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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-16
(45)【発行日】2024-10-24
(54)【発明の名称】薬剤供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 41/12 20060101AFI20241017BHJP
   B65H 19/18 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
B65B41/12 501E
B65H19/18
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023551439
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 JP2022035521
(87)【国際公開番号】W WO2023054206
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2024-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2021159495
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314005768
【氏名又は名称】PHCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近江 将
(72)【発明者】
【氏名】芝田 昭二
(72)【発明者】
【氏名】植田 俊明
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-023999(JP,A)
【文献】特開2012-066915(JP,A)
【文献】特開2014-058149(JP,A)
【文献】特開2015-038009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 41/12
B65H 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤受渡位置に薬剤を供給する薬剤供給ユニットと、
長手方向に沿って予め二つ折りにされており、かつ、前記薬剤受渡位置で薬剤を受け取る帯状の第1薬剤包装紙を搬送する下流側搬送ユニットと、
長手方向に沿って予め二つ折りにされている帯状の第2薬剤包装紙を搬送する上流側搬送ユニットと、を備え、
前記上流側搬送ユニットは、前記第2薬剤包装紙の下流端部が前記第1薬剤包装紙の上流端部を挟み、かつ、前記第2薬剤包装紙の稜線が前記第1薬剤包装紙の稜線に重なるように、前記第2薬剤包装紙を前記第1薬剤包装紙に向けて搬送する、
薬剤供給装置。
【請求項2】
前記上流側搬送ユニットは、前記第2薬剤包装紙の下流端部の開放側が前記第1薬剤包装紙の上流端部の稜線側に近づくように、前記第2薬剤包装紙を搬送する、
請求項1に記載の薬剤供給装置。
【請求項3】
前記上流側搬送ユニットは、前記第2薬剤包装紙を挟持して搬送する一対のローラを備える、
請求項に記載の薬剤供給装置。
【請求項4】
前記一対のローラの少なくとも一方のローラは、前記第2薬剤包装紙の開放側の端部が、前記第2薬剤包装紙の稜線側の端部より、前記第2薬剤包装紙の下流側に位置するように配置されている、
請求項3に記載の薬剤供給装置。
【請求項5】
前記一対のローラの少なくとも一方のローラの周側面は、前記第2薬剤包装紙の開放側の周長さが前記第2薬剤包装紙の稜線側の周長さより長いテーパ面である、
請求項に記載の薬剤供給装置。
【請求項6】
前記第2薬剤包装紙に挟まれた状態で前記第2薬剤包装紙を案内する案内部材をさらに備え、
前記案内部材は、前記第2薬剤包装紙の下流端部が前記第1薬剤包装紙の上流端部に近づくほど、前記第2薬剤包装紙の下流端部の開放側が前記第1薬剤包装紙の上流端部の稜線側に近づくように、前記第2薬剤包装紙を案内する形状を有する、
