手方向軸線であってもよい。
【0128】
支持体136は、一端に、サセプタ132の遠位端部を受け取ってそれと係合する係合領域202を備える。サセプタ132の遠位端部は、デバイス100の使用時に使用者の口から最も遠くに配置されるサセプタ132の端部である。他の例では、支持体136は、サセプタ132の他端と係合するように配置されてもよい。この例では、サセプタ132と係合領域202とは締りばめを形成するが、他の取付手段が使用されてもよい。支持体136は、サセプタを取り囲む1つ以上のインダクタコイル124、126から所定の距離においてサセプタを軸線204と平行に保持する(
図2で最も明瞭にわかる)。
【0129】
上記のように、デバイス100は、サセプタ132と支持体136の少なくとも一部分とを取り囲む中空の絶縁部材128を備える。絶縁部材128の内面は、軸線204から所定の距離に配置される。サセプタ132の外面と絶縁部材128の内面との間に空間206(空隙など)が設けられる。空隙206及び絶縁部材128は、サセプタ132に生成される熱からデバイス100の構成要素を絶縁するように働く。
【0130】
デバイス100は、サセプタ132の温度を測定するために使用することができる1つ以上の温度センサを備えてもよい。温度センサはサセプタ132の外面に取り付けられてもよいし、サセプタ132に近接して配置されてもよい。各センサは、温度センサに接続された1本又は複数本のワイヤを備えてもよい。
図6は、第1の温度センサ(
図6では見えていない)に接続された第1のワイヤ208を示す。ワイヤ208は、温度センサをPCB122などのデバイス内の他の構成要素に接続する。例えば、PCB122に配置されたコントローラは、温度センサ(複数可)から受け取った信号に基づいてサセプタ132の温度を決定することができる。デバイス100は、検出された温度に基づいて1つ以上の誘導コイル124、126を制御するように構成することができる。例えば、インダクタコイルは、サセプタ132の温度が所定の閾値に達するとスイッチを切られてもよい。
【0131】
図6に示すように、ワイヤ208は軸線204と平行に配置される。しかしながら、いくつかの例では、ワイヤ208は軸線204と平行でなくてもよい。例えば、ワイヤは、空間206を通過するとき、うねってもよいし曲がってもよい。
【0132】
温度センサをデバイス100内の他の構成要素に接続するために、支持体136はチャネル210を画定し、このチャネル210を通してワイヤ208が配される。チャネル210が存在することは、ワイヤ208が絶縁部材128の表面を貫通する必要がないことを意味する。
【0133】
この例では、チャネル210は支持体136の第1の部分212に形成される。したがって、チャネル210は第1の部分212を貫通して延在する。この例では、第1の部分は略円盤状であり、したがって、略円形の横断面形状を有する(
図8で最も明瞭にわかる)。第1の部分212は軸線204に実質的に垂直に配置される。第1の部分212は、軸線204と平行な方向で測定される厚さ/深さ221を有する。チャネル210は、軸線204と実質的に平行な方向に第1の部分212を貫通して延在し、したがって、チャネル210は第1の部分212の深さ221に等しい長さを有する。
【0134】
第1の部分212は外周を有し、この外周は、絶縁部材128の内面と当接して、サセプタ132と絶縁部材128との間の空間206を封止することを補助してもよい。いくつかの例では、第1の部分212の外周と絶縁部材128の内面との間には隙間が存在してもよい。絶縁部材128は第1の部分212を取り囲み、絶縁部材128の内面はサセプタ132の外面から所定の径方向距離222だけ離して配置される。
【0135】
この例では、支持体136は第2の部分216をさらに備え、第2の部分216は軸線204に沿って第1の部分212から間隔をあけて配置される。他の例では、第2の部分は省略されてもよい。第2の部分216は第1の部分212と相似していてもよい。例えば、第1の部分212と第2の部分216は、同様の横断面形状及び/又は大きさ、並びに/或いは同様の深さを有してもよい。この例では、第2の部分216が第2のチャネル218を備えており、この第2のチャネル218を通してワイヤ208が配される。
【0136】
支持体136は、軸線204に沿ってチャネル210から離隔したOリングなどの弾性部材214をさらに備える。この例では、支持体136は第2の部分216を備え、弾性部材214は、第1の部分212と第2の部分216との間に配置される。したがって、弾性部材214は、第1及び第2の部分212、216によって所定位置に保持される。ワイヤ208は弾性部材214の裏側を通り、支持体136の表面に接触して保持される。したがって、弾性部材214はワイヤ208をチャネル210、218内に保持し、ワイヤ208を教示された状態に保つ助けになる。弾性部材214は絶縁部材128の内面に当接して、サセプタ132と絶縁部材128との間の空間206を封止する助けとなってもよい。
