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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】運動支援ユニット
(51)【国際特許分類】
   A63B 26/00 20060101AFI20241018BHJP
   A63B 24/00 20060101ALI20241018BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20241018BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20241018BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20241018BHJP
   F24F 11/80 20180101ALI20241018BHJP
   F24F 120/14 20180101ALN20241018BHJP
【FI】
A63B26/00
A63B24/00
A63B71/06 J
A61B5/0245 P
F24F11/64
F24F11/80
F24F120:14
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020182015
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072528
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 栄作
(72)【発明者】
【氏名】岩川 幹生
(72)【発明者】
【氏名】末広 善文
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-117728(JP,A)
【文献】特開2013-215427(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0267383(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0065549(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0108082(US,A1)
【文献】特開2007-185457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 1/00 -26/00
A63B 69/00 -69/40
A63B 71/00 -71/16
A61B 5/02 - 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動空間において利用者が利用して運動を行う運動機器と、
前記運動空間の空調を行う気調部と、
前記運動機器を利用した際の前記利用者の運動負荷に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得した前記運動負荷に関する情報を記憶する記憶部と、
前記気調部を制御する制御部と、
を備え、
前記運動負荷に関する情報は、前記気調部からの気調空気の温度または湿度に関する情報であり、
前記制御部は、前記記憶部が記憶した前記運動負荷に関する情報に基づいて、前記運動機器を利用する際の前記利用者の現在の運動負荷が過去の運動負荷よりも増加または減少するように、前記気調部によって前記運動空間の空気の温度と湿度の少なくとも一つを制御し、
前記制御部は、前記現在の運動負荷を前記過去の運動負荷よりも増加させる場合には、前記気調部によって前記運動空間の空気の温度と湿度の少なくとも一方を上げるように制御し、前記現在の運動負荷を前記過去の運動負荷よりも減少させる場合には、前記気調部によって前記運動空間の空気の温度と湿度の少なくとも一方を下げるように制御し、その後、前記取得部で取得した前記運動負荷に関する情報を前記記憶部に記憶させることを特徴とする運動支援ユニット。
【請求項2】
前記記憶部が記憶した前記運動負荷に関する情報に基づいて、前記過去の運動負荷よりも増加または減少させる運動負荷レベルを複数表示して選択可能に構成された操作部をさらに備え、
前記制御部は、前記現在の運動負荷が前記操作部によって選択された前記運動負荷レベルとなるように、前記気調部によって前記運動空間の空気の温度と湿度の少なくとも一つを制御することを特徴とする請求項1に記載の運動支援ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が意図する運動強度で運動を行うことを可能にする運動支援ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
