(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】洗浄機シール制御のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
D21C 9/02 20060101AFI20241017BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
D21C9/02
B08B3/02 Z
(21)【出願番号】P 2023509542
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(86)【国際出願番号】 FI2021050545
(87)【国際公開番号】W WO2022034263
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2024-08-05
(32)【優先日】2020-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520102646
【氏名又は名称】アンドリッツ オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペソネン、ミッコ
(72)【発明者】
【氏名】ヒットネン、ヤルッコ
(72)【発明者】
【氏名】カリヤライネン、シモ
(72)【発明者】
【氏名】クヴィントゥス、ハッリ
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/024996(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0301529(US,A1)
【文献】米国特許第5922953(US,A)
【文献】国際公開第2017/048171(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/135987(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2017/059042(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21C 9/02
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラム置換式洗浄機の少なくとも1つのシール・バー(20)と回転ドラム(10)との間の距離を測定するための装置であって、
前記回転ドラム(10)の内部に配置され、前記回転ドラム(10)の外面と前記少なくとも1つのシール・バー(20)との間の前記距離を示す信号を提供するように構成された少なくとも1つのセンサ要素(30)と、
前記回転ドラム(10)の外部に前記信号を伝達するように構成された信号伝達要素(50)と
を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記信号伝達要素(50)が、前記回転ドラムの一端にあるスリップ・リングと、前記少なくとも1つのセンサ要素(30)から前記スリップ・リングへの有線接続とを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記信号伝達要素(50)が、前記少なくとも1つのセンサ要素(30)への無線接続を有する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセンサ要素が、誘導性センサ、静電容量センサ、音響センサ、放射センサ、光学センサ、磁気センサ、電気センサ、圧力センサ、振動センサ、渦電流センサ、機械センサ、及び画像センサの群から選択されるセンサを有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
ドラム置換式洗浄機の少なくとも1つのシール・バー(20)と回転ドラム(10)との間の距離を調整するための方法であって、
前記少なくとも1つのシール・バー(20)と前記回転ドラム(10)との間の距離を少なくとも1つのセンサ要素(30)によって測定するステップであって、前記少なくとも1つのセンサ要素(30)は、前記回転ドラムの内部に配置され、且つ前記回転ドラム(10)の外面と前記少なくとも1つのシール・バー(20)との間の前記距離を示す信号を提供するように構成されている、ステップと、
前記回転ドラム(10)の外部に前記信号を伝達するように構成された信号伝達要素(50)によって、前記回転ドラムの外部に前記信号を伝達するステップと、
前記信号に基づいて距離を決定するステップと、
前記決定された距離に基づいて、少なくとも1つのシール・バー(20)と回転ドラム(10)との間の距離を調整するステップと
を含む方法。
【請求項6】
ドラム置換式洗浄機の少なくとも1つのシール・バー(20)と回転ドラム(10)との間の距離を調整するための制御システムであって、
請求項5に記載の前記方法を前記制御システムに実行させるように構成された少なくとも1つのプロセッサを有する制御要素(200)と、
前記少なくとも1つのシール・バー(20)と前記回転ドラム(10)との間の前記距離を調整するために前記少なくとも1つのシール・バー(20)を移動させるように構成された少なくとも1つの調整要素(40)と
