(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】トリム角制御装置およびトリム角制御方法
(51)【国際特許分類】
B63H 20/08 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
B63H20/08 510
(21)【出願番号】P 2023504879
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(86)【国際出願番号】 JP2021008860
(87)【国際公開番号】W WO2022190156
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】加藤 慧
(72)【発明者】
【氏名】山本 宙
(72)【発明者】
【氏名】相川 直樹
(72)【発明者】
【氏名】宮下 和己
(72)【発明者】
【氏名】藤間 昭史
(72)【発明者】
【氏名】三住 義行
(72)【発明者】
【氏名】海野 暁央
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-269531(JP,A)
【文献】特開2013-256261(JP,A)
【文献】特開2019-131178(JP,A)
【文献】特開2018-030574(JP,A)
【文献】特開2019-001274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 20/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機を有する船外機のトリム角を制御するトリム角制御装置であって、
前記原動機の回転数を検出する検出部と、
前記船外機のトリム角を調整するアクチュエータと、
操船者により操作され、前記トリム角を変更する変更指令が入力される操作部と、
プロセッサと該プロセッサに接続されたメモリとを有する電子制御ユニットと、を備え、
前記メモリには、
第1回転域と該第1回転域より高回転の第2回転域とを含む前記原動機の回転域ごとに
、高回転ほど大きく設定された前記トリム角の目標値が予め記憶され、
前記プロセッサは、
前記検出部により検出された回転数に応じて前記トリム角の目標値を設定し、
前記トリム角が前記目標値となるように前記アクチュエータを制御するように構成され、
前記目標値を設定することは、前記操作部を介して前記変更指令が入力されると、前記変更指令に応じて前記目標値を変更することを含むことを特徴とするトリム角制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のトリム角制御装置において、
前記プロセッサは、外部からの指令に応じて前記回転域および前記目標値を書き換えて前記メモリに記憶することを特徴とするトリム角制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のトリム角制御装置において、
前記目標値を設定することは、前記検出部により検出された回転数に応じて前記トリム角の第1目標値を設定した後、前記変更指令が入力されると、前記変更指令に応じて前記トリム角の変更量を設定し、前記第1目標値に前記変更量を加算して前記トリム角の第2目標値を設定することを含み、
前記第1目標値は、高回転ほど大きく設定され
、
前記変更指令は、前記トリム角を大きくするトリムアップ指令と、前記トリム角を小さくするトリムダウン指令とを含み、
前記目標値を変更することは、前記第1回転域で前記トリムアップ指令が入力されると、前記第1回転域の前記第2目標値が前記第2回転域の前記第1目標値を超えるか否かを判定し、前記第1回転域の前記第2目標値が前記第2回転域の前記第1目標値を超えると判定されると、前記回転数の上昇時に前記第1回転域の前記第2目標値が維持されるように前記第2回転域の前記第2目標値を設定することを含むことを特徴とするトリム角制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載のトリム角制御装置において、
前記目標値を設定することは、前記検出部により検出された回転数に応じて前記トリム角の第1目標値を設定した後、前記変更指令が入力されると、前記変更指令に応じて前記トリム角の変更量を設定し、前記第1目標値に前記変更量を加算して前記トリム角の第2目標値を設定することを含み、
前記第1目標値は、高回転ほど大きく設定され
、
前記変更指令は、前記トリム角を大きくするトリムアップ指令と、前記トリム角を小さくするトリムダウン指令とを含み、
前記目標値を変更することは、前記第2回転域で前記トリムダウン指令が入力されると、前記第2回転域の前記第2目標値が前記第1回転域の前記第1目標値を下回るか否かを判定し、前記第2回転域の前記第2目標値が前記第1回転域の前記第1目標値を下回ると判定されると、前記回転数の低下時に前記第2回転域の前記第2目標値が維持されるように前記第1回転域の前記第2目標値を設定することを含むことを特徴とするトリム角制御装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のトリム角制御装置において、