運動機器(トレッドミル)において、利用者が意図する運動強度を保つために、利用者の心拍数の変化に追従して運動機器の運動負荷(例えば、エンドレスベルトを回転させるモータの回転速度)を制御することが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-177413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、運動機器を利用する場合には、利用者がより質の高い運動支援(トレーニング)を享受できるようにする必要がある。特に、長期間にわたって継続的に運動支援を受ける利用者にとっては、利用者の運動プランの中で運動負荷の調整を簡易に設定できることが求められる。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、利用者が運動機器を利用する際、利用者の過去の運動負荷に関する情報を用いて、空調制御による運動負荷の増減を設定することが可能な運動支援ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明の運動支援ユニットは、運動空間において利用者が利用して運動を行う運動機器と、運動空間の空調を行う気調部と、運動機器を利用した際の利用者の運動負荷に関する情報を取得する取得部と、取得部で取得した運動負荷に関する情報を記憶する記憶部と、気調部を制御する制御部と、を備える。そして、制御部は、記憶部が記憶した運動負荷に関する情報に基づいて、運動機器を利用する際の利用者の現在の運動負荷が過去の運動負荷よりも増加または減少するように、気調部によって運動空間の空気の温度と湿度の少なくとも一つを制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、利用者が運動機器を利用する際、利用者の過去の運動負荷に関する情報を用いて、空調制御による運動負荷の増減を設定することが可能な運動支援ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る運動支援ユニットの概略構成図である。
図2図2は、運動支援ユニットの概略ブロック図である。
図3図3は、運動支援ユニットにおける送風装置の制御部の構成を表す概略ブロック図である。
図4図4は、制御部で行う運動支援モードの処理を表すフローチャートである。
図5図5は、制御部で行う第一運動支援モードの処理を表すフローチャートである。
図6図6は、制御部で行う第二運動支援モードの処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る運動支援ユニットは、運動空間において利用者が利用して運動を行う運動機器と、運動空間の空調を行う気調部と、運動機器を利用した際の利用者の運動負荷に関する情報を取得する取得部と、取得部で取得した運動負荷に関する情報を記憶する記憶部と、気調部を制御する制御部と、を備える。そして、制御部は、記憶部が記憶した運動負荷に関する情報に基づいて、運動機器を利用する際の利用者の現在の運動負荷が過去の運動負荷よりも増加または減少するように、気調部によって運動空間の空気の温度と湿度の少なくとも一つを制御する。
【0010】
こうした構成によれば、記憶部が記憶した利用者の過去の運動負荷に関する情報に基づいて、気調部によって運動空間の空気の温度または湿度の少なくとも一つが制御されるので、運動機器を継続的に利用する場合に、利用者の運動プランの中で、利用者が意図する運動強度に基づいた運動支援(トレーニング)をより質を高めて行うことができる。つまり、利用者が運動機器を利用する際、利用者の過去の運動負荷に関する情報を用いて、気調部(空調制御)による運動負荷の増減を設定することが可能な運動支援ユニットとすることができる。
【0011】
また、本発明に係る運動支援ユニットでは、制御部は、現在の運動負荷を過去の運動負荷よりも増加させる場合には、気調部によって運動空間の空気の温度と湿度の少なくとも一方を上げるように制御し、現在の運動負荷を過去の運動負荷よりも減少させる場合には、気調部によって運動空間の空気の温度と湿度の少なくとも一方を下げるように制御してもよい。これにより、運動支援ユニットは、気調部による運動負荷を運動空間の空気の温度と湿度によって簡易に調節することができる。
【0012】
また、本発明に係る運動支援ユニットでは、運動負荷に関する情報は、利用者が運動機器を使用して運動を行っている最中に取得される心拍数であることが好ましい。これにより、運動支援ユニットでは、利用者の過去の心拍数を基準として現在の心拍数を、運動空間の空気の温度と湿度の少なくとも一つによって制御することができるため、利用者の運動プランの中で、利用者が意図する運動強度に基づいた運動支援(トレーニング)をより質を高めて行うことができる。
