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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】空間浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20241018BHJP
   F24F 8/24 20210101ALI20241018BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20241018BHJP
   A61L 9/14 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F24F6/00 A
F24F8/24
F24F6/00 E
A61L9/01 F
A61L9/14
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022070467
(22)【出願日】2022-04-22
(62)【分割の表示】P 2021046753の分割
【原出願日】2021-03-22
(65)【公開番号】P2022146945
(43)【公開日】2022-10-05
【審査請求日】2024-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】水野 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真司
(72)【発明者】
【氏名】林 智裕
(72)【発明者】
【氏名】木下 剛
(72)【発明者】
【氏名】神原 雄一
(72)【発明者】
【氏名】佐々井 真弓
(72)【発明者】
【氏名】小原 弘士
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-35274(JP,A)
【文献】国際公開第2017/179159(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00
F24F 8/24
A61L 9/01
A61L 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水生成部と、
前記次亜塩素酸水生成部から混合槽に前記次亜塩素酸水を供給する次亜塩素酸水供給部と、
前記混合槽に水を供給する水供給部と、
前記混合槽の水位を検知するための水位センサと、
前記混合槽に貯められた前記次亜塩素酸水と前記水との混合水を微細化して空気中に放出する加湿浄化部と、
前記加湿浄化部の稼働時間を計測する計時部と、
前記加湿浄化部の運転動作、並びに、前記次亜塩素酸水供給部及び前記水供給部における供給動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記次亜塩素酸水供給部による前記所定量の前記次亜塩素酸水の供給と、前記水供給部による水の供給とを行って前記混合槽を前記混合水で満水状態とした後に前記加湿浄化部の運転動作を開始させると、前記計時部が計測する前記稼働時間が所定時間経過するごとに前記次亜塩素酸水供給部による前記所定量の前記次亜塩素酸水の供給を行う第一制御と、前記水位センサからの前記混合槽の水位に関する情報に基づいて前記水供給部による水の供給を行う第二制御とをそれぞれ実行させながら、前記加湿浄化部によって前記混合水を微細化して空気中に放出させる、空間浄化装置。
【請求項2】
前記所定時間は、前記次亜塩素酸水中の次亜塩素酸が気化して経時的に減少することを踏まえて予め見積もられた時間である、請求項1に記載の空間浄化装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記加湿浄化部に要求される加湿要求量であって、目標湿度と対象空間の湿度との間の湿度差によって特定される前記加湿要求量に基づいて、所定期間内における前記第一制御を行う回数と、前記所定期間内における前記第二制御を行う回数とを異ならせる、請求項1または2に記載の空間浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を微細化し、吸い込んだ空気にその微細化した水を含ませて吹き出すとともに、微細化した水に浄化成分を含ませて放出する空間浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空間浄化装置として、屋内に供給する空気を浄化成分が含まれた気液接触部材部に接触させて放出することで空間を除菌する空気調和システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、こうした従来の空間浄化装置では、一般的に、微細化された水の放出に加えて、装置内に貯水された水(浄化成分を含ませた水)は、微細化動作に伴って一部の浄化成分を含ませた水及び浄化成分が気化され、空間に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-133521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の空間浄化装置では、屋内空間に要求される加湿量(加湿要求量)の少ない状況、例えば日本の夏場(特に梅雨時期)に、空調機等で除湿された相対湿度の高い空気(例えば12℃95%)が通風される場合においては、微細化された浄化成分を含む水(次亜塩素酸水)が気化されにくいために、浄化成分(次亜塩素酸)が気化されず、屋内空間に浄化成分が放出されなくにくくなる。一方、加湿要求量の多い状況、例えば日本の冬場に、温められた相対湿度の低い空気(例えば20℃30%)が通風される場合においては、微細化された浄化成分を含む水が気化されやすいために、屋内空間に浄化成分が多量に放出されてしまう。つまり、従来の空間浄化装置では、屋内空間(空気中)に放出される浄化成分の量を調節することが容易ではないという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、空気中に放出される浄化成分の量を調節しやすくできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る空間浄化装置は、所定量の次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水生成部と、次亜塩素酸水生成部から混合槽に次亜塩素酸水を供給する次亜塩素酸水供給部と、混合槽に水を供給する水供給部と、混合槽の水位を検知するための水位センサと、混合槽に貯められた次亜塩素酸水と水との混合水を微細化して空気中に放出する加湿浄化部と、加湿浄化部の稼働時間を計測する計時部と、加湿浄化部の運転動作、並びに、次亜塩素酸水供給部及び水供給部における供給動作を制御する制御部と、を備える。そして、制御部は、次亜塩素酸水供給部による所定量の次亜塩素酸水の供給と、水供給部による水の供給とを行って混合槽を混合水で満水状態とした後に加湿浄化部の運転動作を開始させると、計時部が計測する稼働時間が所定時間経過するごとに次亜塩素酸水供給部による所定量の次亜塩素酸水の供給を行う第一制御と、水位センサからの混合槽の水位に関する情報に基づいて水供給部による水の供給を行う第二制御とをそれぞれ実行させながら、加湿浄化部によって混合水を微細化して空気中に放出させるものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る空間浄化装置によれば、空気中に放出される浄化成分の量を調節しやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る空間浄化装置を備えた空間浄化システムの構成を示す図である。
図2図2は、制御部の構成を示すブロック図である。
図3図3は、空間浄化装置における水量、次亜塩素酸水濃度、及び次亜塩素酸濃度の経時変化(日本の冬場)を示す概略図である。
図4図4は、空間浄化装置における水量、次亜塩素酸水濃度、及び次亜塩素酸濃度の経時変化(日本の夏場)を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る空間浄化装置は、次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水生成部と、次亜塩素酸水生成部から混合槽に次亜塩素酸水を供給する次亜塩素酸水供給部と、混合槽に水を供給する水供給部と、混合槽の水位を検知するための水位センサと、混合槽に貯められた次亜塩素酸水と水との混合水を微細化して空気中に放出する加湿浄化部と、次亜塩素酸水供給部及び水供給部における供給動作を制御する制御部とを備える。そして、制御部は、次亜塩素酸水供給部による次亜塩素酸水の供給を所定時間ごとに行う第一制御と、水位センサからの混合槽の水位に関する情報に基づいて水供給部による水の供給を行う第二制御とをそれぞれ実行させ、混合槽に混合水を貯留する。
