IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アセンドの特許一覧

特許7573143通話録音システム、通話録音装置、通話録音方法及び、通話録音プログラム
<>
  • 特許-通話録音システム、通話録音装置、通話録音方法及び、通話録音プログラム 図1
  • 特許-通話録音システム、通話録音装置、通話録音方法及び、通話録音プログラム 図2
  • 特許-通話録音システム、通話録音装置、通話録音方法及び、通話録音プログラム 図3
  • 特許-通話録音システム、通話録音装置、通話録音方法及び、通話録音プログラム 図4
  • 特許-通話録音システム、通話録音装置、通話録音方法及び、通話録音プログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】通話録音システム、通話録音装置、通話録音方法及び、通話録音プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/10 20060101AFI20241018BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H04M11/10
H04M3/42 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020029845
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021136515
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】510336185
【氏名又は名称】株式会社アセンド
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-168899(JP,A)
【文献】国際公開第2008/126304(WO,A1)
【文献】特開平11-252255(JP,A)
【文献】特開2018-014696(JP,A)
【文献】特開2001-203814(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106453794(CN,A)
【文献】特開2019-083513(JP,A)
【文献】特開2019-168668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00-12/22
12/50-12/66
45/00-49/9057
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04Q3/58-3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP電話機を有するネットワークシステムにおける通話録音システムであって、
前記通話録音システムは、前記IP電話機から電話交換機及びルーターを経由して広域ネットワークへ送信される音声パケット及び、前記広域ネットワークから前記電話交換機へ送信される音声パケットを受け付ける受信部と、
前記音声パケットをデコードして音声ファイルを生成するデコード部と、
前記音声ファイルをクラウドサーバに送信する送信部と、
前記音声パケットに含まれた情報を用いて、前記デコード部において生成された前記音声ファイルのファイル名を設定する設定部と、を備えた通話録音装置を備え、
前記通話録音装置は、前記ネットワークシステム上の前記ルーター及び、前記広域ネットワークに接続する為のゲートウェイ間に接続される通話録音システム。
【請求項2】
前記設定部は、前記音声パケットより得た発信者の電話番号及び/又は受信者の電話番号に基づいて、前記ファイル名を設定する請求項1に記載の通話録音システム。
【請求項3】
IP電話機を有するネットワークシステムにおける通話録音システムであって、
前記通話録音システムは、前記IP電話機から電話交換機及びルーターを経由して広域ネットワークへ送信される音声パケット及び、前記広域ネットワークから前記電話交換機へ送信される音声パケットを受け付ける受信部と、
前記IP電話機から前記電話交換機及びルーターを経由して広域ネットワークへ送信される音声パケット及び、前記広域ネットワークから前記電話交換機へ送信される音声パケットを、それぞれ音声ファイル化し、両者の前記音声パケットに基づいて得られた前記音声ファイルを合成して、音声ファイルを生成するデコード部と、
前記音声ファイルをクラウドサーバに送信する送信部と、を備えた通話録音装置を備え、
前記通話録音装置は、前記ネットワークシステム上の前記ルーター及び、前記広域ネットワークに接続する為のゲートウェイ間に接続され、
前記デコード部は、前記両者の音声パケットに基づいて得られた前記音声ファイルのそれぞれから発話時間群を抽出し、それぞれの前記音声ファイルより得られた前記発話時間群を区別可能に、合成した前記音声ファイルのメタ情報として付加する通話録音システム
【請求項4】