【0013】
また、本発明に係る運動支援ユニットは、記憶部が記憶した運動負荷に関する情報に基づいて、過去の運動負荷よりも増加または減少させる運動負荷レベルを複数表示して選択可能に構成された操作部をさらに備える。そして、制御部は、現在の運動負荷が操作部によって選択された運動負荷レベルとなるように、気調部によって運動空間の空気の温度と湿度の少なくとも一つを制御するようにしてもよい。このようにすることで、利用者自身が現在の体調に基づいて運動負荷の増減を設定できるため、利用者が意図する運動強度により確実に設定できるようになる。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
(実施の形態1)
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態1に係る運動支援ユニット1の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る運動支援ユニット1の概略構成図である。図2は、運動支援ユニット1の概略ブロック図である。
【0016】
運動支援ユニット1は、ボックス型のルームユニットとして構成される。運動支援ユニット1は、利用者Uが運動機器3を使用する際に、利用者Uが意図する運動強度となるように、送風装置2から気調(調温、調湿)された気調空気30を送風する。バイタルセンサ80は、利用者Uのバイタル情報(心拍数情報)を取得して、後述する制御部70に出力する。操作パネル82は、利用者Uの過去のバイタル情報(心拍数情報)を表示するとともに、利用者Uが受ける運動負荷(空調による運動負荷)のプランを選択する選択ボタンを表示する。選択ボタンは、利用者Uが前回利用した際の運動負荷と比べて、運動負荷レベルが「増加」、「同等」、「減少」の中から選択可能となっている。送風装置2は、利用者Uが選択した運動負荷のプランに応じて、送風する気調空気30の温湿度の制御を行う。これにより、利用者Uに対して従来よりも質の高い運動支援(トレーニング)を提供する。なお、運動支援ユニット1は、運動支援システムとも言える。
【0017】
具体的には、運動支援ユニット1は、図1に示すように、利用者Uが運動する運動空間S1と、運動空間S1に対して送風装置2から供給する気調空気30を生成して貯蔵するための気調空間S2とを有して構成される。
【0018】
運動空間S1には、その中央に運動機器3が設置されるとともに、運動機器3の前方となる壁面に送風装置2(送風口60)が設置されている。また、運動機器3の後方の壁面には、運動空間S1への出入口となるドア4が設けられている(図2参照)。なお、運動空間S1は、前後左右上下を壁面で囲まれた部屋(運動部屋)によって構成される空間である。
【0019】
運動機器3は、例えば、自転車エルゴメーター、自転車トレーニングマシン等の自転車型の機器であるが、トレッドミル(屋内でランニングあるいはウォーキングを行うための健康器具)等であってもよい。利用者Uは、運動機器3を所定の負荷レベルに設定して使用する。
【0020】
気調空間S2には、図2に示すように、送風装置2が設置されている。送風装置2は、運動空間S1に対して送風口60から供給する気調空気30を生成して貯蔵するために、空調装置41と調湿装置42を有して構成される気調部40と、送風機43と、制御部70とを含んで構成されている。なお、気調空間S2は、運動空間S1と同じく、前後左右上下を壁面で囲まれた部屋(気調部屋)によって構成される空間である。
【0021】
気調部40は、空調装置41と調湿装置42によって、気調空間S2の内部における空気の温度及び湿度を所定の条件に調節する。これにより、気調空間S2の内部には、所定の条件(温度、湿度)となった空気(気調空気30)が貯蔵される。ここで、空調装置41は、気調空間S2の内部における空気を取り込んで、取り込んだ空気の温度制御を行って気調空間S2の内部に送出する機器である。調湿装置42は、気調空間S2の内部における空気を取り込んで、取り込んだ空気の湿度制御を行って気調空間S2の内部に送出する機器である。
【0022】
送風機43は、図2に示すように、気調部40によって調節された気調空気30を所定の風速(送風量)で、図示しないダクトを流通させて送風口60に送出する。そして、送風口60から送出された気調空気30は、運動空間S1に送出される。
【0023】
制御部70は、上述した気調部40及び送風機43の動作を制御する。本実施の形態では、制御部70は、操作パネル82において選択された運動負荷のプランに応じて、気調部40を制御することによって、運動空間S1に送風される気調空気30の温湿度及び風速(送風量)を制御している。
【0024】
次に、図3を参照して、運動支援ユニット1における送風装置2の制御部70について説明する。図3は、運動支援ユニット1における送風装置2の制御部70の構成を表す概略ブロック図である。
