(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】防災受信機、防災システム、ネットワークシステム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 29/12 20060101AFI20241018BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G08B29/12
G08B17/00 D
(21)【出願番号】P 2020086977
(22)【出願日】2020-05-18
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】珍坂 舞
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-135584(JP,A)
【文献】特開平09-034956(JP,A)
【文献】特開2008-217415(JP,A)
【文献】特開2004-118776(JP,A)
【文献】特開2016-212866(JP,A)
【文献】特開平10-171868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C2/00-99/00
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G08B17/00
23/00-31/00
G16Z99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信線に接続された複数の防災機器との間で前記通信線を介して通信する通信部と、
前記複数の防災機器のうちの少なくとも一つから前記通信線を介して送信される発報信号に基づいて警報動作を行う警報処理部と、
前記通信線に接続されている前記複数の防災機器の各々を特定するための接続情報を取得する第1取得部と、
前記通信線に接続されている前記複数の防災機器の各々の機器の状態に関する状態情報を取得する第2取得部と、
前記接続情報及び前記状態情報に基づいて得られる、前記複数の防災機器の各々について正常と異常とを区別可能な態様で示す機器情報を、複数のデータフォーマットのうちから選択される一つのデータフォーマットの形式で
、ネットワークを介して外部
装置に出力する出力部と、
を備え、
前記複数のデータフォーマットは、基本データフォーマットと、前記基本データフォーマットと一部が異なる適応データフォーマットと、を含む、
防災受信機。
【請求項2】
通信線に接続された複数の防災機器との間で前記通信線を介して通信する通信部と、
前記複数の防災機器のうちの少なくとも一つから前記通信線を介して送信される発報信号に基づいて警報動作を行う警報処理部と、
前記通信線に接続されている前記複数の防災機器の各々を特定するための接続情報を取得する第1取得部と、
前記通信線に接続されている前記複数の防災機器の各々の機器の状態に関する状態情報を取得する第2取得部と、
前記接続情報及び前記状態情報に基づいて得られる、前記複数の防災機器の各々について正常と異常とを区別可能な態様で示す機器情報を、複数のデータフォーマットのうちから選択される一つのデータフォーマットの形式で外部に出力する出力部と、
を備え、
前記複数のデータフォーマットは複数の地域にそれぞれ対応しており、
前記出力部は、前記複数の地域のうちで防災受信機が設置されている地域に応じたデータフォーマットで前記機器情報を出力する、
防災受信機。
【請求項3】
前記機器情報は、前記複数の防災機器の各々について、正常を示す情報及び異常を示す情報のうちのいずれか一方を含む、
請求項1又は2に記載の防災受信機。
【請求項4】
所定の印刷テンプレートに従って前記機器情報を印字出力する印字出力部を更に備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の防災受信機。
【請求項5】
前記印刷テンプレートにおいて、前記複数の防災機器は、設置場所、機種、機器の個数及び電気的特性のうちの少なくとも一つによって区別される、
請求項4に記載の防災受信機。
【請求項6】
前記接続情報と前記状態情報とに基づいて前記機器情報を生成する情報生成部を更に備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載の防災受信機。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の防災受信機と、
前記複数の防災機器と、
を備える、
防災システム。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の防災受信機と、
前記出力部から出力される前記機器情報をネットワークを介して受け取る外部装置と、を備える、
ネットワークシステム。
【請求項9】
防災受信機として動作する機器における情報処理方法であって、
通信線に接続された複数の防災機器のうちの少なくとも一つから前記通信線を介して送信される発報信号に基づいて警報動作を行うことと、
前記通信線に接続されている前記複数の防災機器の各々を特定するための接続情報を取得することと、
前記通信線に接続されている前記複数の防災機器の各々の機器の状態に関する状態情報を取得することと、
前記接続情報及び前記状態情報に基づいて得られる、前記複数の防災機器の各々について正常と異常とを区別可能な態様で示す機器情報を、複数のデータフォーマットのうちから選択される一つのデータフォーマットの形式で
、ネットワークを介して外部
装置に出力することと、
を含み、
前記複数のデータフォーマットは、基本データフォーマットと、前記基本データフォーマットと一部が異なる適応データフォーマットと、を含む、
情報処理方法。
【請求項10】
防災受信機として動作する機器における情報処理方法であって、
通信線に接続された複数の防災機器のうちの少なくとも一つから前記通信線を介して送信される発報信号に基づいて警報動作を行うことと、
前記通信線に接続されている前記複数の防災機器の各々を特定するための接続情報を取得することと、
前記通信線に接続されている前記複数の防災機器の各々の機器の状態に関する状態情報を取得することと、
前記接続情報及び前記状態情報に基づいて得られる、前記複数の防災機器の各々について正常と異常とを区別可能な態様で示す機器情報を、複数のデータフォーマットのうちから選択される一つのデータフォーマットの形式で外部に出力することと、
を含み、
前記複数のデータフォーマットは複数の地域にそれぞれ対応しており、
前記複数の地域のうちで前記防災受信機が設置されている地域に応じたデータフォーマットで、前記機器情報を前記外部に出力する、
情報処理方法。
【請求項11】
1以上のプロセッサに、請求項9又は10に記載の情報処理方法を実行させるための、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に防災受信機、防災システム、ネットワークシステム、情報処理方法、及びプログラムに関する。本開示は、より詳細には、通信線に接続された複数の防災機器との間で通信する防災受信機、防災受信機を備える防災システム及びネットワークシステム、防災受信機で行われる情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、防災用監視システムの一例が開示されている。防災用監視システムは、防災受信機と、重複しない固有のアドレスが割り当てられた複数の感知器と、防災受信機と複数の感知器とを多重伝送方式で接続する共通の監視回線(感知器回線)と、を備えている。
【0003】
防災受信機では、自己点検装置が、時計部からの時刻信号に基づいて、定期的に、複数の感知器の自動点検を行っている。また、防災受信機では、自己点検結果印字スイッチが操作されると、過去6ヶ月分の複数回の自動点検結果情報と、最新1回分の詳細な自動点検結果情報とを、プリンタにより印字出力できる。
【0004】
過去の自動点検結果情報は、圧縮された情報であり、自己点検結果情報を格納した月、日、及び時刻の情報、感知器試験結果が正常か異常かに関する情報、電路試験結果が正常か異常かに関する情報、電源等試験結果が正常か異常かに関する情報、予備電源試験結果が正常か異常かに関する情報、並びに、火災表示試験結果が正常か異常かに関する情報を含んでいる。
【0005】