請求項に記載の薬剤供給装置。
【請求項7】
前記案内部材は、前記案内部材に搬送されている前記第2薬剤包装紙の稜線と略平行な方向に延在する傾斜部を有する、
請求項6に記載の薬剤供給装置。
【請求項8】
前記案内部材は、板状である、
請求項に記載の薬剤供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、長手方向に沿って予め二つ折りにされており、薬剤を包装する包装紙の終端部を、新たな包装紙の始端部に接続する包装紙接続装置が開示されている。作業者は、包装紙の終端部と新たな包装紙の始端部とを手作業で重ねて、重ねた部位を所定の位置に配置する。作業者が重ねた部位を接続処理することで、包装紙の終端部と、新たな包装紙の始端部とが接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5577526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の包装紙接続装置において、包装紙の交換は作業者の手作業にて行われている。一方で、包装紙の交換作業の効率化を目的に、包装紙の交換の自動化が進められている。包装紙の交換時において新たな包装紙を自動で搬送する場合、例えば、新たな包装紙の先端が新たな包装紙を案内するガイドなどに引っ掛かると、新たな包装紙に折れが発生し、新たな包装紙をスムーズに搬送することができなくなる。
【0005】
本開示は、薬剤供給装置において、包装紙の交換時に包装紙をスムーズに搬送することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における薬剤供給装置は、薬剤受渡位置に薬剤を供給する薬剤供給ユニットと、長手方向に沿って予め二つ折りにされており、かつ、薬剤受渡位置で薬剤を受け取る帯状の第1薬剤包装紙を搬送する下流側搬送ユニットと、長手方向に沿って予め二つ折りにされている帯状の第2薬剤包装紙を搬送する上流側搬送ユニットと、を備え、上流側搬送ユニットは、第2薬剤包装紙の下流端部が第1薬剤包装紙の上流端部を挟み、かつ、第2薬剤包装紙の稜線が第1薬剤包装紙の稜線に重なるように、第2薬剤包装紙を第1薬剤包装紙に向けて搬送する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の薬剤供給装置によれば、包装紙の交換時に包装紙をスムーズに搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係る薬剤供給装置の斜視図
図2】薬剤供給装置の縦断面図
図3】搬送部の一部を示す模式図
図4図3の部分拡大図
図5図4の第1薬剤包装紙の側面側を示す図
図6】第1薬剤包装紙が切断された状態を示す図
図7】第2薬剤包装紙が搬送される直前の状態を示す図
図8図7の第1薬剤包装紙の側面側を示す図
図9】案内部材周辺の縦断面図
図10】第2薬剤包装紙が搬送されて第1薬剤包装紙と重なった状態を示す図
図11】一対のローラの変形例を示す図
図12】一対のローラの変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の薬剤供給装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、図1の矢印で示されるように、操作部11が配置されている側を薬剤供給装置1の前方とし、その反対側を薬剤供給装置1の後方とする。また、薬剤供給装置1を前方から見たときの左側および右側を薬剤供給装置1の左方および右方とする。また、薬剤供給装置1が設置される面から離れる側を薬剤供給装置1の上方とし、その反対側を薬剤供給装置1の下方とする。
【0010】
図1は、薬剤供給装置1の一例を示す斜視図である。薬剤供給装置1は、1階部10および2階部20を有する。
【0011】
1階部10は、操作部11と、取り出し部12とを備える。また、1階部10は、入力部(不図示)を備える。
【0012】
操作部11は、作業者によって操作される装置であり、例えば、ディスプレイ、操作ボタン等を備える。作業者によって操作部11が操作されることにより、薬剤供給装置1に対して各種情報が入力される。
