(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】印刷処理プログラム、印刷装置、及び、印刷処理方法
(51)【国際特許分類】
B41J 3/36 20060101AFI20241018BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20241018BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20241018BHJP
B41J 5/30 20060101ALN20241018BHJP
【FI】
B41J3/36 T
B41J29/42 F
G06F3/12 305
G06F3/12 329
G06F3/12 351
G06F3/12 378
B41J5/30 Z
(21)【出願番号】P 2021125177
(22)【出願日】2021-07-30
【審査請求日】2024-07-02
(31)【優先権主張番号】P 2020129394
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 龍一
(72)【発明者】
【氏名】福井 智康
(72)【発明者】
【氏名】近藤 功一
(72)【発明者】
【氏名】南保 宏道
(72)【発明者】
【氏名】古橋 道彦
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-037029(JP,A)
【文献】特開2010-017937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00- 29/70
H04N 1/00
B41J 3/36
B41J 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1印字ラベル
の厚さ方向に第2印字ラベルを重ね貼りするための複数の印字ラベルを作成する端末装置の制御部に対し、
前記第1印字ラベルに印字される第1印字データと、前記第1印字データを印刷するための第1印字媒体を特定する第1媒体種情報と、を作成する第1データ生成手順と、
前記第2印字ラベルに印字される第2印字データと、前記第2印字データを印刷するための第2印字媒体を特定する第2媒体種情報と、を作成する第2データ生成手順と、
前記第1媒体種情報に関する第1表示画像と、前記第2媒体種情報に関する第2表示画像とを並べて表示部に表示する一覧表示手順と、
前記第1印字データを前記第1印字媒体に印刷させるための指示と、前記第2印字データを前記第2印字媒体に印刷させるための指示とを含む印刷指示をプリンタに送信する指示送信手順と、を実行さ
せることを特徴とする印刷処理プログラム。
【請求項2】
前記第2印字ラベルは、前記第1印字ラベルの印字面側から厚さ方向に重ね貼りするための印字ラベルであり、
前記一覧表示手順は、前記第2表示画像、前記第1表示画像の順に前記表示部に表示されることを特徴とする請求項1に記載の印刷処理プログラム。
【請求項3】
印字媒体を収納した媒体収納体を装着可能な装着手段と、互いに異なる種類の前記印字媒体を用いて所望の印字をそれぞれ行う印字手段と、を備える印刷装置に接続可能な端末装置に実行させる印刷処理プログラムであって、厚さ方向に重ね貼りされる複数の印字ラベルを前記印刷装置で作成するために、前記端末装置の制御部に対し、
印字ラベルごとに、当該印字ラベルに対応する前記印字媒体を収納する媒体収納体の収納体種類情報を生成するデータ生成手順と
、
前記端末装置の表示部において
、前記複数の印字ラベルにそれぞれ対応する複数の前記収納体種類情報を配列して一覧表示する一覧表示手順と、
を実行させるための印刷処理プログラム。
【請求項4】
前記制御部に対し、さらに、
前記複数の印字ラベルを重ね貼りするときの積層順を決定する順序決定手順を実行させ、
前記一覧表示手順は、前記順序決定手順で決定された前記積層順に合わせた並び順序で、前記複数の印字ラベルにそれぞれ対応する複数の前記収納体種類情報を配列して一覧表示する
ことを特徴とする請求項3に記載の印刷処理プログラム。
【請求項5】
前記制御部に対し、さらに、
前記一覧表示手順で前記表示部に一覧表示された前記複数の前記収納体種類情報のうち、次の順番で印刷が実行される前記媒体収納体の前記収納体種類情報の表示を、それ以外の収納体種類情報と区別可能に強調処理する強調処理手順を実行させる
ことを特徴とする請求項
3又は請求項4に記載の印刷処理プログラム。
【請求項6】
前記印字手段により前記複数の印字ラベルのうち最初の順番で印刷する第1印字ラベルの印刷が完了したら、前記強調処理手順において、前記第1印字ラベルの次の順番で印刷する第2印字ラベルに対応した前記媒体収納体の前記収納体種類情報の表示を強調処理する
ことを特徴とする請求項
5に記載の印刷処理プログラム。
【請求項7】
前記制御部に対し、さらに、
前記一覧表示手順で前記表示部に一覧表示された前記複数の前記収納体種類情報のうち、前記印字手段により前記印字ラベルの印刷が完了した前記媒体収納体の前記収納体種類情報の表示を、それ以外の収納体種類情報と区別可能に抑制処理する抑制処理手順を実行させる
ことを特徴とする請求項
5又は請求項
6に記載の印刷処理プログラム。
【請求項8】
前記印字手段により前記複数の印字ラベルのうち最初の順番で印刷する第1印字ラベルの印刷が完了したら、前記抑制処理手順において、当該第1印字ラベルに対応する前記媒体収納体の前記収納体種類情報の表示を抑制処理する
ことを特徴とする請求項
7に記載の印刷処理プログラム。
【請求項9】
前記端末装置は、操作部と、前記印刷装置に対し通信可能な通信部と、をさらに有し、
前記制御部に対し、さらに
前記印刷装置の前記装着手段に装着された前記媒体収納体の種類を表す前記収納体種類情報を、当該印刷装置から前記通信部を介し取得する情報取得手順と、
前記操作部を介した前記複数の印字ラベルの作成指示を受け付ける指示受付手順と、
前記指示受付手順で前記作成指示を受け付けた場合は、前記複数の印字ラベルのうち最初の順番で印刷する第1印字ラベルに対応した第1収納体種類情報と、前記情報取得手順で取得した前記収納体種類情報とが、適合しているか否かを判定する判定手順と、
前記判定手順で適合していると判定された場合は、前記複数の印字ラベルを前記印字手段によりそれぞれ印字形成する複数の印字データを前記印刷装置へ出力するデータ出力手順と、
を実行させることを特徴とする請求項
3乃至請求項
8のいずれか1項
に記載の印刷処理プログラム。
【請求項10】
印字媒体を収納した媒体収納体を交換可能に装着する装着手段と、
前記印字媒体を用いて所望の印字を行う印字手段と、
表示手段と、
制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、
印字データに基づき前記印字手段により印字を形成することにより、厚さ方向に重ね貼りされる複数の印字ラベルを順次作成する、ラベル作成処理と、
印字ラベルごとに、当該印字ラベルに対応する前記印字媒体を収納する前記媒体収納体の収納体種類情報を生成するデータ生成処理と
、
前記表示手段において
、前記複数の印字ラベルにそれぞれ対応する複数の前記収納体種類情報を配列して一覧表示する一覧表示処理と、
を実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
前記制御手段は、さらに、
前記複数の印字ラベルを重ね貼りするときの積層順を決定する順序決定処理を実行し、
前記一覧表示処理は、前記順序決定処理で決定された前記積層順に合わせた並び順序で、前記複数の印字ラベルにそれぞれ対応する複数の前記収納体種類情報を配列して一覧表示する
ことを特徴とする請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記制御手段は、さらに、
前記一覧表示処理で前記表示手段に一覧表示された前記複数の前記収納体種類情報のうち、次の順番で印刷が実行される前記媒体収納体の前記収納体種類情報の表示を、それ以外の収納体種類情報と区別可能に強調する強調処理を実行する
ことを特徴とする請求項
10又は請求項11に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記印字手段により前記複数の印字ラベルのうち最初の順番で印刷する第1印字ラベルの印刷が完了したら、前記強調処理において、前記第1印字ラベルの次の順番で印刷する第2印字ラベルに対応した前記媒体収納体の前記収納体種類情報の表示を強調する
ことを特徴とする請求項
12に記載の印刷装置。
【請求項14】
前記制御手段は、さらに、
前記一覧表示処理で前記表示手段に一覧表示された前記複数の前記収納体種類情報のうち、前記印字手段により前記印字ラベルの印刷が完了した前記媒体収納体の前記収納体種類情報の表示を、それ以外の収納体種類情報と区別可能に抑制する抑制処理を実行する
ことを特徴とする請求項
12又は請求項1
3に記載の印刷装置。
【請求項15】
前記印字手段により前記複数の印字ラベルのうち最初の順番で印刷する第1印字ラベルの印刷が完了したら、前記抑制処理において、当該第1印字ラベルに対応する前記媒体収納体の前記収納体種類情報の表示を抑制する
ことを特徴とする請求項1
4に記載の印刷装置。
【請求項16】
操作手段をさらに有し、
前記制御手段は、さらに
前記装着手段に装着された前記媒体収納体の種類を検出する情報検出処理と、
