(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】ロックユニット及び電動自転車
(51)【国際特許分類】
B62J 43/23 20200101AFI20241018BHJP
B62M 6/90 20100101ALI20241018BHJP
B62J 43/13 20200101ALI20241018BHJP
【FI】
B62J43/23
B62M6/90
B62J43/13
(21)【出願番号】P 2020199103
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 満
(72)【発明者】
【氏名】赤松 哲郎
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-175840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 43/00 ー 43/30
B62M 6/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーを着脱可能に固定するためのロック装置と、
前記ロック装置を電動自転車のフレームに固定する固定構造と
、
前記ロック装置を前記固定構造に対して第2方向にスライド可能に係止する係止構造と、を備え、
前記固定構造は、
前記フレームに対して、第1方向において位置調整可能に固定され、かつ、前記ロック装置に対して、前記第1方向とは異なる
前記第2方向において位置調整可能に固定される構造であ
り、
前記係止構造は、前記ロック装置に設けられたフックと、前記フックが挿し通されるように前記固定構造に設けられた挿通孔と、を含む
ロックユニット。
【請求項2】
前記固定構造は、前記フレームに対して前記第1方向において位置調整可能に固定され、かつ、前記ロック装置に対して前記第2方向において位置調整可能に固定される第1板金を含み、
前記挿通孔は、前記第1板金に設けられている、
請求項1のロックユニット。
【請求項3】
前記ロック装置は、前記フレームの切り欠き部分の長手方向の端部に固定され、前記バッテリーが前記切り欠き部分に装着された状態において、前記バッテリーの外表面と、前記切り欠き部分と、の間に8mm以上の隙間を形成するように設けられている、
請求項1又は2のロックユニット。
【請求項4】
前記固定構造は、前記フレームに対して、前記第1方向において位置調整可能に固定される第1板金を含む
請求項1のロックユニット。
【請求項5】
前記固定構造は、前記ロック装置に対して、前記第2方向において位置調整可能に固定される第1板金を含む
請求項1のロックユニット。
【請求項6】
前記固定構造は、前記フレームに対して前記第1方向において位置調整可能に固定され、かつ、前記ロック装置に対して前記第2方向において位置調整可能に固定される第1板金を含む
請求項1のロックユニット。
【請求項7】
前記第1板金は、コーナー部分を有するL字状の板金であり、
前記第1板金の前記コーナー部分を挟んだ第1側の部分が、前記フレームに対して、前記第1方向において位置調整可能に固定される部分であり、
前記第1板金の前記コーナー部分を挟んだ第2側の部分が、前記ロック装置に対して、前記第2方向において位置調整可能に固定される部分である
請求項6のロックユニット。
【請求項8】
前記固定構造は、
前記第1板金に対して、前記第1方向とは異なる第3方向において位置調整可能に固定される第2板金を、更に含む
請求項4から7のいずれか一項のロックユニット。
【請求項9】
前記第2板金と前記ロック装置は、前記第1板金に対して一括して固定される
請求項8のロックユニット。
【請求項10】
前記第1方向と前記第2方向は、互いに直交する
請求項1から9のいずれか一項のロックユニット。
【請求項11】
前記固定構造は、前記固定構造を前記フレームに固定するための固定具が挿し通される孔を含み、
前記孔は、前記第1方向を長手方向とする長孔である
請求項1から10のいずれか一項のロックユニット。
【請求項12】
前記固定構造は、前記固定構造を前記ロック装置に固定するための固定具が挿し通される孔を含み、
前記孔は、前記第2方向を長手方向とする長孔である
請求項1から10のいずれか一項のロックユニット。
【請求項13】
前記ロック装置は、第1係止部を有し、
前記第1係止部は、前記バッテリーを係止する係止位置と、前記バッテリーを係止しない非係止位置との間で、前記第1方向又は前記第2方向に移動可能である
請求項1から12のいずれか一項に記載のロックユニット。
【請求項14】
前記第1係止部が移動可能な方向において、前記ロック装置が前記フレームに対して位置調整可能な量は、前記第1係止部が移動可能な量よりも小さい
請求項13に記載のロックユニット。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項の前記ロックユニットと、
前記ロックユニットに固定される前記フレームと、
前記ロックユニットの前記ロック装置に着脱可能に保持される前記バッテリーと、を備える
電動自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロックユニット及び電動自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動自転車のフレームに、バッテリーを着脱可能に装着するための機構を設けることが行われている(例えば特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電動自転車では、バッテリーを着脱可能に装着するための機構を、フレームに対して細かく位置調整することが困難であった。
【0005】
本開示は、フレームに対して細かく位置調整することができるロックユニット及びこれを備えた電動自転車を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るロックユニットは、バッテリーを着脱可能に固定するためのロック装置と、前記ロック装置を電動自転車のフレームに固定する固定構造と、を備える。前記固定構造は、前記フレームに対して、第1方向において位置調整可能に固定され、かつ、前記ロック装置に対して、前記第1方向とは異なる第2方向において位置調整可能に固定される構造である。
【0007】
本開示の一態様に係る電動自転車は、前記ロックユニットと、前記ロックユニットに固定される前記フレームと、前記ロックユニットの前記ロック装置に着脱可能に保持される前記バッテリーと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、フレームに対して細かく位置調整することができるロックユニット及びこれを備えた電動自転車を提供することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態の電動自転車の側面図である。
【
図2】
図2は、同上の電動自転車の要部側面図である。
【
図6】
図6は、同上の電動自転車においてバッテリーの固定が解除された状態の要部斜視図である。
【
図8】
図8は、同上の電動自転車が備えるバッテリーの斜視図である。
【
図9】
図9は、同上のバッテリーの上端部の分解斜視図である。
【
図10】
図10Aは、同上のバッテリーが備える保持装置において操作レバーが係止位置にあるときを示す、カバー部材を外した上面図であり、
図10Bは、同上の保持装置において操作レバーが非係止位置にあるときを示す、カバー部材を外した上面図である。
【
図12】
図12は、同上のバッテリーにロックユニットを組み合わせた斜視図である。
【
図13】
図13は、同上のロックユニットの分解斜視図である。
【
図14】
図14は、同上のバッテリー及びこれを支持するホルダーの分解斜視図である。
【
図15】
図15は、同上のバッテリーが備える底カバーの正面図である。