【0011】
このようにすることで、日本の夏場のように、相対湿度の高い空気が通風される場合においては、混合槽に溜められた混合水の消費量が少ないため、混合槽への次亜塩素酸水の供給頻度(第一制御を行う回数)が多くなり、混合槽内における混合水の次亜塩素酸濃度が高い状態で、混合水を微細化して空気中に放出される。この結果、微細化された次亜塩素酸水が気化されにくい状況であっても、所定濃度に高めた次亜塩素酸を空気に含ませて屋内空間に放出させることができる。一方、日本の冬場のように、相対湿度の低い空気が通風される場合においては、混合槽に溜められた混合水の消費量が多いため、混合槽への水の供給頻度(第二制御を行う回数)が多くなり、混合槽内における混合水の次亜塩素酸濃度が低い状態で、混合水を微細化して空気中に放出される。この結果、微細化された次亜塩素酸水が気化されやすい状況であっても、所定濃度に薄まった次亜塩素酸を空気に含ませて屋内空間に放出させることができる。つまり、空間浄化装置では、空気中に放出される次亜塩素酸の量を調節しやすくすることができる。
【0012】
また、本発明に係る空間浄化装置では、制御部は、加湿浄化部に要求される加湿要求量に基づいて、所定期間内における第一制御を行う回数と、所定期間内における第二制御を行う回数とを異ならせることが好ましい。これにより、加湿要求量に基づいて混合槽に貯留する次亜塩素酸水の濃度を容易に調整することができる。
【0013】
また、本発明に係る空間浄化装置では、制御部は、加湿要求量が第一基準値以上である場合、第一制御を行う回数が第二制御を行う回数よりも少なくなるように制御し、加湿要求量が第一基準値未満である場合、第一制御を行う回数が第二制御を行う回数よりも多くなるようになるように制御することが好ましい。これにより、空間浄化装置では、加湿要求量が第一基準値未満である場合に、混合槽内の次亜塩素酸濃度が高い状態で、混合水を微細化して空気中に放出させることができる。一方、加湿要求量が第一基準値以上である場合に、混合槽内の次亜塩素酸濃度が低い状態で、混合水を微細化して空気中に放出させることができる。つまり、空間浄化装置では、加湿要求量に基づいて、屋内空間の環境に好適な条件で、加湿浄化部から放出される空気に次亜塩素酸を付与することができる。
【0014】
また、本発明に係る空間浄化装置では、次亜塩素酸水生成部は、電気分解の対象である塩水を貯める電解槽と、通電により電気分解を行う電極とを有して構成される。そして、制御部は、加湿浄化部に要求される加湿要求量に基づいて、電極の通電時間を制御することにより、電解槽において生成する次亜塩素酸水の濃度を調整することが好ましい。これにより、相対湿度の高い空気が通風される場合においては、電極の通電時間を長くして電解槽で生成する次亜塩素酸水の濃度を高くすることで、混合槽内における混合水の次亜塩素酸濃度をさらに高い状態とすることができる。一方、相対湿度の低い空気が通風される場合においては、電極の通電時間を短くして電解槽で生成する次亜塩素酸水の濃度を低くすることで、混合槽内における混合水の次亜塩素酸濃度をさらに低い状態とすることができる。つまり、空間浄化装置では、加湿要求量に基づいて混合槽に貯留する次亜塩素酸水の濃度をさらに広範囲に調整することができる。
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、全図面を通して、同一の部位については同一の符号を付して説明を省略している。さらに、本発明に直接には関係しない各部の詳細については重複を避けるために、図面ごとの説明は省略している。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る空間浄化装置10を備えた空間浄化システム100の構成を示す図である。空間浄化システム100は、屋内空間18の空気を循環させる際に、屋内空間18からの空気8(RA)に対して必要に応じて冷却処理(除湿処理)または加熱処理を行うとともに、内部を流通する空気8に対して微細化された水とともに空気浄化を行う成分(以下、単に「空気浄化成分」という)を含ませる装置である。空間浄化システム100は、内部を流通した空気9(SA)を屋内空間18に供給することで、屋内空間18の殺菌と消臭を行う。ここでは、空気浄化成分として次亜塩素酸が用いられ、空気浄化成分を含む水は次亜塩素酸水である。
【0017】
空間浄化システム100は、図1に示すように、主として、空間浄化装置10、空気調和装置15、及び次亜塩素酸水生成部30を有して構成される。
【0018】
空間浄化装置10は、吹出口3、空気浄化部11、及び空気浄化制御部41を含む。空気調和装置15は、吸込口2、送風機13、冷媒コイル14、及び空気調和制御部42を含む。空間浄化装置10と空気調和装置15のそれぞれは、装置の外枠を構成する筐体を有し、空間浄化装置10と空気調和装置15とは、ダクト24により接続される。また、空気調和装置15の側面に吸込口2が形成され、空間浄化装置10の側面に吹出口3が形成される。
【0019】
吸込口2は、屋内空間18からの空気8を空気調和装置15に取り入れる取入口である。吸込口2は、屋内空間18の天井等に設けられた屋内吸込口16aとの間でダクト16を介して連通されている。これにより、吸込口2は、屋内吸込口16aから空気調和装置15内に屋内空間18の空気を吸い込むことができる。
【0020】
吹出口3は、空間浄化装置10内を流通した空気9(SA)を屋内空間18に吐き出す吐出口である。吹出口3は、屋内空間18の天井等に設けられた屋内吹出口17aとの間でダクト17を介して連通されている。これにより、吹出口3は、屋内吹出口17aから屋内空間18に向けて、空間浄化装置10内を流通した空気9を吹き出すことができる。
【0021】
また、空気調和装置15と空間浄化装置10の内部には、ダクト24を介して吸込口2と吹出口3とを連通する風路(前段風路4、中段風路5、後段風路6)が構成されている。前段風路4は、吸込口2に隣接する風路である。前段風路4には、送風機13及び冷媒コイル14が設けられている。
【0022】
中段風路5は、前段風路4(ダクト24)に隣接した位置において、前段風路4を流通した空気8が流通する風路である。中段風路5には、その風路内に空気浄化部11が設けられている。
【0023】
後段風路6は、吹出口3に隣接する風路であり、後段風路6では、中段風路5を流通した空気8が空気浄化部11を流通し微細化された水とともに次亜塩素酸を含んだ空気9となる。
【0024】
空気調和装置15と空間浄化装置10では、吸込口2から吸い込まれた空気8は、前段風路4を流通し、中段風路5及び後段風路6を流通し、空気9として吹出口3から吹き出される。
【0025】
空気調和装置15の送風機13は、屋内空間18の空気8(RA)を吸込口2から空気調和装置15内に搬送するための装置である。送風機13は、前段風路4内において、冷媒コイル14の上流側に設置されている。送風機13では、空気調和制御部42からの送風出力情報に応じて運転動作のオン/オフが制御される。送風機13が運転動作することにより、屋内空間18の空気8は、空気調和装置15に取り込まれて冷媒コイル14に向かう。
【0026】
冷媒コイル14は、前段風路4内において、送風機13の下流側に配置され、導入される空気8を冷却または加熱するための部材である。冷媒コイル14は、空気調和制御部42からの出力信号に応じて出力状態(冷却、加熱またはオフ)を変化させ、導入される空気8に対する冷却能力(冷却量)または加熱能力(加熱量)を調整する。冷媒コイル14では、導入される空気8を冷却すると、導入された空気8の除湿がなされることになるので、空気8に対する冷却能力(冷却量)は、空気8に対する除湿能力(除湿量)ともいえる。
【0027】
冷媒コイル14は、圧縮機と放熱器と膨張器と吸熱器とを含んで構成される冷凍サイクルにおいて、吸熱器または放熱器として機能し、室外機20から導入される冷媒が内部を流通する際に吸熱(冷却)または放熱(加熱)するように構成されている。より詳細には、冷媒コイル14は、冷媒が流れる冷媒回路21を介して室外機20と接続されている。室外機20は、屋外空間19に設置される室外ユニットであり、圧縮機20aと、膨張器20bと、屋外熱交換器20cと、送風ファン20dと、四方弁20eとを有する。室外機20には、一般的な構成のものを用いるので、各機器(圧縮機20a、膨張器20b、屋外熱交換器20c、送風ファン20d、四方弁20e)の詳細な説明は省略する。
【0028】
