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特許7573217映像信号処理装置、映像信号処理方法、プログラムおよび信号処理回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】映像信号処理装置、映像信号処理方法、プログラムおよび信号処理回路
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/438 20110101AFI20241018BHJP
   H04N 21/426 20110101ALI20241018BHJP
【FI】
H04N21/438
H04N21/426
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022503080
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(86)【国際出願番号】 JP2020038655
(87)【国際公開番号】W WO2021171687
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】P 2020030744
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】川那辺 一毅
(72)【発明者】
【氏名】藤石 修士
【審査官】富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-163427(JP,A)
【文献】特開2007-096737(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0002577(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが複数のパケットを含む複数の映像信号を入力とし、前記複数の映像信号を多重化して多重化映像信号を1系統でのみ出力する第1信号処理部と、
前記多重化映像信号を入力とし、当該多重化映像信号を逆多重化して前記複数の映像信号を出力する第2信号処理部と、を備え、
前記第1信号処理部は、前記複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号についてチャンネルを変更するときに、前記第2信号処理部に対して、チャンネルが変更された映像信号について1パケットのサイズ未満の不足データを検出する検出処理を開始させる通知を送信し、
前記第2信号処理部は、前記通知を受信することで前記検出処理を開始し、チャンネルが変更された映像信号について前記不足データを検出したときに、(i)検出した前記不足データを破棄する処理または(ii)検出した前記不足データにダミーデータを付与することで当該不足データのサイズを1パケットのサイズの整数倍のサイズにする処理を行う、
映像信号処理装置。
【請求項2】
前記第1信号処理部は、前記複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号についてチャンネルを変更するときに、チャンネルを変更する映像信号を多重化しないように制御する、
請求項記載の映像信号処理装置。
【請求項3】
それぞれが複数のパケットを含む複数の映像信号を入力とし、前記複数の映像信号を多重化して多重化映像信号を1系統でのみ出力する第1信号処理部と、前記多重化映像信号を入力とし、当該多重化映像信号を逆多重化して前記複数の映像信号を出力する第2信号処理部と、を備える映像信号処理装置における映像信号処理方法であって、
前記複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号についてチャンネルを変更するときに、チャンネルが変更された映像信号について1パケットのサイズ未満の不足データを検出する検出処理を開始させる通知を送信し、
前記通知を受信することで前記検出処理を開始し、チャンネルが変更された映像信号について前記不足データを検出したときに、(i)検出した前記不足データを破棄する処理または(ii)検出した前記不足データにダミーデータを付与することで当該不足データのサイズを1パケットのサイズの整数倍のサイズにする処理を行う、
映像信号処理方法。
【請求項4】
請求項記載の映像信号処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項5】
それぞれが複数のパケットを含む複数の映像信号を入力とし、前記複数の映像信号を多重化して多重化映像信号を1系統でのみ出力し、
前記複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号についてチャンネルを変更するときに、チャンネルが変更された映像信号について1パケットのサイズ未満の不足データを検出する検出処理を開始させる通知を送信する、
信号処理回路。
【請求項6】
それぞれが複数のパケットを含む複数の映像信号が多重化され、1系統でのみ出力された多重化映像信号を入力とし、前記多重化映像信号を逆多重化して前記複数の映像信号を出力し、
前記複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号についてチャンネルが変更されるときに、チャンネルが変更された映像信号について1パケットのサイズ未満の不足データを検出する検出処理を開始させる通知を受信することで前記検出処理を開始し、
チャンネルが変更された映像信号について前記不足データを検出したときに、(i)検出した前記不足データを破棄する処理または(ii)検出した前記不足データにダミーデータを付与することで当該不足データのサイズを1パケットのサイズの整数倍のサイズにする処理を行う、