【
図17】
図17は、同上の電動自転車の変形例の要部断面図である。
【
図18】
図18は、同上の電動自転車の別の変形例の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.一実施形態
1-1.電動自転車の全体構造
図1に示す一実施形態の電動自転車1は、電動アシスト自転車である。一実施形態の電動自転車1は、フレーム10と、フレーム10に回転可能に連結された二つの車輪11と、フレーム10に取り付けられたハンドル部12、サドル部13、及びモーターユニット15とを備える。二つの車輪11は、前輪111と後輪112である。このうち後輪112が、モーターユニット15から出力される駆動力によって回転駆動される。
【0011】
本文において用いる上下方向は、電動自転車1が水平面上に置かれたときを基準として定義される。本文において用いられる前後左右の各方向は、電動自転車1の運転者を基準として定義される。つまり、運転者が電動自転車1に乗って進行する方向が前方、これの反対側が後方であり、運転者から見て左の方向が左方、運転者から見て右の方向が右方である。
【0012】
フレーム10は、ヘッドチューブ101、トップチューブ102、ダウンチューブ103、シートチューブ104、シートステー105、チェーンステー106、及びブラケット107を有する。フレーム10(つまりフレーム10を構成する上記の各部)は、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属で形成されるが、非金属を一部に含んでもよい。フレーム10の全体が非金属で形成されてもよく、フレーム10の材質は特に限定されない。
【0013】
ヘッドチューブ101には、ハンドル部12が回転可能に取り付けられている。ハンドル部12の下端部からは、フロントフォーク121が下方に延長されている。フロントフォーク121には、前輪111が回転可能に取り付けられている。
【0014】
ヘッドチューブ101には、トップチューブ102の前端部が固定されている。トップチューブ102の後端部は、シートチューブ104に固定されている。シートチューブ104の上端には、サドル部13が接続されている。シートチューブ104の下端部には、ブラケット107が固定されている。ダウンチューブ103は、ブラケット107から前斜め上方に向けて伸びたチューブであり、ヘッドチューブ101には、ダウンチューブ103の前端部が固定されている。言い換えれば、ダウンチューブ103は、ヘッドチューブ101からブラケット107に向けて、後ろ斜め下方に向けて伸びたチューブであり、ダウンチューブ103の後端部は、ブラケット107に固定されている。
【0015】
ブラケット107の下側には、モーターユニット15が固定されている。ブラケット107の後端部には、チェーンステー106の前端部が固定されている。トップチューブ102の後端部には、シートステー105の前端部が固定されている。シートステー105の後端部は、チェーンステー106の後端部に連結されており、この連結部分に後輪112が回転可能に装着されている。
【0016】
モーターユニット15には、クランクアーム18が回転可能に挿し通されている。モーターユニット15の内部には、前側のスプロケット191が設けられている。後輪112のハブには、後側のスプロケット192が固定されている。前側のスプロケット191と後側のスプロケット192の間には、チェーン193が掛け回されている。
【0017】
更に、一実施形態の電動自転車1は、モーターユニット15に電力を供給するためのバッテリー2と、バッテリー2をフレーム10に対して着脱可能に装着するためのロックユニット5とを備える。
【0018】
バッテリー2は、バッテリー本体3と、バッテリー本体3の長手方向の一端部に固定された保持装置4とを備える。バッテリー本体3の長手方向の一端部は、バッテリー本体3の上端部である。
【0019】
ロックユニット5は、バッテリー2が着脱可能に装着されるロック装置6と、ロック装置6をフレーム10に対して位置調整可能に固定する固定構造7とで構成されている。一実施形態の電動自転車においては、ロック装置6が、バッテリー2の一部(つまり保持装置4)を着脱可能に固定する。これにより、バッテリー2は、ロック装置6を含むロックユニット5に着脱可能に固定され、ひいては、ロックユニット5を介してフレーム10に着脱可能に装着される。
【0020】
一実施形態の電動自転車1において、ロックユニット5は、フレーム10のダウンチューブ103に取り付けられている。ダウンチューブ103には、前方に向けて(より詳細には前斜め下方に向けて)開口した切り欠き部分108が設けられている。バッテリー2は、ロックユニット5を介して、切り欠き部分108に嵌まるような形態でダウンチューブ103に装着される。
【0021】
以下においては、これら各構成について更に詳しく説明する。
【0022】
1-2.バッテリー本体
図2、
図3、
図8、
図14等に示すように、バッテリー2の主体を構成するバッテリー本体3は、複数の蓄電池セル31と、これら複数の蓄電池セル31を囲む筒型のケース32と、ケース32の外表面に取り付けられたカバー部33と、ケース32の下端を覆う底カバー35とを備える。カバー部33は、ケース32の外表面に取り付けられた状態で、バッテリーの表面の一部を構成する。
【0023】
一実施形態のバッテリー本体3は、蓄電池セル31を複数備えるが、蓄電池セル31は少なくとも1つ備えればよい。ケース32の長手方向は、バッテリー本体3の長手方向と一致し、また、バッテリー2の長手方向と一致する。ケース32の外周面のうち左右両側の部分には、カバー部33を引っ掛けるための溝321,322がそれぞれ形成されている(
図3参照)。溝321,322はそれぞれ、ケース32の長手方向に一直線状に伸びた有底溝であり、ケース32の長手方向の全長にわたって形成されている。
【0024】
カバー部33は、カバー部33の主体を構成する断面弧状のカバー部材330と、カバー部材330をケース32に装着するための断面弧状のカバー保持部材331とを有する。カバー部33の周縁部(つまりカバー保持部材331の周縁部)には、カバー部33をケース32に引っ掛けるための爪構造332が設けられている。爪構造332は、左側の爪333と右側の爪334を含む。左側の爪333が、ケース32の左側の溝321に引っ掛かり、右側の爪334が、ケース32の右側の溝322に引っ掛かることで、カバー部33はケース32の外周面の一部を覆うようにケース32に仮固定される。更にカバー部33は、複数の固定具36(
図8参照)を用いて保持装置4と底カバー35に本固定される。
【0025】
加えて、カバー部33の周縁部(つまりカバー保持部材331の周縁部)には、隆起構造335が設けられている。隆起構造335は、カバー部33の左側の端縁部(つまりカバー保持部材331の左側の端縁部)に設けられたリブ状の左隆起部336と、カバー部33の右側の端縁部(つまりカバー保持部材331の右側の端縁部)に設けられたリブ状の右隆起部337とを含む。左隆起部336と右隆起部337はそれぞれ、カバー部33の長手方向に一直線状に伸びたリブ状の隆起部分である。カバー部33の長手方向は、ケース32の長手方向と一致する。左隆起部336と右隆起部337は、左右方向において互いに離れる方向に突出している。
【0026】
隆起構造335は、左隆起部336の上端部から延長された左側の指掛け部338と、右隆起部337の上端部から延長された右側の指掛け部339とを更に含む。左側の指掛け部338と右側の指掛け部339はともに、互いに近づく方向に延長されかつ途中で上方に向けて折れ曲がったL字状のリブで構成されている。
【0027】