【0137】
いくつかの例では、第2の部分はチャネルを備えなくてもよく、第1の部分の断面積より小さな断面積を有してもよい。したがって、ワイヤは、第2の部分に形成されたチャネルを通して配されるのではなく、第2の部分の周りに配されてもよい。このような例における第2の部分は、弾性部材を所定位置に保持するように機能してもよい。
【0138】
いくつかの例では、支持体136は、絶縁部材128の遠位端部と当接する端部220をさらに備える。端部220は絶縁部材128を支持して所定位置に保持するが、一方では、サセプタ132と絶縁部材128との間の空間206をさらに封止する助けにもなる。他の例では、絶縁部材128は他の手段によって支持されてもよい。
【0139】
端部220は絶縁部材128の端部と隣接して配置され、絶縁部材128よりも幅が広い。これは、端部220が絶縁部材128の断面積よりも大きな断面積を有するので、絶縁部材128は端部220を取り囲まないことを意味する。
【0140】
いくつかの例では、支持体136は中空である。加熱されたエアロゾル生成材料からの破片及び/又は液体は、サセプタ132から支持体136の中空空洞内に流れる可能性がある。
図3に関連して述べたように、デバイス100は、使用者がサセプタ132及び/又は支持体136を清掃することを可能にするために開放可能な第2の蓋140を備えてもよい。
【0141】
図7は、チャネル210の近傍における支持体136の斜視図である。図示のように、チャネル210は第1の部分212を貫いて形成され、ワイヤ208はチャネル210を通り抜ける。チャネル210は、軸線204に垂直な方向で測定される奥行302aを有する。チャネルはまた、奥行302aに垂直な方向で測定される幅302b有する。この例では、奥行302aは約1.3mmで、幅302bは約0.9mmである。ワイヤ208はまた、弾性部材214によって取り囲まれ、第2の部分216に形成された第2のチャネル218を通り抜ける。
【0142】
図6及び
図7の例では、第1の部分212及び第2の部分216はそれぞれ4つのチャネルを備えており、これらのチャネルを通して4本のワイヤ208、308a、308b、308cが配される。例えば、第1のワイヤ208と第2のワイヤ308aは第1の温度センサに接続されてもよく、第3のワイヤ308bと第4のワイヤ308cは第2の温度センサに接続されてもよい。
【0143】
図8は、
図6及び
図7の支持体136を上から見下ろした図である。中空円筒状のサセプタ132が、支持体136の係合領域202と係合された状態で示されている。この例では、弾性部材214の外周は、径方向304で測ったときに、第1の部分212の外周よりも軸線204からさらに離れている。したがって、弾性部材214は、絶縁部材があるときは、絶縁部材の内面と当接することができる。
【0144】
図8に示すように、チャネル210はその長さに沿って開口している(ここで、長さは、軸線204に沿って紙面からその奥に測定される)。したがって、チャネル210は、第1の部分212の外周において切欠きを形成する。他の3つのチャネルのそれぞれは同じ形態を有する。対照的に、
図9は別の支持体336を示し、ここでは、チャネル310がその長さに沿って閉じており、したがって、第1の部分312に貫通穴を形成する。
図9の支持体336をデバイス100に使用してもよく、また、支持体336は、支持体136の特徴のいずれか又はすべてを有してもよい。
【0145】
図10は、一例に係る別の支持体436を示す。支持体436はデバイス100に使用されてもよい。この例の支持体436は、第2の部分又は弾性部材を備えていないという点で、
図6及び
図7の支持体とは異なる。チャネル410は貫通穴によって設けられているが、その代わりに、チャネル410はその長さに沿って開口したチャネルであってもよい。
【0146】
図10の支持体436は、サセプタ132の遠位端部を受け取り、その遠位端部と係合する係合領域402を備える。支持体436は、デバイス100の長手方向軸線134と平行に配置されてもよい軸線404を定める。例えば、軸線404は支持体436の長手方向軸線であってもよい。支持体436は、軸線404と平行にサセプタを保持する。
【0147】
デバイス100は、サセプタ132を取り囲む中空の絶縁部材128を備える。サセプタ132の外面と絶縁部材128の内面との間に空間406(空隙など)が設けられる。
【0148】