【0025】
図3に示すように、制御部70は、入力部70aと、記憶部70bと、計時部70cと、処理部70dと、出力部70eとを備える。
【0026】
入力部70aは、操作パネル82からのユーザー設定情報に関する第一情報と、温湿度センサ81からの運動空間S1における室内空気の温度と湿度に関する第二情報と、バイタルセンサ80からの利用者Uのバイタル(心拍数)に関する第三情報とを受け付ける。入力部70aは、受け付けた第一情報~第三情報を処理部70dに出力する。また、入力部70aは、請求項の「取得部」に相当し、操作パネル82は、請求項の「操作部」に相当する。
【0027】
ここで、操作パネル82は、利用者Uが運動支援ユニット1の運動機器3を使用するに際してユーザー設定情報(例えば、登録者名、年齢、性別、運動強度レベル、温湿度条件、運動支援モード、等)を入力する端末であり、無線または有線により制御部70と通信可能に接続されている。また、操作パネル82には、運動支援ユニット1の起動スイッチと停止スイッチとが設けられ、さらに運動支援プログラムの開始スイッチと停止スイッチとが設けられている。また、操作パネル82は、運動支援プログラムの開始時には、利用者Uに関する情報、利用者Uの過去の運動負荷に関する情報、及び利用者Uが受ける運動負荷のプラン(「増加」、「同等」、「減少」)を選択する選択ボタンを表示する。ここで、過去の運動負荷に関する情報は、例えば、利用者Uが運動機器3を前回利用した際に取得されたバイタル情報(心拍数情報)、送風装置2から送風される気調空気30の温度、湿度、及び風速に関する情報などである。
【0028】
登録者名は、利用者Uを特定することができれば利用者Uの氏名でなくてもよく、ニックネーム、会員番号(登録番号)等であってもよい。
【0029】
年齢は、実年齢の直接入力ではなく、利用者Uの生年月日の入力によって設定されてもよい。
【0030】
運動強度レベルは、運動機器3による運動負荷の度合いであり、例えば、3段階(強、標準、弱)の中から設定可能となっている。運動強度レベル「強」は、目標運動強度が70%~80%の範囲の強度であり、運動強度レベル「標準」は、目標運動強度が60%~70%の範囲の強度であり、運動強度レベル「弱」は、目標運動強度が50%~60%の範囲の強度である。本実施の形態では、運動強度レベル「強」を選択した場合には、目標運動強度75%に設定され、運動強度レベル「標準」を選択した場合には、目標運動強度が65%に設定され、運動強度レベル「弱」を選択した場合には、目標運動強度が55%に設定される。
【0031】
温湿度条件は、例えば、温度26℃、湿度50%を基準として、温度は1℃、湿度は5%ごとに増減の設定が可能となっている。
【0032】
また、運動支援モードは、ユーザー設定情報がない場合には第一運動支援モードM1、ユーザー設定情報がある場合には、第二運動支援モードM2が選択される。ここで、第一運動支援モードM1は、例えば、利用者自身が設定した運動強度レベル及び温湿度条件に基づいて、運動条件を決定する。また、第二運動支援モードM2では、利用者Uの過去の運動負荷に関する情報に基づいて、運動空間S1の空気の温度と湿度の少なくとも一つを制御する。具体的には、利用者自身の過去の運動負荷に関する情報に基づいて、運動負荷が過去の使用時の運動負荷と比べて「増加、「同等」または「減少」となるような温湿度条件のプランを表示し、利用者Uが選択する。利用者Uが運動負荷の増加を選択した場合には、温度を1℃、湿度を5%それぞれ増加させ、運動負荷の減少を選択した場合には、温度を1℃、湿度を5%それぞれ減少させる。
【0033】
記憶部70bは、各運動支援モード(第一運動支援モードM1、第二運動支援モードM2)に対応する運動支援プログラムに関する第四情報と、各運動支援モードにおける送風設定に関する第五情報と、登録者名に対応する設定情報(過去に操作パネル82から入力されたユーザー設定情報、など)に関する第六情報とを記憶する。記憶部70bは、記憶した第四情報~第六情報を処理部70dに出力する。なお、記憶部70bに記憶した第六情報に基づいて、操作パネル82からのユーザー設定情報に関する第一情報の入力を一部省略してもよい。
【0034】
計時部70cは、現在時刻に関する第七情報を処理部70dに出力する。
【0035】
処理部70dは、入力部70aからの第一情報~第三情報と、記憶部70bからの第四情報~第六情報と、計時部70cからの第七情報とを受け付ける。処理部70dは、受け付けた第一情報~第七情報を用いて、利用者Uによって選択された運動支援モード(第一運動支援モードM1、第二運動支援モードM2)における送風装置2の送風動作に関する制御情報を特定する。処理部70dは、特定した制御情報を出力部70eに出力する。
