(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】換気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/007 20060101AFI20241018BHJP
F24F 11/72 20180101ALI20241018BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F11/72
(21)【出願番号】P 2021004090
(22)【出願日】2021-01-14
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】瀧山 寛之
(72)【発明者】
【氏名】樋口 智之
(72)【発明者】
【氏名】池田 智大
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-188841(JP,A)
【文献】特開昭62-123235(JP,A)
【文献】特開2001-078966(JP,A)
【文献】国際公開第2006/085406(WO,A1)
【文献】特開平08-061752(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106765937(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0010014(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/147
F24F 7/007
F24F 11/66
F24F 11/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外の空気を室内へ給気するための給気風路と、
前記給気風路を流通する給気流を除湿する除湿部と、
前記除湿部の制御を行う制御部と、
前記室外の温度である室外温度を検出する室外温度検出部と、
前記室外の相対湿度である室外相対湿度を検出する室外湿度検出部と、
前記室内の温度である室内温度を検出する室内温度検出部と、
前記室内の相対湿度である室内相対湿度を検出する室内湿度検出部と、を備え、
前記制御部は、
ユーザの就寝時間であるかどうかを判定する就寝時間判定部と、
前記就寝時間判定部が判定する判定結果に基づいて前記室内の目標湿度を決定する目標湿度決定部と、
前記室外温度と前記室外相対湿度から前記室外空気が有するエネルギーである室外比エンタルピーを算出する室外比エンタルピー算出部と、
前記室内温度と前記室内相対湿度から前記室内の絶対湿度である室内重量絶対湿度を算出する室内絶対湿度算出部と、を備え、
前記就寝時間判定部は、
前記算出された室外比エンタルピーと前記室内重量絶対湿度とに基づいて就寝時間であるかどうかを判定する換気装置。
【請求項2】
前記就寝時間判定部が判定するための室内絶対湿度閾値と、室外比エンタルピー閾値と、を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、
前記室内重量絶対湿度が前記室内絶対湿度閾値より大きい、または、前記算出された室外比エンタルピーが前記室外比エンタルピー閾値より大きい場合、
前記就寝時間判定部は就寝時間ではないと判定し、
前記目標湿度決定部は、前記室内の目標湿度を第一目標湿度に維持し、
前記室内重量絶対湿度が前記室内絶対湿度閾値以下、かつ、前記算出された室外比エンタルピーが前記室外比エンタルピー閾値以下の場合、
前記就寝時間判定部は就寝時間であると判定し、
前記目標湿度決定部は、前記室内の目標湿度を前記第一目標湿度より高い第二目標湿度に上げる請求項1記載の換気装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記室内温度と前記室内相対湿度から前記室内空気が有するエネルギーである室内比エンタルピーを算出する室内比エンタルピー算出部を備え、
前記室内重量絶対湿度が前記室内絶対湿度閾値より大きい、または、前記算出された室外比エンタルピーが前記室外比エンタルピー閾値より大きい、または、前記算出された室内比エンタルピーが所定の室内比エンタルピー範囲外、または、前記室内温度が所定の室内温度範囲外の場合、
前記就寝時間判定部は就寝時間ではないと判定し、
前記目標湿度決定部は、前記室内の目標湿度を前記第一目標湿度に維持し、
前記室内重量絶対湿度が前記室内絶対湿度閾値以下、かつ、前記算出された室外比エンタルピーが前記室外比エンタルピー閾値以下、かつ、前記算出された室内比エンタルピーが前記所定の室内比エンタルピー範囲内、かつ、前記室内温度が前記所定の室内温度範囲内の場合、
前記就寝時間判定部は就寝時間であると判定し、前記目標湿度決定部は、前記室内の目標湿度を前記第二目標湿度に上げる請求項2記載の換気装置。
【請求項4】
前記就寝時間判定部が判定に使用する室内絶対湿度閾値と、室外比エンタルピー変化閾値と、を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、
前記室内重量絶対湿度が前記室内絶対湿度閾値より大きい、または、既に算出した前記室外比エンタルピーである既算出室外比エンタルピーと新規算出した前記室外比エンタルピーである新規算出室外比エンタルピーとの差が前記室外比エンタルピー変化閾値より小さい場合、
前記就寝時間判定部は就寝時間ではないと判定し、
前記目標湿度決定部は、前記室内の目標湿度を第一目標湿度に維持し、
前記室内重量絶対湿度が前記室内絶対湿度閾値以下、かつ、前記既算出室外比エンタルピーと前記新規算出室外比エンタルピーとの差が前記室外比エンタルピー変化閾値以上の場合、
前記就寝時間判定部は就寝時間であると判定し、
前記目標湿度決定部は、前記室内の目標湿度を前記第一目標湿度より高い第二目標湿度に上げる請求項1記載の換気装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記室内温度と前記室内相対湿度から前記室内空気が有するエネルギーである室内比エンタルピーを算出する室内比エンタルピー算出部を備え、
