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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】登山道の施工装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
E02D17/20 103Z
E02D17/20 103B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024071953
(22)【出願日】2024-04-09
【審査請求日】2024-04-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】724004823
【氏名又は名称】株式会社次世代一次産業実践所
(72)【発明者】
【氏名】高谷 俊彦
【審査官】坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-336654(JP,A)
【文献】特開2013-185358(JP,A)
【文献】国際公開第2024/053068(WO,A1)
【文献】特開昭54-150804(JP,A)
【文献】特開平11-100848(JP,A)
【文献】特開2016-223266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/00-17/20
E04F 11/00-11/18
E02B 3/04- 3/14
E01C 1/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
土留部材挟持材に土留部材固定手段が取付けられるとともに、前記土留部材固定手段にアンカー手段が取付けられている請求項1に記載の登山道の施工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、登山道の施工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の登山道に使用する丸太は直径が15センチメートル~25センチメートル、重量が4キログラム~13キログラムのものを使用しており、固定には杭丸太を50センチメートル~70センチメートル打ち込んで固定しているが、運搬が重労働であるとともに、作業は傾斜面で行うため足場の悪い場所での運搬作業や打込作業は、危険を伴うという問題点があった
又、従来の登山道には、横方向に延びる登山道と階段状に上方向に延びるものとがある。横方向に延びる登山道は、山側から流出してくる土により歩行通路の幅が狭くなるため、歩行通路の拡幅工事を行う必要があるが、その際、丸太を支持するアンカー及びアンカーボルトからなるアンカー手段を地中に埋設することで地中から抜き出るのを防止している。階段状に施工する登山道も特許文献1に示すように、地中に一部を埋設し、地面表面に一部を露出させた丸太を支持するアンカー手段を地中に埋設することで地中から抜き出るのを防止している。
しかしながら、雨水が前記丸太を超えて流れる際に丸太の下流側の地面の土を流すという問題点があり、その結果、丸太及びアンカー手段が地面から露出してしまい、最終的には丸太及びアンカー手段が地面から抜き出てしまい登山道が破損し、図11に示すように、登山道が荒れるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭60-104524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、軽量で使い勝手の良い登山道の施工装置を提供するとともに、前記登山道の施工装置を構成し、従来の丸太に相当する土留部材を雨水が超えて流れる際に前記土留部材の下流側の地面の土を流すことで発生する登山道の破損を防止することが可能な登山道の施工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の登山道の施工装置は、耐蝕性を有する材料で長尺の筒形に形成され、内部に土を入れて使用する土留部材と、前記土留部材に取付けられるシート状の耐蝕性を有する材料で形成された水抜け防止手段と、前記土留部材に取付けられた耐蝕性を有する材料で形成された土留部材固定手段と、前記土留部材固定手段を地面に固定する耐蝕性を有する材料で形成されたアンカー手段とを備えた登山道の施工装置であって、前記土留部材は、横長の長方形形状の板材でできており、前記土留部材内に土を入れる第1の開口部が前記板材の短手方向の中心線線上に形成されるとともに、前記第1の開口部の少なくとも片側に複数個の水抜き用の第2の開口部が形成された土留部材形成部材を筒形に巻回して形成されるものであることを特徴とする。
