IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-照明制御システム、及び、照明制御方法 図1
  • 特許-照明制御システム、及び、照明制御方法 図2
  • 特許-照明制御システム、及び、照明制御方法 図3
  • 特許-照明制御システム、及び、照明制御方法 図4
  • 特許-照明制御システム、及び、照明制御方法 図5
  • 特許-照明制御システム、及び、照明制御方法 図6
  • 特許-照明制御システム、及び、照明制御方法 図7
  • 特許-照明制御システム、及び、照明制御方法 図8
  • 特許-照明制御システム、及び、照明制御方法 図9
  • 特許-照明制御システム、及び、照明制御方法 図10
  • 特許-照明制御システム、及び、照明制御方法 図11
  • 特許-照明制御システム、及び、照明制御方法 図12
  • 特許-照明制御システム、及び、照明制御方法 図13
  • 特許-照明制御システム、及び、照明制御方法 図14
  • 特許-照明制御システム、及び、照明制御方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】照明制御システム、及び、照明制御方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/105 20200101AFI20241018BHJP
【FI】
H05B47/105
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022511767
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(86)【国際出願番号】 JP2021010090
(87)【国際公開番号】W WO2021200036
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-08-01
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2020061016
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】荒川 亮
(72)【発明者】
【氏名】渡部 祥文
(72)【発明者】
【氏名】早崎 嘉城
(72)【発明者】
【氏名】寳角 真吾
(72)【発明者】
【氏名】野村 建太朗
(72)【発明者】
【氏名】櫟原 勉
(72)【発明者】
【氏名】ノラン ジュリアン チャールス
(72)【発明者】
【氏名】ローレンソン マシュー ジョーン
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】小岩 智明
【審判官】横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-146137号公報(JP,A)
【文献】国際公開第2013/027581号(WO,A1)
【文献】特開2018-056012号公報(JP,A)
【文献】特開2010-147014号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/10 - 47/195
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間に設置された温度センサによって計測される計測温度を示す計測温度情報、前記空間における目標温度を示す目標温度情報、及び、前記空間に位置するユーザに関するユーザ情報を取得する取得部と、
取得された前記計測温度情報及び前記目標温度情報によって定まる前記計測温度及び前記目標温度の差に基づいて、照明装置が発する光の色温度を決定し、決定した色温度を前記ユーザ情報に基づいて補正し、前記照明装置が補正後の色温度を有する光を発するような制御を前記計測温度が前記目標温度に到達するまで実行する制御部とを備える
照明制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記計測温度が前記目標温度よりも低い場合、前記照明装置が発する光の色温度を所定の色温度よりも低い色温度に決定する
請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記計測温度が前記目標温度より高い場合、前記照明装置が発する光の色温度を所定の色温度よりも高い色温度に決定する
請求項1または2に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記取得部は、さらに、前記空間に設置された温度制御システムから前記計測温度が前記目標温度に到達するまでの時間を示す時間情報を取得し、
前記制御部は、前記計測温度及び前記目標温度の差に加えて、取得された前記時間情報に基づいて、前記照明装置が発する光の色温度を決定する
請求項1~3のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記計測温度が前記目標温度よりも低い場合、前記照明装置が発する光の色温度を所定の色温度よりも低くした後、前記時間情報が示す時間に応じて前記照明装置が発する光の色温度を徐々に前記所定の色温度に近づける制御を行う
請求項4に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記計測温度が前記目標温度よりも高い場合、前記照明装置が発する光の色温度を所定の色温度よりも高くした後、前記時間情報が示す時間に応じて前記照明装置が発する光の色温度を徐々に前記所定の色温度に近づける制御を行う
請求項4または5に記載の照明制御システム。
【請求項7】
前記ユーザ情報には、前記ユーザのバイタル情報、前記ユーザの温冷感に関するアンケート情報、及び、前記ユーザのスケジュール情報の少なくとも1つが含まれる
請求項1~6のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項8】
前記取得部は、前記ユーザ情報として、前記ユーザのバイタル情報を取得し、
前記制御部は、決定した色温度を前記バイタル情報に基づいて補正し、前記照明装置が補正後の色温度を有する光を発するように制御する
請求項7に記載の照明制御システム。
【請求項9】
前記バイタル情報は、前記ユーザの体表面温度を示す情報である
請求項8に記載の照明制御システム。
【請求項10】
前記バイタル情報は、前記ユーザの血流量を示す情報である
請求項8に記載の照明制御システム。
【請求項11】
前記取得部は、前記ユーザ情報として、前記ユーザの温冷感に関するアンケート情報を取得し、
前記制御部は、決定した色温度を前記アンケート情報に基づいて補正し、前記照明装置が補正後の色温度を有する光を発するように制御する
請求項7に記載の照明制御システム。
【請求項12】
前記取得部は、前記ユーザ情報として、前記ユーザのスケジュール情報を取得し、
前記制御部は、決定した色温度を前記スケジュール情報に基づいて補正し、前記照明装置が補正後の色温度を有する光を発するように制御する
請求項7に記載の照明制御システム。