信号処理回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、映像信号を処理する映像信号処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州のデジタル放送を受信する映像信号処理装置では、スクランブル処理等で暗号化された映像信号を用いる有料放送の視聴に関してDVB-CI(Digital Video Broadcasting - Common Interface)方式が用いられている。DVB-CI方式では、映像信号処理装置は、CI(Common Interface)スロットを備え、CIスロットに挿入(装着)することで接続されるカード形状のCAM(Conditional Access Module)により、暗号化された映像信号の復号(デクリプト)が行われる。有料放送を選局して映像信号を受信したチューナーが出力するトランスポートストリーム(TS:Transport Stream)は、CIスロットに接続されたCAMにより復号される。
【0003】
特許文献1には、複数のCIスロットを備える映像信号処理装置が開示されており、複数種類の有料放送を同時に視聴したり、同時に録画したり、視聴しながら録画したりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許出願公開第2757796号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コストまたはサイズ等の制限によって、映像信号処理装置は、出力端子等の資源が乏しく1系統でしか映像信号を出力できないSoC(System on a Chip)等の信号処理回路を備える場合がある。この場合、当該信号処理回路は複数の映像信号を多重化して1つの出力端子から多重化映像信号を出力する方法がある。FPGA(Field Programmable Gate Array)等の他の信号処理回路は、入力された多重化映像信号を逆多重化して複数の映像信号をそれぞれ対応するCIスロットに出力する。各CIスロットでは挿入されたCAMによって暗号化された映像信号の復号が行われる。このような1系統でしか映像信号を出力できない信号処理回路は、複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号についてチャンネルを変更する際に、1パケットのサイズに満たない不足データが発生する場合がある。詳細は後述するが、この不足データによって、チャンネルを変更しない他の映像信号が影響を受けるおそれがある。
【0006】
本開示は、1系統でのみ映像信号を出力する信号処理回路において複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号についてチャンネルを変更するときに、チャンネルを変更しない他の映像信号が影響を受けることを抑制できる映像信号処理装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示における映像信号処理装置は、それぞれが複数のパケットを含む複数の映像信号を入力とし、前記複数の映像信号を多重化して多重化映像信号を出力する第1信号処理部と、前記多重化映像信号を入力とし、当該多重化映像信号を逆多重化して前記複数の映像信号を出力する第2信号処理部と、を備え、前記第2信号処理部は、前記複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号について1パケットのサイズ未満の不足データを検出したときに、(i)検出した前記不足データを破棄する処理または(ii)検出した前記不足データにダミーデータを付与することで当該不足データのサイズを1パケットのサイズの整数倍のサイズにする処理を行う。
【0008】
本開示における映像信号処理方法は、それぞれが複数のパケットを含む複数の映像信号を入力とし、前記複数の映像信号を多重化して多重化映像信号を出力する第1信号処理部と、前記多重化映像信号を入力とし、当該多重化映像信号を逆多重化して前記複数の映像信号を出力する第2信号処理部と、を備える映像信号処理装置における映像信号処理方法であって、前記複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号について1パケットのサイズ未満の不足データを検出したときに、(i)検出した前記不足データを破棄する処理または(ii)検出した前記不足データにダミーデータを付与することで当該不足データのサイズを1パケットのサイズの整数倍のサイズにする処理を行う。
【0009】
本開示におけるプログラムは、上記の映像信号処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0010】
本開示における信号処理回路は、それぞれが複数のパケットを含む複数の映像信号を入力とし、前記複数の映像信号を多重化して多重化映像信号を出力し、1パケットのサイズ未満の不足データを検出する検出処理を開始させる通知を送信する。
【0011】
本開示における信号処理回路は、それぞれが複数のパケットを含む複数の映像信号が多重化された多重化映像信号を入力とし、前記多重化映像信号を逆多重化して前記複数の映像信号を出力し、1パケットのサイズ未満の不足データを検出する検出処理を開始させる通知を受信することで前記検出処理を開始し、前記複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号について前記不足データを検出したときに、(i)検出した前記不足データを破棄する処理または(ii)検出した前記不足データにダミーデータを付与することで当該不足データのサイズを1パケットのサイズの整数倍のサイズにする処理を行う。
【発明の効果】
【0012】
本開示における映像信号処理装置等によれば、1系統でのみ映像信号を出力する信号処理回路において複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号についてチャンネルを変更するときに、チャンネルを変更しない他の映像信号が影響を受けることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施の形態に係る映像信号処理装置の構成の一例を示す図である。
図2A図2Aは、不足データが発生する原理および不足データが発生するときの問題を説明するための図である。
図2B図2Bは、不足データが発生する原理および不足データが発生するときの問題を説明するための図である。
図2C図2Cは、不足データが発生する原理および不足データが発生するときの問題を説明するための図である。
図2D図2Dは、不足データが発生する原理および不足データが発生するときの問題を説明するための図である。