又、本発明の登山道の施工装置の土留部材は、前記土留部材の外周胴に内面が当接する複数個に分割された土留部材挟持材により挟持されることで構成されるのが望ましい。
又、本発明の登山道の施工装置は、土留部材挟持材に土留部材固定手段が取付けられるとともに、土留部材固定手段にアンカー手段が取付けられているのが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の本発明の登山道の施工装置は、耐蝕性を有する材料で長尺の筒形に形成され、内部に土を入れて使用する土留部材と、前記土留部材に取付けられるシート状の耐蝕性を有する材料で形成された水抜け防止手段と、前記土留部材に取付けられた耐蝕性を有する材料で形成された土留部材固定手段と、前記土留部材固定手段を地面に固定する耐蝕性を有する材料で形成されたアンカー手段とを備えた登山道の施工装置であって、前記土留部材は、横長の長方形形状の板材でできており、前記土留部材内に土を入れる第1の開口部が前記板材の短手方向の中心線線上に形成されるとともに、前記第1の開口部の少なくとも片側に複数個の水抜き用の第2の開口部が形成された土留部材形成部材を筒形に巻回して形成されるものであることを特徴とするものであるから、雨水が土留部材を超えて流れる際に土留部材の下流側の地面の土を流すことで発生する登山道の施工装置の破損を防止する登山道の施工装置を提供することができるという効果がある。
又、請求項2のように、土留部材は、前記土留部材の外周胴に内面が当接する複数個に分割された土留部材挟持材により挟持されることで構成されるものは、土留部材挟持材により挟持することで土留部材にすることができ、作業が効率よく行うことが出来るという効果がある。
又、請求項3のように、土留部材挟持材に土留部材固定手段が取付けられるとともに、前記土留部材固定手段にアンカー手段が取付けられているものは、前記土留部材固定手段に前記アンカー手段を事前に取付けておくこともでき、作業が効率よく行うことが出来るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の登山道の施工装置の平面図。
図2】同上の登山道の施工装置の外観斜視図。
図3】同上の登山道の施工装置の施工状態を示す断面図。
図4】同上の登山道の施工装置における土留部材固定手段の他の実施例図。
図5図4における土留部材固定手段の他の実施例の断面図。
図6】土留部材形成部材を重ねた状態図。
図7】土留部材を組み立てる状態を示す断面図。
図8】土留部材を組み立てる状態を示す断面図。
図9】同上の登山道の施工装置を階段仕様に施工した状態を示す概略図。
図10】同上の登山道の施工装置を連結仕様に施工した状態を示す概略図。
図11】従来の登山道の施工装置を登山道に施工し、登山道が荒れた状態を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明の実施の形態を図1乃至図10に基づいて詳述する。登山道の施工装置1は、耐蝕性を有する材料で長尺の筒形に形成され、内部に土を入れて使用する土留部材2と、土留部材2に中央部又は端部が選択して取付けられるシート状の耐蝕性を有する材料で形成された水抜け防止手段3と、土留部材2に取付けられた耐蝕性を有する材料でワイヤー状又はチェーンでできたステンレス製の土留部材固定手段4と、土留部材固定手段4を地面に固定する耐蝕性を有する材料で形成されたアンカー手段5とを備えた登山道の施工装置であって、土留部材2は、横長の長方形形状の板材でできており、土留部材2内に土を入れる第1の開口部6が板材の短手方向の中心線7線上に形成されるとともに、第1の開口部6の少なくとも片側に複数個の水抜き用の第2の開口部8が形成された土留部材形成部材9を筒形に巻回して形成されている。
【0009】
土留部材2は、ステンレス材又は合成樹脂材でできており、円周方向の端部が重ねられ、重ね部においてネジ又はピンからなる複数個の固定具10により固定されるとともに、土留部材2の外周胴に内面が当接する2分割された土留部材挟持材11により挟持され、土留部材挟持材11に土留部材固定手段4が取付けられるとともに、土留部材固定手段4にアンカー手段5が取付けられている。土留部材2は、円筒形以外に靴の滑り止めを考慮し、少なくとも踏む面となる上面を平坦にした断面形状や、地中に埋められる面も滑り止めを考慮して四角形状等の多角形形状の断面形状にしたものでも構わないものであり、土留部材形成部材9及び蓋体13の形状も土留部材2の形状に対応させて形成されるものである。