最新1回分の自動点検結果情報は、自己点検結果情報を格納した月、日、及び時刻の情報、感知器試験結果が異常であった機器(防災受信機及び感知器)を示す情報、電路試験結果が異常であった機器を示す情報、電源等試験結果が異常であった機器を示す情報、予備電源試験結果が異常であった機器を示す情報、並びに、火災表示試験結果が異常であった機器を示す情報を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の防災用監視システムでは、過去の自動点検結果情報については、試験結果ごとに正常か異常かが表示されるだけであり、また、最新1回分の自動点検結果情報については、異常のある機器が表示されるだけである。そのため、防災受信機に接続されている機器のうちで正常な機器を知るためには、まず、防災受信機に接続されている全ての機器を把握する必要がある。そのため、特許文献1の防災用監視システムでは、正常な機器の判別が容易でない場合があり、利便性に向上の余地がある。
【0008】
本開示は、利便性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る防災受信機は、通信部と、警報処理部と、第1取得部と、第2取
得部と、出力部と、を備える。前記通信部は、通信線に接続された複数の防災機器との間で前記通信線を介して通信する。前記警報処理部は、前記複数の防災機器のうちの少なくとも一つから前記通信線を介して送信される発報信号に基づいて警報動作を行う。前記第1取得部は、前記通信線に接続されている前記複数の防災機器の各々を特定するための接続情報を取得する。第2取得部は、前記通信線に接続されている前記複数の防災機器の各々の機器の状態に関する状態情報を取得する。前記出力部は、前記接続情報及び前記状態情報に基づいて得られる、前記複数の防災機器の各々について正常と異常とを区別可能な態様で示す機器情報を、複数のデータフォーマットのうちから選択される一つのデータフォーマットの形式で、ネットワークを介して外部装置に出力する。前記複数のデータフォーマットは、基本データフォーマットと、前記基本データフォーマットと一部が異なる適応データフォーマットと、を含む。
本開示の一態様に係る防災受信機は、通信部と、警報処理部と、第1取得部と、第2取
得部と、出力部と、を備える。前記通信部は、通信線に接続された複数の防災機器との間で前記通信線を介して通信する。前記警報処理部は、前記複数の防災機器のうちの少なくとも一つから前記通信線を介して送信される発報信号に基づいて警報動作を行う。前記第1取得部は、前記通信線に接続されている前記複数の防災機器の各々を特定するための接続情報を取得する。第2取得部は、前記通信線に接続されている前記複数の防災機器の各々の機器の状態に関する状態情報を取得する。前記出力部は、前記接続情報及び前記状態情報に基づいて得られる、前記複数の防災機器の各々について正常と異常とを区別可能な態様で示す機器情報を、複数のデータフォーマットのうちから選択される一つのデータフォーマットの形式で外部に出力する。前記複数のデータフォーマットは複数の地域にそれぞれ対応している。前記出力部は、前記複数の地域のうちで前記防災受信機が設置されている地域に応じたデータフォーマットで前記機器情報を出力する。
【0010】
本開示の一態様に係る防災システムは、前記防災受信機と、前記複数の防災機器と、を備える。
【0011】
本開示の一態様に係るネットワークシステムは、前記防災受信機と、外部装置と、を備える。前記外部装置は、前記出力部から出力される前記機器情報をネットワークを介して受け取る。
【0012】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、防災受信機として動作する機器における情報処理方法である。前記情報処理方法は、通信線に接続された複数の防災機器のうちの少なくとも一つから前記通信線を介して送信される発報信号に基づいて警報動作を行うことを含む。前記情報処理方法は、前記通信線に接続されている前記複数の防災機器の各々を特定するための接続情報を取得することを含む。前記情報処理方法は、前記通信線に接続されている前記複数の防災機器の各々の機器の状態に関する状態情報を取得することを含む。前記情報処理方法は、前記接続情報及び前記状態情報に基づいて得られる、前記複数の防災機器の各々について正常と異常とを区別可能な態様で示す機器情報を、複数のデータフォーマットのうちから選択される一つのデータフォーマットの形式で、ネットワークを介して外部装置に出力することを含む。前記複数のデータフォーマットは、基本データフォーマットと、前記基本データフォーマットと一部が異なる適応データフォーマットと、を含む。
本開示の一態様に係る情報処理方法は、防災受信機として動作する機器における情報処理方法である。前記情報処理方法は、通信線に接続された複数の防災機器のうちの少なくとも一つから前記通信線を介して送信される発報信号に基づいて警報動作を行うことを含む。前記情報処理方法は、前記通信線に接続されている前記複数の防災機器の各々を特定するための接続情報を取得することを含む。前記情報処理方法は、前記通信線に接続されている前記複数の防災機器の各々の機器の状態に関する状態情報を取得することを含む。前記情報処理方法は、前記接続情報及び前記状態情報に基づいて得られる、前記複数の防災機器の各々について正常と異常とを区別可能な態様で示す機器情報を、複数のデータフォーマットのうちから選択される一つのデータフォーマットの形式で外部に出力することを含む。前記複数のデータフォーマットは複数の地域にそれぞれ対応している。前記情報処理方法では、前記複数の地域のうちで前記防災受信機が設置されている地域に応じたデータフォーマットで、前記機器情報を前記外部に出力する。
【0013】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、前記情報処理方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、利便性の向上を図ることが可能となる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る防災受信機を備えた防災システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の防災受信機から出力される表示フォーマットの一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、同上の防災受信機から出力される表示フォーマットの一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、同上の防災受信機から出力される表示フォーマットの一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、同上の防災受信機から出力される表示フォーマットの一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、同上の防災受信機から出力される表示フォーマットの一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、一変形例に係る情報処理方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態に係る防災受信機、防災システム、ネットワークシステム、情報処理方法、及びプログラムについて、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0017】
(1)概要
図1に示すように、本実施形態の防災受信機(受信機)1は、通信部11と、警報処理部F1と、第1取得部F2と、第2取得部F3と、出力部18と、を備える。
【0018】
通信部11は、通信線L0に接続された複数の防災機器9との間で通信線L0(第1通信線L1及び第2通信線L2)を介して通信する。防災機器9は、例えば、火災等の災害を未然に防いだり、災害による被害の拡大を防いだりするために用いられる機器である。複数の防災機器9は、ここでは、複数の感知器2を含んでいる。
【0019】
警報処理部F1は、複数の防災機器9のうちの少なくとも一つから通信線L0を介して送信される発報信号に基づいて、警報動作を行う。
【0020】
第1取得部F2は、接続情報を取得する。接続情報は、通信線L0に接続されている複数の防災機器9の各々を特定するための情報である。
【0021】
第2取得部F3は、状態情報を取得する。状態情報は、通信線L0に接続されている複数の防災機器9の各々の機器の状態に関する情報である。
