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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】集積型半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/095 20060101AFI20241018BHJP
   H01L 21/338 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 21/337 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 29/808 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01L27/095
H01L29/80 H
H01L29/80 U
H01L29/80 E
H01L29/80 L
H01L21/28 301B
H01L29/44 L
H01L29/44 P
H01L29/80 C
H01L29/50 J
H01L29/58 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021542837
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(86)【国際出願番号】 JP2020031632
(87)【国際公開番号】W WO2021039629
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2019157650
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】柳原 学
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 高広
(72)【発明者】
【氏名】山際 優人
(72)【発明者】
【氏名】引田 正洋
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/188651(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/161138(WO,A1)
【文献】特開2011-182591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/095
H01L 29/812
H01L 29/778
H01L 21/338
H01L 21/28
H01L 29/41
H01L 21/337
H01L 29/417
H01L 29/423
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積型半導体装置であって、
半導体基板と、
前記半導体基板上に集積化された、ハーフブリッジを構成するハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタとを備え、
前記ハイサイドトランジスタおよび前記ローサイドトランジスタのそれぞれは、活性領域、ソース電極、ドレイン電極、および、ゲート電極を有し、
前記ハイサイドトランジスタの前記ソース電極と、前記ローサイドトランジスタの前記ドレイン電極とは、一体化された共通電極であり、
前記共通電極は、前記集積型半導体装置の平面視において、前記ハイサイドトランジスタおよび前記ローサイドトランジスタの前記活性領域を分断している、
集積型半導体装置。
【請求項2】
前記共通電極は、前記集積型半導体装置の平面視において、前記ハイサイドトランジスタの前記ゲート電極と前記ローサイドトランジスタの前記ゲート電極との間に挟まれている、
請求項1に記載の集積型半導体装置。
【請求項3】
前記ハイサイドトランジスタと前記ローサイドトランジスタとは、前記集積型半導体装置の平面視において、交互に繰り返して配列されている、
請求項1または2に記載の集積型半導体装置。
【請求項4】
前記ハイサイドトランジスタの前記ドレイン電極、前記ローサイドトランジスタの前記ソース電極、前記ローサイドトランジスタの前記ゲート電極、および前記共通電極の少なくとも一つは、前記ハイサイドトランジスタおよび前記ローサイドトランジスタの前記活性領域の上方に形成されたパッドを有している、
請求項1からのいずれか1項に記載の集積型半導体装置。
【請求項5】
さらに、
前記半導体基板の裏面に形成された裏面電極と、
前記半導体基板を貫通し、前記ハイサイドトランジスタの前記ドレイン電極、前記ローサイドトランジスタの前記ソース電極、または前記共通電極のいずれか一つと、前記裏面電極とを接続するビアとを備える、
請求項1からのいずれか1項に記載の集積型半導体装置。
【請求項6】
前記集積型半導体装置の平面視において、
前記ハイサイドトランジスタの前記ゲート電極は、前記ハイサイドトランジスタの前記ドレイン電極を囲み、
前記ローサイドトランジスタの前記ゲート電極は、前記ローサイドトランジスタの前記ソース電極を囲んでいる、
請求項1からのいずれか1項に記載の集積型半導体装置。
【請求項7】
前記ハイサイドトランジスタの前記ゲート電極に接続され前記ゲート電極の下方に形成されている半導体領域であるゲート領域および前記ローサイドトランジスタの前記ゲート電極に接続され前記ゲート電極の下方に形成されている半導体領域であるゲート領域は、p型半導体で構成されている、
請求項1からのいずれか1項に記載の集積型半導体装置。