前記室内重量絶対湿度が前記室内絶対湿度閾値より大きい、または、前記既算出室外比エンタルピーと前記新規算出室外比エンタルピーとの差が前記室外比エンタルピー変化閾値より小さい、または、前記算出された室内比エンタルピーが所定の室内比エンタルピー範囲外、または、前記室内温度が所定の室内温度範囲外の場合、
前記就寝時間判定部は就寝時間ではないと判定し、
前記目標湿度決定部は、前記室内の目標湿度を前記第一目標湿度に維持し、
前記室内重量絶対湿度が前記室内絶対湿度閾値以下、かつ、前記既算出室外比エンタルピーと前記新規算出室外比エンタルピーとの差が前記室外比エンタルピー変化閾値以上、かつ、前記算出された室内比エンタルピーが前記所定の室内比エンタルピー範囲内、かつ、前記室内温度が前記所定の室内温度範囲内の場合、
前記就寝時間判定部は就寝時間であると判定し、
前記目標湿度決定部は、前記室内の目標湿度を前記第二目標湿度に上げる請求項4記載の換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の換気装置として、外気を取り入れる換気が行われる室内空間において、ユーザの快適性が損なわれないように空調機を制御することができる空調制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。空調制御装置は、外気を取り入れる換気が行われる室内空間の環境を、空調機を制御することで調整する装置である。空調制御装置は、室内空間の環境が目標温度値及び目標湿度値になるように、空調機を制御する。これにより、室内をユーザが快適と感じる快適領域にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の空調制御装置においては、室内のユーザの状態については考慮されていない。室内でユーザが活動をしている際には、ユーザの活動量に応じて室内が加湿される。ここで、ユーザの活動量が多いことにより室内の相対湿度が高くなることを「発湿量が高い」、ユーザの活動量が少ないことにより室内の相対湿度が高くならないことを「発湿量が低い」と定義する。
【0005】
ユーザが料理や運動などの活動をしている場合には、発湿量が高くなる。また、ユーザが就寝などにより活動量が少ない場合には、発湿量が低くなる。例えば、日本の夏季において、ユーザが就寝中である場合に、目標湿度への換気制御を行うとする。すると、室内では発湿量が低い状態であるため、換気装置によって室内は過剰に除湿されてしまい、ユーザの就寝中の快適性を損なうという課題を有していた。
【0006】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決する換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る換気装置は、室外の空気を室内へ給気するための給気風路と、給気風路を流通する給気流を除湿する除湿部と、除湿部の制御を行う制御部と、室外の温度である室外温度を検出する室外温度検出部と、室外の相対湿度である室外相対湿度を検出する室外湿度検出部と、室内の温度である室内温度を検出する室内温度検出部と、室内の相対湿度である室内相対湿度を検出する室内湿度検出部と、を備え、制御部は、ユーザの就寝時間であるかどうかを判定する就寝時間判定部と、就寝時間判定部が判定する判定結果に基づいて室内の目標湿度を決定する目標湿度決定部と、室外温度と室外相対湿度から室外空気が有するエネルギーである室外比エンタルピーを算出する室外比エンタルピー算出部と、室内温度と室内相対湿度から室内の絶対湿度である室内重量絶対湿度を算出する室内絶対湿度算出部と、を備え、就寝時間判定部は、算出された室外比エンタルピーと室内重量絶対湿度とに基づいて就寝時間であるかどうかを判定するものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザの就寝中の快適性を確保することができる換気装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る熱交換形換気装置の概略図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る制御部およびその周辺部の概略機能ブロック図である。
【
図3】日本の夏季における室外比エンタルピーの変化例の図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る制御部の制御を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施の形態2に係る制御部およびその周辺部の概略機能ブロック図である。
【
図6】本発明の実施の形態2に係る制御部の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するために例示するものであって、本発明は以下のものに特定しない。特に実施の形態に記載されている材質、形状、構成要素、構成要素の配置及び相対的配置等は一例であって、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。本実施の形態では換気装置の一例として熱交換形換気装置について説明する。
【0011】
(実施の形態1)
まず、
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る熱交換形換気装置1について説明する。
図1は、熱交換形換気装置1の概略図である。
【0012】
熱交換形換気装置1は、建物内の天井裏または、側面壁内もしくは床下などに設置可能な室内空間の給排気を行う除湿機能が付いた換気装置であり、給排気の際に熱交換ができる機能を有する。
【0013】
熱交換形換気装置1は、室内から室外に排気される空気(後述する排気流2)と室外から室内に給気される空気(後述する給気流3)とを熱交換しながら換気しつつ、給気流3を除湿機能により必要に応じて除湿し、室内に導入する。つまり、熱交換形換気装置1は、換気を行うとともに、この換気時に、給気流3の熱を排気流2へと伝達し、熱の不要な流入を抑制している。さらに、給気流3に対して除湿を行い、室内における空気の湿度(室内相対湿度)の上昇を抑制している。
【0014】