【請求項13】
前記空間には、複数のエリアが含まれ、
前記温度センサ、及び、前記照明装置は、前記複数のエリアのそれぞれに設置され、
前記制御部によって行われる、前記照明装置が発する光の色温度の制御は、前記複数のエリアごとに行われる
請求項1~12のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項14】
前記制御部は、前記計測温度及び前記目標温度の差に基づいて前記照明装置が発する光の色温度を制御する動作に加えて、前記計測温度及び前記目標温度の差に基づいて前記照明装置が発する光の明るさを制御する動作を行う
請求項1~13のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項15】
空間に設置された温度センサによって計測される計測温度を示す計測温度情報、前記空間における目標温度を示す目標温度情報、及び、前記空間に位置するユーザに関するユーザ情報を取得し、
取得された前記計測温度情報及び前記目標温度情報によって定まる前記計測温度及び前記目標温度の差に基づいて、照明装置が発する光の色温度を決定し、決定した色温度を前記ユーザ情報に基づいて補正し、前記照明装置が補正後の色温度を有する光を発するような制御を前記計測温度が前記目標温度に到達するまで実行する
照明制御方法。
【請求項16】
請求項15に記載の照明制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明制御システム、及び、照明制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスなどの空間の快適性を高めるための様々な技術が提案されている。特許文献1には、ユーザに過度な負担を与えることなく、快適な空気環境を提供することができる空調制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-207060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、空間において温度が調整されているときに、当該空間に位置するユーザの快適性を補償することができる照明制御システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る照明制御システムは、空間に設置された温度センサによって計測される計測温度を示す計測温度情報、及び、前記空間における目標温度を示す目標温度情報を取得する取得部と、取得された前記計測温度情報及び前記目標温度情報によって定まる前記計測温度及び前記目標温度の差に基づいて、照明装置が発する光の明るさ及び色温度の少なくとも一方を制御する制御部とを備える。
【0006】
本発明の一態様に係る照明制御方法は、空間に設置された温度センサによって計測される計測温度を示す計測温度情報、及び、前記空間における目標温度を示す目標温度情報を取得し、取得された前記計測温度情報及び前記目標温度情報によって定まる前記計測温度及び前記目標温度の差に基づいて、照明装置が発する光の明るさ及び色温度の少なくとも一方を制御する。
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、前記照明制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の照明制御システム等は、空間において温度が調整されているときに、当該空間に位置するユーザの快適性を補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る照明制御システムの対象となる空間の一例を示す図である。
図2図2は、実施の形態に係る照明制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、ユーザ情報データベースの一例を示す図である。
図4図4は、実施の形態に係る環境制御システムの動作例1のフローチャートである。
図5図5は、実施の形態に係る環境制御システムの動作例2のフローチャートである。
図6図6は、計測温度が目標温度よりも低い場合の色温度の変化を示す図である。
図7図7は、計測温度が目標温度よりも高い場合の色温度の変化を示す図である。
図8図8は、実施の形態に係る環境制御システムの動作例3のフローチャートである。
図9図9は、実施の形態に係る環境制御システムの動作例4のフローチャートである。
図10図10は、実施の形態に係る環境制御システムの動作例5のフローチャートである。
図11図11は、実施の形態に係る環境制御システムの動作例6のフローチャートである。
図12図12は、実施の形態に係る環境制御システムの動作例7のフローチャートである。
図13図13は、実施の形態に係る環境制御システムの動作例8のフローチャートである。
図14図14は、ユーザの現在の温冷感の入力画面の一例を示す図である。
図15図15は、オフィス空間に適した明るさ、及び、色温度の範囲の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
[概要]
まず、実施の形態に係る環境制御システムの概要について説明する。図1は、実施の形態に係る環境制御システムの対象となる空間の一例を示す図である。図2は、実施の形態に係る環境制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【0013】
図1及び図2に示されるように、環境制御システム10は、オフィスなどの室内空間80における環境を制御するためのシステムである。環境制御システム10は、具体的には、室内空間80における温度(つまり、環境温度)を調整するための温度制御システム20に加えて、照明装置41を制御するための照明制御システム30を備える。
【0014】
一般的に、ユーザ70は、温度制御システム20に目標温度を指示することにより、室内空間80の温度を調整する。しかしながら、温度制御システム20が動作を開始してから室内空間80の温度が目標温度に到達するまでにはある程度時間がかかる。
【0015】
そこで、環境制御システム10は、室内空間80の温度が目標温度に到達するまでの間、照明制御システム30を用いて室内空間80の光環境を調整することにより、ユーザの体感温度の調整を図る。発明者らの知見によれば、照明装置41が発する光の色温度が低いと、ユーザ70は、温かみを感じ、一方、照明装置41が発する光の色温度が高いと、ユーザ70は涼しさを感じる。このような知見を利用して、環境制御システム10は、照明制御システム30を用いてユーザ70の体感温度を調整する。これにより、環境制御システム10は、温度制御システム20による室内空間80の温度調整の際に、照明制御システム30を用いてユーザ70の快適性を補償することができる。
【0016】
[構成]