図3図3は、実施の形態に係るSoCの動作の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、実施の形態に係るFPGAの動作の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、不足データが発生するときの問題が解決されることを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0015】
発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0016】
(実施の形態)
以下、図1から図5を用いて実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、実施の形態に係る映像信号処理装置10の構成の一例を示す図である。図1には、映像信号処理装置10の他に外部記憶装置20も示している。外部記憶装置20は、例えばメモリまたはハードディスク等の記録媒体を有し、映像信号処理装置10から伝送された映像信号に係るデータ(コンテンツのデータ)を記録媒体に記録し、ユーザ操作等に応じて、記録したデータに基づいてコンテンツを再生するための信号を、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイまたは有機EL(electroluminescence)ディスプレイ等を有する表示装置に伝送する。
【0018】
映像信号処理装置10は、例えば、プロセッサ等を含むSoC、FPGA、メモリ、放送受信回路(チューナー)、通信インタフェースおよびユーザインタフェース等を有する。通信インタフェースは、他の装置との間で情報の送受信を行うための通信回路等である。メモリは、例えば、ROMまたはRAM等である。メモリには、後述する各構成要素の処理を実現するためのプログラムまたはそのプログラムで利用するための設定値等が予め格納される。メモリは、プログラムの実行に際して用いられる各値を一時的に格納するためにも用いられる。映像信号処理装置10は、DVB-CI方式およびDVB-CI Plus方式等に準拠し、CIスロットを備え、アンテナおよびケーブル等(不図示)から受信部(チューナーおよび通信インタフェース等)で受信した、暗号化された有料放送に係る映像信号を、CIスロットに挿入(装着)されて接続されるCAMにより復号する。映像信号処理装置10が受信する映像信号は、TSを変調等して形成されるデジタル放送の信号であり、例えば、地上波放送、BS(Broadcast Satellite)放送、CS(Communication Satellite)放送、または、インターネット放送もしくはケーブルテレビジョン等といった各種放送方式のうちいずれにより放送(送信)される信号であってもよい。デジタル放送では、MPEG2システム規格に準拠したTSにより放送内容(コンテンツ)が多重化され伝送される。ユーザによる選局操作等に応じて、映像信号処理装置10は放送信号を受信して、コンテンツに係る信号を出力する。映像信号処理装置10が出力したコンテンツに係る信号は、表示装置(不図示)、および、録画再生装置等である外部記憶装置20にケーブル等(不図示)を介して伝送される。これにより、ユーザは、例えば表示装置に表示されるコンテンツを視聴でき、外部記憶装置20にコンテンツを記録させることができる。
【0019】
映像信号処理装置10は、チューナー11、第1CIスロット12、第2CIスロット13、画像表示部14、入力受付部15、SoC100およびFPGA200を備える。
【0020】
チューナー11は、アンテナおよびケーブル等を介して放送波を受信し、ユーザ操作等に応じて選局されたチャンネルの放送波から抽出したTSを出力する。TSは、複数のパケットを含む映像信号の一例である。例えば、チューナー11は、アンテナにより受信されたデジタル放送の放送波に係る放送信号を予め定められた放送方式に従って同調および復調することでTSを得てSoC100に出力する。ここで、予め定められた放送方式は、例えば、DVB-T(Digital Video Broadcasting-Terrestrial)方式、DVB-T2(Digital Video Broadcasting-Second Generation Terrestrial)方式、DVB-C(Digital Video Broadcasting-Cable)方式、DVB-S(Digital Video Broadcasting-Satellite)方式またはDVB-S2(Digital Video Broadcasting Satellite-Second Generation)方式等である。例えば、チューナー11は、インターネット等のネットワークを通じて送信される放送信号を予め定められた通信プロトコルに従って受信することでTSを得てSoC100に出力してもよい。チューナー11は、2つの異なる放送局等による別々の放送波を同時に受信可能であり、2つのTSを並列に処理することができる。例えば、チューナー11は、第1放送波を受信して第1TSを出力し、第2放送波を受信して第2TSを出力する。
【0021】
第1CIスロット12は、FPGA200から出力された第1TSを自身に挿入(接続)されたCAMに入力する。第2CIスロット13は、FPGA200から出力された第2TSを自身に挿入(接続)されたCAMに入力する。CAMは、暗号解読回路を含み、入力されたTSを復号して出力する。例えば、第1CIスロット12は、暗号化された第1TSが入力され、CAMによって復号された第1TSをFPGA200に出力し、第2CIスロット13は、暗号化された第2TSが入力され、CAMによって復号された第2TSをFPGA200に出力する。各CIスロットに挿入される各CAMにおける復号可能な有料放送のTSは、同じであるとは限らない。例えば、一方のCAMは、ある放送局Aからの放送信号を復号でき、他方のCAMは、その放送局Aからの放送信号は復号できないが、ある放送局Bからの放送信号を復号できる。ここで、放送局を例として説明したが、復号できるか否かは必ずしも放送局単位で定まる必要はない。映像信号処理装置10がDVB-CI Plus Ver2に準拠する場合には、第1CIスロット12および第2CIスロット13は、USB(Universal Serial Bus)に対応したインタフェースであってもよい。