前記通話録音装置はミラーリング装置を更に備え、
前記通話録音装置は、前記ミラーリング装置を介して前記ネットワークシステム上に接続される請求項1~3の何れかに記載の通話録音システム。
【請求項5】
前記クラウドサーバは、格納する音声ファイルの日時情報に基づいて、一定期間経過した音声ファイルを削除する請求項1~の何れかに記載の通話録音システム。
【請求項6】
IP電話機を有するネットワークシステムに接続される通話録音装置であって、
前記通話録音装置は、前記IP電話機から電話交換機及びルーターを経由して広域ネットワークへ送信される音声パケット及び前記広域ネットワークから前記電話交換機へ送信される音声パケットを受け付ける受信部と、
前記音声パケットをデコードして音声ファイルを生成するデコード部と、
前記音声ファイルをクラウドサーバに送信する送信部と、
前記音声パケットに含まれた情報を用いて、前記デコード部において生成された前記音声ファイルのファイル名を設定する設定部と、を備え、
前記通話録音装置は、前記ネットワークシステム上の前記ルーター及び、前記広域ネットワークに接続する為のゲートウェイ間に接続される通話録音装置。
【請求項7】
IP電話機を有するネットワークシステムに接続される通話録音装置であって、
前記通話録音装置は、前記IP電話機から電話交換機及びルーターを経由して広域ネットワークへ送信される音声パケット及び前記広域ネットワークから前記電話交換機へ送信される音声パケットを受け付ける受信部と、
前記IP電話機から前記電話交換機及びルーターを経由して広域ネットワークへ送信される音声パケット及び、前記広域ネットワークから前記電話交換機へ送信される音声パケットを、それぞれ音声ファイル化し、両者の前記音声パケットに基づいて得られた前記音声ファイルを合成して、音声ファイルを生成するデコード部と、
前記音声ファイルをクラウドサーバに送信する送信部と、を備え、
前記通話録音装置は、前記ネットワークシステム上の前記ルーター及び、前記広域ネットワークに接続する為のゲートウェイ間に接続され
前記デコード部は、前記両者の音声パケットに基づいて得られた前記音声ファイルのそれぞれから発話時間群を抽出し、それぞれの前記音声ファイルより得られた前記発話時間群を区別可能に、合成した前記音声ファイルのメタ情報として付加する通話録音装置。
【請求項8】
IP電話機を有するネットワークシステムに接続されるコンピュータを、通話録音装置として機能させる通話録音プログラムであって、
コンピュータを、前記IP電話機から電話交換機及びルーターを経由して広域ネットワークへ送信される音声パケット及び前記広域ネットワークから前記電話交換機へ送信される音声パケットを受け付ける受信部と、
前記音声パケットをデコードして音声ファイルを生成するデコード部と、
前記音声ファイルをクラウドサーバに送信する送信部と、
前記音声パケットに含まれた情報を用いて、前記デコード部において生成された前記音声ファイルのファイル名を設定する設定部と、として機能させ、
前記コンピュータは、前記ネットワークシステム上の前記ルーター及び、前記広域ネットワークに接続する為のゲートウェイ間に接続される通話録音プログラム。
【請求項9】
IP電話機を有するネットワークシステムに接続されるコンピュータを、通話録音装置として機能させる通話録音プログラムであって、
コンピュータを、前記IP電話機から電話交換機及びルーターを経由して広域ネットワークへ送信される音声パケット及び前記広域ネットワークから前記電話交換機へ送信される音声パケットを受け付ける受信部と、
前記IP電話機から前記電話交換機及びルーターを経由して広域ネットワークへ送信される音声パケット及び、前記広域ネットワークから前記電話交換機へ送信される音声パケットを、それぞれ音声ファイル化し、両者の前記音声パケットに基づいて得られた前記音声ファイルを合成して、音声ファイルを生成するデコード部と、
前記音声ファイルをクラウドサーバに送信する送信部と、として機能させ、
前記コンピュータは、前記ネットワークシステム上の前記ルーター及び、前記広域ネットワークに接続する為のゲートウェイ間に接続され
前記デコード部は、前記両者の音声パケットに基づいて得られた前記音声ファイルのそれぞれから発話時間群を抽出し、それぞれの前記音声ファイルより得られた前記発話時間群を区別可能に、合成した前記音声ファイルのメタ情報として付加する通話録音プログラム。
【請求項10】
IP電話機を有するネットワークシステムにおける通話録音方法であって、
通話録音装置が、前記IP電話機から電話交換機及びルーターを経由して広域ネットワークへ送信される音声パケット及び、前記広域ネットワークから前記電話交換機へ送信される音声パケットを受け付けるステップと、
前記音声パケットをデコードして音声ファイルを生成するステップと、
前記音声ファイルをクラウドサーバに送信するステップと、
前記音声パケットに含まれた情報を用いて、前記デコードによって生成された前記音声ファイルのファイル名を設定するステップと、実行し
