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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/31 20060101AFI20241018BHJP
   A61K 31/095 20060101ALI20241018BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20241018BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 31/015 20060101ALI20241018BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61K8/31
A61K31/095
A61P29/00
A61K47/36
A61K47/10
A61K47/26
A61K8/46
A61K8/73
A61K8/63
A61K31/015
A61Q19/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023223895
(22)【出願日】2023-12-20
【審査請求日】2024-02-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399101201
【氏名又は名称】健栄製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】竹原 有希
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-128537(JP,A)
【文献】特開2015-232032(JP,A)
【文献】特開2005-298364(JP,A)
【文献】特開2019-006736(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0131381(US,A1)
【文献】特開2004-075663(JP,A)
【文献】特開2021-059520(JP,A)
【文献】特開2021-011469(JP,A)
【文献】国際公開第2020/138403(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
A61Q
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アズレン誘導体と、
ヘパリン類似物質と、
を含む、外用組成物であって、
前記アズレン誘導体は、グアイアズレンスルホン酸ナトリウム、グアイアズレンまたはグアイアズレンスルホン酸エチルから選択される少なくとも1種であり、
前記アズレン誘導体に対する前記ヘパリン類似物質の質量比が、2以上である、
外用組成物。
【請求項2】
前記ヘパリン類似物質の濃度は、0.01%以上、3%以下である、請求項1に記載の外用組成物。
【請求項6】
さらに、グリチルリチン酸又はその塩を含む、請求項1または2に記載の外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アズレン誘導体には、抗炎症作用を有することが知られ、皮膚外用薬や口腔咽喉薬の成分として使用されている。しかしながら、このアズレン誘導体には、熱や光により分解されやすい性質があり、安定化のために様々な技術が開発されてきた。例えば、特許文献1には、多価アルコールと、低級アルコールと、緩衝剤とを含む水性溶液製剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-47859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の水性溶液製剤では、40℃を超える温度での安定性が担保されていない。そのため、高温下等の条件であってもアズレン誘導体のさらなる安定化が図られたアズレン誘導体含有外用組成物が求められていた。
そこで、本発明の目的は、アズレン誘導体の安定性が向上した外用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態にかかる外用組成物は、アズレン誘導体と、ヘパリン類似物質と、を含む。
上記アズレン誘導体の濃度は、0.0001~4.0%であることが好ましい。また、上記アズレン誘導体は、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムであることが好ましい。
本発明の一形態にかかる外用組成物は、さらに、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトールまたはキシリトールから選択される少なくとも1種の多価アルコールを含むことが好ましい。
【0006】
上記の構成によれば、外用組成物におけるアズレン誘導体の安定性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、特に、熱安定性に優れたアズレン誘導体含有外用組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の外用組成物は、アズレン誘導体と、ヘパリン類似物質と、を含む。
【0009】
