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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/02 20060101AFI20241018BHJP
   D06F 39/08 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
D06F39/02 A
D06F39/08 301B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022208336
(22)【出願日】2022-12-26
(62)【分割の表示】P 2021140177の分割
【原出願日】2021-08-30
(65)【公開番号】P2023036072
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】手島 賢
(72)【発明者】
【氏名】村尾 剛
(72)【発明者】
【氏名】外薗 洸佑
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 晋作
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06434977(US,B1)
【文献】特開2021-053335(JP,A)
【文献】特開2017-158600(JP,A)
【文献】特開2015-057176(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0362763(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 1/00~60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に支持されている外槽と、
前記外槽に供給される液剤を収容する第1タンクと、
第1方向に沿って前記第1タンクに並んで配置され、前記外槽に供給される液剤を収容する第2タンクと、
前記第1タンクから液剤を吸引する第1自動液剤投入装置と、
前記第1方向に沿って前記第1自動液剤投入装置に並んで配置され、前記第2タンクから液剤を吸引する第2自動液剤投入装置と、
を備え、
前記第1自動液剤投入装置及び前記第2自動液剤投入装置は、液剤を吸い上げて吐出するポンプ機構と、減速機構を含み前記ポンプ機構を駆動するモータと、をそれぞれ有し、
前記第2タンクの深さは、前記第1タンクの深さより大きく、
前記第2自動液剤投入装置は、前記第1自動液剤投入装置より下方に配置され、
前記モータは、前記モータの回転軸が前記第1方向に沿う配置で前記ポンプ機構に取り付けられている、洗濯機。
【請求項2】
前記モータは、前記回転軸の周りで回転する動力部と、前記動力部の回転を前記回転軸より小さい回転速度で前記ポンプ機構に伝達する出力軸を有する前記減速機構と、を含み、
前記出力軸は、前記回転軸及び前記第1方向と平行である、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記ポンプ機構は、ピストンを有するピストンポンプであり、
前記第1自動液剤投入装置の前記モータ、又は前記第2自動液剤投入装置の前記モータは、前記第1自動液剤投入装置の前記ピストンと、前記第2自動液剤投入装置の前記ピストンとの間に位置する、請求項1又は2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記第1自動液剤投入装置及び前記第2自動液剤投入装置と接続され、前記第1自動液剤投入装置及び前記第2自動液剤投入装置により吐出された液剤を下方に流れさせる液剤流路を更に備え、
前記液剤流路は、前記第1方向において前記第1自動液剤投入装置と接続されている部分より前記第2自動液剤投入装置と接続されている部分が低くなるように下方傾斜する、請求項1~3のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記第1自動液剤投入装置は、前記第1タンクの最深部において形成された第1接続部に接続され、
前記第2自動液剤投入装置は、前記第2タンクの最深部において形成された第2接続部に接続され、
前記第2接続部の深さは、前記第1接続部の深さより大きい、請求項4に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記ポンプ機構は、内部から液剤を流出させる出口流路を含み、
前記第1自動液剤投入装置は、前記出口流路の端部が前記第1接続部より下方となる位置に配置され、前記第2自動液剤投入装置は、前記出口流路の端部が前記第2接続部より下方となる位置に配置される、請求項5に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には液剤自動投入装置を搭載する洗濯機が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された洗濯機は、2つのタンク、即ち、洗剤タンク及び柔軟剤タンクが装着される収容ケースを含む液剤自動投入装置を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2019/044306号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の洗濯機において、液剤の自動投入に関する構成の機能向上といった点で未だ改善の余地がある。
【0006】
したがって、本開示の目的は、上記課題を解決することにあって、液剤の自動投入に関する構成の機能向上を実現した洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の洗濯機は、筐体内に弾性支持された外槽と、外槽に供給される液剤を収容する第1タンクと、外槽に供給される液剤を収容し、第1タンクに並んで配置される第2タンクと、を備え、第2タンクの深さは、前記外槽の外周に沿って、第1タンクの深さより大きい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、液剤の自動投入に関する構成の機能向上を実現した洗濯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示に係る実施形態の洗濯機の模式断面図
図2】洗濯機の模式正面図
図3】自動投入ユニットの斜視図
図4】自動投入ユニットの斜視図
図5】自動投入ユニットの上面図
図6】自動投入ユニットの一部の斜視図
図7】ケースの斜視図
図8A】自動投入ユニットの斜視断面図
図8B】自動投入ユニットの断面図