【請求項8】
前記ハイサイドトランジスタおよび前記ローサイドトランジスタは、GaNトランジスタである、
請求項1からのいずれか1項に記載の集積型半導体装置。
【請求項9】
前記GaNトランジスタは、2次元電子ガスを含むチャネルを有する、
請求項に記載の集積型半導体装置。
【請求項10】
前記半導体基板は、シリコンである、
請求項8またはに記載の集積型半導体装置。
【請求項11】
前記集積型半導体装置の平面視において、
前記共通電極の周囲に、前記共通電極と電気的に接続されたp型半導体領域が形成され、
前記ハイサイドトランジスタの前記ドレイン電極の周囲に、前記ハイサイドトランジスタの前記ドレイン電極と電気的に接続されたp型半導体領域が形成されている、
請求項から10のいずれか1項に記載の集積型半導体装置。
【請求項12】
集積型半導体装置であって、
半導体基板と、
前記半導体基板上に集積化された、ハーフブリッジを構成するハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタとを備え、
前記ハイサイドトランジスタおよび前記ローサイドトランジスタのそれぞれは、活性領域、ソース電極、ドレイン電極、および、ゲート電極を有し、
前記ハイサイドトランジスタの前記ソース電極と、前記ローサイドトランジスタの前記ドレイン電極とは、一体化された共通電極であり、
前記集積型半導体装置の平面視において、
前記共通電極の周囲に、前記共通電極と電気的に接続されたp型半導体領域が形成され、
前記ハイサイドトランジスタの前記ドレイン電極の周囲に、前記ハイサイドトランジスタの前記ドレイン電極と電気的に接続されたp型半導体領域が形成されている、
集積型半導体装置。
【請求項13】
さらに、前記半導体基板上に集積化され、前記ハイサイドトランジスタおよび前記ローサイドトランジスタを駆動するゲートドライバを備える、
請求項1から12のいずれか1項に記載の集積型半導体装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の集積型半導体装置を2個用いて構成されるフルブリッジを備え、1チップで構成される集積型半導体装置。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか1項に記載の集積型半導体装置を3個用いて構成される3相インバータを備え、1チップで構成される集積型半導体装置。
【請求項16】
半導体基板と、
前記半導体基板上に集積化された、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタとを備え、
前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタのそれぞれは、活性領域、ソース電極、ドレイン電極、および、ゲート電極を有し、
前記第1のトランジスタの前記ドレイン電極と、前記第2のトランジスタの前記ソース電極とは、一体化された共通電極であり、
前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタは、アクティブクランプ方式のフライバックコンバータの構成要素である、
集積型半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、少なくとも2個のトランジスタが集積化された集積型半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源の代表的な構成として、パワートランジスタをハイサイドとローサイドにそれぞれ1個ずつ用いて接続したハーフブリッジがある。また、このハーフブリッジを2つ用いることでフルブリッジが構成され、ハーフブリッジを3つ用いることで3相インバータが構成される。ハーフブリッジにおいては、ハイサイドのパワートランジスタとローサイドのパワートランジスタとを交互にオンオフさせることで、電力変換を行う。
【0003】
このようなハーフブリッジに用いられるパワートランジスタとしては、高耐圧で大電流が得られやすい、縦型構造のものがこれまで多く用いられてきた。縦型構造とは電流が流れる方向が、半導体基板に対して垂直方向であるトランジスタ構造である。このトランジスタ構造においては、チップ(ダイ)の裏面をドレイン端子(またはコレクタ端子)とする。そのため、ハイサイドのドレイン端子とローサイドのドレイン端子との間を絶縁化する必要があるハーフブリッジを1チップ上に集積化することが困難である。そのため、単体のトランジスタのチップをモジュール化することや、単体のトランジスタチップをパッケージに組み立てた後にボード上に実装することで、ハーフブリッジを構成することが一般的である。そのようなハーフブリッジとして、パワートランジスタにFETを用いた場合、ハイサイドトランジスタのソースとローサイドトランジスタのドレインとが接続された端子が、ハーフブリッジの出力端子となる。
【0004】
一方、近年、電流が流れるチャネルが半導体基板と平行方向にある横型構造のGaNパワートランジスタの開発や製品化が進んできている。横型構造においては、基板裏面を共通接地にすることで、トランジスタを集積化することが比較的容易である。例えば、特許文献1には横型GaNパワートランジスタを、1チップ上にハイサイドとローサイドに合計2個集積化したハーフブリッジ構造が開示されている。
【0005】
