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  • 特許-溶接方法、および缶体の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】溶接方法、および缶体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 33/00 20060101AFI20241018BHJP
   B23K 9/02 20060101ALI20241018BHJP
   B23K 9/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B23K33/00 Z
B23K9/02 S
B23K9/00 501K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023002518
(22)【出願日】2023-01-11
(65)【公開番号】P2024098800
(43)【公開日】2024-07-24
【審査請求日】2024-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】橋崎 凌
(72)【発明者】
【氏名】嶋 和也
(72)【発明者】
【氏名】西川 剛
(72)【発明者】
【氏名】坂本 凌平
(72)【発明者】
【氏名】雁瀬 嘉久
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 皓治
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-296969(JP,A)
【文献】特開2009-167439(JP,A)
【文献】特開2019-25519(JP,A)
【文献】特開2010-203697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 31/00 - 31/02、
31/10 - 33/00、
37/00 - 37/08
B23K 9/00 - 9/32、
10/00 - 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1板材と第2板材とを接合する溶接方法であって、
前記第1板材は、円筒形状の第1面部と、前記第1面部の端部である第1端部と、を有し、
前記第2板材は、円筒形状の第2面部と、前記第2面部の端部である第2端部と、を有し、
前記第1端部には、前記第1面部の径方向外側に拡大する第1曲げ部と、前記第1曲げ部よりも前記第1端部の先端側において前記第1曲げ部と反対方向に曲がる第2曲げ部と、前記第2曲げ部よりも前記先端側において前記第2曲げ部と反対方向に曲がる第3曲げ部と、が形成され、
前記第2端部は、平坦な形状であり、
前記第1曲げ部と前記第2曲げ部とのつなぎ目と、前記第2端部の端面と、を互いに押し当てた状態で、前記第3曲げ部から加熱し、前記第1端部と前記第2端部とを溶接する溶接方法。
【請求項2】
前記第2端部は、前記第1面部よりも前記径方向外側に向けて、前記第2端部の厚み以上ずらして配置される、
請求項1に記載の溶接方法。
【請求項3】
前記第2面部の内径は、前記第1面部の内径よりも、前記第2端部の厚みの2倍以上大きい、
請求項2に記載の溶接方法。
【請求項4】
前記第1曲げ部、前記第2曲げ部、および、前記第3曲げ部は、それぞれ鈍角に曲がる、
請求項1に記載の溶接方法。
【請求項5】
前記第1面部の軸の方向において、前記第1曲げ部から、前記第1端部の前記先端までの距離は、前記第1面部の厚みの2倍以上である、
請求項1に記載の溶接方法。
【請求項6】
前記第1端部の前記先端は、前記第2端部と前記第1面部との間の目違いと、前記第2端部の厚みの2倍と、の合計よりも大きい距離だけ、前記第1面部よりも前記径方向外側に位置する、
請求項1に記載の溶接方法。
【請求項7】
鏡板と、円筒形状の胴体と、を溶接して缶体を製造する缶体の製造方法であって、
前記鏡板として、前記第1板材および前記第2板材のうち、一方を用い、
前記胴体として、前記第1板材および前記第2板材のうち、前記一方と異なる他方を用い、
請求項1から6のいずれかに記載の溶接方法を用いて前記鏡板と前記胴体とを溶接する、