ここで、排気流2は、室内から室外に排出する空気の流れである。排気流2は、室内から熱交換形換気装置1へと搬送される。熱交換形換気装置1により給気流3と熱交換された排気流2は、熱交換形換気装置1から室外へと排出される。
【0015】
給気流3は、室外から室内に導入する空気の流れである。給気流3は、室外から熱交換形換気装置1へと搬送される。熱交換形換気装置1により排気流2と熱交換された給気流3は、除湿機能により必要に応じて除湿され、室内へと導入される。
【0016】
熱交換形換気装置1は、屋内の空気RA(排気流2)と屋外の空気OA(給気流3)との間で熱交換しながら換気する装置である。
【0017】
具体的には、熱交換形換気装置1は、
図1に示す通り、本体4を備えている。
【0018】
本体4は、概略直方体形状の筐体を有している。本体4の側面には、内気口5、排気口6、外気口7、給気口8が設けられている。
【0019】
内気口5は、室内の空気RA(排気流2)を熱交換形換気装置1に取り入れるための取入口である。排気口6は、排気流2を排気EAとして熱交換形換気装置1から室外に吐き出すための吐出口である。外気口7は、室外の空気OA(給気流3)を熱交換形換気装置1に取り入れるための取入口である。給気口8は、給気流3を給気SAとして熱交換形換気装置1から室内に吐き出すための吐出口である。
【0020】
本体4の内部には、熱交換素子9を備えている。
【0021】
熱交換素子9は、排気流2と給気流3との間で熱交換を行うための部材である。なお熱交換には、排気流2と給気流3との間で温度を交換する顕熱交換、または、顕熱交換および排気流2と給気流3との間で湿度を交換する潜熱交換の両方を行う全熱交換が該当する。
【0022】
熱交換素子9は、セルロース繊維をベースとした伝熱紙(伝熱板)によって形成された全熱交換素子である。ただし、材質はこれに限定されるものではない。熱交換素子9を構成する伝熱板としては、例えば、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートをベースとした透湿樹脂膜、あるいは、セルロース繊維、セラミック繊維、ガラス繊維をベースとした紙材料等を用いることができる。また、熱交換素子9を構成する伝熱板は、伝熱性を備えた薄いシートであって、気体が透過しない性質のものを用いることができる。この場合、熱交換素子9は、顕熱交換素子となる。
【0023】
さらに、本体4の内部には、排気ファン10と給気ファン11を備えている。
【0024】
排気ファン10は、排気流2を内気口5から取り入れ、排気口6から吐き出すための送風機である。給気ファン11は、給気流3を外気口7から取り入れ、給気口8から吐き出すための送風機である。
【0025】
また、本体4の内部には、内気口5と排気口6とを連通する排気風路12と、外気口7と給気口8とを連通する給気風路13が形成されている。排気ファン10により吸い込まれた排気流2は、排気風路12内の熱交換素子9、凝縮器23、排気ファン10を経由し、排気口6から室外へと排出される。また、給気ファン11により吸い込まれた給気流3は、給気風路13内の熱交換素子9、蒸発器25、給気ファン11を経由し、給気口8から室内へと供給される。そして、熱交換形換気装置1は、熱交換換気を行う場合には、排気ファン10及び給気ファン11を動作させ、熱交換素子9において排気風路12を流通する排気流2と、給気風路13を流通する給気流3との間で熱交換を行う。
【0026】
これにより、熱交換形換気装置1は、換気を行う際に、室内に取り入れる給気流3の熱を室外に放出する排気流2へと伝達し、不要な熱の流入を抑制する。この結果、日本の夏季においては、換気を行う際に、室外の温度が高い空気によって室内の温度上昇を抑制することができる。また、熱交換形換気装置1は、換気を行う際に、室外に放出する排気流2の熱を室内に取り入れる給気流3へと伝達し、不要な熱の放出を抑制し、室内に熱を回収する。この結果、日本の冬季においては、換気を行う際に、室外の温度が低い空気による室内の温度低下を抑制することができる。
【0027】
さらに、本体4の内部には圧縮機22と、凝縮器23と、膨張器24と、蒸発器25と、を備えている。圧縮機22、凝縮器23、膨張器24、蒸発器25は、冷媒配管によりこの順序で環状に連結して構成された冷凍サイクルであり、蒸発器25が除湿部となり給気流3を除湿する除湿機能を備えている。冷媒配管は金属により構成されている。
【0028】
圧縮機22は、冷媒配管内の低温低圧の冷媒を圧縮し、圧力を高くすることで高温にする機器である。なお、冷媒とは、冷凍サイクルにおいて熱を移動させるために用いられる熱媒体のことである。圧縮機22の内部にはセンサレスDCモータ(図示せず)を備えている。センサレスDCモータは、圧縮機22内部の冷媒を圧縮する圧縮機構を回転させるために搭載されているモータである。つまり、センサレスDCモータを起動し回転させることで圧縮機22が起動し、圧縮機22の運転が開始される。
【0029】
凝縮器23は、圧縮機22によって高温高圧となった冷媒から空気(排気流2)に熱を放出させる。その際、冷媒は高圧下で凝縮されて液化する。つまり、凝縮器23に導入される冷媒の温度が空気(排気流2)の温度より高いため、空気(排気流2)は昇温され、冷媒は冷却される。
【0030】
膨張器24は、凝縮器23によって液化した高圧の冷媒を減圧して低温低圧の液体とする機器である。
【0031】
蒸発器25は、給気風路13に設けられている。蒸発器25は、膨張器24によって低温低圧となった冷媒によって、空気(給気流3)から熱を奪う。その際、冷媒は低圧下で蒸発されて気化する。つまり、蒸発器25に導入される冷媒の温度が空気(給気流3)の温度より低いため、空気(給気流3)は冷却され、冷媒は昇温される。
【0032】
さらに、本体4の内部には制御部30を備えている。制御部30は、給気流3の除湿制御を行うが、その制御内容については後述する。
【0033】
熱交換形換気装置1は、先述の熱交換を行う換気に加えて、除湿部としての蒸発器25を用いて給気流3の除湿を行うことができる。ここで、蒸発器25を用いた給気流3の除湿の流れについて説明する。
【0034】
まず、制御部30は圧縮機22を起動し冷媒を圧縮する。圧縮された冷媒は高温高圧になり、凝縮器23に導かれる。凝縮器23では冷媒は排気流2に熱を与えることで高圧の液体となる。