前記操作手段を介した前記複数の印字ラベルの作成指示を受け付ける指示受付処理と、 前記指示受付処理で前記作成指示を受け付けた場合は、前記複数の印字ラベルのうち最初の順番で印刷する第1印字ラベルに対応した第1収納体種類情報と、前記情報検出処理で検出した前記媒体収納体の種類とが、適合しているか否かを判定する判定処理と、
を実行し、
前記ラベル作成処理は、
前記判定処理で適合していると判定された場合に、実行される
ことを特徴とする請求項
10乃至請求項1
5のいずれか1項
に記載の印刷装置。
【請求項17】
前記制御手段は、さらに、
前記印字手段により、前記複数の印字ラベルのうち任意の一の印字ラベルの印刷が完了した後、当該一の印字ラベルの次の順番で印刷する他の印字ラベルに対応する前記媒体収納体が前記装着手段に装着されないまま所定時間が経過した場合に、装置電源をOFFとする電源処理を実行する
ことを特徴とする請求項
10乃至請求項1
6のいずれか1項
に記載の印刷装置。
【請求項18】
記憶手段をさらに有し、
前記制御手段は、さらに、
前記印字手段により前記複数の印字ラベルのうち任意の一の印字ラベルの印刷が完了した後にユーザが装置電源をOFFする場合、又は、前記印字手段により、前記複数の印字ラベルのうち任意の一の印字ラベルの印刷が完了した後、当該一の印字ラベルの次の順番で印刷する他の印字ラベルに対応する前記媒体収納体が前記装着手段に装着されないまま所定時間が経過し装置電源をOFFとする場合、前記複数の印字ラベルに係わる前記印字データ及び対応する前記収納体種類情報のうち、未印刷である印字ラベルに係わる前記印字データ及び対応する前記収納体種類情報を、前記記憶手段に記憶させる記憶処理を実行する
ことを特徴とする請求項
10乃至請求項1
7のいずれか1項
に記載の印刷装置。
【請求項19】
印字媒体を収納した媒体収納体を装着し、互いに異なる種類の前記印字媒体を用いて所望の印字をそれぞれ行い、厚さ方向に重ね貼りされる複数の印字ラベルを作成する印刷装置に接続可能な端末装置が実行する印刷処理方法であって、
印字ラベルごとに、当該印字ラベルに対応する前記印字媒体を収納する前記媒体収納体の収納体種類情報を生成するデータ生成手順と
、
前記端末装置の表示部に
、前記複数の印字ラベルにそれぞれ対応する複数の前記収納体種類情報を配列して一覧表示する一覧表示手順と、
を有することを特徴とする印刷処理方法。
【請求項20】
前記印刷処理方法は、さらに、
前記複数の印字ラベルを重ね貼りするときの積層順を決定する順序決定手順を有し、
前記一覧表示手順は、前記順序決定手順で決定された前記積層順に合わせた並び順序で、前記複数の印字ラベルにそれぞれ対応する複数の前記収納体種類情報を配列して一覧表示する
ことを特徴とする請求項19に記載の印刷処理方法。
【請求項21】
第1印字ラベル
の厚さ方向に第2印字ラベルを重ね貼りするための複数の印字ラベルを作成するラベル作成方法であって、
前記第1印字ラベルに印字される第1印字データと、前記第1印字データを印刷するための第1印字媒体を特定する第1媒体種情報と、を作成する第1データ生成手順と、
前記第2印字ラベルに印字される第2印字データと、前記第2印字データを印刷するための第2印字媒体を特定する第2媒体種情報と、を作成する第2データ生成手順と、
前記第1媒体種情報に関する第1表示画像と、前記第2媒体種情報に関する第2表示画像とを並べて表示部に表示する一覧表示手順と、
前記第1印字ラベルと前記第2印字ラベルとを作成するラベル作成手順と、
を有
することを特徴とするラベル作成方法。
【請求項22】
前記第2印字ラベルは、前記第1印字ラベルの印字面側から厚さ方向に重ね貼りするための印字ラベルであり、
前記一覧表示手順は、前記第2表示画像、前記第1表示画像の順に前記表示部に表示されることを特徴とする請求項21に記載のラベル作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚さ方向に重ね貼りされる複数の印字ラベルを作成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、互いに異なる種類の印刷用テープそれぞれに対し印字を行うことで、重ね貼りされて使用される複数の印字ラベルを作成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のように重ね貼り用の複数の印字ラベルを作成する場合、印字媒体を収納したテープカートリッジを順次交換しつつ印刷装置に装着することにより、複数のテープカートリッジそれぞれの印刷用テープに対し順次印字が行われる。そのため、上記複数の印字ラベルを作成するためには、予め、対応する複数のテープカートリッジをすべて用意しておく必要がある。しかしながら、作成の際、複数のテープカートリッジのうちどのテープカートリッジをどの順番で印刷装置に装着すればよいかわかりにくいという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、ユーザが、重ね貼りされる複数の印字ラベルの作成において、媒体の重ね貼り順を視覚的に容易に識別できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明の第1態様は、第1印字ラベルの印字面側から厚さ方向に第2印字ラベルを重ね貼りするための複数の印字ラベルを作成する端末装置の制御部に対し実行させる印刷処理プログラムであって、前記制御部に、前記第1印字ラベルに印字される第1印字データと、前記第1印字データを印刷するための第1印字媒体を特定する第1媒体種情報と、を作成する第1データ生成手順と、前記第2印字ラベルに印字される第2印字データと、前記第2印字データを印刷するための第2印字媒体を特定する第2媒体種情報と、を作成する第2データ生成手順と、前記第1媒体種情報に関する第1表示画像と、前記第2媒体種情報に関する第2表示画像とを並べて表示部に表示する一覧表示手順と、前記第1印字データを前記第1印字媒体に印刷させるための指示と、前記第2印字データを前記第2印字媒体に印刷させるための指示とを含む印刷指示をプリンタに送信する指示送信手順と、を実行させ、前記一覧表示手順は、前記第2表示画像、前記第1表示画像の順に前記表示部に表示されることを特徴とする。これにより、ユーザは、重ね貼りされる複数の印字ラベルと同様の順序で並んだ媒体種情報を確認することができる。
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明の第2態様は、印字媒体を収納した媒体収納体を装着可能な装着手段と、互いに異なる種類の前記印字媒体を用いて所望の印字をそれぞれ行う印字手段と、を備える印刷装置に接続可能な端末装置に実行させる印刷処理プログラムであって、厚さ方向に重ね貼りされる複数の印字ラベルを前記印刷装置で作成するために、前記端末装置の制御部に対し、印字ラベルごとに、当該印字ラベルに対応する前記印字媒体を収納する媒体収納体の収納体種類情報を生成するデータ生成手順と、前記複数の印字ラベルを重ね貼りするときの積層順を決定する順序決定手順と、前記端末装置の表示部において、前記順序決定手順で決定された前記積層順に合わせた並び順序で、前記複数の印字ラベルにそれぞれ対応する複数の前記収納体種類情報を配列して一覧表示する一覧表示手順と、を実行させる。
【0008】
第2態様においては、互いに異なる種類の印字媒体それぞれに対し印字が行われることで、重ね貼りされて使用される複数の印字ラベルが作成される。その際、本願発明は、端末装置の制御部により、データ生成手順と、順序決定手順と、一覧表示手順と、が実行される。まずデータ生成手順で、複数の印字ラベルそれぞれについて、対応する印字媒体を収納した媒体収納体の収納体種類情報が生成される。また、順序決定手順では、上記複数の印字ラベルを重ね貼りするときの積層順が決定される。
【0009】
そして、一覧表示手順では、端末装置の表示部において、上記のように生成された複数の収納体種類情報が、上記重ね貼りの積層順に合わせた順序で一覧表示される。これにより、ユーザは、重ね貼りされる複数の印字ラベルと同様の順序で並んだ各収納体種類情報を確認することができる。
【0010】
本発明の目的を達成するものであれば、印刷処理プログラムに限らず、印刷処理プログラムを実行する端末装置や、印刷装置、これら装置を含む印刷処理システムや、印刷処理方法等にも、適宜適用可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、重ね貼りされる複数の印字ラベルの作成において、媒体の重ね貼り順を視覚的に容易に識別できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態に係わる印刷システムの全体構成を模式的に表すシステム構成図である。
【
図2】操作端末及びラベルプリンタの機能的構成を表す機能ブロック図である。
【
図3】カートリッジ及びカートリッジホルダ近傍の詳細構造を表す模式図である。
【
図4】カートリッジの外観詳細構造を表す側面図及び斜視図である。
【
図5】3つの印字ラベルを重ね合わせて1つの印字ラベルとする例を表す説明図である。
【
図6】作成する印字ラベルと使用するカートリッジ種類との対応関係の一例を表す説明図、及び、印字ラベルの積層順に合わせてカートリッジ名を表示する一例を表す説明図である。
【