上記アズレン誘導体としては、例えば、グアイアズレンスルホン酸ナトリウム(アズレンスルホン酸ナトリウム:水和物であってよい)、グアイアズレンまたはグアイアズレンスルホン酸エチル等が挙げられる。これらの中でも、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムが特に好ましい。
【0010】
上記アズレン誘導体の濃度の下限は、特に限定されるものではないが、0.0001%以上であることが好ましく、0.001%以上であることがより好ましく、0.01%以上であることがさらに好ましい。アズレン誘導体の濃度が0.0001%未満の場合、アズレン誘導体の抗炎症作用が示されない場合がある。また、アズレン誘導体の濃度の上限は、特に限定されるものではないが、4.0%以下であることが望ましく、2.0%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。アズレン誘導体の濃度が4.0%を超える場合、アズレン誘導体が溶解せず、析出する場合がある。
【0011】
上記ヘパリン類似物質の濃度の下限は、特に限定されるものではないが、0.01%以上であることが好ましく、0.05%以上であることがより好ましく、0.1%以上であることがさらに好ましい。ヘパリン類似物質の濃度が0.01%未満の場合、アズレン誘導体の安定性が担保できない場合がある。また、ヘパリン類似物質の濃度の上限は、特に限定されるものではないが、3%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。ヘパリン類似物質の濃度が3%を超えると、ヘパリン類似物質が溶解しない場合がある。なお、ヘパリン類似物質の含有量は、外用組成物が適切な保湿作用を有するように、適宜設定することができる。
【0012】
上記外用組成物は、アズレン誘導体、ヘパリン類似物質以外に、外用組成物に求められる効果や製剤の剤形等に応じて、他の成分を含んでいてもよい。
【0013】
上記外用組成物は、組成物の性状に応じて適切な液状担体を含むことができる。例えば、本発明の外用組成物が水溶液(例えば、化粧水や美容液)やジェルであれば主な担体を水とすることができるし、乳液であれば水とともに油分(例えば、ワセリンなど)を主な担体とすることができるし、軟膏や油性クリームであれば主な担体を油分とすることができる。
【0014】
外用組成物は、液状担体として、多価アルコール、エタノールやプロパノールなどの低級アルコールを含んでもよい。ただし、本発明の外用組成物を敏感肌に適用したときの皮膚への刺激を少なくすることが望まれる場合には、外用組成物が低級アルコール、特にエタノールを含まないか、または実質的に含まないことが好ましい。
【0015】
上記外用組成物は、特に、多価アルコールを含むことが好ましい。
このような多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトールまたはキシリトール、が挙げられる。上記多価アルコールを添加することにより、アズレン誘導体の安定性をさらに向上させることができる。上記多価アルコールの中でも、グリセリンが特に好ましい。
【0016】
本発明の外用組成物は、他の有効成分、例えば、アンチエイジング剤、抗炎症剤、アクネケア剤、抗ヒスタミン剤などを含んでいてもよい。アンチエイジング剤の例には、ナイアシンアミド(ニコチン酸アミドともいう)、アルブチン、トラネキサム酸、ビタミン類(例えば、トコフェロール誘導体、ビタミンC誘導体、パルミチン酸レチノール等)、エラグ酸、リノール酸などが含まれ;抗炎症剤の例には、アラントイン、グリチルリチン酸又はその塩(例えば、グリチルリチン酸ジカリウム)、ε-アミノカプロン酸などが含まれ;アクネケア剤の例には、イソプロピルメチルフェノール、サリチル酸などが含まれ;抗ヒスタミン剤の例には、ジフェンヒドラミンまたはその塩などが含まれる。
【0017】
本発明の外用組成物は、さらに湿潤剤を含んでいてもよい。この湿潤剤としては、1)セラミド又はセラミド類似成分、2)リン脂質ポリマー、3)植物エキス、4)アミノ酸系湿潤剤、5)スクワラン、6)タンパク質加水分解物、7)異性化糖などが含まれうる。これらは、外用組成物に求められる保湿作用などに応じて、その配合量を設定することができる。
【0018】
1)セラミドとはスフィンゴ脂質の一種であり、スフィンゴイドに脂肪酸がアミド結合した化合物である。セラミド類似成分は、グルコシルセラミド、ガラクトシルセラミドのような糖セラミドであっても、ソフケア(登録商標)セラミドSL-E(花王株式会社製、N-(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)-N-(ヒドロキシエチルヘキサデカナミド))、CERACUTE(登録商標)-L(日油株式会社、グリセリル-N-(2-メタクリロイルオキシエチル)カルバメート・メタクリル酸ステアリル共重合体)のような合成セラミドであってもよい。本発明の外用組成物におけるセラミド及び/又はセラミド類似成分の含有量は、目的に応じて設定すればよく、特に限定されない。
【0019】
