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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-17
(45)【発行日】2024-10-25
(54)【発明の名称】CD38結合剤およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/64 20060101AFI20241018BHJP
   A61K 38/12 20060101ALI20241018BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241018BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241018BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20241018BHJP
【FI】
C07K7/64 ZNA
A61K38/12
A61P43/00 105
A61P35/00
C12N15/12
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022514017
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 JP2020024869
(87)【国際公開番号】W WO2021002265
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】62/870,629
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506269633
【氏名又は名称】ペプチドリーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(72)【発明者】
【氏名】リード クラウフォード パトリック
(72)【発明者】
【氏名】大内 政輝
(72)【発明者】
【氏名】中村 菜穂子
(72)【発明者】
【氏名】五島 寛子
(72)【発明者】
【氏名】江原 武
(72)【発明者】
【氏名】多久和 正訓
【審査官】鳥居 敬司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/119600(WO,A1)
【文献】特開2012-058092(JP,A)
【文献】国際公開第2002/006347(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/197509(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/117833(WO,A1)
【文献】Chem. Commun.,2017年,Vol.53,pp.1931-1940
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 7/00-7/66
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD38結合ペプチド、その薬学的に許容可能な塩またはその薬学的に許容可能な溶媒和物であって、
前記CD38結合ペプチドが、環状構造を有し、
(1)配列番号1または2、
すなわち、Ala Arg Ahp Tyr His Asp Gly Val Leu Bph Ahp Asp Cys(配列番号1)、
Ala Leu His MePhe Val Leu Pro Bph Val Trp Val Cys(配列番号2)
で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(2)配列番号1または2で示されるアミノ酸配列であって、N末端の前記Alaがクロロアセチル化Alaであるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(3)配列番号1または2において1つまたは2つのアミノ酸が、付加または置換されたアミノ酸配列からなり、配列番号1または2におけるC末端のCysを欠失したアミノ酸配列を含まない、ポリペプチド、または、
(4)配列番号1または2において1つまたは2つのアミノ酸が、付加または置換されたアミノ酸配列であって、N末端の前記Alaがクロロアセチル化Alaであるアミノ酸配列からなり、配列番号1または2におけるC末端のCysが欠失したアミノ酸配列を含まない、ポリペプチドである、
CD38結合ペプチド、その薬学的に許容可能な塩またはその薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項2】
前記CD38結合ペプチドが、配列番号1~34のいずれかで示されるアミノ酸配列からなる、
請求項1に記載のCD38結合ペプチド、その薬学的に許容可能な塩またはその薬学的に許容可能な溶媒和物。
【請求項3】
前記CD38結合ペプチド、その薬学的に許容可能な塩または薬学的に許容可能な溶媒和物が、リンカー部分をさらに含む、
請求項1に記載のCD38結合ペプチド、その薬学的に許容可能な塩またはその薬学的に許容可能な溶媒和物を含む化学化合物。
【請求項4】
前記リンカー部分がポリエチレングリコールを含む、
請求項3に記載の化学化合物。
【請求項5】
請求項1に記載のCD38結合ペプチド、その薬学的に許容可能な塩またはその薬学的に許容可能な溶媒和物、および
薬学的に許容可能な担体を含む、
CD38に関連する状態、障害または疾患を治療するための医薬組成物。
【請求項6】
前記CD38に関連する状態、障害または疾患が癌である、
請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記CD38に関連する状態、障害または疾患が白血病または骨髄腫である、
請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記CD38に関連する状態、障害または疾患がB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、多発性骨髄腫(MM)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(B細胞ALL)または慢性リンパ性白血病(CLL)である、
請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記CD38に関連する状態、障害または疾患が多発性骨髄腫(MM)である、
請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項10】
請求項1に記載のCD38結合ペプチド、その薬学的に許容可能な塩またはその薬学的に許容可能な溶媒和物を含む、
癌を検出するための薬剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD38結合ペプチド剤、およびヒトCD38に特異的に結合するペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
CD38は、ヒトにおいて様々な種類の細胞によって発現され、いくつかの重要な機能を有する。いくつかの実施形態では、CD38は、様々な状態、障害または疾患に関連する。
【0003】
環状ADPリボース加水分解酵素としても知られているCD38は、長いC末端細胞外領域および短いN末端細胞内領域からなるII型膜貫通糖タンパク質である。
【0004】
CD38はまた、CD157およびアメフラシADPRを含む、膜結合型酵素または可溶性酵素であるADP-リボシルシクラーゼの「スーパーファミリー」のメンバーである。このスーパーファミリー酵素は、NADを環状ADPリボースまたはニコチン酸-アデニンジヌクレオチドリン酸に変換する。
【0005】
さらに、CD38は、CA2+シグナル経路ならびにホスホリパーゼCγ、ZAP-70、sykおよびc-cblなどの他のシグナル経路に関与することが報告されている。これらの報告は、CD38がリンパ球細胞の正常な発生、成熟および活性化においてシグナル伝達分子として重要な役割を果たすことを示唆した。造血細胞間の多くの機能は、リンパ球の増加、サイトキニンの放出、B細胞および骨髄細胞の発生および死、ならびに樹状細胞成熟の誘導を含むCD38媒介シグナル経路によって引き起こされる。また、CD38は、細胞間接着に関与することが知られている。
【0006】
このように、CD38は、多くの生物学的現象に関与する重要な分子である。近年、CD38が悪性腫瘍、特に血液悪性腫瘍に関連することが大いに注目されている。それらの悪性腫瘍がCD38の発現を増加させることはよく知られている。また、第1期の多能性幹細胞はCD38(CD38-)を発現しないことから、CD38は血液悪性腫瘍や慢性リンパ性白血病に対する抗体療法の潜在的な標的であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】WO2016/146639
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
CD38に特異的に結合する抗体を用いた癌治療が実現されている。抗CD38抗体について記載した文献は多数ある(例えば、特許文献1、2)。特許文献2には、抗体依存性細胞傷害活性およびCDC補体依存性細胞傷害活性が開示されている。さらに、特許文献3~6は、シタラビン、ビンクリスチン、シクロフォスミドおよびメルファランなどの細胞毒性化学化合物と組み合わせた抗CD38抗体の使用を報告した。
【0009】
CD38は、HIV感染、白血病、骨髄腫、固形腫瘍、糖尿病型、骨代謝および遺伝的に決定される他の疾患または状態を判定するためのバイオマーカー分子としても知られている。特に、白血病の予後マーカー(Ibrahim,S.ら著、(2001)CD38 expression as an important prognostic factor in B-cell chronic lymphocytic leukemia.Blood 98:181-186)または多発性骨髄腫のマーカーとしてCD38を使用することはよく知られている。
【0010】
しかしながら、抗体は、そのサイズが大きいために標的に到達できないことがある。この問題は、抗体と細胞傷害性化合物とのコンジュゲートを使用する治療にとって大きな問題となるため、抗体より小さいが、特にCD38に結合する分子が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
とりわけ、本開示は、CD38活性を調節するための技術(例えば、化合物、組成物、方法など)を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、CD38に結合することができ、CD38を含むおよび/または発現するCD38および/または実体の1つまたは複数の特性および/または機能を調節することができる技術を提供する。
【0012】
特に、いくつかの実施形態では、本開示は、高い親和性でCD38に結合することができる化合物を提供する。いくつかの実施形態では、提供される化合物は、アミノ酸またはその類似体の1つまたは複数の残基を含むペプチド部分であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、提供される化合物は、本明細書に記載される(Xaa)yまたはその塩形態であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、提供される化合物は、本明細書に記載の-XaaT1-XaaT2-(Xaa)y’-XaaT3-XaaT4-XaaT5-またはその塩形態であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、提供される化合物は、本明細書に記載の-XaaT6-(Xaa)y’-XaaT7-XaaT8-XaaT9-XaaT10-XaaT11-またはその塩形態であるか、またはそれを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、提供される化合物は、CD38抗体よりサイズがはるかに小さく、かつ/または、様々な用途において、例えば検出、診断、または治療剤もしくはその断片として、CD38抗体と比較していくつかの利点を提供することができる。当業者が理解するように、いくつかの実施形態では、提供される化合物は、抗体と比較して、特に商業目的および/または治療目的のために大規模で製造することがはるかに容易である。いくつかの実施形態では、提供される化合物は、合成的に製造することができ、したがって、抗体と比較して高い純度および/または均一性を提供する。いくつかの実施形態では、提供される化合物およびその組成物は、治療剤もしくはその断片としての使用を含む様々な用途において、有意に改善された安定性、バイオアベイラビリティ、送達特性および他の利点を提供する。
【0014】
いくつかの実施形態では、提供される化合物は、例えば本明細書に記載のペプチド部分である、CD38に結合する第1の部分と、様々な目的、例えば検出、診断、治療などに有用な第2の部分と、場合により、第1の部分と第2の部分とを連結するリンカー部分とを含むコンジュゲートである。化学、有用な第2の部分、リンカー部分などを含む、そのようなコンジュゲートを調製するための様々な技術が当技術分野で利用可能であり、本開示に従って利用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、提供される化合物は、CD38に結合するペプチド部分と、薬物に対応する薬物部分と、場合により、ペプチド部分と薬物部分とを連結するリンカーとを含むペプチド-薬物コンジュゲート(PDC)である。いくつかの実施形態では、PDCは、CD38結合部分を利用して、特定の標的、例えばCD38を発現する疾患細胞を標的化し、薬物部分を特異的に送達する(他のタイプのコンジュゲートでは、第2のコンジュゲートは、所望の用途に応じて、検出部分または診断部分であり得る)。いくつかの実施形態では、薬物は毒素である。いくつかの実施形態では、薬物は、例えば様々な治療上関連する酵素または他の種類のタンパク質の小分子阻害剤である。いくつかの実施形態では、薬物は核酸薬物である。当業者は、とりわけ、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の分野における多くの技術が本開示に従って利用され得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、PDCは、例えば、ADCの抗体部分を、本明細書に記載のCD38結合部分、例えば、本明細書に記載の様々な環状ペプチド部分の1つと、薬物および/またはリンカー部分の任意選択の最適化で置き換えることによって提供される。
【0015】
いくつかの実施形態では、本開示は、提供される化合物および組成物、例えば実施例に記載されるものを同定、評価、調製および使用する方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本開示は、CD38活性を調節するための技術(例えば、化合物、組成物、方法など)を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、化合物I-1の例示的なSPR結果。