図7】推奨される作成順に基づきカートリッジ名の表示強調処理及び表示抑制処理がなされる一例の説明図である。
【
図8】作成する印字ラベルと使用するカートリッジ種類との対応関係の他の例を表す説明図、及び、印字ラベルの積層順に合わせてカートリッジ名を表示する他の例を表す説明図である。
【
図9】推奨される作成順に基づきカートリッジ名の表示強調処理及び表示抑制処理がなされる他の例の説明図である。
【
図10】貼り合わせの順序を表す案内表示の一例を表す説明図である。
【
図11】操作端末のCPUとラベルプリンタのCPUとが協働して実行する制御手順を表すシーケンス図である。
【
図12】事前に装着カートリッジの種類を取得しておく変形例において、操作端末のCPUとラベルプリンタのCPUとが協働して実行する制御手順を表すシーケンス図である。
【
図13】スタンドアローンタイプのラベルプリンタに本発明を適用した場合の変形例において、ラベルプリンタのCPUが実行する制御手順を表すフローチャートである。
【
図14】カートリッジが装着されるたびに装着カートリッジの種類を取得する場合の変形例において、操作端末のCPUが実行する制御手順を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
<システム全体構成>
本実施形態に係わる、印刷システム全体の構成を
図1に示す。
図1において、印刷システム1は、例えばスマートフォンで構成される操作端末2と、操作端末2に接続されたラベルプリンタ3と、を有している。操作端末2は、ラベルプリンタ3と相互に情報送受可能に接続されている。なお、操作端末2を、汎用パーソナルコンピュータ等により構成してもよい。ラベルプリンタ3は、操作端末2でのユーザの操作に基づき、印字ラベルLを作成する。なお、操作端末2が端末装置の一例であり、ラベルプリンタ3が印刷装置の一例である。またユーザが操作者の一例である。
【0015】
<操作端末>
操作端末2は、
図2に示すように、CPU11と、例えばRAM12aやROM12b等からなるメモリ12と、操作部13と、表示部14と、通信制御部15と、大容量記憶装置16と、を備えている。 なお、CPU11が制御部の一例であり、通信制御部15が通信部の一例である。
【0016】
操作部13は、ユーザからの指示や情報が入力される。表示部14は、各種情報やメッセージを表示する。なお、操作部13の機能と表示部14の機能とを併せ持つ、タッチパネルとして構成してもよい。通信制御部15は、ラベルプリンタ3との信号の授受の制御を行う。
【0017】
大容量記憶装置16は、各種のプログラムや情報を記憶する。メモリ12のROM12bには、CPU11に対し後述の
図11、
図12、
図13に示すフローチャートの各手順を実行させるための、本実施形態の印刷処理プログラムが記憶されている。なお、印刷処理プログラムは、大容量記憶装置16に記憶されていてもよい。なお、大容量記憶装置16は、本体メモリに限られず、SDメモリカード等の適宜の外部メモリでもよい。
【0018】
CPU11は、RAM12aの一時記憶機能を利用しつつROM12bや大容量記憶装置16に予め記憶されたプログラムに従って、各種の処理やラベルプリンタ3との間で各種の信号の送受を行う。
【0019】
<ラベルプリンタ>
ラベルプリンタ3は、
図2に示すように、制御回路21と、カートリッジ101を着脱可能なカートリッジホルダ22と、カートリッジホルダ22に設けられたカートリッジセンサ31と、通信制御部23と、表示部32と、を有する。制御回路21は、ROM21aと、RAM21bと、CPU21cと、を備える。カートリッジホルダ22はカートリッジ101を着脱可能に装着する。なお、カートリッジ101が媒体収納体の一例であり、カートリッジホルダ22が装着手段の一例である。またCPU21cが制御手段の一例であり、表示部32が表示手段の一例である。
【0020】
カートリッジセンサ31は機械的検出又は光学的・磁気的検出等、公知の適宜の手法により、カートリッジ101の種類を検出する。
【0021】
制御回路21は、ROM21aと、RAM21bと、CPU21cと、を備えている。
ラベルプリンタ3は、制御回路21が、通信制御部23を介して操作端末2の上記通信制御部15に接続されることにより、操作端末2と情報の送受が可能となっている。
【0022】
<カートリッジ及びカートリッジホルダ>
カートリッジ101及びカートリッジホルダ22近傍の詳細構造を
図3に示す。またカートリッジの外観詳細構造を
図4に示す。これら
図3及び
図4において、カートリッジ101は、筐体101Aと、第1ロール103と、第2ロール105と、リボン供給側ロール107と、リボン巻取りローラ108と、テープ送りローラ109と、を有する。
【0023】
筐体101Aには、適宜のラベル又はプレート等による、当該カートリッジ101の種類情報等が表記される情報表記部120が設けられている。なお、この情報表記部120の表記内容はラベルプリンタ3の筐体の適宜の個所に設けた視認窓3aを介し、ラベルプリンタ3の外部から視認可能となっている。
【0024】
第1ロール103は、筐体101Aに対し回転自在に支持されたスプール103Aの周りに、基材テープ102が巻回されている。基材テープ102は、例えば、第1ロール103の内側に巻かれる側よりその反対側へ向かって、貼り合わせ用の粘着剤層、基材層、貼り付け用の粘着剤層、剥離材層の順序で積層され構成されている。
【0025】
第2ロール105は、筐体101Aに対し回転自在に支持されたスプール105Aの周りに、上記基材テープ102と同じ幅である透明なカバーフィルム104が巻回されている。なお、第1ロール103と第2ロール105とは実際は渦巻き状であるが、図では簡略的に同心円状に示す。
【0026】
なお、カバーフィルム104及びインクリボン106が印字媒体の一例である。前述のようにカートリッジホルダ22に対しカートリッジ101が装着されることにより、間接的に、カバーフィルム104及び基材テープ102等がカートリッジホルダ22に装着される。
【0027】
リボン供給側ロール107は、インクリボン106を繰り出す。リボン巻取りローラ108は、印字後のインクリボン106を巻取る。但しカバーフィルム104が受熱により所定の色に発色可能な感熱テープである場合は、インクリボン106は不要である。
【0028】
テープ送りローラ109は、カートリッジ101のテープ排出部の近傍に回転可能に支持されている。テープ送りローラ109は、上記基材テープ102と上記カバーフィルム104とを押圧し接着させ印字ラベル用テープ110としつつ、テープ送りを行う。
【0029】
カートリッジホルダ22には、使用済みの上記インクリボン106を巻き取るためのリボン巻取りローラ駆動軸27と、上記印字ラベル用テープ110を搬送するためのテープ送りローラ駆動軸28と、が設けられている。このテープ送りローラ駆動軸28が搬送手段の一例である。前述のリボン巻取りローラ108及びテープ送りローラ109は、図示しない搬送ローラ用モータの駆動力が上記リボン巻取りローラ駆動軸27及び上記テープ送りローラ駆動軸28に伝達されることによって、連動して回転駆動される。
【0030】
またカートリッジホルダ22には、搬送されるカバーフィルム104に所望の印字を形成する印字ヘッド29が設けられている。なお、この印字ヘッド29が印字手段の一例である。
【0031】
印字ラベル用テープ110の搬送経路に沿ってテープ送りローラ109及び圧着ローラ24の下流側には、固定刃25と、固定刃25との協働により印字ラベル用テープ110を厚さ方向に切断する可動刃26と、が設けられている。
【0032】
<ラベルプリンタ動作概略>
上記構成のラベルプリンタ3において、カートリッジ101が上記カートリッジホルダ22に装着されると、カバーフィルム104及びインクリボン106が印字ヘッド29とこれに対向するプラテンローラ30との間に狭持される。基材テープ102及びカバーフィルム104は、テープ送りローラ109とこれに対向する圧着ローラ24との間に狭持される。リボン巻取りローラ108及びテープ送りローラ109が
図3中矢印B及び矢印Cで示す方向にそれぞれ同期して回転駆動されることにより、圧着ローラ24、及びプラテンローラ30が回転する。第1ロール103からは基材テープ102が繰り出され、テープ送りローラ109へ供給される。第2ロール105からはカバーフィルム104が繰り出されるとともに、図示しない印刷駆動回路により印字ヘッド29の複数の発熱素子が通電されることにより、カバーフィルム104に印字が印刷される。カバーフィルム104への印字が終了したインクリボン106は、リボン巻取りローラ駆動軸27の駆動によりリボン巻取りローラ108に巻取られる。
【0033】
基材テープ102と印刷が終了したカバーフィルム104とが上記テープ送りローラ109及び圧着ローラ24により接着されて一体化されることにより、印字ラベル用テープ110が形成され、カートリッジ101外へと搬出される。カートリッジ101外へ搬出された印字ラベル用テープ110は、固定刃25及び可動刃26の協働によって切断され、印字ラベルLが生成される。
【0034】
<重ね貼りラベル>
