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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】ドラム式洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/00 20240101AFI20241018BHJP
【FI】
D06F39/00 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021155947
(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公開番号】P2023047049
(43)【公開日】2023-04-05
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】坂下 丈
(72)【発明者】
【氏名】石原 俊吾
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-097836(JP,A)
【文献】特開2006-068055(JP,A)
【文献】特開2005-348863(JP,A)
【文献】特開2003-290591(JP,A)
【文献】特開2013-244185(JP,A)
【文献】特開2009-095585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F39/00-39/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の前面に設けられ、洗濯物を投入可能とする洗濯物出入口と、
前記筐体の内部に弾性支持され、前面側が開口した水槽と、
前記水槽の内部に回転可能に内包された回転ドラムと、
前記洗濯物出入口と前記水槽の開口との間をシールするシール部材と、
前記回転ドラムを回転駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、電子部品が実装される基板と、前記基板を内包するケースと、を含み、前記筐体の内部の前記水槽の前方かつ下方に配置され、
前記ケースは、天面を通過する分割面により前後に分割可能に構成され、
前記分割面は、前記開口と前記シール部材との接合位置よりも前方に位置し、
前記ケースの背面側には、前記接合位置よりも前方から後方にわたって、背面側に向かって漸次下方傾斜する傾斜面が設けられている、
ドラム式洗濯機。
【請求項2】
前記制御装置は、前後方向の寸法よりも鉛直方向の寸法が大きい、
請求項1に記載のドラム式洗濯機。
【請求項3】
前記基板は、鉛直方向に延在して設けられ、前面側、背面側、または両面に電子部品が実装され、
前記基板の下部には、放熱部品、コンデンサ、またはリレーが配置される、
請求項1又は2に記載のドラム式洗濯機。
【請求項4】
前記筐体は、
前記水槽を内包する上部枠体と、
前記上部枠体の下部に配設される下部枠体と、
前記上部枠体の前面に着脱可能に設けられるカバー部と、
を含み、
前記制御装置は、前記カバー部の背面側に配設され、
前記制御装置の下部には、前記下部枠体と共に回転可能に制御装置を支持する支持部が設けられ、
前記制御装置は、前記カバー部を取り外した状態で、前記支持部を回転中心とした前記制御装置の回転軌跡が前記筐体と干渉しないように配設される、
請求項1からのいずれか一項に記載のドラム式洗濯機。
【請求項5】
前記支持部は、前記制御装置の前面下部に設けられている、
請求項に記載のドラム式洗濯機。
【請求項6】
前記制御装置は、前記筐体と係合する係合部が設けられている、
請求項1からのいずれか一項に記載のドラム式洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドラム式洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、制御装置を洗濯機本体内部の正面下部に配設する洗濯機を開示する。