さらに、ハイサイドとローサイドのGaNパワートランジスタ2個の配線を工夫して集積化した先行技術が特許文献2に開示されている。その技術では、ハーフブリッジは、平面視において、一つの半導体基板の上にソース電極、ゲート電極、ドレイン電極が、ある方向(X方向とする)に繰り返して形成されて構成されるハイサイドのGaNパワートランジスタと、ソース電極、ゲート電極、ドレイン電極が同じX方向に繰り返して形成されて構成されるローサイドのGaNパワートランジスタとを備える。ハイサイドのGaNパワートランジスタの活性領域とローサイドのGaNパワートランジスタの活性領域とは素子分離領域で分断されている。
【0006】
ハイサイドのGaNパワートランジスタとローサイドのGaNパワートランジスタとは、同じゲート・ソース間距離、同じゲート・ドレイン電極間距離を有している。ハイサイドのソース電極と同じX方向の位置で異なるY方向(X方向に垂直な方向)の位置に、ローサイドのドレイン電極がある。また、ハイサイドのドレイン電極と同じX方向の位置で異なるY方向の位置に、ローサイドのソース電極がある。このレイアウトにおいて、複数のハイサイドのソース電極と、それら複数のソース電極に対向する位置にある複数のローサイドのドレイン電極とを繋ぐ、フィッシュボーン状のハーフブリッジの出力配線が形成されている。
【0007】
これら一組のソース電極、ゲート電極、ドレイン電極をユニットトランジスタと呼んだ場合、ハイサイドのユニットトランジスタのソースとローサイドのユニットトランジスタのドレインとが接続されており、それらの接続点がハーフブリッジの出力端子に接続されている。ハイサイドのドレイン端子は各ハイサイドのユニットトランジスタのドレインに接続されており、ローサイドのソース端子は各ローサイドのユニットトランジスタのソースに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特表2007-522677号公報
【文献】米国特許出願公開第2009/0078965号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のGaNパワートランジスタを1チップ上に2個集積化したハーフブリッジにおいては、チップ面積の縮小化が不十分であるという課題がある。
【0010】
そこで、本開示は、従来よりも小さな面積の半導体チップで構成される集積型半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本開示の一形態に係る集積型半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に集積化された、ハーフブリッジを構成するハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタとを備え、前記ハイサイドトランジスタおよび前記ローサイドトランジスタのそれぞれは、活性領域、ソース電極、ドレイン電極、および、ゲート電極を有し、前記ハイサイドトランジスタの前記ソース電極と、前記ローサイドトランジスタの前記ドレイン電極とは、一体化された共通電極である。
【0012】
上記目的を達成するために、本開示の他の一形態に係る集積型半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に集積化された、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタとを備え、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタのそれぞれは、活性領域、ソース電極、ドレイン電極、および、ゲート電極を有し、前記第1のトランジスタの前記ソース電極と、前記第2のトランジスタの前記ドレイン電極とは、一体化された共通電極であり、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタは、アクティブクランプ方式のフライバックコンバータの構成要素である。
【発明の効果】
【0013】
本開示により、従来よりも小さな面積の半導体チップで構成される集積型半導体装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A図1Aは、実施形態1における集積型半導体装置の平面図である。
図1B図1Bは、図1AにおけるL1-L2間の断面図である。
図2図2は、実施形態1における集積型半導体装置の等価回路図である。
図3図3は、実施形態1の変形例における集積型半導体装置の断面図である。
図4図4は、実施形態2における集積型半導体装置の平面図である。
図5A図5Aは、実施形態3における集積型半導体装置の平面図である。
図5B図5Bは、図5AにおけるL3-L4間の断面図である。
図6図6は、本開示に係る、ゲートドライバを備える集積型半導体装置の一例を示す回路図である。
図7図7は、本開示に係る集積型半導体装置のフルブリッジおよび3相インバータへの適用例を示す回路図である。
図8図8は、本開示に係る集積型半導体装置のアクティブクランプ方式フライバックコンバータへの適用例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、実施形態1から実施形態3および変形例において、同一の構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、「上に」及び「上方に」は、特段の断りがない限り、集積型半導体装置の裏面を「下」とする場合における「上方向」、つまり、集積型半導体装置の断面視における「上方向」を意味し、いずれも、下にある物に接している場合と離間している場合の両方を含む。「下に」及び「下方に」は、特段の断りがない限り、集積型半導体装置の表面を「上」とする場合における「下方向」、つまり、集積型半導体装置の断面視における「下方向」を意味し、いずれも、上にある物に接している場合と離間している場合の両方を含む。