本実施形態においては、ラベルプリンタ3によりそれぞれ作成された、互いに異なる複数の、この例では3つの印字ラベルLが互いに厚さ方向に重ね合わされて貼り合わされ、さらにその状態で貼り付け対象に貼り付けられる。すなわち、本実施形態では、ラベルプリンタ3において、互いに異なる種類のカートリッジ101が順次交換されてカートリッジホルダ22に装着されることにより、上記のように重ね合わせられる、互いに異なる複数の印字ラベルLがそれぞれ作成される。このとき、例えば互いに異なる色の印字ラベル用テープ110を収納する複数種類のカートリッジ101を使い分けることで、互いに異なるテープ色となる印字ラベルLを作成することができる。なお、このときの印字ラベルLの色、すなわち印字ラベル用テープ110のテープ色が、媒体色の一例である。また同様に、互いに異なる色のインクリボン106を備えた複数種類のカートリッジ101を使い分けることで、上記印字オブジェクトを印字形成するときの印字色を種々変えつつ印字ラベルLを作成することもできる。なお、インクリボン106が異なれば、カバーフィルム104及び基材テープ102のうち少なくとも一方については共通のものを用いてもよい。また基材テープ102が異なれば、カバーフィルム104及びインクリボン106のうち少なくとも一方については共通のものを用いてもよい。これらの場合も、互いに異なる種類の印字媒体を用いることに相当している。上記のような手法で作成される印字ラベルの例を
図5(a)~(c)により説明する。
【0035】
図5(a)は上記3つの印字ラベルのうち、重ね合わせ時に最上層に積層される1つの印字ラベルLAの一例を示している。この例では、透明の印字ラベル用テープ110からなる印字ラベルLAの長さ方向両端に、それぞれ、円形枠内に斜線が付された形状の赤色の禁止マークM1,M1が形成されている。
【0036】
図5(b)は、上記3つの印字ラベルのうち、重ね合わせ時に真ん中の層に積層される1つの印字ラベルLBの一例を示している。この例では透明の印字ラベル用テープ110からなる印字ラベルLBの長さ方向両端に、それぞれ、煙を出す青色のタバコマークM2,M2が形成されている。
【0037】
図5(c)は、上記3つの印字ラベルのうち、重ね合わせ時に最下層に積層される1つの印字ラベルLCの一例を示している。この例では白色の印字ラベル用テープ110からなる印字ラベルLCの長さ方向中央寄りに、「NO SMOKING」の黒色のテキスト文字T1が形成されている。
【0038】
そしてこの例では、
図5(a)の印字ラベルLAの印字ラベル用テープ110、
図5(b)の印字ラベルLBの印字ラベル用テープ110が、それぞれ透過性の色を備えている。その結果、上記のように、最上層の印字ラベルLA、真ん中の層の印字ラベルLB、最下層の印字ラベルLC、をこの順序で上から重ね合わせることで、
図5(d)に示す、印字ラベルLLが生成される。以下適宜、印字ラベルLLを「重ね貼りラベルLL」と称する。また、印字ラベルLAを「上ラベルLA」と称し、印字ラベルLBを「中ラベルLB」と称し、印字ラベルLCを「下ラベルLC」と称する。
【0039】
上記の重ね合わせの結果、重ね貼りラベルLLでは、外観上のテープ色が白色となるテープ部分の長さ方向両端に、上記赤色の禁止マークM1と青色のタバコマークM2とが重なり合って合成された禁煙の合成マークM12,M12が配置される。また、それら合成マークM12,M12の間に、前述の黒色のテキスト文字T1が配置されている。なお、以下適宜、上記禁止マークM1、タバコマークM2、合成マークM12を単に「マークM」と総称し、これらマークM及びテキスト文字T1を、「印字オブジェクト」と総称する。
【0040】
なお、この例では上ラベルLA、中ラベルLB、下ラベルLCはそれぞれ同じ幅、同じ長さに構成されている。その結果、
図5(a)に示す上ラベルLA、
図5(b)に示す中ラベルLB、
図5(c)に示す下ラベルLC、を互いにぴったりと重ね合わせて、重ね貼りラベルLLが作成される。
【0041】
<実施形態の特徴>
上記構成の本実施形態において、その特徴は、上述のようにして互いに異なる複数の印字ラベルLをラベルプリンタ3で作成するときの、操作端末2での表示態様にある。以下、前述した上ラベルLA、中ラベルLB、下ラベルLCをラベルプリンタ3で作成する場合を例にとり、その詳細を順を追って説明する。
【0042】
前述のように、上ラベルLA、中ラベルLB、下ラベルLCは、印字内容、印字色、テープ色が種々異なる。そのため、ラベルプリンタ3でそれら上ラベルLA、中ラベルLB、下ラベルLCを作成する際には、互いに異なる3種類のカートリッジ101が使用される。3種類のカートリッジ101は、順次交換されてカートリッジホルダ22に装着される。
【0043】
例えば
図6(a)に示すように、赤色の禁止マークM1を備える上ラベルLAの作成時には、テープ幅12mm、透明の印字ラベル用テープ110、赤色のインクリボン106を備えたカートリッジ101を用いる必要がある。以下適宜、このカートリッジ101を単に「カートリッジA」と称し、同様に図示する。
【0044】
また
図6(b)に示すように、青色のタバコマークM2を備える中ラベルLBの作成時には、テープ幅12mm、透明の印字ラベル用テープ110、青色のインクリボン106を備えたカートリッジ101を用いる必要がある。以下適宜、このカートリッジ101を単に「カートリッジB」と称し、同様に図示する。
【0045】
また
図6(c)に示すように、黒色のテキスト文字T1を備える下ラベルLCの作成時には、テープ幅12mm、白色の印字ラベル用テープ110、黒色のインクリボン106を備えたカートリッジ101を用いる必要がある。以下適宜、このカートリッジ101を単に「カートリッジC」と称し、同様に図示する。
【0046】
したがって、重ね貼りラベルLLを作成するためには、ユーザは、予め、対応する上記3つのカートリッジA,B,Cをすべて用意しておき、それぞれを順次装着して上ラベルLA、中ラベルLB、下ラベルLCを作成する必要がある。しかしながら、作成の際、それらカートリッジA,B,Cのうちどのカートリッジをどの順番でラベルプリンタ3のカートリッジホルダ22装着すればよいかは、なかなかわかりにくい。
【0047】
<カートリッジの一覧表示の例>
そこで、本実施形態においては、操作端末2の表示部14において、ラベルLA~LCの作成に使用されるカートリッジA,B,Cの一覧表示が行われる。その際、
図6(d)に示すように、ラベルLA~LCの積層順に合わせた並び順序で、上ラベルLAに対応する「カートリッジA」、中ラベルLBに対応する「カートリッジB」、下ラベルLCに対応する「カートリッジC」の順序で表示される。
【0048】
特にこの例では、さらにユーザにとってわかりやすくするために、予め、ラベルLA~LCについて、推奨する作成順が設定されており、その作成する時間的な順序に沿って、個別に各カートリッジA,B,Cの表示の強調処理が行われる。例えば
図7(a)~(c)に示す例では、上記の作成順として、上ラベルLA→中ラベルLB→下ラベルLCの順での作成が推奨されている。なお、これとは逆に、下ラベルLC→中ラベルLB→上ラベルLAの順での作成を推奨してもよい。いずれにしても、ラベルLA~LCの積層順に合わせ、積層方向の一方側から他方側へと連続的な時間順での作成を推奨すればよい。
【0049】
具体的に説明すると、まず
図7(a)に示すように、表示部14では、「下記のカートリッジをセットしてください」のメッセージと共に、「カートリッジA」の表示について、他の「カートリッジB」「カートリッジC」と区別した強調処理が行われる。この例では、強調処理として、「カートリッジA」のカートリッジ名称の直ぐ左側の位置に、黒塗りの三角マークが付されている。これにより、ユーザは、最初に上ラベルLAを作成するために、カートリッジAをカートリッジホルダ22に装着すればよいことがわかる。よって、ユーザは、カートリッジAをカートリッジホルダ22に装着し、円滑に上ラベルLAを作成することができる。
【0050】
その後、上記のようにして上ラベルLAの作成が終了すると、
図7(b)に示すように、表示部14では、対応する「カートリッジA」の表示について、他の「カートリッジB」「カートリッジC」と区別した抑制処理が行われる。この例では、抑制処理として、「カートリッジA」のカートリッジ名称が、グレイアウトされて視認されにくい又は視認できないようになっている。その一方で、次に中ラベルLBを作成するための「カートリッジB」について、上記同様、黒塗り三角マークによる強調処理が行われる。この結果、図示のように、ユーザは、2番目に、ラベルプリンタ3のカートリッジホルダ22に当該カートリッジBを装着し、円滑に中ラベルLBを作成することができる。
【0051】
その後、中ラベルLBの作成が終了すると、
図7(c)に示すように、表示部14では、対応する「カートリッジB」の表示について上記抑制処理が行われる。この例では、上記「カートリッジA」に加え、さらに「カートリッジB」もグレイアウトされている。その一方で、
図7(c)に示すように、表示部14では、「カートリッジC」について、上記同様、黒塗り三角マークによる強調処理が行われる。この結果、図示のように、ユーザは、3番目に、ラベルプリンタ3のカートリッジホルダ22に当該カートリッジCを装着し、円滑に下ラベルLCを作成することができる。
【0052】
<カートリッジの一覧表示の別の例>
上記のようなカートリッジA,B,Cの一覧表示の別の例を
図8及び
図9により説明する。この例では、
図8(a)~(c)に示すラベルLA~LCの作成に使用されるカートリッジA,B,Cの一覧表示が行わる際に、各カートリッジA,B,Cの情報表記部120と同様の表記デザインが用いられる。
【0053】
例えば