【0022】
出力部18は、機器情報S0を外部に出力する。機器情報S0は、接続情報及び状態情報に基づいて得られる、複数の防災機器9の各々について正常と異常とを区別可能な態様で示す情報である。
【0023】
本実施形態の防災受信機1は、複数の防災機器9の各々について正常と異常とを区別可能な態様で示す機器情報S0を、外部に出力する。そのため、外部の例えばユーザは、防災受信機1に接続されている複数の防災機器9の全てについて、正常であるか異常であるかを知ることができる。そのため、正常な防災機器9を容易に判別することが可能となり、利便性の向上を図ることが可能となる。
【0024】
防災システム100は、防災受信機1と、複数の防災機器9と、を備える。ネットワークシステム200は、防災受信機1と、出力部18から出力される機器情報S0をネットワークNT1を介して受け取る外部装置8と、を備える。本実施形態の防災システム100及びネットワークシステム200は、防災受信機1を備えているため、そのユーザは、正常な防災機器9を容易に判別することが可能となり、利便性の向上を図ることが可能となる。
【0025】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る防災受信機1、及び防災受信機1を含む防災システム100及びネットワークシステム200について、
図1~
図6を参照しながらより詳細に説明する。
【0026】
防災システム100は、例えば、自動火災報知システムである。自動火災報知システムは、火災の発生を検知したときに、火災の発生を、防火対象物の在館者に報知するシステムである。防火対象物としては、例えば、オフィスビル、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、飲食店、百貨店、ホテル、旅館、病院、老人ホーム、幼稚園、学校、図書館、博物館、美術館、地下街、駅、空港、集合住宅等が挙げられる。
【0027】
本実施形態の防災システム100は、
図1に示すように、防災受信機1と、複数の防災機器9と、を備えている。ここでは、複数の防災機器9は複数の感知器2を含む。また、防災システム100は、複数の中継器3と、複数の発信機4と、を備えている。また、防災システム100は、地区音響装置5を備えている。
【0028】
防災受信機1と複数の中継器3とは、通信線L0のうちの第1通信線L1により接続されている。防災受信機1と複数の中継器3とは、一例として、R型(Record-type)の通信方式で通信する。より詳細には、防災受信機1と複数の中継器3とは、第1通信線L1を介して時分割多重伝送方式により通信する。時分割多重伝送方式の通信プロトコルとしては、例えば、NMAST(登録商標)の通信規格を採用することができる。防災システム100では、防災受信機1及び複数の中継器3それぞれが、固有のアドレス(識別情報)を有している。防災受信機1及び中継器3のアドレスは、例えば、防災システム100の施工時等に、アドレス設定器等によって設定することができる。
【0029】
複数の中継器3の各々と複数の感知器2及び発信機4とは、通信線L0のうちの第2通信線L2により接続されている。すなわち、中継器3には第2通信線L2が接続されており、この第2通信線L2に複数の感知器2及び発信機4が接続されている。防災システム100では、1つの第2通信線L2を1つの回線としている。複数の感知器2及び発信機4は、一例として、P型(Proprietary-type)の通信方式で中継器3と通信する。防災システム100では、複数の感知器2それぞれが、固有のアドレス(識別情報)を有している。感知器2のアドレスは、例えば、防災システム100の施工時等に、アドレス設定器等によって設定することができる。複数の中継器3の各々は、防災受信機1と複数の感知器2との間の通信を中継する。
【0030】
各感知器2は、火災の発生を検知すると、火災の発生を通知する発報信号(以下、「火災報」ともいう)を、第2通信線L2に出力する。各発信機4は、一例として、押し釦を有し、押し釦が押し操作されると火災報を第2通信線L2に出力する。中継器3は、火災報を受信すると、第1通信線L1を介して火災報を防災受信機1に送信する。したがって、防災受信機1は、複数の感知器2及び複数の発信機4のうちの少なくとも1つから、通信線L0(第1通信線L1及び第2通信線L2)を介して火災報を受信することができる。
【0031】
防災受信機1と地区音響装置5とは、制御線L20により接続されている。地区音響装置5は、防災受信機1が火災報を受信したときに、鳴動するように防災受信機1によって制御される。地区音響装置5は、例えば、建物内の各所に設置される。地区音響装置5は、例えば、ベルと、ベルを鳴動させるモータと、を有するモータ式のベルである。
【0032】
以下、防災システム100の各構成について、より詳細に説明する。
【0033】
複数の感知器2の各々は、例えば、建物内の天井材、壁材等に取り付けられる。
【0034】
図1では、複数の感知器2のうちの4つのみを示し、その他の感知器2の図示を省略している。以下では、これら4つの感知器2を区別する場合、感知器2A,2B,2C,2Dと表記する。
図1の例では、感知器2Aと感知器2Bとが、1つの第2通信線L2を介して同一の中継器3に接続されており、感知器2Cと感知器2Dとが、他の1つの第2通信線L2を介して他の同一の中継器3に接続されている。
【0035】
複数の感知器2は、ここでは、機種の異なる複数の感知器2を含む。感知器2の機種は、「火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令」等で定められており、例えば、差動式スポット型、差動式分布型、定温式スポット型、定温式感知線型、補償式スポット型、熱アナログ式スポット型、イオン化式スポット型、光電式スポット型、光電式分離型、イオン化アナログ式スポット型、光電アナログ式スポット型、光電アナログ式分離型、紫外線式スポット型、赤外線式スポット型、紫外線赤外線併用式スポット型、熱煙複合式スポット型、煙複合式スポット型、炎複合式スポット型等がある。このうち、差動式スポット型感知器、差動式分布型感知器、定温式スポット型感知器、定温式感知線型感知器、補償式スポット型感知器、熱アナログ式スポット型感知器は、火災の熱を検知することにより火災を検知するいわゆる熱感知器である。イオン化式スポット感知器、光電式スポット型感知器、光電式分離型感知器、イオン化アナログ式スポット型感知器、光電アナログ式スポット型感知器、光電アナログ式分離型感知器は、火災の煙を検知することにより火災を検知するいわゆる煙感知器である。紫外線式スポット型感知器、赤外線式スポット型感知器、紫外線赤外線併用式スポット型感知器は、火災の炎を検知することにより火災を検知するいわゆる炎感知器である。熱煙複合式スポット型感知器、煙複合式スポット型感知器、炎複合式スポット型感知器は、2つの異なった機能を併せ持つ感知器である。
図1の例では、例えば、感知器2A及び2Bの各々は差動式スポット型感知器であり、感知器2Cは光電式スポット型感知器であり、感知器2Dは紫外線式スポット型感知器である。
【0036】
複数の感知器2の各々は、通信部21と、記憶部22と、検知部24と、制御部23と、を備える。
【0037】
通信部21は、第2通信線L2を介して中継器3に接続されている。通信部21は、第2通信線L2を介して中継器3と通信可能である。
【0038】
記憶部22は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性メモリを有する。感知器2では、自身のアドレス(第2アドレス)等が、記憶部22に記憶されている。
【0039】
検知部24は、火災の発生を検知する。感知器2は、その機種によって、検知部24の構成が異なる。例えば、差動式スポット型の感知器2A,2Bの各々の検知部24は、火災による急激な温度上昇により生じる感知器2内部の空気の急激な膨張を検知することで、火災の発生を検知する。例えば、光電式スポット型の感知器2Cの検知部24は、火災により発生する煙によって乱反射された発光部からの光を受光部で受光することで、火災の発生を検知する。例えば、紫外線式スポット型の感知器2Dの検知部24は、火災時に発生する炎に含まれる紫外線の変化が一定量以上となるかを検知することで、火災の発生を検知する。
【0040】