図2図2は、化合物I-2の例示的なSPR結果。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.特定の実施形態の一般的な説明
とりわけ、本開示は、CD38に結合することができ、それによってCD38機能を調節し、かつ/またはCD38を含むおよび/または発現する標的に有用な薬剤を送達することができる薬剤、例えば本明細書に例示される様々な化合物を提供する。いくつかの実施形態では、提供される化合物は、ペプチドであり、かつ/またはCD38に結合することができるペプチド部分、多くの場合、環状ペプチド部分を含む。いくつかの実施形態では、ペプチド部分は、アミノ酸またはアミノ酸類似体の1つまたは複数の残基を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、アミノ酸類似体は、アミノ基および/またはカルボン酸基が、場合により置換された脂肪族またはヘテロ脂肪族部分で独立して置換された化合物である。当業者が理解するように、アミノ酸の構造、特性および/または機能を模倣する多くのアミノ酸類似体が当技術分野で説明されており、本開示に従って利用することができる。
【0020】
本発明は、CD38結合ペプチドと、そのペプチドを含む試薬を使用したCD38の治療、診断および判定方法を提供する。
【0021】
本発明の第1の態様は、CD38結合ペプチド、その薬学的に許容可能な塩またはその薬学的に許容可能な溶媒和物に関し、ここで、CD38結合ペプチドは、以下のいずれかである。
【0022】
(1)配列番号1または2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド。すなわち、
【0023】
Ala Arg Ahp Tyr His Asp Gly Val Leu Bph Ahp Asp Cys(配列番号1)、
【0024】
Ala Leu His MePhe Val Leu Pro Bph Val Trp Val Cys(配列番号2)。
【0025】
(2)配列番号1または2で示されるアミノ酸配列を有し、N末端のAlaがクロロアセチル化Alaであるポリペプチド。
【0026】
(3)配列番号1または2におけるC末端にCysを欠失したアミノ酸配列を含まない、配列番号1または2における1つまたは複数のアミノ酸が欠失、付加、置換または挿入されたアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【0027】
(4)配列番号1または2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドであって、N末端のAlaが、配列番号1または2における1つまたは複数のアミノ酸が欠失、付加、置換または挿入されたクロロアセチル化Alaであり、配列番号1または2におけるC末端のCysが欠失したアミノ酸配列を含まないポリペプチド。または、
【0028】
(5)環状構造を有する、上記(1)~(4)のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【0029】
本発明の好ましい実施形態は、CD38結合ペプチドが、配列番号1~34のいずれかで示されるアミノ酸配列を有することである。
【0030】
本発明の好ましい実施形態は、CD38結合ペプチドが環状構造を有することである。
【0031】
本発明の第2の態様は、上記CD38結合ペプチド、その薬学的に許容可能な塩またはその薬学的に許容可能な溶媒和物を含む化学化合物に関し、ここで、CD38結合ペプチド、その薬学的に許容可能な塩または薬学的に許容可能な溶媒和物は、リンカー部分をさらに含む。
【0032】
本発明の好ましい実施形態は、リンカー部分がポリエチレングリコール、PEGを含むことである。
【0033】
本発明の第3の態様は、上記CD38結合ペプチド、その薬学的に許容可能な塩またはその薬学的に許容可能な溶媒和物、および薬学的に許容可能な担体を含む、CD38に関連する状態、障害または疾患を治療するための医薬組成物に関する。
【0034】
本発明の好ましい実施形態は、CD38に関連する状態、障害または疾患が癌であることである。
【0035】
本発明の好ましい実施形態は、CD38に関連する状態、障害または疾患が白血病または骨髄腫であることである。
【0036】
本発明の好ましい実施形態は、CD38に関連する状態、障害または疾患がB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、多発性骨髄腫(MM)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(B細胞ALL)または慢性リンパ性白血病(CLL)であることである。国際公開第2017/025323号パンフレットに開示されているように、CD38に関連する状態の例は、NHL、MM、AML、B細胞ALLおよびCLLである。
【0037】
本発明の好ましい実施形態は、CD38に関連する状態、障害または疾患が多発性骨髄腫(MM)であることである。
【0038】
本発明の第4の態様は、上記CD38結合ペプチド、その薬学的に許容可能な塩またはその薬学的に許容可能な溶媒和物を含む、癌を検出するための薬剤に関する。
【0039】
2.定義
本開示の化合物は、本明細書に一般的に記載されるものを含み、本明細書に開示されるクラス、サブクラスおよび種によってさらに例示される。本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、以下の定義が適用されるものとする。本開示の目的のために、化学元素は、Periodic Table of the Elements、CAS版、Handbook of Chemistry and Physics、第75版に従って識別される。さらに、有機化学の一般原理は、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito:1999、および「March’s Advanced Organic Chemistry」、第5版、Smith,M.B.およびMarch,J.編、John Wiley&Sons、New York:2001に記載されている。
【0040】
本開示において本明細書で使用される場合、文脈から明らかでない限り、(i)「a」または「an」という用語は、「少なくとも1つ」を意味すると理解され得る。(ii)「または」という用語は、「および/または」を意味すると理解され得る。(iii)「備える(comprising)」、「備える(comprise)」、(「限定されない(not limited to)」と共に使用されるか否かにかかわらず)「含む(including)」、および(「限定されない(not limited to)」と共に使用されるか否かにかかわらず)「含む(include)」という用語は、それ自体で提示されるか、または1つもしくは複数の追加の構成要素もしくはステップと共に提示されるかにかかわらず、項目化された構成要素もしくはステップを包含すると理解され得る。(iv)「別の」という用語は、少なくとも追加の/第2の1つまたは複数を意味すると理解され得る。(v)「約(about)」および「およそ(approximately)」という用語は、当業者によって理解されるように、標準的な変動を許容すると理解され得る。(vi)範囲が与えられる場合、端点が含まれる。特に明記しない限り、本明細書に記載される化合物は、塩形態、特に薬学的に許容可能な塩形態で提供および/または利用され得る。
【0041】
医薬組成物:本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、1つまたは複数の薬学的に許容可能な担体と共に製剤化された活性剤を指す。いくつかの実施形態では、活性剤は、関連する集団に投与された場合に所定の治療効果を達成する統計学的に有意な確率を示す治療レジメンでの投与に適切な単位用量で存在する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、固体または液体の形態で投与するために特別に製剤化されてもよく、例えば、次の投与に適合したものがある:飲薬(水性または非水性の溶液または懸濁液)、錠剤、例えば、頬側、舌下および全身吸収を標的とするもの、ボーラス、散剤、顆粒剤、舌に塗布するためのペーストなどの経口投与、皮下、筋肉内、静脈内もしくは硬膜外注射による、例えば滅菌溶液もしくは懸濁液、または徐放性製剤などによる非経口投与、皮膚、肺または口腔に適用されるクリーム、軟膏、または制御放出パッチもしくはスプレーなどとしての局所適用、ペッサリー、クリームまたはフォームなどとしての膣内または直腸内への投与、舌下投与、点眼投与、経皮投与、または経鼻投与、経肺投与、および他の粘膜表面への投与。
【0042】
薬学的に許容可能:本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能」という語句は、健全な医学的判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比に見合った、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしにヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適した化合物、材料、組成物および/または剤形を指す。
【0043】
薬学的に許容可能な担体:本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な担体」という用語は、1つの臓器または身体の一部から別の臓器または身体の一部への対象化合物の運搬または輸送に関与する、液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、または溶媒封入材料などの薬学的に許容可能な材料、組成物またはビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性であり、患者に有害ではないという意味で「許容可能」でなければならない。薬学的に許容可能な担体として機能することができる材料のいくつかの例としては、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体、トラガント粉末、麦芽、ゼラチン、タルク、カカオバターおよび坐剤ワックスなどの賦形剤、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、大豆油などの油、プロピレングリコールなどのグリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル等のエステル、寒天、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、アルギン酸、パイロジェンフリーの水、等張性生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、pH緩衝液、ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ酸無水物、医薬製剤に使用される他の非毒性適合性物質がある。
【0044】
薬学的に許容可能な塩:本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な塩」という用語は、薬学的状況での使用に適したそのような化合物の塩、すなわち、健全な医学的判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比に見合った、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずにヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに適した塩を指す。薬学的に許容可能な塩は、当技術分野でよく知られている。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences,66:1-19(1977)に詳細に薬学的に許容可能な塩を記載している。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩としては、非毒性の酸付加塩が挙げられ、これは、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸によって、または酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸によって、またはイオン交換などの当技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩であるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩には、アジピン酸塩、アルギネート、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンホレート、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトネート、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、提供される化合物は、1つまたは複数の酸性基を含み、薬学的に許容可能な塩は、アルカリ塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム(例えば、N(R)のアンモニウム塩(式中、各Rは、本開示において独立して定義され、記載される))塩である。代表的なアルカリ塩またはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、ナトリウム塩である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、カリウム塩である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、カルシウム塩である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、1~6個の炭素原子を有するアルキル、スルホン酸塩、アリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成される、非毒性アンモニウム、第4級アンモニウムおよびアミンカチオンを含む。いくつかの実施形態では、提供される化合物は、2つ以上の酸基を含む。いくつかの実施形態では、そのような化合物の薬学的に許容可能な塩または一般に塩は、同じであっても異なっていてもよい2つ以上のカチオンを含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩(または一般に、塩)において、酸性基中のすべてのイオン化可能な水素が(例えば、水溶液中において、pKaが約11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2以下、いくつかの実施形態では約7以下、いくつかの実施形態では約6以下、いくつかの実施形態では約5以下、いくつかの実施形態では約4以下、いくつかの実施形態では約3以下の水溶液中で)カチオンで置き換えられる。
