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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】毛髪切断ヘッド及び毛髪切断装置
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/48 20060101AFI20241018BHJP
   B26B 19/46 20060101ALI20241018BHJP
   A61N 5/06 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B26B19/48 C
B26B19/46
A61N5/06 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024526466
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(86)【国際出願番号】 EP2022082172
(87)【国際公開番号】W WO2023094245
(87)【国際公開日】2023-06-01
【審査請求日】2024-05-02
(31)【優先権主張番号】21209849.5
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ボームファ マリウス イオシフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルギーズ バブ
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0107548(KR,A)
【文献】特開2022-124568(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0119913(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0103563(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 19/46-19/48;
A61N 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪切断装置用の毛髪切断ヘッドであって、
少なくとも1つの毛髪切断ユニット及び照明モジュールを収容するヘッドハウジングと、
前記毛髪切断ヘッドの使用中に前記毛髪切断ヘッドがユーザの皮膚と接触する皮膚接触領域であって、中央領域と、前記中央領域を完全に取り囲む側方領域とを持つ、皮膚接触領域とを有し、
前記照明モジュールが、400~500nmの範囲の波長を主に持つ第1の光を放出する少なくとも1つの光源の第1のセットと、500nmを超える範囲の波長を主に持つ第2の光を放出する少なくとも1つの光源の第2のセットとを含み、
前記第1のセットの各光源は、前記皮膚接触領域がユーザの皮膚に接触している状態で前記毛髪切断ヘッドの使用中に、前記皮膚接触領域の中央領域を介してのみ前記ユーザの皮膚に向かって前記第1の光を放出し、
前記第2のセットの各光源が、前記皮膚接触領域が前記ユーザの皮膚に接触している状態で前記毛髪切断ヘッドの使用中に、前記皮膚接触領域の側方領域を介してのみ前記ユーザの皮膚に向けて前記第2の光を放出する、毛髪切断ヘッド。
【請求項2】
前記皮膚接触領域の側方領域が、前記皮膚接触領域の外周により境界を定められる、請求項1に記載の毛髪切断ヘッド。
【請求項3】
少なくとも2つの毛髪切断ユニットを有し、
前記ヘッドハウジングが、前記毛髪切断ヘッドの使用中に前記ユーザの皮膚と接触する皮膚接触面を有し、
前記皮膚接触面は、個別の毛髪切断ユニットごとに、個別の毛髪切断ユニットを受け入れる個々の開口を有し、
前記皮膚接触領域の中央領域が、前記毛髪切断ユニット間の中央に配置される前記皮膚接触面の中央部分を有し、
前記皮膚接触領域の側方領域は、前記皮膚接触面の中央部分を完全に取り囲み、かつ各毛髪切断ユニットを少なくとも部分的に取り囲む前記皮膚接触面の側方部分を有し、
前記第1のセットの各光源が、前記毛髪切断ヘッドの使用中、前記ヘッドハウジングの皮膚接触面の中央部分を介してのみ、前記ユーザの皮膚に向けて前記第1の光を放出し、
前記第2のセットの各光源は、前記毛髪切断ヘッドの使用中、前記ヘッドハウジングの皮膚接触面の側方部分を介してのみ、前記ユーザの皮膚に向けて前記第2の光を放出する、請求項1又は2に記載の毛髪切断ヘッド。
【請求項4】
各毛髪切断ユニットが、毛髪進入開口を持つ環状の毛髪切断領域を備える外部切断部材と、前記外部切断部材により覆われ、前記外部切断部材に対して回転可能な内部切断部材とを有し、
前記ヘッドハウジングの皮膚接触面の中央部は、3つの毛髪切断ユニットの間の中央に配置され、
前記ヘッドハウジングの皮膚接触面の側方部分が、隣接する3対の毛髪切断ユニットの個別の対の毛髪切断ユニットの間にそれぞれ配置される3つの側方サブ部分を有し、
前記第2のセットは、前記皮膚接触面の側方部分の3つの側方サブ部分の個別の1つに対して、前記個別の側方サブ部分を介してのみ、前記ユーザの皮膚に向かって前記第2の光を放出する少なくとも1つの光源を有する、請求項3記載の毛髪切断ヘッド。
【請求項5】
前記第1の光が、主に400~480nmの範囲の波長を持つ、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の毛髪切断ヘッド。
【請求項6】
前記第2の光が、主に600~700nmの範囲の波長を持つ、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の毛髪切断ヘッド。
【請求項7】
前記毛髪切断ヘッドの使用中に、前記毛髪切断ヘッドの皮膚接触領域の少なくとも一領域と前記ユーザの皮膚との接触を検出する皮膚接触センサと、
前記皮膚接触センサにより生成される出力信号が前記ユーザの皮膚との接触がないことを示すとき、少なくとも前記第1のセットの各光源が前記第1の光を放出することが防止されるよう、前記照明モジュールを制御するコントローラとを有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の毛髪切断ヘッド。