制御部23は、通信部21、記憶部22及び検知部24を制御する。制御部23は、例えば、マイクロコントローラを含む。マイクロコントローラは、プログラムに従って動作するプロセッサと、プロセッサを動作させるプログラムを格納するためのメモリ及び作業用のメモリと、を備えた1チップのデバイスとして構成される。制御部23に関しては、マイクロコントローラに適宜のプログラムを実行させることにより、制御部23を実現することができる。
【0041】
制御部23は、記憶部22に記憶されているアドレスを読み出すことができる。また、制御部23は、通信部21にて中継器3からの試験要求を取得したときに、検知部24を制御することで自動試験を行う。熱感知器は、自動試験機能として、熱感知のための機能が適正に維持されているか否かを自動試験する機能を有する。煙感知器は、自動試験機能として、煙感知のための機能が適正に維持されているか否かを自動試験する機能を有する。炎感知器は、自動試験機能として、炎感知のための機能が適正に維持されているか否かを自動試験する機能を有する。
【0042】
制御部23は、通信部21により第2通信線L2の線間の電圧を変化させて通信部21から中継器3の第2通信部32へ信号を送信させるように、通信部21を制御する。これにより、制御部23は、中継器3へ、発報信号(火災報)を送信でき、また、自動試験の試験結果を送信できる。
【0043】
複数の感知器2が接続されている第2通信線L2の終端には、発信機4が接続されている。発信機4は、防災受信機1に対して2線式の応答線L10により接続されている。発信機4は、押し釦を有し、押し釦が押し操作されたときに、火災報を第2通信線L2に出力する。ここにおいて、中継器3は、火災報を受信すると、第1通信線L1を介して火災報を防災受信機1に送信する。発信機4は、ここではP型1級発信機であるが、これに限らず、P型2級発信機等でもよいし、T型発信機等でもよい。発信機4には、表示灯が一体に設けられている。
【0044】
複数の中継器3の各々は、第1通信部31と、第2通信部32と、記憶部34と、制御部33と、を備える。
【0045】
第1通信部31は、防災受信機1との通信を行う。第1通信部31は、第1通信線L1に接続されており、時分割多重伝送方式により防災受信機1との通信を行う。第2通信部32は、複数の感知器2との通信を行う。第2通信部32は、第2通信線L2に接続されており、第2通信線L2の電線間の電圧を変化させて、第2通信線L2に接続されている複数の感知器2の各々との通信を行う。
【0046】
記憶部34は、例えば、EEPROM等の不揮発性メモリを有する。中継器3では、自身のアドレス及び自身に接続される複数の感知器2の各々のアドレス等が、記憶部34に記憶されている。
【0047】
制御部33は、第1通信部31、第2通信部32及び記憶部34を制御する。制御部33は、例えば、マイクロコントローラを含む。マイクロコントローラは、プログラムに従って動作するプロセッサと、プロセッサを動作させるプログラムを格納するためのメモリ及び作業用のメモリと、を備えた1チップのデバイスとして構成される。制御部33に関しては、マイクロコントローラに適宜のプログラムを実行させることにより、制御部33を実現することができる。
【0048】
中継器3では、制御部33は、第1通信部31を介して防災受信機1からの自動試験に関する試験要求を取得したときに、第2通信部32から複数の感知器2に対して自動試験要求が送信されるように、第2通信部32を制御する。「自動試験に関する試験要求」とは、防災受信機1から感知器2に、その感知器2の自動試験機能による自動試験の実施と、自動試験の試験結果の応答と、を要求するコマンドである。中継器3の制御部33は、防災受信機1からの試験要求を取得したときに、第2通信部32から試験要求の要求先の感知器2に対して自動試験要求が送信されるように第2通信部32を制御する。
【0049】
防災受信機1は、例えば、防火対象物である建物の防災センタや管理室等に設置される。防災受信機1の設置形態は、自立型であるが、これに限らず、壁掛型でもよい。防災受信機1は、例えば、GR型受信機である。防災受信機1は、外部電源から給電される。外部電源は、例えば、交流100Vの商用電源である。防災受信機1は、商用電源の停電時等にも動作可能とするための予備電源を備えている。予備電源は、例えばニッケル・カドミウム(NiCd)蓄電池である。
【0050】
防災受信機1は、警報処理部F1を備えている。警報処理部F1は、建物内の警戒区域に設置されている感知器2、発信機4等からの火災報(火災の発生を通知する発報信号)を受信したときに、火災の発生を報知する動作を行う。火災の発生を報知する動作は、例えば、建物内に設置された地区音響装置5を鳴動させる動作と、ネットワークNT1を介して建物の外部の施設(例えば消防署等)に通報する動作と、を含む。これにより、防災システム100では、避難と初期消火活動を促すことが可能となる。警戒区域は、例えば、日本国の消防法においては、1つの警戒区域の面積が600m2以下であり且つ1辺の長さが50m以下であること、2つ以上の階にわたらないこと、等が規定されている。
【0051】
防災受信機1は、通信部11と、電源部12と、記憶部13と、表示部14と、操作部15と、電源供給部16と、制御部17と、出力部18と、印字出力部19と、を備える。
【0052】
通信部11には、第1通信線L1が接続されている。通信部11は、第1通信線L1を介して、複数の中継器3等との通信を時分割多重伝送方式により行う。
【0053】
電源部12は、外部電源から供給される電圧(実効値が100Vの交流電圧)から所定の電圧値(例えば、24V)の直流電圧を生成する。電源部12は、例えば、直流安定化回路、降圧チョッパ回路等である。なお、電源部12は、上述のように、予備電源も備えている。
【0054】
記憶部13は、種々の情報を記憶する。記憶部13は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性メモリを有する。
【0055】
記憶部13は、例えば、防災受信機1のアドレス、複数の中継器3の各々のアドレス、複数の感知器2の各々のアドレス、複数の発信機4のアドレス等を記憶する。
【0056】
また、記憶部13は、例えば、防災受信機1を含む防災システム100が設置される建物に関する情報(用途、延べ面積、階数等)を記憶する。
【0057】
記憶部13は、例えば、防災受信機1の種類(P型、R型等の別、及び蓄積式、二信号式等であるか等)に関する情報、防災受信機1に接続される回線数(使用中の回線数、最大回線数等)に関する情報、防災受信機1の電気的特性(定格電圧等)に関する情報、防災受信機1の予備電源の種類及び電気的特性(定格電圧、定格電力等)に関する情報、防災受信機1の自動試験の試験結果に関する情報、防災受信機1の設置場所の名称に関する情報等を記憶する。
【0058】
記憶部13は、例えば、複数の感知器2の各々の機種に関する情報、複数の感知器2の各々の種別に関する情報、複数の感知器2の各々から受信した自動試験の試験結果に関する情報、複数の感知器2の各々の設置場所(設置されている警戒区域名)に関する情報等を記憶する。記憶部13では、各感知器2のアドレスに対応付けて、その感知器2に関する情報が記憶されている。
【0059】
記憶部13は、例えば、複数の中継器3の各々の種類(アナログ式・蓄積式等)に関する情報、複数の中継器3の各々の予備電源の電気的特性(定格電圧、定格電力等)に関する情報等を記憶する。記憶部13では、各中継器3のアドレスに対応付けて、その中継器3に関する情報が記憶されている。
【0060】
記憶部13は、例えば、複数の発信機4の各々の種類に関する情報等を記憶する。
【0061】
記憶部13は、例えば、地区音響装置5の種類に関する情報、地区音響装置5の電気的特性(定格電圧、定格電流等)に関する情報等を記憶する。
【0062】
また、記憶部13は、複数のデータフォーマットを記憶する。データフォーマットは、出力部18から出力されるべき出力情報の記述方法を定める情報である。データフォーマットは、出力情報に含まれるべき複数の項目(要素)、項目の順番、出力情報の記法等を定める。
【0063】
複数のデータフォーマットは、基本データフォーマットと、一以上の適応データフォーマットと、を含み得る。各適応データフォーマットは、例えば、基本データフォーマットの一部を変更したフォーマットである。
【0064】