図9】タンク、液剤投入装置、及び液剤吐出流路の部分分解図
図10】タンク、液剤投入装置、及び液剤吐出流路の背面図
図11A】単一のタンクと液剤投入装置の分解図
図11B】単一のタンクと液剤投入装置の分解図
図12A】液剤投入装置の模式図
図12B】シリンダ、動力部及び減速機構の斜視図
図12C】シリンダの側面図
図13A】水の流れを示すケースの上面図
図13B】水の流れを示すケースの上面図
図13C】水及び液剤の流れを示すケースの斜視図
図14】変形例1による自動投入ユニットの模式断面図
図15】変形例2による自動投入ユニットの模式断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
本開示の実施形態に係る洗濯機について説明する。
【0011】
[全体構成]
図1は、本開示に係る実施形態の洗濯機1を示す模式断面図である。図2は洗濯機1の模式正面図である。本実施形態の洗濯機1は、液剤の自動投入機能を有する洗濯乾燥機である。本明細書にて、液剤とは、衣類等の洗濯物15を洗浄するために用いられる液剤であり、洗剤、柔軟剤、中性洗剤等を含む。
【0012】
図1に示すよう、洗濯機1は、筐体2と、外槽3と、内槽4と、駆動部5と、自動投入ユニット6と、接続流路8と、給水口10と、排水弁11と、制御部(図示せず)と、を備える。
【0013】
<筐体>
筐体2は、洗濯機1の外観を形成する部材である。筐体2の前面には、開口20と、開口20を覆う開閉自在な扉21とが設けられている。
【0014】
<外槽>
外槽3は、筐体2の内部に設けられ、洗濯水を溜める機能を有する大略円筒状の部材である。外槽3は、水槽と称してもよい。外槽3は、筒部34と、筒部34の一端を閉じる底部36とを有する。外槽3の中心軸V0は、底部36の中心を通過する。中心軸V0は、水平に対して傾斜される。外槽3は、ダンパ30とコイルスプリング(図示せず)によって弾性支持され、洗濯、脱水時の振動をダンパ30とコイルスプリングによって吸収する。外槽3は、筐体2の開口20に面する位置に開口31を有し、ベローズ32によって、筐体2の開口20と密閉されて連結される。外槽3にはさらに通水のための開口33、35が設けられる。開口33は、接続流路8に接続される開口であり、開口35は外槽3の水を外部に排水するための排水口である。
【0015】
また、後述において、中心軸V0に沿った水平方向を前後方向M(図1)として、中心軸V0を含む平面に直交する水平方向を幅方向K(図2)とする。前後方向Mは、開口31に向かう前側M1と底部36に向かう後側M2を有し、幅方向Kは、中心軸V0から離れる外側K1と中心軸V0に向かう中心側K2を有する。
【0016】
<内槽>
内槽4は、外槽3の内側において中心軸V0周りで回転可能に設けられ、衣類等の洗濯物15を収容する大略円筒状の部材である。内槽4は、ドラムと称してもよい。内槽4には多数の貫通孔40が形成される。貫通孔40は内槽4と外槽3とを連通させ、洗濯水が内槽4から外槽3に移動することを可能にする。内槽4はさらに、筐体2の開口20及び外槽3の開口31に面する位置に、開口41を有する。
【0017】
<駆動部>
駆動部5は、内槽4を回転駆動させる部材である。駆動部5は例えば、内槽4を回転させる動力部を有する。
【0018】
<自動投入ユニット>
自動投入ユニット6は、所定量の液剤を、液剤を貯蔵するタンクから、外槽3に自動で投入するためのユニットである。自動投入ユニット6は、液剤を手動で投入しない場合に、洗い工程やすすぎ工程等の際に、例えば、洗濯物15の量や種類に応じて、適切な種類の液剤を適切な量において、外槽3に投入する。自動投入ユニット6は、液剤を外槽3に供給するために、接続流路8を介して外槽3に接続される。
【0019】
自動投入ユニット6は、ケース61と、タンク62A、62B、62C(タンク62B、62C図示せず)と、液剤投入装置63A、63B、63C(液剤投入装置63B、63C図示せず)と、液剤吐出流路64と、手動投入部65と、給水電磁弁66を備える。
【0020】
図2に示すように自動投入ユニット6は、筐体2の内部において、外槽3の斜め上方に設けられる。ケース61の底面55は、外槽3の筒部34の外周に沿った形状を有する。底面55は、外側K1に向かって下方に傾斜される。さらに、図1に示すように、底面55は、後側M2に向かって下方に傾斜される。自動投入ユニット6の上部は、筐体2の上面に設けられた開閉可能なカバー60に面する。
【0021】
<接続流路>
接続流路8は、自動投入ユニット6から外槽3へ液剤を流すための流路である。接続流路8は、自動投入ユニット6の液剤出口81から外槽3の開口33まで下方に延びる。
【0022】
<給水口>
給水口10は、自動投入ユニット6を介して外槽3に水を供給するホースを接続するための接続口である。給水口10は、筐体2の上部に設けられる。
【0023】
<排水弁>
排水弁11は、開閉可能に構成され、開かれると、外槽3に溜められた水を外槽3の開口35を通じて排水するための弁である。排水弁11は、筐体2の下部に設けられる。
【0024】
<制御部>
制御部(図示せず)は、洗濯機1の運転を制御する部材である。制御部は、駆動部5、自動投入ユニット6の液剤投入装置63A、63B、63C、給水口10、及び排水弁11等の洗濯機1の構成要素を制御する。制御部は、例えば、プログラムを記憶したメモリ(図示せず)と、CPUなどのプロセッサに対応する処理回路(図示せず)とを備え、プロセッサがプログラムを実行することでこれらの要素として機能してもよい。
【0025】
続いて、自動投入ユニット6の構成要素について、図3から図6を参照しながら説明する。図3及び図4は、自動投入ユニット6の斜視図である。図5は、自動投入ユニット6の上面図である。図6は、自動投入ユニット6の一部の斜視図である。
【0026】
<ケース>
図3に示すように、ケース61は、自動投入ユニット6を構成するタンク62A、62B、62Cと、手動投入部65とを収容する部材である。ケース61の底面55は、点線によって模式的に示す外槽3の外郭に沿って、外側K1に傾斜している。ケース61の上部は開口している。
【0027】
ここで、ケース61の前側M1の面を前面56として、ケース61の後側M2の面を背面57とする。図4及び図6に示すように、ケース61の背面57には、液剤投入装置63A、63B、63C(図6)と、液剤吐出流路64と、給水電磁弁66(図4)と、接続流路8(図4)とが接続される。
【0028】
図5に示すように、ケース61の上部には、供給流路67が形成される。供給流路67は、ケース61の外周に沿って、複数の独立した経路を形成する。それぞれの経路は、水を給水電磁弁66からケース61の内部に供給する。