前記通話録音装置は、前記ネットワークシステム上の前記ルーター及び、前記広域ネットワークに接続する為のゲートウェイ間に接続される通話録音方法。
【請求項11】
IP電話機を有するネットワークシステムにおける通話録音方法であって、
通話録音装置が、前記IP電話機から電話交換機及びルーターを経由して広域ネットワークへ送信される音声パケット及び、前記広域ネットワークから前記電話交換機へ送信される音声パケットを受け付けるステップと、
前記IP電話機から前記電話交換機及びルーターを経由して広域ネットワークへ送信される音声パケット及び、前記広域ネットワークから前記電話交換機へ送信される音声パケットを、それぞれ音声ファイル化し、両者の前記音声パケットに基づいて得られた前記音声ファイルを合成して、音声ファイルを生成するステップと、
前記両者の音声パケットに基づいて得られた前記音声ファイルのそれぞれから発話時間群を抽出し、それぞれの前記音声ファイルより得られた前記発話時間群を区別可能に、合成した前記音声ファイルのメタ情報として付加するステップと、
前記音声ファイルをクラウドサーバに送信するステップと、を実行し
前記通話録音装置は、前記ネットワークシステム上の前記ルーター及び、前記広域ネットワークに接続する為のゲートウェイ間に接続される通話録音方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通話録音システム、通話録音装置、通話録音方法及び、通話録音プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、企業内でIP電話を含むネットワークシステムの構築が進んでいる。ここで、コールセンター等において、顧客からの電話による問い合わせに対応する業務が行われている。このような業務では、顧客との通話を録音し、録音された通話の音声を活用して、業務改善やシステム開発のために活用される。
【0003】
特許文献1には、PoE給電装置と、通話キャプチャ装置とを備えた通話録音システムであって、PoE給電装置は、IP-PBXが接続された構内LANから電力を取得し、通話キャプチャ装置は、構内LANを介して送受信される通話音声の音声データを電話機に入出力すると共に、通話音声の音声データを複製して、当該通話音声の音声データを記憶する通話録音装置に出力する通話録音システムが記載されている。
【0004】
特許文献2には、PSTNとIP網とをつなぐメディアゲートウェイであって、IP網に送信する音声IPパケット又はIP網から受信した音声IPパケットを複製する複製手段と、複製された音声IPパケット情報を通話情報として記憶する記憶手段と、を有するメディアゲートウェイが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-98742号公報
【文献】特開2014-22767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、企業のネットワークシステムにおいて、電話交換機配下に通話録音装置が配置されることとなり、企業内でネットワーク構成の変更作業が生じてしまう。
【0007】
また、特許文献2の技術では、送信する音声パケット及び受信した音声パケットそれぞれを音声複製用リソースによりデコードしており、記録ストレージが圧迫されていた。
【0008】
上記事情を鑑みて、本発明は、IP電話の通話録音に係る新規な技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記発明を解決するために、本発明は、IP電話機を有するネットワークシステムにおける通話録音システムであって、
前記通話録音システムは、前記IP電話機から電話交換機及びルーターを経由して広域ネットワークへ送信される音声パケット及び、前記広域ネットワークから前記電話交換機へ送信される音声パケットを受け付ける受信部と、
前記音声パケットをデコードして音声ファイルを生成するデコード部と、
前記音声ファイルをクラウドサーバに送信する送信部と、を備えた通話録音装置を備え、
前記通話録音装置は、前記ネットワークシステム上の前記ルーター及び、前記広域ネットワークに接続する為のゲートウェイ間に接続される。
【0010】
また、本発明は、IP電話機を有するネットワークシステムに接続される通話録音装置であって、
前記通話録音装置は、前記IP電話機から電話交換機及びルーターを経由して広域ネットワークへ送信される音声パケット及び前記広域ネットワークから前記電話交換機へ送信される音声パケットを受け付ける受信部と、
前記音声パケットをデコードして音声ファイルを生成するデコード部と、
前記音声ファイルをクラウドサーバに送信する送信部と、を備え、
前記通話録音装置は、前記ネットワークシステム上の前記ルーター及び、前記広域ネットワークに接続する為のゲートウェイ間に接続される。
【0011】
また、本発明は、IP電話機を有するネットワークシステムに接続されるコンピュータを、通話録音装置として機能させる通話録音プログラムであって、