適応データフォーマットは、例えば、基本データフォーマットに対して、含まれている項目の内容が異なり得る。適応データフォーマットは、例えば、基本データフォーマットに対して項目の順番が異なり得る。適応データフォーマットは、例えば、基本データフォーマットに含まれない追加の項目を含み得る。適応データフォーマットでは、例えば、基本データフォーマットに含まれている項目の一部が省略され得る。
【0065】
また、記憶部13は、印刷設定情報を記憶する。印刷設定情報は、印字出力部19から印字情報を出力する際の様式等を定める情報である。印刷設定情報は、印字される文字の大きさ及び線種等の情報を含み得る。
【0066】
印刷テンプレートは、複数の記入欄、記入欄の順番等の情報を含み得る。複数の記入欄は、印字情報に含まれる複数の項目(要素)が記入される欄である。
【0067】
印刷テンプレートは、複数の印刷テンプレート候補から選択され得る。
【0068】
複数の印刷テンプレート候補は、基本テンプレートと、一以上の適応テンプレートと、を含み得る。各適応テンプレートは、例えば、基本テンプレートの一部を変更したテンプレートである。
【0069】
ここでは、基本テンプレートは、
図2~
図5に示すように、消防庁告示により定められる「自動火災報知設備試験結果報告書(別記様式第十一)」の書式に沿って作成されている。この基本テンプレートでは、複数の防災機器9は、設置場所、機種、個数及び電気的特性のうちの少なくとも一つによって互いに区別されている。
【0070】
基本テンプレートの1頁目(
図2参照)は、複数の記入欄を含む。複数の記入欄は、試験実施日を記入する欄A1、試験実施者の住所氏名を記入する欄A2、防災システム100の用途を記入する欄A3、防災システム100が設けられる建物の延べ面積及び総階数を記入する欄A4、防災受信機1の種類等を記入する欄A5、防災受信機1の電気的特性を記入する欄A6、防災受信機1の予備電源の種類及び電気的特性を記入する欄A7、発信機4の種類及び個数を記入する欄A8、中継器3の種類、個数、予備電源の電気的特性等を記入する欄A9、感知器2の機種、種別、個数等を記入する欄A10、地区音響装置5を含む音響装置の種類、電気的特性、個数等を記入する欄A11を含む。
【0071】
基本テンプレートの2頁目(
図3参照)は、複数の記入欄を含む。複数の記入欄は、防災システム100の警戒区域の設定の試験結果を記入する欄B1、防災受信機1の設置場所の名称及びその試験結果、周囲の状況・操作性の試験結果、及び設置状況の試験結果を記入する欄B2、防災受信機1の構造・性能の試験結果を記入する欄B3、防災受信機1の操作部の床面からの高さ及びその試験結果を記入する欄B4、防災受信機1の予備品等についての試験結果を記入する欄B5、中継器3の設置場所の名称及びその試験結果を記入する欄B6、中継器3の構造・性能の試験結果を記入する欄B7、中継器3の予備品等についての試験結果を記入する欄B8、防災システム100の常用電源の電気的特性及びその試験結果を記入する欄B9、防災システム100の非常電源の種別及びその試験結果を記入する欄B10、感知器2の種別毎に、感知器2の警戒状況・設置状況・構造・性能の試験結果を記入する欄B11、発信機4の設置場所等の試験結果を記入する欄B12、発信機4の構造・性能の試験結果を記入する欄B13、表示灯の設置場所等の試験結果を記入する欄B14、表示灯の構造の試験結果を記入する欄B15、地区音響装置5の設置場所等の試験結果を記入する欄B16、地区音響装置5の構造の試験結果を記入する欄B17を含む。基本テンプレートの2枚目の試験結果の記入欄には、「自動火災報知設備の試験基準」に定められた試験方法に従って、目視(及びスケール)により確認された外観試験の試験結果が記入され得る。
【0072】
基本テンプレートの3頁目(
図4参照)は、複数の記入欄を含む。複数の記入欄は、防災システム100の通信線L0における共通線についての試験結果を記入する欄C1、防災システム100の通信線L0における送り配線についての試験結果を記入する欄C2、無線設備の通信試験の試験結果を記入する欄C3、防災受信機1の火災表示試験の試験結果を記入する欄C4、防災受信機1の注意表示試験の試験結果を記入する欄C5、防災受信機1の設定表示温度試験の試験結果を記入する欄C6、防災受信機1の回路導通試験の試験結果を記入する欄C7、防災受信機1の同時作動試験の試験結果を記入する欄C8、防災受信機1の感知器作動試験の試験結果を記入する欄C9、防災受信機1の予備電源試験の電圧値及び試験結果を記入する欄C10、防災受信機1の非常電源試験の試験結果を記入する欄C11、防災受信機1の付属装置試験の試験結果を記入する欄C12、防災受信機1の相互作動試験の試験結果を記入する欄C13、中継器3の設定表示温度試験の試験結果を記入する欄C14、中継器3の回路導通試験の試験結果を記入する欄C15、中継器3の予備電源試験の電圧及び試験結果を記入する欄C16、発信機4の作動試験の試験結果を記入する欄C17、地区音響装置5の鳴動方式試験の試験結果を記入する欄C18を含む。基本テンプレートの3枚目の試験結果の記入欄には、自動火災報知設備の試験基準に準じた試験方法で行われた試験結果が記入され得る。なお、自動火災報知設備の試験基準では、C2,C4,C5,C7,C8,C9,C10,C11,C15,C16欄の試験については、自動試験機能を有する自動火災報知設備にあっては、自動的又は簡単な操作による試験によって記録紙等に「異常」表示が行われないことを確認することにより替えることができること、が定められている。
【0073】
基本テンプレートの4頁目(
図5参照)は、複数の記入欄を含む。複数の記入欄は、建物の警戒区域を区別するための番号を記入する欄D1、警戒区域の名称を記入する欄D2、各警戒区域に設置されている感知器2(多信号又はアナログ式以外)の個数を、感知器2の機種毎に記入する欄D3、各警戒区域に設置されている地区音響装置5の個数を記入する欄D4、各機種の感知器2及び地区音響装置5の合計台数を記入する欄D5、試験結果を、警戒区域毎に記入する欄D6を含む。
【0074】
基本テンプレートの5頁目(
図6参照)は、複数の記入欄を含む。複数の記入欄は、建物の警戒区域を区別するための番号を記入する欄E1、警戒区域の名称を記入する欄E2、各警戒区域に設置されている感知器2(多信号又はアナログ式以外)の個数を、感知器2の機種毎に記入する欄E3、各警戒区域に設置されている地区音響装置5の個数を記入する欄E4、各機種の感知器2及び地区音響装置5の合計台数を記入する欄E5、試験結果を、警戒区域毎に記入する欄E6を含む。
【0075】
適応テンプレートは、例えば、基本テンプレートに対して、含まれている項目の内容が異なり得る。適応テンプレートは、例えば、基本テンプレートに対して項目の順番が異なり得る。適応テンプレートは、例えば、基本テンプレートに含まれない追加の項目を含み得る。適応テンプレートでは、例えば、基本テンプレートに含まれている項目の一部が省略され得る。
【0076】
表示部14は、例えば液晶パネルディスプレイ等の表示装置を有する。表示部14は、種々の表示が可能である。表示部14は、例えば、防災受信機1に火災報を送信した感知器2が設置されている警戒区域の場所、火災警報に関する情報、各感知器2の自動試験の試験結果に関する情報等を表示することができる。操作部15は、防災システム100の各種の設定等を行う際の入力を受け付けるための操作を受け付ける。防災受信機1は、例えば、表示部14と操作部15とを含む操作表示装置として、タッチパネル式液晶ディスプレイを備えている。操作表示装置は、ユーザインターフェイス(GUI: Graphic User Interface)として機能する。
【0077】
ここで、記憶部13に記憶されている情報の一部は、ユーザが操作部15を操作することで入力可能であってもよい。例えば、防災受信機1の設置場所の名称に関する情報等は、ユーザが操作部15を操作することで入力されてもよい。
【0078】
特に、記憶部13に記憶されている情報のうちで、防災機器9(感知器2)に関する情報の一部を、ユーザが操作部15を操作することで入力可能であってもよい。例えば、感知器2の機種に関する情報、感知器2の種別に関する情報等を、ユーザが操作部15を操作することで入力可能であってもよい。
【0079】
電源供給部16は、制御線L20に接続されている地区音響装置5に電源電圧を供給する。電源供給部16は、防災受信機1が火災報を受信したときに、制御部17によって制御されて制御線L20に電源電圧を出力する。
【0080】