【0029】
<タンク>
ケース61には、3つのタンク62A、62B、62Cが幅方向Kに並んで配置された状態で収容される。タンク62A、62B、62Cは、洗い工程及びすすぎ工程で使用する液剤を貯蔵する容器である。タンク62A、62B、62Cは、略直方体の形状を有し、略直方体の長手方向は前後方向Mと平行である。
【0030】
タンク62A、62B、62Cは、ケース61から取り外し可能である。ケース61から手動投入部65を取り出した状態においては、ケース61の前側M1に空いたスペースが形成される。そのため、タンク62A、62B、62Cを前側M1に引いて液剤投入装置63A、63B、63C(図6)から取り外し、上方に取り出すことができる。
【0031】
<液剤投入装置>
図6に示すように、液剤投入装置63A、63B、63Cは、タンク62A、62B、62Cから既定量の液剤を吸い出して、液剤吐出流路64に吐出する装置である。液剤投入装置63A、63B、63Cは、ケース61の背面57を介して、それぞれのタンク62A、62B、62Cに接続される。タンク62Aには液剤投入装置63Aが接続され、タンク62Bには液剤投入装置63Bが接続され、タンク62Cには液剤投入装置63Cが接続される。液剤投入装置63A、63B、63Cは、幅方向Kに並んで配置される。
【0032】
ケース61、タンク62A、62B、62C、及び液剤投入装置63A、63B、63Cの詳細構造については後述する。
【0033】
<液剤吐出流路>
図6に示すように、液剤吐出流路64は、液剤及び水を、ケース61を介して外槽3に供給する流路部材である。液剤吐出流路64は、ケース61の背面57に設けられ、3つの液剤投入装置63A、63B、63Cに接続される。液剤吐出流路64は、外側K1に向かって下方に傾斜して延びる。液剤吐出流路64を流れる流体は、液剤吐出流路64の傾斜に応じて一方向に流れる。
【0034】
<手動投入部>
図5に示すように、手動投入部65は、洗濯運転の度に、使用者が1回分の洗濯処理剤としての液剤を、手動で投入するための機構である。手動投入される液剤は、投入された量において、ケース61から接続流路8(図1)を介して外槽3(図1)に流入する。手動投入部65に投入される液剤は、液体または粉末状であってもよい。手動投入部65は、ケース61内において、タンク62A、62B、62Cの前側M1で、取り外し可能に収容される。
【0035】
<給水電磁弁>
図4及び図5に示すように、給水電磁弁66は、3つの電磁弁によって構成され、それぞれの弁の開閉によって、給水先となる供給流路67(図5)の経路を変更する。水は、ケース61を介して外槽3に流入する。
【0036】
続いて、自動投入ユニット6のケース61の構造について、図7を参照しながらより詳細に説明する。図7はケース61の斜視図である。
【0037】
図7に示すように、ケース61は、内底面B1、B2、B3を有する。内底面B1、B2、B3は外側K1に沿って順番に並ぶ。内底面B1は、タンク62A(図6)の直下に位置する面であり、内底面B2は、タンク62B(図6)の直下に位置する面であり、内底面B3は、タンク62C(図6)の直下に位置する面である。言い換えれば、内底面B1、B2、B3はそれぞれタンク62A、62B、62Cを収容する領域P1、P2、P3を形成する。
【0038】
ケース61の背面57には、タンク接続口77A、77B、77Cと、第1ケース接続口78と、第2ケース接続口79と、液剤出口81とが形成される。
【0039】
タンク接続口77A、77B、77Cは、ケース61に収容されたタンク62A、62B、62Cと、ケース61の外部に配置された液剤投入装置63A、63B、63Cとの接続のために設けられた開口である。
【0040】
また、第1ケース接続口78は、供給流路67から流れる水を液剤吐出流路64に流入させる開口である。第2ケース接続口79は、液剤吐出流路64からの水と、自動投入される液剤をケース61に流入させる開口である。液剤出口81は、第2ケース接続口79ケース61に流入した流体と、手動投入部65からの流体を、接続流路8を通じて外槽3に向かって排出する開口である。第1ケース接続口78は、第2ケース接続口79より高い位置に設けられる。
【0041】
上述のように構成されたケース61に、タンク62A、62B、62Cを取り付けた状態について、図8A及び図8Bを参照しながら、より詳細に説明する。図8Aは、自動投入ユニット6の斜視断面図である。図8Bは、自動投入ユニット6の断面図である。
【0042】
図8A及び図8Bに示すように、深さL1、L2、L3を、それぞれのタンク62A、62B、62Cの上面から最深部までの距離とする。3つのタンク62A、62B、62Cの深さL1、L2、L3は、外側K1に増加する。タンク62Bの深さL2はタンク62Aの深さL1より大きく、タンク62Cの深さL3はタンク62Bの深さL2より大きい。
【0043】
ここで、タンク62A、62B、62Cの容積について説明する。図5に戻ると、タンク62A、62B、62Cの上面は共通した形状を有する。タンク62A、62B、62Cの幅方向K及び前後方向Mにおける寸法は互いに一致してもよい。上面の形状が共通しているため、タンク62A、62B、62Cの容積は、深さL1、L2、L3に応じて、外側K1に沿って増加する。
【0044】
3つのタンク62A、62B、62Cには、異なるまたは同一の液剤が収容されてもよい。液剤の種類及びタンク62A、62B、62Cの容積を考慮して、液剤の使用頻度が低いものから順に、タンク62A、62B、62Cに収容されてもよい。例えば、タンク62Aには中性洗剤が貯蔵され、タンク62Bには柔軟剤が貯蔵され、タンク62Cには洗剤が貯蔵される。
【0045】
図8A及び図8Bに示すように、最深部を含むタンク62A、62B、62Cの底面は、幅方向Kに沿っており、タンク毎に外側K1に向かって低くなっている。よって、タンク62A、62B、62Cの底面は、階段状に並ぶ。タンク62A、62B、62Cの底面に直下には、ケース61の内底面B1、B2、B3が位置する。内底面B1、B2、B3も、外側K1に向かって順に低い位置に、即ち階段状に形成される。よって、領域P1、P2、P3の深さは、外側K1に向かって順に増加する。
【0046】
また、図8Bに示すように、それぞれのタンク62A、62B、62Cと、内底面B1、B2、B3との間には間隙H1、H2、H3が形成される。内底面B3とタンク62Cの底面との間の間隙H3は、間隙H1、H2より大きい。
【0047】