特許文献1に記載の洗濯機では、洗濯物を収容し回転させる回転ドラムは、水槽内に回転自由に配設されており、水槽の底部には、回転ドラムを回転駆動させるモータが設けられている。水槽は、回転軸心が開口端側から底面側に向けて下向き傾斜となるように配置された回転ドラムを収納する水槽本体と回転ドラムの開口端側に設けられた水槽蓋とからなり、開口部と洗濯物出入口とを繋ぐシール部材とを備え、制御装置を洗濯機筐体内部の正面下部に配設し、防水性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-68055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、制御装置と水槽及び水槽の弾性支持部品との干渉を抑制すると共に、組立性および設置性に優れた洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る洗濯機は、筐体と、筐体の内部に弾性支持された水槽と、水槽の内部に回転可能に内包された回転ドラムと、回転ドラムを回転駆動する駆動部と、駆動部を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、筐体の内部の水槽の前方かつ下方に配置され、制御装置の下部は、背面側に向かって突出している。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る洗濯機は、制御装置と水槽及び水槽の弾性支持部品との干渉を抑制すると共に、組立性および設置性に優れた洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1に係る洗濯機の側面視における概略断面図
図2】実施の形態1に係る洗濯機の側面視において制御装置を示す概略断面図
図3】実施の形態1に係る洗濯機の側面視において制御装置の回転軌跡を示す断面図
図4】実施の形態1に係る洗濯機の上面視において制御装置の仮保持部を示す断面図
図5A】制御装置を裏面側の右側からみた斜視図
図5B】制御装置を裏面側の左側からみた斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施の形態に係るドラム式洗濯機を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0009】
(実施の形態1)
以下、図1図4を用いて、実施の形態1に係るドラム式洗濯機を説明する。
(1-1.構成)
(1-1-1.洗濯機の基本構成)
実施の形態1に係る洗濯機100は、筐体と、水槽102と、回転ドラム101と、駆動部121と、制御装置117と、を備える。水槽102は、筐体の内部に弾性支持されている。回転ドラム101は、水槽102の内部に回転可能に内包されている。駆動部121は、回転ドラム101を回転駆動する。制御装置117は、駆動部121を制御する。
このドラム式洗濯機100によれば、制御装置117は、筐体の内部の水槽102の前方かつ下方に配置され、制御装置117の下部は、背面側に向かって突出している。これによって、制御装置117と水槽102及び水槽102の弾性支持部品との干渉を抑制すると共に、筐体内の空間を効果的に活用できる。また、組立性および設置性に優れた洗濯機を提供できる。
【0010】
以下に、このドラム式洗濯機の構成部材について説明する。
【0011】
<筐体>
図1に示すように、筐体は、主に板金にて箱状に形成され、洗濯物出入口を有した上部枠体110と、主に樹脂成型部品にて形成される下部枠体114と、枠体前面に着脱可能に設けられる上下分割式のカバー部119を備える。なお、カバー部119は、上部カバー部119aと下部カバー部119bとからなるが、容易に着脱が可能なのは下部カバー部119bである。
【0012】
<水槽>
水槽102は、前面側に開口部を設けるため有底円筒状に形成され、内部に水を貯水可能に構成されている。水槽102には、水道水を供給する給水経路(図示せず)と、水槽102内部の水を排水する排水経路(図示せず)と、が接続されている。水槽102は、給水弁(図示せず)が開放された状態で給水経路を介して給水され、排水弁(図示せず)が開放された状態で排水経路(図示せず)を介して排水される。
【0013】
<回転ドラム>
回転ドラム101は、有底円筒状に形成され、水槽102の内部に回転可能に配設されている。回転ドラム101の内壁面には、衣類撹拌用の数個の突起板(図示せず)と、水を回転ドラム101と水槽102との間で内外に連通させる通水孔(図示せず)が設けられている。
水槽102の底部には、回転軸105を支持する軸受ケース103が設けられている。回転軸105は、回転ドラム101の回転中心に設けられ、軸心方向が正面側から背面側に向けて下方傾斜している。
【0014】
<駆動部>