2)リン脂質ポリマーとは、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体であり、生体膜の主要な構成成分であるリン脂質に類似する生体適合性ポリマーである。リン脂質ポリマーの例には、リピジュア(登録商標)(日油株式会社、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体)、NIKKOL(登録商標)レシノール S-10(日光ケミカルズ株式会社、水素添加大豆リン脂質)などが含まれる。本発明の外用組成物におけるリン脂質ポリマーの含有量は、目的に応じて設定すればよく、特に限定されない。
【0020】
3)植物エキスには、アマチャエキス、アルテア根エキス、アルニカ花エキス、アロエエキス、アロエベラエキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウワウルシエキス、エンドウエキス、オウゴンエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、カッコンエキス、カミツレエキス、カラスムギエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、キイチゴエキス、キダチアロエエキス、キュウリエキス、クインスシードエキス、クミンエキス、クレマティスエキス、ゲンチアナエキス、ゲンノショウコエキス、ゴボウエキス、コムギ胚芽エキス、コンドルスクリスプスエキス、シモツケソウエキス、シャクヤク根エキス、ジャノヒゲ根エキス、スイカズラ花エキス、スピルリナマキシマエキス、セイヨウオトギリソウエキス、セイヨウカノコソウ根エキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウネズエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、タイムエキス、タチジャコウソウエキス、チャ葉エキス、ツボクサエキス、テルミナリアエキス、トウガラシ果実エキス、トウキンセンカエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、トルメンチラエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、バクガエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、ハマメリスエキス、バラエキス、パリエタリアエキス、ビターオレンジ果皮エキス、ヒバマタエキス、ビルベリーエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、フユボダイジュ花エキス、プラセンタエキス、プルーンエキス、ヘイフラワーエキス、ベニバナエキス、ホップエキス、マグワ根皮エキス、マリアアザミエキス、マロニエエキス、メリッサエキス、メリロートエキス、モウコヨモギエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ヤマヨモギエキス、ユーカリエキス、ユリエキス、ヨーロッパシラカバエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、ラミナリアディギタータエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキスなどが含まれる。本発明の外用組成物は、任意の植物エキスを含むことができるが、例えば、アロエエキス、ツボクサエキス、ドクダミエキス、ヨモギエキスなどが好適に例示される。
【0021】
4)アミノ酸系湿潤剤とは、グルタミン酸などのアミノ酸から導かれる湿潤剤である。アミノ酸系湿潤剤としては、ピロリドンカルボン酸又はその塩類(例えば、ナトリウム塩)、ピロリジンカルボン酸又はその塩類、アシルピロリジンカルボン酸又はその塩類、アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル又はその塩類などが挙げられる。アミノ酸系湿潤剤のアミノ酸は、ラセミ体であってもよいし、光学活性体であってもよい。アミノ酸系湿潤剤は、AJIDEW(登録商標)(味の素株式会社)、PRODEW(登録商標)(味の素株式会社)、アクアデュウ(登録商標)(味の素株式会社)、CAE(登録商標)(味の素ヘルシーサプライ社)などとして市場から入手可能である。本発明の外用組成物におけるアミノ酸系湿潤剤の含有量は、目的に応じて設定すればよく、特に限定されない。
【0022】
5)スクワランとは、アイザメなど深海に生息するサメ類の肝油から得られる炭化水素であるスクワレンを還元(水素添加)させて得られる飽和炭化水素であり、無色液体である。本発明の外用組成物におけるアミノ酸系湿潤剤の含有量は、目的に応じて設定すればよく、特に限定されない。
【0023】
7)タンパク質加水分解物とは、特に限定されないが、加水分解エラスチン、加水分解カゼイン、加水分解ケラチン、加水分解コムギ、加水分解コラーゲン、加水分解コンキオリン、加水分解シルク、加水分解ゼラチン、加水分解ダイズタンパク、加水分解トウモロコシタンパク、加水分解トサカ、加水分解バレイショタンパク、加水分解フィブロネクチンなどが含まれる。
【0024】