【0013】
取り出し部12からは、薬剤供給装置1において分包された薬剤が取り出される。取り出し部12は開口を有し、作業者は開口から薬剤を取り出す。
【0014】
入力部は、外部機器から各種情報が入力される入力装置である。入力部は、例えば、パーソナルコンピュータに接続され、パーソナルコンピュータから、例えば、医療機関において発行された処方せんの情報が入力される。
【0015】
また、薬剤供給装置1は、図2に示されるように、薬剤供給ユニット13、包装ユニット14、および、薬剤供給装置1を統括制御する制御部(不図示)を備える。薬剤供給ユニット13は、薬剤受渡位置Prに薬剤を供給するものである。薬剤供給ユニット13は、複数の棚13aおよびホッパ13bを備える。
【0016】
複数の棚13aは、2階部において、複数のカセットCを分担して収納するものである。薬剤供給装置1は、棚13aを20個備えている。複数の棚13aは、上下方向に5段、左右方向に4列並ぶように配置されている。なお、2階部20が備える棚13aの数および配置は、本実施形態のものに限られず、上下の段数および/または左右の列数が、上述のものより多くても少なくてもよい。
【0017】
複数の棚13aそれぞれには、複数のカセットCが、棚13aの左右方向両側に前後方向に沿って収納されている。各カセットCには、複数の薬剤が収納されている。複数のカセットCそれぞれは、薬剤を1錠ずつ排出するように構成されている。
【0018】
カセットCから排出された薬剤は、通路Wを落下して、1階部10に導出される。通路Wは、複数の棚13aそれぞれを上下方向に貫通するように設けられている。
【0019】
ホッパ13bは、1階部10に導出された薬剤を受け止めて、受け止めた薬剤を包装ユニット14に導出口13cから薬剤受渡位置Prに導出するものである。導出口13cは、ホッパ13bのおよそ中央部に設けられている。
【0020】
包装ユニット14は、ホッパ13bから導出された薬剤を包装するものである。包装ユニット14は、搬送部30、プリンタ15、および、シール装置16を備える。
【0021】
搬送部30は、薬剤を包装する帯状の包装紙を搬送するものである。搬送部30の詳細は、後述する。
【0022】
プリンタ15は、搬送部30が搬送する包装紙の表面に、例えば、患者の氏名、当該包装紙に供給される薬剤名、および、服用日時などを印刷する印刷機である。
【0023】
シール装置16は、薬剤が包まれた包装紙を封止する装置である。
【0024】
薬剤が封入された包装紙は、例えば、所定のタイミングで切断されるとともに、搬送部30によって方向転換されて取り出し部12に向けて搬送される。
【0025】
次に、搬送部30について説明する。図3に示されるように、搬送部30は、包装紙保持部31、上流側搬送ユニット32、下流側搬送ユニット33、保持部材34、および、案内部材35を備えている。図中の破線の矢印は、第1薬剤包装紙PP1の搬送方向D1を示している。
【0026】
包装紙保持部31は、第1包装紙保持部31aおよび第2包装紙保持部31bを備えている。第1包装紙保持部31aは、長手方向に沿って予め二つ折りにされている帯状の第1薬剤包装紙PP1のパッケージである巻取体M1を回転可能に保持する。第2包装紙保持部31bは、長手方向に沿って予め二つ折りにされている帯状の第2薬剤包装紙PP2のパッケージである巻取体M2を回転可能に保持する。なお、第1、2薬剤包装紙PP1、PP2のパッケージは、第1、2薬剤包装紙PP1、PP2が折り重ねられたものでもよい。
【0027】
なお、第1包装紙保持部31aと第2包装紙保持部31bは互いに役割を入れ替えることができる。つまり、第1包装紙保持部31aが巻取体M2を保持し、第2包装紙保持部31bが巻取体M1を保持することができる。この場合、後に説明する一対のローラ32bが第2薬剤包装紙PP2を挟持して搬送し、他の一対のローラ32dが第1薬剤包装紙PP1を挟持せずに案内する。
【0028】