を有し、
前記制御システムが、請求項1から4までのいずれか一項に記載の装置を有することを特徴とする制御システム。
【請求項7】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の前記装置、及び/又は
請求項6に記載の前記制御システム
を有することを特徴とするドラム置換式洗浄機。
【請求項8】
実行時に、請求項5に記載の方法をコンピュータに実行させる、コンピュータで実行可能なプログラム・コードを有するコンピュータ・プログラム。
【請求項9】
請求項8の前記コンピュータ・プログラムを有する非一時的な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄機シール制御のための方法及び装置に関する。特に、それだけに限らないが、本発明は、ドラム置換式洗浄機(Drum Displacement Washer;DDウォッシャー)のシール・バーの制御に関する。特に、それだけに限らないが、本発明は、ドラムと一体化された距離センサを使用するドラム置換式洗浄機のシール・バーの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
ドラム置換式洗浄機において、洗浄されるパルプは、回転ドラムの表面リブ上にケーキを形成し、洗浄水がいくつかの段階でケーキに供給される。ドラムの軸方向に取り付けられ、ドラムの表面に向かって当接するシール・バーを使用して、ドラムの表面は、さまざまなセクションに分割される。
【0003】
ドラムの表面に対するシール・バーの配置は、伝統的に、洗浄機の起動前に手動で行われることが多い。シール・バーの配置は、シールの有効性、洗浄機の部品の摩耗、及びエネルギー消費に影響を及ぼす。
【0004】
シールの位置の自動調整は、以前に、特許公報の米国特許第8,303,770(B2)号に開示されており、その特許公報では、シールに作用する力が測定され、測定された力に基づいてシールの位置が調整される。力センサは、ドラムの外部に配置されている。
【0005】
本発明の目的は、従来の解決策を緩和する装置によりドラム表面からのシール・バーの距離を測定することによって、洗浄機の効率化を図ることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施例のさまざまな態様が、特許請求の範囲に記載されている。
【0008】
本発明の第1の例示的な態様によれば、ドラム置換式洗浄機の少なくとも1つのシール・バーと回転ドラムとの間の距離を測定するための装置が提供され、その装置は、
回転ドラムの内部に配置され、回転ドラムの外面と少なくとも1つのシール・バーとの間の距離を示す信号を提供するように構成された少なくとも1つのセンサ要素と、
回転ドラムの外部に信号を伝達するように構成された信号伝達要素と、を有する。
【0009】
信号伝達要素は、回転ドラムの一端にあるスリップ・リングと、少なくとも1つのセンサ要素から信号伝達要素への有線接続とを有していてもよい。
【0010】
信号伝達要素は、少なくとも1つのセンサ要素への無線接続を有していてもよい。
【0011】
少なくとも1つのセンサ要素は、誘導性センサ、静電容量センサ、音響センサ、放射センサ、光学センサ、磁気センサ、電気センサ、圧力センサ、振動センサ、渦電流センサ、機械センサ、及び画像センサのグループから選択されたセンサを有していてもよい。
【0012】
本発明の第2の例示的な態様によれば、ドラム置換式洗浄機の少なくとも1つのシール・バーと回転ドラムとの間の距離を調整する方法が提供され、その方法は、
少なくとも1つのシール・バーと回転ドラムとの間の距離を、回転ドラムの内部に配置され、回転ドラムの外面と少なくとも1つのシール・バーとの間の距離を示す信号を提供するように構成された少なくとも1つのセンサ要素によって測定するステップと、
信号に基づいて距離を決定する回転ドラムの外部に信号を伝達するように構成された信号伝達要素によって、回転ドラムの外部に信号を伝達するステップと、
決定された距離に基づいて、少なくとも1つのシール・バーと回転ドラムとの間の距離を調整するステップと、を有する。
【0013】
本発明の第3の例示的な態様によれば、ドラム置換式洗浄機の少なくとも1つのシール・バーと回転ドラムとの間の距離を調整するための制御システムが提供され、そのシステムは、
制御システムに本発明の第2の例示的な態様による方法を実行させるように構成された少なくとも1つのプロセッサを有する制御要素と、
少なくとも1つのシール・バーと回転ドラムとの間の距離を調整するために、少なくとも1つのシール・バーを移動させるように構成された少なくとも1つの調整要素と、を有し、
制御システムは、本発明の第1の例示的な態様による装置を有する。
【0014】
本発明の第4の例示的な態様によれば、ドラム置換式洗浄機が提供され、ドラム置換式洗浄機は、
本発明の第1の例示的な態様による装置、及び/又は、
本発明の第3の例示的な態様による制御システムを有する。
【0015】
本発明の第5の例示的な態様によれば、実行時に、本発明の第2の例示的な態様による方法をコンピュータに実行させる、コンピュータ実行可能なプログラム・コードを有するコンピュータ・プログラムが提供される。