缶体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、溶接方法、および缶体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、板材どうしを溶接する際に、板材どうしの間においてギャップや板厚方向のずれを抑制できる溶接方法を開示する。この溶接方法は、第一板材に対して第一曲げ部および第二曲げ部を有するひさし部を形成し、第二板材をひさし部に押し当てた状態で溶接を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-113796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、溶接時において、板材どうしを位置合わせし易い溶接方法、および缶体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における溶接方法は、第1板材と第2板材とを接合する溶接方法であって、前記第1板材は、円筒形状の第1面部と、前記第1面部の端部である第1端部と、を有し、前記第2板材は、円筒形状の第2面部と、前記第2面部の端部である第2端部と、を有し、前記第1端部には、前記第1面部の径方向外側に拡大する第1曲げ部と、前記第1曲げ部よりも前記第1端部の先端側において前記第1曲げ部と反対方向に曲がる第2曲げ部と、前記第2曲げ部よりも前記先端側において前記第2曲げ部と反対方向に曲がる第3曲げ部と、が形成され、前記第2端部は、平坦な形状であり、前記第1曲げ部と前記第2曲げ部とのつなぎ目と、前記第2端部の端面と、を互いに押し当てた状態で、前記第3曲げ部から加熱し、前記第1端部と前記第2端部とを溶接する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の溶接方法、および缶体の製造方法は、第1端部と第2端部とを位置合わせする際に、第1端部に形成された第1曲げ部、第2曲げ部、および、第3曲げ部により、第2端部23を案内することができる。このため、第1板材と第2板材とを位置合わせし易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1に係る缶体の斜視図
図2】実施の形態1に係る缶体の断面図
図3図2の拡大図
図4】実施の形態1に係る溶接装置にセットされた状態の鏡板および胴体の断面図
図5図4の拡大図
図6】実施の形態1に係る位置合わせされた状態の鏡板および胴体の断面図
図7図6の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に至った当時、板材どうしの溶接方法の技術は、溶接の品質の確保と生産性の向上の両立が求められる状況であった。そのため、当該業界では、溶接の品質および生産性の向上を課題として、特許文献1に記載のように、板材の端部を変形させることにより、板材どうしの位置ずれを抑制する技術が提案されていた。そうした状況下において、発明者らは、ひさし部が特許文献1に記載のような形状である場合、2つの板材どうしを位置合わせするときに、板材の端面どうしが衝突し、板材どうしがずれ易いという課題があることを発見した。特に、給湯装置に用いられる貯湯タンクにおいては、環境配慮およびコスト面から薄肉軽量のタンクが求められており、剛性が小さくたわみやすい板材が採用されることがある。このような場合、特許文献1のような溶接方法では、板材どうしを位置合わせすることが更に難しくなる。発明者らは、この課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで、本開示は、板材どうしを位置合わせし易い溶接方法を提供する。
【0009】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0010】
(実施の形態1)
以下、図1図7を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.缶体の構成]
図1は、本開示の溶接方法を用いて製造された缶体1の斜視図である。図2は、缶体1を径方向に切断した断面図である。図中の軸AXは、第1面部11および第2面部21が成す円筒形状の中心を通る軸である。
缶体1は、略円柱形状の容器であり、給湯装置用の貯湯タンクとして使用される。缶体1は、2つの略半球状の鏡板(第1板材)10と、円筒形状の胴体(第2板材)20と、を有する。缶体1は、それぞれ個別の板材として形成された鏡板10と胴体20とが、アーク溶接によって接合されることで製造される。
【0011】
鏡板10は、円筒形状の第1面部11と、ドーム形状のドーム部19と、を有する金属製の板材である。第1面部11の厚みは、板厚T1である。本実施の形態において、鏡板10を構成する金属はステンレス鋼である。鏡板10は、形状により胴板10よりも剛性が大きい。
【0012】
胴体20は、円筒形状の第2面部21を有する金属製の板材である。第2面部21は、第1面部11に沿った向きに配置され、それぞれの軸AXは一致する。第2面部21の厚みは、板厚T2である。また、第2面部21の内径D2は、第1面部11の内径D1よりも大きい。本実施の形態において、具体的には、内径D2は、内径D1よりも第2面部21の板厚T2の2倍以上だけ大きい。本実施の形態において、胴体20を構成する金属はステンレス鋼である。
【0013】
缶体1において、第1面部11の端部である第1端部13と、第2面部21の端部である第2端部23と、の間には、ビード30が形成される。ビード30は、溶接する以前の第1端部13および第2端部23の一部が、溶接によって溶融した後に固化した部分である。
