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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】キャリアテープ管理装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024509743
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2022044276
(87)【国際公開番号】W WO2023181506
(87)【国際公開日】2023-09-28
【審査請求日】2024-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2022049192
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】礒端 美伯
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-073966(JP,A)
【文献】特開2014-086517(JP,A)
【文献】特開2015-060957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を梱包したキャリアテープに関する情報を管理するキャリアテープ管理装置であって、
リールの巻芯に終端側から巻き取られた前記キャリアテープの終端の状態を示す終端情報が前記キャリアテープのテープ種別ごとに登録された終端情報データベースと、
前記リールのコード情報を読み取る第1読取り部と、
前記コード情報に含まれる情報に一致する前記テープ種別の前記終端情報を前記終端情報データベースから取得して前記リールに巻き取られている前記キャリアテープの前記終端の状態を判定する終端判定部と、
前記終端判定部による判定結果を前記リール毎に登録する材料管理データベースと、
を備えたキャリアテープ管理装置。
【請求項2】
前記リール毎に前記キャリアテープを識別するための識別情報を生成する識別情報生成部を更に備え、
前記材料管理データベースは、前記識別情報と前記終端判定部による判定結果が関連付けて登録される、請求項1に記載のキャリアテープ管理装置。
【請求項3】
前記終端判定部による前記判定結果を出力する判定結果出力部を更に備えた、請求項1に記載のキャリアテープ管理装置。
【請求項4】
前記終端情報には、前記キャリアテープの前記終端の前記巻芯に対する状態を示す情報を含む、請求項1に記載のキャリアテープ管理装置。
【請求項5】
前記終端情報には、前記キャリアテープにおける最終部品から前記終端までの部分である余剰部分に関する情報を含む、請求項1に記載のキャリアテープ管理装置。
【請求項6】
前記識別情報が印刷されたラベルを発行するラベル発行部を更に備え、
前記材料管理データベースは前記ラベルが貼り付けられた前記リールを管理対象にする、請求項2に記載のキャリアテープ管理装置。
【請求項7】
前記リールに貼り付けられた前記ラベルから前記識別情報を読み取る第2読取り部と、前記第2読取り部が読み取った前記識別情報と前記材料管理データベースに登録された前記判定結果とに基づいて、前記キャリアテープの前記終端に対して行う処理の内容を出力する処理情報出力部と、を備えた請求項6に記載のキャリアテープ管理装置。
【請求項8】
電子部品を梱包したキャリアテープに関する情報を管理するキャリアテープ管理装置であって、
リールの巻芯に終端側から巻き取られた前記キャリアテープの終端に関する情報である終端処理情報が、前記リールに付与された識別情報に関連付けて登録された材料管理データベースと、
前記リールの前記識別情報を読み取る識別情報読取り部と、
前記識別情報読取り部が読み取った前記識別情報と前記材料管理データベースに登録された前記終端処理情報とに基づいて、前記キャリアテープの前記終端に対して行う処理の内容を出力する処理情報出力部と、
を備えたキャリアテープ管理装置。
【請求項9】
前記終端処理情報が、前記巻芯に対する前記終端の取り付け状態に関する情報を含み、
前記処理情報出力部は、前記終端処理情報に基づいて前記巻芯から前記終端を分離する作業に関する情報を出力する、請求項8に記載のキャリアテープ管理装置。
【請求項10】
前記終端処理情報が、前記キャリアテープの終端側の余剰部分の長さに関する情報を含み、
前記処理情報出力部は、前記終端処理情報に基づいて前記余剰部分を短くする作業に関する情報を出力する、請求項8に記載のキャリアテープ管理装置。
【請求項11】
電子部品を梱包したキャリアテープに関する情報を管理するキャリアテープ管理装置であって、
前記キャリアテープを使用するテープフィーダの種類が登録された生産用データと、
前記キャリアテープが巻き取られたリールの識別情報を読み取る識別情報読取り部と、
前記識別情報読取り部が読み取った前記識別情報を頼りに前記生産用データから前記テープフィーダの種類を読み取って前記キャリアテープの先端に対して行う処理の内容を出力する処理情報出力部と、
を備えたキャリアテープ管理装置。
【請求項12】
電子部品を梱包したキャリアテープに関する情報を管理するキャリアテープ管理装置であって、
前記キャリアテープを使用する際の荷姿に関する供給形態情報が登録された生産用データと、
前記キャリアテープが巻き取られたリールの識別情報を読み取る識別情報読取り部と、
前記識別情報読取り部が読み取った前記識別情報を頼りに前記生産用データから前記供給形態情報を読み取って前記リールに対して行う処理の内容を出力する処理情報出力部と、
を備えたキャリアテープ管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品を梱包したキャリアテープに関する情報を管理するキャリアテープ管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品搭載装置の部品供給手段として用いられているテープフィーダは、部品が梱包されたキャリアテープを搬送して所定の部品取出し位置に部品を供給する構成となっている。キャリアテープは、リールの巻芯に終端側から巻き取られた状態で製造され、流通し、また使用に供されるのが一般的である。テープフィーダはキャリアテープをリールから引き出して搬送し、キャリアテープが終端近くになって部品切れが近くなると、作業者はキャリアテープの終端部のリールに対する状態やテープフィーダの種類に応じた前処理作業をキャリアテープに対して行ったうえで、キャリアテープの補充(すなわち部品の補充)を行う(例えば、下記の特許文献1)。
【0003】