【0035】
次に、膨張器24によって凝縮器23で液化した冷媒の減圧を行う。圧縮機22の起動時には、まず冷媒を循環させるために、膨張器24の開度を通常の開度調整領域より大きく設定する。
【0036】
そして、圧縮機22のセンサレスDCモータの回転速度が所望の回転速度に安定した時点で、膨張器24の開度を絞っていく。膨張器24の開度を急激に絞ることは冷媒の圧力が急激に変化することにつながり圧縮機22の運転が不安定、または、異常停止にもつながる恐れがあるため、膨張器24の開度は数十秒単位の周期を持って開度調整を行う。
【0037】
そして、膨張器24で減圧され低温低圧の液体となり蒸発しやすくなった冷媒は、蒸発器25に導かれる。蒸発器25では、給気流3は蒸発器25を通過する際に低温低圧の冷媒によって熱を奪われる。同時に、給気流3中の水分が結露することにより給気流3中の水分量が減少し、給気流3は低湿な空気となる。即ち、給気流3は除湿部である蒸発器25によって除湿される。
【0038】
熱交換形換気装置1は、除湿を行わない場合は圧縮機22と膨張器24を停止することで冷凍サイクルを動作させない。
【0039】
さらに、本体4の内部には、室外温度センサ26と、室外相対湿度センサ27と、室内温度センサ28と、室内相対湿度センサ29と、を備えている。
【0040】
室外温度センサ26は、外気口7の近傍に設けられ、室外の温度である室外温度を検出する室外温度検出部である。室外相対湿度センサ27は、外気口7の近傍に設けられ、室外の相対湿度である室外相対湿度を検出する室外湿度検出部である。室内温度センサ28は、内気口5の近傍に設けられ、室内の温度である室内温度を検出する室内温度検出部である。室内相対湿度センサ29は、内気口5の近傍に設けられ、室内の相対湿度である室外相対湿度を検出する室内湿度検出部である。
【0041】
室外温度センサ26および室内温度センサ28は、例えば、温度に対して抵抗値が変化するサーミスタ、リニア抵抗器、白金抵抗体などが用いられる。室外相対湿度センサ27および室内相対湿度センサ29は、例えば、相対湿度に対して抵抗値や静電容量が変化する感湿膜などが用いられる。
【0042】
次いで、
図2を参照して、本実施の形態に係る制御部30の各機能について説明する。
図2は本実施の形態に係る制御部30及び周辺部の概略機能ブロック図である。
【0043】
制御部30は、室内絶対湿度算出部32と、室外比エンタルピー算出部33と、記憶部34と、室内絶対湿度比較部35と、室外比エンタルピー比較部36と、就寝時間判定部37と、目標湿度決定部38と、除湿制御部39と、を備えている。
【0044】
室内絶対湿度算出部32は、室内温度センサ28が検出した室内温度Tra[K]と室内相対湿度センサ29が検出した室内相対湿度から室内重量絶対湿度Xra[g/kg]を算出する。算出式については既知のため、省略する。
【0045】
室外比エンタルピー算出部33は、まず室外温度センサ26が検出した室外温度と室外相対湿度センサ27が検出した室外相対湿度から室外重量絶対湿度Xoa[g/kg]を算出する。算出式については既知のため、省略する。
【0046】
そして、室外温度をToa[K]、乾き空気の定圧比熱をCp[kJ/kg・K]、水蒸気の定圧比熱をCv[kJ/kg・K]、蒸発潜熱をR[kJ/kg]とすると、室外比エンタルピーHoa[kJ/kg(DA)]は式1により求めることができる。
【0047】
(式1)
Hoa[kJ/kg(DA)]=Cp×Toa×Xoa÷1000×(R+Cv×Toa)
室外比エンタルピー算出部33は、一定時間毎に式1の計算を行うことにより室外比エンタルピーHoaを算出する。ここで、比エンタルピーとは空気が有するエネルギーのことである。式1からわかるように室外温度Toa、室外重量絶対湿度Xoaが上昇すると室外比エンタルピーは上昇し、室外温度Toa、室外重量絶対湿度Xoaが減少すると室外比エンタルピーは減少する。日本の夏季における一日の室外比エンタルピーの変化について
図3を用いて説明する。
図3は、日本の夏季における一日の室外比エンタルピー変化の一例である。朝から日中にかけては室外温度が上昇するため、室外比エンタルピーも上昇する。その後、夕方から夜にかけて室外温度が減少するため、室外比エンタルピーも減少する。
【0048】
記憶部34は、後述する室外比エンタルピー比較部36が比較する際に利用する閾値と、後述する室内絶対湿度比較部35が比較する際に利用する閾値とを記憶する、いわゆるメモリである。具体的には、記憶部34は室外比エンタルピー閾値と室内絶対湿度閾値とを記憶する。
【0049】
室外比エンタルピー閾値は、室外比エンタルピーが所定の比エンタルピー範囲内であるか比較するためのもので、例えば、予め実験等により決められた値であり、任意に設定可能である。本実施の形態では、一例として室外比エンタルピー閾値を75[kJ/kg(DA)]とする。
【0050】
室内絶対湿度閾値は、室内重量絶対湿度が所定の重量絶対湿度範囲内であるか比較するためのもので、例えば、予め実験等により決められた値であり、任意に設定可能である。本実施の形態では、一例として室内絶対湿度閾値を11[g/kg]とする。
【0051】
室内絶対湿度比較部35は、室内絶対湿度算出部32から算出された室内重量絶対湿度と、記憶部34に記憶されている室内絶対湿度閾値とを比較する。室内絶対湿度比較部35は比較結果として、室内重量絶対湿度が室内絶対湿度閾値以下かどうかを就寝時間判定部37に出力する。
【0052】
室外比エンタルピー比較部36は、室外比エンタルピー算出部33から算出された室外比エンタルピーと、記憶部34に記憶されている室外比エンタルピー閾値とを比較する。比較結果として、室外比エンタルピーが室外比エンタルピー閾値以下かどうかを就寝時間判定部37に出力する。
【0053】
就寝時間判定部37は、室内絶対湿度比較部35の比較結果と、室外比エンタルピー比較部36の比較結果からユーザが就寝時間であるか否かを判定する。ここで、室内絶対湿度比較部35の比較結果と、室外比エンタルピー比較部36の比較結果からユーザが就寝時間であるか否かが判定可能な理由を説明する。
【0054】
