(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】自転車用クラッチ式拡張ブレーキ
(51)【国際特許分類】
F16D 51/12 20060101AFI20241017BHJP
F16D 65/22 20060101ALI20241017BHJP
F16D 121/14 20120101ALN20241017BHJP
F16D 125/32 20120101ALN20241017BHJP
F16D 125/66 20120101ALN20241017BHJP
【FI】
F16D51/12
F16D65/22
F16D121:14
F16D125:32
F16D125:66
(21)【出願番号】P 2023550145
(86)(22)【出願日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 CN2022087574
(87)【国際公開番号】W WO2023168795
(87)【国際公開日】2023-09-14
【審査請求日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】202210216195.8
(32)【優先日】2022-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519196254
【氏名又は名称】唐澤交通器材(泰州)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】孫浙勇
(72)【発明者】
【氏名】毛海涛
(72)【発明者】
【氏名】唐文貴
(72)【発明者】
【氏名】曹玉栄
(72)【発明者】
【氏名】王雨斌
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107839825(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103223928(CN,A)
【文献】中国実用新案第207644554(CN,U)
【文献】中国実用新案第211107848(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/017755(US,A1)
【文献】特開2006-347412(JP,A)
【文献】特開平8-002471(JP,A)
【文献】特開平9-060664(JP,A)
【文献】米国特許第03085660(US,A)
【文献】中国実用新案第217048940(CN,U)
【文献】特開2015-215033(JP,A)
【文献】国際公開第2014/033818(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 51/12
F16D 65/22
F16D 121/14
F16D 125/32
F16D 125/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車用クラッチ式拡張ブレーキであって、ハウジング(10)と、プッシュロッド(20)と、クラッチ駆動装置(30)と、ブラケット本体(40)と、スライダー(50)と、締付けリング部(60)とを備え、
前記ブラケット本体(40)に環状台座(41)が設けられ、前記環状台座(41)の一側に位置決めバンプ(42)が設けられ、前記位置決めバンプ(42)は、断面が同心の環状扇形構造に構成され、前記スライダー(50)は、互いに隣接する2つの位置決めバンプ(42)同士の間に形成された取付部(45)内に配置され、前記位置決めバンプ(41)およびスライダー(50)の外側面に、締付けリング部(60)が装着される環状溝(61)が設けられ、前記クラッチ駆動装置(30)は、位置決めバンプ(42)とスライダー(50)とによって形成される内チャンバ内に配置され、
前記クラッチ駆動装置(30)は、駆動ディスク(31)と円柱形ローラ(32)とで構成され、前記駆動ディスク(30)の端面に、中心軸穴(311)と係止スロット(312)とが設けられ、前記駆動ディスク(30)の外側面に、円柱形ローラ(32)を収容するための円弧形状凹溝(313)が設けられ、前記円柱形ローラ(32)が回転可能にスライダー(50)の内側面と接触され、前記スライダー(50)の内側面は、環状台座(41)に対して垂直するように設けられる楔形状斜面構造(51)であり、