ここで、作業者がキャリアテープに対して行う前処理作業の種類としては、主として「終端処理」と「先端処理」がある。終端処理としては、例えばキャリアテープに梱包された部品のうち最も終端側に位置する部品である最終部から終端までの部分である余剰部分を除去する処理が該当する。先端処理としては、例えばキャリアテープとカバーテープ(キャリアテープに貼り付けられて部品をポケット内に梱包するテープ部材)を同じ位置で切断したり(ノーマルカット)、カバーテープがキャリアテープの先端よりも長く延びるように切断したりする(ハーフカット)処理が該当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特許第6496908号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、上記のようなキャリアテープの前処理作業の内容を作業者が即座に判断するのは困難である。また、このような判断を補助するための環境も十分ではなかった。
【0006】
そこで本開示は、キャリアテープに対する作業を行う作業者を支援するためのキャリアテープ管理装置を提供することを目的とする。
【0007】
本開示のキャリアテープ管理装置は、電子部品を梱包したキャリアテープに関する情報を管理するキャリアテープ管理装置であって、リールの巻芯に終端側から巻き取られたキャリアテープの終端の状態を示す終端情報がキャリアテープのテープ種別ごとに登録された終端情報データベースと、前記リールのコード情報を読み取る第1読取り部と、前記コード情報に含まれる情報に一致するテープ種別の終端情報を前記終端情報データベースから取得して前記リールに巻き取られているキャリアテープの終端の状態を判定する終端判定部と、前記終端判定部による判定結果をリール毎に登録する材料管理データベースと、を備えた。
【0008】
本開示の他の態様のキャリアテープ管理装置は、電子部品を梱包したキャリアテープに関する情報を管理するキャリアテープ管理装置であって、リールの巻芯に終端側から巻き取られたキャリアテープの終端に関する情報である終端処理情報が、前記リールに付与された識別情報に関連付けて登録された材料管理データベースと、前記リールの前記識別情報を読み取る識別情報読取り部と、前記識別情報読取り部が読み取った前記識別情報と前記材料管理データベースに登録された前記終端処理情報とに基づいて、キャリアテープの終端に対して行う処理の内容を出力する処理情報出力部と、を備えた。
【0009】
本開示の更に他の態様のキャリアテープ管理装置は、電子部品を梱包したキャリアテープに関する情報を管理するキャリアテープ管理装置であって、前記キャリアテープを使用するテープフィーダの種類が登録された生産用データと、前記キャリアテープが巻き取られたリールの識別情報を読み取る識別情報読取り部と、前記識別情報読取り部が読み取った前記識別情報を頼りに前記生産用データから前記テープフィーダの種類を読み取ってキャリアテープの先端に対して行う処理の内容を出力する処理情報出力部と、を備えた。
【0010】
本開示の更に他の態様のキャリアテープ管理装置は、電子部品を梱包したキャリアテープに関する情報を管理するキャリアテープ管理装置であって、前記キャリアテープを使用する際の荷姿に関する供給形態情報が登録された生産用データと、前記キャリアテープが巻き取られたリールの識別情報を読み取る識別情報読取り部と、前記識別情報読取り部が読み取った前記識別情報を頼りに前記生産用データから前記供給形態情報を読み取って前記リールに対して行う処理の内容を出力する処理情報出力部と、を備えた。
【0011】
本開示によれば、キャリアテープに対する作業を行う作業者を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の一実施の形態におけるキャリアテープ管理装置を含む作業システムの概略構成図である。
図2図2は、本開示の一実施の形態における作業システムを構成する部品搭載装置の要部側面図である。
図3図3は、本開示の一実施の形態におけるキャリアテープ管理装置が管理の対象とするキャリアテープをリールとともに示す斜視図である。
図4図4は、本開示の一実施の形態における部品搭載装置が備えるテープフィーダに対応するキャリアテープの剥離方式と先端処理の対応を示す図である。
図5図5は、本開示の一実施の形態における部品搭載装置が備えるテープフィーダに対応するキャリアテープの剥離方式と先端処理の対応を示す図である。
図6A図6Aは、本開示の一実施の形態における部品搭載装置で使用するキャリアテープの先端処理のタイプを説明する図である。
図6B図6Bは、本開示の一実施の形態における部品搭載装置で使用するキャリアテープの先端処理のタイプを説明する図である。
図7図7は、本開示の一実施の形態における部品搭載装置で使用するキャリアテープをリールから分離させた状態を示す図である。
図8図8は、本開示の一実施の形態における部品搭載装置で使用するキャリアテープの終端状態とこれに対する終端処理の対応を示す図である。
図9図9は、本開示の一実施の形態における作業システムで使用されるリールの取扱いの流れを示す図である。
図10図10は、本開示の一実施の形態における作業システムで使用されるリールに取り付けられる第1のラベルに記録されるテープ種別情報の一例を示す図である。
図11図11は、本開示の一実施の形態におけるキャリアテープ管理装置の構成図である。
図12図12は、本開示の一実施の形態におけるキャリアテープ管理装置の終端情報データベースに登録されているテープ種別終端情報の一例を示す図である。
図13図13は、本開示の一実施の形態におけるキャリアテープ管理装置の材料管理データベースに登録された材料管理情報(キャリアテープ処理前)の一例を示す図である。
図14図14は、本開示の一実施の形態におけるキャリアテープ管理装置の材料管理データベースに登録された材料管理情報(キャリアテープ処理後)の一例を示す図である。
図15図15は、本開示の一実施の形態におけるキャリアテープ管理装置による入庫管理処理の流れを示すフローチャートである。
図16図16は、本開示の一実施の形態におけるキャリアテープ管理装置によるキャリアテープ前処理作業の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。図1は本開示の一実施の形態におけるキャリアテープ管理装置1を含む作業システムSSを示している。作業システムSSは生産作業エリアAR1に部品搭載装置2を備えており、前処理作業エリアAR2に部品倉庫3とキャリアテープ管理装置1を備えている。キャリアテープ管理装置1の説明をする前に先ず、図2を用いて部品搭載装置2について説明する。図2は、本開示の一実施の形態における作業システムSSを構成する部品搭載装置2の要部側面図である。
【0014】