【0016】
本発明の第6の例示的な態様によれば、本発明の第5の例示的な態様によるコンピュータ・プログラムを有する非一時的な記憶媒体が提供される。
【0017】
前述又は後述の任意の記憶媒体は、データ・ディスク若しくはディスケット、光記憶装置、磁気記憶装置、ホログラフィック記憶装置、光磁気記憶装置、相変化メモリ、抵抗ランダム・アクセス・メモリ、磁気ランダム・アクセス・メモリ、固体電解質メモリ、強誘電体ランダム・アクセス・メモリ、有機メモリ、又はポリマー・メモリなどのデジタル・データ記憶装置を有していてもよい。記憶媒体は、メモリを記憶する以外の実質的な機能を持たないデバイス内に形成されてもよいし、コンピュータのメモリ、チップ・セット、及び電子機器のサブ・アセンブリを含むがこれらに限定されない他の機能を有するデバイスの一部として形成されてもよい。本明細書の文脈において、「記憶媒体」は、コンピュータなどの命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって又はそれらに関連して使用するための命令を包含、記憶、通信、伝播、又は伝送することができる任意の非一時的な媒体若しくは手段であり得る。
【0018】
本発明のさまざまな強制力のない例示的な態様及び実施例は、上記で説明されている。前述の実施例は、本発明の実施において利用することができる選択された態様又はステップを説明するためにのみ使用される。いくつかの実施例は、本発明の特定の例示的な態様を参照してのみ提示され得る。対応する実施例は、他の例示的な態様にも適用することができることを理解されたい。
【0019】
本発明の例示的な実施例をより完全に理解するために、添付図面と関連して以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の例示的な一実施例による洗浄機の概略ブロック図を示す。
【
図2】本発明の例示的な一実施例による洗浄機のシール・バー装置の概略図を示す。
【
図3】本発明の例示的な一実施例による洗浄機の概略断面図を示す。
【
図4】本発明の例示的な一実施例による測定装置の概略図を示す。
【
図5】本発明の例示的な一実施例による方法のフロー・チャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の例示的な一実施例による洗浄機100の概略ブロック図を示し、洗浄機100は、ドラム置換式洗浄機である。洗浄機100は、回転ドラム10と少なくとも1つのシール・バー20とを有する。洗浄機100は、少なくとも1つのシール・バー20と回転ドラム10との間の距離を測定するための装置をさらに有する。
図1は単一のシール・バーを示しているが、一実施例では、洗浄機100は、例えば、4つ又は6つのシール・バーを有する。
【0022】
洗浄機は、シール・バー20を作動させるための調整要素40を有する。調整要素40は、少なくとも1つのシール・バー20と回転ドラム10との間の距離を調整するために、少なくとも1つのシール・バー20を移動させるように構成される。
【0023】
測定するための装置は、少なくとも1つのセンサ要素30a~30cを有し、それらは、回転ドラム10の内部に配置され、回転ドラム10の外面と少なくとも1つのシール・バーとの間の距離を示す信号を提供するように構成される。
図1は、3つのセンサ要素30a~30cを示しているが、一実施例では、洗浄機100は、少なくとも1つのセンサ要素、又は、例えば4つ若しくは6つのセンサ要素を有する。
【0024】
測定するための装置は、ドラム10の外部の少なくとも1つのセンサ要素から信号を伝達するように構成された信号伝達要素50をさらに有する。信号伝達要素50は、有線又は無線接続によって少なくとも1つのセンサ要素30a~30cに接続される。一実施例では、信号伝達要素50は、有線接続によって少なくとも1つのセンサに接続され、スリップ・リングと、少なくとも1つのセンサ要素30a~30cから信号伝達要素50への有線接続とを有する。さらなる実施例では、信号伝達要素50は、無線接続によって、例えばWi-Fi又はBluetooth接続などの無線インターネット接続を使用して、少なくとも1つのセンサ要素30a~30cに接続される。無線接続を伴う一実施例では、回転ドラム内の要素は、バッテリ・ユニットによって、例えば、長寿命バッテリ・ユニットによって電力供給される。
【0025】
信号伝達要素50は、従来の方法で、有線又は無線接続によって制御要素200にさらに接続される。制御要素200は、一実施例では、独立型制御要素として洗浄機内に有る。さらなる実施例では、制御要素は、プラント自動化システムのようなより大きなシステムと統合される。さらに別の実施例では、制御要素200の機能性は、信号伝達要素50が接続されるクラウド・サービスなどのリモート・サービスに存在する。
【0026】
制御要素200は、洗浄機の動作を制御し、計算を実行し、本発明による方法のステップを実行させるように構成された電子機器を有する。制御要素200は、一実施例では、メモリと少なくとも1つのプロセッサとを有する。プロセッサは、一実施例では、洗浄機100を制御するように、且つ、メモリ内にデータを記憶させるように構成される。プロセッサは、メモリに記憶された非一時的なコンピュータ・プログラム・コードを使用して、制御要素200及び洗浄機100の動作の制御を引き起こすように構成される。
