(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】ピロロピリジン誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20241017BHJP
C07D 403/06 20060101ALI20241017BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20241017BHJP
A61K 31/437 20060101ALN20241017BHJP
【FI】
C07D471/04 104Z
C07D403/06 CSP
A61P31/12
A61K31/437
(21)【出願番号】P 2023541770
(86)(22)【出願日】2021-01-11
(86)【国際出願番号】 KR2021000301
(87)【国際公開番号】W WO2022149638
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】513180473
【氏名又は名称】エスティ ファーム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】金慶鎭
(72)【発明者】
【氏名】金旭鎰
(72)【発明者】
【氏名】パン,ヒョンテ
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-511482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(S-1)以下の化学式1で表される化合物またはその塩および以下の化学式2で表されるブタノン誘導体を環化反応させて、以下の化学式3で表される化合物を製造する第1段階;
(S-2)以下の化学式3で表される化合物およびアセトピルビン酸誘導体を環化反応させて、以下の化学式4で表される化合物を製造する第2段階;
(S-3)キラル還元反応により、以下の化学式4で表される化合物から以下の化学式5で表される化合物を製造する第3段階;
(S-4)アルキル化反応により、以下の化学式5で表される化合物から以下の化学式6で表される化合物を製造する第4段階;および
(S-5)加水分解反応により、以下の化学式6で表される化合物から以下の化学式Iで表される化合物を製造する第5段階;
を含むピロロピリジン誘導体の製造方法:
【化1】
前記化学式中、
Xは、Cl、BrまたはIであり、
Rは、C
1-4アルキルである。
【請求項2】
前記化学式1で表される化合物の塩は塩酸塩である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記XはClである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記(S-1)段階は、析出された化学式3で表される化合物を分離または精製する工
程をさらに含むものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記(S-2)段階は、アセトピルビン酸エチルと反応させるものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記(S-3)段階は、(R)-(+)-2-メチル-CBS-オキサザボロリジンおよびカテコールボランと反応させるものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記(S-3)段階は、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)ジクロリドダイマーおよび(1S,2S)-N-(p-トルエンスルホニル)-1,2-ジフェニルエタンジアミンと反応させるものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記(S-4)段階は、tert-ブチルアセテートまたはイソブテンと反応させるものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記(S-4)段階は、過塩素酸下で行われるものである、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記(S-5)段階は、塩基性加水分解反応である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
以下の化学式3で表される化合物またはその塩:
【化2】
【請求項12】
以下の化学式4で表される化合物またはその塩:
【化3】
前記化学式中、
Rは、C
1-4アルキルである。
【請求項13】
以下の化学式5で表される化合物またはその塩:
【化4】
前記化学式中、
Rは、C
1-4アルキルである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス活性を示すピロロピリジン誘導体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エイズ(Acquired Immunodeficiency Syndrome;AIDS)は、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus;HIV)の感染によって引き起こされる。AIDS治療には、HIVの作用機序により、酵素阻害剤が開発されており、作用点によって核酸系逆転写酵素阻害剤(Nucleoside Reverse Transcriptase Inhibitor:NRTI)、プロテアーゼ阻害剤(Protease Inhibitor:PI)、融合阻害剤(Fusion Inhibitor)、インテグラーゼ阻害剤(Integrase Inhibitor)に分類される。逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤および融合阻害剤は、副作用、薬物相互作用、薬剤耐性発現などの問題点があるため、インテグラーゼ阻害剤の開発が活発に進められている。