【0016】
(実施形態1)
図1Aは、実施形態1における、ハーフブリッジを構成する集積型半導体装置の平面図である。なお、平面図において、X方向は、トランジスタが並ぶ方向であり、Y方向は、X方向に直交する方向である。また、図1AにおけるL1-L2の線で切断した場合の集積型半導体装置の断面図を図1Bに示す。
【0017】
集積型半導体装置は、層構造として、図1Bに示されるように、半導体基板としてのSi(シリコン)基板1上にAlNからなる核形成層3、バッファー層5、GaNからなるチャネル層7、およびAlGaNからなるバリア層9を備える。チャネル層7とバリア層9との界面においては、ピエゾ分極と自発分極の効果により高濃度の2次元電子ガス8が形成されている。そして、2次元電子ガス8を高抵抗化するために、イオン注入により素子分離領域24が形成されている。図1Aに示されるように、イオン注入されずに2次元電子ガス8が存在する領域を活性領域22と呼ぶ。活性領域22と素子分離領域24の境界が素子分離境界23である。
【0018】
なお、バッファー層5を流れるリーク電流を低減するために、イオン注入はバッファー層5に注入イオンが到達するまで行っている。イオン注入種としては、比較的質量数が小さいヘリウム、ボロン、窒素、または酸素等を用いる。
【0019】
図1Aに示すように、ローサイドのソース電極12、ローサイドのゲート電極14、共通電極16、ハイサイドのゲート電極18、ハイサイドのドレイン電極20が、それぞれフィンガー状に形成されている。ここで、ローサイドのトランジスタ(以下、「ローサイドトランジスタ」ともいう)もハイサイドのトランジスタ(以下、「ハイサイドトランジスタ」ともいう)もノーマリーオフ型であるため、2次元電子ガス8はローサイドのゲート電極14の直下とハイサイドのゲート電極18の直下では消滅している。共通電極16はローサイドのドレイン電極とハイサイドのソース電極とが一体化された共通電極であり、集積型半導体装置の平面視において、ローサイドのゲート電極14と、ハイサイドのゲート電極18との間に挟まれている。ここで、一体化された共通電極とは、2以上のトランジスタに共通に用いられる一つの電極を意味し、2以上の電極が配線で接続されて構成されるものが除かれる。(i)ソース電極12、(ii)ゲート電極14、および、(iii)ドレイン電極を兼ねる共通電極16は、ローサイドの単位トランジスタ100を構成している。(i)ゲート電極18、(ii)ドレイン電極20、および、(iii)ソース電極を兼ねる共通電極16は、ハイサイドの単位トランジスタ110を構成している。なお、単位トランジスタとは、1組のソース電極、ドレイン電極、および、ゲート電極を有する最小単位のトランジスタである。
【0020】
このハイサイドの単位トランジスタ110とローサイドの単位トランジスタ100とを一つの単位ハーフブリッジ120として、X方向に繰り返してアレイ状に配置することで、トータルのゲート幅が所定値になるようにしている。一例において、ハイサイドの単位トランジスタ110のゲート幅とローサイドの単位トランジスタ100のゲート幅が共に1mmである場合、単位ハーフブリッジ120を100個、アレイ状に配置することで、ハイサイドのトランジスタもローサイドのトランジスタもトータルのゲート幅が100mmとなる。なお、単位ハーフブリッジとは、上述したように、ハイサイドの単位トランジスタとローサイドの単位トランジスタとで構成される回路である。本明細書では、並列に接続された複数の単位トランジスタの集まりを、単に、トランジスタとも呼ぶ。特に、並列に接続されたハイサイドの単位トランジスタ110の集まりをハイサイドトランジスタとも呼び、並列に接続されたローサイドの単位トランジスタ100の集まりをローサイドトランジスタとも呼ぶ。また、並列に接続された複数の単位ハーフブリッジ120の集まりを、単に、ハーフブリッジとも呼ぶ。
【0021】
実施形態1における集積型半導体装置のレイアウトを等価回路で表現すると図2のようになる。ローサイドの単位トランジスタ100のドレインと、ハイサイドの単位トランジスタ110のソースとが共通電極16によって接続されて構成される単位ハーフブリッジ120がX方向に繰り返されてアレイ状に並んでいる。なお、図2には、ハイサイドの全てのドレインに接続されるハイサイドのドレイン端子112、ローサイドの全てのソースに接続されるローサイドのソース端子102、全ての共通電極16に接続されるハーフブリッジの出力端子122も併せて図示されている。
【0022】
本実施形態においては、共通電極16がローサイドのドレイン電極とハイサイドのソース電極とを兼ねているので、ローサイドのドレイン電極とハイサイドのソース電極とが個別に存在する従来技術に比べて、チップ面積が縮小される。
【0023】
そして、ローサイドのソース電極12はローサイドのソース配線26により(図1Aおよび図1B参照)、ローサイドのゲート電極14はローサイドのゲート配線28により(図1A参照)、ハイサイドのゲート電極18はハイサイドのゲート配線30により(図1A参照)、ハイサイドのドレイン電極20はハイサイドのドレイン配線32により(図1Aおよび図1B参照)、外部端子へ引き出される。共通電極16の引き出しについては、トランジスタの表面を覆う絶縁膜(図示せず)の開口36を形成した後に、開口36を介して共通電極16と接続されるパッド34が形成される(図1Aおよび図1B参照)。パッド34が活性領域22の上方にあるため(図1B参照)、パッド34が素子分離領域24の上にある場合に比べて、チップ面積が縮小される。