部品搭載装置2は基板KBに電子部品(以下、「部品BH」と称する)を装着する装置である。図2に示すように、部品搭載装置2は基台11上に一対のベルトコンベア12aから成る基板搬送部12を備えており、基台11の側方にはフィーダベース11Fを備えている。ベルトコンベア12aは図2の紙面に直交する方向に基板KBを搬送し、作業位置に位置決めする。フィーダベース11Fには部品供給手段としてのテープフィーダ13が装着されている。
【0015】
テープフィーダ13は部品BHを梱包したキャリアテープCTを搬送して部品取出し位置13Kに部品BHを供給する。キャリアテープCTはリールRLに巻き付けられており、テープフィーダ13はリールRLからキャリアテープCTを引き出して搬送する。
【0016】
図3は、本開示の一実施の形態におけるキャリアテープ管理装置1が管理の対象とするキャリアテープCTをリールRLとともに示す斜視図である。キャリアテープCTは、図3に示すように、ベーステープBTとカバーテープTTを有して構成されている。ベーステープBTには多数の部品収納用のポケットPKが一列かつ等間隔に並んで設けられており、ベーステープBTのポケットPKの列と平行に並ぶ位置には、複数の送り孔KHが一列かつ等間隔に並んで設けられている。各ポケットPKには部品BHが1個ずつ収納されている。カバーテープTTはベーステープBTの上面の送り孔KHを塞がない位置に貼り付けられることで、各ポケットPK内に部品BHを梱包している。
【0017】
図2において、テープフィーダ13内にはキャリアテープCTの搬送路13Lが設けられている。キャリアテープCTは先端CTT側がリールRLから引き出され、搬送路13Lの後端側(基板搬送部12に向く側とは反対側)の開口であるテープ入口13Gに挿入される。テープ入口13Gに先端CTTが挿入されたキャリアテープCTは、テープフィーダ13内に設けられた図示しないスプロケットによって、テープフィーダ13内に設けられた搬送路13L内を進行する。このときスプロケットは、外周に設けられた送りピン(図示せず)をキャリアテープCTに設けられた送り孔KHに係合させて回転することで、キャリアテープCTを搬送し、搬送路13Lの前端側(基板搬送部12に向く側)の開口であるテープ出口13Dから排出させる。
【0018】
テープフィーダ13の内部の搬送路13Lの途中には露出部13Sが設けられている。露出部13SはキャリアテープCTが露出部13Sを通過するとき、ベーステープBTからカバーテープTTを剥離または切り開いて部品BHを露出させる。これによりポケットPK内の部品BHは露出された状態で部品取出し位置13Kを通過し、部品取出し位置13Kに部品BHを供給する。
【0019】
図2において、装着ヘッド14は下方に延びたノズル14Nを備えている。装着ヘッド14はノズル14Nの下端に吸着力を発生させることで、テープフィーダ13が部品取出し位置13Kに供給する部品BHをピックアップする。ヘッド移動機構15は例えばXYテーブルから成り、装着ヘッド14をテープフィーダ13と作業位置に位置決めされた基板KBとの間で移動させる。
【0020】
部品搭載装置2が基板KBに部品BHを搭載する場合には先ず、基板搬送部12が作動して基板KBを搬入し、作業位置に位置決めする。基板搬送部12が基板KBを作業位置に位置決めしたらテープフィーダ13は部品取出し位置13Kに部品BHを供給し、ヘッド移動機構15は装着ヘッド14をテープフィーダ13と基板KBの間で往復移動させる。装着ヘッド14はテープフィーダ13と基板KBの間を往復移動しながらテープフィーダ13が供給する部品BHを基板KB上に搭載していく。これにより基板KBに搭載されるべき部品BHが全て搭載されたら、基板搬送部12が作動して基板KBを部品搭載装置2から搬出する。部品搭載装置2は制御部(図示省略)に格納された生産プログラムに基づいて基板KBに部品BHを搭載する作業(部品搭載作業)を実行する。
【0021】
部品搭載装置2には複数種類のテープフィーダ13とキャリアテープCTが使用可能である。これら複数種類のテープフィーダ13とキャリアテープCTのうち、部品搭載装置2において使用されるテープフィーダ13の種類とキャリアテープCTに関する情報は生産プログラムに含まれている。
【0022】
図4は、本開示の一実施の形態における部品搭載装置2が備えるテープフィーダ13に対応するキャリアテープCTの剥離方式と先端処理の対応を示す図である。図5は、本開示の一実施の形態における部品搭載装置2が備えるテープフィーダ13に対応するキャリアテープCTの剥離方式と先端処理の対応を示す図である。図4の(a),(b)および図5の(a),(b)は、部品搭載装置2において使用可能なテープフィーダ13を種類ごとに示している。但し、図に示されているのは、テープフィーダ13のうちの一部(露出部13Sの近傍部分)である。
【0023】
図4の(a)に示すテープフィーダ13は、全剥離方式のマニュアルセットタイプのテープフィーダ13aであり、図4の(b)に示すテープフィーダ13は、部分剥離方式(自動剥離タイプA)のオートロードタイプのテープフィーダ13bである。また、図5の(a)に示すテープフィーダ13は、切り開き方式(自動剥離タイプB)のオートロードタイプのテープフィーダ13cであり、図5の(b)に示すテープフィーダ13は、全剥離方式(自動剥離タイプC)のオートロードタイプのテープフィーダ13dである。
【0024】
図4の(a)に示す全剥離方式のテープフィーダ13aでは、キャリアテープCTの上面のうち部品取出し位置13Kの上流側の位置にテープ押さえ13Tが設けられており、テープ押さえ13Tの一部にはカバーテープ引出し口13Hが設けられている。作業者は手作業によってカバーテープTTの先端部をベーステープBTの先端部から分離させたうえで、カバーテープ引出し口13HからカバーテープTTを引き出すようにしてキャリアテープCTをテープフィーダ13aにセットする。このため全剥離方式(マニュアルセットタイプ)のテープフィーダ13aでは、キャリアテープCTの先端についての前処理(先端処理)は不要である。スプロケットの回転によってキャリアテープCTが搬送されるとカバーテープ引出し口13Hは前述の露出部13Sとして機能し、キャリアテープCT(ベーステープBT)からカバーテープTTを剥離して、部品BHを露出させる。
【0025】
図6Aおよび図6Bは、本開示の一実施の形態における部品搭載装置2で使用するキャリアテープCTの先端処理のタイプを説明する図である。図4の(b)に示す部分剥離方式(自動剥離タイプA)のテープフィーダ13bでは、搬送路13Lにおける部品取出し位置13Kの上流側の位置に、先鋭部13Eを上流側に向けたブレード13Bが設けられている。ブレード13Bの先鋭部13Eは、スプロケットの回転によって搬送されるキャリアテープCTの先端CTTに入り込んでベーステープBTからカバーテープTTを剥離する。作業者は、図6Aに示すように、カバーテープTTの先端の切断面がキャリアテープCTの先端の切断面SDMと同じ位置(切断面SDMは送り孔KHの中間に位置)となる「ノーマルカット」となるように先端処理を施したうえで、キャリアテープCTをテープフィーダ13bにセットする。スプロケットの回転によってキャリアテープCTが搬送されるとブレード13Bは露出部13Sとして機能し、キャリアテープCT(ベーステープBT)からカバーテープTTを剥離して、部品BHを露出させる。
