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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】照明装置及び照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/00 20200101AFI20241018BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20241018BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20241018BHJP
   F21S 8/06 20060101ALI20241018BHJP
   F21S 10/00 20060101ALI20241018BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20241018BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20241018BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20241018BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241018BHJP
【FI】
H05B47/00
F21S2/00 625
F21S8/04 310
F21S8/04 420
F21S8/06
F21S10/00
F21V23/00 110
F21V23/00 115
F21V33/00 430
F21V33/00 450
F21Y113:13
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019061355
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020161396
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-12-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】椋本 真由子
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】高橋 学
【審判官】澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-146798(JP,A)
【文献】特開2009-129786(JP,A)
【文献】特開2016-149326(JP,A)
【文献】特開2018-88663(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109328282(CN,A)
【文献】特開2005-21255(JP,A)
【文献】特表2008-527650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21S 8/04
F21V11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向と、前記第1方向と反対方向の第2方向とのそれぞれに光を照射する照明装置であって、
前記第1方向に光を照射する第1光源と、
前記第2方向に光を照射する第2光源とを備え、
前記第1光源と前記第2光源とは、前記第1光源の光軸と前記第2光源の光軸とが前記第1方向及び前記第2方向と略平行となるように配置され、
照射面に照射される前記第1方向の光の第1輪郭と、照射面に照射される前記第2方向の光の第2輪郭とを同期させ
さらに、センサが検知したユーザの身体に関する状態を示す生体情報に応じて、前記第1輪郭及び前記第2輪郭を制御する制御部を備える
照明装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1輪郭及び前記第2輪郭が波状となるように制御する
請求項に記載の照明装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1輪郭及び前記第2輪郭が一致するように制御する
請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1光源によって照射面に照射される光の前記第1輪郭を形成する第1輪郭形成部と、
前記第2光源によって照射面に照射される光の前記第2輪郭を形成する第2輪郭形成部とを備え、
前記制御部は、前記第1光源及び前記第2光源が照射するそれぞれの光の発光態様が同期するように制御し、かつ、前記第1輪郭と前記第2輪郭とが同期するように前記第1輪郭形成部、前記第2輪郭形成部を制御する
請求項1~3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記発光態様には、前記第1光源及び前記第2光源が照射するそれぞれの光の色温度及び明るさが含まれる
請求項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1輪郭形成部及び前記第2輪郭形成部を制御することで、前記第1輪郭及び前記第2輪郭を次第に変化させる
請求項4又は5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1光源が照射する光の配光角と、前記第2光源が照射する光の配光角とが互いに同期するように変更する
請求項4~6のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
請求項4~7のいずれか1項に記載の照明装置と、
ユーザの身体に関する状態を検知することで取得した前記生体情報を、出力するセンサと、
前記生体情報に基づいて、前記第1光源及び前記第2光源が照射するそれぞれの光の前記発光態様、並びに、前記第1輪郭及び前記第2輪郭を決定する情報処理装置とを備える
照明システム。
【請求項9】
前記生体情報は、ユーザの脈拍数を示す情報、及び、ユーザの体温を示す情報の少なくとも一方を含む
請求項に記載の照明システム。
【請求項10】
さらに、ユーザの表情を撮像した画像を出力する撮像部を備え、
前記情報処理装置は、
前記撮像部が出力した画像に写るユーザの表情を認識し、
認識したユーザの表情及び前記生体情報に応じて、前記第1光源及び前記第2光源が照射するそれぞれの光の前記発光態様、並びに、前記第1輪郭及び前記第2輪郭を決定する
請求項8又は9に記載の照明システム。
【請求項11】
さらに、ユーザの周囲の音を集音する集音部を備え、
前記制御部は、さらに、前記集音部が集音した音圧レベルに応じて、前記第1光源及び前記第2光源の照射するそれぞれの光の前記発光態様、並びに、前記第1輪郭及び前記第2輪郭を決定する
請求項10に記載の照明システム。
【請求項12】
さらに、音を出力する音響装置を備え、
前記音響装置は、前記情報処理装置が認識したユーザの表情及び前記生体情報に応じて、音を出力する
請求項10又は11に記載の照明システム。
【請求項13】
さらに、芳香を発生させる芳香装置を備え、
前記芳香装置は、前記情報処理装置が認識したユーザの表情及び前記生体情報に応じて、芳香を発生させる
請求項10~12のいずれか1項に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明装置及び照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、室内の明るさ及び光の色を変化させることで、光によって室内を演出することができる照明装置が登場している。
【0003】
従来の照明装置として、室内を照明する複数の照明器具と、複数の照明器具に接続され、人の音声の質に応じて複数の照明器具の光の色及び調光度の少なくとも一方の制御を実行する照明制御システムが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-60828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような照明装置では、人の音声の質に応じて発光態様を変えることで、人の周囲の明るさ及び光の色を変化させるといった演出をするだけである。例えば天窓がある室内において、天窓から光が差し込むと、あたかも、差し込まれた光によって室内の一部に光の空間が形成されている様に見える。従来の照明装置では、室内の一部の空間を切り取るように光を照射することで、光の空間を形成することはできていない。
【0006】