コンピュータを、前記IP電話機から電話交換機及びルーターを経由して広域ネットワークへ送信される音声パケット及び前記広域ネットワークから前記電話交換機へ送信される音声パケットを受け付ける受信部と、
前記音声パケットをデコードして音声ファイルを生成するデコード部と、
前記音声ファイルをクラウドサーバに送信する送信部と、として機能させ、
前記コンピュータは、前記ネットワークシステム上の前記ルーター及び、前記広域ネットワークに接続する為のゲートウェイ間に接続される。
【0012】
また、本発明は、IP電話機を有するネットワークシステムにおける通話録音方法であって、
通話録音装置が、前記IP電話機から電話交換機及びルーターを経由して広域ネットワークへ送信される音声パケット及び、前記広域ネットワークから前記電話交換機へ送信される音声パケットを受け付けるステップと、
前記音声パケットをデコードして音声ファイルを生成するステップと、
前記音声ファイルをクラウドサーバに送信するステップと、を備え、
前記通話録音装置は、前記ネットワークシステム上の前記ルーター及び、前記広域ネットワークに接続する為のゲートウェイ間に接続される。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記通話録音装置はミラーリング装置を更に備え、
前記通話録音装置は、前記ミラーリング装置を介して前記ネットワークシステム上に接続される。
【0014】
このような構成とすることで、ネットワークシステム内に接続された通話録音装置を介して、通話音声を録音することができる。また、電話交換機及び、広域ネットワークに接続する為のゲートウェイ間に、通話録音装置が接続されることで、ネットワークシステムが稼働する拠点内において既設のネットワーク設定を変更することなく、音声ファイルの取得が可能となる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記通話録音システムは、更に、前記音声パケットに含まれた情報を用いて、前記デコード部において生成された前記音声ファイルのファイル名を設定する設定部を備える。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記設定部は、前記音声パケットより得た発信者の電話番号及び/又は受信者の電話番号に基づいて、前記ファイル名を設定する。
【0017】
このような構成とすることで、音声ファイルの管理を容易にすることができる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記デコード部は、前記IP電話機から前記電話交換機及びルーターを経由して広域ネットワークへ送信される音声パケット及び、前記広域ネットワークから前記電話交換機へ送信される音声パケットを、それぞれ音声ファイル化し、
更に、両者の前記音声パケットに基づいて得られた前記音声ファイルを合成して、音声ファイルを生成する。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記デコード部は、前記両者の音声パケットに基づいて得られた前記音声ファイルのそれぞれから発話時間群を抽出し、それぞれの前記音声ファイルより得られた前記発話時間群を区別可能に、合成した前記音声ファイルのメタ情報として付加する。
【0020】
このような構成とすることで、複数話者の音声が含まれた音声ファイルから、個別の話者の音声を抽出して利用することができる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記クラウドサーバは、格納する音声ファイルの日時情報に基づいて、一定期間経過した音声ファイルを削除する。
【0022】
このような構成とすることで、クラウドサーバを、例えば、一定期間音声ファイルを格納して置き、有事に参照する用途として利用することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、IP電話の通話録音に係る新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る通話録音システム1のシステム構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る通話録音装置の機能構成要素を示す機能ブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る通話録音装置のハードウェア構成要素を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係るクラウドサーバの機能構成要素を示す機能ブロック図である。
図5】本発明の一実施形態に係るクラウドサーバのハードウェア構成要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0026】