本発明の外用組成物は、粘稠剤を含んでいてもよい。粘稠剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等の水溶性高分子;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース類等が挙げられる。これらの粘稠剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
本発明の外用組成物は、組成物のpHを所望の値に調整するためのpH調整剤を含んでいてもよい。pH調整剤の例には、無機酸(リン酸、ピロリン酸、メタリン酸、ポリリン酸、硫酸、硝酸、塩酸など)及びその塩;有機酸{モノカルボン酸(例えば、酢酸、ソルビン酸)、ポリカルボン酸(例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸)、オキシカルボン酸[例えば、ヒドロキシモノカルボン酸(例えば、グリコール酸、乳酸、グルコン酸)、ヒドロキシポリカルボン酸(例えば、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸等)等]}及びその塩;無機塩基(金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等)等);有機塩基(アミン類[例えば、アルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-アミノエチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン等)等]、アミノ酸(例えば、グリシン等)等)があげられる。本発明の外用組成物は、複数種のpH調整剤を組み合わせて含んでいてもよい。
【0026】
本発明の外用組成物は、防腐剤を含んでいてもよい。防腐剤の例には、いわゆる「パラベン」と称されるパラオキシ安息香酸エステルが含まれる。具体的には、メチルパラベン(パラオキシ安息香酸メチル)、エチルパラベン(パラオキシ安息香酸エチル)、プロピルパラベン、イソプロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン等、及びそれらの塩が防腐剤として例示される。本発明の外用組成物は、複数種のパラベンを組み合わせて含んでいてもよく、例えば、メチルパラベンと、エチルパラベンまたはプロピルパラベンとを組み合わせてもよい。本発明の外用組成物にパラベンが含まれる場合には、組成物に対するパラベンの含有量は、1%以下、好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.25%以下でありうる。
【0027】
本発明の外用組成物は、剤形が乳液である場合には乳化剤を含む。乳化剤は、アニオン性、カチオン性、両性、非イオン性界面活性剤のいずれかでありうる。乳化剤の例には、モノステアリン酸グリセリン、ステアリン酸ポリオキシル、ジステアリン酸グリコール、レシチン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ステアレス-2、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルなどが含まれるが、特に限定されない。
【0028】
本発明の外用組成物は、軟化剤、着色剤や香料などを含有してもよい。
【0029】
本発明の外用組成物は液状製剤であることが好ましいが、水性製剤、油性製剤、エマルション製剤(水中油型エマルション、油中水型エマルションのいずれもよい)、サスペンション製剤、エアゾール製剤、ゲル製剤など、剤形は特に限定されない。また、本発明の外用組成物は、固型(ソリッド)、プレスト、オイル(油)、液状(リキッド)、ジェル、練り(バーム)、マッド、クリーム、乳液、ローション、フォーム(バブル)、フィルム、パウダー(粉)、水、ペンシル、スプレー(ミスト)、スティック、シート等であり得る。
【0030】
本発明の外用組成物のpHは5~7の範囲に調整されていることが好ましい。皮膚外用組成物の皮膚への浸透性を高めやすいからである。
【0031】
本発明の外用組成物の粘度は、製剤の剤形、及び組成物を皮膚に適用するときに求められる使用感に応じて、適宜調整されうる。例えば、組成物の粘度が低い方が、皮膚に適用されたときに濡れ広がりやすさを有しやすく;組成物の粘度が高い方が、皮膚に適用されたときに馴染みやすさを有しやすい。例えば目安として、本発明の外用組成物が水溶液であれば粘度400~1300mPa・sの範囲にあり、乳液であれば粘度2000~12000mPa・sの範囲にあり得る。粘度は、レオメーター条件:25℃,0.33rpm 90秒後の粘度として測定される。
【0032】
本発明の外用組成物は、容器に充填されているが、例えば、遮光容器に充填されている。また、本発明の外用組成物はポンプ又はスプレータイプの容器に充填されることで、皮膚への適用を簡便にすることができる。
【0033】
本発明の外用組成物は、皮膚に適用、例えば、皮膚に塗布されることで使用される。例えば、外用組成物を直接皮膚にすりこんだり、外用組成物を染み込ませたガーゼなどを皮膚に貼ったりすることができる。本発明の外用組成物を適用する患部は、皮膚である限り特に限定されず、例えば、特に保湿が求められる患部、例えば、顔、粉ふきがあるひざやかかと、背中、などが例示されるが、特に限定されない。皮膚に適用する頻度は、特に限定されないが、1日1~数回程度でありうる。