冷媒コイル14を含む冷凍サイクルには、四方弁20eが接続されているので、空気調和装置15では、四方弁20eによって第一方向に冷媒が流通して空気(空気8)を冷却して除湿する冷却モード(除湿モード)の状態と、四方弁20eによって第二方向に冷媒が流通して空気(空気8)に対して加熱を行う加熱モードの状態とを切り替え可能である。
【0029】
ここで、第一方向は、圧縮機20aと屋外熱交換器20cと膨張器20bと冷媒コイル14とをこの順序で冷媒が流通する方向である。また、第二方向は、圧縮機20aと冷媒コイル14と膨張器20bと屋外熱交換器20cとをこの順序で冷媒が流通する方向である。冷媒コイル14では、導入される空気(空気8)に対して冷却または加熱することが可能である。
【0030】
空間浄化装置10の空気浄化部11は、内部に取り入れた空気8を加湿するためのユニットであり、加湿の際に、空気に対して微細化された水とともに次亜塩素酸を含ませる。より詳細には、空気浄化部11は、混合槽92、水位センサ90、加湿モータ11a、及び加湿ノズル11bを有している。空気浄化部11は、加湿モータ11aを用いて加湿ノズル11bを回転させ、空気浄化部11の混合槽92に貯留されている水(次亜塩素酸水)を遠心力で吸い上げて周囲(遠心方向)に飛散・衝突・破砕させ、通過する空気に水分を含ませる遠心破砕式の構成をとる。空気浄化部11は、空気浄化制御部41からの出力信号に応じて加湿モータ11aの回転数(以下、回転出力値)を変化させ、加湿能力(加湿量)を調整する。加湿量は、空気に対して次亜塩素酸を付加する付加量ともいえる。なお、空気浄化部11は、請求項の「加湿浄化部」に相当する。
【0031】
水位センサ90は、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)の水位を計測し、計測値を空気浄化制御部41に出力する。
【0032】
混合槽92は、空気浄化部11において次亜塩素酸水を貯留する槽であり、貯水部とも言える。混合槽92では、後述する次亜塩素酸水供給部36から供給される所定濃度の次亜塩素酸水と、後述する水供給部50から供給される水とを槽内で混合し、希釈された次亜塩素酸水からなる混合水として貯留する。
【0033】
次亜塩素酸水生成部30は、電解槽31、電極32、電磁弁33、塩水タンク34、塩水搬送ポンプ35、水位センサ39、及び次亜塩素酸水供給部36を含む。
【0034】
塩水タンク34は、塩水を貯めており、空気浄化制御部41からの出力信号に応じて、塩水搬送ポンプ35を介して電解槽31に塩水を供給する。電解槽31は、塩水タンク34から供給された電気分解対象である塩水を貯める。電解槽31には、空気浄化制御部41からの出力信号に応じて、水道等の給水管から電磁弁33を介して水道水も供給され、供給された水道水と塩水とが混合され、予め定められた濃度の塩水が貯められる。電極32は、電解槽31内に配置され、空気浄化制御部41からの出力信号に応じて通電により塩水の電気分解を所定時間行い、予め定められた濃度の次亜塩素酸水を生成する。つまり、電解槽31は、一対の電極間で、電解質として塩化物水溶液(例えば、塩化ナトリウム水溶液)を電気分解することで次亜塩素酸水を生成する。電解槽31には、一般的な装置が使用されるので、詳細な説明は省略する。ここで、電解質は、次亜塩素酸水を生成可能な電解質であり、少量でも塩化物イオンを含んで入れば特に制限はなく、例えば、溶質として塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等を溶解した水溶液が挙げられる。また、塩酸でも問題ない。本実施の形態では、電解質として、水に対して塩化ナトリウムを加えた塩化ナトリウム水溶液(塩水)を使用している。
【0035】
水位センサ39は、電解槽31内の水位を計測し、計測値を空気浄化制御部41に出力する。
【0036】
次亜塩素酸水供給部36は、空気浄化制御部41からの出力信号に応じて、電解槽31から空気浄化部11の混合槽92に次亜塩素酸水を供給する。次亜塩素酸水供給部36は、次亜塩素酸水搬送ポンプ37と送水管38とを有する。次亜塩素酸水搬送ポンプ37は、空気浄化制御部41からの出力信号に応じて、電解槽31の次亜塩素酸水を送水管38に送り出す。送水管38は、次亜塩素酸水搬送ポンプ37と混合槽92との間に接続され、次亜塩素酸水を混合槽92に向けて送水する。
【0037】
水供給部50は、空気浄化制御部41からの出力信号に応じて、混合槽92に水を供給する。水供給部50は、電磁弁51と送水管52とを有する。電磁弁51は、空気浄化制御部41からの出力信号に応じて、空間浄化装置10の外部の水道管から供給される水を送水管52に流すか否か制御する。送水管52は、電磁弁51と混合槽92との間に接続され、水を混合槽92に向けて送水する。
【0038】
空気浄化部11では、次亜塩素酸水供給部36からの次亜塩素酸水と、水供給部50からの水とが混合槽92にそれぞれ供給される。そして、空気浄化部11の混合槽92で次亜塩素酸水と水とが混合される。次亜塩素酸水と水との混合水も次亜塩素酸水と呼べる。より詳細には、空気浄化部11の混合槽92では、混合槽92内に残存する次亜塩素酸水に対して、次亜塩素酸水供給部36からの次亜塩素酸水または水供給部50からの水がそれぞれ供給されて混合される。空気浄化部11は、混合槽92に貯められた次亜塩素酸水と水との混合水を遠心破砕することによって、次亜塩素酸水を屋内空間18に対して放出する。微細化された次亜塩素酸水は、液体成分が蒸発した状態で屋内空間18へ放出される。
【0039】
屋内空間18の壁面には、操作装置43が設置される。操作装置43は、ユーザが操作可能なユーザインターフェースを備え、ユーザから温度設定値と湿度設定値を受けつける。操作装置43には、温湿度センサ44が含まれており、温湿度センサ44は、屋内空間18の空気の温度及び湿度を計測する。温湿度センサ44における温度及び湿度の計測には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。
【0040】
操作装置43は、空気浄化制御部41及び空気調和制御部42に対して有線あるいは無線で接続されており、温度設定値、湿度設定値、温度計測値、及び湿度計測値を空気浄化制御部41及び空気調和制御部42に送信する。これらの情報は、すべてまとめて送信されてもよく、任意の2つ以上をまとめて送信されてもよく、それぞれを送信されてもよい。また、操作装置43が空気浄化制御部41に情報を送信し、空気浄化制御部41が空気調和制御部42に情報を転送してもよい。
【0041】
空気調和装置15の空気調和制御部42は、温度設定値と温度計測値とを受けつけ、温度計測値が温度設定値に近づくように、冷媒コイル14及び室外機20を制御する。空気調和制御部42は、加熱モードにおいて、温度計測値が温度設定値よりも低い場合に、温度計測値と温度設定値との差異が大きくなるほど、加熱の程度を増加させる。
【0042】
次に、空間浄化装置10の空気浄化制御部41について説明する。
【0043】
空気浄化制御部41は、次亜塩素酸水生成部30及び空間浄化装置10の処理動作として、電解槽31における電気分解処理に関する動作、空気浄化部11への次亜塩素酸水の供給処理に関する動作、空気浄化部11への水の供給処理に関する動作、及び空気浄化部11における加湿浄化処理に関する動作を制御する。なお、空気浄化制御部41は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているとしたが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、空気浄化制御部41は、請求項の「制御部」に相当する。
【0044】
具体的には、空気浄化制御部41は、図2に示すように、入力部41a、記憶部41b、計時部41c、処理部41d、及び出力部41eを備える。
【0045】
<電解槽における電気分解処理に関する動作>
空気浄化制御部41は、電解槽31における電気分解処理に関する動作として、以下の処理を実行させる。
【0046】
空気浄化制御部41は、電解槽31の電気分解処理のトリガーとして、水位センサ39からの水位情報(渇水信号)、計時部41cからの時間に関する情報(時刻情報)を受け付け、処理部41dへ出力する。
【0047】
処理部41dは、水位センサ39からの水位情報と、計時部41cからの時刻情報と、記憶部41bからの設定情報とに基づいて制御情報を特定し、出力部41eに出力する。ここで、設定情報には、次亜塩素酸水生成の開始時刻または終了時刻に関する情報、電解槽31に導入する水道水の供給量に関する情報、塩水搬送ポンプ35における塩化物イオンを含む液体の投入量に関する情報、電極32における電気分解条件(時間、電流値、電圧など)に関する情報、電磁弁33の開閉タイミングに関する情報、次亜塩素酸水搬送ポンプ37のオン/オフ動作に関する情報が含まれる。
