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特許7573148家庭用電気機器の運転制御装置、及び洗濯機
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  • 特許-家庭用電気機器の運転制御装置、及び洗濯機 図1
  • 特許-家庭用電気機器の運転制御装置、及び洗濯機 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】家庭用電気機器の運転制御装置、及び洗濯機
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/20 20060101AFI20241018BHJP
   H02H 3/24 20060101ALI20241018BHJP
   H02H 7/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H02H3/20
H02H3/24
H02H7/00 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021043033
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2022142818
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】辻 悠一
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-187180(JP,A)
【文献】特開平08-233335(JP,A)
【文献】特開2017-184314(JP,A)
【文献】特開2014-220876(JP,A)
【文献】特開平09-023646(JP,A)
【文献】特開2014-150667(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0201252(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H3/08-3/253
H02H7/00
H02H7/10-7/20
H02H11/00
H02M3/00-3/44
H02M7/00-7/40
G05F1/445
G05F1/56
G05F1/613
G05F1/618
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用交流電源を整流する整流器と、
前記整流器により整流された電圧を任意の出力電圧に変換する電圧変換装置と、
前記出力電圧を所定の比率で信号へ変換する出力電圧変換装置と、
前記出力電圧変換装置からの信号により出力電圧を一定に保つよう前記電圧変換装置を制御する電圧制御装置と、
前記電圧制御装置に設けられ軽負荷時に間欠発振動作を行う機能を有する間欠発振手段と、
前記商用交流電源により動作する交流負荷と、
前記交流負荷と前記商用交流電源との接続の開閉を行うスイッチと、
前記スイッチの開閉制御を行うことにより前記交流負荷を制御して所定の運転行程を逐次制御する制御手段と、
前記制御手段に設けられ前記出力電圧変換装置の信号を読み取る電圧検出手段と、
前記制御手段に設けられ、前記出力電圧に現れるリップル電圧のスイッチング周期を計測する計時手段と、を備え、
前記制御手段は、前記スイッチング周期が所定値を超えている場合、前記スイッチを前記交流負荷に接続せず、運転を停止する家庭用電気機器の運転制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記計時手段が計測した前記スイッチング周期が所定値を超えた場合に、異常報知手段により異常報知する請求項1に記載の家庭用電気機器の運転制御装置。
【請求項3】
商用交流電源を整流する整流器と、
前記整流器により整流された電圧を任意の出力電圧に変換する電圧変換装置と、
前記出力電圧を所定の比率で信号へ変換する出力電圧変換装置と、
前記出力電圧変換装置からの信号により出力電圧を一定に保つよう前記電圧変換装置を制御する電圧制御装置と、
前記電圧制御装置に設けられ軽負荷時に間欠発振動作を行う機能を有する間欠発振手段と、
少なくともモータ又は給水弁であって前記商用交流電源により動作する交流負荷と、
前記交流負荷と前記商用交流電源との接続の開閉を行うスイッチと、
前記スイッチの開閉制御を行うことにより前記交流負荷を制御して所定の運転行程を逐次制御する制御手段と、
前記制御手段に設けられ前記出力電圧変換装置の信号を読み取る電圧検出手段と、
前記制御手段に設けられ、前記出力電圧に現れるリップル電圧のスイッチング周期を計測する計時手段と、を備え、
前記制御手段は、前記スイッチング周期が所定値を超えている場合、前記スイッチを前記交流負荷に接続せず、運転を停止する、
洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、商用交流電源で動作する負荷を備えた家庭用電気機器の運転制御装置、及び洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、機器に接続された商用交流電源電圧が定格外の電圧であるか判定するために、商用交流電源を絶縁トランスにて一定電圧の低電圧に変換した後の電圧を制御装置へ供給する電源装置と、別途設けた検出回路にて異常電圧を検知することで、使用者の誤使用を検出し、機器を保護する手段を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平04-187180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、定格外電圧の電圧を判定する検出回路を特別に設けることなく、機器に接続された商用交流電源電圧を検出し、異常の場合は機器を強制停止することにより、不安全を未然に防ぎ、安全性を向上させる家庭用電気機器の運転制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における家庭用電気機器の運転制御装置は、商用交流電源を整流する整流器と、前記整流器により整流された電圧を任意の出力電圧に変換する電圧変換装置と、前記出力電圧を所定の比率で信号へ変換する出力電圧変換装置と、前記出力電圧変換装置からの信号により出力電圧を一定に保つよう前記電圧変換装置を制御する電圧制御装置と、前記電圧制御装置に設けられ軽負荷時に間欠発振動作を行う機能を有する間欠発振手段と、前記商用交流電源により動作する交流負荷と、前記交流負荷と前記商用交流電源との接続の開閉を行うスイッチと、前記スイッチの開閉制御を行うことにより前記交流負荷を制御して所定の運転行程を逐次制御する制御手段と、前記制御手段に設けられ前記出力電圧変換装置の信号を読み取る電圧検出手段と、前記制御手段に設けられ、前記出力電圧に現れるリップル電圧のスイッチング周期を計測する計時手段と、を備え、前記制御手段は、前記スイッチング周期が所定値を超えている場合、前記スイッチを前記交流負荷に接続せず、運転を停止する構成としたものである。
【発明の効果】
【0006】
本開示における家庭用電気機器の運転制御装置は、定格外電圧の電圧を判定する検出回路を特別に設けることなく、機器に接続された商用交流電源電圧を検出し、異常の場合は機器を停止して報知することにより、不安全を未然に防ぎ、安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1における洗濯機を例示した家庭用電気機器の運転制御装置の回路図
図2】実施の形態1における家庭用電気機器の運転制御装置のスイッチング素子への制御信号動作図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
従来の構成では、他の負荷へ供給する電源回路と商用交流電源電圧検出回路が別途必要となり、回路の大型化、高価格化を招く。また、機器が運転していないときも、商用交流電源が接続され続けている限り常に検出回路が動作し続け、待機時の消費電力を増大させるという課題を有していた。その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0009】
そこで、本開示は、定格外電圧の電圧を判定する検出回路を特別に設けることなく、機器に接続された商用交流電源電圧を検出し、異常の場合は機器を強制停止することにより、不安全を未然に防ぎ、安全性を向上させる家庭用電気機器の運転制御装置を提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0011】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0012】
(実施の形態1)
以下、図1図2を用いて、実施の形態1を説明する。
【0013】
(1-1.構成)
図1において、運転制御装置20は、商用交流電源1の交流電力を整流器2により整流し、スイッチング素子5およびトランス6を含む電圧変換装置4により直流電圧を所定の出力電圧Voへ変換する。
【0014】
出力電圧変換装置7は、出力電圧Voを信号へ変換するものであり、電圧制御装置3は、出力電圧変換装置7からのフィードバック信号により、一定の出力電圧Voとなるよう電圧変換装置4を制御する。また、電圧制御装置3は、機器が待機状態のような軽負荷時に、間欠発振手段19により間欠発振動作させることで、スイッチング素子5によるスイッチング損失を抑え、待機電力低減を図る機能を備えている。
【0015】
電圧変換装置4による出力電圧Voからは、他の制御回路(図示せず)への電源供給を行うとともに制御手段9へ電源供給を行う。
【0016】
スイッチ11は、洗濯機の洗濯物を収容する洗濯槽(図示せず)、洗濯物を攪拌するパルセータ(図示せず)を回転駆動させるモータ17や、洗濯槽へ給水する給水弁18などの交流負荷12と商用交流電源1との通電を制御するものであり、スイッチ11が閉じることにより、交流負荷12に商用交流電源1から電力が供給され、モータ17や給水弁18などの交流負荷12は所定のタイミングで動作を開始する。なお、モータ17、給水弁18以外の負荷については図示していない。
【0017】