【0014】
図3は、図2の断面図におけるビード30の拡大図である。図3に示すように、実施の形態1の缶体1において、第1面部11と第2面部21とは、それぞれの内径側の面を基準として径方向に目違いdだけずれた位置に配置される。目違いdは、第2面部21の板厚T2よりも大きく、内径D2と内径D1との差分の半分に一致する。目違いdが第2面部21の板厚T2よりも大きいため、第2面部21は、第1面部11の外径側の面よりも径方向外側に配置される。なお、径方向外側方向DOは、第1面部11と第2面部21のなす円筒形状の径方向のうち、内側から外側に向かう方向である。
【0015】
また、鏡板10と胴体20とをつなぐビード30の断面形状は、第1端部13から第2端部23に向けて径方向外側方向DO側に傾斜しており、径方向に対する膨出が少ない平坦な形状である。このようにビード30が平坦な形状である場合、ビード30における応力集中が低減される。
【0016】
[1-2.缶体の製造方法]
次に、鏡板10と胴体20とを溶接し、上述した缶体1を製造する方法について説明する。
[1-2-1.溶接工程の前工程]
[1-2-1-1.溶接装置に対してのセット]
図4は、溶接装置Wにセットされた状態の鏡板10および胴体20の断面図であり、鏡板10および胴体20を軸AXに沿って鉛直方向に切断した断面を示す。なお、図4は、鏡板10および胴体20が溶接装置Wにセットされた直後の状態を示しており、鏡板10と胴体20とは離間している。
【0017】
図4に示すように、溶接装置Wは、クランプW1と、2つのトーチW2と、を有する。クランプW1は、2つの鏡板10を軸AXの方向に並べて、互いの第1端部13どうしが向かい合う向きで保持する。このとき、軸AXは、水平方向とされる。また、胴体20は、軸AXに沿った方向における両端に位置する第2端部23が、それぞれ鏡板10の第1端部13と向かい合うように、2つの鏡板10の間に保持される。クランプW1は、第1面部11および第2面部21の軸AXの方向に移動可能である。また、クランプW1は、第1面部11および第2面部21の軸AXを中心として、第1面部11および第2面部21の周方向に回転可能である。トーチW2は、アーク放電によって熱を生じさせ、生じさせた熱によって溶接を行う装置である。トーチW2は、第1端部13および第2端部23の付近に設けられ、鉛直上方から下方に向けてアーク放電を行う。また、図4に示すように、溶接装置Wは、胴体20の中央を固定するリング状の治具W3を有する構成としてもよい。治具W3は、胴体20の略全周を径方向外側方向DO側から締め付けて固定する器具であり、軸AXを中心として第1面部11および第2面部21の周方向に回転可能である。治具W3は、鏡板10よりも剛性が小さい胴体20がたわんで変形することを抑制する。また、治具W3により、胴体20を鏡板10に対して位置決めし易くなる。
【0018】
図5は、図4の拡大図であり、第1端部13を示す。なお、図5には、軸AXに平行であり、ドーム部19から第1端部13に向かう第1方向DAと、軸AXに平行であり、第1端部13からドーム部19に向かう第2方向DBと、を図示してある。すなわち、第1方向DAは、鏡板10から見て胴体20側の方向であり、第2方向DBは、胴体20から見て、鏡板10側である。
【0019】
図5に示すように、溶接前の鏡板10の第1端部13には、3段階に曲がり、第1方向DA側が向けて径方向外側方向DOに向けて拡大する、ひさし部15が形成される。ひさし部15が形成されることにより、第1端部13の先端15aは、第1面部11よりも径方向外側に位置している。ひさし部15は、第1面部11の径方向外側に拡大する第1曲げ部17aと、第1曲げ部17aと反対方向に曲がる第2曲げ部17bと、第2曲げ部17bと反対方向に曲がる第3曲げ部17cと、を有する。
【0020】
第1曲げ部17aは、ひさし部15において、平坦な円筒状の第2面部21との接続部分であり、図4、5の断面において第1面部11から角度A1で湾曲している。ここで、角度A1は、鈍角である。第1曲げ部17aは、第1面部11から径方向外側に拡大する方向に湾曲するため、第1曲げ部17aの湾曲の外側にある外側面17a1は、ひさし部15の内径側面15b2の一部である。また、第1曲げ部17aの湾曲の内側にある内側面17a2は、ひさし部15の外径側面15b1の一部である。なお、外径側面15b1は、ひさし部15において、第1面部11の外径側の面と曲線的につながる曲面である。また、内径側面15b2は、ひさし部15において、第1面部11の内径側の面と曲線的につながる曲面である。
【0021】