デバイス100は、サセプタ132の外面に取り付けられた温度センサ424を備える。ワイヤ408は温度センサ424に接続される。1本又は複数本の他のワイヤ(図示せず)もまた、温度センサ424に接続されてもよい。デバイス100内に第2の温度センサが存在してもよい。
【0149】
支持体436は、貫通穴の形態のチャネル410を画定し、このチャネル410を通してワイヤ408が配される。この例では、チャネル410は、支持体436の第1の部分412を貫いて形成される。第1の部分412は、軸線404と平行な方向で測定される深さを有し、チャネル410は、軸線404と実質的に平行な方向に第1の部分412を貫通して延在する。したがって、この貫通穴は、第1の部分412の深さに等しい長さを有する。図示のように、第1の部分412は外周を有し、この外周は絶縁部材128の内面と当接する。
【0150】
支持体436は、絶縁部材128の遠位端部と当接する端部420をさらに備える。端部420は絶縁部材128を支持して所定位置に保持するが、一方では、サセプタ132と絶縁部材128との間の空間406をさらに封止する助けにもなる。この例では、端部420も、貫通穴の形態のチャネル426を画定し、このチャネル426を通してワイヤ408が配される。これによって、ワイヤ408をデバイス100の他の構成要素に接続することができる。
【0151】
図6~
図10の例では、第1の部分、第2の部分、サセプタ、及び絶縁部材はそれぞれ実質的に円形の横断面を有する。他の例では、これらの構成要素のいずれか又はすべての横断面は、正方形、長方形、又は楕円形など、任意の他の形状をとってもよい。
【0152】
図11はデバイス100の一部を示す。インダクタコイル124、126及び絶縁部材128は、説明を明瞭にするために省かれている。この例では、第1の支持体136は、サセプタ132の長手方向軸線158と平行に配置された軸線204を定め、軸線204はまた、デバイス100の長手方向軸線134と平行に配置されてもよい。例えば、軸線204は支持体136の長手方向軸線であってもよい。
【0153】
図12は、第1の支持体136、第2の支持体144、及びサセプタ132の拡大図である。第1の支持体136は、サセプタ132の遠位端部を受け取って係合する第1の係合領域202を一端に備える。サセプタ132の遠位端部は、デバイス100の使用時に使用者の口から最も遠くに配置されるサセプタ132の端部である。この例では、サセプタ132と第1の係合領域202とは締りばめ又は摩擦ばめを形成するが、他の取付手段が使用されてもよい。
【0154】
第1の係合領域202は、第1の支持体136の端部からサセプタ132に沿って軸線204の方向に延在する2つ以上の突出部224又は突起を備えてもよい。突出部224のそれぞれは、サセプタ132の外面の周りに間隔をあけて配置され、隙間によって隔てられている。これらの突出部224は、サセプタ132が第1の係合領域202に挿入されると外向きに曲がる。
【0155】
同様に、第2の支持体144は、サセプタ132の近位端部を受け取って係合する第2の係合領域506を一端に備える。サセプタ132の近位端部は、デバイス100の使用時に使用者の口から最も近くに配置されるサセプタ132の端部である。この例では、サセプタ132と第2の係合領域506とは締りばめ又は摩擦ばめを形成するが、他の取付手段が使用されてもよい。
【0156】
第2の係合領域506も、第2の支持体144の端部からサセプタ132に沿って軸線204の方向に延在する2つ以上の突出部226又は突起を備えてもよい。突出部226のそれぞれは、サセプタ132の外面の周りに間隔をあけて配置され、隙間によって隔てられる。突出部226によって、第2の支持体144は、サセプタ132が係合領域506に挿入されると曲がることができる。
【0157】
第1及び第2の支持体136、144は共に、サセプタ132を、サセプタを取り囲む1つ以上のインダクタコイル124、126から所定の距離150において軸線204と平行に保持する(
図5A及び
図5Bで最も明瞭にわかる)。
【0158】
第1の支持体134と第2の支持体144は同じ材料から作られてもよいし、異なる材料から作られてもよい。この例では、第1及び第2の支持体134、144は両方とも、約0.32W/mKの熱伝導率及び約343℃の融点を有するPEEKなどのプラスチック材料から作られる。低熱伝導率では、サセプタ132から第1及び第2の支持体134、144を通って流れる熱の流量は少ない。代わりに、低熱伝導率の他の材料を使用してもよい。軽量にすることができるので、第1及び第2の支持体134、144がプラスチック材料から作られることが好ましい。
【0159】