前記プロセッサによる前記トリム角の目標値の設定を許可する許可モードと禁止する禁止モードとを切り替えるスイッチをさらに備えることを特徴とするトリム角制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載のトリム角制御装置において、
前記スイッチにより前記許可モードが前記禁止モードに切り替えられると、前記許可モード中に設定された前記トリム角の目標値は、リセットされることを特徴とするトリム角制御装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のトリム角制御装置において、
前記原動機が停止すると、前記原動機の運転中に設定された前記トリム角の目標値は、リセットされることを特徴とするトリム角制御装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のトリム角制御装置において、
前記目標値は、前記回転数に対し、ヒステリシス特性を有することを特徴とするトリム角制御装置。
【請求項9】
原動機を有する船外機のトリム角を制御するトリム角制御方法であって、
第1回転域と該第1回転域より高回転の第2回転域とを含む前記原動機の回転域ごとに、
高回転ほど大きく設定された前記トリム角の目標値を予め記憶し、
検出部により検出された前記原動機の回転数に応じて前記トリム角の目標値を設定し、
前記トリム角が前記目標値となるように、前記船外機のトリム角を調整するアクチュエータを制御することを含み、
前記目標値を設定することは、操船者により操作される操作部を介して前記トリム角を変更する変更指令が入力されると、前記変更指令に応じて前記目標値を変更することを含むことを特徴とするトリム角制御方法。
【請求項10】
原動機を有する船外機のトリム角を制御するトリム角制御装置であって、
前記原動機の回転数を検出する検出部と、
前記船外機のトリム角を調整するアクチュエータと、
操船者により操作され、前記トリム角を変更する変更指令が入力される操作部と、
プロセッサと該プロセッサに接続されたメモリとを有する電子制御ユニットと、を備え、
前記メモリには、前記原動機の回転域ごとに前記トリム角の目標値が予め記憶され、
前記プロセッサは、
前記検出部により検出された回転数に応じて前記トリム角の目標値を設定し、
前記トリム角が前記目標値となるように前記アクチュエータを制御するように構成され、
前記目標値を設定することは、前記検出部により検出された回転数に応じて前記トリム角の第1目標値を設定した後、前記操作部を介して前記変更指令が入力されると、前記変更指令に応じて前記トリム角の変更量を設定し、前記第1目標値に前記変更量を加算して前記トリム角の第2目標値を設定することで前記目標値を変更することを含み、
前記第1目標値は、高回転ほど大きく設定され、
前記回転域は、第1回転域と、該第1回転域より高回転の第2回転域とを含み、
前記変更指令は、前記トリム角を大きくするトリムアップ指令と、前記トリム角を小さくするトリムダウン指令とを含み、
前記目標値を変更することは、前記第1回転域で前記トリムアップ指令が入力されると、前記第1回転域の前記第2目標値が前記第2回転域の前記第1目標値を超えるか否かを判定し、前記第1回転域の前記第2目標値が前記第2回転域の前記第1目標値を超えると判定されると、前記回転数の上昇時に前記第1回転域の前記第2目標値が維持されるように前記第2回転域の前記第2目標値を設定することを含むことを特徴とするトリム角制御装置。
【請求項11】
原動機を有する船外機のトリム角を制御するトリム角制御方法であって、
前記原動機の回転域ごとに前記トリム角の目標値を予め記憶し、
検出部により検出された前記原動機の回転数に応じて前記トリム角の目標値を設定し、
前記トリム角が前記目標値となるように、前記船外機のトリム角を調整するアクチュエータを制御することを含み、
前記目標値を設定することは、前記検出部により検出された回転数に応じて前記トリム角の第1目標値を設定した後、操船者により操作される操作部を介して前記トリム角を変更する変更指令が入力されると、前記変更指令に応じて前記トリム角の変更量を設定し、前記第1目標値に前記変更量を加算して前記トリム角の第2目標値を設定することで前記目標値を変更することを含み、
前記第1目標値は、高回転ほど大きく設定され、
前記回転域は、第1回転域と、該第1回転域より高回転の第2回転域とを含み、
前記変更指令は、前記トリム角を大きくするトリムアップ指令と、前記トリム角を小さくするトリムダウン指令とを含み、