【0048】
ここで、電極32における電気分解条件は、電解槽31内の水道水の水量、塩化物イオン濃度、電気分解時間、電極32の劣化度合いから決定でき、アルゴリズムを作成して設定され、記憶部41bに記憶される。
【0049】
そして、出力部41eは、受け付けた制御情報に基づいて、各機器(塩水搬送ポンプ35、電磁弁33、次亜塩素酸水搬送ポンプ37)に信号(制御信号)を出力する。
【0050】
より詳細には、まず、塩水搬送ポンプ35は、出力部41eからの信号に基づいて停止した状態を維持し、次亜塩素酸水搬送ポンプ37は、出力部41eからの信号に基づいて停止した状態を維持する。
【0051】
そして、電磁弁33は、出力部41eからの信号に基づいて開放される。これにより、電解槽31には、水道管からの水道水の供給が開始される。その後、電磁弁33は、水位センサ39からの水位情報(満水)を受けた出力部41eからの信号に基づいて閉止される。これにより、電解槽31は、水道水が設定された供給量にて給水された状態となる。
【0052】
次に、塩水搬送ポンプ35は、出力部41eからの信号に基づいて動作を開始し、所定量の塩化物イオンを含む液体を電解槽31へ搬送して停止する。これにより、水道水に塩化物イオンが溶解し、電解槽31は、所定量の塩化物イオンを含む水溶液(塩化物水溶液)が生成された状態となる。
【0053】
そして、電極32は、出力部41eからの信号に基づいて、塩化物水溶液の電解を開始し、設定された条件の次亜塩素酸水を生成して停止する。電極32により生成される次亜塩素酸水は、例えば、次亜塩素酸濃度が100ppm~150ppm(例えば、120ppm)であり、pHが7~8.5(例えば、8.0)の状態となる。
【0054】
以上のようにして、空気浄化制御部41は、電解槽31において電気分解処理を実行し、予め定められた濃度と量の次亜塩素酸水が生成される。
【0055】
<空気浄化部への次亜塩素酸水の供給処理に関する動作>
空気浄化制御部41は、空気浄化部11への次亜塩素酸水の供給処理に関する動作として、以下の処理を実行させる。
【0056】
空気浄化制御部41は、空気浄化部11への次亜塩素酸水の供給処理のトリガーとして、加湿モータ11aの稼働時間を計時部41cが測定し、稼働時間が所定時間経過(例えば60分)するごとに次亜塩素酸水生成部30(次亜塩素酸水供給部36)に次亜塩素酸水供給要求を出力する。ここで、所定時間は、次亜塩素酸水中の次亜塩素酸が気化して経時的に減少することを踏まえ、予め実験評価によって見積られた時間である。
【0057】
具体的には、処理部41dは、計時部41cから時間に関する情報(時刻情報)と、記憶部41bから設定情報とに基づいて制御情報を特定し、出力部41eに出力する。ここで、設定情報には、次亜塩素酸水の供給間隔(例えば60分)に関する情報、次亜塩素酸水搬送ポンプ37のオン/オフ動作に関する情報が含まれる。
【0058】
そして、出力部41eは、受け付けた制御情報に基づいて、次亜塩素酸水供給部36の次亜塩素酸水搬送ポンプ37に信号(制御信号)を出力する。
【0059】
次亜塩素酸水搬送ポンプ37は、出力部41eからの信号に基づいて作動する。これにより、次亜塩素酸水生成部30では、電解槽31から空気浄化部11(混合槽92)への次亜塩素酸水の供給が開始される。なお、電解槽31に貯留される次亜塩素酸水の濃度を担保するため、次亜塩素酸水生成部30から混合槽92に次亜塩素酸水が供給される際、電解槽31で生成された次亜塩素酸水は全量供給される。そのため、次亜塩素酸水を供給した後は、電解槽31は空の状態であり、次亜塩素酸水が電解槽31内に残留した状態から次亜塩素酸水を作成し始めることはない。水位センサ39は、電解槽31内の次亜塩素酸水が全量供給された状態になると、水位情報として渇水信号を出力する。
【0060】
その後、次亜塩素酸水搬送ポンプ37は、計時部41cからの時間に関する情報(規定量を供給するための所要時間)を受けた出力部41eからの信号に基づいて停止する。これにより、次亜塩素酸水生成部30は、電解槽31から空気浄化部11(混合槽92)に対して次亜塩素酸水が設定された供給量にて供給する。
【0061】
以上のようにして、空気浄化制御部41は、次亜塩素酸水生成部30(電解槽31)から空気浄化部11への次亜塩素酸水の供給処理を実行させる。なお、空気浄化制御部41が次亜塩素酸水供給部36による次亜塩素酸水の供給を所定時間ごとに行う制御を「第一制御」とする。
【0062】
<空気浄化部への水の供給処理に関する動作>
空気浄化制御部41は、空気浄化部11への水の供給処理に関する動作として、以下の処理を実行させる。
【0063】
空気浄化制御部41は、空気浄化部11への水の供給処理のトリガーとして、空間浄化装置10の水位センサ90からの水位情報(渇水信号)を受け付け、水供給部50に水供給要求を出力する。
【0064】
具体的には、入力部41aは、空間浄化装置10の水位センサ90からの水位情報(渇水信号)を受け付け、処理部41dに出力する。
【0065】
処理部41dは、入力部41aからの水位情報(渇水信号)と、計時部41cから時間に関する情報(時刻情報)と、記憶部41bから設定情報とに基づいて制御情報を特定し、出力部41eに出力する。ここで、設定情報には、水供給部50の電磁弁51のオン/オフ動作に関する情報が含まれる。
【0066】
そして、出力部41eは、受け付けた制御情報に基づいて、電磁弁51に信号(制御信号)を出力する。
【0067】
電磁弁51は、出力部41eからの信号に基づいて作動する。これにより、水供給部50では、送水管52を介して、外部の給水管から空気浄化部11(混合槽92)への水の供給が開始される。
【0068】
その後、電磁弁51は、空間浄化装置10の水位センサ90からの水位情報(満水信号)を受け付けた出力部41eからの信号に基づいて停止する。これにより、水供給部50は、外部の給水管から空気浄化部11(混合槽92)に対して水が設定された量になるまで供給する。
【0069】
以上のようにして、空気浄化制御部41は、水供給部50から空気浄化部11への水の供給処理を実行させる。なお、空気浄化制御部41が水位センサ90からの混合槽92の水位に関する情報(渇水情報)に基づいて水供給部50による水の供給を行う制御を「第二制御」とする。
【0070】
<空気浄化部における加湿浄化処理に関する動作>
次に、空気浄化制御部41の空気浄化部11における加湿浄化処理に関する動作について説明する。
【0071】
入力部41aは、操作装置43からのユーザ入力情報と、温湿度センサ44からの屋内空間18の空気の温湿度情報と、水位センサ90からの混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)の水位情報とを受け付ける。入力部41aは、受け付けた各情報を処理部41dに出力する。
【0072】
ここで、操作装置43は、空間浄化装置10に関するユーザ入力情報(例えば、風量、目標温度、目標湿度、次亜塩素酸の添加の有無、次亜塩素酸の目標供給量レベル、等)を入力する端末であり、無線または有線により空気浄化制御部41と通信可能に接続されている。
【0073】
また、温湿度センサ44は、屋内空間18内に設けられ、屋内空間18の空気の温湿度を感知するセンサである。
【0074】
記憶部41bは、入力部41aが受け付けたユーザ入力情報と、装置内を流通する空気に対する次亜塩素酸の供給動作における供給設定情報とを記憶する。記憶部41bは、記憶した供給設定情報を処理部41dに出力する。なお、次亜塩素酸の供給動作における供給設定情報は、空気浄化部11の加湿浄化動作における加湿設定情報とも言える。
【0075】
計時部41cは、現在時刻に関する時刻情報を処理部41dに出力する。
【0076】
処理部41dは、入力部41aからの各種情報(ユーザ入力情報、温湿度情報、水位情報)と、計時部41cからの時刻情報と、記憶部41bからの供給設定情報とを受け付ける。処理部41dは、受け付けたユーザ入力情報、時刻情報、及び供給設定情報を用いて、加湿浄化運転動作に関する制御情報を特定する。
【0077】
具体的には、処理部41dは、計時部41cからの時刻情報によって一定時間ごとに、記憶部41bに記憶された目標湿度と、温湿度センサ44からの屋内空間18の空気の温湿度情報の間の湿度差に基づいて、屋内空間18に必要とされる加湿要求量を特定する。そして、処理部41dは、特定した加湿要求量と、記憶部41bに記憶された供給設定情報とに基づいて加湿浄化運転動作に関する制御情報を特定する。そして、処理部41dは、特定した制御情報を出力部41eに出力する。