第2曲げ部17bは、ひさし部15において、第1曲げ部17aよりも先端15a側、すなわち第1方向DA側に位置しており、図4、5の断面において角度A2で湾曲している。ここで、角度A2は、鈍角である。第2曲げ部17bは、第1曲げ部17aと反対方向、すなわち、径方向外側から第1面部11に沿って倒れる方向に湾曲する。このため、第2曲げ部17bの外側面17b1は、ひさし部15の外径側面15b1の一部である。また、第2曲げ部17bの内側面17b2は、ひさし部15の内径側面15b2の一部である。
【0022】
第3曲げ部17cは、ひさし部15において、第2曲げ部17bよりも先端15a側に位置しており、図4、5の断面において角度A3で湾曲している。ここで、角度A3は、鈍角である。第3曲げ部17cは、第2曲げ部17bと反対方向、すなわち、第1面部11から径方向外側に立ち上がる方向に湾曲する。このため、第3曲げ部17cの外側面17c1は、ひさし部15の内径側面15b2の一部である。また、第3曲げ部17cの内側面17c2は、ひさし部15の外径側面15b1の一部である。
【0023】
内径側面15b2は、第1接続面(つなぎ目)16aと、第2接続面16bと、第3接続面16cと、を有する。第1接続面16aは、第1曲げ部17aの外側面17a1のうち第1方向DA側の部分から、第2曲げ部17bの内側面17b2のうち第2方向DB側の部分までの面である。第2接続面16bは、第3曲げ部17cの外側面17c1のうち第2方向DB側の部分から、第2曲げ部17bの内側面17b2のうち第1方向DA側の部分までの面である。第3接続面16cは、第3曲げ部17cの外側面17c1のうち第1方向DA側の部分から、先端15aまでの面である。
【0024】
これらの接続面16a、16b、16cはそれぞれ、第1面部11に対して、第1方向DA側が径方向外側に位置するように開いている。第1面部11を基準として第1方向DA側が開いた第1接続面16aの開き角度(例えば、図5の角度B1)は、鋭角である。また、第1面部11を基準とした第2接続面16bの開き角度(例えば、図5の角度B2)は、鋭角であり、第1接続面16aの開き角度よりも小さい。更に、第1面部11を基準とした第3接続面の開き角度(例えば、図5の角度B3)は、鋭角であり、第2接続面16bの開き角度よりも大きい。すなわち、第1接続面16a、第3接続面16cの開き角度は、第2接続面16bの開き角度よりも大きく、接続面16a、16b、16cの開き角度は鋭角である。本実施の形態においては、交互に反対方向に曲がる曲げ部17a、17b、17cを形成することにより、接続面16a、16b、16cの開き角度を上記のような関係としている。
【0025】
[1-2-1-2.鏡板と胴体との位置合わせ]
図6は、互いに適切に位置合わせされた状態における鏡板10および胴体20の断面図であり、鏡板10および胴体20を軸AXに沿って鉛直方向に切断した断面を示す。図7は、図6の拡大図であり、第1端部13および第2端部23を示す。
【0026】
図6に示すように、鏡板10および胴体20がセットされた後、溶接装置Wは、一対のクランプW1を移動させ、鏡板10の第1端部13と胴体20の第2端部23と接触させる位置合わせを行う。このとき、溶接装置Wは、クランプW1および治具W3により、第1面部11と第2面部21が同軸になるように軸合わせを行う。
【0027】
図7に示すように、第2端部23は平坦な形状であり、第2端部23に略直交する端面23aを有する。第1端部13と第2端部23とが適正に位置合わせされた状態では、第1面部11と第2面部21は略同軸となるため、第2面部21は目違いdだけ第1面部11よりも径方向外側に位置する。また、第2端部23は平坦であるため、第2端部23の厚みは板厚T2であり、適切な位置合わせがされた状態では、第2端部23は、第1面部11に対して目違いdだけ径方向外側に向けてずれた位置にある。このため、第2端部23の内径側の面は、目違いdだけ第1面部11よりも径方向外側に位置し、端面23aは、ひさし部15の内径側面15b2に対して接触する。より具体的には、端面23aは、内径側面15b2のうち、第1接続面16aに接触する。溶接装置Wは、端面23aの全周が図7のように第1接続面16aに線接触した段階で位置合わせを終了する。
【0028】
ここまでは、鏡板10および胴体20のたわみや軸ずれを考慮せずに位置合わせを説明してきたが、実際には、特に、胴体20はたわみ易く、また、クランプW1および治具W3による軸あわせにおいても軸ずれが生じ得る。これにより、クランプW1が鏡板10を移動させたとき、胴体20の第2端部23の一部が、適正な位置から径方向内側にずれる場合がある。
【0029】
上述したように、本実施の形態において、適切な位置合わせがされた状態では、第2端部23は、第1面部11に対して目違いdだけ径方向外側に向けてずれた位置にある。このため、第2端部23が切な位置合わせがされた状態よりも径方向内側にずれた場合であっても、端面23aはひさし部15の内径側面15b2に接触し易い。これにより、第2端部23が第1面部11よりも径方向内側に潜り込むことを抑制し易い。特に、本実施の形態の様に、目違いdが第2面部21の板厚T2よりも大きい場合、第2端部23が第1面部11よりも径方向内側に潜り込むことを効果的に抑制しやすい。