【0024】
また、本実施形態においては、図1Aに示されるように、集積型半導体装置の平面視において、共通電極16が活性領域22から伸長して、素子分離境界23を超えて素子分離領域24へ到達しており、活性領域22を分断している。この構成により、ハイサイドトランジスタからローサイドトランジスタへの貫通電流を抑制することができる。
【0025】
また、従来技術では、ハイサイドとローサイドの各トランジスタが、1チップの中で異なる領域に局在しているため、スイッチングの1周期において熱の発生箇所が不均一となり、ハイサイドもしくはローサイドのトランジスタのチャネル温度が絶対最大定格温度を超えやすくなるという信頼性上の問題がある。これに対して、本実施形態では、ハイサイドとローサイドを単位ハーフブリッジとして、その単位ハーフブリッジをアレイ状に繰り返して配置することによりハーフブリッジを構成している。つまり、ハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタとは、集積型半導体装置の平面視において、交互に繰り返して配列されている。これにより、熱の発生箇所がスイッチングの1周期においても均一化され、ハイサイドとローサイドのトランジスタのチャネル温度が絶対最大定格温度を超えにくくなり、信頼性が向上する。
【0026】
なお、本実施形態では半導体基板としてSi基板1を用いた。Si基板1は低コストで大口径化ができるという利点がある。その他にも半導体基板として、GaN基板やSiC基板やサファイア基板を用いることも可能である。
【0027】
以上のように、本実施の形態に係る集積型半導体装置は、Si基板1と、Si基板1上に集積化された、ハーフブリッジ(単位ハーフブリッジ120の集まり)を構成するハイサイドの単位トランジスタ110およびローサイドの単位トランジスタ100とを備え、ハイサイドの単位トランジスタ110は活性領域22、ソース電極(共通電極16)、ドレイン電極20およびゲート電極18を有し、ローサイドの単位トランジスタ100は活性領域22、ソース電極12、ドレイン電極(共通電極16)およびゲート電極14を有し、ハイサイドの単位トランジスタ110のソース電極とローサイドの単位トランジスタ100のドレイン電極とは一体化された共通電極16である。そして、共通電極16は、集積型半導体装置の平面視において、ハイサイドの単位トランジスタ110のゲート電極18とローサイドの単位トランジスタ100のゲート電極14との間に挟まれている。
【0028】
これにより、共通電極16がローサイドのドレイン電極とハイサイドのソース電極とを兼ねているので、ローサイドのドレイン電極とハイサイドのソース電極とが個別に存在する従来技術に比べて、チップ面積が縮小される。
【0029】
また、ハイサイドの単位トランジスタ110とローサイドの単位トランジスタ100とは、集積型半導体装置の平面視において、交互に繰り返して配列されている。これにより、熱の発生箇所がハイサイドの単位トランジスタ110およびローサイドの単位トランジスタ100によるスイッチングの1周期においても均一化され、ハイサイドとローサイドのトランジスタのチャネル温度が絶対最大定格温度を超えにくくなり、信頼性が向上する。
【0030】
また、共通電極16は、集積型半導体装置の平面視において、ハイサイドの単位トランジスタ110およびローサイドの単位トランジスタ100の活性領域22を分断している。これにより、ハイサイドの単位トランジスタ110からローサイドの単位トランジスタ100への貫通電流が抑制される。
【0031】
また、ハイサイドの単位トランジスタ110のドレイン電極20、ローサイドの単位トランジスタ100のソース電極12、ローサイドの単位トランジスタ100のゲート電極14、および共通電極16の少なくとも一つは、ハイサイドの単位トランジスタ110およびローサイドの単位トランジスタ100の活性領域22の上方に形成されたパッド34を有している。これにより、パッド34が活性領域22の上方にあるため、パッド34が素子分離領域24の上にある場合に比べて、集積型半導体装置のチップ面積が縮小される。
【0032】
また、ハイサイドの単位トランジスタ110およびローサイドの単位トランジスタ100は、GaNトランジスタである。そして、GaNトランジスタは、2次元電子ガス8を含むチャネル層7を有する。これにより、高周波パワーデバイスとしての高電子移動度トランジスタ(HEMT)を用いたハーフブリッジが実現される。
【0033】
また、Si基板1は、シリコンである。これにより、低コストで大口径化が可能なSi基板1を用いて、集積型半導体装置の低コスト化ができる。
【0034】
(実施形態1の変形例)
実施形態1の変形例における集積型半導体装置の断面図を図3に示す。実施形態1においては、共通電極16は絶縁膜を用いた配線技術によりSi基板1の表面側に電気的に引き出されて、表面側に形成された共通電極16のパッド34に接続されていた。本変形例においてはSi基板1およびその上に形成された半導体層を貫通するビア38により、共通電極16はSi基板1の裏面側に電気的に引き出される。
【0035】
つまり、本変形例においては、集積型半導体装置は、半導体基板の裏面に形成された裏面電極40と、半導体基板を貫通し、共通電極16と裏面電極40とを接続するビア38とを備える。これにより、共通電極16の配線抵抗が低減されるとともに、寄生インダクタンスが低減される。