【0078】
また、処理部41dは、水位センサ90からの水位情報に、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)の渇水を示す水位に関する情報(渇水信号)が含まれる場合には、出力部41eは、水供給部50に対する水供給要求の信号を出力部41eに出力する。さらに、処理部41dは、計時部41cからの時刻情報に基づいて、空気浄化部11(加湿モータ11a)の稼働時間が所定時間(例えば60分)となった場合には、出力部41eは、次亜塩素酸水生成部30に対する次亜塩素酸水供給要求の信号を出力部41eに出力する。なお、本実施の形態では、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)が渇水を示す水位は、混合槽92内に次亜塩素酸水(混合水)が満水の状態から約1/3まで次亜塩素酸水量が減少した状態での水位に設定されている。
【0079】
そして、出力部41eは、受け付けた各信号を空気浄化部11、次亜塩素酸水生成部30(次亜塩素酸水供給部36)、及び水供給部50にそれぞれ出力する。
【0080】
そして、空気浄化部11は、出力部41eからの信号を受け付け、受け付けた信号に基づいて運転動作の制御を実行する。この際、次亜塩素酸水生成部30(次亜塩素酸水供給部36)は、出力部41eからの信号(次亜塩素酸水供給要求の信号)を受け付け、受け付けた信号に基づいて、上述した空気浄化部11への次亜塩素酸水の供給処理に関する動作(第一制御)を実行する。また、水供給部50は、出力部41eからの信号(水供給要求の信号)を受け付け、受け付けた信号に基づいて、上述した空気浄化部11への水の供給処理に関する動作(第二制御)を実行する。
【0081】
以上のようにして、空気浄化制御部41は、次亜塩素酸水生成部30(次亜塩素酸水供給部36)による次亜塩素酸水の供給を所定時間ごとに行う第一制御と、水位センサ90からの混合槽92の水位に関する情報(渇水情報)に基づいて水供給部50による水の供給を行う第二制御とをそれぞれ実行させ、混合槽92に混合水を貯留する。そして、空気浄化制御部41は、混合槽92に次亜塩素酸水と水とを供給して混合水を貯留する際に、次亜塩素酸水の供給サイクル(所定時間ごと)と、水の供給サイクル(渇水検知ごと)とを異ならせ、空間浄化装置10(空気浄化部11)を流通する空気への加湿浄化処理を実行させる。
【0082】
次に、図3及び図4を参照して、空間浄化装置10(空気浄化部11)の混合槽92内における混合水(第一制御または第二制御がなされて混合される混合水)について説明する。図3は、空間浄化装置10における水量、次亜塩素酸水濃度、及び次亜塩素酸濃度の経時変化(日本の冬場)を示す概略図である。より詳細には、図3の(a)は、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)の水量の経時変化を示す。図3の(b)は、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)の濃度の経緯変化を示す。図3の(c)は、吹出口3の空気に含まれる次亜塩素酸の濃度の経時変化を示す。また、図4は、空間浄化装置10における水量、次亜塩素酸水濃度、及び次亜塩素酸濃度の経時変化(日本の夏場)を示す概略図である。より詳細には、図4の(a)は、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)の水量の経時変化を示す。図4の(b)は、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)の濃度の経緯変化を示す。図4の(c)は、吹出口3の空気に含まれる次亜塩素酸の濃度の経時変化を示す。
【0083】
ここで、混合槽92への次亜塩素酸水の供給は、所定時間(1時間)ごとに実行され、混合槽92への水の供給は、水位センサ90によって混合槽92が渇水となる水位を検知するごとに実行される。なお、上述した通り、混合槽92の次亜塩素酸水(混合水)が渇水となる水位となっても、混合槽92内には、次亜塩素酸水(混合水)が満水時に対して約1/3残存している。また、説明を簡略化するために、空気浄化部11は、加湿浄化運転時間中、一定の加湿要求量で動作しているとする。また、以下では、混合槽92へ供給する所定量の次亜塩素酸水のことを「次亜塩素酸水原液」ともいう。
【0084】
まず、日本の冬場での動作状況について説明する。なお、日本の冬場では、外気が乾燥しているため空気浄化部11に対する加湿要求量が多く、水の供給は、次亜塩素酸水の供給よりも短い間隔で行われる。つまり、次亜塩素酸水の供給タイミングよりも先に混合槽92内の水位が渇水となる。そこで、以下では、空気浄化部11の稼働時間3時間の期間に、水の供給が4回に対して次亜塩素酸水の供給が3回となる加湿浄化の第一例で説明する。
【0085】
第一例では、図3の(a)に示すように、混合槽92への次亜塩素酸水の供給(第一制御)は、運転開始を0時間とすると、0時間、1時間、2時間、3時間・・・のタイミングで実行される。一方、混合槽92への水の供給(第二制御)は、0時間、a時間、b時間、c時間、d時間・・・のタイミングで実行される。そして、水の供給のd時間のタイミングは、次亜塩素酸水の供給の3時間のタイミングと重なり、この3時間(d時間)のタイミングで、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)を排水している。これにより、空気浄化部11の稼働時間0時間以上3時間未満までの期間に、水の供給が4回に対して次亜塩素酸水の供給が3回となる。その後は、稼働時間3時間目を初期状態(0時間)と見なして、稼働時間3時間ごとに同じ供給動作が繰り返されることになる。
【0086】
つまり、第一例は、空気浄化部11に対する加湿要求量が第一基準値以上である場合において、第一制御を行う回数が第二制御を行う回数よりも少なくなるように制御していると言える。ここで、第一基準値は、日本の冬場において空気の湿度が低く乾燥している状況と、日本の夏場において空気の湿度が高く湿っている状況とを区分するために設定される値である。
【0087】
図3の(a)を参照して、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)の水位の経時変化に着目して説明する。
【0088】
運転初期(0時間)には、混合槽92内は、満水まで次亜塩素酸原液と水の混合水(これも次亜塩素酸水)で満たされている。そして、加湿浄化運転によって一定の速度で混合水の水量が減少し、運転開始からa時間になったタイミングで渇水を検知し、水供給部50から混合槽92が満水になるまで水が供給される。その後、加湿浄化運転により一定の速度で混合水の水位が減少しながら、次亜塩素散水の供給タイミングである1時間を迎える。
【0089】
そして、この運転開始から1時間のタイミングで、次亜塩素酸水原液が次亜塩素酸水生成部30(次亜塩素酸水供給部36)から混合槽92に供給される。これにより、混合槽92内の水位がわずかに上昇する。その後も加湿浄化運転によって混合水の水位が減少していき、運転開始からb時間のタイミングで再び渇水となり、水供給部50から混合槽92が満水になるまで水が供給される。その後、次亜塩素散水の供給タイミングである2時間が経過した時点で次亜塩素酸水原液が供給され、運転開始からc時間になったタイミングで渇水を検知し、水が供給される。そして、加湿浄化運転によって一定の速度で混合水の水量が減少する。
【0090】
その後、運転開始から3時間(d時間)のタイミングになると、渇水と次亜塩素酸水原液の供給タイミングが重なるので、この3時間(d時間)のタイミングで、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)がすべて排水される(この状態は図示せず)。その後、混合槽92内に水及び次亜塩素酸水原液がそれぞれ供給され、混合槽92内の水位は運転初期(0時間)と同様の状態となる。その後は、これまでと同じように、渇水となるタイミングにおいて水が供給され、次亜塩素酸水の供給タイミングにおいて次亜塩素酸水原液が供給されることを繰り返す。
【0091】
次に、図3の(b)を参照して、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)の濃度の経時変化に着目して説明する。
【0092】