例えば、本実施形態では通話録音システムの構成、動作等について説明するが、同様の構成の方法、情報処理装置、コンピュータプログラム、記録媒体等も、同様の作用効果を奏することができる。プログラムは、記録媒体に記憶させてもよい。ここで、前記プログラムを記憶した記録媒体は、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であっても良い。
【0027】
本発明に係る通話録音システム、通話録音方法及び、通話録音プログラムのそれぞれにおける各機能部は、例えば、後述するCPU等のプロセッサがプログラムを実行することで実現される。また、これらの各機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0028】
一実施の形態におけるシステム構成を示す図1を参照すると、通話録音システム1は、通話録音装置2、ルーター5、電話交換機6、IP電話機P(P1~P3)、広域ネットワークNW及び、クラウドサーバ7を含む。広域ネットワークNWは、用途に応じてIP電話網TN及び、インターネット網INに分類できる。
【0029】
IP電話機Pは、電話交換機6及び、ルーター5を経由してIP電話網TNに接続される。IP電話機P、電話交換機6、ルーター5及び、図示しないONU(Optical Network Unit)等の終端装置等は、IP電話のためのネットワークシステムを構成する。本実施形態における電話交換機6はIP-PBXであるが、アナログ交換機(レガシーPBX)であっても構わない。
【0030】
通話録音装置2は、ネットワークシステム内のルーター5及び、IP電話網TNに接続する為のゲートウェイ(ONU等)間に接続される。通話録音装置2は、更に、インターネット網INを経由して、クラウドサーバ7に接続され、音声ファイルのアップロードを実行する。
【0031】
図2、3を参照して、通話録音装置2の機能構成について説明する。図2(a)に示すように、通話録音装置2は、機能構成要素として、パケットをミラーリングするミラーリング部31を備える。
【0032】
通話録音装置2は、更に、ミラーリング部31がミラーリングしたパケット(音声パケット)を受信する受信部41、バッファ部43、デコード部45、設定部47及び、送信部49を備える。
【0033】
更に詳述すると、上述した通話録音システム1における通話録音装置2は、図3に例示するように、ハードウェア構成要素を含んでいる。
【0034】
つまり、通話録音装置2は、ハードウェア構成要素として、プロセッサとしてのCPU201と、作業用メモリとしてのRAM202と、立ち上げのためのブートプログラムを格納したROM203とを備える。ここで、ミラーリング部31の処理は、プロセッサとしてのCPU201によって実行されてもよい。なお、通話録音装置2は、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、ネットワークプロセッサ(NP)等のCPU201等とは別のプロセッサを更に備え、そのプロセッサがミラーリング部31の処理を実行してよい。
【0035】
また、通話録音装置2は、OS、アプリケーションプログラム、及び各種情報(データを含む)を書換え可能に格納する不揮発性のフラッシュメモリ204と、通信制御部205と、NICなどの通信インタフェース(IF)部206などとを更に備える。
【0036】
また、一例として、図2(b)に示すように、通話録音装置2は、ミラーリング装置3及び、パケット収集サーバ4を含み得る。ミラーリング装置3は、ポートミラーリング機能を備えた汎用のハブ(HUB)、スイッチングハブ、ルーター等、ミラーリング機能を備えた任意のネットワーク構成機器を用いてよい。
【0037】
ミラーリング部31は、パケットの受け渡し並びに、当該パケットのミラーリングを行う。通話録音装置2は、ネットワークシステム内のルーター5及び、IP電話網TN間に接続され、ミラーリング部31を介して、送信側及び受信側のパケットを受け渡す。本実施形態では、ミラーリング部31は、IP電話網TN(ONU)及びルーター5間でのパケットの受け渡しを行う。
【0038】
ここで、受け渡しは、パススルーであってもよし、ルーティング等任意の処理を含んでもよい。ミラーリング部31は、受け渡した音声パケットをミラーリングし、受信部41がミラーリングされた音声パケットを受信する。
【0039】
受信部41は、IP電話機Pから、ルーター5に接続された電話交換機6を経由して広域ネットワークNW(IP電話網TN)へ送信される音声パケット及び、広域ネットワークNW(IP電話網TN)から電話交換機6へ送信される音声パケットを受け付ける。
【0040】
バッファ部43は、受信部41が受信した音声パケットを一時的に格納し、デコード部45に受け渡す。デコード部45は、受信部41が受信した音声パケットを音声ファイルへ変換する。
【0041】
本実施形態では、デコード部45は、個々の話者の音声パケット(IP電話機Pから電話交換機6を経由して広域ネットワークNWへ送信される音声パケット及び、広域ネットワークNWから電話交換機6へ送信される音声パケット)を、個々の話者の音声ファイルとして個別にデコードしてそれぞれ音声ファイル化し、更に個々の話者の音声ファイルを分離可能に合成して、1の通話に係る音声ファイルを生成する。