水槽102の背面側底部にはドラムプーリ106が配設され、水槽102の下部にはドラム駆動モータ108が配設されている。ドラム駆動モータ108は、ベルト107およびドラムプーリ106を介して回転軸105と連結し、回転ドラム101を正転、逆転方向に回転駆動する。上記のドラムプーリ106、ベルト107、ドラム駆動モータ108により、駆動部121が構成されている。
【0015】
<水槽ユニット>
また、上記の回転ドラム101、水槽102、軸受ケース103、軸受104、回転軸105、駆動部121により、水槽ユニット109が構成されている。
水槽ユニット109は、複数本のサスペンション111により、上部枠体110内に弾性支持されている。サスペンション111の下端は、水槽102の上部に連結され、サスペンション111の上端は、上部枠体110の上部に連結されている。
下部枠体114には、筐体連結部113が四か所に設けられている。水槽ユニット109は、二本の第1のダンパー115、および二本の第2のダンパー116、即ち、四本のダンパーにより下部枠体114と連結されている。本実施の形態における四箇所の水槽連結部112および筐体連結部113は、背面側になるに従って下方に配設される。四本のダンパーは、水槽連結部112と筐体連結部113とを接続し、水槽ユニット109の振動を抑制する。
水槽ユニット109の正面に設けられた開口部と上部枠体110に設けられた洗濯物出入口との間は、水が筐体内に漏れないよう、シール部材120にてシールされている。
【0016】
<制御装置>
制御装置117によって、駆動部121などの電子部品の制御を行う。制御装置117は、筐体の内部の水槽102の前方かつ下方に配置されている。また、制御装置117の下部は、背面側に向かって突出している。つまり、制御装置117の上部は、下部よりも前後方向の厚さが薄くなっている。これにより、筐体の内部において水槽との間隙が小さい場合にも制御装置を配置できる。また、これによって、洗濯物の偏りによって回転ドラム101が偏心して、回転ドラム101及び水槽102が大きく振動した場合にも制御装置117と水槽102との間隔を空けることができるので、制御装置117と水槽102との干渉を抑制できる。また、水槽102を拡大する場合においても制御装置117を筐体の内部の前面下部に配設できる。そのため、水槽102の上下の空間に余裕が生じる。それにより、洗濯時における操作性および、乾燥効率を考慮し、洗剤投入機構と乾燥機構とを水槽102の上部に配設することが可能となる。また、下部枠体114と水槽102の下部を連結し、水槽ユニット109の振動を減衰させる、複数本のダンパーの配置や角度などの構成変更が容易となる。
なお、制御装置の詳細な構成については後述する。
【0017】
(1-1-2.制御装置の構成)
図2及び図5に示すように、本実施の形態に係るドラム式洗濯機において、制御装置117は、前後方向の寸法Dよりも鉛直方向の寸法Hが大きく、電子部品を実装した基板117aと、基板117aを内包するケース117fと、によって構成されている。これは様々な設置環境を考慮して、基板117aを水や塵から保護を行う必要があるため、基板117aの外側を覆う構成となっている。万一内部に水や塵が侵入した場合も想定し、実装基板117aに対しポッティング加工を施すため、外側を覆うケース117fは筐体の前後方向にて分割を行う必要があり、該ケース117fは樹脂外装117bと板金117cとの2部品にて構成されている。また、基板117a内の電子部品が発熱することにより燃焼が生じた場合、外部への伝搬を防止するため板金117cを最外郭に配設している。
【0018】
基板117aは、両面に電子部品が配設されており、中でも放熱板、コンデンサ、リレーなどの一定の高さを有する電子部品117gは背面下部に集約して配設されている。これにより、基板117aの前後方向に厚みの差が生じる。そこで、樹脂外装117bおよび板金117cの背面上部に背面側に向かって漸次下方傾斜する傾斜面118を設けることができ、制御装置117の下部が背面側に向かって突出するよう構成することが可能となる。これにより制御装置117を他の部品、特に水槽102と干渉させることなく筐体の内部の前面側に配置できる。また、水槽102とシール部材120との接続部123から万一水漏れが起こった場合にも、滴下する水が制御装置117の背面側に設けられた傾斜面118にかかるようになる。そのため、滴下した水は、筐体の内部方向に誘導され、制御装置117の樹脂外装117bと板金117cとの接続部117hに対する水の侵入を防止することが可能となり、制御装置117の不具合を抑制できる。制御装置117上部の厚みは樹脂外装117bに基板117aを接続し、前述のポッティング加工を行うため一定値を要する。