【請求項8】
前記皮膚接触センサが、前記皮膚接触領域の中央領域に配置される、請求項7に記載の毛髪切断ヘッド。
【請求項9】
前記毛髪切断ヘッドの使用中、前記ユーザの皮膚に対する前記毛髪切断ヘッドの動きを検出する運動センサと、
前記運動センサにより生成される出力信号が、前記ユーザの皮膚に対して、前記毛髪切断ヘッドの動きがないこと、又は所定の閾値速度未満の速度で前記毛髪切断ヘッドが動くことを示すとき、少なくとも前記第1のセットの各光源が前記第1の光を放出することが防止されるよう、前記照明モジュールを制御するコントローラとを有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の毛髪切断ヘッド。
【請求項10】
毛髪切断装置であって、ハンドル部と、前記ハンドル部に結合される毛髪切断ヘッドとを有し、前記毛髪切断ヘッドが、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の毛髪切断ヘッドである、毛髪切断装置。
【請求項11】
前記毛髪切断装置が、電気シェーバであり、
前記ハンドル部は、電気モータを収容する前記電気シェーバの主ハウジングを有し、
前記毛髪切断ヘッドが、シェービングユニットであり、
前記モータは、前記シェービングユニットが前記主ハウジングに結合されるとき、前記シェービングユニットの各毛髪切断ユニットを駆動する、請求項10に記載の毛髪切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪切断ヘッド及び毛髪切断装置に関し、特に、その中に光皮膚処理機能のための光源を持つタイプの装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、毛髪切断装置、特に皮膚に近い位置で毛が切断されるシェービング動作等を行うよう設計される電気シェーバの分野に属する。一般に、電気シェーバは、1つ又は複数の毛髪切断ユニットが配置されるシェービングユニット又はシェーバーヘッドを有し、シェービングユニットは、1つ又は複数の毛髪切断ユニットを支持する目的でベース部材を有する。シェービングユニットの特に一般的なデザインは、三角形に配置された3つの毛髪切断ユニットを使用する。電気シェーバは、シェービングユニットの他に本体を有する。本体は通常、シェーバのユーザにより保持されるのに適した形状であり、電気モータなどのシェーバの様々な要素を収容することができる。
【0003】
シェービングユニットの各毛髪切断ユニットは、内部切断部材と、内部切断部材を覆うよう構成される外部切断部材との組み合わせを有する。外部切断部材は、シェービング動作中に毛髪が外部切断部材を通って内部切断部材と遭遇することを可能にする一連の毛髪進入開口を具備する。実用的な設計では、外部切断部材は一般にカップ状であり、実質的に円形の外周を持ち、ここで、毛髪進入開口は、1つ又は複数の毛髪切断軌道を構成する1つ又は複数の環状領域において、外部切断部材の中心軸に対して実質的に放射状に延びる細長いスリットのような形状にされることができる。斯かる外部切断部材は、回転式の電気シェーバ、即ち、内部切断部材が作動中に回転するよう構成される少なくとも1つの毛髪切断ユニットを含む電気シェーバで使用されるのに特に適している。
【0004】
電気シェーバの適切な使用は、シェーバを作動状態、即ち、少なくとも1つの毛髪切断ユニットの内部切断部材が回転される状態にし、シェービング作用を受けるべき皮膚の部分の上でシェービングユニットを動かすことを含む。外部切断部材は、毛切断動作中に1つ又は複数の毛髪切断軌道の位置で皮膚の部分に接触するための毛髪切断軌道面を持つ。毛髪進入開口が区切られる位置には、毛髪切断面が外部切断部材において存在する。一般的な設計では、内部切断部材は、毛切断エッジを持つ刃を含む。シェービング動作の際、毛髪侵入口に入る毛髪は毛髪切断面と毛切断エッジとの間でせん断され、その結果、皮膚に近い位置で切断される。
【0005】
光は、皮膚に適用されるとき、治療又はセラピー効果のために使用されることができることが知られる。
【0006】
例えば、青色光はニキビを改善する効果がある。プロピオニバクテリウムアクネス及び尋常性ざ瘡は共に、コプロポルフィリンの分泌を誘導する。コプロポルフィリンによる青色光の吸収は、反応性フリーラジカル及び一重項酸素の産生をもたらし、最終的には細菌の破壊をもたらす。これは、ニキビ治療に効果的である。この効果は、図1に示され、これは、プロピオニバクテリウムアクネスの吸収帯域(同様の帯域は尋常性ざ瘡にも関係するが)のグラフを示す。
【0007】
更なる例によれば、赤色光は抗炎症作用を持ち、傷の回復を促す。
【0008】
更に、赤色光及び青色光の組み合わせは、相乗効果を持つ。多くの臨床試験は、青色光及び赤色光がそれぞれ持つ抗菌作用と抗炎症作用との間の相乗効果により、青色光及び赤色光の混合光が持つニキビ治療に対する優れた効果を確認する。この点に関して、P.Papageorgiouらによる論文、British Journal of Dermatology, 142, p.973-978 (2000)、及びS. Y.Leeらによる論文、Lasers in Surgery and Medicine 39, p.180-188 (2007)を特に参照されたい。いくつかのアプリケーションは、青色光及び赤色光の特定の組み合わせ/比率を必要とする。これらは、尋常性ざ瘡の処置において、順次又は同時に使用されることができる。別の関連考慮点は、異なる波長の皮膚への浸透深度である。青い光は表面で吸収され、赤い光はより深いレベルで吸収される。
【0009】
赤色光及び青色光は単なる2つの例である。他の光の色又は波長帯が、有用な治療効果を持つこともできる。例えば、紫色光は、尋常性ざ瘡、湿疹及び乾癬の治療に効果を持ち、創傷治癒を促進することが示される。近赤外光は、微小循環の改善、セルライトの減少、創傷治癒の促進、表面細菌感染の対処、痛みの緩和、及び他のさまざまな有益な効果に有効であることが示される。UV光は、湿疹及び乾癬の対処に効果を持つことが示される。赤外光は、例えば皮膚の治癒及び皮膚の保温に役立つ。これらは、異なる色の光が、有益な効果のさまざまな組み合わせを提供するのに使用されることができる事実を説明するための、ほんの一部の非限定的な選択を表す。