【0003】
インテグラーゼ阻害剤には、その機序により、Catalytic site阻害剤とNon-catalytic site阻害剤とに区分される。Catalytic siteインテグラーゼ阻害剤は、ラルテグラビル(Raltegravir)が代表的な薬物である。Non-catalytic siteインテグラーゼ阻害機序は、Zeger Debyserなどによって紹介されており(Frauke Christ、Zeger Debyser at al.、Nature Chemical Biology、2010、Vol.6、442)、開発に成功した薬はまだない。
【0004】
ところが、Catalytic siteインテグラーゼ阻害剤であるラルテグラビルも同様に薬剤耐性の発現が発見された。HIVは、治療薬の服用を中止すると、潜伏していたHIVが再活性化し、耐性が発生し、服用中の治療剤としてはこれ以上の効果が得られないため、薬剤耐性が発現する問題を解決することができる治療薬として、Non-catalytic siteインテグラーゼ阻害剤の開発が試みられている。特に、以下の化学式Iのピロロピリジン誘導体がNon-catalytic siteインテグラーゼ阻害剤として知られている。
【0005】
【0006】
国際公開特許WO2013/073875には、前記化学式Iの化合物を直接開示されてはいないが、化学式Iの化合物を含む誘導体の製造方法が開示されている。ただし、化学式Iの化合物と類似する誘導体を得るためには、多数の段階(全16段階)を経なければならないため、大量生産に適していない。
【0007】
また、国際公開特許WO2018/174320には、化学式Iの化合物およびその製造方法が直接開示されている。しかし、その製造方法は、国際公開特許WO2013/073875に開示された製造方法をそのまま従ったものであり、全ての段階は、カラム精製が必要なため、大量生産に適していない。
【0008】
したがって、上記のような非効率的な製造方法を改善し、化学式Iのピロロピリジン誘導体化合物を高収率および高純度で製造することができる新規な製造方法の開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開2013/073875号
【文献】国際公開2018/174320号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、高純度および高収率でピロロピリジン誘導体を製造することができるため、生産単価を低減させ、効率的な工程段階を通じて大量生産に適した製造方法を提供するものである。
【0011】
また、本発明の他の目的は、前記製造方法に用いられる新規な中間体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下の化学式Iで表されるピロロピリジン誘導体を製造する方法を提供する。
【化2】
【0013】
具体的には、本発明の製造方法は、以下の(S-1)段階~(S-5)段階を含む。
【0014】
(S-1)以下の化学式1で表される化合物またはその塩および以下の化学式2で表されるブタノン誘導体を環化反応させて、以下の化学式3で表される化合物を製造する第1段階;
(S-2)以下の化学式3で表される化合物およびアセトピルビン酸誘導体を環化反応させて、以下の化学式4で表される化合物を製造する第2段階;
(S-3)キラル還元反応により、以下の化学式4で表される化合物から以下の化学式5で表される化合物を製造する第3段階;
(S-4)アルキル化反応により、以下の化学式5で表される化合物から以下の化学式6で表される化合物を製造する第4段階;および
(S-5)加水分解反応により、以下の化学式6で表される化合物から以下の化学式Iで表される化合物を製造する第5段階;
【化3】
前記化学式中、Xは、Cl、BrまたはIであり、Rは、C
1-4アルキルである。
【0015】
国際公開公報WO2013/073875および国際公開公報WO2018/174320に開示された製造方法によれば、前記化学式Iで表される化合物を全16段階の工程を経るため、大量生産に適していない。しかし、本発明の製造方法によれば、前記(S-1)段階~(S-5)段階の全5段階だけで前記化学式Iで表される化合物を製造することができるため、大量生産に適用することができる。
【0016】
また、前記(S-1)段階~(S-4)段階にて製造された化学式3~6で表される化合物は、全部化学式Iで表されるピロロピリジン誘導体化合物を製造するのに有用な中間体である。
【0017】
以下では、前記(S-1)段階~(S-5)段階をそれぞれに分けて説明する。
【0018】
(S-1)段階
【0019】
本発明において、(S-1)段階は、化学式1で表されるピラゾール誘導体化合物またはその塩および化学式2で表されるブタノン誘導体を環化反応させて、化学式3で表されるピロール環誘導体化合物を製造する段階である(反応式1)。
【化4】
前記