【0045】
薬学的に許容可能な塩:本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な塩」という用語は、薬学的状況での使用に適したそのような化合物の塩、すなわち、健全な医学的判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比に見合った、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずにヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに適した塩を指す。
【0046】
保護基:本明細書で使用される場合、「保護基」という用語は、当技術分野でよく知られており、その全内容が参照により本明細書に援用されるProtecting Groups in Organic Synthesis、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、第3版、John Wiley&Sons、1999に詳細に記載されているものを含む。また、第2章の全内容が参照により本明細書に援用されるCurrent Protocols in Nucleic Acid Chemistry、Serge L.Beaucageら編、06/2012に記載されているヌクレオシドおよびヌクレオチド化学に特に適合した保護基も含まれる。
【0047】
被験体:本明細書で使用される場合、「被験体」という用語は、例えば実験、診断、予防および/または治療目的のために、本開示に従って化合物または組成物が投与される任意の生物を指す。典型的な被験体としては、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、ヒトなどの哺乳動物、昆虫、蠕虫など)および植物が挙げられる。いくつかの実施形態では、被験体はヒトである。いくつかの実施形態では、被験体は、特定の疾患、障害および/または状態に罹患しているおよび/または感受性がある可能性がある。
【0048】
実質的に:本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、関心のある特性または性質の全体的またはほぼ全体的な範囲または程度を示す定性的条件を指す。当業者であれば、生物学的および化学的現象は、完了することおよび/または完全に進行すること、または絶対的な結果を達成もしくは回避することは、あったとしてもほとんどないことを理解するであろう。したがって、「実質的に」という用語は、本明細書では、多くの生物学的および/または化学的現象に固有の完全性の潜在的な欠如を捕捉するために使用される。
【0049】
感受性がある:特定の疾患、障害および/または状態に「感受性がある」個体は、一般の個体より当該疾患、障害および/または状態を発症するリスクが高い個体である。いくつかの実施形態では、特定の疾患、障害および/または状態に感受性がある個体は、当該疾患、障害および/または状態に罹患する素因を有する。いくつかの実施形態では、特定の疾患、障害および/または状態に感受性がある個体は、当該疾患、障害および/または状態であると診断されていない可能性がある。いくつかの実施形態では、特定の疾患、障害および/または状態に感受性がある個体は、当該疾患、障害および/または状態の症状を示す可能性がある。いくつかの実施形態では、特定の疾患、障害および/または状態に感受性がある個体は、当該疾患、障害および/または状態の症状を示さない可能性がある。いくつかの実施形態では、特定の疾患、障害および/または状態に感受性がある個体は、当該疾患、障害および/または状態を発症するであろう。いくつかの実施形態では、特定の疾患、障害および/または状態に感受性がある個体は、当該疾患、障害および/または状態を発症しないであろう。
【0050】
治療剤:本明細書で使用される場合、「治療剤」という用語は、一般に、被験体に投与された場合に所望の効果(例えば、所望の生物学的、臨床的または薬理学的効果)を誘発する任意の薬剤を指す。いくつかの実施形態では、薬剤は、それが適切な集団にわたって統計学的に有意な効果を示すならば、治療剤であると見なされる。いくつかの実施形態では、適切な集団は、特定の疾患、障害または状態に罹患しているおよび/または感受性がある被験体の集団である。いくつかの実施形態では、適切な集団は、モデル生物の集団である。いくつかの実施形態では、適切な集団は、年齢層、性別、遺伝的背景、既存の臨床状態、治療への事前の曝露などの1つまたは複数の基準によって定義され得る。いくつかの実施形態では、治療剤は、有効量で被験体に投与した場合に、被験体における疾患、障害および/または状態の1つまたは複数の症状または特徴について緩和、改善、軽減、阻害、予防、発症の遅延、重症度の軽減、および/または発生率の低下をもたらす物質である。いくつかの実施形態では、「治療剤」は、ヒトへの投与のために市販され得る前に、政府機関によって承認されているか、または承認される必要がある薬剤である。いくつかの実施形態では、「治療剤」は、ヒトへの投与のために医学的処方が必要とされる薬剤である。いくつかの実施形態では、治療剤は、本明細書に記載の化合物である。
【0051】
治療有効量:本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、治療レジメンの一部として投与された場合に所望の生物学的応答を誘発する物質(例えば、治療剤、組成物および/または製剤)の量を意味する。いくつかの実施形態では、物質の治療有効量は、特定の疾患、障害および/または状態に罹患しているかまたは感受性がある被験体に投与された場合に、当該疾患、障害および/または状態を治療、診断、予防および/またはその発症を遅延させるのに十分な量である。当業者には理解されるように、物質の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、送達される物質、標的細胞または標的組織などのような要因に応じて変化し得る。例えば、特定の疾患、障害および/または状態を治療するための製剤中の化合物の有効量は、当該疾患、障害および/または状態の1つまたは複数の症状または特徴について緩和、改善、軽減、阻害、予防、発症の遅延、重症度の軽減、および/または発生率の低下をもたらす量である。いくつかの実施形態では、治療有効量は、単回用量で投与され、いくつかの実施形態では、治療有効量を送達するために複数の単位用量が必要とされる。
【0052】
治療する:本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」または「治療すること」という用語は、疾患、障害、および/または状態の1つまたは複数の症状または特徴について部分的または完全に緩和する、改善する、軽減する、阻害する、予防する、発症を遅延させる、重症度を軽減する、および/または発生率を低下させるために使用される任意の方法を指す。治療は、疾患、障害および/または状態の徴候を示さない被験体に投与され得る。いくつかの実施形態では、治療は、例えば、疾患、障害および/または状態に関連する病態を発症するリスクを低下させる目的で、疾患、障害および/または状態の初期徴候のみを示す被験体に投与され得る。
【0053】
単位用量:本明細書で使用される「単位用量」という表現は、医薬組成物の単回用量としておよび/または物理的に別個の単位で投与される量を指す。多くの実施形態において、単位用量は、所定量の活性薬剤を含有する。いくつかの実施形態では、単位用量は、薬剤の単回用量全体を含む。いくつかの実施形態では、2つ以上の単位用量を投与して、総単回用量を達成する。いくつかの実施形態では、意図された効果を達成するために、複数の単位用量の投与が必要とされるか、または必要とされると予想される。単位用量は、例えば、所定量の1つまたは複数の治療薬を含有する液体(例えば、許容可能な担体)の体積、所定量の固体形態の1つまたは複数の治療剤、所定量の1つまたは複数の治療剤を含有する持続放出製剤または薬物送達装置などであり得る。単位用量は、治療剤に加えて様々な成分のいずれかを含む製剤中に存在し得ることが理解されよう。例えば、許容可能な担体(例えば、薬学的に許容可能な担体)、希釈剤、安定剤、緩衝剤、保存剤などが、以下に記載されるように含まれ得る。多くの実施形態では、特定の治療剤の適切な1日の総投与量は、単位用量の一部または複数を含み得、例えば、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定され得ることが当業者には理解されよう。いくつかの実施形態では、任意の特定の被験体または生物に対する特定の有効用量レベルは、治療される障害および障害の重症度、使用される特定の活性化合物の活性、使用される特定の組成物、被験体の年齢、体重、全身の健康状態、性別および食事、使用される特定の活性化合物の投与時間および排泄速度、治療期間、使用される特定の化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物および/または追加の治療、ならびに医学分野でよく知られている同様の要因を含む様々な要因に依存し得る。
【0054】
不飽和:本明細書で使用される場合、「不飽和」という用語は、部分が1つまたは複数の不飽和単位を有することを意味する。
【0055】
特に明記しない限り、本明細書に示される構造は、構造のすべての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび幾何(または配座))形態を含むことも意味する。例えば、各不斉中心のRおよびS配置、ZおよびE二重結合異性体、ならびにZおよびE配座異性体である。したがって、本化合物の単一の立体化学異性体ならびにエナンチオマー、ジアステレオマーおよび幾何(または配座)混合物は、本開示の範囲内である。特に明記しない限り、化合物のすべての互変異性形態は本開示の範囲内である。さらに、別段述べられない限り、本明細書中に示される構造はまた、1つまたは複数の同位体的に濃縮された原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことを意味する。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置換、または13C-もしくは14C-濃縮炭素による炭素の置換を含む本構造を有する化合物は、本開示の範囲内である。そのような化合物は、例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、または本開示による治療剤として有用である。
【0056】
3.例示的な実施形態の説明
アミノ酸:本明細書において、アミノ酸とは、あらゆる生物の遺伝コードに天然にコード化されているか、または見出されている既知のタンパク新生アミノ酸、またはあらゆる生物の遺伝コードに天然にコード化されていないか、または見出されていない非タンパク新生アミノ酸を意味する。非タンパク新生アミノ酸の例としては、主鎖構造が天然型とは異なるα,α-二置換アミノ酸(α-メチルアラニン等)、N-アルキル-α-アミノ酸、N-アルキル-α-D-アミノ酸が挙げられる。その例としては、β-アミノ酸や、天然型とは異なる側鎖構造を有するアミノ酸(ノルロイシン、ホモヒスチジン、ヒドロキシプロリンなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
CD38:CD38(環状ADPリボース加水分解酵素としても知られる分化抗原群38)は、様々な種類の細胞によって発現され、いくつかの機能を果たす。CD38は、CD4、CD8、Bリンパ球、ナチュラルキラー細胞など多くの免疫細胞の表面に糖タンパク質として見出されることが報告されている。CD38については他にも、細胞接着、シグナル伝達、カルシウムシグナル伝達などの機能があることが報告された。好ましいCD38は、ヒトCD38である。
【0058】
CD38は、HIV感染、白血病、骨髄腫、固形癌、CLL、MM、APL(後述)など、様々な状態、障害、疾患と関連している。
【0059】
CD38を標的とする抗体であるダラツムマブは、多発性骨髄腫の治療において承認されている。
【0060】
CD38はまた、細胞内カルシウムイオン動員メッセンジャーである環状アデノシン5’-二リン酸-リボースを合成および加水分解する、系統非限定的なII型膜貫通糖タンパク質である。可溶性タンパク質の放出および膜結合タンパク質が内在化される能力は、タンパク質の細胞外機能および細胞内機能の両方を示す。このタンパク質は、N末端細胞質尾部、単一の膜貫通ドメイン、および4つのN-グリコシル化部位を有するC末端細胞外領域を有する。結晶構造分析により、機能性分子が二量体であり、中央部分が触媒部位を含むことが示される。これは、慢性リンパ性白血病の患者の予後マーカーとして使用される。選択的スプライシングは、複数の転写変異体をもたらす。
【0061】
CD38結合剤:いくつかの実施形態では、本開示の薬剤はCD38に結合することができる。本明細書において、CD38に特異的に結合するペプチド(CD38結合ペプチドともいう)とは、特にCD38に結合することができる任意のペプチドを意味する。当業者であれば、よく知られている方法により確認することができる。
【0062】
薬剤は、CD38結合ペプチド、その薬学的に許容可能な塩またはその薬学的に許容可能な溶媒和物であってもよく、ここで、CD38結合ペプチドは、以下のいずれかである。
【0063】
(1)配列番号1または2、すなわち、Ala Arg Ahp Tyr His Asp Gly Val Leu Bph Ahp Asp Cys(配列番号1)、Ala Leu His MePhe Val Leu Pro Bph Val Trp Val Cys(配列番号2)で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、
【0064】
(2)配列番号1または2で示されるアミノ酸配列を有し、N末端のAlaがクロロアセチル化Alaであるポリペプチド、
【0065】
(3)配列番号1または2におけるC末端にCysを欠失したアミノ酸配列を含まない、配列番号1または2における1つまたは複数のアミノ酸が欠失、付加、置換または挿入されたアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【0066】
(4)配列番号1または2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドであって、N末端のAlaが、配列番号1または2における1つまたは複数のアミノ酸が欠失、付加、置換または挿入されたクロロアセチル化Alaであり、配列番号1または2におけるC末端のCysが欠失したアミノ酸配列を含まないポリペプチド。または、
【0067】
(5)環状構造を有する、上記(1)~(4)のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【0068】