【0010】
シェービング中に有益な光学的治療効果を同時に得るために、照明要素をシェーバ装置に一体化することは知られる。電気シェーバのシェービングユニットにニキビ治療のために赤色LED及び青色LEDの両方を一体化することは、例えばWO2008/052151A2に開示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、特許請求の範囲により規定される。シェービング装置への光治療の一体化はそれ自体は知られるが、これまでのところ、あまり開拓されていない開発領域である。日常的に使用する実用的な製品では、考慮しなければならない多くの考慮要素が存在する。特に、シェーバのような顔面グルーミング装置の場合、照明ユニットの一体化が、目の安全性の慎重な検討を必要とすることが、本発明の発明者らにより認識される。これは、この技術を抽象的に考える場合、及び本発明者らにより行われた現実世界での実用的な実験がない場合には、直ちに明らかな考慮点ではない。
【0012】
更なる背景として、業界標準IEC62471は、ランプ及びランプシステムの光生物学的安全性に関する。これは、照明装置に関する目の安全に関する規範を説明する。
【0013】
図2は、網膜青色光ハザードB(λ)(8行目)と網膜焼けハザードR(λ)(6行目)を波長の関数として表す、この規格のグラフ(37ページ)の複製を示す。このグラフ表現から、400~500nmの波長範囲の光は、有意に高い青色光網膜ハザード関数B(λ)、及び有意に高い網膜焼けハザード関数R(λ)を持つことが推測されることができる。
【0014】
従って、光出力に関連して目の安全性を考慮する場合、関係する光の周波数範囲に基づき、ユーザの目の保護の重要性が異なることが本発明者らにより認識される。500nmを超える波長の光よりも、400~500nmの波長の光から目を保護することが重要である。
【0015】
本発明者らは従って、より有害な光範囲からユーザを保護する効率的な手段を探し求めた。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様による例によれば、毛髪切断装置用の毛髪切断ヘッドが提供される。毛髪切断ヘッドは、少なくとも1つの毛髪切断ユニットと照明モジュールとを収容するヘッドハウジングを有する。毛髪切断ヘッドは、毛髪切断ヘッドの使用中に毛髪切断ヘッドがユーザの皮膚と接触する皮膚接触領域を更に有する。皮膚接触領域は中央領域を持ち、更に側方領域を持つ。側方領域は好ましくは、中央領域を完全に取り囲む。
【0017】
照明モジュールは、少なくとも1つの光源の第1のセットを有する。少なくとも1つの光源の第1のセットの各光源は、主に400~500nmの範囲の波長を持つ第1の光を放出するよう構成される。
【0018】
照明モジュールは更に、少なくとも1つの光源の第2セットを含む。少なくとも1つの光源の第2のセットの各光源は、主に500nmを超える範囲の波長を持つ第2の光を放出するよう構成される。
【0019】
光源の第1のセットの各光源は、皮膚接触領域がユーザの皮膚に接触している状態で毛髪切断ヘッドの使用中に、皮膚接触領域の中央領域のみを介してユーザの皮膚に向かって第1の光を放射するよう構成される。
【0020】
第2セットの各光源は、皮膚接触領域がユーザの皮膚に接触している状態で毛髪切断ヘッドの使用中に、皮膚接触領域の側方領域を介してのみユーザの皮膚に向けて第2の光を照射するよう構成される。
【0021】
特許請求の範囲に記載される発明に基づき本発明者らが提案する解決策は、光源の第1及び第2のセットの位置を、それらの優勢な光出力波長に基づき注意深く選択することであり、その結果、目に有害な光源は毛髪切断ヘッドに対して中央に配置され、有害でない光源は毛髪切断ヘッドに対して周辺に配置される。より目に有害な光源をより中央に配置することにより、これは、毛髪切断装置の通常の使用において、毛髪切断ヘッドが毛髪を切断するために皮膚に対して置かれる状態で、中央に配置された光源が、接触される皮膚によりより完全に覆われる構成を達成することを目的とする。そのため、皮膚は光シールドとして機能し、その結果、関連する光源がより周辺に配置される場合よりも、光がユーザの目に逃げる可能性が低くなる。
【0022】
「毛髪切断ヘッド」という用語は、毛髪を切断するためにユーザの皮膚と係合する、毛髪切断装置の一部を意味する。それは、皮膚とインターフェースする部分である。それは、毛髪切断装置の本体部分(又はハンドル部分)と分離可能若しくは取り外し可能に結合されることができ、又は毛髪切断装置の一体部分(即ち、そこから分離不可能)とすることができる。
【0023】
前述の「毛髪切断ユニット」は、ヘッドが装着された状態の毛髪切断装置の作動中に、実際に毛髪を切断する毛髪切断ヘッドの部分である。
【0024】
前述の「皮膚接触領域」は、髪を切るための通常の使用中に皮膚に適用できるよう設計される、毛髪切断ヘッドの露出した外側の領域を指す。本文脈における皮膚接触領域は、実際に毛髪を切断する毛髪切断ユニットを包含する。従って、皮膚接触領域の前述の中央領域及び側方領域は、毛髪切断ユニットの露出した皮膚接触面の一部又は全部を包含することができる。光源は、いくつかの実施形態ではオプションで(全てにおいて必要というわけではないが)、毛髪切断ユニットの少なくとも1つの少なくとも一部を介して光を放出するよう構成され得る。
【0025】
第1の光及び第2の光のそれぞれは、個別の光周波数又は波長スペクトル(即ち発光スペクトル)を持つものとして理解されることができる。第1の光が400~500nmの範囲の波長を主に持つという言及は、第1の光の発光スペクトルが、第1の光の光パワーの大部分が400~500nmの範囲の波長成分により提供されるようなものであることを意味する。同様に、500nmを超える範囲の波長を主に持つ第2の光への言及は、第2の光の発光スペクトルが、第2の光の光パワーの大部分が500nmを超える範囲の波長成分により提供されるようなものであることを意味する。
【0026】
上記に加えて、本発明及びその実施形態を参照して本書に記載される各波長範囲に関連して、「主に/優勢に」という用語は、第1の光及び第2の光のそれぞれの光パワーの少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%が、個別に規定される波長範囲内の波長成分により提供されることを意味する。