次に、環境制御システム10の具体的構成について説明する。図2に示されるように、環境制御システム10は、温度制御システム20と、照明制御システム30と、複数の照明装置41と、複数の温度センサ42と、複数の熱画像センサ43と、複数の血流センサ44と、UI(User Interface)装置45と、LPS(Local Positioning System)46と、サーバ装置50とを備える。これらの構成要素は、サーバ装置50を除いて、室内空間80に設置され、局所通信ネットワーク60に接続されている。室内空間80は、例えば、第一エリア81、第二エリア82、及び、第三エリア83を含み、照明装置41、温度センサ42、及び、熱画像センサ43は、これらの3つのエリアのそれぞれに配置される。
【0017】
まず、温度制御システム20について説明する。温度制御システム20は、室内空間80における温度を調整するためのシステムである。温度制御システム20は、通信部21と、温度制御部22と、記憶部23と、空調機器24と、ヒータ25とを備える。
【0018】
通信部21は、温度制御システム20が局所通信ネットワーク60を介して照明制御システム30等と通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。通信部21によって行う通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。
【0019】
温度制御部22は、記憶部23に記憶された制御プログラムを実行することにより、空調機器24及びヒータ25を制御する。温度制御部22は、具体的には、通信部21に空調機器24及びヒータ25のそれぞれへ制御信号を送信させることにより、空調機器24及びヒータ25の制御を行う。温度制御部22は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ、または専用回路によって実現される。温度制御部22は、プロセッサ、マイクロコンピュータ、または専用回路のうちの2つ以上の組み合わせによって実現されてもよい。
【0020】
記憶部23は、温度制御部22が実行する制御プログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部23は、具体的には、半導体メモリなどによって実現される。
【0021】
空調機器24は、室内空間80の温度を調整するために、室内空間80の冷房及び暖房を行う機器である。空調機器24は、熱交換器(図示せず)などを有することにより、空調機器24から送出される風の温度を調整することができる。また、空調機器24は、空調機器24から送出される風の風量及び風向きなどを制御することができる。つまり、空調機器24は、送風機能及び冷暖房機能を有する。
【0022】
ヒータ25は、室内空間80の温度を調整するために、室内空間80の暖房を行うための機器である。ヒータ25は、具体的には、セラミックヒータ、カーボンヒータ、シーズヒータ、または、ハロゲンヒータなどである。
【0023】
次に、照明制御システム30について説明する。照明制御システム30は、室内空間80における光環境を調整するためのシステムである。照明制御システム30は、通信部31と、制御部32と、記憶部33とを備える。
【0024】
通信部31は、照明制御システム30が局所通信ネットワーク60を介して温度制御システム20等と通信を行うための通信モジュール(通信回路)、及び、照明制御システム30がインターネットなどの広域通信ネットワークを介してサーバ装置50と通信を行うための通信モジュール(通信回路)によって構成される。通信部31によって行われる通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。通信部31は、取得部34を有する。
【0025】
制御部32は、記憶部33に記憶された制御プログラムを実行することにより、複数の照明装置41を制御する。制御部32は、具体的には、通信部31に複数の照明装置41のそれぞれへ制御信号を送信させることにより、複数の照明装置41の調光制御及び調色制御を行う。制御部32は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ、または専用回路によって実現される。制御部32は、プロセッサ、マイクロコンピュータ、または専用回路のうちの2つ以上の組み合わせによって実現されてもよい。
【0026】
記憶部33は、制御部32が実行する制御プログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部33は、具体的には、半導体メモリなどによって実現される。
【0027】
照明装置41は、室内空間80の天井に設置されて当該室内空間80を照明するベースライトなどであり、照明制御システム30によって発光制御される。照明装置41は、具体的には、調光機能及び調色機能を有し、照明制御システム30によって調光制御及び調色制御される。照明装置41の具体的態様は、特に限定されるものではなく、シーリングライト、ダウンライト、または、スポットライト等であってもよい。
【0028】
温度センサ42は、室内空間80の温度を計測する。温度センサ42は、具体的には、当該温度センサ42が設置されたエリアの温度を計測し、計測した温度を示す温度情報を出力する。温度センサ42は、サーミスタまたは熱電対などの温度計測素子によって実現される。
【0029】
熱画像センサ43は、室内空間80における表面温度を計測する。熱画像センサ43は、具体的には、アレイ状に配置された赤外線検出素子によって実現され、計測結果として熱画像(バイタル情報の一例)を出力する。熱画像は、熱画像センサ43の計測範囲の温度分布を示す画像であり、熱画像における画素値は、例えば、赤外線検出素子の計測値である。
【0030】
血流センサ44は、ユーザ70の体に装着されるウェアラブルセンサであり、当該ユーザ70の血流を計測し、計測結果として血流量を示す情報(バイタル情報の別の一例)を出力する。
【0031】
UI装置45は、ユーザ70の操作を受け付ける装置である。UI装置45は、例えば、室内空間80における目標温度の入力操作をユーザ70から受け付ける。UI装置45は、例えば、環境制御システム10の専用のコントローラであるが、専用のアプリケーションプログラムがインストールされた携帯端末(スマートフォンまたはタブレット端末)であってもよい。
【0032】
LPS46は、ユーザ70の室内空間80における位置を検出し、検出結果としてユーザ70の位置情報(例えば、ユーザIDと位置とが紐づけられた情報)を出力する。例えば、LPS46は、例えば、設置位置が既知の複数のRFIDタグリーダを含む。この場合、複数のユーザ70のそれぞれが当該ユーザ70に固有のユーザIDが記録されたRFIDタグを所持していれば、LPS46は、複数のユーザ70の位置情報を出力することができる。
【0033】
サーバ装置50は、ユーザ70に関連するユーザ情報を当該ユーザ70のユーザIDと紐づけて管理し、ユーザ情報を照明制御システム30に提供するクラウドサーバである。ユーザ情報は、サーバ装置50が備える記憶部51に、ユーザ情報データベースとして記憶される。図3は、ユーザ情報データベースの一例を示す図である。図3に示されるように、ユーザ情報には、例えば、ユーザ70の温冷感に関するアンケート情報、及び、ユーザ70のスケジュール情報などが含まれ、これらの情報は、ユーザ70の情報端末からサーバ装置50にアップロードされる。情報端末は、パーソナルコンピュータなどの据え置き型の情報端末であってもよいし、スマートフォンまたはタブレット端末などの携帯型の情報端末であってもよい。