制御装置117の天面は、水槽ユニット109とシール部材120との接続部117hの鉛直方向上に重ならないように配設されている。これにより、水槽102とシール部材120との接続部123から万一水漏れが起こった場合にも、制御装置117の天面には滴下する水がかからなくなる。そのため、外装117bと板金117cとの接続部117hに対する水の侵入を防止することが可能となり、制御装置117の不具合を抑制できる。
【0019】
(1-2.ドラム式洗濯機の動作)
以上のように構成された洗濯乾燥機であるドラム式洗濯機について、以下にその動作、作用を説明する。
【0020】
(1-2-1.洗濯運転の動作)
以下、洗濯運転について説明する。
(1)洗濯運転が開始されると、まず、洗い工程が実行される。洗い工程では、水槽102内に給水する給水動作が実行された後、回転ドラム101が正転、停止、逆転、停止を繰り返す攪拌動作が所定時間実行される。この時、回転ドラム101の内部には衣類に加えて水が封入されているため、回転ドラム101を内包する水槽102の重量が増加し水槽102の鉛直方向での位置は初期位置に比べ下方へ移動する。そのため、制御装置117を含めた他部品との干渉が起こらないように構成を行う必要がある。
攪拌動作では、回転ドラム101に収容された衣類は、回転ドラム101の内部に設けられた衣類撹拌用の数個の突起板によって回転方向に持ち上げられ、持ち上げられた高さから落下される。これにより、回転ドラム101に収容された衣類には、たたき洗いの作用が働く。
【0021】
(2)その後、脱水工程が実行される。脱水工程では、排水弁が開放され、水槽102内の水が排水経路を介して外部に排水される。回転ドラム101は、排水弁が開放された状態で、所定時間の間高速で回転される。これにより、衣類に含まれた水分は、遠心力により脱水され、排水経路を介して排水される。しかしながら、回転ドラム101内において衣類の偏りが発生した状態で脱水が行われる場合、回転軸が一定せず回転軸自体が振れる歳差運動が生じて水槽102が大きく振動するため、制御装置117を含めた他部品との干渉が起こらないように構成を行う必要がある。
【0022】
(3)その後、すすぎ工程が実行される。すすぎ工程では、洗い工程と同様、水槽102内に給水する給水動作が実行された後、回転ドラム101が正転、停止、逆転、停止を繰り返す攪拌動作が所定時間実行される。これにより、衣類に含まれた洗剤成分が希釈され、すすがれる。
(4)その後、脱水工程が実行される。脱水工程が終了した後、洗濯運転が終了する。
なお、乾燥機能を備えたドラム式洗濯機の場合、脱水工程が終了した後に、乾燥工程が実行されてもよい。乾燥工程が終了した後、洗濯乾燥運転が終了する。
【0023】
(1-2-2.洗濯機の組み立て、分解時の動作)
以下、洗濯機の組み立て・分解および設置時の動作について説明する。
図2図3に示すように、本実施の形態において、制御装置117の樹脂外装117bの前面下部は下部枠体114にて支持されている。つまり、制御装置117の樹脂外装117bの前面下部および下部枠体114の前面には左右の位置合わせ用の突起部と穴とがそれぞれ対応する形で設けられている。
【0024】
下部カバー部119bを取り外した状態にて、前述の制御装置117の樹脂外装117bと下部枠体114との位置合わせ部分122を回転中心とし、前面側に制御装置117を回転させる際、上部カバー部119aの下部が制御装置117の上部の回転軌跡上と干渉しないような構成となっている。これにより、下部カバー部119bを取り外して制御装置117を前方に回転させることで、制御装置117を筐体の外部に露出させることができる。そのため、洗濯機を真下排水として設置を行う際など、制御装置117を取り外す必要が生じた場合でも、簡便に作業が可能となる。
【0025】
制御装置117へ接続されるリード線は、制御装置117の下部に設けられた穴から導入され、実装基板117aに接続を行うため、上記回転を妨げない構成となっている。また、制御装置117が滑落しないよう回転角度が90度程度で止まるよう、リード線の長さに一定の遊びを設けている。
【0026】