そこで、本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光によって演出された空間を形成することができる照明装置及び照明システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示に係る照明装置の一態様は、第1方向と、前記第1方向と反対方向の第2方向とのそれぞれに光を照射する照明装置であって、前記第1方向に光を照射する第1光源と、前記第2方向に光を照射する第2光源とを備え、前記第1光源と前記第2光源とは、前記第1光源の光軸と前記第2光源の光軸とが前記第1方向及び前記第2方向と略平行となるように配置され、照射面に照射される前記第1方向の光の第1輪郭と、照射面に照射される前記第2方向の光の第2輪郭とを同期させ、さらに、センサが検知したユーザの身体に関する状態を示す生体情報に応じて、前記第1輪郭及び前記第2輪郭を制御する制御部を備える。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本開示に係る照明システムの一態様は、照明装置と、ユーザの身体に関する状態を検知することで取得した前記生体情報を、出力するセンサと、前記生体情報に基づいて、前記第1光源及び前記第2光源が照射するそれぞれの光の前記発光態様、並びに、前記第1輪郭及び前記第2輪郭を決定する情報処理装置とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る照明装置等は、光によって演出された空間を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る照明装置を例示した模式図である。
図2図2は、実施の形態に係る照明装置における図1とは別の発光態様を例示した模式図である。
図3図3は、実施の形態に係る照明システムを例示したブロック図である。
図4A図4Aは、実施の形態に係る照明システムを例示したイメージ図である。
図4B図4Bは、実施の形態に係る照明システムにおける、第1輪郭の大きさと第2輪郭の大きさとが同じ場合を例示したイメージ図である。
図5図5は、図1のV-V線における照明装置を断面視した断面図である。
図6図6は、実施の形態に係る照明システムの照明装置に用いられる第1輪郭形成部及び第2輪郭形成部の開口径を例示した模式図である。
図7図7は、実施の形態に係る照明システムの照明装置が照射面に照射した光の照射領域と非照射領域との境界を例示した模式図である。
図8図8は、実施の形態に係る照明システムの情報処理装置の動作を例示したフロー図である。
図9図9は、実施の形態に係る照明システムの情報処理装置における第1輪郭の径を決定する動作を例示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ、ステップの順序等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されてはいない。したがって、例えば、各図において縮尺等は必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
また、以下の実施の形態において、略平行等の表現を用いている。例えば、略平行は、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略平行は、本開示による効果を奏し得る範囲において平行という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
【0014】
以下の実施の形態に係る照明装置及び照明システムについて説明する。
【0015】
(実施の形態)
[構成:照明システム1]
図1は、実施の形態に係る照明装置3を例示した模式図である。図2は、実施の形態に係る照明装置3における図1とは別の発光態様を例示した模式図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、照明システム1は、ユーザの存在を検知することで、室内に存在するユーザの人数、ユーザの表情、ユーザの身体に関する状態を示す生体情報、室内の環境等に応じて、発光態様を変えた照明をすることができるシステムである。この照明システム1では、室内の一部を照明する照明装置3を用いている。なお、照明装置3は、室内全体を照明することができてもよい。ユーザの身体に関する状態とは、例えば、ユーザの脈拍数、ユーザの体温等である。室内の環境とは、温度、湿度、周囲の音圧レベル等である。
【0017】
図3は、実施の形態に係る照明システム1を例示したブロック図である。
【0018】
図3に示すように、照明システム1は、照明装置3と、情報処理装置5と、端末装置7とを備える。
【0019】
[照明装置3]
図1から図3に示すように、照明装置3は、例えば建物の室内の天井に設置される。照明装置3は、第1方向と、第1方向と反対方向の第2方向に光を照射(照明)することができる。照明装置3は、第1方向に照射する光の発光態様と、第2方向に照射する光の発光態様とを同期させる。例えば、照明装置3は、床面に光を照射すると同時に、天井面に光を照射する。また、室内に存在するユーザを認識すると、照明装置3は、ユーザに対して光を照射する。具体的には、照明装置3は、照明装置3からユーザが存在する第1方向の床面に光を照射し、かつ、第1方向と反対方向である第2方向の天井面に光を照射する。本実施の形態では、第1方向は、鉛直下方向、第2方向は、鉛直上方向である。なお、照明装置3の設置の状態によっては第1方向及び第2方向が変わることもあり、第1方向は鉛直下方向、第2方向は鉛直上方向に限定されない。
【0020】
また、照明装置3は、室内に存在するユーザの人数、ユーザの表情、ユーザの身体に関する状態を示す生体情報、ユーザの音声、照明装置3の周囲の環境等に応じて、照射する光の発光態様を変更する。
【0021】
図4Aは、実施の形態に係る照明システム1を例示したイメージ図である。図4Aに示すように、例えば、照明装置3は、室内に1以上のユーザが存在する場合、グループとなっているユーザの存在領域を覆うように、スポット的に光を照射する。つまり、照明装置3は、グループを包むように光を照射する。言い換えれば、照明装置3は、ユーザの存在領域の大きさによって床面及び天井面に照射する光の面積を変更する。また、照明装置3は、ユーザの人数の増減によって、存在領域の大きさ及び形が変化した場合、床面に照射する光の照射領域の変化と、天井面に照射する光の照射領域の変化とが同期するように、それぞれの光の照射領域の大きさ及び形状を同時に変更する。
【0022】
ここで、ユーザの存在領域とは、1以上のユーザがある一定範囲に固まって存在している領域であり、例えば円で1以上のユーザを囲むことで形成された範囲である。また、ユーザの存在領域は、後述するが、照明装置3からユーザまでの第1距離が、閾値以下の範囲である。
【0023】
ここで、グループを包むように光を照射するとは、照明装置3からユーザを視て、ユーザの略全ての身体に光を照射する。このため、照明装置3からユーザを視て、意図的にユーザの身体の一部に光を照射するわけではない。
【0024】
また、照明装置3は、照明装置3からユーザのグループに向かう第1方向と反対方向である第2方向の天井面に光を照射する。これにより、照明装置3は、天井面から床面までを照明する。例えば室内が暗ければ、天井面から床面までが明るくなった柱状の空間が形成される。
【0025】
また、照明装置3は、ユーザの表情、及び、ユーザの身体に関する状態を示す生体情報の少なくとも一方に応じて、床面及び天井面に光を照射した際に、光の照射領域と、光が照射されていない非照射領域との境界についても変更する。例えば、照明装置3は、照射領域と非照射領域との境界が鮮明に強調されるように光を照射したり、照射領域の中心点から非照射領域に向かって次第に明るさが低下する、つまり、光の境界を暈すように光を照射したりする。また、照明装置3は、ユーザの表情及びユーザの身体に関する状態を示す生体情報が変化した場合、床面に照射する光の照射領域と非照射領域との境界の変化と、天井面に照射する光の照射領域と非照射領域との境界の変化とが同期するように、それぞれの光を同時に変更する。
【0026】
また、照明装置3は、ユーザの表情、及び、ユーザの身体に関する状態を示す生体情報に応じて、照射する光の明るさ、及び、光の色(色温度、波長等)を変更してもよい。この場合も、照明装置3は、ユーザの表情、又は、ユーザの身体に関する状態を示す生体情報が変化した場合、床面に照射する光の明るさ及び光の色と、天井面に照射する光の明るさ及び光の色とが同期するように、それぞれの光を同時に変更する。
【0027】
図5は、図1のV-V線における照明装置3を断面視した断面図である。
【0028】
図3及び図5に示すように、照明装置3は、筐体31と、第1発光モジュール10と、第2発光モジュール20と、第1輪郭形成部30と、第2輪郭形成部40と、第1レンズ50と、第2レンズ60と、制御部70と、1台以上の音響装置80と、第1通信部90とを備える。
【0029】
<筐体31>
筐体31は、第1発光モジュール10、第2発光モジュール20、第1輪郭形成部30、第2輪郭形成部40、第1レンズ50、第2レンズ60、制御部70、音響装置80、及び、第1通信部90を収容する収容体である。また、筐体31は、無底の筒状をなし、上下(鉛直方向)に長尺である。本実施の形態では、筐体31は、円筒状を成しているが、これには限定されず、例えば多角形状の筒でもよく、形状は限定されない。
【0030】
本実施の形態では、筐体31は、ワイヤ99に接続され、ワイヤ99を介して天井に設置される。つまり、筐体31は、天井に吊り下げられるように設置される。ワイヤ99内には、第1通信部90と情報処理装置5とを通信可能に接続する図示しない通信ケーブルが挿通される。
【0031】
筐体31は、第1発光モジュール10、第2発光モジュール20等で生じる熱を効率よく放熱させるために、アルミニウム等の金属製の材料を用いていることが好ましい。なお、放熱性が確保できれば、例えば樹脂製の材料を用いてもよい。
【0032】