【0030】
また、鏡板10や胴体20のたわみ、および軸ずれによって、クランプW1が鏡板10を移動させたとき、第2端部23の一部が、適正な位置から径方向外側にずれる場合もある。
【0031】
例えば、第2端部23が径方向外側にずれたことで、端面23aの一部が、第1接続面16aよりも径方向外側にある第2接続面16bに接触することが考えられる。上述したように、第2接続面16bの開き角度は鋭角であり、第1接続面16aの開き角度よりも小さい。このため、端面23aと第2接続面16bとは向かい合いにくく、端面23aは第2接続面16bに案内されて径方向内側に移動し易い。第2接続面16bの径方向内側に移動した第2端部23は、第1接続面16aに接触する。このとき端面23aは、第2接続面16bよりも開き角度が大きい第1接続面16aと向かい合って接触して静止し易い。このように、本実施の形態においては、端面23aの一部が第2接続面16bに接触した場合であっても、端面23aを第1接続面16aに案内し易く、第2端部23を適正な位置に位置合わせし易い。
【0032】
第2接続面16bは開き角度が小さいために端面23aを案内し易いが、一方で、軸AXに沿って視た投影面積が小さく、径方向における幅が狭い。このため、クランプW1が鏡板10を移動させたとき、第2端部23の一部が第2接続面16bよりも径方向外側に位置する場合がある。このような場合、特許文献1に記載のような従来の構成では、2段階に湾曲したひさし部を用いるため、端面23aとひさし部の先端とが接触してしまい、第2端部23とひさし部との間にギャップや板厚方向のずれが生じ易かった。
【0033】
これに対し、本実施の形態においては、ひさし部15は、交互に反対方向に曲がる3つの曲げ部17a、17b、17cを有し、3段階に湾曲した形状である。このため、第2接続面16bの径方向外側には、開き角度が第2接続面16bよりも大きい第3接続面16cが形成されている。第3接続面16cは開き角度が大きいため、軸AXに沿って視た投影面積、および、径方向における幅が、第2接続面16bよりも大きい。従って、クランプW1が鏡板10を移動させたとき、第2端部23の一部が第2接続面16bよりも径方向外側に位置する場合であっても、第3接続面16cは端面23aと接触し易い。
【0034】
また、第3接続面16cの開き角度は、鋭角であるため、接触した端面23aを内径側に向けて案内し易い。さらに、第3接続面16cの内径側には、第3接続面16cから近い側から順に第2接続面16bおよび第1接続面16aが位置しており、第2接続面16bの開き角度は、第1接続面16aの開き角度よりも小さい。このため、第3接続面16cから内径側に案内された端面23aは、第2接続面16bによりさらに内径側に案内され、第1接続面16aと向かい合って接触し、静止し易い。このように、本実施の形態においては、第2端部23の一部が第2接続面16bよりもさらに外側に位置する場合であっても、端面23aを第1接続面16aに案内し易い。
【0035】
このように、本実施の形態においては、クランプWによる第1端部13と第2端部23との位置合わせ時において、第2端部23が適正な位置から径方向外側、にずれた場合であっても、第2端部23を適正な位置まで案内し易い。
【0036】
このように、第2端部23が適正な位置から径方向外側にずれた場合に第2端部23を適正な位置まで案内し易い接続面16a、16b、16cを形成するためには、本実施の形態の様に、角度A1、A2、A3は、それぞれ鈍角であることが望ましい。これにより、第1接続面16aは第1方向DA側、すなわち、胴体20側が径方向外側に開く形状となる。また、曲げ部17a、17b、17cを鋭角に曲げてひさし部15を形成する場合に比べて、ひさし部15を形成し易い。
【0037】
また、角度A2は、本実施の形態の様に、角度A1よりも大きい鈍角であることがより望ましい。これにより、角度A1がどのような鈍角に設定された場合であっても、第2接続面16bを第1方向DA側、すなわち、胴体20側が径方向外側に開く形状とし易い。
【0038】
さらに、角度A3は、本実施の形態の様に、次の関係式(1)をみたすことがさらに望ましい。
【0039】
A3<90°+A2―A1・・・(1)
【0040】
これにより、角度A1が鈍角であり、角度A2が角度A1よりも大きい鈍角である限りは、どのような組み合わせの角度A1、A2に対しても、第3接続面16cを第1方向DA側、すなわち、胴体20側が径方向外側に開く形状とし易い。
【0041】
また、本実施の形態において、ひさし部15の径方向に沿った長さHは、胴体20の板厚T2の2倍と、目違いdと、を合計した長さ以上とされる。すなわち、本実施の形態において、長さHは、次の関係式(2)をみたすように設定される。
【0042】
H≧2*T2+d・・・(2)
【0043】