図8(a)に示すカートリッジAの情報表記部120においては、前述のテープ幅12mm、透明の印字ラベル用テープ110、赤色のインクリボン106に合わせて、「12mm」「CLEAR」の文字が赤字で表記されている。また「CLEAR」の背後には、テープを表す図像が、赤色の縞模様にて表記されている。なおこのような図像を以下適宜、単に「テープ図像」と称する。
【0054】
同様に、
図8(b)に示すカートリッジBの情報表記部120においては、前述のテープ幅12mm、透明の印字ラベル用テープ110、青色のインクリボン106に合わせて、「12mm」「CLEAR」の文字が青字で表記されている。また「CLEAR」の背後には、テープ図像が青色の縞模様にて表記されている。
図8(c)に示すカートリッジCの情報表記部120においては、前述のテープ幅12mm、白色の印字ラベル用テープ110、黒色のインクリボン106に合わせて、「12mm」「WHITE」の文字が黒字で表記されている。また「WHITE」の背後には、テープ図像が白色無地にて表記されている。
【0055】
そして、前述の
図6(d)に対応する
図8(d)に示すように、ラベルLA~LCの積層順に合わせた並び順序でカートリッジA~Cを表示する際、この例では情報表記部120の表記内容と同様の文字及び図像が同様の色を用いて表示される。
【0056】
すなわち、表示部14の上段には、赤色の縞模様のテープ図像を背景に「CLEAR」の文字が赤色で表記され、テープ図像の直ぐ上側に「12mm」の文字が赤色で表記されている。また表示部14の中段には、青色の縞模様のテープ図像を背景に「CLEAR」の文字が青色で表記され、テープ図像の直ぐ上側に「12mm」の文字が青色で表記されている。また表示部14の下段には、白色無地のテープ図像を背景に「WHITE」の文字が黒色で表記され、テープ図像の直ぐ上側に「12mm」の文字が黒色で表記されている。
【0057】
そして、
図7(a)~(c)を用いて前述したのと同様、この例でも、上ラベルLA→中ラベルLB→下ラベルLCの作成順に沿った、強調処理及び抑制処理が行われる。但しこの例では、強調処理として、カートリッジ名称に対する前述の三角マークの付記に代えてテープ図像の点滅表示が行われ、抑制処理として、カートリッジ名称のグレイアウトに代えてテープ図像が消去すなわち非表示にされる。
【0058】
すなわちまず
図7(a)に対応する
図9(a)に示すように、表示部14では、カートリッジAに対応する「CLEAR」表記つきの赤色縞模様のテープ図像が、カートリッジB及びカートリッジCのテープ図像と区別した強調表示が行われる。この例では、強調表示として、カートリッジAに対応するテープ図像が点滅表示されている。この結果、図示のように、ユーザは、最初に、ラベルプリンタ3のカートリッジホルダ22に当該カートリッジAを装着し、円滑に上ラベルLAを作成することができる。しかもその際、カートリッジAには、点滅しているテープ図像と同等のデザインが情報表記部120に表記されているため、視覚的に容易にカートリッジAを見つけることができ、利便性が高い。
【0059】
その後、上記のようにして上ラベルLAの作成が終了すると、
図7(b)に対応する
図9(b)に示すように、表示部14では、対応する「カートリッジA」の表示が、上記抑制処理として削除されて消失し、非表示となる。その一方で、次に中ラベルLBを作成するためのカートリッジBに対応する「CLEAR」表記つきの青色縞模様のテープ図像が、カートリッジCのテープ図像と区別した強調表示、すなわち点滅表示される。この結果、上記同様、ユーザは、2番目に、カートリッジホルダ22にカートリッジBを装着して円滑に中ラベルLBを作成することができ、またその際、容易にカートリッジBを見つけることができる。
【0060】
その後、中ラベルLBの作成が終了すると、
図7(c)に対応する
図9(c)に示すように、表示部14では、上記「カートリッジA」に加え、さらに「カートリッジB」も消失して非表示となる。その一方で、次に下ラベルLCを作成するためのカートリッジCに対応する「WHITE」表記つきの白色無地のテープ図像が点滅表示される。この結果、ユーザは、3番目に、カートリッジホルダ22に当該カートリッジCを装着して円滑に下ラベルLCを作成することができ、またその際、容易にカートリッジCを見つけることができる。
【0061】
なお、この例では、上述のようにラベルLA,LB,LCの順に作成が完了したとき、
図10に示すように、上記積層順序、言い換えれば貼り合わせの順序を表す案内表示が表示部14で行われる。
【0062】
すなわち、
図10に示すように、カートリッジAを表す、上段の「CLEAR」表記つきの赤色縞模様のテープ図像の左側には、3枚積層構造のうちの上段に積層されることを表す上段積層マークMuが表記される。
【0063】
カートリッジBを表す、中段の「CLEAR」表記つきの青色縞模様のテープ図像の左側には、3枚積層構造のうちの中段に積層されることを表す中段積層マークMmが表記される。
【0064】
カートリッジCを表す、下段の「WHITE」表記つきの白色無地のテープ図像の左側には、3枚積層構造のうちの下段に積層されることを表す中段積層マークMdが表記される。
【0065】
また、それら積層マークMu,Mm,Mdの上方には、「印刷が完了しました。貼り合わせ順は以下の通りです」のメッセージが表示され、積層マークMu,Mm,Mdの下方にユーザの確認済を操作入力する「OK」ボタンが設けられる。なお、貼り合わせの順序を表す案内表示は、上記の積層マークMu,Mm,Mdに限定されず、他の文字、記号、数字、図形、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0066】
<制御手順>
上記
図6~
図10を用いて説明した手法を実現するために、操作端末2のCPU11とラベルプリンタ3のCPU21cとが協働して実行する制御手順を、
図11のシーケンス図により説明する。この制御手順は、操作端末2においては、上記ROM12bに記憶された複数のプログラムに含まれる、本実施形態による印刷処理プログラムにより実行され、そしてその実行によって本実施形態による以下の印刷処理方法が実現される。またラベルプリンタ3においては、上記ROM21aに記憶された適宜の制御プログラムにより実行される。
【0067】
図11において、まずS5で、操作端末2においては、CPU11により、操作部13を介し、全印字ラベルLの印字内容の編集が受け付けられる。前述の例では、上ラベルLA、中ラベルLB、下ラベルLCを前述の印字内容とする編集が受け付けられる。その後、S10で、上記S5での編集内容に対応した印字データがそれぞれ生成される。
【0068】
その後、S15で、操作部13を介したユーザの適宜の操作により、ラベルLA~LCの作成を指示する印刷開始操作があったか否かが判定される。印刷開始操作があったらYes判定となり、S20へ移行する。
【0069】
S20では、上記S10で生成した印字データに基づき、ラベルLA,LB,LCごとに、対応するテープ幅、テープ色、印字色、等が判別される。すなわち、上ラベルLAについては、テープ幅が12mm、テープ色が透明、印字色が赤色、と判別される。中ラベルLBについては、テープ幅が12mm、テープ色が透明、印字色が青色、と判別される。下ラベルLCについては、テープ幅12mm、テープ色が白色、印字色が黒色、と判別される。そして、それらの判別結果に基づき、当該ラベルLA~LCをそれぞれ作成するために必要なカートリッジA,B,Cの種類、つまりラベルLA~LCの印字ラベル用テープ110を備えるカートリッジA,B,Cの種類を表すカートリッジ種類情報が生成される。
【0070】
すなわち、上ラベルLAに対しては、テープ幅12mmかつテープ色透明の印字ラベル用テープ110と赤色のインクリボン106とを備えた、カートリッジAのカートリッジ種類情報が生成される。また、中ラベルLBに対しては、テープ幅12mmかつテープ色透明の印字ラベル用テープ110と青色のインクリボン106とを備えた、カートリッジBのカートリッジ種類情報が生成される。また、下ラベルLCに対しては、テープ幅12mmかつテープ色白色の印字ラベル用テープ110と黒色のインクリボン106とを備えた、カートリッジCカートリッジ種類情報が生成される。なお、このS20がデータ生成手順の一例である。
【0071】
その後、S25で、上記S5で編集を受け付けた全印字ラベルLについて、重ね貼りするときの積層順序が決定される。前述の例ではラベルLA~LCの積層順序が、下から上に向かって、下ラベルLC、中ラベルLB、上ラベルLA、の順に決定される。このS25が順序決定手順の一例である。その後、S27で、S25で積層順序が決定された全印字ラベルLについて、推奨される作成順序が決定される。前述の例では、時間的な順序が、上ラベルLA→中ラベルLB→下ラベルLCの順で決定される。
【0072】
そして、S30で、ラベルプリンタ3に対し、上記S10で生成したすべての印字データ、すなわちこの例では、上ラベルLAの印字データ、中ラベルLBの印字データ、下ラベルLCの印字データ、が送信される。S30はデータ出力手順の一例である。なお、このとき送信される印字データには、S20で生成された、対応するカートリッジ種類情報がそれぞれ付されるか、別途関連付けられている。すなわち、上ラベルLAの印字データにはカートリッジAが、中ラベルLBの印字データにはカートリッジBが、下ラベルLCの印字データにはカートリッジCが、それぞれ対応付けられている。