また、筐体31は、鉛直上方向側に、第2発光モジュール20が発する光を天井面に向けて反射させるセード部39を有する。セード部39は、第2発光モジュール20からの照射された光を反射させることで配光を制御する鏡面を有する。セード部39は、内面がアルミニウム等の金属で構成された鏡面であってもよく、例えばポリブチレンテレフタレート等の硬質の白色樹脂材料を用いて形成されてもよい。セード部39は、天井面側で開口した無底の筒状である。セード部39の形状は、床面側の端部から、天井面側の端部に向かって内径が漸次大きくなるように構成された円錐台状である。
【0033】
<第1発光モジュール10>
第1発光モジュール10は、制御部70からの指示にしたがって所定の発光態様で発光するモジュールである。第1発光モジュール10は、筐体31の床面側に配置され、床面に向けて光を照射するように、筐体31に保持される。
【0034】
第1発光モジュール10は、第1光源11と、基板とを有する。
【0035】
第1光源11は、第1方向(本実施の形態では、床面)に向けて光を照射する。具体的には、第1光源11の光軸は、鉛直下方向と略平行な直線である。本実施の形態では、第1方向は、鉛直方向と平行な方向に光を照射する。光軸は、第1光源11が出射する主たる光の直線である。床面は、第1光源11が照射する光の照射面の一例である。
【0036】
また、第1光源11は、例えば白色光を出射するように構成される。具体的には、第1光源11は、COB(Chip On Board)型LED素子で構成され、基板と、基板上に実装されたベアチップ(LEDチップ)である複数の青色LEDと、それら青色LEDを封止し、黄色蛍光体を含む封止部材とを有する。また、第1光源11は、2色以上の光を出射してもよい。具体的には、第1光源11は、RGBの3色光源であり、赤色光、青色光及び緑色光の3色の単色光を出射するとともに、これらの3色の単色光を調光することで得られるカラー光又は白色光を出射してもよい。本実施の形態では、第1光源11が発する光の色温度は、2000K以上7000K以下の範囲である。
【0037】
また、第1光源11は、LEDがパッケージ化された表面実装(SMD:Surface Mount Device)型のLED素子であってもよく、容器(パッケージ)と、容器内に実装された複数のLEDチップと、複数のLEDチップを封止する封止部材とを有する。封止部材は、シリコーン樹脂等の透光性の絶縁性樹脂材料である。なお、封止部材には、シリカ等の光拡散材及びフィラー等が分散されていてもよい。
【0038】
このように構成される第1光源11は、基板に実装される。本実施の形態では、1つの基板に第1光源11が実装される。
【0039】
基板は、第1光源11を実装するための実装面を有する実装基板である。基板は、図示しないネジ等の固定部材により筐体31に取り付けられることで、筐体31に固定される。具体的には、基板は、実装面が鉛直方向と略直交し、かつ、実装面が床面に向くように、筐体31に固定される。
【0040】
基板としては、例えば、アルミニウム又は銅等の金属材料からなる基材に絶縁被膜を施すことで得られるメタルベース基板、アルミナ等のセラミック材料の焼結体であるセラミックス基板、又は、樹脂材料をベースとする樹脂基板等が用いられる。本実施の形態では、基板として、金属配線が形成されたガラスエポキシ基板からなるプリント配線基板を用いる。なお、基板は、リジッド基板であってもよく、フレキシブル基板であってもよい。
【0041】
<第2発光モジュール20>
第2発光モジュール20は、制御部70からの指示にしたがって所定の発光態様で発光するモジュールである。第2発光モジュール20は、筐体31の天井面側に配置され、天井面に向けて光を発するように、筐体31に保持される。
【0042】
第2発光モジュール20は、第2光源21と、基板とを有する。
【0043】
第2光源21は、第2方向(本実施の形態では、天井面)に向けて光を照射する。具体的には、第2光源21の光軸は、鉛直下方向と略平行な直線である。本実施の形態では、第2方向は、鉛直方向と平行な方向に光を照射する。光軸は、第2光源21が出射する主たる光の直線である。天井面は、第2光源21が照射する光の照射面の一例である。
【0044】
また、第2光源21は、例えば白色光を出射するように構成される。具体的には、第2光源21は、COB型LED素子で構成され、基板と、基板上に実装されたベアチップ(LEDチップ)である複数の青色LEDと、それら青色LEDを封止し、黄色蛍光体を含む封止部材とを有する。また、第2光源21は、2色以上の光を出射してもよい。具体的には、第2光源21は、RGBの3色光源であり、赤色光、青色光及び緑色光の3色の単色光を出射するとともに、これらの3色の単色光を調光することで得られるカラー光又は白色光を出射してもよい。本実施の形態では、第2光源21が発する光の色温度は、2000K以上7000K以下の範囲である。
【0045】
また、第2光源21は、LEDがパッケージ化された表面実装型のLED素子であってもよく、容器(パッケージ)と、容器内に実装された複数のLEDチップと、複数のLEDチップを封止する封止部材とを有する。封止部材は、シリコーン樹脂等の透光性の絶縁性樹脂材料である。なお、封止部材には、シリカ等の光拡散材及びフィラー等が分散されていてもよい。
【0046】
このように構成される第2光源21は、基板に実装される。本実施の形態では、1つの基板に第2光源21が実装される。
【0047】
基板は、第2光源21を実装するための実装面を有する実装基板である。基板は、図示しないネジ等の固定部材により筐体31に取り付けられることで、筐体31に固定される。具体的には、基板は、実装面が鉛直方向と略直交し、かつ、実装面が天井面に向くように、筐体31に固定される。
【0048】
基板としては、例えば、アルミニウム又は銅等の金属材料からなる基材に絶縁被膜を施すことで得られるメタルベース基板、アルミナ等のセラミック材料の焼結体であるセラミックス基板、又は、樹脂材料をベースとする樹脂基板等が用いられる。本実施の形態では、基板として、金属配線が形成されたガラスエポキシ基板からなるプリント配線基板を用いる。なお、基板は、リジッド基板であってもよく、フレキシブル基板であってもよい。
【0049】
<第1輪郭形成部30>
第1輪郭形成部30は、床面に照射される第1光源11の照射する光の第1輪郭を形成する絞り機構である。第1輪郭形成部30は、第1光源11よりも床面側の光軸上に配置され、第1光源11が照射する光の一部を遮光するように、筐体31に保持される。第1輪郭形成部30は、床面に照射される光の照射領域の第1輪郭を形成する。第1輪郭は、環状(楕円形、真円、多角形等)、波状の曲線で形成された環状等である。本実施の形態では、第2輪郭の大きさは、第1輪郭の大きさよりも小さいが、照明装置の配置や提供したい環境に併せて第1輪郭の大きさを第2輪郭の大きさより小さくしてもよいし、同一としてもよい。
【0050】
例えば、第1輪郭形成部30は、カメラ等に用いられる絞り機構と同等の構成である。第1輪郭形成部30は、第1光源11からの光が通過する開口を有する無底筒状の保持部材と、保持部材の開口に設けられ、複数枚を重ね合わせて開口の絞り径を可変させる絞り羽根とを有する。複数の絞り羽根は、制御部70によって駆動制御されることで、重なり合う2つの絞り羽根が摺動して、開口の絞り径を可変させる。
【0051】
図6は、実施の形態に係る照明システム1の照明装置3に用いられる第1輪郭形成部30及び第2輪郭形成部40の開口径を例示した模式図である。
【0052】
図6のaに示す各々の絞り羽根34aは、その先端側が円孤状に形成される。また、図6のbに示す各々の絞り羽根34bは、開口33を形成する先端側が波打つような波状に形成される。なお、本実施の形態では、2種類の絞り羽根34a、34bを例示するがこれらに限定されない。各々の絞り羽根の先端が直線状であってもよく、のこぎり状であってよく、形状は特に限定されない。本実施の形態では、第1輪郭形成部30は、図6のa及び図6のbの形状の2種類の絞り羽根34a、34bを有する。このように、第1輪郭形成部30は、2種類の絞り羽根34a、34bを用いて、開口33の輪郭を切り替えることができる。
【0053】
また、図3及び図6に示すように、第1輪郭形成部30は、制御部70によって駆動制御されることで、開口33の形状を設定する複数の絞り羽根34a、又は、複数の絞り羽根34bを同時に回転させる。例えば、第1輪郭形成部30は、複数の絞り羽根34a、又は、複数の絞り羽根34bの開口33の形状を波状に形成してから、開口33の開口面の中心を通り、開口面に垂直な線を軸として、複数の絞り羽根34a、又は、複数の絞り羽根34bを同時に回転させる。これにより、第1輪郭が波打つように形成される。また、第1輪郭形成部30は、開口33の径を変えながら又は開口33の形状を変えながら複数の絞り羽根34a、又は、複数の絞り羽根34bを同時に回転させる。
【0054】
<第2輪郭形成部40>
図3及び図5に示すように、第2輪郭形成部40は、天井面に照射される第2光源21の照射する光の第2輪郭を形成する絞り機構である。第2輪郭形成部40は、第2光源21よりも天井面側の光軸上に配置され、第2光源21が照射する光の一部を遮光するように、筐体31に保持される。第2輪郭形成部40は、天井面に照射される光の照射領域の第2輪郭を形成する。第2輪郭は、環状(楕円形、真円、多角形等)、波状の曲線で形成された環状等である。本実施の形態では、第2輪郭の大きさは、第1輪郭の大きさよりも小さいが、図4Bに示すように、照明装置3の配置や提供したい環境に併せて第1輪郭の大きさを第2輪郭の大きさより小さくしてもよいし、同一としてもよい。図4Bは、実施の形態に係る照明システム1における、第1輪郭の大きさと第2輪郭の大きさとが同じ場合を例示したイメージ図である。