前記プッシュロッド(20)の一端にブレーキワイヤ接続部(21)が設けられ、前記プッシュロッド(20)の内端にフランジ構造(22)が設けられ、前記フランジ構造(22)は、円柱形ローラ(32)をカバーするように、クラッチ駆動装置(30)の端面を覆って取り付けられ、前記フランジ構造(22)に、中心貫通孔(23)と、係止スロット(312)に係合するための係止部(24)が設けられ、前記プッシュロッド(20)は、クラッチ駆動装置(30)がブラケット本体(40)の内チャンバに回転するように前記クラッチ駆動装置(30)を駆動し、前記円柱形ローラ(32)は、楔形状斜面構造(51)に沿って回転することでスライダー(50)を押し出せたり、締付けリング部(60)の作用により復帰したりすることで、ハブとの離脱・係合制動をする、ことを特徴とする自転車用クラッチ式拡張ブレーキ。
【請求項2】
前記環状台座(41)に、3~6個の位置決めバンプ(42)が均等に設けられ、前記位置決めバンプ(42)およびスライダー(50)の外側面は円弧面であり、前記円弧面は環状台座(41)の外側面と同面になるように設けられ、前記位置決めバンプ(42)の内側面と外側面は同心の円弧面構造である、ことを特徴とする請求項1に記載の自転車用クラッチ式拡張ブレーキ。
【請求項3】
前記位置決めバンプ(42)は、高さの異なる2つの構造が間隔をあけて環状台座(41)状に設けられ、前記位置決めバンプ(42)の頂面にはネジ穴(43)または柱状突起(44)が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の自転車用クラッチ式拡張ブレーキ。
【請求項4】
前記駆動ディスク(31)は、円盤状構造または中心対称の多角形構造であり、端面には2~5個の中心対称の係止スロット(312)が均等に設けられ、前記係止スロット(312)は、同心円弧状に沿う長穴構造のように設けられ、前記円弧形状凹溝(313)は、3~6個あり、且つ駆動ディスク(31)の外側面に均等且つ対称に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の自転車用クラッチ式拡張ブレーキ。
【請求項5】
前記フランジ構造(22)は、対称的に分布した円盤状または花弁状の構造に設けられ、前記円盤状または花弁状の構造の外縁には、2~5個の係止部(24)が設けられ、前記係止部(24)が前記フランジ構造(22)の面に対して垂直する方向に延在する、ことを特徴とする請求項1に記載の自転車用クラッチ式拡張ブレーキ。
【請求項6】
前記スライダー(50)の外側面に摩擦材が設けられ、前記楔形状斜面構造(51)によって、スライダー(50)の両端面が長辺端面(52)と短辺端面(53)とに分割される、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の自転車用クラッチ式拡張ブレーキ。
【請求項7】
前記ハウジング(10)には、中軸貫通孔(11)と、ブレーキワイヤ固定凸構造(12)と、車体固定位置決め部(13)と、プッシュロッド孔(14)と、固定孔(15)とが設けられ、前記ハウジング(10)がプッシュロッド(20)の外側を嵌合し、かつ固定孔(15)を介してブラケット本体(40)に脱着可能に接続される、ことを特徴とする請求項6に記載の自転車用クラッチ式拡張ブレーキ。
【請求項8】
前記プッシュロッド(20)にはリターンスプリングが設けられ、前記リターンスプリングの一端がプッシュロッド(20)に接続され、他端が柱状突起(44)に接続され、前記リターンスプリングが締付けリング部(60)と協働して、スライダー(50)をハブから分離させ、係合制動させる、ことを特徴とする請求項7に記載の自転車用クラッチ式拡張ブレーキ。
【請求項9】
前記締付けリング部(60)は円形のリターンスプリングであり、前記プッシュロッド(20)のブレーキワイヤ接続部とブレーキワイヤ固定凸構造(12)との間にリターンスプリングが設けられる、ことを特徴とする請求項8に記載の自転車用クラッチ式拡張ブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ装置の技術分野に属し、特に、自転車用クラッチ式拡張ブレーキに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自転車や電動自転車に使用される拡張ブレーキでは、カムシャフトに摩擦材が取り付けられ、プッシュロッドによりカムシャフトが連続的に往復回転駆動されることで、拡張ブレーキの摩擦材の一端を押し付け、その摩擦材組立体がタイヤとともに回転するブレーキハブにこすりつけて制動効果を実現している。しかし、ブレーキをかける際に、枢動軸に近い部分がブレーキハブに接触するのは非常に困難であり、ブレーキハブは、カムシャフトに接続されている端部のみが接触しているため、有効摩擦制動面積が小さく、かつピ枢動軸端部は十分に摩耗しなくても使えなくなる場合がある。また、摩擦ブレーキ全体に接触すると、摩擦材の全体が摩擦制動しておらず、ブレーキ制動に不均一な力がかかりやすく、スティッキングやロックなどのトラブルが発生しやすくなる。