前記目標値を変更することは、前記第1回転域で前記トリムアップ指令が入力されると、前記第1回転域の前記第2目標値が前記第2回転域の前記第1目標値を超えるか否かを判定し、前記第1回転域の前記第2目標値が前記第2回転域の前記第1目標値を超えると判定されると、前記回転数の上昇時に前記第1回転域の前記第2目標値が維持されるように前記第2回転域の前記第2目標値を設定することを含むことを特徴とするトリム角制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船外機のトリム角を制御するトリム角制御装置およびトリム角制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、従来、船外機のトリム角を制御するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載の装置では、船外機のエンジン回転数を検出し、検出されたエンジン回転数および予め定められた特性に基づいてトリム角の目標値を決定し、トリム角を目標値に制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、船舶の操船者は、そのときの航行状況に応じてトリム角を変更することがある。しかしながら、上記特許文献1記載の装置のように単にエンジン回転数に応じてトリム角が調整されると、エンジン回転数が変化する度にトリム角が変更されるため、航行状況に応じてトリム角を変更する操船者の意図を反映することが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、原動機を有する船外機のトリム角を制御するトリム角制御装置であって、原動機の回転数を検出する検出部と、船外機のトリム角を調整するアクチュエータと、操船者により操作され、トリム角を変更する変更指令が入力される操作部と、プロセッサとプロセッサに接続されたメモリとを有する電子制御ユニットと、を備える。メモリには、第1回転域と第1回転域より高回転の第2回転域とを含む原動機の回転域ごとに、高回転ほど大きく設定されたトリム角の目標値が予め記憶される。プロセッサは、検出部により検出された回転数に応じてトリム角の目標値を設定し、トリム角が目標値となるようにアクチュエータを制御するように構成される。目標値を設定することは、操作部を介して変更指令が入力されると、変更指令に応じて目標値を変更することを含む。
本発明の別の態様は、原動機を有する船外機のトリム角を制御するトリム角制御装置であって、原動機の回転数を検出する検出部と、船外機のトリム角を調整するアクチュエータと、操船者により操作され、トリム角を変更する変更指令が入力される操作部と、プロセッサとプロセッサに接続されたメモリとを有する電子制御ユニットと、を備える。メモリには、原動機の回転域ごとにトリム角の目標値が予め記憶される。プロセッサは、検出部により検出された回転数に応じてトリム角の目標値を設定し、トリム角が目標値となるようにアクチュエータを制御するように構成される。目標値を設定することは、検出部により検出された回転数に応じてトリム角の第1目標値を設定した後、操作部を介して変更指令が入力されると、変更指令に応じてトリム角の変更量を設定し、第1目標値に変更量を加算してトリム角の第2目標値を設定することで目標値を変更することを含む。第1目標値は、高回転ほど大きく設定される。回転域は、第1回転域と、第1回転域より高回転の第2回転域とを含む。変更指令は、トリム角を大きくするトリムアップ指令と、トリム角を小さくするトリムダウン指令とを含む。目標値を変更することは、第1回転域でトリムアップ指令が入力されると、第1回転域の第2目標値が第2回転域の第1目標値を超えるか否かを判定し、第1回転域の第2目標値が第2回転域の第1目標値を超えると判定されると、回転数の上昇時に第1回転域の第2目標値が維持されるように第2回転域の第2目標値を設定することを含む。
【0006】
本発明の別の態様は、原動機を有する船外機のトリム角を制御するトリム角制御方法であって、第1回転域と第1回転域より高回転の第2回転域とを含む原動機の回転域ごとに、高回転ほど大きく設定されたトリム角の目標値を予め記憶し、検出部により検出された原動機の回転数に応じてトリム角の目標値を設定し、トリム角が目標値となるように、船外機のトリム角を調整するアクチュエータを制御することを含む。目標値を設定することは、操船者により操作される操作部を介してトリム角を変更する変更指令が入力されると、変更指令に応じて目標値を変更することを含む。