図14に示すように、カバー部33の上縁部(つまりカバー保持部材331の上縁部)には、切り欠き34が設けられている。切り欠き34は、後述する係止部材43の押込み部433を外部に突出させるための切り欠きであり、下方に向けて凹んだ形状を有する。切り欠き34は、左側及び右側の指掛け部338,339のうち一方の上方に位置し、一実施形態のバッテリー2では左側の指掛け部338の上方に位置する。
【0028】
バッテリー本体3の下端部を構成する底カバー35は、バッテリー2をフレーム10の切り欠き部分108に装着するときと、バッテリー2をフレーム10の切り欠き部分108から取り外すときの両方において、切り欠き部分108の下端部に摺接するように構成されている。
図15、
図16Aに示すように、底カバー35の前面には、バッテリー2の着脱時の回転を円滑にガイドする凹曲面350が、左右に距離をあけた2箇所に設けられている。凹曲面350は、バッテリー2の着脱時の回転中心点を基準として、球状に凹んだ凹曲面である。左右の凹曲面350の間には、凹曲面350よりも前側に突出する突出部352が設けられている(
図16B参照)。
【0029】
図2、
図6、
図14等に示すように、フレーム10の切り欠き部分108の下端部には、バッテリー2の下端部を着脱可能に保持するためのホルダー109が設けられている。ホルダー109には、バッテリー2の下端部の凹曲面350が当たるように構成された凸曲面100が、設けられている。凸曲面100は、バッテリー2の着脱時の回転中心点を基準として、球状に突出した凸曲面である。バッテリー2の着脱時には、バッテリー2の凹曲面350がホルダー109の凸曲面100に摺接することによって、バッテリー2の安定的な回転が実現される。
【0030】
図2、
図3等に示すように、バッテリー2がフレーム10の切り欠き部分108に装着された状態において、バッテリー2の外表面の一部を構成するカバー部33は、外部に露出する。この状態において、カバー部33の周縁部(つまりカバー保持部材331の周縁部)と、フレーム10の切り欠き部分108との間には、隙間200が形成される。隙間200は、バッテリー2と切り欠き部分108との間に、異物や利用者の指が挟まることを抑えるための隙間である。隙間200は、バッテリー2とフレーム10との間に、8mm以上の距離を隔てさせる隙間であることが好ましい。ここでの距離は、隆起構造335のうち最も外側に位置する部分(つまり最も隆起した部分)と、フレーム10の切り欠き部分108のうち最も外側に位置する部分との間の距離である。
【0031】
隙間200は、バッテリー2の左端縁に沿って形成される左側の隙間201と、バッテリー2の右端縁に沿って形成される右側の隙間202と含む。バッテリー2がフレーム10の切り欠き部分108に装着された状態において、左側の隙間201と右側の隙間202はそれぞれ、バッテリー2の長手方向に一直線状に形成される。バッテリー2がフレーム10の切り欠き部分108に装着された状態において、バッテリー2の長手方向は、切り欠き部分108の長手方向と一致し、また、フレーム10のうちバッテリー2が装着される部分の長手方向(詳しくはダウンチューブ103の長手方向)と一致する。
【0032】
バッテリー2がフレーム10の切り欠き部分108に装着された状態において、バッテリー本体3の隆起構造335は、隙間200の少なくとも一部(言い換えれば、隙間200の一部又は全部)を前方から覆うように、隙間200の前方に位置する。隆起構造335に含まれる左隆起部336は、左側の隙間201の前方に位置し、隆起構造335に含まれる右隆起部337は、右側の隙間202の前方に位置する。したがって、仮に、泥等が前方から隙間200に向けて飛散してきても、隆起構造335に当たって止められる。そのため、泥等が隙間200内に侵入することは抑えられる。しかも、左隆起部336と右隆起部337が存在することで、利用者は左隆起部336と右隆起部337にそれぞれ自身の指を当ててバッテリー2を安定的に把持することが可能である。左隆起部336と右隆起部337の先端部は、滑らかに丸まっていることが好ましい。
【0033】
左側の隙間201は、バッテリー2の左端縁とフレーム10の切り欠き部分108との間に、8mm以上の距離を隔てさせる隙間であることが好ましい。ここでの距離は、左隆起部336のうち最も外側に位置する部分(つまり最も隆起した部分)と、フレーム10の切り欠き部分108のうち最も外側に位置する部分との間の距離である。
【0034】
同様に、右側の隙間201は、バッテリー2の右端縁とフレーム10の切り欠き部分108との間に、8mm以上の距離を隔てさせる隙間であることが好ましい。ここでの距離は、右隆起部337のうち最も外側に位置する部分(つまり最も隆起した部分)と、フレーム10の切り欠き部分108のうち最も外側に位置する部分との間の距離である。
【0035】
1-3.保持装置
次に、バッテリー2の上端部を構成する保持装置4について、
図8-
図11等に基づいて説明する。保持装置4は、電動自転車1のフレーム10に固定されたロック装置6に対して、バッテリー本体3を着脱可能に保持するために用いられる。
【0036】
保持装置4は、複数の固定具49(
図9参照)を用いて、バッテリー本体3が備えるケース32の上端部に固定される。各固定具49は、例えばビスである。バッテリー2において、無底筒形であるケース32の上端開口が保持装置4によって塞がれ、ケース32の下端開口が底カバー35によって塞がれる。
【0037】
保持装置4は、ケース32の上端開口を塞ぐようにケース32に固定されるベース部41と、ベース部41と一体に設けられたストッパー42と、ベース部41に対して移動可能に連結された係止部材43と、係止部材43に付勢力を与える弾性部材44と、係止部材43の少なくとも一部と弾性部材44とを覆うようにベース部41に固定されたカバー部材45と、ストッパー42を構成するようにベース部41に固定されたロックプレート46とを備える。係止部材43は、操作レバー43である。ストッパー42は、ロック装置6の一部が選択的に係止することができるように構成されている。ここでのロック装置6の一部は、後述する第1係止部61(つまりロックバー634)である。
【0038】
ベース部41は、樹脂を用いて成形されたベース部材であって、ケース32の上端開口を塞ぐ平板状の本体411と、本体411から上方に突出した周壁部412と、本体411から周壁部412と同方向に突出した突起部413とを、一体に有する。本体411のうちバッテリー本体3に対向する面と反対側の面(つまり上面)には、操作レバー43を回転可能に配するための領域410が設けられている。領域410には、操作レバー43の一部を回転可能に挿入するための有底の穴が形成されている。前記穴に挿入される操作レバー43の一部は、後述する支軸部431である。
【0039】
周壁部412は、本体411のうち領域410を囲む部分から、バッテリー本体3から離れる方向(つまり上方)に向けて突出している。本体411と周壁部412とで囲まれる空間に、操作レバー43が回転可能に配置される。言い換えれば、本体411の領域410とこれを囲む周壁部412によって、操作レバー43を収容する収容凹部415が形成される。収容凹部415は、バッテリー本体3から離れる方向に向けて開放されている。
【0040】
周壁部412には、操作レバー43の一部を外側に突出させるための開口418が設けられている。開口418から突出する操作レバー43の一部は、後述する係止部432と押込み部433とを含む部分である。一実施形態のバッテリー2では、開口418のうち係止部432を外側に突出させる第1部分と、押込み部433を外側に突出させる第2部分とが、一つながりに設けられているが、開口418の第1部分と第2部分とが不連続に設けられてもよい。
【0041】
突起部413には、固定具48を用いて、金属製のロックプレート46が着脱可能に固定されている。ロックプレート46は、ステンレス等の金属製の板材を折り曲げた補強プレートであって、樹脂製の突起部413にロックプレート46が固定されることで、ストッパー42が構成される。突起部413にロックプレート46が固定された状態で、ロックプレート46の表面が、ストッパー42の表面を構成する。