【0042】
具体的には、デコード部45は、ある通話の発信者側の音声ファイル及び受信者側の音声ファイルを、それぞれ別のチャネルに有する音声ファイルを生成する。本実施形態では、デコード部45は、右チャンネルに発信者側の音声ファイルを、左チャンネルに受信者側の音声ファイルを有するステレオ音声ファイルを生成する。発信者の音声が割り付けられたチャンネル及び、受信者の音声が割り付けられたチャンネルが、予め定められたルールに則って決定されることが好ましい。
【0043】
ここで、デコード部45は、それぞれの音声パケットに基づいて得られた音声ファイルのそれぞれから発話時間群を抽出し、それぞれの音声ファイルより得られた発話時間群を区別可能に、合成した音声ファイルのメタ情報として付加してもよい。
【0044】
設定部47は、受信部41が受信した音声パケットにより生成された音声ファイル(ステレオ音声ファイル)のファイル名を決定し、音声ファイルに付与する。ファイル名の少なくとも一部は、音声パケットに含まれた所定の情報を用いて決定され、設定部47は、予め設定されたルールの元、ファイル名を決定する。本実施形態では、設定部47は、発信者番号、受信者番号、通話開始年月日、通話開始時分秒、ユニークID及びユーザIDに基づいて、ファイル名を設定する。
【0045】
音声パケットに含まれた所定の情報とは、例えば、通話を開始又は終了した年、月、日及び時刻、音声ファイルを生成した年、月、日及び時刻、通話時間、並びに、発信者及び/又は受信者の電話番号及び/又はIPアドレス等である。また、その他、利用者のユーザID又は、ユニークID等を用いてもよい。ここで、ユーザIDは、通話録音装置2を利用する利用者識別情報又は装置(通話録音装置)識別情報であり、通話録音装置2又はパケット収集サーバ4のフラッシュメモリ204等の記憶装置に格納されたものである。ユニークIDは、音声ファイル毎に設定される少なくとも一定程度の一意性が担保される文字列であり、例えば、所定桁数の乱数文字列である。
【0046】
ファイル名には、更に、例えば、通話録音装置2又はパケット収集サーバ4のプロセッサ等によって実行されるカウンタによって付与された番号や、設定部47が、音声パケットに含まれた情報に基づいて求めた所定の文字列(例えば暗号化された電話番号や、電話番号のハッシュ等)等の1又は複数が、更に含まれてよい。
【0047】
送信部49は、ファイル名が付与された音声ファイル(ステレオ音声ファイル)を、広域ネットワークNW(インターネット網IN)を経由して、クラウドサーバ7にアップロードする。
【0048】
送信部49は、音声ファイルと共に識別情報を送信してもよい。識別情報は、通話録音装置2又はパケット収集サーバ4のフラッシュメモリ204等の記憶装置に格納された情報であり、例えば、施設IDや装置ID等、音声ファイルの送信元を識別するために使用される情報である。ここにユーザIDを含める構成としてもよいし、設定部47が、施設IDや装置ID等を用いて、音声ファイルのファイル名を決定してもよい。
【0049】
また、例えば、送信部49は、クラウドサーバ7において音声ファイルを格納するためにユーザ及び/又は拠点別に用意されたディレクトリ名を指定し、音声ファイルをアップロードしてもよい。
【0050】
図4、5を参照して、クラウドサーバ7の機能構成について説明する。図4に示すように、クラウドサーバ7は、機能構成要素として、受信部71と、データベース(DB)73と、表示処理部75と、データ処理部77と、を備える。
【0051】
更に詳述すると、上述した通話録音システム1におけるクラウドサーバ7は、図5に例示するように、ハードウェア構成要素を含んでいる。
【0052】
つまり、クラウドサーバ7は、ハードウェア構成要素として、プロセッサとしてのCPU701と、作業用メモリとしてのRAM702と、立ち上げのためのブートプログラムを格納したROM703とを備える。
【0053】
また、クラウドサーバ7は、OS、アプリケーションプログラム、及び各種情報(データを含む)を書換え可能に格納する不揮発性のフラッシュメモリ704と、通信制御部705と、NICなどの通信インタフェース(IF)部706などとを更に備える。
【0054】
受信部71は、送信部49より送信された音声ファイルを受信し、データベース73に格納する。受信部71は、音声ファイルの格納に際して、アップロードされた日時や通話が録音された日時や時刻等を合わせて格納してもよい。本実施形態では、クラウドサーバ7は、音声ファイルのファイル名に含まれたユーザIDに基づいて、何れのユーザよりアップロードされた音声ファイルかを判断する。データ処理部77は、音声ファイルに日付や時刻が対応付けて格納される場合、一定期間経過した音声ファイルを、自動的に削除するように構成してもよい。
【0055】