本発明の別の態様は、原動機を有する船外機のトリム角を制御するトリム角制御方法であって、原動機の回転域ごとにトリム角の目標値を予め記憶し、検出部により検出された原動機の回転数に応じてトリム角の目標値を設定し、トリム角が目標値となるように、船外機のトリム角を調整するアクチュエータを制御することを含む。目標値を設定することは、検出部により検出された回転数に応じてトリム角の第1目標値を設定した後、操船者により操作される操作部を介してトリム角を変更する変更指令が入力されると、変更指令に応じてトリム角の変更量を設定し、第1目標値に変更量を加算してトリム角の第2目標値を設定することで目標値を変更することを含む。第1目標値は、高回転ほど大きく設定される。回転域は、第1回転域と、第1回転域より高回転の第2回転域とを含む。変更指令は、トリム角を大きくするトリムアップ指令と、トリム角を小さくするトリムダウン指令とを含む。目標値を変更することは、第1回転域でトリムアップ指令が入力されると、第1回転域の第2目標値が第2回転域の第1目標値を超えるか否かを判定し、第1回転域の第2目標値が第2回転域の第1目標値を超えると判定されると、回転数の上昇時に第1回転域の第2目標値が維持されるように第2回転域の第2目標値を設定することを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、航行状況に応じてトリム角を変更する操船者の意図を反映することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るトリム角制御装置が適用される船外機および船舶の構成の一例を概略的に示す斜視図。
【
図3】本発明の実施形態に係るトリム角制御装置の要部構成の一例を概略的に示すブロック図。
【
図4】本発明の実施形態に係るトリム角制御装置により設定されるトリム角の第1目標値について説明するための図。
【
図5A】トリムアップ指令が入力されたときの、本発明の実施形態に係るトリム角制御装置によるトリム角の目標値の変更について説明するための図。
【
図5B】トリムダウン指令が入力されたときの、本発明の実施形態に係るトリム角制御装置によるトリム角の目標値の変更について説明するための図。
【
図6】本発明の実施形態に係るトリム角制御装置により実行される処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1~
図6を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るトリム角制御装置が適用される船外機1および船舶100の構成の一例を概略的に示す斜視図であり、
図2は、船外機1の側面図である。以下では、便宜上、図示のように上下方向、左右方向および前後方向を定義し、この定義に従い各部を説明する。
【0010】
図1に示すように、船外機1は、スタンブラケット2とチルティングシャフト3とを介して、船舶100の船体後方(船尾)のトランサムボード100aに取り付けられる。
図2に示すように、船外機1には、スタンブラケット2の付近にスイベルケース4が設けられ、スイベルケース4の付近に、船舶100(トランサムボード100a)に対する船外機1のトリム角θを調整するトリム角調整機構5が設けられる。トリム角調整機構5は、油圧シリンダなどのアクチュエータ5aを有し、チルティングシャフト3を回転軸としてスイベルケース4を回動させることでトリム角θを調整する。
【0011】
船外機1の上部には、例えば火花点火式の水冷ガソリンエンジンにより構成されるエンジン6が搭載される。エンジン6は、クランクシャフト7が上下方向に延在するように配置され、クランクシャフト7には、クランクシャフト7の回転に伴いパルス信号を出力するクランク角センサ7aが設けられる。クランク角センサ7aからのパルス信号に基づいてエンジン6の回転数(エンジン回転数)NEを算出することができる。エンジン6は、例えばバタフライ弁により構成される電動式のスロットルバルブ6aを有し、スロットルバルブ6aによりエンジン6への吸気量が調整されることで、エンジン回転数NEが調整される。
【0012】
エンジン6(クランクシャフト7)は、上下方向に延在するドライブシャフト8、シフト機構9、および前後方向に延在するプロペラシャフト10を介して、船舶100を推進するプロペラ11に接続される。プロペラシャフト10の軸線10aは、トリム角調整機構5が初期状態(トリム角θ=0°)のとき、水面に対して略平行となる。
【0013】
シフト機構9は、ドライブシャフト8と係合する前進ベベルギア9aおよび後進ベベルギア9bと、前進ベベルギア9aまたは後進ベベルギア9bとプロペラシャフト10とを断接するクラッチ9cと、シフトロッド9dおよびシフトスライダ9eとを有する。シフトロッド9dの上端は、減速ギア機構12を介してモータなどのアクチュエータ13に接続され、シフトロッド9dの下端は、シフトスライダ9eに接続される。
【0014】
クラッチ9cは、シフトロッド9dおよびシフトスライダ9eを介してアクチュエータ13により駆動され、シフト機構9のシフト位置を中立位置、前進位置および後進位置の間で切り替える。シフト位置が前進位置または後進位置に切り替えられると、エンジン6の回転がクランクシャフト7、ドライブシャフト8およびシフト機構9を介してプロペラシャフト10に伝達され、プロペラ11が回転し、船舶100が前進方向または後進方向に推進される。
【0015】
図1に示すように、船外機1の操縦席付近には、操船者によって操作されるシフトスロットルレバー14が設けられる。シフトスロットルレバー14は、中央の中立位置から前後方向に揺動可能に構成される。シフトスロットルレバー14が中立位置から前方の前進位置に切り替えられると、