【0034】
また、サーバ装置50は、室内空間80が属する地域の気象情報を管理し、気象情報を照明制御システム30に提供してもよい。
【0035】
[動作例1]
次に、環境制御システム10の動作例1について説明する。図4は、環境制御システム10の動作例1のフローチャートである。
【0036】
複数の照明装置41は、所定の明るさ(例えば、照度で750lx)、及び、所定の色温度(例えば、5000K)で発光している(S11)。この状態で、UI装置45は、ユーザ70等から室内空間80の目標温度の入力操作を受け付ける(S12)。UI装置45は、入力された目標温度を示す目標温度情報を温度制御システム20及び照明制御システム30のそれぞれに出力(送信)する。
【0037】
温度制御システム20の温度制御部22は、通信部21によって目標温度情報が取得されると(S13)、通信部21に、第一エリア81、第二エリア82、及び、第三エリア83のそれぞれに設置された温度センサ42から現在の計測温度を示す計測温度情報を取得させる(S14)。温度制御部22は、3つのエリアそれぞれにおける計測温度及び目標温度の差に基づいて、空調機器24及びヒータ25の少なくとも一方を制御する(S15)。この場合、温度制御部22は、あらかじめ定められた空調制御アルゴリズムにしたがって、3つのエリアのそれぞれの計測温度が目標温度に近づくように空調機器24、及び、ヒータ25の少なくとも一方を動作させる。
【0038】
ここで、3つのエリアの計測温度が目標温度に到達するまでにはある程度時間がかかる。そこで、環境制御システム10は、照明制御システム30を用いてユーザ70の体感温度を調整することにより、ユーザ70の快適性を補償する。
【0039】
具体的には、照明制御システム30の制御部32は、取得部34によって目標温度情報が取得されると(S16)、取得部34に、第一エリア81に設置された温度センサ42から、現在の第一エリア81の計測温度を示す計測温度情報を取得させる(S17)。制御部32は、計測温度及び目標温度の差に基づいて、第一エリア81に設置された照明装置41の色温度を制御する(S18)。
【0040】
制御部32は、例えば、計測温度が目標温度よりも低い場合には、照明装置41が発する光の色温度を上記所定の色温度よりも低くする。より具体的には、計測温度と目標温度との差が大きいほど、低い色温度で照明装置41を発光させる。このような色温度の変更は、例えば、計測温度が目標温度に到達するまで継続される。これにより、照明制御システム30は、計測温度が目標温度に到達するまでの間、照明装置41が発する光の色温度によりユーザ70の体感温度の上昇を図ることができる。
【0041】
また、制御部32は、計測温度が目標温度よりも高い場合には、照明装置41が発する光の色温度を上記所定の色温度よりも高くする。より具体的には、計測温度と目標温度との差が大きいほど、高い色温度で照明装置41を発光させる。このような色温度の変更は、例えば、計測温度が目標温度に到達するまで継続される。これにより、照明制御システム30は、計測温度が目標温度に到達するまでの間、照明装置41が発する光の色温度によりユーザ70の体感温度の低下を図ることができる。
【0042】
ステップS17及びステップS18の処理は、第一エリア81だけでなく、第二エリア82及び第三エリア83を対象としても行われる。この結果、温度センサ42の計測値がエリアごとに異なるような場合には、照明装置41が発する光の色温度がエリアごとに異なることになる。なお、ステップS17及びステップS18の処理がエリアごとに行われることは必須ではなく、室内空間80ごとに行われてもよい。
【0043】
以上説明したように、照明制御システム30は、計測温度及び目標温度の差に基づいて、照明装置41が発する光の色温度を制御する。照明制御システム30は、具体的には、計測温度が目標温度よりも低い場合、照明装置41が発する光の色温度を所定の色温度よりも低くする制御を行う。また、照明制御システム30は、計測温度が目標温度より高い場合、照明装置41が発する光の色温度を所定の色温度よりも高くする制御を行う。これにより、環境制御システム10(照明制御システム30)は、室内空間80が目標温度に到達するまでの間、ユーザ70の体感温度を調整することでユーザ70の快適性を補償することができる。
【0044】
[動作例2]
次に、環境制御システム10の動作例2について説明する。図5は、環境制御システム10の動作例2のフローチャートである。
【0045】
複数の照明装置41は、所定の明るさ、及び、所定の色温度で発光している(S21)。この状態で、UI装置45は、ユーザ70等から室内空間80の目標温度の入力操作を受け付ける(S22)。UI装置45は、入力された目標温度を示す目標温度情報を温度制御システム20及び照明制御システム30のそれぞれに出力(送信)する。
【0046】
温度制御システム20の温度制御部22は、通信部21によって目標温度情報が取得されると(S23)、通信部21に、第一エリア81、第二エリア82、及び、第三エリア83のそれぞれに設置された温度センサ42から現在の計測温度を示す計測温度情報を取得させる(S24)。温度制御部22は、3つのエリアそれぞれにおける計測温度及び目標温度の差に基づいて、空調機器24及びヒータ25の少なくとも一方を制御する(S25)。この場合、温度制御部22は、あらかじめ定められた空調制御アルゴリズムにしたがって、3つのエリアのそれぞれの計測温度が目標温度に近づくように空調機器24、及び、ヒータ25の少なくとも一方を動作させる。また、温度制御部22は、3つのエリアのそれぞれが目標温度に到達するまでの時間を算出し、算出した時間を示す時間情報を通信部21に照明制御システム30へ送信させる。
【0047】
照明制御システム30の制御部32は、取得部34によって目標温度情報及び時間情報が取得されると(S26)、取得部34に、第一エリア81に設置された温度センサ42から、現在の第一エリア81の計測温度を示す計測温度情報を取得させる(S27)。制御部32は、計測温度及び目標温度の差に加えて、取得された時間情報に基づいて、第一エリア81に設置された照明装置41の色温度を制御する(S28)。制御部32は、具体的には、初期色温度を決定し、照明装置41を初期色温度で発光させた後、時間情報が示す時間Tをかけて徐々に所定の色温度に戻す制御を行う。
【0048】
制御部32は、例えば、計測温度が目標温度よりも低い場合には、初期色温度を上記所定の色温度よりも低くする。より具体的には、計測温度と目標温度との差が大きいほど、初期色温度を低い色温度に決定する。図6は、計測温度が目標温度よりも低い場合の色温度の変化を示す図である。これにより、照明制御システム30は、計測温度が目標温度に到達するまでの間、室温の変化に即してユーザ70の体感温度の上昇を図ることができる。なお、図6の例では、色温度は線形に変化しているが、指数関数的に変化するなど、非線形に変化してもよい。