タンク62Cの直下は、筐体2の外側に近く、タンク62A、62Bと比較して、上下方向のスペースを確保しやすいため、大きな間隙H3が形成できる。そのため、内底面B3に沿って液剤及び水を外槽3に流す投入流路82を形成することが容易にできる。このような構成によって、タンク62A、62Bの容積を最大化しつつ、投入流路82のスペースも確保できる。投入流路82の下端は、液剤出口81(図7)を形成し、液剤出口81を介して外槽3に連通する。
【0048】
タンク62A、62B、62Cの後側M2の面、即ち、短手方向を含む面は、接続部76A、76B、76Cを形成する。接続部76A、76B、76Cは、液剤投入装置63A、63B、63Cに接続される構造である。接続部76A、76B、76Cは、それぞれ、逆止弁(図示せず)と接続口とを備える。逆止弁は、液剤投入装置63A、63B、63Cが装着されると開放され、タンク62A、62B、62Cと液剤投入装置63A、63B、63Cとが連通する。接続口は、液剤が吸い出される開口であり、図7に示すタンク接続口77A、77B、77Cに面する。なお、接続部76A、76B、76Cは、他の構造をさらに備えてもよい。接続部76A、76B、76Cは、タンク62A、62B、62Cの最深部において形成される。よって、接続部76A、76B、76Cの深さL1、L2、L3は、外側K1に向かって増加する。
【0049】
続いて、タンク62A、62B、62Cに接続される液剤投入装置63A、63B、63Cについて、図9及び図10を参照しながらより詳細に説明する。図9は、タンク62A、62B、62C、液剤投入装置63A、63B、63C、及び液剤吐出流路64の部分分解図である。図10は、タンク62A、62B、62C、液剤投入装置63A、63B、63C、及び液剤吐出流路64の背面図である。ここで、タンク62、液剤投入装置63、及び接続部76を、それぞれ、タンク62A、62B、62C、液剤投入装置63A、63B、63C、及び接続部76A、76B、76Cの総称とする。
【0050】
図9及び図10に示すように、タンク62の接続部76の深さの変化に応じて、液剤投入装置63A、63B、63Cは、外側K1に向かって低くなる。液剤投入装置63の後述する液剤流入口91が、タンク62の短手方向を含む面に形成された接続部76に対向するように、液剤投入装置63A、63B、63Cは配置される。本実施形態では、液剤投入装置63A、63B、63Cは階段状に配置され、階段状における液剤投入装置63と、タンク62及び接続部76とは、深さ方向に等しいピッチを有する。このような構造によって、3つのタンク62において、接続部76から液剤投入装置63まで液剤が流れる距離を等しくすることが可能になる。そのため、接続部76と液剤投入装置63との間の経路において、後述のポンプ機構73を駆動させた際に生じる圧力損失のばらつきを小さくすることができる。したがって、液剤投入装置63による液剤の供給量のばらつきを抑制することができる。
【0051】
さらに、図9に示すように、タンク62は、本体87と蓋88とを備える。本体87の上部は開口しており、蓋88に覆われている。蓋88は、本体87に取り外し可能に保持される。前述のように、タンク62の上面は共通の形状を有しており、よって、本体87の上面は共通の形状を有する。また、蓋88を保持するための構造も共通である。そのため、それぞれのタンク62の蓋88を共通で形成することが可能であり、蓋88は交換可能である。より具体的には、任意のタンク62A、62B、62Cの蓋88は、他のタンク62A、62B、62Cにも取り付け可能である。一方で、蓋88に付される色、模様、文字等、その他タンク62の識別性を向上させる表示は、異なってもよい。蓋88は、タンク62の前側M1に、蓋88に対して開閉可能な小蓋88Aを有する。
【0052】
1つの任意のタンク62に接続された液剤投入装置63を例として、図11A図11B図12Aを参照しながら、1つの液剤投入装置63の構造についてより詳細に説明する。図11Aは、単一のタンク62と液剤投入装置63の分解図である。図11Bは、単一のタンク62と液剤投入装置63の分解図である。図12Aは、液剤投入装置63の模式図であり、液剤投入装置63の内部が見えるように一部の構成を省略している。
【0053】
図11A及び図11Bに示すように、液剤投入装置63は、前後方向Mに沿ってタンク62の背面90に着脱可能に接続される。言い換えれば、タンク62と、タンク62に接続された液剤投入装置63は、それぞれ前後方向Mに沿って配置される。
【0054】
図11Aに示すように、液剤投入装置63は、動力部71と、減速機構72と、ポンプ機構73とを備える。動力部71は、回転軸V1の周りで回転する電子部品である。減速機構72は、動力部71の周囲に配置されており、動力部71より小さい回転速度で回転する出力軸V2(図12A)を備える機構である。出力軸V2は、回転軸V1と平行である。ポンプ機構73は、出力軸V2に接続され、タンク62からの液剤を吸い上げて吐出する容積型ポンプである。動力部71の回転軸V1が回転すると、減速機構72の出力軸V2が回転し、ポンプ機構73における後述するピストン83が上下運動する。
【0055】
液剤投入装置63の配置についてより詳細に説明する。図11Aに示すように、減速機構72及び動力部71は、径方向R1に延びる。径方向R1は、出力軸V2に直交する平面において、出力軸V2から離れる水平方向を意味する。径方向R1は、動力部71及び減速機構72が回転する平面と平行である。径方向R1は幅方向Kと略直交する。径方向R1と幅方向Kとの間に形成される角度は、60°以上120°以下である。本実施形態では、径方向R1は幅方向Kと直交し、径方向R1は、前後方向Mと平行である。さらに、径方向R1は、液剤投入装置63がタンク62に接続される方向と、即ち液剤が液剤投入装置63に流入する方向と平行である。
【0056】
また、径方向R1における減速機構72の寸法D1は、回転軸V1に延びる減速機構72の厚みT1より大きい。減速機構72の配置によって、液剤投入装置63がタンク62に接続された状態において、液剤投入装置63の幅方向Kにおける寸法を小さくすることができる。一方で、径方向R1における減速機構72の寸法D1は、幅方向Kにおけるタンク62の寸法D2より大きい。そのため、減速機構72の径方向R1が幅方向Kに配置された場合と比較して、液剤投入装置63をタンク62に接続した構成の幅方向Kにおける寸法を小さくし、タンク62の間のピッチを小さくすることができる。小ピッチ配置によって、外槽3(図2)の上方の限られた空間において、各タンク62の容積を損なわず、例えば、タンク62を3つ配置することが可能になる。
【0057】