長さHが上記関係式(2)をみたすように設定されることで、第1端部13と第2端部23とが位置合わせされた際に、第1接続面16aに対して第2端部23の端面23aが接触し易くなる。なお、長さHは、第1端部13の先端15aと、第1面部11と、の径方向に沿った距離として定義される。より詳細には、長さHは、先端15aのうち最も径方向外側にある径方向最外部15a2と、第1面部11の外径側の面と、の間の径方向における距離である。すなわち、本実施の形態において、径方向最外部15a2は、第1面部11の外径側の面よりも、胴体20の板厚T2の2倍と、目違いdと、を合計した長さ以上の距離だけ径方向外側に位置している。
【0044】
[1-2-2.溶接工程]
鏡板10の第1端部13および胴体20の第2端部23が位置合わせされた後は、第1端部13および第2端部23を溶接して接合する溶接工程が行われる。溶接工程において、溶接装置Wは、クランプW1が軸AXを中心として鏡板10および胴体20を回転させつつ、トーチW2によってアーク溶接を行う。このとき、クランプW1は、鏡板10と胴体20とが互いに押圧し合う方向に向けて、鏡板10に対して軸AXに沿った方向の力を作用させる。これにより、第1接続面16aと第2端部23の端面23aとがより接触し易くなる。また、第1接続面16aは、胴体20側が径方向外側に位置するように開いているため、第1接続面16aと端面23aとが押し合うことにより、鏡板10と胴体20との位置がずれにくくなる。さらに、第2端部23は、第1接続面16aよりも開き角度が小さい第2接続面16bによって径方向外側から覆われる。このため、第2端部23が径方向外側にずれにくい。
【0045】
溶接装置Wは、第1端部13の全周に渡って形成されるひさし部15のうち、鉛直上方に位置する部分の先端15aの位置を検出する図示しないタッチセンサを有する。溶接装置Wは、タッチセンサによって検出した位置の情報を用いて、トーチW2を軸AXの方向および径方向に動かしながら、ひさし部15上にあるターゲット範囲R内を狙ってトーチW2にアーク放電させる。アーク放電によって加熱されるターゲット範囲Rは、ひさし部15の外径側面15b1のうち、第3曲げ部17cの湾曲の内側である内側面17c2とされる。
【0046】
このとき、トーチW2のアーク放電によって加熱されたひさし部15は、ターゲット範囲Rである内側面17c2から溶融して、第1端部13と第2端部23との隙間を埋める。すなわち、ひさし部15により。第1端部13と第2端部23との間に欠陥のないビード30を形成しやすくなる、このように、ひさし部15は、溶接工程において溶加材のように作用する。
【0047】
また、本実施の形態において、ひさし部15の軸AXに沿った長さLは、第1面部11の厚みである板厚T1の2倍以上の長さである。本実施の形態のように、ひさし部15の長さLを板厚T1の2倍以上とすることで、溶接工程において溶融するひさし部15が第1端部13と第2端部23との隙間を埋め易くなる。なお、長さLは、軸AXに沿った方向(軸方向)において、第1曲げ部17aから、第1端部13の先端15aまでの距離として定義される。より詳細には、長さLは、軸AXに沿った方向において、ひさし部15の先端15aのうち最も胴体20側にある軸方向先端部15a1と、第1曲げ部17aのうち先端15aから最も離れている部分との間の距離である。
【0048】
トーチW2がひさし部15の全周分のターゲット範囲Rに対してアーク放電を行うことで、図3のように、第1端部13と第2端部23とはビード30を介して全周に渡って接合される。これにより、溶接工程が完了し、缶体1の製造が完了する。
【0049】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、溶接方法は、鏡板10と胴体20とを接合する溶接方法であって、鏡板10は、円筒形状の第1面部11と、第1面部11の端部である第1端部13と、を有し、胴体20は、円筒形状の第2面部21と、第2面部の端部である第2端部23と、を有し、第1端部13には、第1面部11の径方向外側に拡大する第1曲げ部17aと、第1曲げ部17aよりも第1端部13の先端15a側において第1曲げ部17aと反対方向に曲がる第2曲げ部17bと、第2曲げ部17bよりも先端15a側において第2曲げ部17bと反対方向に曲がる第3曲げ部17cと、が形成され、第2端部23は、平坦な形状であり、第1曲げ部17aの外側面17a1と第2曲げ部17bの内側面17b2とのつなぎ目である第1接続面16aと、第2端部23の端面23aと、を互いに押し当てた状態で、第3曲げ部17cの内側面17c2から加熱し、第1端部13と第2端部23とを溶接する、構成としてもよい。
この構成によれば、第1端部13に形成された第1曲げ部17a、第2曲げ部17b、および、第3曲げ部17cにより、第2端部23を案内することができる。このため、第1端部13と第2端部23との位置合わせが容易になる。