【0027】
本発明は、前述した電気シェーバのような電気的に駆動される毛髪切断機能を持つ毛髪切断装置、及び例えば刃カートリッジ内に静止配置された非駆動カミソリ刀を持つ他のタイプの毛髪切断装置(いわゆる湿式用刃カミソリ)をカバーする。刃カミソリなどの斯かる代替的な毛髪切断装置では、同様に、第1のセットの各光源は、ヘッドハウジング、例えば刃カートリッジの皮膚接触面の中央部分を介してのみ第1の光を放出するよう構成され、第2セットの各光源は、ヘッドハウジングの皮膚接触面の側方部分を介してのみ第2の光を放出するよう構成される。
【0028】
いくつかの実施形態では、皮膚接触領域の側方領域は、皮膚接触領域の外周により境界を定められる。言い換えると、側方領域は、皮膚接触領域の周縁から最も外側の領域である。
【0029】
より具体的には、皮膚接触領域の側方領域は、毛髪切断ヘッドの外周により境界を定められることができる。言い換えると、側方領域は、毛髪切断ヘッドの周縁から最も外側の領域である。
【0030】
中央領域は、例えば皮膚接触領域の周囲に対して、及び/又は毛髪切断ヘッドの周囲に対して、皮膚接触領域の少なくとも中央点を包含する領域を意味する。
【0031】
いくつかの実施形態では、毛髪切断ヘッドは、少なくとも2つの毛髪切断ユニットを有する。
【0032】
ヘッドハウジングは、毛髪切断ヘッドの使用中にユーザの皮膚と接触するよう構成された皮膚接触面を有することができる。皮膚接触面は、個別の毛髪切断ユニットごとに、個別の毛髪切断ユニットを受容する個々の開口部を有することができる。
【0033】
言い換えると、この可能な配置における毛髪切断ヘッドの皮膚接触領域は、毛髪切断ユニットの皮膚接触面を有し、更に、毛髪切断ユニットの間及び/又は周囲に配置されたヘッドハウジングの皮膚接触面を有する。これを説明する別の方法は、皮膚接触領域が、毛髪切断ユニットを受ける開口部を画定するヘッドハウジングの皮膚接触面を有すると言うことである。
【0034】
この配置に従って、いくつかの実施形態では、毛髪切断ヘッドの皮膚接触領域の前述の中央領域は、毛髪切断ユニット間の中央に配置されたヘッドハウジングの皮膚接触面の中央部分を有することができる。毛髪切断ヘッドの皮膚接触領域の側方領域は、ヘッドハウジングの皮膚接触面の中央部分を完全に取り囲み、毛髪切断ユニットの各々を少なくとも部分的に取り囲む、ヘッドハウジングの皮膚接触面の側方部分を有することができる。
【0035】
光源の第1のセットの各光源は、毛髪切断ヘッドの使用中、ヘッドハウジングの皮膚接触面の中央部分を介してのみ、ユーザの皮膚に向けて第1の光を放出するよう構成され得る。第2セットの各光源は、毛髪切断ヘッドの使用中、ヘッドハウジングの皮膚接触面の側方部分を介してのみ、ユーザの皮膚に向けて第2光を放出するよう構成され得る。従って、この特定のセットの実施形態では、ヘッドハウジングの皮膚接触面(の一部)を介してのみ第1及び第2の光の放出が行われる。
【0036】
いくつかの実施形態において、毛髪切断ヘッドは特に、隣接する毛髪切断ユニットの3対を形成する三角形状に配置された回転式の3つの毛髪切断ユニットを有する電気毛髪切断装置用である。この配置は、例えばシェーバ装置で知られる。
【0037】
各毛髪切断ユニットは、毛髪進入開口を持つ環状の毛髪切断領域を備える外部切断部材と、外部切断部材により覆われ、外部切断部材に対して回転可能な内部切断部材とを有することができる。ヘッドハウジングの皮膚接触面の(前述の)中央部分は、3つの毛髪切断ユニットの間の中央に配置されることができる。ヘッドハウジングの皮膚接触面の(前述の)側方部分は、3対の隣接する毛髪切断ユニットの個別の対の毛髪切断ユニットの間にそれぞれ配置される3つの側方部分部分を有し得る。光源の第2のセットは、皮膚接触面の側方部分の3つの側方サブ部分の個別の1つに対して、上記個別の側方サブ部分を介してのみユーザの皮膚に向かって第2の光を放出するよう構成される少なくとも1つの光源を有し得る。この配置の構造及び形状が、添付図面を参照して、本書の後半で明らかになる。
【0038】
1つ又は複数の実施形態によれば、第1の光は、400~480nmの範囲の波長を主に持つことができる。この波長範囲はより正確には、ニキビに関連して治療効果を持つことが知られる種類の青色光をカバーする。
【0039】
1つ又は複数の実施形態によれば、第2の光は、600~700nmの範囲の波長を主に持つことができる。この波長範囲はより正確には、抗炎症作用を持つことが知られる種類の赤色光をカバーする。
【0040】
本装置の目の安全性を更に高めるために、いくつかの実施形態によれば、毛髪切断ヘッドが実際に皮膚に接触しているとき、及び/又は毛髪切断ヘッドが動いているときを検出するため、1つ又は複数のセンサ手段が導入されることができる。光の活性化は、センサ出力に基づき動的に制御されることができる。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、毛髪切断ヘッドは、毛髪切断ヘッドの使用中に、毛髪切断ヘッドの皮膚接触領域の少なくとも一領域とユーザの皮膚との接触を検出するよう構成及び配置された皮膚接触センサを含むことができる。コントローラが更に提供され、皮膚接触センサにより生成された出力信号がユーザの皮膚との接触がないことを示すとき、光源の第1のセットの少なくとも各光源が第1の光を発することが防止されるように、照明モジュールを制御するよう構成され得る。従って、少なくとも、皮膚接触領域が皮膚と接触していないとき、即ち、光源の第1のセットが皮膚との接触によりユーザの目から遮蔽されていないときに、より目に有害な範囲の光が放出されることが防止される。
【0042】
皮膚接触センサは、いくつかの例では、毛髪切断ヘッドの皮膚接触領域の中央領域に配置されることができる。こうして、センサ出力はより具体的に、光源の第1のセットの、より目に有害な第1の光が照射される皮膚接触領域の領域の接触を示す。
【0043】