【0026】
図5の(a)に示す部分剥離方式(自動剥離タイプB)のテープフィーダ13cでは、搬送路13Lにおける部品取出し位置13Kの上流側の位置に、刃部CRSを上流側に向けたカッター13Uが設けられている。カッター13Uの刃部CRSは、スプロケットの回転によって搬送されるキャリアテープCTのベーステープBTからカバーテープTTを剥離する。作業者は、部分剥離方式(自動剥離タイプA)の場合と同様にキャリアテープCTの先端CTTを「ノーマルカット」となるように先端処理を施したうえで(図6A)、キャリアテープCTをテープフィーダ13cにセットする。スプロケットの回転によってキャリアテープCTが搬送されるとカッター13Uは露出部13Sとして機能し、キャリアテープCT(ベーステープBT)からカバーテープTTを剥離して、部品BHを露出させる。
【0027】
図5の(b)に示す全剥離方式(自動剥離タイプC)のテープフィーダ13dでは、搬送路13Lにおける部品取出し位置13Kの上流側の位置には、互いに接触して相互に反対方向に回転する一対のローラ13Rが設けられている。一対のローラ13Rの下方には上方にエアを吹き付けるエア噴出部13Fが設けられており、エア噴出部13Fは、スプロケットの回転によって搬送されるキャリアテープCTのカバーテープ延出部TTT(図6B参照)が一対のローラ13Rの下方に到達したときに、上方に向けてエアを噴出させる。
【0028】
エア噴出部13Fがエアを噴出させるとカバーテープ延出部TTTは上方に吹き上げられ、回転する一対のローラ13Rによって挟まれて捕捉される。カバーテープ延出部TTTを捕捉した一対のローラ13Rは回転動作によってカバーテープTTを上方に送り、ベーステープBTからカバーテープTTを剥離する。作業者は、図6Bに示すように、カバーテープTTの先端の切断面がベーステープBTの先端の切断面SDMよりも所定長さだけ長くなり、ベーステープBTの先端側にカバーテープ延出部TTTが形成された「ハーフカット」となるように先端処理を施したうえで、キャリアテープCTをテープフィーダ13dにセットする。スプロケットの回転によってキャリアテープCTが搬送されると一対のローラ13Rは露出部13Sとして機能し、キャリアテープCT(ベーステープBT)からカバーテープTTを剥離して、部品BHを露出させる。
【0029】
図7は、本開示の一実施の形態における部品搭載装置2で使用するキャリアテープCTをリールRLから分離させた状態を示す図である。図8は、本開示の一実施の形態における部品搭載装置2で使用するキャリアテープCTの終端状態とこれに対する終端処理の対応を示す図である。キャリアテープCTは、部品メーカーFC(図1)から出荷された時点では、リールRLの巻芯MSに終端側から巻き取られた状態となっている。キャリアテープCTの終端CTSは、図7に示すように、粘着テープNT(または接着剤)によってリールRLの巻芯MSに貼り付けられ(図8の(a)欄)、あるいは巻芯MSに設けられたスリットSLに挿入されている(図8の(b)欄)。キャリアテープCTの終端CTSが粘着テープ(または接着剤)によってリールRLの巻芯MSに貼り付けられている場合には、テープフィーダ13によってキャリアテープCTを引っ張っても終端CTSは巻芯MSから容易に分離しない。
【0030】
キャリアテープCTの終端CTSがスリットSLに挿入されている場合、終端CTSはリールRLの巻芯MSに固着されている場合と固着されていない場合(フリーの場合)とがある。キャリアテープCTの終端CTSがリールRLの巻芯MSに固着されている場合には(図8の(b)欄における固着部KT参照)、キャリアテープCTを引っ張っても終端CTSはスリットSLから抜けない(巻芯MSから分離しない)。一方、キャリアテープCTの終端CTSがフリーの場合には、テープフィーダ13でキャリアテープCTを引っ張ると終端CTSがスリットSLから抜ける(巻芯MSから分離する)。
【0031】
図7において、キャリアテープCTに梱包された部品BHのうち最も終端CTS側に位置する部品BHである最終部品BHLから終端CTSまでの部分は、そのキャリアテープCTの余剰部分YJとなっている(図8(c)欄も参照)。この余剰部分YJの長さについてはキャリアテープCTの種別(テープ種別)によって異なる。
【0032】
次に、前処理作業エリアAR2に備えられた部品倉庫3とキャリアテープ管理装置1について説明する。部品倉庫3は、部品メーカーFCから出荷されたリールRLが生産作業エリアAR1において使用されるまでの間、そのリールRLが保管される倉庫である。
【0033】
図9は、本開示の一実施の形態における作業システムSSで使用されるリールRLの取扱いの流れを示す図である。図9に示すように、部品メーカーFCにおいて製造されたリールRLには第1のラベルLB1が取り付けられている。第1のラベルLB1は、キャリアテープCTの種類を識別するための情報であるテープ種別情報がコード化されたラベルであり、ここでは二次元バーコードから成る。第1のラベルLB1は部品メーカーFCから出荷された時点でリールRLに取り付けられており、リールRLが部品倉庫3に入れられる(入庫される)際に、キャリアテープ管理装置1が備える後述の第1読取り部31によってコード情報が読み取られる。
【0034】
図10は、本開示の一実施の形態における作業システムSSで使用されるリールRLに取り付けられる第1のラベルLB1に記録されるテープ種別情報の一例を示す図である。この例では、テープ種別情報が、キャリアテープ種類、部品種、メーカーおよび原産国によって規定されたものとなっている。ここで「キャリアテープ種類」は、キャリアテープCTによる部品BHの保持形態やサイズ(幅寸法)を表し、「部品種」は部品BHの種類(抵抗、キャパシタ、IC等)を表している。「メーカー」はそのキャリアテープCTを生産した部品メーカーFCを表し、「原産国」はその部品BHが製造された国を表している。本実施の形態ではキャリアテープ種類、部品種、部品メーカーおよび原産国を組み合わせた情報をテープ種別としているが、これに限定されるものではなく、第1のラベルLB1に含まれる情報によって定義されるものであればよい。
【0035】