【0010】
土留部材2は、上部には土留部材2内に土を入れるときの導入穴になるとともに、滑り止め用の中央部が直線で端部が半円形の小判状となった第1の開口部6が一列に4個形成されているが、土留部材形成部材9の短手方向の中心線7線上に形成されることで土留部材2の上部に形成されるものであるが、短手方向の中心線7上で無くても構わないものである。土留部材2は、合成樹脂材で形成されていても構わないが、合成樹脂材で形成されていると、マイクロプラスチック化され、環境に好ましくないものであり、ステンレスのような金属材でできているのが好ましいものである。土留部材2がステンレス製のものは、外径が120~250ミリメートル、厚みが0.3~2mmミリメートル、長さが1000ミリメートルで土留部材2同士が連結出来るように両面が開口しており、端部開口部12には蓋体13又は土留部材2が着脱自在に取付けられるようになっている。
【0011】
土留部材2内に土を充填する前に土留部材2同士を連結し、端部開口部12を蓋体13で閉塞している。実施例では土留部材2の上部には滑り止め用の中央部が直線で端部が半円形の小判状となった第1の開口部6が一列に4個形成したが、小判状でなくても構わないものであり、一列で無くても4個で無くても構わないものであり、強度と雨水の導入と滑り止めとを考慮して決定すれば良いものであり、土留部材2内に補充の土を充填する場合は、第1の開口部6から充填することができるものである。
【0012】
第2の開口部8は、直径が1~5ミリメートルの丸穴に形成されており、土は流出せず、雨水のみ排出するように開口面積が考慮されている。第1の開口部6の両側に複数個の水抜き用の第2の開口部8が形成されたものは、上下を気にしなく施工が出来るという効果があり、第1の開口部6の片側に複数個の水抜き用の第2の開口部8が形成されたものは、強度の低下を防止することが出来るという効果がある。
【0013】
土留部材形成部材9は、運搬を考慮したものであり、筒形にした土留部材2だとスペースを取る為、運搬には適さないが、平板状若しくは円弧状に曲げた土留部材形成部材9だと重ねて運搬することが可能であるため、一枚が0.8~3.0キログラムの土留部材形成部材9を複数枚一度に効率よく運搬することができるものである。
【0014】
土留部材2は、図7に示す様に、外方に拡がるのが防止された状態でボルトとナットで構成される固定具14により固定されている。土留部材2は、円周方向に2分割された土留部材挟持材11により土留部材挟持材11の両端には突出して固定具14が挿入又は螺着される係止部15が形成されている。土留部材2は、外方に拡がろうとするのを土留部材挟持材11と固定具14により防止し、内方に押し潰されるのを内部に充填した土により防止されるものであるが、土留部材挟持材11と固定具14とのいずれか一方で土留部材2が外方に拡がろうとするのを防止することができれば、土留部材挟持材11と固定具14とのいずれか一方を用いれば良いものである。
【0015】
土留部材2を一対の半割り部材で形成し、ハゼ折りにより円筒形状に形成しても構わないものであり、その場合は、土留部材2が強固になるという効果があるものであり、円周方向に2分割された土留部材挟持材11で挟持しなくても問題が無い場合は、図4及び図5に示す様に、簡単な構造である土留部材固定手段4を土留部材2に巻回し、土留部材固定手段4で土留部材2とアンカー手段5とを連結しても構わないものである。
【0016】
水抜け防止手段3は、ステンレス板又は合成樹脂板でできており、変形が可能な薄板材でできており、土留部材2に端部又は中央部が選択して取付けられるように、水抜け防止手段3の端部又は中央部には直径が2~8ミリメートルの挿入穴16が複数個形成されているが、両方に形成されていても構わないものである。水抜け防止手段3は、合成樹脂材で形成されていると、マイクロプラスチック化され、環境に好ましくないものであり、ステンレスのような金属材でできているのが好ましいものである。水抜け防止手段3がステンレス製のものは、横幅が1000ミリメートル、縦が600ミリメートル、厚みが0.3~2.0ミリメートルで形成されている。
【0017】