【0036】
以上のように、実施形態1の変形例に係る集積型半導体装置は、実施形態1に係る集積型半導体装置に、さらに、Si基板1の裏面に形成された裏面電極40と、Si基板1を貫通し、ハイサイドの単位トランジスタ110のドレイン電極20、ローサイドの単位トランジスタ100のソース電極12、または共通電極16のいずれか一つと、裏面電極40とを接続するビア38とを備える。これにより、共通電極16の配線抵抗が低減されるとともに、寄生インダクタンスが低減される。
【0037】
なお、本変形例では、共通電極16と裏面電極40とを接続するビア38が設けられたが、これに代えて、あるいは、これに加えて、ハイサイドトランジスタのドレイン電極と裏面電極40とを接続するビア、または、ローサイドトランジスタのソース電極と裏面電極40とを接続するビアが設けられてもよい。その場合には、裏面電極40は、絶縁された複数の領域に分割されて、ビアに接続されてもよい。
【0038】
(実施形態2)
図4は、実施形態2における、ハーフブリッジを構成する集積型半導体装置の一例を示す平面図である。ローサイドのソース電極42、ローサイドのゲート電極44、共通電極46、ハイサイドのゲート電極48、ハイサイドのドレイン電極50が形成されている。(i)ソース電極42、(ii)ゲート電極44、および、(iii)ドレイン電極を兼ねる共通電極46は、ローサイドの単位トランジスタ100aを構成している。(i)ゲート電極48、(ii)ドレイン電極50、および、(iii)ソース電極を兼ねる共通電極46は、ハイサイドの単位トランジスタ110aを構成している。このハイサイドの単位トランジスタ110aとローサイドの単位トランジスタ100aとを一つの単位ハーフブリッジ120aとして、X方向に繰り返して、トータルのゲート幅が所定値になるように構成されている。また、本図には、活性領域52、素子分離領域54、および、活性領域52と素子分離領域54との境界である素子分離境界53も図示されている。
【0039】
本開示の集積型半導体装置の平面視において、実施形態1では、ゲート電極がフィンガー状であったのに対し、本実施形態では、活性領域52の中で、ローサイドのゲート電極44がローサイドのソース電極42を囲み、ハイサイドのゲート電極48がハイサイドのドレイン電極50を囲んでいる。このようにゲート電極がソース電極を囲む構成により、実施形態1におけるゲート電極が活性領域22を超えて素子分離領域24に達する構造に比べて、オフ時におけるゲート電極からの電界により、ハイサイドとローサイドの各トランジスタにおいて、ソース・ドレイン間のリーク電流が低減する。
【0040】
また、本実施形態においても、図4に示されるように、共通電極46が活性領域52を分断し、素子分離境界53を超えて素子分離領域54に到達している。この構成により、ハイサイドからローサイドへの貫通電流が抑制される。
【0041】
また、本実施形態における引き出し配線の形成方法は、実施形態1におけるパッド34、および、実施形態1の変形例におけるビア38および裏面電極40と同様の方法が使える。
【0042】
以上のように、本実施の形態に係る集積型半導体装置は、集積型半導体装置の平面視において、ハイサイドの単位トランジスタ110aのゲート電極48は、ハイサイドの単位トランジスタ110aのドレイン電極50を囲み、ローサイドの単位トランジスタ100aのゲート電極44は、ローサイドの単位トランジスタ100aのソース電極42を囲んでいる。これにより、実施形態1におけるゲート電極が活性領域22を超えて素子分離領域24に達する構造に比べて、オフ時におけるゲート電極からの電界により、ハイサイドとローサイドの各トランジスタにおいて、ソース・ドレイン間のリーク電流が低減する。
【0043】
(実施形態3)
実施形態3における、ハーフブリッジを構成する集積型半導体装置の平面図を図5Aに示し、また図5AにおけるL3-L4の線で切断した場合の集積型半導体装置の断面図を図5Bに示す。ローサイドのソース電極72、ローサイドのゲート電極74、共通電極76、ハイサイドのゲート電極78、ハイサイドのドレイン電極80が形成されている。(i)ソース電極72、(ii)ゲート電極74、および、(iii)ドレイン電極を兼ねる共通電極76は、ローサイドの単位トランジスタ100bを構成している。(i)ゲート電極78、(ii)ドレイン電極80、および、(iii)ソース電極を兼ねる共通電極76は、ハイサイドの単位トランジスタ110bを構成している。このハイサイドの単位トランジスタ110bとローサイドの単位トランジスタ100bとを一つの単位ハーフブリッジ120bとして、X方向に繰り返して、トータルのゲート幅が所定値になるように構成されている。また、本図には、活性領域82、素子分離領域84、および、活性領域82と素子分離領域84との境界である素子分離境界83も図示されている。
【0044】
図5Aに示されるように、このレイアウトにおいては、活性領域82内でローサイドのゲート電極74およびローサイドのp型ゲート領域86がローサイドのソース電極72を囲んでいる。なお、ローサイドのp型ゲート領域86は、図5Bに示されるように、ローサイドのゲート電極74に接続され、ゲート電極74の下方に形成されている半導体領域である。また、図5Aに示されるように、ハイサイドのゲート電極78およびハイサイドのp型ゲート領域90がドレイン電極80を囲んでいる。なお、ハイサイドのp型ゲート領域90は、図5Bに示されるように、ハイサイドのゲート電極78に接続され、ゲート電極78の下方に形成されている半導体領域である。このようにゲート電極がソース電極またはドレイン電極を囲む構成により、実施形態1におけるゲート電極14が活性領域22を超えて素子分離領域24に達する構造に比べて、オフ時におけるゲート電極からの電界により、ハイサイドとローサイドの各トランジスタにおいて、ソース・ドレイン間のリーク電流が低減する。