【0042】
操作レバー43は、レバー本体430と、レバー本体430からベース部41に向けて突出する円柱状の支軸部431と、レバー本体430から左右方向の一側に突出した係止部432と、レバー本体430から左右方向の一側に突出した押込み部433とを、一体に有する。支軸部431は、ベース部41の前記穴に挿入されることで、本体411に対して回転可能に連結される。係止部432は、ロック装置6の一部に対して選択的に係止することができるように構成されている。ここでのロック装置6の一部は、後述する第2係止部62(凹部645)である。押込み部433は、利用者が指で押し込むための部分であり、その先端面に利用者の指が当たるように構成されている。
【0043】
係止部432と押込み部433は、レバー本体430のうち互いに異なる部分から、同一の側に向けて突出している。一実施形態のバッテリー2では、係止部432と押込み部433はともに左方向に突出している。押込み部433のレバー本体430からの突出量は、係止部432のレバー本体430からの突出量よりも大きい。押込み部433のレバー本体430からの突出量は、係止部432のレバー本体430からの突出量の2倍以上であることや、係止部432のレバー本体430からの突出量の3倍以上であることが好ましい。
【0044】
図10A、
図10B等に示すように、操作レバー43を支軸部431の軸方向に見たとき、支軸部431と押込み部433との間の距離は、支軸部431と係止部432との間の距離よりも大きい。そのため、一実施形態の保持装置4においては、押込み部433の移動幅を確保しやすく、また、係止部432において大きな力を作用させやすいという利点がある。
【0045】
また、支軸部431の軸方向において、支軸部431のレバー本体430からの突出量は、押込み部433のレバー本体430からの突出量よりも大きい(
図11参照)。支軸部431の軸方向において、支軸部431は、操作レバー43の他の部分(つまりレバー本体430、係止部432、及び押込み部433のそれぞれ)よりも大きな寸法を有することが、支軸部431の強度を確保する点で好ましい。支軸部431の軸方向において、係止部432は、レバー本体430に対して支軸部431が突出する側とは反対側(つまり上側)に突出している。
【0046】
操作レバー43は、支軸部431を中心として、
図10Aに示す係止位置と
図10Bに示す非係止位置との間で、左右方向に揺動可能である。操作レバー43が係止位置にあるとき、係止部432は、周壁部412の開口418を通じて外側に突出する。外側に突出した係止部432は、ロック装置6の第2係止部62に係止することができる。これに対して、操作レバー43が非係止位置にあるとき、係止部432は開口418を通じて外側に突出しない。操作レバー43が非係止位置にあるとき、係止部432は、ロック装置6の第2係止部62に係止することができない。
【0047】
弾性部材44は、操作レバー43とは別体に設けられたコイル状のスプリングである。弾性部材44は、周壁部412と操作レバー43との間に、圧縮状態を維持するように配置されている。弾性部材44は、操作レバー43に対して常に付勢力を付与するように設けられている。操作レバー43に与えられる付勢力は、ベース部41に対して平行な方向(つまり平板状の本体411に対して平行な方向)の付勢力である。操作レバー43は、弾性部材44によって付勢されることで、利用者の押し込み操作による外力が働かないときには
図10Aに示す係止位置を保持する。
【0048】
カバー部材45は、固定具48を用いて、ベース部41の本体411に対して着脱可能に固定されている。固定具48は、カバー部材45とロックプレート46を、ベース部41に対して一括的に固定する固定具である。固定具48は、例えばビスである。ベース部41から固定具48を外すことで、カバー部材45とロックプレート46の両方を外すことができ、カバー部材45とロックプレート46の少なくとも一方が交換可能である。また、カバー部材45をいったん外して弾性部材44を交換することも可能である。
【0049】
カバー部材45は、収容凹部415の上方への開口を塞ぎ、操作レバー43の一部と弾性部材44とを覆うように、ベース部41に固定されている。ここでの操作レバー43の一部は、操作レバー43のうち係止部432と押込み部433を除いた部分である。
【0050】
カバー部材45には、係止部432の左右方向の移動を可能とするための切り欠き451が設けられている(
図8等参照)。係止部432は、切り欠き451の範囲内において左右方向に揺動可能である。操作レバー43は、係止部432が切り欠き451に当たることで、左右方向の一側(つまり右側)の移動が規制される。また、操作レバー43は、操作レバー43の一部が周壁部412に当たることで、左右方向の他側(つまり左側)の移動が規制される。
【0051】
なお、カバー部材45は、操作レバー43の少なくとも一部を覆うものであればよく、例えば、操作レバー43の全部を覆うことも可能である。カバー部材45は、操作レバー43のうち少なくとも押込み部433を除いた部分を覆うようにベース部41に固定されるものでもよいし、操作レバー43のうち少なくとも係止部432を除いた部分を覆うようにベース部41に固定されるものでもよい。
【0052】
1-4.ロック装置
ロック装置6は、フレーム10に固定されるロックユニット5の主体を構成する装置であり、
図5等に示すように、バッテリー2の一部を構成する保持装置4を、着脱可能に固定することができる。一実施形態の電動自転車1においては、保持装置4とロック装置6とで、バッテリー2をフレーム10に保持させるためのバッテリー保持機構8が構成される。
【0053】
図12、
図13等に示すように、ロック装置6は、鍵を用いて操作可能なメインロック部63と、メインロック部63と一体に組み合わされたロックホルダー64とを備える。メインロック部63は、シリンダー錠で構成されている。メインロック部63は、鍵穴631(
図2等参照)を有する円筒状のシリンダー632と、シリンダー632と一体に組み合わされたロックケース633と、ロックケース633に収容されたロックバー634とを備える。ロックケース633は、ロックバー634が移動可能に収容される角筒状の第1部分6331と、固定構造7に連結するための第2部分6332とを、一体に有する。
【0054】
ロックバー634の移動方向は、後述する第1方向91と同一である。当該方向においてロックバー634が移動可能な量は、6mmから10mmの範囲内で設定されることが好ましく、例えば8mmである。第1方向91においてロックバー634が移動可能な量は、第1方向91においてロック装置6がフレーム10に対して位置調整可能な量よりも大きく設定されていること(言い換えれば、第1方向91においてロック装置6がフレーム10に対して位置調整可能な量が、第1方向91においてロックバー634が移動可能な量よりも小さく設定されていること)が好ましい。
【0055】
シリンダー632は、その一端面に設けられた鍵穴631に所定の鍵を挿し込んで回すことで、自身の内筒部分が回転するように構成されている。ロック装置6は、シリンダー632の内筒部分が回転することに伴って、ロックバー634の先端部分がロックケース633の第1部分6331から突出する量が、切り替わるように構成されている。
【0056】
一実施形態の電動自転車1では、メインロック部63が移動可能に保持するロックバー634が、保持装置4のストッパー42に係止する第1係止部61を構成している。つまり、ロックバー634の先端部分を第1部分6331から下方に突出させた状態で、ロックバー634の先端部分がストッパー42に係止することで(