また図4に示すように、制御装置117の外装117bの側部には上部枠体110に対し、上下方向の位置合わせを行うピン117dと前後方向の位置決めを行う爪117eとが設けられている。これにより、制御装置117は、ピン117dと爪117eとによって筐体に係合されて保持できる。そこで、制御装置117の自由度が拘束されるため、締結前の保持が可能な構成となっている。そのため、制御装置を筐体に配設する際に、作業性が向上する。
【0027】
上記を踏まえ、組み立て時の動作としては樹脂外装117bに基板117aを配設し、ポッティング加工を行った後、基板117aにリード線の接続を行う。この際、組み立て工程の都合上一度にすべてのリード線を接続することができない場合、ピン117dおよび爪117eを利用し、制御装置117を仮保持して工程を進める。その後、爪117dを外すことで制御装置117を正面方向に回転させ、残りのリード線の接続を行う。次に板金117cを配設し、再度ピン117dおよび爪117eを利用して制御装置117の仮保持を行う。次いで、ピン117d付近に設けられた上部枠体110との締結箇所および左右の位置合わせ用の突起部付近の下部枠体114との締結箇所の2か所をねじにて締結する。最後に下部パネル部材119bの配設を行い、組み立てが完了する。
分解時は上記手順を反転する形で動作が行われる。
【0028】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0029】
実施の形態1では、駆動部121がドラム駆動モータ108、ベルト107、ドラムプーリ106にて構成されると説明した。駆動部121の役割は回転ドラム101を回転駆動させることである。したがって、回転ドラム101にドラム駆動モータ108を直接配設する場などにおいても、本開示は適用可能である。
【0030】
実施の形態1では、制御装置117の背面側上部に背面側に向かって漸次下方傾斜する傾斜面118が設けられていると説明した。本形状の役割は水滴の流路であるため、傾斜面を設ける位置は背面側上部に限定されない。例えば、制御装置117の背面側下部に傾斜面を設けてもよい。
【0031】
実施の形態1では、基板117aの背面下部に背の高い電子部品117gが実装されていると説明した。しかしながら、基板を分割するなどの手法を行うことで、基板117aの前面下部に背の高い電子部品を実装してもよい。
【0032】
(効果等)
以下に、本開示の実施の形態に係るドラム式洗濯機の構成及び効果について説明する。
【0033】
上述したように、実施の形態のドラム式洗濯機100は、筐体110、114、119と、筐体110、114、119の内部に弾性支持された水槽102と、水槽102の内部に回転可能に内包された回転ドラム101と、回転ドラム101を回転駆動する駆動部121と、駆動部121を制御する制御装置117と、を備える。制御装置117は、筐体110、114、119の内部に水槽102の前方かつ下方に配置され、制御装置117の下部は、背面側に向かって突出するように構成されている。
【0034】
上記構成により、水槽102等の他部品と干渉しにくい位置に制御装置117を配置できるとともに、より間隙の大きな位置に制御装置117の突出している部位を配置できる。そのため、制御装置117を他の部品等に干渉させることなく筐体110、114、119の前面側に配置できる。
【0035】
実施の形態のドラム式洗濯機100では、制御装置117は、前後方向の寸法Dよりも鉛直方向の寸法Hが大きくてもよい。
【0036】
上記構成により、筐体110、114、119の内部において間隙が小さい水槽102の前方位置に、制御装置117を配設することができる。そのため、制御装置117を他の部品等に干渉させることなく筐体110、114、119の前面側に配置できる。
【0037】
実施の形態のドラム式洗濯機100は、筐体110、114、119の前面に設けられ、洗濯物を投入可能とする洗濯物出入口と、洗濯物出入口と水槽102の開口との間をシールするシール部材120と、をさらに備えてもよい。制御装置117は、電子部品が実装される基板117aと、基板117aを内包するケース117fと、を含み、ケース117fは、天面を通過する分割面である接続部117hにより前後に分割可能に構成され、ケース117fは、ケース117fの天面が開口とシール部材120との接合位置である接続部123よりも前方となるように配置されていてもよい。
【0038】