【0049】
また、制御部32は、計測温度が目標温度よりも高い場合には、初期色温度を上記所定の色温度よりも高くする。より具体的には、計測温度と目標温度との差が大きいほど、初期色温度を高い色温度に決定する。図7は、計測温度が目標温度よりも高い場合の色温度の変化を示す図である。これにより、照明制御システム30は、計測温度が目標温度に到達するまでの間、室温の変化に即してユーザ70の体感温度の低下を図ることができる。なお、図7の例では、色温度は線形に変化しているが、指数関数的に変化するなど、非線形に変化してもよい。
【0050】
ステップS27及びステップS28処理は、第一エリア81だけでなく、第二エリア82及び第三エリア83を対象としても行われる。なお、ステップS27及びステップS28の処理がエリアごとに行われることは必須ではなく、室内空間80ごとに行われてもよい。
【0051】
以上説明したように、照明制御システム30は、計測温度及び目標温度の差に加えて、取得された時間情報に基づいて、照明装置41が発する光の色温度を制御する。照明制御システム30は、具体的には、計測温度が目標温度よりも低い場合、照明装置41が発する光の色温度を所定の色温度よりも低くした後、時間情報が示す時間に応じて照明装置41が発する光の色温度を徐々に所定の色温度に近づける制御を行う。また、照明制御システム30は、計測温度が目標温度よりも高い場合、照明装置41が発する光の色温度を所定の色温度よりも高くした後、時間情報が示す時間に応じて照明装置41が発する光の色温度を徐々に所定の色温度に近づける制御を行う。これにより、環境制御システム10(照明制御システム30)は、室内空間80が目標温度に到達するまでの間、室温の変化に即してユーザ70の体感温度を調整することでユーザ70の快適性を補償することができる。
【0052】
[動作例3]
次に、環境制御システム10の動作例3について説明する。図8は、環境制御システム10の動作例3のフローチャートである。以下では、動作例1との相違点を中心に説明が行われる。
【0053】
ステップS11~ステップS17の処理は、動作例1と同様である。ステップS17の後、制御部32は、取得部34に、第一エリア81に設置された熱画像センサ43から熱画像を取得させ、取得した熱画像に映るユーザ70の体表面温度を算出する(S38)。熱画像は、ユーザ70の体表面温度を示す情報の一例である。制御部32は、例えば、パターンマッチング等により熱画像においてユーザ70が映る領域を特定し、特定した領域の平均温度をユーザ70の体表面温度として算出する。
【0054】
次に、制御部32は、計測温度及び目標温度の差と、算出された体表面温度に基づいて、第一エリア81に設置された照明装置41の色温度を制御する(S39)。ここで、動作例1にしたがって計測温度及び目標温度の差に基づいて決定される色温度をCT1、算出された体表面温度STをとすると、ステップS39における、第一エリア81に設置された照明装置41の色温度CT2は、正の係数αを用いて、CT2=CT1+α(ST-基準値)で表される。つまり、照明装置41の色温度CT2は、ユーザ70の体表面温度が基準値よりも低いときには、低い色温度に補正され、ユーザ70の体表面温度が基準値よりも高いときには、高い色温度に補正される。
【0055】
ステップS17、ステップS38、及び、ステップS39の処理は、第一エリア81だけでなく、第二エリア82及び第三エリア83を対象としても行われる。なお、ステップS17、ステップS38、及び、ステップS39の処理がエリアごとに行われることは必須ではなく、室内空間80ごとに行われてもよい。
【0056】
以上説明したように、照明制御システム30は、計測温度及び目標温度の差に加えて、熱画像(つまり、ユーザ70の体表面温度を示す情報)に基づいて、照明装置41が発する光の色温度を制御する。これにより、環境制御システム10(照明制御システム30)は、ユーザ70の体表面温度を考慮してユーザ70の体感温度を調整することができる。
【0057】
なお、動作例3は、動作例1において、計測温度及び目標温度の差に加えて、体表面温度を示す情報が用いられる動作例であるが、上述の動作例2において、計測温度及び目標温度の差に加えて、体表面温度を示す情報が用いられてもよい。この場合、例えば、照明装置41の初期色温度は、ユーザ70の体表面温度が基準値よりも低いときには、低い色温度に補正され、ユーザ70の体表面温度が基準値よりも高いときには、高い色温度に補正される。
【0058】
[動作例4]
次に、環境制御システム10の動作例4について説明する。図9は、環境制御システム10の動作例4のフローチャートである。以下では、動作例1との相違点を中心に説明が行われる。
【0059】
ステップS11~ステップS17の処理は、動作例1と同様である。ステップS17の後、制御部32は、取得部34に、第一エリア81に位置するユーザ70に装着された血流センサ44から当該ユーザ70の血流量を示す情報を取得させる(S48)。制御部32は、具体的には、LPS46によって出力される位置情報に基づいて第一エリア81に位置するユーザ70のユーザIDを特定する。また、制御部32は、取得部34に、複数の血流センサ44によって出力される血流量を示す情報を取得させ、取得された血流量を示す情報のうち特定されたユーザIDを含む情報が示す血流量を第一エリア81に位置するユーザ70の血流量として特定する。なお、第一エリア81に複数のユーザ70が位置する場合には、複数のユーザ70の血流量の代表値(平均値、中央値、最大値、最小値などのいずれか)が特定されればよい。
【0060】
次に、制御部32は、計測温度及び目標温度の差と、特定された血流量に基づいて、第一エリア81に設置された照明装置41の色温度を制御する(S49)。ここで、動作例1にしたがって計測温度及び目標温度の差に基づいて決定される色温度をCT1、特定された血流量をBFとすると、ステップS49における、第一エリア81に設置された照明装置41の色温度CT2は、正の係数βを用いて、CT2=CT1+β(BF-基準値)で表される。つまり、照明装置41の色温度CT2は、ユーザ70の血流量が基準値よりも少ないときには、低い色温度に補正され、ユーザ70の血流量が基準値よりも高いときには、高い色温度に補正される。
【0061】
ステップS17、ステップS48、及び、ステップS49の処理は、第一エリア81だけでなく、第二エリア82及び第三エリア83を対象としても行われる。なお、ステップS17、ステップS48、及び、ステップS49の処理がエリアごとに行われることは必須ではなく、室内空間80ごとに行われてもよい。
【0062】
以上説明したように、照明制御システム30は、計測温度及び目標温度の差に加えて、ユーザ70の血流量を示す情報に基づいて、照明装置41が発する光の色温度を制御する。これにより、環境制御システム10(照明制御システム30)は、ユーザ70の血流量を考慮してユーザ70の体感温度を調整することができる。
【0063】