次に、キャリアテープ管理装置1の詳細を説明する。図11は、本開示の一実施の形態におけるキャリアテープ管理装置1の構成図である。キャリアテープ管理装置1は、部品BHを梱包したキャリアテープCTに関する情報を管理する装置であり、図11に示すように、終端情報データベース記憶部21、入庫処理部22、材料管理データベース記憶部23、生産用データ記憶部24およびキャリアテープ前処理支援部25を備えている。
【0036】
終端情報データベース記憶部21は終端情報データベース21DBを記憶している。終端情報データベース21DBには、前述のテープ種別情報と、そのリールRLに巻き取られているキャリアテープCTの終端情報とが組み合わされた情報であるテープ種別終端情報が登録されている。キャリアテープCTの「終端情報」は、リールRLの巻芯MSに終端CTS側から巻き取られたキャリアテープCTの終端CTSの状態を示す情報であり、その内容はキャリアテープCTのテープ種別ごとに異なっている。
【0037】
このように本実施の形態において、終端情報データベース21DBは、リールRLの巻芯MSに終端CTS側から巻き取られたキャリアテープCTの終端CTSの状態を示す終端情報がキャリアテープCTのテープ種別ごとに登録されたものとなっている。なお、終端情報は通常、リールRLの製造者側ではなく使用者側において作成される。
【0038】
図12は、本開示の一実施の形態におけるキャリアテープ管理装置1の終端情報データベース21DBに登録されているテープ種別終端情報の一例を示す図である。テープ種別終端情報は「テープ種別」の項目と「終端情報」の項目を有する。「終端情報」は更に、「終端固定状態」と「余剰部分の長さ」の項目を有する。
【0039】
図12における「終端固定状態」は、前述したキャリアテープCTの終端CTSのリールRLの巻芯MSに対する状態を示す項目であり、キャリアテープCTの終端CTSが巻芯MSに固着されない状態では「フリー」と記載され、キャリアテープCTの終端CTSが巻芯MSに固着された状態では「固着」と記載される。「余剰部分の長さ」は余剰部分YJに関する情報が登録される項目(前述したキャリアテープCTの余剰部分YJの長さについての項目)であり、余剰部分YJの長さが許容長YJ0よりも短い状態では「許容長以下」と記載され、余剰部分YJの長さが許容長YJ0よりも長い状態では「許容長超」と記載される。
【0040】
図11において、入庫処理部22は、第1読取り部31、終端判定部32、識別情報生成部33、ラベル発行部34およびデータベース登録部35および第1表示部36を備えている。入庫処理部22は、部品入庫時に部品BHの情報をリールRL単位で材料管理データベース記憶部23に登録する。
【0041】
第1読取り部31は、ここでは二次元バーコードから情報を読み取ることができるハンディタイプのスキャナから成る。第1読取り部31は、部品メーカーFCから出荷されたリールRLが前処理作業エリアAR2に入庫される際、リールRLに取り付けられた第1のラベルLB1から情報(テープ種別情報)を読み取る。すなわち本実施の形態において、第1読取り部31はリールRLのコード情報(詳細にはリールRLの第1のラベルLB1に記録されたテープ種別情報)を読み取るものとなっている。
【0042】
終端判定部32は、第1読取り部31が第1のラベルLB1から読み取ったテープ種別と一致するテープ種別での終端情報(終端固定状態および余剰部分の長さ)を終端情報データベース21DBから取得し、キャリアテープCTの終端の状態を判定する。具体的には、第1のラベルLB1から読み取ったキャリアテープCTのテープ種別を頼りに終端情報データベース21DBからそのキャリアテープCTの終端情報である「終端固定状態」と「余剰部分の長さ」を読み取り、その読み取った終端情報に基づいて、そのキャリアテープCTの終端の状態を判定する。言い換えれば、終端判定部32は、読み取った終端情報に基づいて、そのキャリアテープCTについて終端の前処理が必要か否かを判定する。
【0043】
ここで「終端の状態」とは、キャリアテープCTの終端がテープフィーダ13で使用可能な状態かどうかを表す情報であり、本実施の形態では使用可能な状態であれば「OK」、そのままでは使用できない状態であれば「NO」を使用する。終端判定部32は、終端固定状態が「固着」であればテープフィーダ13で使用可能な状態にないので「NO」と判定し、「フリー」であれば「OK」と判定する。また、終端判定部32は、余剰部分YJの長さが「許容長超」なら「NO」と判定し、「許容長以下」であれば「OK」と判定する。「OK」であれば終端の前処理は不要であり、「NO」であれば前処理は必要ということになる。
【0044】
識別情報生成部33は、リールRL単位でキャリアテープCTを識別するための識別情報(ID)を生成する。識別情報はリールRL単位でキャリアテープCTを識別するための情報であり、部品倉庫3に入庫されるリールRLそれぞれに対して個別に割り当てられる。
【0045】
ラベル発行部34は第2のラベルLB2(図9)を印刷して発行する。第2のラベルLB2はここでは二次元バーコードから成り、識別情報生成部33で生成された識別情報がコード化されて記録される。ラベル発行部34によって発行された第2のラベルLB2は部品倉庫3に入庫されるキャリアテープCTごと(すなわち識別情報ごと)に発行され、作業者によってリールRLに取り付けられる。
【0046】
データベース登録部35は、識別情報生成部33で生成された識別情報と終端判定部32で行った終端判定結果を関連付けた材料管理情報を、材料管理データベース記憶部23が記憶する材料管理データベース23DB(図11)に登録する。材料管理データベース23DBは第2のラベルLB2が貼り付けられたリールRLを管理対象にしている。
【0047】
図13及び図14は、本開示の一実施の形態におけるキャリアテープ管理装置1の材料管理データベース23DBに登録された材料管理情報(キャリアテープ処理前)の一例を示す図である。本実施の形態の材料管理情報は、「識別情報」、「部品情報(ID)」、「キャリアテープ処理情報」、「荷姿情報」を含む。「識別情報」は識別情報生成部33で生成された識別情報である。「部品情報」は、第1読取り部31によって第1のラベルLB1から取得された情報であり、「部品名」、「個数(入庫時)」、「残数」を含んでいる。このうち、「個数(入庫時)」と「残数」には第1のラベルLB1に含まれる部品数(未使用状態での部品数)が登録される。「キャリアテープ処理情報」は「先端」、「終端」、「余剰部分」の3つの項目を含んでいる。このうち、「終端」と「余剰部分」は終端処理情報であり、終端判定部32の判定結果が初期値として登録される。
【0048】