【0036】
出力部70eは、処理部70dからの制御情報を受け付ける。出力部70eは、送風装置2の各機器(送風機43、気調部40)と電気的に接続される。そして、出力部70eは、受け付けた制御情報に基づいて、送風装置2の送風動作(送風装置2を構成する各機器の動作)を制御する信号(制御信号)を出力する。
【0037】
そして、送風装置2の各機器は、出力部70eからの信号をそれぞれ受け付け、受け付けた信号に基づいてそれぞれの制御を実行する。
【0038】
以上のようにして、制御部70は、利用者Uによって選択された運動支援モード(第一運動支援モードM1、第二運動支援モードM2)における送風装置2の送風動作の制御を実行する。
【0039】
次に、図4図6を参照して、送風装置2における送風動作の処理手順について説明する。図4は、送風装置2における制御部70で行う処理を表すフローチャートである。図5は、送風装置2における制御部70で行う第一運動支援モードM1での処理を表すフローチャートである。図6は、送風装置2における制御部70で行う第二運動支援モードS20での処理を表すフローチャートである。
【0040】
図4に示すように、運動支援ユニット1は、操作パネル82から制御部70に運動支援ユニット1の起動に関する信号(起動スイッチオン)が入力されると、起動して待機状態となる。その後、利用者Uがユーザー登録されているかどうかの確認を行う。このとき、ユーザー登録されているかどうかの確認は、例えば、登録者名(氏名、ニックネーム、会員番号など)を入力することによって、ユーザーの照合を行う。
【0041】
ユーザー登録されていない場合は、利用者Uは、操作パネル82からユーザー設定情報(第一情報)を入力する(ステップS01)。制御部70は、バイタルセンサ80から運動開始前の利用者Uのバイタル情報を取得する(ステップS02)。その後、第一運動支援モードM1を開始する。
【0042】
一方、利用者Uが既にユーザー登録されている場合は、ユーザー設定情報の読み込みを行う(ステップS03)。制御部70は、バイタルセンサ80から運動開始前の利用者Uのバイタル情報を取得する(ステップS04)。その後、第二運動支援モードM2を開始する。
【0043】
その後、各運動支援モードが終了すれば、運動支援ユニット1は、待機状態となる。そして、運動支援ユニット1は、操作パネル82から制御部70に運動支援ユニット1の停止に関する信号(停止スイッチオン)が入力されると動作を停止する。
【0044】
次に、各運動支援モード(第一運動支援モードM1、第二運動支援モードM2)での処理フローについて説明する。
【0045】
まず、第一運動支援モードM1について説明する。
【0046】
ステップS10に移行すると、第一運動支援モードM1では、図5に示すように、利用者Uが運動機器3を利用する際の送風装置2からの気調空気30の温湿度条件(例えば、温度A、湿度B)を入力する(ステップS11)。
【0047】
その後、制御部70は、操作パネル82から信号(運動支援プログラム開始または停止に関する信号)を受けて、運動支援プログラムが開始されたか否かを判断する(ステップS12)。その結果、運動支援プログラムの開始に関する信号が入力されず、運動支援プログラムが開始されていない場合(ステップS12のNo)には、制御部70は、信号の入力待ちの状態を継続する(ステップS12に戻る)。一方、運動支援プログラムの開始に関する信号が入力され、運動支援プログラムが開始された場合(ステップS12のYes)には、制御部70は、送風装置2からの気調空気30の送風を実行させる(ステップS13)。具体的には、制御部70は、送風装置2に対して、第一運動支援モードM1における運動支援プログラムに基づいて、気調空気30の送風条件を、温度A[℃]、湿度B[%]として実行させる。
【0048】
利用者Uは、第一運動支援モードM1における運動支援プログラムに沿って、運動機器3を使用して運動を行う。そして、制御部70は、バイタルセンサ80から利用者Uの運動最中の利用者Uのバイタル情報(心拍情報)を取得する(ステップS14)。
【0049】
そして、ステップS14の終了後、制御部70は、操作パネル82から信号(運動支援プログラム開始または停止に関する信号)を受けて、運動支援プログラムが終了したか否かを判断する(ステップS15)。その結果、運動支援プログラムの終了に関する信号が入力されず、運動支援プログラムが終了していない場合(ステップS15のNo)には、ステップS13に戻り、制御部70は、送風装置2からの気調空気30の送風を継続させる。
【0050】
一方、運動支援プログラムが終了した場合(ステップS15のYes)には、制御部70は、送風装置2からの気調空気30の送風を停止させる(ステップS16)。その後、制御部70は、第一運動支援モードM1の温湿度条件、及びバイタル情報を、記憶部70bに記憶させる。そして、制御部70は、第一運動支援モードM1を終了させる。