CD38関連疾患:CD38は健常者のT細胞やB細胞などの免疫系細胞に発現することが報告されている。疾患の場合、CD38発現の増加または通常は発現が判定されない細胞で特異的に発現することが判定される。いくつかの疾患、例えば、腫瘍、特に癌または白血病は、CD38との関係を有することが知られている。さらなる詳細については、
【0069】
慢性リンパ性白血病(CLL):CLLは、血液、骨髄、リンパ節および他のリンパ組織における小Bリンパ球(CD19+/CD5+/CD23+)の蓄積によって引き起こされる一般的な成人白血病である。CD38の発現の増加を検出することにより、疾患の進行を判定することが可能である。
【0070】
多発性骨髄腫(MM):MMは、モノクローナル形質細胞、血漿、尿中の高濃度モノクローナル免疫グロブリン(Ig)、溶解性骨変異の蓄積を特徴とする悪性腫瘍である。
【0071】
急性前骨髄球性白血病(APL):APLは、前骨髄球期に白血球の分化が阻害されることを特徴とする急性白血病の独特のサブタイプである。顆粒球上のCD38の過剰発現がこの疾患の患者において観察される。
【0072】
他の疾患:CD38は、非ホジキンリンパ腫、BおよびT細胞急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、ならびに慢性骨髄性白血病との関連が報告されている。
【0073】
アミノ酸の欠失、付加、置換または挿入:アミノ酸置換は、既知のアミノ酸による置換、好ましくは保存的アミノ酸置換を意味する。典型的には、保存的アミノ酸残基の置換は、タンパク質またはペプチドの機構に影響を及ぼさないであろう。類似の化学的性質を有する側鎖を有するアミノ酸基の例としては、1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン、2)脂肪族ヒドロキシル側鎖:セリンおよびトレオニン、3)アミド含有側鎖:アスパラギンおよびグルタミン、4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン、5)塩基性側鎖:リジン、アルギニン、およびヒスチジン、6)酸性側鎖:アスパラギン酸およびグルタミン酸、ならびに7)システインおよびメチオニンを含む硫黄含有側鎖が挙げられる。保存的アミノ酸置換は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン-トリプトファン、リジン-アルギニン、アラニン-バリン、グルタミン酸-アスパラギン酸、およびアスパラギン-グルタミンである。前述のアミノ酸は、タンパク質性アミノ酸または非タンパク質性アミノ酸であり得る。本明細書を通して、「1つまたは複数のアミノ酸」という用語は、欠失、置換、挿入および/または付加され得る1つまたは複数のアミノ酸を指す。また、本明細書において「1つまたは複数のアミノ酸」という用語は、1つまたは複数のアミノ酸を指す場合がある。本発明は、配列番号1~34のいずれかで示されるアミノ酸配列において1~5個、好ましくは4個以下、3個以下、2個以下、より好ましくは1個以下のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、CD38に結合する活性を有するペプチドを含むが、これらに限定されない。
【0074】
CD38関連疾患の手術・治療・診断:本発明は、CD38と結合することにより、CD38関連疾患を手術することができる。例えば、本発明のCD38結合ペプチドと細胞毒性化学化合物とのコンジュゲートを使用して、CD38を発現している細胞、特に癌細胞を直接的または間接的に特異的に死滅させたり損傷することが可能となる。同時に、CD38結合ペプチドにコンジュゲートさせて患者に投与したマーカーを検出することにより、CD38の発現プロファイルをin vivoで診断することが可能となる。例えば、CLL患者にCD38結合ペプチドを投与し、その量を検出することにより、疾患の進行を診断することができる。
【0075】
標的:いくつかの実施形態では、本開示は、CD38結合部分を含む薬剤を、1つまたは複数の標的を含む所望の標的部位に選択的に導くための技術を提供する。当業者が理解するように、提供される技術は、様々なタイプの標的、特にCD38を含む標的に有用である。
【0076】
いくつかの実施形態では、標的は、損傷組織または欠陥組織である。いくつかの実施形態では、標的は、損傷組織である。いくつかの実施形態では、標的は、欠陥組織である。いくつかの実施形態では、標的は、疾患、障害または状態、例えば癌、創傷などに関連する。いくつかの実施形態では、標的は腫瘍である。いくつかの実施形態では、標的は、疾患細胞であるか、または疾患細胞を含む。いくつかの実施形態では、標的は、癌細胞であるか、または癌細胞を含む。いくつかの実施形態では、標的は、異物である。いくつかの実施形態では、標的は、感染性因子であるか、または感染性因子を含む。いくつかの実施形態では、標的は、微生物である。いくつかの実施形態では、標的は、細菌であるか、または細菌を含む。いくつかの実施形態では、標的は、ウィルスであるか、またはウィルスを含む。いくつかの実施形態では、標的はCD38を含むか、または発現する。
【0077】
多くの実施形態では、標的は、疾患、障害または状態、特に様々な種類の癌に関連する組織および/または細胞である。いくつかの実施形態では、標的は、状態、障害または疾患に関連する細胞であるか、またはそれらを含む。いくつかの実施形態では、標的は、癌に関連する細胞であるか、またはそれらを含む。いくつかの実施形態では、細胞は、CD38を含むか、または発現する。
【0078】
コンジュゲート:いくつかの実施形態では、本開示は、コンジュゲート化合物である薬剤を提供する。いくつかの実施形態では、提供されるコンジュゲートは、CD38に結合することができる第1の部分と、いくつかの目的のための様々な構造、例えば、検出剤、診断剤または治療薬などの部分であり得る第2の部分と、場合により、第1の部分と第2の部分とを連結するリンカーとを含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、CD38結合ペプチドおよび送達されることが望ましい材料を連結することができる。送達されることが望ましい材料は、例えば、CD38関連疾患の治療のために使用される材料であり得る材料に限定されない。例えば、抗CD38抗体、細胞毒性化学化合物、放射性同位体標識化合物などであり得る。それはまた、CD38結合ペプチドに結合した細胞を直接損傷する材料、またはそれらの細胞を間接的に損傷する材料、例えば、多発性骨髄腫を含む造血腫瘍の癌細胞の表面に発現されるCD38抗原に結合することによって、補体依存性細胞傷害性(CDC)または抗体依存性細胞傷害性(ADCP)を介して癌細胞に影響を及ぼす抗癌材料(ダラツムマブなど)であり得る。
【0080】
さらに、そのような材料は、CD38関連疾患を診断するのに有用な任意のタグであり得る。例えば、指向性標識を有する抗体、生物刺激タグ、PET試薬などである。明確にするために、診断のために使用する場合、感染に関する1つまたは複数のアミノ酸を直接的または間接的に標識することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、CD38結合部分、例えば第1の部分は、-PMであるか、または-PMを含み、H-PMは、表1の化合物またはその塩形態である。いくつかの実施形態では、H-PMは、I-1またはその塩である。いくつかの実施形態では、H-PMは、I-2またはその塩である。いくつかの実施形態では、第1の部分、例えば、-PMは、
[化01]
【0082】
【化1】
であるか、またはその塩形態を含む。
いくつかの実施形態では、第1の部分、例えば、-PMは、
[化02]
【0083】
【化2】
【0084】
であるか、またはその塩形態を含む。
【0085】
当業者に認識されるように、提供されるコンジュゲートは、いくつかの目的のために、(例えば、第2の部分として)様々な有用な薬剤の部分を含むことができる。検出、診断、治療などに適した薬剤/部分は、当技術分野で広く知られており、本開示に従って利用することができる。
【0086】
例えば、いくつかの実施形態では、有用な薬剤は治療薬である。いくつかの実施形態では、有用な薬剤は、FDA承認治療薬、または臨床試験中であったかもしくは臨床試験中のものである。いくつかの実施形態では、有用な薬剤は癌治療薬である。いくつかの実施形態では、有用な薬剤は細胞を死滅させたり、細胞増殖を阻害したりする。いくつかの実施形態では、有用な薬剤は毒素であり、例えば、細胞増殖を阻害し、および/または細胞を死滅させることができるものである。いくつかの実施形態では、有用な薬剤は放射性医薬品である。
【0087】
いくつかの実施形態では、第2の薬剤は、小分子、核酸、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質およびそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、第2の部分は、そのような第2の薬剤の部分である。
【0088】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、当技術分野で広範囲に記載されている抗体-薬物コンジュゲートのペイロードである。
【0089】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、検出および/または診断に有用であり、例えば、適切な技術を使用して適切な条件下で検出され得るシグナルを提供することができる部分である。例えば、いくつかの実施形態では、第2の部分は蛍光部分であるか、または蛍光部分を含む。いくつかの実施形態では、第2の部分は、放射性標識(例えば、検出のための同位体)であるか、または放射性標識を含む。いくつかの実施形態では、第2の部分は、イメージング、例えばPETに有用な部分であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、第2の部分は、RIタグであるか、またはRIタグを含む。いくつかの実施形態では、第2の部分は、RIイメージングタグであるか、またはRIイメージングタグを含む。いくつかの実施形態では、第2の部分は、FDGタグであるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、第2の部分は、常磁性イオンタグであるか、または常磁性イオンタグを含む。いくつかの実施形態では、第2の部分は、固相部分であるか、または固相部分を含む。いくつかの実施形態では、第2の部分は、AuタグやAgタグなどの金属ナノタグであるか、それを含む。いくつかの実施形態では、第2の部分は、Hisタグ(ポリHis、ヘキサHis)タグ、HAタグ、Mycタグ、FLAGタグ、V5タグSタグ、Eタグ、T7タグ、VSV-Gタグ、Gly-Gluタグ、HSVタグ、Strep(II)タグ、CBDタグ、CBPタグ、GST(グルタチオンS-トランスフェラーゼ)タグ、MBP(マルトース結合タンパク質)タグ、チオレドキシンタグ、ビオチンカルボキシルキャリアタンパク質(BCCP)タグなどの親和性タグであるか、または親和性タグを含む。いくつかの実施形態では、第2の部分は、GFPタグ、RFPタグ、FITCタグなどの金属蛍光タグであるか、または金属蛍光タグを含む。いくつかの実施形態では、第2の部分はハプテンタグであるか、またはハプテンタグを含む。いくつかの実施形態では、第2の部分は、FLAGタグ、HAタグなどの標識であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、第2の部分は、核酸タグであるか、または核酸タグを含む。
【0090】
特定の有用な部分は、国際公開第2016/146639号パンフレット、国際公開第2009/140408号パンフレット、国際公開第2015/095895号パンフレット、国際公開第2016/168817号パンフレット、国際公開第2009/092732号パンフレット、Mol.BioSyst.、2016、12、1731-1745、Trends Biotechnol.2012年1月;30(1):8-16に記載されている。
【0091】
コンジュゲート剤は、同じであっても異なっていてもよい1つまたは複数の第1の部分(例えば、CD38結合部分)と、同じであっても異なっていてもよく、同じまたは異なる用途のためのものであり得る1つまたは複数の第2の部分とを含むことができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、本開示は、CD38に関連する状態、障害または疾患を予防または治療するための方法を提供し、この方法は、それらに感受性があるかまたはそれらに罹患している被験体に、提供される化合物またはその薬学的に許容可能な塩の有効量を投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、CD38(例えば、CD38を発現する細胞)を含む標的を系で検出する方法を提供し、この方法は、提供される化合物またはその塩を系に投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、CD38(例えば、CD38を発現する細胞)を含む標的を系で検出する方法を提供し、この方法は、標的を提供される化合物またはその塩と接触させるステップを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、状態、障害または疾患の診断方法を提供し、この方法は、提供される化合物またはその塩を被験体に投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、提供される化合物は、I-1~I-38から選択される式の化合物である。いくつかの実施形態では、提供される化合物は、コンジュゲートである。いくつかの実施形態では、提供される化合物は、式I-1~I-38の化合物のコンジュゲートである。
【0093】
様々なコンジュゲーションケミストリーが当技術分野で広く知られ、実施されており、本開示に従って提供されるコンジュゲートを調製するために利用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1の部分は、場合によりリンカーを介して第1の反応性基に連結され、第2の部分は、場合によりリンカーを介して第2の反応性基に連結され、第1の反応性基は第2の反応性基と反応することができる。いくつかの実施形態では、反応性基は、アミノ基、酸基、環化付加反応(例えば、ディールス・アルダーおよびその変異体、シュタウディンガーライゲーションおよびその変異体、クリックケミストリーおよびその変異体など)のための反応性基およびその活性化形態であるか、それらを含む。いくつかの実施形態では、第1の反応性基は、アミノ基である。いくつかの実施形態では、第2の反応性基は活性化酸である。
リンカー部分
【0094】
CD38に送達される必要があるCD38結合ペプチドおよびマーティアルは、リンカーと連結され得る。
【0095】