すなわち、テープフィーダ13で使用する前にキャリアテープCTの終端処理が必要であれば「NO」、不要であれば「OK」が登録される。また、「先端」については、初期値として「NO」がデータベース登録部35によって登録される。「荷姿情報」はキャリアテープCTの荷姿を示す情報がデータベース登録部35によって登録される、キャリアテープCTがリールRLに巻き取られて収納されている場合、荷姿は「リール」で登録され、リールRLから取り外された状態でカセットCS(図9)に収納されている場合、荷姿情報は「カセット」で登録される。本実施の形態では、部品メーカーFCからリールRLに収納された状態で入庫されるので、データベース登録部35は荷姿情報に初期値として「リール」を登録する。
【0049】
このように本実施の形態において、材料管理データベース23DBは、リールRL単位でキャリアテープCTを識別するための識別情報と、終端判定部32による終端判定結果(キャリアテープCTの終端CTSに関する情報)が関連付けて登録されたものとなっている。
【0050】
また、「キャリアテープ処理情報」と「荷姿情報」は、現在のキャリアテープCTの状態を記録する情報として利用される。キャリアテープCTの先端がノーマルカットの状態に処理されたならば「先端」に「ノーマル」が登録される。同様にハーフカットの状態に処理されたならば「先端」に「ハーフ」が登録される。キャリアテープCTの終端が切断されて巻芯MSから分離されたならば「終端」に「OK」が登録され、余剰部分YJが許容長さYJ0以下に処理されたならば「余剰部分」に「OK」が登録される。このキャリアテープ処理情報の更新は、作業者が後述する入力部44(図11)から入力した内容に基づいて後述する情報更新部45(図11)が行う。
【0051】
図11において、第1表示部36は、例えばディスプレイ装置から成る。データベース登録部35は、材料管理データベース23DBに登録された識別情報とこれに対応する終端判定結果とに基づいて、各リールRLにおけるキャリアテープCTの終端CTSの状態を第1表示部36に表示させる。すなわち本実施の形態におけるキャリアテープ管理装置1において、第1表示部36は、キャリアテープ管理装置1において、終端判定部32による判定結果を出力する判定結果出力部となっている。
【0052】
図11において、生産用データ記憶部24には生産用データ24Dが記憶されている。生産用データ24Dには、部品搭載装置2の運転に必要な生産プログラムのほか、部品搭載装置2において使用するテープフィーダ13の種類の情報と、キャリアテープCTの供給形態に関する情報(供給形態情報)等が登録されている。ここで「供給形態情報」とは、テープフィーダ13に装着される際のキャリアテープCTの荷姿に関する情報である。部品搭載装置2がリールRLを保持するリールホルダを使用予定であれば、供給形態情報は「リール」となり、リールRLから取り外されたキャリアテープCTを収納するカセットを保持するカセットホルダを使用予定であれば、供給形態は「カセット」が登録されている。
【0053】
図11において、キャリアテープ前処理支援部25は、第2読取り部41、キャリアテープ処理判定部42、第2表示部43、入力部44および情報更新部45を備えている。キャリアテープ前処理支援部25は、部品倉庫3から取り出されてテープフィーダ13にセットする前のキャリアテープCTに対して作業者が行う準備作業を支援する。
【0054】
第2読取り部41は、第1読取り部31と同様に、ここでは二次元バーコードから情報を読み取ることができるハンディタイプのスキャナから成る。第2読取り部41は、リールRLに取り付けられた第2のラベルLB2からそのリールRLの識別情報を読み取る。すなわち本実施の形態において、第2読取り部41は、リールRLの第2のラベルLB2に記録された識別情報を読み取るものとなっている。本実施の形態において第2読取り部41は、リールRLの識別情報を読み取る識別情報読取り部となっている。
【0055】
キャリアテープ処理判定部42は、準備作業としてキャリアテープCTに対して行う前処理の内容を判定する。具体的には、先端処理、終端処理、荷姿処理の内容について作業者が行うべき作業内容を判定する。キャリアテープ処理判定部42は、第2読取り部41が読み取った識別情報を頼りに、材料管理データベース23DBからキャリアテープ処理情報を取得する。また、識別情報に紐づけされている部品名で生産用データ記憶部24に記憶された生産用データ24Dを参照して使用が予定されているテープフィーダ13の種類および供給形態情報を取得する。キャリアテープ処理判定部42は、取得したキャリアテープ処理情報とテープフィーダ13の種類およびキャリアテープ処理情報に基づいて、作業者がキャリアテープCTに対して行うべき前処理の内容を判定するキャリアテープ処理判定を行う。そして、キャリアテープ処理判定部42は、この判定結果を第2表示部43に表示させて作業者に前処理の内容を通知する。
【0056】
(先端処理の判定)
キャリアテープ処理判定部42は、キャリアテープ処理情報と生産用データ24Dに登録されているテープフィーダ13の種類に基づいて先端処理の判定を行う。具体的には、自動剥離タイプAと自動剥離タイプBで使用が予定されているキャリアテープCTについては、先端CTTが前述の「ノーマルカット」の状態である必要がある。よって、キャリアテープ処理情報の「先端」に「ノーマル」が登録されていればキャリアテープCTの先端処理は不要と判定するが、「NO」や「ハーフ」の場合は「ノーマルカット」の状態にする先端処理が必要であると判定する。一方、自動剥離タイプCで使用が予定されているキャリアテープCTについては、先端CTTが前述の「ハーフカット」の状態である必要がある。よって、キャリアテープ処理情報の「先端」に「ハーフ」が登録されていればキャリアテープCTの先端処理は不要と判定するが、「NO」や「ノーマル」の場合は「ハーフカット」の状態に処理する先端処理が必要であると判定する。なお、マニュアルセットタイプで使用が予定されているキャリアテープCTについては、先端CTTの状態に関係なく使用できるのでキャリアテープ処理情報を参照するまでもなく先端処理は不要と判定する。
【0057】
(終端処理の判定)
キャリアテープ処理判定部42は、材料管理データベース23DBに登録されているキャリアテープ処理情報に含まれている終端処理情報(「終端」と「余剰部分」)に基づいて終端処理の判定を行う。具体的には、「終端」と「余剰部分」に「OK」が登録されていれば終端処理は不要と判定する。「終端」が「NO」の場合は、キャリアテープCTの終端を巻芯MSから分離する終端処理(巻芯分離)が必要と判定する。また「余剰部分」が「NO」の場合は、余剰部分YJを許容長さYJ0にする終端処理(余剰部分カット)が必要と判定する。
【0058】
(荷姿処理の判定)
キャリアテープ処理判定部42は、生産用データ24Dに登録されている供給形態情報と材料管理情報の荷姿情報に基づいてキャリアテープCTの荷姿を変更する荷姿処理の判定を行う。具体的には、供給形態情報と荷姿情報が「カセット」で一致もしくは「リール」で一致する場合、荷姿処理は不要と判定するが、供給形態情報が荷姿情報と一致しない場合は、供給形態情報の荷姿に変更する荷姿処理が必要と判定する。