【0022】
画像表示部14は、SoC100から出力されたコンテンツを映像信号処理装置10の外部の表示装置に出力する。
【0023】
入力受付部15は、例えば、赤外線リモコン信号等の受信装置を含み、リモコンのボタン押下等により、受信する放送の選択(選局)等のユーザ操作に係る信号をリモコンから受信してSoC100に出力する。入力受付部15は、映像信号処理装置10の筐体に設けられたボタンまたはスイッチ等のユーザインタフェースにより、受信する放送の選択(選局)等のユーザ操作を受け付けてSoC100に出力する機能を有していてもよい。ユーザインタフェースは、ディスプレイを用いたグラフィカルユーザインタフェース(GUI)であってもよい。
【0024】
SoC100は、それぞれが複数のパケットを含む複数のTS(ここでは、第1TSおよび第2TS)を入力とし、第1TSおよび第2TSを多重化して多重化TSを出力する第1信号処理部(信号処理回路とも呼ぶ)の一例である。SoC100は、例えばコストまたはサイズ等の制限によって、1系統でのみTSを出力する(言い換えると1系統でしかTSを出力できない)信号処理回路である。例えば、SoC100には、TSを出力可能な出力端子が1つしかなくてもよい。例えば、SoC100は、TSを出力可能な出力端子を複数有していてもよく、様々な用途のために多くの出力端子を使用する必要があるときに、CIスロットに対してTSを出力するために使用できる出力端子が1つしかなくてもよい。SoC100は、第1TS受信部101、第2TS受信部102、スイッチ/セレクタ103、マルチプレクサ(Muxと呼ぶ)104、第2デマルチプレクサ(Demuxと呼ぶ)105、デコーダ106、画像処理部107および制御部110を備える。
【0025】
第1TS受信部101は、チューナー11から出力された第1TSを受信し、スイッチ/セレクタ103へ出力する。第2TS受信部102は、チューナー11から出力された第2TSを受信し、スイッチ/セレクタ103へ出力する。
【0026】
スイッチ/セレクタ103は、第1TS受信部101および第2TS受信部102のそれぞれから出力されるTSを、Mux104および第2Demux105のそれぞれに選択的に出力する。スイッチ/セレクタ103は、FPGA200から出力されるTSを、第2Demux105へ出力する。チューナー11が受信した放送波が有料放送の場合にはTSが暗号化されており、暗号化されているTSはMux104へ出力される。暗号化されていないTSは、第2Demux105へ出力される。例えば、暗号化されていないTSが視聴用のTSの場合には、第2Demux105を介して画像表示部14へ出力され、暗号化されていないTSが録画用のTSの場合には、第2Demux105を介して外部記憶装置20へ出力される。
【0027】
Mux104は、スイッチ/セレクタ103から出力された第1TSおよび第2TSを多重化してFPGA200に出力する。上述したように、SoC100は、出力端子等の資源が乏しく1系統でしか映像信号を出力できない信号処理回路であるため、いったんSoC100内において第1TSおよび第2TSが多重化され、多重化TSがFPGA200等の外部チップで逆多重化されて第1TSおよび第2TSに分離される。Mux104は、第1TSおよび第2TSを多重化する際に、例えば、第1TSに含まれる複数のパケットのそれぞれの先頭に配置されるシンクバイトの値を0x47とし、第2TSに含まれる複数のパケットのそれぞれの先頭に配置されるシンクバイトの値を0x48とする。これは、CI Plus規格で定められた多重化の方法である。
【0028】
第2Demux105は、スイッチ/セレクタ103から出力されたTSが視聴用のTSの場合には、当該TSにおいて多重化されている映像、音声、字幕または番組表等のデータを逆多重化して分離し、デコーダ106へ出力する。第2Demux105は、スイッチ/セレクタ103から出力されたTSが録画用のTSの場合には、当該TSに含まれる不要なデータを削除し、当該TSを暗号化して外部記憶装置20へ出力する。
【0029】
第2Demux105から出力された視聴用のTSは、デコーダ106でデコードされ、画像処理部107で画像処理がされて、コンテンツとして画像表示部14へ出力される。
【0030】
制御部110は、例えば、SoC100が備えるプロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。制御部110は、入力受付部15を介したユーザ操作等に応じて、SoC100が備える各構成要素を制御し、また、FPGA200を制御する。制御部110の動作の詳細については後述する。
【0031】
FPGA200は、多重化TSを入力とし、当該多重化TSを逆多重化して複数のTS(ここでは第1TSおよび第2TS)を出力する第2信号処理部(信号処理回路とも呼ぶ)の一例である。FPGA200は、映像信号処理装置10内においてSoC100とは別に設けられた信号処理回路である。FPGA200は、第1Demux201、第1同期判定部202、第2同期判定部203、第1TS出力部204、第2TS出力部205、第1TS入力部206、第2TS入力部207、第1TS送信部208、第2TS送信部209および管理部210を備える。
【0032】
第1Demux201は、SoC100から出力された多重化TSを逆多重化して、シンクバイトに応じて第1TSおよび第2TSを分別し、各シンクバイトを0x47に変換した後に、第1TSを第1同期判定部202へ、第2TSを第2同期判定部203へ出力する。
【0033】
第1同期判定部202は、入力された第1TSが、MPEG2システム規格で定められた188バイトのパケット単位となっているかを検出し、なっていれば第1TSを第1TS出力部204へ出力する。
【0034】
第2同期判定部203は、入力された第2TSが、MPEG2システム規格で定められた188バイトのパケット単位となっているかを検出し、なっていれば第2TSを第2TS出力部205へ出力する。
【0035】
第1TS出力部204は、第1同期判定部202から出力された第1TSを第1CIスロット12へ出力することで、暗号化された第1TSを第1CIスロット12に挿入されたCAMに復号させる。