図5参照)、バッテリー2はフレーム10の切り欠き部分108から外れないように固定される。メインロック部63を操作してロックバー634を第1部分6331に没入させたときには、ロックバー634は、ストッパー42に係止しない位置に移動する。これにより、フレーム10に対するバッテリー2のメインロックが解除される。
【0057】
ロックホルダー64は、ロックケース633に含まれる凸状の第1部分6331が嵌まり込む矩形状の貫通孔641と、メインロック部63の一部が嵌まり込む位置決め片643とを有する。第1部分6331が貫通孔641に嵌まり込んだ状態で、ロックバー634は、第1部分6331の開口を通じて、保持装置4に向けて突出することができる。メインロック部63の一部には、位置決め片643が嵌まり込むための円弧状の切り欠き638が設けられている。位置決め片643の先端縁は、切り欠き638と合致するように円弧状に凹んだ形状を有する。
【0058】
図5等に示すように、ロックホルダー64の一部は、ロック装置6がフレーム10に固定された状態において、切り欠き部分108の上端部をその外側から覆うように設けられている。ここでのロックホルダー64の一部は、ロックホルダー64のうち、ロック装置6がフレーム10に固定された状態において最も外側に位置する部分から、上方に向けて突出するように設けられた部分である。この部分をロックホルダー64が備えることで、バッテリー2をフレーム10に装着するときに、フレーム10のうち切り欠き部分108を除いた部分にバッテリー2が直接当たることが抑えられ、フレーム10が保護される。
【0059】
図7に示すように、ロックホルダー64の下面640(つまり保持装置4に対向する面)には、操作レバー43の係止部432が係止することのできる凹部645が形成されている。一実施形態の電動自転車1では、ロックホルダー64の凹部645が、操作レバー43が係止する第2係止部62を構成している。
【0060】
利用者の押し込み操作による外力が操作レバー43に加わらないときには、係止位置にある操作レバー43の係止部432が凹部645に係止し、これにより、バッテリー2がフレーム10の切り欠き部分108から外れないように固定される。操作レバー43に外力を加えて非係止位置に移動させたときには、操作レバー43の係止部432は、凹部645に係止しない位置にまで移動する。これにより、バッテリー2のフレーム10に対するサブロックが解除される。
【0061】
このように、一実施形態の電動自転車1では、フレーム10に対するバッテリー2の固定が、キー操作によるメインロックと、操作レバー43を用いたサブロックとで二重に行われる。
【0062】
ロック装置6に対してバッテリー2を二重にロックするにあたって、ロック装置6の第1係止部61と第2係止部62の相対位置は、高精度に定められることが望ましい。これに対して、一実施形態のロック装置6では、第1係止部61(つまりロックバー634)を移動可能に保持するメインロック部63と、操作レバー43が係止するように構成された第2係止部62(つまりロックホルダー64の凹部645)とが、一体に構成されている。そのため、第1係止部61と第2係止部62の相対位置は、高精度に定められる。
【0063】
1-5.固定構造
固定構造7は、ロック装置6と組み合わさってロックユニット5を構成する構造であって、ロック装置6を、フレーム10の切り欠き部分108の長手方向の端部(具体的には切り欠き部分108の上端部)に固定する機能を有する。切り欠き部分108の長手方向は、フレーム10のうちバッテリー2が装着される部分(つまりダウンチューブ103)の長手方向と一致する。
【0064】
固定構造7は、フレーム10に対して位置調整可能に固定され、かつ、ロック装置6に対して位置調整可能に固定される構造である。固定構造7とフレーム10は、第1方向91の所定範囲内において位置調整可能に固定され、固定構造7とロック装置6は、第2方向92の所定範囲内において位置調整可能に固定される。第2方向92は、第1方向91とは異なる方向である。第1方向91と第2方向92は、互いに直交することが好ましい。
【0065】
更に、固定構造7の寸法は、第3方向93において調整可能である。固定構造7の寸法が調整可能であることで、フレーム10の寸法に製造段階でばらつきが生じても、該ばらつきを固定構造7の寸法調整で吸収することができる。第3方向93は、第1方向91とは異なる方向である。第1方向91と第3方向93は、互いに直交することが好ましい。
【0066】
一実施形態の固定構造7において、第1方向91は、切り欠き部分108の長手方向であり、フレーム10のうちバッテリー2が装着される部分(つまりダウンチューブ103)の長手方向であり、また、フレーム10にバッテリー2が装着されたときのバッテリー2の長手方向である。第2方向92は、ダウンチューブ103の前後の幅方向であり、第1方向91と直交する。第3方向93は、第2方向92と同じくダウンチューブ103の前後の幅方向であり、第1方向91と直交する。第1方向91を上下方向と言い換え、第2方向92及び第3方向93を前後方向と言い換えることも可能である。
【0067】
以下、固定構造7の具体的な構造について更に説明する。固定構造7は、固定構造7の主要部分を構成する第1板金71と、第1板金71を補助する第2板金72と、第1板金71をフレーム10に対して位置調整可能に固定するための第1構造と、第1板金71をロック装置6に対して位置調整可能に固定するための第2構造とを含む。第2板金72は、第1板金71よりも小型の板金である。
【0068】
第1板金71は、コーナー部分715を有するL字状の板金である。第1板金71のうち、コーナー部分715を挟んだ第1側の部分711が、フレーム10に対して位置調整可能に固定される平板状の部分である。第1板金71のコーナー部分715を挟んだ第2側の部分712が、ロック装置6に対して位置調整可能に固定される平板状の部分である。コーナー部分715は、第1側の部分711と第2側の部分712とを滑らかに繋ぐように、円弧状に湾曲している。
【0069】
第1板金71とフレーム10とを固定する第1構造は、第1板金71の第1側の部分711に設けられた少なくとも1つの孔761と、これに挿し込まれる少なくとも1つの固定具771とを含む。
【0070】
一実施形態の固定構造7において、少なくとも1つの孔761は、複数の孔761(具体的には2つの孔761)であり。少なくとも1つの固定具771は、複数の固定具771(具体的には2つの固定具771)である。各孔761は、第1方向91を長手方向とする貫通した長孔である。各固定具771は、例えばビスであり、対応する孔761に挿し通され、かつフレーム10に固定される。各固定具771が対応する孔761に挿し通された状態で、各固定具771が対応する孔761に対して第1方向91に移動可能な範囲内において、第1板金71とフレーム10は、第1方向91に位置調整可能に固定される。
【0071】
第1板金71とロック装置6を固定する第2構造は、第1板金71の第2側の部分712に設けられた少なくとも1つの孔762と、これに挿し込まれる少なくとも1つの固定具772と、ロック装置6のロックケース633に設けられた少なくとも1つの孔763とを含む。一実施形態の固定構造7において、少なくとも1つの孔762は、複数の孔762(具体的には3つの孔762)であり、少なくとも1つの固定具772は、複数の固定具772(具体的には3つの固定具772)であり、少なくとも1つの孔763は、複数の孔763(具体的には3つの孔763)である。第2側の部分712の各孔762は、貫通したねじ孔である。ロックケース633の各孔763は、第2方向92を長手方向とする貫通した長孔である。各固定具772は、例えばビスであり、対応する孔763に挿し通され、かつ対応する孔762に挿し込まれた状態で、第1板金71に固定される。これにより、第1板金71とロック装置6とが固定される。各固定具772が、対応する孔763に挿し通された状態で第2方向92に移動可能な範囲内において、第1板金71とロック装置6は、第2方向92に位置調整可能である。