図2のシフト機構9(アクチュエータ13)が中立位置から前進位置に切り替えられる。シフトスロットルレバー14が中立位置から後方の後進位置に切り替えられると、シフト機構9が中立位置から後進位置に切り替えられる。前進位置または後進位置に切り替えられたシフトスロットルレバー14がさらに前方または後方に倒されると、シフトスロットルレバー14の変位量に応じてスロットルバルブ6aの開度が調整され、エンジン回転数NEが調整される。
【0016】
シフトスロットルレバー14には、操船者によって操作され、トリム角θの変更指令を入力するトリム角調整部15が設けられる。トリム角調整部15は、トリムアップ指令を入力するトリムアップ部15aと、トリムダウン指令を入力するトリムダウン部15bとを有する。トリムアップ部15aを介してトリムアップ指令が入力されると、船外機1のトリム角θが大きくなるようにトリム角調整機構5(アクチュエータ5a)が制御される。トリムダウン部15bを介してトリムダウン指令が入力されると、トリム角θが小さくなるようにトリム角調整機構5が制御される。
【0017】
シフトスロットルレバー14の付近には、操船者によって操作され、トリム角θを自動的に調整するサポートトリムモードをオンまたはオフに切り替えるスイッチ16が設けられる。サポートトリムモードがオフのとき、トリム角調整機構5は、トリム角調整部15からの指令に応じてトリム角θを調整する。一方、サポートトリムモードがオンのとき、トリム角調整機構5は、予め定められた特性に従ってトリム角θを自動的に調整するとともに、調整後、トリム角調整部15からの指令に応じてトリム角θをさらに調整する。
【0018】
図3は、本発明の実施形態に係るトリム角制御装置の要部構成の一例を概略的に示すブロック図である。本発明の実施形態に係るトリム角制御装置500は、主に電子制御ユニット50により構成される。電子制御ユニット50は、例えば船外機1の操縦席付近の船舶100側に搭載される。電子制御ユニット50は、船外機1側に搭載されてもよく、船舶100側に搭載される電子制御ユニットと船外機1側に搭載される電子制御ユニットとにより構成されてもよい。
【0019】
図3に示すように、電子制御ユニット50は、CPUなどのプロセッサ51と、ROM,RAMなどのメモリ52と、その他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成される。電子制御ユニット50には、トリム角調整部15と、クランク角センサ7aを含むセンサ群と、トリム角調整機構5のアクチュエータ5aを含むアクチュエータ群とが接続される。
【0020】
図4は、トリム角制御装置500により設定されるトリム角θの目標値について説明するための図であり、電子制御ユニット50のメモリ52に予め記憶されるエンジン6の回転域ごとのトリム角θの第1目標値θ1の一例を示す。船舶100の航行中、船外機1のトリム角θを調整することで、水中でのプロペラ11の回転により生じる推進力の方向、すなわち水面に対するプロペラシャフト10の軸線10a(
図2)の傾斜角度が調整され、これにより船舶110に対する推進力が調整される。
【0021】
シフトスロットルレバー14(
図1)を介してエンジン回転数NEが調整され、トリム角調整部15を介してトリム角θが船舶100の航行状況に応じた適切な角度に調整されることで、船舶100の円滑な航行が実現する。すなわち、加速(NE1≦NE<NE2)、滑走(NE2≦NE<NE3)、中速航行(NE3~NE4)、高速航行(NE≧NE4)などの航行状況に応じた適切なトリム角θに調整することで、船舶100の円滑な航行が実現する。
【0022】
図4に示すように、トリム角θの第1目標値θ1は、エンジン6の回転域ごとに、高回転ほど大きくなるように予め設定される。例えば、アイドル回転域(NE≦NE1)ではθ1(1)、加速回転域(NE1≦NE<NE2)ではθ1(2)、滑走回転域(NE2≦NE<NE3)ではθ1(3)に設定される。また、中速回転域(NE3≦NE<NE4)ではθ1(4)、高速回転域(NE≧NE4)ではθ1(5)に設定される。
【0023】
図4に示すように、トリム角θの第1目標値θ1は、エンジン回転数NEに対し、例えば200rpm程度のヒステリシス特性を有して設定される。このため、回転域の境界領域におけるトリム角θのハンチングを防止することができる。第1目標値θ1、回転域およびヒステリシス特性の設定は、船外機1や船舶100の仕様、ユーザ(操船者)の希望などに応じ、例えば船外機1の販売店などでサービスツールを用いて変更することができる。
【0024】
電子制御ユニット50のプロセッサ51は、スイッチ16(
図1)を介してサポートトリムモードがオンに切り替えられると、クランク角センサ7aからの信号に基づいて、エンジン回転数NEに応じた第1目標値θ1となるようにトリム角θを調整する。より具体的には、サポートトリムモードがオンに切り替えられた後、エンジン6の回転域が変化すると、あるいはトリム角調整部15が操作されると、サポートトリムモードを開始する。サポートトリムモードでは、メモリ52に記憶された特性(