反応式中、Xは、Cl、BrまたはIであり、Rは、C
1-4アルキルである。
【0020】
本発明の具体例によれば、前記反応は(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)メタンアミン塩酸塩をブタノン誘導体(例えば、3-クロロブタン-2-オン)と4-クロロベンゾイルアセトニトリル化合物と共に反応させる環化反応により行うことができる。
【0021】
前記反応には、環化反応に通常用いられる有機溶媒を使用することができる。例えば、前記溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert-ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アセトンまたはこれらの混合物を使用することができる。具体的には、エタノールを使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0022】
また、前記反応は30~60℃で行われることができ、より具体的には35~45℃で行われることができるが、これに制限されるものではない。
【0023】
前記反応以降、生成物を分離または精製する段階のうちの一つ以上をさらに行うことができるが、これに制限されるものではない。例えば、本発明の実施例では、前記反応の生成物を有機溶媒であるトルエンに攪拌し、高い純度の生成物を得た。
【0024】
(S-2)段階
【0025】
本発明において、(S-2)段階は、化学式3で表されるピロール誘導体化合物を出発物質として環化反応により、化学式4で表されるピロロピリジン誘導体化合物を製造する段階である(反応式2)。
【化5】
[反応式2]
前記反応式中、Rは、C
1-4アルキルである。
【0026】
本発明の具体例によれば、前記反応は、アセトピルビン酸エチルと反応させて、化学式4で表される化合物を製造することができる。この時、Rはエチルである。
【0027】
前記反応に用いられる酸としては、塩酸、アセチルクロリド、硫酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸またはこれらの混合物を使用することができる。具体的には、塩酸を使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0028】
また、前記反応には、環化反応に通常用いられる有機溶媒を使用することができる。このとき、前記有機溶媒としては、エタノール、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはこれらの混合物を使用することができる。具体的にはアセトニトリルを使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0029】
また、前記反応には40~80℃で、より具体的には60~65℃で行われることができるが、これに制限されるものではない。
【0030】
(S-3)段階
【0031】
本発明において、(S-3)段階は、キラル還元反応により化学式4で表されるピロロピリジン誘導体化合物のケトン基を還元させて、化学式5で表されるキラルアルコール構造を含むピロロピリジン誘導体化合物を製造する段階である(反応式3)。
【化6】
[反応式3]
前記反応式中、Rは、C
1-4アルキルである。
【0032】
本発明の具体例によれば、(R)-(+)-2-メチル-CBS-オキサザボロリジンおよびカテコールボランの組み合わせを用いてキラル還元反応を行うことができる。
【0033】
また、本発明の他の具体例によれば、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)ジクロリドダイマーおよび(1S,2S)-N-(p-トルエンスルホニル)-1,2-ジフェニルエタンジアミンの組み合わせを用いてキラル還元反応を行うことができる。
【0034】
前記反応には、キラル還元反応に通常用いられる有機溶媒を使用することができる。例えば、前記有機溶媒としては、トルエン、アセトニトリルまたはこれらの混合物を使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0035】
また、前記反応は-10~10℃で、より具体的には-5~5℃で行われることができるが、これに制限されるものではない。
【0036】
(S-4)段階
【0037】
本発明において、(S-4)段階は、化学式5で表されるピロロピリジン誘導体化合物においてキラルアルコールをアルキル化反応させて、化学式6で表されるピロロピリジン誘導体化合物を製造する段階である(反応式4)。
【化7】
前記反応式中、Rは、C
1-4アルキルである。
【0038】
本発明の具体例によれば、tert-ブチルアセテートを用いてアルキル化反応を行うことができる。この時、前記反応は、過塩素酸下で行うことができるが、これに制限されるものではない。
【0039】
本発明の他の具体例によれば、イソブテンを用いてアルキル化反応を行うことができる。この時、前記反応も同様に過塩素酸下で行うことができるが、これに制限されるものではない。
【0040】
前記反応には、アルキル化反応に通常用いられる有機溶媒を使用することができる。例えば、前記有機溶媒としては、ハロゲン化溶液を使用することができ、特にジクロロメタン溶液を使用することができる。ただし、これに制限されるものではない。
【0041】