【0051】
次に、第二運動支援モードM2について説明する。
【0052】
ステップS20に移行すると、第二運動支援モードM2では、図6に示すように、利用者Uが前回利用した際の温湿度条件及びバイタル情報を、記憶部から読み込む(ステップS21及びステップS22)。制御部70は、読み込んだ前回の温湿度条件を基準として、前回よりも運動負荷を増加させる第一運動プラン、前回と運動負荷を同等とする第二運動プラン、前回よりも運動負荷を減少させる第三運動プランを操作パネル82に表示させ、利用者Uに運動プランを選択させる(ステップS23)。そして、制御部70は、選択された運動プランに応じて、気調空間S2の温湿度を制御する。具体的には、前回利用した際の温湿度条件を温度A[℃]、湿度B[%]とすると、第一運動プランでは、温度A+△A[℃]、湿度B+△B[%]、第二運動プランでは、温度A[℃]、湿度B[%]、第三運動プランでは、温度A-△A[℃]、湿度B-△B[%]となるように、気調空間S2の温湿度を制御する。ここで、△A、△Bの大きさは、利用者Uが前回利用した際のバイタル情報(心拍数情報)を参照して決定する。例えば、利用者Uの前回の平均心拍数が、最高心拍数の70~80%の場合、第一運動プランの△Aは1℃、△Bは5%とし、運動負荷の増加幅を小さくする。一方で、第三運動プランの△Aは3℃、△Bは15%とし、運動負荷の減少幅を大きくする。
【0053】
その後、制御部70は、操作パネル82から信号(運動支援プログラム開始または停止に関する信号)を受けて、運動支援プログラムが開始されたか否かを判断する(ステップS25)。その結果、運動支援プログラムの開始に関する信号が入力されず、運動支援プログラムが開始されていない場合(ステップS25のNo)には、制御部70は、信号の入力待ちの状態を継続する(ステップS25に戻る)。一方、運動支援プログラムの開始に関する信号が入力され、運動支援プログラムが開始された場合(ステップS21のYes)には、制御部70は、送風装置2からの気調空気30の送風を実行させる(ステップS26)。
【0054】
利用者Uは、第二運動支援モードM2における運動支援プログラムに沿って、運動機器3を使用して運動を行う。そして、制御部70は、バイタルセンサ80から利用者Uの運動最中の利用者Uのバイタル情報を取得する(ステップS27)。
【0055】
そして、ステップS27の終了後、制御部70は、操作パネル82から信号(運動支援プログラム開始または停止に関する信号)を受けて、運動支援プログラムが終了したか否かを判断する(ステップS28)。その結果、運動支援プログラムの終了に関する信号が入力されず、運動支援プログラムが終了していない場合(ステップS28のNo)には、ステップS26に戻り、制御部70は、送風装置2からの気調空気30の送風を継続させる。
【0056】
一方、運動支援プログラムが終了した場合(ステップS28のYes)には、制御部70は、送風装置2からの気調空気30の送風を停止させる(ステップS29)。その後、制御部70は、第二運動支援モードM2の温湿度条件及びバイタル情報を、記憶部70bに記憶させる。そして、制御部70は、第二運動支援モードM2を終了させる。
【0057】
以上のように、運動支援ユニット1では、利用者Uの過去の運動負荷に関する情報に基づいて、利用者Uの運動負荷が過去の使用時の運動負荷と比べて増加または減少するように、運動空間の空気の温度と湿度の少なくとも一つを制御する。
【0058】
以上、本実施の形態1に係る送風装置2を備えた運動支援ユニット1によれば、以下の効果を享受することができる。
【0059】
(1)運動支援ユニット1は、運動空間S1において利用者Uが利用して運動を行う運動機器3と、運動空間S1の空調を行う気調部40と、運動機器3を利用した際の利用者Uの運動負荷に関する情報を取得する入力部70aと、入力部70aで取得した運動負荷に関する情報を記憶する記憶部70bと、気調部40を制御する制御部70と、を備える。そして、制御部70は、記憶部70bが記憶した運動負荷に関する情報に基づいて、運動機器3を利用する際の利用者Uの現在の運動負荷が過去の運動負荷よりも増加または減少するように、気調部40によって運動空間S1の空気の温度と湿度の少なくとも一つ(例えば、温度及び湿度の両方)を制御するようにした。
【0060】
こうした構成によれば、記憶部70bが記憶した利用者Uの過去の運動負荷に関する情報に基づいて、気調部40によって運動空間S1の空気の温度または湿度の少なくとも一つが制御されるので、運動機器3を継続的に利用する場合に、利用者Uの運動プランの中で、利用者Uが意図する運動強度に基づいた運動支援(トレーニング)をより質を高めて行うことができる。つまり、利用者Uが運動機器3を利用する際、利用者Uの過去の運動負荷に関する情報を用いて、気調部40(空調制御)による運動負荷の増減を設定することが可能な運動支援ユニット1とすることができる。