追加的又は代替的に、少なくとも一組の実施形態において、毛髪切断ヘッドは、毛髪切断ヘッドの使用中に、ユーザの皮膚に対する毛髪切断ヘッドの動きを検出するよう構成及び配置された運動センサを有する。コントローラが更に提供されてもよく、これは、ユーザの皮膚に対して、毛髪切断ヘッドの運動がないこと、又は所定の閾値速度未満の速度で毛髪切断ヘッドが運動することを、運動センサにより生成された出力信号が示す場合に、第1のセットの少なくとも各光源が第1の光を発することを防止されるように、照明モジュールを制御するよう構成される。これは、皮膚の光への過剰露出を避け、安全性を更に高める。例えば、ユーザが毛髪切断ヘッドを皮膚上の静止位置に保持する場合、又はユーザが毛髪切断ヘッドをあまりにも低速で動かすとき、過剰露出が起こる場合がある。
【0044】
更に、運動センサは、第1セットの目に悪い光源が作動される作動中の時間期間を更に制限することにより、目の安全性も高める。特に、作動期間は、毛髪切断ヘッドが皮膚を横切っているとき、即ち、毛髪を切断するために装置が積極的に係合されるときのみに制限される。光の治療効果が必要とされる、又は有利に働くのは、主にこれらの期間だけである。
【0045】
いくつかの例では、異なる速度で同じレベルの光露出を得るよう、光源の光強度は測定速度の関数として制御されることができる。
【0046】
本発明の別の態様は、ハンドル部分と、ハンドル部分に結合される毛髪切断ヘッドとを有する毛髪切断装置である。毛髪切断ヘッドは、本開示に記載される任意の実施形態若しくは実施例による、又は本願の任意の請求項による毛髪切断ヘッドである。
【0047】
いくつかの実施形態では、毛髪切断装置は電気シェーバである。しかしながら、前述したように、これは必須ではない。
【0048】
いくつかの実施形態において、ハンドル部分は、電気モータを収容する電気シェーバの主ハウジングを有する。毛髪切断ヘッドは、シェービングユニットであってもよい。電気モータは、シェービングユニットが主ハウジングに結合されるときに、シェービングユニットの各毛髪切断ユニットを駆動するよう構成及び配置され得る。
【0049】
本発明のこれら及び他の側面が、以下に記載される実施形態から明らかとなり、実施形態を参照して説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】異なる波長の光の吸収プロファイルを示す図である。
図2】2つの異なる色の光に対する網膜ハザードのスペクトル重み付け関数を示す図である。
図3】本発明の少なくとも一実施形態による例示的な毛髪切断装置及び例示的な毛髪切断ヘッドを示す図である。
図4】本発明の1つ又は複数の実施形態による毛髪切断ヘッドを通る断面を概略的に示す図である。
図5】本発明の1つ又は複数の実施形態による、使用中の例示的な毛髪切断ヘッドを概略的に示す図である。
図6】本発明の1つ又は複数の実施形態による例示的な毛髪切断ヘッドにおける光源のレイアウトを示す図である。
図7】本発明の1つ又は複数の実施形態による例示的な毛髪切断ユニットの電気制御構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明の好適な理解のため、及びその実現方法をより明確に示すため、例示に過ぎない添付の図面が参照される。
【0052】
本発明が、図を参照して説明される。
【0053】
詳細な説明及び具体例は、本発明の例示的な実施形態を示すものの、説明のみを目的としており、本発明の範囲を限定するものとして意図されていない点を理解されたい。本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からより好適に理解されるであろう。図は単なる概略的なものであり、縮尺に合わせて描かれていないことを理解されたい。同一又は類似の部分を示すために図を通して同じ参照番号が使用される点も理解されたい。
【0054】
本発明は、異なる個別の波長帯域の光を主に放出するよう構成された2組の光源を持つ毛髪切断装置用の毛髪切断ヘッドを提供する。第1のセットは、主に400~500nmの波長帯の光を放出する。第2のセットは、主に500nm以上の波長帯の光を放出する。目の安全性を向上させるため、光源の第1のセットは、その光出力が、毛髪切断ヘッドの皮膚接触領域の中央領域を介してのみ、動作中にユーザの皮膚上に投影されるよう構成される。光源の第2のセットは、その光出力が、毛髪切断ヘッドの皮膚接触領域の周辺領域を介してのみ、動作中にユーザの皮膚に提供されるよう構成される。この配置は、光源の第1のセットの光が、通常の動作中に、毛髪切断ヘッドへの皮膚の接触により完全に遮蔽され、この光から目が保護される可能性を高めることを目的とする。
【0055】
一組の実施形態は、シェーバ装置用の毛髪切断ヘッドに関し、毛髪切断ヘッドは、シェーバーヘッドである。しかしながら、これは、本発明の概念が有用に適用され得る毛髪切断ヘッドのタイプの一例に過ぎない。シェーバ装置の文脈で特徴を記載する以下の説明において、同じ特徴が、他の任意のタイプの毛髪切断装置及び毛髪切断ヘッドにも適用され得ることを理解されたい。
【0056】
特定の一組の実施形態は、青色及び赤色LEDを組み込んだシェービングシステムに関し、LEDの空間的配置は、特に青色光に対して最適なユーザの目の安全性を提供するよう構成される。特に、青色光源は、シェービングヘッドの中央に埋め込まれ、赤色光源は、横方向に埋め込まれる。このシステムはオプションで、皮膚接触センサ及び/又は運動センサを特徴とし、少なくとも青色光、及び好ましくは赤色光が、これらのセンサからの入力を受け取る人工知能Alシステムなどのコントローラにより制御される。繰り返しになるが、これは、本発明の概念の有利な一実施形態を説明するものであり、本発明の概念のより広い範囲を制限するものではない。
【0057】
本発明の一態様は、毛髪切断ヘッド単体を提供する。本発明の別の態様は、物理的に分離可能な又は物理的に一体の部分として毛髪切断ヘッドを有する毛髪切断装置を提供する。
【0058】
次に、本発明の概念を具体化する一例の毛髪切断装置及び毛髪切断ヘッドが、例示のために詳細に説明される。
【0059】
図3は、毛髪切断装置100用の例示的な毛髪切断ヘッド10の視認可能な外観の第1の透視図を示す。この特定の例では、毛髪切断ヘッドはシェービングユニット10であり、毛髪切断装置は電気シェーバ100である。図示の例では、毛髪切断装置100は回転式の電気シェーバであり(しかしながら、これは必須ではない)、毛髪切断装置100のユーザにより保持されることを意図した本体110と、毛髪切断作用を受ける皮膚の部分に接触するように意図された毛髪切断ヘッド10とを有する。