また、前記反応は、-5~30℃で行われることができ、より具体的には、-5~20℃で行われることができるが、これに制限されるものではない。
【0042】
(S-5)段階
【0043】
本発明において、(S-5)段階は、化学式6で表されるエステル化合物を加水分解反応により、化学式Iで表されるカルボン酸化合物を製造する段階である(反応式5)。
【化8】
前記
反応式中、Rは、C
1-4アルキルである。
【0044】
本発明の具体例によれば、前記加水分解反応は、塩基性加水分解反応であってもよい。前記反応に用いられる塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであってもよく、具体的には、水酸化ナトリウムであってもよい。ただし、これに制限されるものではない。
【0045】
前記反応には、加水分解反応に通常用いられる有機溶媒を使用することができる。このとき、前記有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、水溶液またはこれらの混合物を使用することができる。具体的にはテトラヒドロフランとメタノールの混合物を使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0046】
また、前記反応は20~80℃で行われることができ、より具体的には40~50℃で行われることができるが、これに制限されるものではない。
【発明の効果】
【0047】
本発明の製造方法は、効率的な工程の開発により反応段階を減らし、高純度および高収率でピロロピリジン誘導体化合物を製造することができるため、生産単価を大きく低減させることができることから、経済的で大量生産に適している。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、以下の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0049】
実施例
【0050】
本発明の実施例では、以下の反応式Iに従って化学式Iで表されるピロロピリジン誘導体化合物を製造した。
【化9】
【実施例1】
【0051】
実施例1:(2-アミノ-4,
5-ジメチル-1-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-1H-ピロール-3-イル)(4-クロロフェニル)メタノンの製造
【化10】
【0052】
(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)メタンアミン塩酸塩(10g、67.76mmol)をエタノール135mLに希釈し、ジイソプロピルエチルアミン(29.5mL、169.37mmol)、4-クロロベンゾイルアセトニトリル(13.38g、74.52mmol)を投入した後、反応液を35~40℃まで昇温させ攪拌した。3-クロロブタン-2-オン(10.3mL、101.62mmol)を30分以上ゆっくり滴下した後、35~40℃を維持し、3時間攪拌した。反応が終了した後、10℃まで冷却し、水400mLを滴下した後、30分間攪拌した。析出された結晶を濾過し、得られた固体をトルエン200mLに希釈した後、40℃で30分間攪拌した。15℃まで徐々に冷却し、30分間攪拌した後、濾過し、減圧乾燥し、標題化合物(17.98g、77%)を得た。
【0053】
1H-NMR 400 Hz(DMSO-d6):7.58(s、1H)、7.45-7.43(m、2H)、7.35-7.33(m、3H)、7.18(s、2H)、4.80(s、2H)、3.78(s、3H)、1.99(s、3H)、1.36(s、3H);
LCMS:m/z 343.1 [M+1]。
【実施例2】
【0054】
実施例2:エチル2-(4-(4-クロロフェニル)-2,3,
6-トリメチル-1-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-2-オキソアセテートの製造
【化11】
【0055】
実施例1にて製造された(2-アミノ-4,5-ジメチル-1-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-1H-ピロール-3-イル)(4-クロロフェニル)メタノン(17.6g、51.34mmol)をアセトニトリル103mLに希釈した後、窒素下でアセトピルビン酸エチル(10.81mL、77.00mmol)を投入した。反応液を攪拌しながら4M-塩酸ジオキサン溶液(38.5mL、154.01mmol)を滴下した後、62~65℃で20時間以上攪拌し、反応が終了したことをHPLCにより確認した。反応液を濃縮した後、0℃でエチルアセテート528mL、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液352mLで希釈した後、10分間攪拌し、常温で有機層を抽出した。分離した有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液352mLで2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、濾過し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート:ヘキサン=1:1)を用いて精製し、標題化合物(10.2g、42.7%)を得た。
【0056】
1H-NMR 400 Hz(CDCl3):7.43-7.37(m、3H)、7.26-7.22(m、3H)、5.34(s、2H)、3.86-3.83(m、5H)、2.69(s、3H)、2.32(s、3H)、1.63(s、3H)、1.12(t、J = 7.2 Hz、3H);