動力部71及び減速機構72についてより詳細に説明する。図12Aに示すように、動力部71は、コイル71Aと、マグネット71Bと、コネクタ端子71Cとを有する。コネクタ端子71C管に電圧を印加すると、コイル71A内に電流が流れる。電流によって、コイル71Aは、周囲に磁界を生じる。マグネット71Bは、コイル71Aが生じる磁界を受けて、トルクが発生し、回転軸V1の周りで回転する。マグネット71Bの回転は、減速機構72に伝達される。
【0058】
減速機構72は、複数の減速ギア102によって構成される。1つの減速ギア102がマグネット71Bに係合しているため、マグネット71Bの回転は、減速ギア102を介して、出力軸V2に伝達される。一方で、出力軸V2の回転は、偏心カム89を介して、上下運動に変換され、ポンプ機構73に伝達される。
【0059】
減速機構72を設けることによって、汎用の動力部71を液剤投入装置63に適用することができ、自動投入ユニット6のコストを抑えることができる。
【0060】
また、動力部71と減速機構72とは、併せてモータ70と称してもよい。
【0061】
ポンプ機構73についてより詳細に説明する。図12Aに示すように、ポンプ機構73は、ピストン83と、シリンダ84と、入口流路85と、出口流路86とを有する。ピストン83は、減速機構72の出力軸V2に接続され、出力軸V2の回転に伴って上下方向に往復運動する部材である。シリンダ84は、ピストン83を収容し、液剤が吸い上げられる空間を形成する部材である。入口流路85は、液剤流入口91を通じて、タンク62から液剤を吸い上げるため、タンク62とシリンダ84の下端とを接続する流路である。液剤流入口91はタンク62の接続部76に挿入される。出口流路86は、シリンダ84内の液剤を液剤吐出流路64に排出するため、シリンダ84の下端と液剤吐出流路64とを接続する流路である。
【0062】
図12Bは、シリンダ84及び減速機構72の斜視図である。図12Cは、シリンダ84の側面図である。
【0063】
図12Bに示すように、シリンダ84は、シリンダ84に動力部71及び減速機構72(即ちモータ70)を取り付けるためのブラケット92と一体に形成されている。ブラケット92は、取付ガイド92Aと、ビス穴92Bとを形成する。取付ガイド92Aは、減速機構72に形成されるガイド穴72Aに挿入され、減速機構72の位置決めを実現する。ビス穴92Bは、減速機構72に形成されるビス穴72Bと面した状態で、ビスが挿入され、シリンダ84と減速機構72との固定を実現する。取付ガイド92Aと、ビス穴92Bとは、それぞれ2つずつ、減速機構72の径方向に対して対向する位置に形成される。
【0064】
図12Cに示すように、シリンダ84は、ピストン83(図12A)が上下に摺動する範囲Z1に沿って、ブラケット92との間に隙間84Aを形成する。そのため、シリンダ84は、ピストン83が摺動する範囲Z1において、均一な厚みを有する。このような構造によって、樹脂成形時の引けを抑制することができる。よって、範囲Z1において、ピストン83のシール性を実現するため、シリンダ84において必要な寸法精度を確保できる。
【0065】
また、図12Aに戻ると、モータ70は、動力部71が出力軸V2に対して入口流路85から離れる姿勢で、ブラケット92(図12C)に取り付けられている。従って、減速機構72は、シリンダ84の中心軸よりも、入口流路85から離れる方向に大きく突出するため、タンク62とシリンダ84とを近づけて配置できる。さらに、動力部71に含まれるコネクタ等の電子部品と流路との干渉を抑制できる。
【0066】
[動作]
以上のような構成において、次に自動投入ユニット6の動作の一例について、図12A及び図13A図13Cを参照しながら説明する。図13A及び図13Bは、水の流れを示すケース61の上面図である。図13Cは、水及び液剤S1、S2の流れを示すケース61の斜視図である。
【0067】
自動投入ユニット6は、洗濯機1の洗い工程と、すすぎ工程との際に動作する。自動投入ユニット6の動作は、制御部によって制御される。制御部は、例えば、給水電磁弁66の開閉、及び投入する液剤の種類、投入量や投入のタイミング等を制御する。
【0068】
図13A図13Cに示すように、洗い工程及びすすぎ工程において、自動投入ユニット6は、外槽3に水及び液剤を供給する。
【0069】
ここで、水の流れについて、より詳細に説明する。水は、給水電磁弁66から、矢印X1~X3に示す経路に供給される。経路は、給水電磁弁66から、供給流路67及びケース61を介して、外槽3に到達する。
【0070】
図13Aに示すように、洗い工程において、洗剤の自動または手動投入を実行するために、給水電磁弁66の第1電磁弁(図示せず)が開放される。この状態において、水は、給水電磁弁66から、供給流路67において矢印X1及び矢印X2で示す経路に分岐して流れる。
【0071】
矢印X1に沿って流れる水は、タンク62の背面90の上方に形成される開口94からケース61に流入する。矢印X2に沿って流れる水は、手動投入部65付近に形成される開口95を通過して、手動投入部65に形成される水投入開口96から、手動投入された洗剤とともに、ケース61に向かって下方に流れる。
【0072】
図13Bに示すように、矢印X1に沿ってケース61に流入した水は、矢印X11及び矢印X12で示す2つの経路にさらに分岐する。矢印X11に沿って流れる水は、ケース61から第1ケース接続口78を介して液剤吐出流路64(図示せず)に流入する。水は、傾斜された液剤吐出流路64を重力に沿って流れて、第2ケース接続口79からケース61の投入流路82に流入する。矢印X12に沿って流れる水は、3つの液剤投入装置63の先端の下を順に通過するように、ケース61の内底面に沿って流れる。この流れによって、タンク62の脱着動作により、漏れ出てケース61の内底面に付着した液剤を洗い落とすことができる。矢印X12に沿って流れる水は、矢印X11に沿って流れる水と投入流路82にて合流する。矢印X2に沿ってケース61に流入した水は、接続流路8に向かって、投入流路82を流れる。矢印X2に沿って流れる水は、矢印X11、X12に沿って流れる水と投入流路82にて合流する。
【0073】
図13Cに示すように、投入流路82を流れる水は、液剤出口81から接続流路8(図13B)を通じて外槽3に流入する。
【0074】
また、図13Aに戻って、すすぎ工程において柔軟剤の手動投入を実行するために、給水電磁弁66の第2電磁弁(図示せず)が開放される。この状態において、水は、供給流路67において矢印X3で示す経路を流れる。矢印X3に沿って流れる水は、手動投入部65付近に形成される開口97を通過して、手動投入部65から、手動投入された柔軟剤とともにケース61に流入する。
【0075】