【0059】
第2表示部43は、例えばディスプレイ装置から成る。第2表示部43は、キャリアテープ処理判定部42が判定した結果、すなわち作業者が前処理作業として行うべき内容を表示する。作業者は、第2表示部43にキャリアテープ処理判定部42でなされた判定結果が表示されたら、その表示された判定結果に従ってキャリアテープ前処理作業を行う。本実施の形態では、キャリアテープ処理判定部42と第2表示部43が、第2読取り部41(識別情報読取り部)が読み取った識別情報と材料管理データベース23DBに登録された終端処理情報とに基づいて、キャリアテープCTの終端に対して行う処理の内容を出力する処理情報出力部46(図11)を構成している。
【0060】
入力部44は、例えばキーボードやマウス等から成る。入力部44は、上記のキャリアテープ前処理作業を行った作業者がその行った前処理作業の内容を入力し、材料管理データベース23DBの更新を実行する操作を行う装置である。
【0061】
図14は、本開示の一実施の形態におけるキャリアテープ管理装置1の材料管理データベース23DBに登録された材料管理情報(キャリアテープ処理後)の一例を示す図である。情報更新部45は、入力部44から材料管理データベース23DBの更新を実行する操作が行われたら、入力部44から入力された内容が反映されるように、材料管理データベース23DBの更新を行う。図14は、材料管理データベース23DBにおいて情報が更新された後の材料管理情報(キャリアテープ処理後)を示している。
【0062】
図14には、前処理作業として必要であった先端処理が全て実行されたことと(図13における「NO」が図14における「ハーフカット」または「ノーマルカット」に変化)、同じく前処理作業として必要であった終端処理と余剰部分の処理が全て実行されたこと(図13における「NO」が図14における「OK」に変化)が示されている。また荷姿情報も、「リール」から「カセット」に荷姿を変更すべきものは全て変更されたことが示されている。
【0063】
次に、図15のフローチャートを用いて入庫処理の流れを説明する。図15は、本開示の一実施の形態におけるキャリアテープ管理装置1による入庫管理処理の流れを示すフローチャートである。ここで「入庫処理」とは、部品メーカーFCから送られてきたリールRLを部品倉庫3に入庫する際に実行される処理である。
【0064】
部品メーカーFCで製造されたリールRLを部品倉庫3に入庫する場合には、作業者は先ず、第1読取り部31を操作することによって、第1読取り部31に第1のラベルLB1の情報を読み取らせる(ステップST1)。第1読取り部31が第1のラベルLB1の情報を読み取ったら、入庫処理部22の終端判定部32は、第1のラベルLB1のバーコードに含まれるテープ種別と一致するテープ種別終端情報を終端情報データベース21DBから取得し(ステップST2)、対象となっているリールRLのキャリアテープCTに対する終端判定を行う(ステップST3)。
【0065】
終端判定部32が終端判定を行ったら、入庫処理部22の識別情報生成部33は識別情報(ID)を生成し(ステップST4)、ラベル発行部34は第2のラベルLB2を発行する(ステップST5)。ラベル発行部34によって第2のラベルLB2が発行されたら、入庫処理部22のデータベース登録部35は、ステップST3の終端判定結果とステップST4で生成された識別情報とを関連付けて材料管理データベース23DBに登録する(ステップST6)。これにより入庫処理は終了する。ステップST1~ステップST6の入庫処理は、入庫されるリールRL単位で実行される。なお、第2のラベルLB2は入庫処理を終えたリールRLに貼り付けられる。
【0066】
図13は、複数のリールRLの入庫処理が終わった直後の材料管理データベース23DBの材料管理情報を示している。キャリアテープ処理情報の「終端」と「余剰部分」には、終端判定部32の判定結果が登録され、「先端」と「荷姿情報」にはデータベース登録部35によって初期値が登録されている。
【0067】
このように、本実施の形態におけるキャリアテープ管理装置1では、キャリアテープCTの終端CTSの状態を示す終端情報がキャリアテープCTの種別(テープ種別)ごとに登録された終端情報データベース21DBと、リールRLのコード情報を読み取る第1読取り部31と、コード情報に含まれる情報に一致するテープ種別の終端情報を終端情報データベース21DBから取得してリールRLに巻き取られているキャリアテープCTの終端の状態を判定する終端判定部32と、終端判定部32による判定結果をリールRL単位で登録する材料管理データベース23DBと、を備えている。これにより作業者は、入庫されるリールRLのキャリアテープCTの終端の状態(終端の情報)を認識していなくても、第1読取り部31によりリールRLのコード情報を読み取る操作をするだけで、終端判定部32の判定結果を含む材料管理データベース23DBを作成することができる。
【0068】
次に、図16のフローチャートを用いてキャリアテープ前処理作業の流れを説明する。図16は、本開示の一実施の形態におけるキャリアテープ管理装置1によるキャリアテープ前処理作業の流れを示すフローチャートである。キャリアテープ前処理作業とは、部品倉庫3から取り出したキャリアテープCTをテープフィーダ13で使用できる状態にする準備作業である。キャリアテープ前処理作業では、作業者は先ず、キャリアテープ前処理支援部25の第2読取り部41を操作することによって、第2読取り部41に第2のラベルLB2に記録された識別情報を読み取らせる(ステップST11)。
【0069】
第2読取り部41が第2のラベルLB2から識別情報を読み取ったら、キャリアテープ前処理支援部25のキャリアテープ処理判定部42は、材料管理データベース23DBから、第2のラベルLB2に含まれる識別情報と一致する識別情報のキャリアテープ処理情報を取得するとともに(ステップST12)、生産用データ24Dから、第2のラベルLB2に含まれる識別情報と一致する識別情報の供給形態情報と使用するテープフィーダ13の種類の情報を取得する(ステップST13)。
【0070】
キャリアテープ処理判定部42は、キャリアテープ処理情報と供給形態情報および使用するテープフィーダ13の種類の情報を取得したら、対象となっているリールRLのキャリアテープCTに対して行う前処理を判定するキャリアテープ処理判定を行う(ステップST14)。
【0071】