【0073】
その後、S35では、表示部14において、S20でカートリッジ種類情報が生成されたすべてのカートリッジの当該カートリッジ種類情報、この例では上記カートリッジA,B,Cの名称が、S25で決定した積層順に合わせた並び順序で配列されて一覧表示される。なお、一覧表示されるカートリッジ種類情報は、カートリッジ101の名称に限られず、当該カートリッジの種類を識別する何らかの情報であれば、製品名称、型番、シリアルナンバー等であってもよい。S35が一覧表示手順の一例である。その際、S40において、この時点で次の順番での印刷に用いられるカートリッジの名称に対し前述の強調処理がなされる。S40が強調処理手順の一例である。
【0074】
前述の例に沿えば、S30から移行した直後は最初の順番でカートリッジAを用いた上ラベルLAの印刷が行われることから、カートリッジAの名称が他のカートリッジB,Cの名称とは区別して強調処理され表示される。この場合、上ラベルLAが第1印字ラベルの一例である。なお、後述のS75で上ラベルLAの印刷が終了しS35に戻った後は、2番目の順番でカートリッジBを用いた中ラベルLBの印刷が行われることからS40においてカートリッジBの名称が強調処理され表示され、中ラベルLBが第2印字ラベルの一例となる。
【0075】
一方、ラベルプリンタ3のCPU21cでは、上記S30で送信された全印字データが、S45において通信制御部23を介し受信される。その後、S50において、カートリッジセンサ31の検出結果にもとづき、その時点でカートリッジホルダ22に装着されているカートリッジ101の種類が特定される。
【0076】
そして、S55において、S45で受信済のすべての印字データのうち、S50で特定されたカートリッジ101の種類と同一となる、カートリッジ種類情報に対応付けられているものを用いて、印字ラベルLの作成が行われる。これにより、前述の例に沿えば、カートリッジホルダ22に装着されているカートリッジA~Cに対応して、ラベルLA~LCの作成がそれぞれ行われる。印字ラベルLの作成が完了すると、S60で、作成した印刷ラベルLに対応する印刷完了通知が操作端末2へ送信される。
【0077】
一方、操作端末2のCPU11では、上記のようにS40で強調処理が行われた後、上記S60でラベルプリンタ3から送信された印刷完了通知が受信されることでS65がYes判定され、S70へ移行する。S70では、上記印刷完了通知の受信により印刷完了が識別された印字ラベルLに対応するカートリッジ101の名称に対し、前述の抑制処理がなされる。S70が抑制処理手順の一例である。上記のように最初の順番でカートリッジAを用いた上ラベルLAの印刷が行われ、完了した場合は、当該カートリッジAの名称が抑制処理される。
【0078】
そして、S75で、作成対象となるすべての印字ラベルLの作成が完了したか否かが判定される。未作成の印字ラベルLが残っていればNo判定となってS35へ戻り、同様の手順が繰り返される。一方、上記S60で印刷完了を送信したラベルプリンタ3のCPU21cにおいても、その後のS80で、作成対象となるすべての印字ラベルLの作成が完了したか否かが判定される。未作成の印字ラベルLが残っていればNo判定となってS50へ戻り、同様の手順が繰り返される。
【0079】
上記の繰り返しにより、操作端末2では、次に印刷する印字ラベルLに係わるカートリッジ101の名称が強調処理されて表示された後、当該印字ラベルLの印刷完了後には抑制処理されて表示される、という流れが繰り返される。すなわち、前述の例に沿えば、カートリッジAの強調処理表示→上ラベルLA作成完了→カートリッジAの抑制処理表示→カートリッジBの強調処理表示→中ラベルLB作成完了→カートリッジBの抑制処理表示→カートリッジCの強調処理表示→下ラベルLC作成完了→カートリッジCの抑制処理表示、となる。
【0080】
作成対象の印字ラベルLすべての印刷完了通知が受信されたらS75がYes判定され、S85へ移行する。S85では、先のS35での強調処理及びS70での抑制処理がすべて解消された通常の態様で、作成対象の全印字ラベルLに係わる全てのカートリッジ101の名称が均等に一覧表示される。前述の
図10はこのときの表示部14の一例を示している。なお、
図10の例では、このS85で前述の貼り合わせ順の表示も併せて行われる。
【0081】
その後、S90で、操作部13を介した適宜のユーザの操作により、作成対象のすべての印字ラベルLの印刷完了の旨が確認されたら、S90がYes判定され、このシーケンスを終了する。
【0082】
一方、前述の繰り返しにより、ラベルプリンタ3では、カートリッジホルダ22に装着されたカートリッジ101の種類が、S45で受信した印字データのカートリッジ種類情報に合致する都度、対応する印字ラベルLの作成が行われる。すなわち、カートリッジAが装着されたら上ラベルLAが作成されて印刷完了通知が送信され、カートリッジBが装着されたら中ラベルLBが作成されて印刷完了通知が送信され、カートリッジCが装着されたら下ラベルLCが作成されて印刷完了通知が送信される。作成対象の印字ラベルLすべての印刷が完了し印刷完了通知が送信されたらS80がYes判定され、このシーケンスを終了する。
【0083】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態においては、CPU11が実行するS20で、作成対象とする複数の印字ラベルLそれぞれについて、対応するカートリッジ種類情報が生成される。そして、その後のS25で、それら複数の印字ラベルLを重ね貼りするときの積層順が決定される。そしてS35において、表示部14において、上記のように生成された複数のカートリッジ種類情報が、上記重ね貼りの積層順に合わせた順序で一覧表示される。
これにより、ユーザは、重ね貼りされる複数の印字ラベルLと同様の順序で並んだ各カートリッジ種類情報を確認することができ、どのカートリッジ101を装着すればよいかを視覚的に容易に識別することができる。
【0084】
また、本実施形態では特に、S40において、次の順番で印刷が実行される印字ラベルLに係わるカートリッジ種類情報の表示が、他に比べて強調処理される。これにより、次の順番で印刷する印字ラベルLのために必要なカートリッジ101はどれであるのか、がユーザにとって一目瞭然となる。
【0085】
また、本実施形態では特に、1番目の上ラベルLAの印刷が完了した後に再度実行されるS40において、その次の2番目で印刷される中ラベルLBに使用されるカートリッジBの表示が強調処理される。これにより、2番目に印刷する中ラベルLBのために必要なカートリッジ101はどれであるのか、がユーザにとって一目瞭然となる。
【0086】
また、本実施形態では特に、S70において、印刷が完了した印字ラベルLに係わるカートリッジ101の表示が抑制処理される。これにより、対応する印字ラベルLの印刷が既に完了したカートリッジ101はどれであるのか、がユーザにとって一目瞭然となる。
【0087】
すなわち、上述したように、1番目に作成される上ラベルLAの印刷が完了したら、その上ラベルLAに係わるカートリッジAの表示が抑制処理される。これにより、1番目の上ラベルLAの印刷のために既に使用済であるカートリッジ101がどれであるのか、がユーザにとって一目瞭然となる。
【0088】
また、本実施形態において、CPU11が実行するS85で、すべての印字ラベルLの印刷が完了すると、作成対象の全印字ラベルLに係わる全てのカートリッジ101の名称が均等に一覧表示される。これにより、ユーザは、重ね貼りされる複数の印字ラベルLと同様の順序で並んだ各カートリッジ種類情報を確認することができ、どの順番で印刷済みの印字ラベルLを重ね貼りすればよいかを視覚的に容易に識別することができる。
【0089】
本実施形態において、ラベルプリンタ3のCPU21cでは、S55において印刷される印字データは、操作端末2のCPU11のS40で強調処理を行ったカートリッジに対応する印字データに限らず、全印字データのうち、S50で特定した装着カートリッジに対応する印字データである。すなわち、S27において決定した作成順序は、推奨作成順序であって、その作成順序に必ず従わなければならないものではない。これにより、ユーザは、ラベルプリンタ3のカートリッジホルダ22に装着するカートリッジ101の入れ替え回数を抑制することができる。
【0090】
なお、ラベルプリンタ3において、カートリッジホルダ22に装着されたカートリッジ101の種類と、強調処理された次に印刷する印字ラベルLにかかわるカートリッジ101の種類とが一致していない場合には、S40にて強調処理されるカートリッジ101の種類は、S27で決定した推奨作成順序のうち、まだ印刷していない印字データの中で、最も早い順序の印字データに対応するカートリッジである。
【0091】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0092】
(1)印字データ送信前に通常態様で一覧表示する場合
上記実施形態では、S25で積層順序が決定された後、その後のS30で直ちに全印字データがラベルプリンタ3へ送信され、S35,S40での一覧表示において次の順番のカートリッジが強調表示されたが、これに限られない。
【0093】