制御手段9は、スイッチ開閉制御手段15によりスイッチ11へ信号を送出、停止してスイッチ11の開閉制御を行うとともに、出力電圧変換装置7からのフィードバック信号を電圧制御装置3とともに受ける。
【0018】
制御手段9に設けられた電圧検出手段14は、出力電圧変換装置7の信号を読み取るものであり、同じく制御手段9に設けられた計時手段13は、電圧変換装置4による出力電圧Voに現れるリップル電圧ΔVoのスイッチング周期Tswを計測するなどあらゆる計
時を行う。
【0019】
なお、スイッチ11は、制御手段9からスイッチ閉の信号が来るまでは開状態を維持し、交流負荷12と商用交流電源1とは切り離されている。交流負荷12と商用交流電源1との切り離しは商用交流電源1が接続されず、機器が完全に動作を停止している状態においても継続される。
【0020】
また、負荷分離用整流器8、および、平滑用コンデンサ10は、制御手段9への安定した電源電圧および制御手段9内での基準電圧となる電圧を供給するため、他の負荷と電流を分離するためのものであるが、別電源から制御手段9へ安定した電源供給を行う場合には、負荷分離用整流器8および平滑用コンデンサ10は不要となる。
【0021】
また、制御手段9は、商用交流電源1に供給された電源が定格外電圧で、機器に不安全であると判定した場合には、異常報知手段16により使用者に異常を知らせる。電圧検知については、後述する。
【0022】
(1-2.動作、作用)
以上のように構成された家庭用電気機器の運転制御装置について、以下、その動作、作用を説明する。
【0023】
使用者が機器を商用交流電源1へ接続すると、電圧制御装置3の制御により、電圧変換装置4が一定の出力電圧を制御手段9へ供給する。使用者が商用交流電源1へ接続した直後の機器は待機状態となっている。
【0024】
待機状態では交流負荷12は動作せず、待機状態を維持するために必要な一部の制御手段9が動作しているのみで軽負荷となっており、電圧制御装置3は間欠発振で待機電力を抑える制御を行う。待機状態では前記のように低電力になるとともに、他の外部要因による電力の変化は少ない。
【0025】
図2は、通常運転状態および待機状態におけるスイッチング素子5への制御信号動作図であるが、待機運転時には、通常運転時に比べて、スイッチング損失を抑えるためリップル電圧ΔVoのスイッチング周期Tswが長くなり、出力のリップル電圧ΔVoは大きくなる。さらに、制御するスイッチング周期Tswは、商用交流電源1に依存している。一般的には、電圧変換装置が降圧型の場合、入力電圧が高くなるほどスイッチング周期Tswは長くなる。
【0026】
このリップル電圧ΔVoのスイッチング周期Tswを制御手段9に取り込み、制御手段9内部の計時手段13によりスイッチング周期Tswを計測することにより、商用交流電源1の電圧を推測でき、所定のスイッチング周期Tswより長く、商用交流電源1の電圧が定格外電圧と判定した場合、制御手段9内部のスイッチ開閉制御手段15はスイッチ11へスイッチを閉じる信号を送出せず、スイッチ11は開状態を保持し、交流負荷12のモータ17や給水弁18などに対して商用交流電源1を遮断し続ける。これにより、異常電圧による交流負荷12の不安全故障を未然に防止することができる。
【0027】
また、制御手段9が、商用交流電源1の電圧が定格外電圧であると判定した場合は、スイッチ11を閉じる信号を送出せず、交流負荷12と商用交流電源1との接続を遮断し続けるだけでなく、制御手段9から異常報知手段16へ信号を送出し、使用者へ異常を報知する。
【0028】
(1-3.効果等)
以上のように、本実施の形態において、制御手段9に設けられた計時手段13が計測した商用交流電源1のリップル電圧ΔVoのスイッチング周期Tswが所定値を超えている場合、商用交流電源1の電圧が定格外電圧と判定して、スイッチ11を交流負荷12に接続せず、運転を停止する構成としたものである。
【0029】
これにより、不安全を未然に防ぎ、安全性を向上させることができる。
【0030】
また、本実施の形態のように、計時手段13が計測した商用交流電源1のリップル電圧ΔVoのスイッチング周期Tswが所定値を超えて商用交流電源1の電圧が定格外電圧と判定した場合に、異常報知手段16により異常報知する構成としたものである。
【0031】
これにより、不安全を未然に防ぎ、安全性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本開示は、商用交流電源で動作する負荷を備えた洗濯機などの家庭用電気機器に適用可能である。具体的には、縦型洗濯機、ドラム式洗濯機、食器洗い機などに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 商用交流電源
2 整流器
3 電圧制御装置
4 電圧変換装置
5 スイッチング素子
6 トランス
7 出力電圧変換装置
8 負荷分離用整流器
9 制御手段
10 平滑用コンデンサ
11 スイッチ
12 交流負荷
13 計時手段
14 電圧検出手段
15 スイッチ開閉制御手段
16 異常報知手段
17 モータ
18 給水弁
19 間欠発振手段
20 運転制御装置
図1
図2