制御部17は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを有するコンピュータを主構成としており、メモリに格納されているプログラムをCPUで実行することにより、種々の機能を実現する。プログラムは、予めコンピュータのメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよい。
【0081】
制御部17は、警報処理部F1、第1取得部F2、第2取得部F3、情報生成部F4及び自動試験実行部F5を有する。なお、警報処理部F1、第1取得部F2、第2取得部F3、情報生成部F4及び自動試験実行部F5は、実体のある構成を示しているわけではなく、制御部17によって実現される機能を示している。
【0082】
警報処理部F1は、上述のように、火災報(火災の発生を通知する発報信号)を受信したときに、火災の発生を報知する動作を行う。
【0083】
自動試験実行部F5は、防災受信機1、複数の中継器3及び複数の感知器2に、自動試験を実行させる。
【0084】
防災受信機1の自動試験は、例えば、発信機4の表示灯及び地区音響装置5の動作試験、表示部14の注意表示試験、回線ごとの回路導通試験、複数の回線についての同時作動試験、予備電源試験、非常電源試験等を含み得る。自動試験実行部F5は、防災受信機1の自動試験の試験結果に関する情報を、記憶部13に記憶させる。
【0085】
中継器3の自動試験は、回線の回路導通試験、及び予備電源試験を含み得る。自動試験実行部F5は、中継器3から自動試験の試験結果に関する情報を受信すると、受信した自動試験の試験結果に関する情報を、試験結果を送信した中継器3のアドレスに対応付けて、記憶部13に記憶させる。
【0086】
また、自動試験実行部F5は、複数の感知器2に、自動試験を実行させる。自動試験実行部F5は、各中継器3に接続されている複数の感知器2の自動試験に関する試験要求(試験要求のコマンド)を、通信部11から各中継器3に送信させる。自動試験実行部F5は、操作部15にて所定の入力を受け付けたときに、試験要求を通信部11から中継器3に送信させる。ただし、これに限らず、自動試験実行部F5は、例えば、定期的(例えば、24時間ごと)に試験要求を通信部11から各中継器3へ送信させてもよい。自動試験実行部F5は、各感知器2から送信される自動試験の試験結果に関する情報を、通信部11を介して受信する。自動試験実行部F5は、受信した自動試験の試験結果に関する情報を、試験結果を送信した感知器2のアドレスに対応付けて、記憶部13に記憶させる。
【0087】
第1取得部F2は、複数の感知器2の各々を特定するための接続情報を取得する。接続情報は、各感知器2についてのアドレス(識別情報)を含む。接続情報は、各感知器2の設置場所に関する情報を含んでもよい。第1取得部F2は、記憶部13から情報を読み出すことで、複数の感知器2の各々についての接続情報を取得する。
【0088】
第2取得部F3は、複数の防災機器9の各々の機器の状態に関する状態情報を取得する。状態情報は、各感知器2で行われた自動試験の試験結果に関する情報を含む。例えば、自動試験において検知部24が正常との結果が得られた場合、状態情報は、感知器2が正常であるとの情報を含み得る。一方、自動試験において検知部24が異常との結果が得られた場合、状態情報は、感知器2が異常であるとの情報を含み得る。すなわち、状態情報は、各感知器2の機器の状態が正常であるか異常であるかを示す情報であり得る。第2取得部F3は、記憶部13から情報を読み出すことで、複数の感知器2の各々についての状態情報を取得する。
【0089】
情報生成部F4は、接続情報と状態情報とに基づいて、機器情報S0を生成する。機器情報S0は、複数の感知器2(防災受信機1に接続されている複数の感知器2の全て)の各々について正常と異常とを区別可能な態様で示す情報である。情報生成部F4は、情報生成指令(コマンド)を受け付けると、機器情報S0を生成する。
【0090】
情報生成部F4は、接続情報に基づいて、防災受信機1に接続されている全ての感知器2を把握する。そして、情報生成部F4は、防災受信機1に接続されている全ての感知器2の各々について、状態情報に基づいて、正常であるか異常であるかを判断する。具体的には、情報生成部F4は、状態情報において正常とされている感知器2については正常と判断し、状態情報において異常とされている感知器2については異常と判断する。情報生成部F4は、全ての感知器2の各々に対して、その感知器2が正常であることを示す正常フラグ又はその感知器2が異常であることを示す異常フラグを設定し、機器情報S0を生成する。つまり、機器情報S0では、防災受信機1に接続されている全ての感知器2について、正常フラグ又は異常フラグが設定されている。要するに、機器情報S0は、複数の感知器2の各々について、正常を示す情報及び異常を示す情報のうちのいずれか一方を含んでいる。
【0091】
印字出力部19は、印字情報を印字出力する。印字出力部19は、例えばプリンタを備えている。印字出力部19は、ユーザの操作部15への操作に応じて、印字情報を印字出力する。例えば、印字出力部19は、操作部15に含まれる印刷釦への押し操作に応じて、印字情報を印字出力する。
【0092】
印字出力部19が印字出力する印字情報は、情報生成部F4で生成された機器情報S0を含む。つまり、印字出力部19は、機器情報S0を印字出力する。ここで、印刷釦が押されると、操作部15は情報生成部F4へ情報生成指令を与え、情報生成部F4が機器情報S0を生成する。印字出力部19は、この新たに生成された機器情報S0を印字出力する。すなわち、印字出力部19が印字出力する印字情報は、最新の機器情報S0を含んでいる。
【0093】
印字出力部19が出力する印字情報は、機器情報S0以外の情報を更に含む。印字情報に含まれる機器情報S0以外の情報は、記憶部13に記憶されている情報を含み得る。印字情報に含まれる機器情報S0以外の情報は、例えば、防災受信機1に関する情報、感知器2に関する情報、中継器3に関する情報、発信機4に関する情報、地区音響装置5に関する情報を含み得る。
【0094】
印字情報に含まれる防災受信機1に関する情報は、防災受信機1の種類に関する情報、防災受信機1に接続される回線数に関する情報、防災受信機1の電気的特性に関する情報、防災受信機1の予備電源の種類及び電気的特性に関する情報、防災受信機1の自動試験の試験結果に関する情報、防災受信機1の設置場所に関する情報等を含み得る。印字情報に含まれる感知器2に関する情報は、各感知器2の機種に関する情報、各感知器2の種別に関する情報、各感知器2の設置場所に関する情報等を含み得る。印字情報に含まれる中継器3に関する情報は、各中継器3の種類に関する情報、各中継器3の予備電源の電気的特性に関する情報等を含み得る。印字情報に含まれる発信機4に関する情報は、各発信機4の種類に関する情報等を含み得る。印字情報に含まれる地区音響装置5に関する情報は、地区音響装置5の種類に関する情報、地区音響装置5の電気的特性に関する情報等を含み得る。
【0095】
印字出力部19は、印刷設定情報に従って、印字情報を印字出力する。すなわち、印字出力部19は、所定の印刷テンプレートに従って、機器情報S0を含む印字情報を印字出力する。所定の印刷テンプレートは、記憶部13に記憶されている複数の印刷テンプレート候補から選択される。例えば、ユーザが操作部15を操作することで、複数の印刷テンプレート候補のうちから一の印刷テンプレートが選択される。所定の印刷テンプレートは、デフォルトでは基本テンプレートに設定されている。
【0096】
印字出力部19は、印字情報を印字出力する際に、印刷テンプレートも印字出力する。つまり、印字出力部19は、白紙に対して、印刷テンプレート及び印字情報の両方を印字出力する。
【0097】