図3に示すように、室外比エンタルピーは夕方から夜にかけて減少する。つまり、ユーザの就寝時間である夜間は、室外比エンタルピーが低くなる。即ち、室外比エンタルピーが室外比エンタルピー閾値(本実施の形態では75[kJ/kg(DA)])以下の場合に、就寝時間判定部37は夜間であることを判定することができる。室外温度も同様に夕方から夜にかけて減少するため、室外温度でも同様の判定を行うことができると考えられるが、室外比エンタルピーは室外温度に比べて一日の変化量が大きく、より精度が高い判断を行うことができる。
【0055】
また、ユーザが就寝中の場合は活動量が少なく、発湿量が低くなる。つまり、制御部30によって室内が目標湿度になるように除湿部が制御されている状態において、ユーザの就寝によって発湿量が高い状態から低い状態に変化することで、室内重量絶対湿度が減少する。即ち、室内重量絶対湿度が室内絶対湿度閾値(本実施の形態では11[g/kg])以下になった場合に、就寝時間判定部37はユーザの就寝時間であると判定することができる。
【0056】
これにより、就寝時間判定部37は、室外比エンタルピーが室外比エンタルピー閾値以下、かつ、室内重量絶対湿度が室内絶対湿度閾値以下の場合に、夜間でのユーザの就寝時間であると判定することができる。
【0057】
目標湿度決定部38は、遠隔操作装置31に設定される設定湿度と就寝時間判定部37の判定結果に基づいて室内の目標湿度を決定する。ここで、遠隔操作装置31とは、例えば有線または無線によって制御部30と通信可能なリモートコントローラである。遠隔操作装置31に設定された室内の湿度設定は、目標湿度決定部38に送信される。本実施の形態では、一例として遠隔操作装置31に設定された室内の湿度設定を室内絶対湿度閾値と同じ11[g/kg]とする。
【0058】
就寝時間判定部37によって就寝時間ではないと判定された場合、目標湿度決定部38は、室内の目標湿度を遠隔操作装置31に設定された設定湿度に決定する。ここで、遠隔操作装置31に設定された設定湿度を第一目標湿度と定義する。
【0059】
就寝時間判定部37によって就寝時間ではあると判定された場合、目標湿度決定部38は、室内の目標湿度を第一目標湿度よりも高い第二目標湿度に決定する。本実施の形態では、一例として第二目標湿度を12[g/kg]とする。
【0060】
ここで、就寝時間判定部37によって就寝時間ではあると判定された場合、目標湿度決定部38は、室内の目標湿度を第一目標湿度よりも高い第二目標湿度に決定する理由を説明する。もし、ユーザが就寝中である場合に、制御部30が第一目標湿度への除湿制御を行ったとする。すると、発湿量が低い状態であるため室内は過剰に除湿されてしまい、就寝中にユーザが肌寒く感じてしまう。そこで、ユーザが就寝中である場合には、目標湿度を第一目標湿度より高い第二目標湿度に上げることにより除湿部の除湿性能を抑えることができる。つまり、室内が過剰に除湿されることなく、ユーザが就寝時に肌寒く感じることを緩和することができる。即ち、ユーザの就寝中の快適性を確保することができる。
【0061】
除湿制御部39は、目標湿度決定部38により決定された目標湿度と室内絶対湿度算出部32から算出された室内重量絶対湿度に基づいて圧縮機22への回転数を制御する。ここで、圧縮機22の回転数を上げることは除湿部の除湿性能を上げることであり、圧縮機22の回転数を下げることは除湿部の除湿性能を下げることである。
【0062】
除湿制御部39は、室内重量絶対湿度が目標湿度以下の場合、圧縮機22の回転数を下げて除湿性能を下げる。また、除湿制御部39は、室内重量絶対湿度が目標湿度よりも大きい場合、圧縮機22の回転数を上げて除湿性能を上げる。
【0063】
ここで、制御部30はコンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における制御が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0064】
上記構成において、制御部30が行う制御フローについて
図4を用いて説明する。
図4は、熱交換形換気装置1における制御部30の制御を表すフローチャートである。なお、フローチャート開始時の室内の目標湿度は、遠隔操作装置31に設定されている第一目標湿度である。ここで、フローチャートではSを頭文字にして番号を割り振った。例えばS001などは処理ステップを指す。但し、処理ステップを示す数値の大小と処理順序は関係しない。
【0065】
まず、室内絶対湿度算出部32は室内重量絶対湿度を算出する。さらに、室外比エンタルピー算出部33は、室外比エンタルピーを算出する(S001)。
【0066】
次に、室内絶対湿度比較部35は、室内重量絶対湿度と室内絶対湿度閾値とを比較する。さらに、室外比エンタルピー比較部36は、室外比エンタルピーと室外比エンタルピー閾値とを比較する。そして、就寝時間判定部37は、室内重量絶対湿度が室内絶対湿度閾値以下、かつ、室外比エンタルピーが室外比エンタルピー閾値以下かどうか判定する(S002)。
【0067】
室内重量絶対湿度が室内絶対湿度閾値以下ではない、または、室外比エンタルピーが室外比エンタルピー閾値以下ではない場合、就寝時間判定部37は、就寝時間ではないと判定する。そして、目標湿度決定部38は、室内の目標湿度を遠隔操作装置31に設定されている第一目標湿度に維持する(S002のNo→S004)。
【0068】
室内重量絶対湿度が室内絶対湿度閾値以下、かつ、室外比エンタルピーが室外比エンタルピー閾値以下の場合、就寝時間判定部37は、就寝時間であると判定する。そして、目標湿度決定部38は、室内の目標湿度を第一目標湿度より高い第二目標湿度に上げる(S002のYes→S003)。これにより、室内が過剰に除湿されることなく、ユーザが就寝時に肌寒く感じることを緩和することができる。
【0069】
その後、除湿制御部39は、室内重量絶対湿度が目標湿度に近づくように、圧縮機22の回転数を制御する(S005)。
【0070】
このような構成によれば、室内重量絶対湿度が室内絶対湿度閾値より大きい、または、室外比エンタルピーが室外比エンタルピー閾値より大きい場合は、ユーザが就寝時間でないと判定し、第一目標湿度を維持することができる。また、室内重量絶対湿度が室内絶対湿度閾値以下、かつ、室外比エンタルピーが室外比エンタルピー閾値以下の場合は、ユーザが就寝時間であると判定し、目標湿度を第一目標湿度より高い第二目標湿度に上げることができる。これにより、室内が過剰に除湿されることなく、ユーザが就寝時に肌寒く感じることを緩和することができる。即ち、ユーザの就寝中の快適性を確保することができる。