【0055】
例えば、第2輪郭形成部40は、カメラ等に用いられる絞り機構と同等の構成である。第2輪郭形成部40は、第2光源21からの光が通過する開口を有する無底筒状の保持部材と、保持部材の開口に設けられ、複数枚を重ね合わせて開口の絞り径を可変させる絞り羽根とを有する。複数の絞り羽根は、制御部70によって駆動制御されることで、重なり合う2つの絞り羽根が摺動して、開口の絞り径を可変させる。
【0056】
第2輪郭形成部40は、図6のa及び図6のbと同様の構成である。第2輪郭形成部40の各々の絞り羽根は、その先端側が円孤状に形成される。また、各々の絞り羽根は、開口を形成する先端側が波打つような波状に形成される。なお、本実施の形態では、2種類の絞り羽根を例示するがこれらに限定されない。各々の絞り羽根の先端が直線状であってもよく、のこぎり状であってよく、形状は特に限定されない。本実施の形態では、第2輪郭形成部40は、上述の2種類の絞り羽根を有する。このように、第2輪郭形成部40は、2種類の絞り羽根を用いて、開口の輪郭を切り替えることができる。
【0057】
また、第2輪郭形成部40は、制御部70によって駆動制御されることで、開口の形状を設定する複数の絞り羽根を同時に回転させる。例えば、第2輪郭形成部40は、複数の絞り羽根の開口の形状を波状に形成してから、開口の開口面の中心を通り、開口面に垂直な線を軸として、複数の絞り羽根を同時に回転させる。これにより、第2輪郭が波打つように形成される。また、第2輪郭形成部40は、開口の径を変えながら又は開口の形状を変えながら複数の絞り羽根を同時に回転させる。
【0058】
<第1レンズ50>
第1レンズ50は、第1光源11及び第1輪郭形成部30よりも床面側の光軸上に配置され、第1輪郭形成部30を通過した光を透過させるように、筐体31に保持される。第1レンズ50は、第1光源11から照射された光の配光を制御する配光制御レンズである。第1レンズ50における第1光源11との対向面は、第1光源11から発せられた光を極力漏らすことなく第1レンズ50内に取り込むことができる形状となっている。
【0059】
第1レンズ50は、第1光源11及び第1輪郭形成部30に対する配置位置が相対的に変化する。つまり、第1レンズ50は、制御部70が図示しない駆動部を制御することで、駆動部によって鉛直方向に移動する。
【0060】
図7は、実施の形態に係る照明システム1の照明装置3が照射面に照射した光の照射領域と非照射領域との境界を例示した模式図である。図5及び図7に示すように、第1輪郭形成部30の開口33から第1レンズ50までの距離が変化するため、床面に照射された光の照射領域と非照射領域との境界が鮮明に強調されたり、暈されたりする。
【0061】
<第2レンズ60>
図5及び図7に示すように、第2レンズ60は、第2光源21及び第2輪郭形成部40よりも天井面側の光軸上に配置され、第2輪郭形成部40を通過した光を透過させるように、筐体31に保持される。第2レンズ60は、第2光源21から照射された光の配光を制御する配光制御レンズである。第2レンズ60における第2光源21との対向面は、第2光源21から発せられた光を極力漏らすことなく第2レンズ60内に取り込むことができる形状となっている。
【0062】
第2レンズ60は、第2光源21及び第2輪郭形成部40に対する配置位置が相対的に変化する。つまり、第2レンズ60は、制御部70が図示しない駆動部を制御することで、駆動部によって鉛直方向に移動する。第2輪郭形成部40の開口から第2レンズ60までの距離が変化するため、天井面に照射された光の照射領域と非照射領域との境界が鮮明に強調されたり、暈されたりする。
【0063】
<制御部70>
図3及び図5に示すように、制御部70は、第1光源11及び第2光源21が照射するそれぞれの光の発光態様を制御する。具体的には、制御部70は、第1光源11及び第2光源21が照射するそれぞれの光の発光態様が同期するように、第1光源11及び第2光源21を制御する。
【0064】
発光態様には、第1光源11及び第2光源21が発するそれぞれの光の色(色温度、波長)、明るさ及び点滅等が含まれる。制御部70は、情報処理装置5から発光態様を示す発光シーン情報を取得すると、取得した発光シーン情報に応じて、第1光源11及び第2光源21を制御する。発光シーン情報には、第1光源11及び第2光源21が照射するそれぞれの光の発光態様を示す発光情報、第1輪郭及び第2輪郭を形成するための第1輪郭形成部30及び第2輪郭形成部40の開口の形状(絞り羽根34a又は絞り羽根34bを使用)及び開口の絞り径を制御する開口制御情報が含まれる。
【0065】
また制御部70は、情報処理装置5から発光態様を示す発光シーン情報を取得すると、取得した発光シーン情報に応じて、第1光源11及び第2光源21が照射するそれぞれの光の第1輪郭及び第2輪郭を制御する。具体的には、制御部70は、第1輪郭形成部30及び第2輪郭形成部40を制御することで、第1輪郭及び第2輪郭が同期するように、次第に変化させる。
【0066】
発光シーン情報には、さらに、第1輪郭及び第2輪郭を形成するための第1輪郭形成部30及び第2輪郭形成部40の開口の形状(絞り羽根34a又は絞り羽根34bを使用)及び開口の絞り径を制御する開口制御情報が含まれる。
【0067】
制御部70は、第1輪郭形成部30及び第2輪郭形成部40の駆動部を制御することで、第1輪郭形成部30及び第2輪郭形成部40のそれぞれの複数の絞り羽根によって、開口の形状及び大きさを変形させる。これにより、制御部70は、床面及び天井面に照射される光の第1輪郭及び第2輪郭が同期するように変化させる。第1輪郭及び第2輪郭が同期するとは、第1輪郭の形状と第2輪郭の形状とが略一致すること、第1輪郭の大きさと第2輪郭の大きさが異なる場合に第1輪郭の大きさと第2輪郭の大きさとが同様に変化する(第1輪郭の大きさが大きくなれば、第2輪郭の大きさも大きくなる、又はその逆の変化)こと、第1輪郭の大きさと第2輪郭の大きさとが一致する場合に、第1輪郭及び第2輪郭の大きさが同様に変化することを意味する。
【0068】
図4Bに示すように第1輪郭の大きさと第2輪郭の大きさとを一致させる場合、照明装置3から第1輪郭を形成する第1照射面までの第1照射距離と、第2輪郭を形成する第2照射面までの第2照射距離とが異なるため、本実施の形態では、以下の手段を用いて実現する。
【0069】
照明装置3又は照明装置3の周囲の壁等に距離センサを設けることで、距離センサは、照明装置から第1照射面までの第1照射距離、及び、照明装置3から第2照射面までの第2照射距離を計測してもよい。制御部70は、距離センサから取得した第1照射距離及び第2照射距離のそれぞれを示す情報を取得し、第1照射距離及び第2照射距離に応じて、第1輪郭の大きさと第2輪郭の大きさとが一致するように、第1輪郭形成部30及び第2輪郭形成部40の開口の大きさを調節してもよい。なお、照明システム1は、このような距離センサを備えていてもよい。
【0070】
また、制御部70は、照明装置3の寸法と照明装置3の設置位置とに基づいて、第1輪郭の大きさと第2輪郭の大きさとが一致するように、第1輪郭形成部30及び第2輪郭形成部40の開口の大きさを調節するテーブルを有していてもよい。制御部70は、テーブルに基づいて、第1輪郭の大きさと第2輪郭の大きさとを一致させることができる。
【0071】
また、制御部70は、撮像部110が撮像した画像情報に基づいて、第1照射距離及び第2照射距離を算出してもよい。また、撮像部110がTOF(Time Of Flight)センサである場合、撮像部110から第1照射距離及び第2照射距離のそれぞれを示す情報を取得し、第1照射距離及び第2照射距離に応じて、第1輪郭の大きさと第2輪郭の大きさとが一致するように、第1輪郭形成部30及び第2輪郭形成部40の開口の大きさを調節してもよい。
【0072】
なお、第1輪郭の大きさと第2輪郭の大きさとを一致させる方法を例示したが、これには限定されず、他の公知の手段を用いてもよい。
【0073】
また、制御部70は、後述する撮像部110が検知可能な検知領域内に存在するユーザの人数及びユーザの配置によって規定されるグループの存在領域(単に、ユーザの存在領域と言うことがある)を示すユーザ情報に基づいて生成された開口制御情報を、情報処理装置から取得する。制御部70は、開口制御情報に基づいて、第1輪郭形成部30を制御することで、第1輪郭の大きさ(つまり、径)を変更(制御)する。開口制御情報には、第1輪郭の径を第1径とする制御情報、又は、第1輪郭の径を第1径よりも大きい第2径とする制御情報等が含まれる。開口制御情報については、情報処理装置5がユーザ情報に基づいて決定するため、詳細は後述する。第1輪郭が波状である場合、例えば、第1輪郭の径は、第1輪郭の極大値と第1輪郭の極小値とで規定される平均値であってもよい。なお、制御部70は、第2輪郭形成部40においても、上述の第1輪郭形成部30を制御する場合と同様であってもよい。
【0074】