【0027】
さらなる実施例では、制御要素200は、信号伝達ユニットへの有線若しくは無線接続を有し、一実施例では、さらなる制御要素への、プラント自動化システムへの、又は、クラウド・サービスなどのリモート・サービスへの有線若しくは無線接続を有する通信ユニットを有する。
【0028】
さらなる実施例では、制御要素200は、例えば、測定結果又はさらなる情報を示すための、及びユーザ入力を受信するためのディスプレイ又はタッチ・ディスプレイを有するユーザ・インタフェース・ユニットを有する。さらに別の実施例では、制御要素200は、ラップ・トップ・コンピュータ、タブレット・コンピュータ若しくはパーソナル・コンピュータなどのパーソナル電子機器を有し、又はそれらの中に有り、測定装置と協働するように構成される。さらに、一実施例では、制御要素200は、電源など、
図1に示されていないさらなる要素を有する。
【0029】
一実施例では、洗浄機は、回転ドラム10の回転速度を検出するように構成された回転センサ60をさらに有する。回転センサ60は、有線又は無線接続で制御要素200に接続される。さらに別の実施例では、洗浄機は、さらなるセンサ及び/又はトランスデューサを有し、それらは、一実施例では、制御要素200に接続される。
【0030】
図2は、本発明の例示的な一実施例によるシステムのシール・バー装置の概略図を示す。
図2は、回転ドラム10(
図2では図示せず)の軸方向に延在し、その表面に向かって当接するシール・バー20を示す。シール・バー装置は、少なくとも1つのシール・バー20と回転ドラム10との間の距離を調整するために、少なくとも1つのシール・バー20を移動させるように構成された調整要素40を有する。
【0031】
調整要素40は、一実施例では、アクチュエータ22と、アクチュエータからの力を、シール・バーを移動させるように構成された要素に伝達するための歯車要素24とを有する。一実施例では、アクチュエータ22は、モータ、例えば電動モータを有する。さらなる実施例では、アクチュエータ22は、油圧装置又は空気圧装置を有する。
【0032】
図3は、本発明の例示的な一実施例による洗浄機の概略断面図を示す。
図3は、回転ドラム10と、洗浄機のフレーム又はケーシング70とを示す。
図3は、調整要素40a~40f及びシール・バー20a~20fを示す。シール・バー20a~20fは、回転ドラム10の表面に向かって当接し、それゆえに、ドラムの表面をパルプの洗浄のためにシールすること及び異なるセクション又はゾーンに分割することに影響を与える。
図3は、6つのシール・バー20a~20fを示しているが、シール・バーの数は、一実施例では、ドラム置換式洗浄機100の所望の属性に応じて異なることに留意されたい。
【0033】
図4は、本発明の例示的な一実施例による測定装置の概略図である。
図4は、回転ドラム10のセクションを示しており、回転ドラム10のセクションは、その表面上に分割バー又はリブ14と、動作中にパルプのケーキ90が最上部に形成される多孔表面板12とを有する。ドラム10の表面のセクションは、説明のために真っすぐに描かれているが、実際には湾曲していることを当業者は理解する。
図4は、洗浄水を有する領域80をさらに示す。少なくとも1つのシール・バー20は、パルプ・ケーキ90及びドラムの表面に向かって当接し、表面を異なるセクション又はゾーンに分割する。
【0034】
シール・バー20がドラム10の表面及びリブ14に近すぎる場合、部品が摩耗し、必要なトルクが増大するため、ドラムの回転により多くのエネルギーを消費することになる。一方、シール・バー20がドラム10の表面及びリブ14から離れすぎている場合、シール効果が十分に実現されず、洗浄効率は低下する。したがって、ドラム表面とシール・バー20との間の距離は、本発明の実施例に従って測定され、調整される。
【0035】
距離の調整は、一実施例では、アクチュエータ22(
図4では図示せず)によって、歯車要素24を介して作動される調整バー26によって実行される。当業者は、異なるタイプの既知の調整機構が、距離を調整するためにシール・バーを移動させるために、さらなる実施例で使用されることを理解する。
【0036】
測定装置は、回転ドラム10の外面と、少なくとも1つのシール・バーとの間の距離を示す信号を提供するように構成された少なくとも1つのセンサ要素30を有する。一実施例では、センサ要素30は、ドラム10の内面に存在し、表面に垂直な方向に向けられている。一実施例では、センサ要素30は、シール・バー20を通過するたびに短いパルスなどのシール・バーに距離を示す信号を提供する。さらなる実施例では、センサ要素30は、距離を示す電圧など、距離を示す連続信号を提供する。少なくとも1つのセンサ要素からの信号は、前述のように信号伝達要素50を介してドラム10の外部に伝達される。
【0037】