すなわち、S25で積層順序が決定された後にS35を実行し、すべてのカートリッジのカートリッジ種類情報を前述の積層順に合わせた並び順序で一覧表示してもよい。この場合、その後、新たに設けたステップで当該一覧表示についてユーザの確認OK入力がされたか否かを判定し、OK入力されYes判定されたらS30の印字データを送信し、その後、既に一覧表示された状態の中からS40での強調処理を行ってもよい。この場合も、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0094】
(2)事前に装着カートリッジの種類を取得しておく場合
本変形例の操作端末2のCPU11とラベルプリンタ3のCPU21cとが協働して実行する制御手順を、
図11に対応する
図12により説明する。上記実施形態同様、上記ROM12bに記憶された印刷処理プログラム、及び、上記ROM21aに記憶された適宜の制御プログラムにより実行され、その実行によって本変形例による以下の印刷処理方法が実現される。
【0095】
図12のシーケンスにおいて、操作端末2のCPU11では、前述のS5,S10を経て、S15を実行せずS20で各カートリッジ101のカートリッジ情報が生成され、S25で積層順序が決定され、S27で推奨作成順序が決定される。その後、
図11と同様のS15に移行し、ユーザにより、ラベルLA~LCの作成を指示する印刷開始操作があったか否かが判定される。S15が指示受付手順の一例である。印刷開始操作があったらYes判定となり、後述のS54へ移行する。
【0096】
一方このとき、ラベルプリンタ3のCPU21cでは、新たに設けたS51,S53が実行される。S51では、
図11のS50と同様の手法で、その時点でカートリッジホルダ22に装着されているカートリッジ101の種類が特定される。その後、S53で、その特定されたカートリッジ101の種類情報が操作端末2へと送信される。操作端末2のCPU11では、上記S53で送信されたカートリッジ101の種類情報がS54にて受信される。S54が情報取得手順の一例である。その後、新たに設けたS56へ移行する。
【0097】
S56では、S54での受信結果に基づき、この時点で装着されているカートリッジ101が、S27で決定した作成順序において1番目に作成されるべき印字ラベルLに対応した、カートリッジ101の種類と一致するか否かが判定される。その1番目に作成されるべき印字ラベルLが第1印字ラベルの一例であり、これに対応するカートリッジ101の種類を表すカートリッジ種類情報が、第1収納体種類情報の一例である。またS56が判定手順の一例である。一致する場合はYes判定されて後述のS30へ移行する。
【0098】
一致しない場合はNo判定されてS58に移行し、表示部14においてカートリッジ101の交換を要請する所定の表示がなされる。ユーザが上記表示に応じてカートリッジホルダ22に装着されるカートリッジ101を交換すると、ラベルプリンタ3のCPU21cでS53の後に実行されるS42の判定がYes判定となり、S51に戻り再度装着カートリッジが特定される。特定結果に応じたカートリッジ種類情報がS53で送信され、S54を経てS56において1番目に装着されるカートリッジ101の種類と一致すればYes判定され、
図11と同様のS30へ移行する。S30以降、操作端末2のCPU11が実行するS30~S40,S65~S90の内容は
図11と同様であり説明を省略する。
【0099】
ラベルプリンタ3のCPU21cにおいて、カートリッジホルダ22に装着されているカートリッジ101が上記1番目に装着されるべきカートリッジ101の種類と一致している場合は、カートリッジ101の交換はなされない。また一致せずに上記S58での交換要請表示に応じてユーザがカートリッジ交換を行った結果、上記1番目に装着されるべきカートリッジ101の種類と一致した場合は、それ以上のカートリッジ101の交換はなされない。その結果、これらの場合はS42がNo判定されて、
図11と同様のS45へ移行する。S45以降、ラベルプリンタ3のCPU21cが実行するS45~S60,S80の内容は
図11と同様であり、説明を省略する。
【0100】
<変形例の効果>
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。
また、本変形例においては特に、S54で、実際にラベルプリンタ3に装着されているカートリッジ101のカートリッジ種類情報が取得される。そして、最初に印刷する印字ラベルL、上記の例では上ラベルLAに対応したカートリッジ種類情報と、上記取得された実際のカートリッジ101のカートリッジ種類情報とが比較される。それらが互いに適合しているか否かがS56で判定され、適合している場合に、S30で、ラベルLA~LCを印刷するための印字データが、操作端末2からラベルプリンタ3へと出力される。これにより、ユーザの勘違い等により、別のカートリッジ101がラベルプリンタ3のカートリッジホルダ22に誤って装着されている場合に、そのまま印字ラベルLの作成が開始されてしまうのを防止できる。
【0101】
(3)スタンドアローンタイプのラベルプリンタに適用する場合
以上においては、前述した複数の印字ラベルLの作成手法を、操作端末2とラベルプリンタ3との協働により実現した場合の例を説明したが、これに限られない。前述の複数の印字ラベルLを、操作端末2を用いることなくラベルプリンタ3のみで作成してもよい。
すなわち、操作端末2の操作部13及び表示部14の機能を、ラベルプリンタ3に別途備えられている操作部(図示せず)及び表示部32で代わって実行し、CPU11の行う各手順をCPU21cで代わって実行するようにしてもよい。そのような変形例を
図13に示すフローチャートにより説明する。なお、
図13において、上記
図11と同等の手順には同一の符号を付し、上記
図11において操作端末2のCPU11が実行する手順と同等の手順には、当該手順のステップ番号に「′」を付したステップ番号で示している。
【0102】
図13において、ラベルプリンタ3のCPU21cでは、まず、上記
図11において操作端末2のCPU11が実行するS5~S40と同等のS5′~S40′が実行される。
【0103】
すなわち、S5′で編集内容が受け付けられ、S10′で対応する印字データが生成され、上記操作部を介した印刷開始操作によりS15′がYes判定されると、S20′で各印字データに対応する各カートリッジ101の種類情報が生成される。なお、S20′で実行する処理がデータ生成処理の一例である。そして、それらカートリッジ101の積層順序がS25′で決定され、推奨される印字ラベルLの作成順序がS27′で決定される。S25′で実行する処理は、順序決定処理の一例である。その後、全カートリッジ101の名称等が表示部32においてS35′で一覧表示され、そのうち次の順番で使用されるべきカートリッジ101についてはS40′で強調処理が行われる。S35′で実行する処理は、一覧表示処理の一例である。
【0104】
上記S40′の後は、
図11と同様のS50及びS55が実行され、カートリッジセンサ31の検出結果に基づきカートリッジ101の種類が特定された後、対応する印字データを用いて印字ラベルLの作成が行われる。S55で実行する処理は、ラベル作成処理の一例である。
【0105】
そして、S70′では、印刷が完了した印字ラベルLに対応するカートリッジ101の名称等に対し抑制処理が行われ、S75′で、作成対象となるすべての印字ラベルLの作成が完了したか否かが判定される。未作成の印字ラベルLが残っていればNo判定となってS35′へ戻り、同様の手順が繰り返される。印字ラベルLすべての印刷が完了したらS75′がYes判定され、S85′で、先のS35′,S70′での強調処理及び抑制処理が解消された通常の態様で、作成対象の全印字ラベルLに係わる全てのカートリッジ101の名称が均等に一覧表示される。
【0106】
その後、S90′で、上記操作部を介した操作により、作成対象のすべての印字ラベルLの印刷完了が確認されたら、S90′がYes判定され、このフローを終了する。
【0107】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。
すなわち、本変形例においては、CPU21cが実行する
図13のS20′で、作成対象とする複数の印字ラベルLそれぞれについて、対応するカートリッジ種類情報が生成される。そして、その後のS25′で、それら複数の印字ラベルLを重ね貼りするときの積層順が決定される。そしてS35′において、表示部14において、上記のように生成された複数のカートリッジ種類情報が、上記重ね貼りの積層順に合わせた順序で表示部32で一覧表示される。
【0108】
これにより、ユーザは、重ね貼りされる複数の印字ラベルLと同様の順序で並んだ各カートリッジ種類情報を表示部32の表示で確認し、どのカートリッジ101をどの順番で装着すればよいかを視覚的に容易に識別することができる。
【0109】
なおさらに、上記変形例(2)にてCPU11により実行される、
図12に示した各手順をラベルプリンタ3のCPU21cで実行することで、当該変形例(2)と同様の処理を行ってもよい。すなわち、CPU21cは、事前に特定した装着カートリッジの種類が1番目に作成されるべき印字ラベルLに対応するカートリッジであるか否かをS56と同等の手順で判定し、一致していたときにS55でのラベル印刷を行うようにしてもよい。