【0003】
自転車のブレーキ性能の改善を行っており、例えば、CN2341880に開示されたブレーキドラム、ハウジング、摩擦板、車軸スリーブ、ラチェット、コネクティングロッド、ボール、ボールホルダー、位置決めプレートで構成された自転車拡張ブレーキや、CN207644554Uに開示されたローラフレームを備えた自転車拡張ブレーキのように、ローラフレームの内チャンバに六角形のブロック部材が埋め込まれており、外側面にスプリングリングで張られたブレーキパッドが設けられたものは開発された。上記拡張ブレーキ構造では、ラチェットやブロック構造などが中心部に配置されており、フレーム内に設けられたローラを外側に押し出してブレーキパッドを広げて制動を実現している。このような制動は、取付溝のローラ間の隙間の大きさによって制限される。隙間が小さい場合、ラチェットやブロック部の押し出し装置でローラを押し出すことができず、ブレーキ制動の効果が良くない。隙間が大きい場合、ローラが緩みやすく、脱落しやすいので、伝動が不安定になり、制動力が不均一になり、安定性が悪く、使用寿命も短い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の欠点を解決するために、本発明は、既存のブレーキのブラケットの取付溝においてローラ間の隙間の大きさによって制動効果と制動安定性のバランスが取れず、均一化できないという問題を解決した、自転車用クラッチ式拡張ブレーキを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の解決策を提案する。
本発明は、ハウジングと、プッシュロッドと、クラッチ駆動装置と、ブラケット本体と、スライダーと、締付けリング部とを備え、前記ブラケット本体に環状台座が設けられ、前記環状台座の一側に位置決めバンプが設けられ、前記位置決めバンプは、断面が同心の環状扇形構造に構成され、前記スライダーは、互いに隣接する2つの位置決めバンプ同士の間に形成された取付部内に配置され、前記位置決めバンプおよびスライダーの外側面に、締付けリング部が装着される環状溝が設けられ、前記クラッチ駆動装置は、位置決めバンプとスライダーとによって形成される内チャンバ内に配置され、前記クラッチ駆動装置は、駆動ディスクと円柱形ローラとで構成され、前記駆動ディスクの端面に、中心軸穴と係止スロットとが設けられ、前記駆動ディスクの外側面に、円柱形ローラを収容するための円弧形状凹溝が設けられ、前記円柱形ローラが回転可能にスライダーの内側面と接触され、前記スライダーの内側面は、環状台座に対して垂直するように設けられる楔形状斜面構造であり、 前記プッシュロッドの一端にブレーキワイヤ接続部が設けられ、前記プッシュロッドの内端にフランジ構造が設けられ、前記フランジ構造は、円柱形ローラをカバーするように、クラッチ駆動装置の端面を覆って取り付けられ、前記フランジ構造に、中心貫通孔と、係止スロットに係合するための係止部が設けられ、前記プッシュロッドは、クラッチ駆動装置がブラケット本体の内チャンバに回転するように前記クラッチ駆動装置を駆動し、前記円柱形ローラは、楔形状斜面構造に沿って回転することでスライダーを押し出せたり、締付けリング部の作用により復帰したりすることで、ハブとの離脱・係合制動をする、自転車用クラッチ式拡張ブレーキを提供する。
好ましくは、前記環状台座に、3~6個の位置決めバンプが均等に設けられ、前記位置決めバンプおよびスライダーの外側面は円弧面であり、前記円弧面は環状台座の外側面と同面になるように設けられ、前記位置決めバンプの内側面と外側面は同心の円弧面構造である。
好ましくは、前記位置決めバンプは、高さの異なる2つの構造が間隔をあけて環状台座状に設けられ、前記位置決めバンプの頂面にはネジ穴または柱状突起が設けられる。
好ましくは、前記駆動ディスクは、円盤状構造または中心対称の多角形構造であり、端面には2~5個の中心対称の係止スロットが均等に設けられ、前記係止スロットは、同心円弧状に沿う長穴構造のように設けられ、前記円弧形状凹溝は、3~6個あり、且つ駆動ディスクの外側面に均等且つ対称に配置される。
好ましくは、前記フランジ構造は、対称的に分布した円盤状または花弁状の構造に設けられ、前記円盤状または花弁状の構造の外縁には、2~5個の係止部が設けられ、前記係止部が前記フランジ構造の面に対して垂直する方向に延在する。
好ましくは、前記スライダーの外側面に摩擦材が設けられ、前記楔形状斜面構造によって、スライダーの両端面が長辺端面と短辺端面とに分割される。
好ましくは、前記ハウジングには、中軸貫通孔と、ブレーキワイヤ固定凸構造と、車体固定位置決め部と、プッシュロッド孔と、固定孔とが設けられ、前記ハウジングがプッシュロッドの外側を嵌合し、かつ固定孔を介してブラケット本体に脱着可能に接続される。