いくつかの例では、サセプタ132は、第1及び第2のインダクタコイル124、126によって約240℃~約280℃の温度に加熱される。第1及び第2の支持体134、144が、加熱されたサセプタ132の温度より少なくとも60℃高い融点を有している場合、第1及び第2の支持体134、144は加熱によって軟化し弱くなる可能性は低い。
【0160】
図13は、絶縁部材128がサセプタ132を取り囲んでいる状態での
図12の構成を示す。サセプタ132が中空の絶縁部材128内に見えるように、絶縁部材128は透明であるように示されている。絶縁部材128は透明であってもよいし、透明でなくてもよい。
【0161】
サセプタ132の外面と絶縁部材128の内面との間に空隙206が設けられるように、絶縁部材128はサセプタ132から離して配置される。空隙206は絶縁をもたらす。
【0162】
絶縁部材128は、デバイス100の1つ以上の構成要素によって所定位置に保持されてもよい。しかしながら、この例では、絶縁部材128は、絶縁部材の端の付近で第1の支持体136と当接する。例えば、第1の支持体136は、絶縁部材128の横断面よりも大きい横断面を有する端部220を備えてもよい。したがって、絶縁部材128の第1の端部は、第1の支持体136の端部220と当接する。第1の支持体136及び第2の支持体144のうちの少なくとも1つと当接することにより、絶縁部材128を軸線204と実質的に平行に保持することができる。
【0163】
いくつかの例では、絶縁部材128が、絶縁部材128の端の付近で第2の支持体144とも当接する。例えば、第2の支持体144もまた、絶縁部材128の横断面よりも大きい横断面を有する端部512を備えてもよい。したがって、絶縁部材128の第2の端部は、第2の支持体144の端部512と当接してもよい。
図13は、第2の支持体144の端部512と絶縁部材128の第2の端部との間の小さな隙間を示している。この小さな隙間によって製造公差を許容することができるが、特定の例では、この小さな隙間はなくてもよい。
【0164】
図12及び
図13は、支持体136の一部分の周りに延在する第1の弾性部材214を有する第1の支持体136を示す。この例では、第1の弾性部材214はOリングである。
図13は、絶縁部材128が所定位置にあるときに第1の弾性部材214が絶縁部材128の内面と当接するような寸法を第1の弾性部材214が有することを示す。したがって、第1の弾性部材214は、サセプタ132と絶縁部材128との間の空間208を封止してデバイス100をよりよく絶縁する助けになることができる。絶縁部材128がサセプタ132を取り囲むとき、第1の弾性部材214は圧縮されてもよい。
【0165】
いくつかの例では、第1の支持体132は第1の部分212及び第2の部分216を備え、第1の弾性部材214は、第1の部分212と第2の部分216との間に配置される。第1及び第2の部分212、216は、第1の弾性部材214が第1の支持体136に沿って摺動する(これは、シール効果を低減させ得る)ことを防止する。
【0166】
図12及び
図13は、支持体144の一部分の周りに延在する第2の弾性部材520を有する第2の支持体144を示す。この例では、第2の弾性部材520はOリングである。いくつかの例では、絶縁部材128が所定位置にあるときに第2の弾性部材520が絶縁部材128の内面と当接するような寸法を第2の弾性部材520が有する。第1及び第2の弾性部材214、520の両方が絶縁部材128と当接するとき、弾性部材214、520のうちの1つが絶縁部材128と当接する、又はそれらのどちらも絶縁部材128と当接しない構成に比べて、デバイス100はよりよく絶縁される可能性がある。
【0167】
いくつかの例では、第2の支持体144は、第2の弾性部材が配置される凹所522を備える。いくつかの例では、第2の弾性部材520は、第1の弾性部材214の幅より狭い幅を有する。弾性部材の幅は、軸線204に垂直な方向で測定される。
【0168】
この例では、第1及び第2の弾性部材214、520は、約0.25W/mKより小さいなど、約0.5W/mKより小さい熱伝導率を有する材料から作られる。第1及び第2の弾性部材214、520は、例えば、シリコーンゴムから作られてもよい。
【0169】
上記の実施形態は、本発明の例示的なものとして理解されたい。本発明のさらなる実施形態が想起される。いずれか1つの実施形態に関して説明されたいずれかの特徴は単独で、又は説明された他の特徴と一緒に使用されてもよく、また、諸実施形態のうちのいずれか他のもの、又は実施形態のうちのいずれか他のものの任意の組合せ、のうちの1つ以上の特徴と一緒に使用されてもよいことを理解されたい。さらに、上述されていない等価物及び修正形態もまた、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく使用することができる。