【0034】
本発明の外用組成物は、皮膚に適用されることで、保湿作用、抗炎症作用、血行促進作用などを発揮することが期待され;それにより、肌荒れやあれ性の改善、あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防いだり、肌を整えて皮膚をすこやかに保つ、皮膚にうるおいを与える、皮膚を保護する、皮膚の乾燥を防ぐ、などの効果が得られうる。
【0035】
本発明の外用組成物の製法は、特に限定されず、剤形に応じて常法にしたがって製造することができる。例えば、所定量の各配合成分を、液状担体に順次、添加・混合することで得ることができる。各剤形の組成物の製造方法は、例えば、「エマルションの調製技術事例集(出版社:技術情報協会、著者:水野朝子,寺田千春企画編集)」に記載がされており、参照することができる。
【実施例
【0036】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0037】
表1に示す配合量で各成分を混合し、最終的に水で全量が100gになるようにして外用組成物を調製した。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例、比較例において調製した外用組成物について、60℃1週間および2週間保管した後、以下の通り、グアイアズレンスルホン酸ナトリウム含量の測定(経時安定性)を行った。その結果を、表1に示す。
【0040】
(グアイアズレンスルホン酸ナトリウム含量の測定)
調製した外用組成物5mLを正確に量り、水を加えて正確に10mLとし、試料溶液とした。別に、乾燥したグアイアズレンスルホン酸ナトリウムを0.1g正確に量り、精製水を加えて正確に100mLとし、さらにその液5mLを正確に量り、精製水を加えて、正確に20mLとし、標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液につき、水を対照として、紫外可視吸光度測定法により試験を行い、波長568nmにおける吸光度A及びAを測定した。
グアイアズレンスルホン酸ナトリウムの含量(%)=A/A×W/2
:定量用グアイアズレンスルホン酸ナトリウムの採取量(g)
2:希釈による係数
各実施例、比較例の外用組成物について、調製直後に対する、60℃1週間および2週間経過後の残存率を算出した。
【0041】
表1に示される60℃2週間経過後の結果の通り、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムを0.1%含有する比較例1の検体では、調製直後に対するグアイアズレンスルホン酸ナトリウムの残量は16.57%であったのに対して、実施例1の検体では63.57%、実施例2の検体では63.86%であった。この結果は、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムに、ヘパリン類似物質を加えることで、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムの安定性が向上していることを示す。
同様に、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムを0.1%、グリセリンを40%含有する比較例2の検体では、調製直後に対するグアイアズレンスルホン酸ナトリウムの残量は30.40%であったのに対して、実施例3の検体では79.05%であった。この結果は、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムに、ヘパリン類似物質と、グリセリンを加えることで、さらにグアイアズレンスルホン酸ナトリウムの安定性が向上していることを示す。
【実施例4】
【0042】
下記の表に示す組成で、上記の実施例と同様にして実施例4の外用組成物を調製した。
【0043】
実施例4について、60℃1週間および2週間保管した後、グアイアズレンスルホン酸ナトリウム含量の測定(経時安定性)を行った。その結果を、表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
また、実施例、比較例において調製した外用組成物について、室温、遮光条件で1週間および2週間保管した後、グアイアズレンスルホン酸ナトリウム含量の測定(経時安定性)を行った。その結果を、表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
上記の表3の通り、実施例では、いずれもグアイアズレンスルホン酸ナトリウムの低下率が比較例1よりも低く、ヘパリン類似物質によりグアイアズレンスルホン酸ナトリウムが安定化されていることを示した。特に、ヘパリン類似物質とグリセリン等の多価アルコールを組み合わせることによりグアイアズレンスルホン酸ナトリウムの安定化が顕著であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の外用組成物によれば、アズレン誘導体の安定性が向上した外用組成物を提供することができる。
【要約】
【課題】 アズレン誘導体の安定性が向上した外用組成物を提供する。
【解決手段】 外用組成物は、アズレン誘導体と、ヘパリン類似物質と、を含む。
【選択図】なし