リンカー(架橋剤ともいう)は、任意の公知のリンカーまたは本明細書中に記載されるリンカーであり得る。いくつかの実施形態では、これらのリンカーは、例えば、化学的リンカー、脂質リンカー、ペプチド(ポリペプチド)リンカーであろう。または、化学リンカーとペプチドリンカーとの組み合わせであろう。例えば、これらのリンカーは、解離もしくは分離されるか、または特定の条件下で安定なリンカーであろう。おそらく、PEG(ポリエチレングリコール)リンカーまたはペプチドリンカー。例えば、1~24個のエチレングリコール単位からなるPEGであり得る。ペプチドリンカーは、少なくとも1つのアミノ酸からなり得る。いくつかの実施形態では、リンカーはアミノ酸であり得る(例えば、Gly、Lys、Glu、SerまたはAlaなどの任意のアミノ酸であり得る)。いくつかの実施形態では、リンカーは、PEGリンカーと、化学化合物と組み合わされるペプチドリンカーとの組み合わせであり得る。
【0096】
例示的な化合物には、以下の表1に示されるものが含まれる。
【表1】
[化03]
【0097】
【化3】
[化04]
【0098】
【化4】
[化05]
【0099】
【化5】
[化06]
【0100】
【化6】
[化07]
【0101】
【化7】
[化08]
【0102】
【化8】
【0103】
いくつかの実施形態では、本開示は、上記の表1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
4.本化合物を提供する一般的方法
【0104】
本開示の化合物は、一般に、類似化合物について当業者に知られている合成および/または半合成方法によって、ならびに本明細書の実施例に詳細に記載される方法によって調製または単離され得る。
【0105】
特定の保護基(「PG」)、脱離基(「LG」)、または変換条件が示されているいくつかの実施形態では、当業者は、他の保護基、脱離基、および変換条件も適切であり、企図されることを理解するであろう。そのような基および変換は、それぞれの全体が参照により本明細書に援用される、March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure、M.B.SmithおよびJ.March、第5版、John Wiley&Sons、2001、Comprehensive Organic Transformations、R.C.Larock、第2版、John Wiley&Sons、1999、およびProtecting Groups in Organic Synthesis、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、第3版、John Wiley&Sons、1999に詳細に記載されている。
【0106】
いくつかの実施形態では、脱離基としては、ハロゲン(例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、スルホネート(例えば、-S(O)R、メシラート、トシラート、ベンゼンスルホネート、ブロシラート、ノシラート、トリフラート)、ジアゾニウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
いくつかの実施形態では、酸素保護基は、例えば、カルボニル保護基、ヒドロキシル保護基などを含む。ヒドロキシル保護基は当技術分野でよく知られており、その全内容が参照により本明細書に援用されるProtecting Groups in Organic Synthesis、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、第3版、John Wiley&Sons、1999に詳細に記載されているものが含まれる。適切なヒドロキシル保護基の例としては、エステル、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテル、およびアルコキシアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。そのようなエステルの例には、ギ酸塩、酢酸塩、炭酸塩、およびスルホン酸塩が含まれる。具体的には、ギ酸塩、ギ酸ベンゾイル、クロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メトキシ酢酸塩、トリフェニルメトキシ酢酸塩、p-クロロフェノキシ酢酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、4-オキソペンタノエート、4,4-(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート(トリメチルアセチル)、クロトネート、4-メトキシ-クロトネート、ベンゾエート、p-フェニルベンゾエート、2,4,6-トリメチルベンゾエート、カーボネート、例えばメチル、9-フルオレニルメチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-(フェニルスルホニル)エチル、ビニル、アリル、p-ニトロベンジルなどが挙げられる。そのようなシリルエーテルの例としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリル、および他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。アルキルエーテルには、メチル、ベンジル、p-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、トリチル、t-ブチル、アリル、およびアリルオキシカルボニルエーテルまたは誘導体が含まれる。アルコキシアルキルエーテルには、アセタール、例えばメトキシメチル、メチルチオメチル、(2-メトキシエトキシ)メチル、ベンジルオキシメチル、ベータ-(トリメチルシリル)エトキシメチル、およびテトラヒドロピラニルエーテルが含まれる。アリールアルキルエーテルの例としては、ベンジル、p-メトキシベンジル(MPM)、3,4-ジメトキシベンジル、O-ニトロベンジル、p-ニトロベンジル、p-ハロベンジル、2,6-ジクロロベンジル、p-シアノベンジル、ならびに2-および4-ピコリルが挙げられる。
【0108】
アミノ保護基は当技術分野でよく知られており、その全内容が参照により本明細書に援用されるProtecting Groups in Organic Synthesis、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、第3版、John Wiley&Sons、1999に詳細に記載されているものが挙げられる。適切なアミノ保護基には、アラルキルアミン、カルバメート、環状イミド、アリルアミン、アミドなどが含まれるが、これらに限定されない。このような基としては、例えば、t-ブチルオキシカルボニル(BOC)、エチルオキシカルボニル、メチルオキシカルボニル、トリクロロエチルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル(Alloc)、ベンジルオキソカルボニル(CBZ)、アリル、フタルイミド、ベンジル(Bn)、フルオレニルメチルカルボニル(Fmoc)、ホルミル、アセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、フェニルアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル等が挙げられる。
【0109】
当業者は、式IまたはIIの化合物が1つまたは複数の立体中心を含有し得、ラセミ混合物またはジアステレオマー混合物として存在し得ることを理解するであろう。当業者はまた、HPLC、キラルHPLC、ジアステレオマー塩の分別結晶、(例えば、真菌由来、細菌由来または動物由来のリパーゼまたはエステラーゼによる)速度論的酵素分割、およびエナンチオ濃縮試薬を使用した共有結合ジアステレオマー誘導体の形成を含むがこれらに限定されない、これらの化合物の立体濃縮または立体純粋な異性体を得るための異性体の分離に関して当技術分野で既知の多くの方法があることを理解するであろう。
【0110】
当業者であれば、脂肪族基、アルコール、カルボン酸、エステル、アミド、アルデヒド、ハロゲン、ニトリルなど、本開示の化合物に存在する様々な官能基は、還元、酸化、エステル化、加水分解、部分酸化、部分還元、ハロゲン化、脱水、部分水和、水和などを含むがこれらに限定されない当技術分野でよく知られている技術によって相互変換され得ることを理解するであろう。その全内容が参照により本明細書に援用される、「March’s Advanced Organic Chemistry」、第5版、Smith,M.B.およびMarch,J.編、John Wiley&Sons、New York:2001。そのような相互変換は、上述の技術の1つまたは複数を必要とする場合があり、本開示の化合物を合成するための特定の方法は、以下の実施例に記載されている。
【0111】
本明細書で提供される多くの化合物は、ペプチド部分を含む。生物学的ペプチド合成装置を含む系(例えば、in vivoまたはin vitro翻訳系)または化学合成のいずれかによるそのような化合物の調製は、様々な技術を使用して達成することができる。いくつかの実施形態では、ペプチドはin vitro翻訳によって調製される。いくつかの実施形態では、ペプチドは、例えばFmoc化学によって化学合成される。アミノ酸試薬、保護基、カップリング条件、活性化試薬、脱保護条件、精製方法など、ペプチドのFmoc合成のための有用な技術は、当技術分野で広く知られており、提供される化合物を調製するために容易に利用することができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、提供される化合物は、環状ペプチド部分を含む。多くの適切な環化技術を本開示に従って利用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、1つのアミノ酸、例えばN末端アミノ酸は、脱離基(-LG、例えば、-Cl、-Br、-Iなど)を含み、求核試薬(例えば、システイン側鎖の-SH)を含む別のアミノ酸と反応することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に示すように、脱離基は、(例えば、N末端アミノ酸残基の)アミノ基に結合している-C(O)CH-LGを介してアミノ酸に組み込まれる。いくつかの実施形態では、-LGは、-Clである。いくつかの実施形態では、ペプチド環化の脱保護後、環状ペプチド部分を含む化合物を提供するのに適した条件下で達成することができる。いくつかの実施形態では、提供される化合物は、式RCN-(Xaa)y-RCSの化合物またはその塩であり、式中、RCNは、本明細書に記載の通りであり、(Xaa)yは、本明細書に記載の通りであり、RCSは、RCCまたは支持体であり、Xaaの各側鎖は、独立して、場合により保護されている。いくつかの実施形態では、RCNは、-LGを含む。いくつかの実施形態では、RCNは、-C(O)-LGである。いくつかの実施形態では、RCNは、-C(O)-Clである。いくつかの実施形態では、RCNは、N末端アミノ基に結合している。いくつかの実施形態では、RCSは、支持体、例えばペプチド合成用の支持体である。いくつかの実施形態では、RCSは、Fmoc化学を用いたペプチド合成に適した樹脂である。いくつかの実施形態では、C末端残基は、場合により保護されたCys残基である。
【0113】
当業者によって理解されるように、多くの技術が、コンジュゲートを調製するために利用可能であり、これらの技術には、アミノ基、活性化酸基(例えば、NHSエステル)、求核剤、求電子剤、環化付加反応基質などの反応性を利用するものが含まれる。いくつかの実施形態では、反応は生体適合性反応であり、これは当技術分野で広く知られ、実施されており、本開示に従って利用され得る。
【0114】
とりわけ、本開示は、高純度の化合物を提供する。いくつかの実施形態では、提供される化合物は、80~100%、例えば、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の純度を有する。
【0115】
5.提供される化合物を評価するための技術
提供される化合物の特性および機能を評価するために、様々なアッセイを利用することができる。例えば、様々な技術、例えば、SPR、ELISA、ディスプレイ、FACSなどが、提供される化合物のCD38への結合を測定するために有用である。いくつかの実施形態では、結合は細胞ベースのアッセイで評価される。in vitroおよびin vivoの両方において、いくつかの方法を利用して、提供される化合物および組成物の生物学的影響を測定することができる。いくつかの実施形態では、薬剤によるCD38結合のKdは、例えば、本明細書中に記載されるアッセイによって測定される場合、1000、500、200、150、120、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1nM以下である。いくつかの実施形態では、Kdは500nM以下である。いくつかの実施形態では、Kdは200nM以下である。いくつかの実施形態では、Kdは100nM以下である。いくつかの実施形態では、Kdは50nM以下である。いくつかの実施形態では、Kdは20nM以下である。いくつかの実施形態では、Kdは10nM以下である。いくつかの実施形態では、Kdは5nM以下である。いくつかの実施形態では、Kdは1nM以下である。
【0116】
いくつかの実施形態では、提供される化合物は、例えばいくつかの他のペプチド配列を含む多くの他の化合物と比較してライブラリーで評価され得る。いくつかの実施形態では、そのようなライブラリーは、位相ディスプレイライブラリーである。いくつかの実施形態では、そのようなライブラリーは、RNA、例えばmRNAディスプレイライブラリーである。いくつかの実施形態では、そのようなライブラリーはDNAディスプレイライブラリーである。
【0117】
有用な関連技術には、米国特許出願公開第2016/0068835号明細書、米国特許第9410148号明細書、米国特許第8188260号明細書、および米国特許第9090668号明細書に記載されているものが含まれる。ファージライブラリーを使用する少なくとも1つのそのような試験では、提供される化合物のペプチド配列は、他の配列より高い結合性を示した。
【0118】
6.使用、製剤および投与
薬学的に許容可能な組成物
【0119】
別の実施形態によれば、本開示は、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な誘導体と、薬学的に許容可能な担体、アジュバント、またはビヒクルとを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本開示の化合物および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、治療有効量の化合物および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物を提供する。
【0120】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルは、それと共に製剤化される化合物の薬理学的活性を破壊しない非毒性担体、アジュバントまたはビヒクルである。薬学的に許容可能な担体、アジュバント、またはビヒクルには、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれるが、これらに限定されない。