図4)を参照し、トリム角θが現在のエンジン回転数NEに対応する回転域の第1目標値θ1(n)となるように、トリム角調整機構5(アクチュエータ5a)を制御する。
【0025】
さらに、プロセッサ51は、トリム角調整部15を介してトリムアップ指令またはトリムダウン指令が入力されると、トリム角調整部15の操作量(例えば操作時間)に応じてトリム角θの変更量Δθを決定する。より具体的には、トリムアップ部15aを介してトリムアップ指令が入力されると、正の変更量Δθが決定され、トリムダウン部15bを介してトリムダウン指令が入力されると、負の変更量Δθが決定される。プロセッサ51は、決定された変更量Δθを第1目標値θ1に加算して第2目標値θ2(θ2=θ1+Δθ)を算出し、トリム角θが第2目標値θ2となるように、トリム角調整機構5をさらに制御する。
【0026】
船舶100の操船者は、サポートトリムモードを利用することで、自身でトリム角調整部15を調整することなく、シフトスロットルレバー14のみの操作で円滑な操船を行うことができる(トリム角θ=第1目標値θ1)。また、サポートトリムモードの利用中であっても、船舶100の乗船状態や気象条件など、そのときの航行状況に応じて、トリム角調整部15を介してトリム角θをさらに調整することができる(トリム角θ=第2目標値θ2)。
【0027】
ところで、このように操船者により、そのときの航行状況に応じて調整されたトリム角θの変更量Δθまたは第2目標値θ2が、回転域が変化する度にリセットされると、操船者にとって煩雑となる。そこで、本実施形態では、操船者の操作に応じて変更されたトリム角θの第2目標値θ2の値を保持することで、操船者の操作負担を軽減できるよう、以下のようにトリム角制御装置500を構成する。
【0028】
図5Aおよび
図5Bは、トリム角制御装置500によるトリム角θの目標値の変更について説明するための図であり、
図5Aは、トリムアップ指令が入力された場合を示し、
図5Bは、トリム
ダウン指令が入力された場合を示す。プロセッサ51は、サポートトリムモードにおいて、トリム角θを第1目標値θ1に調整した後、トリム角調整部15を介してトリムアップまたはトリムダウン指令が入力されると、トリム角θの変更量Δθを決定し、トリム角θの第2目標値θ2を算出する。
【0029】
さらに、プロセッサ51は、トリム角θの目標値を第1目標値θ1から第2目標値θ2に変更し、メモリ52のRAM値を更新する。RAM値としてメモリ52に記憶された第2目標値θ2は、サポートトリムモードがオフされるまでの期間、あるいはエンジン6が停止されるまでの期間、あるいは電子制御ユニット50(
図3)がオフされるまでの期間にわたって保持される。RAM値としてメモリ52に記憶された第2目標値θ2は、サポートトリムモードがオフにされ、あるいはエンジン6が停止され、あるいは電子制御ユニット50がオフされると消去される。この場合、メモリ52に記憶されたトリム角θの目標値は、第1目標値θ1にリセットされる。
【0030】
図5Aに示すように、トリムアップ指令が入力された場合、プロセッサ51は、現在の回転域の第2目標値θ2(n)を算出するとともに、算出された第2目標値θ2(n)が高回転側の回転域の第1目標値θ1(n+1)を超えるか否かを判定する。例えば、滑走回転域でトリムアップ指令が入力されると、滑走回転域の第2目標値θ2(3)が中速回転域の第1目標値θ1(4)を超えるか否かを判定する。
【0031】
現在の回転域の第2目標値θ2(n)が高回転側の回転域の第1目標値θ1(n+1)を超えると判定されると、エンジン回転数NEの上昇時に現在の回転域の第2目標値θ2(n)が維持されるように高回転側の回転域の第2目標値θ2(n+1)が設定される。
図5Aの例では、滑走回転域の第2目標値θ2(3)が維持されるように、中速回転域の第2目標値θ2(4)が滑走回転域の第2目標値θ2(3)と同じ値に設定される。
【0032】
一方、
図5Bに示すように、トリムダウン指令が入力された場合、プロセッサ51は、現在の回転域の第2目標値θ2(n)を算出するとともに、算出された第2目標値θ2(n)が低回転側の回転域の第1目標値θ1(n-1)を下回るか否かを判定する。例えば、中速回転域でトリムダウン指令が入力されると、中速回転域の第2目標値θ2(4)が滑走回転域の第1目標値θ1(3)を下回るか否かを判定する。
【0033】
現在の回転域の第2目標値θ2(n)が低回転側の回転域の第1目標値θ1(n-1)を下回ると判定されると、エンジン回転数NEの低下時に現在の回転域の第2目標値θ2(n)が維持されるように低回転側の回転域の第2目標値θ2(n-1)が設定される。
図5Bの例では、中速回転域の第2目標値θ2(4)が維持されるように、滑走回転域の第2目標値θ2(3)が中速回転域の第2目標値θ2(4)と同じ値に設定される。
【0034】