また、制御部70は、第1光源11が発する光の配光角と、第2光源21が発する光の配光角とが互いに同期するように変更する。具体的には、制御部70は、第1輪郭の強調度合い(第1輪郭部分の光の階調)の変化と、第2輪郭の強調度合い(第2輪郭部分の光の階調)の変化とが同期するように第1輪郭形成部30及び第2輪郭形成部40を制御する。つまり、制御部70は、第1光源11及び第1輪郭形成部30に対する第1レンズ50の配置位置を相対的に変化させ、第2光源21及び第2輪郭形成部40に対する第2レンズ60の配置位置を相対的に変化させる。制御部70は、図示しない駆動部によって、第1レンズ50及び第2レンズ60の位置を変更する。制御部70は、第1レンズ50を第1輪郭形成部30から遠ざけると、第2レンズ60も第2輪郭形成部40から遠ざけるというように、第1レンズ50及び第2レンズ60の配置位置の変化(制御)についても、同期させる。これにより、制御部70は、床面に照射された光の照射領域と非照射領域との境界と、天井面に照射された光の照射領域と非照射領域との境界とが同時に、鮮明に強調されて表されたり、暈されたりする。
【0075】
また、制御部70は、生体情報に応じて、第1光源11及び第2光源21の発するそれぞれの光の色温度を変化させる。つまり、制御部70は、生体情報に応じて生成された発光シーン情報(情報処理装置5から取得した発光シーン情報)に示される発光情報に基づいて、第1光源11及び第2光源21が照射するそれぞれの光の色温度を変化させる。制御部70は、第1光源11及び第2光源21のそれぞれが発する光の色温度が同一となるように、光の色温度の変化を同期させる。
【0076】
また、制御部70は、集音部120が集音した音圧レベルに応じて、第1光源11及び第2光源21の発するそれぞれの光の発光態様、並びに、第1輪郭及び第2輪郭を変化させてもよい。ここで、集音部120が集音した音圧レベルは、例えば、ユーザの発話による音量を示す。つまり、制御部70は、集音部120が集音したユーザの発話による音量に基づいて、第1光源11及び第2光源21が照射するそれぞれの光の発光態様(光の色温度、明るさ等)を変化させる。例えば、制御部70は、第1光源11及び第2光源21のそれぞれが発する光の色温度、明るさ等の変化を同期させる。
【0077】
また、制御部70は、ユーザの表情及び生体情報に応じて、音響装置80から音を出力させる。つまり、制御部70は、ユーザの表情及び生体情報に応じて生成された音楽情報に示される発光情報(情報処理装置5から取得した発光情報)に基づいて、音響装置80から音を出力させる。また、制御部70は、第1光源11及び第2光源21が照射するそれぞれの光と同期するように、音響装置80から音を出力させる。つまり、制御部70は、第1光源11及び第2光源21が照射するそれぞれの光の発光態様の変化に応じて、音響装置80から出力させる音を変更したり、音量を変更したりする。
【0078】
<音響装置80>
音響装置80は、情報処理装置5が認識したユーザの表情及び生体情報に応じて、図示しない記憶部に保存している音を出力するスピーカである。つまり、音響装置80は、ユーザの表情及び生体情報に応じて生成された音楽情報(情報処理装置5から取得した音楽情報)に基づいた音を出力する。本実施の形態では、音響装置80は、ユーザの表情及び生体情報に応じて、ユーザをリラックスさせる音楽、ユーザを活性化させる音楽等を再生する。
【0079】
音響装置80は、筐体31の床面側に配置され、床面に向けて音を発するように筐体31に保持される。つまり、音響装置80は、照明装置3の下方に存在するユーザに向けて音を出力する姿勢で配置される。また、本実施の形態では、音響装置80は、照明装置3の筐体31に収容されるが、天井等に設置されていてもよく、筐体31に収容されていなくてもよい。
【0080】
音響装置80は、筐体31の開口部の一部を覆うスピーカグリル81と、音を出力するスピーカ本体82とを有する。スピーカグリル81は、照明装置3を鉛直上方向に視た場合、スピーカ本体82を覆い、かつ、第1レンズ50を囲むように、第1レンズ50よりも筐体31の床面側に配置される。
【0081】
なお、本実施の形態では、音響装置80は、スピーカを搭載した音再生プレイヤーであってもよい。この場合、制御部70又は情報処理装置5は、音楽、音楽を再生するソフト等を格納する。
【0082】
なお、音響装置80は、指向性スピーカであってもよい。例えば、音響装置80は、照明装置3が照射する第1輪郭内に存在するユーザに対してだけ、音楽が聞こえるように、音を出力してもよい。
【0083】
<第1通信部90>
第1通信部90は、情報処理装置5から発光シーン情報、音楽情報、芳香情報等の情報を受信する通信モジュール(通信インターフェイス)である。第1通信部90は、情報処理装置5と無線通信又は有線通信により、各々の情報を取得する。第1通信部90は、取得した各々の情報を制御部70に出力する。本実施の形態では、第1通信部90は、情報処理装置5と通信ケーブルによって有線通信される。
【0084】
[情報処理装置5]
情報処理装置5は、ユーザを検知することで、室内に存在するユーザの人数、ユーザの気分、ユーザの身体に関する状態を示す生体情報、室内の環境等に応じて、照明装置3の発光態様を変更するための発光シーン情報を生成したり、音響装置80から出力するための音楽情報を生成したり、芳香装置130から芳香を発生させるための芳香情報を生成したりする。
【0085】
また、情報処理装置5は、ネットワークを介して、外部のサーバ300から定期的に気温、湿度等の気象情報を取得したりする。情報処理装置5は、第1通信部90を介して、ネットワークに接続される外部のサーバ300から、気象情報を定期的に取得する。
【0086】
情報処理装置5は、撮像部110と、集音部120と、芳香装置130と、処理部140と、電源部150と、第2通信部160とを有する。
【0087】
<撮像部110>
撮像部110は、ユーザの表情を撮像した画像を出力する画像センサである。撮像部110は、ユーザの表情を撮像することが可能なように、天井、壁等に設置される。撮像部110は、ユーザの表情を撮像すると、ユーザの表情が写る画像情報として処理部140に出力する。本実施の形態では、撮像部110は、ユーザの顔の表情を撮像し、ユーザの顔の表情が写る画像情報を処理部140に出力する。撮像部110が撮像するユーザの顔の表情には、ユーザの眼の動き、口の動き等が含まれる。なお、ユーザの表情には、顔だけでなく、ユーザの足の動き、胴体の動き、手の動き、頭の動き等が含まれてもよい。また、画像情報には、静止画像だけでなく、動画像が含まれてもよい。
【0088】
また、撮像部110は、ユーザの人数、及び、ユーザの配置を認識し、認識した結果を処理部140に出力する。具体的には、撮像部110は、検知領域に存在するユーザの人数と、ユーザの配置(ユーザの分散度合い等)を認識し、ユーザの人数及びユーザの配置を示すユーザ情報を生成し、生成したユーザ情報を処理部140に出力する。
【0089】
なお、撮像部110は、照明装置3に搭載されていてもよく、壁、天井等に設置されたり、情報処理装置5に搭載されたりすることが必須の要件ではない。
【0090】
<集音部120>
集音部120は、ユーザの周囲の音を集音するマイクである。具体的には、集音部120は、集音部120の周囲の環境音を集音するだけでなく、積極的にユーザの発話を集音する。集音部120は、収音した音を示す集音情報を処理部140に出力する。本実施の形態では、集音部120は、ユーザの発話による音声を集音し、その音声を示す集音情報を処理部140に出力する。
【0091】
なお、集音部120は、ユーザの音声を集音できるように、ユーザの存在する存在領域に指向性の高い指向性マイクでもよい。
【0092】
また、集音部120は、照明装置3に搭載されていてもよく、天井、壁等に設置されていてもよい。
【0093】
<芳香装置130>
芳香装置130は、液体の芳香剤を収容したスプレー缶等のディスペンサ器である。芳香装置130は、情報処理装置5が認識したユーザの表情及び生体情報に応じて、芳香を発生させる。本実施の形態では、芳香装置130は、処理部140がユーザの表情及び生体情報に応じて生成した芳香情報によって、芳香を発生させる。
【0094】
芳香装置130は、処理部140から芳香情報を取得すると、スプレー缶のボタンを押下することで、液体の芳香剤を噴霧する。また、芳香装置130は、第1光源11及び第2光源21が照射するそれぞれの光と同期するように、芳香装置130から芳香を発生させる。
【0095】
なお、芳香装置130は、照明装置3に搭載されていてもよく、天井、壁等に設置されていてもよい。
【0096】
<処理部140>
処理部140は、撮像部110から画像情報を取得すると、画像情報が示す画像に写るユーザの表情を認識する。つまり、処理部140は、画像認識によりユーザの顔の位置を特定するだけでなく、ユーザの眼の動き、口の動き、頬の動き等といった顔付きから、ユーザの表情を読み取る。例えば、ユーザの眼の動き、頬の動き等にさほど変化がない場合は、処理部140は、表情が強張っていると認識する。また、ユーザの眼の動き、頬の動き等が激しく変化する場合、処理部140は、会話が弾んでおり、笑いの表情、眠たい表情等と認識する。また、ユーザの眼の動き、頬の動き等が緩やかに変化する場合、処理部140は、通常の表情と認識する。なお、ここでは、認識する表情を例に挙げているが、これらには限定されない。
【0097】