図13Bに示すように、矢印X3に沿ってケース61に流入した水は、ケース61に内底面B4を沿って、投入流路82に向かって流れる。内底面B4は、タンク62の直下に形成される内底面B1~B3の前側に形成され、内底面B1から内底面B3に向かう方向に沿って下方に傾斜される。傾斜によって、水は内底面B4を重力に沿って流れる。その後、水は、図13Cに示すように、液剤出口81から接続流路8(図13B)を通じて外槽3に流入する。
【0076】
続いて、自動投入される液剤の流れについて、より詳細に説明する。洗い工程における制御部の動作によって、洗剤が収容されるタンク62C(図9)に接続される液剤投入装置63C(図9)が駆動される。図12Aに示すように、液剤投入装置63Cにおける動力部71が回転し、動力部71の回転が、減速機構72を介して減速され、ポンプ機構73のピストン83に伝達される。ピストン83が下死点から上昇すると、タンク62Cの洗剤S1は、入口流路85を通じて、シリンダ84に吸い上げられる。ピストン83が上死点に到達し下降し始めると、シリンダ84内の洗剤S1は、出口流路86を通じて液剤吐出流路64に排出される。
【0077】
図13Cに示すように、洗剤S1は、傾斜された液剤吐出流路64を重力に沿って流れる。洗剤S1は、液剤吐出流路64において、矢印X11に沿って流れる水と合流してもよい。洗剤S1は、第2ケース接続口79からケース61の投入流路82に流入し、投入流路82の傾斜によって液剤出口81に導かれ、接続流路8を介して外槽3に流入する。
【0078】
また、選択された運転コース、および/またはユーザの選択操作に基づいて、外槽3に投入される液剤が決定される。運転コースとしておしゃれ着洗いが選択されると、中性洗剤が外槽3に投入されてもよい。この場合、洗剤S1が収容されるタンク62Cの液剤投入装置63Cの代わりに、中性洗剤が収容されるタンク62Aの液剤投入装置63Aが駆動される。
【0079】
すすぎ工程における制御部の動作によって、柔軟剤S2が収容されるタンク62Bの液剤投入装置63Bが駆動される。
【0080】
洗い工程及びすすぎ工程を繰り返すと、タンク62に収容される液剤の量が減少する。洗濯機1の使用者は、タンク62に液剤を補充することができる。タンク62がケース61に配置された場合において、図9に示すように、小蓋88Aを開けて、液剤を補充することができる。一方で、タンク62をケース61から取り出した場合において、蓋88を取り外して、または小蓋88Aを開けて、液剤を補充することができる。
【0081】
上記の説明をまとめて、本開示の特徴を述べる。
【0082】
本実施形態に係る洗濯機1においては、減速機構72の径方向R1と幅方向Kが直交するように、液剤投入装置63とタンク62を配置する。このような構成によって、第一に、液剤投入装置63の幅方向Kの寸法を小さくして、タンク62を小さい間隔で配置することが可能になる。そのため、幅方向Kに自動投入ユニット6の省スペース化を実現し、筐体2における限られたスペースにおいて、タンク62を3つ設けることが可能になる。第二に、それぞれのタンク62に対して、個別の液剤投入装置63を設けることが可能になる。複数のタンク62が1つの液剤投入装置63を共有する場合と比較して、液剤投入装置63を1つのタンク62に接続する際に、他のタンク62との関係による液剤投入装置63の配置の制限が抑制される。よって、タンク62と液剤投入装置63とを近づけた配置が可能となる。そのため、タンク62と液剤投入装置63との間の経路における圧力損失を抑制できる。さらに、タンク62と液剤投入装置63との間の距離を一定にした場合、タンク62と液剤投入装置63との間の圧力損失のばらつきを抑制することができる。したがって、液剤投入装置63による液剤投入の効率及び安定性を向上させることができる。
【0083】
また、タンク62の容積をさらに大きくするため、外側K1に、タンク62の深さL1、L2、L3が増加する。このような構成によって、ケース61の内部において、タンク62の合計容積を大きくすることができる。よって、使用者がタンク62を補充する回数が減少する。また、液剤の使用頻度に応じて、適切な容積において液剤を収容することができる。したがって、自動投入ユニット6の使い勝手が向上する。上述より、本実施形態による洗濯機1は、自動投入ユニット6の機能を向上できる。
【0084】
[効果1]
実施の形態1に係る洗濯機1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0085】
上述したように、本実施形態の洗濯機1は、外槽3と、少なくとも2つのタンク62と、少なくとも2つの液剤投入装置63(自動液剤投入装置)と、を備える。外槽3は、筐体2内に弾性支持される。少なくとも2つのタンク62は、外槽3に供給される液剤を収容し、幅方向K(第1方向)に沿って配置される。少なくとも2つの液剤投入装置63は、それぞれのタンク62に形成された接続部76に接続され、幅方向Kに沿って配置される。それぞれの液剤投入装置63は、動力部71と、動力部71と係合した減速機構72と、減速機構72の出力軸に接続されるポンプ機構73と、を有する。減速機構72の径方向R1は、幅方向Kと略直交する。
【0086】
このような構成によって、2つの液剤投入装置63を設けた構成において、液剤投入装置63の幅方向Kの寸法を抑えることが可能であるため、タンク62の間隔を小さくして配置することが可能になる。そのため、幅方向Kにおける自動投入ユニット6の省スペース化を実現できる。さらに、タンク62がそれぞれ個別の液剤投入装置63を有するため、タンク62が1つの液剤投入装置を共有する場合と比較して、タンク62と液剤投入装置63とを近づけた構成が可能になる。そのため、タンク62と液剤投入装置63との間の圧力損失を抑制し、液剤投入装置63による液剤投入の効率及び安定性を向上させることができる。したがって、自動投入ユニット6の機能を向上できる。
【0087】
また、本実施形態の洗濯機1は、タンク62は3つ設けられ、液剤投入装置63は3つ設けられる。
【0088】
このような構成によって、液剤投入装置63の幅方向Kの寸法を抑えることが可能であるため、限られたスペースにおいても、それぞれ個別の液剤投入装置63を有する3つのタンク62を設けることができる。
【0089】
また、本実施形態の洗濯機1において、タンク62に形成された接続部76は、タンク62の背面90に形成される。
【0090】
このような構成によって、液剤投入装置63が、接続部76を形成するタンク62の背面90と対向するように配置される。ポンプ機構73を備える液剤投入装置63をタンク62の背面90の直後に配置することによって、それぞれのタンク62とポンプ機構73との距離を等しくした配置が可能になる。そのため、液剤投入装置63による圧力損失を抑制し、より高精度で既定量の液剤を投入できる。また、タンク62と液剤投入装置63の距離を短くすることにより、動力部71において必要なトルクを小さくできる。そのため、幅方向Kの寸法がより小さい動力部71を採用することができる。これによって、動力部71における幅方向Kの省スペース化及び低コスト化を実現できる。