キャリアテープ処理判定は、先端処理、終端処理、荷姿処理の内容について作業者が行うべき作業内容の判定が行われる。キャリアテープ処理判定部42は、キャリアテープ処理判定を行ったら、第2表示部43にキャリアテープ処理内容を表示させる(ステップST15)。第2表示部43には、先端処理、終端処理、荷姿処理のうち必要な作業の内容がまとめて表示される。作業者は第2表示部43に表示されたキャリアテープ処理内容に従った作業を実行する(ステップST16)。
【0072】
ここで、キャリアテープ処理判定部42と第2表示部43は、第2読取り部41が読み取った識別情報と材料管理データベース23DBに登録された終端処理情報とに基づいて、キャリアテープCTの終端CTSに対して行う処理の内容を出力する処理情報出力部46として機能する。また、キャリアテープ処理判定部42と第2表示部43は、第2読取り部41が読み取った識別情報を頼りに生産用データ24Dからテープフィーダ13の種類を読み取ってキャリアテープCTの先端CTTに対して行う処理の内容を出力する処理情報出力部46としても機能する。更に、キャリアテープ処理判定部42と第2表示部43は、第2読取り部41が読み取った識別情報を頼りに生産用データ24Dから供給形態情報を読み取ってリールRLに対して行う処理の内容を出力する処理情報出力部46としても機能する。
【0073】
このように本実施の形態におけるキャリアテープ管理装置1では、キャリアテープCTの終端処理情報がリールRLに付与された識別情報に関連付けて登録された材料管理データベース23DBと、リールRLの識別情報を読み取る識別情報読取り部(第2読取り部41)と、識別情報読取り部で読み取った識別情報と材料管理データベース23DBに登録された終端処理情報とに基づいてキャリアテープCTの終端CTSに対して行う処理(終端処理)の内容を出力する処理情報出力部46を備えており、リールRLの識別情報の読み取りがなされると、そのリールRLに巻き取られているキャリアテープCTについての前処理作業が第2表示部43に出力されるようになっている。このため作業者は、キャリアテープCTについての前処理作業(終端処理)の内容を予め把握していなくても、識別情報読取り部によってリールRLの識別情報を読み取る操作を行うだけで、キャリアテープCTの前処理作業を迅速に行うことが可能である。
【0074】
また、本実施の形態におけるキャリアテープ管理装置1では、キャリアテープCTを使用するテープフィーダ13の種類が登録された生産用データ24Dと、キャリアテープCTが巻き取られたリールRLの識別情報を読み取る識別情報読取り部(第2読取り部41)と、識別情報読取り部が読み取った識別情報を頼りに生産用データ24Dからテープフィーダ13の種類を読み取ってキャリアテープCTの先端に対して行う処理(先端処理)の内容を出力する処理情報出力部46を備えており、識別情報読取り部によってリールRLの識別情報の読み取りがなされると、そのリールRLに巻き取られているキャリアテープCTの前処理作業が処理情報出力部46より出力されるようになっている。このため作業者は、キャリアテープCTについての前処理作業(先端処理)の内容を予め把握していなくても、識別情報読取り部によってリールRLの識別情報を読み取る操作を行うだけで、キャリアテープCTの前処理作業を迅速に行うことが可能である。
【0075】
また、本実施の形態におけるキャリアテープ管理装置1では、キャリアテープCTを使用する際の荷姿に関する供給形態情報が登録された生産用データ24Dと、キャリアテープCTが巻き取られたリールRLの識別情報を読み取る識別情報読取り部(第2読取り部41)と、識別情報読取り部が読み取った識別情報を頼りに生産用データ24Dから供給形態情報を読み取ってリールRLに対して行う処理の内容を出力する処理情報出力部46を備えており、識別情報読取り部によってリールRLの識別情報の読み取りがなされると、そのリールRLに巻き取られているキャリアテープCTの前処理作業の内容が処理情報出力部46によって出力されるようになっている。このため作業者は、キャリアテープCTについての前処理作業(荷姿処理)の内容を予め把握していなくても、識別情報読取り部によってリールRLの識別情報を読み取る操作を行うだけで、キャリアテープCTの前処理作業を迅速に行うことが可能である。
【0076】
作業者は、ステップST16において、第2表示部43に表示されたキャリアテープ処理の内容に従って必要な処理(キャリアテープ前処理作業)を行ったら、入力部44から作業者がその行った処理の内容を入力する(ステップST17)。そして、材料管理データベース23DBの更新を実行する操作を行うと、キャリアテープ前処理支援部25の情報更新部45は、ステップST17で入力部44から入力された内容が反映されるように、材料管理データベース23DBの更新を行う(ステップST18)。これによりキャリアテープ前処理作業は終了する。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態におけるキャリアテープ管理装置1によれば、作業者は、リールRLから必要な情報を読み取る操作をすれば、そのリールRLに巻き取られているキャリアテープCTについての情報を得ることができるので、キャリアテープCTについて行う作業の内容を予め把握していなくても、その作業を誤りなく確実に行うことができる。
【0078】
これまで本開示の実施の形態について説明してきたが、本開示は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、終端情報データベース21DB、材料管理データベース23DB、生産用データ24Dはそれぞれ別個の記憶部(終端情報データベース記憶部21、材料管理データベース記憶部23、生産用データ記憶部24)に記憶されるようになっていたが、同一の記憶部に記憶されるようになっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
キャリアテープに対する作業を行う作業者を支援するためのキャリアテープ管理装置を提供する。
【符号の説明】
【0080】
1 キャリアテープ管理装置
2 部品搭載装置
3 部品倉庫
13,13a,13b,13c,13d テープフィーダ
13K 部品取出し位置
14 装着ヘッド
21DB 終端情報データベース
23DB 材料管理データベース
24D 生産用データ
31 第1読取り部
32 終端判定部
33 識別情報生成部
34 ラベル発行部
35 データベース登録部
36 第1表示部(判定結果出力部)
41 第2読取り部(識別情報読取り部)
42 キャリアテープ処理判定部
43 第2表示部
46 処理情報出力部
RL リール
MS 巻芯
LB1 第1のラベル
LB2 第2のラベル
CT キャリアテープ
CTS 終端
CTT 先端
YJ 余剰部分
BH 部品(電子部品)
BHL 最終部品
SS 作業システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16