処理部140は、認識したユーザの表情及び生体情報に応じて、第1光源11及び第2光源21が照射するそれぞれの光の発光態様、並びに、第1輪郭及び第2輪郭を決定する。処理部140は、さらに、集音部120が集音した音圧レベルを考慮して、第1光源11及び第2光源21の照射するそれぞれの光の発光態様、並びに、第1輪郭及び第2輪郭を決定する。本実施の形態では、処理部140は、認識したユーザの表情、生体情報に示される体温及び脈拍数、及び、ユーザの発話による音声の音圧レベルに基づいて、第1光源11及び第2光源21が照射するそれぞれの光の発光態様、並びに、第1輪郭及び第2輪郭を決定する。なお、処理部140は、さらに、気象情報を考慮して、第1光源11及び第2光源21が照射するそれぞれの光の発光態様、並びに、第1輪郭及び第2輪郭を決定してもよい。具体的な、当該決定についての詳細は後述する。
【0098】
また、処理部140は、撮像部110から取得したユーザ情報に基づいて、第1輪郭の大きさ及び第2輪郭の大きさを決定する。具体的には、処理部140は、ユーザ情報が示すユーザの人数及びユーザの配置によって規定されるグループの存在領域に基づいて、第1輪郭の大きさ(第1輪郭内の面積)を決定する。つまり、グループに光を照射するために、処理部140は、存在領域の大きさ以上となるように、第1輪郭の大きさを決定する。具体的には、処理部140は、ユーザ情報に示すユーザの人数及びユーザの配置(ユーザの存在領域)から、照明装置3(つまり第1光源11)からユーザまでの第1距離をそれぞれ算出する。
【0099】
処理部140は、算出した第1距離が閾値以下の場合、第1輪郭の径を第1径とする。これは、照明装置3の近くにユーザが存在している場合であり、照明装置3の近くのユーザを第1輪郭内に収める(ユーザを第1輪郭で囲む)ようにする。具体的には、第1輪郭の径を第1径とするために、処理部140は、第1輪郭形成部30の開口の径を決定し、決定した開口径となるように第1輪郭形成部30を制御する制御情報を含む開口制御情報を生成する。そして、処理部140は、生成した開口制御情報を照明装置3に送信する。
【0100】
また、処理部140は、算出した第1距離が閾値よりも大きい場合、第1輪郭の径を第1径よりも小さい第2径とする。これは、照明装置3の遠くにユーザが存在している場合であり、照明装置3から遠く離れたユーザを第1輪郭内に収めないようにし、照明装置3の近くに存在するユーザを第1輪郭内に収めるようにする。具体的には、第1輪郭の径を第2径とするために、処理部140は、第1輪郭形成部30の開口の径を決定し、決定した開口径となるように第1輪郭形成部30を制御する制御情報を含む開口制御情報を生成する。そして、処理部140は、生成した開口制御情報を照明装置3に送信する。
【0101】
また、グループ内のユーザが僅かに移動したりするため、第1輪郭の大きさを存在領域の数十%大きくしてもよい。また、第2輪郭の大きさについても、処理部140は、第1輪郭の大きさと同期するように、大きくする。
【0102】
また、処理部140は、認識したユーザの表情及び生体情報に応じて、第1光源11及び第2光源21が照射するそれぞれの光と同期するように、芳香装置130から芳香を発生させる。なお、スプレー缶が複数ある場合、処理部140は、第1光源11及び第2光源21が照射するそれぞれの光の発光態様の変化に応じて、芳香装置130から発生させる芳香を変化させる。
【0103】
<電源部150>
電源部150は、照明装置3の各部に電力を供給する機能を有する。電源部150は、例えば、プリント基板に複数の電子部品が実装された電源回路である。電源部150は、例えば、第1光源11及び第2光源21の各々を発光させるための駆動電力を生成する。具体的には、電源部150は、第1光源11及び第2光源21を発光させるための駆動電力を生成し、この駆動電力を第1光源11及び第2光源21に供給する。例えば、差し込みプラグ等によって照明装置3が商用の交流電源に接続されると、例えば、電源部150は、交流電力を駆動電力である直流電力に変換する。電源部150は、この直流電力を第1光源11及び第2光源21を発光させるための駆動電力として、第1光源11及び第2光源21に供給する。
【0104】
<第2通信部160>
第2通信部160は、照明装置3に発光シーン情報、音楽情報、芳香情報等の情報を送信する通信モジュール(通信インターフェイス)である。第2通信部160は、照明装置3と無線通信又は有線通信により、各々の情報を取得する。本実施の形態では、第2通信部160は、照明装置3と通信ケーブルによって有線通信される。
【0105】
[端末装置7]
端末装置7は、ユーザが所持することで、ユーザの身体に関する状態を示す生体情報を取得し、取得した生体情報を出力するウェアラブル端末である。端末装置7は、ミリ波センサ等によってユーザの身体に関する状態を示す生体情報を取得する。生体情報は、ユーザの脈拍数を示す情報、及び、ユーザの体温を示す体温情報の少なくとも一方を含む。つまり、端末装置7は、所定期間ごとにユーザの体温及び脈拍数を検知して生体情報を生成し、生成した生体情報を情報処理装置5に送信する。なお、端末装置7は、スマートフォン等のアプリによって生体情報を取得してもよく、身体に装着することに限定されない。端末装置7は、センサの一例である。
【0106】
[動作]
次に、照明装置3及び照明システム1の動作について説明する。
【0107】
図8は、実施の形態に係る照明システム1の情報処理装置5の動作を例示したフロー図である。ここでは、照明装置3は、床面に対して予め光を照射した状態である、つまり、床面に光の照射領域が形成されていることを想定する。
【0108】
図8に示すように、処理部140は、撮像部110によってユーザの存在が検知されたかどうかを判定する(S1)。つまり、床面に照射される光の照射領域にユーザが侵入又は接触したかどうかを判定する。
【0109】
光の照射領域にユーザが侵入又は接触した場合、撮像部110がユーザを検知するため(S1でYes)、処理部140は、ユーザの人数及びユーザの配置を示すユーザ情報を取得する(S2)。具体的には、撮像部110は、ユーザが光の照射領域に侵入すると、ユーザの人数及びユーザの配置を認識し、ユーザの人数及びユーザの配置を示すユーザ情報を生成する。撮像部110は、生成したユーザ情報を処理部140に出力する。
【0110】
一方、光の照射領域にユーザが侵入又は接触しない場合、撮像部110がユーザを検知できないため(S1でNo)、処理部140は、同様の処理を繰り返す、又は、撮像部110がユーザを検知するまで処理を待機させる。
【0111】
処理部140は、撮像部110から取得したユーザ情報に基づいて、第1輪郭の大きさ及び第2輪郭の大きさを決定する(S3)。
【0112】
また、撮像部110は、各々のユーザの表情を撮像した画像を示す画像情報を生成し、生成した画像情報を処理部140に出力する。処理部140は、撮像部110から画像情報を取得する(S4)。処理部140は、撮像部110から画像情報を取得すると、画像情報が示す画像に写るユーザの表情を認識する。例えば、処理部140は、強張っている表情、笑いの表情、眠たい表情、通常の表情等を認識する。
【0113】
なお、撮像部110は、画像情報の生成及びユーザ情報の生成を並列して行ってもよく、画像情報及びユーザ情報を纏めて処理部140に出力してもよい。このため、ステップS2とステップS4との処理を纏めて行ってもよい。
【0114】
また、集音部120は、ユーザの発話による音声を示す集音情報を生成し、生成した集音情報を処理部140に出力する。処理部140は、集音部120から集音情報を取得する(S5)。処理部140は、集音部120から取得した集音情報を取得すると、集音情報が示すユーザの音圧レベルの高さを認識する。
【0115】
また、端末装置7は、ユーザの身体に関する状態を示す生体情報を取得し、取得した生体情報を処理部140に出力する。処理部140は、端末装置7から生体情報を取得する(S6)。例えば、処理部140は、端末装置7から取得した生体情報を取得すると、生体情報が示すユーザの脈拍数の変化を認識する。
【0116】
なお、ステップS4~S6の処理の順番はこれに限らず、処理の順番は如何様でもよい。また、これらの処理が並列して同時に行われてもよい。つまり、処理部140は、画像情報、集音情報、及び、生体情報を同時に取得してもよい。
【0117】
処理部140は、ステップS4~S6で得られた、画像情報、集音情報、及び、生体情報から、ユーザの表情が第1表情であり、音圧レベルが第1レベル以下であり、脈拍数が規定脈拍値以上であるかどうかを判定する(S7)。例えば、第1表情は強張っている表情であり、第1レベルは約50dBであり、規定脈拍値は一般的な脈拍の平均値である。なお、第1表情、第1レベル、及び、規定脈拍値は一例であり、これらには限定されない。
【0118】
ユーザの表情が強張っている表情(第1表情)であり、音圧レベルが約50dB(第1レベル)以下であり、脈拍数が平均値(規定脈拍値)以上である場合、ユーザの状態は、真剣に何らかの作業に取り組んでいる状態であると考えられる。このため、ユーザに対して集中できる環境を提供する必要がある。処理部140は、ユーザの強張っている表情を認識し、ユーザの音圧レベルが約50dB以上であることを判定し、脈拍数が平均値よりも高いことを判定すると(S7でYes)、発光シーンを決定する(S8)。つまり、処理部140は、第1光源11及び第2光源21が発する光の発光態様である光の色温度を約3500Kとする発光情報を生成する。また、処理部140は、第1輪郭及び第2輪郭における、光の照射領域と非照射領域との境界を鮮明に強調し、第1輪郭及び第2輪郭を動かさない開口制御情報を生成する。処理部140は、生成した発光情報及び開口制御情報を含む発光シーン情報を照明装置3に出力する。