【0091】
また、本実施形態の洗濯機1において、タンク62の取付状態において、それぞれのタンク62に形成された接続部76は、異なる高さに配置される。
【0092】
このような構成によって、接続部76に接続される液剤投入装置63を異なる高さに配置し、液剤投入装置63の下流側の流路(例えば、液剤吐出流路64)を傾斜させて設けた構成が可能になる。流路の傾斜によって、流体の流れを促進できる。
【0093】
また、本実施形態の洗濯機1において、動力部71の回転軸V1及び減速機構72の出力軸V2は、幅方向Kに沿っている。
【0094】
このような構成によって、動力部71及び減速機構72の径方向R1は、幅方向Kに直交する方向に沿っている。動力部71及び減速機構72が径方向R1において大きい寸法を有する場合においても、幅方向Kにおける液剤投入装置63の寸法を抑えることが可能である。
【0095】
また、本実施形態の洗濯機1において、ポンプ機構73は、減速機構72に接続され、上下方向に往復運動するピストン83と、ピストン83を収容するシリンダ84と、を有する。
【0096】
筐体2内に弾性支持された外槽3と、外槽3に供給される液剤を収容し、幅方向K(第1方向)に沿って配置される少なくとも2つのタンク62と、それぞれのタンク62に形成された接続部76に接続され、幅方向Kに沿って配置される少なくとも2つの液剤投入装置63(自動液剤投入装置)と、を備え、それぞれの液剤投入装置63は、モータ70と、モータ70により駆動され、タンク62の液剤を吸引し、吐出するポンプ機構73と、を有し、モータ70は、幅方向Kからポンプ機構73と接続される。
【0097】
このような構成によって、モータ70が、ポンプ機構73と接続する方向と直交する方向に、大きい寸法を有する場合においても、タンク62の間隔を小さくして配置することが可能になる。
【0098】
筐体2内に弾性支持された外槽3と、外槽3に供給される液剤を収容し、幅方向K(第1方向)に沿って配置される少なくとも2つのタンク62と、それぞれのタンク62に形成された接続部76に接続され、幅方向Kに沿って配置される少なくとも2つの液剤投入装置63(自動液剤投入装置)と、を備え、接続部76は、タンク62の短手方向を含む面に形成され、それぞれの液剤投入装置63は、接続部76が形成されるタンク62の短手方向を含む面に対向するように配置されている。
【0099】
このような構成によって、液剤投入装置63をタンク62の短手方向を含む面の直後に配置し、それぞれのタンク62と液剤投入装置63との距離を等しくした配置が可能になる。
【0100】
タンク62は、前後方向M(第2方向)に沿って液剤投入装置63と着脱可能に設けられ、それぞれのタンク62及び液剤投入装置63は、前後方向Mに沿って配置されている。
【0101】
このような構成によって、それぞれのタンク62と液剤投入装置63とを近づけた配置が可能になる。
【0102】
タンク62は、前後方向Mが長手方向となるように形成されている。
【0103】
このような構成によって、タンク62における幅方向Kの寸法を抑えることができる。
【0104】
[効果2]
本実施形態の洗濯機1は、外槽3と、タンク62A(第1タンク)と、タンク62B(第2タンク)と、を備える。外槽3は、筐体2内に弾性支持される。タンク62Aは、外槽3に供給される液剤を収容する。タンク62Bは、外槽3に供給される液剤を収容し、タンク62Aに並んで配置される。タンク62Bの深さは、外槽3の外周に沿って、タンク62Aの深さより大きい。
【0105】
このような構成によって、2つのタンク62A、62Bによる合計容積を大きくすることが可能になる。また、筐体2内に、異なる種類の液剤を異なる量において貯蔵することができる。したがって、自動投入ユニット6の機能を向上できる。
【0106】
また、本実施形態の洗濯機1において、タンク62Bは、タンク62Aに対して、外側K1に(外槽3の底部36を通過する中心軸V0から離れる第1方向に沿って)配置される。
【0107】
このような構成によって、外側K1に下降する外槽3の外周に沿って、2つのタンク62A、62Bによる合計容積を大きくすることが可能になる。
【0108】
また、本実施形態の洗濯機1は、液剤投入装置63A(第1自動液剤投入装置)と、液剤投入装置63B(第2自動液剤投入装置)と、をさらに備える。液剤投入装置63Aは、タンク62Aに形成された接続部76A(第1接続部)に接続される。液剤投入装置63Bは、タンク62Bに形成された接続部76B(第2接続部)に接続される。
【0109】
このような構成によって、タンク62がそれぞれ個別の液剤投入装置63を有するため、タンク62が1つの液剤投入装置を共有する場合と比較して、タンク62と液剤投入装置63とを近づけた構成が可能になる。タンク62と液剤投入装置63との間の圧力損失を抑制し、より高精度で既定量の液剤を投入できる。
【0110】
また、本実施形態の洗濯機1において、接続部76Bの深さは、接続部76Aの深さより大きい。
【0111】
このような構成によって、タンク62Bにおいて、液剤の吐出を促進しつつ、タンク62Bの容積を大きくすることができる。また、タンク62A、62Bの下流側の流路(例えば、液剤吐出流路64)を傾斜させて設けた構成が可能になる。
【0112】
また、本実施形態の洗濯機1において、タンク62Aと、タンク62Bとは、それぞれの上部を覆う共通した形状を有して形成された蓋を有する。
【0113】
このような構成によって、蓋88はタンク62Aとタンク62Bとの間で互換性を有するため、タンク62A、62Bの使い勝手を向上できる。
【0114】
また、本実施形態の洗濯機1は、タンク62C(第3タンク)と、液剤投入装置63C(第3自動液剤投入装置)と、をさらに有する。タンク62Cは、液剤を収容し、タンク62Bに対して、タンク62Aと逆側に配置される。液剤投入装置63Cは、タンク62Cに形成された接続部76C(第3接続部)に接続される。タンク62Cの深さは、タンク62Bの深さより大きい。
【0115】
このような構成によって、3つのタンク62A、62B、62Cによる合計容積をさらに大きくすることができる。
【0116】