運転初期(0時間)には、混合槽92内に次亜塩素酸水原液と水の混合水が所定の濃度(初期濃度)となるように混合されている。そして、加湿浄化運転が開始されると、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)の濃度は、運転開始からa時間まで時間の経過とともに減少する。これは、次亜塩素酸が水よりも蒸気圧が高いことに起因して、次亜塩素酸水の濃度に対して一定の割合で次亜塩素酸が気化して空気に付与されるためである。なお、次亜塩素酸が気化しなければ、空気浄化部11によって微細化された水とともに、水に含まれる次亜塩素酸が消費されるだけなので、次亜塩素酸水は、加湿量に応じて一定の速度で減少するものの、混合槽92内の次亜塩素酸水の濃度としては変化しない。また、水位センサ90が渇水を検知したタイミングであるa時間でも次亜塩素酸水の濃度がゼロでないのは、上述した通り、渇水が検知される状態となっても混合槽92内に次亜塩素酸水(混合水)が残存しているためである。
【0093】
そして、運転開始からa時間(渇水検知)になると、水供給部50からの水の供給に伴って混合槽92内の次亜塩素酸水が水で希釈されるため、混合槽92内の次亜塩素酸水の濃度は減少する。その後、次亜塩素散水の供給タイミングである1時間を迎えるまで、次亜塩素酸の気化によって次亜塩素酸水(混合水)の濃度はわずかに減少する。
【0094】
そして、運転開始から次亜塩素散水の供給タイミングである1時間を迎えると、次亜塩素酸水生成部30(次亜塩素酸水供給部36)からの次亜塩素酸水原液の供給に伴って混合槽92内の次亜塩素酸水の濃度が初期濃度以上にまで上昇する。これは、運転初期(0時間)において供給した水よりも少ない水量である混合水(次亜塩素酸を含んでいる状態の水)に対して、運転初期において供給した所定量の次亜塩素酸水(次亜塩素酸水原液)を供給しているためである。その後、運転開始からb時間(渇水検知)になるまで、次亜塩素酸の気化によって次亜塩素酸水(混合水)の濃度は減少する。なお、次亜塩素酸の減少速度が、運転初期よりも速いのは、混合水に含まれる次亜塩素酸の含有量が多い分、次亜塩素酸の気化量も多くなるためである。
【0095】
そして、運転開始からb時間(渇水検知)になると、水供給部50からの水の供給に伴って混合槽92内の次亜塩素酸水が水で希釈されるため、混合槽92内の次亜塩素酸水の濃度は減少する。その後、次亜塩素散水の供給タイミングである2時間を迎えるまで、次亜塩素酸の気化によって次亜塩素酸水(混合水)の濃度はわずかに減少する。
【0096】
そして、運転開始から次亜塩素散水の供給タイミングである2時間を迎えると、次亜塩素酸水生成部30(次亜塩素酸水供給部36)からの次亜塩素酸水原液の供給に伴って混合槽92内の次亜塩素酸水の濃度が初期濃度以上にまで上昇する。その後、運転開始からc時間(渇水検知)になるまで、次亜塩素酸の気化によって次亜塩素酸水(混合水)の濃度は減少する。
【0097】
そして、運転開始からc時間(渇水検知)になると、水供給部50からの水の供給に伴って混合槽92内の次亜塩素酸水が水で希釈されるため、混合槽92内の次亜塩素酸水の濃度は減少する。その後、次亜塩素散水の供給タイミングである3時間を迎えるまで、次亜塩素酸の気化によって次亜塩素酸水(混合水)の濃度はわずかに減少する。
【0098】
そして、運転開始から水(及び次亜塩素散水)の供給タイミングである3時間(d時間)になると、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)がすべて排水された後、混合槽92内に水及び次亜塩素酸水原液がそれぞれ供給されるので、混合槽92内における次亜塩素酸水の濃度は、運転初期(0時間)と同様の状態となる。その後は、これまでと同じように次亜塩素酸水(混合水)の濃度変化を繰り返す。
【0099】
次に、図3の(c)を参照して、吹出口3の空気9に含まれる次亜塩素酸の濃度の経時変化に着目して説明する。
【0100】
吹出口3から放出される空気9に含まれる次亜塩素酸の濃度は、空気浄化部11における加湿量及び混合槽92内の次亜塩素酸水の濃度によって決定されるが、第一例では、加湿量を一定としているので、混合槽92内の次亜塩素酸水の濃度が反映される。そのため、図3の(c)に示すように、吹出口3の空気9に含まれる次亜塩素酸の濃度は、図3の(b)に示した混合槽92の次亜塩素酸水の濃度の増減に対応して増減する。
【0101】
ここで、従来のように、水位センサ90が渇水を検知するごとに次亜塩素酸水原液及び水を供給して満水にする場合には、運転開始(0時間)からa時間までの状態を3時間(d時間)のタイミングまで繰り返すことになる。この場合には、吹出口3の空気9に含まれる次亜塩素酸の平均濃度は、例えば、従来平均濃度のようになる。これに対して、第一例では、運転開始(0時間)からa時間までは従来と同じ状態であるものの、a時間から3時間までの期間は従来と状態が異なる。より詳細には、a時間から3時間までの期間では、図3の(b)に示すように、次亜塩素酸水の濃度が初期濃度よりも高い期間(1時間からb時間までの期間、2時間からc時間までの期間)が、初期濃度よりも小さい期間(a時間から1時間までの期間、b時間から2時間までの期間、c時間から3時間までの期間)よりも短くなっている。このため、運転開始(0時間)から3時間までの期間では、吹出口3の空気9に含まれる次亜塩素酸の平均濃度は従来平均濃度よりも低い平均濃度となる。
【0102】
以上、第一例のように、混合槽92に次亜塩素酸水と水とを供給して混合水を貯留する際に、次亜塩素酸水の供給サイクル(所定時間ごと)と、水の供給サイクル(渇水検知ごと)とを異ならせることで、従来の方法で次亜塩散水及び水を混合槽92に供給する場合と比較して、吹出口3の空気9、つまり屋内空間18に吹き出される空気に含まれる次亜塩素酸の濃度を減少させることができる。
【0103】
次に、日本の夏場での動作状況について説明する。なお、日本の夏場では、外気が湿潤しているため空気浄化部11に対する加湿要求量が少なく、水の供給は、次亜塩素酸水の供給よりも長い間隔で行われる。つまり、次亜塩素酸水の供給タイミングよりも後に混合槽92内の水位が渇水となる。そこで、以下では、空気浄化部11の稼働時間3時間の期間に、水の供給が1回に対して次亜塩素酸水の供給が3回となる加湿浄化の第二例で説明する。
【0104】
第二例では、図4の(a)に示すように、混合槽92への次亜塩素酸水の供給(第一制御)は、運転開始を0時間とすると、0時間、1時間、2時間、3時間・・・のタイミングで実行される。一方、混合槽92への水の供給(第二制御)は、0時間、a時間、b時間・・・のタイミングで実行される。そして、水の供給のa時間のタイミングは、次亜塩素酸水の供給の3時間のタイミングと重なり、この3時間(a時間)のタイミングで、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)を排水している。これにより、空気浄化部11の稼働時間0時間以上3時間未満までの期間に、水の供給が1回に対して次亜塩素酸水の供給が3回となる。その後は、稼働時間3時間目を初期状態(0時間)と見なして、稼働時間3時間ごとに同じ供給動作が繰り返されることになる。
【0105】
つまり、第二例は、空気浄化部11に対する加湿要求量が第一基準値未満である場合において、第一制御を行う回数が第二制御を行う回数よりも多くなるように制御していると言える。ここで、第一基準値は、上述した通り、日本の冬場において空気の湿度が低く乾燥している状況と、日本の夏場において空気の湿度が高く湿っている状況とを区分するために設定される値である。
【0106】
図4の(a)を参照して、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)の水位の経時変化に着目して説明する。
【0107】
運転初期(0時間)には、混合槽92内は、満水まで次亜塩素酸原液と水の混合水(これも次亜塩素酸水)で満たされている。そして、加湿浄化運転によって一定の速度で混合水の水量が減少し、次亜塩素散水の供給タイミングである1時間を迎える。そして、この1時間のタイミングで、次亜塩素酸水原液が次亜塩素酸水生成部30(次亜塩素酸水供給部36)から混合槽92に供給され、混合槽92内の水位がわずかに上昇する。その後も加湿浄化運転によって混合水の水位が減少していき、運転開始から2時間のタイミングで再び次亜塩素酸水原液が供給され、混合槽92内の水位がわずかに上昇する。そして、加湿浄化運転によって一定の速度で混合水の水量が減少していく。
【0108】
その後、運転開始からa時間(3時間)のタイミングになると、水位センサ90によって混合槽92内における次亜塩素酸水(混合水)の渇水が検知される。このa時間(3時間)では、渇水が検知されるタイミングと次亜塩素酸水原液の供給タイミングが重なるので、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)をすべて排水する(この状態は図示せず)。その後、混合槽92内に水及び次亜塩素酸水原液がそれぞれ供給され、混合槽92内の水位は運転初期(0時間)と同様の状態となる。この3時間(a時間)の後は、これまでと同じように、次亜塩素酸水の供給タイミングにおいて次亜塩素酸水原液が供給され、渇水となるタイミングにおいて水が供給されることを繰り返す。