【0121】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な誘導体は、レシピエントに投与すると、化合物またはその活性代謝産物もしくは残基を直接的または間接的に提供することができる化合物の非毒性の塩、エステル、エステルの塩または他の誘導体である。
【0122】
組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、直腸的に、経鼻的に、口腔的に、経膣的に、または埋め込まれたリザーバーを介して投与され得る。いくつかの実施形態では、非経口投与は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内および頭蓋内の注射または注入技術を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、経口、腹腔内または静脈内投与される。滅菌された注射可能な形態の組成物は、水性または油性の懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当技術分野で既知の技術に従って製剤化することができる。滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であってもよい。使用され得る許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌固定油は、溶媒または懸濁媒体として従来から使用されている。
【0123】
化合物およびその組成物の使用
【0124】
提供される技術は、CD38に関連する多くの目的に有用である。とりわけ、提供される化合物およびその組成物は、CD38の結合ならびにCD38の特性および/または活性の調節に有用である。
【0125】
いくつかの実施形態では、提供される技術は、in vivoまたはin vitroのいずれかでの検出、診断および/または治療用途のために、CD38を含む標的に薬剤を送達するのに特に有用である。いくつかの実施形態では、そのような薬剤は、CD38結合部分を含むコンジュゲートによって送達される。
【0126】
とりわけ、提供される化合物は、様々なCD38に関連する状態、障害または疾患を予防または治療するのに有用である。いくつかの実施形態では、状態、障害または疾患は、癌である。
【0127】
いくつかの実施形態では、提供される化合物は、CD38を有する標的、例えば細胞を標識して、治療剤(例えば、PDCによるペイロード薬物)による検出、単離、特徴付けまたは標的化するのに有用である。
【0128】
【実施例
【0129】
以下の実施例に示されるように、特定の例示的な実施形態において、化合物は、以下の一般的な手順に従って調製される。一般的な方法は本開示の特定の化合物の合成を示すが、以下の一般的な方法、および当業者に既知の他の方法は、本明細書に記載されるように、これらの化合物のそれぞれのすべての化合物およびサブクラスおよび種に適用することができることが理解されよう。
【実施例1】
【0130】
提供される化合物はCD38に結合する。
【0131】
ファージディスプレイライブラリーを構築して、例えば米国特許出願公開第2016068835号明細書、米国特許第9410148号明細書および米国特許第8188260号明細書に記載されている技術を使用して、CD38へのいくつかのペプチドの結合を評価した。以下の配列を含むペプチドを同定した。
【0132】
組換えヒトCD38タンパク質をR&D Systems社から購入した。いくつかの実施形態では、次のコドンが使用された。ClAc-Ala:N-クロロアセチル-L-アラニン、MePhe:N-メチル-L-フェニルアラニン、MeGly:N-メチルグリシン、Ahp:(S)-2-アミノヘプタン酸、Bph:(S)-3-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-アミノプロパン酸
【0133】
化合物I-1(相違点はアミノ酸配列)と類似の構造を有するいくつかの化合物を調製し、ELISAアッセイで評価した。特定のデータを以下に示す。第1の配列は、I-1および配列番号1のものである。
【0134】
【表2】
値が大きいほど強い結合を示す。
【0135】
化合物I-2(相違点はアミノ酸配列)と類似の構造を有するいくつかの化合物を調製し、ELISAアッセイで評価した。特定のデータを以下に示す。第1の配列は、I-2および配列番号2のものである。
【0136】
【表3】
値が大きいほど強い結合を示す。
【実施例2】
【0137】
例示的な結合定数。
CD38結合を評価するための多くの有用な技術の1つは、表面プラズモン共鳴(SPR)である。例えば、CD38に対するI-1(配列番号1、以下同じ)およびI-2(配列番号2、以下同じ)の結合定数を、BIACORE T200(Cytiva:旧GEヘルスケア社製)を使用するSPRアッセイによって分析した。ランニング緩衝液(1%(v/v)DMSOを含むHBS-EP)を用いたSeries S Sensor Chip CM3(Cytiva:旧GEヘルスケア社製)の平衡化の後、EDC/NHS混合物を10μL/分の流速で4分間注入し、それによってセンサーチップ上の官能基を活性化した。10mM酢酸塩(pH5.5)中のCD38を5μL/分の流速で固定化して注入した。4分間かけて、センサーチップの基板表面にCD38を固定化した。次いで、エタノールアミンを10μL/分の流速で4分間注入した。1.0Mエタノールアミン(水溶液)を10μL/分の流速で420秒間注入してキャッピングした。DMSO中の10mMペプチドをランニング緩衝液で10uMに希釈し、100nM、50nM、25nM、10nM、5nMの各ペプチド溶液(ペプチド試料)を調製した。
これらのペプチド試料を用いて、CD38に対するペプチドのキネティクスを測定した。試料測定に採用した方法は、シングルサイクルキネティクス解析法であった。分析はBiacore T200付属の評価ソフトを用いて行った。溶媒補正測定によって得られたDMSO補正曲線を分析に適用した。サンプル測定データからベースラインデータを差し引くことによって得られた差分データに対してキネティクスフィッティングを行った。
【0138】
KD値は、会合速度定数(ka)および解離速度定数(kd)に基づいて計算した。得られた結果を以下の表に示す。
【0139】
【表4】
本明細書で実証されるように、提供される化合物はCD38に有効に結合することができる。
【実施例3】
【0140】
提供される化合物の例示的な合成。
【0141】
本明細書で使用される略語は当業者によく知られている。使用される略語のいくつかは以下の通りである。calcd.:計算された、Fmoc:フルオレニルメチルオキシカルボニル、HOAt:1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、HATU:1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート、DMSO:ジメチルスルホキシド、DMF:N,N-ジメチルホルムアミド、mL:ミリリットル、M:モーラー、v/v:体積あたりの体積、Mpe:メチルペント-3-イル(アミノ酸側鎖保護基)、Pbf:(2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル)(アミノ酸側鎖保護基)、TFA:トリフルオロ酢酸、TIS:トリイソプロピルシラン、MeF:メチルフェニルアラニン、Ahp:2-アミノ-ヘプタン酸、BPh:β-(4-ビフェニル)-アラニン。特定の有用な技術は、Bioconjugate Chem.2018、29、1847-1851に記載されている。いくつかの実施形態では、ペプチドは、N末端にClAc-を有していた。いくつかの実施形態では、環化のために、脱保護ペプチドをDMSO 0.1%TFAに溶解し、続いて溶液が塩基性になるまでTEAを添加した。
【0142】
典型的には、ペプチドを標準的な固相Fmoc化学によって合成した。ペプチドをBiotage Syro I(バイオタージ・ジャパン社製)で組み立てた。本発明のC末端に非置換カルボキシアミドを有するペプチドは、9-Fmoc-アミノ-キサンテン-3-イルオキシ-メリフィールド樹脂(Fmoc保護Sieber樹脂)から調製した。本発明における環状ペプチド誘導体に使用される特定のアミノ酸構成要素を、括弧内に示される側鎖の保護基と共に以下に列挙した。列挙したアミノ酸構成要素は市販されており、さらなる精製を行わずに使用した。Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-Pro-OH、Fmoc-Trp(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Arg-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-MetO2-OH、Fmoc-Hse-OH、Fmoc-Har-OH、Fmoc-D-Ala-OH、Fmoc-W6N-OH、Fmoc-Ano-OH、Fmoc-Ado-OH、Fmoc-PhNle-OH、Fmoc-PhNva-OH、Fmoc-Cit-OH、Fmoc-F3G-OH、Fmoc-FRNNMe-OH、Fmoc-RNNdMe-OH、Fmoc-RNdMe-OH、Fmoc-hCit-OH、Fmoc-4Py2NH2(Boc)-OH。
【0143】
本発明に開示されるペプチドの環化は、ペプチドをDMSOに溶解し、最終濃度を5mMとして、次いで6当量のTEAを添加し、約16時間撹拌することによって行った。反応液を酢酸で中和した後、Biotage(商標)V-10(バイオタージ・ジャパン社製)を用いて真空濃縮した。
【0144】
本発明で開示されるペプチドの構造は、例えばESI-MS(+)によって確認された。本明細書に記載のペプチドの純度を以下の分析条件によって決定し、その保持時間は特性評価のために定められた条件で与えた。
分析条件
固定相:Kinetex(商標)EVO C18 100オングストローム、2.6μm、2.1×150mm。
移動相:溶離液A(HO中0.025%TFA)、および溶離液B(CHCN中0.025%TFA)。
カラム温度:60℃。
勾配:各実験を参照のこと。
検出方法:UV225nm。
流速:0.25mL/分。
【0145】
略語
【表5】
【実施例4】
【0146】
I-1(配列番号1)の例示的な合成。
[化09]
【0147】
【化9】
【0148】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-4-ビフェニル-アラニン-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。MS(ESI+)は、[M+2H]2+832.9について計算され、実測値は833.3であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=8.7分。純度:98.8%。
【実施例5】
【0149】
I-2(配列番号2)の例示的な合成。
[化10]
【0150】
【化10】
【0151】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Trp(Boc)-OH、Fmoc-4-ビフェニル-アラニン-OH、Fmoc-Pro-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-N-Me-Phe-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。MS(ESI+)は、[M+2H]2+780.4について計算され、実測値は780.8であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=8.6分。純度:98.4%。
【実施例6】
【0152】
I-3の例示的な合成。
[化11]
【0153】
【化11】
【0154】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-PEG-OH、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-4-ビフェニル-アラニン-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。MS(ESI+)は、[M+2H]2+1020.5について計算され、実測値は1021.0であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=7.9分。純度:98.0%。
【実施例7】
【0155】
I-4の例示的な合成。
[化12]
【0156】
【化12】
【0157】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-PEG-OH、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-4-ビフェニル-アラニン-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。MS(ESI+)は、[M+2H]2+1196.6について計算され、実測値は1197.2であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=8.6分。純度:99.2%。
【実施例8】
【0158】
I-5の例示的な合成。
[化13]
【0159】
【化13】
【0160】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-PEG-OH、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Trp(Boc)-OH、Fmoc-4-ビフェニル-アラニン-OH、Fmoc-Pro-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-N-Me-Phe-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。MS(ESI+)は、[M+2H]2+968.0について計算され、実測値は968.5であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=14.7分。純度:98.0%。
【実施例9】
【0161】
I-6の例示的な合成。
[化14]
【0162】
【化14】
【0163】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Lys(Boc)-OH、Fmoc-PEG-OH、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Trp(Boc)-OH、Fmoc-4-ビフェニル-アラニン-OH、Fmoc-Pro-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-N-Me-Phe-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。MS(ESI+)は、[M+2H]2+1144.1について計算され、実測値は1144.7であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=15.3分。純度:99.5%。