このように回転域ごとの操船者によるトリム角θの変更意図が必要十分な範囲で反映されることで、エンジン回転数NEの上昇時にトリムダウンまたはエンジン回転数NEの低下時にトリムアップされることで操船者に違和感を与えることを防止することができる。
【0035】
図6は、本発明の実施形態に係るトリム角制御装置500により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図6の処理は、サポートトリムモードがオンに切り替えられると開始し、サポートトリムモードがオフに切り替えられるまで所定周期で繰り返される。サポートトリムモードのオフからオンへの切り替えは、操船者によるスイッチ16(
図1)の操作に応じて行われる。サポートトリムモードのオンからオフへの切り替えは、操船者によるスイッチ16の操作に応じて行われるほか、例えばエンジン6の停止や電子制御ユニット50(
図3)のオフに連動して行われる。
【0036】
図6に示すように、先ずステップS1で、トリム角θの変更指令が入力されたか否かを判定する。ステップS1で肯定されるとステップS2に進み、否定されると処理を終了する。ステップS2では、ステップS1で入力された変更指令がトリムアップ指令であるか否かを判定する。トリムアップ指令が入力されたときは、ステップS2で肯定され、ステップS3に進む。トリムダウン指令が入力されたときは、ステップS2で否定され、ステップS6に進む。
【0037】
ステップS3では、現在のエンジン回転数NEに対応する回転域のトリム角θの第2目標値θ2(n)を算出し、高回転側の回転域の第1目標値θ1(n+1)を超えるか否かを判定する。ステップS3で肯定されると、ステップS4に進み、現在の回転域の第1目標値θ1(n)および高回転側の回転域の第1目標値θ1(n+1)を、ステップS3で算出された現在の回転域の第2目標値θ2(n)に変更する。一方、ステップS3で否定されると、ステップS5に進み、現在の回転域の第1目標値θ1(n)のみを、ステップS3で算出された現在の回転域の第2目標値θ2(n)に変更する。
【0038】
ステップS6では、現在のエンジン回転数NEに対応する回転域のトリム角θの第2目標値θ2(n)を算出し、低回転側の回転域の第1目標値θ1(n-1)を下回るか否かを判定する。ステップS6で肯定されると、ステップS7に進み、現在の回転域の第1目標値θ1(n)および低回転側の回転域の第1目標値θ1(n-1)を、ステップS6で算出された現在の回転域の第2目標値θ2(n)に変更する。一方、ステップS6で否定されると、ステップS8に進み、現在の回転域の第1目標値θ1(n)のみを、ステップS3で算出された現在の回転域の第2目標値θ2(n)に変更する。
【0039】
このように、サポートトリムモードにおいてトリムアップ指令やトリムダウン指令が入力されると(ステップS1)、エンジン回転数NEに応じたトリム角θの第1目標値θ1が操船者の意図を反映した第2目標値θ2に変更される(ステップS4,S5,S7,S8)。これにより、例えばその日の航行状況に応じてトリム角を変更する操船者の意図を反映した上でトリム角θを自動調整することができる。また、トリム角θの第2目標値θ2は、サポートトリムモードがオフに切り替わるまで、あるいはエンジン6が停止するまで保持されるため、操船者の操作負担を軽減することができる。
【0040】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)トリム角制御装置500は、エンジン6を有する船外機1のトリム角θを制御する(
図1~
図3)。トリム角制御装置500は、エンジン6のエンジン回転数NEを検出するクランク角センサ7aと、船外機1のトリム角θを調整するアクチュエータ5aと、操船者により操作され、トリム角θを変更する変更指令が入力されるトリム角調整部15と、プロセッサ51とプロセッサ51に接続されたメモリ52とを有する電子制御ユニット50とを備える(
図3)。
【0041】
メモリ52には、エンジン6の回転域ごとにトリム角θの目標値が予め記憶される。プロセッサ51は、クランク角センサ7aにより検出されたエンジン回転数NEに応じてトリム角θの目標値を設定し、トリム角θが目標値となるようにアクチュエータ5aを制御するように構成される。目標値を設定することは、トリム角調整部15を介して変更指令が入力されると、変更指令に応じて目標値を変更することを含む。
【0042】
これにより、例えばその日の航行状況に応じてトリム角を変更する操船者の意図を反映した上でトリム角θを自動調整することができる。また、メモリ52に記憶されたトリム角θの目標値(RAM値)自体が変更されるため、例えばサポートトリムモード中あるいはエンジン6の運転中にわたって変更後の目標値が保持されることで、操船者の操作負担を軽減することができる。
【0043】
(2)プロセッサ51は、サービスツールなどの外部機器からの指令に応じて回転域および目標値を書き換えてメモリ52に記憶する。これにより、例えば船外機1や船舶100の仕様、船外機1のユーザである操船者の希望などに応じて、適切なトリム角θの第1目標値θ1を設定することができる。