【0045】
また、本実施形態においても、共通電極76が活性領域82から素子分離境界83を超えて、素子分離領域84に到達している。この構成により、ハイサイドからローサイドへの貫通電流が抑制される。
【0046】
また、本実施形態における引き出し配線の形成方法は実施形態1におけるパッド34、および、実施形態1の変形例におけるビア38および裏面電極40と同様の方法が使える。
【0047】
本実施形態が実施形態2と異なる点は、ローサイドのトランジスタのp型ゲート領域86、およびハイサイドのトランジスタのp型ゲート領域90を用いている点である。この構成により、GaNパワートランジスタのノーマリーオフ特性が得られやすくなる。特に、ローサイドのp型ゲート領域86とハイサイドのトランジスタのp型ゲート領域90とをバリア層9をリセスエッチングした領域に形成することで、確実にノーマリーオフが得られるとともに、リセスエッチングしていない領域は2次元電子ガス濃度を高くできるので、トランジスタのオン抵抗が低減する。
【0048】
さらに、図5Aおよび図5Bに示されるように、集積型半導体装置の平面視において、電流コラプスを抑制するために共通電極76の周囲にp-GaNからなるp型半導体領域88と、ハイサイドのドレイン電極80の周囲にp-GaNからなるp型半導体領域92とが形成されている。共通電極76とp型半導体領域88とは電気的に接続されており、p型半導体領域88とその直下の2次元電子ガス8との間に高い電位差が発生した場合に、p型半導体領域88からバリア層9及びチャネル層7にホールが注入され、電流コラプスが抑制される。
【0049】
同様に、ハイサイドのドレイン電極80とp型半導体領域92とは電気的に接続されており、p型半導体領域92とその直下の2次元電子ガス8との間に高い電位差が発生した場合に、p型半導体領域92からバリア層9及びチャネル層7にホールが注入され、電流コラプスが抑制される。つまり本構成により、ハイサイドのトランジスタにおいてもローサイドのトランジスタにおいても、電界が集中するドレイン電極端でp-GaNからのホール注入により電子がトラップされることが抑制されるため、電流コラプスが抑制されたGaNパワートランジスタを用いたハーフブリッジが提供される。
【0050】
以上のように、本実施の形態に係る集積型半導体装置は、ハイサイドの単位トランジスタ110bのゲート電極78に接続されゲート電極78の下方に形成されている半導体領域であるゲート領域(p型ゲート領域90)およびローサイドの単位トランジスタ100bのゲート電極74に接続されゲート電極74の下方に形成されている半導体領域であるゲート領域(p型ゲート領域86)は、p型半導体で構成されている。これにより、GaNパワートランジスタのノーマリーオフ特性が得られやすくなるとともに、トランジスタのオン抵抗が低減され得る。
【0051】
また、集積型半導体装置の平面視において、共通電極76の周囲に、共通電極76と電気的に接続されたp型半導体領域88が形成され、ハイサイドの単位トランジスタ110bのドレイン電極80の周囲に、ハイサイドの単位トランジスタ110bのドレイン電極80と電気的に接続されたp型半導体領域92が形成されている。これにより、電流コラプスが抑制されたGaNパワートランジスタを用いたハーフブリッジが実現される。
【0052】
なお、実施形態1から3および変形例において、ハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタを駆動するゲートドライバも1チップ上に構成して、ハーフブリッジを駆動することも可能である。図6は、本開示に係る、ゲートドライバ150aおよび150bを備える集積型半導体装置の一例を示す回路図である。ゲートドライバ150aは、ハイサイドのトランジスタを駆動する回路であり、pチャネルトランジスタ151aとnチャネルトランジスタ152aとが接続されて構成される。ゲートドライバ150bは、ローサイドのトランジスタを駆動する回路であり、pチャネルトランジスタ151bとnチャネルトランジスタ152bとが接続されて構成される。このようなゲートドライバ150aおよび150bを備える集積型半導体装置が1チップに集積化されてもよい。この構成により、ハーフブリッジを用いたスイッチング電源のさらなる小型化が可能である。
【0053】
このように、集積型半導体装置は、Si基板1上に集積化され、ハイサイドの単位トランジスタ110およびローサイドの単位トランジスタ100を駆動するゲートドライバ150aおよび150bを備えてもよい。これにより、ハーフブリッジを用いたスイッチング電源のさらなる小型化が可能になる。
【0054】
なお、GaNを用いた場合は、pチャネルトランジスタよりもnチャネルトランジスタが作製しやすいので、nチャネルトランジスタでノーマリーオン型トランジスタとノーマリーオフ型トランジスタの両方、またはどちらか一方を用いてゲートドライバを構成しても良い。
【0055】