【0036】
第2TS出力部205は、第2同期判定部203から出力された第2TSを第2CIスロット13へ出力することで、暗号化された第2TSを第2CIスロット13に挿入されたCAMに復号させる。
【0037】
映像信号処理装置10がDVB-CI Plusに準拠する場合には、各CIスロットに挿入されたCAMによって再度TSの暗号化が行われる。CAMによって暗号が施されたTSは、第2Demux105において復号される。
【0038】
第1TS入力部206は、第1CIスロット12に挿入されたCAMによって復号された第1TSが入力され、当該第1TSを第1TS送信部208へ出力する。
【0039】
第2TS入力部207は、第2CIスロット13に挿入されたCAMによって復号された第2TSが入力され、当該第2TSを第2TS送信部209へ出力する。
【0040】
第1TS送信部208は、第1TS入力部206から出力された第1TSをSoC100へ出力する。
【0041】
第2TS送信部209は、第2TS入力部207から出力された第2TSをSoC100へ出力する。
【0042】
管理部210は、SoC100の制御部110からの指示に応じてFPGA200の各構成要素を制御する。例えば、シンクバイトごとのTSに対してどのCIスロットへ出力するか、すなわち、シンクバイトごとのTSを第1Demux201から第1TS出力部204までの経路を通過させるか第1Demux201から第2TS出力部205までの経路を通過させるかは、SoC100の制御部110からの指示に応じて管理部210により管理される。管理部210の動作の詳細については後述する。
【0043】
第1TSおよび第2TSのうちのいずれかのチャンネルを変更する際に、チャンネルが変更されるTSについて1パケットのサイズに満たない不足データが発生する場合がある。ここで、不足データが発生する原理および不足データが発生するときの問題について図2Aから図2Dを用いて説明する。
【0044】
図2Aから図2Dは、不足データが発生する原理および不足データが発生するときの問題を説明するための図である。図2Aから図2Dでは、SoC100が備える構成要素のうちMux104のみを示し、FPGA200が備える構成要素のうち第1Demux201のみを示す。
【0045】
図2Aに示されるように、例えば、SoC100は、第1TSとしてチャンネル1(ch1と表記する)のTSおよび第2TSとしてチャンネル2(ch2と表記する)のTSを受信し、Mux104にて多重化する。例えば、Mux104にて多重化された後のch1の第1TSのシンクバイトを0x47とし、ch2の第2TSのシンクバイトを0x48とする。Mux104で多重化された後の、第1TSに含まれる複数のパケットを「47-A」と表し、第2TSに含まれる複数のパケットを「48-A」と表す。この「47」および「48」は、シンクバイトの値である0x47および0x48を模式的に表している。図2Bから図2Dで、「47-B」、「48-B」等のパケットを示しているが、TSにおけるパケットの流れる順序を、「A」、「B」、「C」・・・等のアルファベット順で示している。
【0046】
図2Bに示されるように、ここではまず、第1TSの「47-A」のパケットおよび第2TSの「48-A」のパケットが多重化される。このとき、第1TSのチャンネルが変更され、図2Bに示されるように、SoC100内において第1TSの「47-A」の後続のパケット(例えば「47-B」のパケット)がチャンネルの変更によって途中で切れて、1パケットのサイズ(例えば188バイト)未満の端数パケットとなってしまう場合がある。
【0047】
この場合、図2Cに示されるように、第1TSの「47-B」の端数パケットおよび第2TSの「48-B」のパケットが多重化される。第1TSの「47-A」のパケットおよび第2TSの「48-A」のパケットは、第1Demux201において逆多重化され、各パケットのシンクバイトにしたがって分別され、「47-A」のパケットは第1CIスロット12へ出力され、「48-A」のパケットは第2CIスロット13へ出力される。第1Demux201において各パケットのシンクバイトは0x47に変換されるが、第1Demux201において逆多重化されて分別された第2TSのパケットを第1TSのパケットと区別するために「48-*」と示している。
【0048】
そして、図2Dに示されるように、第1Demux201では、「47-B」のパケットの先頭(つまり当該パケットに配置されたシンクバイト)から1パケット分(例えば188バイト)が1つのパケットと解釈されて、「47-B」の端数パケットと後続の「48-B」のパケットの先頭側の一部分とが1つのパケットとして第1CIスロット12へ出力される。先頭側の一部分が切り取られた残りの「48-B」のパケットは、先頭に配置されたシンクバイトが切り取られてシンクバイトが存在しないため、FPGA200では、第1CIスロット12へ出力すべきパケットか、第2CIスロット13へ出力すべきパケットかの判別ができず破棄される。このように、第1TSについて不足データが発生することで、第2TSの一部のパケットが欠損することになり、チャンネルが変更されない第2TSが影響を受けてしまい、例えば、表示装置の画面にノイズが表示されるおそれがある。
【0049】
そこで、SoC100およびFPGA200では、図3および図4で説明する処理が行われることで、第1TSおよび第2TSのうちのいずれかのTSについてチャンネルを変更するときにチャンネルを変更しない他のTSが影響を受けることを抑制できる。
【0050】
図3は、実施の形態に係るSoC100(具体的には制御部110)の動作の一例を示すフローチャートである。
【0051】
SoC100は、第1TSおよび第2TSのうちのいずれかのTSについてチャンネルが変更されたか否かを判定する(ステップS11)。例えば、SoC100は、入力受付部15を介して、リモコンのボタン押下等により、受信する放送の選択(選局)等のユーザ操作に係る信号を受信することで、上記判定を行う。
【0052】
SoC100は、第1TSおよび第2TSのうちのいずれかのTSについてチャンネルが変更されていないと判定した場合(ステップS11でNo)、チャンネルが変更されるまでステップS11での処理を繰り返す。
【0053】