水抜け防止手段3は、土留部材2と対面して設けられるのが望ましく、横方向が隣接する水抜け防止手段3と重ね合わさっていても構わないものであり、水抜け防止手段3は上面が露出した状態に施工されていても、土で覆われていても構わないものである。水抜け防止手段3を設けることで、雨水は土留部材2の手前から地中に浸入することが防止され、土留部材2下方の土の軟弱化を防止することが出来、登山道の施工装置が破損を防止し、登山道が荒れるのを防止することが出来るものである。
【0018】
実施例は、土留部材固定手段4を耐蝕性を有するワイヤー状又はチェーンで形成したが、板材や棒材で形成しても構わないものである。
【0019】
アンカー手段5は、アンカーやアンカーボルトで構成されるものであり、土留部材固定手段4が取付けやすく外れにくくするために切り欠きを設けている。
【0020】
蓋体13は、土留部材2に外れないように固定されており、複数本のねじで固定されていても構わないが、図8に示す様に、蓋体13に複数個の切起部17を形成し、切起部17を蓋体13の内側に折り返し、折り返した端部18が土留部材2に形成された開口部に嵌合することで蓋体13が外れるのを防止しても構わないものであり、ワンタッチで蓋体13を土留部材2に取付が出来、施工性が向上するという効果がある。
【0021】
次に、本発明の登山道の施工装置の使用方法について説明すると、登山道の施工装置を用いて横方向に延びる登山道を施工する連結仕様、登山道の施工装置を用いて階段を施工する階段仕様との両方に使用可能である。
【0022】
本発明の登山道の施工装置1を連結仕様として使用する場合は、登山道に沿って登山道の谷側に土留部材2を位置させるとともに、登山道の踏み面に水抜け防止手段3の上部側を位置させ、水抜け防止手段3の上部端縁位置にアンカー手段5が位置するように土留部材固定手段4の長さを決めれば良いものである。水抜け防止手段3の上部側は、登山道の踏み面から雨水が登山道内部に浸入するのを防止して登山道内部の軟弱化を防止することが出来るのである。水抜け防止手段3の下部側は、登山道の下側の傾斜面を覆うように位置させ、土留部材2を超えて流れる雨水や第2の開口部8から排出された雨水は水抜け防止手段3の下部側上面を流れるのであり、その結果、登山道下流側の地面の土を流すことで発生する登山道の施工装置の破損を防止することができるのである。
アンカー手段5の位置が水抜け防止手段3の上部端縁位置に設けられているが、内側の位置にくるようにして、雨水が階段内部に浸入するのを防止してアンカー手段5が抜けるのを防止するようにしても構わないものである。
【0023】
本発明の登山道の施工装置1を階段仕様として使用する場合は、階段の段鼻の位置に土留部材2を位置させるとともに、階段の踏み面に水抜け防止手段3の上部側を位置させ、水抜け防止手段3の上部端縁位置にアンカー手段5が位置するように土留部材固定手段4の長さを決めれば良いものである。水抜け防止手段3の上部側は、階段の踏み面から雨水が階段内部に浸入するのを防止して階段内部の軟弱化を防止することが出来るのである。水抜け防止手段3の下部側は、階段の下段側の蹴上げ及び階段の下段側の踏み面を覆うように配設し、土留部材2を超えて流れる雨水や第2の開口部8から排出された雨水は水抜け防止手段3の下部側上面を流れるのであり、その結果、階段下流側の地面の土を流すことで発生する登山道の施工装置の破損を防止することができるのである。
アンカー手段5の位置が水抜け防止手段3の上部端縁位置に設けられているが、内側の位置にくるようにして、雨水が階段内部に浸入するのを防止してアンカー手段5が抜けるのを防止するようにしても構わないものである。
【符号の説明】
【0024】
1 登山道の施工装置
2 土留部材
3 水止め部材
4 土留部材固定手段
5 アンカー手段
6 第1の開口部
7 中心線
8 第2の開口部
9 土留部材形成部材
【要約】
【課題】従来の登山道の施工装置は、特許文献1に示すように、地中に一部を埋設し、地面表面に一部を露出させた階段ステップにアンカーボルトを固定し、前記アンカーボルトを地中に埋設することで階段ステップが地中から抜き出るのを防止しているが、雨水が前記階段ステップを超えて流れる際に階段ステップの下流側の地面の土を流すという問題点があり、その結果、登山道の施工装置が破損するという問題点があった。
【解決手段】本発明の登山道の施工装置は、筒形で耐蝕性を有する材料でできた長尺状の土留部材と、前記土留部材に端部又は中央部が取付けられるシート状の耐蝕性を有する材料でできた水止め部材とを備えることで、上記課題を解決している。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11