なお、この場合も、上記1番目の印字ラベルLが第1印字ラベルの一例であり、その印字ラベルLに対応するカートリッジ種類情報が第1収納体種類情報の一例である。また、S15′で実行する処理が指示受付処理の一例であり、S53,S54で実行する処理が情報検出処理の一例であり、S56と同等の手順で実行する処理は判定処理の一例である。
【0110】
(4)オートパワーオフを行う場合
前述のように複数の印字ラベルLが作成される際、ラベルプリンタ3においていわゆるオートパワーオフ機能を実行してもよい。すなわち、任意の印字ラベルLの印刷が完了した後、その印字ラベルLの次の順番で印刷される他の印字ラベルLに対応するカートリッジ101がカートリッジホルダ22に装着されないまま所定時間が経過した場合に、装置電源がOFFされる。このときCPU21cが実行するこの処理が電源処理の一例である。この場合、複数の印字ラベルLの作成途中で、対応するカートリッジ101の1つが見つからなかった場合には、当該複数の印字ラベルLの作成を中断することができる。
【0111】
さらに、上記のようにして印刷完了後に所定時間が経過して装置電源がOFFされる場合に、未印刷である印字ラベルLに係わるデータを、ラベルプリンタ3のRAM等の適宜のメモリに記憶させてもよい。具体的には、複数の印字ラベルLに係わる印字データ及び対応するカートリッジ種類情報のうち、未印刷である印字ラベルLに係わる印字データ及び対応するカートリッジ種類情報が記憶される。このときの上記RAM等のメモリが記憶手段の一例であり、またこのときCPU21cが実行するこの処理が、記憶処理の一例である。
【0112】
なお、上記の場合に限られず、複数の印字ラベルLの作成時において、任意の1つの印字ラベルLの印刷完了後にユーザの意思で装置電源をOFFした場合にも、上記同様、未印刷である印字ラベルLに係わる印字データ及び対応するカートリッジ種類情報を、ラベルプリンタ3内のRAM等に記憶させてもよい。
【0113】
本変形例においては、上述のようにラベルプリンタ3の装置電源が自動でOFFされたとき、又は、ユーザの意思で装置電源をOFFにして複数の印字ラベルLの作成を中断するとき、未印刷分の印字ラベルLに係わる印字データ及びカートリッジ種類情報がRAMに記憶される。このようにして、複数の印字ラベルLの作成途中で中断したときに未印刷分のデータを記憶しておくことで、次回の電源投入時に、複数の印字ラベルLのうち最初からまた作成開始するのではなく、未印刷分の印字ラベルLのみを作成することができる。すなわち複数の印字ラベルLのうち既に作成した印字ラベルLを再度作成してしまうことを防止できる。また、上記のような複数の印字ラベルLの作成を中断させておくことで、その間に、上記複数の印字ラベルLとは別の印字ラベルLの作成を行うことも可能となる。
【0114】
(5)カートリッジが装着されるたびに装着カートリッジの種類を取得する場合
本変形例の操作端末2のCPU11が実行する制御手順を、
図14により説明する。なお、上記変形例(2)と同じ処理については、同じ符号をつけ、適宜説明を省略する。
【0115】
操作端末2のCPU11は、前述のS5~S27の処理を実行する。その後、S15で、操作部13を介したユーザの適宜の操作により、ラベルLA~LCの作成を指示する印刷開始操作を待つ。なお、本変形例では、S27での推奨作成順序を積層順の下から順番に作成するよう決定する場合で説明する。すなわち、積層順は、上から、上ラベルLA、中ラベルLB、下ラベルLCであるが、印刷順は、下ラベルLC、中ラベルLB、上ラベルLAの順である。本変形例で、下ラベルLCが第1ラベルの一例であり、中ラベルLB、上ラベルLAが第2ラベルの一例であり、CPU11で実行されるS10の処理が、第1データ生成手順、第2データ生成手順の一例である。
【0116】
S15で印刷開始操作があった場合(S15:Yes)、S351に移行する。S351では、S35およびS40の処理と同様に、S20でカートリッジ種類情報が生成されたすべてのカートリッジの当該カートリッジ種類情報が、S25で決定した積層順に合わせた並び順序で配列されて一覧表示される。さらに、この時点で次の順番での印刷に用いられるカートリッジの名称に対し前述の強調処理がなされる。S15から移行して実行されるS351では、カートリッジA、カートリッジB、カートリッジCの順に一覧表示され、かつ最初に印刷すべき印字データに対応するカートリッジCについて、強調処理がなされる。CPU11で実行されるS351の処理が、一覧表示手順の一例である。
【0117】
次に、S54で、ラベルプリンタ2から、ラベルプリンタ2のカートリッジホルダ22に装着されているカートリッジ情報を受信する。S561では、S54で受信したカートリッジ情報と、S351で強調処理したカートリッジの種類情報とが一致するか判断する。S351で一致しないと判断した場合には、表示部14においてカートリッジ101の交換を要請する所定の表示がなされる。そして、再びS54の処理に戻る。ユーザが上記表示に応じてカートリッジホルダ22に装着されるカートリッジ101を交換すると、S561でYes判定される。S561で、カートリッジ情報が一致すると判断した場合(S561:Yes)、S301に移行する。
【0118】
S301では、印刷対象となる印字データをラベルプリンタ2のカートリッジホルダ22に装着されているカートリッジを用いて印刷するために、当該印字データを送信する。本変形例では、変形例(2)とは異なり、全印字データをまとめて送信するのではなく、印刷対象となる印字データをS301で都度送信する。例えば、印刷開始操作から最初に印字データを送信する場合は、カートリッジCを用いて作成される印字ラベルLCに対応する印字データがプリンタに送信される。そして、S351からS75の処理を繰り返すことで、下ラベルLC、中ラベルLB、上ラベルLAの順に印字ラベルLが作成される。CPU11で実行されるS301の処理が指示送信手順の一例である。より具体的に説明すると、第1印字データを第1印字媒体に印刷させるための指示の送信の一例が、CPU11により本フローチャートで最初に実行されるS301の処理であり、前記第2印字データを前記第2印字媒体に印刷させるための指示の送信の一例が、CPU11により本フローチャートでS75の処理の後に実行されるS301の処理である。
【0119】
S301で印刷対象の印字データを送信すると、S65に移行する。S301で送信した印刷データの印刷完了通知を、ラベルプリンタ2から受信した場合に(S65:Yes)、S70に移行する。S70で、印刷完了通知を受信した印刷データに対応するカートリッジの名称に対し前述の抑制処理がなされる。すなわち、最初の印字データが印刷完了した場合に、カートリッジCについて、抑制処理がなされる。続いて、S75で全ラベルの印刷が完了したかを判断する。まだ、印刷していない印字データがある場合は、S351の処理に戻る。S85から移行したS351では、印刷完了済みのカートリッジ(カートリッジC)の名称に対し抑制処理がされ、かつ、次に印刷する印字データに対応するカートリッジ(カートリッジB)の名称に対し強調処理がなされたカートリッジ種類情報が一覧表示される。S75で、全ラベルの印刷が完了したと判断した場合、S85に移行する。S85の処理は、変形例(2)と同様である。CPU11で実行されるS85の処理も、一覧表示手順の一例である。
【0120】
本変形例では、S27で決定した推奨作成順序にしたがい、印字ラベルLが作成される。したがって、ユーザがどのカートリッジをどの順番で装着すればよいか視覚的に容易に識別できる。また、印刷済み印字ラベルの貼り合わせる順番も視覚的に容易に識別できる。さらに、次に印刷すべき印字データに対応するカートリッジが、ラベルプリンタ2に装着された場合に、印刷対象の印字データをラベルプリンタ2に送信するため、プリンタで重ね貼りのための特別な機能を追加することなく、重ね貼りのための印刷制御を行うことができる。また、本変形例では、下ラベルLCから順に作成する。通常、複数ラベルを貼り合わせて重ね貼りラベルを作成する際、下から順にラベルを貼り合わせることが想定される。そのため、3枚以上のラベルを貼り合わせる際に、下ラベルLCから順に作成することで、貼り合わせ作業と印刷作業とを同時進行可能となり、複数の印字ラベルを貼り合わせた重ね貼りラベルの作成完了までに要する時間を短縮できる。
【0121】
(6)その他
以上においては、基材テープ102とは別のカバーフィルム104に印字を行ってこれらを貼り合わせる方式であったが、これに限られず、基材テープに備えられた被印字テープ層に印字を行う方式(貼り合わせを行わないタイプ)に本発明を適用してもよい。
【0122】
また、以上において、
図11、
図12、
図13に示すフローチャートは、本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0123】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0124】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0125】
2 操作端末(端末装置)
3 ラベルプリンタ(印刷装置の一例)
11 CPU(制御部の一例)
14 表示部
21c CPU(制御手段の一例)
22 カートリッジホルダ(装着手段の一例)
32 表示部(表示手段の一例)
29 印字ヘッド(印字手段の一例)
101 カートリッジ(媒体収納体の一例)
104 カバーフィルム(印字媒体の一例)
106 インクリボン(印字媒体の一例)
L 印字ラベル