【0072】
これら複数の固定具772は、フレーム10の切り欠き部分108の側から、挿し込むことができる。そのため、ロックユニット5をフレーム10に取り付ける作業を容易に行うことが可能である。
【0073】
第2板金72は、コーナー部分725を有するL字状の板金である。第2板金72のうち、コーナー部分725を挟んだ第1側の部分721が、フレーム10に対して位置調整可能に固定される平板状の部分である。第2板金72のコーナー部分725を挟んだ第2側の部分722が、第1板金71及びロック装置6に対して位置調整可能に固定される平板状の部分である。
【0074】
第2板金72とフレーム10を固定する構造は、第2板金72の第1側の部分721に設けられた少なくとも1つの孔764と、これに挿し込まれる少なくとも1つの固定具773とを含む。
【0075】
一実施形態の固定構造7において、少なくとも1つの孔764は、複数の孔764(具体的には2つの孔764)であり。少なくとも1つの固定具773は、複数の固定具773(具体的には2つの固定具773)である。各固定具773は、例えばビスである。各孔764は、固定具771が挿し込まれるねじ孔である。各固定具773は、第1方向91が長手方向となるようにフレーム10に形成された長孔を通じて、対応する孔764に挿し込まれる。これにより、第2板金72とフレーム10は、第1方向91に位置調整可能に固定される。
【0076】
第2板金72と、第1板金71及びロック装置6とを固定する構造は、第2板金72の第2側の部分722に設けられた少なくとも1つの孔765と、これに挿し込まれる少なくとも1つの固定具774と、ロック装置6のロックケース633に設けられた少なくとも1つの孔766と、第1板金71の第2側の部分712に設けられた少なくとも1つの孔767とを含む。一実施形態の固定構造7において、少なくとも1つの孔765は、1つの孔765であり、少なくとも1つの固定具774は、1つの固定具774であり、少なくとも1つの孔766は、1つの孔766であり、少なくとも1つの孔767は、1つの孔767である。固定具774は、例えばビスである。
【0077】
第2板金72の孔765は、第3方向93を長手方向とする貫通した長孔である。第2板金72とロック装置6とを固定するための固定具774は、第1板金71とロック装置6とを固定するための3つの固定具772のうちの1つで、構成されている。ロックケース633の孔766は、第1板金71とロック装置6とを固定するための3つの孔763のうちの1つで、構成されている。第1板金71の孔767は、貫通したねじ孔であり、第1板金71とロック装置6とを固定するための3つの孔762のうちの1つで、構成されている。
【0078】
固定具774は、第3方向93を長手方向とする孔765を通じて、対応する孔767に挿し込まれる。これにより、第2板金72は、第1板金71に対して第3方向93に位置調整可能に固定され、かつ、ロック装置6に対して第3方向93に位置調整可能に固定される。ロック装置6が備えるロックケース633の第2部分6332には、第2板金72の一部728が嵌まるための凹部6335が設けられている。第2板金72の一部728は、第2側の部分722の一部であり、より具体的には、第2側の部分722のうち孔765が設けられた部分である。第2板金72の一部728は、凹部6335に嵌まった状態で、第3方向93の所定範囲内で移動可能である。第2板金72の一部728が凹部6335に嵌まることで、第2板金72とロック装置6との相対的な位置決め作業を、容易に行うことが可能になる。
【0079】
このように、一実施形態の固定構造7では、共通の固定具774(772)を用いて、第2板金72とロック装置6とが第1板金71に対して一括して固定される。第3方向93は、第2方向92と同一であることが好ましい。
【0080】
加えて、一実施形態のロックユニット5は、ロック装置6が固定構造7に対して第2方向92にスライド可能に係止する係止構造を、更に備えている。この係止構造は、ロック装置6に設けられたL字状のフック65と、フック65が挿し通されるように固定構造7に設けられた挿通孔78とを含む。
【0081】
フック65は、ロックケース633から第1板金71に向けて(つまり上方に)突出している。フック65は、ロックケース633から第1方向91に伸びる第1部分651と、第1部分651の一部(具体的には先端部分)から第2方向92に伸びる第2部分652とを有する。第2部分652は、第2方向の後ろ側に伸びている。挿通孔78は、第1板金71の第2側の部分712を貫通する矩形状の孔である。一実施形態のロックユニット5においては、第1部分651が挿通孔78に挿し通され、かつ、第2部分652が第1板金71の第2側の部分712に当たった状態で、フック65が第1板金71に対してスライド可能に係止される。これにより、バッテリー2の荷重がロックユニット5に掛かったときに、該荷重に起因してロックユニット5が変形することが抑えられる。
【0082】
1-6.作用効果
上記の構成を備える一実施形態の電動自転車1では、利用者のキー操作に基づいたメインロック機能と、操作レバー43を利用したサブロック機能の両方を利用して、バッテリー2をフレーム10に対して二重固定することができる。利用者は、例えばバッテリー2を片手で掴んだ状態のまま、操作レバー43を簡単に押し込み操作することができる。
【0083】
具体的には、バッテリー2をフレーム10から取り外すときには、まず鍵穴631に鍵を挿し込んで所定方向に回し、ロックバー634を引き上げてロック装置6内に没入させることで、ロックバー634を保持装置4のストッパー42から離間させ、メインロックを解除することができる。この段階において、保持装置4の係止部432はロック装置6に係止されており、サブロックは維持されている。
【0084】
次いで、利用者はバッテリー2の上端部を例えば左手で掴み、そのまま左手の親指で押込み部433を水平方向に押し込むことができる。或いは、利用者はバッテリー2の上端部を右手で掴み、そのまま右手の人差し指で押込み部433を水平方向に押し込むことができる。押込み部433が押し込まれることで、保持装置4内で操作レバー43が動作し、係止部432によるサブロックが解除される。利用者は、バッテリー2を掴んだままで、バッテリー2を安全かつ簡単に取り外すことが可能である。
【0085】
バッテリー2をフレーム10に取り付けるときには、バッテリー2の下端部をまず切り欠き部分108の下端部(つまりホルダー109)に乗せ、切り欠き部分108の下端部を中心としてバッテリー2を後方に回転させる。保持装置4の操作レバー43は、係止部432がロック装置6に当たる位置で付勢力に抗していったん動作した後に、該付勢力によって元の位置(係止位置)に復帰する。このとき、保持装置4の係止部432はロック装置6に係止され、サブロックが自動的に施される。次いで、利用者は鍵穴631に鍵を挿し込んで、前記所定方向とは逆方向に回し、ロックバー634を下げてロック装置6から突出させることで、ロックバー634を保持装置4のストッパー42に係止させ、メインロックを施すことができる。
【0086】
このように、一実施形態の電動自転車1によれば、電動自転車1のフレーム10に対するバッテリー2の固定を二重固定にして、安全性を高めることができる。加えて、利用者は、バッテリー2のフレーム10からの取り外し作業と、バッテリー2のフレーム10への取り付け作業を、安全かつ簡単に行うことができる。
【0087】
加えて、一実施形態の電動自転車1によれば、メインロックが解除された後に、サブロックが解除されるまでは、バッテリー2は切り欠き部分108に嵌まった状態を維持し、ロック装置6と保持装置4との相対位置は変わらない。ここでの相対位置が変わらない、との文言には、設計上許容されるがたつきが存在する場合も含まれる。がたつきは、例えば0.6mm以内のがたつきであることが好ましく、0.2mm以内のがたつきであることが一層好ましい。つまり、メインロックが解除された直後に、バッテリー2が前方に倒れることがないので、例えばダウンチューブ103と前輪111との距離を短く設計することができる等、フレーム10の設計の自由度が高められる。