【0060】
毛髪切断装置100の本体110は一般に、ハンドル部とも呼ばれる。毛髪切断ヘッド10を整備する及び/又は清掃する必要性、毛髪切断ヘッド10を別のタイプの機能ユニットと交換する必要性等の様々な理由から、毛髪切断ヘッド10が本体110に取り外し可能又はヒンジ式に取り付けられると実用的である。毛髪切断ヘッド10は、複数の毛髪切断ユニット12を収容するヘッドハウジング26を有し、その数は図示の例では3つである。図示の例では、毛髪切断ユニット12は、概ね三角形状に配置される。毛髪切断装置100が、毛切断動作を皮膚の部分に施す目的で適用されるとき、皮膚の部分から突出する毛を切断する実際の処理は、毛髪切断ユニット12の位置で行われる。
【0061】
毛髪切断ユニット12の各々は、概してカップ状の設計である外部切断部材120と、少なくとも1つの毛髪切断要素を備え、外部切断部材120の内部に少なくとも部分的に収容される内部切断部材(図示省略)との組み合わせを有する。外部切断部材120は、環状の切断軌道面に毛髪進入開口122を持つ。毛髪切断動作の間、毛髪進入開口122を通って外部切断部材120の内部に突出する毛髪は、内部切断部材の毛髪切断要素に遭遇するとすぐに切断される。内部切断部材が回転するように作動され、皮膚の一部が切断軌道面の位置で外部切断部材120により実際に接触されるとき、前述のような毛髪切断動作が実行されることができる。内部切断部材の作動は、本体110内に配置された電気モータ(図示省略)を有する毛髪切断装置100の駆動機構(図示省略)により既知の態様で行われることができる。本体110は、駆動機構を、オプションで、ローカル電源(例えばバッテリー)と共に収容することができる。内部切断部材が回転駆動されながら、外部切断部材120と内部切断部材との組み合わせが、皮膚の部分上を移動されるとき、皮膚の部分から突出する毛髪が外部切断部材120の毛髪進入開口122に捕捉され、回転する内部切断部材によりその位置で切断されることが達成される。
【0062】
本発明は、本書で前述したような異なるタイプの1つ又は複数の毛髪切断ユニット12を持つ毛髪切断装置及び毛髪切断ヘッドもカバーする点に留意されたい。特に、本発明は、外部切断部材に対して直線的に往復運動するよう構成された内部切断部材を備える毛髪切断ユニットを持つ毛髪切断装置及び毛髪切断ヘッドもカバーする。これらのタイプの毛髪切断装置は、例えばホイル型の外部切断部材を含む。
【0063】
毛髪切断ヘッド10の上面は、毛髪切断ヘッド10の皮膚接触面36を包含し、更に毛髪切断ユニット12の皮膚接触面を包含する皮膚接触領域54を有する。皮膚接触領域54は、毛髪切断ヘッド10の使用中にユーザの皮膚と接触するよう設計される。皮膚接触面36は、毛髪切断ヘッドの使用中にユーザの皮膚と接触するよう構成される。皮膚接触面36は、個別の毛髪切断ユニット12ごとに、個別の毛髪切断ユニット12を受け入れる個々の開口部を有する。これを説明する別の方法は、皮膚接触領域54が、各毛髪切断ユニット12が収容される開口部を画定する皮膚接触面36を有することである。皮膚接触面36は、各毛髪切断ユニット12を囲む。
【0064】
図3と組み合わせた図4の概略図を参照すると、皮膚接触領域54は、中央領域56と、中央領域56を完全に取り囲む側方領域58とを有する。皮膚接触領域54の側方領域58は、皮膚接触領域54の外周により囲まれている。より詳細には、それは、毛髪切断ヘッド10の周囲52により囲まれている。
【0065】
図4を参照すると、毛髪切断ヘッド10のヘッドハウジング26は更に、照明モジュール14を収容する。照明モジュール14は、複数の光源22、24を有する。光源は、1つ又は複数のLEDを有する。照明モジュール14の光源は、照明モジュールハウジングに含まれることができ、又は(図4に示すように)ヘッドハウジング26内に配された光源の集合体を単に有することができる。簡略化のため、図4は、毛髪切断ユニット12を示さず、ヘッドハウジング26に対する光源の中心位置及び側方位置のみを概略的に示す。
【0066】
図4(及び他の概略図面)では、光源22、24は、皮膚接触領域54とほぼ同一平面上に光出力面を持つものとして示されるが、実際には、光源は、その光出力面が皮膚接触領域54から垂直方向に間隔を空けるよう構成されてもよいことに留意されたい。これは、皮膚に集中的な光のホットスポットができることを回避し、代わりに、より均一な、又は均等な光の広がりを皮膚に提供するのに役立つ。例えば、光源は、皮膚接触領域54から所定の垂直間隔でヘッドハウジング26内に取り付けられることができる。追加的に、より均一な照明を提供するのに役立つよう、光源22、24と皮膚接触領域との間に拡散要素(図示省略)が配置されることができる。
【0067】
示されるように、照明モジュール14は、1つ又は複数の光源22の第1のセットと、1つ又は複数の光源24の第2のセットとを有する。各セットは最低でも、少なくとも1つの個別の光源を有する。
【0068】
光源の第1のセットの各光源22は、主に400~500nmの範囲の波長を持つ第1の光を放出するよう構成される。
【0069】
光源の第2のセットの各光源24a、24bは、主に500nmを超える範囲の波長を持つ第2の光を放出するよう構成される。
【0070】
光源の第1のセット22は、1つの光源22のみを有するものとして示されるが、それは代わりに、複数の光源を有することができる。光源の第2のセット24a、24bは、2つの光源24a、24bを有するものとして示されるが、それは代わりに、2つ以上又は2つ未満の光源を有してもよい。
【0071】
第1のセットの各光源22は、皮膚接触領域54がユーザの皮膚に接触している状態で毛髪切断ヘッド10の使用中に、皮膚接触領域54の中央領域56を介してのみユーザの皮膚に向かって第1の光を放出するよう構成される。第2のセットの各光源24a、24bは、皮膚接触領域54がユーザの皮膚に接触している状態で毛髪切断ヘッド10の使用中に、皮膚接触領域の側方領域58を介してのみユーザの皮膚に向けて第2の光を放出するよう構成される。
【0072】