【0071】
(実施の形態2)
本実施の形態ではユーザが就寝時間であるかどうかを判定するために、さらに室内比エンタルピーと室内温度とを用いる。
【0072】
本実施の形態に係る熱交換形換気装置1の制御部30の各機能について
図5を参照して説明する。
図5は本実施の形態に係る制御部30及び周辺部の概略機能ブロック図である。実施の形態1と同様の構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0073】
制御部30は、室内比エンタルピー算出部40を備えている。
【0074】
室内比エンタルピー算出部40は、室内比エンタルピーを算出する。ここで、室内重量絶対湿度をXra[g/kg]、室内温度をTra[K]、乾き空気の定圧比熱をCp[kJ/kg・K]、水蒸気の定圧比熱をCv[kJ/kg・K]、蒸発潜熱をR[kJ/kg]とすると、室内比エンタルピーHra[kJ/kg(DA)]は式2により求めることができる。
【0075】
(式2)
Hra[kJ/kg(DA)]=Cp×Tra×Xra÷1000×(R+Cv×Tra)
室内比エンタルピー算出部40は、式2の計算を行うことにより室内比エンタルピーHraを算出する。室内温度Tra、室内重量絶対湿度Xraが上昇すると室内比エンタルピーは上昇し、室内温度Tra、室外重量絶対湿度Xraが減少すると室内比エンタルピーは減少する。
【0076】
記憶部34は、室外比エンタルピー比較部36が比較する際に利用する閾値と、後述する室内比較部41が比較する際に利用する閾値とを記憶する、いわゆるメモリである。具体的に、記憶部34は室外比エンタルピー閾値と、室内絶対湿度閾値と、室内温度第一閾値と、室内温度第二閾値と、室内比エンタルピー第一閾値と、室内比エンタルピー第二閾値とを記憶する。
【0077】
室内温度第一閾値と室内温度第二閾値は、室内温度が所定の温度範囲内であるか比較するためのもので、例えば、予め実験等により決められた値であり、任意に設定可能である。室内温度第一閾値は室内温度第二閾値よりも小さい。本実施の形態では、一例として室内温度第一閾値を25[℃]、室内温度第二閾値を28[℃]とする。
【0078】
室内比エンタルピー第一閾値と室内比エンタルピー第二閾値は、室内比エンタルピーが所定の範囲内であるか比較するためのもので、例えば、予め実験等により決められた値であり、任意に設定可能である。室内比エンタルピー第一閾値は室内比エンタルピー第二閾値よりも小さい。本実施の形態では、一例として室内比エンタルピー第一閾値を45[kJ/kg]、室内比エンタルピー第二閾値を52.5[kJ/kg]とする。
【0079】
制御部30は室内絶対湿度比較部35に代わり、室内比較部41を備えている。
【0080】
室内比較部41は、室内絶対湿度算出部32から算出された室内重量絶対湿度と、記憶部34に記憶されている室内重量絶対湿度の閾値とを比較する。室内比較部41は、比較結果として、室内重量絶対湿度が室内絶対湿度閾値以下かどうかを就寝時間判定部37に出力する。
【0081】
さらに、室内比較部41は、室内比エンタルピー算出部40から算出された室内比エンタルピーと、記憶部34に記憶されている室内比エンタルピー第一閾値および室内比エンタルピー第二閾値とを比較する。室内比較部41は、比較結果として、室内比エンタルピーが室内比エンタルピー第一閾値以上で室内比エンタルピー第二閾値以下の範囲内であるかどうかを就寝時間判定部37に出力する。
【0082】
さらに、室内比較部41は、室内温度センサ28が検出した室内温度と、記憶部34に記憶されている室内温度第一閾値および室内温度第二閾値とを比較する。室内比較部41は、比較結果として、室内温度が室内温度第一閾値以上で室内温度第二閾値以下の範囲内であるかどうかを就寝時間判定部37に出力する。
就寝時間判定部37は、室内比較部41の比較結果と、室外比エンタルピー比較部36の比較結果から就寝時間であるか否かを判定する。本実施の形態では、室内重量絶対湿度が室内絶対湿度閾値以下、かつ、室外比エンタルピーが室外比エンタルピー閾値以下、かつ、室内比エンタルピーが室内比エンタルピー第一閾値以上で室内比エンタルピー第二閾値以下の範囲内、かつ、室内温度が室内温度第一閾値以上で室内温度第二閾値以下の範囲内の場合、就寝時間であると判定する。
【0083】
つまり、実施の形態1の就寝時間判定から、さらに「室内比エンタルピーが室内比エンタルピー第一閾値以上で室内比エンタルピー第二閾値以下の範囲内、かつ、室内温度が室内温度第一閾値以上で室内温度第二閾値以下の範囲内」が追加になっている。本実施の形態では、室内比エンタルピーが45kJ/kg以上で52.5kJ/kg以下の範囲内、かつ、室内温度が25℃以上で28℃以下の範囲内である。この場合、室内相対湿度が低くなっており、室内は過剰に除湿され乾燥状態となっている。これにより、就寝時間判定部37は就寝時間、かつ、室内が乾燥状態であることを判定することができる。
【0084】
上記構成において、制御部30が行う制御フローについて
図6を用いて説明する。
図6は、本実施の形態に係る熱交換形換気装置1における制御部30の制御を表すフローチャートである。なお、フローチャート開始時の室内の目標湿度は、遠隔操作装置31に設定されている第一目標湿度である。
【0085】
まず、室内絶対湿度算出部32は室内重量絶対湿度を算出する。さらに、室外比エンタルピー算出部33は、室外比エンタルピーを算出する。さらに、室内比エンタルピー算出部40は、室内比エンタルピーを算出する(S011)。
【0086】
次に、室内比較部41は、室内重量絶対湿度と室内絶対湿度閾値とを比較する。さらに、室内比較部41は、室内比エンタルピーと室内比エンタルピー第一閾値および室内比エンタルピー第二閾値とを比較する。さらに、室内比較部41は、室内温度と室内温度第一閾値および室内温度第二閾値とを比較する。さらに、室外比エンタルピー比較部36は、室外比エンタルピーと室外比エンタルピー閾値とを比較する。
【0087】