【0088】
そして、一実施形態の電動自転車1によれば、バッテリー2が切り欠き部分108に装着された状態において、バッテリー2の一部を構成するカバー部33が外部に露出し、カバー部33が、バッテリー2のうちカバー部33を除いた部分を保護するように機能する。加えて、バッテリー2が切り欠き部分108に装着された状態において、カバー部33と切り欠き部分108との間には隙間200が形成されるので、バッテリー2を装着するときに、バッテリー2と切り欠き部分108との間に異物や利用者の指が挟まることは抑えられる。
【0089】
また、一実施形態の電動自転車1によれば、フレーム10に対してバッテリー2を着脱可能に装着するために用いられるロック装置6の位置を、第1方向91と第2方向92の2方向において、フレーム10に対して調整することができる。加えて、一実施形態の電動自転車1によれば、ロック装置6とフレーム10との間に介在する固定構造7の寸法を、第3方向93において調整することができる。
【0090】
2.変形例
一実施形態の電動自転車1が備える各構成は、いずれも一例に過ぎず、同様の作用効果を奏する範囲内において適宜変形を施すことが可能である。
【0091】
例えば、一実施形態の電動自転車1は、電動アシスト自転車であるが、例えば電動モーターの回転力だけで前輪111と後輪112の少なくとも一方を回転駆動させることのできる電動自転車でもよい。一実施形態の電動自転車1は車輪11を2つ備えているが、車輪11の数は特に限定されず、例えば車輪11を3つ備えることも可能である。
【0092】
また、一実施形態の電動自転車1においては、係止部材(操作レバー)43が、第2係止部62に係止する係止位置と、第2係止部62に係止しない非係止位置との間で、第2方向92に移動可能であるが、係止部材43と第2係止部62の両方が移動可能でもよいし、第2係止部62だけが移動可能でもよい。つまり、第2係止部62と係止部材43の少なくとも一方が、第2係止部62と係止部材43が互いに係止する係止位置と、第2係止部62と係止部材43が互いに係止しない非係止位置との間で、移動可能であればよい。
【0093】
また、一実施形態の電動自転車1において、弾性部材44は、操作レバー43とは別体に設けられたコイル状のスプリングであるが、弾性部材44は、係止位置を保持するための付勢力を操作レバー43に与えるものであればよく、弾性部材44が板ばね等の他の部材で構成されてもよい。また、操作レバー43は、係止位置を保持するように付勢されていればよいので、操作レバー43とは別に弾性部材44を備えることは必須でなく、操作レバー43の少なくとも一部が弾性体で構成され、該弾性体の復元力によって係止位置を保持するように付勢されてもよい。
【0094】
また、一実施形態の電動自転車1において、操作レバー43が付勢される方向は左方向であるが、この方向は一例に過ぎない。操作レバー43が付勢される方向は右方向でもよいし、前方、後方等の他の方向でもよい。
【0095】
また、一実施形態の電動自転車1は、バッテリー2をフレーム10から前方に(より詳細には前斜め下方に)取り外すように構成されているが、バッテリー2を取り外す方向がこれとは逆方向になるように、つまり、バッテリー2を取り外す方向が後方となるように(より詳細には後ろ斜め上方となるように)構成されてもよい。この場合、フレーム10の切り欠き部分108は、後方に向けて(より詳細には後ろ斜め上方に向けて)開口する形態となることが好ましい。この場合においても、フレーム10の切り欠き部分108とバッテリー2との間には、異物や指が挟まることを抑えるための隙間200が形成されることが好ましい。更に、バッテリー2には、隙間200の後方に位置するように隆起構造335が設けられ、隆起構造335によって隙間200の少なくとも一部(言い換えれば、隙間200の一部又は全部)が後方から覆われることが好ましい。
【0096】
また、一実施形態の電動自転車1において、隆起構造335はカバー保持部材331の周縁部に設けられているが、
図17に示す変形例のように、カバー部材330の周縁部に設けられてもよい。この変形例の場合、カバー部材330の左側の端縁部に、左隆起部336が設けられ、カバー部材330の右側の端縁部に、右隆起部337が設けられている。カバー部材330の左側の端縁部は、右側に折り返すようにL字状に折れ曲がっており、この折れ曲がった部分が、カバー保持部材331の左側の端縁部よりも左側に突出した左隆起部336を構成している。カバー部材330の右側の端縁部は、左側に折り返すようにL字状に折れ曲がっており、この折れ曲がった部分が、カバー保持部材331の右側の端縁部よりも右側に突出した右隆起部337を構成している。なお、ここでのL字状に折れ曲がるという文言は、直角に折れ曲がることに限定されず、鋭角に折れ曲がることや、鈍角に折れ曲がることを含む。左隆起部336と右隆起部337の先端部(つまりL字状に折れ曲がった角部分)は、滑らかに丸まった外形を有することが好ましい。
【0097】
また、一実施形態の電動自転車1では、左隆起部336、右隆起部337等を含む隆起構造335が、カバー保持部材331と一体に設けられているが、隆起構造335がカバー保持部材331と別体に設けられることも好ましい。
図17に示す変形例では、左隆起部336、右隆起部337等を含む隆起構造335が、カバー部材330と一体に設けられている(言い換えれば、カバー部材330の一部によって構成されている)が、隆起構造335が、カバー部材330と別体に設けられることも好ましい。また、一実施形態の電動自転車1と
図17の変形例では、左隆起部336と右隆起部337が、互いに左右対称の形状を有しているが、左隆起部336と右隆起部337が、互いに左右非対称の形状を有することも好ましい。
【0098】
また、一実施形態の電動自転車1では、固定構造7が第1板金71と第2板金72とを含んでいるが、固定構造7において第2板金72は必須でなく、固定構造7が第2板金72を含まないことも有り得る。
【0099】
また、一実施形態の電動自転車1では、第1係止部61(ロックバー634)は第1方向91に移動可能であるが、第1係止部61が第2方向92に移動可能であってもよい。この場合、第1係止部61は、バッテリー2を係止する係止位置と、バッテリー2を係止しない非係止位置との間で、第2方向92に移動可能となるように構成される。第2方向92においてロック装置6がフレーム10に対して位置調整可能な量は、第2方向92において第1係止部61が移動可能な量よりも小さく設定されていることが好ましい。
【0100】
また、バッテリー2の盗難防止性能を高めるために、
図18に示す変形例のように、バッテリー本体3のケース32の上端部に、異物挿入防止用の突起37を設けることも好ましい。突起37は、バッテリー2の上端部であってバッテリー2がフレーム10の切り欠き部分108に装着された状態において外部に露出する部分(具体的にはカバー部33の上端部)に、上方に突出するように(言い換えればロック装置6に近づく方向に突出するように)設けられたリブ状の部分である。バッテリー2が装着された状態において、突起37は、バッテリー2の上端部を構成する保持装置4と、ロック装置6との間に形成された隙間95を外部から視認することができないように覆い隠す位置にある。隙間95は、保持装置4のカバー部材45と、ロック装置6のロックホルダー64との間に形成される隙間であり、該隙間を通じて外部から薄板、棒等の異物が挿入されれば、該異物によってロックバー634が操作されることも考えられるが、突起37が存在することによって、ロックバー634が外部から操作される可能性が低くなる。