好ましくは、前記プッシュロッドにはリターンスプリングが設けられ、前記リターンスプリングの一端がプッシュロッドに接続され、他端が柱状突起に接続され、前記リターンスプリングが締付けリング部と協働して、スライダーをハブから分離させ、係合制動させる。
好ましくは、前記締付けリング部は円形のリターンスプリングであり、前記プッシュロッドのブレーキワイヤ接続部とブレーキワイヤ固定凸構造との間にリターンスプリングが設けられる。
【発明の効果】
【0006】
1、駆動ディスクの外周側面に、複数の円弧形状凹溝に、円柱形ローラが装着されており、円柱形ローラは、スライダーの内側の楔形状斜面構造と円弧形状凹溝との間に挟持され、スライダーは、ブラケット本体の隣接する2つの位置決めバンプ同士の間にある空間内に配置され、プッシュロッドには、プッシュロッドを覆うフランジ構造が設けられ、構造はコンパクトで、ブレーキは同期でき、且つ安定である。
2、位置決めバンプの断面は同心円状の扇形構造であり、スライダー離と閉鎖はブラケットの取付部によって制限されず、ブレーキ制動はよりスムーズで、摩擦はより十分であり、同期の安定性がある。また、耐用年数は長い。
3、プッシュロッドと駆動ディスクのブースターシステムは、スライダーに大きな圧力を加え、ブレーキハブにラジアル方向に直接作用し、ブレーキ効果が良好である。また、力伝達要素としての円柱形ローラを使用しており、摩擦抵抗が小さく、積層制動によりブレーキブロックが均一に摩耗し、軽い感触で急ブレーキ時のロック現象を効果的に改善することができる。
4、駆動ディスクは円盤状構造または中心対称の多角形構造であり、構造が簡単で同軸度が良好で、且つ組み立てが便利で効率的である。プッシュロッドに係止部が設けられ、係止部が駆動ディスクにおける係止スロットに直接係合するように接続され、製造が容易で、汎用性が高く、大量生産に適する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】自転車用クラッチ式拡張ブレーキの構造概念図である。
【
図2】自転車用クラッチ式拡張ブレーキの分解図である。
【
図3】ブラケット本体とクラッチ駆動装置との組立図である。
【
図4】ブラケット本体とクラッチ駆動装置との組立構造の正面図である。
【符号説明】
【0008】
ハウジング10、中軸貫通孔11、ブレーキワイヤ固定凸構造12、車体固定位置決め部13、プッシュロッド孔14、固定孔15、プッシュロッド20、ブレーキワイヤ接続部21、フランジ構造22、中心貫通孔23、係止部24、クラッチ駆動装置30、駆動ディスク31、円柱形ローラ32、中心軸穴311、係止スロット312、円弧形状凹溝313、ブラケット本体40、環状台座41、位置決めバンプ42、ネジ穴43、柱状突起44、取付部45、スライダー50、楔形状斜面構造51、長辺端面52、短辺端面53、締付けリング部60、環状溝61。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の理解を深めるために、添付の図面を参照して本発明をさらに詳細に説明するが、以下に示す実施形態は本発明を説明するためだけに使用されるものであり、本発明の保護範囲を限定するものではない。もちろん、説明した実施形態は本発明の実施形態の一部にすぎず、すべての実施形態ではない。本発明の実施形態に基づいて、創造的な努力をすることなく当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲に属する。
【0010】
なお、本発明の説明において、「中央」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」等の用語により示される向きや位置関係は、以下のとおりであることを理解されたい。図に示す向きや位置関係は、本発明を説明し、説明を簡略化するためだけのものであり、参照される組み合わせや要素が特定の向きを持たなければならないことを記載したり、示唆したりするものではない。したがって、特定の方向に関する説明は、本発明を限定するものではないことに留意されたい。
【0011】
以下、図面および実施形態を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