そして、就寝時間判定部37は、室内重量絶対湿度が室内絶対湿度閾値以下、かつ、室外比エンタルピーが室外比エンタルピー閾値以下、かつ、室内比エンタルピーが室内比エンタルピー第一閾値以上で室内比エンタルピー第二閾値以下の範囲内、かつ、室内温度が室内温度第一閾値以上で室内温度第二閾値以下の範囲内かどうか判定する(S012)。
【0088】
室内重量絶対湿度が室内絶対湿度閾値以下ではない、または、室外比エンタルピーが室外比エンタルピー閾値以下ではない、または、室内比エンタルピーが室内比エンタルピー第一閾値以上で室内比エンタルピー第二閾値以下の範囲内ではない、または、室内温度が室内温度第一閾値以上で室内温度第二閾値以下の範囲内ではない場合、就寝時間判定部37は、就寝時間ではないと判定する。そして、目標湿度決定部38は、室内の目標湿度を遠隔操作装置31に設定されている第一目標湿度に維持する(S012のNo→S014)。
【0089】
室内重量絶対湿度が室内絶対湿度閾値以下、かつ、室外比エンタルピーが室外比エンタルピー閾値以下、かつ、室内比エンタルピーが室内比エンタルピー第一閾値以上で室内比エンタルピー第二閾値以下の範囲内、かつ、室内温度が室内温度第一閾値以上で室内温度第二閾値以下の範囲内の場合、就寝時間判定部37は、就寝時間、かつ、室内が乾燥状態であると判定する。そして、目標湿度決定部38は、室内の目標湿度を第一目標湿度より高い第二目標湿度に上げる(S012のYes→S013)。これにより、室内が過剰に除湿されることなく、ユーザが就寝時に肌寒く感じることを緩和することができる。
【0090】
その後、除湿制御部39は、室内重量絶対湿度が目標湿度に近づくように、圧縮機22の回転数を制御する(S015)。
【0091】
このような構成によれば、室内重量絶対湿度が室内絶対湿度閾値より大きい、または、室外比エンタルピーが室外比エンタルピー閾値より大きい、または、室内比エンタルピーが所定の室内比エンタルピー範囲外、または、室内温度が所定の室内温度範囲外の場合は、就寝時間でないと判定し、第一目標湿度を維持することができる。また、室内重量絶対湿度が室内絶対湿度閾値以下、かつ、算出された室外比エンタルピーが室外比エンタルピー閾値以下、かつ、室内比エンタルピーが所定の室内比エンタルピー範囲内、かつ、室内温度が所定の室内温度範囲内の場合は、就寝時間かつ室内が乾燥状態であると判定し、目標湿度を第一目標湿度より高い第二目標湿度に上げることができる。これにより、室内が過剰に除湿されることなく、ユーザが就寝時に肌寒く感じることを緩和することができる。即ち、ユーザの就寝中の快適性を確保することができる。
【0092】
以上、本発明に係る熱交換形換気装置1及び制御部30について説明を行った。
【0093】
(変形例)
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0094】
例えば、記憶部34は、室外比エンタルピー閾値の代わりに、室外比エンタルピー変化閾値を記憶しても良い。
【0095】
室外比エンタルピー変化閾値は、室外比エンタルピー算出部33が算出した既算出室外比エンタルピーと室外比エンタルピー算出部33が算出する新規算出室外比エンタルピーとの差が所定の範囲内であるか比較するためのものである。室外比エンタルピー変化閾値は、例えば、予め実験等により決められた値であり、任意に設定可能である。変形例では、一例として室外比エンタルピー閾値を5[kJ/kg(DA)]とする。
【0096】
室外比エンタルピーは夕方から夜にかけて減少するため、既算出室外比エンタルピーと新規算出室外比エンタルピーとの差が室外比エンタルピー変化閾値以上の場合、就寝時間判定部37は夜間であることを判定することができる。
【0097】
そして、室内重量絶対湿度が室内絶対湿度閾値以下、かつ、既算出室外比エンタルピーと前記新規算出室外比エンタルピーとの差が室外比エンタルピー変化閾値以上の場合、就寝時間判定部37は就寝時間であると判定する。また、室内重量絶対湿度が室内絶対湿度閾値以下、かつ、既算出室外比エンタルピーと新規算出室外比エンタルピーとの差が室外比エンタルピー変化閾値以上、かつ、室内比エンタルピーが所定の室内比エンタルピー範囲内、かつ、室内温度が所定の室内温度範囲内の場合、就寝時間判定部37は就寝時間かつ室内が乾燥状態であると判定する。
【0098】
また、本実施の形態では制御部30にて室外重量絶対湿度と室内重量絶対湿度を算出したが、室外重量絶対湿度センサと室内重量絶対湿度センサを備え、これらセンサより制御部30が室外重量絶対湿度と室内重量絶対湿度を取得しても良い。これにより、様々な構成で本発明を実施することが出来る。
【0099】
(発明の概要)
本発明に係る換気装置は、室外の空気を室内へ給気するための給気風路と、前記給気風路を流通する給気流を除湿する除湿部と、前記除湿部の制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、ユーザの就寝時間であるかどうかを判定する就寝時間判定部と、前記就寝時間判定部が判定する判定結果に基づいて前記室内の目標湿度を決定する目標湿度決定部と、を備えた構成にしたものである。これにより、ユーザ就寝時間判定部の判定結果に応じて目標湿度が決定されることとなるので、室内が過剰に除湿されることなく、ユーザが就寝時に肌寒く感じることを緩和することができる。即ち、ユーザの就寝中の快適性を確保することができる。
【0100】
また、前記室外の温度である室外温度を検出する室外温度検出部と、前記室外の相対湿度である室外相対湿度を検出する室外湿度検出部と、前記室内の温度である室内温度を検出する室内温度検出部と、前記室内の相対湿度である室内相対湿度を検出する室内湿度検出部と、を備え、前記制御部は、前記室外温度と前記室外相対湿度から前記室外空気が有するエネルギーである室外比エンタルピーを算出する室外比エンタルピー算出部と、前記室内温度と前記室内相対湿度から前記室内の絶対湿度である室内重量絶対湿度を算出する室内絶対湿度算出部と、を備え、前記就寝時間判定部は、前記算出された室外比エンタルピーと前記室内重量絶対湿度とに基づいて就寝時間であるがどうかを判定するという構成にしてもよい。これにより、ユーザの就寝時間を判定することができる。
【0101】