なお、動作例4は、動作例1において、計測温度及び目標温度の差に加えて、血流量を示す情報が用いられる動作例であるが、上述の動作例2において、計測温度及び目標温度の差に加えて、血流量を示す情報が用いられてもよい。この場合、例えば、照明装置41の初期色温度は、ユーザ70の血流量が基準値よりも少ないときには、低い色温度に補正され、ユーザ70の血流量が基準値よりも高いときには、高い色温度に補正される。
【0064】
[動作例5]
次に、環境制御システム10の動作例5について説明する。図10は、環境制御システム10の動作例5のフローチャートである。以下では、動作例1との相違点を中心に説明が行われる。
【0065】
ステップS11~ステップS17の処理は、動作例1と同様である。ステップS17の後、制御部32は、取得部34に、サーバ装置50から第一エリア81に位置するユーザ70の温冷感を示すアンケート情報を取得させる(S58)。制御部32は、具体的には、LPS46によって出力される位置情報に基づいて第一エリア81に位置するユーザ70のユーザIDを特定する。また、制御部32は、取得部34に、特定されたユーザIDに紐づけられたアンケート情報をサーバ装置50から取得させる。アンケート情報は、例えば、ユーザ70が暑がりであるか寒がりであるかを5段階で示す情報である。なお、第一エリア81に複数のユーザ70が位置する場合には、複数のユーザ70のアンケート情報が示す段階の代表値(平均値、中央値、最大値、最小値などのいずれか)が特定されればよい。
【0066】
次に、制御部32は、計測温度及び目標温度の差と、アンケート情報に基づいて、第一エリア81に設置された照明装置41の色温度を制御する(S59)。ここで、動作例1にしたがって計測温度及び目標温度の差に基づいて決定される色温度をCT1、アンケート情報が示す指標値を1~5(1:寒がり、5:暑がり)とすると、ステップS59における、第一エリア81に設置された照明装置41の色温度CT2は、正の係数γを用いて、CT2=CT1+γ(アンケート情報が示す指標値-3)で表される。つまり、照明装置41の色温度CT2は、ユーザ70が寒がりであるときには、低い色温度に補正され、ユーザ70が暑がりであるときには、高い色温度に補正される。
【0067】
ステップS17、ステップS58、及び、ステップS59の処理は、第一エリア81だけでなく、第二エリア82及び第三エリア83を対象としても行われる。なお、ステップS17、ステップS58、及び、ステップS59の処理がエリアごとに行われることは必須ではなく、室内空間80ごとに行われてもよい。
【0068】
以上説明したように、照明制御システム30は、計測温度及び目標温度の差に加えて、ユーザ70のアンケート情報に基づいて、照明装置41が発する光の色温度を制御する。これにより、環境制御システム10(照明制御システム30)は、ユーザ70の温冷感を考慮してユーザ70の体感温度を調整することができる。
【0069】
なお、動作例5は、動作例1において、計測温度及び目標温度の差に加えて、アンケート情報が用いられる動作例であるが、上述の動作例2において、計測温度及び目標温度の差に加えて、アンケート情報が用いられてもよい。この場合、例えば、照明装置41の初期色温度は、ユーザ70が寒がりであるときには、低い色温度に補正され、ユーザ70が暑がりであるときには、高い色温度に補正される。
【0070】
[動作例6]
次に、環境制御システム10の動作例6について説明する。図11は、環境制御システム10の動作例6のフローチャートである。以下では、動作例1との相違点を中心に説明が行われる。
【0071】
ステップS11~ステップS17の処理は、動作例1と同様である。ステップS17の後、制御部32は、取得部34に、サーバ装置50から第一エリア81に位置するユーザ70のスケジュール情報を取得させる(S68)。制御部32は、具体的には、LPS46によって出力される位置情報に基づいて第一エリア81に位置するユーザ70のユーザIDを特定する。また、制御部32は、取得部34に、特定されたユーザIDに紐づけられたスケジュール情報をサーバ装置50から取得させる。スケジュール情報は、例えば、時間帯と、その時間帯にユーザ70が滞在する予定の場所とが対応付けられた情報である。なお、動作例6では、サーバ装置50は、気象情報を管理しており、スケジュール情報には、ユーザ70が滞在予定の場所が属する地域の気温の情報が付与されている。
【0072】
次に、制御部32は、計測温度及び目標温度の差と、スケジュール情報に基づいて、第一エリア81に設置された照明装置41の色温度を制御する(S69)。ここで、動作例1にしたがって計測温度及び目標温度の差に基づいて決定される色温度をCT1とする。ステップS69における、第一エリア81に設置された照明装置41の色温度CT2は、スケジュール情報に基づいてユーザ70が第一エリア81に入る前に第一エリア81よりも気温の低い場所にいたと推定される場合には、正の係数δを用いて、CT2=CT1-δで表される。同様に、第一エリア81に設置された照明装置41の色温度CT2は、ユーザ70が第一エリア81よりも気温の高い場所にいたと推定される場合には、CT2=CT1+δで表される。つまり、照明装置41の色温度CT2は、ユーザ70が第一エリア81に入る前に第一エリア81よりも温度の低い場所にいたと推定されるときには、低い色温度に補正され、ユーザ70が第一エリア81に入る前に第一エリア81よりも温度の高い場所にいたと推定されるときには、高い色温度に補正される。
【0073】
ステップS17、ステップS68、及び、ステップS69の処理は、第一エリア81だけでなく、第二エリア82及び第三エリア83を対象としても行われる。なお、ステップS17、ステップS68、及び、ステップS69の処理がエリアごとに行われることは必須ではなく、室内空間80ごとに行われてもよい。
【0074】
以上説明したように、照明制御システム30は、計測温度及び目標温度の差に加えて、ユーザ70のスケジュール情報に基づいて、照明装置41が発する光の色温度を制御する。これにより、環境制御システム10(照明制御システム30)は、ユーザ70のスケジュールを考慮してユーザ70の体感温度を調整することができる。
【0075】
なお、動作例6は、動作例1において、計測温度及び目標温度の差に加えて、スケジュール情報が用いられる動作例であるが、上述の動作例2において、計測温度及び目標温度の差に加えて、スケジュール情報が用いられてもよい。この場合、例えば、照明装置41の初期色温度は、ユーザ70が第一エリア81に入る前に第一エリア81よりも温度の低い場所にいたと推定されるときには、低い色温度に補正され、ユーザ70が第一エリア81に入る前に第一エリア81よりも温度の高い場所にいたと推定されるときには、高い色温度に補正される。
【0076】
[動作例7]
動作例1~動作例6は、温度制御システム20による室内空間80の温度調整により、計測温度が目標温度に到達するまでの間、ユーザ70の体感温度を調整することでユーザ70の快適性が補償された。しかしながら、計測温度が目標温度に達した後も、複数のユーザ70には個人差があるため、温度の感じ方は異なると考えられる。動作例7では、このような温度の感じ方の個人差を照明装置41が発する光の色温度で補償する動作例について説明する。図12は、環境制御システム10の動作例7のフローチャートである。