図1~4は、本発明の第1実施形態における自転車用クラッチ式拡張ブレーキを示している。前記自転車用クラッチ式拡張ブレーキは、ハウジング10と、プッシュロッド20と、クラッチ駆動装置30と、ブラケット本体40と、スライダー50と、締付けリング部60とを備える。前記ブラケット本体40に、環状台座41が設けられる。前記環状台座41の一側には、位置決めバンプ42が設けられる。前記位置決めバンプ42は、断面が同心の環状扇形構造に構成される。前記スライダー50は、互いに隣接する2つの位置決めバンプ42同士の間に形成された取付部45内に配置される。前記位置決めバンプ41およびスライダー50の外側面に、締付けリング部60が装着される環状溝61が設けられる。前記クラッチ駆動装置30は、位置決めバンプ42とスライダー50とによって形成される内チャンバに配置される。前記クラッチ駆動装置30は、駆動ディスク31と円柱形ローラ32とで構成される。前記駆動ディスク31の端面に、中心軸穴311と係止スロット312とが設けられる。前記駆動ディスク31の外側面に、円柱形ローラ32を収容するための円弧形状凹溝313が設けられる。前記円柱形ローラ32が回転可能にスライダー50の内側面と接触される。前記スライダー50の内側面に楔形状斜面構造51(スライダー50の内側面と外側面との間の厚みは、一端が厚く、他端に至るにしたがってしだいに薄くなっている構造)が設けられ、前記楔形状斜面構造51の内側面である斜面が環状台座41に対して垂直するように設けられる。前記プッシュロッド20の一端にはブレーキワイヤ接続部21が設けられる。前記プッシュロッド20の内端(前記プッシュロッド20の本体である)にフランジ構造22が設けられる。前記フランジ構造22は、クラッチ駆動装置30の端面(概ね円形の面)を覆って取り付けられ、円柱形ローラ32をカバーするように設置される。前記フランジ構造22には、中心貫通孔23と、係止スロット312に係合するための係止部24とが設けられる。前記プッシュロッド20は、クラッチ駆動装置30がブラケット本体40の内チャンバに回転するようにクラッチ駆動装置30を駆動する。前記円柱形ローラ32がスライダー50の内側面の楔形状斜面構造51の斜面に沿って回転してスライダー50を押し出せたり、締付けリング部60の作用により復帰したりすることで、ハブとの離脱・係合制動を実現する。
【0012】
上述した構造のように、プッシュロッドの他端に、駆動ディスクの係止スロットに直接係合する係止部が設けられ、このような構造が簡単で、組み立てが便利且つ効率的であり、同軸度も良好である。駆動ディスクの外周側面に設けられた複数の円弧形状凹溝に円柱形ローラが収容され(円柱形ローラの少なくとも一部が円弧形状凹溝内に嵌めた状態で装入される)、円柱形ローラは、スライダーの内側の楔形状斜面構造と円弧形状凹溝との間に挟持される。スライダーは、ブラケット本体における互いに隣接する2つの位置決めバンプの間の空間に取り付けられており、且つプッシュロッドに、それを覆うフランジ構造が設けられる。このような構造がコンパクトで、ブレーキ動作は同期でき且つ均一で安定である。前記位置決めバンプの断面は、同心円状の扇形構造であり、スライダーの分離と閉鎖は、ブラケットの取付部の影響を受けず、ブレーキ動作の制御・調整が可能で、且つ使用寿命を延ばすことができ、スライダーの外側面とブレーキハブが十分に磨耗した場合になった交換すれば良い。
図5に示すように、環状台座41に、3~6個の位置決めバンプ42が均等に設けられ、前記位置決めバンプ42およびスライダー50外側面は円弧面であり、前記円弧面は、環状台座41の外側面と同面(隣り合う面同士が段差のない)である。前記位置決めバンプ42の内側面と外側面は同心の円弧面構造である。前記位置決めバンプ42は、断面(環状台座41の平面に平行する面での断面)が同心円環状の扇形構造に構成される。前記位置決めバンプ42の両側の端面(位置決めバンプ42の曲面の内側面と外側面とは別の面でありかつ互いに反対側に位置される平面である)は、平面でありかつ環状台座41の径方向に平行する。互いに隣接する2つの位置決めバンプ42の間にあるスライダー取付部45に装着されるスライダー50は、内側面が小さく外側面が大きい相似形状を有する。この構造によって、スライダーの離脱・係合動作がよりスムーズになり、摩擦制動がより十分になり、同期安定性が向上することができる。
【0013】
好ましくは、前記位置決めバンプ42は、高さの異なる2つの構造が間隔をあけて環状台座41上に設けられ、前記位置決めバンプ42の頂面にネジ穴43または柱状突起44が設けられている。この構造によって、設置と固定に便利であり、全体の構造はよりしっかりしていて安定性を有する。
【0014】
図6および
図7に示すように、前記駆動ディスク31は、円盤状構造または中心対称の多角形構造であり、その端面には2~5個の中心対称の係止スロット312が均等に設けられている。前記係止スロット312は、同心円弧状に沿う長穴構造のように設けられる。前記円弧形状凹溝313は、3~6あり、且つ駆動ディスク31の外側面に均等且つ対称に配置されている。駆動ディスク31は、中心対称の多角形構造であり、係止スロット312は、各辺の部分の中央位置に配置され、隣接する辺の接合部の上隅が丸くように形成されている。なお、係止スロット312は、隣接する辺の接合部の上隅部に配置されてもよい。この構造によって、構造が簡単で、製造が容易で、汎用性が高く、量産に適する。また、