【0119】
また、処理部140は、ステップS8で決定した発光シーンに応じた芳香及び音楽を出力するために、芳香情報及び音楽情報を決定してもよい。
【0120】
ステップS7のいずれかの条件を1つでも満たさない場合(S7でNo)、処理部140は、ステップS4~6で得られた、画像情報、集音情報、及び、生体情報から、ユーザの表情が第2表情であり、音圧レベルが第2レベル以上であり、脈拍数が急激に変化しているかどうかを判定する(S9)。例えば、第2表情は眠たい表情であり、第2レベルは約60dBである。脈拍数が急激に変化とは、例えば、変化する前の脈拍数と変化ごとの脈拍数とが数十%変化している場合である。なお、第2表情、及び、第2レベルは一例であり、これらには限定されない。
【0121】
ユーザの表情が眠たい表情(第2表情)であり、音圧レベルが約60dB(第2レベル)以上であり、脈拍数が急激に変化する場合、ユーザの状態は、眠気に襲われている状態であると考えられる。このため、ユーザに対して覚醒するような環境を提供する必要がある。処理部140は、ユーザの眠たい表情を認識し、ユーザの音圧レベルが約60dB以上であることを判定し、脈拍数が急激に変化していることを判定すると(S9でYes)、発光シーンを決定する(S10)。つまり、処理部140は、第1光源11及び第2光源21が発する光の発光態様である光の色温度を約6500Kとし、かつ、光を所定期間点滅させる発光情報を生成する。また、処理部140は、第1輪郭及び第2輪郭における、光の照射領域と非照射領域との境界を鮮明に強調し、第1輪郭及び第2輪郭を動かさない開口制御情報を生成する。処理部140は、生成した発光情報及び開口制御情報を含む発光シーン情報を照明装置3に出力する。
【0122】
また、処理部140は、ステップS10で決定した発光シーンに応じた芳香及び音楽を出力するために、芳香情報及び音楽情報を決定してもよい。
【0123】
ステップS9のいずれかの条件を1つでも満たさない場合(S9でNo)、処理部140は、ステップS4~S6で得られた、画像情報、集音情報、及び、生体情報から、ユーザの表情が第3表情であり、音圧レベルが第2レベル以上であり、脈拍数が規定脈拍数以上であるかどうかを判定する(S11)。例えば、第3表情は笑いの表情であり、第2レベルは約60dBである。なお、第3表情は一例であり、これらには限定されない。
【0124】
ユーザの表情が笑いの表情(第3表情)であり、音圧レベルが約60dB(第2レベル)以上であり、脈拍数が平均値(規定脈拍数)以上である場合、ユーザの状態は、会話が弾んでいる状態であると考えられる。このため、ユーザに対してより会話が活性化するような環境を提供する必要がある。そこで、処理部140は、ユーザの笑いの表情を認識し、ユーザの音圧レベルが約60dB以上であることを判定し、脈拍数が平均値よりも高いことを判定すると(S11でYes)、発光シーンを決定する(S12)。つまり、処理部140は、第1光源11及び第2光源21が発する光の発光態様である光の色温度を約5000Kとする発光情報を生成する。また、処理部140は、第1輪郭及び第2輪郭における、光の照射領域と非照射領域との境界を暈し、第1輪郭及び第2輪郭の形状を波状にし、かつ、第1輪郭及び第2輪郭が波立つように動かす(絞り羽根を回転させる)開口制御情報を生成する。処理部140は、生成した発光情報及び開口制御情報を含む発光シーン情報を照明装置3に出力する。
【0125】
また、処理部140は、ステップS12で決定した発光シーンに応じた芳香及び音楽を出力するために、芳香情報及び音楽情報を決定してもよい。
【0126】
ステップS11のいずれかの条件を1つでも満たさない場合(S11でNo)、処理部140は、ステップS4~S6で得られた、画像情報、集音情報、及び、生体情報から、ユーザの表情が第3表情であり、音圧レベルが第3レベル以下であり、脈拍数が規定脈拍数未満であるかどうかを判定する(S13)。例えば、第4表情は通常の表情であり、第3レベルは約30dBである。なお、第4表情は一例であり、これらには限定されない。
【0127】
ユーザの表情が通常の表情(第4表情)であり、音圧レベルが約30dB(第3レベル)以上であり、脈拍数が平均値(規定脈拍数)未満である場合、ユーザの状態は、落ち着いた通常の状態であると考えられる。このため、ユーザに対してリラックスするような環境を提供する必要がある。そこで、処理部140は、ユーザの通常の表情を認識し、ユーザの音圧レベルが約30dB以下であることを判定し、脈拍数が平均値よりも低いことを判定すると(S13でYes)、発光シーンを決定する(S14)。つまり、処理部140は、第1光源11及び第2光源21が発する光の発光態様である光の色温度を約2400Kとする発光情報を生成する。また、処理部140は、第1輪郭及び第2輪郭における、光の照射領域と非照射領域との境界を暈し、かつ、第1輪郭及び第2輪郭それぞれの大きさを、大きくしたり小さくしたりと緩やかに変化させる(絞り羽根の開口径をと大きくしたり小さくしたりする)開口制御情報を生成する。処理部140は、生成した発光情報及び開口制御情報を含む発光シーン情報を照明装置3に出力する。
【0128】
また、処理部140は、ステップS14で決定した発光シーンに応じた芳香及び音楽を出力するために、芳香情報及び音楽情報を決定してもよい。
【0129】
ステップS13のいずれかの条件を1つでも満たさない場合(S13でNo)、処理部140は、予め設定している規定の発光シーンに決定し(S15)、決定した発光シーン情報を照明装置3に出力する。そして、情報処理装置5は、この処理を終了する。
【0130】
このように、照明装置3は、情報処理装置5で決定された発光シーン情報を取得すると、取得した発光シーン情報に応じて照明する。なお、本実施の形態では、ユーザの状態として、会話が弾んでいる状態、落ち着いた通常の状態、真剣に何らかの作業に取り組んでいる状態、眠気に襲われている状態を例示しているが、これらには限定されない。このため、情報処理装置5のフロー図も本実施の形態には限定されない。
【0131】
次に、第1輪郭の径の大きさを決定する処理について説明する。
【0132】
図9は、実施の形態に係る照明システム1の情報処理装置5における第1輪郭の径を決定する動作を例示したフロー図である。ここでは、第1輪郭は、円形状を想定する。
【0133】
図9に示すように、まず、処理部140は、撮像部110からユーザ情報を取得する(S31)。
【0134】
次に、処理部140は、ユーザ情報が示すユーザの人数、及び、ユーザの配置(ユーザの存在領域)に基づいて、第1輪郭の大きさを決定する(S32)。具体的には、処理部140は、ユーザ情報に示すユーザの人数及びユーザの配置に基づいて、照明装置3からユーザまでの第1距離をそれぞれ算出する。
【0135】
次に、処理部140は、算出した第1距離が閾値以下であるかどうかを判定する(S33)。
【0136】
処理部140は、算出した第1距離が閾値以下である場合(S33でYes)、第1輪郭の径を第1径に決定する(S34)。つまり、照明装置3の近くに存在する全てのユーザを第1輪郭内に収めるようにする。
【0137】
次に、処理部140は、第1輪郭形成部30の開口の径を制御する制御情報であり、第1輪郭の径を第1径とするための制御情報を含む開口制御情報を生成する。そして、処理部140は、第2通信部160を介して、生成した開口制御情報を照明装置3に送信する(S35)。そして、情報処理装置5は、処理を終了する。
【0138】
処理部140は、算出した第1距離が閾値よりも大きい場合(S33でNo)、第1輪郭の径を第2径に決定する(S36)。つまり、照明装置3の遠くに存在するユーザを第1輪郭内に収めないようにし、照明装置3の近くに存在するユーザを第1輪郭内に収めるようにする。
【0139】
次に、処理部140は、第1輪郭形成部30の開口の径を制御する制御情報であり、第1輪郭の径を第2径とするための制御情報を含む開口制御情報を生成する。そして、処理部140は、第2通信部160を介して、生成した開口制御情報を照明装置3に送信する(S37)。そして、情報処理装置5は、処理を終了する。
【0140】
[作用効果]
次に、本実施の形態における照明装置3及び照明システム1の作用効果について説明する。
【0141】
上述したように、本実施の形態に係る照明装置3は、第1方向と、第1方向と反対方向の第2方向とのそれぞれに光を照射する照明装置である。照明装置3は、照射面に照射される第1方向の光の第1輪郭と、照射面に照射される第2方向の光の第2輪郭とを同期させる。
【0142】
これによれば、例えば床面の一部と天井面の一部とを同時に照明することができる。このため、天井面の照射領域から床面の照射領域までが浮かび上がって見える。つまり、光の照射領域で形成された空間と、それ以外の空間とを切り分けるような演出を行うことができる。
【0143】
したがって、この照明装置3では、光によって演出された空間を形成することができる。
【0144】
また、本実施の形態に係る照明装置3は、さらに、端末装置7が検知したユーザの身体に関する状態を示す生体情報に応じて、第1輪郭及び第2輪郭を制御する制御部70を備える。