【0109】
次に、図4の(b)を参照して、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)の濃度の経時変化に着目して説明する。
【0110】
運転初期(0時間)には、混合槽92内に次亜塩素酸水原液と水の混合水が所定の濃度(初期濃度)となるように混合されている。そして、加湿浄化運転が開始されると、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)の濃度は、運転開始から1時間まで時間の経過とともに減少する。これは、上述した通り、次亜塩素酸が水よりも蒸気圧が高いことに起因して、次亜塩素酸水の濃度に対して一定の割合で次亜塩素酸が気化して空気に付与されるためである。
【0111】
そして、運転開始から次亜塩素散水の供給タイミングである1時間を迎えると、次亜塩素酸水生成部30(次亜塩素酸水供給部36)からの次亜塩素酸水原液の供給に伴って混合槽92内の次亜塩素酸水の濃度が初期濃度以上にまで上昇する。これは、上述した通り、運転初期(0時間)において供給した水よりも少ない水量である混合水(次亜塩素酸を含んでいる状態の水)に対して、運転初期において供給した所定量の次亜塩素酸水(次亜塩素酸水原液)を供給しているためである。その後、運転開始から2時間になるまで、次亜塩素酸の気化によって次亜塩素酸水(混合水)の濃度は減少する。
【0112】
そして、運転開始から次亜塩素散水の供給タイミングである2時間を迎えると、次亜塩素酸水生成部30(次亜塩素酸水供給部36)からの次亜塩素酸水原液の供給に伴って混合槽92内の次亜塩素酸水の濃度が初期濃度以上にまでさらに上昇する。その後、運転開始から3時間になるまで、次亜塩素酸の気化によって次亜塩素酸水(混合水)の濃度は減少していく。
【0113】
そして、水位センサ90が渇水を検知するa時間(第二例では、運転開始から次亜塩素散水の供給タイミングである3時間と同じタイミング)となると、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)がすべて排水された後、混合槽92内に水及び次亜塩素酸水原液がそれぞれ供給される。これにより、混合槽92内における次亜塩素酸水の濃度は、運転初期(0時間)と同様の状態となる。その後は、これまでと同じように次亜塩素酸水(混合水)の濃度変化を繰り返す。
【0114】
次に、図4の(c)を参照して、吹出口3の空気9に含まれる次亜塩素酸の濃度の経時変化に着目して説明する。
【0115】
吹出口3から放出される空気9に含まれる次亜塩素酸の濃度は、日本の冬場と同じく、空気浄化部11における加湿量及び混合槽92内の次亜塩素酸水の濃度によって決定されるので、図4の(c)に示すように、吹出口3の空気9に含まれる次亜塩素酸の濃度は、図4の(b)に示した混合槽92の次亜塩素酸水の濃度の増減に対応して増減する。
【0116】
ここで、従来のように、水位センサ90が渇水を検知するごとに次亜塩素酸水原液及び水を供給して満水にする場合には、運転開始(0時間)から渇水を検知するa時間(3時間)まで次亜塩素酸水の濃度は減少し続けることになる。この場合には、吹出口3の空気9に含まれる次亜塩素酸の平均濃度は、例えば、従来平均濃度のようになる。これに対して、第二例では、運転開始(0時間)から1時間までは従来と同じ状態であるものの、1時間から3時間(a時間)までの期間は従来と状態が異なる。より詳細には、1時間から3時間までの期間では、図3の(b)に示すように、次亜塩素酸水の濃度が初期濃度よりも高い期間が、初期濃度よりも小さい期間よりもはるかに長くなっている。このため、運転開始(0時間)から3時間までの期間では、吹出口3の空気9に含まれる次亜塩素酸の平均濃度は、従来平均濃度よりも高い平均濃度となる。
【0117】
以上、第二例のように、混合槽92に次亜塩素酸水と水とを供給して混合水を貯留する際に、次亜塩素酸水の供給サイクル(所定時間ごと)と、水の供給サイクル(渇水検知ごと)とを異ならせることで、従来の方法で次亜塩散水及び水を混合槽92に供給する場合と比較して、吹出口3の空気9、つまり屋内空間18に吹き出される空気に含まれる次亜塩素酸の濃度を増加させることができる。
【0118】
以上のように、空間浄化装置10では、第一制御として予め設定した時間(例えば、1時間)ごとに混合槽92内に次亜塩素酸水を供給し、第二制御として水位センサ90からの水位情報(渇水信号)に基づいて水を給水する処理を実行するようにしている。そして、空間浄化装置10の空気浄化制御部41は、空気浄化部11に要求される加湿要求量(日本の冬場に相当する加湿要求量または日本の夏場に相当する加湿要求量)に基づいて、所定期間内における第一制御を行う回数と、所定期間内における第二制御を行う回数とが異ならせている。これにより、日本の冬場のように加湿要求量が高い状態では、従来の方法と比べて、次亜塩素酸量の含有量が少ない状態の空気9を屋内空間18に放出することができ、日本の夏場のように加湿要求量が低い状態では、従来の方法と比べて、次亜塩素酸量の含有量が多い状態の空気9で屋内空間18に放出することができる。つまり、次亜塩素酸水の供給と水の供給とを別々のトリガーで作動させることで、簡単な制御(第一制御、第二制御)で混合槽92内の次亜塩素酸水の濃度(屋内空間18に吹き出す空気9に含まれる次亜塩素酸の濃度)を調節することができる。
【0119】
以上、本実施の形態1に係る空間浄化装置10によれば、以下の効果を享受することができる。
【0120】
(1)空間浄化装置10は、次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水生成部30と、次亜塩素酸水生成部30から混合槽92に次亜塩素酸水を供給する次亜塩素酸水供給部36と、混合槽92に水を供給する水供給部50と、混合槽92の水位を検知するための水位センサ90と、混合槽92に貯められた次亜塩素酸水と水との混合水を微細化して空気中に放出する空気浄化部11と、次亜塩素酸水供給部36及び水供給部50における供給動作を制御する空気浄化制御部41とを備える。そして、空気浄化制御部41は、次亜塩素酸水供給部36による次亜塩素酸水の供給を所定時間(例えば60分)ごとに行う第一制御と、水位センサ90からの混合槽92の水位に関する情報に基づいて水供給部50による水の供給を行う第二制御とをそれぞれ実行させ、混合槽92に混合水を貯留するようにした。
【0121】
これにより、日本の夏場のように、空気浄化部11に相対湿度の高い空気が通風される場合においては、混合槽92に溜められた混合水の消費量が少ないため、混合槽92への次亜塩素酸水の供給頻度(第一制御を行う回数)が多くなり、混合槽92内における混合水の次亜塩素酸濃度が高い状態で、混合水を微細化して空気中に放出される。この結果、微細化された次亜塩素酸水が気化されにくい状況であっても、所定濃度に高めた次亜塩素酸を空気に含ませて屋内空間18に放出させることができる。一方、日本の冬場のように、空気浄化部11に相対湿度の低い空気が通風される場合においては、混合槽92に溜められた混合水の消費量が多いため、混合槽92への水の供給頻度(第二制御を行う回数)が多くなり、混合槽92内における混合水の次亜塩素酸濃度が低い状態で、混合水を微細化して空気中に放出される。この結果、微細化された次亜塩素酸水が気化されやすい状況であっても、所定濃度に薄まった次亜塩素酸を空気に含ませて屋内空間18に放出させることができる。つまり、空間浄化装置10では、空気中に放出される次亜塩素酸の量を調節しやすくすることができる。
【0122】
(2)空間浄化装置10では、空気浄化制御部41は、空気浄化部11に要求される加湿要求量に基づいて、所定期間内における第一制御を行う回数と、所定期間内における第二制御を行う回数とを異ならせるようにした。これにより、加湿要求量に基づいて混合槽92に貯留する次亜塩素酸水の濃度を容易に調整することができる。
【0123】