【0044】
(3)目標値を設定することは、クランク角センサ7aにより検出されたエンジン回転数NEに応じてトリム角θの第1目標値θ1を設定した後、変更指令が入力されると、変更指令に応じてトリム角θの変更量Δθを設定し、第1目標値θ1に変更量Δθを加算してトリム角θの第2目標値θ2を設定することを含む。第1目標値θ1は、高回転ほど大きく設定される(
図4)。回転域は、滑走回転域(NE2≦NE<NE3)と、滑走回転域より高回転の中速回転域(NE3≦NE<NE4)とを含む。変更指令は、トリム角θを上昇させるトリムアップ指令と、トリム角θを低下させるトリムダウン指令とを含む。
【0045】
目標値を変更することは、滑走回転域でトリムアップ指令が入力されると、滑走回転域の第2目標値θ2(3)が中速回転域の第1目標値θ1(4)を超えるか否かを判定し、超えると判定されると、エンジン回転数NEの上昇時に滑走回転域の第2目標値θ2(3)が維持されるように中速回転域の第2目標値θ2(4)を設定することを含む(
図5A)。これにより、エンジン回転数NEの上昇時に自動的にトリムダウンされることで操船者に違和感を与えることを防止することができる。
【0046】
(4)目標値を変更することは、中速回転域でトリムダウン指令が入力されると、中速回転域の第2目標値θ2(4)が滑走回転域の第1目標値θ1(3)を下回るか否かを判定し、下回ると判定されると、エンジン回転数NEの低下時に中速回転域の第2目標値θ2(4)が維持されるように滑走回転域の第2目標値θ2(3)を設定することを含む(
図5B)。これにより、エンジン回転数NEの低下時に自動的にトリムアップされることで操船者に違和感を与えることを防止することができる。
【0047】
(5)トリム角制御装置500は、プロセッサ51によるトリム角θの目標値の設定を許可するサポートトリムモードをオンまたはオフに切り替えるスイッチ16をさらに備える(
図1)。これにより、必要に応じてサポートトリムモードのオン、オフを切り替えることができるため、操船者の意図に反してトリム角θが自動的に調整されることを防止することができる。
【0048】
(6)スイッチ16によりサポートトリムモードがオフに切り替えられると、サポートトリムモードがオンの期間に設定されたトリム角θの第2目標値θ2は、リセットされる。これにより、例えばサポートトリムモードのオン、オフを切り替えることで、必要に応じて操船者の一時的な意図を反映したトリム角θの第2目標値θ2をリセットし、船外機1や船舶100の仕様などに応じて設定された第1目標値θ1を利用することができる。
【0049】
(7)エンジン6が停止すると、エンジン6の運転中に設定されたトリム角θの第2目標値θ2は、リセットされる。これにより、エンジン6を停止する度に操船者の一時的な意図を反映した例えばその日限りのトリム角θの第2目標値θ2がリセットされ、次回の始動時には、船外機1や船舶100の仕様などに応じて設定された第1目標値θ1を利用することができる。
【0050】
(8)目標値は、エンジン回転数NEに対し、ヒステリシス特性を有する(
図4)。これにより回転域の境界領域においてトリム角θのハンチングが発生することを防止できる。
【0051】
上記実施形態では、
図1、
図2などにおいて具体的な船外機1やエンジン6、船舶100を例示して説明したが、船外機、原動機、船舶は、このようなものに限定されない。例えば、原動機は、内燃機関などのエンジンに限らず、モータなどであってもよい。また、
図1などにおいて、トリムアップ部15aとトリムダウン部15bを有するトリム角調整部15や、サポートトリムモードのスイッチ16を例示したが、操作部およびスイッチは、このようなものに限定されない。
【0052】
以上では、本発明をトリム角制御装置500として説明したが、本発明は、原動機を有する船外機のトリム角を制御するトリム角制御方法として用いることもできる。すなわち、トリム角制御方法は、エンジン6の回転域ごとにトリム角θの目標値を予め記憶し、クランク角センサ7aにより検出されたエンジン6のエンジン回転数NEに応じてトリム角θの目標値を設定し、トリム角θが目標値となるように、船外機1のトリム角θを調整するアクチュエータ5aを制御することを含む。目標値を設定することは、操船者により操作されるトリム角調整部15を介してトリム角θを変更する変更指令が入力されると(
図6のステップS1)、変更指令に応じて目標値を変更することを含む(ステップS2~S8)。
【0053】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 船外機、5 トリム角調整機構、5a アクチュエータ、6 エンジン、7a クランク角センサ、14 シフトスロットルレバー、15 トリム角調整部、15a トリムアップ部、15b トリムダウン部、16 スイッチ、50 電子制御ユニット、51 プロセッサ、52 メモリ、100 船舶、500 トリム角制御装置