LCMS:m/z 465.1 [M+1]。
【実施例3】
【0057】
実施例3-1:エチル(S)-2-(4-(4-クロロフェニル)-2,3,6-トリメチル-1-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-2-ヒドロキシアセテートの製造
【化12】
【0058】
実施例2にて製造されたエチル2-(4-(4-クロロフェニル)-2,3,6-トリメチル-1-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-2-オキソアセテート(6.67g、14.35mmol)をトルエン48mLに希釈した後、窒素下で(R)-(+)-2-メチル-CBS-オキサザボロリジン(1Mトルエン溶液、5.74mL、5.74mmol)を投入した。反応物を-50℃まで冷却した後、カテコールボラン(1Mテトラヒドロフラン溶液、43.04mL、43.04mmol)を25分間ゆっくり滴下し、-10~-5℃で8時間攪拌した。反応終了後、ヘプタン267mLを滴下し、攪拌した。形成された固体を10分間攪拌した後、濾過した。得られた固体をメタノール100mLに溶解した後、15分間攪拌し、濃縮した。濃縮残渣をエチルアセテート200mLに溶解し、5~10℃まで冷却した後、炭酸ナトリウム水溶液66mLを滴下し、30分間攪拌した。分離した水層をエチルアセテート176mLで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、濾過し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標題化合物(2.2g、32.8%、ee:97%)を得た。
【0059】
1H-NMR 400 Hz(DMSO-d6):7.55-7.52(m、3H)、7.33-7.28(m、3H)、5.70(d、J = 3.6 Hz、1H)、5.31-5.18(m、2H)、4.98(d、J = 3.6 Hz、1H)、4.08-3.97(m、2H)、3.74(s、3H)、2.56(s、3H)、2.29(s、3H)、1.42(s、3H)、1.10(t、J = 6.8 Hz、3H);
LCMS:m/z 467.1 [M+1]。
【0060】
実施例3-2:
エチル(S)-2-(4-(4-クロロフェニル)-2,3,6-トリメチル-1-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-2-ヒドロキシアセテート(IV)の製造
【化13】
【0061】
実施例2にて製造されたエチル2-(4-(4-クロロフェニル)-2,3,6-トリメチル-1-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-2-オキソアセテート(11.71g、25.19mmol)をアセトニトリル84mLに希釈した後、窒素下でトリエチルアミン(7.02mL、50.4mmol)を投入し、10分間攪拌した。反応温度を-5℃以下まで下げた後、ギ酸(2.85mL、75.6mmol)をゆっくり滴下した。
【0062】
他の反応器に(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)ジクロリドダイマー(0.74g、1.2mmol)、(1S,2S)-N-(p-トルエンスルホニル)-1,2-ジフェニルエタンジアミン(1.1g、3.0mmol)、アセトニトリル27mLを投入し、約10分以上攪拌した。内部温度を0~5℃に維持しながら、トリエチルアミン(1.76mL、12.6mmol)を投入し、1時間攪拌した後、反応液に滴下した。内部温度-5~5℃で60時間反応を進めた。反応が終了した後、エチルアセテート210mL、精製水180mLを投入し、有機層を抽出した後、精製水で2回洗浄した。分離した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、Carbon filterを行い、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物(9.64g、82%、ee:99%)を得た。
【0063】
1H-NMR 400 Hz(DMSO-d6):7.55-7.52(m、3H)、7.33-7.28(m、3H)、5.70(d、J = 3.6 Hz、1H)、5.31-5.18(m、2H)、4.98(d、J = 3.6 Hz、1H)、4.08-3.97(m、2H)、3.74(s、3H)、2.56(s、3H)、2.29(s、3H)、1.42(s、3H)、1.10(t、J = 6.8 Hz、3H);
LCMS:m/z 467.1 [M+1]。
【実施例4】
【0064】
実施例4-1:エチル(S)-2-(tert-ブトキシ)-2-(4-(4-クロロフェニル)-2,3,6-トリメチル-1-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)アセテート(V)の製造
【化14】
【0065】