上流側搬送ユニット32は、上流側案内部材32a、一対のローラ32b、他の上流側案内部材32c、他の一対のローラ32d、および、移動部材32eを備えている。
【0029】
上流側案内部材32aは、第1包装紙保持部31aから繰り出された第1薬剤包装紙PP1を搬送方向D1に沿って案内するものである。上流側案内部材32aは、第1薬剤包装紙PP1に挟まれる板状の部材である。上流側搬送ユニット32および保持部材34の周囲の拡大図およびその側面図である図4および図5に示されるように、上流側案内部材32aは、第1薬剤包装紙PP1の稜線R1に重なる側面が搬送方向D1に沿うように配置されている。
【0030】
一対のローラ32bは、第1薬剤包装紙PP1を挟持せずに案内する。一対のローラ32bは、上流側案内部材32aより第1薬剤包装紙PP1の上流側に配置されている。一対のローラ32bは、それぞれ円柱状である。一対のローラ32bは、駆動ローラ32b1、および、従動ローラ32b2を備えている。
【0031】
駆動ローラ32b1は、モータ等の駆動装置(不図示)によって回転するように構成されている。駆動ローラ32b1は、回転軸線が上流側案内部材32aの板面と平行かつ第1薬剤包装紙PP1の搬送方向D1に直交するように配置されている。また、駆動ローラ32b1は、第1薬剤包装紙PP1の側面と接触し、搬送方向D1を変更する機能を有する(図3参照)。
【0032】
また、駆動ローラ32b1は、従動ローラ32b2に近づいて搬送位置Pm1に位置したり、従動ローラ32b2から離れて非搬送位置Pm2に位置したりすることができるように構成されている。駆動ローラ32b1が搬送位置Pm1に位置するとき、一対のローラ32bは、それらの間にある第1薬剤包装紙PP1または第2薬剤包装紙PP2を挟持しながら下流に向けて搬送することができる。
【0033】
従動ローラ32b2は、回転軸線が傾いた状態で配置されている。つまり、従動ローラ32b2は、第1薬剤包装紙PP1の開放側の端部が、第1薬剤包装紙PP1の稜線R1側の端部より、第1薬剤包装紙PP1の下流側に位置するように配置されている。また、従動ローラ32b2は、第1薬剤包装紙PP1の側面と接触し、搬送方向D1を変更する機能を有する(図3参照)。
【0034】
図3に戻って説明を続ける。他の上流側案内部材32cは、第2包装紙保持部31bから繰り出された第2薬剤包装紙PP2の下流端部に挟まれる板状の部材である。他の上流側案内部材32cは、板面が上流側案内部材32aの板面に平行となるように、かつ、第2薬剤包装紙PP2の稜線R2と重なる側面が上流側案内部材32aの稜線R1に重なる側面と同じ平面に位置するように配置されている。他の上流側案内部材32cの板厚は、上流側案内部材32aの板厚と略同一である。後述するように、第1薬剤包装紙PP1が第2薬剤包装紙PP2に交換されるときに、他の上流側案内部材32cは、第2薬剤包装紙PP2を案内する。
【0035】
他の一対のローラ32dは、他の上流側案内部材32cより第2薬剤包装紙PP2の上流側に配置されている。他の一対のローラ32dは、第2薬剤包装紙PP2の下流端部が間にある状態で静止している。後述するように、第1薬剤包装紙PP1が第2薬剤包装紙PP2に交換されるときに、他の一対のローラ32dは、第2薬剤包装紙PP2を挟持して搬送する。
【0036】
他の一対のローラ32dは、それぞれ円柱状である。他の一対のローラ32dは、駆動ローラ32d1、および、従動ローラ32d2を備えている。
【0037】
駆動ローラ32d1は、モータ等の駆動装置(不図示)によって回転するように構成されている。駆動ローラ32d1は、回転軸線が他の上流側案内部材32cの板面と平行かつ第1薬剤包装紙PP1の搬送方向D1に直交するように配置されている。
【0038】
また、駆動ローラ32d1は、従動ローラ32d2に近づいて搬送位置Pm1に位置したり、従動ローラ32d2から離れて非搬送位置Pm2に位置したりすることができるように構成されている。駆動ローラ32d1が搬送位置Pm1に位置するとき、他の一対のローラ32dは、それらの間にある第1薬剤包装紙PP1または第2薬剤包装紙PP2を挟持しながら下流に向けて搬送することができる。