(3)空間浄化装置10では、空気浄化制御部41は、加湿要求量が第一基準値以上である場合、第一制御を行う回数が第二制御を行う回数よりも少なくなるように制御し、加湿要求量が第一基準値未満である場合、第一制御を行う回数が第二制御を行う回数よりも多くなるようになるように制御した。これにより、空間浄化装置10では、加湿要求量が第一基準値以上である場合に、混合槽92内の次亜塩素酸濃度が高い状態で、混合水を微細化して空気中に放出させることができる。一方、加湿要求量が第一基準値未満である場合に、混合槽92内の次亜塩素酸濃度が低い状態で、混合水を微細化して空気中に放出させることができる。つまり、空間浄化装置10では、加湿要求量に基づいて、屋内空間18の環境に好適な条件で、空気浄化部11から放出される空気に次亜塩素酸を付与することができる。
【0124】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る空間浄化装置10aでは、空気浄化制御部41が、空気浄化部11に要求される加湿要求量に基づいて電極32の通電時間を制御することにより、電解槽31において生成する次亜塩素酸水の濃度を調整可能としている点で実施の形態1に係る空間浄化装置10と異なる。これ以外の空間浄化装置10aの構成及び制御方法は、実施の形態1に係る空間浄化装置10と同様である。以下、実施の形態1で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0125】
実施の形態2に係る空間浄化装置10aにおいて実行される電解槽における電気分解処理に関する動作(第三制御)について説明する。第三制御では、空気浄化部11における加湿要求量に関する情報に基づいて、混合槽92への次亜塩素酸水の供給(第一制御)ごとに、電解槽31において生成する次亜塩素酸水の濃度を調整可能としている。
【0126】
実施の形態2に係る空間浄化装置10aの空気浄化制御部41は、電解槽31における電気分解処理に関する動作において、空気浄化部11における加湿要求量に関する情報に基づいて次亜塩素酸水生成時の電気分解時間(電極32への通電時間)を特定する。そして、空気浄化制御部41は、特定した電気分解時間に基づいて電極32に電圧を印加し、設定された条件の次亜塩素酸水を生成させる。この際、空気浄化制御部41は、混合槽92への次亜塩素酸水の供給(第一制御)のタイミングに合わせて、所定濃度とする次亜塩素酸水の生成が完了するように制御している。
【0127】
より詳細には、空気浄化制御部41は、空気浄化部11に対する加湿要求量が第一基準値以上である場合(日本の冬場)には、電気分解時間(電極32への通電時間)を短くし、次亜塩素酸水生成部30において生成する次亜塩素酸水の濃度を低くするように制御する。一方、空気浄化制御部41は、空気浄化部11に対する加湿要求量が第一基準値未満である場合(日本の夏場)には、電気分解時間(電極32への通電時間)を長くし、次亜塩素酸水生成部30において生成する次亜塩素酸水の濃度を高くするように制御する。
【0128】
このようにすることで、日本の冬場では、図3の(b)に示した混合槽92内の次亜塩素酸水の初期濃度が低減されることになるので、図3の(c)に示した吹出口3の空気9に含まれる次亜塩素酸の平均濃度をさらに低減させることができる。一方、日本の夏場では、図4の(b)に示した混合槽92内の次亜塩素酸水の初期濃度が増加されることになるので、図4の(c)に示した吹出口3の空気9に含まれる次亜塩素酸の平均濃度をさらに増加させることができる。
【0129】
以上のように、空間浄化装置10aでは、加湿要求量に基づいて電解槽31で生成する次亜塩素酸水の濃度を調整した上で、次亜塩素酸水の供給と水の供給とを別々のトリガーで作動させることで、簡単な制御(第一制御、第二制御、第三制御)で混合槽92内の次亜塩素酸水の濃度(屋内空間18に吹き出す空気9に含まれる次亜塩素酸の濃度)をさらに低濃度化あるいは高濃度化して調節することができる。
【0130】
以上、本実施の形態2に係る空間浄化装置10aによれば、以下の効果を享受することができる。
【0131】
(4)空間浄化装置10aでは、次亜塩素酸水生成部30は、電気分解の対象である塩水を貯める電解槽31と、通電により電気分解を行う電極32とを有して構成される。そして、空気浄化制御部41は、空気浄化部11に要求される加湿要求量に基づいて、電極32の通電時間を制御することにより、電解槽31において生成する次亜塩素酸水の濃度を調整するようにした。これにより、空気浄化部11に相対湿度の高い空気が通風される場合においては、電極32の通電時間を長くして電解槽31で生成する次亜塩素酸水の濃度を高くすることで、混合槽92内における混合水の次亜塩素酸濃度をさらに高い状態とすることができる。一方、空気浄化部11に相対湿度の低い空気が通風される場合においては、電極32の通電時間を短くして電解槽31で生成する次亜塩素酸水の濃度を低くすることで、混合槽92内における混合水の次亜塩素酸濃度をさらに低い状態とすることができる。つまり、空間浄化装置10aでは、加湿要求量に基づいて混合槽92に貯留する次亜塩素酸水の濃度をさらに広範囲に調整することができる。
【0132】
以上、本発明に関して実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されているところである。
【0133】
本実施の形態1に係る空間浄化装置10における第一例及び第二例では、空気浄化部11は、加湿浄化運転時間中、一定の加湿要求量で動作しているとして説明したが、実際には、一定時間ごとに、目標湿度と屋内空間18の空気の湿度との間の湿度差に基づいて特定される加湿要求量で動作するようにしている。また、運転開始から3時間のタイミングで、渇水と次亜塩素酸水原液の供給タイミングが重なるように説明したが、実際には、渇水と次亜塩素酸水原液の供給タイミングが重ならずに動作するようにしてもよい。このようにしても、上述した効果を享受することができる。
【0134】
また、本実施の形態1に係る空間浄化装置10における第一例及び第二例では、渇水の検知と次亜塩素酸水原液の供給タイミングが重なる場合に、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)を排水するようにしたが、これに限られない。例えば、渇水の検知と次亜塩素酸水原液の供給タイミングが重なっても、混合槽92内の次亜塩素酸水(混合水)を排水しなくてもよい。このようにしても、上述した効果を享受することができる。
【0135】
また、本実施の形態2に係る空間浄化装置10aでは、空気浄化制御部41は、加湿要求量に基づいて次亜塩素酸水生成時の電気分解時間(電極32への通電時間)を調整したが、これに限られない。空気浄化制御部41は、例えば、次亜塩素酸水生成時の電気分解時間の調整に加えて、塩水タンク34から電解槽31への塩水の供給量を調整するようにしてもよい。具体的には、空気浄化制御部41は、空気浄化部11に対する加湿要求量が第一基準値以上である場合(日本の冬場)には、塩水タンク34から電解槽31への塩水の供給量を減少させた上で電気分解時間(電極32への通電時間)を短くし、次亜塩素酸水生成部30において生成する次亜塩素酸水の濃度を低くするように制御してもよい。一方、空気浄化制御部41は、空気浄化部11に対する加湿要求量が第一基準値未満である場合(日本の夏場)には、塩水タンク34から電解槽31への塩水の供給量を増加させた上で電気分解時間(電極32への通電時間)を長くし、次亜塩素酸水生成部30において生成する次亜塩素酸水の濃度を高くするように制御してもよい。これにより、電解槽31内で生成される次亜塩素酸水の濃度をより確実に調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明に係る空間浄化装置は、次亜塩素酸水を微細化して次亜塩素酸を空気中に放出する際に、空気中に放出される次亜塩素酸の量を調節しやすくできるものであり、対象空間の空気を殺菌または消臭する装置として有用である。
【符号の説明】
【0137】
2 吸込口
3 吹出口
4 前段風路
5 中段風路
6 後段風路
8 空気
9 空気
10 空間浄化装置
10a 空間浄化装置
11 空気浄化部
11a 加湿モータ
11b 加湿ノズル
13 送風機
14 冷媒コイル
15 空気調和装置
16 ダクト
16a 屋内吸込口
17 ダクト
17a 屋内吹出口
18 屋内空間
20 室外機
20a 圧縮機
20b 膨張器
20c 屋外熱交換器
20d 送風ファン
20e 四方弁
21 冷媒回路
24 ダクト
30 次亜塩素酸水生成部
31 電解槽
32 電極
33 電磁弁
34 塩水タンク
35 塩水搬送ポンプ
36 次亜塩素酸水供給部
37 次亜塩素酸水搬送ポンプ
38 送水管
39 水位センサ
41 空気浄化制御部
41a 入力部
41b 記憶部
41c 計時部
41d 処理部
41e 出力部
42 空気調和制御部
43 操作装置
44 温湿度センサ
50 水供給部
51 電磁弁
52 送水管
90 水位センサ
92 混合槽
100 空間浄化システム
図1
図2
図3
図4