【0050】
また、本実施の形態のように、第2端部23は、第1面部11よりも径方向外側に向けて、第2端部23の厚みである板厚T2以上ずらして配置される、構成としてもよい。
この構成によれば、第1端部13と第2端部23とを位置合わせする際に、第2端部23が第1面部11よりも径方向内側に潜り込むことを抑制できる。このため、第1端部13と第2端部23との位置合わせが容易になる。
【0051】
また、本実施の形態のように、第2面部21の内径D2は、第1面部11の内径D1よりも、第2端部23の厚みである板厚T2の2倍以上大きい、構成としてもよい。
この構成によれば、第2端部23を第1面部11に対して板厚T2以上だけ径方向外側に向けてずらして配置し易くなる。このため、第1端部13と第2端部23との位置合わせが容易になる。
【0052】
また、本実施の形態のように、第1曲げ部17a、第2曲げ部17b、および、第3曲げ部17cは、それぞれ鈍角である角度A1、A2、A3に曲がる、構成としてもよい。
この構成によれば、第1端部13に対して鈍角である角度A1、A2、A3に曲がる第1曲げ部17a、第2曲げ部17b、および、第3曲げ部17cが形成されることで、第1端部13は端面23aを第1接続面16aに誘導し易くなる。特に、本実施の形態の様に、第2曲げ部17bの曲げの角度A2が第1曲げ部17aの曲げの角度A1より大きく、第3曲げ部17cの曲げの角度A3が関係式(1)を満たす場合は、端面23aを第1接続面16aに誘導し易い。
【0053】
また、本実施の形態のように、第1面部11の軸AXの方向において、第1曲げ部17aから、第1端部13の先端15aまでの距離、すなわち、ひさし部15の長さLは、第1面部11の板厚T1の2倍以上である、構成としてもよい。
この構成によれば、第1端部13において曲げ部17a、17b、17cにより拡管された部分、すなわち、ひさし部15を溶加材の様に用いることができる。このため、溶接時の欠陥の発生を抑制できる。
【0054】
また、本実施の形態のように、第1端部13の先端15aは、第2端部23と第1面部11との間の目違いdと、第2端部23の厚みである板厚T2の2倍と、の合計よりも大きい距離だけ、第1面部11よりも径方向外側に位置する、構成としてもよい。
この構成によれば、第1端部13の先端15aと、第1面部11と、の径方向に沿った距離、すなわち、長さHを十分に大きくでき、第1端部13の第1接続面16aに対し、第2端部23の端面23aを接触させやすくなる。
【0055】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0056】
実施の形態1の缶体の製造方法において、ひさし部15を有する、すなわち、曲げ部17a、17b、17cが形成される第1端部13を有する板材は鏡板10であり、平坦な第2端部23を有する板材は胴体20であると説明したが、これは一例である。たとえば、胴体20にひさし部が形成され、鏡板10の第1端部13が平坦である構成としてもよい。
【0057】
すなわち、缶体の製造方法は、鏡板10と、円筒形状の胴体20と、を溶接して缶体1を製造する缶体の製造方法であって、鏡板10として、曲げ部17a、17b、17cが形成された第1端部13を有する第1板材および平坦な第2端部23を有する第2板材のうち、一方を用い、胴体20として、第1板材および第2板材のうち、一方と異なる他方を用い、上記実施の形態に記載の溶接方法を用いて前記鏡板と前記胴体とを溶接する、構成としてもよい。
この構成によれば、缶体1の製造時において、鏡板10と胴体20との溶接時に、第1端部13と第2端部23とを容易に位置合わせできる。このため、缶体1の生産性が向上し易くなる。
【0058】
実施の形態1では、第1面部11と第2端部23との間の目違いdは、第1面部11の内径D1と第2面部21の内径D2との違いによって形成されていたが、これは一例である。たとえば、第2面部21の内径はD1であり、第2面部21が第2端部23に向かって拡管されたあとに第2端部23が平坦になる形状に加工されることにより、目違いdが設けられていてもよい。
【0059】
実施の形態1では、鏡板10および胴体20はステンレス鋼であると説明したが、これは一例である。鏡板10および胴体20は、それぞれステンレス鋼以外の金属であってもよい。また、鏡板10および胴体20は互いに異なる種類の金属であってもよい。
【0060】
実施の形態1では、溶接装置Wは、タッチセンサによって第1端部13の先端15aの位置を検出すると説明したが、これは一例である。例えば、溶接装置Wは、タッチセンサの代わりに、視覚センサ又はレーザ変位センサ等の光学式センサ等の非接触式センサによって先端15aの位置を検出してもよい。
【0061】
また、実施の形態1に記載の溶接方法において、溶加棒又は溶加ワイヤなどの溶加材をアーク雰囲気中に差し入れつつ溶接を行ってもよい。