実施例3-1にて製造されたエチル(S)-2-(4-(4-クロロフェニル)-2,3,6-トリメチル-1-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-2-ヒドロキシアセテート(16g、34.26mmol)をジクロロメタン68.5mLに希釈し、窒素下でtert-ブチルアセテート456mLを投入した。反応液を0~5℃まで冷却し、70%過塩素酸(11.8mL、137.05mmol)を1時間ゆっくり滴下した後、徐々に温度を上げ、20℃で4時間攪拌した。反応液を0~5℃まで冷却し、ジクロロメタン480mL、飽和炭酸ナトリウム水溶液960mLに希釈した後、20分間攪拌し、有機層を分離した。分離した有機層を水240mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、濾過し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標題化合物(12.4g、69%、ee:99%)を得た。
【0066】
1H-NMR 400 Hz(DMSO-d6):7.61-7.53(m、3H)、7.42(dd、J = 8.2 Hz、J = 2 Hz、1H)、7.34(s、1H)、7.30(dd、J = 8.2 Hz、J = 2 Hz、1H)、5.28-5.18(m、2H)、4.98(s、1H)、4.10-4.02(m、2H)、3.74(s、3H)、2.62(s、3H)、2.29(s、3H)、1.41(s、3H)、0.91(s、9H);
LCMS:m/z 523.2 [M+1]。
【0067】
実施例4-2:エチル(S)-2-(tert-ブトキシ)-2-(4-(4-クロロフェニル)-2,3,6-トリメチル-1-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)アセテート(V)の製造
【化15】
【0068】
実施例3-1にて製造されたエチル(S)-2-(4-(4-クロロフェニル)-2,3,6-トリメチル-1-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)-2-ヒドロキシアセテート(7g、14.99mmol)を8%イソブテンジクロロメタン溶液(158.1mL、300mmol)に希釈した。-5~0℃まで冷却した後、70%過塩素酸(4.51mL、52.5mmol)を滴下し、5~10℃で24時間攪拌した。反応が終了した後、反応液に1N水酸化ナトリウム水溶液(55.5mL、57.7mmol)を-5~0℃で徐々に入れた後、10分間常温で攪拌した。有機層を水50mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、濾過し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物(6.46g、82%、ee:99%)を得た。
【0069】
1H-NMR 400 Hz(DMSO-d6):7.61-7.53(m、3H)、7.42(dd、J = 8.2 Hz、J = 2 Hz、1H)、7.34(s、1H)、7.30(dd、J = 8.2 Hz、J = 2 Hz、1H)、5.28-5.18(m、2H)、4.98(s、1H)、4.10-4.02(m、2H)、3.74(s、3H)、2.62(s、3H)、2.29(s、3H)、1.41(s、3H)、0.91(s、9H);
LCMS:m/z 523.2 [M+1]。
【実施例5】
【0070】
実施例5:(S)-2-(tert-ブトキシ)-2-(4-(4-クロロフェニル)-2,3,6-トリメチル-1-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)酢酸の製造
【化16】
【0071】
実施例4-1にて製造されたエチル(S)-2-(tert-ブトキシ)-2-(4-(4-クロロフェニル)-2,3,6-トリメチル-1-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)アセテート(13.5g、25.8mmol)をテトラヒドロフラン108mLとメタノール27mLに希釈した。水酸化ナトリウム(3.1g、77.4mmol)を投入した後、40~45℃で4時間攪拌した。反応が終了した後、減圧濃縮し、ジクロロメタン120mL、精製水60mLを投入した。0~5℃まで冷却した後、2N-塩酸水溶液でpH 4.5~5.0に調節した。有機層を分離した後、精製水60mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、濾過し、減圧濃縮した。得られた残渣にアセトニトリル30mLを投入し、5~10℃まで冷却し、3時間攪拌した。析出された結晶を濾過し、減圧乾燥し、標題化合物(9.25g、72%、ee:99%)を微白色の固体として得た。
【0072】
1H-NMR 400 Hz(DMSO-d6):7.60(dd、J = 8.4 Hz、J = 2.4 Hz、1H)、7.56-7.53(m、2H)、7.46(dd、J = 8 Hz、J = 2.4 Hz、1H)、7.35(s、1H)、7.30(dd、J = 8.4 Hz、J = 2.4 Hz、1H)、5.28-5.19(m、2H)、4.93(s、1H)、3.74(s、3H)、2.63(s、3H)、2.29(s、3H)、1.42(s、3H)、0.89(s、9H);
LCMS:m/z 495.2 [M+1]。
【0073】
以上、本発明の特定の部分を詳細に述べたところ、当業界の通常の知識を有する者にとって、このような具体的な技術は単に好ましい実施例に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の特許請求の範囲とそれらの等価物によって定義されるといえる。