【実施例10】
【0164】
配列番号3で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化15]
【0165】
【化15】
【0166】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Ser-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0167】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+847.5について計算され、実測値は848.4であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=3.98分。純度:98.6%。
【実施例11】
【0168】
配列番号4で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化16]
【0169】
【化16】
【0170】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Gln-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0171】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+868.0について計算され、実測値は868.9であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=3.685分。純度:95.5%。
【実施例12】
【0172】
配列番号5で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化17]
【0173】
【化17】
【0174】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Asn-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0175】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+868.0について計算され、実測値は861.9であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=3.75分。純度:98.8%。
【実施例13】
【0176】
配列番号6で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化18]
【0177】
【化18】
【0178】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-MetO2-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0179】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+885.5について計算され、実測値は886.4であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=3.958分。純度:97.9%。
【実施例14】
【0180】
配列番号7で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化19]
【0181】
【化19】
【0182】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Thr-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0183】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+826.4について計算され、実測値は827.4であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=3.25分。純度:98.5%。
【実施例15】
【0184】
配列番号8で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化20]
【0185】
【化20】
【0186】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Hse-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0187】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+827.4について計算され、実測値は827.4であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=3.15分。純度:98.9%。
【実施例16】
【0188】
配列番号9で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化21]
【0189】
【化21】
【0190】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-MetO2-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0191】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+857.5について計算され、実測値は858.5であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=3.22分。純度:99.1%。
【実施例17】
【0192】
配列番号10で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化22]
【0193】
【化22】
【0194】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0195】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+868.5について計算され、実測値は869.4であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=3.93分。純度:95.9%。
【実施例18】
【0196】
配列番号11で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化23]
【0197】
【化23】
【0198】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0199】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+882.0について計算され、実測値は883.0であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=3.29分。純度:96.9%。
【実施例19】
【0200】
配列番号12で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化24]
【0201】
【化24】
【0202】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Har(Pbf)-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0203】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+889.1について計算され、実測値は890.0であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=3.37分。純度:96.5%。
【実施例20】
【0204】
配列番号13で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化25]
【0205】
【化25】
【0206】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-MetO2-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Gln-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0207】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+893.1について計算され、実測値は894.0であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=3.62分。純度:95.4%
【実施例21】
【0208】
配列番号14で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化26]
【0209】
【化26】
【0210】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-MetO2-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0211】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+893.5について計算され、実測値は894.4であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=3.69分。純度:98.0%
【実施例22】
【0212】
配列番号15で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化27]
【0213】
【化27】
【0214】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-MetO2-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Arg-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0215】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+907.06について計算され、実測値は908.0であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=5.8分。純度:96.8%
【実施例23】
【0216】
配列番号16で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化28]
【0217】
【化28】
【0218】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-MetO2-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Har(Pbf)-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0219】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+914.1について計算され、実測値は915.0であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=5.88分。純度:96.8%
【実施例24】
【0220】
配列番号17で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化29]
【0221】
【化29】
【0222】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Lys-OHが含まれた。次いで、最後のLysの側鎖を、PEG(CAS番号1188295-19-3)を使用したペグ化によって修飾した。
【0223】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+1006.2について計算され、実測値は1006.7であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=3.94分。純度:91.6%
【実施例25】
【0224】
配列番号18で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化30]
【0225】
【化30】
【0226】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Lys-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。次いで、2番目のLysの側鎖を、PEG(CAS番号1188295-19-3)を使用するペグ化によって修飾した。
【0227】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+963.6について計算され、実測値は964.6であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=4.71分。純度:92.9%
【実施例26】
【0228】
配列番号19で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化31]
【0229】
【化31】
【0230】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-Lys-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。次いで、3番目のLysの側鎖を、PEG(CAS番号1188295-19-3)を使用したペグ化によって修飾した。
【0231】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+978.1について計算され、実測値は979.1であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=3.75分。純度:86.9%
【実施例27】
【0232】
配列番号20で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化32]
【0233】
【化32】
【0234】
配列番号7の合成
【0235】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OH、Fmoc-D-Ala-OHが含まれた。
【0236】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+868.5について計算され、実測値は869.2であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=4.10分。純度:97.1%