【0039】
従動ローラ32d2は、回転軸線が傾いた状態で配置されている。つまり、従動ローラ32d2は、第2薬剤包装紙PP2の開放側の端部が、第2薬剤包装紙PP2の稜線R2側の端部より、第2薬剤包装紙PP2の下流側に位置するように配置されている。また、従動ローラ32d2は、第2薬剤包装紙PP2の側面と接触し、第2薬剤包装紙PP2の搬送方向を変更する機能を有する。
【0040】
移動部材32eは、第1薬剤包装紙PP1が第2薬剤包装紙PP2に交換されるときに、上流側案内部材32a、一対のローラ32b、他の上流側案内部材32cおよび他の一対のローラ32dを移動させることができるように構成されている。第1薬剤包装紙PP1が第2薬剤包装紙PP2に交換されるとき、他の上流側案内部材32cは、上流側案内部材32aが移動する前に位置していた位置に移動し、他の一対のローラ32dは、一対のローラ32bが移動する前に位置していた位置に移動する。
【0041】
下流側搬送ユニット33は、上流側搬送ユニット32によって案内された第1薬剤包装紙PP1を、プリンタ15およびシール装置16に搬送するものである。下流側搬送ユニット33は、第1薬剤包装紙PP1を薬剤受渡位置Prで薬剤を受け取るように搬送する。
【0042】
下流側搬送ユニット33は、第1薬剤包装紙PP1を挟持して搬送する一対の下流側ローラ33a、第1薬剤包装紙PP1の搬送方向D1を変更する複数のローラ33b、および、下流側案内部材33cを備えている。
【0043】
下流側案内部材33cは、第1薬剤包装紙PP1に挟まれる板状であり、第1薬剤包装紙PP1を薬剤受渡位置Prに案内するものである。下流側案内部材33cは、板面が水平方向に直交するように配置されている。第1薬剤包装紙PP1は、開放側が上方に向く姿勢で、下流側案内部材33cを挟む。第1薬剤包装紙PP1は、下流側案内部材33cによって案内されることで上方に向けて開き、薬剤受渡位置Prでホッパ13bから導出された薬剤を受け取る。
【0044】
保持部材34は、上流側搬送ユニット32と下流側搬送ユニット33との間に配置されている。保持部材34は、搬送部30が第1薬剤包装紙PP1を搬送している場合、第1薬剤包装紙PP1を保持しない。保持部材34は、後述するように第1薬剤包装紙PP1が第2薬剤包装紙PP2に交換される場合に、第1薬剤包装紙PP1を挟んで保持する。保持部材34は、一対の板部材34a、34bによって構成されている。一対の板部材34a、34bは、板面が上流側案内部材32aの板面と平行になるように配置されている。図4に示されるように、第1の板部材34aは、第2の板部材34bとともに第1薬剤包装紙PP1を挟持する挟持位置Ps1に位置したり、第1薬剤包装紙PP1を挟持しない非挟持位置Ps2に位置したりするように構成されている。
【0045】
案内部材35は、図3~5に示されるように、保持部材34と上流側搬送ユニット32との間に配置され、後述するように第1薬剤包装紙PP1が第2薬剤包装紙PP2に交換される場合に、第2薬剤包装紙PP2を案内するものである。案内部材35は、板状の部材である。案内部材35の板厚は、上流側案内部材32aの板厚および他の上流側案内部材32cの板厚と略同じである。
【0046】
案内部材35は、上流側搬送ユニット32および下流側搬送ユニット33によって第1薬剤包装紙PP1が搬送されているとき、図5に示されるように、第1薬剤包装紙PP1に接触しない位置である非案内位置Pg2に位置する。また、後に参照する図8に示されるように、第1薬剤包装紙PP1が第2薬剤包装紙PP2に交換されるときに、第2薬剤包装紙PP2を案内することができる位置である案内位置Pg1に位置する。つまり、案内部材35は、案内位置Pg1と非案内位置Pg2との間で移動することができるように構成されている。案内部材35は、傾斜部35aおよび凹部35bを有している。
【0047】