また、前記就寝時間判定部が判定するための室内絶対湿度閾値と、室外比エンタルピー閾値と、を記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記室内重量絶対湿度が前記室内絶対湿度閾値より大きい、または、前記算出された室外比エンタルピーが前記室外比エンタルピー閾値より大きい場合、前記就寝時間判定部は就寝時間ではないと判定し、前記目標湿度決定部は、前記室内の目標湿度を第一目標湿度に維持し、前記室内重量絶対湿度が前記室内絶対湿度閾値以下、かつ、前記算出された室外比エンタルピーが前記室外比エンタルピー閾値以下の場合、前記就寝時間判定部は就寝時間であると判定し、前記目標湿度決定部は、前記室内の目標湿度を前記第一目標湿度より高い第二目標湿度に上げるという構成にしてもよい。これにより、ユーザの就寝時間において、目標湿度を第一目標湿度より高い第二目標湿度に上げることが出来るので、室内が過剰に除湿されることなく、ユーザが就寝時に肌寒く感じることを緩和することができる。即ち、ユーザの就寝中の快適性を確保することができる。
【0102】
また、前記制御部は、前記室内温度と前記室内相対湿度から前記室内空気が有するエネルギーである室内比エンタルピーを算出する室内比エンタルピー算出部を備え、前記室内重量絶対湿度が前記室内絶対湿度閾値より大きい、または、前記算出された室外比エンタルピーが前記室外比エンタルピー閾値より大きい、または、前記算出された室内比エンタルピーが所定の室内比エンタルピー範囲外、または、前記室内温度が所定の室内温度範囲外の場合、前記就寝時間判定部は就寝時間ではないと判定し、前記目標湿度決定部は、前記室内の目標湿度を前記第一目標湿度に維持し、前記室内重量絶対湿度が前記室内絶対湿度閾値以下、かつ、前記算出された室外比エンタルピーが前記室外比エンタルピー閾値以下、かつ、前記算出された室内比エンタルピーが前記所定の室内比エンタルピー範囲内、かつ、前記室内温度が前記所定の室内温度範囲内の場合、前記就寝時間判定部は就寝時間であると判定し、前記目標湿度決定部は、前記室内の目標湿度を前記第二目標湿度に上げるという構成にしてもよい。これにより、就寝時間判定部は、就寝時間、かつ、室内が乾燥状態であることを判定することができる。そして、ユーザの就寝時間において、目標湿度を第一目標湿度より高い第二目標湿度に上げることが出来るので、室内が過剰に除湿されることなく、ユーザが就寝時に肌寒く感じることを緩和することができる。即ち、ユーザの就寝中の快適性を確保することができる。
【0103】
また、前記就寝時間判定部が判定に使用する室内絶対湿度閾値と、室外比エンタルピー変化閾値と、を記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記室内重量絶対湿度が前記室内絶対湿度閾値より大きい、または、既に算出した前記室外比エンタルピーである既算出室外比エンタルピーと新規算出した前記室外比エンタルピーである新規算出室外比エンタルピーとの差が前記室外比エンタルピー変化閾値より小さい場合、前記就寝時間判定部は就寝時間ではないと判定し、前記目標湿度決定部は、前記室内の目標湿度を第一目標湿度に維持し、前記室内重量絶対湿度が前記室内絶対湿度閾値以下、かつ、前記既算出室外比エンタルピーと前記新規算出室外比エンタルピーとの差が前記室外比エンタルピー変化閾値以上の場合、前記就寝時間判定部は就寝時間であると判定し、前記目標湿度決定部は、前記室内の目標湿度を前記第一目標湿度より高い第二目標湿度に上げるという構成にしてもよい。これにより、ユーザの就寝時間において、目標湿度を第一目標湿度より高い第二目標湿度に上げることが出来るので、室内が過剰に除湿されることなく、ユーザが就寝時に肌寒く感じることを緩和することができる。即ち、ユーザの就寝中の快適性を確保することができる。
【0104】
また、前記制御部は、前記室内温度と前記室内相対湿度から前記室内空気が有するエネルギーである室内比エンタルピーを算出する室内比エンタルピー算出部を備え、前記室内重量絶対湿度が前記室内絶対湿度閾値より大きい、または、前記既算出室外比エンタルピーと前記新規算出室外比エンタルピーとの差が前記室外比エンタルピー変化閾値より小さい、または、前記算出された室内比エンタルピーが所定の室内比エンタルピー範囲外、または、前記室内温度が所定の室内温度範囲外の場合、前記就寝時間判定部は就寝時間ではないと判定し、前記目標湿度決定部は、前記室内の目標湿度を前記第一目標湿度に維持し、前記室内重量絶対湿度が前記室内絶対湿度閾値以下、かつ、前記既算出室外比エンタルピーと前記新規算出室外比エンタルピーとの差が前記室外比エンタルピー変化閾値以上、かつ、前記算出された室内比エンタルピーが前記所定の室内比エンタルピー範囲内、かつ、前記室内温度が前記所定の室内温度範囲内の場合、前記就寝時間判定部は就寝時間であると判定し、前記目標湿度決定部は、前記室内の目標湿度を前記第二目標湿度に上げるという構成にしてもよい。これにより、就寝時間判定部は、就寝時間、かつ、室内が乾燥状態であることを判定することができる。そして、ユーザの就寝時間において、目標湿度を第一目標湿度より高い第二目標湿度に上げることが出来るので、室内が過剰に除湿されることなく、ユーザが就寝時に肌寒く感じることを緩和することができる。即ち、ユーザの就寝中の快適性を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明に係る換気装置は、除湿機能を備えた換気装置として有用である。
【符号の説明】
【0106】
1 熱交換形換気装置
2 排気流
3 給気流
4 本体
5 内気口
6 排気口
7 外気口
8 給気口
9 熱交換素子
10 排気ファン
11 給気ファン
12 排気風路
13 給気風路
22 圧縮機
23 凝縮器
24 膨張器
25 蒸発器
26 室外温度センサ
27 室外相対湿度センサ
28 室内温度センサ
29 室内相対湿度センサ
30 制御部
31 遠隔操作装置
32 室内絶対湿度算出部
33 室外比エンタルピー算出部
34 記憶部
35 室内絶対湿度比較部
36 室外比エンタルピー比較部
37 就寝時間判定部
38 目標湿度決定部
39 除湿制御部
40 室内比エンタルピー算出部
41 室内比較部