SoC100は、第1TSおよび第2TSのうちのいずれかのTSについてチャンネルが変更されたと判定した場合(ステップS11でYes)、FPGA200に対して、1パケットのサイズ未満の不足データを検出する検出処理を開始させる通知を送信する(ステップS12)。具体的には、SoC100は、第1TSおよび第2TSのうちのいずれかの映像信号についてチャンネルを変更するときに、FPGA200に対して、検出処理を開始させる通知を送信する。例えば、第1TSのチャンネルが変更されたと判定された場合、第1TSについて検出処理を開始させる通知が送信され、第2TSのチャンネルが変更されたと判定された場合、第2TSについて検出処理を開始させる通知が送信される。
【0054】
次に、SoC100は、FPGA200に対して、変更後のチャンネルのTSを出力させる通知を送信する(ステップS13)。FPGA200は、当該通知を受信することで、例えば第1TSのチャンネルが変更される場合には、第1TSの出力先である第1CIスロット12へ変更後のチャンネルのTSを出力するようになり、例えば第2TSのチャンネルが変更される場合には、第2TSの出力先である第2CIスロット13へ変更後のチャンネルのTSを出力するようになる。
【0055】
次に、SoC100は、チャンネルを変更するTSを多重化しないようにする(ステップS14)。言い換えると、SoC100は、チャンネルを変更するTSをFPGA200へ出力しないようにする。SoC100は、例えば第1TSのチャンネルが変更される場合には、変更前のチャンネルの第1TSをMux104へ出力しないようにスイッチ/セレクタ103を制御し、例えば第2TSのチャンネルが変更される場合には、変更前のチャンネルの第2TSをMux104へ出力しないようにスイッチ/セレクタ103を制御する。
【0056】
次に、SoC100は、チューナー11の選局チャンネルを変更する(ステップS15)。SoC100は、例えば第1TSのチャンネルが変更される場合には、現状の第1TSのチャンネルの代わりに変更後のチャンネルを選局し変更後のチャンネルのTSを出力するようにチューナー11を制御し、例えば第2TSのチャンネルが変更される場合には、現状の第2TSのチャンネルの代わりに変更後のチャンネルを選局し変更後のチャンネルのTSを出力するようにチューナー11を制御する。
【0057】
次に、SoC100は、FPGA200に対して、変更するチャンネルのTSの出力先のCIスロットに対する出力のクロック周波数等のパラメータを、変更後のチャンネルに対応するパラメータに変更させる通知を送信する(ステップS16)。SoC100は、例えば第1TSのチャンネルが変更される場合には、第1TSの出力先である第1CIスロット12に対する出力のパラメータを変更後のチャンネルに対応するパラメータに変更させる通知を送信し、例えば第2TSのチャンネルが変更される場合には、第2TSの出力先である第2CIスロット13に対する出力のパラメータを変更後のチャンネルに対応するパラメータに変更させる通知を送信する。
【0058】
次に、SoC100は、変更後のチャンネルのTSを多重化するようにする(ステップS17)。言い換えると、SoC100は、変更後のチャンネルのTSをFPGA200へ出力するようにする。SoC100は、例えば、変更後のチャンネルのTSをMux104へ出力するようにスイッチ/セレクタ103を制御する。
【0059】
そして、SoC100は、FPGA200に対して、変更前のチャンネルのTSを出力させない通知を送信する(ステップS18)。FPGA200は、当該通知を受信することで、例えば第1TSのチャンネルが変更される場合には、第1TSを第1CIスロット12へ出力しないようになり、例えば第2TSのチャンネルが変更される場合には、第2TSを第2CIスロット13へ出力しないようになる。これにより、FPGA200は、変更前のチャンネルのTSを気にせずに、変更後のチャンネルのTSを出力できる。
【0060】
SoC100で実行される処理の順序は、図3に示されるものに限らない。例えば、ステップS18での処理は、ステップS14の後であれば実行される順序は特に限定されない。例えば、ステップS15での処理とステップS16での処理とは実行される順序が入れ変えられてもよい。
【0061】
次に、FPGA200の動作について図4を用いて説明する。
【0062】
図4は、実施の形態に係るFPGA200(具体的には管理部210)の動作の一例を示すフローチャートである。
【0063】
まず、FPGA200は、SoC100から、1パケットのサイズ未満の不足データを検出する検出処理を開始させる通知(具体的には、図3に示されるステップS12で送信された通知)を受信する(ステップS21)。
【0064】
次に、FPGA200は、当該通知を受信することで、検出処理を開始する(ステップS22)。例えば、FPGA200は、SoC100において第1TSのチャンネルが変更されたと判定された場合、第1TSについて検出処理を開始し、SoC100において第2TSのチャンネルが変更されたと判定された場合、第2TSについて検出処理を開始する。
【0065】
次に、FPGA200は、第1TSおよび第2TSのうちのいずれかのTSについて不足データを検出したか否かを判定する(ステップS23)。例えば、FPGA200は、パケットの先頭に配置されたシンクバイトを検出したときに前のシンクバイトとの間に存在するバイト数を参照し、当該バイト数が188バイトに一致するか否かを判定することで、不足データの検出を行う。例えば、FPGA200は、上記バイト数が188バイトに一致する場合、不足データを検出していないと判定し、上記バイト数が188バイトに一致しない場合、不足データを検出したと判定する。
【0066】
FPGA200は、第1TSおよび第2TSのうちのいずれかのTSについて不足データを検出しない場合(ステップS23でNo)、不足データを検出するまでステップS23での処理を繰り返す。ただし、チャンネルの変更時に偶然不足データが発生しない場合もあるため、FPGA200は、例えば、不足データを検出しない状態で、変更後のチャンネルのTSを受信した場合またはステップS23での処理を開始してから所定の時間経過した場合等に、図4での処理を終了してもよい。
【0067】