印字出力部19は、印刷テンプレートの複数の記入欄に対して、機器情報S0を含む印字情報が適切に配置されるように、印字情報を印字出力する。例えば、印字出力部19は、基本テンプレートのA1欄に、当日の年月日を印字出力する。例えば、印字出力部19は、基本テンプレートのA5欄に、記憶部13に記憶されている防災受信機1の種類に関する情報を印字出力する。例えば、印字出力部19は、基本テンプレートのA10欄に、記憶部13に記憶されている複数の感知器2の機種、種別、及び個数の情報を印字出力する。例えば、印字出力部19は、基本テンプレートのB2欄に、記憶部13に記憶されている防災受信機1の設置場所の名称の情報を印字出力する。例えば、印字出力部19は、基本テンプレートのC2欄に、記憶部13に記憶されている防災受信機1の自動試験の試験結果のうちで送り配線試験の試験結果に関する情報を印字出力する。同様に、印字出力部19は、基本テンプレートのC4,C5,C7,C8,C10,C11欄に、記憶部13に記憶されている防災受信機1の自動試験の試験結果のうちで対応する試験結果に関する情報を印字出力する。例えば、印字出力部19は、基本テンプレートのC9欄に、記憶部13に記憶されている感知器2の自動試験の試験結果に関する情報を印字出力する。例えば、印字出力部19は、基本テンプレートのC15,16欄に、記憶部13に記憶されている中継器3の自動試験の試験結果に関する情報を印字出力する。例えば、印字出力部19は、基本テンプレートのD2欄に記憶部13に記憶されている警戒区域の名称を、基本テンプレートのD3欄に感知器2の種別毎の個数を、基本テンプレートのD6欄に感知器2の自動試験の試験結果を、それぞれ印字出力する。例えば、印字出力部19は、基本テンプレートのD2欄に記憶部13に記憶されている警戒区域の名称を、基本テンプレートのD4欄に地区音響装置5の個数を、基本テンプレートのD6欄に地区音響装置5の試験結果を、それぞれ印字出力する。
【0098】
このように、印字出力部19は、操作部15への操作(印刷釦への押し操作)に応じて、機器情報S0を含む印字情報を所定の印刷フォーマットに従って印字出力する。そのため、ユーザは、操作部15を操作する(印刷釦を押す)だけで、機器情報S0を含む印字情報が所定の印刷フォーマットに従って記載された書類を、作成できる。これにより、ユーザの利便性が向上する。
【0099】
出力部18は、出力情報を出力する。出力部18が出力する出力情報は、情報生成部F4で生成された機器情報S0を含む。つまり、出力部18は、機器情報S0を出力する。印字出力部19が印字出力する印字情報と同様、出力部18が出力する出力情報は、最新の機器情報S0を含んでいる。
【0100】
出力部18が出力する出力情報は、機器情報S0以外の情報を更に含む。出力情報に含まれる機器情報S0以外の情報は、記憶部13に記憶されている情報を含み得る。出力情報に含まれる機器情報S0以外の情報としては、印字情報に含まれる機器情報S0以外の情報で列挙した情報が、あげられる。
【0101】
出力部18は、所定のデータフォーマットの形式で、機器情報S0を含む出力情報を出力する。所定のデータフォーマットは、記憶部13に記憶されている複数のデータフォーマットから選択される。例えば、外部装置8から送信される送信要求に応じて、複数のデータフォーマットのうちから一のデータフォーマットが選択される。要するに、出力部18は、記憶部13に記憶されている複数のデータフォーマットから選択される一つのデータフォーマットの形式で、出力情報を出力する。所定のデータフォーマットは、デフォルトでは基本データフォーマットに設定されている。
【0102】
出力部18は、インターネット等のネットワークNT1を介して、外部装置8と接続されている。ネットワークNT1は、必要に応じて、リピータハブ、スイッチングハブ、ブリッジ、ゲートウェイ、ルータ等のデータ通信機器を含み得る。外部装置8は、例えば、スマートフォン、タブレット端末等の情報端末、又はパーソナルコンピュータ(デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ等)等であり得る。
【0103】
出力部18は、例えば、外部装置8からネットワークNT1を介して送信される送信要求に応じて、出力情報をネットワークNT1へ送出する。外部装置8は、適宜のアプリケーションを実行することで、出力部18から受け取った出力情報を処理する。
【0104】
外部装置8は、アプリケーションを実行することで、例えば、
図2~
図5に示す基本テンプレートに従い基本テンプレートの記入欄に出力情報が入力されたデータを生成可能である。上述のように、出力情報に含まれる機器情報S0では、防災受信機1に接続されている全ての感知器2について、正常フラグ又は異常フラグが設定されている。そのため、外部装置8は、これらの感知器2についてのフラグに基づいて、基本テンプレートの各記入欄(試験結果の欄)に適宜の情報を入力可能である。
【0105】
本実施形態の防災受信機1及びそれを備えた防災システム100、ネットワークシステム200では、機器情報S0が、異常のある防災機器9の情報のみならず、正常な防災機器9の情報も含んでいる。そのため、正常な防災機器9を容易に判別することが可能となり、利便性の向上を図ることが可能となる。
【0106】
(3)変形例
本開示の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、防災システム100と同様の機能は、情報処理方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0107】
一態様に係る情報処理方法は、通信線L0に接続された複数の防災機器9(感知器2)のうちの少なくとも一つから通信線L0を介して送信される発報信号に基づいて警報動作を行うことを含む。また、情報処理方法は、通信線L0に接続されている複数の防災機器9の各々を示す接続情報を取得することを含む。情報処理方法は、複数の防災機器9の各々の機器の状態に関する状態情報を取得することを含む。情報処理方法は、接続情報及び状態情報に基づいて得られる、複数の防災機器9の各々について正常と異常とを区別可能な態様で示す機器情報S0を、外部に出力することを含む。
【0108】
すなわち、
図7に示すように、防災受信機1は、発報信号を待ち受ける(S1)。防災受信機1は、防災機器9から発報信号を受信する(S1:Yes)と、警報動作を行う(S2)。また、防災受信機1は、送信要求を待ち受ける(S3)。防災受信機1は、外部装置8から送信要求を受信する(S3:Yes)と、複数の感知器2についての接続情報を取得し(S4)、自身及び複数の感知器2についての状態情報を取得する(S5)。その結果に基づき、防災受信機1は、機器情報S0を生成して(S6)、機器情報S0を出力する(S7)。また、防災受信機1は、印刷要求(印刷釦の押下等)を待ち受ける(S8)。防災受信機1は、印刷要求を受ける(S8:Yes)と、複数の感知器2についての接続情報を取得し(S9)、自身及び複数の感知器2についての状態情報を取得する(S10)。その結果に基づき、防災受信機1は、機器情報S0を生成して(S11)、機器情報S0を印字出力する(S12)。
【0109】
一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、1以上のプロセッサに、上記の情報処理方法を実行させるためのプログラムである。
【0110】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0111】
本開示における防災システム100は、防災受信機1の制御部17等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御部17としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0112】
また、防災受信機1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは防災受信機1に必須の構成ではない。防災受信機1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、防災受信機1の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0113】
一変形例において、機器情報S0は、防災受信機1に接続されている全ての防災機器9について正常フラグ又は異常フラグが設定されていなくてもよい。機器情報S0は、例えば、防災受信機1に接続されている全ての感知器2を区別する情報(アドレス等)と、異常フラグが設定された防災機器9の情報と、を含んでいてもよい。この場合、異常フラグが設定されていない防災機器9を正常と判別可能である。逆に、機器情報S0は、例えば、防災受信機1に接続されている全ての感知器2を区別する情報(アドレス等)と、正常フラグが設定された防災機器9の情報と、を含んでいてもよい。
【0114】
一変形例において、複数のデータフォーマットは複数の地域にそれぞれ対応していてもよい。すなわち、地域(消防管区等)によって、提出すべき結果報告書のフォーマットが異なっている場合がある。そのため、複数のデータフォーマットは、複数の地域にそれぞれ対応して形成されている。出力部18は、複数の地域のうちで防災受信機1が設置されている地域に応じたデータフォーマットで機器情報S0を出力してもよい。同様に、複数の印刷テンプレート候補は、複数の地域にそれぞれ対応していてもよい。