傾斜部35aは、案内部材35が第2薬剤包装紙PP2を案内するときに、第2薬剤包装紙PP2の稜線R2が重なる案内部材35の側部であり、案内部材35に案内されている第2薬剤包装紙PP2の稜線R2と略平行な方向に延在する。傾斜部35aは、具体的には、第2薬剤包装紙PP2の上流側から下流側に向かうほど、第2薬剤包装紙PP2の開放側から稜線R2側に向かう形状を有している。傾斜部35aは、面状である。なお、傾斜部35aは、断面三角状でもよいし、断面円弧状でもよい。
【0048】
凹部35bは、案内部材35における搬送方向D1の下流側の側部から、およそ搬送方向D1に沿って、凹んでいる部位である。
【0049】
次に、第1薬剤包装紙PP1が第2薬剤包装紙PP2に交換される場合における薬剤供給装置1の動作について説明する。
【0050】
図3~5に示されるように、搬送部30が第1薬剤包装紙PP1を搬送している場合、駆動ローラ32b1は非搬送位置Pm2に位置し、保持部材34の第1の板部材34aは非挟持位置Ps2に位置し、案内部材35は非案内位置Pg2に位置している。また、上流側案内部材32aは、第1薬剤包装紙PP1に挟まれた状態で、第1薬剤包装紙PP1を案内している。
【0051】
作業者は、第1薬剤包装紙PP1を第2薬剤包装紙PP2に交換する場合、包装紙の交換をする旨の指示を操作部11に入力する。これにより、制御部は、薬剤供給ユニット13の動作を停止するとともに、一対の下流側ローラ33aの動作を停止する。
【0052】
続けて、制御部は、第1の板部材34aを挟持位置Ps1に移動させる。これにより、保持部材34は、第1薬剤包装紙PP1を挟持して保持する。そして、作業者は、図6に示されるように、第1薬剤包装紙PP1を保持部材34の下流側で切断する。このとき、作業者は、第1薬剤包装紙PP1が切断されることにより形成される第1薬剤包装紙PP1の下流端が、保持部材34と案内位置Pg1に位置する案内部材35との間に位置するように、第1薬剤包装紙PP1を切断する。なお、第1薬剤包装紙PP1の切断は、自動的に行われてもよい。すなわち、搬送部30は、第1薬剤包装紙PP1を切断する刃を備えており、この刃は、上述の指示が操作部11に入力されると、自動的に第1薬剤包装紙PP1を切断するように構成されていてもよい。
【0053】
さらに、制御部は、他の一対のローラ32dの駆動ローラ32d1を移動させて、他の一対のローラ32dが第2薬剤包装紙PP2の下流端部を挟んだ状態にする。この状態で、制御部は、移動部材32eを作動させて、上流側案内部材32a、一対のローラ32b、他の上流側案内部材32cおよび他の一対のローラ32dを移動させる。この移動により、他の上流側案内部材32cは、上流側案内部材32aが位置していた位置に位置し、他の一対のローラ32dは、一対のローラ32bが位置していた位置に位置する。このときの状態が、図7に示されている。
【0054】
また、このとき、作業者は、図7、8に示されるように、第2薬剤包装紙PP2の下流端部に、粘着テープTを下流端からはみ出るように貼り付ける。粘着テープTは、二つ折りにされている第2薬剤包装紙PP2の両外側面に貼り付けられる。なお、粘着テープTは、移動部材32eが作動する前の状態、つまり、図3に示される状態で、予め第2薬剤包装紙PP2に貼り付けられていてもよい。
【0055】
続けて、作業者は、第2薬剤包装紙PP2の搬送を開始する旨の情報を入力する操作を操作部11で行う。すると、制御部は、図8に示されるように、案内部材35を案内位置Pg1に移動させる。他の一対のローラ32dは、第2薬剤包装紙PP2を挟持している。続けて、制御部は、駆動ローラ32d1を回転させ、第2薬剤包装紙PP2を搬送する。
【0056】
図8に示されるように、従動ローラ32d2は、上記のように第2薬剤包装紙PP2の開放側の端部が、第2薬剤包装紙PP2の稜線R2側の端部より、第2薬剤包装紙PP2の下流側に位置するように配置されている。よって、他の一対のローラ32dは、第1薬剤包装紙PP1の搬送方向D1に対して傾斜する方向に第2薬剤包装紙PP2を搬送する。
【0057】
他の一対のローラ32dは、具体的には、第2薬剤包装紙PP2の下流端部の開放側が第1薬剤包装紙PP1の上流端部の稜線R1側に近づくように、第2薬剤包装紙PP2を搬送する。第2薬剤包装紙PP2が案内部材35まで搬送されると、第2薬剤包装紙PP2は案内部材35に案内される。図8に示される状態で説明すると、案内部材35は、第2薬剤包装紙PP2が左側に向かって移動するにつれて、第2薬剤包装紙PP2の左端が上側に向かって移動するように、第2薬剤包装紙PP2を案内する。