図7に示すように、駆動ディスク31の中心軸穴311を大穴(比較的に大きい。駆動ディスク31の全面または面積の半分以上を占めるように設けられる)にするか、または、内部を中空の殻構造とすることができる。これによって、ブレーキ全体の軽量化を図ることができる。
【0015】
図8および
図9に示すように、前記フランジ構造22は、対称的に分布した円盤状または花弁状の構造として設定されており、前記円盤状または花弁状の構造の外縁には、2~5個の係止部24が設けられ、前記係止部24がフランジ構造22の面に対して垂直する方向に延在する。
図9に示すように、中心貫通孔23は、片側または両側に外返し構造(面からはみ出すように出っ張った部分、または突出する、フランジ構造である)のように設けられ、構造は美しく、設置は便利且つ安定である。
【0016】
図4に示すように、前記スライダー50の外側面に摩擦材が設けられており、前記楔形状斜面構造51によってスライダー50の両端面が長辺端面52と短辺端面53とに分割されている。前記円柱形ローラ32が駆動ディスク31とともに長辺端面52付近まで回転すると、スライダー50が径方向に沿って変形させて(径方向の外側に向かって拡開する)ハブに当接して制動される。前記円柱形ローラ32が短辺端面53付近まで回転すると、スライダー50がリセット・復帰し、ブレーキが解除され、ブレーキの使用寿命を延ばすことができる。
【0017】
図10に示すように、前記ハウジング10には、中軸貫通孔11と、ブレーキワイヤ固定凸構造12と、車体固定位置決め部13と、プッシュロッド孔14と、固定孔15とが設けられている。前記ハウジング10は、プッシュロッド20を套接し(プッシュロッド20の外側を嵌合する)、且つ固定孔15を介してブラケット本体40に脱着可能に接続されている。このような構造により、全体の構造が強化され、汎用性が広がり、需要に応じて異なるハウジングに使用でき、異なる種類の車型に適用し、且つ防塵効果も得ることができる。
【0018】
好ましくは、前記プッシュロッド20には、リターンスプリングが設けられている。前記リターンスプリングの一端がプッシュロッド20に接続され、他端が柱状突起44に接続されている。リターンスプリングが締付けリング部60と協働して、スライダー50とハブとの分離や係合制動を実現することができる。また、リセット・復帰はより強力である。好ましくは
【0019】
好ましくは、前記締付けリング部60は円形のリターンスプリングであり、前記プッシュロッド20のブレーキワイヤ接続部とブレーキワイヤ固定凸構造12との間にリターンスプリングが設けられている。
【0020】
実施形態二:
前記スライダー50の内側面を平面構造として配置することもできる。両側の端面52,53は同心円の径方向に沿って放射状(面が径方向に平行する)にあり且つ同じ大きさを有する平面である。前記円柱形ローラ32が両端まで回転すると、スライダー50が閉じて回復した状態となり、前記円柱形ローラ32が側面の中央部まで回転すると、スライダー50が最大限に拡開される。より長い耐用年数を得るために、ブラケット本体40における位置決めバンプの個数を、例えば、3つに減らし、同時に、駆動ディスクの外径を小さいくし、その他の構造は実施形態一と同様に構成されても良い。
【0021】
本発明の動作原理は次のとおりである。
車両がブレーキをかけるとき、ブレーキワイヤを通じてプッシュロッド20を引くと、プッシュロッド20のフランジ構造22が駆動機構30にかぶせられ、駆動ディスク31と円柱形ローラ32とをスライダー50の内側面の楔形状斜面構造51に沿って回転あせる。円柱形ローラ32が短辺端面53付近まで回転すると、スライダー50は、締付けリング部60によって、リセット回復状態となる。円柱形ローラ32は、駆動ディスク31の楔形状斜面構造51に沿って長辺端面52に変位され、すべてのスライダー50が位置決めバンプ42に対して一斉に展開突出してハブに当接する。これによって、ブレーキ制動を実現することができる。
【0022】
なお、本発明は、必要に応じて本体の材質や寸法を改良することができ、また、電気自動車や自動二輪車にも適用することができる。本体材質を強化プラスチック材料から選択する場合には、子供用自転車にも使用することもできる。
【0023】
本発明の実施形態は、好ましい実施形態を開示しており、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上述の実施形態に基づいて本発明の精神を容易に理解し、さまざまな変更や改良を加えることができる。また、その変更および改良は、本発明の技術的な思想から逸脱するものではなく、本発明の保護範囲内に含まれている。