【0115】
一変形例において、記憶部13は、データフォーマットを一つのみ記憶していてもよい。
【0116】
一変形例において、記憶部13は、印刷テンプレートを一つのみ記憶していてもよい。
【0117】
一変形例において、出力部18は、機器情報S0のみを出力してもよい。
【0118】
一変形例において、印字出力部19は、機器情報S0のみを印字出力してもよい。
【0119】
一変形例において、印字出力部19は、印刷テンプレートを印字出力せずに印字情報のみを印字出力してもよい。
【0120】
一変形例において、自動試験実行部F5は、情報生成部F4が機器情報S0を生成する際に、自動試験を実行してもよい。例えば、情報生成部F4は、送信要求を受ける又は印刷要求を受けると、自動試験実行部F5に自動試験を実行させる。情報生成部F4は、自動試験実行部F5により行われた自動試験の結果(状態情報)に基づいて、機器情報S0を生成する。
【0121】
一変形例において、記憶部13は、実施形態にて説明した全ての情報を記憶していなくてもよい。記憶部13は、機器情報S0を生成可能な情報(少なくとも接続情報)を記憶していればよい。
【0122】
一変形例において、複数の防災機器9は、感知器2に限られない。複数の防災機器9は、例えば、中継器3を含んでいてもよい。複数の防災機器9は、例えば、発信機4を含んでいてもよい。複数の防災機器9は、感知器2以外の防災機器9を複数含んでいれば、感知器2を含まなくてもよい。
【0123】
一変形例において、外部装置8は情報端末に限られず、情報を記憶するための記憶媒体であってもよい。
【0124】
一変形例において、外部装置8は、ネットワークNT1を介さずに直接、出力部18に接続されてもよい。
【0125】
一変形例において、印字出力部19は、外部装置8からの要求(印刷要求)に応じて、印字情報を印字出力してもよい。
【0126】
一変形例において、状態情報、接続情報、及び機器情報S0を生成するタイミングは、実施形態で説明したタイミングに限られない。例えば、情報生成部F4は、定期的に機器情報S0を生成してもよい。
【0127】
一変形例において、防災受信機1はGR型受信機に限られず、例えばP型受信機、R型受信機等であってもよい。
【0128】
一変形例において、防災システム100は、防排煙設備又は非常用放送設備等の他設備との連動機能を有していてもよい。この場合、防災システム100は、火災の発生時に、防排煙設備の防火扉を制御したり、非常用放送設備にて音響又は音声により火災の発生を報知したりすることが可能である。
【0129】
(4)態様
以上説明した実施形態及び変形例等から以下の態様が開示されている。
【0130】
第1の態様の防災受信機(1)は、通信部(11)と、警報処理部(F1)と、第1取得部(F2)と、第2取得部(F3)と、出力部(18)と、を備える。通信部(11)は、通信線(L0)に接続された複数の防災機器(9)との間で通信線(L0)を介して通信する。警報処理部(F1)は、複数の防災機器(9)のうちの少なくとも一つから通信線(L0)を介して送信される発報信号に基づいて警報動作を行う。第1取得部(F2)は、通信線(L0)に接続されている複数の防災機器(9)の各々を特定するための接続情報を取得する。第2取得部(F3)は、通信線(L0)に接続されている複数の防災機器(9)の各々の機器の状態に関する状態情報を取得する。出力部(18)は、機器情報(S0)を出力する。機器情報(S0)は、接続情報及び状態情報に基づいて得られる、複数の防災機器(9)の各々について正常と異常とを区別可能な態様で示す情報である。
【0131】
この態様によれば、正常な防災機器(9)を容易に判別することが可能となり、利便性の向上を図ることが可能となる。
【0132】
第2の態様の防災受信機(1)では、第1の態様において、機器情報(S0)は、複数の防災機器(9)の各々について、正常を示す情報及び異常を示す情報のうちのいずれか一方を含む。
【0133】
この態様によれば、正常な防災機器(9)を容易に判別することが可能となり、利便性の向上を図ることが可能となる。
【0134】
第3の態様の防災受信機(1)では、第1又は第2の態様において、出力部(18)は、機器情報(S0)を、複数のデータフォーマットのうちから選択される一つのデータフォーマットの形式で出力する。
【0135】
この態様によれば、データフォーマットを複数のデータフォーマットから選択することが可能となり、利便性が向上する。
【0136】
第4の態様の防災受信機(1)では、第3の態様において、複数のデータフォーマットは複数の地域にそれぞれ対応している。出力部(18)は、複数の地域のうちで防災受信機(1)が設置されている地域に応じたデータフォーマットで機器情報(S0)を出力する。
【0137】
この態様によれば、複数の地域のうちで防災受信機(1)が設置されている地域に応じたデータフォーマットで機器情報(S0)を出力することが可能となり、利便性が向上する。
【0138】
第5の態様の防災受信機(1)では、第1~第4のいずれか1つの態様において、印字出力部(19)を更に備える。印字出力部(19)は、所定の印刷テンプレートに従って機器情報(S0)を印字出力する。
【0139】
この態様によれば、機器情報(S0)を防災受信機(1)から印字出力することが可能となり、利便性が向上する。
【0140】
第6の態様の防災受信機(1)では、第5の態様において、印刷テンプレートにおいて、複数の防災機器(9)は、設置場所、機種、機器の個数及び電気的特性のうちの少なくとも一つによって区別される。
【0141】
この態様によれば、正常な防災機器(9)を容易に判別することが可能となり、利便性の向上を図ることが可能となる。
【0142】
第7の態様の防災受信機(1)は、第1~第6のいずれか1つの態様において、情報生成部(F4)を更に備える。情報生成部(F4)は、接続情報と状態情報とに基づいて機器情報(S0)を生成する。
【0143】
この態様によれば、正常な防災機器(9)を容易に判別することが可能となり、利便性の向上を図ることが可能となる。
【0144】
第8の態様の防災システム(100)は、第1~第7のいずれか1つの態様の防災受信機(1)と、複数の防災機器(9)と、を備える。
【0145】
この態様によれば、正常な防災機器(9)を容易に判別することが可能となり、利便性の向上を図ることが可能となる。
【0146】
第9の態様の防災受信機(1)では、第1~第7のいずれか1つの態様の防災受信機(1)と、外部装置(8)と、を備える。外部装置(8)は、出力部(18)から出力される機器情報(S0)をネットワーク(NT1)を介して受け取る。
【0147】
この態様によれば、正常な防災機器(9)を容易に判別することが可能となり、利便性の向上を図ることが可能となる。
【0148】
第10の態様の情報処理方法は、通信線(L0)に接続された複数の防災機器(9)のうちの少なくとも一つから通信線(L0)を介して送信される発報信号に基づいて警報動作を行うことを含む。情報処理方法は、通信線(L0)に接続されている複数の防災機器(9)の各々を特定するための接続情報を取得することを含む。情報処理方法は、通信線(L0)に接続されている複数の防災機器(9)の各々の機器の状態に関する状態情報を取得することを含む。情報処理方法は、機器情報(S0)を外部に出力することを含む。機器情報(S0)は、接続情報及び状態情報に基づいて得られる、複数の防災機器(9)の各々について正常と異常とを区別可能な態様で示す情報である。
【0149】
この態様によれば、正常な防災機器(9)を容易に判別することが可能となり、利便性の向上を図ることが可能となる。
【0150】
第11の態様のプログラムは、1以上のプロセッサに、第10の態様の情報処理方法を実行させるためのプログラムである。
【0151】
この態様によれば、正常な防災機器(9)を容易に判別することが可能となり、利便性の向上を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0152】
1 防災受信機
11 通信部
18 出力部
19 印字出力部
8 外部装置
9 防災機器
F1 警報処理部
F2 第1取得部
F3 第2取得部
F4 情報生成部
L0 通信線
NT1 ネットワーク
S0 機器情報