FPGA200は、第1TSおよび第2TSのうちのいずれかのTSについて不足データを検出した場合(ステップS23でYes)、検出した不足データを破棄する処理、または、検出した不足データにダミーデータを付与することで当該不足データのサイズを1パケットのサイズの整数倍のサイズにする処理を行う(ステップS24)。不足データのサイズを1パケットのサイズの整数倍のサイズにする処理とは、不足データの後ろにダミーデータを付与して不足データとダミーデータとが結合されたパケットを合計で例えば188バイトの整数倍のサイズ(188バイト、376バイト、564バイト・・・等)にする処理である。検出した不足データを破棄または検出した不足データにダミーデータを付与することで、チャンネルが変更されるTSの不足データと、後続のチャンネルが変更されない他のTSのパケットの先頭側の一部分とが1つのパケットとして扱われなくなるため、後続の他のTSのパケットの先頭側が欠損することを抑制できる。
【0068】
図5は、不足データが発生するときの問題が解決されることを説明するための図である。図5は、図2CにおいてFPGA200が不足データを検出する検出処理を行った後の状態を示す図である。つまり、FPGA200が不足データを検出する検出処理を行うことで、図2Cの後に、図2Dの代わりに図5の状態となる。図5では、不足データが発生するときに不足データが破棄される例が示される。
【0069】
図5に示されるように、不足データである「47-B」のパケットが破棄されることで、後続の「48-B」のパケットの先頭側の一部分が切り取られず、「48-B」のパケットを正しく第2CIスロット13へ出力することができる。不足データにダミーデータが付与される場合には、ダミーデータが付与された「47-B」のパケットは第1CIスロット12へ出力され、「48-B」のパケットは正しく第2CIスロット13へ出力することができる。
【0070】
検出処理を開始させる通知をFPGA200が受信することで、検出処理が開始される例について説明したが、これに限らない。例えば、FPGA200は、常時検出処理を行っていてもよい。この場合、SoC100は検出処理を開始させる通知の送信が不要になるが、FPGA200での負荷が増加する。一方で、SoC100からFPGA200に対して検出処理の通知が行われる場合、FPGA200は必要なときだけ検出処理を行うことができ、FPGA200の負荷を削減できる。
【0071】
複数の映像信号として2つのTS(ここでは第1TSおよび第2TS)が映像信号処理装置10で扱われる例について説明したが、これに限らない。例えば、映像信号処理装置10は、複数の映像信号として3つ以上のTSを扱ってもよく、3つ以上のCIスロットを備えていてもよい。
【0072】
[効果等]
以上説明したように、映像信号処理装置10は、それぞれが複数のパケットを含む複数の映像信号を入力とし、複数の映像信号を多重化して多重化映像信号を出力する第1信号処理部(例えばSoC100)と、多重化映像信号を入力とし、当該多重化映像信号を逆多重化して複数の映像信号を出力する第2信号処理部(例えばFPGA200)と、を備える。第2信号処理部は、複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号について1パケットのサイズ未満の不足データを検出したときに、(i)検出した不足データを破棄する処理または(ii)検出した不足データにダミーデータを付与することで当該不足データのサイズを1パケットのサイズの整数倍のサイズにする処理を行う。
【0073】
これによれば、第2信号処理部は、チャンネルが変更された映像信号に不足データが発生したときに、不足データを破棄または1パケットのサイズの整数倍のサイズにするため、不足データと共にチャンネルを変更しない他の映像信号のパケットの先頭側の一部分が切り取られて1パケット化されることが抑制される。したがって、1系統でのみ映像信号を出力する信号処理回路(例えば第1信号処理部)において複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号についてチャンネルを変更するときに、チャンネルを変更しない他の映像信号が影響を受けることを抑制できる。
【0074】
例えば、第1信号処理部は、第2信号処理部に対して、不足データを検出する検出処理を開始させる通知を送信してもよい。第2信号処理部は、当該通知を受信することで検出処理を開始してもよい。
【0075】
これによれば、第2信号処理部は、第1信号処理部から送信される当該通知をトリガーとして検出処理を開始することができる。
【0076】
例えば、第1信号処理部は、複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号についてチャンネルを変更するときに、第2信号処理部に対して、検出処理を開始させる通知を送信してもよい。
【0077】
これによれば、第2信号処理部は、複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号についてチャンネルを変更するときに、検出処理を開始することができる。
【0078】
例えば、第1信号処理部は、複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号についてチャンネルを変更するときに、チャンネルを変更する映像信号を多重化しないように制御してもよい。
【0079】
これによれば、チャンネルを変更する映像信号が多重化されて第2信号処理部へ出力されないようにすることができる。
【0080】
信号処理回路(例えばSoC100)は、それぞれが複数のパケットを含む複数の映像信号を入力とし、複数の映像信号を多重化して多重化映像信号を出力し、1パケットのサイズ未満の不足データを検出する検出処理を開始させる通知を送信する。
【0081】
これによれば、信号処理回路(例えばSoC100)は、他の信号処理回路(例えばFPGA200)に不足データを検出する検出処理を開始させることができるため、1系統でのみ映像信号を出力する信号処理回路において複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号についてチャンネルを変更するときに、チャンネルを変更しない他の映像信号が影響を受けることを抑制できる。
【0082】