【0061】
(2)運動支援ユニット1では、制御部70は、現在の運動負荷を過去の運動負荷よりも増加させる場合には、気調部40によって運動空間S1の空気の温度と湿度の少なくとも一方を上げるように制御し、現在の運動負荷を過去の運動負荷よりも減少させる場合には、気調部40によって運動空間S1の空気の温度と湿度の少なくとも一方を下げるように制御した。これにより、運動支援ユニット1は、気調部40による運動負荷を運動空間S1の空気の温度と湿度によって簡易に調節することができる。
【0062】
(3)運動支援ユニット1では、運動負荷に関する情報を、利用者Uが運動機器3を使用して運動を行っている最中に取得される心拍数とした。これにより、運動支援ユニット1では、利用者Uの過去の心拍数を基準として現在の心拍数を、運動空間S1の空気の温度と湿度の少なくとも一つによって制御することができるため、利用者Uの運動プランの中で、利用者Uが意図する運動強度に基づいた運動支援(トレーニング)をより質を高めて行うことができる。
【0063】
(4)運動支援ユニット1は、記憶部70bが記憶した運動負荷に関する情報に基づいて、過去の運動負荷よりも増加または減少させる運動負荷レベルを複数表示して選択可能に構成された操作パネル82をさらに備える。そして、制御部70は、現在の運動負荷が操作パネル82によって選択された運動負荷レベルとなるように、気調部40によって運動空間S1の空気の温度と湿度の少なくとも一つを制御するようにした。これにより、利用者U自身が現在の体調に基づいて運動負荷の増減を設定できるため、利用者Uが意図する運動強度により確実に設定できるようになる。
【0064】
(5)運動支援ユニット1では、制御部70は、入力部70aが取得した過去の利用者Uのバイタル情報(心拍数情報)をもとに、気調空気30の温度及び湿度の制御量を決定するようにした。これにより、過去の利用者Uのバイタル情報を基準として、温度と湿度とが制御されるので、利用者Uが意図する運動強度に基づいた運動支援(トレーニング)をより質を高めて行うことができる。
【0065】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0066】
本実施の形態に係る運動支援ユニット1では、運動空間S1の空気の温度または湿度の少なくとも一つを制御することにより、運動負荷の増減を設定したが、これに限られない。例えば、運動機器3の運動強度レベルを増加または減少させることにより、運動負荷の増減を設定してもよい。さらには、温湿度条件と運動強度レベルの双方を制御することにより、運動負荷の増減を設定してもよい。このようにすることで、利用者Uの好みに合わせて、運動負荷の増減方法を変更できるため、利用者Uが意図する運動強度に基づいた運動支援(トレーニング)をより質を高めて行うことができる。
【0067】
また、本実施の形態に係る運動支援ユニット1では、利用者Uのバイタル情報として心拍数を用いたが、これに限られない。例えば、心拍数に替えて、利用者Uの発汗あるいは体温、体組成、さらには、これらを組み合わせたバイタル情報としてもよい。このようにすることで、利用者Uが運動プランを選択する上で、参考となる情報が増えるため、利用者Uが意図する運動強度に基づいた運動支援(トレーニング)をより質を高めて行うことができる。
【0068】
また、本実施の形態に係る運動支援ユニット1では、利用者Uが表示された運動プランから選択を行ったが、これに限られない。例えば、利用者Uが過去の運動負荷に関する情報を参考として、目標値(発汗量、消費カロリー量など)を設定し、それに応じて運動支援ユニット1が温湿度条件、運動強度レベルを制御するような構成としてもよい。この場合、より利用者Uの数値目標に合わせた運動支援(トレーニング)を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係る送風装置を備える運動支援ユニットは、利用者が運動機器を利用する際、利用者の過去の運動負荷に関する情報を用いて、空調制御による運動負荷の増減を設定することが可能であるので有用である。
【符号の説明】
【0070】
1 運動支援ユニット
2 送風装置
3 運動機器
4 ドア
30 気調空気
40 気調部
41 空調装置
42 調湿装置
43 送風機
60 送風口
70 制御部
70a 入力部
70b 記憶部
70c 計時部
70d 処理部
70e 出力部
80 バイタルセンサ
81 温湿度センサ
82 操作パネル
S1 運動空間
S2 気調空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6