更に、データベース73には、ユーザ識別情報であるユーザID及び、パスワードが対応付けて格納されている。データベース73に格納された音声ファイルを確認しようとするユーザは、図示しないユーザ端末のウェブブラウザアプリケーション又はローカルアプリケーションを起動する。ユーザは、ユーザ端末(前述のアプリケーション)からユーザ識別情報及びパスワードをクラウドサーバ7に送信し、通話録音システム1にアクセスすることができる。
【0056】
通話録音システム1にアクセスしたユーザ端末は、自身が録音した音声ファイルを確認する為の画面の表示リクエストをクラウドサーバ7に送信する。表示処理部75は、画面を表示する為に表示処理を行い、表示処理結果を返送する。
【0057】
表示処理部75は、当該ユーザのユーザIDが対応付けられた音声ファイルを画面に一覧表示する。本実施形態では、ユーザIDがファイル名に含まれた音声ファイルの少なくとも一部が、画面に表示され得る。画面には、音声ファイルのファイル名の表示がされ、再生を行う音声ファイルを指定する為の再生ボタンを備える。
【0058】
ユーザ端末で再生ボタンが押下されることで、データ処理部77は、指定された音声ファイルを再生可能に再生処理し、処理結果をユーザ端末へ返送する。再生に際してユーザ端末より話者の指定がある場合は、データ処理部77は、一方の話者のみの音声ファイルを音声ファイル(ステレオ音声ファイル)より抽出して再生処理し、処理結果をユーザ端末へ返送してよい。
【0059】
話者の指定は、例えば発信者番号又は受信者番号を指定することで行われる。一方の話者の音声のみを再生可能な音声ファイルの抽出は、例えば、データ処理部77が、対象となるステレオ音声ファイルから、不要なチャンネルの音声を排除することで行われる。特定の電話番号の受信者による音声を含むステレオ音声ファイルを検索する場合、データベース73に格納されたステレオ音声ファイルのファイル名、通話録音装置2における音声ファイルの命名ルール、通話録音装置2におけるステレオ音声ファイル生成時の左右チャンネルの決定ルールが把握できるため、所望の電話番号のモノラル音声ファイルのみを取得することができる。
【0060】
ここで、再生ボタンに代えて、又は加えて、音声ファイルをダウンロードする為のダウンロードボタンが配置されていてもよい。ユーザ端末でダウンロードボタンが押下されることで、データ処理部77は、指定された音声ファイルをダウンロード可能に処理し、処理結果をユーザ端末へ返送する。また、ダウンロードに際して話者の指定がある場合、データ処理部77は、音声ファイルから指定された話者の音声ファイルを抽出し、抽出した個別話者の音声ファイルをダウンロード可能に処理して、処理結果をユーザ端末へ返送する。話者を指定してダウンロードする場合、データ処理部77は、指定された話者に応じて、ファイル名を変更してもよい。
【0061】
更に、表示処理部75は、ユーザ端末から条件の指定を伴ってなされる検索要求に基づいて、音声ファイルの検索処理を行い、検索処理結果を表示処理してよい。更に、データ処理部77は、検索処理やチェックボックスなどによってユーザに指定された複数の音声ファイルを一覧表示したり、順次再生したり、一括でダウンロード可能としてもよい。
【0062】
表示処理部75は、利用者から少なくとも電話番号の指定を受け付けることで、データベース73に格納された発信者及び受信者の音声が左右チャンネルに割り付けられたステレオ音声ファイル群の中から、該当する電話番号を、発信者として含むステレオ音声ファイル(発信者及び受信者双方の音声を含むもの)、発信者として含むモノラル音声ファイル(発信者又は受信者の何れか一方の音声からなるもの)、受信者として含むステレオ音声ファイル及び、受信者として含むモノラル音声ファイル、の少なくとも1以上の条件又はそれらの組み合わせについて、ファイルを取得可能であって良い。
【0063】
なお、個別話者の音声ファイルが再生又はダウンロードできる場合、データ処理部77は、他方が発話している空白の時間を削除した音声ファイルを生成し、再生又はダウンロード可能に提供してよい。空白時間の削除は、例えば、音声ファイルに付与されたメタ情報としての発話時間群に基づいて、実行され得る。
【符号の説明】
【0064】
1 :通話録音システム
2 :通話録音装置
3 :ミラーリング装置
4 :パケット収集サーバ
5 :ルーター
6 :電話交換機
7 :クラウドサーバ
21 :CPU
31 :ミラーリング部
41 :受信部
43 :バッファ部
45 :デコード部
47 :設定部
49 :送信部
71 :受信部
73 :データベース
75 :表示処理部
77 :データ処理部
201 :CPU
202 :RAM
203 :ROM
204 :フラッシュメモリ
205 :通信制御部
206 :通信インタフェース部
701 :CPU
702 :RAM
703 :ROM
704 :フラッシュメモリ
705 :通信制御部
706 :通信インタフェース部
P :IP電話機
NW :広域ネットワーク
IN :インターネット網
TN :IP電話網
図1
図2
図3
図4
図5