【0101】
3.態様
以上、一実施形態及び各種の変形例に基づいて説明したように、第1の態様に係るロックユニット(5)は、バッテリー(2)を着脱可能に固定するためのロック装置(6)と、ロック装置(6)を電動自転車(1)のフレーム(10)に固定する固定構造(7)と、を備える。固定構造(7)は、フレーム(10)に対して、第1方向(91)において位置調整可能に固定され、かつ、ロック装置(6)に対して、第1方向(91)とは異なる第2方向(92)において位置調整可能に固定される構造である。
【0102】
したがって、第1の態様に係るロックユニット(5)によれば、バッテリー(2)を着脱可能に装着するために用いられるロック装置(6)の位置を、フレーム(10)に対して細かく調整することができる。
【0103】
第2の態様に係るロックユニット(5)では、第1の態様に加えて、固定構造(7)は、フレーム(10)に対して、第1方向(91)において位置調整可能に固定される第1板金(71)を含む。
【0104】
したがって、第2の態様に係るロックユニット(5)によれば、第1板金(71)とフレーム(10)との相対位置を調整することによって、ロック装置(6)の第1方向(91)の位置を、フレーム(10)に対して細かく調整することができる。
【0105】
第3の態様に係るロックユニット(5)では、第1の態様に加えて、固定構造(7)は、ロック装置(6)に対して、第2方向(92)において位置調整可能に固定される第1板金(71)を含む。
【0106】
したがって、第3の態様に係るロックユニット(5)によれば、第1板金(71)とロック装置(6)との相対位置を調整することによって、ロック装置(6)の第2方向(92)の位置を、フレーム(10)に対して細かく調整することができる。
【0107】
第4の態様に係るロックユニット(5)では、第1の態様に加えて、固定構造(7)は、フレーム(10)に対して第1方向(91)において位置調整可能に固定され、かつ、ロック装置(6)に対して第2方向(92)において位置調整可能に固定される第1板金(71)を含む。
【0108】
したがって、第4の態様に係るロックユニット(5)によれば、第1板金(71)と、フレーム(10)及びロック装置(6)との相対位置を調整することによって、ロック装置(6)の第1方向(91)及び第2方向(92)の位置を、フレーム(10)に対して細かく調整することができる。
【0109】
第5の態様に係るロックユニット(5)では、第4の態様に加えて、第1板金(71)は、コーナー部分(715)を有するL字状の板金である。第1板金(71)のコーナー部分(715)を挟んだ第1側の部分(711)が、フレーム(10)に対して、第1方向(91)において位置調整可能に固定される部分である。第1板金(71)のコーナー部分(715)を挟んだ第2側の部分(712)が、ロック装置(6)に対して、第2方向(92)において位置調整可能に固定される部分である。
【0110】
したがって、第5の態様に係るロックユニット(5)によれば、L字状の第1板金(71)を用いて、フレーム(10)に対するロック装置(6)の第1方向(91)の位置と第2方向(92)の位置を、細かく調整することができる。
【0111】
第6の態様に係るロックユニット(5)では、第2から第5の態様のいずれか1つに加えて、固定構造(7)は、第1板金(71)に対して、第1方向(91)とは異なる第3方向(93)において位置調整可能に固定される第2板金(72)を、更に含む。
【0112】
したがって、第6の態様に係るロックユニット(5)によれば、第1板金(71)に対する第2板金(72)の位置を調整することによって、第3方向(93)における固定構造(7)の全体の寸法を、調整することができる。
【0113】
第7の態様に係るロックユニット(5)では、第6の態様に加えて、第2板金(72)とロック装置(6)は、第1板金(71)に対して一括して固定される。
【0114】
したがって、第7の態様に係るロックユニット(5)によれば、第1板金(71)、第2板金(72)及びロック装置(6)を、シンプルな構造で強固に固定することができる。
【0115】
第8の態様に係るロックユニット(5)では、第1から第7の態様のいずれか1つに加えて、第1方向(91)と第2方向(92)は、互いに直交する。
【0116】
したがって、第8の態様に係るロックユニット(5)によれば、フレーム(10)に対するロック装置(6)の位置を、互いに直交する第1方向(91)と第2方向(92)の両方において細かく調整することができる。
【0117】
第9の態様に係るロックユニット(5)では、第1から第8の態様のいずれか1つに加えて、固定構造(7)は、固定構造(7)をフレーム(10)に固定するための固定具(771)が挿し通される孔(761)を含む。孔(761)は、第1方向(91)を長手方向とする長孔である。
【0118】
したがって、第9の態様に係るロックユニット(5)によれば、フレーム(10)に対するロック装置(6)の第1方向(91)の位置を、孔(761)とこれに挿し通される固定具(771)とを利用して、細かく調整することができる。
【0119】
第10の態様に係るロックユニット(5)では、第1から第9の態様のいずれか1つに加えて、固定構造(7)は、固定構造(7)をロック装置(6)に固定するための固定具(772)が挿し通される孔(763)を含む。孔(763)は、第2方向(92)を長手方向とする長孔である。
【0120】
したがって、第10の態様に係るロックユニット(5)によれば、フレーム(10)に対するロック装置(6)の第2方向(92)の位置を、孔(763)とこれに挿し通される固定具(772)とを利用して、細かく調整することができる。
【0121】
第11の態様に係るロックユニット(5)では、第1から第10の態様のいずれか1つに加えて、ロック装置(6)は、第1係止部(61)を有する。第1係止部(61)は、バッテリー(2)を係止する係止位置と、バッテリー(2)を係止しない非係止位置との間で、第1方向(91)又は第2方向(92)に移動可能である。
【0122】
したがって、第11の態様に係るロックユニット(5)によれば、第1係止部(61)を、ロック装置(6)をフレーム(10)に対して位置調整することが可能な方向(つまり第1方向(91)又は第2方向(92))において移動させ、第1係止部(61)の移動に基づいてバッテリー(2)の係止状態と被係止状態とを切り替えることができる。
【0123】
第12の態様に係るロックユニット(5)では、第11の態様に加えて、第1係止部(61)が移動可能な方向において、ロック装置(6)がフレーム(10)に対して位置調整可能な量は、第1係止部(61)が移動可能な量よりも小さい。
【0124】
したがって、第12の態様に係るロックユニット(5)によれば、フレーム(10)に対するロック装置(6)の位置調整によって、第1係止部(61)によるバッテリー(2)の係止状態と非係止状態との切り替えに影響が及ぶことを、抑えることができる。
【0125】
第13の態様に係る電動自転車(1)では、第1から第12の態様のいずれか1つのロックユニット(5)と、ロックユニット(5)に固定されるフレーム(10)と、ロックユニット(5)のロック装置(6)に着脱可能に保持されるバッテリー(2)と、を備える。
【0126】
したがって、第13の態様に係る電動自転車(1)によれば、バッテリー(2)を着脱可能に装着するために用いられるロック装置(6)の位置を、フレーム(10)に対して細かく調整することができる。
【符号の説明】
【0127】
1 電動自転車
10 フレーム
2 バッテリー
5 ロックユニット
6 ロック装置
61 第1係止部
7 固定構造
71 第1板金
711 第1側の部分
712 第2側の部分
715 コーナー部分
72 第2板金
761 孔
763 孔
771 固定具
772 固定具
91 第1方向
92 第2方向
93 第3方向