筐体2内に弾性支持された外槽3と、外槽3に供給される液剤を収容するタンク62A(第1タンク)と、外槽3に供給される液剤を収容し、タンク62Aに対し、外槽3の底部を通過する中心軸V0から離れる幅方向K(第1方向)に沿って配置されるタンク62C(第2タンク)と、タンク62A及びタンク62Cを収容するケース61と、ケース61に水を供給する給水電磁弁66(注水部)と、を備え、ケース61は、タンク62Aを収容する領域P1(第1領域)と、タンク62Cを収容する領域P3(第2領域)と、を含み、領域P3の深さは、領域P1の深さよりも大きく、領域P3の内底面B3には、注水部から注水された水が流下する投入流路82が形成されている。
【0117】
このような構成によって、投入流路82を形成し、タンク62Cの直下のスペースを有効活用できる。
【0118】
投入流路82とタンク62Cの底面との間の間隙は、領域P1の内底面B1とタンク62Aの底面との間の間隙よりも大きい。
【0119】
このような構成によって、タンク62Cの深さL3がタンク62Aの深さL1より大きい場合においても、投入流路82を形成することが容易にできる。
【0120】
投入流路82の上流には、手動投入された液剤を収容する手動投入部65が設けられており、給水電磁弁66は、手動投入部65に水を供給する。
【0121】
このような構成によって、液剤を自動でまたは手動で投入することができる。さらに、手動投入部65に水を供給することで、手動投入部65における液剤の残留を抑制できる。
【0122】
なお、本開示は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0123】
なお、実施形態において、自動投入ユニット6が3つのタンク62を有する場合について説明したが、このような場合に限定されない。自動投入ユニット6が2つのタンク62または4つ以上のタンク62を有してもよい。
【0124】
なお、実施形態において、タンク62が幅方向Kに沿って配置した例について説明したが、これに限定されない。例えば、外槽3が筐体2の設置面に対して、後側M2に向かって下方に傾くように弾性支持されている場合、タンク62を前後方向Mに沿って配置してもよい。言い換えると、タンク62Bは、タンク62Aに対して、外槽3の底部36を通過する中心軸V0に沿って配置されてもよい。この場合、タンク62の階段状配置は後側M2に向かって低くなり、液剤吐出流路64は後側M2に向かって下方に傾斜される。このような構成によっても、タンク62の合計容積を大きくすることができる。
【0125】
なお、実施形態において、タンク62A、62B、62Cの深さL1、L2、L3が幅方向Kに沿って外側K1に階段状に変化する例について説明したが、これに限定されない。タンク62Aの深さよりタンク62B、62Cの深さが大きければよい。例えば、タンク62Bとタンク62Cとの深さは等しくてもよい。一方で、タンク62A、62B、62Cの深さが異なると、ケース61において、タンク62A、62B、62Cの取付位置の間違いを防止することができる。
【0126】
なお、実施形態において、ポンプ機構73が容積型ポンプであると説明したが、これに限定されない。ポンプ機構73はアスピレータ式のポンプであってもよい。
【0127】
なお、実施形態において、ポンプ機構73が延びる方向(上下方向)、即ちピストン83が移動する方向が、3つの液剤投入装置63において揃っている例について説明したが、これに限定されない。例えば、任意のポンプ機構73が延びる方向は前後方向Mであってもよい。一方で、ポンプ機構73が延びる方向が揃っていると、隣接したピストン83間の隙間に動力部71を配置でき、空間を有効利用できる。
【0128】
なお、ポンプ機構73に対して、モータ70は、中心側K2から、または外側K1から取り付けられてもよい。また、外側K1から取り付けられたモータ70と、中心側K2から取り付けられたモータ70と、が混在してもよい。
【0129】
なお、実施形態において、タンク62と液剤投入装置63との接続方向が前後方向Mであると説明したが、これに限定されない。例えば、後述の変形例1のように、タンク62と液剤投入装置63との接続方向は上下方向に沿ってもよい。
【0130】
[変形例1]
図14は、変形例1による自動投入ユニット106の模式断面図である。図14に示すように、変形例1では、ケース161からタンク162を上下方向(Z方向)に取り外す点において、実施形態の自動投入ユニット6と異なる。タンク162を上下方向に取り外すためには、液剤投入装置163と接続する接続部176は、タンク162の底面に形成される。このような構成においても、減速機構72の径方向R1を幅方向Kに直交させて、タンク62の小ピッチ配置及び自動投入ユニット6の機能向上を実現できる。また、シリンダ184は水平方向(X方向)に沿って延び、ピストン183は水平方向に沿って移動する。このような構成によって、自動投入ユニット106の上下方向における寸法の増加を抑制することができる。
【0131】
なお、実施形態において、液剤投入装置63が、出口側において、液剤吐出流路64に接続される例について説明したが、これに限定されない。例えば、後述の変形例2のように、液剤投入装置63は、出口側において、タンク62の直下におけるケース61に接続されてもよい。
【0132】
[変形例2]
図15は、変形例2による自動投入ユニット206の模式断面図である。図15に示すように、変形例2では、液剤投入装置263が、出口側において、直接ケース261に接続される点において、実施形態の自動投入ユニット6と異なる。このような構成においても、減速機構72の径方向R1を幅方向Kに直交させて、タンク62の小ピッチ配置及び自動投入ユニット6の機能向上を実現できる。また、実施形態の液剤吐出流路64を設ける代わりに、ケース261において、タンク262の直下の内底面B200が液剤吐出流路264を形成する。このような構成によって、自動投入ユニット206の構造を簡略化し、部品点数及び製造コストを抑えることができる。
【0133】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本開示の洗濯機は、液剤投入に関する構成の機能を向上させることができるため、家庭用の洗濯機、業務用の洗濯機、あるいは任意の種類の洗濯乾燥機(例えば家庭用のドラム式洗濯機)として有用である。
【符号の説明】
【0135】
1 洗濯機
2 筐体
3 外槽
4 内槽
5 駆動部
6 自動投入ユニット
8 接続流路
10 給水口
11 排水弁
61 ケース
62 タンク
63 液剤投入装置
64 液剤吐出流路
65 手動投入部
66 給水電磁弁
71 動力部
72 減速機構
73 ポンプ機構
76 接続部
77、78、79 接続口
83 ピストン
84 シリンダ
K 幅方向
M 前後方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14
図15