【0058】
すなわち、第2薬剤包装紙PP2は、案内部材35の傾斜部35aによって、第2薬剤包装紙PP2の下流端部が第1薬剤包装紙PP1の上流端部に近づくほど、第2薬剤包装紙PP2の下流端部の開放側が第1薬剤包装紙PP1の上流端部の稜線R1側に近づくように、案内される。つまり、傾斜部35aが第2薬剤包装紙PP2を案内する方向と、他の一対のローラ32dが第2薬剤包装紙PP2を搬送する方向とはおよそ同じである。よって、第2薬剤包装紙PP2は、傾斜部35aに引っ掛かることなくスムーズに搬送および案内される。また、案内部材35が凹部35bを有していることにより、粘着テープTが案内部材35に接触することが抑制されている。
【0059】
第2薬剤包装紙PP2は、上記のように搬送および案内されるため、第1薬剤包装紙PP1の下流端部まで搬送されると、第2薬剤包装紙PP2の稜線R2が第1薬剤包装紙PP1の稜線R1より上方に位置する。また、案内部材35の周辺の縦断面図である図9に示されるように、第2薬剤包装紙PP2は、案内部材35の板厚より広がっている。よって、第2薬剤包装紙PP2の下流端部は、図10に示されるように、第1薬剤包装紙PP1の上流端部を挟み、かつ、第2薬剤包装紙PP2の稜線R2が第1薬剤包装紙PP1の稜線R1に重なる。このように、第2薬剤包装紙PP2は、第1薬剤包装紙PP1の上流端と第2薬剤包装紙PP2の下流端とが突き当たることがないように、スムーズに搬送および案内される。
【0060】
このとき、第1薬剤包装紙PP1は、保持部材34によって挟持されている。よって、移動してくる第2薬剤包装紙PP2または粘着テープTが第1薬剤包装紙PP1に接触しても、第1薬剤包装紙PP1は下流側にずれずに所定の位置に位置し続けることができる。
【0061】
このように、上流側搬送ユニット32は、第2薬剤包装紙PP2の下流端部の開放側が第1薬剤包装紙PP1の上流端部の稜線R1側に近づくように、第2薬剤包装紙PP2を搬送する。また、上流側搬送ユニット32は、第2薬剤包装紙PP2の下流端部が第1薬剤包装紙PP1の上流端部を挟み、かつ、第2薬剤包装紙PP2の稜線R2が第1薬剤包装紙PP1の稜線R1に重なるように、第2薬剤包装紙PP2を第1薬剤包装紙PP1に向けて搬送する。よって、包装紙の交換時において、第1薬剤包装紙PP1および第2薬剤包装紙PP2に折れが発生することを抑制しつつ、第2薬剤包装紙PP2がスムーズに搬送され、第1薬剤包装紙PP1に第2薬剤包装紙PP2を重ねることができる。
【0062】
制御部は、第2薬剤包装紙PP2の下流端部が第1薬剤包装紙PP1の上流端部に重なったことに応じて、一対のローラ32bの動作を停止する。制御部は、第2薬剤包装紙PP2の下流端部が第1薬剤包装紙PP1の上流端部に重なったことを、第2薬剤包装紙PP2の位置を検出する位置センサ(例えば赤外線センサ)の検出信号に基づいて検出する。
【0063】
続けて、作業者は、粘着テープTを第1薬剤包装紙PP1に、手作業等で貼り付ける。これにより、第2薬剤包装紙PP2が第1薬剤包装紙PP1に接続される。そして、作業者は、第2薬剤包装紙PP2が第1薬剤包装紙PP1に接続された旨の情報を操作部に入力する。これにより、制御部は、第1の板部材34aを非挟持位置Ps2に位置させ、案内部材35を非案内位置Pg2に位置させ、駆動ローラ32b1を非搬送位置Pm2に位置させる。
【0064】
さらに、制御部が一対の下流側ローラ33aを動作させることで、第1薬剤包装紙PP1が搬送されると、第1薬剤包装紙PP1に接続された第2薬剤包装紙PP2も搬送される。第1薬剤包装紙PP1が消費されると、搬送部30が搬送する包装紙は、第2薬剤包装紙PP2に切り替わる。また、第2薬剤包装紙PP2の下流端部が第1薬剤包装紙PP1の上流端部を挟んでいるため、第2薬剤包装紙PP2の上流端が下流側案内部材33cに引っ掛からない。よって、第2薬剤包装紙PP2への切り替えがスムーズに行われる。