これは更に、図5に概略的に示され、この図は、ユーザの皮膚23に接触している毛髪切断ヘッド10を示す。ここでも簡単さのため、毛髪切断ユニット12は図示していない。前述したように、皮膚接触領域54は、毛髪切断ユニット12の露出した動作面を囲むヘッドハウジング26の皮膚接触面36を有する。光源22、24は、皮膚接触領域54の個別の部分を介して個別の光出力を皮膚に提供するよう配置される。
【0073】
特に、先に言及した皮膚接触領域54の中央領域56は、毛髪切断ユニット12の間の中央に配置されるヘッドハウジング26の皮膚接触面36の中央部分を有する。皮膚接触領域54の側方領域58は、ヘッドハウジング20の皮膚接触面36の側方部分を有し、これは、皮膚接触面36の中央部分を完全に取り囲み、かつ各毛髪切断ユニット12を少なくとも部分的に取り囲む。第1のセットの各光源22は、毛髪切断ヘッド10の使用中、ヘッドハウジング26の皮膚接触面36の中央部分を介してのみ、ユーザの皮膚23に向けて第1の光62を照射するよう構成される。第2のセットの各光源24a、24bは、毛髪切断ヘッドの使用中、ヘッドハウジング26の皮膚接触面36の側方部分を介してのみ、ユーザの皮膚23に向けて第2の光64を照射するよう構成される。第1の光62は、皮膚接触面36のより中心的な位置で皮膚23に照射されることにより、皮膚の上方の領域、及び潜在的にはユーザの目に逃げることに抗うよう、皮膚により一層好適に遮蔽される。
【0074】
図4及び図5を参照して上述した構造が、図6により明確に示される。これは、特に、隣接する毛髪切断ユニット12の3対を形成する三角形状に配置された回転式の3つの毛髪切断ユニット12を有する電気毛髪切断装置用の毛髪切断ヘッド10を示す。
【0075】
図1を参照して前述したように、各毛髪切断ユニット12は、毛髪進入開口を持つ環状の毛髪切断領域を備える外部切断部材と、外部切断部材により覆われ、外部切断部材に対して回転可能な内部切断部材とを有する。
【0076】
図6には、皮膚接触領域54の中央領域56と、皮膚接触領域54の側方領域58とが示される。側方領域58は、中央領域56を完全に取り囲む。側方領域は、実質的に三角形状の領域を構成する。
【0077】
皮膚接触面36は、3つの毛髪切断ユニット12を取り囲み、その間に延びる面である。
【0078】
先に言及した皮膚接触領域54の中央領域56は、毛髪切断ユニット12間の中央に配置される皮膚接触面36の中央部分38を包含する。先に言及した皮膚接触領域の側方領域58は、皮膚接触面の側方部分39を包含し、これは、皮膚接触面36の中央部分38を完全に取り囲み、かつ各毛髪切断ユニット12を少なくとも部分的に取り囲む。
【0079】
ヘッドハウジング26の皮膚接触面36の中央部分38は、3つの毛髪切断ユニット12の間の中央に配置される。第1のセットの光源22は、毛髪切断ヘッド10の使用中、皮膚接触面36の中央部分38を介してのみ、ユーザの皮膚に向けて第1の光を放出するよう構成される。
【0080】
ヘッドハウジング26の皮膚接触面36の側方部分39は、図6に示すように、隣接する3対の毛髪切断ユニット12の個別の対の毛髪切断ユニット12の間に個別に配置される3つの側方サブ部分39a、39b、39cを有する。
【0081】
光源の第2のセット24は、皮膚接触面36の側方部分39の3つの側方サブ部分39a、39b、39cの個別の1つに対して、上記個別の側方サブ部分39a、39b、39cを介してのみ、ユーザの皮膚に向かって第2の光を放出するよう構成された少なくとも1つの光源24a、24b、24cを有する。
【0082】
3つの回転式毛髪切断ユニット12を有する上述の毛髪切断ヘッド10は、本発明の概念を具体化し得る装置の単なる1つの可能な例として提示されることに留意されたい。より一般的には、本発明の概念は、毛髪切断ヘッド内の毛髪切断ユニットの特定の構造又は配置に限定されるものではない。例えば、3つ以上の毛髪切断ユニット又は3つ未満の毛髪切断ユニットを有する回転式シェーバも包含される。更に、回転式ではなくホイル式のシェーバ装置も包含される。例えば、更なる一組の実施形態によれば、毛髪切断ヘッドは、2つの毛髪切断ユニットを有することができ、各々が、長手方向に延在し且つ毛髪進入開口を持つフォイルタイプの外部切断部材と、長手方向において外部切断部材に対して直線的に往復運動するよう構成された内部切断部材とを備える。斯かるシェーバでは例えば、光源の第1のセット22は、中央領域に面する2つの毛髪切断ユニットの各々の第1の長手方向の側面に沿って、2つの毛髪切断ユニットの間の(長手方向の)中央領域に配置され得、光源24の第2のセットは、第1の長手方向側面とは反対側の2つの毛髪切断ユニットの各々の第2の長手方向側面に沿って配置され得る。
【0083】
有利な一組の実施形態によれば、光源の第1のセット22は青色光を放出するよう構成させることができ、光源24の第2のセットは赤色光を放出するよう構成されることができる。この点に関して、光源の第1のセット22の第1の光62は、主に400~480nmの範囲の波長を持つことができる。
【0084】
光源24の第2のセットの第2の光64は、主に600~700nmの範囲の波長を持つことができる。
【0085】
従って、このセットの実施形態によれば、青色光源は毛髪切断ヘッド10の中央に埋め込まれ、赤色光源は毛髪切断ヘッド10の横方向に埋め込まれる。青色光は皮膚の第1層に吸収され、皮膚層の深部には散乱しない。そのため、青色LEDを中央に配置することが、目の安全性を向上させる。
【0086】
光源の第1のセット22の光出力と光源の第2のセット24の光出力を空間的に区別することに加えて、少なくとも光源の第1のセット22の光出力が、少なくとも1組の実施形態に基づき時間的に調節されることができる。
【0087】
特に、図7を参照すると、毛髪切断ヘッド10の皮膚接触領域54がユーザの皮膚に接触しているかどうかを検出するため、及び/又はユーザの皮膚に対する毛髪切断ヘッド10の動きを検出するために、毛髪切断ヘッド10は皮膚接触センサ82及び/又は運動センサ84を有することができる。図7に概略的に示されるように、皮膚接触センサ82及び運動センサ84は、光源の第1のセット22の位置に近い位置で、毛髪切断ヘッド10内に配置されることができる。
【0088】