【0077】
計測温度と目標温度とが一致した状態において、複数の照明装置41は、例えば、所定の明るさ、及び、所定の色温度で発光する(S71)。
【0078】
照明制御システム30の制御部32は、取得部34に、室内空間80の第一エリア81に位置するユーザ70に関するユーザ情報を取得させる(S72)。ユーザ情報は、具体的には、バイタル情報(体表面温度を示す情報、または、血流量を示す情報)、アンケート情報、及び、スケジュール情報の少なくとも1つである。バイタル情報、アンケート情報、及び、スケジュール情報の取得方法は、動作例3~動作例6で説明した通りである。
【0079】
次に、制御部32は、取得されたユーザ情報に基づいて、第一エリア81に設置された照明装置41の色温度を制御する(S73)。制御部32は、所定の色温度を、ユーザ情報を用いて補正することでステップS73における色温度を決定する。色温度の補正の方法については、動作例3~動作例6で説明した通りである。ステップS72、及び、ステップS73の処理は、第一エリア81だけでなく、第二エリア82及び第三エリア83を対象としても行われる。
【0080】
このように、照明制御システム30は、計測温度及び目標温度の差に基づいて照明装置41が発する光の明るさ及び色温度の少なくとも一方を制御する第一制御モードの動作(動作例1~動作例6)に加えて、室内空間80に位置するユーザ70に関するユーザ情報に基づいて照明装置41が発する光の色温度を制御する第二制御モードの動作を行う。これにより、環境制御システム10(照明制御システム30)は、ユーザ70の温度の感じ方の個人差の低減を図ることができる。
【0081】
[動作例8]
環境制御システム10は、ユーザ70の現在の温冷感(暑いと感じているか、寒いと感じているか)に応じて照明装置41が発する光の色温度を制御してもよい。図13は、環境制御システム10の動作例8のフローチャートである。
【0082】
複数の照明装置41は、所定の明るさ、及び、所定の色温度で発光している(S81)。この状態で、UI装置45は、ユーザ70からユーザ70の現在の温冷感の入力操作を受け付ける(S82)。図14は、ユーザ70の現在の温冷感の入力画面の一例を示す図である。
【0083】
次に、照明制御システム30の制御部32は、UI装置45によって受け付けられた入力操作に基づいて、照明装置41の色温度を制御する(S83)。制御部32は、例えば、図14に示される入力画面の「暑い」ボタンがタップ操作されるごとに、対象の照明装置41が発する光の色温度を所定量上昇させる。また、制御部32は、図14に示される入力画面の「寒い」ボタンがタップ操作されるごとに、対象の照明装置41が発する光の色温度を所定量低下させる。
【0084】
このように、照明制御システム30は、ユーザ70の現在の温冷感の入力操作に基づいて照明装置41が発する光の色温度を制御する。これにより、環境制御システム10(照明制御システム30)は、ユーザ70の温度の感じ方の個人差の低減を図ることができる。
【0085】
[変形例]
上記動作例1~8では、照明装置41が発する光の色温度が制御されたが、色温度に代えて、または、色温度に加えて、照明装置41が発する光の明るさが制御されてもよい。発明者らの知見によれば、照明装置41が発する光の明るさが明るいと、ユーザ70は、温かみを感じ、一方、照明装置41が発する光の明るさが暗いと、ユーザ70は涼しさを感じる。したがって、上記動作例1~8において、照明装置41が発する光の色温度を低下させる処理は、適宜、照明装置41が発する光の明るさを明るくする処理に読み替えられてよい。また、照明装置41が発する光の色温度を上昇させる処理は、適宜、照明装置41が発する光の明るさを暗くする処理に読み替えられてよい。
【0086】
また、室内空間80がオフィス空間である場合、照明装置41が発する光の明るさが変更される範囲、及び、色温度が変更される範囲は、作業性等を考慮して定められるとよい。図15は、オフィス空間に適した明るさ(具体的には、照度)、及び、色温度の範囲の一例を示す図であり、照明装置41が発する光の明るさ及び色温度は、図15に示される範囲内(図15でハッチングされていない範囲内)で変更されるとよい。
【0087】
[効果等]
以上説明したように、照明制御システム30は、室内空間80に設置された温度センサ42によって計測される計測温度を示す計測温度情報、及び、室内空間80における目標温度を示す目標温度情報を取得する取得部34と、取得された計測温度情報及び目標温度情報によって定まる計測温度及び目標温度の差に基づいて、照明装置41が発する光の明るさ及び色温度の少なくとも一方を制御する制御部32とを備える。
【0088】
このような照明制御システム30は、室内空間80が目標温度に到達するまでの間、ユーザ70の体感温度を調整することでユーザ70の快適性を補償することができる。
【0089】
また、例えば、制御部32は、計測温度が目標温度よりも低い場合、照明装置41が発する光の明るさを所定の明るさよりも明るくする制御、及び、照明装置41が発する光の色温度を所定の色温度よりも低くする制御の少なくとも一方を行う。
【0090】
このような照明制御システム30は、計測温度が目標温度よりも低い場合に、ユーザ70の快適性を補償することができる。
【0091】
また、例えば、制御部32は、計測温度が目標温度より高い場合、照明装置41が発する光の明るさを所定の明るさよりも暗くする制御、及び、照明装置41が発する光の色温度を所定の色温度よりも高くする制御の少なくとも一方を行う。
【0092】
このような照明制御システム30は、計測温度が目標温度よりも高い場合に、ユーザ70の快適性を補償することができる。
【0093】
また、例えば、取得部34は、さらに、室内空間80に設置された温度制御システム20から計測温度が目標温度に到達するまでの時間を示す時間情報を取得し、制御部32は、計測温度及び目標温度の差に加えて、取得された時間情報に基づいて、照明装置41が発する光の明るさ及び色温度の少なくとも一方を制御する。
【0094】
このような照明制御システム30は、室内空間80が目標温度に到達するまでの間、室温の変化に即してユーザ70の体感温度を調整することができる。
【0095】
また、例えば、制御部32は、計測温度が目標温度よりも低い場合、(a)照明装置41が発する光の明るさを所定の明るさよりも明るくした後、時間情報が示す時間に応じて照明装置41が発する光の明るさを徐々に所定の明るさに近づける制御、及び、(b)照明装置41が発する光の色温度を所定の色温度よりも低くした後、時間情報が示す時間に応じて照明装置41が発する光の色温度を徐々に所定の色温度に近づける制御の少なくとも一方を行う。
【0096】
このような照明制御システム30は、計測温度が目標温度よりも低い場合に、室温の変化に即してユーザ70の体感温度を調整することができる。
【0097】
また、例えば、制御部32は、計測温度が目標温度よりも高い場合、(a)照明装置41が発する光の明るさを所定の明るさよりも暗くした後、時間情報が示す時間に応じて照明装置41が発する光の明るさを徐々に所定の明るさに近づける制御、及び、(b)照明装置41が発する光の色温度を所定の色温度よりも高くした後、時間情報が示す時間に応じて照明装置41が発する光の色温度を徐々に所定の色温度に近づける制御の少なくとも一方を行う。