上記構成により、接合位置から水漏れが発生した場合でも、水がケース117fの天面に落下しない。そのため、接合位置から水漏れした水により、水が分割面からケース117fの内部に浸入することで生じる制御装置117の不具合を抑制できる。
【0039】
実施の形態のドラム式洗濯機100は、ケース117fの背面側には、背面側に向かって漸次下方傾斜する傾斜面118が設けられていてもよい。
【0040】
上記構成により、接合位置から落下した水は、傾斜面118を伝って下方に流下し、天面に位置する分割面を通過しない。そのため、接合位置から水漏れした水により、制御装置117に不具合が生じることを抑制できる。
【0041】
実施の形態のドラム式洗濯機100では、制御装置117は、電子部品が実装される基板117aと、基板117aを内包するケース117fと、を含み、基板117aは、鉛直方向に延在して設けられ、前面側、背面側、または両面に電子部品が実装され、基板117aの下部には、放熱部品、コンデンサ、またはリレーが配置されていてもよい。
【0042】
上記構成により、ケース117fの内部において前後方向の間隙が大きい下方位置に、背の高い電子部品117gである放熱部品、コンデンサ、またはリレーを配置できる。そのため、制御装置117を他の部品等に干渉させることなく筐体110、114、119の前面側に配置できる。
【0043】
実施の形態のドラム式洗濯機100では、筐体110、114、119は、水槽102を内包する上部枠体110と、上部枠体110の下部に配設される下部枠体114と、上部枠体110の前面に着脱可能に設けられるカバー部119bと、を含んでもよい。制御装置117は、下部カバー部119bの背面側に配設され、制御装置117の下部には、下部枠体114と回転可能に制御装置117を支持する支持部(位置合わせ部122)が設けられている。制御装置117は、下部カバー部119bを取り外した状態で、支持部(位置合わせ部122)を回転中心とした制御装置117の回転軌跡が筐体110、114、119と干渉しないように配設されてもよい。
【0044】
上記構成により、下部カバー部119bを取り外して制御装置117を前方に回転させることで、制御装置117を筐体110、114、119の外部に露出させることができる。そのため、制御装置117を取り外す必要が生じた場合でも、簡便に作業が可能となる。
【0045】
実施の形態のドラム式洗濯機では、支持部(位置合わせ部122)は、制御装置117の前面下部に設けられていてもよい。
【0046】
上記構成により、制御装置117を前方に引き出す際の回転中心を制御装置117の前面側に位置させ、回転軌跡を前方に位置させることができるので、制御装置117の上部が筐体119bと干渉しにくい。そのため、制御装置117を取り外す必要が生じた場合でも、簡便に作業が可能となる。
【0047】
実施の形態のドラム式洗濯機では、制御装置117は、筐体110、114、119と係合する係合部117d、117eが設けられていてもよい。
【0048】
上記構成により、制御装置117は、係合部117d,117eにより筐体110、114、119に係合されて保持される。そのため、制御装置117を筐体119bに配設する際に、作業性が向上する。
【0049】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本開示に係るドラム式洗濯機によれば、制御装置と水槽及び水槽の弾性支持部品との干渉を抑制すると共に、組立性および設置性に優れた洗濯機を提供できる。
【符号の説明】
【0051】
100 ドラム式洗濯機
101 回転ドラム
102 水槽
103 軸受ケース
104 軸受
105 回転軸
106 ドラムプーリ
107 ベルト
108 ドラム駆動モータ
109 水槽ユニット
110 上部枠体
111 サスペンション
112 水槽連結部
113 筐体連結部
114 下部枠体
115 第1のダンパー
116 第2のダンパー
117 制御装置
117a 基板
117b 樹脂外装
117c 板金
117d ピン
117e 爪
117f ケース
117g 一定の高さを有する電子部品
117h 樹脂外装と板金との接続部
118 傾斜面
119 カバー部
119a 上部カバー部
119b 下部カバー部
120 シール部材
121 駆動部
122 位置合わせ部
123 接続部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B