【実施例28】
【0237】
配列番号21で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化33]
【0238】
【化33】
【0239】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OHが含まれた。
【0240】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+822.5について計算され、実測値は823.2であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=3.96分。純度:95.0%
【実施例29】
【0241】
配列番号22で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化34]
【0242】
【化34】
【0243】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-W6N-OH、Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OHが含まれた。
【0244】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+893.5について計算され、実測値は894.4であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=3.67分。純度:97.3%
【実施例30】
【0245】
配列番号23で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化35]
【0246】
【化35】
【0247】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ano-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OHが含まれた。
【0248】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+882.5について計算され、実測値は883.2であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=4.38分。純度:94.7%
【実施例31】
【0249】
配列番号24で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化36]
【0250】
【化36】
【0251】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Ado-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OHが含まれた。
【0252】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+896.6について計算され、実測値は897.5であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=4.97分。純度:88.7%
【実施例32】
【0253】
配列番号25で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化37]
【0254】
【化37】
【0255】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-PhNle-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OHが含まれた。
【0256】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+899.5について計算され、実測値は900.2であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=4.28分。純度:97.1%
【実施例33】
【0257】
配列番号26で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化38]
【0258】
【化38】
【0259】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-PhNva-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OHが含まれた。
【0260】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+892.5について計算され、実測値は893.2であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=4.05分。純度:95.8%
【実施例34】
【0261】
配列番号27の例示的な合成
[化39]
【0262】
【化39】
【0263】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Ala-OH、Fmoc-Arg(Pbf)-OHが含まれた。
【0264】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+846.5について計算され、実測値は847.4であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=4.05分。純度:91.0%
【実施例35】
【0265】
配列番号28で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化40]
【0266】
【化40】
【0267】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Cit-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0268】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+900.04について計算され、実測値は900.9であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=4.85分。純度:93.6%
【実施例36】
【0269】
配列番号29で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化41]
【0270】
【化41】
【0271】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-F3G-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0272】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+923.6について計算され、実測値は924.3であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=3.95分。純度:97.1%
【実施例37】
【0273】
配列番号30で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化42]
【0274】
【化42】
【0275】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-FRNNMe-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0276】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+906.6について計算され、実測値は907.3であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=4.16分。純度:94.1%
【実施例38】
【0277】
配列番号31で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化43]
【0278】
【化43】
【0279】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-RNNdMe-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0280】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+913.6について計算され、実測値は914.63であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=3.33分。純度:94.9%
【実施例39】
【0281】
配列番号32で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化44]
【0282】
【化44】
【0283】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-RNdMe-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0284】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+913.6について計算され、実測値は914.2であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=4.40分。純度:96.9%。
【実施例40】
【0285】
配列番号33で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化45]
【0286】
【化45】
【0287】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-hCit-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0288】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+907.4について計算され、実測値は907.9であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=5.01分。純度:96.9%。
【実施例41】
【0289】
配列番号34で示されるアミノ酸配列を有する環状ペプチドの合成例
[化46]
【0290】
【化46】
【0291】
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-4Py2NH2(Boc)-OH、Fmoc-Ahp-OH、Fmoc-Cys(Trt)-OH、Fmoc-Asp(OMpe)-OH、Fmoc-Bph-OH、Fmoc-Leu-OH、Fmoc-Val-OH、Fmoc-Glu-OH、Fmoc-His(Boc)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Ala-OHが含まれた。
【0292】
MS(ESI+)は、[M+2H]2+903.0について計算され、実測値は903.9であった。純度評価のための勾配;、直線勾配、20分で20~60%の溶離液B/溶離液A。tret=3.95分。純度:98.4%
【実施例42】
【0293】
ペグ化化合物の結合定数。
【0294】
ペグ化化合物の結合定数を、実施例-2と同様に表面プラズモン共鳴により分析した。I-3、I-4、I-5およびI-6のKDは、それぞれ3.510-9、4.310-9、10.510-9、11.710-9Mであった。実証されるように、リンカーに結合したCD38結合ペプチドを含む提供される化合物は、CD38に強く結合することができる。
【0295】
Biacore(Cytiva:旧GEヘルスケア社製)を用いてSPRによる相互作用解析を行った。
【0296】
配列番号1変異体の相互作用解析を以下のように行った。
【0297】
Biacore S200(Cytiva:旧GEヘルスケア社製)を用いてSPRアッセイを行った。
【0298】
Series S Sensor Chip NTA(Cytiva:旧GEヘルスケア社製)をランニング緩衝液(10mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、0.05% Tween 20)で平衡化した後、350mM EDTAを10μL/分の流速で60秒間、0.5uM NiCl2を10μL/分の流速で60秒間注入し、次いで3mM EDTAを10μL/分の流速で120秒間注入し、センサーチップを洗浄した。
【0299】
EDC/NHS混合物を10μL/分の流速で7分間注入し、それによってセンサーチップ上の官能基を活性化した。ランニング緩衝液(10mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、0.05% Tween20)中のHisタグ付きCD38を10μL/分の流速で固定化して注入した。7分間、センサーチップの基板表面上にCD38を固定化した。次いで、エタノールアミンを10μL/分の流速で7分間注入した。
【0300】
1.0Mエタノールアミン(水溶液)を10μL/分の流速で420秒間注入してキャッピングした。DMSO中の(上記で合成した)10mMペプチドをランニング緩衝液で10uMに希釈し、100nM、50nM、25nM、10nM、5nMの各ペプチド溶液(ペプチド試料)を調製した。
【0301】
これらのペプチド試料を用いて、Hisタグ付きCD38に対するペプチドの速度論を測定した。試料測定に採用した方法は、単一周期速度論法であった。分析は、Biacore S200付属の評価ソフトウェア1.1を用いて行った。溶媒補正測定によって得られたDMSO補正曲線を分析に適用した。サンプル測定データからベースラインデータを差し引くことによって得られた差分データに対して速度論フィッティングを行った。
【0302】
KD値は、会合速度定数(ka)および解離速度定数(kd)に基づいて計算した。得られた結果を以下の表に示す。本明細書で実証されるように、提供される化合物はCD38に有効に結合することができる。
【0303】
【表6】
【0304】
【表7】
【産業上の利用可能性】
【0305】
本発明者らはいくつかの実施形態を記載してきたが、本発明者らの基本的な例は、本開示の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供するために変更され得ることは明らかである。したがって、本発明の範囲は、例によって示された特定の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって定義されるべきであることが理解されよう。
図1
図2
【配列表】
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