少なくとも1つのセンサ要素は、距離センサ、すなわち、測定される距離を示す信号を提供するように構成されたセンサを有する。一実施例では、少なくとも1つのセンサ要素は、誘導性センサを有する。さらなる実施例では、少なくとも1つのセンサ要素は、誘導性センサ、静電容量センサ、音響センサ、放射センサ、光学センサ、磁気センサ、電気センサ、圧力センサ、振動センサ、渦電流センサ、機械センサ、及び画像センサのグループから選択されたセンサを有する。さらに別の実施例では、シール・バー20は、距離を示す信号を提供するために、少なくとも1つのセンサ要素30によって検出される要素又は材料を有する。少なくとも1つのセンサ要素30は、洗浄機の動作を妨げないように、回転ドラム10の内部に配置される。一実施例では、少なくとも1つのセンサ要素30は、回転ドラム10の内面に、又は内面の近くに配置される。一実施例では、センサは、その環境から保護構造によって保護されている。
【0038】
洗浄機100は、一実施例では、複数のセンサ要素を有する。一実施例では、複数のセンサ要素30は、ドラム10の軸方向に分布しており、その結果、距離を示す信号は、シール・バー20のさまざまな位置から提供される。さらに別の実施例では、複数のセンサ要素30は、軸方向の分布に加えて又はその代わりに、ドラムの周囲に分布し、その結果、ドラムが回転するごとに各シール・バーの距離を示すいくつかの信号が提供される。
【0039】
一実施例では、回転センサ60(
図4には図示せず)からの信号は、複数のセンサ要素のうちのどのセンサ要素30がどの位置にあるかを決定する際に使用される。さらに別の実施例では、少なくとも1つのセンサ要素30からの信号は、距離に加えて、ドラム10の回転速度を決定する際に使用される。
【0040】
図5は、本発明の例示的な一実施例による方法のフロー・チャートを示す。この方法は、制御要素200によって実行される。すなわち、制御要素のプロセッサが、この方法を実行させる。ステップ510では、洗浄機は動作中であり、回転ドラム10は回転する。ステップ520では、少なくとも1つのシール・バー20と回転ドラム10との間の距離を示す信号は、少なくとも1つのセンサ要素30によって提供される。ステップ530では、信号は、信号伝達要素50によって、回転ドラム10の外部で制御要素200へ伝達される。ステップ540では、少なくとも1つのシール・バー20と回転ドラム10との間の距離が決定される。ステップ550では、少なくとも1つのシール・バー20と回転ドラム10との間の距離は、距離を調整する必要があると決定された場合、調整要素40を使用して調整される。当業者は、このような決定のために共通の制御システムが使用されることを理解する。ステップ520からステップ550は、必要に応じて繰り返される。
【0041】
以下に現れる請求項の範囲、解釈、又は適用を何ら限定することなく、本明細書に開示される例示的な実施例の1つ又は複数の技術的効果は、シール・バーを手動で調整する必要がないため、洗浄機の起動がより容易であることである。本明細書に開示される例示的な実施例の1つ又は複数の別の技術的効果は、シール効果の向上による、化学物質の消費量及び蒸発費用の削減である。本明細書に開示される例示的な実施例の1つ又は複数の別の技術的効果は、構成要素の、特にドラム・リブ及びシール・バーの摩耗が少ないことである。本明細書に開示される例示的な実施例の1つ又は複数のさらに別の技術的効果は、エネルギー消費量が低いことである。本明細書に開示される例示的な実施例の1つ又は複数のさらに別の技術的効果は、洗浄機の組み立て及び/又はメンテナンスにおけるシール・バーの位置決めがより容易なことである。
【0042】
本発明の実施例は、ソフトウェア、ハードウェア、アプリケーション論理、又は、ソフトウェア、ハードウェア、及びアプリケーション論理の組み合わせで実施することができる。例示的な一実施例では、アプリケーション論理、ソフトウェア、又は命令セットは、さまざまな従来のコンピュータ可読媒体のいずれか1つで維持される。本明細書の文脈では、「コンピュータ可読媒体」は、上記で説明及び図示された適切な装置の実例を用いて、命令実行システム、装置若しくはデバイスによって、又はそれらに関連して使用するための命令を包含、記憶、通信、伝播、又は伝送することができる任意の媒体又は手段であり得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータなどの命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって、又はそれらに関連して使用するための命令を包含又は記憶することができる任意の媒体又は手段であり得るコンピュータ可読記憶媒体を有する。
【0043】
必要に応じて、本明細書に説明されるさまざまな機能は、異なる順序で及び/又は互いに同時に実行することができる。さらに、必要に応じて、前述の機能の1つ又は複数は、任意選択であってもよいし、組み合わされていてもよい。
【0044】
本発明のさまざまな態様が独立請求項に記載されているが、本発明の他の態様は、記載された実施例及び/又は従属請求項からの特徴と独立請求項の特徴との他の組み合わせを有し、特許請求の範囲に明示的に記載された組み合わせだけではない。
【0045】
本明細書では、上記で本発明の例示的な実施例を説明したが、これらの説明は、限定的な意味で見るべきではないことにも留意されたい。むしろ、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、いくつかの変形及び修正を行うことができる。