信号処理回路(例えばFPGA200)は、それぞれが複数のパケットを含む複数の映像信号が多重化された多重化映像信号を入力とし、多重化映像信号を逆多重化して複数の映像信号を出力し、1パケットのサイズ未満の不足データを検出する検出処理を開始させる通知を受信することで検出処理を開始し、複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号について不足データを検出したときに、(i)検出した不足データを破棄する処理または(ii)検出した不足データにダミーデータを付与することで当該不足データのサイズを1パケットのサイズの整数倍のサイズにする処理を行う。
【0083】
これによれば、信号処理回路(例えばFPGA200)は、他の信号処理回路(例えばSoC100)から、不足データを検出する検出処理を開始させる通知を受信することで検出処理を開始することができるため、1系統でのみ映像信号を出力する他の信号処理回路において複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号についてチャンネルを変更するときに、チャンネルを変更しない他の映像信号が影響を受けることを抑制できる。
【0084】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適応可能である。上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0085】
例えば、上記実施の形態では、映像信号に含まれる複数のパケットのそれぞれの1パケットのサイズを188バイトの固定長として説明したが、1パケットのサイズは可変長であってもよい。この場合、例えば、パケットのヘッダに次のシンクバイトまでのバイト数が記載され、シンクバイト間に存在するバイト数がパケットのヘッダに記載されたバイト数と一致するか否かが判断されることで、不足データが発生したか否かが判断されてもよい。
【0086】
例えば、上記実施の形態では、放送波のチャンネルの変更について説明したが、本開示は、インターネット等の放送のチャンネルの変更時にも適用できる。
【0087】
本開示は、映像信号処理装置10として実現できるだけでなく、映像信号処理装置10を構成する構成要素が行うステップ(処理)を含む映像信号処理方法として実現できる。
【0088】
具体的には、映像信号処理方法は、それぞれが複数のパケットを含む複数の映像信号を入力とし、複数の映像信号を多重化して多重化映像信号を出力する第1信号処理部と、多重化映像信号を入力とし、当該多重化映像信号を逆多重化して複数の映像信号を出力する第2信号処理部と、を備える映像信号処理装置10における映像信号処理方法であって、複数の映像信号のうちのいずれかの映像信号について1パケットのサイズ未満の不足データを検出したときに、(i)検出した不足データを破棄する処理または(ii)検出した不足データにダミーデータを付与することで当該不足データのサイズを1パケットのサイズの整数倍のサイズにする処理を行う。
【0089】
例えば、映像信号処理方法は、コンピュータ(コンピュータシステム)によって実行されてもよい。そして、本開示は、映像信号処理方法に含まれるステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムとして実現できる。さらに、本開示は、そのプログラムを記録したCD-ROM等である非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現できる。
【0090】
例えば、本開示が、プログラム(ソフトウェア)で実現される場合には、コンピュータのCPU、メモリおよび入出力回路等のハードウェア資源を利用してプログラムが実行されることによって、各ステップが実行される。つまり、CPUがデータをメモリまたは入出力回路等から取得して演算したり、演算結果をメモリまたは入出力回路等に出力したりすることによって、各ステップが実行される。
【0091】
上記実施の形態の映像信号処理装置10に含まれる構成要素は、集積回路(IC:Integrated Circuit)であるLSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。
【0092】
集積回路はLSIに限られず、専用回路または汎用プロセッサで実現されてもよい。プログラム可能なFPGA、または、LSI内部の回路セルの接続および設定が再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサが、利用されてもよい。
【0093】
さらに、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて、映像信号処理装置10に含まれる構成要素の集積回路化が行われてもよい。
【0094】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0095】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面および詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0096】
上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本開示は、テレビ等の映像機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0098】
10 映像信号処理装置
11 チューナー
12 第1CIスロット
13 第2CIスロット
14 画像表示部
15 入力受付部
20 外部記憶装置
100 SoC
101 第1TS受信部
102 第2TS受信部
103 スイッチ/セレクタ
104 Mux
105 第2Demux
106 デコーダ
107 画像処理部
110 制御部
200 FPGA
201 第1Demux
202 第1同期判定部
203 第2同期判定部
204 第1TS出力部
205 第2TS出力部
206 第1TS入力部
207 第2TS入力部
208 第1TS送信部
209 第2TS送信部
210 管理部
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5