また、図7の(a)に示される、本開示に係る集積型半導体装置のフルブリッジ160への適用例のように、この1チップにハーフブリッジが集積化された半導体装置を2個用いることで、フルブリッジが構成される。また、1チップ上にこのハーフブリッジを2個形成することによってもフルブリッジが構成される。
【0056】
このように、本開示に係る集積型半導体装置は、上記実施の形態および変形例で説明した集積型半導体装置を2個用いて構成されるフルブリッジ160を備え、1チップで構成される集積型半導体装置であってもよい。これにより、小型化されたフルブリッジが実現される。
【0057】
同様に、図7の(b)に示される、本開示に係る集積型半導体装置の3相インバータ161への適用例のように、この1チップにハーフブリッジが集積化された半導体装置を3個用いることで、3相インバータが構成される。また、1チップ上にこのハーフブリッジを3個形成することによっても3相インバータが構成される。
【0058】
このように、本開示に係る集積型半導体装置は、上記実施の形態および変形例で説明した集積型半導体装置を3個用いて構成される3相インバータ161を備え、1チップで構成される集積型半導体装置であってもよい。これにより、小型化された3相インバータ161が実現される。
【0059】
なお、本開示の集積型半導体装置における構成(2個のトランジスタ)はハーフブリッジに限らず、第1のトランジスタのドレインと第2のトランジスタのソースとを直接、接続する構成に適用できる。例えば図8に示すアクティブクランプ方式のフライバックコンバータ162に適用できる。第1のトランジスタの一例である一次側トランジスタ162aのドレイン電極と第2のトランジスタの一例であるクランプ回路側トランジスタ162bのソース電極とが直接、接続されており、一次側トランジスタ162aとクランプ回路側トランジスタ162bとのセットに対して、本開示の集積型半導体装置を適用することができる。
【0060】
このように、本開示に係る集積型半導体装置は、Si基板1と、Si基板1上に集積化された、第1のトランジスタ(一次側トランジスタ162a)および第2のトランジスタ(クランプ回路側トランジスタ162b)とを備え、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタのそれぞれは、活性領域、ソース電極、ドレイン電極、および、ゲート電極を有し、第1のトランジスタのドレイン電極と、第2のトランジスタのソース電極とは、一体化された共通電極16であり、第1のトランジスタと第2のトランジスタは、アクティブクランプ方式のフライバックコンバータ162の構成要素であってもよい。これにより、小型化されたフライバックコンバータ162が実現される。
【0061】
また、上記実施形態等では、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタは、それぞれ、並列に接続された複数の単位トランジスタ110および並列に接続された複数の単位トランジスタ100で構成されたが、1個の単位トランジスタ110および1個の単位トランジスタ100で構成されてもよい。
【0062】
以上、本開示の集積型半導体装置について、実施形態1~3、変形例および適用例に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施形態等に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形をこれらの実施形態等に施したものや、これらの実施形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本開示にかかる2個のトランジスタが集積化された集積型半導体装置は、例えば、スイッチング電源の代表的な構成であるハーフブリッジとして利用できる。このハーフブリッジを2つ用いて構成されるフルブリッジや、ハーフブリッジを3つ用いて構成される3相インバータとしても利用可能である。また、アクティブクランプ方式のフライバックコンバータにも利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 Si基板
3 核形成層
5 バッファー層
7 チャネル層
8 2次元電子ガス
9 バリア層
12、42、72 ローサイドのソース電極
14、44、74 ローサイドのゲート電極
16、46、76 共通電極
18、48、78 ハイサイドのゲート電極
20、50、80 ハイサイドのドレイン電極
22、52、82 活性領域
23、53、83 素子分離境界
24、54、84 素子分離領域
26 ローサイドのソース配線
28 ローサイドのゲート配線
30 ハイサイドのゲート配線
32 ハイサイドのドレイン配線
34 共通電極のパッド
36 絶縁膜の開口
38 ビア
40 裏面電極
86 ローサイドのp型ゲート領域
88、92 p型半導体領域
90 ハイサイドのp型ゲート領域
100、100a、100b ローサイドの単位トランジスタ
102 ローサイドのソース端子
110、110a、110b ハイサイドの単位トランジスタ
112 ハイサイドのドレイン端子
120、120a、120b 単位ハーフブリッジ
122 ハーフブリッジの出力端子
150a、150b ゲートドライバ
151a、151b pチャネルトランジスタ
152a、152b nチャネルトランジスタ
160 フルブリッジ
161 3相インバータ
162 フライバックコンバータ
162a 一次側トランジスタ
162b クランプ回路側トランジスタ
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8