【0065】
本開示は、これまでに説明した実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、各種変形を本実施の形態に施したものも、本開示の範囲内に含まれる。
【0066】
例えば、一対のローラ32b、32dにおいて、従動ローラ32b2、32d2だけでなく、駆動ローラ32b1、32d1も従動ローラ32b2、32d2と同様に傾斜するように配置されてもよい。また、従動ローラ32b2、32d2に代えて、駆動ローラ32b1、32d1が傾斜するように配置されてもよい。
【0067】
また、図11に示されるように、従動ローラ132d2の周側面は、第2薬剤包装紙PP2の開放側の周長さが第2薬剤包装紙PP2の稜線R2側の周長さより長いテーパ面TSでもよい。従動ローラ132d2は、回転軸線が第1薬剤包装紙PP1の搬送方向D1に対して直交し、かつ、テーパ面TSが第2薬剤包装紙PP2の側面に線接触するように配置されている。このテーパ面TSにより、第2薬剤包装紙PP2は、第2薬剤包装紙PP2の下流端部の開放側が第1薬剤包装紙PP1の上流端部の稜線R1側に近づくように搬送される。なお、従動ローラ32b2および駆動ローラ32b1、32d1の周側面がテーパ面TSであってもよい。
【0068】
また、図12に示されるように、テーパ面TSを有する従動ローラ232d2は、第2薬剤包装紙PP2の開放側の端部が、第2薬剤包装紙PP2の稜線R2側の端部より、第2薬剤包装紙PP2の下流側に位置するように配置されてもよい。なお、テーパ面TSを有する従動ローラ32b2および駆動ローラ32b1、32d1は、第2薬剤包装紙PP2の開放側の端部が、第2薬剤包装紙PP2の稜線R2側の端部より、第2薬剤包装紙PP2の下流側に位置するように配置されてもよい。
【0069】
また、搬送部30は、第2包装紙保持部31b、他の上流側案内部材32c、他の一対のローラ32d、および、移動部材32eを備えなくてもよい。この場合、第1薬剤包装紙PP1が第2薬剤包装紙PP2に交換されるとき、作業者は、保持部材34が第1薬剤包装紙PP1を挟持して保持しており、駆動ローラ32b1が非搬送位置Pm2に位置している状態で、上記のように第1薬剤包装紙PP1を切断する。
【0070】
続けて、作業者は、第1包装紙保持部31aから第1薬剤包装紙PP1を取り外し、第2薬剤包装紙PP2の巻取体M2を取り付ける。さらに、作業者は、第2薬剤包装紙PP2の下流端部を上流側案内部材32aに配置し、上記のように、第2薬剤包装紙PP2の下流端部に、粘着テープTを貼り付ける。
【0071】
続けて、作業者は、第2薬剤包装紙PP2の搬送を開始する旨の情報を入力する操作を操作部11で行う。すると、制御部は、案内部材35を案内位置Pg1に移動させ、駆動ローラ32b1を搬送位置Pm1に位置させる。さらに、制御部は、駆動ローラ32b1を回転させ、第2薬剤包装紙PP2を搬送する。これにより、第2薬剤包装紙PP2は、上記のように搬送および案内され、第1薬剤包装紙PP1に接続される。
【0072】
2021年9月29日出願の特願2021-159495の日本出願に含まれる明細書、特許請求の範囲、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本開示は、薬剤供給装置に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 薬剤供給装置
13 薬剤供給ユニット
30 搬送部
31 包装紙保持部
32 上流側搬送ユニット
32a 上流側案内部材
32b 一対のローラ
32c 他の上流側案内部材
32d 他の一対のローラ
32e 移動部材
33 下流側搬送ユニット
33c 下流側案内部材
35 案内部材
35a 傾斜部
PP1 第1薬剤包装紙
PP2 第2薬剤包装紙
Pr 薬剤受渡位置
R1 第1薬剤包装紙の稜線
R2 第2薬剤包装紙の稜線
TS テーパ面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12