【0098】
このような照明制御システム30は、計測温度が目標温度よりも高い場合に、室温の変化に即してユーザ70の体感温度を調整することができる。
【0099】
また、例えば、取得部34は、さらに、室内空間80に位置するユーザ70のバイタル情報を取得し、制御部32は、計測温度及び目標温度の差に加えて、取得されたバイタル情報に基づいて、照明装置41が発する光の明るさ及び色温度の少なくとも一方を制御する。
【0100】
このような照明制御システム30は、ユーザ70のバイタル情報を考慮してユーザ70の体感温度を調整することができる。
【0101】
また、例えば、バイタル情報は、ユーザ70の体表面温度を示す情報である。
【0102】
このような照明制御システム30は、ユーザ70の体表面温度を考慮してユーザ70の体感温度を調整することができる。
【0103】
また、例えば、バイタル情報は、ユーザ70の血流量を示す情報である。
【0104】
このような照明制御システム30は、ユーザ70の血流量を考慮してユーザ70の体感温度を調整することができる。
【0105】
また、例えば、取得部34は、さらに、室内空間80に位置するユーザ70の温冷感に関するアンケート情報を取得し、制御部32は、計測温度及び目標温度の差に加えて、取得されたアンケート情報に基づいて、照明装置41が発する光の明るさ及び色温度の少なくとも一方を制御する。
【0106】
このような照明制御システム30は、ユーザ70の温冷感を考慮してユーザ70の体感温度を調整することができる。
【0107】
また、例えば、取得部34は、さらに、室内空間80に位置するユーザ70のスケジュール情報を取得し、制御部32は、計測温度及び目標温度の差に加えて、取得されたスケジュール情報に基づいて、照明装置41が発する光の明るさ及び色温度の少なくとも一方を制御する。
【0108】
このような照明制御システム30は、ユーザ70のスケジュールを考慮してユーザ70の体感温度を調整することができる。
【0109】
また、例えば、室内空間80には、複数のエリア(例えば、第一エリア81、第二エリア82、及び、第三エリア83)が含まれる。温度センサ42、及び、照明装置41は、複数のエリアのそれぞれに設置され、制御部32によって行われる、照明装置41が発する光の明るさ及び色温度の少なくとも一方の制御は、複数のエリアごとに行われる。
【0110】
このような照明制御システム30は、室内空間80に含まれるエリアごとに、当該エリアに位置するユーザ70の体感温度を調整することでユーザ70の快適性を補償することができる。
【0111】
また、例えば、制御部32は、計測温度及び目標温度の差に基づいて照明装置41が発する光の明るさ及び色温度の少なくとも一方を制御する第一制御モードの動作に加えて、室内空間80に位置するユーザ70に関するユーザ情報に基づいて照明装置41が発する光の明るさ及び色温度の少なくとも一方を制御する第二制御モードの動作を行う。
【0112】
このような照明制御システム30は、室内空間80における光環境を調整することにより、ユーザ70の温度の感じ方の個人差の低減を図ることができる。
【0113】
また、例えば、ユーザ情報には、ユーザ70のバイタル情報、ユーザ70の温冷感に関するアンケート情報、及び、ユーザ70のスケジュール情報の少なくとも1つが含まれる。
【0114】
このような照明制御システム30は、ユーザ70のバイタル情報、ユーザ70の温冷感に関するアンケート情報、及び、ユーザ70のスケジュール情報の少なくとも1つに基づいて、室内空間80における光環境を調整することができる。
【0115】
また、照明制御システム30などのコンピュータによって実行される照明制御方法は、室内空間80に設置された温度センサ42によって計測される計測温度を示す計測温度情報、及び、室内空間80における目標温度を示す目標温度情報を取得し、取得された計測温度情報及び目標温度情報によって定まる計測温度及び目標温度の差に基づいて、照明装置41が発する光の明るさ及び色温度の少なくとも一方を制御する。
【0116】
このような照明制御方法は、室内空間80が目標温度に到達するまでの間、ユーザ70の体感温度を調整することでユーザ70の快適性を補償することができる。
【0117】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態に係る照明制御システムについて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0118】
例えば、上記実施の形態では、室内空間は、オフィス用途の空間として説明されたが、店舗用途の空間であってもよいし、住宅内の空間であってもよい。また、室内空間は、その他の用途の空間であってもよい。
【0119】
また、上記実施の形態では、照明制御システムは、複数の装置によって実現されたが、単一の装置(具体的には、照明コントローラなど)として実現されてもよい。照明制御システムが複数の装置によって実現される場合、照明制御システムが備える各構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。
【0120】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。例えば、上記実施の形態において、照明制御システムが実行すると説明された処理の一部または全部は、サーバ装置によって実行されてもよい。また、上記実施の形態で説明された複数の処理の順序は変更されてもよいし、上記実施の形態で説明された複数の処理は並行して実行されてもよい。
【0121】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0122】
また、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0123】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、本発明は、上記実施の形態の照明制御システムなどのコンピュータによって実行される照明制御方法として実現されてもよい。本発明は、このような照明制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記憶された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0124】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0125】
20 温度制御システム
30 照明制御システム
32 制御部
34 取得部
41 照明装置
42 温度センサ
70 ユーザ
80 室内空間(空間)
81 第一エリア(エリア)
82 第二エリア(エリア)
83 第三エリア(エリア)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15