【0145】
これによれば、生体情報に応じて第1輪郭及び第2輪郭を変更することができる。例えば、ユーザの行動に応じて、第1輪郭及び第2輪郭の大きさを変更したり、第1輪郭及び第2輪郭の形状を変更したりすることができる。このため、ユーザの行動に応じた演出を照明によって実現することができる。
【0146】
また、本実施の形態に係る照明システム1は、照明装置3と、ユーザの身体に関する状態を検知することで取得した生体情報を、情報処理装置5に出力する端末装置7と、生体情報に基づいて、第1光源11及び第2光源21が照射するそれぞれの光の発光態様、並びに、第1輪郭及び第2輪郭を決定する情報処理装置5とを備える。
【0147】
また、この照明システム1においても上述と同様の作用効果を奏する。
【0148】
また、本実施の形態に係る照明装置3において、制御部70は、第1輪郭及び第2輪郭が波状となるように制御する。
【0149】
これによれば、第1輪郭及び第2輪郭を波立たせるような動きを、光で表現することができる。このため、ユーザの行動に応じた演出を照明によって実現することができる。
【0150】
また、本実施の形態に係る照明装置3において、制御部70は、第1輪郭及び第2輪郭が一致するように制御する。
【0151】
これによれば、天井面の照射領域から床面の照射領域までの空間を、光によって一体的に表現することができる。このため、ユーザは、光の照射領域で形成された空間と、それ以外の空間とがより鮮明に切り分けられて見える。
【0152】
また、本実施の形態に係る照明装置3は、第1方向に光を照射する第1光源11と、第2方向に光を照射する第2光源21と、第1光源11によって照射面に照射される光の第1輪郭を形成する第1輪郭形成部30と、第2光源21によって照射面に照射される光の第2輪郭を形成する第2輪郭形成部40とを備える。そして、制御部70は、第1光源11及び第2光源21が照射するそれぞれの光の発光態様が同期するように制御し、かつ、第1輪郭と第2輪郭とが同期するように第1輪郭形成部30、第2輪郭形成部40を制御する。
【0153】
これによれば、天井面及び床面の発光態様と、天井面及び床面の輪郭とが同期するため、一体的な光の空間を表現することができる。このため、ユーザは、光の照射領域で形成された空間と、それ以外の空間とがより鮮明に切り分けられるように見える。
【0154】
また、本実施の形態に係る照明装置3において、発光態様には、第1光源11及び第2光源21が照射するそれぞれの光の色温度及び明るさが含まれる。
【0155】
これによれば、天井面及び床面の色温度及び明るさを同期させることができる。このため、ユーザの行動に応じた演出を照明によって実現することができる。
【0156】
また、本実施の形態に係る照明装置3において、制御部70は、第1輪郭形成部30及び第2輪郭形成部40を制御することで、第1輪郭及び第2輪郭を次第に変化させる。
【0157】
これによれば、例えば、生体情報に応じて、輪郭を次第に変化させることができる。このため、ユーザの行動に応じた演出を照明によって実現することができる。また、輪郭が次第に変化することで、ユーザに違和感を与え難くなる。
【0158】
また、本実施の形態に係る照明装置3において、制御部70は、第1光源11が照射する光の配光角と、第2光源21が照射する光の配光角とが互いに同期するように変更する。
【0159】
これによれば、光の照射領域と非照射領域との境界を鮮明に強調したり、暈すようにしたりすることができる。このため、生体情報に応じて、この境界を変化させることができる。このため、ユーザの行動に応じた演出を照明によって実現することができる。
【0160】
また、本実施の形態に係る照明システム1において、生体情報は、ユーザの脈拍数を示す情報、及び、ユーザの体温を示す情報の少なくとも一方を含む。
【0161】
これによれば、ユーザの身体に関する状態を正確に認識することができる。このため、照明システム1は、生体情報に応じて、つまりユーザの状態に応じて、発光態様、第1輪郭及び第2輪郭からなる照明を行うことができる。つまり、ユーザの行動に応じた演出を照明によって実現することができる。
【0162】
また、本実施の形態に係る照明システム1は、さらに、ユーザの表情を撮像した画像を出力する撮像部110を備える。そして、情報処理装置5は、撮像部110が出力した画像に写るユーザの表情を認識し、認識したユーザの表情及び生体情報に応じて、第1光源11及び第2光源21が照射するそれぞれの光の発光態様、並びに、第1輪郭及び第2輪郭を決定する。
【0163】
これによれば、さらにユーザの表情を認識することで、ユーザの状態をより正確に把握することができる。このため、ユーザの行動に応じた演出を照明によって実現することができる。
【0164】
また、本実施の形態に係る照明システム1は、さらに、ユーザの周囲の音を集音する集音部120を備える。そして、制御部70は、さらに、集音部120が集音した音圧レベルに応じて、第1光源11及び第2光源21の照射するそれぞれの光の発光態様、並びに、第1輪郭及び第2輪郭を決定する。
【0165】
これによれば、ユーザの周囲の音、例えばユーザの発話による音声の音声レベルを認識することで、ユーザの状態をより正確に把握することができる。このため、ユーザの行動に応じた演出を照明によって実現することができる。
【0166】
また、本実施の形態に係る照明システム1は、さらに、音を出力する音響装置80を備える。そして、音響装置80は、情報処理装置5が認識したユーザの表情及び生体情報に応じて、音を出力する。
【0167】
これによれば、ユーザに対して音を出力することができる。このため、ユーザの行動に応じた演出を実現することができる。
【0168】
また、本実施の形態に係る照明システム1は、さらに、芳香を発生させる芳香装置130を備える。そして、芳香装置130は、情報処理装置5が認識したユーザの表情及び生体情報に応じて、芳香を発生させる。
【0169】
これによれば、ユーザに対して芳香を発生することができる。このため、ユーザの行動に応じた演出を実現することができる。
【0170】
(その他の変形例)
以上、本開示に係る照明装置及び照明システムについて、上記各実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したものも、本開示の範囲内に含まれてもよい。
【0171】
例えば、上記実施の形態に係る照明装置及び照明システムにおいて、ユーザの人数及びユーザの配置は、撮像装置が認識しているが、さらに、人感センサを用いることで、ユーザの人数及びユーザの配置を検知してもよい。人感センサは、照明装置に搭載されてもよく、情報処理装置に搭載されてもよく、照明装置及び情報処理装置とは別に設けられてもよい。
【0172】
また、上記実施の形態に係る照明装置及び照明システムにおいて、撮像部又は処理部は、ユーザの立姿勢及び座姿勢等のユーザの状態を認識してもよい。処理部は、このようなユーザの姿勢に応じて、照明装置が照射する第1輪郭の大きさを変化させてもよい。例えば、座姿勢の場合には、照明装置が発する光の第1輪郭の大きさを、立姿勢の場合よりも大きくしてもよい。
【0173】
また、上記実施の形態に係る照明装置及び照明システムにおいて、照明装置は、第1光源と第2光源とを有するが、1つの光源だけを有していてもよい。この場合、当該光源が発する光をレンズ等によって第1方向と第2方向とに分割し、第1方向と第2方向とに光を照射させてもよい。
【0174】
また、上記実施の形態に係る照明装置及び照明システムにおいて、第1光源及び第2光源が照射する光は、第1輪郭及び第2輪郭を構成する光輪であってもよい。つまり、第1光源及び第2光源が照射する光は、環状の形をなした光(つまり、光輪)であり、光輪の内側に対象物を収めていてもよい。
【0175】
また、上記実施の形態に係る照明装置及び照明システムに含まれる各処理部は典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0176】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0177】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記憶媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0178】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態は例示された数字に制限されない。
【0179】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0180】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0181】
なお、上記の各実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0182】
1 照明システム
3 照明装置
5 情報処理装置
7 端末装置(センサ)
11 第1光源
21 第2光源
30 第1輪郭形成部
40 第2輪郭形成部
70 制御部
80 音響装置
110 撮像部
120 集音部
130 芳香装置
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9