図7を参照して、いくつかの実施形態によれば、毛髪切断ヘッド10は、毛髪切断ヘッドの使用中に、毛髪切断ヘッド10の皮膚接触領域54の少なくとも一領域とユーザの皮膚との接触を検出するよう構成及び配置された皮膚接触センサ82を有することができる。皮膚接触センサ82は、ヘッドハウジング26の皮膚接触面36と機械的又は容量的に結合される感知部を持つことができる。他の例では、皮膚接触センサ82は、毛髪切断ユニット12の少なくとも1つと一体化され得る。その結果、毛髪切断ユニット12の皮膚への適用が、皮膚接触センサ82が皮膚接触を示すことをもたらす。
【0089】
皮膚接触センサ82と動作可能に結合されるコントローラ72が更に提供される。コントローラは、毛髪切断ヘッド10の一部として、例えばヘッドハウジング26に一体化されることができ、又はそれは、毛髪切断装置100の本体110に一体化されることができる(図3参照)。コントローラ72は、皮膚接触センサ82により生成される出力信号がユーザの皮膚との接触がないことを示すとき、光源の第1のセットの少なくとも各光源22が、第1の光を放出することが防止されるよう、照明モジュール14を制御するよう構成され得る。コントローラ72は、皮膚接触センサ82がユーザの皮膚との接触がないことを示すとき、第2の光を放出することが防止されるよう、光源の第2のセットの光源24a、24bを制御することもできる。示されるように、皮膚接触センサ82はこの例では、皮膚接触領域54の中央領域に配置されるが、これは必須ではない。
【0090】
オプションで、皮膚接触センサ82に加えて、又は代わりに、運動センサ84が毛髪切断ヘッド10に提供されることができる。運動センサ84は、毛髪切断ヘッド10の使用中に、ユーザの皮膚に対する毛髪切断ヘッド10の動きを検出するよう構成及び配置される。コントローラ72は、運動センサ84により生成される出力信号が、ユーザの皮膚に対して、毛髪切断ヘッド10の動きがないことを示すとき、又は所定の閾値速度未満の速度で毛髪切断ヘッド10が動くことを示すとき、光源の第1のセットの少なくとも各光源22が第1の光を放出することが防止されるよう、照明モジュール14を制御するよう構成され得る。オプションで、動きがないこと、又は閾値速度未満の速度で動くことを運動センサ84が検出するとき、光源の第2のセットの光源24a、24bが第2の光を放出することはプロセッサ72により防止されることもできる。
【0091】
いくつかの実施形態では、皮膚接触センサ82及び運動センサ84の両方が提供されることができる。斯かる実施形態では、皮膚接触が検出されないとき、又は皮膚に対する動きがない、若しくは所定の閾値速度以下の動きがあるとき、少なくとも光源の第1のセットが非活性になるよう制御される。運動センサ84の使用は、皮膚の特定の領域が、第1のセットの光源22の少なくとも第1の光に過剰に曝されることを回避する。
【0092】
コントローラに関して、これは、必要とされる様々な機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて様々な態様で実現されることができる。プロセッサは、必要とされる機能を実行するためソフトウェア(例えばマイクロコード)を使ってプログラムされることができる1つ又は複数のマイクロプロセッサを採用したコントローラの一例である。コントローラは、プロセッサを採用してもしなくてもよく、また、いくつかの機能を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、プログラムされた1つ又は複数のマイクロプロセッサ及び関連回路)との組み合わせとして実現されてもよい。
【0093】
本願の様々な実施形態で採用され得るコントローラ要素の例は、以下に限定されるものではないが、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む。
【0094】
様々な実現において、プロセッサ又はコントローラは、RAM、PROM、EPROM及びEEPROMなどの揮発性及び不揮発性コンピュータメモリなどの1つ又は複数の記憶媒体と関連付けられることができる。記憶媒体は、1つ又は複数のプロセッサ及び/又はコントローラで実行されるとき、必要とされる機能を実行する1つ又は複数のプログラムでエンコードされていてもよい。様々な記憶媒体は、プロセッサ若しくはコントローラ内に固定されていてよく、又はそこに格納される1つ若しくは複数のプログラムがプロセッサ若しくはコントローラにロードされることができるように、搬送可能であってもよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、コントローラは、上述の制御機能を実行するための人工知能アルゴリズムを有する場合がある。これは、例えば畳み込みニューラルネットワーク(CNN)といった機械学習アルゴリズムを有することができる。
【0096】
開示された実施形態への変形は、図、開示及び添付の請求項の検討から、請求項に記載された発明を実施する当業者により理解及び実施されることができる。特許請求の範囲において、「有する」という語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を除外するものではない。
【0097】
1つのプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載された複数の項目の機能を果たすことができる。
【0098】
ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【0099】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に格納/配布されることができるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介してなど、他の形態で配布されることもできる。
【0100】
特許請求の範囲又は明細書において、「~よう適合」という用語が使用される場合、「~よう適合」という用語は「~よう構成される」という用語と同等であることが意図される。
【0101】
特許請求の範囲に記載される任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7