【0062】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0063】
[上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0064】
(付記)
(技術1)第1板材と第2板材とを接合する溶接方法であって、前記第1板材は、円筒形状の第1面部と、前記第1面部の端部である第1端部と、を有し、前記第2板材は、円筒形状の第2面部と、前記第2面部の端部である第2端部と、を有し、前記第1端部には、前記第1面部の径方向外側に拡大する第1曲げ部と、前記第1曲げ部よりも前記第1端部の先端側において前記第1曲げ部と反対方向に曲がる第2曲げ部と、前記第2曲げ部よりも前記先端側において前記第2曲げ部と反対方向に曲がる第3曲げ部と、が形成され、前記第2端部は、平坦な形状であり、前記第1曲げ部と前記第2曲げ部とのつなぎ目と、前記第2端部の端面と、を互いに押し当てた状態で、前記第3曲げ部から加熱し、前記第1端部と前記第2端部とを溶接する溶接方法。
これにより、第1端部と第2端部とを位置合わせする際に、第1端部に形成された第1曲げ部、第2曲げ部、および、第3曲げ部により、第2端部23を案内することができる。このため、第1端部と第2端部との位置合わせが容易になる。
【0065】
(技術2)前記第2端部は、前記第1面部よりも前記径方向外側に向けて、前記第2端部の厚み以上ずらして配置される、技術1に記載の溶接方法。
これにより、第1端部と第2端部とを位置合わせする際に、第2端部が第1面部よりも径方向内側に潜り込むことを抑制できる。このため、第1端部と第2端部との位置合わせが容易になる。
【0066】
(技術3)前記第2面部の内径は、前記第1面部の内径よりも、前記第2端部の厚みの2倍以上大きい、技術2に記載の溶接方法。
これにより、第2端部を第1面部に対して第2端部の厚み以上だけ径方向外側に向けてずらして配置し易くなる。このため、第1端部と第2端部との位置合わせが容易になる。
【0067】
(技術4)前記第1曲げ部、前記第2曲げ部、および、前記第3曲げ部は、それぞれ鈍角に曲がる、技術1から3のいずれかに記載の溶接方法。
これにより、第1端部に対して鈍角に曲がる第1曲げ部、第2曲げ部、および、第3曲げ部が形成されることで、第1端部は第2端部の端面を第1曲げ部と第2曲げ部のとのつなぎ目に誘導し易くなる。
【0068】
(技術5)前記第1面部の軸の方向において、前記第1曲げ部から、前記第1端部の前記先端までの距離は、前記第1面部の厚みの2倍以上である、技術1から4のいずれかに記載の溶接方法。
これにより、第1端部において第1曲げ部、第2曲げ部、および、第3曲げ部により拡管された部分を溶加材の様に用いることができる。このため、溶接時の欠陥の発生を抑制できる。
【0069】
(技術6)前記第1端部の前記先端は、前記第2端部と前記第1面部との間の目違いと、前記第2端部の厚みの2倍と、の合計よりも大きい距離だけ、前記第1面部よりも前記径方向外側に位置する、技術1から5のいずれかに記載の溶接方法。
これにより、第1端部の先端と、第1面部と、の径方向に沿った距離を十分に大きくでき、第1曲げ部と第2曲げ部とのつなぎ目に対し、第2端部の端面を接触させやすくなる。
【0070】
(技術7)鏡板と、円筒形状の胴体と、を溶接して缶体を製造する缶体の製造方法であって、前記鏡板として、前記第1板材および前記第2板材のうち、一方を用い、前記胴体として、前記第1板材および前記第2板材のうち、前記一方と異なる他方を用い、技術1から6のいずれかに記載の溶接方法を用いて前記鏡板と前記胴体とを溶接する、缶体の製造方法。
これにより、缶体の製造時において、鏡板と胴体との溶接時に、第1端部と第2端部とを容易に位置合わせできる。このため、缶体の生産性が向上し易くなる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本開示は、板材同士の溶接方法に適用可能である。特に、貯湯タンク等の胴体と鏡板とを有する容器の製造のための溶接方法に対して、本開示は好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 缶体
10 鏡板
11 第1面部
13 第1端部
15 ひさし部
15a 先端
15a1 軸方向先端部
15a2 外部
15b1 外径側面
15b2 内径側面
16a 第1接続面(第1曲げ部と第2曲げ部とのつなぎ目)
16b 第2接続面
16c 第3接続面
17a 第1曲げ部
17a1 外側面
17a2 内側面
17b 第2曲げ部
17b1 外側面
17b2 内側面
17c 第3曲げ部
17c1 外側面
17c2 内側面
19 ドーム部
20 胴体
21 第2面部
23 第2端部
23a 端面
30 ビード
W 溶接装置
W1 クランプ
W2 トーチ
W3 治具
d 目違い
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7